この作品は執筆を終了しています。
エレン「旅の仲間」 ② 進撃×ロード・オブ・ザ・リング
-
- 1 : 2015/05/08(金) 22:43:41 :
- 進撃×ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間の第2話です。
http://www.ssnote.net/series/2230
-
- 2 : 2015/05/08(金) 22:45:13 :
-
第2話
旅立ち ~放たれた黒の追跡者~
影横たわるモルドール。
かの邪悪な冥王サウロンが去ってからはただの不毛の地となっていたこの土地が、今再び炎を上げ始めていた。
アモン・アマルス―――――即ち滅びの山からは盛んに炎が燃え盛り、あたりはその火山灰で闇に閉ざさている。
そして、その山からまっすぐ伸びる一本道を行った先に、無数のオークたち―――――大魔王モルゴスがエルフを堕落させて作り上げた醜い怪物たち――――が、暗黒の塔、バラド=ドゥアを再建し始めていた。
その支棟の一角では、世にも恐ろしい拷問が、捕えられたとある捕虜に対して加えられていた。
骨と皮ばかりの、裸同然で醜いその男から、二つの言葉を絞り出した。
「シャイア・・・・・・イェーガー・・・・・・。」
-
- 3 : 2015/05/08(金) 22:45:59 :
-
ミナス・モルグル―――――呪魔の塔から追手が放たれた。
サウロンに仕える最強の召使いたち。
―――――黒い馬に乗った、九人の黒の乗り手、ナズグルたちが動き出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 4 : 2015/05/09(土) 10:13:04 :
モルドールと隣接する人間たちの王国―――――ゴンドール。
人間たちの王国で最古の歴史を有するこの王国に保管されている伝承を確認するためにガンダルフはここを訪れたのであるが、それよりも先に、闇の勢力の胎動を目撃することになった。
影の山脈の背後で、朦々と煙を上げる滅びの山の炎が、冥王サウロンの、モルドールへの帰還を告げていた。
ガンダルフ「サウロンが・・・・・・モルドールへと戻ったか・・・・・・急がねばならんな。」
早馬を走らせるガンダルフ。
-
- 5 : 2015/05/09(土) 10:14:20 :
-
ゴンドール王国王都―――――守護の塔、ミナス・ティリス。
壮麗なこの王国の首都の地下に眠る古の文献。
力の指輪について記述された文献を探し出すガンダルフは、一つの資料に目を付けた。
―――――ゴンドール初代王、イシルドゥアの記録。
人間とエルフは最後の同盟を組み、サウロンに対抗した。
この戦いでわが父、エレンディル。わが弟、アナリオン。エルフの王であったギル=ガラドが討死。
だが、私は折れた父の剣を使い、サウロンを討ち滅ぼした。
サウロンの鎧の残骸から、私は指輪を手に入れた。
これぞわが家宝にすべき宝である。
初めは大きく、炎のような文字が刻まれていたが、私に合わせてサイズが小さくなり、文字も消えた。
見た目は純金で出来た指輪だが、炎の中で、その本来の姿を現す。
ガンダルフ「・・・・・・・・・・・・まさか、あの指輪が?」
もしそうだとしたら・・・・・・・・・・・・
―――――エレンが危ない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 6 : 2015/05/09(土) 13:40:32 :
エレン「やっぱ緑竜館のビールは最高だな。」
アルミン「クリスタ~ッ! もう一杯もらっていい~?」
―――――ホビット庄の皆が集まる飲み屋、藁ぶき屋根で出来た緑竜館。
一日の仕事終わりに、今日もエレンとアルミンはホビット庄特産のビールを一杯ひっかけていた。
他では飲めない濃厚なビール、おつまみの塩漬け豚に心奪われるファンは多く、ホビットたちの心のふるさととなっていた。
クリスタ「ダメッ! アルミンはお酒に弱いんだからッ!」
この緑竜館を取り仕切っている看板娘、クリスタはぴしゃりといった。
――――天使が運んでくるビールとおつまみ・・・・・・これ以上に何がいるだろうか。
-
- 7 : 2015/05/09(土) 13:42:58 :
-
ジャン「ちげえねぇな。未来の奥さんがそう言ってんだ、やめとけよ。」
マルコと陽気に歌を歌っていたジャンがアルミンをからかいにやってきた。
アルミン「なっ・・・・・・止めてよ、ジャンッ!」
そんなに飲んでもいないのに、まるで酔っぱらったかのようにアルミンの顔は真っ赤になった。
エレン「どうしたんだよ、アルミン? もう飲み過ぎたのか?」
マルコ「あはははは!」
ジャン「ぶはっ! おま・・・・・・俺たちを殺す気か!?」
エレン「ん?」
エレンの間抜けな発言に、ジャンとマルコの笑いはさらに大きくなった。
アルミン「笑うなよ! 皆揃いも揃って・・・・・・。」
別の意味で顔を赤くしたアルミンは、おつまみをやけ食いし始めた。
-
- 8 : 2015/05/09(土) 16:32:42 :
エレン「ふ~~~っ、食った食った。」
アルミン「ご馳走様~。また来るね、クリスタッ!」
緑竜館からでて、袋小路に入っていくエレンとアルミン。
アルミン「じゃあ今夜はおじいちゃんのところに帰るから、また明日ね。」
エレン「おう、また明日な。」
-
- 9 : 2015/05/09(土) 16:33:08 :
家の中に入ると・・・・・・明かりがすべて消えているのにもかかわらず、人の気配がする。
―――――誰かが・・・・・・何かを探している!?
闇の奥に気配を感じ、慎重に歩き出すエレン。
エレン「!!!」
背後から肩を掴まれた。
ガンダルフ「指輪はどこにある!?」
エレン「うわぁあぁぁッ!? てガンダルフかよ!? ビックリさせやがって・・・・・・。」
ガンダルフ「おお・・・・・・すまんすまん・・・・・・。」
-
- 10 : 2015/05/09(土) 16:33:50 :
いつになくガンダルフが慌てているのを見て、エレンは嫌な予感に駆られた。
ガンダルフ「!!!」
エレン「落ち着けよ、ガンダルフ! ただの鳥の声だって!」
エレンは箱の奥から、指輪を入れた封筒を取り出した。
それを見るなりガンダルフは封筒をひったくると、暖炉の炎の中に投げ入れた。
エレン「おっ、おいッ!!! 何すんだよッ!!!」
―――――大切な宝物が・・・・・・汚されたッ!?
あれ・・・・・・大切な・・・・・・宝物?
-
- 11 : 2015/05/09(土) 16:34:25 :
明らかに普通でないエレンの動揺に、今度はガンダルフが嫌な予感に駆られた。
―――――この指輪への執着の度合い・・・・・・ダリスの時とそっくりだ。
燃え上がった封筒の残骸から、火バサミで純金の指輪を取り出すガンダルフ。
ガンダルフ「手を出すのじゃ、エレン。」
エレン「はっ!?」
ガンダルフ「大丈夫じゃ、熱くない。」
指輪がエレンの手に落ちた。
―――――指輪は不思議なほどひんやりとしていた。
-
- 12 : 2015/05/09(土) 16:36:42 :
ガンダルフ「何か変化はあったか?」
エレン「変化? 何言ってんだ? 起こるわけねえだろ?」
エレンに背を向けてほっと一息つくガンダルフ。
エレン「・・・・・・マジかよ!?」
ガンダルフ「!!!」
純金の指輪の表面に、炎のように踊る文字が浮かび上がった―――――流麗なエルフの、ノルドール文字で刻まれた文字。
エレン「文字が・・・・・・文字が浮かび上がったぞ、ガンダルフ! すっげぇ! なんて書いてあんだよ!?」
―――――決まりじゃな。
ガンダルフ「読めるものは少ない・・・・・・・・・・・・だが読んではならぬ。その言葉はモルドールの言葉だ。意味を訳すとこうなる――――――一つの指輪は、すべてを統べ、一つの指輪は、すべてを見つけ、一つの指輪は、すべてを捕えて、くらやみのなかにつなぎとめる。」
-
- 13 : 2015/05/09(土) 16:37:45 :
モルドール・・・・・・・・・・・・この言葉はエレンの心の中にさえ、恐怖を引き起こした。
アルミンがいつも語ってくれる物語の中に、そんな言葉があったっけ?
エレン「何言ってんだよ、ガンダルフ・・・・・・そんなの、おとぎ話だろ? アルミンが良く教えてくれるさ。」
ガンダルフ「わしはこの指輪の正体を知るため、ゴンドールへと赴いた。そこで見たのじゃ・・・・・・モルドールが再び闇に染まっているのを・・・・・・。」
それからガンダルフは、この指輪の由来を語り始めた。
-
- 14 : 2015/05/09(土) 16:38:54 :
遥か昔・・・・・・・・・・・・ノルドールのエルフたちは、サウロンの助言を受け、様々な力の指輪を生み出した。
その指輪の力は強大なもので、出来そこないのものですら、魔力を持たない者にとっては危険極まりないしろものじゃった。
やがて、エレギオンと呼ばれるエルフの国で、ケレブリンボールが偉大な三つの指輪を生み出した―――――水の指輪、ネンヤ。火の指輪、ナルヤ。風の指輪、ヴィルヤがそれじゃ。
その頃サウロンは、ドワーフに七つの指輪を、人間には九つの指輪をそれぞれ与えた。
そして自らは・・・・・・・・・・・・滅びの山の燃え盛る火を使って一つの指輪を作り上げた。
サウロンはこの指輪に自らの力の大部分と、尽きることのない悪意を注ぎ込んだ―――――その結果、この指輪は他の力の指輪を支配するようになったのじゃ。
-
- 15 : 2015/05/09(土) 16:39:49 :
-
サウロンの悪意が明らかになり、人間とエルフは最後の同盟を組んでサウロンに抵抗した。
このころはエルフも人間もまだまだ強大じゃった・・・・・・・・・・・・多大な犠牲を払ったが、サウロンを打ち破ったのじゃ。
じゃが、この指輪を手に入れたゴンドールの王、イシルドゥアは指輪を自分のものとし、悪は完全には滅び去ることはなかった・・・・・・・・・・・・。
ガンダルフ「・・・・・・これが、その一つの指輪じゃ。」
エレン「はは・・・・・・冗談じゃねえよ。何でこんな危険なモンがここにあんだよ・・・・・・訳が、分からねえ。」
ガンダルフ「・・・・・・・・・・・・イシルドゥアはその後、あやめ野にて討死し、指輪は大河アンドゥインに没したと考えられていた。じゃが・・・・・・この指輪を人知れず拾ったものがあった。」
エレン「えっ!?」
ガンダルフ「・・・・・・・・・・・・ゴラムじゃ。」
エレン「ゴラム?」
ガンダルフ「うむ・・・・・・ゴラムは指輪を拾ってからというもの、600年も霧降山脈の地下で過ごしてきた。」
エレン「600年!?」
ガンダルフ「・・・・・・・・・・・・指輪の魔力によって心身を蝕まれ、寿命を無理やり引き伸ばされていたのじゃ―――――ダリスもそうじゃ。飴のように引き伸ばされているような気がすると、本人は語っていた。まさか指輪のせいとは思っていなかったようじゃが。」
エレン「!!! もしかして・・・・・・。」
ガンダルフ「そうじゃ、ゴラムからダリスがこの指輪を手に入れた。そしてゴラムは指輪を求めて外に出たのじゃが・・・・・・すでに敵の手に落ちておった。」
エレン「えっ?」
ガンダルフ「恐ろしい拷問を受け、ゴラムは二つの言葉を吐いた――――――シャイアに、イェーガー・・・・・・とな。」
エレンの顔が蒼白になる―――――今までおとぎ話に過ぎなかった恐怖が、目の前に迫ってくる。
エレン「シャイアに・・・・・・イェーガーッ!!?? 敵がここにッ!!??」
-
- 16 : 2015/05/09(土) 16:56:52 :
エレン「俺・・・・・・こんな指輪なんかいらねえよ。受け取ってくれ、ガンダルフ!」
ガンダルフ「・・・・・・わしは受け取れん!」
エレン「何でだよ!? 受け取ってくれよ!!!」
ガンダルフ「止めろッ!!! わしを・・・・・・誘惑 するなッ!!!」
エレン「!!??」
賢者、ガンダルフの顔に、はっきりとした恐怖の色が現れた。
ガンダルフ「わしだったらこの指輪を・・・・・・良いことのために使おう とする。じゃが指輪は、より強大な魔力でもってわしに臨むのじゃ。わしは・・・・・・・・・・・・受け取れん。」
-
- 17 : 2015/05/09(土) 17:42:40 :
-
エレン「じゃあ・・・・・・早く指輪を壊さなくちゃ!」
ガンダルフ「それは出来ん! この暖炉の火では熱くさえならん。」
エレン「じゃあどうすりゃいいんだよ!?」
ガンダルフ「・・・・・・賢い先輩がおるのでな、わしは助言を求めに行こう。エレンはすぐに荷物の準備をせい。とにかくホビット庄を離れるのじゃ――――ブリ―村の踊る子馬亭で落ち合おう。」
大慌てで荷物をまとめ始めるエレン。
こんなのありかよ?
あり得ねえよ?
―――――旅に出るのは夢だったけど、恐怖に駆られて出るなんて、思いもしなかったよ。
-
- 18 : 2015/05/09(土) 17:43:54 :
エレガンダルフ「「!!!」」
・・・・・・・・・・・・外の茂みから、物音がする。
エレン「ガンダルフ。」
ガンダルフ「うむ。」
ゆっくりと杖を構え、慎重に近づくガンダルフ。
ゴンッ! 「痛いッ!!!」
杖で殴られ、頭を押さえているのは―――――俺の幼馴染みだった。
-
- 19 : 2015/05/09(土) 17:44:31 :
ガンダルフ「アルミン・アルレルトッ! 貴様、盗み聞きしておったなッ!!!」
アルミン「うわぁッ!」
体をテーブルに打ち付けられるアルミン。
ガンダルフ「何処から話を聞いたッ!!??」
アルミン「ゆ・・・・・・指輪の話からです。」
エレン「つまり・・・・・・・・・・・・最初からか?」
安心すると同時に少し呆れた声を出すエレンに、アルミンは食ってかかった。
アルミン「ず・・・・・・・・・・・・ずるいよ、エレン!」
エレガンダルフ「「えっ!?」」
アルミン「一緒に・・・・・・外へ行こうって約束したじゃないかッ! 君だけで行こうなんて、そんなの・・・・・・・・・・・・ずるいよッ!!!」
-
- 20 : 2015/05/09(土) 17:46:36 :
ポカンとして、エレンとガンダルフは顔を見合わせた。
エレン「・・・・・・くくくくく。」
ガンダルフ「ふふふふふ・・・・・・。」
アルミン「なっ、笑うなんてひどいじゃないか!? いいかい、僕は本気だよッ!? 絶対エレンの後をついていくからねッ!!??」
―――――いったんこうと決めたら、アルミンは頑固者だ。
こりゃ、梃子でも動かねえな。
エレン「悪かった、アルミン。一緒に行こうぜ!」
アルミン「!!! うんッ!!!」
ガンダルフ「ふふふふふ、覚悟は、決まったようじゃのう。」
――――――俺たちは、これから、旅に出る。
愉快な冒険じゃない・・・・・・敵から逃げて、身を隠すための、旅だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 21 : 2015/05/09(土) 22:10:49 :
- 期待です!アルミンはサムのポジションですか?
-
- 22 : 2015/05/09(土) 22:22:13 :
- そうですね、アルミンはサムのポジションです。
期待ありがとうございます!
-
- 23 : 2015/05/09(土) 22:30:34 :
- リヴァイは誰のポジションだろ?
-
- 24 : 2015/05/09(土) 22:36:27 :
- 楽しみにしててくださいね。
ホビットでないことは確かです。
-
- 25 : 2015/05/09(土) 22:36:36 :
夜明けを待って、俺たちは出発した。
ガンダルフは別れ際、俺たちにこんな警告を残していった。
ガンダルフ「よいか・・・・・・敵は様々な間者を放っておる。森にすむ獣、鳥でさえ油断はならない。気を付けて進むのじゃ。」
別れの言葉を言うなり、ガンダルフは乗っていた馬の手綱を引き、颯爽と去っていった。
アルミン「ガンダルフって、どうしてああもせわしない感じがするのかな?」
エレン「だよな。意外に怒りっぽいし。」
アルミン「まるで燃え盛る焔みたい・・・・・・ふふふ。」
エレン「よし、俺たちも行くとするか!」
アルミン「出発だッ!」
-
- 26 : 2015/05/09(土) 22:37:27 :
――――子供のころに慣れ親しんだ道を、俺たちは進んでいった。
あの浅瀬ではよく水遊びをしたり、
あの草原では一緒にピクニックをしたり、
この森では木の上に上って一緒に物語を読んだり・・・・・・・・・・・・
沢山の思い出が蘇ってくる・・・・・・俺たちはホビット庄の中ならくまなく探検し尽くしていたから、どこに行っても思い出に花が咲いたんだ。
そして・・・・・・・・・・・・
エレン「おい、いきなり止まってどうしたんだよ?」
アルミン「ここだよ、エレン。」
エレン「何がだ?」
アルミン「ここが・・・・・・・・・・・・ホビット庄の境だ。ここから先は未知の世界・・・・・・僕らの、知らない世界が広がってるんだ。」
震えるアルミンを見て、俺は尋ねた。
エレン「怖いのか? アルミン?」
その問いかけに対し、アルミンは不意に笑って答えた。
アルミン「まさか・・・・・・・・・・・・ワクワクが抑えきれないんだ。やっと僕は、外の世界へ踏み出すんだから!!!」
エレン「へへ・・・・・・・・・・・・行こうぜ、アルミン!!!」
――――――俺たちは、一緒に外の世界へと、踏み出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 27 : 2015/05/09(土) 22:51:48 :
馬の国―――――ローハンの西のはずれにある国境。霧降山脈の尽きるところに、その要塞は存在した。
古代ヌメノール人の叡智を結集し、強固に築かれた円形の防壁の中に、大地から突き出たような黒い黒曜石の尖塔――――アイゼンガルドのオルサンクの塔。
一つの指輪が見いだされ、灰色のガンダルフはここを訪れる。
サルマン「だからここに来たのだろう? わが友よ。」
――――――白いローブを纏った偉大な魔法使い。白いひげと髪を風に靡かせ、サルマンはガンダルフに挨拶をした。
ガンダルフ「サルマン。」
ガンダルフも恭しく挨拶を返す。
白の会議の議長―――――白のサルマンの元へ、ガンダルフは助言を乞いにやってきた。
-
- 28 : 2015/05/10(日) 07:38:33 :
- 馬の国って、アイツが住んでるんですか?www
-
- 29 : 2015/05/10(日) 10:49:19 :
- 住んではいないのですが、後々関わっていきますw
-
- 30 : 2015/05/10(日) 11:23:04 :
塔の周りは木々に囲まれており、よく手入れの行き届いた、調和のとれた庭だった。
その中を散歩しながら、魔法使いたちは今後の行く末を話し合っていた。
サルマン「して、その指輪は一つの指輪であったと?」
ガンダルフ「そうじゃ・・・・・・ずっとわしの近くにあったのに・・・・・・盲点じゃった。」
サルマン「・・・・・・ふむ。」
ガンダルフ「まだ時間はある・・・・・・早急に対策を―――――
サルマン「時間?」
サルマンは不意にガンダルフを見つめ、尋ねた。
サルマン「我々に・・・・・・どれ程時間が残されているのかと?」
-
- 31 : 2015/05/10(日) 11:23:45 :
オルサンクの塔の内部は薄暗く、サルマンが集めた古の文献で一杯になっていた。
――――――主に力の指輪に関連するものが集められていることに、ガンダルフは気が付いた。
白の会議の議長としての責務を、果たすため。熱心に研究してきたのじゃろう。
サルマン「影の山脈の向こう側で、モルドールは再び胎動している。バラド=ドゥアの塔が再建され、無数のオークがひしめき合っている。」
――――――まるで直接見た かのようだ・・・・・・。
サルマン「塔の頂上では・・・・・・瞼のない炎の眼が燃えておる。」
ガンダルフ「どこで・・・・・・その情報を?」
するとサルマンは部屋の中央にある、布がかけられた台座を見つめて答えた。
サルマン「見た のだよ。」
-
- 32 : 2015/05/10(日) 11:24:36 :
-
覗き込むだけで遠くを見渡すことのできる石――――――パランティア。
エレンディルがこの中つ国にやってきたときにもたらされた七つの石は、既に行方不明になったと思われていた。
だが、サルマンはこれを使い、はるか遠方の出来事まで把握していた。
ガンダルフ「パランティアは危険じゃ、サルマン。」
サルマン「なぜかね?」
ガンダルフ「・・・・・・・・・・・・この石を他に誰が覗いているか分からないからじゃ。」
――――――この石には通信機能がある。
他の石を持つ誰かと連絡が付かないとも限らない。
-
- 33 : 2015/05/10(日) 11:25:05 :
サルマン「・・・・・・・・・・・・すでに手遅れなのだ。」
ガンダルフ「手遅れ?」
サルマンは玉座に座り、ゆっくりと言葉を吐いた。
サルマン「九人組 は既にアイゼン川を渡った。」
ガンダルフ「!!!」
サルマン「指輪を見つけるよ・・・・・・・・・・・・ホビットたちは殺される。」
ガンダルフ「エレンッ!!!」
冥王サウロンは既に動き出していた。
エレンが――――――危ないッ!!!
-
- 34 : 2015/05/10(日) 11:25:48 :
急いで外に行こうとする刹那―――――すべての扉は閉ざされた。
ガンダルフ「!!!」
サルマン「勝てると思っているのかね? サウロンに?」
ゆっくりと・・・・・・・・・・・・ガンダルフはサルマンを見た。
――――その姿は・・・・・・・・・・・・かつてのサルマンではない。
サルマン「彼と手を組むのだ・・・・・・ガンダルフ。賢明な選択だよ。」
-
- 35 : 2015/05/10(日) 11:26:25 :
ガンダルフ「教えてくれ・・・・・・・・・・・・わが友よ。賢者サルマンは何時からその理性を棄て、狂気に走ったのじゃッ!!??」
サルマン「でぃあああぁぁああぁぁああぁぁッ!!!」
ガンダルフ「ぐぁッ!!!」
突如立ちあがったサルマンに吹き飛ばされ、壁に撃ちつけられるガンダルフ―――――サルマンの黒い杖から放たれる、目に見えない力で押さえつけられる。
力がほどけ、床に倒れる。
ガンダルフ「ふんッ!」
杖を突き出す。見えない力がサルマンの顔面を直撃。
サルマン「がっ!!!」
仰向けに転倒。
力と力の応酬が続き、ガンダルフが宙を舞い、サルマンが床を引きずり回され、吹き飛ばされて扉に激突。向こうの部屋へと転がり込んだ。
-
- 36 : 2015/05/10(日) 11:27:07 :
―――――一瞬の油断だった。
サルマンが手を伸ばし、ガンダルフの杖を呼び寄せた。
ガンダルフ「!!!」
ガンダルフの杖が手を離れ、サルマンの手に落ちた。
突如としてガンダルフの体に圧力が上から加えられる。
ガンダルフ「ぐあぁあぁッ!!!」
サルマン「救いの道を・・・・・・」
ガンダルフ「ああぁああぁああぁぁッ!!!」
サルマン「教えてやったのに・・・・・・」
ガンダルフ「ああぁあぁ・・・・・・」
サルマン「お前が選んだのは・・・・・・・・・・・・苦痛だッ!!!」
二本の杖をはるか上の天井に向ける。
つられてガンダルフの体も持ち上がった。
凄まじいスピードで天井まで一気に飛ばされ、ガンダルフはオルサンクの塔の屋上に幽閉された。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 37 : 2015/05/10(日) 13:39:08 :
エレン「それにしてもでけえ畑だな。」
アルミン「まあね、この畑を抜けるとブランディワイン川につく。ブリ―村はその川を渡ってさらに向こうだ。」
意気揚々と俺たちは旅を続けてたんだが、俺たちはそこで・・・・・・思わぬ人物たちと遭遇したんだ。
ドンッ! エレン「痛ってッ!」
ドンッ! アルミン「痛いッ!」
マルコ「いててて・・・・・・あれ? エレンに、アルミン?」
ジャン「お前らこんなところで何やってんだ? くそ、痛ってぇッ!」
-
- 38 : 2015/05/10(日) 13:39:46 :
思わぬところで俺たちの悪友と再会したんだ。
アルミン「こっちのセリフだよ・・・・・・あれ、君たちが手に持ってるのって?」
ジャンマル「「トウモロコシだよ!」」
エレン「また野菜泥棒やってんのか!?」
アルミン「まったく・・・・・・・・・・・・相変わらずだね、君たちは。」
「待てッ!!! この野菜泥棒めがッ!!!」
ジャン「やっべ、見つかった。」
マルコ「逃げるよ、皆!」
エレン「おいテメエら、俺たちを巻き込みやがったな!?」
アルミン「酷い濡れ衣だよ!」
-
- 39 : 2015/05/10(日) 13:40:26 :
―――――結局畑の中を全速力で逃げる悪ガキ四人組。
ジャン「ったく、ケチな野郎だよな。この前ちょっとトマトくすねただけじゃねえか。」
マルコ「その前はポテトだったかな。」
エレン「やりすぎだろッ!?」
アルミン「そりゃおかんむりになるのも無理ないねッ!!!」
走って逃げたその先に――――――
ジャン「うおっ、いきなり崖かよ!?」
マルコ「!!! 止まって!!!」
エレン「うわっ! 危ねッ!!!」
無事止まれたのは三人だけ――――でも、
ドンッ! エレアルジャンマル「「「うわあぁああぁあぁぁッ!!!」」」
後ろからよそ見をしてたアルミンが追突して、結局全員崖を転がり落ちました。
-
- 40 : 2015/05/10(日) 13:41:03 :
アルミン「あいたたた・・・・・・。」
ジャン「くそ、折れちまった・・・・・・・・・・・・人参が。」
マルコ「馬面だけにかい?」
ジャン「うるせえぞ!」
エレン「おいテメエら、いつまで俺の上に乗っかんてんだよッ!!!」
ともかく無事に逃げ切れたので、ジャンとマルコがとった獲物を確認していた。
アルミン「もう・・・・・・袋いっぱい盗んでくるなんて・・・・・・。」
-
- 41 : 2015/05/10(日) 13:41:52 :
-
エレン「!!!」
転がり落ちた道の向こうから――――――何か不吉な風が吹いてくる。
これは・・・・・・・・・・・・ただ事じゃない!
エレン「隠れろッ!!!」
ジャン「はッ!?」
マルコ「何言ってるの、エレン?」
アルミンはエレンの表情を見た―――――完全に血の気が引いている。
アルミン「いいから隠れて!」
エレンとアルミンの意図は理解しかねたが、その真剣な様子を見て、四人そろって近くの木にあった根っこの下の空間に身を潜めた。
-
- 42 : 2015/05/10(日) 13:42:39 :
この季節には感じるはずのない冷気――――――絶望を刻み付けられるような気配。
根っこの隙間からさっきまでいた道を垣間見ると、そこには黒い馬がいた。
鎧を着こみ、黒い衣を纏った何者かが降りたつ――――――フードを被っており、その中は漆黒の闇。
何かを嗅ぎ付け、その何者かは根っこに手をかけた。
――――――虫たちが恐怖のあまり、その手から逃げ出している。
―――――ここから逃げてしまいたい。
エレンは胸のポケットから、一つの指輪を取り出した。
この指輪をはめて・・・・・・・・・・・・透明になって・・・・・・・・・・・・。
アルミン「!!!」
気付いたアルミンがエレンの手を押さえつける。
エレン「ッ!!!」
ナズグル「!!!」
ジャンが持っていた袋を遠くに投げた。
その袋が音を立てて落ちたほうへ、ナズグルは駈け出した―――――その時の恐ろしい金切り声は、四人を絶望のどん底へと叩き落とした。
-
- 43 : 2015/05/10(日) 13:53:45 :
ジャン「おい、あいつは・・・・・・・・・・・・何者なんだよ?」
アルミン「・・・・・・・・・・・・分からない。でも、これだけは確実だ――――――奴らは、僕らを狙ってる!」
マルコ「どうして!? 狙われる理由がないよ!」
エレン「いや・・・・・・俺にはあるんだ。」
ジャンマル「「!!!」」
アルミン「とにかく逃げなくちゃ!」
マルコ「・・・・・・・・・・・・ここから先に船の渡し場があるんだ。そこまで全速力で行こう。」
――――――ナズグルの追跡から逃げる・・・・・・・・・・・・存在自体が絶望に満ちた恐怖の対象。
・・・・・・・・・・・・決死の逃走劇が始まった。
-
- 44 : 2015/05/10(日) 14:49:06 :
日がすっかり暮れ、夜の帳が降りた森の中で、冷気と金切り声が響き渡る。
姿の見えない恐怖に足がすくみ、思うように進めない四人。
アルミン「くそ、こんなの・・・・・・すぐに収まる・・・・・・。」
恐怖と冷気で、体が震える――――・・・・・・
ジャン「!!! 止まれ・・・・・・道の先に奴がいる・・・・・・。」
道の先を、馬に乗ったナズグルは既に先回りして待っていた。
アルミン「迂回しよう、森の中に入るんだ。」
見つからないように森の闇へと紛れていく・・・・・・
-
- 45 : 2015/05/10(日) 14:50:26 :
-
いきなりナズグルが木の陰から飛び出した。
エレン「うわっ!」
マルコ「罠だったんだ!」
アルミン「くそ、走れ! 逃げるんだッ!!!」
絶望を呼び起こす金切り声をあげ、四人を追跡するナズグル。
ジャン「走れ! もうすぐ渡し場だ!」
先にジャンとマルコ、続いてアルミンがいかだに到達。縄をほどき始めた。
アルミン「エレェン! 早くッ!!!」
ただ一人、逃げ遅れたエレンが必死に走ってくる。
後ろからはナズグル――――――金切り声をあげてくる。
いかだを出して、漕ぎ始めるジャンとマルコ。
アルミン「飛べッ! エレンッ!!!」
――――――間一髪、エレンは渡し場から、アルミンの懐へと飛び込んだ。
追跡を諦め、ブランディワイン橋へと迂回し始めるナズグルたち・・・・・・。
ジャン「あいつら・・・・・・複数いやがったのか・・・・・・。」
この時点でエレンたちを追っていたナズグルは・・・・・・・・・・・・三人。
-
- 46 : 2015/05/10(日) 14:54:43 :
- 以上で第二話は終了です。
リヴァイは次回登場します。思ったより長くなったので、次回に持ち越しです。申し訳ない。
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
- 「進撃の巨人」カテゴリの人気記事
- 「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
- 「進撃の巨人」SSの交流広場
- 進撃の巨人 交流広場