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リヴァイ「王の帰還」 ⑨ 進撃×ロード・オブ・ザ・リング
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- 1 : 2015/07/17(金) 19:12:57 :
- 長かった進撃×ロード・オブ・ザ・リングのコラボも、第16話、第17話、最終話にておしまいです。
それぞれの旅路の果てを、頑張って書いていきますので、よろしくお願いします<m(__)m>
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- 2 : 2015/07/17(金) 19:14:10 :
暖かいような・・・・・・
眩しいような・・・・・・
いつの間にか俺はベットで寝ていて、朝の陽ざしに目が覚めた。
ここはどこだろうな・・・・・・
上半身を起こし、正面を見ると、俺は懐かしい人と再会することになったんだ。
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- 3 : 2015/07/17(金) 19:14:39 :
エレン「・・・・・・・・・・・・ガンダルフ?」
そこにいたのは、紛れもなくガンダルフだった。
でも、服も髭も髪も白くて、そこは以前とは違う。
すると、ガンダルフが屈託なく笑い始めた。
つられて俺も、一緒に笑った。
なぜここにいるかなんてどうでもよくて。
ただ今ここに俺たちがいることが分かればそれでもう良かったんだ。
ジャン「エレンッ!」
マルコ「気が付いたんだねッ!?」
笑い声に気が付いたのか、
あの悪ガキ二人組が入ってきた。
エレン「あれ? 何かお前ら、でかくなってねぇか!?」
ジャン「何言ってんだ? 元々だろ?」
マルコ「エレンも変なこと言うよね。」
ニヤニヤしながら言う二人。
エレン「へっ、確かに中身は変わってねぇなぁ。」
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- 4 : 2015/07/17(金) 19:15:26 :
ライナー「おぉ、気が付いたかッ! エレンッ!!!」
次に入ってきたのは、ライナーとアニ、そしてリヴァイだった。
エレン「アニ・・・・・・何というか、表情が柔らかくなったな。」
アニはちらとライナーを見ると、少し微笑んで答えた。
アニ「そうかも、しれないね。」
リヴァイ「おい、エレン。」
エレン「何だよ?」
リヴァイ「体の具合はどうだ?」
突然に優しくされて、俺は戸惑ってしまった。
エレン「え、あ・・・・・・げ、元気だぞ?」
ガンダルフ「リヴァイには感謝するのじゃな。」
エレン「えっ?」
ガンダルフ「死の直前までいったお前たちを救ったのは、リヴァイじゃったのだからのう。」
エレン「そうだったのか・・・・・・ありがとな、リヴァイ。」
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- 5 : 2015/07/17(金) 19:16:17 :
最後に部屋に入ってきたのは、アルミンだった。
遠巻きにアルミンは俺に目を合わせてきた。
皆と距離を置いてはいるものの、俺たちは何となく通じ合うことが出来た。
やったな・・・・・・アルミン。
俺たちは、使命を成し遂げたんだ。
――――――――お疲れ様、エレン。
エレン「!!!」
マルコ「ん? どうしたの? エレン?」
エレン「・・・・・・いや、ベルトルトの声が・・・・・・聞こえた気がして・・・・・・。」
俺の言葉に、皆が静かになった。
ややあって、リヴァイが口を開いた。
リヴァイ「俺は・・・・・・お前との約束を果たした。どうか俺たちを、見守っていて欲しい。」
部屋の中を、一陣の風が吹き抜けた。
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- 6 : 2015/07/17(金) 19:25:28 :
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第16話
王の帰還
眩しい太陽の光が、白い都を照らし出す。
第七環状区はたくさんの人で埋め尽くされていた。
庭園には枯れていた白の木が息を吹き返し、白く可憐な花をたわわに咲かせていた。
王宮の前の扉ではガンダルフがライナーから銀の王冠を受け取り、それを高く掲げた。
そしてゆっくりと、目の前に跪いている男の頭にそれを載せた。
ガンダルフ「いよいよ、王の御代は来たれり!」
高らかな声で宣言をするガンダルフ。
王となった男―――――――リヴァイは、ガンダルフを見上げると、少しばかり微笑んだ。
ガンダルフ「御代に祝福あれ。」
そういうとガンダルフは、ライナーと共に王の両脇へと移動した。
王はゆっくりと立ちあがり、踵を返すと、民衆から祝福の拍手と歓声が巻き起こった。
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- 7 : 2015/07/17(金) 21:49:53 :
- もうすぐ終わってしまいますね…
ラストスパート頑張ってください!!
期待!!!
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- 8 : 2015/07/18(土) 00:54:35 :
- いつも期待ありがとうございます!
頑張ります!
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- 9 : 2015/07/18(土) 00:55:24 :
リヴァイは歓声と拍手を手で制すると、ゆっくりと話し始めた。
リヴァイ「この日は俺のためじゃない・・・・・・お前たちのための日だ。
共に世界を再建し、訪れた平和を享受しよう。」
再び拍手と歓声が巻き起こる。
白の木までもリヴァイ―――――――エレスサール王を祝福するようにその白い花弁を散らし始めた。
すると、リヴァイは静かに歌を歌い始めた。
エルフ語で、自らの出自を紡いでいく。
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- 10 : 2015/07/18(土) 00:56:10 :
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<わが祖先エレンディルは、
風の翼に乗って中つ国へやってきた。そして歌った。
"大海を超えて、中つ国に来た。
私も、世継ぎの者たちも。
この地に住もう。
この世の終わりまで。">
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- 11 : 2015/07/18(土) 00:57:18 :
歌い終わったリヴァイはまっすぐ前に進み、ゴンドールやローハンの諸将に挨拶を交わした。
新たにローハンの王となったイアン。
イシリアンの大公となったエルド。
その妻になったリコ。
ナイルやハンジ、サシャといったゴンドールの指揮官たち。
ハンネスやコニーといったローハンの軍団長たち。
次にリヴァイは来賓のエルフたちに挨拶を交わす。
リヴァイは共に戦ったアニと向き合うと、共に右手を伸ばし、左肩の上に置いた。
リヴァイ<・・・・・・ありがとな。>
エルフ語で語り掛けるリヴァイ。
すると、アニは視線を後ろの方へとずらした。
リヴァイがその視線を追っていくと、そこにはエルヴィン卿と・・・・・・・・・・・・
淡いグリーンのドレスを着たペトラがそこにいた。
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- 12 : 2015/07/18(土) 00:58:05 :
エルヴィン「さぁ、ペトラ。」
父親であるエルヴィンが、喜びと悲しみの入り混じった表情で娘を送り出す。
ゆっくりとリヴァイに近づくペトラ。
リヴァイはまるで確かめるかのように、ペトラの顎を右手で持ち上げた。
二人を隔てる壁は、もう存在しなかった。
溺れるようなキスをして、ようやく二人は結ばれた。
弾けるような笑顔で、ペトラは王を抱きしめた。
エレンとミカサ、トゥオルとイドリルに続き、人間とエルフは三度結ばれたのだった。
―――――――これで、良かったのだ。
別離の悲しみを押し隠し、エルヴィンは娘を祝福した。
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- 13 : 2015/07/18(土) 00:59:00 :
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ペトラが側に寄り添い、最後にリヴァイは四人のホビットの前に立った。
エレン、アルミン、ジャン、マルコの四人は、緊張からか、ぎこちない礼をした。
すると、リヴァイは一言、声をかけた。
リヴァイ「お前らが頭を下げる必要は無い。」
次の瞬間には、リヴァイが膝を折って頭を下げた。
ペトラを始め、周りの人間たちやエルフたちも一様に膝を折り、頭を下げる。
ゴンドールやローハンの諸将、エルフたちも、民衆も、その場にいた誰もが彼らに頭を下げた。
それは、小さいながらも並外れた勇気を示した、四人の勇者たちに対する、最大級の賛辞であった。
四人の勇者たちは、誇りと困惑が入り混じった表情で、それを受け取った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 14 : 2015/07/18(土) 01:00:00 :
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――――――――こうして、中つ国の第四紀は始まった。
旅の仲間は、永遠の友情と愛に結ばれてはいるものの・・・・・・解散した。
ガンダルフが俺たちを送り出してから13ヶ月。
俺たちは懐かしいものを目にしたんだ。
俺たちの故郷――――――――シャイアだ。
第17話
帰郷
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- 15 : 2015/07/18(土) 01:00:43 :
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小ぶりなポニーに乗って、俺たちは悠々と、シャイアへと帰ってきた。
エレン「な~んにも変わってねぇな! アルミン!」
アルミン「ホントだね・・・・・・何だか、一年前に旅立ったのが夢みたいに思えてくるよ。」
目の前に見えるのは、今日もせっせと畑仕事に精を出すホビットたち。
相変わらず中は快適な穴蔵の住まい。
そして、子孫代々受け継がれてきた質素で、慎ましやかな暮らし。
ジャン「まぁ俺たちは目線が若干高くなったけどよ。」
マルコ「まぁね。それだけでもなんだか新鮮に見えるな。」
相変わらずこいつらは背丈が伸びたことを自慢してくる。
アルミン「僕もそのエント水飲みたかったな~・・・・・・。」
一番小柄なアルミンはぼやいた。
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- 16 : 2015/07/18(土) 11:50:23 :
やがて日が暮れて、俺たちの足は自然と緑龍館に向かっていった。
店の中はいつも通り・・・・・・ホントいつも通りの賑わいをみせている。
皆が一日の仕事の疲れを癒しに、塩漬け豚をつまみにビールを飲んでいる。
マルコ「持ってきたよ。」
かくいう俺たちもいつものように、塩漬け豚とビールを注文した。
それぞれがジョッキを持ち、言葉を交わすことなく乾杯すると、漸く、あぁ、一仕事終わったなという感慨に俺たちは耽った。
アルミンが笑い、ジャンが悪態をつき、マルコがそれを宥め、或は窘めている。
変わらない日常の、変わらない風景・・・・・・。
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- 17 : 2015/07/18(土) 11:51:47 :
すると突然、アルミンの目つきが変わった。
その視線の先には、この緑龍館の看板娘であるクリスタがいた。
クリスタもアルミンに微笑みかけている。
アルミンはビールを一口グイッと飲むと、立ち上がってクリスタのほうへと歩き始めた。
マルコ「アルミン・・・・・・戦闘態勢だね。」
ジャン「あいつ、あんな積極的だったか?」
エレン「あぁ、あいつは目的のためなら命すら投げ打つ男だよ。」
比喩じゃない・・・・・・本当の話だ。
俺を助けようとして、上古の怪物シェロブをたった一人で駆逐したという話は、もはや伝説だろう。
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- 18 : 2015/07/18(土) 12:15:00 :
アルミンがクリスタと挙式したのは、それから数か月後のことだった。
ダリスじいちゃんの誕生日パーティが行われたあの広場で、アルミンとクリスタの結婚式は開かれた。
ホビットらしい、つつましやかな結婚式。
でも、花嫁姿のクリスタが、式に花を添えていた。
アルミンがクリスタにそっと誓いの口づけをすると、周りからは祝福の拍手と歓声が上がった。
花嫁がブーケトスをすると、マルコがそれを受け止めた。
マルコ「次は・・・・・・俺たちの番かな?」
マルコは横にいるガールフレンドに、こっそりウィンクして見せた。
マルコが結婚したという話はそれから数か月後のことであったし、
そのさらに数か月後には、ジャンも相手を見つけて結婚することになった。
俺の仲間たちは皆、元あった日常へと帰っていく。
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- 19 : 2015/07/18(土) 12:15:56 :
-
・・・・・・・・・・・・失った日常をどうすれば取り戻せるだろう?
どうすれば?
でも、心の中では分かり始めている。
俺の日常は、もう元には戻らないということを・・・・・・。
時が癒せないものがある。
受けた傷は体に残り、永遠に癒えることはない。
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- 20 : 2015/07/18(土) 12:18:04 :
袋小路屋敷の書斎の中で俺は、物語の仕上げを行っていた。
ダリスじいちゃんが書き始め、俺が途中から書き継いだ物語だ。
エレン「・・・・・・うっ。」
思わず俺は左肩を押さえる。
冷気にも似た痛みが、一年に一度、必ず蘇るからだ。
アルミン「やっぱり、痛むのかい?」
丁度書斎に入ってきたアルミンがエレンに尋ねた。
エレン「・・・・・・風見が丘で俺が刺されてから既に四年・・・・・・まだ傷口が痛むんだ・・・・・・。」
アルミン「相変わらず・・・・・・左腕はわずかに透けたままなんだね。」
エレン「・・・・・・いつから気付いていたんだ?」
アルミン「・・・・・・裂け谷で君の看病をしていた時から。」
エレン「・・・・・・お前には敵わねぇな。」
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- 21 : 2015/07/18(土) 12:20:00 :
そう言うとエレンは、僕に今まで書き記していた本を見せた。
たまにこうやって僕に見せては、推敲をするのが日課になっていた。
エレン「本のタイトルを書き加えたんだ。」
エレンは一番最初のページを開いた。
そこには、ダリスおじいちゃんの字で、タイトルが記されていた。
行きて帰りし物語
ホビットの冒険
ダリス・イェーガー著
そして、その下に、新たにエレンの字で、タイトルが書き加えられていた。
ロード・オブ・ザ・リング
エレン・イェーガー著
エレンはこのタイトルを僕に見せると、そっと本を閉じた。
アルミン「後は僕がチェックを入れれば完成かな?」
エレン「まぁだいたいはそんなんだけど、まだ未完成の部分があるんだ。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 22 : 2015/07/18(土) 12:39:27 :
ダリスじいちゃんは言っていた。
"わしの物語は終わり、後はお前たちが語り継げ"と。
じいちゃんの物語は終わった。
じいちゃんの旅も終わる・・・・・・あと少しを除いて。
早朝のホビット庄において、俺たち四人はポニーに乗って、とある人物を待っていた。
馬に曳かれた馬車に揺られて、手綱を握っているのはガンダルフ。
高貴なる白の魔法使い。
そして、布の覆いがつけられた馬車の中に座って待っていたのは、ダリスじいちゃん。
じいちゃんはすっかり年老いて、顔はもう皺くちゃだった。
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- 23 : 2015/07/18(土) 12:40:07 :
ダリス「エレンや・・・・・・エレンや・・・・・・わしは一体、どこに行くんじゃ?」
俺は馬車の中、じいちゃんの隣に座り、話に耳を傾けていた。
エレン「港だよ、じいちゃん。エルフが中つ国を去る最後の船に、じいちゃんは特別に招待されたんだ。」
ダリス「エレンや・・・・・・わしに、あの指輪をもう一度、見せてはくれんか?」
――――――じいちゃんはもう歳を取ったんだな。
エレン「ごめん・・・・・・無くしたんだ。」
ダリス「なんと!? ・・・・・・残念じゃな。もう一度、触ってみたかった。」
じいちゃんがそのまま眠りにつくと、俺もじいちゃんに寄り添って、意識を手放した。
最終話
灰色港
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- 24 : 2015/07/18(土) 13:07:58 :
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僕らがリンドンの灰色港に着いたのは、既に日の傾いた夕暮れ時だった。
第二紀の黎明に、ギル=ガラドとキアダンによって築かれたこの港は、ゆうに6千年以上の歴史を持つ。
そして、エルフたちはここから、彼らの故郷である至福の国、ヴァリノールへと去っていく。
僕とエレンでダリスおじいちゃんを支え、僕らは灰色の船が停泊している波止場へと辿り着いた。
ダリス「おぉ!? これは・・・・・・初めて見る光景じゃ!」
おじいちゃんの目の前に広がる風景。
水平線に夕日がゆっくりと沈んでいき、カモメが静かに鳴いている。
波止場には、エルヴィンやガラドリエル、ケレボルン、そしてこの港の領主であるキアダンが、既におじいちゃんの到着を待っていた。
おじいちゃんはゆっくりとエルフたちに頭を下げ、エルフたちもお辞儀を返した。
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- 25 : 2015/07/18(土) 13:09:00 :
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ガラドリエル「エルフの三つの指輪の力は尽きました。そして始まったのです。人間の時代が。」
その指に水の指輪、ネンヤを輝かせて、ガラドリエルは言った。
エルヴィン<海が、我々を呼んでいる。>
三つの指輪の内、最も力のある指輪だった風の指輪、ヴィルヤを嵌めたエルヴィンは、おじいちゃんに片手を差し出した。
ダリス「わしはいつでも、新しい冒険に出る準備は出来ています!」
130歳を超えたとは思えない健脚で、ダリスは意気揚々と一人で歩き出した。
エルヴィンにエスコートされ、灰色の船に乗っていく。
ガラドリエルはふと微笑むと、夫のケレボルンと共に船に乗った。
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- 26 : 2015/07/18(土) 13:09:50 :
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最後に、ガンダルフが前に出て、四人のホビットと向かい合った。
ガンダルフ「さらばじゃ。勇敢なるホビットたちよ。
わしの中つ国における役割は終わった。
名残は尽きないが、この大海の端にて、仲間のえにしは終わる。」
微笑むガンダルフに、僕はこみ上げる熱いものを堪えることが出来ずに涙を流した。
ジャンも、そしてマルコも同様だった。
ガンダルフ「泣くなとは言わぬ。すべての涙が悪しきものとは限らんのでな。」
その指に、今や堂々とエルフの火の指輪、偉大なるナルヤを嵌めたガンダルフは灰色の船に向かって歩き出した。
船に乗る前に、振り返ったガンダルフは、呼びかけるように言った。
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- 27 : 2015/07/18(土) 13:11:31 :
ガンダルフ「時間じゃ、エレン。」
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- 28 : 2015/07/18(土) 13:18:22 :
アルミン「・・・・・・・・・・・・えッ!?」
思わず僕らは、振り返ってエレンを見た。
アルミン「どういうことなの!? 教えてよ!!!」
エレン「・・・・・・・・・・・・ホビット庄を救いに俺たちは旅立った。
俺たちの故郷は救われたんだけどな・・・・・・。
俺はもう、いかなくちゃならねぇんだ。」
――――――――僕は、気が付いていたのかもしれない。
エレンが心身に受けた傷は深すぎて、もはや癒される望みがないということに。
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- 29 : 2015/07/18(土) 13:33:46 :
するとエレンは、懐から本を取り出した。
ダリスおじいちゃんからエレンへと、書き継がれてきたあの本だ。
エレン「お前がこの本を書き上げるんだ、アルミン。」
アルミン「やっぱり君は・・・・・・ずるいよ・・・・・・僕はもう、そうするしかないじゃないか!」
その本を受け取ると、もう駄目だった。
本当にエレンが去ってしまう。
その悲しみで胸がいっぱいになった。
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- 30 : 2015/07/18(土) 13:34:19 :
エレンはそのまま、ジャンと向かい合った。
エレン「わりいな、馬面・・・・・・アルミンを、頼んだぞ。」
ジャン「この・・・・・・死に急ぎ野郎が!」
涙でくしゃくしゃになったジャンが、エレンと抱擁を交わした。
最初で最後、別れの抱擁。
次にエレンは、マルコと向かい合う。
エレン「・・・・・・ひでぇ顔だな。」
マルコ「大きなお世話だよ! エレン!!!」
マルコもまた、エレンと抱擁を交わした。
最後は僕と、抱擁を交わした。
僕はしがみつくように、強く、強くエレンを抱きしめた。
エレンが僕を離すと、エレンはそっと僕の額に口づけをした。
深い親愛の証――――――――――僕との永遠の友情をエレンは形にした。
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- 31 : 2015/07/18(土) 13:34:57 :
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エレンは、ガンダルフが差し出す左手を掴み、一緒に船に乗った。
帆を上げて静かに出航していく灰色の船。
船の上でエレンは、僕たちを見て最後に・・・・・・・・・・・・微笑んだ。
それは、一点の曇りもない、純粋な笑顔だった。
ジャンとマルコの二人が去っても、僕は水平線の彼方を見つめ続けた。
灰色の帆が、沈んでいく夕日の中に、見えなくなるまで。
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- 32 : 2015/07/18(土) 13:40:34 :
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- 33 : 2015/07/18(土) 13:41:55 :
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―――――――俺の大切なアルミン。
二つのものに引き裂かれず、
欠けることの無い一つのものになって、
多くのことを楽しみ、
良い人生を送って欲しい。
お前の物語は、まだ、続くから。
袋小路屋敷に戻ったアルミンは、妻のクリスタや子供たちに向かって、呟いた。
アルミン「ただいま・・・・・・戻ったよ。」
The End
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- 34 : 2015/07/18(土) 13:45:24 :
- 以上で、進撃×ロード・オブ・ザ・リング、終了になります!
ここまで応援してくださったルカさんを始め、読んでくださった読者の皆様に感謝いたします。
本当にありがとうございました<m(__)m>
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- 35 : 2015/07/18(土) 19:01:01 :
- お疲れ様でした!(*^^*)凄く長い長編でしたね!俺は原作をあまり知りませんでしたが楽しく読ませて頂きました!
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- 36 : 2015/07/18(土) 19:16:22 :
- コメントありがとうございます!
もういろいろ入れ尽くして、しばらくは作品をかける気がしないですw
エレンの最後は、原作でも涙でした。
故郷は救えたものの、自分を救うことが出来なかった。
いつかガラドリエルが予言したとおり、この旅は、エレンが犠牲になって成し遂げられたという苦い結末に終わりました。
そして遂にエレンは、この世に幸福を見出せなくなって、西方へと去っていく。
決してハッピーエンドではない結末。
私のお気に入りでもあります。
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- 37 : 2015/07/18(土) 21:28:13 :
- 本当におもしろかったさです!!!!
ロードオブザリングは最後泣けます…
最後に一言!
乙です!!!!!!!!!!!
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- 38 : 2015/07/19(日) 09:48:40 :
- お疲れです。ずっと読んでましたけどコメントするのはたぶんお初ですね。次回作は何かのコラボかもしれないしオリジナルかもしれないですがどちらにしろ期待しております!!
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- 39 : 2015/07/19(日) 17:32:51 :
- 前作もですが楽しく面白く見ることができました!
お疲れ様でした!
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- 41 : 2015/07/22(水) 00:48:24 :
- トム・ボンバディル、グロールフィンデル
イムラヒル、ベレゴンド、ハルバラド
エルロンドの双子、ガン・ブリ=ガンetc……
映画未登場キャラは誰かいる?
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- 42 : 2015/07/22(水) 17:20:58 :
- 基本的に映画版を下敷きにしましたので、そんなに出てないですね・・・・・・。
元々登場人物がかなり多く、書いていると中々全容を把握しきれなくなってくるので、映画版を基本にしようと思ってカットです。ゴメンナサイ
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- 43 : 2015/07/23(木) 01:08:49 :
- 何となく、ハンジはイムラヒル大公なんじゃないかと思って読んでた
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- 44 : 2015/07/25(土) 18:25:34 :
- 読み返してみましたら、確かにイムラヒル大公っぽい活躍をしていましたねw
となりますと、サシャはベレゴンドに近いキャラになっているといったところでしょうか。(ラス・ディネンには入っていないのですが。)
名無しさんのような、指輪物語に詳しい方にも読んでいただけて、感激です。
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