このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
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アルミン「幽霊」エレン「駆逐」ミカサ「サービス」第2、5巻*安価なし
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- 1 : 2014/11/08(土) 23:19:57 :
- 第2巻ではエルヴィンとアルミンの生霊との戦闘を書いていませんでしたが、一応設定はしてました。
こちらは気が向き次第更新していきます。
*この作品には安価はないですが、ぜひよろしくお願いします。
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- 2 : 2014/11/09(日) 00:09:50 :
- 頑張って!
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- 3 : 2014/11/09(日) 04:13:56 :
- ありがとうございます!
始めます。
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エルヴィン「・・・作戦を伝える。」
私は、調査兵団の団長、エルヴィン・スミス。
普段は巨人と対決している私が、今回はアルミンの生霊と対峙することとなってしまった。
しかも、現時点において、私はすでに3つの点で負けを喫している。
一つ目は、生霊の正体をサシャと仮定したこと。
二つ目は、アルミンを作戦から外すことで生じた不和。
そして三つ目は、アルミンとエレンが抜けたことによる戦力的損失。
この3つの損失を考えると、いかにこの戦いが不利な状況に置かれてしまったかがわかる。
エルヴィン「まず、ミカサは馬を駆って調査兵団本部へ行くんだ。早急に本部の手練れを連れて来てくれ。」
ミカサ「・・・了解。」
エルヴィン「ハンネス部隊長とキース教官はここで待機。援軍が来るまで護衛を頼む。」
キーハン「了解した!」
エルヴィン「さて、ミカサ、早く本部へ・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・フフフ。」
一同「!」
「アマイネ、ダンチョウ」
急激に空気が凍りつき、まどろむように淀み始める。
夜の暗闇の中でさえ、よどみの中心が見えるようだ。
まるで、暗黒がすぐそこにあるかのように・・・。
ミカサ「・・・アルミン?」
「タノミダヨ、ミカサ・・・」
「ボクハズットキミトタタカイタカッタ・・・」
○ ○
ハ ジ メ ヨ ウ カ
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- 4 : 2014/11/09(日) 04:27:05 :
- 暗黒の中から、二つの目が覗き込んだ。
一同「!」
恐怖に駆られたのは人間だけではない。馬も同じだった。
ヒヒィィィィィン
馬たちは恐怖に駆られ、一目散に走りだす。カラネス区の門の前から、一気に引き離されてしまった。
エルヴィン「全員、立体起動に移れ。近くの建物に飛び移るんだ。」
一斉に立体起動に移り、逃げる馬から離れた。これで、機動力もそがれてしまった。
エルヴィン「建物の中に入るんだ。できる限り時間を稼ぐ!!!」
エルヴィンはアルミンとエレンに懸けるしかなかった。彼らが心の葛藤に打ち勝つことを期待するしかなかった。
その為にも少しでも時間を稼ぐ必要がある。この時エルヴィンは、自分の命さえ捨てる覚悟で臨んでいた。
しかし、アルミンの生霊はそれをあざ笑うかのごとく、次なる手を打ってきたのである。
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- 5 : 2014/11/09(日) 04:52:58 :
- ミカサ「アルミン・・・。」
ミカサは自分の耳がいまだに信じられなかった。さっきの声は間違いなくアルミンの声。しかし、彼の声があんなに不気味に聞こえたことはなかった。
「ミカサ!」
「チガウトオモウノカイ?」
あまりの衝撃に、ミカサは聴覚以外の感覚が鈍くなっていた。そのため、この建物から漂う匂いに鈍感になっていたのである。
ーーーーーーーーーーーーーー
キース「あれは・・・アルミンの声、ということはやはり・・・。」
長年付き合いのあるキースには、エルヴィンが何か策をめぐらしていることを察していた。それゆえ、この建物の異変にすぐに気が付いた!
キース「この匂いは・・・灯油!全員!建物から出るんだ!!!」バッ
次の瞬間、建物から火の手が上がった!
火は勢いよく燃え盛り、瞬く間に炎となり、左右の建物を炎でくるんだ。
エルヴィン、ミカサ、ハンネスも半歩遅れて外に飛び出す。
建物が燃えている以上、立体起動は不可能となった。しかも、道の真ん中にも炎が燃え広がり、その中心から・・・
○ ○
二つの目が覗いていた。カラネス区への退路もこれでふさがれた。
そして、エルヴィンにはもう一つの懸念もあった。
ここは壁外である。つまり、火災で昼間のように明るくなった市街地では、巨人が活動する可能性がある。
立体起動が使える環境は、平原の先にある小規模な巨大樹の森しかない。迷っている暇などなかった。
エルヴィン「全員、巨大樹の森へ向けて後退せよ!」
かくして、平原の中を徒歩で移動する絶望的な進軍を開始したのである!
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- 6 : 2014/11/09(日) 13:33:13 :
- 巨人に見つからないよう、エルヴィンたちは草原を全速力で駆け抜けていた。
ミカサ「・・・団長、あの霊は?」ハァハァ
エルヴィン「アルミンだ。」ハァハァ
ハンネス「・・・マジかよ。」ゼェゼェ
信じられないのも無理はない。友人に対してあれほど親切なアルミンが、まさかこんなことをするなんて思いもしなかっただろう。
しかし、ここまで私たちを陥れようとするのは合点がいかない。本来のアルミンの性格からあまりにもかけ離れている。
それとも、心の奥底にある感情のよどみが現れたのか?
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- 7 : 2014/11/09(日) 13:43:23 :
- ミカサ「・・・団長!」ハァハァ
エルヴィン「どうした、ミカサ?」ハァハァ
ミカサ「アルミンの生霊と・・・話をします!」ハァハァ
エルヴィン「話をして・・・どうする?」ハァハァ
ミカサ「私が・・・足止めします!」ハァハァ
キーハン「!」
ハンネス「おいミカサ、危険だぞ!」ゼェゼェ
ミカサ「アルミンは私の家族、ので、その悩みも、受け止める。」ハァハァ
キース「だそうだエルヴィン。どうする?」ハァハァ
エルヴィン「分かった。頼むぞ、ミカサ。」ハァハァ
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- 8 : 2014/11/09(日) 17:10:00 :
- いったいどれくらい走っただろうか?
気が付くと、遠くの空から鳥のさえずりが聞こえてくる。
巨大樹の森に辿り着き、私たちは少しほっとした。しかし、同時に不安もやってきた。
・・・ここまで来たのに、巨人を見かけていない。
そういえばエレンやアルミン、ミカサは前回の依頼でも壁外に行っていた。なのに、巨人とあまり遭遇しなかった。いくら夜に行動できない巨人だからとはいえ、これはさすがにおかしい。
「オォオオオオ!!!」
生霊の声が鳴り響く!すると、その声の聞こえる方向に向かって、巨人の大群が森から飛び出してきたのだ!!!
エルヴィン「全員、至急立体起動で木の上に避難せよ!!!」
全員が急いで木の上に対比する。その瞬間、すべてがつながる。
「ソウダ」
「ウマカラオロシ」
「ヒヲハナチ」
「ソウゲンヲハシラセ」
「キョダイジュノモリニミチビイタ」
「キョジンハボクノコエニハンノウスル」
「コノモリニキョジンヲアツメタ」
「ソウ、ココハ」
○ ○
キョ ジ ン ノ ス ダ !
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- 9 : 2014/11/09(日) 17:24:50 :
- スゥゥゥゥゥッ
アルミン(霊)「キミタチハ、スデニヒヘイシテイル。」
エルミカキーハン ゼェゼェハアハア
アルミン(霊)「エラブトイイヨ、ボクニコロサレルカ?シタノキョジンニコロサレルカ?」
姿を現したアルミンは全裸であったが、もうそんなことはどうでもよくなっていた。
キース「なめられたものだな、我々はここでは死なない!」
ハンネス「へっ、教官の言う通りだ、アルミン。」
エルヴィン「私たちは、決してここでは死なない。」
虚勢であることは明らかであった。エルヴィンがここまで出し抜かれ、残る選択の自由が死に方しかないということが彼らの焦りを加速させた・・・死に方?
ミカサ「私は、死ねない。生きることを選ぶ!」
アルミン(霊)「ジョウキョウガ・・・ミエテイナイネ?カワイソウニ。」
ミカサ「団長!」
エルヴィン「教官とハンネスは私と巨人を討伐する!!!勝負は今この瞬間にかかっている!心臓をささげよ!!!」
合図とともに、エルヴィン、キース、ハンネスの三人は一斉に巨人に切りかかった!
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- 10 : 2014/11/10(月) 06:13:31 :
- ミカサは一人木の上に残り、アルミンの生霊と対峙した。
アルミン(霊)「ミカサハボクトヤルノカイ?」
ミカサ「」ガシャッ
アルミン(霊)「ブソウヲ・・・ステタ?」
ミカサ「アルミン、自分の弱さと向き合うのには、勇気がいる。」
アルミン(霊)「」
ミカサ「本当のアルミンは、とても親切で仲間想い。でも、自分自身を親切にしてない。」
アルミン(霊)「・・・ロ。」
ミカサ「自分の弱さが許せない。ので、消えてしまいたいと思ってる。」
アルミン(霊)「・・メロ。」
ミカサ「何かを捨てなければ、何かを変えられないといつも言う。でも、アルミン。あなたは自分をいちばん捨てたがってる!」
アルミン(霊)「ヤメロ!」
ミカサ「だからあなたの生霊は、したいことと正反対のことをする!周りを消して、自分も消そうとする!!!」
アルミン(霊)「ヤ メ ロ !!!」
ひときわ大きな声がこだまする。
アルミン(霊)「ボクハ・・・マモラレナケレバイキテイケナイジブンガイヤダッタ!コンナニモヨワイジブンガ・・・」
その瞬間、どこからか声が聞こえてくる。
はぁ?俺はただアルミンに外の世界に連れて行ってもらいたいって言ったんだよ!
これはエレンの声だろうか?アルミンと何を話しているのだろう?
アルミン(霊)「」ポロポロ
ミカサ「・・・アルミン?」
アルミン(霊)「ハハ、ボクハカンチガイヲシテイタ。エレンガボクヲヒッパッテイタトオモッテタノニ・・・。」グスッ
ミカサ「アルミン、エレンの夢は私の夢。私はあなたに、外の世界を教えてくれた。」
アルミン(霊)「」ポロポロ
ミカサ「私も、連れて行って欲しい。私に、生き方を教えてくれて、ありがとう!」ジワ
アルミン(霊)「ミカサ・・・。」ポロポロ
ミカサ「私は、エレンも、アルミンも、心の底から、好いている。あなたが自分を否定するなら、私たちをも否定してる。」
アルミン(霊)「ううっ。」ポロポロ
ミカサ「教えてほしい、アルミン。あなたの夢を。」
アルミン(霊)「ボクハ・・・。」
アルミン「僕は必ず、おじいちゃんの本を取り返す!そして、エレンやミカサを必ず海に連れていくよ!!!」
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- 11 : 2014/11/10(月) 06:27:09 :
- アルミン(霊)「そうか、僕はありのままの自分を受け入れられていなかったんだね。」ポロポロ
ミカサ「アルミン。」
アルミン(霊)「ずっと泣きっぱなしで恥ずかしいよ。」///
ミカサ「よかった。」
アルミン(霊)「さて、最後に僕は、君たちを無事にカラネス区へ帰すための手伝いをするよ。勝手だけどさ。」
ミカサ「どうするの?」
アルミン(霊)「あらん限りのこだまで巨人を攪乱する。その隙に逃げるんだ。」
次の瞬間、様々な方角から咆哮するアルミンの声が聞こえた。巨人たちはそちらに注意をひかれ、私たちから注意がそれた。
エルヴィン「今のうちに巨大樹の森から脱出する。総員、撤退せよ!!!」
こうして私たちは巨大樹の森から脱出した。そこには何と、逃げた馬がつながれていた。
アルミン(霊)「僕はもうすぐ消えるよ。弱さを受け入れて、そこからさらに強くなって見せるよ。今度は僕がエレン、ミカサを守る。見ててくれ。」
そうつぶやくと、アルミンの生霊は消えていった。
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- 12 : 2014/11/10(月) 06:38:54 :
- エレンとアルミンの協力もあり、何とかカラネス区への帰還を果たした。
エレンは私を殴ったが、そうされても仕方のない部分があったことは事実だ。
でも理解してほしい。私だって断腸の思いで決断したということを。団長だけにな。うむ、我ながら上手いな。
さて、今回の作戦が壁外調査となった以上、報告を行わねばならない。誰に?ザックレー総統にだ。めんどくさい。
今回の作戦ははっきり言って私の負けだ。つまるところ、アルミンによって敗北し、アルミンによって救われたといっていい。
人の思念とは強いものだ。アルミンの場合は、強い自己否定が、転じて他者をも否定する生霊となって現れた。
・・・自分を見つめるとはなんと難しいことだろう。特に、自分の限界を知ってしまうことが、どれほど恐ろしいことだろう。
だが、そこで立ち止まってはいられない。できないことをできるようにするためには、まずは何ができないかを知らなけらばならないからだ。
今日も私は巨人と、そして自己と対峙する。その一歩が、人類の進撃の嚆矢になると信じて。
おしまい
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- 13 : 2014/11/10(月) 06:42:32 :
- 以上で終了です。
私も仕事をしているうえで悩みを抱えています。
どうしてこんなことができないのだろうって考えることもしばしばです。
でもそこで立ち止まったら成長できない。今回のお話はそんな私の願望を形にしたものになりました。
最後は駆け足でしたが、楽しんでもらえれば幸いです。
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- 14 : 2016/02/13(土) 21:40:05 :
- 立ち止まっちゃだめだ立ち止まっちゃだめだ立ち止まっちゃだめだ!
ありの~ままの~自分をさら~けだす~の~
乙でした!ww
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