この作品は執筆を終了しています。
エレン「旅の仲間」 ⑥ 進撃×ロード・オブ・ザ・リング
-
- 1 : 2015/05/19(火) 02:38:21 :
- 進撃×ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間の第6話です。
http://www.ssnote.net/series/2230
-
- 2 : 2015/05/19(火) 02:41:27 :
なぜお前は、オークが出来たかを知っているかね?
―――――――元々はエルフだった。
だが、大魔王モルゴスに捕えられ、拷問され、体を切り裂かれて、今の醜い姿となった。
このわしが、人間と掛け合わせて完璧な姿した。
サルマン「我が頼もしきウルク=ハイよ。お前の主人は誰だ?」
醜悪な見た目に、オークよりも立派な体格を持つ屈強な戦士ウルク=ハイ――――――その首領、ラーツは答えた。
ラーツ「サルマンッ!!!」
-
- 3 : 2015/05/19(火) 02:42:44 :
-
アイゼンガルドの巨大な穴の中で、ウルク=ハイの部隊が武装し始めた。
――――――――昼夜問わず燃やされ続けている溶鉱炉からできた鎧や武器を身に纏い、体に傷を施していく。
グオオォォォオオォォオオオォォォッ!!!
ザシュッ!!!
体に引っ掻き傷を刻み込まれ、雄叫びを上げるウルク=ハイ。
苦痛と怒りが体へと蓄積され、それは、敵意と闘争心へ還元されていく。
堕落した白の魔法使いは醜悪な軍勢の中央に進み出て、彼らに発破をかけた。
サルマン「お前たちはウルク=ハイだ。敵の喉笛を掻っ切り、その肉を喰らえッ!!! 人間の肉の味を知れッ!!!」
グォォオォオォォォォオオォォオォォォッ!!!
ウルク=ハイたちが雄叫びを上げる――――――そのさなかにサルマンはラーツに命じた。
サルマン「貴重なエルフの武器を持つホビットは無傷でここに連れてくるのだ。」
―――――権力の虜となったサルマンは、見たわけでもないのに一つの指輪に執着し始めていた。
サルマン「・・・・・・・・・・・・他の奴は殺せッ。」
ウルク=ハイの中隊が、アイゼンガルドの巨大な穴の中から足場を通り、連隊を組んで走り出ていく―――――・・・・・・・・・・・・
エレンたち―――――旅の仲間へ、アイゼンガルドから追手が放たれた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 4 : 2015/05/19(火) 14:58:49 :
第6話
ロスロリアンの森
モリアの坑道を抜け、オークから逃げるように移動してきた俺たちは、ロスロリアンと呼ばれる森へと辿り着いた。
鈍い金色の葉を持つ木々は不思議な光を帯び始めていた。真っ直ぐに伸びた鈍い銀色の幹が上部で王冠のように枝分かれしていく―――――中つ国でこの森にしか生息しない木、マルローン樹。
森の奥に進むにつれ、木々は大きく、光を増していく。
すると、ライナーが周囲を警戒しながら、エレンたちホビットに語り始めた。
ライナー「気を付けろよ、お前ら。この森は入ったら出られねぇってもっぱらの噂だ。」
マルコ「えっ!?」
ジャン「おいマジかよ!?」
ライナー「あぁ・・・・・・・・・・・・何でも、この森にはエルフの魔女がいるって話だ。」
真に受けるジャンとマルコに対し、エレンとアルミンは・・・・・・・・・・・・
アルミン「う~ん・・・・・・。リヴァイが知らないでこの森に入るとは思えないし、実際は違うんだろうね・・・・・・。」
エレン「だよな・・・・・・。」
――――――冷静に状況を分析していた。
-
- 5 : 2015/05/19(火) 15:01:02 :
――――――エレン・イェーガー―――――・・・・・・・・・・・・
エレン「!!!」
頭の中に、女性の声が・・・・・・響いてくる?
――――――運命に導かれて、お前はここに来た――――――・・・・・・・・・・・・
アルミン「どうしたの? エレン? キョロキョロして?」
エレン「えっ!? いや・・・・・・・・・・・・。」
――――――この森に、災厄を持ってきた――――一つの指輪を――――・・・・・・・・・・・・
エレン「!!!」
――――――どうしてこのことを知っている?
というより、この声は一体誰なんだよ・・・・・・・・・・・・分からねぇ・・・・・・・・・・・・。
ライナー「まぁこの俺なら魔女に騙されねえけどな――――――てうぉッ!?」
――――――ロスロリアンのエルフたちに包囲され、弓を向けられるエレンたち。
アニが既に弓を構え、お互い矢尻を向け合っている。
リヴァイは両手をあげ、敵意のないことを示した。
ひときわ背の高いエルフが、ライナーに言葉をかけた。
ミケ「お前はよく匂うからな。遠くからでも目を瞑ってお前を射殺せる。」
――――――ミケはライナーを痛烈に皮肉り、ライナーは渋い顔をした。
ミケ「ロスロリアンの奥方がお待ちだ。俺についてくるといい。」
リヴァイ「悪いな、ミケ。案内を頼む。」
-
- 6 : 2015/05/19(火) 17:24:16 :
ミケに先導され、ロスロリアンの森の奥へ奥へと進む旅の仲間たち。
やがて、ひときわ大きい――――――盛り上がって山のように大きいマルローン樹が遠くに見え始めた。
ミケ「カラス・ガラゾン――――ここはガラズリム が住まう都だ。」
そのマルローン樹の麓は、大きく広がった枝と緑によって、昼間であるのに夜のように暗く、その巨大な幹には、木でできた流線型の螺旋階段が巻き付くようにつけられていた。
枝に広がる銀色の葉には青白い光が灯り、階段を昇っていくごとにその光は強さを増していく。
ちょうど幹が枝分かれするところに、ガラズリムたちの住居――――――木の上に作る流麗なデザインの住居、フレトが築かれていた。
-
- 7 : 2015/05/19(火) 17:24:57 :
エレンたち一行がその光輝くフレトの中に入ると、二人のエルフが手をつないで階段を降りてきた。
銀髪の長い髪を持つロスロリアンの領主――――――ケレボルン。
そして―――・・・・・・・・・・・・
まるで夕日の光を纏ったかのような金髪を持つエルフの女性が降りてきた。
まだこの世界に太陽と月が昇る以前より生きる上のエルフ―――――この中つ国に残る上のエルフの中でも最も強大な魔力を持った魔女、ガラドリエル。
ケレボルン「旅の仲間は九人で裂け谷を出発したと余は聞いていたが、ここにいるのは八人だけ・・・・・・。」
厳かな声で、ケレボルンは語り始める―――――その言葉に、旅の仲間は喪失感で胸を掻き毟られた。
ケレボルン「余は灰色のガンダルフと話がしたい。ガンダルフはどこにおる?」
-
- 8 : 2015/05/19(火) 17:25:59 :
すると、何かを感じ取ったのか、ロスロリアンの奥方は話し始めた。
ガラドリエル「ガンダルフは闇に落ちました・・・・・・・・・・・・炎に呑まれたのね・・・・・・・・・・・・。」
―――――まるで、霧の向こうから話しかけるような声で、ガラドリエルは自分の見た 光景を話した。
アニ「・・・・・・・・・・・・ガンダルフは、死んだんだ。モルゴスのバルログと戦って・・・・・・。」
アニの言葉に、ライナーは深く落胆し、ため息を漏らした。
ガラドリエルは、ライナーの目を見据え、ゆっくりと言葉をかけた。
ガラドリエル「そなたの心を、虚しい喪失感で満たさぬよう・・・・・・。」
不思議な微笑を、ライナーに投げかけるガラドリエル。
その美しい御顔に、ライナーは虜となった。
ライナー(―――――――――結婚しよ。)
-
- 9 : 2015/05/19(火) 17:26:51 :
-
次にガラドリエルはベルトルトにその光を湛えた目を向けた。
ベルトルト「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・うぅ・・・・・・。」
―――――――ライナーとは対照的に、ベルトルトは冷や汗をかき、動揺した。
その表情に見られるものは、焦燥、そして・・・・・・絶望。
ガラドリエルが一通り全員の顔を見渡すと、その霧のように深みのある声を全員に向かってかけた。
ガラドリエル「あなたたちの悲しみを、ここで癒していくように。今宵は旅の疲れを忘れ、ゆっくりと休むよう。」
――――――ようこそエレン・イェーガー、あなたを歓迎します――――・・・・・・
エレン「!!!」
ガラドリエルが横目でエレンを見つめると、奥方の声が再び頭に響いてきた。
―――――かの目を見し者よッ!!!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 10 : 2015/05/20(水) 09:09:16 :
ようやく休む機会を得て、俺は今までの冒険を振り返っていた。
―――――――どうしてガンダルフは死ななければらならなかったのだろう?
もし・・・・・・もし俺が・・・・・・この指輪を貰わなかったら・・・・・・
ガンダルフは死ななくてもよかったかもしれないのに・・・・・・・・・・・・
-
- 11 : 2015/05/20(水) 09:09:55 :
そんなことを思っていると、森の中に歌声が響いてきた―――――――その歌声はわだつみのように深く、沈痛な悲しみを感じさせた。
アニ「ガラドリエルが歌っている・・・・・・・・・・・・ガンダルフを悼む歌だ。」
エルフ語を解する者にとっては耐え難いほどの悲しみを湛えた歌―――――
アルミン「何て歌っているの? アニ?」
アニは思わず顔を背け、ゆっくりと答えた。
アニ「翻訳は出来ないね・・・・・・・・・・・・悲しみが増す、から・・・・・・。」
アルミン「そう・・・・・・。」
リヴァイ「ちッ。」
ジャン「なぁ、マルコ。」
マルコ「なんだい?」
ジャン「俺たちは・・・・・・・・・・・・何でここにいるんだろうな?」
マルコ「確かに・・・・・・・・・・・・俺たちには場違いだったかもね。」
エレン「」
アルミン「どうしたの? エレン・・・・・・・・・・・・この森に来てから、何だかずっとおかしいよ?」
エレン「いや・・・・・・・・・・・・何でもねえよ。」
-
- 12 : 2015/05/20(水) 09:29:14 :
リヴァイ「お前も少し休むんだな。ここは守られている。」
―――――ベルトルトが疲れているのを見て、リヴァイは声をかけた。
ベルトルト「僕は・・・・・・・・・・・・気が休まらないよ・・・・・・。」
ベルトルトの声は弱弱しかった。
ベルトルト「あのロスロリアンの奥方と目が合ったとき、奥方の声が僕の頭の中に響いてきたんだ―――――――僕の故郷が滅びて、人類は希望を失うって・・・・・・・・・・・・そう聞こえてきた。」
ため息をつき、ベルトルトは言葉を続けた。
ベルトルト「僕の父は高潔な執政官だ・・・・・・・・・・・・でも、時勢が悪く、民の信頼を失った。」
上を見上げ、ここからは遠い距離にある故郷を想うベルトルト――――――
ベルトルト「リヴァイ・・・・・・・・・・・・君はミナス・ティリスの白い塔を見たことがあるかい?」
リヴァイ「ああ、遠い昔にな。」
リヴァイもまた、上を見上げた。
ベルトルト「リヴァイ・・・・・・・・・・・・いつか、君と一緒にゴンドールに帰ろう! 僕らの民は喜んで迎え入れてくれる。そして叫ぶんだ―――――僕らの指導者が帰ってきたってね。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 13 : 2015/05/20(水) 11:34:24 :
・・・・・・・・・・・・。
―――――――眠れない。
ここんところ、ずっとそうだ。
眠れても、その眠りは、浅いまま・・・・・・・・・・・・。
皆が寝静まっても、エレン一人は、目が覚めている。そして、余計なことばかり頭をよぎる――――――
-
- 14 : 2015/05/20(水) 11:34:59 :
エレン「んっ?」
白いドレスを着た高貴なエルフが、足音も立てずに静かに歩いていく。
思わず俺は、そのエルフの後を付けていく―――――――ガラドリエルはそのまま、エレンをとある場所へと導いた。
その場所の中央には台が置いてあり、その上に銀で出来たお盆が載っている。
その空間の隅には水が流れている場所があり、ガラドリエルはそこから静かに、銀の水差で水をくみ上げ始めた。
エレン「その・・・・・・台の中央にあるお盆は・・・・・・・・・・・・いったい何なんですか?」
ガラドリエルは台の中央に進み出て、水をお盆に注ぎながら答えた。
ガラドリエル「この水鏡を覗くのです・・・・・・・・・・・・エレン。」
エレン「一体何が見えるんですか?」
ガラドリエルは表情を崩さず、淡々として答えた。
ガラドリエル「賢人にもそれは答えられない。この水鏡が映し出すのは―――――――過ぎ去ったこと―――・・・・・・
今起こっていること―――・・・・・・
そして時には・・・・・・・・・・・・これから起こるであろうこと―――・・・・・・。」
-
- 15 : 2015/05/20(水) 11:35:44 :
恐る恐る、エレンは台の前に進み出る。
エレンはガラドリエルの顔を見てから、水鏡を覗いた。
―――――――仲間たちの顔が映る。
ジャンやマルコ、そして・・・・・・・・・・・・アルミンの顔だ。
ホビット庄にある緑竜館・・・・・・・・・・・・俺の故郷。もう懐かしい―――――・・・・・・・・・・・・
エレン「えっ・・・・・・・・・・・・そ、そんなッ!?」
炎にくるまれる緑竜館――――――――逃げ惑うホビットがオークたちに虐殺されていく。
手足に手錠をかけられ、鞭打たれるアルミンや他のホビットたち。
―――――緑が切り倒され、荒廃したホビット庄。
次に映し出されたのは―――――あの目だった。
炎に縁どられた、瞼のないあの目――――――冥王サウロン。
反応した一つの指輪が勝手に鎖でつないだ俺の首から勝手に引き寄せられていく。
――――――止めろ・・・・・・
止めろ・・・・・・・・・・・・
エレン「止めろぉぉおおぉおぉぉおぉぉぉッ!!!」
右手で無理やり指輪をその目から引き離し、俺は仰向けに倒れた。
-
- 16 : 2015/05/20(水) 11:36:35 :
エレン「はぁッ! はぁッ! ・・・・・・・・・・・・これが、未来なのかよ・・・・・・・・・・・・。」
エレンの頬から、再び涙が流れ始めた。
エレン「俺が・・・・・・・・・・・・指輪を貰ったばっかりに・・・・・・・・・・・・こんなことに・・・・・・・・・・・・。
指輪なんて、貰わなければ良かったんだ。
俺のせいで、皆が危険な目にあって・・・・・・ガンダルフは死んだんだ・・・・・・。
俺は・・・・・・・・・・・・最初からいなければよかったんだ。」
-
- 17 : 2015/05/20(水) 11:37:20 :
ガラドリエル「何か恐ろしい光景でも?」
エレンの様子を横目で見るガラドリエル。
やがてガラドリエルはまっすぐにエレンを見つめ、頭の中で呟いた。
――――――あなたが使命を果たさなければ、未来はそうなる。
私も心の目で、あなたの見たものを見たわ。
エレン「・・・・・・・・・・・・俺はもう、限界です。どうか・・・・・・・・・・・・この指輪を貰ってください。」
ガラドリエルに指輪を差し出すエレン。
-
- 18 : 2015/05/20(水) 11:39:34 :
-
その時初めて――――――ガラドリエルの顔に動揺が走った。
ガラドリエル「私に・・・・・・・・・・・・この指輪を?」
ゆっくりと手を伸ばすガラドリエル。
ガラドリエル「否定はしないわ・・・・・・・・・・・・私もこの指輪が欲しい。」
ガラドリエル「冥王に替わって私が女王にッ!」
夕刻の光を放つガラドリエルが、両手をあげ、俄かにわだつみのような深くて青い光を放ち始める―――――
ガラドリエル「朝と夜のように美しく、戦慄すべきものにッ!!!」
恐ろしいほどに美しく、それでいてすべてを威圧し、揺るがすような声が響き渡る。
ガラドリエル「みなが私の美しさを愛し、そして絶望するだろうッ!!!」
――――――指輪の魔力は、ガラドリエルほどの賢人でさえも、容易に堕落せしめることが出来るほど、恐るべきものであった・・・・・・・・・・・・。
-
- 19 : 2015/05/20(水) 11:40:11 :
-
やがて、わだつみのような絶望的な光は去り、ガラドリエルは元の夕日のように柔らかな光を放ち始めた。
ガラドリエル「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・試練に・・・・・・勝った・・・・・・・・・・・・。」
エレン「何なんだよ・・・・・・・・・・・・これ。」
ガラドリエルの豹変に、エレンは放心状態となってつぶやいた。
ガラドリエル「私は灰色港から、エルフの故郷、ヴァリノールへと去りましょう――――――ガラドリエルのままで。」
エレンから顔を背け、ガラドリエルは独り言のようにつぶやいた。
エレン「指輪は・・・・・・・・・・・・受け取れねぇってのか?」
ガラドリエルは再びエレンの顔を覗き込んだ――――――今までの無表情とは違う、慈愛に満ちた目で、エレンを見つめた。
ガラドリエル「指輪の所持者は、その力に、一人で耐えなければならないのです。」
-
- 20 : 2015/05/20(水) 11:41:39 :
ふと、ガラドリエルの左人差し指に指輪が嵌められているのにエレンは気が付いた――――――まるで宵の明星がその手の上に輝くように見えるその金剛石の指輪は、エルフの三つの指輪の一つ。水の指輪、ネンヤ。
ガラドリエル「私は、この指輪の所持者として、その力にずっと耐えてきました。エレン―――――この試練は、あなたに課せられたものなのです。」
再びエレンの頭の中に、ガラドリエルの声が響く。
――――――一つの指輪は、その魔力でもって誘惑し、破滅へと導いていく。旅の仲間は既に分裂を始めています。
あの男は指輪を欲している。誰のことか分かるわね?
エレン「でも俺は・・・・・・・・・・・・弱いです。いつも誰かに守られて、ようやくここまで来れたんです。」
――――――そうだ、俺は・・・・・・・・・・・・弱い。体も小さいし、何より力がない。
すると、ガラドリエルはエレンに微笑んだ。
ガラドリエル「力だけが、強さではないのです。小さきものでも、弱きものでも・・・・・・・・・・・・運命は変えられる。この試練は、エレン・・・・・・・・・・・・あなたでなければ出来ないのです。」
エレン「・・・・・・・・・・・・この俺でも、運命を変えられる?」
ガラドリエル「きっとそう・・・・・・・・・・・・指輪の力に、あなたは一人で、耐え抜くのです。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 21 : 2015/05/20(水) 20:53:04 :
翌日になり、俺たちはいよいよロスロリアンからモルドールへ向けて出発することになった。
ガラドリエルは俺たちに様々な贈り物をしてくれた。
まずは川を下っていくための、マルローン樹で出来た小舟を三艘。
それと――――――・・・・・・・・・・・・
アニ「これはレンバスって言ってね・・・・・・・・・・・・エルフの携帯食だ。」
そういうなり、アニはレンバスを一齧りしていった。
アニ「一口でお腹いっぱいになるのさ。」
エレン「おいアルミン・・・・・・お前、何口食べた?」
アルミン「四口。」
エレン「」
-
- 22 : 2015/05/20(水) 21:13:26 :
ガラドリエルが俺たちに贈ってくれたのは、これだけじゃなかった。
ガラドリエル『敵の目から逃れられるよう、旅の仲間全員に、我らが手で織ったエルフのマントを・・・・・・・・・・・・』
ミケ『他の種族に着させるのは、これが初めてだ。』
旅の仲間全員に、エルフのマントがそれぞれ贈られた―――――敵の目を欺いてくれるローブ付きのこのマントは、緑の葉っぱを模したブローチによって留められた。
ガラドリエル『アニ・レオンハート―――――あなたには今使っている弓より強力なガラズリムの弓を。』
アニは弓を手に取り、その弓矢の強度を慎重に確かめた。
アニ『感謝します。こんな強力な弓・・・・・・見たことがない。』
ガラドリエル『ジャン・キルシュタイン、マルコ・ボット―――――あなたたちには戦いで優れた成果を見せたノルドールの短剣を・・・・・・・・・・・・勇気を持つのです。』
ジャン『すっげえな・・・・・・・・・・・・。』
マルコ『頑張ります! ガラドリエルさん!』
ガラドリエル『アルミン・アルレルト―――――あなたにはヒスラインという植物を縒ってつくったロープを・・・・・・・・・・・・必ずあなたの役に立つはずです。』
アルミン『あ、ありがとうございます・・・・・・・・・・・・あの、ノルドールの短剣は、二振りだけなのでしょうか?』
ガラドリエル『ふふ・・・・・・・・・・・・。』
―――――アルミンの問いは、笑顔で躱された。
-
- 23 : 2015/05/20(水) 21:13:56 :
ガラドリエル『あなたは何をお望みかしら? ライナー・ブラウン?』
真っ赤になったライナーは、目を泳がせながら答えた。
ライナー『な、なにも・・・・・・・・・・・・今一度、その美しい御顔を見たいだけです。』
ガラドリエルはくすっと笑った。
ライナー『いや・・・・・・・・・・・・お願いがあるにはあるのですが・・・・・・・・・・・・あぁ、どうする・・・・・・・・・・・・やっぱりこんな変なお願いは止めようか・・・・・・・・・・・・。』
ガラドリエルが首を少しかしげると、ライナーはいきなり大声で答えた。
ライナー『その美しい御髪を一本欲しいのですッ!』
アニが冷ややかな目線でライナーを見る中、ガラドリエルは笑って答えた。
ガラドリエル『いいでしょう。私の髪を、あなたに与えましょう。』
そういうとガラドリエルは、自らの髪の毛を三本抜き、ライナーに手渡した。
ライナー(―――――結婚したッ!!!)
アニ(・・・・・・・・・・・・バカ。)
-
- 24 : 2015/05/20(水) 21:36:54 :
-
ガラドリエル『あなたにはその胸につけているネックレス以上の贈り物はないわ・・・・・・・・・・・・リヴァイ・アッカーマン。』
ガラドリエルはリヴァイの胸で光り輝くペトラのネックレスを触りながら答えた。
ガラドリエル『私の孫娘 はあなたのため、喜んでエルフに約束された永遠の生を棄てるでしょう。』
リヴァイは少しためらった後、答えた。
リヴァイ『あいつには・・・・・・・・・・・・この中つ国を去り、仲間のエルフと共に暮らすよう言うつもりだ。』
ガラドリエル『それは彼女の選択です。あなたは自分の使命が成し遂げられるかどうか、今はそれに集中するのです。』
リヴァイ『あぁ、分かっている。』
ガラドリエル『祖先を超え、エレンディル以来の立派な王となるか、野伏のまま、その生を終えるかはあなた次第です・・・・・・・・・・・・エレスサール。』
-
- 25 : 2015/05/20(水) 21:38:17 :
-
最後にガラドリエルは、エレンに向き合った。
ガラドリエル『最後になりましたが、あなたを想う気持ちが最後であるということではありません。エレン・イェーガー。あなたにはこれを。』
ロスロリアンの奥方は、小さな玻璃瓶を手渡した。
ガラドリエル『あの水鏡を使い、航海者アルミンの星の光を集めました。私たちの大切な星の光です。』
―――――その玻璃瓶の中には水が満たされており、淡い夕星の光を湛えていた。
ガラドリエル『たとえあなたの進む道が暗闇で閉ざされたとしても、この玻璃瓶の光があなたを照らし出してくれるでしょう。絶望に苛まれても、ガラドリエルとあの水鏡を忘れることの無いよう。』
すると、ガラドリエルは目を瞑り、俺の額にそっと口づけをした。
エレン「なっ!?」
―――――真っ赤になるエレンを、アルミンはニヤニヤしながら見つめていた。
アルミン「ふふ、君って意外とうぶなんだね。」
エレン「う、うるせぇなぁ、ほっとけよッ!」
エレンは思わずアルミンの肩を叩いた。
-
- 26 : 2015/05/21(木) 02:04:03 :
-
ケレボルン「リヴァイ・・・・・・・・・・・・ここから先の道中は、危険が待ち受けておる。」
銀髪のケレボルンは、リヴァイに対して警告を発していた。
ケレボルン「これから下っていく大河アンドゥインの東河岸では、モルドールのオークどもが活動している。」
リヴァイ「ちっ、めんどくせぇ・・・・・・・・・・・・この先隠密に行動するのは無理か。」
ケレボルン「敵はそれだけではない―――――西河岸では白の手のマークを付けたウルク=ハイが活動している。そやつらはオークと違い、日中でも動ける。」
リヴァイ「つまり・・・・・・西も東も敵だらけってことだな?」
ケレボルンはリヴァイにノルドールのナイフを贈り、言葉をかけた。
ケレボルン「そなたらは敵に見張られておる・・・・・・・・・・・・川下りの道中、くれぐれも気を付けるのだぞ。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 27 : 2015/05/21(木) 02:04:58 :
俺たちは三艘の小船に分かれて乗り込み、ゆっくりと船を漕ぎ出した。
―――――先頭に俺とアルミン、リヴァイが乗り込み、リヴァイがオールを漕いでいく。
次の船にはジャンとマルコ、そしてベルトルトが乗り込み、ベルトルトが漕ぎ役だ。
最後の船にアニとライナーが乗り込み、より背の低いライナーが頑張って船を漕いでいた。
―――――さようなら、エレン・イェーガー―――――・・・・・・・・・・・・
ふと陸地を見ると、ガラドリエルが右手を上げて、俺たちに別れを告げに来ていた。
-
- 28 : 2015/05/21(木) 02:07:08 :
どうして指輪を貰ってしまったのか・・・・・・・・・・・・
仲間を辛い目に合わせ、ガンダルフを死なせた俺はくよくよ考えてしまった――――でも、今は違う。
辛い目に合うと、”どうして?” と誰もが考えてしまうけど、考えたところで何も変わらない。
それより、これからどうすべきなのか――――・・・・・・・・・・・・
エレン「よし、行こうぜ、モルドールに。」
―――――まだ答えはでねえけど、とりあえず今は、前進あるのみだ。
こうして俺たちは、ロスロリアンを流れる銀枝川から、アンドゥインの大河へと漕ぎ出していった。
――――――悲しい別れが待ち受けているとも知らずに―――・・・・・・・・・・・・
-
- 29 : 2015/05/21(木) 02:07:55 :
- 以上でロスロリアン編は終了です。
次回で第1章の旅の仲間は終了になります。
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
- 「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
- 「進撃の巨人」SSの交流広場
- 進撃の巨人 交流広場