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  1. 1 : : 2014/09/15(月) 17:21:11
    現パロで短めです。

    15歳高校生エレン×30歳リーマンリヴァイ

    では、どうぞ。↓

  2. 2 : : 2014/09/15(月) 18:08:16
    短めと書いてありますが長くなる可能性大です。




    エレンとリヴァイが出会ったのは、エレンが14の頃、職場体験でリヴァイの働く会社に訪れたのがきっかけだった。
    職場体験は、1チーム4人で体験先を選び、2日間職場の仕事を手伝うという内容だ。
    エレンのチームは、エレン、ミカサ、アルミン、ジャンで組まれていた。

    エレン「何で俺がこんな馬面と...」

    ジャン「それはこっちの台詞だぞ駆逐野郎。」

    ミカサ「エレンを傷付けたら私が許さない。」

    アルミン「二人とも喧嘩しないで。ミカサも落ち着いてよ。」

    さて、もう少し詳しく話をするとしよう。
    彼らの記憶と、遡ること1ヶ月前の話をしようか。


    ○ ○ ○ ○ ○


    エレンや他の104期生メンバー、上官組は、前世の記憶を持っていた。
    エレンは104期のメンバーに中学に入って再会し、上官組(ハンジやエルヴィン)は中学の先生だった。
    でも、ただ1人。エレンは、リヴァイに再会出来ずにいた。
    それは他の仲間にも言えたことで、104期生の中にも上官組の中にも、リヴァイに会ったと言う人は1人もいなかった。

    アルミン「職場体験先...まだ決めてないの僕らだけだよ。」

    エレン「だから俺は空港が良いって。」

    エレンは、あの時代から空に興味があった。

    ジャン「いや、そこはペットショップだろ。」

    エレン「馬はいねぇぞ。」

    ミカサ「エレンがいいと言うなら私も空港が良い。」

    アルミン「僕は任せるよ。」 

    結局締め切りギリギリで、エレンのチームは空港に決まったのだ。
    でも、そのギリギリで決まった空港に、奇跡が待っているなどこの時の彼は知らない。


    ○ ○ ○ ○ ○


    さて、話を今に戻そう。
    エレンの通う進撃中学校の近くには、大きな空港があった。
    エレン達は、そこで職場体験をすることになったのだ。

    ジャン「はー...やっぱでけぇなー!」

    エレン「空港で正解だろ。」

    ジャン「まぁ悪かねぇな。」

    とぼとぼと歩く4人を優しさのある暖かい声が呼び止めた。

    ???「ねぇ君たちもしかして職場体験の子?」

    エレン「あ、はいそうです...ってペトラさんっ?!」

    ペトラ「あらエレン!それにそこの3人も!」

    エレン「此処で働いてるんですか?!」

    ペトラ「うん!で、職場体験の担当を任されたの!」

    エレンは感極まった。それと共に、申し訳なさが込み上げてきた。

    エレン「あのときはすいませんでした...俺がもっと早く殺していれば...!」

    ペトラ「いつのこと話してるのよ。それに、あの時私たちを信じてくれてありがとう。」

    エレンは、込み上げる感情にそっと蓋をして頷いた。


    広いターミナルを歩く間にエレンはたくさんのことを聞いた。
    グンダやエルド、オルオもこの空港で働いてると言うこと。
    整備士でモブリットやナナバが働いてると言うこと。
    エレンはふと、気になったことを聞いてみた。

    エレン「兵長は...リヴァイさんは知っていますか?」

    ペトラ「えぇ。此処で働いてるわ。」

    エレン「!...本当ですか!?」

    ペトラ「でも...。」

    と、途中で通信が入り、会話は途切れてしまった。
  3. 3 : : 2014/09/15(月) 18:09:45
    ※リーマンと書いてありましたが、正確には違います。
  4. 4 : : 2014/09/15(月) 18:28:11
    ペトラ「じゃぁ此処で待っててね。」

    そういうと、ペトラはエレンたちを部屋の外で待たせて、部屋に入っていった。

    エレン「おい聞いたかよ!リヴァイさんも此処で働いてるって!」

    ミカサ「あのクソチビ...」

    アルミン「ミカサ、ステイだよステイ...」

    ジャン「兵士長さまが空港でねぇ...」

    確実ぶつぶつと呟いていると、ペトラが部屋から出てきて、「入って!」と手招いた。
    部屋の中で待ち伏せていたものは、エレンの待ちわびたものだった。

    ペトラ「改めて紹介します。2日間4人を担当するペトラ・ラルです。よろしくね。」

    4人「よろしくお願いします。」

    エレン「!」

    ???「同じく2日間担当のリヴァイだ。よろしくな。」

    アルミン、ジャン「よろしくお願いします。」

    エレン「...リヴァイ...さん。」

    ミカサ「...お願いします。」

    リヴァイ「...オイ金目。」

    エレン「俺ですか!?」

    リヴァイ「挨拶ができねぇのはよろしくねぇな。もう中3だろう?」

    エレン「す、すいませんでした!よろしくお願いします!」

    リヴァイ「あぁ。」

    すると、リヴァイは「少しはずす。」と言って部屋を出ていった。

    エレン「...ペトラさん...リヴァイさんは...」

    ペトラ「...覚えて無いわ。」

    エレン「そう...ですか。」

    エレンは、なんとも悲しい気持ちだった。
  5. 5 : : 2014/09/18(木) 18:56:58
    少し間が空いてしまいましたすいません!


    ○ ○ ○ ○ ○

    ー荷物室ー
    ペトラ「1日目に皆にやって貰うのは、飛行機にお客様の荷物を積み込む作業ね。」

    ミカサ「あのクソチビ...こんなところにいたなんて...」ブツブツ

    アルミン「リヴァイさん飛行機のパイロットなんだね...相変わらず就く仕事は凄いなぁ...」コソコソ

    ジャン「しかも運転してる飛行機...845便だってさ...まぐれにしちゃぁ良くできた時代だな。」ヒソヒソ

    エレン「...」

    ペトラ「じゃぁ傷つけないようにコンベアのを1つずつお願いね!」

    4人「はい。」

    すると、荷物室にリヴァイが顔を見せた。

    リヴァイ「なんだ、もう始めてるのか。」

    ペトラ「あ、リヴァイ機長。予定時刻より15分早いですが早い分には問題ないかと判断しました。」

    リヴァイ「あぁ助かる。」

    エレン(記憶は無くてもやっぱり部下や仲間には優しいんだな...)

    リヴァイ「そういえば、さっき連絡があってな。出発時刻が10分遅れるらしい。」

    ペトラ「わかりました。伝えておきます。」

    エレン「あの、リヴァイさん。」

    リヴァイ「何だ金目。」

    エレン「この便はどこ行きなんですか?それと俺はエレン・イェーガーです。」

    リヴァイ「そうかエレン。この便は沖縄行きだ。10時10分発に変更だ。」

    ミカサ「あの、先生に聞いたのですが...私たちもこの便に乗ると...?」

    ペトラ「そうね。機内でもお仕事手伝って貰うわね。」

    ジャン「え、俺たちも乗るんですか!?」

    アルミン「帰りはどうやって...?」

    リヴァイ「明日向こうを11時35分に出発する便がある。それに乗って帰ってくる。」

    ジャン「まじか...」


    ○ ○ ○ ○ ○


    荷物を積み込み終えたのは9時10分だった。

    ペトラ「はい、お疲れ様!じゃあさっきの部屋に戻って休憩がてら荷物をまとめましょうか。」

    アルミン「はーい。」

    ー待機室ー
    ジャン「ペトラさん俺と身長大体一緒ですか。」

    ペトラ「もう成長期は来ないわね。」

    アルミン「ミカサは沖縄始めてなんだね。僕も初めてだ。」

    ミカサ「沖縄は食べ物が美味いと聞いた。」

    エレン「食べ物より海と空だろ!」

    リヴァイ「エレンは海や空に興味があるのか。」

    エレン「はい!」

    リヴァイ「何故だ?」

    エレン「この世界の何よりも自由だと思うからです!」

    リヴァイ「自由か...何でエレンは自由が好きなんだ?」

    エレン「...壁の中で安全に生きたところでそれは本当の自由じゃない...それじゃまるで家畜だ...」

    リヴァイ「...」

    アルミン「!...エレン!リヴァイさんには記憶は無いんだよ!?」ヒソッ

    エレン「でも...海や空は違う!海や空は...限りない!」

    リヴァイ「...なるほどな。確かにそうだ。」クスッ

    ジャン(!...笑った...)

    リヴァイ「エレンは昔の俺に良く似ている。」

    ミカサ「どういうことですか。」

    リヴァイ「俺は空を自由に飛ぶ飛行機を見てこの仕事を目指した。」

    エレン「!」
  6. 6 : : 2014/09/18(木) 19:42:38
    リヴァイ「まるで鳥みたいだった。それで憧れてな。」

    エレン「俺も...空を自由に飛ぶ翼大好きです!」

    アルミン「エレン...」

    リヴァイ「...自由の翼」ボソッ

    ミカサ「!」

    エレン「リヴァイさん?」

    リヴァイ「いや、何でもない。」


    ○ ○ ○ ○ ○


    搭乗口にアナウンスがかかる。

    「只今、沖縄行きAOT845便の出発時間30分前となりました。お席20~40番の方より、ご搭乗を開始してください。」

    エレンは気づいた。聞き覚えのある声だ。

    エレン「いまのグンダさんだ。」

    そのアナウンスを機内で聞いていたエレン。

    グンダ・シュルツ。
    女型との戦闘の際に、真っ先に死を遂げてしまった彼をエレンはただ見ることしか出来なかった。

    機内に入ってくるお客さん。たくさんの人達と目が合う。
    笑顔で挨拶をするミカサとアルミン。

    ミカサ「ご搭乗ありがとうございます。」

    アルミン「ありがとうございます。」

    「こんにちわ。」

    ジャンは、機内に放送を流している。

    ジャン「...この度は沖縄行きAOT845便にご搭乗頂き、ありがとうございます。お荷物を上の棚にあげる際はー・・・」

    エレン(噛まずに良く言えるな...)

    リヴァイ「エレン、仕事だ。」

    エレン「はい!」

    リヴァイは、エレンをコックピットに招いた。

    エレン「これ...俺入っていいんですか...?」

    リヴァイ「当たり前だ。お前には管制塔との連絡をとってもらう。」

    エレン「わ、わかりました。」

    エレンはリヴァイの隣の副操縦席に腰を下ろした。

    リヴァイ「管制塔から連絡が離陸の10分後...10時20分にくる。それに答えろ。」

    エレン「失敗したら...」

    リヴァイ「そんなに心配すんな。俺がカバーしてやるよ。」

    頭をフワッと撫でられる。

    『心配すんな。』

    エレン(いつの日かもこんな風に撫でられたっけ。)

    ジャン「まもなく機体が滑走路に入ります。シートベルトを装着して、電子機器の電源をお切りください。」

    リヴァイ「ジャン...だっけか?なかなか上手いじゃねぇか。」

    エレン「あいつ人の前で話すの得意ですからね...生徒会だし。」

    リヴァイ「エレン、お前は...人前は苦手か?」

    エレン「はい。あまり立つ機会が無いので。」

    リヴァイ「じゃぁ2日間でしっかり覚えて帰れ。」

    エレン「...はい。」

    強く大きいモーター音が、耳に響いた。
  7. 7 : : 2014/09/18(木) 19:57:45

    ※悔いなき選択のキャラが出ます。



    時刻が10時22分を指した。

    ???「AOT845便との通信を確認。...こんにちはリヴァイ機長」

    リヴァイ「ご苦労だなイザベル。」

    イザベル「ありがとうございます。そちらの状況はどうですか。」

    エレン「あ、AOT845便連絡係のエレン・イェーガーです。こんにちは。」

    イザベル「こんにちは。状況連絡をお願いします。」

    エレン「...離陸から15分、10時25分現在の状況連絡をします。...天気は快晴。気温16℃、湿度48%です。
    風向きは機体11時の方角から、風速4.5mです。」

    イザベル「状況連絡確認。ご苦労様でした。」

    リヴァイ「あぁ。」

  8. 8 : : 2014/09/20(土) 12:49:47
    今さらだけど職場体験でこんなことする中学校ないよね(笑)



    エレン「...ふぅ...」

    リヴァイ「ご苦労だエレン。」

    エレン「ありがとうございます。」

    昔からリヴァイに誉められることなんて無かったエレンは、
    少し嬉しさを感じた。

    リヴァイ「あいつらの所に戻っても良いぞ。また12時30分になったらここへ来い。」

    エレン「わかりました。」

    エレンがコックピットを出ると、一番前の席に3人が座っていた。

    アルミン「どうだった?」

    エレン「すごいドキドキした...」

    ジャン「噛まずに言えたのか?」ニヤニヤ

    エレン「ご・心・配・な・く!」イラッ

    ミカサ「エレンのことだからきっと大丈夫だ。」

    エレン「ありがとなミカサ。」

    エレンが自分の席に座ると、機内にアナウンスがかかった。

    ペトラ「気流、機体の安定により電子機器の使用が可能です。外の気温は、16℃湿度が45%となっております。
    なお、機内の空調は26℃に設定しております。肌寒いと感じられた方は、お近くの乗務員に
    お声をお掛けください。」

    ジャン「すげーな...あんなに長い文を噛まずに...」

    ミカサ「プロ。」

    エレン「確かにな...」
  9. 9 : : 2014/09/21(日) 00:01:21
    エレンは窓の外を見た。
    一面に広がる雲の切れ間に影が落ち、海のようにうねる。
    雲海とはこれのことかとエレンは思った。
    あの頃憧れていた大きな空を、今はこうして飛んでいる。
    狭苦しい壁の中で過ごすより、小さな狭い飛行機で空を飛ぶ方が断然良い。

    アルミン「...エレン?」

    エレン「あ、わりぃ。考え事してた。」

    平和を望んでいたエレンは、平和ボケしたこの世界で
    目的を失っていた。
    平和になった。じゃあ次は?
    夜中まで自分の生きる意味について考えたこともあった。

    ミカサ「私は少し仮眠をとる。皆も少し休んだ方が良い。」

    回りに気配りができる親友。

    アルミン「僕は起きてるよ。予定を確認しなくちゃだしね。」

    しっかりもので真面目な親友。

    ジャン「...」スピーッ

    突っかかっては来るけど心配性な喧嘩友達。

    全部あの頃には気付かなかった、というか、気にかけられなかった気持ち。
    もう失いたくない大切なもの。

    エレン(俺の生きる意味はこれかな。)

    エレンは、まぶたを下ろして意識を手放した。


    ○ ○ ○ ○ ○


    エレンは肩を揺さぶられて意識を覚醒させた。

    アルミン「エレン。12時20分だよ。」

    エレン「んぁ...かなり寝ちまったな。アルミンは眠らなかったのか?」

    アルミン「少し眠ったよ。ミカサが眠った方がいいって言ったから。」

    エレン「そうか。」

    少し早めだが、エレンはコックピットに入った。
    中ではリヴァイが、三白眼をさらに強めて操縦桿を握っていた。

    リヴァイ「...」

    エレン「...」

    エレンは黙って席について、通信マイクを耳に着けた。

    エレン「...リヴァイさん。」

    リヴァイ「何だ。」

    エレン「向こうについたら俺達と一緒に遊びませんか。」

    リヴァイ「俺はまだ仕事が残ってる。」

    エレン「嘘だ。ペトラさんも誘ってみろって言ったのに。」

    リヴァイ「駄目だ。」

    エレン「理由を教えてください。」

    リヴァイ「駄目だからだ。」

    エレン「理由になってません。」

    イザベル「確認...申し訳ありません。少し早めに連絡をお願いします。」

    エレン「天気は快晴。気温18℃湿度42%です。風向きは機体10時の方角から風速3.2mです。」

    イザベル「連絡を確認。ありがとうございました。」

    エレン「ねぇイザベルさん。」

    イザベル「...何ですかイェーガー君。」

    エレン「今日1日リヴァイ機長をお借りしても構いませんか。」

    リヴァイ「!」

    イザベル「...構いませんよ。十分な休息も必要でしょうしね。」

    リヴァイ「おいイザベル。」

    イザベル「立場で偉いのはリヴァイ機長ですが、任務責任はすべてこちらが取っています。
    指示を出すのは私ですよ機長。」

    リヴァイ「...チッ」

    イザベル「それではイェーガー君。機長をお願いしますね。」

    エレン「了解しました。ありがとうございます。」

    リヴァイ「...エレン...どういうつもりだ。」

    エレン「そのまんまの意味ですよ。今日は沖縄で俺達と遊びましょう。」

    リヴァイ「...ハァ...」

    エレン「...リヴァイさん。」

    リヴァイ「相変わらずお前の誘いはせこい。」

    エレン「なーんだやっぱり覚えてるんじゃないですか。」

    リヴァイ「知られると厄介だと思ってな。」

    エレン「そっちの方がかえって厄介ですよ。」
  10. 10 : : 2014/09/21(日) 01:24:44
    リヴァイ「うるせぇ。」


    ○ ○ ○ ○ ○


    ペトラ「じゃあ各自5時まで自由行動!5時までには絶対このホテルに帰って来るのよ!」

    エレンは、ホテルに移動するまでの送迎車のなかで、リヴァイが覚えていたことをペトラに話した。
    ペトラは、「そうだったんだね。」と言って泣きながらリヴァイに頭を下げ続けていた。

    あとは、この3人に話すだけ。

    エレン「リヴァイさんはあの頃を覚えてる。」

    アルミン「本当かい!?」

    ミカサ「やはりそうだったか。」

    ジャン「良かったじゃねぇかエレン。」

    エレン「あぁ。」

    エレンとリヴァイは、壁の中の時代、恋人同士だった。
    でも、兵士ゆえ、ゆったりと2人で時を過ごすことは出来なかった。


    ○ ○ ○ ○ ○


    エレン達4人は国際道りを歩いて、織物体験をして、4時30分にホテルに戻ってきた。
    4人は、エントランスでペトラが喫煙所から出てきた所に遭遇した。

    エレン「あ、ペトラさん。」

    ペトラ「あら、お帰り皆。」

    アルミン「ペトラさん喫煙者なんですね。」

    ペトラ「そうよ。変な感じするかしら?」

    アルミン「えぇ、まぁ。」

    エレン「あれ、リヴァイさんは?」

    ペトラ「部屋で休んでると思うわ。」

    リヴァイは、国際通りを一緒に歩いて、買い物に付き合ってくれた。
    体験はしなかったので、先にホテルに帰っていたのだ。

    エレン「わかりました。ありがとうございます。」

    ペトラ「あ、今夜8時に目の前の浜辺に待ち合わせね、花火やるから。」

    アルミン「もう職場体験じゃなくなってる気が...」

    ミカサ「アルミン。それは軽いメタ発言になってしまっている。」

    アルミン「あ、僕としたことが。」

    ジャン「おい、茶番劇してねぇで部屋戻ろうぜ。」

    ミカサ「茶番劇じゃない。ジャン、これは大事な儀式なの。」

    ジャン「は、はぁ...」


    ○ ○ ○ ○ ○


    8時に浜辺に4人が集まった時にはペトラとリヴァイの姿は無かった。

    エレン「あれ...2人がいない?」

    アルミン「あ、あれそうじゃないかな。」

    ホテルの方から近づいてくる2つの影。
    次第に、月明かりに照らされて、シルエットが露になってくる。

    ペトラ「皆ー!」

    真っ白なワンピースを着たペトラが、緑の半袖パーカーを羽織り黒い短パンを履いたリヴァイを引いて歩いてくる。
    ペトラは、笑顔でこちらに手を振っている。リヴァイは少し嫌そうな顔をしている。

    ジャン「ペトラさん...その服どうしたんですか?」

    ペトラ「うふふ、国際通りで一目惚れして買ったの。似合ってるかしら?」

    ジャン「す、素敵です...////」カーッ

    リヴァイ「ペトラよ...別に俺は要らなかったんじゃ...」

    ペトラ「何を言いますか!皆でやるから花火は楽しいんですよ?」

    リヴァイの右手にはビニール袋がぶら下がっている。
    ペトラは、リヴァイからそれを受けとると中身を漁った。
  11. 11 : : 2014/09/21(日) 20:30:22
    ペトラ「よし!とりあえず広げるから好きなので始めちゃって!」


    ○ ○ ○ ○ ○


    アルミン「ちょっとジャン!人に向けないでよ!危ないでしょっ!」

    ジャン「女子かお前は!こんなの平気だろ!」

    ミカサ「アルミン見て。」

    アルミン「どうしたのミカ...えぇっ!?」

    ミカサは、頭の上に2本角の様にして手持ち花火を持っている。

    アルミン「もう何で皆危なっかしいんだよっ!(笑)」

    エレン「ミカサ!俺なんて3本同時持ちだぜ!」

    ミカサ「!...じゃあ私は4本にする。」

    アルミン「何を争ってるんだよっ?!」

    アルミンは完全にツッコミと化していた。

    ペトラ「皆!吹き出し花火やろうよー!」

    ジャン「お!いいですね!」

    エレン「俺が火着けたいです!」

    エレンが火を着けて、すぐに離れる。
    すると、鮮やかな花火が上がった。

    ペトラ「わぁーっ!」

    リヴァイ「悪くねぇな。」

    エレン「もっと吹き出し花火やりましょうよ!」

    ミカサ「今度は私が火着けたい。」


    ○ ○ ○ ○ ○


    吹き出し花火も手持ち花火も無くなり、後は線香花火だけ。
    皆で静かに丸く円になって火を着けた。

    ジャン「何か俺のあんまりパチパチしないんだけど...」

    ミカサ「時間がたてばパチパチしてくる。」

    アルミン「ミカサ上手いなぁ...僕手が震えちゃうや。」

    エレン「あ、落ちた。」

    ペトラ「エレン早い(笑)」

    リヴァイ「俺の凄いパチパチしてるぞ。」

    リヴァイは、細い目を何倍にも丸くして、
    珍しく興味津々。

    ペトラ「あ、笑ったら落ちちゃった(笑)」

    ジャン「リヴァイさんの凄い大きくてまんまるですね。」

    エレン「...太陽みたいだ。」

    ミカサ「確かに。」

    ペトラ「...あ、2つくっついた。」

    ペトラは2本の線香花火に同時に火を着けて、
    先を合わせている。

    エレン「何ですかそれ!俺もやりたいです!」

    リヴァイ「...ガキの頃に戻ったみてぇだな。」

    ペトラ「私昔花火なんてしませんでしたよー。インドア派でした。」

    ジャン「俺、毎年夏は花火してますよ。」

    エレン「土手の所に打ち上げ花火は見に行ってます。」

    と、エレンが話し出した時。



    ヒュー...ドォーン  パーン


    アルミン「あ。」

    エレン「花火だ...」

    すぐ近くのもうひとつの浜辺で花火が上がった。
    吸い込まれるほど大きな打ち上げ花火が目の前で花開いた。

    ミカサ「近いから音が大きい。」

    耳を塞ぎながら見上げるミカサ。

    ジャン「打ち上げ花火は久しぶりだ...!」

    嬉しそうに笑って話すジャン。

    アルミン「綺麗だね...」

    目を細めて見とれるアルミン。

    エレンは、幸せだった。

    エレン「なぁミカサ、アルミン、ジャン。」

    アルミン「どうしたんだい?」

    エレン「俺の意見に着いてきてくれてありがとう。」

    ミカサ「私はエレンに全部任せてるから。」

    ジャン「もうとっくの昔から信じることに決めてたからな。」

    アルミン「僕らはエレンに着いていくよ。」

    エレン「皆...」

    ペトラ「あら、私たちもそうよ?」

    エレン「ペトラさん...」

    ペトラ「エレンが大好きなの。だから今回の体験を受け入れた。
    なんとなくエレンが来てくれるような気がしてね。」

    リヴァイ「まぁお前とは色々あったしな。」

    エレン「リヴァイさん...」

    ペトラ「...じゃあホテルに戻りましょうか。」

    アルミン「そうですね。」

    エレン「リヴァイさん...少しだけ話がしたいんです...」

    リヴァイ「あぁわかった。さきに行ってろ。」

    ペトラ「はーい」

    ミカサ「エレン、またあとで。」

    エレン「おう。」

    エレンは、4人が見えなくなるまで手を振り続けた。

  12. 12 : : 2014/09/21(日) 21:23:10


    浜辺には波の音と花火の音が響いていた。
    リヴァイとエレンは波打ち際に並んで座った。

    リヴァイ「話ってのは何だ。」

    エレン「...俺たちは明日になったらさようならですよね。」

    リヴァイ「...そうだな。」

    エレン「...また会えますか。」

    リヴァイ「...分からねぇな。」

    エレン「...」

    リヴァイ「...」

    2人は花火を見上げた。

    リヴァイ「...お前次第なんじゃねぇか?」

    エレン「え...?」

    リヴァイ「お前がまた会えると信じてりゃまたいつか会える。」

    エレン「じゃあ信じます。」

    リヴァイ「あぁ。」

    リヴァイは目を閉じた。

    リヴァイ「花火...まだ見えるぞ。」

    エレン「アハハ...ロマンチックですね。」

    辺りには波の音しか無かったが、リヴァイの目には
    光の花がまだ見えているのだろう。
    目をつむったまま、話した。

    リヴァイ「神様っていると思うか?」

    エレン「俺は思いません。リヴァイさんは?」

    リヴァイ「神様って存在は無いと思うが、それに一番値してるのは己だと思う。」

    エレン「自分が神様って事ですか?」

    リヴァイ「俺はそう考える。だってほら、困ったときの神頼みってあるだろ?
    でも最終的に困ったら自分を信じるじゃねぇか。」

    エレン「そうか...なるほど。」

    エレンは、胸の前で折り畳んでいた脚を伸ばした。
    爪先に水が触った。

    リヴァイ「...戻るか。」

    エレン「そうですね。」

    いつの間にか浜辺には風がなくなり、波の音さえしなくなっていた。
    立ち上がり歩き出したリヴァイは、エレンの手を引いて歩いた。
    2人はホテルに戻るまで一言も言葉を交わさなかった。


    ○ ○ ○ ○ ○


    部屋に戻ると髪を濡らしたミカサがベッドの上で予定表を広げていた。
    隣のベッドでは、アルミンとジャンが並んで寝ていた。
    手元にはトランプが散らばっている。

    ミカサ「エレンお帰りなさい。」

    エレン「ただいま。2人はもう寝たの?」

    ミカサ「トランプをしていたんだけど...さすがに疲れたみたい。」

    エレン「そっか。」

    エレンは、静かに微笑んだ。







  13. 13 : : 2014/09/21(日) 21:32:35








    翌日、職場体験は問題なく進み、午後5時40分。学校に戻る時間が迫っていた。
    4人は学校近くの空港に戻ってきていた。

    ペトラ「皆、2日間お疲れ様でした。」

    エレン「お世話になりました。」

    3人「お世話になりました。」

    リヴァイ「次来るのは客としてだな。」

    ミカサ「あ、バス来た。」

    ターミナルの外には送迎用のバスが止まっていた。学校に帰るためのバスだ。

    エレン「じゃあリヴァイさん、ペトラさん、ありがとうございました。」

    3人「ありがとうございました。」

    ペトラ「また会おうね!」

    エレン「はい!」

    リヴァイ「じゃあなエレン。」

    エレン「また!」

    ペトラとリヴァイはバスが見えなくなるまで手を振った。
    バスが見えなくなると、ペトラは、はーっと肩を降ろした。

    ペトラ「何か凄い楽しかった分、静かですね。」

    リヴァイ「...そうだな。」







  14. 14 : : 2014/10/13(月) 20:11:28
    生きてました。
    物凄い間が空いてしまいました...すいません。
    これ、見てくれてる人いるかな...







    それから5ヵ月が経ち、エレンは15歳になった。
    あの頃は、誕生日は皆でワイワイお祝いしたななんて思い出した。

    エレンはその日学校の委員会で帰りが遅くなっていた。
    そろそろ学年が上がる頃で何かと忙しいのだ。
    腕時計の針は6時50分を回っていた。

    エレン「やば...晩飯どーしよ...」

    幼い頃に両親を亡くしたエレンはマンションに一人暮らしをしていた。
    アルバイトで生活費を稼いだが、苦しいとき、違法な物に手を染めそうになるときもあった。
    でも、なんとか自分を思い止まらせた言葉は何時かの何気ない母の一言だった。

    『困ったら、自分だけを信じなさい』






    エレン「あー...鍵、鍵...」

    がさごそと鞄の中を漁る。
    モタモタと玄関の前で足踏みする。
    3月終わりと言えど、まだまだ寒い日は寒い。
    鼻の頭が赤いのは何時もの事だった。

    ようやく鍵を見つけ出し、玄関のドアを開けようとしたとき、

    「エレン...か?」

    聞き覚えのある低い声。
    鼓動が波打つのを感じた。

    エレン「...リヴァイ...さん。」

    隣の部屋から、袖の緩いトレーナーに黒のジーンズと言うなんともラフな格好で
    5ヵ月前に出会った(再開したが正しいだろうか)
    愛しの人が、こちらを覗いている。

    リヴァイ「驚いたな、隣だったのか。」

    灯台もと暗しとはこの事だ。
    再開できるのを心待ちにしていた人が、まさか隣に住んでいるなんて。
    エレンの近所付き合いの悪さが裏目に出た。

    エレン「あ...えと、とりあえず話したいんで...俺のとこ来ます?」


    ○ ○ ○ ○ ○


    エレン「すいません、こんなもんしか無くて...」

    今日買い物にいけなかったんです、と
    出来合いのシチューを作り、相手に出す。

    リヴァイ「いや、悪くねぇな。」

    夕飯を食べていなかったリヴァイにとって、
    好きな人の手作りで、なおかつ美味いと来たら
    一石二鳥、文句なしだ。
    どんどん手は進んだ。
    それに向かい合って座り、自分も同じものを食べるエレン。
    誰かとこういう風に向き合って食事をとるのはとても久しぶりな気がした。
    家族がいなくなってから誰かと食事をとる機会なかなか無くなっていた。

    エレン「良かった。」

    リヴァイ「...しかしまぁ隣なのに、よく気づかないで今まで過ごせたもんだな。」

    エレン「お、俺...近所付き合い悪くて...」

    リヴァイ「まぁ俺も他人を責められねぇな。」

    お互いに気づけなかったのは確かだ。

    エレン「リヴァイさんは今日は仕事無いんですか?」

    リヴァイ「あぁ。今週は無い。」

    エレン「よかったら明日も俺んとこ来てくれませんか?」

    リヴァイ「別に構わねぇが...」

    エレンは、リヴァイに話したいことがたくさんあった。
    それはもう、たくさんだ。

    エレン「あ、合鍵渡しとくんで、勝手に入って大丈夫ですよ。」

    リヴァイ「明日もお前は学校あんだろ?」

    エレン「あ、はい、でも早めに帰るんで大丈夫です!」

    そう言ってリヴァイの掌に鍵を乗せた。



  15. 15 : : 2014/10/13(月) 20:55:32
    受験?なにそれ、エレンは受験なんてしりません。
    (すいません忘れてました!学年が上がる頃、と書いてましたが
    エレンはそろそろ高校生になる設定です!)




    エレンは走っていた。

    エレン(あーくそ!緊急委員会なんて聞いてねぇよ!)

    緊急なんだからもちろん聞いてないのだが。
    エレンは焦って内心訳のわからない一人言を言っていた。

    エレン「くっそ...あ、開いてる。」

    ガチャリ

    エレン「すいません遅くなりまし...あれ、いいにおい...」

    リヴァイ「おぅエレン、おかえり。」

    部屋に入ると、リヴァイが台所でエプロンを着けて何やら作っている。

    エレン「あ、すいません。晩飯作らせちゃって...」

    リヴァイ「昨日誕生日だったろ。せめてものプレゼントだ。」

    エレン「え...覚えててくれたんですか...?」

    リヴァイ「あぁ。まさか会えるとは思ってなかったから...プレゼントが用意できてなかったからな。」

    エレン「...嬉しいです。」

    エレンはリヴァイに後ろから抱きついた。
    あの頃のように背丈はエレンのほうが高い。
    リヴァイは下を向いて鍋を火にかけたままだ。

    リヴァイ「...いいから手、洗ってこい。」

    エレンは、はいと返事をして洗面所に向かった。


    ○ ● ○ ● ○


    エレン「うわぁ...チーハン!」

    リヴァイ「好きだろお前。」

    エレン「え、何で知ってるんですか。」

    リヴァイ「マンガよん「メタ発言ですリヴァイさん!」...悪い。」

    二人は他愛ない会話を楽しんだ。

    リヴァイ「冷めるから食え。」

    エレン「...リヴァイさん。ありがとうございます。」

    リヴァイ「こんなもんで悪いな。」

    エレン「違いますよ。」

    リヴァイ「...?」

    エレン「出会ってくれてありがとう。笑ってくれてありがとう。愛してくれてありがとう。
    信じてくれてありがとう。一緒にいてくれてありがとう。」

    リヴァイ「...」

    エレン「俺は、こうやって他愛ない話ができる...平和で、何でもない日が大好きです。」

    リヴァイ「...そうだな。」

    エレン「ありがとうございます...リヴァイさん。」

    リヴァイ「ありがとう、エレン。」

    「何でもない日、ありがとう。」

    エレンとリヴァイは、二人で笑い、胸の前で手を合わせた。


    END...

  16. 16 : : 2014/10/13(月) 20:57:18
    変な終わり方ですいません!
    こんな作品でも読んでいただけたら幸いです。
    ありがとうございました!

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