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ミカグラ学園対抗戦 演劇部編
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- 1 : 2015/08/11(火) 21:16:37 :
- こんにちは、キミです。
最近ミカグラがアツいんですよ。カゲプロも疎かにならないよう気をつけないとね。
今回、ルーキー戦の裏をかいてみることにしました。
エルナやうさ丸、トンきゅん、そしてアスヒくんやおとねちゃんの裏で頑張ってきた人たちの物語。
今回は、演劇部・パン菜を中心とした物語です。
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- 2 : 2015/08/11(火) 21:30:23 :
- 「助けてください!誰か!」
「だれも助けてくれないよ...ハッハッハ!」
部室に響く、高らかな悪者の笑い声。
その空気を破る様に唐突に流れ出す、不気味な音楽。
それと同時に、後ろから出てくるものがいる。
「お前、俺のこと忘れてるだろ。良い度胸だな」
スポットライトがその人物を照らし出す。
「え...?」
「はーい」パン、と3年のにゃみりんが手を打つ。
「ありがとうございましたぁー」
演劇部一同が頭を下げた。
「いやー完璧だねぇ。照明も音響も〜」
「確かにねー」
くるッ、と鎌をまわすのは、2年で主役、代表の赤間だ。
「やられ役のトンきゅんは見てて面白かったよ。迫真の演技的な?」
「ありがとうございます」堅実な1年生、トンきゅんは低く言った。
「あと、悪者うさ丸。昨日よりめっちゃ改善してる的な感じ。声も出てるし」
「ありがとうッス!」うおおお!とうさ丸は声を荒らげる。
「あと」
赤間はかげで隠れていた1年生を指差した。
「パン菜」
「え、私ですか」パン菜は突然のことに心臓を跳ね上がらせる。
「お前、照明、ばっちりじゃん。むいてる的な感じだよ」
「あ、ありがとうございます...」
大好きな、密かに憧れていた赤間先輩にほめられた。
パン菜は脳でそのことを思い出す。
(その言葉が、少しでも今に繋がってるんだ)
目の前の敵。
文芸部、伊集院小春。
ルーキー戦一回戦、それが今、開幕しようとしていた。
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- 3 : 2015/08/12(水) 10:30:31 :
- パン菜が演劇部を選んだのは少し遅い時期だ。
当初運動部に入ろうと思っていたパン菜だったが、ミカグラ学園に運動部がないという事実は頭から消えていたのだ。
そこで、もとからの運動神経をいかして入ろうと決心したのが演劇部。
演劇部は文化部といえども文化部の中でもたくさんの体力を必要とする部活だ。
人前に出るのが得意ではないパン菜も、脇役や裏方を希望し、活躍することが出来ている。
パン菜が『照明』という役割を言い渡されて2日。
同学年のうさ丸と、二人の能力を目覚めさせるため練習をしているときのことだ。
『うおおおおおおっ!いくっすよッォォォォぉ!』
『うさ丸、突進だけじゃだめだって...ww』
部室で練習してしまっていた為、パン菜がうさ丸の手をよけようとした時、手が小道具のペンライトを握ってしまった。
『あッ!パン菜!危ないっす!』
心配するうさ丸をよそに、パン菜の口は勝手に開き、言葉を発していた。
『アタックライト』
『え...?』うさ丸が息を呑む。
......と思ったら、どこからかまばゆい光が溢れ出し、うさ丸の周りを光の弾丸が貫いた。
『...ッ!』
『え...私...まさか...?』
パン菜は呆然とする。
今のはクリスタルがあったとしても確実に割れているレベルだ。
『パン菜...』
裏切ったっす!そう叫ぶかと思いきやうさ丸は、
『おめでとうっす!よし、頑張るっすよおおお!』
とパン菜の肩を叩いてくれた。
『お、パン菜。能力目覚めたか?』
『おめでとうだね〜』
『すごいっつって!今の能力は凄まじいっつって!』
『いつか対戦したいですね、パン菜さん。』
演劇部の仲間達も、様々な褒め言葉を投げかけてくれる。
『みんな...』
パン菜の瞳は涙でうめつくされた。
(...私は、みんなのために勝つんだから。私の為にも。)
伊集院小春。そいつが、対抗戦でも数々のすばらしい成績を残していることは知っている。
私と来たらどうだ。未熟で、まだ勝ったことはない。
だけど。
(勝つ意思は、私の方が強いんだから!)
怖い顔を柔和にして。
人をだまして。赤間先輩みたいに。
伊集院小春を、ぶちのめしてやる。
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- 4 : 2015/08/12(水) 12:41:55 :
- こちらを精一杯睨んでくる小春の視線を跳ね返すように、
「いやぁ〜よろしくね?」
と作り笑いをする。
おとなしい子かと思っていた小春はガッとパン菜の手を掴んだ。
「よろしくお願いします。手加減はしません」
その強気に押されながらも、笑顔を崩さない。
「伊集院さん、話はきいてるよ?」
ここでは小春の気をそらすのが一番だ。
「私なんかよりレベル上な、対抗戦でも勝っている期待のルーキー、ってね?」
小春はにやっとする。
「こちらもきいています。まだ能力が出ていない、ルーキー戦に間に合わなかったルーキーさん、でしょう?」
ああ、とパン菜は思った。
こいつ、私が能力に目覚めたこと知らないんだ。
「はは、言えてるね。ま、伊集院さんが私のことをどれだけ見下してくれてるかよくわかったよ?良い戦いにしようね」
「すぐ終わるかもしれないけれどもね」
2人は怖い笑みを浮かべながら定位置についた。
『試合開始』
パン菜は小春が動くのも待たずに駆け出した。
「消えた...!?」驚く小春...今だ。
背後からクリスタルに手を伸ばし、握りしめる。
パリィン
「1つゲットぉ!」
「嘘...!」
小春は啞然としている。
しかしハッとし、
「こっちだって負けないんだから!『スプラッシュペーパー』!」
「うわちゃっ!」
思わず叫ぶパン菜の目の前に原稿用紙が舞い踊った。2つのクリスタルがやられてしまう。
「あと1個...!」
「私もあんたのクリスタル、1個壊したんだからね!?」
忘れないでとばかりに叫ぶと、
「本気を出すわよ!『スプラッシュワード』!!」
来た。小春の本気。パン菜はしっかりと身構え、ペンライトを取り出す。
「響け!苦しめ!」
言葉が襲ってきた。しかしパン菜は、ペンライトで言葉を一つ残らずはじき、身のこなしでよけた。
「苦しめェェェェェェェっ!」
バカみたいだ。パン菜は嘲笑した。
「愚かだね、伊集院さん?」
「え?」
やっと気づいたようだ。
攻撃がパン菜に当たっていないことに。
「どうして...」
「...もう、終わらせようか?」
「あんた能力に目覚めてないでしょ!?」
「ほんと愚かだね。私はもう、目覚めてるよ。」
「『アタックライト』」
パン菜は、一言だけそう呟いた。
小春のクリスタルが跡形もなく砕け散る。
勝った。
『勝者 パン菜』
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- 5 : 2015/08/12(水) 17:24:54 :
- 「やったァァァァァ!」
拳を天に突き上げるパン菜。
「パン菜ーっ!初戦突破おめでとうっすー!!」
「僕たちも勝ちましたよ。」
「パン菜、おめでとう。かなり成長してる的な?」
「すごいよお〜。伊集院ちゃんを下すなんてぇ〜」
「もう、熊野さん感激だっつって!!」
演劇部の仲間がまとまって手を振っているのが見える。それだけではない。
会場中から、歓声が溢れ出していた。
これは、ルーキー戦の序盤で起きた小さな番狂わせ。
パン菜は知らない。
次の対戦相手が『あの人』だということを。
「えええええええええええええええええ〜っ!」
演劇部の部室に轟いた大声。
代表、赤間の声だ。
「え、代表?この人がどうかしました?」
「どうかしたも何も、よく演劇部に来てったっすよ!」
「しらなぁい?あの書道部代表八坂ひみちゃんを倒したの〜」
「それも、初めての対抗戦でだっつって!」
その名も....
一宮エルナ。
能力『オモチャの銃』。
初めての対抗戦の際、書道部代表八坂ひみを見事下した1年生。
いや、パン菜だって、エルナの指先から出た閃光がひみのクリスタルを破壊した瞬間を目にしていたことに間違いはない。
うんうん、すごいな〜。と、そう思ったことに変わりはない。
...しかし。
その頃はルーキー戦初戦突破も夢のまた夢だと考えていたため、こいつと戦うなんて考えていなかった。
「いや〜面白くなってきたね?」
赤間がふと呟き、微笑む。
「一宮ちゃんは強いよ。パン菜、頑張れ」
パン菜は再び端末を見る。
この、バカの様に笑っている(正真正銘のバカだ)一宮エルナが、強いだなんて。
信じられないけど、そうなんだろう。
『オモチャの銃』と『アタックライト』。似ている気がする。
その似ている能力を持った二人がぶつかりあうまで、あと1日。
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