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#01 進撃の巨人 ~もしこの壁の中で 一人の少女と狩人が恋に落ちたとしたら〜

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  1. 1 : : 2015/07/19(日) 17:57:31
    http://www.ssnote.net/archives/30851

    前作『進撃の巨人 attack on titan
    ~もしこの壁の中で一人の少女と狩人が 恋に落ちたとしたら〜  序章 』 前編

    の続きとなります。

    引き続き、空山 零句がお送り致します。

    15年当時の執筆作品の為、拙いところは非常に多いですが…どうか私の描くミーナの物語を引き続き見ていただけたら本当に幸いです。

    では、どうぞ。



    追記

     今まで作中で沢山のありがたい意見を頂いております。ありがとうございます!
     ですが、今現在は他の方が読みやすくなる様、コメントは申し訳ありませんが不許可とさせて頂いてます。
     ご了承くださいませ。もし壁第3話においてのみ、現在感想欄としてコメント欄を開放中です。宜しければご利用ください。
  2. 11 : : 2015/07/24(金) 00:52:22

    - attack on titan -

    -If a girl and "Yeager" fell in love in the walls.-






    Contents ─目次─



    Prologue  「彼女が見た世界」 (>>12


    第1話  「 少 年 」  -Eren Yeager- 【後編】(>>17)












  3. 12 : : 2015/07/24(金) 01:11:07

    √A

    Prologue 「彼女が見た世界」 








     今から、百年以上前。人類は、ある未曾有の危機に陥った。
     突如として、人を喰らう強大な化け物───その姿そのままから、「巨人」と名付けられた生物が人類の前に現れたからだ。

     彼らを前にして人類は、どうしようもなく為す術はなかった。そうして巨人は、僅か数年にして人類の半分を死に追いやった。

     その中で生き残った人類は、「マリア」「ローゼ」「シーナ」の三つの壁を築く事で……百年の平和を実現させることが出来た。

     ここまでは、私もよく知る壁内人類の歴史。教科書にも載ってる子どもでも知ってる事実だ。


     ─────でも。

     その平和が結局のところ……ただの偽物でしか無かった事に、一体どれだけの人間が気付けたんだろう。

     その日常は、突如として60メートルの壁を超えたという「超大型巨人」及び「鎧の巨人」によって。

     ウォール・マリアの壁ごと、全てが……虚しくも壊されてしまったのだから。









     私は、あの日、あの時。

     確かに、聴こえた気がした。

     もう2年以上も前の話になるけど……それでも、その感覚だけは、脳にこびりついてるように、未だに残っているから。

     壁の向こうから、まるで、

     空が落ちた(・・・・・)ような音が

     聴こえたように思えたの。

     そんなわけないって思う。だってマリアとローゼはとんでもない距離が離れてるんだから───現実的に、ありえないって。


     でも、確かに、感じたの。

     何かが、始まったんだって。
     

     実際、その時の私は何も知らなかった。
     知る由もなかった。

     あの「()」の向こうで、起きていた事を。




     この世界が、“終わり” を告げる鐘を鳴らしていたのだということを────────。

  4. 17 : : 2015/07/26(日) 02:10:34








    進撃の巨人 attack on titan


    〜もしこの壁の中で一人の"少女"と"狩人"(イェーガー)が 恋に落ちたとしたら〜













    第2章  「 少年 」  -Eren Yeager- 【後編】










    【850】




    _________
    _______
    ____
    __
    _


    ゴォォォォオオオオ・・・


    ザアァァァ・・・




    ザッ・・・

    ザッ・・・ ザッ・・・・



    ザ・・・・ッ



    金髪の少年「……ッ」



    キース「…おい、貴様」


    金髪の少年「………ハッッ!」バッ!!


    キース「貴様は何者だッッ!?」


    金髪の少年「シッ、シガンシナ区出身!」


    金髪の少年「アルミン・アルレルトです!!」


    キース「そうか! バカみてぇな名前だな!!」


    キース「親がつけたのか!」



    アルミン(ッぇ…)



    アルミン「そ、祖父がつけてくれました!」


    キース「……そうか」


    キース「アルレルト!」


    キース「貴様は何のためにここに来た!!」


    アルミン「自分は……人類の勝利の役に立つ為にここに来ました─────

    キース「それは素晴らしいな!! 貴様は巨人のエサにでもなってもらおうか!」







    ノア(…あのハゲ…あいつの言葉、マトモに聞いてねぇな)イライラ


    ノア(…ソフィ、ミーナは…?)チラッ


    ソフィ「…ッ…ぅぅ…」ガタガタガタ


    ミーナ「…………ッ」ガタガタ・・・


    ノア「…………」


    ノア(…二人ともめちゃくちゃ萎縮してやがるな)


    ノア「…!」


    ノア「…あ……」


    ノア(…ま、マジかよ…!! よ、よりにもよって次の列の奴─────)




    キース「3列目! 後ろを向け!」

    ザッ!! ザッ!!






    ノア(─────ミーナじゃねぇか…!!)







    ミーナ「……ッ………」ガタガタ・・・


    ミーナ(ど、どうしよう…怖い…あの教官ほんとに怖いよ…!)


    ミーナ(き、教官…どんどん近くに来てる……!)ドクンッ



    ザ・・ッ ザ・・ッ ザッ・・・!!



    ミーナ「…!!」ドックン・・




    ドックン ドックン

    ――――ドックン・・!!!


    ――――ザッ・・・!!!



    ミーナ(うぅぅッ…!!)ギュ・・!







    キース「…おい、貴様」
  5. 18 : : 2015/07/26(日) 02:14:25


    ミーナ(ッッ!!)ドグン!!


    ミーナ「ハッ!」バッ!!


    キース「貴様は何だッッッ!?」


    ミーナ「ハッ!! 私はトロスト区出身!!」



    ミーナ「ミーナ・カロライナですッッ!!」
    キース「違うぞ!!」ゴオッッ!!!



    ミーナ(…え?)


    キース「―――――貴様は豚小屋出身!!」



    キース「家畜以下だッッッ!!!」


  6. 19 : : 2015/07/26(日) 02:26:26




    ノア「」


    ソフィ「……え?」


    ミーナ(…………え)







    キース「…何だ」


    キース「何か不満でもあるのか?」


    ミーナ「――は、はッッ!!」ビクッ


    ミーナ「わ、私は―――――――」


    ミーナ「ぶ、豚小屋出身!!家畜以下でありますッッ!!」


    キース「そうか……それは…」



    キース「ずいぶんと汚らわしいことだな。…せいぜいお前には似合っているぞ」フッ・・


    ミーナ「―――――――」






    キース「次だ!! 貴様だ!! 貴様は何だ!!」

  7. 22 : : 2015/08/03(月) 01:27:04



    トーマス「じ、自分はトロスト区出身!!トーマス・ワグナーであります!」


    キース「声が小さいッッッ!!」


    トーマス「トロスト区出身!! トーマス・ワグナーでありますッッッ!!!」


    ---キサマハ ナニヲシニ ココニキタッッッ!!?




    ノア「………」


    ノア「…」チラッ・・



    ミーナ「―――――………」




    ノア「……」


    ノア(……あいつ)


    ノア(ミーナに何を言わしてんだ……)


    ノア(あのクソハゲ…いつか、マジで殺す。)ギロ・・





    ノア「…!!」


    ノア(な…っ …クソが、マジか…!)




    ソフィ「…………」ガクガク・・・


    ノア(ソフィ…!)

  8. 23 : : 2015/08/03(月) 01:33:59



    ザッ・・・


    ザッ・・・ ザッ・・・ッ



    キース「(チラ…)」


    金髪の少女「………(ギロッ)」


    キース「………ふん…」ザッ・・ ザッ・・




    キース「…!」ザッ・・ ザッ・・


    ソフィ「………」ガタガタ・・





    ザッ・・・

    ザッ・・・ ザッ・・・!!





    ソフィ(…き、来た…ッ! うぅ…こ、怖いよ…ッ)ガクガク・・



    ザッ・・・ ザッ・・・


    ――――ザッ・・・・!!



    ソフィ「…!!!」ドクン!!


    キース「おい」


    ソフィ「!!(ビクゥ!!!) …ハッッ!」バッッ!!

  9. 24 : : 2015/08/03(月) 01:50:45


    キース「貴様は何だ、何者だ?」


    ソフィ「はっ!! わ、私はトロスト区出身!!」


    ソフィ「ソフィア・ルージュでありま…


    キース「声が小さいな」


    ソフィ「…っ!?」ビク


    ソフィ「自分は、と、トロスト区、出身……!!ソフィア・ルージュでありまsキース「声が小さいと言っているッッ!!」


    ソフィ「ヒッ…!」ビクゥ!!


    馬面の少年「……!?(ビクッ)」


    そばかすの少年「!」





    キース「オイ……貴様、何だ今の声は?」


    ソフィ「……ぇ?」ガタ ガタ ガタッッ


    キース「何だと聞いているんだ!!!」


    キース「何だ今の声は!!? さっさと答えないかッッ!?」


    ソフィ「ッ!! ぁ、ご…ごめんなさ…ぃ」


    ガクガクガクガク…………!!


    キース「…………」
  10. 25 : : 2015/08/03(月) 02:00:56


    キース「……………何だ、貴様は? いったい何者だ?」


    キース「……のうのうと壁内の空気だけを吸う“家畜”だけならまだしも──────」





    キース「“家畜”である上に貴様は、まともにしゃべることもできないのか?」


    ソフィ「ッ!!」ガクガクガクガク





    キース「救いようが無い『豚』だな」


    ソフィ「」


    キース「なぁ……?(ガッ!)」


    ソフィ「うぐぅ……!! 痛ッ………───ぅぅ」グググ…!!


    ミーナ「!!! (か、髪を……ッッ!?)」


    ノア「」




    キース「─────『豚』」


    ソフィ「…………ッ!!(ジワァ)」ポロポロ……


    キース「貴様は、訓練もまともに耐えることができないだろうな」


    キース「ソフィア・ルージュ」


    キース「重要な場面において、まともに声も出せぬ今の貴様には訓練も受ける資格もない!!」


    キース「もっと兵士としての人間性を家畜小屋で磨いてこい!!」


    パッ……


    ソフィ「ん……っぐぁ!」ドシャッ


    ノア「」


    ミーナ「ッ……ぁ…… ひ、ひどい……!!」
  11. 26 : : 2015/08/03(月) 02:14:06



    ソフィ「(ポタ…ポタ……ポタタ)」


    ソフィ「うっ…(グス……)うぇぇ、ぇぇッ」ポタタ・・・ポタ・・







    キース「次だ!! 貴様だ、貴様は何者だ!!」


    ジャン「(バッ!!)トロスト区出身!! ジャン・キルシュタインです!」





    ノア(…………………)


    ソフィ「ぅ……っぐ!(グス…グス)うぅ……、っうう……」ポタポタ


    ノア(───────あのクソハゲ、いつか殺す。ぜってぇ殺してやる)


    ノア(なんでこんなクソみてぇな式やんなくちゃなんねぇ………)ギュウゥゥ・・


    ノア(…………何でソフィアとミーナが、あんな事言われなきゃなんねぇ!?)ギリリッッ!!


    ノア(ふざけんじゃねぇ………!!)ギロ……ッ



    少年(!!? うわ、隣のヤツとんでもねぇ顔してる、…………怖ぇ……)ビク!

  12. 27 : : 2015/08/03(月) 02:25:51



    キース「4列目!! 後ろを向け!!」


    ザッ! ザッ!!


    ノア(………あの糞野郎! 恫喝の相手を選んでやがる……!?)


    ノア(いったいどういう基準で選んでやがるんだ!?)



    ザッ………ザッ

    ザッ…………



    ノア「(チラ)」


    ノア(…………あ?)





    キース「………(チラッ)」ザッ……ザッ……


    ごつい少年「……」


    背の大きな少年「………ッ」ビクビク


    キース「…………」ザッ……ザッ……


    ノア(………………ん?)


    ノア「!!」


    ノア(……あいつ、まさか!!)

  13. 28 : : 2015/08/03(月) 02:38:11



    ザッ…ザッ…ザッ……



    ノア「………」


    ノア(あいつ、適当に恫喝してる訳じゃない…)


    ノア(………思えば)


    _______
    ______
    ____
    __





    黒髪の少年『………』ギロ


    そばかすの少女『──────…』


    黒髪の少女『………』ボー………


    金髪の少女『…………(ギロ)』


    _
    __
    ____
    ______



    ノア(─────恫喝されなかった奴は何か全員、面が違ってた…)


    ノア(ていうか、目つきが違うっていうのか?(何か1人寝てるように見える奴がいたけど))


    ノア(そうか、そういう事か)


    ザッ…ザッ……!!


    ノア(ならッ!!)





    ザッ…! ザッ…!   

    ザ………ッ!!


    ノア(─────睨み殺してやる!!)


    キース「──────………(………えらく反抗的な目だな)」


    キース(…………まぁいい。こいつはいいだろう)


    ザッ ザッ


    ノア「……!!」

  14. 29 : : 2015/08/03(月) 03:00:25


    ノア(やっぱ私の勘が当たったみてぇだな)


    ノア(は……ッ ざまぁ見ろ、クソが)



    キース「………オ……イ…貴様………」


    ノア「!」


    ノア「……………あ?」


    少年たち『!!?』ゾッッ


    少女たち『!?!』ゾワッ



    キース「─────貴様、オイ、貴様は……何を、やっている…………?」


    …………ギリリ・・・───パッ


    坊主の少年「が………ッ はぁ……ッ……!!」


    ドシャァァァ…!!!





    ミーナ(………え? 何?)


    黒髪の少年(………?)チラ


    104期訓練兵『!!!?』
  15. 30 : : 2015/08/05(水) 00:29:12
    _______
    _____
    ___
    _

    ―宿舎―


    ミーナ「…………」オヤマサン ズワリ


    ノア「」イライライラ


    ソフィ「………(グス)」グシグシ




    ミーナ「────はぁぁ………」


    ミーナ(前言、撤回。全然頑張れる気しなくなってきた)




    ノア「おい、ミーナ」


    ミーナ「え? あ、ごめんね?溜息なんてついちゃって」


    ノア「いや、んなことを言おうとしてたんじゃねぇよ そんなん気にしねぇし」


    ノア「っていうかそんな溜息ついても無理ねェだろ、こんなの」


    ミーナ「………え」


    ノア「大丈夫か?お前。あん時、あのクソハゲに言われたこと」


    ミーナ「え、あ、うん、まぁ豚小屋出身、家畜以下だなんて」


    ミーナ「そりゃあ、ちょっとは傷ついちゃったけど」


    ミーナ「で、でも大丈夫、そんな気にしてないよ!」


    ノア「無理してんのバレバレだぞ」


    ミーナ「うっ」


    ミーナ(ば、ばれちゃってたかぁ)


    ミーナ(やっぱり昔からノアには、敵わないなぁ)


    ミーナ「ソフィ? ソフィは大丈夫? ってそんなわけない、かな」
  16. 31 : : 2015/08/05(水) 10:18:13


    ソフィ「…………」


    ミーナ「ソ、ソフィ?」


    ノア「……おい、大丈夫か?」


    ソフィ「え?」


    ソフィ「あ、ご、ごめん……(グシグシ)」


    ソフィ「うん、大丈夫だよ」


    ノア「……………」


    ノア「…………くそっ!!」ドンッ・・・


    ミーナ「!?」


    ソフィ「の、ノア! ど、どうしたの?」


    ノア「どうしたもこうしたもねぇだろ」


    ノア「なんであんなクソみてぇな式で」


    ノア「お前らがあんなクソみてぇなハゲに」


    ノア「あんな事言われなくちゃなんねぇってんだ!!」


    ソフィ「の、ノア、落ち着いて! 私は大丈夫だから!」




    ノア「どこがだ! 今にもまだ泣きそうな顔しといてどこが大丈夫だってんだ!!」


    ソフィ「ッ」



    ミーナ「……………」




    ノア「────あいつが、お前らをそんな顔にさせちまうようなことを言ったのが……」


    ノア「未だにどうしても私には許せねぇんだよ!!」

  17. 32 : : 2015/08/05(水) 11:31:19


    ソフィ「………」


    ソフィ「……ノア」


    ソフィ「ごめんね」


    ノア「だから────何で、お前がそこで」


    ソフィ「ノアがそんなに私やミーナの事、心配してくれてたのに」


    ソフィ「私は────自分のことしか頭になかった」


    ノア「んなことねぇよ、悪いのはあいつだろ!?」


    ソフィ「ううん。そういう事じゃない。…………それにね。あそこでもっとちゃんと声を出せなかった私も悪いよ」


    ノア「────お前」


    ソフィ「嬉しいよ、ノアの私を庇ってくれようとしてる思い、十分わかるもの。でもそれで十分」


    ノア「……」




    ミーナ「ノアはやっぱりすごいよ」


    ノア「あ? いきなり何の話だよ、ミーナ」


    ミーナ「そんなにもあの時、あんな時に私やソフィのこと気にしてくれてたって事でしょ? 今それだけ教官に対して怒ってるって事は」


    ミーナ「そのことが………私も嬉しいな、って思ったから」


    ノア「────当たり前だろ、そんなの」


    ミーナ「…………うん。ありがとノア」ニコ


    ソフィ「私も! ありがとう。ノア!」



    ノア「………ったく…。お前らは揃いもそろってどんだけ優しいんだよ!」


    ミーナ「そ、そうかな?(エヘへ)」///


    ソフィ「ふふふ! 照れたミーナ可愛い!」ニコッ


    ミーナ「う、うっさい! もぉ~! ソフィったら!」アハハ!!


    ノア「………」


    ノア(よかった。ようやく笑ったなこいつら)ニコ


    ノア(──────簡単な話さ)


    私はただ、お前らに


    あの時、救われた(・・・・)時に貰ったものを…………返したいって思ってるなんだ。
  18. 33 : : 2015/08/08(土) 16:15:01
    期待です!!!!!!!!!
  19. 34 : : 2015/08/12(水) 03:30:12
    >>33
    期待感謝です!返信遅くなりごめんなさい・・
  20. 35 : : 2015/08/12(水) 04:03:09


    二人「あっはははッ!」


    ノア(──────)ニコッ


    ノア(おっと、もうこんな時間かよ)





    ノア「さて……と」パン…


    ノア「こんなとこでいつまでもシケた話してたら尻にカビが生えちまう」


    ノア「ソフィア、ミーナ、そろそろ互いに自分の部屋行こーぜ?」ヨッコイセット


    ミーナ「うん、そだね」ヨイショッ、ト・・


    ソフィ「あはは、私も二人のおかげで元気になれた!」


    ノア「そうかよ、そりゃよかったな」


    ソフィ「うん…ほんとありがと! じゃあ、行こっか!」


    ノア「よし! 行くぞ、ソフィ!」


    ソフィ「うん!」ニコッ

  21. 36 : : 2015/08/12(水) 04:54:57


    ソフィ「────あ」


    ソフィ「……」


    ソフィ「待って! 二人共!!」


    ミーナ「え?」ヨイショット


    ノア「あ? どしたよ?」


    ソフィ「ごめん! さっきの話にちょっと戻るんだけど。気になった点があるの」




    ソフィ(あ、やっぱやめたほうがいいのかな。ノアはあの教官のことすっごく嫌ってたし)



    ノア「? 気になった……点?」


    ソフィ「………えっと、ね。さっきの入団式の時の事また蒸し返しちゃうけどいい? ノア」


    ノア「正直、その話は癇に触るけどよ。まぁソフィアの話なら聞くよ」


    ソフィ「ごめんね」


    ノア「別に構わねぇって。話してくれよ、ソフィア」


    ソフィ「うん、わかった。ミーナもいい?」


    ミーナ「大丈夫。何の話?」ドサ


    ソフィ「私……あの教官の、あの恫喝────いったい何のためにやっているんだろう……ってずっと考えてたの」


    ソフィ「ノアは何か、気づいたことあった?」


    ノア「!!」


    ミーナ「?」


    ノア「そうだ……!! そういや言いそびれてたな、お前らに!」


    ソフィ「え?」


    ノア「……私も、あの恫喝に一つ気づいたことがあったんだ」


    ミーナ「ど、どういうこと?」
  22. 37 : : 2015/08/12(水) 05:03:57



    ─────思い出してみろ、ミーナ。


    ─────お前はあん時、あのクソハゲに恫喝されただろ?


    ─────う、うん。




    ─────そん時、思わなかったか?




    ─────例えば、どんなこと?





    ─────あの時、『恫喝をされなかった奴』(・・・・・・・・・)が何人かいただろ?




    ─────え。


    黒髪の少年『……………』ギロッ


    そばかすの少女『…………』ギロ・


    黒髪の少女『……………』ボー…


    金髪の少女『………(ギロ)』



    __
    ____
    ______
    _______
  23. 38 : : 2015/08/12(水) 05:18:38


    ミーナ「…………ッ」


    ミーナ「あ!! 確かに……!」


    ミーナ(そういえば、私とぶつかったあのマフラーをつけてた子も……)


    ミーナ(よくよく考えたら恫喝なんて、されてなかった)


    ノア「よーやくわかったみてぇだな」


    ノア「そう、あいつは多分……恫喝する奴を選んでやがったってわけなんだよ」


    ミーナ「え───な、何で? そもそもなんの為に? 何を基準にして……?」


    ソフィ「理由は予想つかない。でもあの教官、全員の表情を一人一人、見てた」


    ソフィ「あのね? これはほんとに、ただの私の勘なんだけど」


    ソフィ「あの教官、私たちのことを」


    ソフィ「試す(・・)ために、あんな風に恫喝したんじゃないのかな?」


    ミーナ「え……」


    ノア「!」
  24. 39 : : 2015/08/12(水) 17:13:41


    ソフィ「そのことから言えるのは、多分あれは『通過儀礼』だったんだってこと」


    ソフィ「ここに来る人はみんな、「兵士」として戦えるようになる為に来る人たち」


    ミーナ「う、うん」コクッ


    ソフィ「そういう人たちは、ここに来た以上ちゃんと兵士として、大成してもらわなければならない義務がある」


    ソフィ「だから、生半可な覚悟でここで訓練をさせない為に、教官達は立場上敢えてああいうことしなきゃいけなかったってわけだよ」


    ミーナ「……!」


    ミーナ「…………」


    ノア「そう考えると、全部筋も通るしな」


    ノア「クソ、ますますムカつくな」
  25. 40 : : 2015/08/12(水) 17:25:22


    ソフィ「ノアも薄々気付いてたんだね」


    ノア「まぁ、ソフィのその結論にはさすがに至らなかったにせよ、……あいつのやってる行動に疑問は抱いてはいたよ」


    ミーナ「……」



    ────じゃあ私が、あの時……あの教官にあんな風に言われちゃったのは

    ────私に 覚悟が、足らなかったから、ってことなのかな……




    ノア「あ~~~!! ムカつくーーーーー!!」ドガッ!!



    ノア「あいつほんとにますますもってムカつくが」



    ノア「ただのクソハゲじゃなかったってことは、よくわかったよ」フゥ



    ソフィ「私もようやく、ちょっとすっきりしたよ」


    ソフィ「やっぱり私が悪かったんだから」


    ノア「………」

  26. 41 : : 2015/08/12(水) 17:48:18



    ソフィ「あんな風にグズグズ泣いちゃって……ホント情けないったらありゃしない」



    ノア「何度も言うけどよ、お前は何も悪くねぇからな。もちろんミーナもよ」


    ミーナ「…ノア」


    ソフィ「……」



    ノア「たとえ、試すためだろうが、なんであろうがよ」


    ノア「────お前らがあそこまで言われる筋合いなんか、どこにもねぇんだからよ」



    ノア「要するに、あいつを見返してやりゃあいい」



    ノア「あのハゲ教官をさ」



    ノア「その為なら心配どころか、いつだってワタシはお前らの助けになってみせる」


    ノア「その覚悟は、もうとっくに決まってんだからさ」



    ソフィ「─────ノア」



    ミーナ「…………」





    ソフィ「………本当に、ありがと」



    ノア「気にすんな。ほら! 謎もわかったところで、もういい加減 いこーぜ?」



    ソフィ「うん!」



    ミーナ「──────」



    ノア「ミーナ、」



    ミーナ「え?」



    ノア「んないつまでもそんなシケた顔してんな!」



    ノア「お前には、一番笑顔が似合うんだからよ」


  27. 42 : : 2015/08/12(水) 17:55:14


    ミーナ「…………」



    ミーナ「……」ゴシゴシ



    ミーナ「……うん。ありがとうノア」



    ミーナ「いこっか! 今度こそ」



    ノア「おう!」ニッ





    ────その時、私は改めて思った。

    こんなふうに、ノアみたいに。




    私も『強く』なりたいって。


    こうやって救われて、元気にしてもらった分


    もっと………人を、助けられるようになりたいって……



    そう、思ったんだ。



  28. 47 : : 2015/08/12(水) 20:20:50




    ミーナ「んんよいしょっと!!」


    ミーナ「ふぅぅ~重たぁ」


    ノア「お前なんか荷物多くね?」


    ミーナ「え、そ、そうかな!?」ビクッ


    ミーナ「ん~~やっぱ私の多いのかなぁ…って……ん?」






    ミーナ「あぁ!! ねぇねぇ二人共! 窓、窓の向こう見て!」


    ノア「ああ? んだよ・・めんどくせぇな……って……あ゛」


    ソフィ「んしょ、なになに? どしたのって……ア゛!!?」


    ~外~


    [訓練兵団 訓練場]


    タッ・・!!
    タッ・・!!

    タッ・・・!!



    少女「はぁ……はぁ…っハッ!!」


    少女「はぁ……ぇふっ! ゲホッ! ゴホっ!!」


    キース「オイ貴様ァァァ!!! 何ペースを落としている!! もっと早く走れェェェッッ!!!!」



    少女「ひっ!! ハヒイイイィ!!! ゼェ…!」

  29. 48 : : 2015/08/12(水) 20:27:12


    ミーナ「─────」


    ノア「…………」


    ソフィ「…………」



    ミーナ「………あの子、まだ走らされてるッ!!」


    ノア「もうすぐ2時間経ってけど」


    ミーナ「に、2時間!!?」


    ソフィ「い、いくらあの時のことを咎めるにしたってやりすぎなんじゃ」

  30. 53 : : 2015/09/22(火) 00:36:34


    ソフィ「いったいアレ、何周走らされてるの!?」


    ノア「見当もつかねぇな」


    ノア「しっかしまぁ、色んな意味であんな奴初めて見たよ、ホント」


    ソフィ「そんなこと呑気に言ってる場合じゃないってば!」


    ミーナ「…………」



    ミーナ(………あの子、大丈夫なのかな)








    ―――事の次第は、約2時間前に遡る・・。



    ―――――――
    ―――――
    ――――
    ――



  31. 54 : : 2015/09/22(火) 00:42:56



    -2時間前-



    キース「……オ、イ…貴様……」


    ノア「…!?」


    少年たち『……!!?』ゾッ


    少女たち『……!?!』ゾワッ



    キース「…………オイ」



    キース「貴様は────何を、やっている?」



    ミーナ(…え ……何…?)


    黒髪の少年(…何だ……?)チラ




    104期訓練兵『!!!?』





    バクッ……!!


    ムグ ムグ………

    もぐもぐッ




    キース「──────────」



    ────ギリリ……パッ



    坊主の少年「が…ッ…はぁ……ッ……」



    ────ドシャァァァ!!!



    少女「…?」ムグ・・ムグ・・



    少女「(ガツッ…)」もぐもぐッ!



    キース「なッ!!?」



  32. 55 : : 2015/09/22(火) 00:54:17


    キース「貴様だッッッ!!!! 貴様に言っているんだ!!!!」ゴォォォ!!!!


    少女「!!!?」もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ!!!


    キース「貴様……ッ!! 何者なんだ貴様はッッ!!?」


    少女「(もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ!!!!!)」



    ゴックン!!!



    バッ!!!



    少女「“ウォール・ローゼ”南区、ダウパー村出身!!」


    少女「サシャ・ブラウスですッッ!!」タベカスポロ・・


    キース「──────」


    キース「………サシャ・ブラウス」


    キース「貴様が右手に持っている物は……何だ」


  33. 56 : : 2015/09/22(火) 01:05:59




    サシャ「『蒸かした芋』です!!!」ドヤ!





    ミーナ「──────」


    ミーナ(……え?)


    ミーナ(ふ、フカシタイモ?)


    黒髪の少年(は?)


    ノア(……)アゼン


    ソフィ「」ガクガクガクガクガクガク


    黒髪の少女「……zzz」


    アルミン(────あれ? 何かミカサ寝てるように見えるの気のせいかな?)





    サシャ「調理場にちょうど、頃合いのモノがあったので」


    サシャ「つい!!!」




    キース「」





    104期訓練兵(はぁぁぁぁ!!?)


    少年(あいつ絶対死んだ!!)


    少女(えーーーーーーーーー!!? 何それぇぇ!!!?)


    少年(あ! アレか、さっきの昼食のときに見かけたあの蒸かし芋のことか!!)



    キース「…………貴様、盗ん…だのか」


    キース「────何故だ…」


    キース「何故貴様は、今『芋』を食べだした……」


    サシャ「冷めてしまっては、元も子も無いので……今、食べるべきだと判断しました」




    ノア(あいつアタマ大丈夫か)


    ミーナ「」ハワワワワワ・・・・



  34. 57 : : 2015/09/22(火) 01:13:40


    ヒョォォォォオオオ・・・



    キース「…………」


    キース「────いや、わからないな」


    キース「何故…貴様は、『芋』を食べた…?」


    サシャ「?」


    サシャ「それは、『何故(なにゆえ)人は、『芋』を食べるのか?』という話でしょうか………?」






    ・・・ヒョォォォォオオオオオオオ






    全員『』




    キース「……………………………………」




    黒髪の少年(………何、言ってんだ、アイツは)ボーゼン


    ミーナ(ひぇぇええ教官の、顔がぁぁ)ガタガタガタガタガタ




  35. 58 : : 2015/09/22(火) 01:21:12


    ソフィ(神様ぁぁ………)チーン・・・



    ノア(…………)



    ノア(阿呆すぎて何も言えねぇ)ボーゼン・・・




    サシャ「!」


    キース「……!?」


    サシャ「…」


    サシャ「……………」


    サシャ「………………………………………」



    サシャ「チッ」



    ミーナ(ふぁッッ!!? 今、き、きき、教官に、舌打ちした!!?)



    スッ パカッ


    ズワァ……ッ…ホクホク・・・




    ミーナ「………」







    ミーナ(確かに美味しそう)ジュル


    ミーナ(ってはッ!!? そうじゃないそうじゃない!!!)ブンブン!!


    ミーナ(あ、あの子、芋、半ぶっこになんてして何やってんのぉぉ!!?)





  36. 59 : : 2015/09/22(火) 01:30:39


    キース「……!?」


    サシャ「───────」ホクホク・・


    サシャ「……半分、どうぞ」スッ・・


    ノア「」


    ソフィ「」


    ミーナ「」


    全員『』


    ノア(………)


    ノア(っていうか半分じゃねぇじゃねーかよアレ)



    ホクホク・・・  ←(4分の1程度の『芋』)



    キース「…………………」


    キース「……は、半分……………?」スッ



    ジャン「ブッ…………ッくくく」


    そばかすの少年「お、おい…よせっ…笑っちゃ駄目だってッ!」(小声)





    ……ヒョォォォォオオオオオオオ!!!






    キース「」


    キース「」チラッ


    サシャ「!」







    サシャ「(ニタァ)フーーッ……!」ドドヤァァ・・・・








  37. 60 : : 2015/09/22(火) 01:38:03



    キース「…………………………おい」


    サシャ「あ、はい」


    キース「走ってこい」


    サシャ「……は…?」




    キース「走ってこいと言ったのだッッッッ!!」


    キース「今すぐ!!!!」


    キース「死ぬまで走ってこいッッッッ!!!!」グシャァァ!!!


    サシャ「あ”ぁぁぁッッ!!!!!」


    キース「…………な─────」


    ノア(芋の心配!!?)



    キース「……ッいいから、走ってこい……! 今すぐだッッ!!!!」


    キース「そして」


    サシャ「!?」



    キース「貴様の今日の晩飯は」



    キース「抜きだッッッッッ!!!!」ゴォォォォォ!!!!




    サシャ「」




    サシャ「」



    _________
    _______
    _____
    ___
    _
  38. 61 : : 2015/09/22(火) 01:54:05



    ~現在~


    ノア「いやまぁ自業自得だろ。これに関してはさ」


    ソフィ「そ、そりゃ私だってびっくりはしたけどさ!」


    ソフィ「で、でも! さすがに水も飲ませもせずにあんなに走らせなんてしたら本当に死んじゃうでしょアレ!」


    ソフィ「ね!? ミーちゃんもそう思うでしょ!?」


    ミーナ「え!?」


    ミーナ「う、うん。さすがにひどいよ!」


    ミーナ「私、ちょっと行って水だけでも!!」


    ノア「オイ! ちょっと待て、お人好しも大概にしとけっつうの!」ガッ


    ミーナ「でも! ソフィの言うとおり、あのままじゃ……!」


    ノア「あいつにはな! 自分でやらかしたんだっつう自覚を持たせる必要があんだよ!」


    ノア「さっきも言っただろ。こればっかりはもう自業自得なんだって」


    二人「…………」


    ノア「ふぅ」



    ノア「それに…さすがにあのハゲでも……ガチで死ぬまで走らせたりなんてしないだろ」


    ソフィ(ん? ……あれ? 何かノアの教官に対しての態度、ちょっと和らいだような?)


    ミーナ「……そう、なのかな」


    ノア「そうなんだよ。お前がんな気に病むことじゃねぇ」


    ノア「ったく」


    ノア「お前らはもうちょい人の心配より、自分の心配をしろ」


    ノア「それにもうそろそろ行かねぇと、3時過ぎるだろ?」ヨイショット・・


    ソフィ「……あ」


    ソフィ「…………」


    ソフィ「…そうだよね、さすがにホントに死ぬまで走らせたりなんて…ないよね」


    ソフィ「…うん、わかった」


    ソフィ「……しょうがない」


    ソフィ「ミーちゃん、行こ?」


    ミーナ「………」


    ミーナ「…」チラッ


    ______
    _____
    ___
    _

    タッ タッ タッ・・・!!



    サシャ「はぁっ……!! っはぁ……!!」







    ミーナ「……」



    ミーナ「わかった…」

  39. 62 : : 2015/09/22(火) 02:14:35


    ソフィ「じゃあ私たちはこっちだね」


    ノア「はぁ、オイ……マジかよ」


    ノア「何で私とソフィは一緒の部屋で、ミーナだけこんな反対方向なんだよ…」


    ソフィ「仕方ないよ。私も同じこと思うけどさ」


    ミーナ「う~……」


    ミーナ「うぅぅ…どうしよう…私……ノアやソフィ以外の人と仲良くなれるかなぁ……」



    ソフィ「だ~いじょ~ぶ! そんな固くなんないの!」ポン!


    ソフィ「言ったでしょ」



    ソフィ「『これからは今までみたいにいつも一緒にいられるとは限られない』って」



    ミーナ「……」




    ソフィ「でも『私たちは何があっても一緒』!!」




    ソフィ「それはたとえ、何があっても変わらない!」


    ソフィ「でしょ? ノア!」



    ノア「んなもん、言うまでもねぇだろ」



    ノア「このミサンガがある限りずっと私らは一緒だしな」チャリ



    ミーナ「!」 



    ミーナ「………うん!」



    ミーナ「そう…だよね……!」


    ノア「イジられはするかもしんねぇけど…まぁ、自分なりにやってみろよ!」


    ノア「お前なら……大丈夫だからさ。な?」


    ソフィ「まぁあと、ミーちゃんは一度話し出すと止まんなくなっちゃうとこあるから気を付けてね?」


    ミーナ「二人とも………」


    ミーナ「────うん! わかった!!」



    ミーナ「私、頑張るよ。自分なりに頑張ってみる!」



    ノア「おう!」



    ソフィ「うん! 頑張ってね!」



  40. 63 : : 2015/09/22(火) 21:59:35

    ______
    ____
    __
    _

    トッ トッ


    トッ………


    ミーナ「………」


    ミーナ「え~と…ココ、だよね?」ガサガサ


    ミーナ「204号室……」


    ミーナ「………」



    ミーナ「─────────」



    ミーナ「────私、ホントにちゃんと同じ部屋の人と……やっていけるのかなぁ…」


    ミーナ「はぁぁ~」


    ミーナ「ううん! 頑張るって決めたんだから!」


    ミーナ「こんなんじゃダメダメ!」パンパンッ!!


    ミーナ「……ふぅ~~~ッ」


    ────ミーちゃんは一度話し出すと止まんなくなっちゃうとこあるから気を付けてね?


    ────イジられはするかもしんねぇけど…まぁ、自分なりにやってみろよ!



    ミーナ「…」


    ミーナ「よしッッ!!」


    ミーナ(ミーナ・カロライナ!! 行きま~す!!)




    ガチャ



    ギィィ……ッ



  41. 64 : : 2015/09/22(火) 22:20:56



    ミーナ「お、お邪魔しま~す!」ギィィィ・・


    少女「ん?」ガサガサ・・


    ミーナ「あ…」


    少女「あ」



    少女「えっと…もしかして、ここの部屋の人?」


    ミーナ「あ、う、うん! そう!」


    少女「(パァァ)よかった~!」


    少女「私、今から1時間ぐらい前から荷物入れ始めたんだけど」


    少女「これがまた、同じ部屋の人が全然! いなくってさ~!」


    少女「本当に寂しかったの~!」


    ミーナ「そ、そうなの!?」


    ミーナ「な、何か遅くなっちゃってごめんね?」


    少女「あぁ、あはは! いいよいいよ!」


    少女「そんな謝る事でもなんでもないでしょ!」クスクス


    ミーナ「そ、そう?」


    ミーナ(な、何だか明るいけど結構優しそうだな……よかった、仲良くなれそう!)



    少女「あ、そぉそぉ! まだ私、自分の名前言ってなかったよね!」


    少女「私、ハンナよ! ハンナ・ディアマントっていうの!」


    ハンナ「ハンナって呼んでくれればいいからね!」ニコッ


    ミーナ「あ、私はミーナ! ミーナ・カロライナ!」


    ハンナ「ミーナ! いい名前ね」


    ミーナ「ほ、ほんと? ありがとう…///」


    ハンナ「えっと、ミーナって名前で呼んでもいい?」


    ミーナ「全然いいよ! よろしくね、ハンナ!」ニコッ!


    ハンナ「こちらこそよろしくね、ミーナ!」


    ミーナ(やっったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 友達!! 友達できたよ私~~~~~~!!!! わ~~い!!)ガッツ!!!


    ハンナ「? どうしたの?」


    ミーナ「ア、ナ、ナンデモナイヨ」///


  42. 65 : : 2015/09/22(火) 22:37:18


    ミーナ「にしても……すんごい荷物の量だねこれ」ゴッチャァァァァ


    ミーナ(まぁ私も人の事はまったくもって1mmも言えないんだけど)ゴッチャゴッチャァァァァ・・・


    ハンナ「あはは……今来てない人……みんなコレ大丈夫なのかね」トオイメ・・・


    ミーナ「ははは……そうだね」トオイメ・・・


    ミーナ「こんなにいっぱい荷物あるけど、コレ6人部屋のこのペースに全部収まるのかな」


    ハンナ「さ………さぁ」


    ハンナ「え~と、なになに?あとここの部屋に来ることになってる人は」ガサガサ


    ――――――――――――――――――

    204号室 部屋名簿

    〈6人部屋〉


    ミカサ・アッカ―マン

    クリスタ・レンズ

    ユミル (苗字記載無し)

    ルース・D・クライン

    ハンナ・ディアマント

    ミーナ・カロライナ




    ――――――――――――――――――

    ハンナ「ん? このユミルって子、苗字書いてない?」


    ミーナ「? 書き忘れかな?」



    ミーナ「あれ? っていうかちょっと待って、そんな名簿みたいのあったの?」


    ハンナ「え、何言ってるのよ~ミーナ!」


    ハンナ「この名簿は訓練兵団から、入団一週間前に送られて来た封筒の中に一緒に入ってたじゃない!」


    ミーナ「え!? そなの!?」ズガン!


    ハンナ「……」




    コンコン


    ハンナ「ん?」


    ハンナ「あれ? あ、もしかして新しい部屋の人かな?」

  43. 66 : : 2015/09/22(火) 22:40:17
    ミーナめっちゃ可愛い///期待!
  44. 67 : : 2015/09/22(火) 22:53:16
    >>66
    期待ありがとう!もっと可愛くミーナ書けるよう
    頑張りますよw
  45. 68 : : 2015/09/23(水) 01:06:57


    ガチャ

    ギィィィ…ッ


    金髪の少女「し、失礼しまーす」スッ


    ハンナ「」


    ミーナ「」


    ミーナ(う…………わぁぁ…金髪の髪、流れるような金色……藍色の瞳…すっごい、綺麗……か、かわ……)


    ハンナ「かんんわいいいいいいいいい!!!」///ハナジブバッッ!!!!

    ガバァァァァッッ!!!

    ミーナ「ちょっハンナぁぁぁああ!!!!?」


    金髪の少女「きゃああああああああああ!!!?」


  46. 69 : : 2015/09/23(水) 01:15:40
    _____
    ___
    _


    ハンナ「」プシュゥゥーーッ


    ミーナ(ごめんハンナ、やりすぎた)


    金髪の少女「あ、あの、その子、大丈夫?」


    ミーナ「い、いやいやハンナよりも先に、あなたの方こそ大丈夫?!」


    金髪の少女「あ、私は大丈夫だよ! ごめんなさい、いきなり私が入ってきたからびっくりさせちゃったんだよね……?」☆彡キラキラ


    ミーナ「………………ッッぁ…………」



    ……………プッチン…ッ  ←理性が切れる音

  47. 70 : : 2015/09/23(水) 09:43:05


    ミーナ(バッッキュゥウウウウウウウンンッッッ!!!!♡♡)


    ミーナ(か…か…)


    ミーナ「かんんわィィィィィィィィィィィィィィいい!!!!!!」/////////

    ダキッッッ!!!!!!

    金髪の少女「ひゃぁぁぁああああああああああああああ!!??」


    ミーナ「やだやだやだやだやだ~~!! 超可愛いよあなた!!!」//////ムギュウウ


    金髪の少女「きゃゃあぁあああああああああああああああ!!!??」////


    ミーナ「私の持ってるお人形さんにもう超そっくりだよおおおおお!! ああああああああ可愛いいいい~~いいい!!!!」スリスリスリスリ


    ミーナ「ほぅらもっと舐めさせて!! もっと触らせてぇぇぇええええええええ!!!!!!」/////////


    金髪の少女「いいいいいいやああああああああアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!!」/////////




    ドゴッ!!!!



    ドシャァァァ
  48. 73 : : 2015/09/23(水) 16:31:02

    ミーナ「」


    金髪の少女「あ?! ご、ごめんなさい!! つ、つい…………だ、大丈夫!?」


    ハンナ「ぅう…いたた……ミーナ、強いって~……」


    金髪の少女「!」ビクゥ!


    ハンナ「あぁ、さっきはごめんなさい! あんまりにもあなたが可愛いからつい取り乱しちゃって……ね」テヘペロ


    金髪の少女「あはは…そ、そんな…私なんて」


    金髪の少女「あ、それよりもけがしてない? 大丈夫?」


    ハンナ(な、こんな可愛い上に自分の心配よりも人の心配をするなんて……! なんていい子なの!?)



    ハンナ(女神様? この子)


    金髪の少女「??」ゾッ


    金髪の少女(な、なんだろ? 何かこう………獲物を狙う狩人みたいな目に見られてるような気分がする)ブルブル




    ハンナ「いえいえ~私は大丈夫よ! 心配には及ばないわ!」


    金髪の少女「ほ、ホント? よかった」


    ハンナ「あ、そういえばまだあなたの名前聞いてなかったね!」


    ハンナ「私はハンナ・ディアマント! ハンナでいいよ!」


    ハンナ「で、こっちのノビてる方が……ちょっとミーナ! 何で私をはっ倒したあなたがノビてるのよ!」バシッ!


    ミーナ「はぅあ!?」パチッ!





    ミーナ「ご、ごめんなさい、さっきは」


    金髪の少女「あはは………大丈夫! 気にしてないから! それより、こっちこそ、さっきはごめんなさい」


    ミーナ「ううん、取り乱しちゃったの私だし。アハハハ」


    ハンナ「ちょっとミーナ、自己紹介しないと!」


    ミーナ「あ、ごめん。えっと、私はミーナっていうの! ミーナ・カロライナ!」


    ミーナ「ミーナって呼んでくれればいいからね!」ニコッ


    金髪の少女(笑顔────素敵な子だな)


    金髪の少女「じゃあ今度は私だね」


    金髪の少女「私はクリスタ・レンズです。クリスタって呼んでください!」


    ミーナ「クリスタっていうんだ! よろしくね!」


    ハンナ「宜しく~! 女神ちゃん」


    クリスタ「ふぇ!? め、女神!?」

  49. 77 : : 2015/09/27(日) 11:47:32



    ミーナ「えええ!!? うそッ、ハンナもう好きな人ができたの!?」


    ハンナ「もうって何よミーナ~!」


    ハンナ「だって……もうこれ、本当に運命としかいえないもの・・」///


    ハンナ「私が部屋に来る道中、あんの超重い荷物を抱えて廊下を歩いてて……もう重すぎて死ぬ~~!! ってなってたときに……」///


    ハンナ「あの人は颯爽と通りかかっただけの私を助けてくれたんだもの~~~!!!!」/////////


    ハンナ「『ねぇ君、大丈夫? よければ、ちょっと手を貸すよ』」


    ハンナ「────って!!! きゃぁ~~~~~~~!!!!!!」///


    ハンナ「もぉやだああぁぁ~~!!! 超カッコよかったんだから~~~!!」////// カァァァアア


    ミーナ「ちょ、ちょっと落ち着いたら?」


    クリスタ「ふふっ……よかったね、ハンナ!」


    ハンナ「それで、それでね! あの人に名前聞いたら……もぉ~~超爽やかに


    ――――『あぁ、僕の名前かい? 僕はフランツ・ケフカ。これから3年間、よろしくね』


    って!!」///



    ハンナ「もぉ~~~!! 超超かっこよかった~~!!! あれはダメ、もう惚れちゃうしかなかったのよぉ~~!!」///////


    ミーナ(うわぉ~こりゃ相当だわ)


    クリスタ「ハンナ、さっきからカッコイイしか言ってないね」クスクス


    ミーナ「よっぽどストライクだったんだね」フフフッ


    ハンナ「あぁ~あとで夕食のとき絶対もっといっぱい喋ろう~~! 楽しみぃ~~!!」///


    ミーナ「あはは………ってあれ? そういえば今何時」ゴソ・・パチッ


    私はふと、手持ち時計を見てみた。



    ミーナ「」


    クリスタ「? どうしたの?ミーナ」


    ミーナ「ね、ねぇねぇ……部屋ってさ」


    ミーナ「今日の8時の寮夕礼点呼のときまでにはある程度片付け終わってないといけないんだよね…」


    ハンナ「んん? それがどうしたのミーナ?」


    ミーナ「今…もうすぐ5時なんだけど……」


    ハンナ「」


    クリスタ「? あ、もうすぐ夕食の時間だよね?」



    ______________

    ~現在公開可能な情報~

    ・204号室の部屋の状況

    ハンナ⇒2割も片付けができていない。

    ミーナ⇒5割片付け完了

    クリスタ⇒ほぼ片付け終了

    残りの者⇒0

    なお…部屋の片付けは、午後8時30分までに完了している必要がある。


    _____________



    ミーナ「」


    ハンナ「」
  50. 78 : : 2015/09/27(日) 12:21:29


    ハンナ「やっばぁぁぁあああああいいいいい!!!!」


    ドンガラガッシャァァン!!

    バタバタッ


    ────やかましい音が部屋中にたちまち響く。



    ミーナ「ちょ、落ち着いてってばハンナぁぁ!! 私も手伝うから!!」


    クリスタ「そうだよ、大丈夫だよハンナ! まだ時間はあるから!」


    ハンナ「まだ2割も終わってないんだって私ぃぃぃいいい!!」



    ドンガラガッシャガッシャァァ!!!



    ─────コンコン



    ミーナ「え!? 今、こんなタイミングで!? だ、誰だろ?!」


    クリスタ「あ、私出てくるよ!」





    ガチャ

    …………ギィィ


    クリスタ「は~い」


    黒髪の少女「!」


    少女「あ、どうも!」


    クリスタ「あ………もしかして、この部屋の人?」


    少女「うん! もしかしてあなたも? 私、ルース・D・クラインっていうの!」


    ルース「えっと君は?」


    クリスタ「あ、私はクリスタ! クリスタ・レンズっていうの。よろしくね!」


    ルース「うん、よろしく~!」


    クリスタ「あ…この人は?」


    ルース「あ、さっき私も会ったばかりなんだけど喋り方が彼女ね、なかなか面白いの!」


    ルース「彼女の名前、ミカサ・アッカーマンっていうんだって! ねぇ~! ミカサ!」


    ミカサ「勝手に変な自己紹介をしないでほしい…ルース」


    クリスタ(なんだか雰囲気や髪型とか…ミーナに似てるかも……このルースって子)


    ミカサ「これから3年間、仲良くしてほしい。よろしく」


    クリスタ「あ、うん! よろしく、二人とも!」

  51. 80 : : 2015/09/27(日) 13:12:07



    ミーナ「ねぇねぇハンナ! これはどこに仕舞えばいいの?」


    ハンナ「え!? ああ、ぬいぐるみのうさちゃんはベッドのとこに置いてもらっていい? ミーナ!」ガサガサッッ!


    ミーナ「わかった!」



    ルース「…………うわぉ」


    ミカサ「─────……とてもグチャグチャしてる」



    クリスタ「あはは……。ご、ごめんね二人とも!」




  52. 92 : : 2015/10/26(月) 20:19:44


    ミーナ「あれ!? もしかして新しい人?!」


    ルース「そそ、ルース・D・クラインよ~! これから3年間よろしく!」


    ミーナ「あ、うん! 私はミーナ・カロライナ!よろしくね!」


    ルース「ほほ~、ミーナねぇ」


    ルース「普通に名前で呼んでもだいじょぶ~?」


    ミーナ「もちろんっ! 私もあなたのこと名前で呼んでもいい?」


    ルース「あったりまえじゃん! よろしくね~!!」フリフリ


    ミーナ「ふふ、うん…よろしく!」


    クリスタ「思ったんだけど、二人ってなんだかちょっと雰囲気似てるかも」クス


    ルース「え、そう?」


    ミーナ「あ、確かによく見たら、片っぽルースもお下げ髪よね!」


    ルース「あ、ホントだ~! 実は私たち生き別れの兄弟だったりしてね」


    ミーナ「そんなわけないでしょ!」


    クリスタ「あははは」




    ドンガラガッシャガッシャァァンン!!

    ガッサバッサ・・!!


    三人「!!?」


    ハンナ「きゃあーー!! もう片付けホントに終わんないよぉぉおお!!」


    ミーナ「……」


    ルース「あの子大丈夫? アレ」


    クリスタ「あ、あはは…分かんない」

  53. 93 : : 2015/10/26(月) 20:27:08



    ルース「ちょっちょ、あなただいじょーぶー?」ヒョコ


    ハンナ「! あれ、初めて見る人ね、私ハンナ・ディアマント!」


    ハンナ「これからよろしくね! あともし手空いてたらちょっと手貸して~~!」


    ルース「あははは! はいはい!手伝う手伝う!」


    ルース「ちなみに私の名前はミーナね! よろしく~ハンナ!」


    ハンナ「えぇ、よろし…………ん?」


    ミーナ「ちょっとそこ!! しょっぱなからウソつくんじゃないの! ミーナは私です!!」


    ルース「あながち間違ってないんじゃないw?」


    ミーナ「どー考えてもおかしいわよぉぉおお! さっそくネタに使うなぁああ!」


    ハンナ「で、誰なの?」

  54. 97 : : 2015/10/29(木) 11:42:39


    ミーナ「………あ、あれ!? あなた、もしかして」


    ミカサ「?」


    ミーナ「やっぱり! ほら、さっき会ったの、覚えてくれてる!?」


    ミカサ「……! あぁ…さっきの」


    ミーナ(わぁぁああ~!この子と私、同じ部屋になれちゃったんだ~!)///


    ミカサ「あの時はごめんなさい。ついよそ見をしてしまっていた」ペコ


    ミーナ「あ、ううん、全然気にしてないよ! 大丈夫! 私こそ周り見えてなかったし…ごめんなさい」テヘヘ・・


    ミーナ「な、なんだかすんごい偶然よね! まさか同じ部屋になれちゃうなんて!」


    ミカサ「確かに。…少しでも顔見知りの人がいると、私も安心」


    ミカサ「……そういえば、まだあなたの名前をちゃんと聞いていない」


    ミーナ「あ、そういえばそうね!」


    ミーナ「私、ミーナ! ミーナ・カロライナっていうの!」


    ミーナ「これから改めてよろしくね!」 ニコ!


    ミカサ「ミカサ・アッカーマン。これから3年間、仲良くしてくれると嬉しい」スッ・・


    ミーナ「もっちろん! ミカサって呼んでもいい?」スッ・・


    ミカサ「かまわない。これからよろしく」ニコッ・・


    ミーナ「うん! よろしくね!」


    ギュ!


  55. 98 : : 2015/10/29(木) 12:08:18



    コンコン

    カチャ・・・ギィィ・・・


    クリスタ「あれ? また誰か来たのかな?」


    ミカサ「……今は少し手が離せない。クリスタ、出てもらっても構わない?」


    クリスタ「うん、全然大丈夫だよ!」トッ・・トッ・・


    ミカサ「ハンナ、あなたは荷物が多すぎる」


    ハンナ「そんなこと言われても~~~!」


    ルース「やれやれ……終わんの、コレ?」





    クリスタ「は~い!」


    そばかす「!」


    そばかす(────こいつ、まさか)


    クリスタ「あ、え~と。……あなたもここの部屋の人、だよね?」


    そばかす「────────………」


    そばかす「あぁ、そうだよ」


    クリスタ「あ、じゃあ…もしかしてあなたの名前ってユミル……さんかな?」


    ギィィ…………バタン



    ユミル「……さんとかつけなくていい。気持ち悪ぃな」トッ・・トッ


    クリスタ「あ、ご、ごめんなさい! じゃ、じゃあなんて呼べばいい?」


    ユミル「普通に名前で呼んでくれていいよ」


    クリスタ「あ、じゃああなたのこと、ユミルって呼べばいい?」


    ユミル「あぁ」


    クリスタ「………」


    クリスタ(……何でだろう。何だか、すごくぎこちない感じした)


    ユミル「お邪魔するぜ~。…ってうわ。きたねぇ」
  56. 99 : : 2015/10/29(木) 12:28:45
    ――――――――
    ――――
    ――


    ーーーーカン カン カン カン カン・・・!!




    ミーナ「ん……? 今の鐘の音って……」パチ


    チッ・・チッ・・チッ・・


    ミーナ「あ、もう5時じゃん!!」


    ハンナ「えっ!? 嘘でしょ!?」


    ハンナ「────どうしようコレ。終わんないよ」


    ルース「………ま、まぁ! 帰ってきてから速攻でやれば8時過ぎまでには終わるって! 私もまだ終わってないから人の言えないけどね~…」


    ハンナ「うぅ……こんなんじゃ愛しのフランツ様とも楽しく喋れない…」トホホ・・


    ミカサ「ハンナ、私も後で手伝おう。ので、今は食堂に行くべきだと思う」


    ユミル「ったく……お前、何でこんな余計なもんばっか持ってきてんだよ」


    クリスタ「ま、まぁまぁ…! 大丈夫だよハンナ!私でよかったら後でまた手伝うから。ね?」


    ミーナ「もちろん私も手伝うからね、ハンナ!」


    ハンナ「ありがとう皆ぁ……」グスッ


    ミーナ「じゃあとりあえず皆で、食堂行こ?」


  57. 100 : : 2015/10/29(木) 12:54:43


    ~女子宿舎 廊下~


    トッ トッ トッ


    ルース「いやぁ今日も綺麗な夕日だね~!」


    ユミル「お前頭ん中、花畑なんじゃねぇのか?」


    ルース「むっ、失礼な。こう見えても私の頭はいろいろ考えてるんですぅ~!」


    ユミル「どーだかよ」


    クリスタ「ふふふ……何だか皆、今日会ったばかりだなんて思えないね!」


    ミーナ「あははっ、そうだね!」


    ミーナ「───…っ!」


    クリスタ「? どうしたの?ミーナ」


    ミーナ「ご、ごめん! 私ちょっとトイレ行ってくるね!」///


    クリスタ「え? う、うん。大丈夫?」


    ミーナ「け、結構やばいかも// /待たせちゃったら申し訳ないから、先行ってもらっていい?!」


    ハンナ「うん、わかった、先行ってるね!」


    ユミル「ガキかよお前」ハァ


    ミーナ「うう…ほ、ホントごめんね!」


    ユミル「ったくとっとと行って来いよな」


    ミーナ「うん! 本当ごめんね~~!!」


    タッ タッ タッ・・・!


    ―――――
    ―――



    ~女子宿舎 女子トイレ~


    カタン カタン……(ポンプを押す音)

    コポコポ・・・ッ

    (この世界の水は井戸から水を引いている為、水を使う際は
    ポンプを押す必要がある。)※イメージ⇒http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/1c/7e2429216db7ce131f2d1013b71cf453.jpg


    ジャァアア……


    ミーナ「ふぅ~っ……すっきりしたぁ」バシャバシャ


    ミーナ(うぅ。我ながら何か恥ずかしい)///


    ジャアアアァァァ・


    ポタポタ・・ ポタ・・・ ポタ・・・



    ミーナ「さて、と! 早く皆のとこ行かなきゃね」


    タッ・・タッ・・・!


    ―――――
    ―――



    タッ・・ タッ・・ タッ・・・!


    ミーナ「はぁ……はぁ……!」


    ミーナ「ん?」



    ザワザワ……



    ミーナ「あれ? 何、アレ……?」
  58. 101 : : 2015/10/30(金) 00:28:48


    ~宿舎前~



    ザワザワ・・・



    ミーナ(……?)


    ミーナ(え…? 何で)



    ザワザワ…………


    ・・・バシャ オソイネ・・・

    ・・ソウネ・・



    ミーナ(………どういう、事?)


    ミーナ(何で、まだこんなにいっぱい大荷物持ってる人が……ここにいるの……?)



    少女「ん~~ッ……重たッ……!」


    ミーナ「!」


    少女「ぅ…ううッ! …っあ!!」



    ドサァアア!! ボトトッ!!



    少女「あぁ!! ちょ……ウソでしょぉ~! せっかくまとめた荷物~~っっ……!」




    ミーナ「ッ!」


    ミーナ「あ……い、行かなきゃ! く、靴!靴!」



    タッ タッ タッ タッ タッ タッ!!



    ミーナ「あ、あの! 大丈夫!?」


    少女「……え?」
  59. 102 : : 2015/10/30(金) 00:58:57


    ミーナ「手、良かったら貸すよ? えっと、どうすればいい?」


    少女「……!」


    少女「あ、ありがと…助かるわ」


    少女「えっと、それはここに入れてもらえない?」


    ミーナ「うん! わかった!」

    ____
    ___
    _


    少女「────ありがとう」


    少女「本当に助かったわ、ごめんね」


    ミーナ「ううん! 全然大丈夫だよ!」


    ミーナ「ところで、聞いてもいい?」


    少女「えぇ、何を?」


    ミーナ「今、どうしてここに…あなたも含めてあんなに人がいるの?」


    少女「…! あぁ、そういうこと?」


    ミーナ「うん、そう」


    少女「─────……単純な理由よ」フゥ




    少女「開拓地に、戻るの」




    ミーナ「──────え?」



  60. 103 : : 2015/10/30(金) 01:12:52


    ミーナ「開……拓地に?」


    ミーナ「そんな……! どうして?!」


    ミーナ「ま、まだ1日目じゃない!」


    少女「考えてたのと違ったのよ」


    ミーナ「え?」


    少女「あの教官の通貨儀礼がもう、ここにいる人たちには無理だったんでしょうね。私も含めて」




    少女「…正直言っちゃうとね、私…親いないし、ずっと開拓地で暮らしてたから」




    少女「いきなり、『人類の為に心臓を捧げろ』『命の限り戦え』……そんなこと言われても」




    少女「────できるわけないもの」




    少女「そんな覚悟を持って……」




    少女「ここに来たわけじゃないから」




    ミーナ「………」


    ミーナ「…………っ」


    少女「………それは、開拓地にいた頃からの友達も一緒みたいでね」


    少女「だから、それもあって」


    少女「開拓地に戻る事を志願したってわけなの」


    ミーナ「………………」


    ミーナ「……そ、っか……」


  61. 104 : : 2015/10/30(金) 01:22:07


    少女「……あなたは、残るの?」


    ミーナ「え…」


    少女「ふふ………ここよ。『訓練兵団』に」


    少女「あなたは────残るの?」


    ミーナ「…………うん。残るよ。友達がいるもの」


    少女「────怖くないの?」


    少女「────戦わなきゃ、いけないのよ?」




    少女「奴ら………『巨人』と」


    少女「知らないわけじゃないでしょ? その怖さを」




    ミーナ「─────……ッ」


    少女「それ以前に、ここでのとてつもなく厳しい訓練の過程で命を落とすことだって、全然有り得る話なのよ?」


    ミーナ「え……」


    少女「当たり前じゃない! 『巨人』に唯一対抗できる立体機動装置は─────すごく扱いが難しいのよ!?」


    ミーナ「そ、そうな……の?」


    少女「珍しいわね。その事を知らないなんて。………だから、普通では考えられないようなとても過酷な訓練をしなければいけないの」




    少女「────私には、そんな“覚悟”なんて無いわ」






  62. 105 : : 2015/10/30(金) 01:27:19


    少女「だから、開拓地に戻るの」


    ミーナ「………⊥」


    少女「戦えないから───」


    少女「もっと言えば」


    少女「────死にたく、ないから」


    少女「あなたはどうなの?」




    ミーナ「………………………」




    ミーナ「……私、私は…」


    少女「…!」


    少女「ごめんなさい……こんな暗い話しちゃって」


    ミーナ「あ、ううん……! 大丈夫…」


    少女「……」


    ミーナ「……」


  63. 106 : : 2015/10/30(金) 01:44:15


    少女「────なんて」


    少女「こんなの、言い訳よね」


    ミーナ「え?」


    少女「単純にね? 『私には、こんなこと無理』……そう言って逃げるのに、必要な言い訳を考えてるだけだわ。こんなの」


    ミーナ「そんな……」


    ミーナ「そんなこと……!」


    少女「いいの。自分でも、分かってるから」


    ミーナ「…………!」


    ミーナ「………」


    ガラガラガラガラ・・・・・



    少女「!」


    ミーナ「! 荷馬車…」


    少女「………迎え、来ちゃったみたい」


    ミーナ「…そっか」


    ミーナ「────……これでお別れ?」


    少女「………そうね。お別れだわ」





    少女「─────ありがとう」


    ミーナ「え?」


    少女「さっき、助けてくれたじゃない?」


    少女「嬉しかったわ。すっごく」


    ミーナ「………うん」


    少女「それにね?」





    少女「────さっきの話」


    少女「絶対に否定されるって思った」





    ミーナ「────え」




    少女「あんなの…今日、開拓地に行かないでここに踏み留まる人にとっては」


    少女「どう考えても逃げてる『臆病者』にしか見えない筈だもの」





    少女「でも…あなたは。あなただけは聞いてくれた」


    ミーナ「!!」





    少女「こんな…弱い人間でしかない『臆病者』の私達(・・)を」





    少女「『否定』しないで────聞いてくれた」


    少女「そのことが、とても嬉しかった」






    少女「だから────ありがとう」









  64. 107 : : 2015/10/30(金) 01:49:24



    少女「────あなたとは、ちゃんと友達になりたかったわ」



    ミーナ「!」



    ミーナ「ッ! な、なれるよ!!」


    ミーナ「今からだって!!」


    少女「……!! ……あなた…」



    ミーナ「……っ、わ、私こそ、ありがとう!」



    少女「!!」



    少女「(くすっ)」



    少女「どうしてあなたがお礼を言うの?」



    ミーナ「え、あはは」



    ミーナ「何でだろ、わからない…」



    ミーナ「…でも、……私も嬉しかったからかな」



    少女「!」



    少女「────本当に、優しいのね。あなた」ニコッ・・



    ミーナ「…ぅ……て、照れるなぁ」///



    少女「ふふふ!」



    ミーナ「あははは!」


  65. 108 : : 2015/10/30(金) 01:55:15



    ガラガラガラ…

    ヒヒィイーーーン・・・


    運転者「よし…開拓地に戻る者は荷を積みなさい───」




    少女「……………行かなきゃ」


    少女「それじゃあね」


    ミーナ「……うん」






    少女「─────あなたは」


    ミーナ「……え?」



    少女「生き残ってね。必ず」






    ミーナ「…!」






    ミーナ「─────うん…! 約束、する」



    ミーナ「ありがとう……!」



    ミーナ「─────さよなら」







    少女「……」



    少女「(にこっ)」






    少女「あなたに出会えて、よかった」



    少女「ありがとう」






    少女「───────さよなら」







  66. 109 : : 2015/10/30(金) 12:05:33
    ______
    ____
    _



    ガラガラガラガラ・・・

    ガタン・・・! ガタガタ



    少女「…………」


    少年「どうした? 考え事か?」


    少女「え?」


    少女「あぁ、違うわ。思い出してたの」


    少女「…さっきね? 話を───聞いてくれた子がいたのよ」


    少年「話? …どんな?」


    少女「別に────そんな大した話でも、なんでもないわ」


    少女「そうね、あえて言うなら」



    ヒョオオオオオオ・・・・・・

    ザァアアアアア・・・



    ガラガラガラガラガラ




    少女「……………ただの、弱音。言い訳みたいな弱音で、本音、なのよね。きっと」


    少女「『戦う』道を捨てて逃げ出した『弱い人間』の吐く言い訳」


    少年「………………うん」


    少女「もちろん、皆が皆そうと言うつもりはないわ」


    少女「でも、少なくとも。私はそうだから」


    少女「────でも。そんな私の言い訳を…何も否定せずに聞いてくれた子がいたの」


    少年「へぇ……そうなのか」


    少年「そいつ、相当いい奴だな」


    少女「……ええ。本当に、優しい子だった」


    少女「初対面で、会ったばかりだって言うのに…すぐに、それがわかった」


    少女「─────あの子に、ただ、聴いてもらえた」


    少女「……そのおかげで、どんなに救われたか。分からない」


    少年「………」




    少女「………少し、後悔した」


    少年「『訓練兵団』から脱落したことをか?」


    少女「……ええ」





    少女「もっと早く、あの子に会っていたなら…考えも変わっていたかもしれない」



    少女「友達に────なれていたかもしれない」



    ガラガラガラガラ・・・


    ヒョォォォオオオオオ・・・





    少女「……っ、……寒ッ」


    少年「おっと、悪ぃ。閉めるか?」


    少女「いい。開けておいて……くれる?」


    少年「寒いんじゃないのか…?」


    少女「………」


    少女「…もう少し、風を浴びてたいの」


    少年「……ん。わかった」


    少年「ただ、ほかにも乗ってる奴いるから…言われたときは閉めるからな」


    少女「ええ、その時はお願い」



    ザァァアアアアア・・・



    少女「………………」



    ────「私こそ、ありがとう!」



    少女「………………っ、」グスッ








    少女「……名前………聞いておけばよかった」









  67. 110 : : 2015/10/30(金) 12:19:20

    _____
    ___
    _


    ~宿舎前~



    ミーナ「……」


    ミーナ「…行っちゃったな」


    ミーナ「…………………」




    ─────……何にも、力になってあげられなかった。

    何にも、できなかった。ただ、話を聞くことしか……



    だって────私は、そんなこと考えたこともなかった。



    ここに……『訓練兵団』に志願することの本当の意味。

    『巨人』と戦わなければならないという、“覚悟”。



    そう、考えてもいなかった。

    私は……何も意味も持たないまま、何の理由も持たないままに。



    ここへ……来てしまったんだ。

    ただ、世論に流されるがままに。




    ミーナ「………………」






  68. 111 : : 2015/10/30(金) 12:30:16


    ミーナ(なのに)


    ミーナ(……あの子は…こんな私の事)




    ─────「あなたに出会えて、よかったわ」


    ─────「ありがとう」




    ミーナ(あんなふうに言ってくれた)


    ミーナ(……うれしかった。初めてだった気がする)


    ミーナ(初対面の人に、あそこまで喜んでもらえたの)






    ミーナ「─────ちゃんと友達に、なりたかったな…………」






    ミーナ「名前、聞いておくんだった………」










  69. 112 : : 2015/10/30(金) 13:02:51

    _______
    _____
    ___
    _

    タッ・・・  タッ・・・ タッ・・・


    ミーナ「い、いけない! 私、遅れちゃってたんだったぁあ!!」




    ~食堂前~



    ミーナ「ふぅ」


    ミーナ「あ、よ…よかった…まだ人いた~!」


    トッ・・・ トッ・・・


    ミーナ(さて、ハンナたちもうきっと食べてるよね! 早く行かないと!)


    坊主の少年「おい、あの芋女……まだ走らされてんぞ」


    ミーナ(……え?)


    黒髪の少年「…すごいな…5時間ぶっ通しか」


    ミーナ(は!? え、ちょ…うそでしょ…?)


    ミーナ(まだ走らされてんの!? あの子!!)


    黒髪の少年「でも、あいつ、「死ぬ寸前まで走れ」と言われたときより……」


    黒髪の少年「『今日の晩飯抜き』って言われたときの顔のほうが悲愴な顔したよな」


    ミーナ(……まぁ確かに)


    坊主の少年「……ダウパー村って、確か山奥にある少人数の狩猟民族が住んでるっていう村の事だよな」


    坊主の少年「まだ、そんな村があったなんてな」


    黒髪の少年「! なぁ、アレは?」


    ミーナ「…?」


    ミーナ「……!」


    ガラガラガラガラ・・・

    ガタン・・・!


    ミーナ(あれは……!)




    ミーナ「……」




    ミーナ「開拓地への移動を、願った人たちよ」




    坊主の少年「ん?」


    アルミン「え?」


    坊主の少年「つまり、脱落者ってやつか?」


    ミーナ「………………そうね」


    アルミン「そんな……! まだ、初日なのに?」


    そばかすの少年「……」




    黒髪の少年「仕方ないさ」


    3人「…え?」




    黒髪の少年「『力のない弱い奴』は去るしかない」




    ミーナ(……─────え?)


    黒髪の少年「また石拾いや草むしりをやりたいなんてな」


    ミーナ(……………………………)

  70. 113 : : 2015/10/30(金) 13:20:59


    ミーナ(『弱い奴』?)


    ミーナ(『弱い奴』は、去るしかない?)


    ミーナ(…じゃあ、この人は……あの子も)


    ミーナ(あの子のことだって、平気で『弱い奴』って言い放つの?)


    ミーナ(─────あんな……あんな風に思いつめてた子を?)





    ─────「どう考えても、『臆病者』にしか見えない筈だもの」

    ─────「でも─────あなたは、聞いてくれた」




    ─────「だから……ありがとう」




    ミーナ「………ッ!」


    ミーナ「ねぇ、待って。今の、どういう意味?」


    黒髪の少年「…? 何だよ」


    アルミン「?」


    ミーナ「あなたは……あの馬車に乗ってる人たちがどういう気持ちであそこにいるのか。そういうこと考えて言ってるの?」


    黒髪の少年「は?」


    ミーナ「あの人たちが……!! いったいどんな風に考えながら、脱落者って言われても……」


    ミーナ「それでもなおここを去っていってるのか……少しでも考えて、そういうこと言ってるのって聞いてるのッッ!!」


    ミーナ「どうしてあなたは……そんな人達の気持ちを考えもせずに『弱い奴』だなんて平気で言えるのよ!?」


  71. 114 : : 2015/10/30(金) 13:56:40


    黒髪の少年「な、何だよ……お前?!」


    そばかすの少年「ま……まぁまぁ!! 落ち着いて! ね?」


    ミーナ「!」


    そばかすの少年「そ、そういえば! 君は出身とか聞かれなかったけど……どこの出身なんだい?」


    黒髪の少年「……あ、あぁ」


    黒髪の少年「オレはこいつと同じ、シガンシナ区だ」


    アルミン「(ポン…)」コク


    3人「!!」


    ミーナ(……え? シガン、シナ区?)


    ミーナ(シガンシナ区って……………!)






    ─────2年前。


    845年、突如としてシガンシナ区に出現して・・そのまま壁を破壊した『超大型巨人』。


    “ウォール・マリア”の開閉扉を破壊し、3分の一もの領土を棄てなきゃいけない要因になった『鎧の巨人』。



    その2体の巨人のせいで、多くの巨人たちが“ウォール・マリア”に侵入して・・その結果、その日だけで、大勢の人が亡くなった。




    死傷者は1万人・・

    シガンシナ区は、未曾有の大災害の地になった。


    あの日、私はそれを当時トロスト区駐屯兵だったお父さんから……そのことを聞かされた。


    あれから2年が経った今でも…よく覚えてる。






    ミーナ(……そう……なんだ)


    そばかすの少年「そ、そうだったか……それは……」
  72. 118 : : 2015/12/23(水) 02:11:00


    坊主の少年「ん? ってことはよ?」




    坊主の少年「『その日』もいたよな?」


    そばかすの少年「お、おい!」


    ミーナ「!! ちょ、ちょっと!」


    坊主の少年「見たことあるのか!?『超大型巨人』」


    黒髪の少年「……!!」


    アルミン「!」



    そばかすの少年「お、おい! よせって!」


    ミーナ「そーだよ、やめなよ!」


    坊主の少年「何でだよ? お前らは気にならねぇのかよ?」


    ミーナ「そ、そういう問題じゃないでしょ?!」


    坊主の少年「なぁ! 見たことあるんだろ!? 詳しく聞かせてくれよ!」


    黒髪の少年「……………あ、あぁ」


    ミーナ「……」


    ミーナ(どう考えても乗り気じゃないでしょこの顔)



    坊主の少年「皆にも教えねぇと! とりあえず、中来てくれよ! 話はそこでしようぜ!」


    黒髪の少年「わかった、わかったから押すなよ」



    トッ・・トッ・・トッ・・・トッ・・・・



    ミーナ「………………」




  73. 119 : : 2015/12/23(水) 02:16:03


    そばかすの少年「い、行っちゃったね」


    アルミン「う、うん……」


    そばかすの少年「…すまない、シガンシナ区での話なんて…やっぱり、あんまりしたくないよね?」


    アルミン「あ……いや、僕は別に構わないんだ」


    アルミン「ただ…エレンの場合」




    アルミン「お母さんを……『巨人』のせいで亡くしてるから」




    ミーナ「──────────え?」ドクン





    ミーナ「……………そう、なの?」


    アルミン「うん…そうなんだ」


    そばかすの少年「……そうか。それは、つらかった……よね……」

  74. 120 : : 2015/12/24(木) 00:29:02


    アルミン「その、さっきは何か……気に障ったんだよね?」


    ミーナ「え、……あ」


    アルミン「……ごめんね」


    ミーナ「え、どうしてあなたが謝るの? 悪いのはあいつじゃない!」


    アルミン「エレンも悪気があって言ったんじゃないと思うんだ」


    アルミン「あれはきっと」




    アルミン「自分への忌ましめを……込めてるんだと、僕は思う」




    ミーナ「……え?」


    アルミン「さっきも言ったけど、エレンは」


    アルミン「お母さんを巨人に喰われた時、自分の事を──────




    『人間が、オレが……オレらが『弱い』から、なすすべもなく…大切なものを、奴らに奪われるんだ』




    ─────って……責めていたから」




    そばかすの少年「………」


    ミーナ「……………」

  75. 121 : : 2015/12/24(木) 00:40:26


    ミーナ「…」


    ミーナ(じゃあ…)


    ミーナ(あの子は)


    ミーナ(いったい、どれだけ)





    『大切なもの』を 奪われ続けてきたんだろう?


    きっとそれは──────私なんかには、わかるものなんかじゃない、のかな…………………






    ミーナ「……」


    アルミン「…ごめん。会ったばかりなのに、こんな暗い話をしてしまって」


    そばかすの少年「いや、そんな! むしろ、謝るのはこっちの方さ!」


    そばかすの少年「すまない…そんな、つらいことがあったって言うのに」


    アルミン「ううん、いいんだ。ただエレンは悪い人なんかじゃないってことを…ただ分かってほしかっただけだからさ」


    ミーナ「─────その」


    ミーナ「二人とも…さっきはごめんなさい」


    二人「!」


    ミーナ「さっきは、そのいきなり怒っちゃったから…」


    ミーナ「あ、そういえばまだちゃんと二人の名前……聞いてないよね?」


    そばかすの少年「! あ、あぁ…そうだね! 自己紹介が遅くなってすまない」


    マルコ「僕は、マルコ。マルコ・ボット!」


    マルコ「“ウォール・ローゼ” 南区の、ジナエ町っていう田舎町の出身なんだ」


    マルコ「僕の事は、マルコって気軽に呼んでくれると嬉しいな」


    アルミン「! あ! そういえば、君もあの通過儀礼の時にも名前を呼ばれてたんだったね!」

  76. 122 : : 2016/01/03(日) 00:59:43


    マルコ「あぁ、そうか! そういえば、君も前の方の列で名前を呼ばれてたよね!」


    マルコ「確か君は、アルミン……アルミン・アルレルト、だったかな?」


    アルミン「すごいね! あの時だけで僕の名前を覚えてくれたんだ!?」


    ミーナ「あ、あなたの名前…アルミンっていうの?」


    アルミン「うん、大当たりさ!」


    アルミン「さっきエレンも言ってたけど、僕もシガンシナ区出身なんだ」


    マルコ「そのさっきの子は、エレンが名前なのかい?」


    アルミン「うん、そう」



    アルミン「エレン……『エレン・イェーガー』」



    ミーナ「!」


    ミーナ(さっきのあいつ……エレンっていうんだ)


    マルコ「二人とも同じ地区出身で…一緒に志願したってことは、やっぱり二人は仲がいいのかな?」


    アルミン「うん! そうだね、もうかれこれ4年くらいの付き合いになるよ」





    アルミン「エレンは、僕の一番最初の友達で」


    アルミン「────大事な親友の、一人なんだ」





    ミーナ「!」


    ミーナ(私でいう、ソフィアやノアみたいな感じ…なのかな、きっと…)


    アルミン「これから3年間の長い付き合いになるね」


    マルコ「あぁ、そうだね。これからよろしく、アルミン!」


    アルミン「うん、よろしく!」ニコ


    アルミン「! あ、そういえば」チラ


    ミーナ「!」

  77. 123 : : 2016/01/03(日) 01:13:48


    ミーナ「あ、私はミーナ! ミーナ・カロライナよ!」


    アルミン「ミーナかぁ。名前で呼んでもいいのかな?」


    ミーナ「もちろん! これからよろしく、アルミン」スッ


    アルミン「うん! 3年間一緒に頑張ろう!」スッ・・ギュ!




    ミーナ「……」


    アルミン「ん? どうかしたの?」


    ミーナ「その、アルミン…さっきも言ったけど、ごめんね?」


    アルミン「え、き、急にどうしたのさ?」


    マルコ「?」


    ミーナ「いくら私がカチンってきちゃったからっていっても」


    ミーナ「アルミンの大事な友達に、ひどいこと言っちゃった事には変わりないはずから」


    ミーナ「……正直、でもまだ許せずにはいるの。そこは…どうしたらいいのかって感じで」


    アルミン「! ミーナ……」


    アルミン「………うん。まぁでも、僕としては…エレンの事は悪く思わないで欲しいぐらいだから」


    アルミン「だから、そんな僕に対してまではわざわざ謝ってくれなくても大丈夫」


    アルミン「……でもね。エレンは昔から僕ともう一人の子以外友達が居ないみたいでさ。あまり何も考えずに発言しちゃう時もあるんだ」


    アルミン「……ミーナにもミーナなりの理由があるから、いきなりは難しいかもしれないけど」


    アルミン「……それでもまずは、エレンの事を知ってみてくれると、親友の僕としては嬉しいな」


    ミーナ「…アルミン」


    アルミン「(ニコッ)」


    ミーナ「…分かった。努力してみる。アルミン、ごめんね」


    ミーナ「ありがとう」


    アルミン「うん!」

  78. 124 : : 2016/01/03(日) 01:23:39


    ミーナ「あ、えっと…あなたのことは、私もマルコって呼んでいい?」


    マルコ「え? あぁ、僕かい?」


    マルコ「もちろん! むしろ、親しげに呼びやすい風に呼んでくれれば構わないよ!」


    マルコ「君は、ミーナ…だよね? これから、よろしく!」


    ミーナ「うん! よろしく、マルコ!」


    ミーナ「マルコもさっきはごめん。その、エレンに私がちょっと怒ったとき、なだめてくれたから」


    ミーナ「だいぶ助かった、ありがとう」


    マルコ「あぁ、いいよいいよ全然! 出会ったばかりで喧嘩なんてしちゃったら勿体無いだろう?」


    マルコ(わざわざ謝るなんて、とても丁寧だな……)


    マルコ「────これから3年間、同じ屋根の下で暮らすわけなんだし、せっかくだから仲良くしていこう! ね?」


    ミーナ(…すごい、気遣い上手だなぁ、マルコって)


    ミーナ(…二人共、優しいし。こんな感じなら…これからももっと仲良くなれるよね、きっと!)

  79. 125 : : 2016/01/03(日) 01:27:50


    マルコ「…! あ!まずい!!」


    マルコ「食事時間、もうあと20分もない! 二人共、そろそろ行こう!」ダッ!!


    二人「!!」


    アルミン「し、しまった! そうだね、行こう!」ダッ!!


    ミーナ「や、やば!! うん、そうね!」ダッ!!ダッ!!

  80. 126 : : 2016/01/03(日) 01:51:44



    ~食堂~


    ガヤガヤ ザワザワ・・・

    ザワザワ・・・


    食堂料理婆「はい、お盆とパン、コーンスープだよ」


    食堂料理婆「ど~ぞ! やけに遅いね、君たち」スッ


    マルコ「す、すいません…ちょっと夢中で話し込んじゃって…ありがとうございます」スッ・・・コトッ


    アルミン「あはは…すみません、ありがとうございます」コト

    ミーナ(やっば!! もぉ~~!! せっかくクリスタ達と食べる約束してたのに、つい立ち話しちゃったぁ~~!!)


    ミーナ(どぉしよう…大丈夫かなぁ)


    食堂料理婆「ふふふ、お下げのお嬢ちゃん。前見ないと危ないよ?」スッ


    ミーナ「あ、す、すいません……/// ありがとうございます!(ニコッ)」コト・・




    マルコ「ずいぶん遅くなっちゃったね…もうほとんど皆食べ終わってるみたいだ」


    アルミン「そうだね…皆、ほとんど会話に夢中だね」


    アルミン「あ、どうしよう。エレンとミカサ……どこにいるかな…?」


    マルコ「うーん、アルミン」


    マルコ「皆の話が弾んでる所に行って食べるのもあれだし…よかったら一緒にどうかな?」


    アルミン「え? いいの? ありがとう、マルコ!」


    ミーナ(あ…私、どうしようかな…)トッ トッ・・・


    マルコ「ミーナ、よかったら君も一緒にどう?」


    ミーナ「あ…」


    ミーナ「ん~~…」


    ミーナ(でも…やっぱり行くだけ行ったほうがいいよね…ちゃんと謝らなくっちゃ!)


    ミーナ「ごめんね、マルコ? 私、実は同じ部屋の子と食べる約束したままなの」


    ミーナ「きっと、もうずっと待たせちゃってるから、行かなきゃ!」


    マルコ「あ、そっか…うん、そういうことなら全然構わないさ!」


    マルコ「それに…むしろそれだったら、行ってあげたほうがいいと思うよ」


    ミーナ「うん、そうする。ごめんね、ありがと! マルコ」


    マルコ「うん!」


    アルミン「もう時間もないし、急いだほうがいいよミーナ」


    ミーナ「わかった! アルミンもありがと!」

  81. 127 : : 2016/01/03(日) 02:01:38





    ザワザワ・・・


    ノア「…ん?」


    ソフィ「? どうしたの?ノア」


    ノア「いや、ミーナがあんなとこでウロチョロしてるから気になってさ」


    ソフィ「え? ミーちゃんが? ウロチョロしてるって…何で?」


    ソフィ「ミーちゃんのことだし、同じ部屋の子と一緒にもう食べてるでしょ……ってあれ?! いた!?」


    ノア「…なにしてんだ? あいつ」


    ノア「おい! ミーナ!」







    ミーナ「? あれ?誰か私のこと呼んだ?」トッ・・トッ・・・


    ミーナ「? 気のせい?」キョロキョロ





    ソフィ「…聞こえてないね」


    ノア「……ったく!!」


    ノア「おい!! ミーナ、こっちだって!」


    ソフィ「ミーちゃん! こっちこっち!」






    ミーナ「! あ、ノア! ソフィ!」



  82. 135 : : 2016/06/26(日) 11:54:48

    ザワザワ……



    ミーナ「やっほ、二人とも!」にこっ


    ノア「おう、…何してたんだよ?お前」


    ソフィ「ずいぶん遅かったよね?」


    ミーナ「あぁ…まぁ、ちょっといろいろあってね…アハハ」


    ノア「……」


    ノア「…ふーん、そうかよ…っておい、お前 同じ部屋のやつは?」


    ミーナ「え? あぁ、そうそう!私も今探してるとこなんだけどね? …人多くてわかんないっていう。」


    ノア「ハァ… お前はホンット、昔からマイペースなとこ変わんねぇよな」


    ソフィ「ふふふ、ほんとにね!」ニコッ


    ミーナ「うう… か、返す言葉がねぇっす…」


    ノア「ってか何だよ、お前今から飯食うのかよ? …もう食堂閉まるぞ?」


    ミーナ「え?! ホント!?や、やばいやばいどーしよう!!」


    ソフィ「同じ部屋の子とはまた後で話したらどう? 今日は一緒に食べよーよ!」


    ミーナ「え?いいの!? あ、でももう二人とも食べ終わってるんじゃ…」


    ノア「んなんいいからとっとと食うなら座れ!」


    ミーナ(たぶんもうハンナたち食べ終わっちゃってるよね…? いいかなぁ…ノアの言う通り部屋に行ってから謝ろうかな……)


    ミーナ「うん…分かった、そうする。ありがと! 二人とも!」ヨイショット コトッ…





  83. 136 : : 2016/06/26(日) 12:20:21

    ザワザワザワ……!


    『……! …!?』





    ムシッ… ハムッ、モグモグ……


    ミーナ((ゴクン) ……お母さんのパンよりなんか、固い…)


    ミーナ(いやいや、兵士として食べさせてもらってる身なのに贅沢はだめよね…!! 早く食べよ)ハッムッ… 


    ソフィ「ふふっ、そんなあせらなくていーよ?ミーちゃん」


    ミーナ「らって二人またへるの悪いひ! はわく食べるうぉ!」


    ノア「口ん中モノ入れながら喋るなよ…」


    ミーナ「(ゴクン) あ、ごめん…」




    オイ、ホントナノカ!?

    ゼヒ キカセテ クレヨ!!


    『…!! …!』ざわざわ…



    ソフィ「…!」


    ソフィ「なんだろ… 向こう、なんかやけに騒がしいね」


    ノア「ん?」


    ミーナ「(むぐむぐ)??」タベカス ポロッ・・・


    ノア「…食べかす落ちてんぞおめぇ」

  84. 137 : : 2016/06/26(日) 13:28:12


    ザワザワ……


    【数分前】



    ハンナ「………遅い」


    クリスタ「ど、どうしたんだろうね…? 大丈夫かな…」


    ユミル「あぁ? ああ…あのお下げのことか…」


    ユミル「何かどこぞのどいつかとしゃべってんじゃねぇの~? そーでもしないと、こんな遅くねぇだろ。」


    ハンナ「も~、もう先帰っちゃう??」


    ルース「んー。…もしユミルが今言ったとおりなら、待っててあげたほーがいい気はするけどね~…」


    クリスタ(……!)


    クリスタ(そういえば… 走らされることになっちゃってたあの子……サシャ、だったかな?)


    クリスタ「……」


    クリスタ(……きっと飲まず食わずだよね。今も食堂で見かけてないし…)


    ルース「! あれ?クリスタ、パン食べないの?」


    クリスタ「え? あ…あぁ、うん!ちょっとおなかすいてなくて」


    ハンナ「小柄な金髪で目、超くっりくりってだけでもう反則なのにおまけに小食!??」


    ハンナ「も~~~~~~なにそれぇぇ…私にちょっとは譲ってよ~~~私ももうちょい可愛くなりたいもん~~~」


    ハンナ「あぁ~~~ あとで絶対にフランツ様に会わなきゃ~~~! でも私ぶさいくだしぃぃ…」


    クリスタ「あ、あははは…そんなことないよ、ハンナも可愛いよ?」


    ミカサ「そう、そんな気にすることではないと思う」


    ルース「はいはい、わかったわかった可愛い可愛い。」


    ハンナ「ありがとぉぉおクリスタもミカサも!! そんなこと言ってくれんのクリスタだけだよほんとに!!」涙ドバッ


    ハンナ「……ねぇちょっと、ルース、私の扱い雑じゃない?」


    ルース「ん? そぉ??」にやにや


    ユミル「うるっせぇなお前ら…」


    ユミル「……!」


    クリスタ「(ごそごそ)………」


    ユミル(……なにしてんだ?コイツ)





    『おい! “超大型巨人” を見たことあるやつがいんだってよ!』

    『はぁ!? え、じゃあアレか!?シガンシナのやつってことか!?』



    ハンナ「…! え、シガンシナ区?」ガタッ


    ルース「…なんだろうね? なんか向こう盛り上がってるや」



    『わかんねぇよ、とにかく聞いてみようぜ!」



    ハンナ「……ごめん、私ちょっと向こう行ってくる!」ガタッ


    ミカサ「? ハンナ…?」


    ミカサ「…! エレン…?」

  85. 138 : : 2016/06/26(日) 13:43:26
    _____
    ____
    ___
    __
    _





    ザワザワ……



    「なぁ、詳しく聞かせてくれよ、お前シガンシナのやつなんだろ?」


    エレン「―――――な…何なんだよ、お前ら…」カタッ


    エレン「オイ… コニー、お前どんだけ人集めてきてんだよ。」


    コニー「いや、だってよ…俺がここに来るまででもかなり話に挙がってたからよ、皆聞きたいのかと思ってな。」


    エレン「オレが食えねぇじゃねぇかよ…」






    ざわざわ…


    ミーナ「…ごちそーさまでした、と」


    ソフィ「うん、私もご馳走様でした」


    ノア「…何かシガンシナの出身のやつのことでやけに盛り上がってるみたいだな」


    ミーナ「……え!?」


    ソフィ「!? ど、どうしたのミーちゃん。」


    ミーナ「…………」


    ミーナ「ご、ごめん、ちょっと行ってくる」ガタッ


    ノア「は? ちょ、オイ!」


    ソフィ「ミーナ…?」



  86. 139 : : 2016/06/26(日) 13:58:35


    ズズズ―――…

    ゴクッ…



    エレン「…ハァ……」


    エレン「だから、見たことあるって……」


    訓練兵『おおおおお!!』


    髪中分けの少年「やっぱり、本当か!?」


    金髪の少年「どれくらい、大きいんだ!?」


    エレン「…ん~……壁から、顔を出すくらいだな」


    金髪の少年「壁から!!? 60mくらいか!?」


    エレン「…そうだな、多分だけどよ」



    ミーナ「……あ、やっぱりさっきの…!」トッ トッ…


    ハンナ「…! あれ?ミーナ!ここにいたの!?」


    ミーナ「あ、ハンナ! ごめん!遅くなっちゃって!」


    ハンナ「ホントよ~? もう、皆待ってたんだから…って何でここに?」


    ミーナ「え、あ……ち、超大型巨人の話、私も聞きたくてね、それで。」


    ハンナ「ホント!?私も私も!」


    ミーナ「…………ホントは嫌だけど」


    ハンナ「? 何か今言った?ミーナ」


    ミーナ「あ、ううん別に」

  87. 140 : : 2016/06/26(日) 14:02:59


    エレン「ってか、お前らの名前、聞いてねぇな」


    エレン「…オレはエレン。エレン・イェーガーだ。」


    トーマス「あぁ、俺はトーマス。んでこっちの中分けは―――」


    サムエル「サムエルだ、よろしくな。」


    ダズ「俺はダズってんだ、よろしく頼むぜ」


    エレン「おぅ… ん?お前ら全員トロスト区出身なのか?」


    トーマス「まぁ、そんなとこだ。お前もだろ?コニー」


    コニー「?? とろすとってなんだ?」


    トーマス「」


  88. 141 : : 2016/06/26(日) 14:08:11


    サムエル「……ってか、話の続き聞かせてくれよ!」


    ダズ「俺は壁を跨いだと聞いたぞ!」


    ハンナ「…!」


    ハンナ「あ、待って、その話私にも! 私も村じゃ聞いたよ!」


    フランツ「俺の村でもそう聞いたかな?」


    ハンナ「」


    ハンナ「~~~~~~~~~~~~~!!!」


    フランツ「! あぁ、さっきの!ハンナさん、だっけ」


    ハンナ「は、はは、ふぁい!!」///


    ハンナ「え、えっと…ふ、フランツさん」


    ミーナ「? え、知り合い?」


  89. 142 : : 2016/06/26(日) 14:23:22


    エレン「どんだけ話盛られてんだよ…でかすぎるじゃねぇか」


    エレン「………!! あ…」


    ミーナ「…! あ…」



    エレン「……」


    ミーナ「……」


    ミーナ「…ね……ねぇ、どんな顔だったの。」


    ミーナ「その超大型巨人って」


    エレン「……めちゃくちゃ蒸気とかが出てたな。あと皮膚がほとんど無くて、口がでかかった。」


    ミーナ(……どんな顔なの?それ…!?)







    「? オイどうしたよベルトルト、早く食わねぇとますますパン固くなるぞ?」


    背の大きな少年「…! あ、うん、そうだね…」


    ベルトルト「……(チラッ)」




    金髪の少女「……何?」


    ベルトルト「…あ、アニ……ライナーは、どこにいるかわかる?」








    ダズ「な、なぁ! ほかには!?ウォール・マリアを破ったって言う『鎧の巨人』は?」








    ごつい少年「……(ピクッ)」


    ライナー「………(ゴクッ…ゴクッ…)

  90. 143 : : 2016/06/26(日) 14:28:41


    アニ「……あそこで水飲んでるの違うの?」


    ベルトルト「…あ……」








    エレン「――――鎧の巨人、それも見たな。…でも、「鎧」とか言われてるけど、オレの目には普通の巨人に見えたな。」


    カチャッ――――ズズズ…



    ミーナ(…………)


    ミーナ(本当に、見てきたんだ…)


    サムエル「じゃ、じゃあ…」


    サムエル「普通の巨人は!?」


    エレン「…!!」





    エレン「―――――」ドグンッ


  91. 144 : : 2016/06/26(日) 14:34:55

    __________
    ________
    ______
    ____
    __
    _




    「エレン!! ミカサ!!!」



    「―――――――生きて、生き延びるのよ!!!」




    「や…やめ、やめ…ろ――――――」


    「やめろぉおぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」





    「あ…ひっ………いや…イヤァ、イヤァアァアアア!!!!」


    「たすけ…助けて助けて助けてぇぇえええ!!!」


    「お、ね…が…い…――――――-」






    グシャッァア―――――


    グググググ―――――――パキッ。

    パキッ ブチッブチブチブチッ―――――――




    「あ…」



    「――――――――――――――――っっっ」

    「うッッァアアアアアああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああアアアアアアアアアアああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああ
  92. 145 : : 2016/06/26(日) 14:38:36

    ドッグンッッッ……―――――



    ガシャァアアッ!!


    エレン「うっっ……!!!?」バッ…!!


    ミーナ「!!?」


    訓練兵『!!!』



    エレン「…………」


    全員『………………』



    ミーナ「……あ…ね、ねぇ――――大丈夫…?」


    エレン「…!」


    エレン「…あ、あぁ」
  93. 146 : : 2016/06/26(日) 14:51:28


    マルコ「み、皆、もう質問はよそうよ…!」


    マルコ「……思い出したくないことも、きっとあるだろう」


    訓練兵『………』(コクッ)


    サムエル「…わ、悪い、大丈夫か?」


    エレン「…あぁ」


    コニー「す、すまん!色々と…思い出させちまってよ…」


    エレン「………!!」ハッ


    ドックン…



    ―――――く…ち…く…

    駆逐、してやる…ッッ!! この世から…




    エレン(一匹、のこ…らず………!!)ドックン



    エレン「っっ!!違うぞ!!」


    ミーナ「(ビクッ)!? え…?」



    ガッッ



    エレン「(バリッ!!! モグッ)……」


    エレン「…巨人なんてな、実際大した事ねぇ。」


    トーマス達「え…」


    エレン「オレ達が『立体機動装置』を使いこなせるようになれば」



    エレン「あんな奴らは敵じゃねぇ!!!」





    ジャン「………」


    ライナー「……ほう」


    アニ「………何言ってるんだろうね、あいつ」


    ベルトルト「………」







  94. 147 : : 2016/06/26(日) 14:57:38

    ノア「……何かほざいてるやついるな。」


    ソフィ「…こら、ノア! 口調…」






    マルコ「え…えぇ…!?」


    ミーナ「……て、敵じゃない? 巨人が?」


    エレン「あぁ!!そうだ! やっと兵士として訓練できるんだ…!!」


    エレン「さっきは思わず……感極まっただけだ。」


    マルコ「そ…そうか…。」


    エレン「―――――オレは、オレはな」


    エレン「『調査兵団』に入って、この世から」


    エレン「ヤツらを一匹残らず駆逐するッッ!!!」


    ミーナ「!!?」


    ミーナ(え…!!? いま、なんて…)


    エレン「オレはヤツらをぶっ殺して、それで、オレは――――」



    ジャン「オイオイオイ、正気かお前??」
  95. 148 : : 2016/06/26(日) 15:03:36


    エレン「…!!?」


    ミーナ「?」


    訓練兵『…?』


    ジャン「オイオイ… 見ろよ、ちったぁ周りをよ。」


    ジャン「ドン引きしてんじゃねぇか」


    エレン「…何だ、お前」


    ジャン「――――お前、さっき『調査兵団』に入るって言ったのか?」


    エレン「……あぁ、そうだけどよ。」


    エレン「…あぁ、お前は確か、『憲兵団』に入って」


    エレン「『楽』したいんだったか?」


    ジャン「(フンッ)俺は正直者なんでね…」





    ハンナ「…あ、ねぇねぇフランツ、誰…あの人?」


    フランツ「…たしか、ジャン・キルシュタインって言われてた人だよ」


    エレン「………」


  96. 149 : : 2016/06/26(日) 15:17:22


    ジャン「正直よぉ、見え見えだぜ?お前」


    エレン「あぁ…?」


    ジャン「はっ、心底勇敢気取ってやがる奴よりはよ…」


    ジャン「全然まだ俺の方がすっきりしてると思うけどなぁ……?」


    エレン「……は?」


    ミーナ「ちょっ、ちょっと…!」


    ガタッ!!


    訓練兵『!!?』


    エレン「────オイ」


    エレン「そりゃオレのことか?」


    エレン「さっきから喧嘩売ってんのかてめぇ?」


    ミーナ「ちょ、ちょっと! やめなよ!?」


    マルコ「そうだよ、よせ二人とも!」


    ジャン「ほかに誰がいんだよ? 怯えて強がってるの」


    エレン「……!」


    ジャン「見え見えなんだよ」


    エレン「っ!!!」バッ───



    カン カン カン カン カン・・・!!



    エレン「!!」


    訓練兵『…!!』


    ミーナ「あ…食事時間終わりの鐘……」




    シィ・・・ ン




    エレン「……」


    ジャン「……」

  97. 150 : : 2016/06/26(日) 15:23:42

    ミカサ「…………」


    ユミル「…何してんだ? あいつら」





    アルミン「……え、エレン…」






    ジャン「…ふぅ」


    ジャン「…なぁ、悪かったよ」


    エレン「…あ?」


    ジャン「俺は別に―――あんたの考えを否定したいってわけじゃないんだ。」


    ミーナ(……なんかこの人もあんまり好きにはなれないかも)


    ジャン「別に、どう生きようと人の勝手なわけだからな。」


    エレン「………」


    ジャン「ほらよ、これで手打ちにしようぜ」スッ


    エレン「……あぁ、オレも喧嘩越しだったよな」…カチャッ


    マルコ(…? あれ?手は握らないのか?)


    ジャン「………」

  98. 151 : : 2016/06/26(日) 15:27:08


    エレン「悪かったよ」トッ トッ トッ…


    ミーナ(…手、握らないんだ)


    ミーナ(…あのエレンって人も、やっぱり私好きになれないな)ハァ…


    サムエル「…飯も終わりだな。片付けるぞ」


    トーマス「あぁ、だな」


    ダズ「………」

  99. 152 : : 2016/06/26(日) 15:45:29

    ザワザワ………


    ノア「…戻ろうぜ」


    ソフィ「…う、うん」




    ハンナ「私たちも行こっか、ミーナ」


    ミーナ「…うん」


    ハンナ「じゃ、じゃあ、また明日ね、フランツ!」


    フランツ「ははは、名前で呼んでもらえると嬉しいね。うん!また明日!」


    ハンナ「うん!」///


    ミーナ「…ふふふ、いい感じ?」


    ハンナ「そうね!いい感じかも!」///にやにや


    ミーナ「ふふ、頑張って!」ニコッ



    マルコ「あ、ミーナ」


    ミーナ「? あ、マルコ…」


    マルコ「…さっきはエレン達を止めるの、手を貸してくれてありがとう。」


    ミーナ「え? あ、さっきの?ううん!全然いいよ!さっきも私やらかしちゃったし…お互い様だよ」


    マルコ「……ミーナは優しいね」


    ミーナ「え? そ、そうかな?」


    ミーナ「……ううん、そういってくれるマルコのほうが、私は優しいと思うよ」


    マルコ「あははは、ありがとう。お互い様だね」


    ミーナ「ふふふ、だね!」カチャッ 


    ハンナ「おやおうやぁぁあ~~? ずいぶん仲いいのね、二人とも」


    ミーナ「ふぇッ!!?」//////


    マルコ「あははは、違うよ、そんなんじゃないさ!」


    ハンナ「本当に~~?」


    ミーナ「もう!! ハンナぁ!!」///


    ハンナ「はいはい!ごめんごめん!」(脱兎)


  100. 153 : : 2016/06/26(日) 15:56:05


    マルコ「あ、そろそろ行かなきゃ、じゃあまた明日!」


    ミーナ「うん、またね!」


    ハンナ「はいはいー!」





    ハンナ「…ずいぶん良い感じなのね、さっきのマルコ君って子と」にや


    ミーナ「ハ~ン~ナ~?」///


    ハンナ「はいはい、ウソウソ! さて、ミカサ達呼んで寮に帰ろっか!」


    ミーナ「うん、そーだね…って」





    ミーナ「あ、ノアとソフィア………」キョロキョロ


    ミーナ「…もう、先に帰ったかな? この後の自習時間の後で会いに行こうかな」






    ジャン「…ちッ、何なんだよあいつは…」トッ トッ…


    ドンッ


    ジャン「いってぇな…どこ見てん……」


    ミカサ「…あ」


    ジャン「だ………」





    ジャン「」


  101. 154 : : 2016/06/26(日) 16:09:04


    ジャン(~~~~~~~~~~~~~!!?/////////)


    ミカサ「…ごめんなさい。私の不注意だった。」



    ジャン(な、な、な、な、な)


    ジャン(なっっっっんだこいつ…!!!?)///


    ジャン(黒髪… 東洋人か?さっきのもさい奴と違って…)


    ジャン(めちゃくちゃ可愛いじゃねぇかよ!!!?)//////



    ジャン「あ。あぁ、あぁあ、いや、俺こそ…」///フイッ


    ミカサ「…?」


    ミカサ「それじゃあ」トッ トッ トッ…


    ジャン「あ、オイ! ま、待ってくれ!」


    ミカサ「…? 何?」


    ジャン「!!(なんて睫毛してやがるこいつ!!///)」


    ジャン「あ、あぁいや、特に何かあるってわけじゃないんだが……」


    ジャン「えっと、…その、見慣れない顔立ち、だと思ってな」


    ミカサ「…そう。」


    ジャン「…!! ッ、す、すまない、とても…」


    ジャン「とても綺麗な黒髪だ……」//////


    ミカサ「? …どうも。」


    ミーナ「ミカサ! いこーー?」


    ミカサ「今行く。 それじゃあ。」


    ジャン「あ…あぁ!! またな!!」//////


    ジャン「………み、ミカサ、か」






    ジャン「…………っ!」ダッ!!


  102. 155 : : 2016/06/26(日) 16:20:20

    ダッ タッ タッ……


    ジャン「み、ミカサ…(キョロキョロ)」




    ミカサ「…あ、エレン」


    トッ トッ トッ……


    ミーナ「あれ? ミカサ?」


    ハンナ「どーしたの?」


    ミカサ「少し先に行っていてほしい。いいだろうか」


    クリスタ「あ、何か用あるの?」


    ミカサ「ええ、そんなところ。」


    トトッ… トッ トッ…



    エレン「…ふぅ。ったく、イラつく…」


    ミカサ「そんな石の上で何をしているの、エレン。」


    エレン「! ミカサ…」


    エレン「…なんでもねぇよ」


    ミカサ「…熱くなるとすぐ感情的になる。悪い癖。」


    エレン「関係ねぇだろ…」


    エレン「…にしても、この黒髪、長すぎやしねぇか?」


    エレン「立体機動で事故になるかもしれねぇぞ…」


    ミカサ「そうだろうか… わかった、切ろう。」


    ミカサ「…でも、どの辺りまで切るべきだと思う?」


    エレン「知らねぇよ、お前の好きなようにすればいいんじゃねぇのか? 何でも似合うだろ」


    ミカサ「エレン、それは私のことを褒めてくれているの?」


    エレン「は?」







    【食堂前】


    ジャン「…………」


    ジャン「…あ、い…つ…」





    コニー「ふんふん~ふん~♪(guren no yumiya)」


    コニー「ぽけ? どーしたお前?」


    ジャン「……………」


    コニー「何してんだ?そんなとこで立ち尽くしてよ」


    ジャン「…裏切られた気分になっただけだ……」


    ジャン「…俺はもう、信じない………」ぶつぶつ


    コニー「?? ????」


    ジャン「――――――人との、信頼を……」




    コニー「??????」
  103. 157 : : 2016/08/02(火) 11:40:37
    ______________
    ___________
    _______
    ___
    _


    〜夜〜

    ミーナ「……はぁ〜 疲れたぁ……」


    ジャバッ___

    バシャバシャ……


    ミーナ「ふぐぐぐッ、水汲みしんど…」


    ミーナ「よいしょッ!(ゴトッ)」


    ミーナ「……はぁあ…」


    ミーナ「…!」


    ミーナ「…スゴイ、綺麗な空……!」


    _______お母さん、お父さん…

    _______おねぇちゃん…


    ミーナ「…………」


    トッ トッ トッ……


    ミーナ「…!」


    ミーナ「あ、ソフィア!」


    ソフィ「あ、ミーナ! やっほ!」


    ソフィ「ミーナも水汲み?」


    ミーナ「うん! みんな、お風呂入ってる間に入れとこっかなってね」


    ソフィ「ふふふ、そっか!」


    ジャバッ___

    バシャバシャ……


    ミーナ「ソフィもそーなの?」

    ソフィ「あぁ、私はもうお風呂入っちゃったし、部屋も片付け終わったからやれる事やっとこ、って思ってね」


    ミーナ「ほぼ一緒だね」フフフッ


    ソフィ「そーね」ニコッ


    ゴトッ____


    ソフィ「ミーナ、どう? 同じ部屋の人とは仲良くなれた?」


    ミーナ「うん、おかげさまで!」


    ミーナ「正直、皆…だいぶ個性あるけど」


    ソフィ「フフッ…! そっかぁ、どんな風に??」


    ミーナ「なんかね…」
  104. 163 : : 2017/01/26(木) 14:17:50

    ____
    __
    _


    ミーナ「___って感じかな」


    ソフィ「ふふふふっ!! すごいねぇ!」


    ソフィ「すっごい個性的な人ばっかじゃない!」フフフ


    ミーナ「でしょー? もう、皆個性的過ぎて私霞んじゃうよ〜!」トホホ


    ソフィ「あはははっ! そんな事別に気にすることないよ!」


    ミーナ「そぉかなぁ…」ポリポリ


    ソフィ「うん…!」ニコッ


    ソフィ「……でも、良かった。」


    ミーナ「え?」


    ソフィ「心配してたんだよ? ノアも、もちろん私も」


    ミーナ「…あ」


    ソフィ「ノアなんて、『アイツ大丈夫かぁ??』って、ずーっと言ってたんだから」


    ミーナ「……ノアが……」


    ミーナ「……そっか」


    ソフィ「うん…」ニコッ…


    ソフィ「……ノアってさ」


    ミーナ「ん?」

  105. 164 : : 2017/01/26(木) 15:33:52

    ザァァ……

    パチッ……パチッパチッ…ゴォッ……


    ソフィ「___昔から、いつも強かったよね」


    ミーナ「……!」


    ミーナ「………」

    ___________
    _________
    ________
    ______
    _____
    ____
    ___
    __
    _


    ___『あぁん、あぁん~~!!』

    ___『コイツ髪真っ黒いぞ──!』

    ___『変なの、異端だ異端!!』

    ___『ちがうよぉ……! わたしは普通だよぉ!!』ポロポロ

    ___『やだぁ! 髪紐返してよ!!』

    ___『コイツの髪紐どーする──?』

    ___『高い所にでも隠しとこーぜ、おもしれぇじゃん』ニヤニヤ

    ___『うあぁぁん!! やだやだ!! 髪紐返してよおぉ!!』ポロポロ



    ___『おまえらぁぁぁぁあぁあああぁ!!!!!!!』


    ___『……!! ノア!』

    ___『ミーナに触るなあぁああああッッ!!』

    ___『うあぁあ!!? なんだこいつ────』



  106. 165 : : 2017/01/27(金) 13:33:18

    ___『……おい、ミーナ、大丈夫か?』

    ___『ほら、髪紐。大事なものだろ?』スッ


    ___『……うん(グスッ)』

    ___『ありが、と、ノア……』

    ___『おう!』ニコッ



    _
    __
    ___
    ____
    ______
    ________
    __________



    パチッ……ゴォッ……


    ミーナ「……うん。そうだね」


    ミーナ「…ノアは、いつも私のこと、守ってくれた」


    ミーナ「……私も、ノアみたいに誰かを守れるくらい、強くなれればいいのになぁ…」


    ソフィ「……」ニコ


    ソフィ「……なれるよ、きっと」


    ミーナ「…うん」ニコッ


    ソフィ「……星、綺麗ね」


    ミーナ「うん」



    ヒョオオオオッ……
  107. 166 : : 2017/01/29(日) 18:14:28

    トッ トッ トッ トッ…


    ソフィ「……ねぇ、ミーナ?」


    ミーナ「ん? どうしたの?」


    ソフィ「ミーナはさ」


    ソフィ「……もしも、私が普通の人じゃなくても」


    ソフィ「───友だちで、いてくれる?」


    ミーナ「…え?」


    ミーナ「…どういう、意味? ソフィア」


    ソフィ「んー?」トッ トッ トッ


    ソフィ「………」クスッ


    ソフィ「……ううん、あくまで、たとえばの話だよ」ニコッ


    ミーナ「そんなの決まってるじゃない!」


    ミーナ「ほらっ! このミサンガに約束したでしょ?」スッ…チャリッ


    ソフィ「…!」


    ミーナ「『私達はずっと一緒だよ』って!」


    ソフィ「………」


    ソフィ「……うん、そうだよね」ニコッ


    ソフィ「…ずっと、一緒。」


    ミーナ「どうしたの? 急に」


    ソフィ「ううん、何でもないの。ごめんね急に」


    ミーナ「私は全然いいけど…」


    ミーナ「あ、じゃあ私こっちの部屋だから…」


    ミーナ「明日から…訓練頑張ろ!」


    ソフィ「ふふっ、そうだね!」


    ミーナ「うんっ! じゃあ、また明日ね、おやすみ!」フリフリッ


    ソフィ「おやすみ、また明日」フリフリ





    トッ トッ トッ トッ トッ……



    ソフィ「……」


    ソフィ「! あれ」


    ユミル「…ん?」グググ…


    クリスタ「あ、こんばんわ」


    ソフィ「う、うん…えっと…大丈夫?」


    ソフィ(このそばかすの女の子におぶってもらってる子って確か……)


    ユミル「…あぁ、私なら大丈夫だ」


    ユミル「それよりもあんたさ、この芋女の部屋何処か知らねぇか?」


    ソフィ「え、えっと、ごめんね、分からないや」


    ユミル「…そーかい、しゃーねぇ。ほらっ、お前も突っ立ってねぇでこの芋女の部屋を探してきてくれよ」


    クリスタ「う、うん…」


    ソフィ「………あれ?」


    クリスタ「? なに?」


    ソフィ(………金髪の、髪。)


    ソフィ(……藍色の、瞳)


    ___この子の事、私


    クリスタ「…え、えっと、どうしたの? 私の顔、何か付いていた、かな?」


    ソフィ「───う、ううん、何でもないの、ごめんね」


    ユミル「………」

  108. 167 : : 2017/01/29(日) 18:32:19





    ミーナ「…ふーっ、ただいまぁ…」ヨイショ


    ルース「おーっ、水汲みお疲れー」


    ミーナ「(バシャーッ)もーっ疲れたよー、ホント大変だよね水汲みって」カコンッ


    ミーナ「あれ、ルースもうお風呂入ったの?」


    ルース「私は訓練所から家近いから、そんな汚れてないからねー、明日入るんだ!」


    ルース「基本この辺の人って毎日は入らないでしょ?」


    ルース「北の方…オルブド区とか、あっちの方は温泉もあるみたいだし、毎日入るって人が多いみたいだけど」


    ミーナ「え!? そーなの!? 私は基本毎日入りたいよー!?」


    ルース「乙女ねぇ、ミーナは」


    ミーナ「これでも年頃ですからっ! 子どもはそれでもまだ大丈夫かもだけど、私は無理だよ…ばっちいもん」


    ミーナ「私は基本汗っかきだし、お風呂毎日入らないのは私はちょっと無理」フルフル


    ガチャ


    ミカサ「…ふぅ、スッキリした」


    ミーナ「あ、ミカサおかえりー」


    ミカサ「ただいま。…ミーナはもうお風呂には?」


    ミーナ「ううん、水汲み行っててまだー! あ、ミカサは…」


    ミカサ「私はもう入った。ハンナたちはまだ浴槽を堪能してる」


    ミーナ「やっぱり…」


    ミカサ「水汲みは明日は私がやる、のでミーナは休んでて」


    ミーナ「ううん、いいよいいよ! 明日も私やるから!」


    ルース「あれー? ミーナもう疲れたーとか言ってなかったっけ?」クスクス


    ミーナ「そりゃー疲れるけど、大変だからこそ他の人にはやらせられないでしょ? 誰かがやらなきゃいけないなら私がやる!」


    ミカサ「…」


    ミカサ「…ミーナは、優しい」


    ミーナ「え!? そ、そんなことないない! 別にふつーだよ!」エヘヘ


    ミカサ「…そう。でも、無理はしないこと。頼れる時は頼ってほしい」


    ミーナ「ふふっ、わかった! ありがと、ミカサ!」


    ルース「わたしもわたしもー!」ヘッ


    ミカサ「……」

    ミーナ「……えー?」ジトーッ


    ルース「…えっ、何その目!?」
  109. 168 : : 2017/01/29(日) 18:45:25

    __________
    ________
    ______
    ____
    ___
    __
    _

    カンカンカンカン………!


    ハンナ「やば、消灯だ」


    ハンナ「ランプ消すよー?」


    ミーナ「はーい!」

    ミカサ「大丈夫、消して」

    ユミル「んだよ、つまんねぇなーもう寝んのかお前ら」

    ルース「わたしゃーもう寝る。おやすみ」

    ミーナ「みんな疲れてるからね、明日は訓練始まるし、もー寝よ?」

    ユミル「へいへい、つまんね」ゴソッ


    ハンナ「消すよー、みんなおやすみー(フッ)」

    全員『おやすみ……』





    クリスタ「…………」


    ミーナ「クリスタ」コソッ


    クリスタ「……」


    ミーナ「? もう寝ちゃった?」コソッ


    クリスタ「…え、ミーナ? 呼んだ?」


    ミーナ「うん、おやすみ、クリスタ」ニコッ


    クリスタ「……うん、おやすみ」ニコッ


    クリスタ「………」


    クリスタ(────不思議。)


    ___今まではおやすみ、なんて返してくれる人、居なかった。

    だって

    いつも……ひとり、だったから…


    クリスタ「………」


    ___ユミル『───お前』

    ___ユミル『「良いこと」しようとしてるだろ』



    クリスタ「………だって」ボソッ


    クリスタ「そうじゃなきゃ…私は…」



  110. 169 : : 2017/01/29(日) 19:03:29

    スーッ スーッ………


    ミーナ「……」


    ミーナ(寝息…みんな、もう寝たのかな)


    ミーナ(……いろいろ、あったなぁ今日は…)


    ミーナ(はぁ…『豚小屋出身、家畜以下』っての、ものすんごく取り消したいなぁ、アレ………)


    ミーナ(───明日から)


    ミーナ(私、ちゃんと訓練やってけるのかな)


    ミーナ(……あの、訓練所を降りた子───名前聞けなかった、あの女の子…)


    ミーナ(ちゃんと、着けたかな。開拓地)


    ___エレン、って言ったけ。

    ___明日は、ちゃんと話してみようかな。

    ___好きになれないなって、思ったけど……まだ、私、あの子とちゃんと話したことないのに…ちょっと言い過ぎた気がする…


    ___アルミン『───あれは…きっと』

    ___アルミン『自分への戒めも込めているんだ』




    ミーナ「…………」


    ミーナ(───明日は、)


    ミーナ(ちゃんと、謝ろ)



  111. 175 : : 2017/06/17(土) 13:29:28

    ____________
    ___________
    _________
    _______
    _____
    ____
    ___
    __
    _


    ____翌朝


    ミーナ「ファァぁぁぁ………」


    クリスタ「眠そうだね、ミーナ?」


    ミーナ「え? そう……?」


    ミーナ(何だろ…………緊張、でもしてるのかな)


    ルース「今朝のご飯もあんま食べてなかったもんね~……この後はクロード・デュヴァリエ教官の巨人についての生態講義とか、昼時の立体機動の適正診断あるんだよ~? 大丈夫~?」


    ミーナ「あ……………はは、は、た、ぶん、大丈夫………………」


    クリスタ「声上擦ってるよ………?」


    ユミル「おい、クリスタぁ~」


    クリスタ「ッ!(ビクッ)」


    クリスタ「……ゆ、ユミル………」


    ユミル「この後の講義は私の隣に座んなよ…席は芋女に確保させといてやったからさ」


    クリスタ「ダメだよそんな…召使いみたいな………」


    ユミル「いんだよ、昨日も言ったろ、恩を着せて言いように利用してやんだからさ」


    クリスタ「………………私はそんなの……」


    ユミル「………………」
  112. 176 : : 2017/06/17(土) 14:39:19


    ユミル「おら、行くぞ。悪ぃがコイツ貰ってくからなー」グイッ


    クリスタ「ちょ…………ちょっとユミル!!」



    ミーナ「……行っちゃった」


    ルース「何の話してたんだろね?」


    ミーナ「さあ………」


    ルース「―――――そいや、あの2人、昨日帰ってくるの遅かったねぇ………」


    ミーナ「! あ、そうだね、たしかに……」


    ルース「……………まぁ、いっか」


    ルース「いこ! 講義遅れちゃうわよミナ公~~~!!」


    ミーナ「ミナ公!!?」


  113. 177 : : 2017/06/17(土) 15:12:20


    ______カン カン カン カン



    ミーナ「ぶはぁあ!! 危ねぇえええ!!」


    ルース「ミナ公、大丈夫?」


    ミーナ「…ゼェッ、ゼェッ、………も、う、ミナ公って決定なのね、そうですか…………」


    ルース「あ。教官来た」


    ミーナ(無視(シカト)!!?)


    マルコ「…ミーナ、大丈夫?」アハハ…


    ミーナ「……………なんとか(グフゥッ)」




    眼鏡の教官「――――――それでは、講義を始めよう」


    眼鏡の教官「あぁ、言い忘れていた、私の名前はクロード・デュヴァリエ。本日より3年間、君達104期訓練兵の「巨人座学」及び「立体機動座学」を担当する者だ、よろしく頼む」


    クロード「それでは早速だが……何せ時間が無いものでな、講義を始めよう。自己紹介、及びオリエンテーションは省かせてもらおう。では、「巨人座学」のテキスト、5ページを開いてくれ」






    エレン(―――――――よし、やってやる)


    エレン(………って、アレ? なんか、アルミンとミカサのと違う…?)ペラペラ


    ミカサ「…………………エレン、開いている教科書が違う。そっちは立体機動の構造としくみ の方」ボソッ


    エレン「……な!/// う、うるせぇな、わかってるよ!!」ボソッ


    アルミン(………大丈夫かなぁ、エレン……こんな調子で)


  114. 179 : : 2017/07/03(月) 19:10:50
    クロード「───だが、その前に」


    クロード「諸君らには、現状を知ってもらわなければならない」




    ミーナ「………!」




    クロード「───二年前、諸君らを含め、我々人類はあまりにも数多くのものを奪われ、踏みにじられた。
     諸君らの中にも、あの地獄を経験した者もいる事だろう。超大型巨人、及び鎧の巨人によるウォール・マリア侵攻───そして、翌年行われた大規模な奪還作戦。
     これによって、シガンシナ区で奪われた尊い人命を含む、計26万人もの命が、たった二年の間に奪われたのだ」


    クロード「───既知の通り、諸君らは壁が破られて以降……初の訓練兵の世代となるだろう。
     一昨年以降、訓練兵団の募集は中止していた訳だからな」




    アルミン(────壁が破られて以降の壁の中の内情として、奪還作戦が行われて、…失敗したばかりの時にそんな事をしている場合じゃないっていう世間の風潮があったから…だったんだ、確か)


    アルミン(───なのに、今年のこの訓練兵の多さは……やっぱり……)






    クロード「…故に」


    クロード「諸君らには、死をも覚悟してもらわなければならない」



    ザワッ────



    クロード「我々は、未だかつて無いほどの絶望的な状況の最中にいる。
     巨人に対して慄く者も居る事だろう。だが、諸君らには恐怖は許されない。
     何故ならば、諸君らこそが、唯一巨人に対し。人類そのものが対抗する為の、小さな反撃の刃となる為だ」


    クロード「諸君らは『戦う』為の「知識」と「力」を得るために此処へ集った者達だ」




    クロード「心臓を捧げよ」───スッ




    ミーナ「──────ぁ」




    クロード「昨日のシャーディス教官の演説は決して脅迫ではない。
     アレは事実そのものだ。断じて比喩ではない。
    故に、その覚悟の無い者はこの講義を受ける必要は無い。テキストを置き、この部屋を出るがいい。そして、開拓地へ戻るがいいだろう。……少なくとも、死を直接的に迎える事は無くなるのだからな」



    エレン「……………」


    アルミン「……………」


    ミカサ「…………」


    ミーナ「………………ッ」





    シ……………………ン……………






    クロード「──────よろしい」


    クロード「………それでは、改めて。講義を始めよう。あぁ、その前に。挨拶はこれからは、諸君らの心臓を捧げる姿を拝見してから始めさせてもらおう。
     ──────諸君、立ちたまえ」



    ………ガタッ ガタッガタッ……




    バッ!!!


    クロード「心臓を捧げよッッッ!!!」



    訓練兵『ハッ!!!!』バッ



    クロード「諸君、声が小さい、もう一度だ! 心臓を捧げよ!!」






    ミーナ『ハッッ!!!!』バッ!!!
  115. 180 : : 2017/10/29(日) 16:24:12


    クロード「─────残された歴史文献にも、『巨人の発生原因』は記されておらず、不明な点が殆どである。

     現在明らかになっている巨人の生態等は、調査兵団の最新の報告書によるものだ。

     ……巨人には、人間と同じ知性は確認できず、よって我々との意思の疎通は未だ見られない。まず、例が無いと言うべきだろう……」


    ミーナ(……ここまでは、お父さんに聞かせてもらった話と同じ……)


    クロード「巨人の体の構造は、テキストの10ページを参考にしてもらおう」


    ペラッ……


    ミーナ(………ッ!!?)ドグンッ


    クロード「それは、調査兵団団員による証言を基として描かれた絵となる。………驚いたかね? だが、これは事実だ。
     奴らは他の生物とは根本的に身体構造が異なる。まず、生殖器が存在しない。故に繁殖方法は不明である」


    ミーナ(……じゃあ、どうして人類を半分以上全滅させるなんてほどの数の巨人がいるの…?)ペラ…


    ミーナ「………」


    ナック「…? おい、ミーナ。大丈夫か?」コソッ


    ミーナ「…だい、じょうぶ」


    ミーナ「…こ、これって……」


    クロード「─────巨人の体は極端な高温を放ち、「種類」によってはその体温を武器とする「奇行種」も確認されているとのことだ」


    アルミン「…!? 教官、それはいったいどういう…!?」


    エレン「アルミン?」
  116. 181 : : 2017/12/11(月) 22:11:57

    アルミン「………エレン、覚えているだろ? 二年前の超大型巨人の姿を」


    エレン「………あぁ」


    アルミン「…………」


    アルミン「─────やっと、やっとなんだ」


    エレン「…………!」


    エレン(……アルミン?)


    アルミン「やっと…役に立てる」


    エレン「………?」


    ミカサ「エレン、講義に集中して」


    エレン「……おぅ」


    __________
    ________
    ______
    ____
    __
    _


    ミーナ「」プシュー


    ノア「………オイ」


    ミーナ「」フシューッ


    ベシッ!!


    ミーナ「ぐほぉあっ!!」バキッ


    ソフィ「ちょっ、ノア強いからっ!」


    ミーナ「〜〜〜〜っっぅいったあ……な、なにするのよぉ〜」グスンッ


    ノア「講義終わってんぞ、バカ」


    ミーナ「ハッ!?」ガバッ

  117. 182 : : 2017/12/11(月) 22:36:13

    ミーナ「………まずい、全ッ然講義の内容覚えてない」


    ノア「…………」


    ノア「……ハァ、後でメモとったノート貸してやるから取りに来いよな」


    ミーナ「えっ!? い、いいの!? ホントに!?」パアアァァッ


    ソフィ「………」


    ソフィ「………」クスッ


    ソフィ(────ノアって、なんだかんだ言ってミーナには甘いんだよねぇ)クスクス


    ノア「で、この後って何があるんだっけか?」


    ソフィ「ほらほらっ、一番メインの立体機動適性検査だって!」


    ミーナ「………えっ」


    ミーナ「────────あああぁぁぁあ!!!」










    ヒョオオオオオオオオォォォォッ




    ザワザワ………



    ミーナ「うわっ、もう集まってる!?」ビクッ


    ノア「そりゃあ、あのハゲが担当らしいしなぁ、立体機動の科目全般」


    ミーナ「……!」


    エレン「……!」


    エレン「…おぅ」


    ミーナ「………ん、どうも」スッ


    ミーナ「(スタスタスタスタ)………」


    エレン「………」


    エレン(……まぁ嫌われんのは慣れてるからいいんだけどよ)


    アルミン「エレン! ここにいたんだ! 講義終わったらすぐに教室出ていっちゃうんだもん、探したじゃないか〜」トットットッ


    エレン「あぁ、悪ぃな。……いよいよ一番オレがしてぇ事ができると思ったら、つい」


    ミカサ「エレン、先に行かないで。迷子になったらどうするの」スッ


    エレン「はぁ? またそれかよ……もうガキじゃねぇんだぞ、ミカサ…」


    エレン「いい加減、もうお守りじみた事はやめろってこないだも言っただろうが」


    アルミン「まぁまぁまぁ、もう教官来るんだから……それよりも、エレンは検査は自信ある?」


    エレン「………あぁ。大丈夫だ、これくらい出来て当たり前だろ……こんな事も出来ねぇで、いったいどうやって奴らを駆逐してやるんだよ」


    アルミン「あはは……うん、まぁそう言うと思ったよ、エレンは」


    ミカサ「………エレン、待って。ベルトの位置がおかしい……」スッ カチャガチャ


    エレン「な!? う、うるせぇよ自分でやる!!」バッ


    アルミン「……エレン、気合いを入れるのはいい事だけどまずベルトを正しく着けれてないと怪我するよ…ほら、ミカサの方が上手に着けれてる」








    ノア「……おまえ、なんかアイツのこと避けてねぇか?」


    ミーナ「え!? ……そ、そんな事ないよ、別に」


    ノア「……嘘つけ、頬が赤いぞ」


    ミーナ「ぅえっ!?」ビクッ


    ミーナ「あああ、赤くないもんっ! 人の顔まじまじ見ないでよぉ!」バッ


    ノア「へいへい………」


    ソフィ「……ミーナ、検査大丈夫そう?」


    ミーナ「だ、大丈夫っなんとかなるよ!!」グッ

    ノア「さっき講義聞いてなかったくせに大丈夫かおまえ……立体機動装置の滅茶苦茶大事な話してたんだぞ」


    ミーナ「え"っうっそ、やば」




    キース「注っっっ目ッッッ!!!」




    ミーナ「」ビックゥッ




  118. 185 : : 2018/01/18(木) 21:57:45

    アルミン「! エレン……始まるよ!」


    エレン「……分かってる」


    キース「ここに来たものは、既に理解しているとは思うが……これより、立体機動適性検査を行う!!」


    キース「まずは、このテストで貴様らの適性を見る!(トッ トッ トッ…)」


    キース「検査は簡単だ!! まずは、私が手本を見せる!」スッ


    ミーナ「……!」



    カチッ…カチャカチャ………


    ノア(……なるほどな、そういうことか)


    キース「この検査は、貴様らが先程着用した『固定ベルト』……それらを駆使する事で行うものだ!!」


    キース「立体機動は常に瞬時の『体重移動』を重視し、全身の筋肉を酷使する事により成り立つ────」


    キース「これはつまり、貴様らをまずこの検査において、基本中の基本となる身体の体重バランスの把握と、三次元空間においての空間把握能力の基本を身につけさせる為のものだ!!」


    ハンナ「……ふ、フランツ、つまりどういうことなの?」ボソッ


    フランツ「要するに、これから僕達はさっきの身体中に巻き付けた全身ベルトで立体機動に必要不可欠な体重移動の検査を行うってことさ」ボソッ


    エレン(………………)


    エレン(─────やっと、やっとだ)


    エレン(この日を二年前からずっと待ちわびてたんだ……ッッ)ギリッ


    キース「これが出来ない奴は、囮にも使えんッッ!!」


    ミーナ「………ッッえ…!?」ビクッ


    キース「開拓地に移ってもらう!!」


    ミーナ「───────ぁ、っ……わ、わたし、大丈夫、かな……」


    ノア「大丈夫だって」ポンッ


    ミーナ「! の、ノア」


    ノア「気にしすぎんな、アイツのは無駄に脅迫が過ぎてるだけさ」


    ミーナ「……う、うん……」


    ノア「要するに、この検査はさっき巻いた全身のベルトでしっかりと姿勢を保てば合格ってわけなんだから、むしろ座学より楽勝なくらいだって」


    ソフィ「あはは……まぁーここまで来ちゃったらもう腹を括るしかないからねぇー」グググ


    ミーナ「───────」



    ____「巨人に唯一対抗できる立体機動装置は─────すごく扱いが難しいのよ!?」



    ミーナ(……そうだよね、だからあの子は開拓地に行く事を選んだ)


    ____「あなたは 生き残ってね。必ず」


    ミーナ(─────うん。なら、あの子の分まで)



    ミーナ(私は戦えるようにならなきゃ、いけないんだ)



    ここで、落とされるわけには行かない────
  119. 186 : : 2018/01/18(木) 22:16:54

    キース「次ッ! ミカサ・アッカーマン!」


    ミカサ「ハッ」バッ


    カチャカチャ…カチッ


    キース「よし、……始めろ!!」


    兵士「ハッ!」キリキリキリキリッ


    ギュィイィイイイ……………


    キース「────────!」


    ミカサ「………」


    オオオオオッ……ザワ、ザワザワ……


    エレン「………!!」


    アルミン「わぁあっ! 凄いよミカサ……全くブレが無い……!!」


    キース(………コイツは中々に逸材だな。姿勢だけでもそれが滲み出るとは……)


    キース「……よし、良いだろう。次だ! アルミン・アルレルト!!」


    アルミン「はっ、はいっ!」バッ


    アルミン「い、行ってくるよエレン!」


    エレン「お、おう」



    カチャカチャ………カチッ、ガチャガチャ


    キース「……何を手間取っている。ここが壁外なら、貴様は既に巨人の餌だ!!」


    アルミン「…………っっ……は、ハッ!!」


    アルミン「お、お願いします!!」


    キース「よし、回せ!」


    キリキリキリキリ…………………



    アルミン「………ッ、う、うわぁっ……!!」フワッ


    エレン「ア、アルミン!!」


    アルミン「──────ぐ、う、うぁああ……!!」バッ


    ギギギギ………ギシッ、ブラッ……


    キース「─────いいだろう、合格だ」


    アルミン「っ!! や、やった……!!」


    ギギギギ…………スタッ


    ミカサ「アルミンなら出来ると思っていた。良かった」


    エレン「……や、やったなアルミン」


    アルミン「う、うん……し、正直……結構危なかったけどね。まだ身体が震えてるよ……」


    キース「次!! 次の者は前に出ろ!」


    エレン「は、ハイ!! オレです、エレン・イェーガーです!!」バッ


    キース「…………!!」


    キース「……」


    エレン「……? あ、あの、教官……?」


    キース「─────始めろ、ベルトを固定しろ、エレン・イェーガー」


    エレン「は、ハイッ!!」


    エレン「─────」チラッ




    ジャン「──────っ、ぐ……」ブラーン……


    サシャ「……おなか、すきましたぁ」ブラーン


    コニー「……………っ、う、ぐぐ……」ブラーン……



    エレン(アイツらには、ぜってぇ負けねぇ)


    エレン(特に、あの馬面野郎には……!!)


    エレン(ミカサやアルミンだって出来たんだ……オレに出来ねぇ訳がねェだろ!!)


    キース「エレン・イェーガー。準備はいいな?」


    エレン「…………ハイッ!!」



  120. 190 : : 2018/01/19(金) 17:03:09

    訓練兵教官「よし、良いだろう。次だ!」


    ソフィ「やったぁ!! ………ぁ、うわわ」グラッ


    キリキリキリキリ…………カチャカチャ、ストッ


    ミーナ「よかったぁ、ソフィ受かったんだ!」ニコッ


    ソフィ「うぇーん、怖かったよぉー」グズッ


    ノア「わたしももう受かってるから…後はお前だな、ミーナ」


    ミーナ「う、うん……!」


    ソフィ「頑張って、ミーナっ…!」


    ミーナ「ありがとう、ソフィ…」


    訓練兵教官「次! ミーナ・カロライナ!」


    訓練兵「…お、豚小屋出身家畜以下の奴だ」ボソッ


    訓練兵「キース教官に絞られてた女の子だよね」ザワザワ


    ミーナ(ああああああああぁぁぁそれは本意ではないんですやめてえぇぇぇえええぇぇえええぇぇえええ)


    訓練兵教官「何をしている、はやくしろ」


    ミーナ「あ、は…はい!」カチャカチャ


    カチッ


    ミーナ「………ッ、お、お願いします!!」


    訓練兵教官「よし、上げろ!」


    キリキリキリキリキリキリキリキリ………
    キュイイイィイイイ

    グググ……フワッ


    ミーナ「──────ぅ、うわぁ……!」


    ミーナ「うわぁぁっ!」グラッ……!!



    ノア「………み、ミーナ!」


    ソフィ「ミーちゃん…!!」




    ミーナ(…………っあ)


    ____「いいか、ミーナ。これは私の勘だけどな、コツはこうだ」



    ミーナ(─────そ、そうだ………!)


    ミーナ(ノアがさっき言ってた事を……)




    ミーナ(思い、出せ、ば………!!)



    ギシッ…ギギギギ……ギシィッッ!!


    ____「バランスを崩しそうになったら」


    ミーナ(足先に、力を入れて……足指を伸ばす……!!!)


    ミーナ(続いて、全身を腹筋を使うイメージで起き上がらせる……!!)


    ミーナ「……んっ、んんんっぐぅ……!!!」




    ミーナ(…………ッッや、ば……)



     足が、吊る──────!!!







    ____「あなたに出会えて」





    ミーナ「…………!!」ドクン





    ____「良かったわ」



    ____「ありがとう」






    ミーナ「─────────────」



     そう、だ。私が……やらないと。

     あの子の分まで、私が────




     そうだ。なら、こんな所で



     終わってなんて、やるもんか─────!!


    ミーナ「………ッッ…………!!!! うぁぁぁぁぁあ!!!!」ギシッッ


    ザワ……ザワザワ……


    ノア「………よくやった! ミーナ」


    ソフィ「やった!! 持ち直した!」


    ミーナ「…………教官! は、判定は……!?」


    訓練兵教官「…よし、合格だ」


    訓練兵教官「訓練に励め!」


    ミーナ「…………………ッッ!!」


    ミーナ「やっ、やったぁぁあ!!」バッ!!


    ソフィ「やった、やったやったこれで三人で訓練できるよノアぁ!! おめでとうミーナ!!」


    ノア「そう……だな」ニコ


    ミーナ「(ハァ、ハァ……ハァ……)ノア…ソフィ!」トットットッ


    ミーナ「私も……受かった、受かったよ!」エヘヘッ


    ミーナ「ノアのアドバイスとソフィの応援のおかげで……私、できたよ…ありがとう!!」


    ノア「……やったな、ミーナ」ニコッ


    ソフィ「これからも、三人で頑張ろうね!」


    ミーナ「!」パアァッ


    ミーナ「……うん!」ニコッ


    ザワ……ザワザワ……

    「おい、ウソだろ……」

    「え、なに……うわ、ダサ……」

    「は? え、マジかよ」


    ミーナ「……! 何だろ?」


    ソフィ「なんだか騒がしいね、向こ、……あ」


    ノア「あ? どうしたよソフ………あ…」


    ミーナ「ちょっと、「あっ」て何なのよ「あっ」て……」


    ミーナ「……………あ」







    キース「何をやっているエレン・イェーガー!! 上体を起こせ!!」


    ミカサ「え、エレン……!!」


    アルミン「そ、そんな……!」


    ジャン「………(プッ、クククッ)」プルプル……




    エレン「───────────」


    エレン「………あ、れ。なん、だよ、これ?」ブラーン………


    エレン(え、ちょっと、待てよなんだこれ身体が起こせねぇ)


    エレン(…………は? 何だよコレ………こんなの、どう、やって………?)ドクン






    エレン(─────────ウ、ソ…………だ、ろ?)
  121. 192 : : 2019/07/01(月) 14:50:46

    ______
    ____
    ___
    _


    「おい、聞いたか?」


    「あぁ、アレだろ。昨日巨人を駆逐してやるとか言ってたヤツ」


    「なんでも、昼の立体機動適性審査で最下位だったんだとさ。こう、宙ぶらりん的な感じ?」


    「マジ? ヤバ、そりゃ笑えるわ。あんなん初歩の初歩だろ? 俺とか超余裕だったんだけど」


    クスクスクス………


    トッ トッ トッ ……


    ミーナ「………」


    ミーナ(なんか色々好き放題言われてるけど、正直昨日あれだけ豪語してたのはあるし……フォローできないなあこれ)


    銀髪の髪の男「……よっいしょっと」


    銀髪の髪の男「う、うわぁっとっと」ヨロッ


    グラッ………


    ミーナ「あっ……! 危ないっ!」ガシャッ


    パシッ


    銀髪の髪の男「おわわわ! ……っあぶなぁ」


    ミーナ「良かったあ、よろけなくて。こんな大きな木材落ちたら最悪足骨折しちゃうよ?」


    銀髪の髪の男「あ、あぁ…助かったよ。ごめんね」


    ミーナ「いえいえ、ケガはない??」


    銀髪の髪の男「あ、あぁ……おかけ様で。そういえば、君は…」


    ミーナ「あ。そえば初対面か、私ミーナっていうの! ミーナ・カロライナ!」


    銀髪の髪の男(……ミーナ……)


    ミリウス「ボクはミリウス、ミリウス・ゼルムスキー。……本当にありがとう」


    ミーナ「いえいえ、よろしくね! …って、あぁ!!」


    ミーナ「あーーーーしまったああ! さっきまで運んでた水バケツがあぁ」


    ミーナ(また運び直しだあ…もー泣きそ……)


    ミリウス「……良かったら、手伝おうか?」


    ミーナ「え? ほ、ほんと?」


    ミリウス「うん、助けて貰ったお礼。それに、君とは……って、ん?」フイッ


    ミーナ「?」フイッ




    ザワザワ……




    アルミン「エレンッ……! しっかりするんだ!!」ヨロヨロ


    ミカサ「………ッ」ググ…


    エレン「──────」ポタポタ




    ミーナ「!?!? え、なに、ちょっと大丈夫!? なんか頭から血が出てるけど!」タッタッタッ


    ミリウス「あ……」

  122. 193 : : 2019/07/01(月) 14:56:14


    アルミン「ミーナ! 良かった、少し医務室にエレンを運ぶのを手伝ってもらってもいいかな?」


    ミカサ「もしかして、水運びしてる最中?」


    ミーナ「う、うん…そうだけど……何があったの?」


    ミカサ「地面に頭から叩きつけられた」


    ミーナ「ふぁ?」


    アルミン「……ごめん。ミカサは少し言葉が足りない時があるから僕から説明するよ。
     実は、立体機動の事で悩んでたエレンが僕達と一緒に自己補習してたんだけど、その時にまた酷いバランス状態になっちゃって……」


    ミーナ「……で、頭を思いっきり強打、と」


    アルミン「そういうこと……まあ詳しくはまた話すよ」


    ミーナ「もーーー。なにしてんのさ……手伝うよ、水運びは後でやればいいし」スッ


    ミカサ「ありがとう、ミーナ。助かる……その代わり私が後でそれは引き受けるから」





    ミリウス「……行っちゃった」


    サムエル「おーいミリウス!」


    ミリウス「サムエル」


    サムエル「何ぼーっとしてんだ、早くその木運んじゃえよ。ナックやダズ達と飯食おうぜ一緒に」


    ミリウス「あ、う…うん」

  123. 194 : : 2019/07/01(月) 15:21:22
    ________
    _______
    _____
    ___
    _


    エレン「………ん」


    ググ……ガタッ


    エレン「いってて……」


    「あ、起きた」


    エレン「は?」


    エレン「……あ」


    ミーナ「──── 平気?」


    エレン(こいつ、昨日の……)


    エレン「……あぁ、まぁな…って痛っ…!?」


    ミーナ「いや平気じゃないんじゃん、ほら、寝てなよ」トン


    エレン「っ!」ボフッ


    エレン「………あ? てか、なんでお前いんだよ」


    ミーナ「私ここにいたら悪い?」


    エレン「いや別に悪いとは言ってねぇけど」


    ミーナ「じゃあいいでしょ」


    エレン「…………」


    ミーナ「…………」


    エレン(──── んだコレ、気まずいなオイ)


    ミーナ(………なんで私もこんなひん曲がった変な言い方してるんだろ……ハァ…)


    ミーナ「……ミカサとアルミンが、訓練用昇降台の借用申請書を教官に出しに行ったの」


    ミーナ「私はあなたのこと運ぶの手伝ったから……それでその時に少しついててあげて欲しいって……あの二人に頼まれたの」


    エレン「……は? 何だよ、お前もオレのこと運んだって事か?」


    ミーナ「そーですけど」


    エレン「……いや、何でだよ?」


    ミーナ「…なんでって……」


    ミーナ「─────…………」


    ミーナ「───知らないわよ……ケガ人居たら、そりゃ心配するの当たり前でしょ」フイッ


    エレン「……………………」


    エレン(なんで、昨日はオレに対してあんな突っかかってきたヤツが)


    エレン(オレのこと、助けんだ?)


    ミーナ「……頭の傷、大丈夫?」


    エレン「え? あ、あぁこれか。まぁ痛むけど……平気だ」


    ミーナ「……縛ろっか?」


    エレン「は?」


    ミーナ「だから! 包帯……!」


    エレン「……包帯?」


    ミーナ「そんなガーゼとかだけじゃ、取れちゃうかもでしょ。イヤじゃないんなら」


    ミーナ「巻いて縛ってあげよっかって……言ってるの」


    ザァァア……ユラユラ……

    ソヨソヨ……


    エレン「………お前、変な奴だな」


    ミーナ「な!? ど、どーゆう意味よ!」///


    エレン「いや、だってよ……お前、オレのこと嫌いなんじゃねェのか?」


    ミーナ「嫌いよ! 嫌いだけど!」


    エレン(………)グサッ


    ミーナ「────……嫌いだからって、助けないなんて道理は無いでしょ」


    エレン「……!」


    エレン「……包帯なんて巻けるのか?」


    ミーナ「…できるよ、昔お母さんに教わったもの」


    エレン「母さんにか」


    ミーナ「うん」


    エレン「……どんな人なんだよ?」


    ミーナ「え? ……別に話す義理無いでしょ」フイッ

    スッ……バリッ……クルクルッ



    エレン「……そーかよ」


    ミーナ「窓の方向いて」


    エレン「あ? あぁ」クルッ


    エレン「………」


    ミーナ「頭、あまり動かさないでね。巻きにくいから」シュルッ……スッ…


    エレン「……あ、あぁ……」


  124. 195 : : 2019/07/01(月) 15:34:14

    ミーナ「………」シュルッ…シュルシュル


     ───すこし、キツイ言い方、またしちゃったかな……。ダメだ、一度仲良くなりたくないなって思った人とこんな話するのとか……


     慣れてなくてうまくいかない……。


    ミーナ「あ、もう、動かさないでってばっ」ググ


    エレン「いでででっ! わかったわかった、悪かったから無理やり頭動かすな痛てぇ!!」


    ミーナ「あ、ご、ごめん」


    エレン「いやいいけどよ……」


    シュルシュル……


    ミーナ「……………」


    ミーナ「私のお母さんはね」


    エレン「ん?」


    ミーナ「トロスト区の軍事病院……そこの軍医だったんだって」シュルッシュルッ


    エレン「……あ、あぁ」


    エレン(な、なんだよ。話してくれんのかよ)


    ミーナ「……主に、壁外調査から帰ってきた兵士の治癒に関わってたらしくて…色んな人を助けてた人らしいの」シュルル…ギュッギュッ


    エレン(調査兵団の兵士のか……)


    ミーナ「だから、私に色んなことを教えてくれた」


    ミーナ「この包帯の巻き方とか以外にも、止血の仕方とか、応急処置のやり方とか」


    ミーナ「────外の世界の、怖さとか」シュルッ………シュ……スッ


    エレン「…………!!」


    ミーナ「………私のお父さんは駐屯兵団の壁上固定砲を管理する部隊の隊長だから……いっぱい、調査兵団の人を見たって言ってた」


    エレン「……あぁ、それで?」


    ミーナ「みんな、誰一人として巨人の話なんてしたがらなかったよ」


    エレン「!」


    エレン「………」


    ミーナ「……ねぇ」


    エレン「…何だよ?」



    ザァァア……ソヨソヨ……チュンチュン

    ヒョォオオ



    ミーナ「……昨日は、」


    ミーナ「ごめんなさい」


    エレン「!」
  125. 196 : : 2019/07/01(月) 15:53:55

    ミーナ「初対面だったのに」


    ミーナ「あんな風に怒ったりして」


    ミーナ「…みっともなかったよね」


    エレン「いや、それは……」


    ミーナ「でもね、私にもちゃんと怒る理由あったの」


    エレン「!」


    ミーナ「あの時の直前に、私はあの荷馬車に乗っていた人たちと話したの」


    ミーナ「────泣きそうな顔で、言ってたの」


    ミーナ「私達はここから逃げ出すような『弱い人間』だけど」


    ミーナ「それでも、否定しないでいてくれた事が嬉しかった、って」


    エレン「………」


    ミーナ「…………確かに、あの人たちは強い人たちでは、ないかもしれない」


    ミーナ「でも私、あの人たちの気持ちすっごく分かった」


    ミーナ「臆病者って指さされてもそれでも、そうしなきゃ、そうでもしなきゃやってられない人だっている」


    ミーナ「………あなたが昨日言った言葉は、あの人たちの思いそのものを、全否定してるようにしか私には聞こえなかった」


    ミーナ「─────それが、許せなかった。だからそれが理由で……エレンのこと、最初の印象としては本当に最悪だったの」


    エレン「…………そう、かよ」


    ミーナ「……」


    ミーナ「────でも、私は」


    ミーナ「あなたのこと、エレンの事、何も知らない」


    エレン「……!」


    ミーナ「私は……エレンのこと何も知らないのに、勝手に自分の印象や価値観だけであなたのこと嫌いになってた」


    エレン「…………」


    ミーナ「………だから、ごめんなさい」


    ミーナ「謝りたかったの。……今ここにいるのは正直言うと、私の意思なの。それがずっと……言いたかったの……!」


    エレン(─────コイツ、なんか)


    エレン(今まで会ってきたどんな奴より)


    エレン(………すっげぇ、変わってるし。すっげぇ変な奴だ)


    エレン(……オレ、今までこんな素直で、良い奴と会ったこと…一度もねぇ気がする)


    エレン(……オレ、あの何気ない一言で…こいつの事も、その開拓地に行ったヤツらの事もそんなふうに否定しちまってたのか)


    エレン(────だとしたら、謝るべきなのはむしろ、)


    エレン「……いや、謝んのはむしろオレの方だろ、それ」


    ミーナ「え」


    エレン「……お前がそんなふうに思ってるだなんて知らなかった」


    エレン「オレ……オレはさ。
     ただ、巨人に立ち向かうことすらせずに壁の中に閉じこもる奴が嫌いなだけなんだ」


    エレン「………べつに、そいつらに対しても、お前に対しても、喧嘩を売るつもりでそんなふうに言ったわけじゃねぇんだ。───……でも」


    エレン「……どちらにせよ気を悪くさせたなら」


    エレン「悪かったよ。ごめん」


    ミーナ「…………」


    エレン「……………あ」


    エレン「────あ、あとさ」ポリポリ


    ミーナ「?」


    エレン「…………包帯、ありがとよ。すげえ、綺麗に巻けてる気がするコレ」


    ミーナ「…………!」


    ミーナ「……うん。それなら、良かった…!」ニコッ


    エレン「────」


    エレン「……今、思ったんだけどさ」


    ミーナ「? ……なに?」


    エレン「────お前、笑うと……なんつうか」




    エレン「可愛いな」




    ミーナ「え? ………ふぇ?」///


    ミーナ「は? え、ちょ、なな何言ってんの!? バカじゃないの!?」バシッ


    エレン「いっっ……で!!」


    ミーナ「………あ、ごめん」
  126. 197 : : 2019/07/01(月) 15:59:51

    ミーナ「……………///」カァアッ


    ミーナ(…………あれ、そういえば、男の子に可愛いなんて言われたの)


    ミーナ(初めて、な気がする)


    エレン「てて………そういや、オレまだお前の名前知らねぇんだけど」


    ミーナ「あ、そういえば」


    エレン「……聞いても、いいか?」


    ミーナ「────ミーナ。ミーナ・カロライナだよ」


    エレン「………エレン。エレン・イェーガーだ」


    エレン「なんっつうか…なかなか初対面とは思えねぇような濃い関わりの始まり方だけど」


    エレン「……これから、よろしくな」


    ミーナ「……」


    ミーナ(なんだ)


    ミーナ(この人、少し変わってるとこあるけど)


    ミーナ(…………もしかして、実は不器用なだけ、なのかな)


    ミーナ「(フフッ)………うん! よろしくね! エレン」スッ


    エレン「…! ……あぁ、握手か」


    エレン「……よろしくな、えーと、」


    ミーナ「アハハっ、ミーナでいいよっ」クスッ


    エレン「……おう、よろしくな」


    エレン「ミーナ」
  127. 198 : : 2019/07/01(月) 16:31:14


    エレン「さっきからずっと思ってたんだけどよ、なんで医務室の医者が居ないんだ?」


    ミーナ「あぁ、さっき別の訓練場でも一人ケガ人が出ちゃったらしいから、そっちの方に行っちゃったんだって。多分もう戻ってくるんじゃない?」


    ミーナ「……これ、勝手に包帯巻いちゃったし怒られるかな」テヘヘ


    エレン「んなこたねぇよ、オレが頼んだってことにしときゃいいしな」


    ミーナ「え、いいよそんなの…悪いし」


    エレン「いいんだよ、んなもん。なんつうかまあ……礼なんだしな」


    ミーナ「……もしかして、エレンって実は結構律儀なの?」フフッ


    エレン「うっせぇよ……」


    エレン「────そういや、あのさ」


    ミーナ「ん? なに?」


    エレン「……その代わり、聞きたい事っつうか、頼みがあってさ。立体機動の、姿勢制御の話なんだけど」


    ミーナ「あーーーねぇ、それの事なんだけど……そもそもの話、宙ぶらりんはともかくとしてもなんでそんなふうに頭を強打するなんて事になるの?」


    ミーナ「……もしかして、こう、ハンドルをくるくる巻いて上昇してる途中で既に前のめりになったとかそういうこと?」


    エレン「………………」


    ミーナ「あ、図星なんだ…」


    エレン「ちっが………」


    エレン「………………わねぇな」


    ミーナ「ふふっ、素直じゃないね」


    エレン「ほっとけよ…その通りだけどさ……」


    ミーナ「あはははっ」クスクス

  128. 199 : : 2019/07/02(火) 14:11:21

    エレン「……なんっつうか、その、悪ぃんだけどさ。頼む」


    エレン「どうすりゃ、あの姿勢制御は上手くいくんだ……? 教えてくれ」ペコ


    ミーナ「………」


    ミーナ「……うーん」


    ミーナ(─────困った、なぁ)


    ミーナ(私自身、ノアやソフィがコツを教えてくれたから出来たようなものだし……)


    ミーナ(………!)


    ミーナ「……うーん、ねぇ、エレン」


    ミーナ「エレンってさ、浮き上がった時何処に体重を掛けてた?」


    エレン「え? あー……」


    エレン「………腹?」


    ミーナ「いや腹筋じゃんそれ」


    エレン「わ、わっかんねェんだよ! 仕方ねぇだろ!」


    ミーナ「ふふふ、まぁわかんなかったら仕方ないね」


    ミーナ「私の場合女子だし、筋肉の付き方とか違うから男子のエレンとはまた変わるのかもしれない」


    ミーナ「だから、エレンの為になるような助言が出来るかどうか……」


    エレン「それでも構わねぇ! オレは、………オレはこんな所で諦めたくねぇんだ」


    エレン「(ギュウウッ…)オレは……」


    エレン「……何があろうと、ココでは、こんな所で兵士になる前に」


    エレン「──────終われねぇんだ」


    ミーナ「………!」




    ミーナ(────そう、だよね。諦めたく、ないんだもんね)


    ミーナ(……別に兵士になれなくても、開拓者として人類に貢献する事は、決して本当は悪い事じゃないと思う)


    ミーナ(……でも、世の中はそんな開拓者を軽視するような状況。……私は……私も、少なからず、それに流されてるとこある気がする)


    ミーナ(…………ここ2日間、いろんな人と話して…いろんな人の考えを知った。この2日間だけでも。なのに、それなのにエレンは)


    ミーナ(……私と違って)


    ミーナ(自分の意思で、ここにいるんだ)





    ミーナ「───────」


    ミーナ(私に、)


    ─────今できることは、きっと……
  129. 200 : : 2019/07/02(火) 14:17:52

    ミーナ「大丈夫だよ」


    エレン「……え」


    ミーナ「エレンならきっと、できるって思う」


    エレン「……何を、根拠にだよ?」


    ミーナ「──────」


    ミーナ「……何となく、かな?」


    エレン「なんだそりゃ」


    エレン「………そう、かよ……」


    ミーナ「……」


    ミーナ「ねぇ、エレン」


    エレン「ん?」


    ミーナ「これは私が聞いた助言だけど……」


    ミーナ「足先や指先、体中の先の先まで全体重をかけるつもりで、腹筋にもとにかく力を入れてみて」


    ミーナ「姿勢が崩れそうになっても、それでもしかしたら保てるかもしれない」


    ミーナ「エレンは他の人と違うものあるもの」


    エレン「どういう、意味だよ?」


    ミーナ「『諦めない』気持ち」


    エレン「!」


    ミーナ「────今ここで、終わるわけに行かないって気持ち」


    エレン「……………!!」


    ミーナ「その気持ちも、覚悟も、きっとエレンは誰にも負けてないはずだよッ!」


    エレン「……オレの」


    エレン「────根性、気持ち、か」


    ミーナ「うんっ!」
  130. 201 : : 2019/07/02(火) 14:21:44

    ミーナ「私の場合、正直言うとかなり危なかったもの」


    エレン「え……お前もヤバかったのかよ?」


    ミーナ「うん、あはは…まあ、正直言うとね」


    ミーナ「でも私の場合、その開拓地に行っちゃった子達の分も、頑張らなきゃいけない」


    ミーナ「────諦めたくない、終わりたくないって気持ちで、」


    ミーナ「あの時、必死に保った」


    エレン「………」


    ミーナ「だから、あの姿勢制御はとにかく力を均等に分散させながら…その上で絶対に諦めないことが大切だと思う!」


    エレン「…………ミーナ」


    エレン「……おまえ、どうしてオレをバカにしねぇんだ?」


    ミーナ「え?」





    ミーナ「────逆に、どうして必死な人を馬鹿になんて出来るの?」




    エレン「………………!」
  131. 202 : : 2019/07/02(火) 14:30:39

    ミーナ「私にはそんなこと、」


    ミーナ「絶対にできないもの」ニコッ


    エレン「──────────」


    ミーナ「それに、ね。エレン」


    ミーナ「多分、エレンのこと戻ってからもバカにする人、いると思うけど」


    ミーナ「ちゃんと頭を下げて頼めば、誠意を伝えれば教えてくれる人、いるはずだから」


    ミーナ「あんまり何を言われても気にしなくていいからね?」


    エレン「え─────」

    ガラララララッ


    ミーナ「…!」


    エレン「!」


    ミカサ「ミーナ」スッ


    ミーナ「あっ、ミカサっ!」


    ミカサ「エレンのこと見ててくれてありがとう。おかげで借用申請書を提出できた」ニコ


    ミーナ「ううん、どういたしまして」エヘヘ


    アルミン「(………タッタッタッ)───待ってよもうミカサ……早いよっ…」ゼェ ゼェ


    アルミン「あ、ミーナ! エレンも! 良かった、目が覚めたんだね」


    エレン「あ、あぁ。まぁおかげさんでな」


    アルミン「…!」


    アルミン(あれ、エレンの額のあの包帯……って)


    アルミン「ねぇエレン、医務室の先生きた?」


    エレン「あ? んや、来てねぇぞ?」


    エレン「なんでもミーナ曰く、他にもけが人出たらしいから急遽そっち向かったんだとさ」


    ミーナ「ウンウン」コクコク


    アルミン「…あ、そうなんだ」


    ミカサ「……エレンの事を先に優先して欲しいのに」


    アルミン「ま、まあまあミカサ」


    アルミン(………あれ。じゃああの包帯は……)


    ミカサ「エレン、怪我は大丈夫? 身体は平気? 何か私にできることは…」スッ


    エレン「い、いいっつうの! ミーナが包帯巻いてくれたし、だいぶ痛みはマシになったからよ」


    ミカサ「…そう」シュン…­­


    ミーナ「こらこら、エレン?? ミカサもアルミンも心配してくれてるんだからそんな言い方しちゃダメでしょ?」


    アルミン(────あれ? なんていうか、この二人……)


    エレン「な、なんだよお前まで……お前らはオレの母親か何かかっつうの────カン …カン…カン……


    ミーナ「あ…」
  132. 203 : : 2019/07/02(火) 14:42:59

    アルミン「────そろそろ夕飯みたいだね。食堂に行こうか」


    エレン「あぁ、飯か。そうだな……行くかな」


    ミカサ「エレン、手を貸す」


    エレン「いいっつうの」ギシッ


    ミーナ「そっか、じゃあもう行かなきゃか……」


    ミーナ「あれ、でもエレン…医務室の先生に怪我は見せなくていいの?」


    エレン「大丈夫だ、だいぶマシになったしな」




    エレン「お前のおかげだよ、ミーナ」




    ミーナ「─────え」ドキッ





    エレン「その……」


    エレン「…アレだ」


    エレン「──────ありがとよ色々」ポリポリ


    ミーナ「……………」///カァアッ


    ミーナ「────う、うん。まぁその、エレンの力になれてたなら、良かった」ボソッ


    ミーナ(────あ、アレ。なんで、私……今、ちょっとだけ……)


    アルミン「─────二人とも、いつの間にそんなに仲良しになったの?」クスクス


    エレン「は、はぁ?」


    ミーナ「ふぇ!? え、い、いやそんな事ないよ別にっっ」///


    アルミン「本当かなぁ」クスクス


    ミカサ「………………………」ムスッ


    ミカサ「……ミーナ、そういえばハンナたちが今日は一緒に食べようと言ってた。あなたは今日は一緒に行った方がいいと思う」


    ミーナ「あ…! それもそうだねっ」


    ミーナ「じゃあ私、ハンナたちに合流するから先行かなきゃっ!」タッタッタッ


    ミーナ「─────エレン、」ガララ


    エレン「んあ?」


    ミーナ「…………その、」スッ




    ミーナ「エレンなら、きっと大丈夫だから」


    ミーナ「──────頑張って、ね?」ヒョコ




    エレン「お……おぅ」


    ミーナ「それじゃ!」タッ…タッ…タッ…タッタッタッ……


    アルミン(………僕らが借用申請書を出しに行ってる間にどんな話したんだろ、この二人)


    アルミン(やけに仲良くなってるなぁ……)


    アルミン「さて、そろそろ行こっか、二人とも」


    エレン「あぁ、そだな」


    ミカサ「…………………」ムスゥ


    エレン「……? なんだよ、ミカサ。変な面してなにしてんだ? 行くぞ?」


    ミカサ「…………………なんでもない」ムスゥ
  133. 204 : : 2019/07/02(火) 14:46:56

    医務室職員「イェーガー君だったよね、ごめんごめん! だいぶ遅くなっちゃった!」ガラララララ

    トットットッ


    医務室職員「いやー第二訓練場の方でも打撲した訓練生が居てね……」シャッ……


    医務室職員「……って、アレ?」


    シーーーン


    医務室職員「……」


    ベット「」


    医務室職員「」


    医務室職員「………あ、アハハハハハ。あるぇ…おっかすぃな。なんでもぬけの殻………」


    医務室職員「せっかく急いで来たのに……」


    医務室職員「そりゃ無いでしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
  134. 205 : : 2019/07/02(火) 15:03:44

    _________
    _______
    _____
    ___
    _


    《食堂》


    ザワザワ……


    ハンナ「あ、やっときたーー!!」


    ルース「おっそいよーっ、ミーナのヴァカ!」


    ミーナ「ア、ハイ、スミマセン……」


    クリスタ「ゴメンね、先にご飯頂いてます」


    ミーナ「ドーゾドーゾお構いなく」テヘヘ


    訓練生「なぁダズ、あいつ確か昨日巨人を皆殺しにしてやるなんて言ってた奴だよな?」ヒソヒソ


    ミーナ「!」カタン


    ハンナ「? どうしたのミーナ、トレーを置いて固まって」


    ミーナ「え、あ、いや……」


    ミーナ「……」チラッ


    ヒソヒソ………ヒソヒソ……


    ダズ「あぁ。でもなぁ……一体どうやって巨人を皆殺しにするつもりなんだろうな」クスクス


    訓練生「まぁ明日には開拓地行きだろうよ」


    訓練生「“約立たず“に食わせる飯なんかねぇもんな」ゲラゲラ


    ミーナ「………………ッ」ギリッ


    ハンナ「み、ミーナ?」


    ミーナ「…あ、……………ううん、ごめん。なんでも、ない」ガタン……





    エレン「──────────」


    ミカサ「………レン」


    ミカサ「エレン!!」バキッ


    エレン「ぃ"っでっっ!!」


    ミカサ「食べなさい」


    アルミン「………き、気にしても仕方ないよ。明日出来ればいいんだから」カチャ


    アルミン「いただきます」


    ミカサ「いただきます」


    エレン「…………くっそ……」


    エレン「情けねぇ……こんなんじゃヤツらを根絶やしにすることなんか────」






    ミーナ「………」……ハムッ モグモグ


    ミーナ(……エレン、大丈夫かな…)



  135. 206 : : 2019/07/02(火) 15:25:22

    _______
    _____
    ___
    _


    《男子宿舎》



    エレン「……………」


    アルミン「え、エレン。どうする? 他の人にも助言聞きに行く? 正直今言った僕の助言じゃあまり力になれてる気がしないし」


    エレン「んや、理解出来ねぇわけじゃねぇんだけどよ……こう、なんつっうか、イメージが上手く出来ねぇと言うか」


    アルミン「うーん……」


    アルミン「!」


    アルミン「あ、ジャン! コニー!」


    エレン「げ、お、おいアルミン!」


    ジャン「あぁ? んだよ」


    コニー「ぽけ? どおしたよ、アルミン」


    アルミン「申し訳ないんだけど、エレンに少し姿勢制御のコツをアドバイスしてあげてくれないかな? どうも僕の力じゃ力不足かもしれなくて……」


    ジャン「あぁ? なんで俺がコイツに?」


    アルミン「頼むよジャン、君は結構姿勢制御上手かっただろ? 僕より正直上手かったと思うからさ。ほら、エレンも」


    エレン「……………………すまねぇ、頼む」ペコ


    コニー「う〜ん……コツかぁ…」


    コニー「………………悪ぃけど」


    コニー「俺天才だから感じろとしか言えん」ヘッ


    ジャン「ハッハッハッ! 俺ァ逆に教えて欲しいね」


    ジャン「あんな無様な姿晒しておいて」


    ジャン「正気保ってられるコツとかよォ」ニタァ


    エレン「ッッ………!!」


    アルミン(性格悪っ)


    エレン「お、お前ら………人が頭下げて必死に頼んでるのによ…!!」


    ジャン「でもよォ、お前、昨日言ってたんだろ? 力のない『弱い者』は去ればいいとか何とかよ」


    コニー「あれ? それか才能のない者は去ればいい、だったっけ? どっちだったっけ?」ニタァ


    エレン「ッッッ……………グッ…!!」フルフル


    マルコ「ま、まあまあまあまあそこまでにしなよ三人とも!!」


    アルミン(ナイスマルコ…………ッッッ)


    マルコ「エレン、僕からも助言できればしたげたいんだけど…正直少しなんて言ってあげればいいか分からないのもあるんだ……」


    マルコ「でも、あそこにいる二人なら実際僕よりも上手いって言われたから」


    マルコ「もしかしたら的確な助言をしてくれるかもしれない。エレン、アルミン、頼んでみるのはどうかな?」


    アルミン(あ、あの二人って……)


    エレン「……………」
  136. 207 : : 2019/07/02(火) 15:50:50

    エレン「頼む!! お前らすっげぇ上手かったって聞いたぞ!」バッ


    アルミン「すまない、僕からも頼むよ」


    エレン「ベルトルト! ライナー!」


    ベルトルト「……う、うーん…」


    ライナー「…………」



    ライナー「───すまんが、ぶら下がるのに大したコツがいるとは思えん」


    ライナー「お前が期待するような助言はしてやれそうにないな」


    ベルトルト「すまない、僕も正直……」


    エレン「そ、そうか……」ガクッ…


    アルミン「こ、こうなったらもう明日に賭けるしかないね……」


    ベルトルト「───────ねぇ、すこし、聞いてもいいかな」


    二人「え?」


    アルミン「う、うん。何?」


    ベルトルト「……二人は、話に聞いたんだけど、あのシガンシナ区出身、なんだよね?」


    エレン「……あぁ、そうだ」


    ベルトルト「─────じゃあ、巨人の恐ろしさも知ってるはずだ」


    ベルトルト「なのに、なんで」


    ベルトルト「………………どうして、君たちは『兵士』を目指すの?」


    アルミン「…………」


    エレン「…………」


    アルミン「僕の場合は、一年前行われた奪還作戦を強行したあんなめちゃくちゃな王政の事を考えて……じっとしてられなかった」


    エレン「……」


    _______


    ヒョオオオオオオオオオオオオオオオオ

    ゴオオオオオォォォォォォ…………



    アルミン『────何が、奪還作戦だ』


    アルミン『爺ちゃんを、僕の爺ちゃんを口減らしに殺したくせに…………!!!』ギリッ…


    エレン『───────アルミン、よせよ。聞こえるぞ、見回りのヤツらに』


    ミカサ『……雪で聞こえないし、彼らには私達のことなんて目に入らない。でも今は、田植えに集中した方がいい、アルミン』


    アルミン『─────ぅっ………グッ』ポタポタ


    エレン『────────』

    ミカサ『………………』



    ヒョオオオオオオオオオオオオオオオオ



    ________
  137. 208 : : 2019/07/02(火) 16:02:01




    ベルトルト「…………そっか」


    アルミン「ねぇ、僕からもいいかな? 二人は何処の出身なの?」


    ベルトルト「!」


    ベルトルト「……」チラッ


    ライナー「…!」


    ベルトルト「………………」


    ベルトルト「僕とライナーは、ウォール・マリア南東の山奥の村の出身なんだ」


    ライナー「…お、おい。ベルトルト」


    エレン「は? え、そこってさ……」


    ベルトルト「うん、おそらく君たちのイメージしてる通りだよ。そこは川沿いの栄えた街と違って、壁が壊されてすぐには連絡は来なかった。何せ連絡より先に巨人が来たからね。明け方だったよ……やけに家畜が騒がしくて、耳慣れない地響きが大きくなり、それが足音だと気付いて窓を開けたら─────」ブツブツ


    ライナー「おい、ベルトルト。よせ」


    ベルトルト「……っ! あ、ご、ごめん」


    アルミン「──────」ゴクッ


    エレン「……………」


    ライナー「こいつら引いてるじゃねぇか。なんたって今その話をすんだよ」


    ベルトルト「…………ライナー」


    ベルトルト「………うん、そう、だね。ごめん」


    ベルトルト「二人もごめん。…えっと、そのあとはよく覚えてない。みんな酷く混乱してて…」


    アルミン「そ、そっか……」


    ベルトルト「────その、つまり、僕が聞きたかったことは、」チラッ




    ザワザワ………



    ジャン「でよぉ、俺はあいつに言ってやったんだよ! そんな無様な姿を晒して平気でいられる方法の方が俺ァ知りたいってよ!」

    アッハハハハハハハ……





    ベルトルト「……………」


    ベルトルト「─────君は、『彼ら』とは違うんだって、ことなんだけど」


    エレン「…? どういう、意味だ?」


    ベルトルト「……」


    ベルトルト「場所、変えようか。時間はあるみたいだし」


    ベルトルト「ライナー、案内頼めるかな」


    ライナー「……あぁ、そうだな」チラッ


    ライナー「俺も、アイツらの戯言は聞いてて耳が耐えない」


    ベルトルト「2人とも、さっき配布された訓練生用のマントを着て外行こう、話をするにはいい所があるから」


    エレン「え、あ、あぁ。おう」


    アルミン「……そうだね、わかった」


    アルミン(二人とも、エレンに気を遣ったのかな)ギシッ

    キィ…キィ………アオーーーン……








    〜同刻〜


    《女子宿舎前 井戸》

    ジャバァァ…………ゴトン


    ミーナ「ふううぅ、疲れたぁ」


    ミカサ「(トッ トッ トッ)ミーナ」


    ミーナ「あ、ミカサ」


    ミカサ「今日は私がやるつもりだったから大丈夫だったのに」スッ


    ミーナ「あぁ、ごめん。わたし持つよっ」


    ミカサ「大丈夫、井戸汲みの水は私が残りは持っていく。ミーナは少し休んで。ミーナばかりにはやらせれない」


    ミーナ「そんな、いいのに…」


    ミカサ「……ミーナ、あなたはもう少し自分の為に時間を使ってもいいと思う。皆のために努力してくれる姿は尊いけど、少し私は見ていて苦しいものがある」


    ミーナ「そ、そぉかな? 私は別にお風呂最後でもいいしさ! 家でもそうだったし!」


    ミーナ「それに、私が頑張れば皆が少しでも長くお風呂に入ったり自由時間増えるならそれが一番だもの」


    ミカサ「……………」



    ミカサ「あとは任せて。お風呂に入ってきて、ミーナ」


    ミーナ「え、ほ、本当にいいの?」


    ミカサ「大丈夫」


    ミーナ「────わかった。ありがとう、ミカサ!」ニコッ


    タッタッタッ



    ミカサ「……………」


    ミカサ(────何となく、すこし、エレンがミーナにあんな表情をするのは)



    ______



    ────エレン『その、ありがとよ。色々と』ポリポリ

    _____


    ジャバアアッ…………



    ─────理解、できる気もした。




    バシャアアッ ゴトン
  138. 209 : : 2019/07/02(火) 16:10:49



    カポーーーーーン…

    ピチョン…………ピチョン………


    《女子風呂》


    チャプ……チャプ…バシャアアア……

    ミーナ「〜〜〜〜〜ッ、ぷっはぁああ………ふうぅ………」チャプ……


    ミーナ「訓練場の浴槽、ほんと、割と気持ちぃいなぁ〜」チャプチャプ……


    ミーナ「………」チャプ…


    ミーナ「……うーん、おっぱい、少しはおっきくなってるかなぁ」ムニムニ


    ミーナ「もう少し、おっきくならないかなぁ」ボソッ


    ミーナ(にしても、全然人居ないなぁ。もう皆最初の方に入っちゃったからかなぁ)キョロキョロ


    ミーナ「……」チャプ……ブククク…ブクブク…



    ───────エレン『お前って、笑うと可愛いな』



    ミーナ「ッッッ!! ぷはぁああっ!」/////////


    バシャッ!!


    ミーナ「…………な、なんで、私…あんなに嫌いだったエレンのこと…」






    ミーナ「こんな、考えてるんだろ……」






    ミーナ「……………話してて、楽しかった、のかな」


    ミーナ「………せっかく、仲良く、なれたのに。エレン、…………いなくなっちゃったら」




    チャプ………



    ミーナ「──────なんで、だろ」


    ミーナ「…………………何か」


    ミーナ「イヤだなぁ」


    ミーナ(…………)


    ミーナ「エレン、大丈夫、かな……」ボソッ









    ピチョン………………
  139. 210 : : 2019/07/02(火) 16:23:11

    ガラララララ


    スッ……


    ゴシゴシ


    ミーナ「ふしゅぅ〜気持ちよかったぁ」ゴシゴシ


    ガラララララ


    ミーナ「……!」


    トッ トッ トッ トッ


    ミーナ(………! あれ、この子って)


    アニ「………ふぅ」


    ミーナ(……すごい、綺麗な金髪。クリスタみたい)


    アニ「……!」


    アニ「……何?」


    ミーナ「ふぇ!? え、あ、その、なんでもない、です……」


    アニ「…そ。あんまりジロジロ見ないで」


    ミーナ「ご、ごめん……」ゴシゴシ


    ミーナ「…………」チラッ


    ミーナ(………すっごい汗かいてる)


    ミーナ「────トレーニングか何か、してたの?」


    アニ「!」パチ……シュル……


    アニ「………そうだけど、なんで?」


    ミーナ「いや、その、結構汗だくだし、何となく……?」


    アニ「……関係ないでしょ」


    ミーナ「あ、う、うん。ごめん……」


    アニ「格闘術」


    ミーナ「え?」


    アニ「練習してたの。毎日やれって、父親から教わった事だから」ヒタヒタ……


    ミーナ「え、えっと……その格闘術?のトレーニングが?」


    アニ「そう」ガラララ


    ミーナ「そ、そうなんだ」


    ミーナ「ちなみに、何の…」


    ガラララララ……ピシャッ


    ミーナ「……あ、行っちゃっ、た」


    ミーナ(────なんだかすごく冷たい子だなあ……私、なんか嫌われるようなこと、したかなあ)ヒタヒタ……ガチャ






    トッ トッ トッ トッ


    ミーナ「……? ん?」


    ミーナ「あれ? なにあのランタンの光…」


    ミーナ「……誰かいる、って……あれ?」


    ミーナ「………………エレン? アルミン? あと誰だろ…あとの二人、すっごい大っきいな」


    ミーナ(こんな時間にマントなんて着てどこいくんだろ……??)


  140. 211 : : 2019/07/02(火) 16:37:25

    _________
    _______
    ______
    _____
    ____
    ___
    _


    〜翌日〜


    《食堂前 渡り廊下》


    ミーナ「ふぁぁぁ……今日から立体機動訓練かぁ、装置ってどんなんなんだろ…」


    ノア「お、ミーナじゃん」


    ソフィ「ミーちゃん! おっは!」


    ミーナ「! ああ、2人とも!! おっはよ!」


    ノア「あいっかわらず腑抜けた面してんなあお前、ちゃんと寝てるか?」


    ミーナ「もー、ノアは開口一番失礼なんだからあ! ちゃんと寝てるもん!」プクー


    ソフィ「ふふふ、そういえばミーちゃん、昨日食堂行く前、医務室にいなかった?」


    ソフィ「たまたまトイレ行く時に通ったら、なんだか誰かと楽しそうに話してた声聞こえたんだけど……」


    ミーナ「え?」ドキッ


    ミーナ(──────ん? なんで今私ドキッてしてんだろ?)


    ミーナ「え、いやまぁ、その、ほら、昨日エレンが姿勢制御訓練の補習練習で怪我しちゃったみたいでさ……ミカサやアルミンと運ぶの手伝ってて!」


    ノア「……ん? お前そいつとはなんか険悪そうにしてなかったか?」


    ソフィ「うん、なんか二日前はそんな感じしてたけど……」


    ミーナ「え!? えぇ、いやまぁ、うん…まあ、色々あったんだよ、アハ、アハハハハハ……」


    ノア「ふーーん…」


    ノア「つうかとっとと飯食えよ? あと一時間後には宿舎前の第二訓練場で立体機動装置の解説講義するらしいぞ」


    ミーナ「え!? や、やば! ありがと二人とも! またあとでね!」タッタッタッ


    ソフィ「う、うん。頑張ってねぇ」フリフリ


    ノア「……アイツ、男子と仲良くなってるとことか見たことあるか? ソフィ」


    ノア「私はないんだが」


    ソフィ「…うん、実は私も……まあトロスト区には意地悪な嫌な男子ばっかだったからかもだけど」


    ソフィ(……ミーナ、もしかして……)

  141. 212 : : 2019/07/02(火) 16:45:46

    エレン「……………結局ぜんっっっぜん寝れなかったわ」


    アルミン「うわぁ、酷いクマ……」


    ミカサ「エレン、大丈夫?」キョロキョロ


    エレン「いや、平気だって。人の顔を舐めまわすようにジロジロ見んなよ」


    ミカサ「……」シュン


    アルミン(……もう、エレンは全く……ミカサは心配してるんだよ、君のこと……)


    ミーナ「あ、エレン! アルミンもおはよ!」


    エレン「おう、ミーナ」


    アルミン「おはようミーナ、今日も元気だね」


    ミーナ「えへへ! 元気がモットーですから! ミカサ、このあと立体機動の講義って第二訓練場で合ってる?」


    ミカサ「えぇ、合ってる。でも私は15分後に行われるエレンの補習を見てからそちらに行くつもり」


    エレン「いや来なくていいっつうの」


    ミカサ「ダメ」


    エレン「はぁ…」


    ミーナ「え、講義の前に補習やるの!?」


    エレン「………あぁ、どーやらそうらしい。今日朝礼ん時に教官から補習状をご丁寧に手渡しされたよ………」
  142. 213 : : 2019/07/02(火) 17:02:55

    ミーナ「ま、マジすか……」


    エレン「……はぁ、結局まともな助言なんてほぼ得られなかったしな…姿勢制御にはコツなんていらない、が大半だった」


    ミーナ「そ、そうなの……そっか」


    エレン「まあ、ライナーの奴がベルトの調整から見直してみろ、とは教えてくれたからやってみるっちゃやってみるけどよ」


    ミーナ(ライナー? 誰だろ、昨日一緒に居た人? エレンたち昨日どこ行ってたんだろ……)


    ミーナ「────そういえば。エレン、昨日私の言ったこと、忘れてない??」


    エレン「んあ?」


    ミーナ「昨日の私のじょ・げ・ん!」


    エレン「あ、あぁ…忘れてねぇよ。むしろ、今ちょうどお前が言ってくれたこと思い出してたところだ」


    ミーナ「!」


    エレン「オレ的には、むしろお前の助言の方が今よっぽどしっくり来てる」


    エレン「────オレにはハッキリ言って、多分……素質なんか無いかもしれねぇ」


    エレン「度量もねぇし、技術も……悔しいけど、今の時点じゃ何も無い……これだけは確かだ」


    エレン「でもな───もう理屈なんか知らん、根拠も無い」


    エレン「それでも……この気持ちも、覚悟も……根性だけは絶対誰にも負けねぇ!」


    ミーナ「!!」


    ミカサ「…!」


    アルミン「……」ニコッ





    エレン「オレはこんな所で、止まってなんていられねぇんだからよ」



  143. 214 : : 2019/07/02(火) 17:11:55

    ミーナ「………エレン……!!」


    ミーナ(……なぁんだ。私の心配なんて、これはいらなかったかな?)クスッ


    ミーナ「─────言ったわね、エレンっ?」


    エレン「!?」


    ミーナ「どーやら私の助言は役に立ったぽいし?? これは貸し1ってことにしよっかなぁ」ムフフ


    エレン「は、はぁ? んだよそれ」


    ミーナ「ふふふ、だ・か・ら!」


    ミーナ「─────ちゃんと、受かってよね」


    エレン「!」


    ミーナ「エレンがちゃんと兵士でいてくれないと、私にその借り返してもらえなくなっちゃうもん」


    エレン「な、なんなんだよそりゃ……ったくよ」ポリポリ


    エレン「……分かったよ、好きにしろよ」


    ミーナ「やった♪ 聞いたからね♪」


    ミカサ「……ねぇ、アルミン」コソ


    アルミン「ん?」ヒソヒソ


    ミカサ「……何か、この二人この前より妙に親しく感じるのは、気のせい?」ヒソヒソ


    アルミン「……さぁ」クスクス ヒソヒソ


    アルミン(────まさか、エレンに、こんな優しい女の子の友達出来たなんて)


    アルミン(なんだか、微笑ましいなあ)


    エレン「やべ、そろそろ行かねぇと」


    アルミン「はいはい二人ともそこまで! うん、そろそろ行こうエレン!」


    ミーナ「あ、じゃあ私も行く!」


    ミカサ「ミーナは準備しなくていいの? 食事は食べた?」


    ミーナ「あー、まあ、うん! 大丈夫!」ニコッ


    ミカサ「そう、ならいい。行こう」


    ミーナ(いやまあ本当は食べてないけどダイエットと考えて朝ごはん抜こ!!!)







    ミーナ(──────エレンのこと、やっぱり、放っておけないもの)




    タッタッタッタッタッタッ…………
  144. 215 : : 2019/07/02(火) 17:22:42

    〜15分後〜

    キース「時間だ」


    キース「ワグナー、準備を進めろ」


    トーマス「は、はい」ギシッ キリキリ


    エレン「………ッ…」ブラン……


    トーマス「………頑張れよ、エレン」ヒソ


    エレン「! あ、あぁ、ありがとよトーマス」コソ






    ミカサ「…………」


    アルミン「………(チラッ)」


    ミーナ「──────エレン……」ボソッ


    アルミン(…ほんとに仲良くなったんだなぁ、エレンとミーナ。すっごい心配してくれてる)


    ライナー「おう、アルミン」


    ベルトルト「やあ」


    アルミン「ライナー、ベルトルト! 見に来てくれたのか!」


    ベルトルト「心配、だからね」


    ライナー「まあ、昨日の今日だ。そりゃ気にもなる」


    ミーナ(あ、このふたりがライナーとベルトルト? かな。あとで挨拶しよ)チラッ


    ミーナ(───────エレン、)


    ミーナ(…………受かってよ……!!)







    エレン「────────っ」ドクン…


    キース「────エレン・イェーガー。覚悟はいいな? 今回の補習で落第と私が見なせば貴様は開拓地に移ってもらうぞ」


    エレン「……………ッ、はい。大丈夫です。お願い、します」


    キース「………」


    ______「特別でなきゃ、いけないんですか?」

    ______「少なくとも、私はそうは思いませんよ」


    キース「……………始めろ、ワグナー」


    トーマス「は、はい!」キリキリキリキリ


    エレン「………ッッ!」ギシッ




    ミーナ「──────……お願い…神様…」





  145. 216 : : 2019/07/02(火) 17:29:05

    キース「──────────」


    _______「だって、この子はもう偉いんです」


    キース「………………………ッ!?」






    ザワ_____!!!




    アルミン「!!! あ─────」


    ミーナ「──────!!!」




    ギシッ ギシッ……………ギシッギリッ……



    エレン(うおおおぉおおおおおおおおぉぉお!!!!!)ギシッ ギリッ………!!


    エレン「…………ッッッ、ッッ!!」


    エレン「………や、やった…っっ」




    エレン(できた………!!!)


    ミーナ(できた………っっ!!)





    キース「……………」


    キース(何故、抗う)


    キース(何故、お前は………)



    エレン「…………ッ!?」ギシッ ガシャッ!!


    グワン________ゴオォォォ!!!


    エレン「うっ、ぐっ、わぁああ!!」ブラン…………


    アルミン(ッあ………そんな………)


    アルミン(エレンの姿勢が………)


    ミカサ(崩れ……)


    エレン「……ッッッま、まだ!!!」


    エレン「まだやれる! オレは、まだ!!!」


    キース「───────降ろせ」


    エレン「───────────……ぁ」


    トーマス「し、しかし!!」


    キース「早く」


    キース「降ろせ」


    エレン「────────────」


    トーマス「……………ごめん、エレン」キリキリ……


  146. 217 : : 2019/07/02(火) 17:41:40

    ヒョオオオオオオオオ




    ミーナ(……………そん、な……)


    ライナー(……)


    ベルトルト「…………」


    ミカサ・アルミン「………………」



    エレン「……………オレ、オレ、は……」


    キース「………………………」




    ________「偉大になんて、ならなくてもいい」

    ________「人より優れていなくたって」


    ________「だってほら、見てくださいよ。こんなに、かわいい────」



    エレン「…………ッ、うっ、ぐっ、ううっ」ポロ…ポタポタ



    キース「…………」



    _______「この子はもう、偉いんです」



    キース(────この、目だ。そうだ。この、少年は……この子は………)


    ______「この子はあんたとは違う。私の子だ」

    ______「関わらないでくれ」


    キース(父親が、あの父親がかつてこの子どもに願ったように)


    キース(壁の外で自らの命を燃やし、そして壁の外で燃え尽きるのだろう)


    _____「この子はもう、偉いんです。だって──────」


    _____「この世界に」


    _____「生まれてきてくれたのだから」




    キース(母親の願いも)


    キース(想いも、知らずに)

  147. 218 : : 2019/07/02(火) 17:55:27

    ─────お前の居場所は、ここではない。

    幸せに、なれ。


    本当の自分に従って生きろ。

    父親の、呪いに、縛られるな─────






    キース「…………!」


    エレン「お願い、です………っ!」ギシッ


    エレン「もう一度、やらせてください!!」


    エレン「オレはまだ終わっていない!! こんな所で……オレはまだ終わりたくないんですッッッ!!!」


    キース「───────────」



    ─────あぁ、そうか。

    ─────この少年の鋼の様な意思は、

    例え、何があろうと、私には、折れない。




    たとえ、紅蓮の業火に焼かれようとも、

    たとえ、自由を求める双翼の翼がもがれたとしても、

    たとえ、幾度も友や自分の心臓を捧げる形になったとしても、

    たとえ、前に進み続けた結果、巨人の蔓延る暁の中に呑まれようとも、

    たとえ─────

    無残な屍の中へ、その身が共に紛れることになろうとも。

    その憧憬に、心を砕いたこの少年の意思は─────



    キース「………ワグナー」


    トーマス「は………ハッ!」


    キース「イェーガーとベルトの交換をしろ、今だけでいい。その後は回収する」


    ミーナ「…!?」


    ミーナ「………まさか、もしかして!!」


    アルミン「!? え?」




    ________
    ______
    ____
    __
    _





    ギシッ………ギリッギシッ……

    エレン「………え、なん、だこれ」


    エレン(さっきに比べて、姿勢制御がすげえ、楽……!?)



    エレン「………あ、あの、教官、これは」


    キース「……………装備の、欠陥だ」


    エレン「!!!?」





    ミーナ「やっぱり、そういう事だったんだ………!」


    ミーナ「…………ッ」


    ミーナ(よかっ、た…………これ、で、これでエレンは………!)


    サムエル「じゃ、じゃあいつ、一時は壊れた装備であの姿勢を………!?」


    ザワザワ………!!


    フランツ「す、すごいな………」


    アルミン「………ッッッ、じゃ、じゃあつまり結果は………」







    エレン「教官、それじゃあ、つまり…適正判断は………!?」


    キース「───────」


    ──────あぁ、そうだ。

    何故、忘れていたのだ。私は


    私は…………ただの傍観者にすぎなかったのだ……

    私には、何も、変えることは


    できないのだから……………








    キース「──────問題ない。修練に励め」
  148. 219 : : 2019/07/02(火) 18:02:33

    オオオオオオオ____!!!!


    パチパチパチ………!!!


    ミーナ「や、や、やった………!!」


    ミーナ「アルミン、アルミンアルミン!! エレン、エレンが、エレンが受かったよ!!」パァァァア!


    アルミン「うん………うん! 凄いよ、エレンは…………!!!」


    ライナー「フッ………何とかなったようだな」ニンマリ


    アルミン「あ! ハハハッ、目でどうだって言ってるよエレン」






    エレン(──────やった、やってやった!! やったぞ、ミーナ!! お前ら!!)


    エレン(見たかミカサ!! オレはやれる!! 巨人とだって戦える!!)


    エレン(これでもう、おめぇに世話を焼かれることはねぇな!!)




    ミカサ「………ッ!」


    ミカサ「………いや、違う」


    アルミン「え?」


    ミカサ「これで私と離れずに済んだとおもって、安心してる………」ニコッ


    アルミン「……」


    ライナー「……」


    ベルトルト「……」




    ミーナ(────良かった、ほんとうに、本当に………)フリフリ


    エレン「! ミーナ…!」フリフリ


    エレン(やったぞ、オレ………! お前のおかげで、受かったぞ!!)



    ミーナ(良かった………!)ニコッ


  149. 220 : : 2019/07/02(火) 18:04:42

    キース「──────」


    キース(グリシャ)


    キース(今日、お前の息子が)


    ─────兵士になったぞ…………







    _
    ___
    _____
    _______
    _________
  150. 221 : : 2019/07/02(火) 18:36:51

    _______そうして、847年のその日。

     第104期 訓練兵団は、300名近く居た志願兵の内、8割が訓練生として合格。残り2割が開拓地へと再び戻る事を選んだ。

     ミーナ・カロライナはその内の8割に無事に辿り着くことに成功し、晴れて立体機動訓練を開始することになった。

    _____だが、来るべき「その日」は……

     彼女へ、そして「少年(エレン・イェーガー)」へと迫っていた。





     彼らはまだ、この世界の真実を知らない。



     「その日」が来るまでは、あと3年。

     そして、その日からひと月後、彼は裏切りを知り、

     その二ヶ月後、立ち向かい続ける彼は、彼等は、思い知る事になる。
     
     残酷な真実を。不条理で、無慈悲な現実を。この壁の向こうの世界を。



     高い壁に閉ざされた未来は、始まりをもって鐘を鳴らす。








     自由を求めて羽ばたいた鳥は、一人の少女と同じく、この先の未来をまだ知る事はなかった─────



  151. 222 : : 2019/07/02(火) 18:41:12



















    進撃の巨人 attack on titan

    〜もしこの壁の中で一人の"少女"と"狩人"が 恋に落ちたとしたら〜










    次回



    第3章  「 友 達 」  - Annie Leonhart -






























    To be continued……
  152. 223 : : 2019/07/02(火) 18:41:58

    ここまでもし見て頂いてる方、ありがとうございました。ひっそりと、また1から書き進めます。頑張ります。









    空山 零句
  153. 224 : : 2019/09/07(土) 04:14:14
    2019/09


    本編前にprologue : 「彼女が見た世界」を追加執筆しました。宜しければご覧下さい。

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okskymonten

空山 零句

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進撃の巨人 ~ もしこの壁の中で一人の“少女”と“狩人”が恋に落ちたとしたら ~ シリーズ

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