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Fair exchange 2話『勇気とは』

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  1. 1 : : 2014/11/10(月) 04:45:47
    人間はとても軟弱な生き物だ

    100年近くしか生きられず

    大きな外傷を修復することもできず

    本当に何のために生きているのかわからないような種族だ
  2. 2 : : 2014/11/10(月) 04:46:03
    それが人間界に来る前の人間に対する評価

    だが

    『この飛行機に乗っていたすべての人を生き返らせてよ』

    『俺の命なんかくれてやるから』

    本当に何を考えているのかわからないな

    今日も道路を歩き学校へと向かう少年の姿を見る
  3. 3 : : 2014/11/10(月) 04:46:18
    『なぁ、お前さん』

    「あんだよ」

    不機嫌そうな顔で見上げ睨みつけてくる

    『何だね、そんな不機嫌そうな顔をして』

    「別に何でもねーけどよ」

    理由は知っている

    俺のせい

    自分の実力不足で彼の両親を救えなかった

    『今日の商品がな』

    あ、もしかして地雷を踏んだのか?

    悪魔よりも怖いぞ幸太郎少年その顔

    「不機嫌の理由教えてやろうか?」

    まるで今から世界を征服しようとでもするような人間とは思えない声

    『あ・・・あぁ・・・お前さんの悩みは契約者として俺の悩みでもあるからな』

    頬から 身体全身から汗が流れ出す

    悪魔の俺をここまで

    「おめーの趣味のせいで今日も寝れてねーンだよ!」

    最近1か月で一番の大声を出す幸太郎少年
  4. 4 : : 2014/11/10(月) 04:46:36
    『お前さん なら俺からも言わせてもらうぞ!』

    「なんだ?クソ悪魔 やんのか?」

    ファイティングポーズをとる幸太郎少年

    『朝が早い!それのせいで毎日寝不足なんだ』

    時が止まる

    「は?」

    訳が分からないという様な顔をする少年

    『だから、17歳で老人のように毎朝5時に起きるなアラームの音うるさいのだ!』

    完璧な熱演!

    「・・・悪かったよ」

    突然悲しそうな顔をする少年

    「アラームはやめておく6時45分になったら起こすよ」

    しまった

    俺は少年が毎朝早く起きるのかを知っていた

    出会ってから毎日

    少年は失った両親の事を思い

    毎朝祈っているのだ


    『悪かった』

    素直に謝罪の言葉を言う

    「・・・いいんだ 俺の行動があんたに迷惑をかけちまってるのは事実だ」

    無理に笑おうとする少年

    『行こうか、そろそろ時間ぎりぎりだ』

    「うん」
  5. 5 : : 2014/11/10(月) 04:46:49
    =========================================

    「やべぇ、忘れモンしちまった」

    どうしよう、もう他のクラスの人に借りる時間もねぇ

    隣の席の森野君に見せてもらおう

    「ごめんちょっと森野君 俺教科書忘れちゃってさ見せてくれないかな?」

    相手の返答を待つ

    『お前さん、流石にその行為は電波だぞ』

    隣の席に目を向ける

    朝は確かにいたはずの森野君の姿が無い

    「うわー、あいつまた空気としゃべってるよ」

    「気持ち悪いよね」

    うわぁ…やっちまった

    「あは…あははは」

    誤魔化せやしないだろうけども一応笑っておく

    「おい神栖」

    俺の席の前に1人の男子生徒が立ちふさがる

    「なにかな?」

    笑い顔を作る

    「おめー、もしかして森野の幽霊が見えんのか?」

    含み笑いでいう男子生徒

    そして固まる僕の表情

    「それって、どういうことかな?」

    俺の顔今どんな顔してんだ?

    「いやぁ、電波なお前なら森野の幽霊見えるんじゃねぇかななんてな」

    口元にいやらしい笑みを浮かべている男子生徒

    「僕が聞きたかったことは・・・」

    「あー、あれかなんで森野が幽霊になっちまったかききてーんだろ」

    そういうと男子生徒は一枚の紙を見せる

    そこには

    漢字2文字で

    ”遺書”と書いてあった
  6. 6 : : 2014/11/10(月) 04:47:01
    ============================================

    「おい、悪魔!」

    とっくに授業が始まっているのに俺は特別塔の廊下を走っていた

    『何だね』

    しきりに時計を気にしながら返事をする

    「お前がもし、学校で自殺するならどこでする?」

    『そうだな…万が一いや数億分の一するとしたら人気が無い場所だろうな』

    やっぱり、そうだ

    「死なせたくない」

    そう呟く俺

    『ん?何か言ったか?』

    「なんでもない、次は2階だ」

    何か引っかかる、そんな気分がした

    ===========================================
  7. 7 : : 2014/11/10(月) 04:47:16
    「はぁ・・・はぁ・・・」

    全部さがしたのに

    彼の姿は無かった

    『お前さん少し取り乱してないか?』

    そんな悪魔の声がする

    「別にそんなんじゃねーよ」




    『あいつ、呪われてるらしーよ』

    『え?気持ち悪ーい』

    『事故の時死体のクッションで無傷だったんだってさ』

    『うわー、なにそれ』

    『こっちみてるぞ』

    『見るなよ気持ち悪い』

    『そんなこと言ったら呪われるよ』

    『なぁ、お前』


    ”死んでくれよ”

    そう、これは俺の記憶

    過去は過去

    視界がぼやける

    『幸太郎君泣いているのかい?』

    上から声をかけられる

    服の袖で流していない涙を拭き俺は再び思考する


    考えろ

    遺書を書くほどの準備をした彼はきっと実行するだろう

    前の時間は確かにいた

    休み時間は10分

    そして今、授業が始まって15分

    合計25分 自殺には充分すぎる時間

    特別塔で発見できなかったということはひっそりと死ぬということではないようだ

    なら、教室?

    一騒動起こしてからなのか?

    いや、それも無い

    だとしたら時間のある昼休みに実行したほうが注目を集めるだろう

    それに、遺書を書くほどなら突発的なものではない

    考えろ

    どうする?

    俺なら…

    お れ な ら ど こ で し ぬ ?
  8. 8 : : 2014/11/10(月) 04:47:29
    =========================================

    「もう、やめよう」

    辛いきつい

    何度も涙を流した

    でも、僕の涙腺は涙を流し続ける

    怖いのか?

    それとも悔しいのか

    おそらくどっちの感情もこの涙には含まれている

    でも、ここを一歩踏み出せば全て無くなる


    一歩を踏み出せば


    でも、その一歩が踏み出せない

    ここで逃げるなら

    また、あの辛さが

    誰か来て

    誰か助けて

    そう何回も思った

    何回も願った

    これが作り話ならきっと誰かが助けに来てくれる


    でも、現実は全然違う

    そう、だから この世界からいなくなろう

    何回も思った

    何回も実行しようと思った

    今までできなかったけど

    今日こそは


    右足を踏み出そうとする


    「さようなら」


    その時後ろから轟音がした

    「森野君!」
  9. 9 : : 2014/11/10(月) 04:47:41
    ===========================================

    「森野君!」

    いた!屋上から飛び降りようとする森野君がそこにはあった

    「神栖君?」

    金網の向こう側の男子生徒が振り返り俺の名前を呼ぶ

    「早く、こっちに来なよ」

    なるべく刺激しないように優しい声を出す

    「何でここがわかったの?」

    「何となくだよ」

    違う、本当は
  10. 10 : : 2014/11/10(月) 04:47:54
    =========================================

    「何となくだよ」

    そう言う神栖君の顔は優しかった

    でも、彼は額に汗をかき

    髪も乱れている

    きっと、僕のことをずっと探してくれていたのだろう

    でも

    決めたんだ

    「早く、ここからいなくなった方がいいよ」

    彼がここにいたらまた彼は

    良からぬ噂を
  11. 11 : : 2014/11/10(月) 04:48:08
    ==============================================

    「早く、ここからいなくなった方がいいよ」

    今にも消えてしまいそうな声と表情で金網の向こう側にいる少年は言った

    俺はこの顔を知っている

    「そんなことできるわけねぇだろ!」

    怒鳴り声が響く

    怒りで震える少年

    その瞳は同情でもない

    正義感でもない

    怒りの目だった

    理由の知らない人から見たら

    命を無駄にしようとしている者への怒り

    まぁあながち間違いでもないのだが


    「・・・どうして」

    金網の向こう側の少年が涙で枯れた声でそう問いかける


    「・・・ふぅ」

    先ほどまで拳を握り怒鳴り声を上げていた少年は一息つき言う

    「現代社会の教科書忘れたから見せてくれよ」


    おい

    何言ってるんだよ少年
  12. 12 : : 2014/11/10(月) 04:48:20
    ==========================================

    「・・・どうして」

    森野君からの問いかけ

    ここを間違ってはいけない

    冷静になれ

    しっかり考えろ

    「・・・ふぅ」

    嘘はいけない

    真実を

    そして、刺激をするような言い方も良くない

    「現代社会の教科書忘れたから見せてくれよ」

    考えてる時に口から声が出てしまった

    森野君は驚いたように目を見開いている

    悪魔を見る

    冷めた目で俺を見ている

    背中から汗が噴き出す

    心臓の音が速くなる


    やべぇ・・・俺 やらかしたかもしれねぇ
  13. 13 : : 2014/11/10(月) 04:48:34
    =========================================

    「現代社会の教科書忘れたから見せてくれよ」

    彼は何て言ったの?

    死のうとしている僕の前で

    嬉しい

    それが僕が最初に思った感情

    誰かに必要とされることのなかった僕が

    誰かに必要とされている


    傍から見れば

    変な話だろうけど


    今の僕には何よりも嬉しかった


    金網の向こうに行こう

    彼に教科書見せないと

    金網に手をかけようとする

    金網に触れようとしたとき

    身体が固まった


    いいのか?僕は

    遺書まで書いて

    僕には戻る日常何て


    無い


    「ありがとうね、神栖君 最後に君と会えてよかった」
  14. 14 : : 2014/11/10(月) 04:48:43
    ==========================================

    「ありがとうね、神栖君 最後に君と会えてよかった」

    笑顔

    全てを受け入れ

    全てを投げ出そうとする彼の目

    外へ身体を向ける

    両手を広げて

    飛び降りようとする森野君

    「森野君!」

    彼を止めないと


    「悪魔!森野君から勇気を奪ってくれ」

    『はいよ』
  15. 15 : : 2014/11/10(月) 04:48:54
    =========================================

    足が進まない

    下を見る

    怖い

    怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

    無理だ

    僕には飛べない
  16. 16 : : 2014/11/10(月) 04:49:12
    =========================================

    彼はその場に座り込む

    俺は彼に手を差し伸べる

    その手を彼が握る

    「早く戻ろう 授業終わっちまうぞ」

    森野君は泣き腫らした目で俺を見て笑った
  17. 17 : : 2014/11/10(月) 04:49:23
    「神栖幸太郎君!さぼりはだめ!」

    後ろから声をかけられて心臓が飛び跳ねる

    そして思い出す

    『いきなり最低です!』

    外を見る

    あれ?今なら俺飛べんじゃね?

    「うおおおおおおおおおお!アイ キャン フラーーーーイ」

    俺は飛べる!

    鳥だ!

    空中へ自分の身体を放り出そうとしたとき

    俺の身体ががっしりと掴まれる

    振り返ると

    そこには

    呆れ顔の悪魔と俺の身体を抱き留める男女の姿だった


    父さん 母さん

    俺にも友達ができたよ
  18. 18 : : 2014/11/10(月) 04:57:45
    =========================================

    「今日は疲れたなぁ」

    家に帰りベッドの上に横たわる

    そして、テーブルの上に1つの段ボールが置いてあることにも気が付く

    「なんだこれ」

    段ボールには俺宛の伝票が貼ってあった

    「爆弾とかじゃねーよな」

    冷たい汗が頬をこぼれ落ちる

    高校の人たちからの悪ふざけなら全然耐えられる

    でも、爆弾や俺に直接の被害をもたらすものは はっきり言ってごめんだ

    「すぅ・・・・・・はぁっ・・・・」

    ビリビリビリッ

    固く目を閉じ段ボールを開ける


    数分待っても爆発はしない

    固く閉じた目を開くと

    「枕?」

    ”これであなたもぐっすり快眠!安眠枕”

    一枚の紙が落ちる

    『プレゼントだ』

    何回も書き直したのだろうぐちゃぐちゃになったルーズリーフだった

    「ふっ」

    電波男と悪魔

    いいコンビじゃんか

    これからもよろしくな

    悪魔

    2話『勇気とはEND』
  19. 19 : : 2014/11/10(月) 05:03:03
    <キャラクター紹介>

    森野由紀夫(もりのゆきお)

    168cm
    59kg

    年齢16歳
    職業高校生

    大人しい性格の持ち主で争い事を好まない

    影が薄く、他の生徒からいじめを受けていたことも認識されずにいた

    趣味は勉強 特技も勉強

    勉強が好きなわけでもないが今まで友達がいなかったため勉強しかすることが無かった

    最近の悩みはあの日以来隣の席の生徒が忘れ物を良くする


    それでは続きがあったらまたお会いしましょう
  20. 20 : : 2014/11/10(月) 05:20:05
    ≪悪魔の優雅な日常≫※タイトルと内容が異なります


    俺は悪魔ジェラル!

    悪魔界では有数の名家で産まれた貴族悪魔だ

    なんでその貴族悪魔が押入れに隠れてるのかって?

    そりゃ俺だってこんなところで隠れていたくはねーよ

    でも、そろそろ帰ってくるだろ

    ガチャ

    「ただいまー」

    ほれ来た

    少年はカバンを下ろすとベッドへ直行した

    「今日は疲れたなぁ」

    まぁ確かに今日はいつも以上に動き回っていたからな

    仕方ないだろう

    気づけ!そのテーブルの上の段ボールに

    目を瞑るな!

    そんな俺の思いが届いたのだろう

    少年は目を開けると段ボールを発見した

    「なんだこれ」

    よし!開けろ!今すぐ開けるんだ!

    伝票をまじまじと見ながら少年は呟く

    「爆弾とかじゃねーよな」

    当たり前だ馬鹿者

    わざわざ爆弾を送り届けるわけなかろう

    送るならそんなところに置かない

    まぁ、ホントに爆弾だとは思っていないだろう

    俺をおびき寄せるための演技だな

    「すぅ・・・・・・はぁっ・・・・・・」

    覚悟を決めた顔で開けようとする

    おい、本当に危険物だと思ってるぞこの少年

    目を瞑るな


    箱を開けた状態でフリーズをしている少年

    ようやく動き出し

    俺からの贈り物を手に取る

    「枕?」

    そう!枕

    いつも眠そうにしているからな

    そして、俺からのメッセージカードを見る

    「ふっ」

    あいつ今笑っただろ

    気の利いた言葉見つからなかったんだよ


    くそぉ、限界だ!

    一発殴ってやろう

    そう、押入れの扉を開けようとしたとき

    「ありがとう ジェラル」

    少年は俺の名と感謝の言葉を言った

    そして、頬に一筋の涙が流れていた

    『ふん』

    目頭が熱くなりながらも

    俺は心の中で言った

    これからも、よろしくな

    少年

    ≪悪魔の優雅な日常≫END
  21. 21 : : 2014/11/10(月) 20:52:44
    1話を読んだ時はまだ早いと思って待っていたのですが、2話を読んで迷わずgoodを押しましたw

    テンポがよくて読みやすく、面白いです!
    この後いくつか展開の仕方があると思うので、どう展開していくか…続きを楽しみにしています(`・ω・´)!

  22. 22 : : 2014/11/10(月) 20:54:06
    言い忘れていました!
    作品のシリーズ登録をしていただけると、更に読みやすくなってこちらとしてはありがたいです!
  23. 23 : : 2014/11/11(火) 00:49:58
    >>21 22 ふじやまさん

    ありがとうございます!

    シリーズ登録?調べてやってみます!

    今後とも幸太郎君をよろしくお願いします
  24. 24 : : 2020/10/03(土) 09:05:19
    高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
    http://www.ssnote.net/archives/80410

    恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
    http://www.ssnote.net/archives/86931

    害悪ユーザーカグラ
    http://www.ssnote.net/archives/78041

    害悪ユーザースルメ わたあめ
    http://www.ssnote.net/archives/78042

    害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
    http://www.ssnote.net/archives/80906

    害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
    http://www.ssnote.net/archives/81672

    害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
    http://www.ssnote.net/archives/81774

    害悪ユーザー筋力
    http://www.ssnote.net/archives/84057

    害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
    http://www.ssnote.net/archives/85091

    害悪ユーザー空山
    http://www.ssnote.net/archives/81038

    【キャロル様教団】
    http://www.ssnote.net/archives/86972

    何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
    コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
    http://www.ssnote.net/archives/86986

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