この作品は執筆を終了しています。
クリスタ「私が担任した、女の子のお話」
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- 1 : 2015/08/07(金) 22:51:07 :
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私は、教師歴初めて。
小学五年生の担任を受け取りました。
他の組と比べると、やんちゃな子供たちが多くて、手を焼いている状態です。
初めての教師生活は馴れなくてしょっちゅうドジをしては生徒たちに笑われます。
クラス中、笑ってくれるのですが、一人だけ笑わない子がいるのです。
その子は、ミカサちゃんと言ってとても大人しい女の子。
クラスで一番面白いエレン君が何をやってもぼんやりと窓の外の景色を眺めています。
私は一度、言いました。
「面白いって思った時は遠慮なく笑うんだよ」
彼女はコクリと頷きましたが、笑った姿は半年経った今でも見たことがありません。
それに、最近、あんまり笑わないのでエレン君が笑わせようと必至に努力したのですが、口角すら動きません。
それが気にくわなくなったエレン君は、ミカサちゃんに嫌がらせをするように。
私は最初はただのイタズラかと思ったのですが、どんどんエスカレートしていったので、注意をしました。
エレン君は一応頷きましたが、ミカサちゃんの傷痕は私の気づかぬ間に増えていくのでした。
注意しようにも、私は見たわけでもありませんし、言うことはできません。
一方のミカサちゃんは無反応で恐ろしい程反抗をしないのです。
遂にはエレン君と仲の良いアルミン君やジャン君まで、参加するようになってきました。
それでも、ミカサちゃんは声を上げません。
私は何もせずにはいられず、ミカサちゃんに相談に乗るよう言いました。
しかし、ミカサちゃんは何も言いません。
何もないと言われても、担任としては心配です。
先輩教師のユミル先生に聞きました。
ユミル先生は心の相談室という、いじめを受けて苦しんでいる生徒たちやクラスに馴染めなくて不登校になりつつある生徒を受け持つとても良い先生です。
「あー、そりゃあるパターンだな」
ユミル先生は緑茶をすすりながら言いました。
「この場合……どうすれば?」
「そういう生徒は何を言おうが口を開かねぇ。そうだ、いっちょ作文大会でも企画するか。文章でなら何とか言ってくれるのも結構いるんだ」
「はい……」
「そーだ。校長に言って校内の大会の案に出そうかな。給料増えるぜ」
「お願いします。どうか助けてあげたいんです」
「・・・」
ユミル先生は、しばらく黙った後に、緑茶を飲み干して校長室へ行きました。
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- 2 : 2015/08/07(金) 22:59:14 :
ユミル先生の案は校長先生に好評でした。
そして、二週間後にこのイベントは開催されることになりました。
ユミル先生が、このイベントの担当になりました。
初めは、めんどくさいめんどくさいと言っていたけれども、内心は嬉しそうでした。
ユミル先生は、ルールを作りました。
一.作文の課題は各学年出されたお題を書く。
一.作文には本心を書く。
一.学年で最優秀賞だった作品は図書室に貼る。
この3つです。
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- 3 : 2015/08/07(金) 23:41:42 :
- 一年生の課題は、【学校】
二年生の課題は、【自分のクラス】
三年生の課題は、【勉強】
四年生の課題は、【担任の先生】
六年生の課題は、【目標】
そして、私達五年生の課題
【家族】
私は、ユミル先生の意図が分かりませんでした。
ユミル先生は、ミカサちゃんのことを私が話したから提案した筈なのに、別の課題を出してきました。
普通なら、二年生の【自分のクラス】が相応しいと思うのですが、私には分からなくて、ユミル先生には分かる『何か』があるのでしょうか。
今は、国語の時間。作文用紙二枚以上という鬼課題です。
私も中学生の頃は三枚書くの面倒でよく句読点で埋めようとしてたなぁ。
必死に子供たちは作文用紙と見合っていました。
「俺、いっちばーん!」
エレン君が先に書き終わったようです。
「エレン君、終わった?」
「うん先生!俺これ絶対図書室に貼るわ」
「じゃあそのために誤字脱字ないか確かめてよ~?」
「おー!って危ねー!早速あったし……」
「「「「「あはははははww」」」」」
笑いの渦に、今日も彼女は乗ってくれません。
エレン君が横目で一瞬睨んだのを、私は見逃しませんでした。
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- 4 : 2015/08/07(金) 23:52:58 :
- この時間で終わったのは、5、6人程度。
皆の、図書室に張り出されようと張り切って頑張っている姿がとても微笑ましいです。
職員室へ行くとユミル先生が紅茶を飲んでいました。
私はユミル先生に質問しました。
何故、五年生の課題を【家族】にしたのかを。
ユミル先生はニヤリと笑って適当な理由をつけて誤魔化しました。
結局、作文大会まで聞けず終いでした。
作文大会が近づいてくるに連れて、エレン君たちのミカサちゃんへの言動がさらにエスカレートしていきます。
最近はん私に聞こえないように、ミカサちゃんの耳元で囁いて悪口を言います。
ミカサちゃんは無反応では耐えきれなくなってきたのでしょうか。
授業中、よく頭を抑えるようになってきました。
私もだんだん息苦しくなってきました。
ユミル先生に相談しても、まともに取り合ってはくれなくなりました。
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- 5 : 2015/08/07(金) 23:59:43 :
校内全クラス、国語の時間を二時間設け、発表します。
私のクラスは席順に進めることにしました。
ミカサちゃんは窓側の後ろなので一番最後です。
「・・・だから、私はお母さんが大好きです!」
パチパチパチパチ
拍手が大きいです。
いよいよ、ミカサちゃんの順番が回ってきました。
私は心配で心配でなりませんでした。
「……」
ミカサちゃんが立ち上がりました。
「速く読めよなー」
ジャン君からの野次がとばされます。
ミカサちゃんは気にも止めないでクールな声で読み始めました。
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- 6 : 2015/08/08(土) 00:21:36 :
【支え】
ミカサ・アッカーマン
私は、お父さんとの二人暮らしです。
お母さんは、一昨年に病気で亡くなりました。
お父さんは、私を養う為に外国へ仕事へ行っています。
私には、私を預かってくれる親戚がいません。
そんな私を支えてくれる人がいます。
一人目は、エレンのお母さんです。
私はまだまだ子供なので、あまり料理を覚えていません。
教えてくれるお母さんもいません。
夕飯も、作れません。
そんな私にエレンのお母さんは毎日料理を作って持ってきてくれます。
私とエレンが幼馴染みというだけで、私の生活の大部分を支えてくれるのです。
二人目は、アルミンのお母さんとジャンのお母さんです。
アルミンのお母さんはたまに私の体調を気遣ってくれます。
ジャンのお母さんは、幼馴染みでなくて家も遠いのに時々遊びに来てくれます。
お母さんの仏壇に手を合わせてくれます。
アルミンのお母さんとジャンのお母さんの支えは、私の光となります。
三人目は、クリスタ先生です。
先生は、初めての先生としてのお仕事で、色々と忙しいと思います。
たまにドジをしたり天然なところがいつも面白くてたまりません。
でも、私はいつも笑えません。
そんな無愛想な私に話しかけてくれます。
とても嬉しくて。でも、何と言っていいのか分からなくなってしまう始末です。
それでも笑顔で話しかけてくれるクリスタ先生は学校での支えです。
私は、お母さんが亡くなってから多くの人に関わってきました。
その全てが、「支え」です。
支えてくれる、全ての人が私にとっては家族のような存在です。
エレンのお母さん、アルミンのお母さん、ジャンのお母さん、クリスタ先生。私の存在を受け止めてくれる全ての人が家族のように大好きです。
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- 7 : 2015/08/08(土) 00:34:08 :
私が、ミカサちゃんにとって家族のような存在……?
そんなこと、思われるなんて思いもしなかった。
正直、こんなに話しかけて鬱陶しくないか心配だった。
ミカサちゃんは、しっかり喜んでくれていたんだ。私の言葉で。
良かった……っ。
涙が、一つ、二つ……っと、溢れてきました。
気がつくと、クラスの皆が泣いていました。
エレン君、アルミン君、ジャン君が特に号泣していました。
ミカサちゃんは、一人オロオロと立ち尽くしています。
エレン君は、突然立ち上がっていいました。
「ごめん!!!!!」
ミカサちゃんは固まりました。
「お、俺お前の母さんの事情なんにも知らなくて……。俺の母さん取るなとか言ってごめん!!本当にごめん!!」
「僕も……ミカサの家族の代わりにお母さんがなってるなんて……っ!本当にごめんなさい!」
「お、お、俺のババアだって!あんまり支えになってねぇのにっ!お前の家族みたいな存在だったとか知りもしねぇで!ごめん!!」
それから、皆涙がかれるまで泣き続けました。
感情を表に出さないミカサちゃんも、エレン君たちの謝罪を聞いた瞬間、ポロポロと涙を流しました。
私はミカサちゃんを抱き締めました。
家族のように。
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- 8 : 2015/08/08(土) 00:40:10 :
- ミカサちゃんの作文はクラス一番になりました。
でも、[エレンのお母さん]等の他の人が読んでも分からない部分は、私と一緒に訂正しました。
その他は、全てミカサちゃんの本心の言葉です。
もちろん、学年で一位になりました。
校長先生も、ユミル先生も他の先生方もこの作文を読んで目が潤み学校で一番の作文となりました。
さすがに、新聞には掲載はされませんでしたが、私はニュースで報道してもいいレベルだと本気で思っていました。
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- 9 : 2015/08/08(土) 00:46:40 :
ユミル先生にもう一度聞きました。
どうして、五年生の課題を【家族】にしたのか。
ユミル先生は切なそうな顔をしました。
「私もな、あの子みたいな状況があったんだよ」
「えっ、ユミル先生が!?」
「何本気で驚いてんだよ。まあいい。そこで、出会ったんだ。担任に。あんたにそっくりだ」
「え……」
「まぁ理由はこんなことだ。もう私のことを詮索するのはやめろよ?」
「はーい」
ユミル先生には分かる『何か』それは多くの経験から生まれたものだったんだ。
まだまだ教師歴史0.5年!私だって経験していい先生になろう!
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- 10 : 2015/08/08(土) 00:52:26 :
エレン君、アルミン君、ジャン君、ミカサちゃんはとても仲のいいグループになりました。
ミカサちゃん女の子一人で大丈夫か心配だっけど、今ではしっかり意見を言えるし、男の子三人は尻に敷かれてきる様子。
ある意味先がおもいやられるなぁとぼちぼち思います。
後の半年間。私が最初に受け持った最高のクラスとなるように、日々努力します。
もちろん、ミカサちゃんの家族も欠かしません!
これは、私の教師生活初めての大きな出来事でした。
終わり
「………来年も、このクラスを受け持つことになるとは知るよしもありませんでした。」
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- 11 : 2015/08/08(土) 02:00:30 :
- 乙です!あと、
来年パターンもあるんですか!?
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- 12 : 2015/08/08(土) 11:40:55 :
- 心の傷はそうは癒えないもの、、周りがいい環境でミカサも救われた、、、
とてもいい作品でした。次回作あるなら心から期待します。長文失礼しました。
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- 13 : 2015/08/08(土) 11:58:18 :
- 来年は書く予定ないっすけど、書いて欲しいなら書きますw
夏休みは暇なんで、遠慮なく言ってくださいw
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- 14 : 2015/08/08(土) 17:49:31 :
- 書こうぜ書こうぜ!!
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- 15 : 2015/08/14(金) 03:25:38 :
- おひさ~! なんで、こんなにいい作品をかけるのかねぇ? 代わりに受験の作文を書いてほしいくらいだ!
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- 16 : 2015/08/15(土) 11:14:13 :
- とても素晴らしい作品でした!
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- 17 : 2015/08/15(土) 11:36:32 :
- >>15
久しぶり!兄さんもう受験生かぁ~!
作文書いてあげられないのは残念……。頑張ってね!
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- 18 : 2016/08/21(日) 09:44:03 :
- 書いて欲しいです‼︎
素晴らし過ぎる作品なので続きが気になります‼︎
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- 19 : 2016/08/27(土) 10:39:56 :
- もうあなたの作品を読んで何回涙腺崩壊した事か……w
続きが気になります!
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- 20 : 2017/04/09(日) 20:38:03 :
- 私も!気になる!お願いします!書いて下さい!(>_<)
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- 21 : 2017/12/30(土) 13:11:05 :
- やばい目から塩水がぁ( இωஇ )ウワーン
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- 22 : 2018/01/12(金) 15:19:13 :
- いい話だったなぁ…(°▽°)
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- 23 : 2018/04/27(金) 23:51:11 :
- 続き気になるっ!
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- 24 : 2018/05/03(木) 13:10:32 :
- クリスタレンズ狩りを行う特別捜索中のものはクリスタレンズ狩りの準備を開始して見張りを強化せよ。クリスタレンズはいまだ見つかってないから見つけるようにしろ。
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