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ミカサ「アニ、落とした……」

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  1. 1 : : 2015/03/23(月) 00:04:36
    20作目です。

    アニの落し物を拾ったミカサのお話です。

    指輪の秘密(http://www.ssnote.net/archives/32937
    を見ていただくと色々わかると思います。

    上記のお話の次の日、という設定です。


    誤字や脱字などあればご指摘お願いします。
  2. 2 : : 2015/03/23(月) 01:08:58
    アニ「ん? ……ああ、私のだ」

    ミカサ「そう、ならよかった」

    アニ「悪いね、助かったよ。それじゃ」

    ミカサ「待って」

    アニ「……早くご飯食べに行きたいんだけど」

    ミカサ「あ、あの、相談に、のってほしい……」
  3. 3 : : 2015/03/23(月) 10:28:13
    アニ「……私じゃないと駄目なこと?」

    ミカサ「駄目、ということはない。でも、あなたが答えをくれるかもしれない」

    アニ「あんたが解決できない問題を私がどうにかできるとは思えないけど。どうしてもっていうなら食堂でね」

    ミカサ「あ……しかたない、早く行かないとサシャに食べられてしまうのも事実」
  4. 4 : : 2015/03/23(月) 12:08:22
    ミカサ「アニ、隣いい?」

    アニ「……まさか本当にくるとはね。あいつらはいいの?」

    ミカサ「……そのエレンについて」

    アニ「ああ、そういうこと……恋愛相談ならクリスタにでもしな」

    ミカサ「っ! 違う、アニ、そうじゃない」

    アニ「じゃあなんなのさ」

    ミカサ「聞いて、くれるの?」

    アニ「まずは聞くだけだよ。それから決める」

    ミカサ「ありがとう、アニ」



    ミカサ「さっき拾った指輪は、誰かからもらったもの?」
  5. 5 : : 2015/03/23(月) 19:48:32
    エレン「ミカサがアニと食うなんて今までなかったよな」

    アルミン「そうだね。でも女の子同士仲よくするのは良いんじゃないかな」

    エレン「女の子? んーまあそうだな」

    アルミン「えっ! それこそ珍しいね、エレンが、その……女の子扱いするなんて」

    エレン「アニに教わったんだよ。『女の子との話し方』をな」
  6. 6 : : 2015/03/23(月) 21:50:59
    アニ「……。相談じゃなかった? そんなことを聞いてどうするの」

    ミカサ「その、もうすぐエレンの誕生日だから何かプレゼントをと思って。そして考えていたのが指輪だった」

    アニ「あんたら付き合ってたの?」

    ミカサ「? それは恋人関係ということだろうか?」

    アニ「そう。指輪って結婚とか、そうじゃなくても特別な人とかに贈るものだと思うけど」

    ミカサ「エレンは特別。……だけど恋人関係ではない」

    アニ「付き合ってもないのに指輪を贈るのは、アルミンとか他の皆にも誤解を与えるんじゃない?」

    ミカサ「やはり、そういうものだろうか」

    アニ「ああ、ちょっとは自覚してたんだね」
  7. 7 : : 2015/03/23(月) 22:14:25
    ミカサ「今アニが言った通り指輪は特別な人に贈るもの。ではアニの指輪は誰からもらったもの?」

    アニ「……ん、これは自分で買った
    やつさ」


    ミカサ「指輪には[B.Annie.R]と彫ってあった」


  8. 8 : : 2015/03/23(月) 22:53:18
    ライナー「あの2人が一緒に……? 投げられたり蹴られたりしなきゃいいんだが」

    ベルトルト「アニ、なんだかばつの悪そうな顔してるね」

    ライナー「あんなに動揺を見せてるとこなんて滅多に見ないよな」

    ベルトルト「僕らを見てる……?」

    ライナー「ミカサか……何か勘づかれたのかもしれん。今夜集まろう」
  9. 9 : : 2015/03/23(月) 23:12:44
    アニ「……」

    ミカサ「ごめんなさい、落し物だったから情報が必要だった。私に全てを言う必要はない」

    アニ「そう……あれは……貰ったの」

    ミカサ「やはり……! ここからが本題。エレンとアルミンと私でお揃いの指輪……でも誤解を与えるだろうか?」

    ミカサ「私達は離れていても心は繋がってる、ということを示したい」

    アニ「さあね。好きにすればいいんじゃない」

    ミカサ「そう……」
  10. 10 : : 2015/03/24(火) 00:17:32
    アニ「……ただ、あんたの気持ちを伝えればあいつらは何であろうと喜ぶと思うけどね」

    ミカサ「アニ……! ありがとう、やはりあなたに相談してよかった」

    アニ「ま、せいぜい頑張りな。指輪は高いよ」

    ミカサ「あまり物を買わないから給料が貯まっている。金銭面に関しては問題ない」

    アニ「……私はもう行くから」
  11. 11 : : 2015/03/24(火) 07:42:24
    アニ「緊急で話し合いなんて、なんかあったの?」

    ライナー「今朝のことだ。大丈夫だったか?」

    アニ「……ああ、見てたんだね。」

    ベルトルト「アニとミカサが2人一緒にご飯食べるなんて珍しいからね、かなり目立ってたよ」

    アニ「それは迂闊だったね。それがさ……あいつに相談されたんだ」

    ライナー「ほう?」

    アニ「相談内容はエレンへの誕生日プレゼントの話。だから変なことは言ってないと思う」
  12. 12 : : 2015/03/24(火) 12:27:05
    ベルトルト「またなんで相談をうけたの?」

    アニ「あんた達から貰った指輪を落としたみたいでね。あ、指輪の刻印を見られたけど深く突っ込んでこなかったよ。それより相談って感じで」

    ライナー「あの彫り方でよかったな!」

    ベルトルト「だね。誰も3人の指輪とは思わないよ」

    アニ「その、指輪を落として、ごめんなさい……」

    ライナー「はは、それは別にいいさ。アニの手元に戻ってきたんだしな!」

    ベルトルト「それよりも持ち歩いてくれてた事の方が嬉しいよ」
  13. 13 : : 2015/03/24(火) 16:30:40
    アニ「何言ってんの? 何かあった時のための指輪でしょ」

    ライナー「あ、ああ! そうだ(った)な。それならなんで指につけてなかったんだ?」

    アニ「つけてたら誰にもらったのか、ってミーナがうるさくてね」

    ベルトルト「あぁ、それで……」

    ライナー「確かにお前がおしゃれで買いました、なんて柄でもないよな」

    アニ「うるさいね……だからポケットにいれてた」
  14. 14 : : 2015/03/24(火) 18:12:28
    ライナー「普通にしてても落とすなら訓練中どうするか考えなきゃだな」

    ベルトルト「……あ、それならこれあげるよ!」

    アニ「チェーン?」

    ベルトルト「うん。ちょっと指輪貸して」

    アニ「はい」

    ベルトルト「これに指輪を通して……じっとしててね」

    アニ「……ネックレス、だね」
  15. 15 : : 2015/03/24(火) 19:20:49
    ライナー「おお、これなら普段は服で隠れるしいいな」

    アニ「……ありがとう、ベルトルト」

    ベルトルト「幸せだ……はあ、僕はもう……」

    ライナー「ベルトルトォ!」

    アニ「あんたらは何をしてるの?」
  16. 16 : : 2015/03/24(火) 21:38:54
    ミカサ「アニ!」

    アニ「……またあんたか。今度は何? 早く寝かせてほしいんだけど」

    ミカサ「アニ、次の休日は予定ある?」

    アニ「……ん、ある」

    ミカサ「……本当に?」

    アニ「ああ。なんで疑うのさ」

    ミカサ「この指輪は自分で買ったもの、と言った時と言葉の溜め方が同じだった」

    アニ「はぁ……。予定聞いてどうすんのさ」

    ミカサ「ふふ、あなたは嘘をつくのが下手。指輪を買いに行くのに付き合って欲しい」
  17. 19 : : 2015/03/24(火) 23:39:50
    アニ「喧嘩売ってるの? なんで私がそんなことしないといけないんだ、お断りだね」

    ミカサ「アニはエレンと格闘訓練を交えているし、最近はアルミンと話してるのをよく見る」

    アニ「他の男どもの方がよっぽど話してると思うけど。そっちに頼みな」

    ミカサ「それは少し危険。誕生日まで知られずにいたい。アニ、お願い」

    ユミル「……おい、お前行ってやれよ」

    アニ「はあ? なんであんたにそんなこと」

    ユミル「こっちは早く寝たいんだ。さっさと話を終わらせてくれ」

    クリスタ「こらっ! 消灯はまだだし、2人とも気にしないでね」

    ミーナ「アニ、行ってあげなよ! ミカサがお願いしてるんだよ?」

    アニ「……盗み聞きなんて趣味悪いよ」
  18. 20 : : 2015/03/25(水) 11:00:03
    ユミル「皆が寝ようとしてるときに話し始めたのはお前らだろうが」

    クリスタ「ユミルったらもう!」

    ユミル「クリスタは怒っても可愛いなぁ!」

    クリスタ「はいはい。でも、ミカサがこんなに言うなんてなかなかないよね」

    ミカサ「……アニ」

    アニ「ああもうわかったよ! 行けばいいんでしょ。私はもう寝る」

    ミカサ「ふふ、ありがとう」
  19. 21 : : 2015/03/25(水) 11:53:43
    クリスタ「ミカサ、アニいってらっしゃい!」

    ミーナ「楽しんできてね!」

    サシャ「お出掛けですか? 珍しい2人ですね」

    アニ「皆がそう思うだろうね……」

    ミカサ「行ってくる」
  20. 22 : : 2015/03/25(水) 20:13:27
    ユミル「……なあ、思ったんだがアニって意外とちょろくないか?」

    クリスタ「誤解されがちだけど、素直なんだよ」

    ミーナ「お! アニの魅力をわかってくれる!?」

    クリスタ「うん。だって出掛けるとき、あんなこと言っておきながらすごい嬉しそうだったもん! もちろんミカサもね!」

    ミーナ「ミカサもアニも、よく見るとすごい分かり易いよね」
  21. 23 : : 2015/03/25(水) 21:28:16
    アニ「それにしても私を誘う理由がわからないね」

    ミカサ「アルミンが同性とも仲良くした方がいいと言っていた」

    アニ「それだけで私と? 私はあんたに嫌われてると思ってるんだけど」

    ミカサ「何故、そう思うの?」

    アニ「対人格闘訓練の時ライナーを降らせてきたり、あんたやたら突っかかってくるからね」

    ミカサ「嫌いではない、けど……苦手だった」
  22. 24 : : 2015/03/25(水) 22:44:58
    アニ「はっ、あんたにも苦手なものあるんだね」

    ミカサ「アニは誰にも頼らずいるのにとても強い。すごく強い」

    アニ「あんたはずっと首席だろ」

    ミカサ「私はエレンがいるから生きているだけ。エレンを守るために。でもアニは違う」

    アニ「……あんたらしいね」

    ミカサ「アニは人を拒絶してるように見える。のに、エレンやアルミンが積極的にあなたの元へ向かう」

    アニ「……そう」

    ミカサ「私はどんなに必死で追いかけても、いつか離れてしまうのではないかという不安が常にある。」

    アニ「……」
  23. 25 : : 2015/03/25(水) 23:13:25
    ミカサ「あなたは追われる側の人間。きっと人間にはそれぞれの役割がある。そんなあなたの役割が羨ましかったんだと思う」

    アニ「追われる人間……役割、ね……」

    ミカサ「羨ましいと同時に、いつかアルミンをとられると思うと……エレンを奪われると思うと怖かった……」

    アニ「かった?」

    ミカサ「そう、もう過去の気持ち。あの指輪を見たとき、アニも色々抱えているんだと思った」

    アニ「……は、さすがだね……私もミカサが怖いよ」
  24. 26 : : 2015/03/25(水) 23:58:52
    ミカサ「名前」

    アニ「なに?」

    ミカサ「私の名前、初めて呼んだ」

    アニ「あぁ……そう、かな」

    ミカサ「アニ、辛いならもっと私達を頼って。あなたから離れていく人はいない」

    アニ「……な、んでそんなことっ!」

    ミカサ「それがアニの本質だから」

    アニ「何もわかってない! 私のことなんて、何も……!」

    ミカサ「わからないなら、少しずつでも理解してけばいい」

    アニ「理解してくれる人なんていらない!!」
  25. 27 : : 2015/03/26(木) 00:42:48



    ミカサ「アニには少なくても指輪をくれた人がいる。その人がいないときは私がいるから……もう手首を、指を切るのはやめて」



    アニ「……………は?」

    ミカサ「アニの手首には怪我じゃない、細い傷がある。確かに訓練は辛いこともあるかもしれない、けれど自傷行為はよくない」

    アニ「あんたなに言ってんの!?」

    ミカサ「その指輪の仕掛け……」

    アニ「っ! こ、これは」

    ミカサ「言わなくていい。それは手首よりも痛くないように、傷が目立たないように、アニの特別な人がくれたもの……違わない?」

    アニ「え、いや、あ……う、うん、そうなんだ」
  26. 28 : : 2015/03/26(木) 01:00:34
    ミカサ「やはり……アルミンの本にはリストカット、というのは精神が不安定になっている人がやるものと書いてあった」

    アニ「まあ間違ってない……ね」

    ミカサ「手首の傷は訓練中につくようなものには見えない。でもその指輪の仕掛けを使えば、傷ができてもおかしくない位置に小さな怪我で痛みを感じることができる、はず」

    アニ「そ、そう」

    ミカサ「アニの特別な人は普段近くにいない? このやり方ではリストカットほどではないものの自傷行為に変わりはない」

    アニ「近くて遠い……かな」

    ミカサ「私は訓練兵の間は近くにいる。私だけじゃない、104期の皆がいる。ので、もう自分を傷つけるのはやめて」

    アニ「あ、ああ。心配かけて悪かったね……あ、ここがお店じゃない?」

    ミカサ「今は指輪選びに集中しよう。話はまた帰るときに」
  27. 29 : : 2015/03/26(木) 11:05:07
    アニ「買ってきた?」

    ミカサ「ええ。これ、アニに」

    アニ「……くし?」

    ミカサ「付き合ってくれたお礼。毎日髪を結っているようだし、是非使って欲しい」

    アニ「……どうも」

    ミカサ「こちらこそ」

    アニ「あんたって……人間、なんだね」

    ミカサ「! 猛獣と思われていなくて安心した」

    アニ「私なんかと比べ物にならないくらい……あんたは人間さ」
  28. 30 : : 2015/03/26(木) 11:29:29
    ミカサ「アニはおかしなことを言う。アニも私も人間」

    アニ「私はあんたが怖いよ」

    ミカサ「私も怖がっていたけど今は大丈夫。だからアニも大丈夫」

    アニ「意味が分からない」

    ミカサ「いずれわかる日が来る」

    アニ「私の方が年上なんだけど」

    ミカサ「人はそれぞれ様々な経験をする」

    アニ「あんた、今日はよく喋るね」
  29. 31 : : 2015/03/26(木) 12:32:49
    ミカサ「ミカサと呼んで欲しい」

    アニ「めんどくさいねあん……み、ミカサ」

    ミカサ「そう、それでいい」

    アニ「あ、そ。さっさと帰るよ」

    ミカサ「アニ、本当にありがとう」

    アニ「別に。周りがうるさかったからね」

    ミカサ「これからも、よろしく」

    アニ「……もうすぐ卒業するけど」

    ミカサ「では卒業まで、よろしく」


    アニ「……どうも」

  30. 32 : : 2015/03/26(木) 13:08:27


    アニ「よろしく、が嘘でも言えないなんて……私はとうとうここまで来ちゃったんだね」

    アニ「今までたくさん嘘を吐いてきたのに、変な話だ」

    アニ「ごめんなさい。ライナー、ベルトルト」

    アニ「私は戦士に……」


    -END-
  31. 33 : : 2015/03/26(木) 13:35:24
    キャラ崩壊してなくてとてもいいss(泣)
  32. 34 : : 2015/03/26(木) 14:06:18
    >>33
    プロトタイプさん

    本当ですか!?とっても嬉しいです!
    このシリーズはできるだけ原作意識していたのでそういっていただけてめちゃくちゃ嬉しいです(´;ω;`)
  33. 35 : : 2015/03/28(土) 12:03:02
    せ…切ない…(´;△;`)原作でもアニとミカサの関係は敵同士…いつかアニも原作で報われますように…
  34. 36 : : 2015/03/28(土) 12:40:27
    >>35
    雛莉華さん

    コメントありがとうございます!
    エレンが巨人に食べられたとき、真っ先にアニに話しかけたミカサを見てそこそこ信頼してたように思えたのに(´・ω・`)
    お互いの強さを認めながらも敵にしかなりえないこの2人がすきです

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著者情報
Liebeschon1104

咲*

@Liebeschon1104

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2000年の記憶 シリーズ

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