ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

この作品は執筆を終了しています。

ぼっちライダーディケイド(仮面ライダーブレイド=ドキドキプリキュアの世界)

    • Good
    • 0

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2014/10/02(木) 22:01:02
    前作「仮面ライダーぼっち」の続編ですが、そちらを見ていなくてもさほど問題はありません。
    色々な世界と融合してしまったライダー世界を八幡がディケイドとなって旅します!
  2. 2 : : 2014/10/02(木) 22:01:41
    由比ケ浜「ねぇねぇゆきのん、この書類こんな感じでいいかなぁ?」
    雪ノ下「由比ケ浜さん……やはりあなたには会計の仕事は向いていないわ。この一枚だけで訂正すべき箇所が五つもある……」
    由比ケ浜「う、ううう~、ごめんねゆきのん……」
    雪ノ下「で、でも頑張ってくれたことは嬉しいわ。ありがとう」
    由比ケ浜「ゆきの~ん!」
    雪ノ下が由比ケ浜に抱きつく。
    この生徒会室ではよくみられる光景だ。
    雪ノ下「じゃぁ比企谷君、この修正をお願い」
    そしてその仕事は僕がやることになるんですよね、わかります。
    由比ケ浜「よろしくね、ヒッキー!」
    まぁ、生徒会長と副会長に言われては庶務の俺には拒否権は無い。
    由比ケ浜「この調子なら、次の行事も上手く行きそうだね!」
    比企谷「お前はほとんど役にたってねぇけどな……」
    由比ケ浜「う……」
    雪ノ下「まぁ、由比ケ浜さんは他の所で頑張ってもらっているわ」
    雪ノ下……お前由比ケ浜に対して甘すぎるだろ……。
    俺がため息をつくと、ドアがノックされた。
    雪ノ下「はい」
    緩んだ表情を引き締めて雪ノ下が応答する。
    映司「やぁ、今日も頑張ってくれてるね。ありがとう」
    そう言ってはいってきたのは生徒会担当教諭の火野映司先生だ。
    雪ノ下「いえ、仕事ですから」
    映司「比企谷君達の代になってから随分スムーズに進行するようになったし、内容も凝ってるし、本当に感謝だよ」
    雪ノ下「それは先生も同じでしょう」
    火野先生が生徒会担当になったのは今年からだが、影で随分頑張ってくれている。
    だから、例年より少ない三人という生徒会役員でやっていけているのだ。
    由比ケ浜「先生、またどこか遊びに行こうよ!」
    映司「そうだね、次の行事が終わったら行こうか」
    雪ノ下「楽しみです」
    比企谷「ああ、そうだな」
    その時、大地が大きく揺れた。
    比企谷「うぉ!なんだ、地震か!?」
    雪ノ下「大きいわね……」
    俺達が安全を確保しようと動き出したその時、
    「ギィヤァァァァッッッ!」
    耳をつんざくような叫び声が響いた。
    少なくとも普通に生活していて出るような声ではない。
    いや、これは、とても人の物とは思えない。
    映司「そんな……この世界でも崩壊が始まったのか……?」
    火野先生がそう呟き、窓から身を乗り出した。
    比企谷「あ、危ないですよ!」
    映司「あぁ……やっぱり……終わって無かったのか」
    俺達も先生に続いて外を眺める。そして、驚愕する。
    怪物、としか言いようのない生物たちが空に地上にとあふれかえっていたのだ。
    由比ケ浜「な、何あれ……」
    雪ノ下「私達は、夢でも見ているの……?」
    映司「……君達は、少しの間ここで待っててくれ」
    由比ケ浜「ど、どこに行くの!?」
    映司「この状況を何とかできる物を、取ってくる。できれば、もう二度と使いたくなかったんだけどね……」
    そう言うと、火野先生は勢いよく駆けだした。
    由比ケ浜「な、なんなんだろう……」
    雪ノ下「とにかく私たちは、ここで待ってましょう」

    そして約二分後。

    勢い良くドアが開けられる。

    映司「はぁ、はぁ……」

    先生の手には、一つのベルトと二つのカードデッキが握られている。

    デッキには、龍と蝙蝠のエンブレムがあしらわれている。

    映司「君達をまた戦わせることになって、本当に申し訳ない……」

    比企谷「先生……?」

    映司「三人とも、これを」

    言うと先生は、俺にベルトを、雪ノ下に蝙蝠の、由比ケ浜に龍のカードデッキを手渡した。

    ベルトに触れた、その瞬間

    比企谷「っっっっーーーーーーーー!!!?」

    俺の頭の中を、電流が駆け巡る。

    比企谷「あ、ああ、ああ……」


    陽乃「私は、仮面ライダーオーディン」

    三浦「近くにいた、お前が悪い」

    材木座「がぁぁぁぁあああっっ!」

    戸塚「う、うわぁぁぁぁっっ!」

    由比ケ浜「あたしの占いが、やっと、外れる……」

    比企谷「お前はなるべく、生きろ……」

  3. 3 : : 2014/10/02(木) 22:01:45
    それは、記憶。

    忘れていたことが不思議な、鮮烈すぎる戦いの記憶。


    比企谷「そうだ、俺達は、戦っていた……ライダーバトルを……」

    雪ノ下「どうして、忘れていたのかしら……」

    由比ケ浜「う?なんであたしのデッキはヒッキーのなの?」

    映司「説明は後でする、とりあえず、今はこのモンスター達を何とかしないと」

    比企谷「先生、俺のこのベルトはどうやって?」

    映司「ベルトの中心にカードを入れるんだ……ディケイドの力は、全てを超越する」

    比企谷「まぁ、やってみるか。多分そう簡単には、やられない」

    雪ノ下「というか私たちは、ミラーワールドでしか戦えないのでは……?」

    映司「それは大丈夫、もうどこでも戦えるはずだよ」

    雪ノ下「そうですか……わかりました。変身!」

    由比ケ浜「えへへ……ヒッキーのを使うなんて、なんか照れるな……変身!」

    そう叫ぶと、雪ノ下は漆黒の剣士仮面ライダーナイトに、由比ケ浜は赤い剣士、龍騎へと

    変身した。

    俺は数枚の中から、一枚のカードを選ぶ。

    ―DECADE―
  4. 4 : : 2014/10/02(木) 22:02:05
    比企谷「変身!」

    「Kamen Ride Decade!」

    ベルトからその音声が鳴ると、俺の体にバーコードのようなものがはまっていく。

    ピンクと黒のボディーに緑の目。

    それが俺の変身した新たなライダー、仮面ライダーディケイドだ。

    映司「ごめん、また戦わせることになっちゃって」

    雪ノ下「気にしないでください、私達は大丈夫です」

    由比ケ浜「そうそう、ちゃちゃっとあんなの倒しちゃうよ!」

    映司「ごめん、ここは任せた!俺もやるべきことをやったら、すぐに行くから!」

    比企谷「っし、行くか」



    雪ノ下「ミラーワールドのモンスターとは、少し違う感じね……」

    比企谷「アンデッドにワームにドーパント……なんでもありだな」

    由比ケ浜「ヒッキー、知ってるの?」

    比企谷「なんとなく、わかる。このベルトのせいか……?」

    雪ノ下「なにはともあれ、私達がするべきことは一つよ」

    由比ケ浜「そうだね!よし、頑張ろう!」

    「「Sword Vent」」

    「Attack Ride Srash!」

    三人それぞれに剣を手にする。

    比企谷「お前ら、なるべくならサバイブは使うなよ」

    サバイブ、それは使用者の生命エネルギーと引き換えに莫大な力を与える諸刃の剣である。

    雪ノ下「その心配は無いわ」

    比企谷「え?」

    由比ケ浜「なんかよくわかんないけど、サバイブのカードは無くなってるよ?」

    「シャァァァッッ!」

    会話をしている俺達にモンスターが襲いかかってくる。

    比企谷「とにかく、やるかっ!」


    剣でモンスターをさばく。

    だが、いかんせん数が多すぎる。

    比企谷「ちっ……」

    「Attack Ride Blast!」

    銃を乱射し、敵を一旦遠ざける。

    しかしそれは時間稼ぎにしかならない。

    雪ノ下「耳をふさいで!」

    「Nasty Vent」

    雪ノ下がそのカードをスキャンした瞬間、彼女の契約モンスター「ダークウイング」が現

    れ、不快なことこの上ない超音波を発する。

    比企谷「久しぶりに聞いたなこれ……」

    そういえば、このディケイドにはやたら多くのカードが入ってたな。

    比企谷「色々試してみるか」

    「Kamen Ride 鎧武!」

    カードをスキャンすると、俺の姿はどこかオレンジを連想させる姿へと変わった。

    「Attack Ride 鎧武! 大橙丸! 無双セイバー!」
  5. 5 : : 2014/10/02(木) 22:02:20
    二本の剣で敵に切りかかる。すごい威力だ。

    「Attack Ride 鎧武! 大橙一刀!」

    俺を中心として、円状に斬撃を放つ。

    その攻撃に触れたもの全てが爆発する。

    巨大な力に驚く俺の背後から何者かが攻撃を仕掛けた。

    幸いダメージはさほど大きい物では無かったので急いで振り返るも、すぐ近くにそのよう

    な影はない。

    と、次は正面から攻撃を受けた。

    しかし、全くその姿が見えない。

    透明になっているのか、あるいは……

    「Kamen Ride Brade!」

    次に俺は、鋼鉄の剣士へと姿を変える。

    「Attack Ride Brade! タイム!」

    ブレイドが使うカードの一つ。スペードの10、タイム・スカラベ。

    その効果は、自分以外の時間の流れを減速させること。

    しかしその中で、俺と同じ速さで動く物たちがいた。

    ワーム、カブトの世界の、高速で動くことができるモンスター達だ。

    「Final Attack Ride ブ・ブ・ブ ブレイド!Ritning So

    nic!」

    キック、サンダー、マッハからなる、電撃を宿した超高速キック。

    それを受けたモンスターは、跡形もなく消滅した。

    「「Final Vent」」

    雪ノ下と由比ケ浜も必殺のカードで敵を蹴散らす。

    しかし、モンスター達は次から次へと湧いてくる。

    雪ノ下「こんな数……キリがない!」

    俺達が体力的にも精神的にも参ってきたその時、空から炎が降ってきて俺達の周りのモン

    スターを焼き払った。

    地上に降りてきたのは、タカ、クジャク、コンドルの鳥獣系モンスターの力を使って変身

    した火野先生、仮面ライダーオーズだ。

    映司「大丈夫!?」

    比企谷「ええ、なんとか」

    映司「今、この世界は消滅しかかっている」

    雪ノ下「消滅……?」

    映司「前に言ったよね、俺は別の世界から来たライダーだって。この世界には、ここ以外

    に14のライダーの世界がある」

    雪ノ下「パラレルワールド、のようなものですか?」

    映司「うん。そしてその世界が融合しかかっている。そんなことになれば、全ての世界は

    消滅してしまう」

    比企谷「こんなふうに、ですか……」

    高層ビルなどはモンスターによって崩壊し、まさにこの世の終わりといった感じだ。

    映司「うん、これよりもっと、ひどいけどね……」

    由比ケ浜「そんな……」

    映司「でも、全ての世界を救う方法もある」

    雪ノ下「方法、というのは?」

    映司「比企谷君、いや、ディケイド。君が世界を旅し、ゆがみを正すんだ」

    比企谷「え……?」

    映司「それぞれのライダーの世界では、滅びの前兆が起き始めている。それを君が、君達

    が解決する。全ての世界でゆがみを正すことができれば、世界の崩壊を止めることができ

    る」
  6. 6 : : 2014/10/02(木) 22:02:35
    由比ケ浜「でも、どうしてあたし達が……」

    映司「それはわからない。でも、君達が体験したライダーバトルに関係あるってことは確

    かだと思う。俺が変われればいいんだけど……」

    雪ノ下「行きましょう、比企谷君。どの道このままでは、私たちも、みんな終わりよ」

    比企谷「ああ、そうだな。……先生、俺達が何とかして見せます」

    と、言った瞬間。

    俺が所持していたカードから灰のようなものが放出される。

    そして、ほとんどがモノクロの状態になってしまった。

    比企谷「なんだ……?」

    映司「その状態になってしまったカードは、使うことができない」

    比企谷「え?」

    映司「各ライダーの力を使うには、そのライダーと絆を結ぶ必要がある。だから、今の比

    企谷君には、自分と、由比ケ浜さんが変身する龍騎、雪ノ下さんが変身するナイトの力し

    か使うことができなくなったんだ」

    比企谷「なるほど……所で先生、旅するって言っても、どうやって?」

    映司「そこにある建物、それが鍵だ」

    そう言って先生が指差した建物は、『光写真館』。

    雪ノ下「写真館……?」

    由比ケ浜「こんな所にあったっけ……」

    映司「そこから、いろんな世界に行くことができる。……もう時間がない、さぁ、行って」

    由比ケ浜「先生は?どうするの?」

    映司「俺は、こいつらを食い止める」

    由比ケ浜「そ、そんなの無茶だよ!」

    映司「それでも俺に出来るのはこれくらいだからね。それに、君達が世界を変えてくれれ

    ばこっちの世界でも影響が出る。……頼んだよ」

    雪ノ下「御武運を」

    俺達は頭を下げ、謎の写真館へと入った。

    俺達が入るのを待ち構えていたかのように、部屋の絵が突如切り替わる。

    たくさんのトランプのカードが散らばり、そこに鉄のライダー達と少女達が立っている絵

    だ。

    比企谷「ブレイドの世界、か……」
  7. 7 : : 2014/10/02(木) 22:02:46
    ブレイド編
    <世界説明!>
    作品の都合上、原作とは設定が異なりますのであしからず。
    地球とは別の世界、トランプ王国に突然謎の勢力ジコチューが襲来し、王国の侵略を開始した。
    一人残ったプリキュア、キュアソード(=剣崎真琴)も王女アンジェと供に必死に戦うが、あえなくトランプ王国は滅亡してしまう。
    一方地球では、大貝第一中学校生徒会長相田マナが、キャラビーズという謎の宝石を譲り受ける。
    その後マナは、王国陥落寸前に地球に送られた妖精三兄弟(シャルル、ラケル、ランス)に出会い、更にキュアソードにも出会う。
    これまた地球に来たジコチューとの戦いに苦戦するキュアソードを助けるため、マナはキュアハートへと変身する。
    その後、彼女の親友の二人、菱川六花と四葉ありすもそれぞれキュアダイヤモンド、キュアロゼッタとなって四人は協力してジコチューと戦う。
    そんなある日、彼女たちの前にジコチュー達の王『キングジコチュー』の娘であるレジーナが現れる。
    マナとレジーナは友情を結ぶが、レジーナはキングジコチューにより悪の心を植え付けられてしまう。
    強力な力を得て敵に回ったレジーナ達に苦戦する四人を救ったのは新たなプリキュア、キュアエース。
    彼女の正体は、小学四年生の少女、円あぐりだった。
    戦いが進むにつれ、レジーナ、あぐり、アイちゃん(あぐりのパートナー妖精)はそれぞれ、王女アンジェの悪の心、正義の心、そして転生体であることが判明。
    更には、キングジコチューがトランプ国王であったことも発覚。
    五人は力を合わせ、キングジコチューと国王を分離、さらにはレジーナの改心も果たす。
    しかし戦いは終わりでは無かった。
    キングジコチューの上位存在、始まりののジコチュー、プロトジコチューがいたのだ。
    圧倒的な敵との戦闘中に、ついにマナは最強フォーム、キュアハート・パルテノンモードへと覚醒を果たす。
    しかし、その強大すぎる力は彼女に思いがけない変化をもたらしていた……

    登場人物
    相田マナ/キュアハート/仮面ライダーカリス
    大貝第一中学校の生徒会長を務める、成績優秀かつ運動神経抜群の少女。
    しかし、最も特筆すべきはその驚異的な行動力だろう。
    本来ならば他の委員などに任せるべき仕事などもほとんどを自らの手で行う。
    恐るべきは、それでもあまり問題が生じないほどの才能の持っているということか。
    嘘が苦手な性質で、プリキュアになった時も早々に六花に看破された。
    地球の人間でありながらプリキュアの力、さらにはそれをはるかに上回るパルテノンモードの力を使ったことで、最凶のアンデッドジョーカーとなってしまった。
  8. 8 : : 2014/10/02(木) 22:03:01
    比企谷「ん……」
    一瞬のめまいの後、再び瞼を開けると、俺はなぜかスーツに身をくるんでいた。
    由比ケ浜「うう……って、ええっ!?ヒッキー何その格好!」
    比企谷「スーツだと!?俺は働かないぞ!絶対に働かないからな!世界を救うにしてもそこだけは譲れない!」

    雪ノ下「はぁ、全く相変わらずね……」

    比企谷「つーかこれマジでどうなってんだよ……」

    雪ノ下「服の中をいろいろ見てみたら?何かわかるかもしれないわよ?」

    比企谷「ん……そうだな」

    すると、胸ポケットから見覚えのない財布が出てきた。

    中を見るとそこには、

    比企谷「きょ、教員免許だと……?」

    間違いない、俺の名前と写真の下に中学校教師であることを示す免許があった。

    無論、俺に覚えはない。

    雪ノ下「比企谷君が人に教えられることなど何一つないと思うのだけれど」

    比企谷「ばっかお前、あれだよ、めちゃくちゃあるよ。例えばだな……」

    由比ケ浜「ああ!わかった!反面教師って奴だね!」

    こんの野郎……。

    雪ノ下「そうね、由比ケ浜さんの言う通りね」

    比企谷「はぁ……つまりこれが俺のこの世界でやるべきことに関係あるってことか?」

    雪ノ下「そう考えるのが妥当でしょうね」

    由比ケ浜「他に何かないの?」

    財布の中には他にも、一枚のメモがあった。

    『赴任先 大貝第一中学校』

    比企谷「大貝第一中学校……これって!」

    雪ノ下「知っているの?」

    由比ケ浜「聞いたこと無いね」

    比企谷「いや……大貝第一中学校っていったら、マナちゃん達が通ってる中学じゃないか」

    由比ケ浜「マナちゃん……?」

    比企谷「マナ、相田マナ。……ハートのスートを司るプリキュア、キュアハートだ」

    雪ノ下「プリキュア……?キュアハート?」

    比企谷「火野先生は、ライダーの世界が他の世界とつながってしまったと言っていた、も

    しそれが本当だとすれば……この世界は、仮面ライダーブレイドの世界は、ドキドキプリ

    キュアの世界とつながっていることになる」

    由比ケ浜「どっちも聞いたこと無い……それもそのベルトの効果なの?」

    比企谷「いや、ベルトで知ったのはブレイドのことだけだ」

    雪ノ下「ではその、プリキュア、というのは……?」

    比企谷「ばっかお前、プリキュアを見てない男子高校生なんているわけないだろうが」

    由比ケ浜「ええー……?」

    雪ノ下「まぁ……いいわ。とにかく、それが比企谷君のすべきことだというのなら、まず

    はその中学校に行ってみるべきではないかしら?」

    比企谷「よし行こう、今行こう」

    由比ケ浜「ヒッキーがいつになく積極的だ!?」

    比企谷「マイスイートハート、マナたんに会えるのなら労働さえも苦ではない!」

    由比ケ浜「うう……なんか複雑だなぁ」

    雪ノ下「由比ケ浜さん、私達はどうしましょうか?」

    由比ケ浜「う?ヒッキーについていったらいいんじゃない?」

    雪ノ下「でも、私達が中学校に行くというのも変な話でしょう?」

    由比ケ浜「確かに……」

    と、その時。

    雪ノ下と由比ケ浜の体をコミカルな爆発が襲った。

    次の瞬間、二人の服が総武高の物ではない別の制服になっていた。

    というかこれは……

    比企谷「お前ら、それ、大貝中の制服だぞ」

    雪ノ下「私達は、生徒として転入しろ、ということ?」

    由比ケ浜「えへへ、中学生かぁ……懐かしいなぁ」

    雪ノ下「比企谷君が教師で私が生徒というのは非常に不本意なのだけれど……」

    比企谷「ま、それは人徳って奴だな」

    雪ノ下「は?」

    比企谷「ごめんなさいなんでもありません」

    由比ケ浜「二人とも、早く行こうよ!」

    雪ノ下「そうは言っても、道がわからないわね……」

    比企谷「しばらくこの街にいなきゃいけないかもしれないんだし、いろいろ回ってみようぜ」

    雪ノ下「それもそうね、わかったわ。では、行きましょうか」
  9. 9 : : 2014/10/04(土) 23:54:48
    写真館の外は、やはりというかなんというか元の世界とは一変していた。

    雪ノ下「この世界でなすべきこと、ね……」

    由比ケ浜「でも、なんだかワクワクするよね!」

    比企谷「どこまで能天気なんだお前は……」

    あんなことがあったってのに、よくそんなことが思えるものだ。

    あるいはそれが、彼女の強さなのかもしれないが。

    由比ケ浜「あたし、そこらへんの人に道聞いてくる!」

    おおう、俺にはできないことをあっさりやり遂げる。

    そこにしびれる憧れるぅ!

    雪ノ下「彼女のああいうところ、すごいと思うわ」

    比企谷「まぁ、俺達がコミュ障ってだけなんだろうが……」

    雪ノ下「あなたと一緒にされるととても不愉快なのだけれど……」

    比企谷「いや、お前……五十歩百歩だろ」

    雪ノ下「五十と百の間にはかなりの差があると思うのだけど」

    そんなことを今俺に言われても……。

    由比ケ浜「聞いてきたよー!あっちだって!」


    比企谷「ここが大貝第一中学校か」

    雪ノ下「至って普通の中学校といった感じね」

    由比ケ浜「楽しみだね!」
  10. 10 : : 2014/10/04(土) 23:55:18
    どこに行けばいいか見当もつかないので、とりあえず職員室に向かうことにした。

    比企谷「失礼します」

    男「あ、あなたが新任の比企谷先生ですか?」

    比企谷「はい、よろしくお願いします」

    男「えっと、横にいるのは、転入生の雪ノ下と由比ケ浜でいいか?」

    雪ノ下「はい、よろしくおねがいします」

    由比ケ浜「お願いします」

    男「私は城戸といいます、比企谷先生にはうちのクラスの副担任を務めてもらいます。転

    入生の二人も、俺のクラスだ。よろしくな」

    比企谷、雪ノ下、由比ケ浜「おねがいします」

    城戸「じゃぁ、三人は明日から学校に来る、ということで」

    比企谷「わかりました、失礼します」

    雪ノ下、由比ケ浜「失礼します」




    雪ノ下「この世界で私達がすべきこと……ここがライダーの世界だというのなら、そのラ

    イダーと協力する、もしくは戦う、ということになるのかしら」

    由比ケ浜「もうライダー同士で戦いたくないなぁ……」

    比企谷「プリキュアと戦うとか絶対いやだな……」

    プリキュアンの俺としてはそんなことを認めるわけにはいかない。

    と、俺達が通りを歩いていたその時。

    「「うわぁぁあぁっっ!」

    前方から、人が雪崩を打って走ってきた。

    比企谷「なんだ……?」

    男「あ、アンデッドが出た!早くライダーに来てもらわないと!」

    *アンデッド……ブレイドの世界のモンスター。自らの種を繁栄させる為、バトルファイ

    トという戦いを行っている。ライダー達は、倒したアンデッドをカードに封印し、その力

    を使って戦う。
  11. 11 : : 2014/10/04(土) 23:55:57
    雪ノ下「行きましょう!」

    由比ケ浜「わかった!」

    比企谷、由比ケ浜、雪ノ下「変身!」

    「Kamen Ride Decade!」

    暴れていたのは、ラクダを人型にしたようなモンスターだった。

    比企谷「ハートスートのカテゴリー9……キャメルアンデッドか」

    ディケイドのベルトのおかげで、敵の基本的な情報が脳裏に浮かぶ。

    雪ノ下「随分便利ね、そのベルト」

    比企谷「ああ、といっても名前くらいしかわからんが」

    雪ノ下「行くわよ!」

    「Sword Vent」

    由比ケ浜「よーし、あたしも!」

    「Strike Vent」

    由比ケ浜が炎を放ち、ひるんだすきに雪ノ下が斬りかかる。

    比企谷「雪ノ下、ちょっと離れろ!」

    「Attack Ride Blast!」

    敵が反撃に出る前に銃で牽制する。

    「グォォォ!」

    敵はずいぶん弱ったようだ。まぁ、三対一では無理もない。

    比企谷「とどめだ!」

    「Final Attack Ride! De De De Decade!」

    高く跳び上がり、敵につながった幾枚ものカードを突き抜け、とどめの一撃を放つ。

    爆発が起こり、アンデッドがいた場所には一枚のカードが残った。

    比企谷「なるほど……俺達でもアンデッドを倒すと封印できるわけか」

    雪ノ下「リカバー、キャメル……アドベントカードのようなものかしら」

    比企谷「ああ、これを使ってこの世界のライダーは闘うらしい」

    由比ケ浜「わぁ……なんかかっこいいな。これもらってもいいのかな?」

    ありす「それは困りますわ、そのカードはハートのライダーカリス、マナちゃんの物です

    から」
  12. 12 : : 2014/10/04(土) 23:56:29
    振り向くとそこには、四人の少女達が立っていた。

    六花「私達のほかにも、ライダーが……?」

    剣崎「敵……?」

    マナ「こんにちは!わたし、大貝第一中学生徒会長、相田マナです!」

    六花「ちょっとマナ!その人たちは敵かもしれないのよ!」

    シャルル「マナはもっと気をつけるべきシャル!」

    ダビィ「その通りだビィ!」

    ランス「マナはのんき者ランスぅ~」

    ラケル「ランスに言われたくないと思うケル……」

    *相田マナ……大貝第一中学校の生徒会長。キュアハート、仮面ライダーカリスに変身す

    る。

    菱川六花……マナの親友。成績は学年トップ。生徒会では書記としてマナを支える。

    キュアダイヤモンド、仮面ライダーギャレンに変身する。

    四葉ありす……マナと六花の幼馴染で、大企業「四葉財閥」の社長令嬢。

    キュアロゼッタ、仮面ライダーレンゲルに変身する。

    剣崎真琴……トランプ王国という異世界からやってきたトップアイドル。キュアソード、

    仮面ライダーブレイドに変身する。

    シャルル、ラケル、ランス、ダビィ……それぞれマナ、六花、アリス、剣崎のパートナー

    妖精。彼女達がライダーに変身する際には、カテゴリーエース(変身能力)のカードとな

    る。

    比企谷「ああ、マナちゃ……相田さんの言う通りだ。俺達は敵じゃない」

    ありす「では、あなた方は一体……」

    雪ノ下「私は雪ノ下雪乃、仮面ライダーナイトよ」

    由比ケ浜「あたしは由比ケ浜結衣。仮面ライダー龍騎です」

    比企谷「俺は比企谷八幡、仮面ライダー、ディケイドだ」

    俺がそう言った瞬間、彼女たちの表情、特に剣崎真琴の表情が変わった。

    剣崎「あなたが……ディケイド!行くわよ!ダビィ!」

    その言葉と同時に、ダビィと呼ばれた紫色の妖精が一枚のカードとなった。

    そして彼女はそれをベルトに入れる。

    剣崎「変身!」

    「Turn Up!」
  13. 13 : : 2014/10/04(土) 23:57:03
    剣崎「よくもトランプ王国をっ!」

    「Srash」

    突如彼女は変身し、俺にきりかかってきた。

    比企谷「な、なんなんだ!」

    剣崎「ディケイド!あなたのせいで、私の国は……どれだけの人が苦しんだと思っている

    の!」

    比企谷「な、なんのことだ!」

    剣崎「何を今更……世界の破壊者ディケイド!トランプ王国にジコチュー達を差し向けた

    のはあなたでしょう!」

    比企谷「俺はそんなこと知らない!」

    「Attack Ride Srash!」

    やむを得ず剣を出し、ブレイドの攻撃を止める。

    剣崎「ふざけないで!」

    「Kick Thunder Mahha…… Rightning Sonic」

    比企谷「くそ……聞く耳なしかよ、一旦無力化する!」

    「Kamen Ride Night!」

    *本来ディケイドは各主役ライダーにしか変身できませんが、一部例外を設けます。

    「Attack Ride Night! Nasty Vent」

    「キィィィィィッ!」

    異次元から現れたダークウイングが超音波を出す。

    剣崎「うううううっ!」

    それをうけ、空中にいたブレイドが体勢を崩し、落下する。

    「Attack Ride Night! Trick Vent」

    八人に分身し、ブレイドを取り囲んで剣を突き付ける。

    比企谷「とりあえず、話を聞いてくれないか?」

    雪ノ下「比企谷君、まずはその剣を下ろしなさい。そんな態度では話し合いなど無理でし

    ょう。まぁ、最初に仕掛けてきたのはこの子だけど」

    見ると、剣崎を助ける為か、マナ達も変身していた。
  14. 14 : : 2015/02/05(木) 21:26:34
    比企谷「とにかく俺達の話を聞いてほしい。剣崎さんが言うようなことには、一切心当た

    りがない」

    信頼してもらう為、俺は変身を解く。その様子を見た雪ノ下と由比ヶ浜もそれに続く。

    雪ノ下「彼の行っていることは本当よ。まぁ、その目を見てしまえば説得力など皆無だと

    は思うけれど」

    比企谷「おい、目は関係ないだろ目は」

    六花「死んだ魚のような眼ね」

    比企谷「そんなに賢そうか?DHA豊富そうだな」

    このやりとり、なんか懐かしいな。

    剣崎「本当に、トランプ王国とジコチューのことには関与していないの?」

    比企谷「ああ、この目が嘘を言っているように見えるか?」

    由比ヶ浜「だからそんな目を見せても……」

    比企谷「いい加減俺の両親に謝れよ……」

    由比ヶ浜「りょ、両親って……何言ってるのヒッキー!」

    比企谷「何言ってるのはこっちのセリフだっつーの……」

    マナ「まぁまぁまこぴー、とにかく話を聞いてみようよ!」

    ありす「そうですね、もうレジーナさんや、トランプ国王さんとも和解しているのですか

    ら、そうしてもいいと思いますわ」

    剣崎「みんながそう言うなら……あなた達の話を聞かせてくれる?」

    剣崎がそう言うと、四人は変身を解除した。

    比企谷「さっきも言ったが、俺は仮面ライダーディケイド。比企谷八幡だ。実は、俺がデ

    ィケイドになったのはまさに今日でな、正直俺にもよく状況がわかっていない」

    六花「じゃぁ、他の二人……雪ノ下さんと由比ヶ浜さんは?」

    雪ノ下「そのあたりは少々複雑なのだけれど……私達はこの世界の人間ではないの」

    マナ「ええっ!?う、宇宙人!?」

    雪ノ下「いえ、別の世界……平行世界とでもいえばいいのかしら……」

    ありす「にわかには信じられないことですが……トランプ王国と似たようなものでしょう

    か……」

    ランス「ランスは宇宙人じゃないランス~。ありすひどいでランス~」

  15. 15 : : 2015/02/05(木) 21:26:57
    ありす「ごめんなさいランスちゃん、そんなつもりではありませんでしたが」

    比企谷「まぁ、大体そんなもんだと思ってもらえればいい。俺達にもあってるかどうか断

    言できないしな」

    由比ヶ浜「ヒッキー、へーこ―世界って何?」

    雪ノ下「由比ヶ浜さん、少しの間黙っていて」

    由比ヶ浜「うう……」

    比企谷「ともかくその俺達の世界では、ライダーバトルという、仮面ライダーによる、バ

    トルロワイヤルが行われていた。俺達三人はその参加者だったんだ」

    剣崎「ライダー同士で、戦う……」

    比企谷「そしてその戦いは、最後に生き残ったライダー仮面ライダーナイト、つまりこの

    雪ノ下雪乃の、ライダーバトルをなかったことにするという願いにより終結した」

    雪ノ下「そしてどうしたことか、私達はその記憶を今日まで忘れていたの」

    六花「じゃぁなんで今日突然……?」

    由比ヶ浜「あたし達の世界に、すっごい多くのモンスターが現れたの。そして全部めちゃ

    くちゃにされて……」

    比企谷「そんな中俺達は、三つの変身アイテムを渡された。由比ヶ浜と雪ノ下には龍騎と

    ナイトになる為のカードデッキが、俺には、ディケイドになる為のディケイドライバーが」

    雪ノ下「そして私達にベルトを渡した人、仮面ライダーオーズ、火野映司先生はこう言っ

    たわ。ディケイドは14のライダーの世界を旅して、歪みを正さなければならないと。そ

    うしなければ、私達の世界だけでなく、あなた達の世界、いいえ、全ての世界が滅びる、

    と」

    剣崎「突拍子もない話だけどでも……話の筋は通っているし、私たちからすれば、否定も

    できないわね」

    六花「まぁ、現にこの世界も滅ぼされかかっていたし」

    比企谷「それだ、俺からも少し聞きたいことがある」

    ありす「なんですか?」

    比企谷「この世界は、プリキュアがジコチューの侵攻を食い止め、キングジコチュー、レジーナとも和解し、その危機を救われた、ここまではあってるよな?」
  16. 16 : : 2015/02/05(木) 21:27:37
    マナ「うん!いやー、レジーナとも仲直りできて本当に良かったよ~」

    六花「何でそのことを、別の世界から来たあなたが知っているの?」

    比企谷「俺達の世界で、お前らのことを知らない奴はいない。まぁ、伝説のような物とし

    て伝えられてるんだ。世界の危機を救い続ける、十年の少女の伝説として」

    雪ノ下「知っているのはあなただけでしょう……」

    比企谷「で、だ。一体いつ、ライダーの力を手に入れた?」

    剣崎「この世界が平和になってしばらくしてから、突然、見たこともない化け物が現れた

    の」

    マナ「その化け物、アンデッドには、プリキュアの力が全く通じなかった。攻撃しても倒

    せないし、浄化技も効かない」

    剣崎「アンデッドは、プロトジコチューが産まれるよりも前、人間と種の繁栄をかけて戦

    った恐るべき怪物よ。彼らは自らの種の為に戦っているから、そもそも悪意という物がな

    い。だからプリキュアの力は一切通じない。そこで当時の人間が作り出したのがこのライ

    ダーシステムよ」

    由比ヶ浜「ライダーシステム……」

    剣崎「このライダーシステムは、アンデッドの力を使って変身する物で、その適正度、融

    合係数が高い者でないと使えなかった。そしてそれを使って世界を救ったのが、私の先祖、

    剣崎一真よ」

    六花「そして、どういうわけか、封印したはずのアンデッドが再び現れたから、私達はそ

    のライダーシステムを使って戦っている、というわけ」

    ありす「頑張りの甲斐もあって、残りは三体のアンデッドだけ、いえ、今日比企谷さん達

    が倒したので、あと二体だけです。その二体を封印してしまえば、戦いも終わります」

    比企谷「つまり、アンデッドを全て封印する手助けをするのが、この世界で俺達がやるべ

    きこと、というわけか」

    雪ノ下「おそらく、そういうことでしょうね」

    剣崎「あなた達のこと、疑ってごめんなさい、これからよろしくね」

    マナ「友達が増えて、胸のキュンキュン、止まらないよ!」

    ???「随分調子がいいな、人間ども」

    俺達は後方から声をかけられる。

    剣崎「……あなたはもしかして、アンデッド?」

    ???「ああ、そうだ。随分種の数も減って、そろそろ出てきてやってもいいと思ってな

    ……ハァッ!」

    二十代くらいの青年がそう言うと、その体がアンデッドのものとなる。

    六花「私のカテゴリーエースに似ている、つまり……」
  17. 17 : : 2015/02/05(木) 21:27:59
    マナ「ダイヤのカテゴリーキング、ギラファアンデッドだね」

    ありす「カテゴリーキングは、そのスートの中でも最も強力なアンデッド、油断はできま

    せん」

    剣崎「ここは私達だけで行くわ、あなた達は見てて」

    マナ「行くよ!シャルル!」

    シャルル「シャールルー!」

    六花「ラケル、私達のカテゴリーキングを手に入れるわよ!」

    ラケル「おうともさ!ヨーチェケラケ!」

    ありす「ランスちゃん、行きましょう」

    ランス「ラーンス~」

    剣崎「ダビィ!変身よ!」

    ダビィ「ダビデダビデダビィ!」

    「「「Turn Up!」」」

    「Open Up」

    マナ「目覚める本能の力、キュアカリス!」

    六花「灼熱の銃士、キュアギャレン!」

    ありす「凍てつく氷は力の証、キュアレンゲル!」

    剣崎「運命さえも切り開く、キュアブレイド!」

    「「「「響け、愛の鼓動!ドキドキプリキュア!」」」」

    カリス「愛を無くした悲しいギラファノコギリクワガタさん、このキュアカリスが、あな

    たのドキドキ、取り戻してみせる!」

    ギラファ「次の世界を手に入れるのは、俺達の種族だ!」

    ギラファは両手に持った二本の大剣で襲いかかる。

    「Fire Ballet」

    ギャレンが距離をとって炎の銃撃を撃ちこむ。

    ギラファ「そんな攻撃、俺のバリアの前には無力だ!」

    そう言うと同時、アンデッドの周りを赤い障壁が覆う。

    レンゲル「これならっ……」

    「Rush Blizard Poison……Blizard Gail」

    氷と毒の力をまとい、杖を持ったレンゲルが空中から襲いかかる。

    ギラファ「お前達の力など効かぬと言ったはずだぞ!」

    ギラファは左手の剣を銃に持ち替え、レンゲルを迎撃する。

    レンゲル「きゃぁあぁっ!」

    カリス「レンゲル!こうなったら……」
  18. 18 : : 2015/02/05(木) 21:28:20
    「Evolution」

    カリスがそのカードを使うと、彼女の体が赤く染まる。

    カリス「これが、ワイルドカリス……行くよ!」

    右手に持った弓状の武器でギラファと斬り合う。

    「Bind」

    弓から蔦が伸び、ギラファの体を拘束する。

    それをそのまま自分の方に引きつける。

    「Chop」

    強烈な一撃がアンデッドの腹部にヒットする。

    ギラファ「カテゴリーキングのカードを使ってもこの程度か?甘いぞ!」

    カリスの体が宙を舞う。

    剣崎「今はまだキングのカードは……だから、これでっ!」

    「Absorb Queen Fusion Jack」

    剣崎「絶対に、この世界を、人の世界を守ってみせる!」

    「Thunder Srash……Ritning Srash」

    ギラファ「俺もお前達もただただ己の種族の繁栄を望む物、そのくせ貴様らだけ正義の味

    方づらをされると虫唾が走るわ!」

    ジャックの力で舞い上がったブレイドに向けて大剣を投げつけるギラファ。

    その攻撃はブレイドの腹部に直撃し、変身が解除される。

    ギャレン「このアンデッド……今までのカテゴリーキングより格段に強い!」

    ギラファ「ウゥゥゥゥ・・・・・・オオオオオオオオオッッ!」

    ギラファが咆哮すると、エネルギー波が射出され、残った三人に直撃した。

    それを受け、ありすの変身が解除された。

    高い攻撃力とバリア、これはかなりの難敵だ。

    ギラファ「貴様も倒してやる、俺と同じ、ダイヤスートのライダーよ」

    マナ「り、六花っ!」

    ギャレンは膝をついてなかなか立ち上がれず、とても勝負になりそうにない。

    そんな相手を見て笑みを浮かべたギラファは、大仰に剣を振り上げる。

    ギャレン「……この距離ならバリアは張れないわね!」

    そう言って突然立ち上がり、ギラファの腹部めがけて銃を連射する。

    ギラファ「ぐぉぉぉぉっ!」

    ギャレン「とどめよ!カテゴリーキング!」

    「Drop Fire Jemini……Burning Debide」

    ギャレンが高く跳び上がり、空中で二体に分身し、同時にキックを浴びせる。

    ギラファは受けたダメージが大きかったためか、バリアを張れないでいる。

    ギャレン「やぁぁぁぁっっ!」

    ギラファ「うぉっ、あぁぁぁぁっっっっ!!」

    ギャレン「さよなら、カテゴリーキング」

    封印のカードが体に触れると、アンデッドの姿が消えた。
  19. 19 : : 2015/02/05(木) 21:28:44
    ありす「やりましたわ!」

    四人は駆けよって抱きしめあう。

    「Spirit」

    マナと六花も変身を解除する。

    雪ノ下「……奇妙だわ」

    由比ヶ浜「どったの?ゆきのん」

    雪ノ下「相田マナさん、彼女だけ、変身を解除する時にもカードを使った。それも、ベル

    トに直接スキャンしていた」

    比企谷「別にそんぐらい気にするようなことじゃないだろ」

    雪ノ下「気にする、ことよ。彼女達は、封印したアンデッドの力を使って戦う。戦いを観

    察させてもらったけど、その通りだったわ。剣崎さんのカードは、サンダーが鹿、マッハ

    がジャガー、六花さんのは、ジェミニがシマウマ、ファイアが蛍……といった具合にね」

    比企谷「お前そんなとこまで見てたのかよ、すげぇな……」

    雪ノ下「そしてマナさんが使ったスピリットのカード……それには、Human……と書

    かれていたわ」

    比企谷「っっっ!!!!?」

    由比ヶ浜「ん……?それっておかしいの?」

    雪ノ下「由比ヶ浜さん……つまり、人間のアンデッド、ヒューマンアンデッドが存在して

    いて、彼女はそれを封印したということになるのよ。自分と同じ、人間の祖たる存在を」

    比企谷「まぁ、人間のアンデッドがいるって言っても、おかしくはないよな」

    雪ノ下「問題はそこじゃないの。彼女、相田さんが、人間の力を使ったのはなぜ?自分と

    同じ種のカードなど、使う必要はないわ。しかも、戦闘の後で、ね……」

    そこから導かれた一つの推測に、俺は言葉を失った。


    比企谷「つまりそれは……マナが、人間ではない、と。お前はそう考えているのか?」

    由比ヶ浜「え、ええええええっっっ!?」

    雪ノ下「そういう可能性もある、ということね。先程のアンデッドも、人間に擬態してい

    たし」

    比企谷「そんな……でも、確認する必要は、あるだろうな」

    由比ヶ浜「そんなこと聞くのはちょっと……」

    雪ノ下「とても言いづらいことだけど、しないわけにはいかないわ。それによって、私達

    のしなくてはいけないことも変わるかもしれない」

    真剣な表情で話していた俺達のことを少しいぶかしんでいる様子で、四人が近づいてきた。

    ありす「おまたせしました」

    雪ノ下「一つ、聞いてもいいかしら」

    剣崎「なに?」

    雪ノ下「仮面ライダーカリス、相田マナさんのことなのだけれど」
  20. 20 : : 2015/02/05(木) 21:29:09
    そのまま確心に入ろうとする雪ノ下を手でとどめる。

    比企谷「率直に聞く、……お前は、人間なのか?」

    六花「な、なにいってるの!」

    マナ「良いんだよ、六花。ありがとね」

    六花「で、でも、マナ……」

    マナ「私なら、大丈夫だから」

    雪ノ下「では、やはり……」

    マナ「うん……ハァッ!」

    マナがそう叫ぶと、彼女の体から黒の瘴気がほとばしる。

    そして彼女の姿は、先程の可愛らしい少女からは想像もできない、緑と黒の、おぞましい

    モンスターに変わっていた。

    マナ「あたしは、……大貝第一中学生徒会長で、みんなを守るプリキュアで、そして……

    最凶のアンデッド、ジョーカー……」

    比企谷「ジョー、カ―……」

    マナ達は、それぞれトランプのスートのカードを使っていた。アンデッドもそれに対応し

    ているとすれば、マナは、その中でもイレギュラーな存在ということになる。

    雪ノ下「……最凶というのは、どういう意味なのかしら」

    マナ「アンデッドは、自分の種族の繁栄の為に戦う。でもあたしは、どの種族の祖先でも

    ない」

    由比ヶ浜「マナちゃんは、人間じゃない、っていうこと?」

    六花「違う!マナは人間よ!みんなを守るために……ほんとに、どうしようもない幸せの

    王子なんだから……」

    由比ヶ浜「ご、ごめん……」

    雪ノ下「幸せの王子というのは、自分の体中の宝石を人々に配ったという、あの話のこと

    かしら」

    幸せの王子は世界的にも有名な童話だ。美しい宝石で造られた王子様の銅像は、貧しい街

    の人々を救う為、ツバメに体中の宝石を配って回り、最後には鉛の心臓しか残らなかった

    という、少し悲しい話だ。

    ありす「ええ、そうですわ。マナちゃんは、プロトジコチューとの戦いの際、プリキュア

    パルテノンモードとなったのです。その力で見事世界を救うことができましたが、その力

    はあまりに強大すぎたのです……そしてマナちゃんは、ジョーカーになってしまった……」

    剣崎「言い伝えによれば、ジョーカーがバトルファイトに勝ち残った場合、全ての種が滅

    んでしまうと言われているの。だけど、そんなことはさせない。マナをバトルファイトに

    勝ち残らせた上で、その後に起きることから、世界も守ってみせる」
  21. 21 : : 2015/02/05(木) 21:29:28
    比企谷「じゃあ、俺達がすべきことは……その、世界の崩壊を阻止する、ということなの

    か?」

    雪ノ下「どうでしょうね、ただ単に、バトルファイトを終わらせるだけ、という可能性も

    あるけど……今考えても、仕方ないことだと思うわ」

    由比ヶ浜「あたしたちも協力するよ!マナちゃんを、みんなで守ろう!」

    比企谷「ま、そういうことだな」

    雪ノ下「微力ながら、お手伝いさせてもらうわ」

    マナ「みんな……ありがとう!胸がキュンキュンするよ!」

    プリキュアの世界にバッドエンドは似合わない、俺には似合わないかもしれないが、最高

    のハッピーエンドを目指してやろうではないか。
  22. 22 : : 2015/02/05(木) 21:29:52
    雪ノ下「明日から中学生、ね……やはり何度考えても複雑な心境だわ」

    就寝直前になって、雪ノ下がそんなことを言い出した。

    ちなみに今日の夕飯は由比ヶ浜が強引に作って、まぁ予想通り不味かった為、全員若干テ

    ンションが低い。

    比企谷「つーか俺なんか教師だぞ?さっぱりだっつーの」

    由比ヶ浜「ふぁぁ……まぁまぁ、もう寝ようよ―」

    比企谷「相変わらずマイペースな奴だな……」

    雪ノ下「まぁ、気にしても仕方ないというのは確かね。おやすみなさい」

    比企谷「ああ、おやすみ」

    雪ノ下「ちょっとまちなさい」

    比企谷「ん?」

    雪ノ下「ん、じゃないわ。何を平然と同じ部屋で寝ようとしているの?」

    比企谷「いや、布団この部屋にしかないし……」

    雪ノ下「だからといって、男女が同衾するのはよくないことだわ」

    比企谷「いや、同じ部屋で寝るだけなら同衾じゃねーだろ」

    雪ノ下「カメラがある部屋にソファがあったから、それじゃ、お休みなさい」

    かくして俺は、記念すべき労働一日目を、身体の節々を痛めた状態で迎えることとなった。


    城戸「こちらが、今日からこのクラスの副担任となる比企谷八幡先生だ」

    比企谷「よろしくおねがいします、精一杯頑張ります」

    信じがたいことに今俺は教壇に立ち、生徒たちに自己紹介をしている。

    その中に雪ノ下や由比ヶ浜がいるというのはなかなかにシュールな光景だ。

    ちなみにありすを除くマナ、六花、剣崎の姿もある。

    マナ「えええええええっ!?比企谷君って、先生だったの!!?」

    城戸「ん?相田は知り合いだったのか?でも先生に向かって君はないだろう君は」

    マナ「あ、ごめんなさい。いやー、でもびっくりだね」

    剣崎「ほんと、驚いたわ」

    六花「ディケイド……立場も世界に合わせて変わるのね……」

    城戸「じゃぁ僕はこれから出張なんで、今日一日お願いしますね、先生」

    比企谷「え?」

    城戸先生はそう言い残し、さっさと教室を出て行ってしまった。

    ……せめて前もって言って欲しかった……。

    しかもこの中学校、どういうわけか、小学校よろしく、体育と芸術科目を除く全ての教科を担任が教えるという謎の教育方針を取っているのだ。

    比企谷「じゃぁ、授業を始めます、一時間目は……うわ、数学かよ……」
  23. 23 : : 2015/02/05(木) 21:30:11
    総武高校で常に数学最下位を取る俺は、中学時代からこの教科が苦手で、受験でも数学は

    赤点を取ってしまい、他の教科でフォローしたものだ。

    そんな俺に、中学二年の内容を教えることなど到底出来はしない。

    比企谷「あー……今日の授業は、みんなに九九を覚えてもらう」

    クラス中からどよめきの声が起こる。

    男「先生、何ふざけてんだよ~」

    比企谷「いや、冗談じゃない。といっても、覚えてもらうのは、9×9までではなく、9

    9×99までだ。これはインドの小学生が暗記している内容だ。そして二年後の君達の高

    校受験は、スピードが命になる。その時、計算の手間を省けるというのはとても強い武器

    になる。だから、この時間はそれを覚えてもらう」

    よし、結構うまくごまかせたぞ!

    雪ノ下「この男、自分が数学ができないからといって……」

    由比ヶ浜「しかもそれっぽい理由でごまかしてるし……」

    六花「先生の言っていることは正しいと思いますが、学習カリキュラムの方は大丈夫なん

    ですか?」

    比企谷「ん……大丈夫だ、これを覚えることで今後の授業のペースも早めることができる

    しな」

    マナ「先生すごい!」

    剣崎「ねぇマナ……くくって何?」

    まこぴー……いい加減こっちの世界に慣れようぜ?な?

    マナ「ええっ!?まこぴー九九知らないの?」

    六花「今までどうやってテストを切り抜けてきたのよ……あ……そっか、まこぴーの数学

    の点数は赤……」

    剣崎「六花!それ以上はっ」

    ダビィ「真琴は算数もまだよくわかってないビィ。今は引き算を頑張ってるんダビィ」

    ラケル「僕は九九はもうできるケル!」

    シャルル「シャルルは分数の計算ができるシャル!」

    剣崎「シャルル達に負けてるなんて……」

    と、そんなこんなで俺の授業は何とか進んでいった。
  24. 24 : : 2015/02/05(木) 21:30:29
    比企谷「つーわけでだ、人という字は支え合ってるとかいう意味はなく、ただの象形文字

    だから……」

    道徳の授業を進めている時、

    シャルル「闇の鼓動を感じるシャル!」

    マナ「先生!わたし達ちょっと行ってきます!」

    マナ達が駆けだした。

    比企谷「っ……ここからは自習だ、少し用ができた」

    雪ノ下、由比ヶ浜と供に俺もマナ達の後を追う。

    雪ノ下「最後のアンデッドね……」

    学校を出て走っていると、ピンクの車が俺達の横についた。

    ありす「お乗りください!」

    生で見るとすごい車だな……。

    俺達三人も乗っていいものか一瞬戸惑ったが、雪ノ下は何のためらいもなく乗り込んだ。

    雪ノ下「何をしているの?今はくだらないことを気にしている場合ではないでしょう?」

    セバスチャン「ささ、早くお乗りになってください」

    ありすに使えるセバスチャンもそう言ったので、後部座席に乗り込む。

    ありす「とばしてください、スピードは気にしなくていいです」

    セバスチャン「かしこまりました」

    セバスチャンがそう言うと、ファンファンファン、と、パトカー特有のサイレンが鳴り始

    めた。

    ……これはだめだろ……。

    他の車があけた道を、悪びれもせずに颯爽と通り過ぎていく。

    セバスチャン「お気になさらず。ジコチュー、アンデッドと戦う際には使用を許可されて

    いるのです」

    ああ、そう言えばこの世界ではプリキュアの正体が知られてるもんな。
  25. 25 : : 2015/02/05(木) 21:30:58
    セバスチャン「少々揺れますので、何かにつかまっていてください」

    そう言うと同時、車の速度が一気に上がる。

    メーターを覗くと、200近くになっていた。

    すごいな、四葉財閥。

    セバスチャン「アンデッドサーチャーの反応からすると、後一分ほどで到着します」

    剣崎「都市部で暴れているのね……犠牲者が出ていないといいけど」

    六花「これがいよいよ、最後の戦いになるのね……」

    マナ「がんばろうね、みんな!」

    ありす「私たちなら、きっと出来ますわ」

    由比ヶ浜「よーーし、頑張るぞー!」

    おい……空気読めよ、今まで頑張ってきた四人が決意を新たにする場面だろ?


    よそ者の俺達は黙っているべきだと思うのだが……。

    マナ「頼りにしてるね!」

    どうやらそういうことはあまり気にしないようだった。

    セバスチャン「到着します、ご用意を」

    ありす「クラブのカテゴリーキング、タランチュラアンデッド……」

    タランチュラ「グガァァァッッ!」

    紫色の毒々しいそのアンデッドは、体中から毒針を放出し、人々を襲っていた。

    マナ「みんな、行くよ!」

    マナ、六花、ありす、剣崎「「「「変身!」」」」

    シャルル「頑張るシャル!」

    ラケル「絶対に勝つケル!」

    ランス「ら~んす~」

    ダビィ「これで終わりダビィ!」

    「「Turn Up!」」

    「Open Up!」

    「Change」

    カリス(マナ)「目覚める本能の力、キュアカリス!」

    ギャレン(六花)「灼熱の銃士、キュアギャレン!」

    レンゲル(ありす)「凍てつく氷は力の証、キュアレンゲル!」

    ブレイド(剣崎)「運命さえも切り開く、キュアブレイド!」

    「「「「響け、愛の鼓動!ドキドキプリキュア!」」」」

    レンゲル「愛を無くしたかなしいタランチュラさん、あなたも私と、愛をはぐくんでくだ

    さいな?」

    八幡、雪ノ下、由比ヶ浜「「「変身!」」」

    「Kamen Ride Decade!」

    龍騎「ドラゴンハートは未来の印、キュア龍騎!」

    ディケイド「時の使者、キュアディケイド!」

    龍騎、ディケイド「「二人はプリキュア!」」

    ディケイド「闇の力の僕達よ、」

    龍騎「とっととおうちに帰りなさい!」

    ……決まった。
  26. 26 : : 2015/02/05(木) 21:31:35
    ナイト「何しているの?」

    龍騎「えへへ、いいでしょ?マナちゃん達がやってるの見てかっこよかったからさ、

    ヒッキーとやってみたんだ―。ゆきのんも今度一緒にやろうよ―」

    ナイト「絶対に嫌よ」

    ディケイド「広がる夜の闇、キュアナイト、とかはどうだ?」

    雪ノ下「黙りなさいこの変態」

    ひどい言われようだ……。

    タランチュラ「七人とは、随分大勢で来たものだ……。これではどちらが正義かわからん

    な。無論私も、悪事を働いているというつもりもないがね。それに、君達の仲間が増えた

    ことは、風が教えてくれたしな」

    剣崎「風……?」

    タランチュラ「ああ、風は全てを知っている」

    そう言うと、タランチュラはアンデッドの姿から人間の姿になった。

    六花「何のつもり……?」

    タランチュラ「いや、少し話でもしたいと思ってね。……最初私は、人類と争うつもりは

    なかったんだ。言い訳がましく聞こえるかもしれないがね……。事実、そのラウズアブゾ

    ーバーを開発するのにもずいぶん協力したものだ」

    剣崎「なんですって!?」

    タランチュラ「かつてバトルファイトが行われていた時にライダーシステムを作った男、

    烏丸とは友人でね。私は嶋と名乗り、彼と親交を深めた。そして最後には、私が封印され

    てでも、人間を勝ち残らせようと思ったものだ」

    マナ「じゃぁ、今はなんで……?」

    嶋(タランチュラ)「なぜ、だと……?君達は今の人の世を見て、よくそんなことが言える

    な。不幸が常に蔓延し、多くの人々が一部の強者にいいように蹂躙され、そしてそのこと

    にすらも気づかず、偽りの自由を、平和を享受している……こんな有様を、彼が望んだは

    ずはない。だから私は、変わり果てた人間を滅ぼすのだ」

    マナ「ちっがーーーーーーーうっ!」

    マナが突然大声を上げた。

    マナ「違うよ、そんなの全然キュンキュンしないよ!」

    嶋「キュンキュン……?」

    マナ「確かに、世界には嫌なことや悲しいことがいっぱいある!でもそれでもみんな、少

    しでも良くしようと思って、毎日頑張ってるんだから!あなたのやってることは、自分の

    意見を人に押し付けるジコチューだよ!人には悪いところがいっぱいある、でもそれ以上

    にいいところも、いっぱいいーっぱいあるんだから!人には、無限の可能性があるんだよ!」

    嶋「そうか……ならばその可能性とやらを、示してみろ!」

    再び彼はアンデッドの姿になる。

    剣崎「いくわよ!」
  27. 27 : : 2015/02/05(木) 21:32:07
    「Absorb Queen Evolution King」

    マナ「うん!」

    「Evolution」

    六花「カテゴリーキング……面白いわ!」

    「Absorb Queen Fusion Jack」

    ありす「あなたも力を貸してくださいな」

    「Remote」

    ありすがそのカードをスキャンすると、一匹のアンデッドが現れ、敵に向かっていく。

    龍騎「お願い!ドラグレッダー!」

    「Advent」

    ナイト「行きなさい!」

    「Advent」

    比企谷「っしゃ!」

    「Attack Ride Blast!」

    さまざまな攻撃がタランチュラを襲う。

    タランチュラ「そう簡単にやられては、あいつに顔向けできんのでな!」

    タランチュラはその攻撃を巧みにかいくぐり、反撃する。

    無数の毒針が俺達を襲う。

    ありす「強いですわ……」

    剣崎「うおおおおぉっ!」

    「Spade 2,3,4,5,6……Straight Flush」

    剣崎が大剣から光の衝撃波を繰り出す。

    タランチュラ「そんな物が効くかぁ!」

    緑の衝撃波を発射し、その攻撃を打ち消す。

    やっぱり強いな、カテゴリーキングとやらは……。

    「Final Attack Ride Decade!」

    高く跳び上がり、敵に向かって重なった数枚のカードを通過しながらキックを放つ。

    タランチュラ「どんな攻撃だろうと、当たらなければどうということはない!」

    タランチュラは見事にそれを交す。

    マナ「みんな、カードをブレイドに!」

    ありす「わかりましたわ!」

    六花、ありす、マナ「私達の力をキュアブレイドに!」

    ブレイド「みんな、ありがとう!」

    「Spade10、Daiya10、Club10、Heart10……Four Card!」

    ブレイドの放った斬撃がタランチュラの腹部に命中する。

    タランチュラ「グ、グアァァァッ!」

    マナ「とどめだよ!」

    「Wild」
  28. 28 : : 2015/02/05(木) 21:32:27
    六花「はぁっ!」

    「Bullet,Fire,Rapid……Burning Shot」

    ありす「決めますわ!」

    「Rush Blizzard Poison……Blizzard Benom」

    剣崎「終わらせる、全てをっ!」

    「Spade10,Jack,Queen,King,Ace……Loyal Stra

    ight Flash」

    雪ノ下「一気に行くわ!」

    「Final Vent」

    比企谷「ちょっとくすぐったいぞ」

    由比ヶ浜「ちょっ、何してるのヒッキ」

    「Final Form Ride Ryu Ryu Ryu 龍騎!」

    俺が背中に触れると、由比ヶ浜の姿が巨大な龍、ドラグレッダ-へと変わる。

    「Final Attack Ride……Ryu Ryu Ryu 龍騎!」

    由比ヶ浜「ガァァァッッ!(なんでぇぇ!!?)」

    6人の攻撃が一声に直撃し、巨大な爆発が起こる。

    攻撃を受けたタランチュラの姿を見ると、ぐったりと倒れ込んでいる。

    これで死なないというのだから驚きだ、まぁ、だからこそ封印のカードが必要なんだろう

    が。

    ありす「たとえそれがどんな内容であれ……わたしたち人類のことを真剣に考えてくださ

    ったこと、心より感謝します。……安らかにお眠りください」

    そう言って、封印のカードを静かに彼の上に置いた。

    ゆっくりとタランチュラの姿が消えていく。

    剣崎「終わった、のね……」

    六花「長かったわね……感慨深いわ」

    マナ「やったぁぁっ!胸のキュンキュン、止まらないよぉ!」

    由比ヶ浜「いえぇぇぇいっ!」

    互いの健闘をたたえ合う彼女達の枠の祖と、俺と雪ノ下はその様子を見つめていた。

    雪ノ下「でも……どうなるのかしら。マナさん、ジョーカーが勝ち残ったということにな

    るのよね、これは」
  29. 29 : : 2015/02/05(木) 21:32:51
    比企谷「ああ……全種族の滅亡、具体的にどういうことなのか、見当もつかん」

    マナ「おおーい!比企谷く、先生も雪ノ下さんも、こっちに来てよー!」

    そう言ってマナが俺達のもとに駆け寄ってくる。

    そして、俺達の手を取ったその時だ。

    「シャァァッ!」

    マナの足もとから、数体のモンスター(アンデッドだろうか)現れた。

    比企谷「なっっ!?」

    そのモンスターは黒と緑の不気味な姿で、ジョーカーとなったマナの姿を連想させた。

    数は6体。

    マナ「な、なんなのこれ!?」

    剣崎「そんな、アンデッドは全て封印したんじゃ!?」

    「「「シャァァッ!!」」」

    そのモンスター達の攻撃を、俺と雪ノ下は何とか回避する。

    攻撃を繰り出して俺達を遠ざけた後、そのモンスターはマナの方に向き直った。

    六花「やめなさい!マナに何する気!」

    しかし六花の心配とは裏腹に、モンスター達がマナに危害を加えることはなかった。


    それどころか、マナに向かって跪いたのだ。

    ありす「もしかしてこれが……ジョーカーが勝ち残った時に起きる滅亡?このモンスター

    達が、世界を滅ぼす?」

    と、次の瞬間。

    またしてもマナの足もとから、モンスターが湧出した。

    今度は、8体。

    マナ「え?」

    モンスター達は同じようにマナに跪き、そして彼女のもとを離れ、俺達に襲いかかってき

    た。少し離れている由比ヶ浜達の方にも同様に。

    マナ「や、やめてっ!」

    しかしそんなマナの言葉は届かない。

    俺達は再び変身してモンスター達と戦う。

    幸い、戦闘力の方は対して高くなかった。

    むしろ、相当低い。

    雪ノ下「ねぇ比企谷君……このモンスター達から、何か連想しない?」

    比企谷「ああ、俺も同じことを考えていたところだ」

    あなたと同じ考えなんて怖気が走るのだけれど、なんてことをいつもの彼女なら言うのだ

    ろうが、流石に今はそんな場面ではない。

    たしかに、俺達はこれに似た状況を体験している。
  30. 30 : : 2015/02/05(木) 21:33:22
    俺達のもと居た世界で、ライダーバトルの終盤、無数のモンスターがあふれ、現実世界へ

    侵攻を開始したのだ。

    個々の力は弱かったが、その数に俺達は大いに苦しめられたものだ。

    困惑する俺達のもとに、セバスチャンが駆けよってきた。

    セバスチャン「皆さま、これをご覧ください」

    セバスチャンが小型の携帯端末でニュースを映す。

    『現在、全国で信じられない出来事が起きています。無数の怪物が現れ、人々を襲ってい

    ます。なお、同様の現象はアメリカ、ロシアなど、全世界で起きており、あっ、あぁあぁ

    ぁっっ!』

    カメラが最後に移したのは、テレビ局内に入ってきたモンスターにキャスターが襲われる

    シーンだった。

    由比ヶ浜「これって……」

    六花「あ、ありす!」

    ありす「な、なんですか、六花ちゃん」

    六花「リモート、ありすのリモートのカードで、何かアンデッドを解放すれば、一体のア

    ンデッドが残ることにならないから、この現象は止まるはずよ。そう、マナのヒューマン

    アンデッドを解放すれば……」

    ありす「……無理ですわ」

    剣崎「え?」

    ありす「最後に勝ち残ったのがマナちゃんだと確定した今、もはやリモートのカードは効

    果を発揮しません」

    考えてみれば当然だ、そのような制限がなければ何度でもバトルファイトをやり直せるこ

    とになる。

    六花「そんな……」

    マナ「どうしよう……あたしの、せいで……」

    六花「何言ってるのよマナ!マナのせいなわけないでしょ!」

    マナ「ねぇ六花、あたし、どうしたらいいのかな。あたしがいたら、みんなが……」

    マナが膝を落とす。

    そんな彼女をあざ笑うように、再びモンスターが湧出する。

    その数、12。

    マナ「う、うわぁぁぁぁぁっっっ!」

    マナがその姿を変える。

    しかしそれはカードを使った変身ではなく、ジョーカーへの変化だった。

    マナ「うわぁあっっ!」
  31. 31 : : 2015/02/05(木) 21:34:01
    自分のもとへ近づいてくるモンスター達を一網打尽にする。

    その一撃で、半数の六体が消滅した。

    思わぬ攻撃を受けたモンスター達はマナを敵とみなし、戦闘態勢に移る。

    マナ「あああああぁぁっっ!」

    その戦う姿は、本能のままに敵を蹂躙するもので、まさに……ジョーカーと呼ぶにふさわ

    しかった。

    そしてマナがモンスター達を殲滅した直後、再び先程を上回る数のモンスターが現れた。

    マナ「ああぁぁぁぁっっっ!」

    そのモンスター達も、マナの手にかかって次々と消されていく。

    ようやく、モンスターの湧出が収まった。

    だがこの瞬間も、世界ではこのモンスター達が増え続けている。

    そして、俺達の様に戦う術を持たない人々は、ただただ、蹂躙される……。

    マナ「ねぇ、六花……もう、だめだよ。倒しても倒してもきりがない。あたし達がどんな

    に頑張っても、この広い世界を、守ることはできない」

    彼女らしからぬ言葉を、ジョーカーのままの姿でマナは紡いでいく。

    六花「そんな!マナは今までどんなピンチも乗り越えてきたじゃない!だから今度だっ

    て!」

    マナ「違う、違うんだよ、六花……」

    六花「な、何が違うのよ!」

    マナ「今までのピンチは、原因を作った人が他にいた。グーラ達や、キングジコチュー、

    プロトジコチューにアンデッド……でも、これは、あたしが原因なの。だから、どうしよ

    うもないよ。あたしが原因で、でも、あたしの意思とは関係なく起こってしまう……

    ねぇ、六花」

    ジョーカーから元の姿に戻り、マナは六花を強く抱きしめる。

    そしてそのまま、自分の唇を六花のそれに重ねた。

    六花「!!?」

    マナ「初めて会ったときから、大好きだったよ。だから六花、あなたの手で、あたしを終

    わらせて?世界を、あたしを、救って?」

    マナはそう言い、再びジョーカーの姿へと変わる。

    ありす「マナちゃん……」

    剣崎「マナ……」

    六花「……けないでよ」

    マナ「え?」

    六花「ふざけないでよ、マナ!幸せの王子にもほどがあるわ!自分を犠牲に、世界を救っ

    てですって?それを、好きだって伝えたわたしに言うの!?あなたのことを、ずっと好き

    だった、わたしに言うの!?」

    マナ「六花も、あたしのことを……それだけで、十分すぎるほど幸せだよ」

    六花「諦めないで!勝手に一人で決めないでよ!ねぇマナ、幸せの王子が最後、どうなる

    かは知ってる?」

    マナ「うん……鉛の心臓だけ残して、死んじゃうんだよね」
  32. 32 : : 2015/02/05(木) 21:34:19
    六花「そうよ、その通りよ。でもね、一人で死ぬんじゃないわ。それまでずっとそばにい

    たツバメと唇を合わせて、二人で幸せに死んで行くのよ。言ったでしょ!?わたしはあな

    たのツバメになるって!だから!絶対にあなたを死なせない!世界を敵に回しても、最後

    まであなたを守ってみせる!」

    マナ「六花……」

    六花「わかった!?わかったら返事!」

    マナ「うん……ありがとう、六花」

    六花「もう、無茶しすぎよ……」

    そう言って二人は、もう一度強く抱きしめあった。

    マナ「ありすもまこぴーもごめんね、なんだか、先走っちゃって」

    ありす「ふふ、そんなこと慣れっこですわ」

    剣崎「マナのことを心配したのは六花だけじゃないんだからね!」

    マナ「うん、ごめんなさい」

    ありす「セバスチャン、四葉グループはアンデッド達にどう対応していますか?」

    セバスチャン「軍事班が自衛隊とともに殲滅作戦を行っていますが、効果は上がっており

    ません。現在は、住民の皆様の避難を最優先にしております。世界支部でも同様です。し

    かし、このままではジリ貧です」

    ありす「とにかく今は手分けして、アンデッド達を倒しましょう」

    剣崎「そうね」

    ……その作戦は、十中八九うまくいかない。無限に、世界中に湧きだす敵を殲滅などでき

    るはずがない。

    倫理的にできるかどうかは別として、マナを、ジョーカーを倒す以外に方法はないのだ。

    六花「行くわよ、マナ」

    マナ「うん、わかった!」

    六花に手を握られたマナはとても幸せそうだった。

    一体誰が、この少女を倒せるというのだ。

    雪ノ下「私達も、行きましょう」

    由比ヶ浜「うん、ドラグレッダー達を使えば、一片に倒せるかも」

    雪ノ下「それでも問題の解決にはならない、けど」

    比企谷「……少なくとも、一時の解消にはなるんじゃないか」

    それ以上語るべきではない、と雪ノ下に目くばせする。
  33. 33 : : 2015/02/05(木) 21:34:35
    由比ヶ浜「じゃぁ、いこう!」

    「「「変身!」」」

    「Kamen Ride Decade!」

    「「「「変身!」」」」

    「「Turn Up!」」

    「Open Up!」

    「Change」

    セバスチャン「私も、お嬢様達と共に闘います。以前開発した物を改良した、この人工コ

    ミューンⅡで!……プリキュア、ラブリンク! ハァアァァッ! キュアッ!セバスチャ

    ンっ!」

    セバスチャンがまばゆい光に包まれ、バットマンのような格好になった。

    ……え?これプリキュアにカウントするの?

    セバスチャン「では、参りましょう」

    なんか仕切ってるし……。

    まぁ、いいか。

    こうして俺達八人は、それぞれ敵のもとへと向かった。

    俺が向かった先は、大貝第一中学校付近だ。

    生徒達は、体育館に避難しているようで、その周りをアンデッド(名称は先程ダークロー

    チと名付けた)が囲み、今にも中に入りそうだった。

    比企谷「これはうかうかしてられないな」

    「Attack Ride Ilusion」

    比企谷「モンスターども!かかってこい!」

    敵の注意をこちらに向ける。

    増えた体で、敵を一網打尽にする。

    「シャァァァっ!」

    休む間もなく、新たに湧出したダークローチが後方から襲いかかる。

    比企谷「力を借りるぞ、雪ノ下、由比ヶ浜!」

    「Kamen Ride Night!」

    「Attack Ride Nasty Vent」

    超音波攻撃で敵をひるませる。

    「Kamen Ride Ryuki!」

    「Attack Ride Strike Vent」

    動きが鈍った敵を焼き打ちにする。

  34. 34 : : 2015/02/05(木) 21:34:52
    とりあえずこのあたりの敵は倒したが、またすぐに現れるだろうし、他の場所では惨劇が

    繰り広げられているはずだ。

    ―Prrrrrr―

    変身を解き、場所を移そうとしたその時、俺のスマホに着信が入った。

    比企谷「はい」

    剣崎「もしもし……剣崎、真琴よ」

    比企谷「どうした?」

    剣崎「…………マナを……ジョーカーを、倒す。力を、貸して」

    比企谷「……正気か?」

    剣崎「冗談で、こんなこと、言わないわ。……これは、マナに言われたの」

    ――――――――――
    ダビィ「真琴、マナから着信ダビィ!」

    剣崎「マナから……?はい、もしもし」

    マナ「あ、まこぴー。こんなこと、頼むのは、本当に申し訳ないんだけど……」

    剣崎「マナらしくないわ、何でも言って。わたし達、友達でしょ?」

    マナ「……私を、封印してほしいの」

    剣崎「なっ……!?さっき、そんなことしないって……」

    マナ「そうだけど、さ。でもこのままじゃ、世界は滅ぼされちゃう。まこぴーもありすも

    あぐりちゃんも六花も……みんな、死んじゃうよ」

    剣崎「それは、そうだけど……」

    マナ「自分で死ねたら、誰にも迷惑かけなくていいんだけどさ、あたし、アンデッドだか

    ら……誰かに封印してもらわないと……」

    剣崎「……」

    マナ「三人とも大切な親友だから、本当にこんなことしたくないけど、さ……まこぴーだ

    けは、故郷を滅ぼされる悲しみを、知ってるでしょ……?」

    剣崎「……」

    マナ「ごめん、こんなこと言って。だから、まこぴーなら、みんなの為に、封印してくれ

    るんじゃないかって」

    剣崎「そんな……私が、マナを……」

    マナ「もう何人も、人が死んでる。……殺された。それと、段々ジョーカーとしての自分

    を、抑えきれなくなってるんだ。なんでだかわからないけど、戦いたくて戦いたくて、仕

    方ない……」

    剣崎「マナ……」

    マナ「せめて、人として終わりたい」

    剣崎「でも、今だってこうして話せてるし……人の心を持ち続けることは……」

    マナ「無理だよ!」

    剣崎「ど、どうして」
  35. 35 : : 2015/02/05(木) 21:35:11
    マナ「さっきね、お母さん達は大丈夫かなと思って、こっそり家を見に行ったの。荷物を

    まとめて、出発するところだった。あたし、そんなお母さん達を見て、倒したいと、思っ

    たんだよ……?」

    涙ながらにマナは言った。

    剣崎「……わかったわ。今から、行く。このことは六花たちには……」

    マナ「言わないで、お願い。それから、あった時には、あたしのことは、相田マナ、キュ

    アハート、じゃなくて、ジョーカーとして接してくれないかな。そっちの方が、気が楽だ

    から……」

    剣崎「……マナ。あなたに会えて、一緒に居られて、本当に良かった。ありがとう、さよ

    なら」


    ――――――――――――――――――――――――――

    剣崎「だから、マナと私が戦ってる間、近くのダークローチを倒してほしいの。マナの近

    くには、特に多く出ると思うから。……せめて、一対一で戦いたい。マナは、わたしにで

    きた、初めての親友だから」

    そう言われては、聞くしかない。

  36. 36 : : 2015/02/05(木) 21:35:35
    三十分後、俺はこの街で最も高い建物、四葉タワーの屋上、その隅にいた。

    少し離れた場所に、マナと剣崎がいるはずだ。

    比企谷「ここは、わき役に徹するしかないよな……」

    これから始まる戦いには、どう転んでも、残酷な結末が待っている。

    それはどこまでも悲劇的で、それでいて喜劇的でさえあった。

    比企谷「……変身」

    「Kamen Ride Decade」

    ここにきて、俺とダークローチとの無益な戦いを語る必要はないだろう。

    黒子はさっさと舞台から降りるべきだ。


    私の前には、一人の少女が立っている。

    相田マナ、プリキュアとしてともに戦い、ライダーとして人々を救い、皆に幸せを配り過

    ぎてジョーカーとなってしまった、私の一番の親友。

    これから私は、そんな彼女を封印する。

    ……この世から、追放する。

    ならばせめて、その最後の在り方は、彼女の望むままに……。

    マナ「……懐かしいね」

    剣崎「ええ。この場所から、あなたとわたしは始まったのかもしれない」

    マナ「だから、ここで終わるんだ」

    剣崎「アンデッドは全て封印した!あとはあなたよ!ジョーカー!」

    「Turn Up」

    マナ「あたしとあなたは、戦うことでしかわかりあえない!」

    「Change」

    その言葉を言うのは、どれほどつらいことだろう。

    剣崎「はぁぁぁっっ!」

    マナ「やぁぁぁっ!」

    剣と弓が、激しく激突する。

    私の蹴りが、マナの腹部に直撃する。

    ひるむことなく、マナはわたしの顔に拳を叩きこむ。

    剣崎「やっ!たぁっ!」

    マナ「せいっ!」

    わたしとマナの足が撃突し、火花を上げる。
  37. 37 : : 2015/02/05(木) 21:36:10
    いつだったか、レジーナ達がまだ敵だった頃、こうしてマナと戦いごっこをしていたこと

    を思い出す。

    その様子を六花とありすが笑ってみてて、ジョナサンはニヒルな笑みを浮かべていたっけ。

    もう戻れない楽しかったあのころを思い出し、涙が溢れ出る。

    仮面のおかげでそれがマナに伝わらないことを、心から感謝する。

    マナ「もっと、いくよ!」

    「Evorution」

    キングのカードで、マナの姿がワイルドカリスへと変化する。

    「Absorb Queen Fusion Jack」

    私もフュージョンイーグルとアブゾーブカプリコーン、融合のカードと仲介のカードを使

    い、ジャックフォームになる。

    「Thunder Srash……Ritning Srash」

    高く飛翔し、急降下の勢いと供にきりかかる。

    「Wild」

    対してマナは、ハートスートすべての力を集合させたカードを使い、高威力の衝撃波を放

    った。

    剣崎「あああああぁっ!」

    攻撃が届く直前のところで、衝撃波に吹き飛ばされる。

    マナ「……終わらせよう、まこぴー……ううん、ブレイド」

    剣崎「そうね……ジョーカー」

    マナ「ウウワァァァアッァアッッッ!」

    咆哮を上げ、マナはジョーカーの姿となった。

    「Absorb Queen Evorution King」

    そしてわたしも、最強形態、キングフォームとなる。

    これはスペードスートのアンデッド全13体と融合する、自らをアンデッドへと近づけか

    ねない諸刃の剣だ。

    だがだからこそ、最後の戦いにはふさわしい。

    マナ「アアアァアァァッッッ!」

    マナは再び咆哮し、自らが持っていた13枚のハートスートのカードを宙に投げた。

    その中には当然、人の姿になる為に必要な「Human Spirit」、ヒューマンアン

    デッドのカードもある。

    それはつまり、自分は人として生きるつもりはないという意思表示だ。

    マナ「グルアァッッ!」

    その叫び声は、獣そのものだった。

  38. 38 : : 2015/02/05(木) 21:36:30
    鋭く尖ったかぎ爪を振り下ろしてくる。

    ジョーカーは特殊な武器こそ持たないが、キングフォームを凌駕する戦闘力を持っている。

    いや、その体全てが武器なのだ。

    その攻撃を、金色の剣、キングラウザーで受け止める。

    「Spade 2 3 4 5 6 Strate Flash!」

    5枚のカードを使った強力な一撃を、マナは両腕を使って耐えてみせた。

    そのまま高く跳躍し、威力を増したキックがわたしの肩に直撃する。

    その瞬間硬質化のカード、スペードの7『メタル・トリロバイト』を使ったが、それも意味

    を持たないほどの威力だった。

    剣崎「くっ……」

    比企谷「大丈夫か!」

    その時、ダークローチと相手をしていたディケイドがこちらに近づいてきた。

    剣崎「手を出さないで!」

    そう言うとディケイドは足を止め、戦闘に戻って行った。

    マナ「大丈夫?助けてもらわないと負けちゃうよ?」

    剣崎「こんな時まで心配してくれるの?ほんと、六花じゃないけど、幸せの王子にもほど

    があるわ!」

    剣でマナの胸を切りつける。

    マナ「うっ……」

    体勢を立て直し、マナは続ける。

    マナ「だって仕方ないでしょ!困ってる人がいたら、助けたいよ!」

    剣崎「無理しすぎなのよ!」

    マナ「あたしは、あたしにできるだけの無理をしてるだけ!」

    剣崎「その結果が、これでしょ!あなた一人が、苦しんでるじゃない!」

    マナ「それでみんなが幸せになれるならいいよ!幸せの王子は、鉛の心臓だけになっちゃ

    ったけど、それでも、満足してたはずだよ!」

    ……。

    剣崎「なら、残された人たちはどうなるの!王子がいなくなったことにも気付かない、救

    われた人たちは、一体どうすればいいのよ!」

    「Spade 10 Jack Queen King Ace……Royal Str

    ate Flash!」

    マナ「やぁぁぁあああぁぁっ!」

    互いの全力が、ぶつかり合う。

    大きな爆発が起きる。

    そして……
  39. 39 : : 2015/02/05(木) 21:36:53
    マナ「ああ、よかった……」

    マナがその場に、ドサリと倒れ込んだ。

    剣崎「マナ……あなた最後、わざと手を抜いたわね?」

    マナ「気づいてたんだ……」

    剣崎「……わざと負けて、わたしに封印されるつもりだったのね」

    マナ「他に方法がある?まこぴーはああ言ってくれたけどさ、あたしの体は、もうあたし

    の意志ではどうにもならない。戦うほどにあたしは、獣に近づいて、戦うことしか考えら

    れなくなる。

    そんなあたしを倒せるのは……あなただけだよ、まこぴー」

    そう言うとマナは、満足そうに眼を閉じた。

    剣崎「せめて私は、一生忘れないわ。この街に、誰よりも優しい、幸せの王子がいたこと

    を……」

    マナ「……ありがとう」

    私は黙って、最後の封印のカードを静かにマナの上に置いた。

    少しずつ、マナの体が消えていく。

    剣崎「……さようなら」

    マナを封印したカードがわたしの手に戻ってくる。

    『Joker』

    剣崎「……これで、終わったのね……うっ……」

    こぼれおちる涙を必死でこらえる。

    一番つらかったのはマナだ。なのに私が涙するわけにはいかない。

    その思いとは裏腹に、体から力が抜けていき、わたしは膝を地につけた。
  40. 40 : : 2015/02/05(木) 21:37:08
    俺を取り囲んでいたダークローチが突然姿を消した。

    ……終わったのか。

    見れば、剣崎がうずくまっていた。

    涙をこらえているようだ。

    こういう時、何と言えばいいのか。

    いや、きっとかける言葉なんてあるはずもないが。

    と、彼女の傍に光が集まって行くのが見えた。

    比企谷「……ん?」

    そしてそれは徐々に大きくなり、

    剣崎「!!?これは、ワイルドカリス……マナ?」

    現れたのは、かつてマナが変身していた、仮面ライダーカリスの強化フォーム、ワイルド

    カリスだ。

    ???「人間などと一緒にするな。長い間ジョーカーに使役されていた俺達だが、その存

    在が消えたことで、集合体としてこうして封印を解くことができたのだ。言うならば、カ

    テゴリーハートといったところか?」

    そう言うとカテゴリーハートは両手を大きく振り、衝撃波で剣崎を吹き飛ばした。

    剣崎「うっ……」

    壁にぶつかったからよかったものの、下手すれば高所からの落下で死んでいたかもしれな

    い。

    俺は急いで剣崎のもとに駆け寄る。

    比企谷「どうやらこれが本当のラストバトルみたいだな。こいつには、俺が手出ししても

    いいんだろ?」

    剣崎「助かるわ……。マナが救った世界を、これ以上誰にも傷つけさせない!変身!」

    「Turn Up」

    カテゴリーハート「なんだ、お前はっ!」

    比企谷「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ!」
  41. 41 : : 2015/02/05(木) 21:37:37
    剣崎がブレイドに変身すると同時、俺が持っていたカードの何枚かが発光しだした。

    比企谷「これは……」

    それは、仮面ライダーブレイドに関するカードだった。

    一度は灰色になったそれらが、再び鮮やかな輝きを取り戻した。

    絆が成立した、ということか。

    剣崎「ディケイド、これを」

    剣崎が、スペードとハートのエース、そしてジョーカーのカードを差し出す。

    比企谷「ちょっとくすぐったいぞ?」

    『Final Form Ride Bu Bu Bu Brade!』

    俺が背中に手を当てると、剣崎の体が巨大な剣へと変化した。

    彼女の使う「ブレイラウザー」の様なそれは、さながら「ブレイドブレード」とでも言う

    べきか。

    カテゴリーハート「何をごちゃごちゃと……」

    そしてさらに、クラブとダイヤのエースを取り出す。

    事態を解決するのに必要だといって、六花とありすから借りてきたものだ。

    剣崎とマナの戦いに万が一にも介入させないための方便だったのだが、あながち嘘にもな

    らなかった。

    比企谷「使わせてもらう、お前達の、希望の力を!」

    「Spade Ace Club Ace Daiya Ace Heart Ace Joker……Five Cards!」

    剣に黄金の光が集まって行く。

    比企谷「ウェーーーーーイッッッ!」

    若者達が使うおちゃらけに使うのとは違う、気合を入れる意味でその言葉を叫ぶ。

    あまりに巨大なエネルギー波が、アンデッドを塵一つ残さず消滅させた。

    剣状だった剣崎の体が元に戻る。

    剣崎「ありがとう、これで、この世界も、平和に……ううっ」

    感極まって、剣崎が嗚咽を漏らす。

    大切な親友がいなくなったのだ、その心情はこんな俺でも察することができる。

    比企谷「……これから、どうするんだ?」

    剣崎「……歌い続けるわ。人々を笑顔にできる歌を。マナにも、届くように」

    そう言うと剣崎は俺が渡したジョーカーのカードを胸の前で強く握った。

    比企谷「そうか……きっと届くさ」

  42. 42 : : 2015/02/05(木) 21:38:10
    由比ヶ浜「お~~~い!ヒッキー!」

    振り返ると、雪ノ下と由比ヶ浜が駆け足でやって来るところだった。

    雪ノ下「この世界でやるべきことは、終わったようね」

    比企谷「それじゃ、これでさよならだ。次に会うことがあったら、その時は、お前の歌を

    聞かせてくれ」

    そう言うと同時、俺達三人の体を不思議な光が包む。

    比企谷「そうだ、記念に一枚」

    写真館から持ってきたカメラで剣崎を撮る。

    そこには、決意を秘めた、一枚のカードを握る少女と、その後ろで優しく笑う赤髪の少女

    が映っていた。

    次こそはハッピーエンドをつかむと誓い、俺達は新たな世界へ旅立った。

▲一番上へ

名前
#

名前は最大20文字までで、記号は([]_+-)が使えます。また、トリップを使用することができます。詳しくはガイドをご確認ください。
トリップを付けておくと、あなたの書き込みのみ表示などのオプションが有効になります。
執筆者の方は、偽防止のためにトリップを付けておくことを強くおすすめします。

本文

2000文字以内で投稿できます。

0

投稿時に確認ウィンドウを表示する

著者情報
kusutti

くすっち天頂

@kusutti

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」カテゴリの最新記事
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」SSの交流広場
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 交流広場