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やはり俺の青春ラブコメは―――

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  1. 1 : : 2015/03/28(土) 23:00:29
    皆様 こんにちはこんばんは 皓です、

    今回は八幡たちが三年の卒業間近のお話になります
    なんか書きたいなーと思ってたらふとラスト場面だけ浮かんだので後は思い付きといけるかな感でやり切りたいと思いますのでまたお付き合いお願いします。
    違うところがあればお教え下さい!

    それでは、どうか愉しんで下さい
  2. 2 : : 2015/03/28(土) 23:10:43
    三年。
    それがどんな表現の仕方で有ろうが三年という年月は長く思えるのかもしれん。どこぞのゲームでもⅠ Ⅱ Ⅲ と並んでたら「おお、意外に出てるんだな」などと感心してしまう。

    だが、その歳月が経つには下積みが必要になる簡単に時が過ぎるなんてのは幻想だ。小さなこともコツコツやれば大きくなるなんて事は言わんが大抵そんなもんだろう。

    ともあれ、俺が三年も夢中になれる物が見つかる時。そう、それはきっと夢への実現が出来たときだろう、だから…誰か俺を養ってくれる女性を紹介してくれませんか?

    ―――――
    ―――


    冬の寒さがまだ残る二月。冬は過ぎたのにまだ寒いとかどんだけだよと思いながら窓の外を眺める。この部室にも何回来た事やら
    三年になり三月になれば卒業。それなのにこの雰囲気は変わらないそれは良い所なのかそれとも変わらない事に疑問を抱くところかよくわからん。

    あれから色々な事が過ぎ去った。めぐりん先輩は良いとこの大学に在学をし、何とか小町も無事総武高校に入学を果たした。一色は二年になり、あの性格とは裏腹に生徒会をぐいぐいと引っ張り今や一躍有名人になっている

    葉山達は…よう解らんあれ以来特に話す機会も無く話したいとも思わなかった。

    八幡「相変わらず暇だな」

    吹き付ける風が窓を殴りガラスが悲鳴のようなものをあげている

    雪ノ下「あら、貴方は年中暇でしょ?」

    ページを捲りながら俺に目もくれず本の二の次にするのはもう慣れたが酷すぎじゃありませんの?

    雪ノ下「…そういえば貴方たちは同じ大学に決まったのよね」

    八幡「あ、ああ。そうだな」

    そう、俺の行く大学に由比ヶ浜が行くと言った時は上からロンギヌスでも振って来るかと思ったが由比ヶ浜の言ったことは本気だったらしく由比ヶ浜は合格をした。

    八幡「お前とは別々だって由比ヶ浜が嘆いてたぞ」

    雪ノ下は俺らの大学とは違う大学に入学を果たした。誰からの指図も受けず雪ノ下姉の大学にしなかったのは雪ノ下なりの進歩だったんだろ

    雪ノ下「ええそうね。でも、たまにだったら会えると思うからきっと大丈夫だわ」

    八幡「お、おー…」

    ドアから衝撃音が聞こえ由比ヶ浜か?と思ったがどうやら違う人物だった
  3. 3 : : 2015/03/29(日) 20:00:26
    平塚「失礼するぞ」

    いつもながらに返事をする間もなく入ってくるこの人は 平塚 静
    美人でモテそうという第一印象だが深く関わっていくと色々な事が知れていく。ラーメンが好きで漫画やアニメが好きでよく鉄拳制裁をしてくる教師だが、悪印象は感じない。

    因みに寂しそうなので誰か貰ってあげてください。

    雪ノ下「はぁ・・・先生ノックを」

    毎度のことで呆れたのか雪ノ下は手を頭に当て溜息を吐いている

    平塚「まあまあ、それより君たちに色々と話す事が有る」

    壁にもたれ掛り俺らを交互に見ると首を縦に振った

    平塚「"勝負"の話を覚えているか?」

    勝負?確か、勝手に無理やり入部させられた後に勝手に開始させられたあれか?

    雪ノ下「確か、彼と言い争いをしていた時に平塚先生が考案した話の事ですか?」

    平塚「その通りだよ雪ノ下。その勝負の事なんだがエーット丁度君たちは同じ得点なんだ」

    おいおい、この人小声でえーっととか言ってんぞ、今決めた感ありあり過ぎて意義を申したい

    平塚「君たちはもうすぐで卒業だ。だがその前に決着をつけるべきだろう」

    平塚「次の依頼者を奉仕部最後の依頼とし奉仕部を終わりとする」

    突然過ぎて言葉が出てこない、てかこの人さらっと言うな。雪ノ下の方を向くと状況を把握できないらしく固まっている

    八幡「急じゃないですか?」

    平塚「いいや比企谷急じゃない。元々この部は君達を更生させる為に作った部活だ。君らが卒業をしたらこの部は存続する意味がなくなるんだ」

    解ってはいる、が。いずれ無くなる事はわかっていたのにいざとなると足搔いてしまいたくなる

    平塚「残したいという気持ちは分かる、だが君達は進まねばいけないんだ」

    「「「・・・・・」」」

    うわあ、なにこの雰囲気。先生やばいって思ってるんなら今言わないでくださいよ

    平塚「…話を戻す。それでその依頼で君達どちらかの勝敗をつける」

    雪ノ下「平塚先生。由比ヶ浜さんは勝負に入らないのですか?」

    まあ由比ヶ浜も奉仕部の部員だからな勝負に入る権利はあるはずだしな、うんうん。仲間はずれよくない。イジメ ダメ ゼッタイ

    平塚「いいや、由比ヶ浜はできない」

    雪ノ下「それは…何故ですか?」

    平塚「それは彼女が最後の依頼主だからだよ」
  4. 4 : : 2015/04/02(木) 15:09:31
    は?どうゆう事だ最後の依頼主が由比ヶ浜?おいおい、流石の冗談でも笑えねえよ。ドッキリ大成功の看板はいつ出てくるのか待っているとその後ろからのそのそと由比ヶ浜は現れた。

    由比ヶ浜「や、やっはろ・・・」

    その挨拶は固定なのね。気まずいのは雰囲気で伝わっているのか入り口にいるまま止まっている

    雪ノ下「取りあえず中に入ったらどう?」

    由比ヶ浜「う、うん」

    雪ノ下「それで先生この状況に説明して貰えますか?」

    出された珈琲を一口飲むと先生は足を組み直し腕を組む

    平塚「簡単に言うとだな。奉仕部最後の依頼主が由比ヶ浜で君たちはそれを解決する。と言う事だよ」

    八幡「部員が依頼主ってアリなのかよ」

    平塚「ダメだなんて私は言ったかな?部員と言えど依頼をする事は可能だ」

    平塚「由比ヶ浜。二人に依頼内容を」

    急に名前を呼ばれハッとしだし戸惑いつつもあったが息を吐き冷静になったようで俺らの方を向く

    由比ヶ浜「奉仕部に依頼したい事は私の好きな人に告白する手助けをして欲しいの」

    由比ヶ浜の発言で部屋は静まり返る。なんだこの既視感。ああ、そうか戸部が以前海老名さんの事でこんな事があったな。だが何故今なんだ?

    雪ノ下「…わ、私達にその人へ思いを告げる手助けを?」

    由比ヶ浜「うん。でも好きな人は教えれない」

    んあ?何を言ってるんだ、手助けして欲しいのに教えないって頭の中がちんぷんかんぷん。

    由比ヶ浜「ゆきのん達は私の好きな人を探し出して。私は自分でその人にアタックするから」

    急に攻撃されたら相手もビビるだろ。格闘ゲームじゃねえんだからさ

    雪ノ下「…そう。要は私達は探し当てるだけでいいのね?」

    さっきから雪ノ下の表情が暗いような気もするけど大丈夫か?

    由比ヶ浜「うん。それで大丈夫。卒業式の日に答を聞くね」

    なんだこの依頼。いつからこの部は推理部になったんだ、てっきり由比ヶ浜の事だから殆ど手伝え的な事を言うと思ったんだがな
    探し出すだけのこの依頼に意味はあるのか?

    雪ノ下「・・・・・わかったわ」

    丁度その時何かを始まらせるようにチャイムは校舎中に鳴り響き意図も掴めないまま依頼は承諾された

  5. 5 : : 2015/04/03(金) 13:19:48
    ペダルが重い。普段何も考えず一日の懺悔、それと今日俺に屈辱を与えてくれた野郎どもの名前を復唱し自転車を漕ぎながら家に帰るこれがいつもの日課。だが今日のペダルはやけに重い自分の足にイシツブテでもひっついてるんじゃないかと疑ってしまう。

    そんな事を思いながら必死に漕いでいると自分の家が目前に見えてきた。両親は今日も遅いだろうから小町とカマクラと二人と一匹で何も変わらず一日は過ぎるのだろう

    ―――――
    ―――


    小町「お兄ーちゃん、トマトも食べてね」

    八幡「お、おう」

    愛するわが妹との夕食は最高と思えるが今日のメニューは不服を申し立てる。トマトソースのパスタに トマトのサラダ 更にはトマトのシャーベット。え、なに俺なんかした?拷問レベルに選び抜かれた品々を目にし「これは味噌ピー。これは味噌ピー」と心の中で唱え続けるも口の中では酸っぱさのオンパレードである

    八幡「ねえ小町ちゃん…今日はなに。トマトパーティー?」

    なんなら、トマティーナって言ってくれればやけになって投げただろうに

    小町「お兄ちゃんのトマト嫌いを克服させようと思って」

    舌をぺろっとしあざと可愛くみせようとしてるが、克服じゃなくトラウマになるくらいのレベルである

    八幡「ムリに克服させる必要はない。人間嫌いな事は後回しで片づける生き物だ、だからお兄ちゃんもいずれ克服できる用になるからこんな罰ゲームはやめておくれ」

    小町「でもお兄ちゃん後回しにしすぎて克服問題ありすぎだけどね」

    違うんだ、俺の場合後回しじゃなく保留という事なんだ。あれ意味同じじゃね?

    そんな事より気になった事を小町に相談してみることにした。困ったときは妹に助けてもらう。お兄ちゃんの威厳台無し。

    八幡「なあ小町。好きな人ってどう見つけたらいいんだ?」

    その途端小町が食べようとしていたトマトがテーブルに落ちた南無三。

    小町「お兄ちゃん血迷いすぎだよ、いくら彼女がいないからって誰でもいいって訳じゃないよ!」

    心配+憐み+同情が混じったような顔をしながら心配をしてくる小町。いや勝手な思い込みだけどさ。

    八幡「話が飛びすぎた。実は――――」

    今日あった事を話して驚くだろうと予想をしていたが小町は驚くというよりなにか考えるように唸りながら聞いていた

    小町「なるほど…」

    八幡「何か分かるか?」

    小町は俺を見ると「はあ」と深い溜息を吐きパスタをフォークでくるくる巻く

    小町「さあ?」

    八幡「さあって…」

    小町「私は奉仕部じゃないから聞いて少しのアドバイスしかしないよ、でもねお兄ちゃん」

    小町「この依頼お兄ちゃんの為の依頼でもあると小町は思うな」
  6. 6 : : 2015/04/16(木) 19:56:18
    >>1はネタの扱いがうまいし文章の構成に全く違和感がないから面白い。
    期待
  7. 7 : : 2015/04/16(木) 20:56:30
    じけい@クリーム様

    凄い嬉しい褒め言葉にニヤニヤしておりますw
    詰まらないよう書かせていただきます 期待有難うございます
  8. 8 : : 2015/04/16(木) 21:36:26
    教室の中だというのに暖かい感じがしない。俺の周りも人がいないためより一層寒い地球温暖化はどうなったんですかね?
    というかまじ寒い、誰か窓開けてるレベル。

    小町から発せられた言葉。俺の為?由比ヶ浜の依頼なのに俺が関係しているのか?考え思いついた事はある。だが…いや無いよな。

    そんな事を考えていると窓際の方がやけに煩く感じ視線をむけてみる

    戸部「いやマジでこの頃さむいっしょ~」

    葉山「窓開けてれば寒いに決まってるだろ」

    戸部「いややっぱこうゆう時こそ開けなきゃいけないでしょう!」

    ほう、犯人はお前か戸部。俺が風邪をひいたらお前のせいだからな?俺の家に宿題とかマッ缶とか焼きそばパンとか買って来いよてかこのまま俺を養ってくれてもいい。あーやっぱいいやさっきから「ぐ腐腐」とか聞こえて身の危険を感じる

    葉山「でも、戸部が姫菜の近くに行くとはな」

    戸部「同じとこはムリでも近くのとこには行きたいっしょ!それに諦めきれねえしな」

    修学旅行の後も海老名さんへのアピールは続行していたらしいが華麗にスルーをされたにも関わらずそれでも諦めなかった戸部に関心をしたが あの人は強敵すぎるんだよな。

    戸部「そういや隼人君は―――」

    視界が暗くなった。漂うシャンプーのいい香り隠しきれてない小さな手。なんだよ、戸塚か。戸塚だな。可愛いな戸塚は、やっぱり戸塚はいつでも可愛い愛してる戸塚!

    八幡「そうだろ戸塚!」

    戸塚「ど、どうしたの八幡?」

    アタフタしてる戸塚マジ可愛い。見てるだけで日が暮れるくらい飽きないな。いや毎日ただいまを言える関係になっても飽きない事間違いなし

    八幡「いやなんでもない、それよりどうした?」

    戸塚「八幡がぼーっとしてたからついやりたくなって」

    八幡「毎日おかえりって言ってくれ」

    戸塚「え、どうゆう事?」

    八幡「あ、す、すまん」

    あぶねえ、あぶねえ、バカ俺そんな事できねえだろ。
    まだ心の準備が必要だもんな、戸塚は男 戸塚は男。
    お互いに良い状況になったらひとっ跳びしてスペインにでも行けば合法合法。

    そう、愛さえあれば関係ないよね!!

  9. 9 : : 2015/04/16(木) 22:00:02
    >>8の最初の二行目誤字2つありませんか?
  10. 10 : : 2015/04/18(土) 19:40:28
    じけい@クリーム様

    ご指摘有難う御座います!
    また何かありましたら教えてください。
  11. 11 : : 2015/04/18(土) 21:31:14
    変わり映えのしない放課後いつものように階段を上りあの部室へ向かう。そんな事がいつの間にか俺の"普通"になっている 何をするって事もなく依頼がなければ本を読み時間まで時間を潰す、そんな事があと何回程しか無いのだろう あの空間が崩壊するその時はきっと・・・

    八幡「あ、あ?誰もいない・・・?」

    部室を見渡しても隠れんぼをしてる風には見えず机に置いてあった紙に目がいった

    [今日は家に帰らせてもらいます]

    いや実家へ帰る妻じゃないんだからさ。てか、それなら俺に一言メールでもしてくれれば・・・あ、メアドなかったわ

    八幡「はあ。帰るか」

    そう言の葉を発した瞬間ドアが悲鳴をあげるかのように強く開けられたドアに少し驚いてしまう

    「おろ?比企谷君じゃん!ひゃっはろ~」

    八幡「は、陽乃さん・・・」

    なにこのラブコメ展開。てかあんたここに用ないだろ
    陽乃さんはきょろきょろと辺りを確認しにやりと不敵な笑みを浮かべる

    陽乃「ねえ比企谷君、今暇?」

    八幡「いえ、この後仕事があるので失礼します」

    この人は危険だからな撤退。後退。敵前逃亡。のどれを使ってでも回避しなければ。あれ俺めっちゃ負け犬じゃん。

    陽乃「あれれ~?働くことが嫌な君が仕事?面白いな~比企谷君は」

    八幡「あのそう思ってるならヘッドロックかけないでもらえますか?すげえ痛いんですけど」

    なんなら柔らかく補助もされてて痛いし幸せでもある

    陽乃「そっか、じゃあ暇だね!さあ行こう!」

    八幡「ちょ、は?痛い痛い―――」
  12. 12 : : 2015/04/18(土) 21:41:54
    ―――――
    ―――


    陽乃「うわー!美味しそう!」

    次々と並べられていくスイーツ(笑)ハニトー、苺のケーキ、ブドウのタルト等々見ただけで「なにここ大食い王決定戦?」等と感じてしまう。マジでスイーツ(冷笑)

    八幡「んで。なんでここなんですか?そんな暇じゃないんですけど」

    陽乃「まあまあ。それで~?ガハマちゃんから依頼を頼まれたんだって?」

    な・・・

    陽乃「なんでこの人がこの話を知ってるんだ?って顔してるね」

    八幡「わかってるんなら聞かないのが野暮じゃないんですか?」

    陽乃「思ってるからこそ聞いた方が反応も面白いでしょ?」

    この人ほんと苦手だ。

    陽乃「この前静ちゃんと飲んでね。あ、お酒じゃないよ?そしたら静ちゃんどんどんヒートアップしちゃって愚痴とか部活の事とか色々話してくれちゃってさ」

    おいおい、何酒の勢いでサラっと話してるんですかあの教師。

    陽乃「いやー本当に変わった依頼だよね~しかも奉仕部の部員が依頼って前代未聞だよ!」

    八幡「はぁ。俺もです」

    てか前代どころか奉仕部を聞いたことがなかったがな

    八幡「それで陽乃さんの用は?」

    陽乃「ん?んー。この依頼分かりそう?」

    八幡「さあ、女子の思ってることは難解ですからね。右かと思ったら後ろ行くくらいのわけわかんなさですよ」

    陽乃「相変わらず遠回りした言い方だね。簡単に言えばいいのに」

    フォークを置き俺を見つめる陽乃さんのその視線に怖気づき瞬時に視線を逸らす

    八幡「な、何をです」

    陽乃「"問いはわからないのに解はでてる"とか?」

    八幡「…さ、さあ意味がわかりません」

    陽乃「ふーん、そっか。私そろそろ行くね また来ると思うからよろしくね~?」

    話すだけ話して陽乃さんは席を立つ、その姿を追う事しかできないままでいると、陽乃さんは立ち止まりそのまま付け加えるかのように話し出す

    陽乃「でもさ、また"大罪"をする気なの?」

    そう言い残し陽乃さんは帰っていく。ティーカップの取っ手を持ち、頼んだミルクティーを流し込む。ミルクのくせにやけに苦く冷たかった
  13. 13 : : 2015/04/20(月) 20:47:40
    いつものように教室で昼食を摂る。マッ缶を少しずつ飲みながら菓子パンを胃の中に押し込む、お腹が空いていないせいか今すぐ吐きそうになってしまう

    昼の休憩だけあって教室はガラガラで生徒は疎らな状態だ。戸塚と久しぶりに食べようとしたがまだ練習をしているらしく戸塚はいなく一人で食べる事になった。まあいつもの事だから慣れてるけどさ…

    三浦「超お腹空いたし~」

    三浦の声は人が少ないせいか大きく響き渡る、他の奴らはその声に驚きビクついているが等の本人はお構いなしに携帯を弄りまわしている

    葉山「だな。あれ優美子今日弁当は?」

    三浦「今日マm―じゃなくお母さんがお弁当作るの忘れてて」

    三浦はママ派か。弁当作り忘れはお母さんあるあるだよな。
    俺も中学の遠足の時やけに軽い弁当を渡され一人で弁当食べようとしたら240円と「寝坊しちゃった。てへぺろ☆」の紙が入っていた事への苛立ちをまだ忘れれない。240円ってジャンプ買うんじゃないんだからさ

    戸部「したら早く購買行かなきゃやばくね?良いの売り切れちゃうんじゃね?」

    三浦「姫菜、結衣。あーし購買行ってくるね」

    椅子から立ち上がり教室を出ようとした時海老名さんが手を挙げた

    海老名「あ。私も買いたいのあるから一緒に行くよ」

    三浦「おっけい、結衣はどうする?」

    由比ヶ浜は何か悩んでいたが横に首を振る

    由比ヶ浜「あたしはいいや、ごめんね」

    てっきり三浦達に着いていくのかと思ったが等々独り立ちの時か。俺なんて年賀ら年中独り立ちの最中だからドラクエでいったらかなりの熟練者。

    三浦「そ。じゃあ直ぐ戻ってくるから」

    海老名「結衣ちょっと行ってくるね~」

    戸部「お、俺も買いたいのあったからいってくるべ!」

    お前の欲しいもんは購買にはねえだろ。

    取り残された二人。葉山と由比ヶ浜は特にどうこうという訳でもなく椅子に座り無言でお互い好きな事をしている。葉山は本を読み由比ヶ浜はそわそわしている、どうしたんですか由比ヶ浜さんトイレですか?

    由比ヶ浜「あ、あのさ。隼人君」

    葉山「どうした結衣?」

    ああ。そわそわしてた理由はこれか。まあ女子がそわそわする大半の理由は気になる男子に何かをする時だよな。昔そわそわしながら「あの、もうちょっと離れてくれる?」とか女子に言われたけどこれも好機だったんだよな。

    由比ヶ浜「今週の日曜日空いてる?」

    遊びの誘いか。なんだかんだ由比ヶ浜も自分でやるって言ってたもんな、俺ら特に関係なしだな

    葉山「ああ、大丈夫だと思うがどうしてだ?」

    ずっと見ていたせいか由比ヶ浜と視線が合ってしまう。見てくるなんて予想もしてなくわざとらしく咳をし黒板を見る。
    そうだ。食後の散歩をしよう動かずに机に突っ伏すだけなんて勿体ないせめてでも動かなければ。これは散歩であって気まずいから教室にいれないとかではない

    すぐさま教室を出るために席を立つ。教室を出てざわざわとする廊下を確認し今更ながら気づく。

    八幡「行く場所ねえじゃん」


  14. 14 : : 2015/04/29(水) 15:22:31
    煩いノイズはここまでは響かなく俺は一息つくため椅子に腰かける
    材木座に以前教えてもらった場所。そう図書室だ。

    存在は知っていたが特に行く必要もなく頭の片隅に残っていた記憶を引っ張り今に至る。周りを見るが人の気配がしない明るくも暗くもなく少しだけ開いている窓から通る風は意外にも涼しく落ち着ける場所を見つけた気がした

    八幡「つってもする事ねえんだよな」

    誰もいない事を知り独り言を言い放つと隣の方から「ガタッ」と物音が聞こえた

    雪ノ下「・・・・・」

    八幡「・・・・・」

    なんでお前が。由比ヶ浜とこの時間は昼飯食べてるだろ

    挨拶を交わすことなく机に乱雑に置かれている本をいくつか取り本の世界に入ろうとする・・・事もできず呪文のように見える文字を適当に目視しパラパラとめくる

    雪ノ下「珍しいわね」

    この空気が嫌なのか横目で雪ノ下を見ると同じく椅子に座り本を読んでいる

    八幡「まあな、久しぶりに来るのも悪くないと思ってな」

    本来の理由は伏せておこう何を言われるか解りきってるからな

    八幡「お前は?」

    雪ノ下「授業で調べ物があって調べていたところよ」

    近くに置いてある本を目を凝らし見ると小難しいような本が何冊か積まれ置いてあった

    八幡「んで依頼の方は順調か?」

    話す話題がこれしかなくふと聞いてみたが雪ノ下はなにか行動しているのか

    雪ノ下「これは勝負なのでしょ?貴方に話す事はないわ」

    八幡「そうか」

    椅子から立ち上がり本を持ち部屋から出ていく雪ノ下を確認しこれ以上話す事は無いと思い再び本に目を向ける

    雪ノ下「・・・もし」

    八幡「あ?」

    雪ノ下「貴方が勝ったら何を願うのかしらね」

    そう言い残すと雪ノ下は立ち去り残された俺は一人見たくもない次のページを気にし足を揺すっていた
  15. 15 : : 2015/05/01(金) 23:12:05
    暇な時間ほど時計の針が遅く見えるのは本当らしい。
    さっきから眺めているが10秒が1分に思える。だから1分は10分で10分は…いかんいかん自分でも何を言っているのか分からんくなってきた

    教室にいても得になる事は無いと習性的に感じ取り教室を出る
    どんな顔で雪ノ下に会えばいいのか少し悩み時間をかけ部室に行く事にした。

    長く続く廊下を歩きながら外の様子をみると運動部が練習をしているのが見える。三年が引退し日が経つにつれチームも三年が居ない事に慣れ自分達で成長をしていく。だが、欠けたピースのようにいつもいた存在が居ない事に違和感を抱いてしまわないのだろうか。

    引退し去って行った彼らは後悔や心残りがあるに決まっている
    だが、終わってしまったのだ彼らの「青春」は人生なんてあっという間で一生に一回しかない「青春」は秒速のように過ぎ去っていく。彼らの悔しい記憶も後悔したことも思い出の一部としていつかの日まで彼らの記憶に居座り生き続けるのだろう。


    ベンチに座り顔をあげる。それ程時間が経っておらず暇を潰す事にも疲れこうして空を見上げてしまっている

    「あれ、せ~んぱい?」

    甘ったるくしかしどこかあざとい喋り方をするのはただ一人一色いろはしか俺は頭の中に浮かばなかった

    八幡「なんだやっぱり一色か」

    いろは「第一声にその言葉は酷いですよ先輩」

    予想通り声の主は一色だった。

    八幡「お前生徒会は?」

    いろは「つまないんで抜けてきちゃいました♪」

    頑張っては…いるらしいがこんな所は変わる事はなさそうだな

    いろは「先輩は何処行くんですか?」

    小首を傾げ可愛さアピールしてもまったく響かず聞かれたことに返事をする

    八幡「部活だよ」

    いろは「三年生は引退じゃないんですか?」

    八幡「どうせ後がいないからな。卒業するまで部活はやる事になったんだ」

    いろは「へー」

    興味なさすぎだろ。ヒラメとカレイの見分け方説明するくらいどうでもいい反応だぞ

    八幡「んじゃ、俺行くから」

    歩き出すと同時に袖を掴まれ急停止をしてしまう。

    いろは「先輩暇な日しかありませんよね?」

    八幡「お前も大概失礼だな。暇な時間を潰すってのも忙しいって解釈するから俺は忙しい」

    いろは「そーですかー先輩には色々されたんですけどね」

    その言い方だと俺がなんかしたみたいな言い方になるんですけど

    八幡「用はなんだよ」

    いろは「はい!ちょっとした用がありまして着いてきてくれませんか?」

    八幡「何時だよ」

    いろは「えーっとまだ未定です」

    それなのに誘ったのかよ。脅しでも強ち間違ってないけどな

    いろは「それではまた後日に!それでは先輩失礼しますー」

    勝手に話を進められ疲れを感じたが時間は経過し丁度いい時間になり特別棟に向かうベく歩き出した
  16. 16 : : 2015/05/08(金) 20:46:13
    一部内容を変えさせてもらいました申し訳ありません

    扉の先から聞こえる小さな声。きっと由比ヶ浜のバカっぽい話をいつもみたく雪ノ下が聞いているに違いない。

    どこからか現れた不安を何とか抑え俺は手を伸ばし扉の先に進む。
    向けられる視線、止まる話声そんな一つ一つが嫌になる

    雪ノ下「こんにちは」

    由比ヶ浜「やっはろ~ヒッキー」

    八幡「おう」

    平常を保とうとするがどこかぎこちない、座られていない椅子に座り俺は本を読み始める

    由比ヶ浜「それでね、そこのケーキが凄い美味しかったの!また今度食べ行こうよ!」

    雪ノ下「ええ。行きましょう」

    由比ヶ浜「うん!それでね―――」

    再び3人で集まった部活。どこか変わってしまった空気。どこか距離をとってしまっているのは彼女らなのかそれとも俺なのか。

    繋げる為の予防線が消え以前の関係に戻ったと感じるのは俺だけなのか?葉山達のグループのように形だけでも修復なんて俺らにはできない、解らないんだ。一度崩れてしまったら俺らには落胆の道しか残されていないのかもしれない、それでもきっと俺はこの居場所を維持するためどんな手段でも取るのだろう。


  17. 17 : : 2015/05/16(土) 15:43:22
    昼休みに入り俺の安息の時間が確保されたと思いきや三年の教室に突然入ってきたと思いきや平然と自分の席のように腰かけるこの後輩一色いろはと俺のミスマッチさに他の奴らは驚いているんだろうか

    八幡「なあ」

    いろは「はい?」

    八幡「この浮いてる感じなんだ?」

    いろは「さあ?でも先輩元々浮いてますよね」

    八幡「そう言う事をサラッと言うな。あと原因はお前だからな、てかなんで来たんだ?」

    要件を確認しないと状況的にまずい、何が不味いというとだな俺の立…立場とか元々関係なかったじゃないか。てへぺろ

    いろは「先輩に会いたかったからに決まってるじゃないですか~」

    八幡「だからあざといって」

    いろは「本当は昨日の件で来たんですけどね」

    昨日。放課後に強引に決められた話の件か

    八幡「んでなんだ?この空気耐えられないから早くしてくれ」

    いろは「えー私はもっと先輩といたいのに~」

    不気味な笑みを浮かべクラスの様子を楽しんでるような感じがして今すぐここから飛び出したい

    八幡「んで。何時になったんだ?」

    いろは「はい!今週の土曜は如何ですか?」

    今週の土曜。…日曜はプリキュアや他アニメが待ってるからな日曜じゃないだけ妥協できる

    八幡「わかった」

    いろは「やった!さすが先輩。先輩のこんな所とか好きですよ」

    八幡「はいはい。どうも」

    乗っては思う壺だ。冷静に普段んのように嫌な表情を保とうとしないと何を思うかわからん

    いろは「うわー先輩適当!場所はメールしますね!あ、もうお昼終わっちゃう。それじゃ先輩失礼しますね」

    八幡「あ、おい」

    俺の返事に反応することもなく教室から抜けていく。そもそも携番もメアドも知らないのにどうすんの?意思疎通?それともテレパシーか?俺らにそんな仲良しポイント無いよな

    一色が退場したことによりひそひそと耳障りな声が聞こえる。
    一人を対象とした大勢の蚊のような声がこれ程煩いとは改めて思い知った。その声どもを鎮静化させるように昼の終了を知らせるチャイムは鳴り煩い声は静かに揉み消されていった
  18. 19 : : 2015/05/24(日) 00:01:29
    今日も今日とて部活は続く。
    由比ヶ浜が居らず雪ノ下に聞くと由比ヶ浜は三浦達とショッピングらしく今日は雪ノ下と二人の部活になる

    八幡「・・・」

    雪ノ下「・・・」

    お互い交わす言葉さえせず本を読むだけ。話す事が無く、かと言ってムリに話したいとも思わない。最後の依頼は時期に終わりを迎える。それなのに依頼は全くと言って進行をする事がなかった

    パタンと音がした方に目を向けると雪ノ下が読み終えた本を鞄にしまっている視線を感じていたのか目が合ってお互いに見合ってしまう雪ノ下の視線は何処を見ているのだろうか視線の先にはきっと俺が映っているに違いない、それなのに彼女の瞳は俺を見ているようには見えない

    陽乃「ひゃっはろ~二人とも。おやおや?お邪魔だったかな?」

    嵐のように現れた雪ノ下さんは俺らの反応を楽しもうとしているのか分かりやすいほどの笑みを浮かべ俺と雪ノ下を交互に見ている
    てかマジで驚いたこの人ほんと神出鬼没だな あぎりさんかよ

    八幡「いやいやそんなんじゃないですから」

    雪ノ下「そうよ姉さんこの男とそれは未来永劫ないわ」

    そこはこの先ずっととかでしょ。あれ意味同じじゃね?

    陽乃「え~つまんないなーじゃあ私が比企谷君を貰おうかな?」

    俺の隣に座ったと思いきや顔を近づけまじまじと俺を見つめている 近いしいい匂いだし色々と当たってるから本当にやめてくださいお願いします。

    雪ノ下「比企谷君一生外に出られないなんて嫌よね?」

    その言い方すごく怖いんですけど笑ってる表情で全然笑えてないんですが

    陽乃「雪乃ちゃんも嫉妬しないの!比企谷君は皆の物よね!」

    八幡「物扱いかよ。てか誰のものでもないですよ」

    雪ノ下「それより姉さんはなんで来たのかしら?」

    まるで来るなって言い方だな。会いたいとは思ってなさそうだが

    陽乃「え~比企谷君に会いに来たんだよ?」

    八幡「誤解を招く言い方はやめてください」

    陽乃「この前お茶した時また来るねって言ったじゃない!」

    ああまたこの人は余計な事を

    雪ノ下「なぜ姉さんと比企谷君がお茶をしたのかしら?」

    陽乃「あれれ、雪乃ちゃん気になる?」

    意地悪な言い方をする雪ノ下さんに対しこっちまで漂う不機嫌なオーラを放つ雪ノ下こんな時の立場が非常に困る

    雪ノ下「もういいわ」

    諦めたのか息を吐き落ち着きを戻した雪ノ下だが雪ノ下さんは心底つまらなそうな顔をしたかと思えば俺の方を振り向く

    陽乃「ねえ比企谷君明後日の日曜日暇でしょ?」

    八幡「なんで断言できんだよ。日曜は忙しいんで暇じゃないですね」

    今週は激熱な回らしいからな見逃すわけにはいかん

    陽乃「そっかあ偶然私も暇なの」

    ねえ話聞いてます?逆言葉じゃないんですからさ

    八幡「いやだから暇じゃ「それじゃ日曜遊びいこー!」

    誰か通訳呼んでくれ!

    陽乃「それに依頼の事もあるでしょ?由比ヶ浜ちゃんも誘うからさ」

    雪ノ下が俺を睨むが俺は首を振り俺じゃないと主張をするが信じていなそうだ

    雪ノ下「姉さんその話誰から聞いたの?」

    陽乃「んー?内緒♪」

    八幡「まだ俺行くなんて言ってないんですけど」

    陽乃「へぇ。来ないの?」

    鋭く向けられた視線に背筋が凍った。何かを見透かされているようなこの人には逆らうなと警告サイレンが頭に鳴り響く

    八幡「わ、わかりましたよ」

    陽乃「うん、宜しい。雪乃ちゃんは?」

    雪ノ下も乗り気じゃないようだ何か考えをしながら雪ノ下さんを見ている

    雪ノ下「分かったわ行くわ」

    陽乃「さすが雪乃ちゃん!じゃあ由比ヶ浜ちゃんには比企谷君がするんだよ?」

    八幡「は?え、いや流れ的に雪ノ下さんでしょ」

    陽乃「私はこれでも忙しいんだよだからムリ!」

    俺は忙しくないと思われてませんか?思われてますね

    陽乃「じゃ、私は帰るから場所はまた電話するから~」

    そう言うと雪ノ下さんはすぐに帰ってしまった。
    まだ状況が飲めない状態で雪ノ下もきっとそうだろう
    感情なんて理解しがたいが表情ならどうだろう?きっと今の俺を見れば一目瞭然だろう
    動く時計の秒針がどこかぎこちなく聴こえ一人足らない放課後は物足りなさを感じた
  19. 20 : : 2015/05/28(木) 20:41:58
    流石>>1…!!
  20. 21 : : 2015/05/28(木) 22:48:15
    土曜日。そう週末に訪れる2日間しかない数少ない休みの一つ
    重要な時間ほど直ぐに時間が経過してしまう、土曜の夜なんかに「明日で最後か。明日こそは有意義な時間を過ごそう」などと考えてはいるが、どんどん経過している時間に気づかずまるちゃんやサザエさんなどを観終えた後月曜日が襲来する悪夢を待ちわびそしてまた月曜日が始まる未来永劫無限ループの日常が何百回何千回・・・と繰り返す事になるのだろう
    そんなウロボロスの尾作戦が回避できない現状の今俺は土曜、日曜の一秒一分を大事にしようとしているが現時点での言っている事とやっている事の矛盾を実感しつつスマホの時間を確認している

    八幡「…遅せえ」

    昨日の夜知らないメアドから[10時千葉駅にて待っている]というメールが届いた。なにこれ、果たし状?

    休日だからか知らないが人が多く一人の俺はやけに目立っている逆に言えば大勢の中でも一際目立つ俺カッコいい

    八幡「兎に角適当にぶらぶらすr――」

    肩を叩かれ振り向いてみると意外な人物だった

    葉山「やあ、待ったかい?」

    八幡「いや今来たとこだ」

    なんだこの彼氏彼女の待ち合わせの定番セリフ、ナチュラルに返事しちまったじゃねえか。いやでも待て彼女いたことないから定番かも分からないな

    八幡「なんの用だ?冷やかしならやめてくれ」

    そして早く距離を置いてくれ視線が一気にこっちに集まった。俺の卑屈な想像とは裏腹に葉山は目に留まるからな注目されるのも分からなくもない

    葉山「いろはに誘われて来たんだが。聞いてないか?」

    聞くも何もメールすら送られてこなかったんだが

    いろは「せんぱーい!」

    遠くから聞こえる今回の主犯一色いろはのご登場だ

    八幡「遅いそれと誘うんならせめて連絡をしろ」

    いろは「えーだって先輩のメアド知らないですし。葉山先輩おはようございます!」

    明らかに葉山と俺との差が酷すぎる俺の時だけ嫌な顔してたよ?

    葉山「それでいろはどこに「あれ隼人じゃん?」

    なにこの既視感。俺達が視線を移した相手。三浦 優美子だ。由比ヶ浜と仲が良くプライドが高い割に時々みせる可愛い仕草や面倒見が良い一面があり俺の中で三浦=オカンで成り立っている

    葉山「優美子こんな所でどうしたんだ?」

    三浦「姫菜と約束してたんだけど用事出来たらしくて暇になったの。てかヒキオと…ふん」

    三浦が嫌なオーラを出しているのは一色が原因らしい、一色は一色で笑顔を保っているが「用がないならさっさと帰れよ」と物語っているようだ

    いろは「葉山せんぱ~いそろそろ行きませんか?三浦先輩も忙しそうですし」

    おいおい、いろはす今暇になった相手にそれはムリがあるぞ。プリンの上にごはんですよ乗せて「これキャビアの味する」並みの難しさだぞ

    三浦「あーし別に忙しくないし。ねぇ隼人あーしも一緒に行っていい?」

    葉山「あ、ああ。えっと」

    おい俺に視線を向けるな俺に権限はない。あったとしても俺のコールド負けで上下関係が成り立つだけだ

    葉山「いいか、いろは?」

    いろは「はい。いいですよ~」

    三浦「なら決まり隼人早く行くよ」

    一瞬のうちに三浦が参入し葉山を連れ歩いていく。一色を見ると笑顔は既に消え出鼻をくじかれた様な顔をしている

    いろは「先輩早くいきましょう」

    八幡「お、おう」

    いろは「先輩。邪魔な存在ってどうすれば無くなるんですかね?」

    にっこり笑いながら俺に問いかける一色。質問の問いには応えれず恐怖感と畏怖を覚えつつ嘆声を吐いた
  21. 22 : : 2015/06/02(火) 03:41:55
    続きを楽しみにしてます。
    キャラも違和感ないし緊張感があって凄くいい。

    比企谷君が出処不明のメールに従って無警戒に呼び出されるのは意外。俺ならびびっていけない。土曜に約束があったから、いろはすからだと思ったったのかなー。

    >19 の下から改行含めずに9行目 比企谷君君になってる
  22. 23 : : 2015/06/02(火) 20:04:48
    ヒジキ様 お褒めのコメント有難う御座います!気づきませんでしたご指摘有難う御座いました!
  23. 24 : : 2015/06/04(木) 19:38:08
    八幡「それでどこむかってるんだ?」

    いろは「それ私に聞きます?」

    隣で歩く一色は俺を睨み前を向く

    三浦「そこであーし言ったわけよ―――」

    前では何かの話をする三浦とそれを聞く葉山。聞いているかのようで受け流しているのは気のせいか?

    八幡「いいじゃねえか。奇数より偶数の方がいいだろ?誰か一人になる事ないし」

    二人一組とか四人グループとか廃止にするべきだ。なにあれ、俺に喧嘩売ってんのか。一人集めるだけでも日が暮れるわ

    いろは「先輩はいつでも奇数じゃないですか~」

    こいつサラッと俺の精神削るよな 強ち間違ってはないが

    八幡「うるせえ、いつでも俺は独り立ち出来るようにシミュレーションしてるんだよ」

    いろは「シミュレーションってもうなってるじゃないですか」

    八幡「…俺帰っていいかな」

    いろは「あ。着いたみたいですね」

    俺の言葉はあっさりと無視され仕方なく着いた場所を確認する。出たな高校生の憩いの場ららぽーと。行くとこがないやつは皆ららぽに行くからな。ファッション、映画、飽きない数々の店一日あっても飽きないのが優秀なところだ。やべえな千葉万博かよ

    葉山が俺らに何かを伝えようとしていたが三浦が葉山を連れさり聞けず仕舞いになってしまった。三浦先輩マジ強引

    八幡「取りあえず入るか」

    いろは「そうですね」

    何かのイベントがあるのか「見ろ人がゴミのようだ」と言わんばかりに溢れる人間。既に葉山達を見失い何をしに来たのかすら忘れそうだ

    八幡「そういえば知らないメアドから今日の場所が教えられた文が送られて来たんだがお前か?」

    いろは「私じゃないですよ?先輩のメアド知らないって言ったじゃないですか!」

    八幡「そういえばそうだったな」

    いろは「なんですか。そんなに私とメールがしたかったんですか?ごめんなさいどさくさに紛れて告白されてもムードが無いのでムリです」

    八幡「俺は何回振られればいいんだろうな」

    いろは「もうちょっとですよ~?」

    八幡「何に対しての「もうちょっと」だよ」

    いろは「内緒です♪それにしても先輩も、もう卒業ですか」

    俺は先ほどの事もあり少しからかいたくなった。

    八幡「俺が卒業するのは寂しいか?」

    うん。キモイ。これ程に俺が言うと気持ち悪い言葉があるのか自分でも寒気がするのが嫌だ

    いろは「そうですね、少し寂しいかも。ですよ?」

    罵る言葉が来ると予見していたのだが読み違えてしまった

    八幡「俺が居なくなれば雑用係がいなくなるもんな」

    遠くで聞こえるマイクの音がだんだんと近づいてきている葉山を探すことが第一優先なのだが連絡手段がないからどうしようもできん

    いろは「それだけじゃないですよ。でもこれはご法度ですから言えませんけど」

    八幡「そうか」

    いろは「でも先輩私はあの時間すごく楽しかったです」

    八幡「・・・・。俺も暇じゃなかったぞ」

    いろは「なんですか~その返し方は。あ、葉山先輩から電話来ました」

    携帯を取り出し葉山と連絡をしだす一色。
    一色が伝えた言葉。その言葉を聞いていた時俺は終尾を感じた
    別に今言う必要もない。何時か言いたかったときに言えばいい。
    だが、それもできなくなる。もう俺は、俺らはいなくなる
    奉仕部で受けた色んな依頼。放課後何もせずただ話していたあの日々も、思い出として消える。過ごした事も関わってきた人達の事もリセットされるそれが余りにも自然で、当たり前な気がして過ぎ去る事を容認したくなかった
  24. 25 : : 2015/06/08(月) 06:01:14
    続きが気になる~!|ω・)ミテマスヨ
  25. 26 : : 2015/06/08(月) 18:40:32
    Cream様 コメント有難う御座います!まだ続きますが宜しければ
         終わりまでお付き合い頂けたら嬉しいです。
  26. 27 : : 2015/06/08(月) 20:06:40
    俺と一色は葉山に指定された場所まで向かう事になった、途中で一色ともはぐれそうになり、なにここコミケ?と間違る程の大人数と化していた。ようやく着き辺りを見回すと葉山らしき人物を見つけた。

    八幡「…よう」

    葉山「悪い。手間を取らせてしまって」

    葉山の表情からするとあの後も三浦に振り回されたのだろう、俺らも被害を受けそうだったからな+-0でいいだろう

    三浦「ヒキオ達やっと来たあーしちょーまったんだからね」

    八幡「すまん」

    あれ、なんで俺謝ってんの?謝るのがデフォルトになってるのが情けない。忘れじいさんでもこの技忘れなさそうなレベル


    あの後すぐさま俺らは一色や三浦達に色々な店に連れてかれ休む暇もなく荷物持ちという重大でやりたくもない役目を負わされた。傍から見たら召使やら奴隷やら思われているのだろうか。そもそもお二人さんなぜ葉山には持たせてないんですか?差別ですか?ひいきですか?全然嬉しくないんですが。

    いろは「はぁ~疲れましたね」

    八幡「ああ。1週間分の浪費をした」

    いろは「どんだけ疲れてるんですか」

    八幡「お前らか買う量多いんだよ」

    三浦「は~?このくらいでバテるとかヒキオしっかりしろし」

    ふぇぇ…皆厳しいよぉ

    葉山「まあまあ。それより皆お腹空かないか?」

    時計を確認すると針が7を指している

    いろは「こんな時間だったんですか!お腹空きました~」

    三浦「あーしも空いたし。どっかで食べよ」

    八幡「悪い先行っててくれ」

    いろは「どこか行くんですか~?」

    説明をすると色々面倒だからな、何かしら理由を付けないと納得してくれないよな

    八幡「妹に頼まれたものがあってなそれを買いに行くんだ」

    いろは「へ~私も着いていきますよ?」

    八幡「だ、大丈夫だ直ぐに終わる。じゃあ後でまた合流な」

    葉山「・・・・・」

    危ない、この理由だったら行けると思ったんだがな危うくおまけがついてくるところだった

    静かな場所を探すため外に出た。風は冷たく顔に当たるだけで炬燵が恋しくなる少し離れた場所で俺は立ち止まり携帯からある人物の連絡先を探す。いざ押すとなると緊張する手を固定し[電話]を押しコールが流れるのを待つ

    プルルル…聞きなれないこの音が異様に恐ろしく思える。
    このままこの音が鳴りつづければ話をする事がないし交わす事さえ無いと思う。安心と不安が交互する中俺の本心は多分――

    [も、もしもし?]

    繋がった相手からの声が聴こえる。妙に懐かしく久しぶりに聞いたような声に少し落ち着いた

    八幡[もしもし、俺だ]

    由比ヶ浜[やっはろ~どうしたのヒッキー?]

    内容を聞かれ本題が分からなくなりそうで戸惑った

    八幡[明日暇か?実は雪ノ下さんに強引に誘われてな由比ヶ浜も呼べって言われたんだ]

    由比ヶ浜[…そっか。うん、私は大丈夫だよ」

    電波が悪いのか、少し遅れてくる返事は小さな声であまり明るい声ではなかった

    八幡[わかった、雪ノ下さんから連絡が来たらまた知らせる]

    由比ヶ浜[わかったよ、ありがとねヒッキー]

    八幡[おう。んじゃまたな]

    電話を切り画面を見つめる小町と親の名前しかない電話履歴の中新しく増えている名前と電話番号。分かっている筈なのに確認してしまう、確かにあるその存在を確認し電源を切った
  27. 28 : : 2015/06/09(火) 11:43:55
    する事も終わり中へ入るため足を歩かせる、入り口の前で立ち止まっている人物が通させないようにと俺を見て笑う

    八幡「一色達と行ってたんじゃないのか?」

    葉山「連絡先も無いと思ってね、また迷子になったら困るからさ」

    確かに。だがそこまでしてくれる義理は無いと思うが
    何かを投げ出す葉山急に投げられる物がよく見えず反射的に避けてしまいそうになる

    八幡「…マッ缶じゃないのか」

    受け取った缶コーヒーは熱く片手で持っていると火傷をしそうになる。熱を感じる四角いアルミに縋ってしまいそうになる

    葉山「比企谷少し、話さないか?」

    歩くたびにこびりつくようにあたる風を防ぎたく下を向く
    前を歩いている葉山の歩幅が大きい、そんなどうでもいい事しか見ることがなく溜息をつきたくなる

    ようやく着いた場所は東京湾が見え近くにはボートが停泊している辺りは静かで人がいる気配がしない、葉山は着いたと同時に近くにあったベンチに腰を下ろす

    葉山「こんな所まで悪いな」

    八幡「別にいいさ、こいつの代金分は払ってやるよ」

    葉山「君は本当面白いな。奉仕部はまだ活動してるんだろ?」

    遠くを見ながらコーヒーを啜る葉山が妙に絵になっていて反応が遅れてしまう

    八幡「あ、ああ。と言ってもやる事もないがな」

    葉山「それでも続いてる。それで十分じゃないか?」

    八幡「そうだな。俺としても何もしなくていいなんて天国だ」

    葉山「それで君は良かったのか?」

    八幡「…何が言いたい?」

    吹き付けだす風の音が声に聞こえ安心感が生まれる

    葉山「君の守りたかったものは存続を得た。君自身が変わったからだ。でも一時的だったんじゃないか?」

    喋り出す言葉がいちいち癇に障る。苛立ちを覚えるのは俺自身がそう思っているせいなのか?

    八幡「部外者が…関係ないやつに何が分かるんだ?」

    葉山「関係ないから言えるんだ。満足して終われるのか?」

    八幡「…ああ。できるさ」

    葉山「そうか。すまない昨日君にメールを送らせてもらった」

    名無しのメール、それが葉山だったのか

    八幡「お前だったのか」

    葉山「正体を明かすと君は来ないからな、汚いやり方をさせてもらったよ」

    まあ確かに行かないよな行く必要がなさすぎる次からスパム行決定だな

    八幡「なんで、俺を呼んだ」

    葉山「なんでだろうな?君とどうしても話したかったからかもしれない」

    偽物の笑顔を取り繕い向けてくる表情は前と同様気に食わない

    八幡「お前こそどうなんだあの関係は守れたのか?」

    葉山「守れた。いや"守られた"が正しいな」

    八幡「・・・・・」

    葉山「行動はできずただ見ている事しかできないそんな自分が今でも憎い。だが君はどうだ?自分の結果は気にせず相手の事を考えて行動する、そんな君に俺は・・・」

    八幡「人間誰しも自分を批判する部分があるそれを短所だと言う人間も長所と言う人間もいる。結局自分自身の考えで一方的な解釈をするんだ。お前は悪いやつでもいいやつでもない"普通"だ」

    八幡「ま、これは俺の一方的な解釈だがな」

    葉山「・・・君は――…いやありがとうお陰で俺は君に救われた」

    八幡「何も解決はしてないがな」

    葉山「そうかもな。でもこれで俺は抗えると思う」

    先程とは違う表情はなにか確信を得たような顔だ

    八幡「そうか」

    葉山「優美子から連絡が来たそろそろ戻ろう」

    八幡「ああ」

    先を歩き出す葉山が遠く感じる

    葉山「でもな比企谷」

    後ろを振り向く葉山は一瞬視線を逸らすと再び俺に一言付け足した

    葉山「俺は満足出来なかった」

    そう言うと葉山は一人で先に行ってしまう
    歩く一歩が沈むように重い。感情的になるのも多情多感になるのも自分がそう思ってるからで答は誰も知るわけもなくひたすら一本のレールの上を歩くだけの単純作業。間違える度にルートが変わり違う未来になる。俺はどれだけレールを変えれば済むんだ、終わりはあるのか、そんな事を呟きながらついた嘘を悔やんでいた
  28. 29 : : 2015/06/18(木) 19:51:20
    あの後一色達に不思議に思われながら食事をした、何を食べたのかすら覚えていないが微かに舌に残る味がしつこくこびりつく

    灯る街灯。暗く気味の悪い曲がり角、長く続く目の前の道誰の声もしないこの道を歩いている俺自身落ち着かず今にも声を出してしまいそうになる、ただ一点を残せば。

    さっきから煩く叫ぶ携帯が誰かを呼ぶように画面が明るく自分が居る事を確認させようとしている
    画面を恐る恐る見る[雪ノ下さん]と表示されている画面を逸らす
    出ないといけない事はわかる俺も言わなきゃいけないしな、でもな…電話ですら話したくない。何を言われるかわかったもんじゃないもん!

    八幡[も、もしもし]

    陽乃[遅い!電話はコールの1秒前にでるこれ常識だよ!]

    どこの何木座だよ

    八幡[すいません。あの、由比ヶ浜には伝えましたから]

    陽乃[そっか♪うんうん、よくやってくれたよ!]

    声からわかる楽しんでいる声。この人の考えている事が今その通りに進行しているように思えて仕方ない

    八幡[それはどうも。それより他には誰が来るんですか?]

    ここで聞いておかないとな今日みたいな事が起きたら困る、いや困らん。行かないだけだからな

    陽乃「内緒だよ?それで君が来なくなったら困るから♪」

    な ん だ と 手の内を読まれただと?こんな卑怯な考え方を見抜くと言う事はそんな考えをするなと予見した雪ノ下さんも卑怯だな。うん俺が卑怯だ。

    八幡[元々行く気もなかったんですけどね]

    陽乃[またそう言う事を言う!取り敢えずありがとまた明日ね!]

    八幡[はい。それじゃ]

    電話を終え再び足を帰路へと向かわせる
    見慣れた場所がちらほら見え家が近くだと感じた。
    見上げた空に幾つもの星が瞬く、過ぎさる事が早く時間に飲み込まれそうになる。毎日が違う中この景色も二度と見れないだろう、そんな変わりゆく一日を見納めるよう空を仰ぎ星空を見上げた
  29. 30 : : 2015/06/18(木) 22:15:18
    ついに来たか
  30. 31 : : 2015/06/19(金) 18:35:41
    >>30 じけい@クリーム様

    投稿が遅くなり申し訳ありません これからムササビくらいのペースでupするので(内容次第)お願い致します。いつも有難う御座います
  31. 32 : : 2015/06/19(金) 22:48:19
    今朝の目覚めは良かった、鏡で自分の顔に驚き目が冴えてしまったからだろうか…。お腹が空かないせいか頭がボーっとする。

    [今年の桜は開花時期が遅くなりそうですね]

    テレビの画面の中でアナウンサーが付け足すように話す。
    桜は割と好きだ。派手すぎず目立ち過ぎず、ポツンと居座るだけでも綺麗さを放つ。そう。まるで、初めて会った彼女のように――

    八幡「うわ、やばい。おい小町俺・・・なんだこれ」

    テーブルの隅に置かれ折りたたまれた紙[遅いな!早く開けてよ!]と書かれ気づいてない事が分かられている事が流石俺の妹と言うべきか。紙を開き確認をするも[先に行ってるね~]などと特に必要のない要件が書かれていた。てかメールとかLINOとかあるだろ、ま。そういう所が可愛くて仕方ない

    八幡「さて、俺も行くか」

    支度を済ませ家を出る、忘れものがないか確認をするも特に持ってきた物もなく現地へ向かう。…いや一寸待て[先に行ってる]…?

    ―――――
    ―――


    小町「お兄ちゃん!あれ程小町が教えてあげたのに!」

    目の前にいる我が妹は怒っているらしくわざとらしく口を膨らませ可愛さアピールを披露している

    八幡「お兄ちゃん小町が来るなんて聞いてないんだけど」

    陽乃「うん、昨日誘ったからね!」

    何処からか現れた雪ノ下さんはうんうんと首を縦に振り納得している。この人ほんと色んな人巻き込むよな…もうあだ名つけた方がいいな。陽乃タイフーン?シスタイフーン?いやなんで雪ノ下まで入ってんだよ。面倒だから陽乃んでいいや

    雪ノ下「こっちの身にもなって欲しいわ」

    由比ヶ浜「あはは、やっはろ~ヒッキー」

    八幡「お、おう早かったな」

    雪ノ下「貴方も時間通りに来たじゃない。その腐った性根も更生できてきたのかしら?」

    八幡「俺への第一声がそれかよ、いや挨拶なの?」

    思っている事が逆と思わなければやってられんな。逆で言うと「時間通りに来てくれて嬉しいわ、その綺麗な心構えも堕落してきたわね」なにこれ、結局貶されてるじゃん

    いろは「せ~んぱい遅いですよ~」

    八幡「うわ、お前なんでいんの?」

    いろは「酷い言い方ですね!陽さんに誘われたんですよ~」

    八幡「またあの人か…これだけ―――「はちま~ん!」

    こ、この声はまさか…!

    戸塚「八幡おはよ!」

    俺の癒しの天使じゃないか。戸塚とランデブーできてこのまま昇天しそうな勢い。ここはカッコよく決めないとな

    八幡「お、おひゃ。…おはよう戸塚」

    戸塚「うん おはよ!」

    自分で自分にフラグを立てる辺り、…まあこんなもんですよ

    平塚「うむ、皆揃いつつあるな」

    車から出てきた平塚先生は俺らを確認すると車に背中を預け煙草を吸いだす。その格好が妙に合っていて見入ってしまう

    八幡「平塚先生も誘われたんですか?」

    平塚「ああ。本当は予定があったんだがな…キャンセルされてな…はぁ」

    幸せが逃げるほどの溜息を吐く、もう、ほんと…先生今度ラーメン食べ行きましょう

    陽乃「あ。ようやく来た隼人おそ~い皆待ってたんだよ」

    葉山「皆遅くなってごめん」

    昨日の今日でまた葉山か。他の奴ら、特に一色は嬉しいのだろうが俺からしたらブービートラップだな。もうすべてが罠

    平塚「全員揃ったな。さあ乗りたまえ」

    この人数が乗れるほどの車を借りてきてくれたのか以前見た車とは車種が全くの別物だった

    小町「お兄ちゃん?乗ろうよ」

    八幡「…そうだな」

    強制に誘われたとはいえ拒めば行かなくて良かったはず。いちいち確認することも想像や安堵する事もなくよかったに違いない嫌な事も許容できない事も全てが著しく、俺の行う判断が間違っているとさえ思ったこともある。

    だから俺は自分自身に嘘をつく
  32. 33 : : 2015/06/27(土) 00:38:02
    一瞬で変わる景色を見ながらどれくらいの時間が経っただろう
    軽快な音楽が車内に響き渡りそれに合わせるように鼻歌を歌う平塚先生。ほんとノリノリだなこの人

    陽乃さんはイヤホンを付け音楽を聴いて自分の世界に入り雪ノ下は本を読み時折外を眺めているだけ、葉山は先程から携帯を弄り何やら忙しそうに見える。

    由比ヶ浜らはと言うと、一色や小町、戸塚と何やら楽しそうに話をしている。戸塚と二人だけで話したいと言えずじまいでその姿を眺めているだけ。くそう、俺も仲間にいーれて!

    改めてその風景をみると違和感を感じてしまう。由比ヶ浜が一色や戸塚と話すのは分かる、知り合いだもんな。小町と一色が話していることに少し驚いた、いつの間に仲良くなったのん

    雪ノ下「…さっきから由比ヶ浜さん達を目視して何か起こす気になったの?通報するわよ」

    俺の不自然さに気づいたのか、隣から雪ノ下が話しかけてくる
    それにしても失礼極まりないですね

    八幡「人を犯罪者予備軍みたいに言わないでくれない?ただ小町と一色が仲良く話してる事が気になってたんだよ」

    雪ノ下「あら、一色さんと小町さんは既に知り合いの筈よ?貴方が知らないだけじゃないかしら?」

    え、そうなの?長年小町を知っていたと思っていたがそんな事知らなかったよ!お兄ちゃん失格かな☆これからは常日頃から見守ってるね小町マジ天使!

    由比ヶ浜「ねえねえ、何の話してるの?」

    俺らの会話が気になったのか由比ヶ浜は顔をこちらに向け何々と首を傾げている

    八幡「ああ…行先を話してたんだ。何処行くんだろうなー」

    思わず棒読みで話してしまうほど戸惑ってしまう。隣では雪ノ下が何故と言わんばかりにみているのがわかる。別に隠すつもりはないただ言う必要がないだけで再確認なんて無必要なんだろう

    由比ヶ浜「だよね!何処だろう!ディスティニーランドかな!?」

    腕をぶんぶんと振りテンションが高ぶる由比ヶ浜。車の中で暴れないでくださいよ、他のとこも暴れてるんで…

    雪ノ下「ディスティニーランド…」

    小さくそっと呟く雪ノ下。こいつの目当てはパンさんだろうな、もうパンさん一色だなこのさいパンさんランドとか作れば企業は大儲けだろうな。…まあごく一部に。

    八幡「そんなに気になるんなら聞いてみろよ」

    二人に聞こえるよう少し声のボリュームをあげ発する。
    聞こえたのか由比ヶ浜と雪ノ下は何やら二人で確認しあうと俺の方を向く

    八幡「な、なんだよ」

    怖い。やめて。そんな見ないで。腐ってる目が浄化される。あれそれっていいんじゃね?
    君達の言いたい事はよくわかった。俺が聞けばいいんですね。そういう事はすぐ俺任せ、俺ってほんと罪な男。

  33. 34 : : 2015/06/27(土) 01:04:35
    八幡「…あの、先生今どこに向かってるんですか?」

    平塚「ん?そうだな。比企谷好きな魚はなんだ?」

    なんだ急に。そうだな、鯖、鯵、んー鮪の刺身もまあ好きだがってこれもう食べ物じゃねえか

    八幡「そうですね、特にいないですね」

    平塚「そうか。ペンギンは可愛いもんな」

    あれれー?おかしいなー、ないって言った筈なのに。

    一色「先輩イルカも可愛いですよ~?」

    八幡「そうだな、お前好きそうだもんな」

    イルカ好きそうだもんねいろはす。イルカと聞くと昔小町がイルカの縫いぐるみが欲しいとか言って買ってもらってたな、二日後にカエルのぬいぐるみが増えててイルカはいなくなってたっけ…エスパードルフィン最高なんだぞ!

    戸塚「イルカ可愛いよね僕も好きだな」

    八幡「ああ。俺も大好きだ」

    小町「…お兄ちゃん」

    小町がジト目で俺を睨んでくる。だ、だって。イルカが大好きで戸塚も大好きなんだもん!

    由比ヶ浜「それで先生。行く場所って・・・?」

    話の終わりが見えないようで由比ヶ浜が本題となる事を聞いてくれたようだ。脱線の脱線で何が何だかわからなくなってたぜ

    平塚「うむ、色んな事を知っておくに越したことはない。千葉と言えばラーメン。千葉の水族館と言えば鴨シーと思ってな今日は鴨シーに行くぞ~!」

    どこから出したのか、普段聞かないような若々しい声をだす先生
    あと千葉と言えばラーメンって千葉のアピールはそんなもんじゃないでしょ!ピーナッツ国内NO1とか千葉県の王道飲み物マッ缶とかあれ…やばいぞ。考えたら考えるほど千葉の良い所が出てくる…もう千葉にダメな所はないな。誰もに笑顔を与えてくれるそんな千葉が僕かぁ大好きだ

    由比ヶ浜「カモシ?」

    八幡「アホ。それは魚だ。鴨河シーランド一度は行ったことあるだろ」

    幼少の頃に連れてかれた記憶がある。何か忘れちゃいけない何かがあったんだが・・・

    一色「久しぶりで楽しみです!」

    小町「小町もです!あ、でも先月両親と来たんでした」

    何やらお兄ちゃんだけ除け者にされてる部分を聞いたと思ったんだがそこはスルーしよう、別に寂しくないんだからね…

    陽乃「そ~いえば、雪乃ちゃんが昔水族館でね――」

    いつから聞いていたのか悪い表情をしているが他から見ればきっと笑顔なのだろうそれがこの人だからたちが悪い。

    騒ぎの元凶が起きたせいか周りはガヤガヤ話声が聞こえ始めた
    外を見ると広くどこまでも続きそうなデカい水溜りが存在する色は濃く他の色と組み合わせれば何色に変色してしまうのかそんな事をふと考えた。ざわつき、はしゃぎ聞こえる声。それもきっと旅の醍醐味なのだろう。頬杖をつきこの光景を目に焼き付ける。耳に入ってくる楽しげな声、輝かしいほどの笑顔そのどれもをいつかの日まで忘れないよう消え去らないよう俺は深く息を吸い目を閉じた
  34. 35 : : 2015/07/03(金) 19:22:08
    「・・・・ッキー」

    微かに声がする。聞き覚えがある声だ、この声は…

    由比ヶ浜「ヒッキー!!」

    八幡「……なんだ由比ヶ浜かあと5分」

    由比ヶ浜「まだ寝る気満々だ!?それより早く起きてよ!」

    まだ眠気がとれないまま起こされ車内を見ると他の人達は見当たらなく外から見える建物からするに到着したんだろう

    由比ヶ浜「折角起こしに来てあげたのに!」

    腕を組み口を膨らます由比ヶ浜。もう少し優しい起こし方はないんですかね・・・?

    八幡「雪ノ下達はもう行ってるのか?」

    由比ヶ浜「うん!でも入り口の所で待っててくれてるけどね」

    俺のせいで迷惑をかけていたのか。迷惑をかけないところが俺の唯一の取り柄だと思ってたんだがな

    八幡「悪い。直ぐに行くか」

    由比ヶ浜「うん!」

    八幡「…あと起こしてくれてサンキュ」

    由比ヶ浜「あ…うん。こちらこそ」

    顔色が朱くなり顔を隠す由比ヶ浜をみて俺まで恥ずかしくなってくる日本語が可笑しいのは兎も角赤くなりながらもこっちをみるのはやめてもらえませんかね

    ―――――
    ―――


    八幡「すまん、遅れた」

    由比ヶ浜の行っていたことは本当らしく雪ノ下や小町、一色など待ちくたびれた顔をし俺を睨んでくる。うーん目が覚めるなー!

    小町「お兄ちゃん…遅い!」

    一色「そうですよ!どれだけ待ったと思ってるんですか!」

    八幡「す。すいません…平塚先生これ車の鍵です」

    平塚「あ、すまん。それでは比企谷も来た事だし行くとするか!」

    待ち通しらしかったらしく小町と一色は二人してずいずい中に入って行った。平塚先生はと言うとあちらこちらにいるカップルや夫婦などを何度か見ると「わ、私だって」と呟き暗い中へ消えて行った。ほんとさ…なんでここ選んだのよ…

    水族館というのは子供から大人までに人気らしくスーパーなどで魚エリアが人気なのは切り身や刺身が好きな為でここに来る人たちもどれが美味しいか色々な種類の魚を見定め今晩の食材を決めるために来ているんだろう。いや違うか…違うな

    八幡「葉山と雪ノ下さんがいねえな」

    雪ノ下「姉さん達は先に行ったわよ」

    突然返された声に「いつから居たんだ」とつい行ってしまいそうになるも俺が悪かったせいで待たせていたんだろうと思い口をつぐむ

    八幡「ああ。あの人待つのとか嫌いそうだもんな」

    雪ノ下「ええ、貴方なら余計良いといって奥に行ってしまったわ」

    八幡「そうですか・・・」

    まああの人に待っててもらってると後が怖いからなそれはそれでありがたかったのかもな

    八幡「それより…戸塚はどこだ?」

    戸塚と水族館。もうこのシチュエーションだけでも最高なのにその夢が今や現実に、一刻も早く探さなくては俺は戸塚を探すべく辺りを見回す、すると雪ノ下は深いため息をはきこめかみを押さえる

    雪ノ下「戸塚君も姉さんについていったわ」

    うそ…だろ?戸塚がいないとかマッ缶から練乳がなくなった飲み物じゃねえか。戸塚がいてこそマッ缶が上手いんだろうが!おいジョー0アしっかりしてくれ!てかほんとお願い練乳で成り立ってる飲み物なんだから戸塚…あれ。なんの話してたんだ

    雪ノ下「はぁ…貴方も大概ねそれより私達も行かないかしら?由比ヶ浜さんも来た事だし」

    由比ヶ浜「お待たせ!」

    いつの間にかいなくなってた由比ヶ浜が息を切らし呼吸を整えるため落ち着かせようとしている

    八幡「大丈夫か?」

    由比ヶ浜「うん、もう大丈夫!」

    ニコリと笑う由比ヶ浜は本調子に戻ったのか、わやわやと雪ノ下を連れ先に進んでいく。雪ノ下も諦めたのか目を伏せ少し微笑んだかと思うと由比ヶ浜と歩き出した。
    彼女達の後ろを目で追いつつ俺も足を動かす水族館独特の暗さに安心したのかつい鼻歌なんか口ずさんでしまうきっとこれは久しぶりに水族館に来たから興奮しただけでこの存在に満足しているのではない。そんな事を自分に言い聞かせ彼女達を再確認した
  35. 36 : : 2015/07/03(金) 20:46:56
    陽乃さん可愛いですね。はい。
  36. 37 : : 2015/07/04(土) 19:38:01
    >>36 じけい@クリーム様

    コメント有難うございます…!
    物語も終盤に近づいてきております気長くならないよう話をねりねり致しますのでどうぞ最後までお付き合い頂けたら嬉しいです
  37. 38 : : 2015/07/04(土) 21:29:57
    小町「ねえお兄ちゃん、どっちなの?」

    いろは「先輩。私ですよね?」

    腕を左右から引っ張られ一昔前の拷問のような思いを頭の中で思いつつ腕が悲鳴をあげてるのが伝わってくる。てかくるじゃない、もうきてる。痛いすげえ痛い

    八幡「小町ちゃんわかったわかったから一旦話してオーケー?」

    いろは「先輩私はどうなるんですか!?」

    右から聞こえる怒鳴り声に鳴きたくなりそうになる
    由比ヶ浜や雪ノ下は俺の事など見向きもせずに二人でいちゃこらいちゃこら水槽に現れる生物の話をしている
    いやまて、いちゃこらなら傍から見たら俺もそうじゃね?よっしゃリア充共羨ましいか?そうかそうか。なんなら変わってやろうそろそろ腕の感覚がなくなってきた

    八幡「お願いそろそろ話して腕が…」

    小町「お兄ちゃん昔も言ってたよね。あ、でも昔は「鎮まれ俺の右腕が」とかだったっけ?」

    八幡「おい、よせやめろ小町」

    小町の爆弾発言によって俺の周りに静かさが訪れる
    毎度の事なのだがここは家でも部室でもないということを覚えてほしいもんだ。ほら見てよ知らない人たちが僕の事痛い子扱いしてみてくる!一色なんて知らない人のふりして携帯弄りだしてるし!

    雪ノ下「比企谷君はその頃から現実逃避を繰り返していたのだからしょうがないのよ」

    可哀想に思ったのか憐みの表情を浮かべこちらにくる雪ノ下
    そう言ってる割に表情が明るくなっていってるのは俺の勘違いかなー?

    由比ヶ浜「そ。そうだよ!ヒッキーはいつもキモイから大丈夫!」

    八幡「なんだよそのフォローフォローのフォの字すらでてねえよ」

    いろは「そんな事よりせーんぱいこっちに可愛いのいますよ!」

    ぐいぐいと袖を引っ張りあっちあっちと指を指す一色が単純に楽しんでいる女の子に見えつい着いて行ってしまいそうになる
    落ち着け俺。ひーひーふーひーひーって腹式呼吸してどうすんだ

    八幡「…分かった皆でクラゲ見に行くか」

    俺のチョイスはダメだったらしく全員微妙な顔を浮かべる
    なんでダメなんだよクラゲ超可愛いじゃんあのぷよぷよ浮いてる感じが最高じゃねえか固ぷよとか得点ぷよとか…懐かしいなこの頃やってないし皆で対戦すれば納得すること間違いなし

    雪ノ下「クラゲみたいな生き物は普段から見ているからいいわ、そうでしょクラゲ谷君」

    八幡「おい、誰がクラゲだクラゲの方が精一杯生きてるだろ、俺と比べたら失礼だぞ」

    由比ヶ浜「ヒッキーの生き方クラゲ以下なんだ…」

    若干引き気味な由比ヶ浜に申し訳ない気持ちになってくるいや本気じゃないよ?俺本気出したらマジっベーから!千葉県の特色特産物千葉の豆知識言えるくらいだから。あ、でもこれ一般知識だったか八幡うっかり☆

    小町「兄がいつもすいません…」

    由比ヶ浜「ううん大丈夫だよ!もう慣れちゃった」

    雪ノ下「ええ。謝る必要はないわ悪いのは比企谷君よ」

    ええ仰る通りです、自分でも思えるくらいだめだめだと思います
    養ってくれる人がいてようやく使える尽力となるので早くそんな人が現れると嬉しいですね

    一色「でも時々は役に…頼りになりますよ♪」

    八幡「なんか嬉しくねえよその言葉頼りってか任せっぱなしだろ」

    一色が持ってくるのは福じゃなく厄介事だからな福の神じゃなく貧乏神の方があってるかもな、なんなら小悪魔とあざとさオプション追加すればあら不思議今の一色の完成だ!

    由比ヶ浜「それでどこ行くんだっけ…?」

    由比ヶ浜の発言で薄れていた本題を思い出す
    小町達も忘れていたらしくそうだったと大袈裟なリアクションをしている

    小町「お兄ちゃん」

    いろは「先輩」

    雪ノ下「比企谷君」

    由比ヶ浜「ヒッキー」

    おいなんで俺に委ねるんだよ俺の反応を待つかのように全員が俺の表情を見ている。だが安心しろ答は決まっている、素直に率直に頭にぷかぷか浮いてくるワードきっと頷いてくれるに違いないあれだけ言ってても本当の気持ちは隠せないに決まっている

    息を吸い込みファイナルアンサーを問うような緊張感を出す雰囲気に固唾を飲んでしまう。戸惑いはなくすんなりでた言葉は満足できるだろう

    八幡「…クラ「「「「却下」」」」

    みなさん仲いいですね
  38. 39 : : 2015/07/13(月) 22:38:45
    昼食を挟み小町達は次見る場所を決めるためあれこれ計画をし始めだしていた俺はといえば人混みの多さや歩くのに疲れた為椅子にもたれかかっている、だめだ疲れた。もぅマジむり休憩しよ。
    体力に自信のない雪ノ下も疲れたであろうと確認をすると予想が的中のようで遠くに視線を移し疲れをとろうとしていた

    由比ヶ浜「ヒッキーそろそろ行こ?」

    元気に俺に問いかけてくる彼女は俺達と歩いた量は同じはずなのに疲れ切った様子が見えない。こんなに歩いても疲れないなんてガハマさん素敵!

    だが、俺にまたぐるぐると周る気力は残っておらず精々行けてもそこに留まり眺めることしかできない、こんなに自分の体力がない事に驚く、他の奴らの反応を窺がおうと様子を見る一色と戸塚は意気投合したらしく楽しく何やらキャッキャウフフと会話を弾ませている。おい一色そこ変わってくれ。

    八幡「もう少し休憩してから行くわ」

    由比ヶ浜「うん分かったよ!」

    高らかに聞こえる声が少しずつ遠ざかっていくその姿を目で追いながら彼女の向かう場所は疲れ切っている彼女の場所なのだと気づいた。足音が止まったのがわかったのか雪ノ下は視線をその足音の方へ目を向ける

    由比ヶ浜「ゆきのん大丈夫?」

    雪ノ下「な、何の事かしら?」

    由比ヶ浜「結構歩いたから疲れたと思って!」

    雪ノ下「疲れてなんていないわ、ただ貴方たちが動かないから身体を休めていただけよ」

    休む理由を言えたつもりなんだが最後の聞いたら疲れてるようにしか聞こえないんだけどなうーん。

    一色「それじゃ雪ノ下先輩行きましょ!もうここ飽きましたし!ね、戸塚先輩?」

    戸塚「う、うん。そうだね」

    話を聞きつけた一色は雪ノ下の肩に顔を置きはやくはやくと子供のように急がせている。戸塚は困ったようにあははと軽く笑うと頬を少し掻いていた戸塚マジ可愛い。雪ノ下は小さな溜息を吐き椅子から立ち上がると俺に視線を移し貴方行くわよね?というかのように睨まれる

    由比ヶ浜「ヒッキーは後から来るって!だから先行ってよゆきのん!」

    雪ノ下「そうなの。それなら仕方ないようね…」

    心配しているように見えるが俺から見ると表情は最悪でその場所変われやと訴えかけているようにしか見えないほんとゆきのん素直になろうよ…

    雪ノ下「それではまた」

    八幡「お、おう気を付けてな」

    ずいずいと行ってしまう由比ヶ浜や小町、会話を再び始める一色と戸塚その2、3歩後ろに着いていく雪ノ下その後ろ姿が気がかりでつい姿が消えるまで視線がいってしまう。

    雪ノ下は弱さを見せないそれは彼女なりの優しさで頼らない事が当たり前の世界で生きてきたからなのかもしれん俺が彼女を知っている事はごく僅かで知らない事の方が多い奉仕部が齎した長いようで短い月日が過ぎても変わらなかったこと、それはきっと偶然ではなく必然だったのかもしれん。埋もれて消えてしまったあの言葉は簡単で願っていれば必ず叶うと子供のような考えでいつまでも縋っていたんだろう。
  39. 40 : : 2015/07/14(火) 22:34:16
    雪ノ下達が見えなくなるのを確認すると重くなった身体を動かすように建物の中に入る由比ヶ浜達から散々disられたがここに来たら一度は見なければ(使命感)が忘れられなくここへ足を運んでしまった。建物の中は暗く水槽の中が花火のように綺麗に色を放っている

    クラゲ展示施設[くらげLife]と書かれた場所はその名の通りクラゲしか存在しない、けれども様々な種類のクラゲが自由に泳いでいる姿は鮮明で瞬きをしなければそのまま飲み込まれそうだった
    辺りを見回すが人がそれ程いなく新しくオープンしたばかりだからかな…いやセールとかリニューアルとか日本人は横文字に弱いからな来ない筈がない、時間が昼時で昼を摂っているからだろう、きっとそう!皆大好きクラゲさん!僕も大好き!

    「おや、比企谷じゃないか」

    カツンカツンと聞こえる音が次第に近くに響きその音のする方に目を凝らす。気のせいかワクワクした表情で遭遇した平塚先生は何かを言いたそうに腕をぶんぶん振り回しチラチラと水槽に視線で俺を誘導しようとしていた。なんだよ可愛すぎるだろこのアラサー…ん?いやアラサーじゃないかあれアラサーなのか?錯乱した考えを捨て横目で水槽をみる

    八幡「凄いですね」

    平塚「ああだろう!このエリアはホログラフィックで映像を表現できる展示施設があるのだよ」

    自慢げに胸を張る様子が子供のようで込み上げる笑いを抑えるように咳払いをする

    八幡「こいつらは何も考えないで泳いでるんですかね」

    ふと呟くと平塚先生は軽く笑いふぅーと息を吐き出す

    平塚「なに私ら人間だって変わらないさ考えているようで考えていない終わった後に気づき後悔する生き物だからな」

    八幡「こいつらは後悔なんてしないと思いますがね」

    ぷかぷかと浮かびしがらみも何を言われる事もなくただ泳ぐ事にどんな感情を抱いているんだろうか

    平塚「そうかもしれないな。だがそれは主観の問題だろう。思っていること感じていることは私や君が決めれる事ではなく自分だけが解る唯一の特権だと思えるがね」

    優しく俺に向けられる声音はゆっくりゆっくり染み渡りそれに落ち着きさえ覚えてしまう、緩んでしまった口元が言葉を溢し冷たい空気が更に冷たくなるように腕を擦ってしまう

    八幡「先生はあの依頼の協力者なんですか」

    俺の唐突の発言に驚いたのか少し間が空きその後に腹を抱え笑いだした。失礼じゃないですかね…これでも真面目に聞いたんですが

    平塚「君は休みの時でも仕事の事かこれは更生が出来たと思っていいのかね?」

    うわマジじゃねえか。奉仕部は常に仕事に追われる日々だったからな習性というか習慣とかそんな何かが染みついたんだろうな八幡さん素敵社畜の鏡、残業マスター!なにそれ嬉しくないんだけど

    平塚「残念ながら私は彼女を奉仕部へ導いただけだ。彼女が何を知って何をしたかったのかそれはわからない」

    八幡「そう…ですか」

    ポケットから振動を感知する四角い機械を取り出し光る画面を見ると小町と表示される画面が何度も震えだしている。電話に出ることができず手に伝わる振動が妙に温かい

    平塚「サナトリウムと置き換え私は君達を観察してきた。あの場所で過ごす日々は善くも悪くも君達を成長させていった。間違って、傷つけて不干渉な関係から関わりを持っていった。私はそんな君たちを留めるほど気に入っていたんだと思う」

    暗くも明るくもない声は俺に話しているはずなのに語りかけている人物は別にいるような気がした

    平塚「君たちは優しい。人の事を最優先に考えてしまう。だからこそこの依頼は成立したのかもしれんな」

    口を開く間もなく平塚先生は次の言葉を発してしまう言わせないように問われないように。

    平塚「さて行くとしようか、もう少しでイベントもあるようだしな先に行っているぞ」

    ぶらんぶらんと手を振り平塚先生は外へ向かっていく、取り残された俺はぽかんと空いた空間をなくすべく浮いている生物をじっと見つめる、それと同時に鳴りだした機械を落ち着きながら取り出し数秒後に電話を受託した
  40. 41 : : 2015/07/19(日) 15:13:14
    小町の言われた通りの場所に着くまでそれ程時間はかからなかった
    オーシャンスタジアムと呼ばれるその場所は収容人数約2000人と鴨シーで一番に人が入れる場所だ。それだけ人が集まる理由はここの目玉といっていいだろうシャチのパフォーマンスだ。子供というのはデカいものに興味がいくもので大勢の観衆の前で見慣れないシャチをみたら興奮するに違いない。ソースは俺。子供の頃に見せられてからというものシャチになりきり風呂で一人パフォーマンスしてたっけお陰で風呂のお湯は無くなるは置いてあるシャンプーなどは溢してしまうは散々な目にあったっけ…

    どこだどこだと探していると俺の姿を見つけたのかニッコリ笑顔でこいこいと手招きをしてくる人物がいた。正直あいつの所なんかより戸塚の隣もしくは膝の上がよかったが人はすでに埋まり座れる場所が無くなっていた

    葉山「遅かったな」

    八幡「混んでたんだよ」

    笑いながら話しかけてくる葉山は驚いたように周りを見渡す
    何故かレインコートを着ている事を聞きたかったがファッションかなにかだろうと思い聞かない事にした。レインコートファッションね・・・

    葉山「それにしてもすごい人だな」

    八幡「ああ。そういえば雪ノ下達は?」

    葉山「彼女達なら奥の方だと思うよ。俺は途中から来たからね」

    待ちわびているせいか他の声がうるさく耳に残る
    子供の叫び声、まだかまだかと待ちわび楽しげに話す声それが何重にも重なり声を拡大かさせていくしまいには葉山の声すら薄れていく

    八幡「正直お前が今日来るなんて思わなかっただが」

    葉山は視線を一点に集中し何かをみているその視線をつられてみると何もない何もいない大きな水のステージを見ているだけだった

    葉山「はは。俺も思ったさ、けど来るしか選択肢がなかったと思うんだ」

    不格好で不器用な笑い方は何時に無く無感情な作られたものらしさがあった。アナウンスが入り間もなく始まる事を伝えている
    その情報を待ってたように観客は声を高らかに揚げ声は一層ざわめきを迎える

    八幡「はっ。俺なんて殆ど強制だからなお互い様だろ」

    思ってもない事を言っても言葉は空回りする本心でもない事をいうのは遠慮や同情の類に入るのだろうか

    葉山「君はいつものようだな」

    その一言に違和感を覚え次第に怒りが込み上げてきた
    どう見たらそう見えるのだろう。"いつも"を俺は装えているのだろうか?客観的にみた理想幻想の俺は主観の自分を押し殺すしか残されていないのだろうか。きーんとノイズ音が鳴りお決まりのお待たせ台詞を伝えるアナウンス。その声と共に現れ出した黒い生物を目前にした直後拍手喝采がスタジアム中に響き渡った
  41. 42 : : 2015/07/23(木) 23:40:56
    注目を浴びながらもシャチは水中を一周するとまるで嬉しがるようにくるりくるりと水の中で回る。演技などでもなく誰からも指示をされることなどないその泳ぎは素直で綺麗だった

    "自由なのもいるのね"

    ふと、彼女の言葉を思い出した。
    自分の居場所さえ見つけられず流され人に翻弄されそして壊れていく、彼女のその言葉は確信を持っていてすでに浸食されていたからこその言葉なのか、救えと言われても俺は犠牲という答しか生み出せず傷つける事しかできない。

    泳ぎなれたシャチは仕込まれた芸を次々と披露していく。掴みはかなりなもので老若男女からの笑顔が絶えない。隣にいる葉山も見慣れていないのか関心交じりに拍手をしている

    水中に潜り上の様子を窺がい上に向け加速を始め早くなるその姿はイルカの風貌をし間違えてしまいそうになる
    外に勢いよく高々とジャンプをし観客を驚かせる、こんなジャンプできんのかよすげえ…イルカより高いんじゃねえか?

    子供に戻ったような感覚をした時ズボンが振動をしだす。それが気持ち悪くズボンをさすさすと擦った後ポケットの中からスマホを取り出す。いつか勝手に追加させられたのだろう「陽乃」と書かれた名前からして陽乃さんだろう。いつ抜き取ったんだよ怖いよ陽乃ん。

    八幡[…もしもし]

    陽乃[ひゃっはろ~楽しんでる?]

    くすくすと聞こえるその声を聴くのは何度目だろうか。どこにいるのかわからないが電話の外から聞こえる声がざわざわと聞こえ違う音になっている

    八幡[はあ。まあ楽しいんじゃないですか?]

    陽乃[ふ~ん?そっか。それよりそれが終わったら砂浜の方来て」

    来れない?じゃなく、来てか。この人と話すと胃がきゅるきゅるしてどうにも言い訳ができない。

    八幡[な、なんでですか]

    陽乃[も~比企谷君つまらない事で逃げようとしないでよ。用があるのに理由は欲しい?]

    この人の理屈は毎回度肝を抜かれる…さすが陽乃さん。電話をしながらステージを見るも電話に集中しているから楽しめず芸も佳境を迎えているのかアクロバティックなパフォーマンスを繰り返しだす、電話から声が聞こえなくなり名前を呼ぼうとした時電話越しからため息が聞こえる

    陽乃[もう良いよね比企谷君?]

    八幡[どういう事ですか?]

    陽乃[…あはは。じゃあ来てね]

    バイバイ。そう彼女は俺にいい勝手に電話を切られてしまう
    携帯を見つめ画面を閉じると同時に大歓声が耳に入って来る煩く耳を塞ぐも残った音が後から音をだし逃がそうとはさせてくれないらしい最後の演出が終わり急いだように次々とレインコートを身体に身に着ける

    頭に?マークを付けつつ視線が向けられる場所をみる
    ばしゃばしゃと尻尾を水に打ち付け暴れるシャチが観客の方に水を大量に飛ばし出したそれを知っていたのかきゃーぎゃーと嬉しいような叫ぶような声をだしフードを頭に抑え水に備えている

    スイミングバーストと呼ばれる幕引きは右から左まで水浸しにし次第に俺の方まで当然やってくる。これはヤバいよね
    近くまでやってきた黒いモンスターはやることも豪快でバシャンと聞こえた音と共に大量の水が上空に吹き飛ぶ。

    冷たい感覚をさせる事のないように万弁に水をくれるシャチさん一瞬でも寒さを忘れさせてくれる心意気寛大で御座いますねお陰で全身水浸しですよ(ニッコリ)
  42. 43 : : 2015/07/26(日) 16:24:12
    梨汁の如く水をかけられ流石にこのままは死の危険を自分自身感じた為売店で売っていたTシャツを着てなんとか命を取り留めたようなきがする。いやそれでも寒いんだけどね?

    八幡「陽乃さん来ねえし…」

    言われた場所に来るも陽乃さんが来る気配がなく10分が経過した。気味の悪い色が海にまで繁栄し海の中が気味悪く視線を逸らす。ううう…寒いよぉ帰りたいよぉ~

    腕と腕を擦り体温をあげようと試みるが吹き付ける風が強すぎ微小の温度しか確保できない。あの人、騙したのか…こんな始末で裏切られるなんて誰も信じれなくなるよ!
    蹲りながらそんな事を考えると背後から足音が聞こえたその足音はしだいに大きくなり俺の近くまで聞こえるとその足音は聞こえなくなった。ようやく来たのか?よくもこんな極寒の地で地獄の罰ゲームをさせてくれたな。後ろの正面だぁ~れ?

    八幡「あ。え?由比ヶ浜?」

    由比ヶ浜「ど、どうしたのヒッキーその格好…」

    お互いに驚きあうも吹き付けた風に一人震えあがってしまう

    八幡「ま、まあな。完封摩擦でもしようかと…」

    由比ヶ浜「言い訳がなんか苦しい!?大丈夫?」

    お、おう。体も頭も重傷だ。特に精神的に

    八幡「それより陽乃さんは?俺あの人に呼ばれてるんだが」

    由比ヶ浜「うん陽乃さん少し遅れるみたい偶然さっきあったからそれまで場を繋いでとか」

    あ。あの人は…俺の命はそんなに軽いのかな

    由比ヶ浜「綺麗だね」

    由比ヶ浜の視線は海に向かっている。それに続き俺も同じ景色をみる、先程と景色は同じでも気持ちの悪い感じはしなかった

    八幡「そうだな」

    由比ヶ浜「ヒッキーってさ、あたしと友達?」

    八幡「なんだよ急に」

    たははと笑い誤魔化す由比ヶ浜だが急に聞かれる質問。なんて答えればいいんだってばよ

    由比ヶ浜「あたしはね友達って思ってるよ。ゆきのんも小町ちゃんも他の皆も」

    八幡「・・・」

    話す要点は決まっているらしく由比ヶ浜は話す事を停めない。
    与えられるヒントは少なからずどこかで繋がってきている。こちらからの質問は無効で解りやすくて理解しにくい言葉は俺の解とは同じなのだろうか

    由比ヶ浜「…ねえヒッキーあたしとヒッキーは友達?」

    問われる質問に答えれず聞こえる波だけがこの静寂を少しばかり壊してくれている。

    八幡「少なからず他人では無いな」

    由比ヶ浜「わかりずらい言い方だな~それがヒッキーなんだけど」

    尽きた言葉にお互い黙ってしまう。そんな空気を無くすよう由比ヶ浜の携帯が鳴りだした

    由比ヶ浜「やばっ、優美子からだ。抜け出したのがダメだったかな。ごめんヒッキーあたし行くね?」

    八幡「…ああ。じゃあな」

    軽く手をひらひらさせ由比ヶ浜は歩いていく2、3歩歩くと由比ヶ浜は止まり誰かに言うようにそっと喋る

    由比ヶ浜「……なんで踏み込んで来ようとしないのさ」

    走り去る由比ヶ浜を見ながら強くなる風邪を感じる。
    踏み込もうとしないんじゃない。できないんだ。"本物"が欲しいと言った言葉も自分で願ったあの事も全て嘘じゃない。ただ、わかろうとして、踏み込もうと深く入ったら何かが無くなる気がするんだ。ゆっくり消えていって前を見たら何もかもない。それが恐くて仕方ない、有り得ないことが有り得て起こりえないことが現実になる。

    それが怖くて俺は逃げることが癖になってたんだ
  43. 44 : : 2015/07/26(日) 17:22:27
    由比ヶ浜がいなくなってから少し経つと陽乃さんは現れた何かあったことを見透かしてるようにクスクスと笑うよな表情で俺を見つめている

    八幡「遅かったですね」

    陽乃「ごめんね?ちょっと用事があったんだ。でもその分時間を稼いでくれたでしょ?」

    八幡「遅刻は遅刻ですよ」

    陽乃「つれないな~でも色々話せたでしょ?」

    八幡「話せたんですかね。あれは」

    夜に近づき風は冷たくなる一方、色がなくなった世界のようでいつの間にか染まってしまいそうだ。気持ちの悪くそれでもって目に残る風景

    陽乃「君は逃げるのが好きだからね。あーあ折角由比ヶ浜ちゃんとの計画が台無しだよ」

    八幡「陽乃さんが協力者だったんですね」

    陽乃「協力者。んー私は相談されたからアイデアを出してあげただけだよ?」

    それでもこの人は面白いと思ってこんな事を考えたんだろうな、絶対、確実に。

    陽乃「それにしても比企谷君はこの依頼もう正解はわかってるよね?」

    睨むような鋭い目つきは心の中まで見るかのように弱きった本音を潰すかのように遠まわしに俺を挑発する言い方だ

    八幡「さあ、どうですかね。俺の正解は毎回間違ってたんで」

    陽乃「でも今回は正解だと思うな」

    逃げ場を無くすかのような言い方だな。この人は俺を逃がさない気ではいるよな

    八幡「どういう意味ですか?」

    陽乃「君がよくわかってるでしょ?由比ヶ浜ちゃんの答えを」

    八幡「わかったような口振りですね」

    陽乃「まあね。でも、それが本当なら比企谷君もわかってるよね?その後のこと」

    八幡「…まあ」

    陽乃「でもね、比企谷君この話を全て躱せるかもしれない方法が一つだけあるの」

    八幡「方法ですか?」

    一度だけにやりと笑った陽乃さんはすぐさま真剣なようでどこか遊んでいる表情をした

    陽乃「奉仕部を辞めるんだよ」
  44. 45 : : 2015/07/31(金) 21:31:03
    あまりにも簡単に言う陽乃さんに恐怖感を覚えながらどこかにそんな考えを持っていた自分が存在している事に気づく、だがこんな時に発動するいい子ちゃん発言は相変わらず気持ちが悪い

    八幡「そんなやり方できませんよ」

    陽乃「でも、逃げる答えしか出せないでしょ?」

    ふふふと奇妙な笑い方をする陽乃さん見ているだけで心を読まれそうに思い海に視線をむける。光を失い夜が来る。暗く何も見えないあの水の中に入ったらどれだけ怖いだろうか、あいつらが消えればどれだけ…

    陽乃「比企谷君」

    八幡「あ。は、はい」

    目の前まで迫る顔。甘い香りが漂いこのままでは自制心がとか何処かの漫画の設定になりそうなので咳き込みながら問われた質問を返す

    八幡「逃げる答えでもそれで変えれるなら俺は」

    陽乃「殆どの原因は君なのに?」

    言葉が出なかった、捻くれた言葉も愛想笑いすらもできず言葉が膠着したように動けない

    八幡「原因って」

    陽乃「君のした事で奉仕部はかわっていった。よそよそしくなって考えてた事を裏切られた、君にとって良いと思った事は雪乃ちゃん達には害毒に想えただろうね」

    八幡「それは…」

    陽乃「…君が考えている事が当たれば君の欲しいものは無くなるかもね。でも、私はそうはならないと思う」

    八幡「なんでそんな事が――」

    波が連れ去るように足元までやってくる反射的に避けようとするが体制を崩し砂浜に倒れこむ。恥ずかしい、死にたい。とにかく死にたい

    陽乃「お姉さんの助言はここまでだよ。あとは君がお考え」

    機嫌がいいのか鼻歌を歌いながら歩く陽乃さんに名前を呼ばれそれに応えるようについていく沈むような砂の感触も流れる海の音も夜のせいか怖く思えてくる、空を見上げればきっと星が見え怖さも消し飛ばしてくれるだろう前を歩く陽乃さんが冗談交じりに話をしてくるのが意外にも救いで無難な言葉を投げ返した
  45. 46 : : 2015/07/31(金) 23:39:17
    展開が予想できなくて面白い。頑張って下さいな。
  46. 47 : : 2015/08/03(月) 12:52:22
    >>>46 じけい様 いつも見ていただき有難う御座います所々迷走し始めがちですが路線を間違わないよう頑張らせていただきます!
  47. 48 : : 2015/08/03(月) 22:35:44
    何日経ったのだろう長い筈だった2日もあっという間に過ぎ去りまた苦行の日常が始まる。働いても働いても終わりは来ない、なにそれ怖すぎる。陽乃さんの言葉に結局正しい考えを探せれなかった、残り少ない日にちの中で俺は正解に近い言葉を見つけれるのか。…考えたって遅いかいつも現実は軽やかで俺の有無なんて待ってはくれないのだから

    あれから俺は部室を行くのを避けた。適当な理由をこじ付け生徒会で一色の雑用を任されるそれでいいと思っていた。保持する事が俺の今できる唯一のやり方だ、傷つけず何かを犠牲にするのではなく至って簡単なやり方だ、それが一番傷つけるとも知っていても。なにより自分がまたしでかしてしまうとおもい近寄りずらくなっていたのかもしれない

    一色「あれ先輩また来てたんですか?」

    遅れてくることが当たり前のようにのそのそと姿を現す一色いろはは俺の近くまでくると前髪を整え小声で何かを言うと目をぱちくりさせ俺を見つめる

    八幡「な、なんだよ」

    一色「いえ、この頃先輩奉仕部いってますか?」

    さすがに雑用とはいえ毎度毎度生徒会に来るというのは不自然だよな、しっかし結構ここに来るというのに生徒会の人とそれほど仲良くないのは如何なものか、それほどってか全く仲が良くない

    八幡「それより机に溜まってる仕事片づけたらどうだ?」

    一色「う…先輩も手伝ってくださいよ~」

    そんな目で見てもだめだ。俺は揺らがん…決して…断じて

    八幡「…はー。少しだけな」

    一色「ちょろ…先輩凄く助かりますよ!」

    八幡「ほとんど言ってるから。早くよこせ」

    鋭いいろはすの言う通りこの所奉仕部に顔すら出していない時折教室で由比ヶ浜が話に来るがこれといって話が続かず終わってしまう

    一色「は~先輩も弱虫ですねー何があったか知りませんけど私が結衣先輩達だったら寂しいですよ?あ、今一瞬ときめきました?すいませんもう少しなので待ってくださいごめんなさい」

    八幡「お前はもう少し俺の話聞こうな」

    そのうち痴漢とかでっち上げられ無実の罪とか着せられそうだな
    それで他の奴らにも信用されず戸塚にも見放され「八幡…信じてたのに」とか涙目で俺を殺しにかかるんだぜ?やばいちょっといいかもって思えてきた

    一色「まあでも。どうしてもって言うなら生徒会に居てもいいですよ」

    仕事をしながらさり気なく一色が言葉を喋る背中越しで表情は窺がえず本心か冗談か聞きたくもなる。それが一色なりの優しさだと気づいた、遠まわしに別にいいと、いきずらい俺に場所を与えてくれいるのだ

    八幡「…お、おう。ありがとな」

    一色「それに仕事も沢山ありますしね!」

    八幡「お、おう。ありがとな…」

    いやーさっきの感動を返してほしいものですな!ガハハ!

    ―――――
    ―――


    一色から任された仕事(雑用)も終わり帰路に着く生徒会室は暖房効果があり暖かさもあったが外に出ればそんな事は関係なしに肌に氷をあてられたような寒さを感じる、これは早く帰っておこたに入らなけばやってられないな。そう心に動力源を見つけペダルを漕ごうとする、すると携帯が2回振動した、メールか

    小町[お兄ちゃん大ピンチ!洗剤切れた買ってきて!あ、あとアイスも  愛する妹小町より]

    こんな寒い時にお兄ちゃんをこき使う小町ちゃんまじ悪魔。最後のなんだよ、なんでも「愛する」とか「大好き」とかつければいいってもんじゃない。けど小町可愛いからなしょうがない。妹の為に動いちゃうお兄ちゃんまじちょろい。

    目的の物を買いようやく家に帰れると思い一息つく。とんとんと突然肩を叩かれ振り向くとその人は以前と変わらず可愛らしい笑顔を見せてくれて俺の疲れを吹き飛ばしてくれるようだった

    めぐり「こんばんは比企谷君~」
  48. 49 : : 2015/08/04(火) 23:13:40
    注文したミルクココアを啜り持ち前のふわふわ笑顔を放っているこの人は城廻めぐり先輩俺達の一つ上の先輩だ。元生徒会長で余り大胆な発言をしない人だったな、文化祭の時や体育祭、一色生徒会編とひたすらに仕事をしていたようなしなかったような、あれ仕事しか思い当たる事がない、やだ俺ったら脳内仕事まみれ!それでも今の生徒会があるのもこの人が頑張ったからなんだよな

    めぐり「ん~」

    俺の顔をみるなり暫くめぐり先輩は止まったようにしている。見るも見られるも慣れていないのでもじもじとしてしまう。くそうこうなれば俺も対抗して恥ずかしさを味わってもらわねば、めぐり先輩を見るもでぽん!

    めぐり「うん、比企谷君変わったね!」

    八幡「…は?」

    随分拍子抜けな声が出てしまった、にこにこと笑顔を向けてくるめぐり先輩に癒され和まれつつ逃げるように頼んだコーヒーを飲む

    八幡「そんな事ないですよ。皮肉さや悪口が増しただけですよ」

    めぐり「うんうんそこも相変わらず、なんていうかね話しやすくなった」

    八幡「まあ前は根暗でしたからね…」

    めぐり「そうじゃなくて!立派になったって言えばいいかな」

    めぐり先輩が連れてきた現会長一色が嫌々選挙に立候補されそれを取りやめるため来てくれたのだが俺らもその頃修学旅行の件がありそのまま続いたんだっけな

    八幡「立派。俺は立派じゃないですよ、平気でを嘘つくし悪口なんて日常茶飯事です。選挙の件だって逃げるだけの卑怯なやり方だったんですよ」

    下を向き自分の靴を見つめた、すると手からどんどん熱を感じたそれは俺の温度ではなく他の別の温度だと分かり俺は顔をあげた。身を乗り出し俺の両手を握るめぐり先輩次第にわかる実感と共に熱が更に上がりだす。めぐり先輩は「ごめんね!」と慌てて話元の席に戻る

    めぐり「私ね比企谷君に、奉仕部にお礼を言いたかったの。あの頃の私は一色さんに深く関わる事ができなくてどうしていいかわかんないで私の意見も上手く言い出せなかったんだ、そんな時奉仕部を頼りに比企谷君達に任せちゃったんだ」

    八幡「めぐり先輩は悪くないですよ。一人じゃどうしようもなかったですし」

    めぐり「だからねお礼を言いたかったの色んな意見を考えて一色さんを生徒会長にしてくれて、ありがとう」

    八幡「……俺は私情の為に一色を生徒会長にさせたんですよ」

    結果的に一色が生徒会に入り上手く丸まったのかもしれんが俺のやったことは最低なやり方だ騙して上手く繋げて工作する。危険最悪な行為だった

    めぐり「んーそれはよくわからないけど。私の依頼はこなしてくれたよ。それは紛れもない事実だから、比企谷君が何かの理由にそうしたのは正解だったとおもうな」

    めぐり先輩は「一色さんに聞かれたら怒られちゃうかもね」と付け加えるとくすくすと笑いだす。この人は。

    めぐり「今日会ってやっぱりわかった、比企谷君は変わったよ雪ノ下さん達のお陰なのかな。もし、さっきの理由が雪ノ下さん達の事だったのなら比企谷君が想った事をすればいいんだよ、望んだ結末は悪い事ばかりじゃないから」

    八幡「…はい。今日はその、ありがとうございました」

    めぐり「いえいえ頑張ってね後輩君」

    久しぶりに会った先輩は温かく向けられた笑顔は柔らかかった。傷つけずに収める方法もあの空間を維持することも不可能だろう虚言を吐き本当染みた事を言い惑わして逃げることを捨てた。理解されれば、違う答が返ってくる筈だ、けれどそれでいい誤魔化したくない、伝えたい、大切に思う人達にもう嘘はつきたくはないから。
  49. 50 : : 2015/08/10(月) 01:05:51
    冷たい風が窓に吹き付ける。まるで喋っているようで確認するも何もなく安堵する。続く廊下に冷たい空気が残り歩くのを躊躇ってしまう。目指す特別棟は特別の如く放課後に見る人影など存在しない、空気もより一層寒くなり部屋に入らないと俺の身体も冷え切ってしまう、急がせるように早足になる俺の足音が耳に聞こえ慣れないこの雰囲気を壊すべく大きく一歩を強く踏んだ

    扉を開ける甘く教室内に漂う紅茶とお菓子の匂い音に気づき俺に視線をむける雪ノ下は俺を見ると再び本に目を向ける。由比ヶ浜はまた訳のわからん挨拶をし俺もそれに応えるよう短い言葉を飛ばす。

    そう、それが以前の俺らだった。

    八幡「…よう」

    雪ノ下「…てっきりこのまま来ないかと思ったわ」

    紅茶もお菓子の匂いも漂わない一人不在の部活。由比ヶ浜はまた三浦達と遊んでいるのか、それとも俺がいない間も来なかったのか。マイナスの考えをしたくない、きっと三浦に付き合うべく行っているはず。そう考えないと何処かに捨てていた考えが当てはまってしまいそうで違う理由を探しだす

    俺は固定位置のような椅子に座り机に鞄を置く。生憎本を持ってくるのを忘れ暇を潰せるものがない。慣れていた。由比ヶ浜が時々いない時も、依頼もなく雪ノ下の嫌味な言い方に嫌味な言い方で反論することも、当たり前にあった当たり前がいつから過去に変わっていったのか

    話さず終わるなんて真っ平御免だ、悔やむことも後悔も似合わない俺だが手放したくないものがあるから俺は雪ノ下に宣言する

    八幡「雪ノ下」

    雪ノ下「何かしら」

    ぱたんと本を閉じ視線がこっちにくる。初めてあった時のようにその視線が妙に怖く、けれども寂しげで触れれば消えてしまいそうに思えた

    八幡「俺はこの依頼負ける訳にはいかん」

    雪ノ下「勝者の権利を邪な考えに使うのね」

    八幡「ああ。邪な考えだ、そのためには俺はお前に勝たなきゃいけん」

    雪ノ下「……そう、比企谷君はそれでも…」

    小さく微笑むと読んでた本を鞄に仕舞椅子から立つと窓から見える景色を眺める雪ノ下。彼女の見ている景色、想像、価値観を理解できる時が来れるのだろうか

    雪ノ下「比企谷君、私負けるつもりはないわ」

    知ってるさ、お前が負けず嫌いで特に俺なんかに負けたくない事も。まだまだ解らない事だらけで本当の気持ちを抑えつけ偽物の気持ちで対処してこれでいいと言い聞かせてたあの頃の俺。

    二度と戻ってこないあの日々も、扉を開けると迎えてくれたあの部屋も夢物語なんかではなく記憶に留め、またあの日を振り返りどうしようもない話ができるだろうか。
    これからも俺はきっと間違い続ける、けれどもう見失わない
  50. 51 : : 2015/08/18(火) 00:44:05
    いつもの朝と違う居間の雰囲気に慌ただしさが溢れだしている。珈琲の匂いもテレビから流れる音もゆっくり見てしまうほどに。普段なら既に仕事に行っているはずの両親が文句を言い合いながらスーツを着ているのに見慣れないせいか、まじまじと眺める。卒業というのも呆気ないもので普段と変わらないと感じてしまう。毎朝のように起き朝食を食べ、学校に行く、そんな簡単で当たり前な事が終わる実感が湧かない

    小町「お兄ちゃんも、もう卒業なんだね~」

    ひょこっとでてきたパジャマ姿の小町がしみじみ頷きだしている。小町達1年生は出席ができず2年、3年だけが出席する事になっている、小町に迎えられた卒業式とか胸にくるから泣くこと間違いなしだったな、危ない危ない。

    八幡「別に小町は起きなくても大丈夫だぞ?」

    小町「ううん、起きるよ、お兄ちゃんを見送るのが小町の役目なんだから」

    八幡「そうか、あんがとな」

    小町は俺から顔を逸らしふふっと小さく笑いだした。俺はなんだ?と聞いたが小町はううんと言い。その笑顔は優しかった
    時計を見ると時間は迫りそろそろ出ようと椅子を立つ、鞄を背負い玄関に向かう、鞄が軽いせいか腕に違和感がある、履きならした靴を履き家を出ようと一歩踏み出す

    小町「いってらっしゃいお兄ちゃん」

    いつの間にか親父達もにやにやしながら手を振り見送りをしてくれている。嬉しいのか冷たい態度でいらんと追い払うのか今の自分はどうなのか。口元が緩み込み上げる気持ちが心地よい、きっとこれはそういう事で俺は後ろを振り向き一言告げる

    八幡「いってきます」


    風が暖かい、冬のような寒さは消え晴れ渡る空は澄み渡っている
    進む速度が上昇しペダルの回転が早くなる急がせないようブレーキをかけペースを戻す。次第に近づいている目的地が遠くこのまま着かなければいいのにとそう願ってしまう。

    学校に着くと一番初めに目に付いたのは、鮮やかな色をし地味すぎず多くの数が同じ色をし大きな花束のようにその存在を強く引き立てる桜の姿だった。2月が満開と言われる桜だったが今年は咲くのが遅くなるっていってたからなこの時期に見れるのは凄いな。

    戸塚「あれはちまん?」

    八幡「と、とつ、え?戸塚?」

    戸塚「う、うん。おはようはちまん」

    戸惑いを感じつつ戸塚の姿を見る。え、うそ?うそでしょ?戸塚が男子の制服着てる、ちょっと戸塚男装パーティーじゃないんだからやめてよね!いやでも、その姿も可愛いな~

    戸塚「はちまん?」

    八幡「なんでもない、教室いくか」

    戸塚「うん!」
  51. 52 : : 2015/08/22(土) 18:23:10
    その人は言った

    私たちが過ごす日々は死ぬまでの暇つぶしに過ぎないと
    どれだけ素晴らしい人生を歩もうともそれはただの遠回りでどれだけ足搔こうとも命は消えていく。楽しく、苦しく、少ない寿命を一瞬のように大切に足搔く、そして物語の終わりがくるその日まで笑えればその人の生き方はそれほど綺麗で素晴らしい世界なんだよ、と。

    他人事のようにその人は遠くを見ながら笑っていた

    騒がしさがない校内は気持ち悪いほど不自然だった。
    準備中の自販機、誰もいない購買、明かりもなく闇が広がる教室。その一つ一つが虚しさで狂わせる。隣で話す戸塚の話を聞いているようで耳には何も入ってこない、自分の教室までの行く道を忘れ半信半疑で着いていく。

    扉を開けると入学初日のような不安の雰囲気を思い出した。何もない周り、ここで1年を共にしたはずなのに探り探りで様子を窺がうクラスの連中、座る事が恐く席に立ち挨拶交じりに会話を弾ませようと頑張っている。だがその中でも以前と変わらず話している者もいることで安心する

    三浦「卒業って考えるとあーしらなんかすごくない?」

    戸部「だべ、だべ、俺らこれから大人に近づくっつーか?」

    反対側まで聞こえる戸部達の声、そしてそれに応える連中に、いつもにこやかに話を聞いてた彼女はいなかった

    戸塚「はちまん体調悪い?」

    八幡「んあ?大丈夫だ戸塚と話して元気100倍だ」

    戸塚「よかった!あ、僕テニス部に顔出さないといけないからちょっと行ってくるね?」

    ふりふりと手を振り教室から抜ける戸塚。部活、今あの部屋に行けば彼女、彼女らはいるのか。

    葉山「やあ」

    突然後ろから肩を叩かれ飛び跳ねるように驚く素振りを見せないよう振り返るとにこりと俺に軽く手をあげる葉山

    八幡「今日は遅いのな」

    葉山「ああ。最後くらい遅く行こうかなってな」

    八幡「変わってるな」

    葉山「誰かさんの遅刻まではいかないけどな」

    知ってたのか。べつに遅刻は悪い事じゃない、御婆さんを助けてたりとか痴漢から救ってたとか色んな理由がある人だっているからな

    葉山「君と話すのも、これが最後かもしれないな」

    八幡「そうかもな、俺はどっちでも構わんが」

    葉山「はは、ひどいな」

    俺とは違う新しい場所で新しく見る世界。見る物も触れる感覚もそれに共感することもこれからないんだろう。考えたこともないことを考え始めるのは変わった雰囲気のせいか別れを惜しむからなのか

    八幡「まあ、そのなんだ。色々とありがとな」

    葉山「君らしくないな。それでも、ありがとう」

    短く笑うと葉山は立ち上がり俺に手を差し伸べてくる
    いつだったかアメリカ人とか思って引きつった表情をしたと思う俺と葉山の価値観の違い、見える現状の複雑さそれが当たり前のように違ったが、残したかった物は同じだったはずだ。

    倒れないように足に力を込め、差し出されている手を強く握りしめた
  52. 53 : : 2015/08/23(日) 20:22:36
    瞬きをする度に着実と式が終わっていく。こんなにあっさりと終わるのか、中学の頃は早く終われ、校長の話が長いとか心の中でひたすらぐちぐちと戯言を呟いていた。これほどまで一瞬に過ぎ去るとは、思い出すことも振り返る事もできず、不慣れな手つきでマイクを弄る後輩を見るまで簡単に過ぎていったんだな。

    一色は端から端まで見渡すと一呼吸をし口を開く。普段言わなそうな言葉をすらすらと語るその姿に見惚れてしまった。嫌々やらされた仕事も人を使う事に関して敵なしの後輩。時々見せるあざとい表情と迷いながらも屈する事もなく適当に捨てないで自分のやり方で諦めなかったそんな光景が頭によぎった。なんだよ一色カッコいいじゃねえか。

    ゆっくりと流れ出す校歌。最後となる歌にしっかりとした思いはのせれないがそれでもちゃんと、せめてでも歌っていよう

    無事卒業式を終え見渡せば肩を組み涙を流すもの、隅々まで書かれた色紙を後輩から渡されお礼を言っているものもいる。その横を通り過ぎ由比ヶ浜を探す。教室で三浦達と話していると思ったがその姿はなく今に至る。帰ったか?いやそれはないか、そう思いぶるぶると震える端末を取確かめた。

    八幡「ここ、か」

    桜が見渡せる静かな場所でひらひらと落ちる花弁が儚くも綺麗でその落ちる様子をみているだけでも楽しそうだな。由比ヶ浜から指定された場所は当然に人はいなく当の本人もいない。

    由比ヶ浜「おまたせ」

    久しぶりにみた由比ヶ浜は照れくさそうにちらちらとこちらを窺がっている。なんだこれ、どうすればいいんだ

    八幡「それで、その呼ばれた件なんだが」

    理由はわかってる、けれどもそれは本人から聞かなければいけない気がする

    由比ヶ浜「うん、お待たせしちゃったね。依頼の答を教えてもらってもいい?」

    はっきりと聞こえる声。ああ、大丈夫。逃げるなよ俺。正解も不正解でもなく俺の声で言うんだ。

    しっかりと放つ言葉は偽りなどなく自分で考えた全てを。

    八幡「由比ヶ浜お前の好きな人は、俺だ」




  53. 54 : : 2015/08/23(日) 21:04:52
    (期待)
  54. 55 : : 2015/08/23(日) 21:41:58
    >>>54

    ソフト@クリーム様

    期待有難う御座います!次の投稿で完結予定ですので少しお待ちください。
  55. 56 : : 2015/08/26(水) 23:51:53
    空回りしない言葉はきっと本人にも聞こえているだろう。囁くように聞こえる桜葉の揺れる音。どこかで自由に飛んでいる飛行機の爆発音のような響き、俺が見つめる先の彼女は笑っているようでそれは作った偽物のような気がした。

    由比ヶ浜「違う。って言ったらヒッキーはどうするの?」

    八幡「そんなの家帰って枕が濡れるまで泣くにきまってるだろ」

    自意識過剰(笑)で自信あり気に決めちゃったもんな、すげえ恥ずかしいし間違ってたらとか…考えたくねえ。

    由比ヶ浜「さっきね、ゆきのんと会ってたんだ。依頼の言葉を聞きたいって。でも、ゆきのんは解らないって」

    八幡「そうか」

    ぽつりぽつりと間が空くように聞こえる言葉。まるで言葉を聞かせないよう耳が意地悪をするように

    由比ヶ浜「きっと、ヒッキーはもっと前から分かってたんだと思う。それをヒッキーが望んでなかったのもあたしは…」

    すー、と息を吸い込みそれを吐き出す由比ヶ浜。

    八幡「由比ヶ浜なんであんな依頼をしたんだ」

    俺がどうしても聞きたかった事。理解できなかった依頼内容、なぜこの日に依頼の答を聞くのか。いつかくると思ったのか首を縦に振り

    由比ヶ浜「…ねえヒッキー、砂浜で質問したこと覚えてる?」

    八幡「ああ」

    由比ヶ浜「たぶんね。これからあたし達が進んでく道でゆきのんと会う機会は減っちゃうんだ。そうするとね前みたいな場所はなくなっちゃうんだ」

    八幡「そんなことは・・・」

    由比ヶ浜「あるよ。きっとそうなっちゃうよ」

    確信があるかのようにそういう彼女に言葉を失ってしまう

    由比ヶ浜「だからね、だからこそヒッキーはこの勝負に勝ってすることがあるでしょ?」

    八幡「由比ヶ浜・・・だから」

    由比ヶ浜「あたしの為だよ誰の為でもない」

    ぽちゃりぽちゃりと水が地面に落ちそれを見るたびに言葉を閉じてしまいそうになる、だがそうしてもられない。

    八幡「由比ヶ浜俺は」

    由比ヶ浜「ううん、いいの依頼は誰かって聞くだけでしょ?」

    八幡「だが」

    由比ヶ浜「本当にいいんだよ。早く部室に行ってゆきのんが待ってるから」

    身体を押され留めることをさせない。しだいに俺は後ろを振り向かず歩いていたきっと振り向いてしまえば後悔してしまうだろう
    なにも聞こえない不自然さがやけに異様で一歩進んでは止まる作業を繰り返す。

    八幡「ありがとう」

    聞こえない声でそう言い俺は奉仕部へと向かう場所を頭が伝達しすぐさま向かおうとする。背後から聞こえた小さな声が俺まで届くことはなかった


    開け放った扉に反応した彼女は怪訝そうな顔をしながら俺をみつめている固定位置だった椅子も置かれていた机も片付かれ何もない殺風景な部屋になっていた

    八幡「よう」

    雪ノ下「…こんにちは。由比ヶ浜さんは?」

    八幡「後から。来ると思うぞ」

    雪ノ下「そう」

    吹き付ける風が涼しく時々ひらひらと舞い込む花弁をちらりとみる。咳払いをすると雪ノ下と目が合い逸らしてしまう。なにこの緊張。

    八幡「由比ヶ浜と話したんだってな」

    雪ノ下「…ええ」

    八幡「俺もさっき話してきた」

    雪ノ下「じゃあ貴方が」

    八幡「結局どうなのか聞いてなかったな」

    あれ、そういえばそうじゃねえか。他の事に持ってかれたよほんと八幡はうっかりさんなんだから。

    雪ノ下「さすが比企谷君、その頭は飾りなのかしら?その濁った目が本体なのかしら?」

    八幡「なに最後まで苛めたいの?貶したいの?」

    久しぶりの雪ノ下の言葉胸に沁みるな~視界が滲むな、なんでだろう。

    八幡「なあ本当はあの依頼解ってたよな?」

    雪ノ下「いいえ、解らなかったわ。本当よ」

    八幡「そうか。雪ノ下あの件とは別件で頼みたい事があるんだ」

    雪ノ下「何かしら?」

    それを聞くと雪ノ下は口を押えながらふふと笑い視線を俺にあわす

    青春とは嘘であり、悪である
    青春を謳歌するものは青春の二文字の前ならば、どんな一般的な解釈も社会通念も捻じ曲げてみせる。彼らにかかれば罪も責任も失敗さえも経験の一文字でかき消してしまうだろう。仮にそれが青春だとして生み出せるものはあるのだろうか。 
    間違い、迷い、自分が本当に手にしたいものを意識するために。
    結論を言おう。

    「雪ノ下俺と―――――」

     
               
                        了
  56. 57 : : 2015/08/27(木) 00:01:15
    これにて完結になります。最後の最後で自分自身迷走してました。
    次の作品は俺ガイルとは全くの別のオリジナル作品になります
    それが終わり構想が練れればまた俺ガイル作品を続けていきたいと思っております。駄文ですが皆様に見ていただけるような文を書きたいので宜しければまた見ていってください。  
  57. 58 : : 2015/08/27(木) 00:12:31
    >>1が神すぎる…
  58. 59 : : 2015/08/27(木) 17:12:13
    >>>58 ソフト@クリーム様

    大変お待たせいたしました。
    そういっていただけると書いてる励みになります!
    次は俺ガイル作品ではありませんが宜しければチラ見でもしにきてください!有難う御座いました。

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