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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

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モブリット「ハンジお嬢様!!生き急ぎすぎです!!」―87祭り!!―

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  1. 1 : : 2014/07/26(土) 23:54:58
    モブリット「ハンジお嬢様!!生き急ぎすぎです!!」―87祭り!!―

    http://www.ssnote.net/groups/553/archives/2
    にて、8月7日、バーナーの日にちなんでモブリット・バーナー祭りを開催中です♪

    奮ってご参加下さい!!

    執事モブリットと貴族のお嬢様ハンジのどたばたラブストーリーです♪

    設定など全て妄想の産物です♪

    ご理解頂ける方、よろしくお願いいたしますm(。≧Д≦。)m
  2. 2 : : 2014/07/27(日) 00:04:49
    俺はモブリット・バーナー

    幼い頃に両親を亡くし、お祖母さんに引き取られた

    お祖母さんは貴族の屋敷に勤めるメイド長だった

    ばあさんがメイド服着るのか?という質問を受けそうだから先に言っておくと、『ばあさんでも、着るよ』

    大事な事だからもう一度言うよ?
    『ばあさんでも、着るよ』


    さて、お祖母さんは住み込みで働いて、いつもこの屋敷を切り盛りしていた

    俺は必然的にこの屋敷に住むようになった

    城の様な立派で広大な敷地を持つこの屋敷に

    そして幼い俺は、そこで衝撃的な出会いをしたのだった
  3. 4 : : 2014/07/27(日) 00:16:02
    10年前

    「今日からこんな、お屋敷に住むのか…何だか緊張するなあ…」
    小さな男の子が、メイドに連れられて、屋敷の廊下を歩いていた

    「あなたの部屋はここよ」
    そう言われて入ったそこは、以前自分が両親と暮らしていた部屋よりもかなり広くて綺麗だった

    「お祖母さんって、メイドさんの一番偉い人だったんだな…僕も、働かなきゃだよね…」

    小さな男の子…モブリットは、もみじの様な小さな手をパッと開いてみた

    「ただでお屋敷に置いては貰えないもの。出来ることを、やらなくちゃ」
    モブリットはまだ7才だったが、懸命にその場に馴染もうと、自分なりに考えていた

    荷物を片付けると、早々に動きやすい服に着替え、メイド達が集まる部屋に向かった

  4. 6 : : 2014/07/27(日) 08:57:44
    幼い頃から、働かざる者食うべからず、を両親に叩き込まれていたモブリット

    小さな手でメイドの詰め所をノックする

    「どうぞ」

    声がしたので、そっと扉を開けた

    中には休憩中なのだろうか、若い女性のメイドが、黒い服に白いエプロンをつけて、お茶を飲んでいた

    「あら、小さな男の子。あなたがメイド長のお孫さん?」

    メイドの言葉に、モブリット少年はこくんと頷いた

    「はい、モブリットと言います。何かお手伝い出来る事はありませんか?」

    メイドは首を傾げた

    「あなたは確か、お嬢様のお側付きとして呼ばれているはずよ?お祖母さんから聞いてはいない?」

    モブリットは首を振った

    生まれてから、一度も会ったことも話したこともないお祖母さん

    モブリットは、何も聞かされずにここに来ていたのだった

    「お嬢様、がいらっしゃるんですね」
    モブリットは目を輝かせた

    こんなお城の様な屋敷に住む、深窓の令嬢

    どんな人なのだろう…そう思わずにはいられなかった

    「あー、うん。お嬢様ね、どんな方か会えば分かるわ。この時間なら中庭にいるんじゃないかしら?探してみて」

    メイドの表情に首を傾げながら、モブリットはその部屋を後にし、中庭に向かった
  5. 7 : : 2014/07/27(日) 09:27:19
    中庭には、屋敷に沿うように生えている一本の大きな木、美しい造形の噴水、白く可愛らしいベンチ、休憩に良さそうな東屋等があった

    今までに踏み入れた事のない世界に、モブリットは胸をどきどきさせていた

    なんて美しい場所なんだろう
    そう思いながら、彼はてくてくと中庭を歩いていた

    大きな木の下にさしかかった、その時だった

    「うわぁぁ!!退いて退いて!!」
    頭上からけたたましい叫び声がした

    モブリットが上を向いたその瞬間

    バラバラバラバラ…

    何かがモブリットの顔にふりかかり、それはぽかんと開けた口の中にまで入った

    そして…ピンクの布が目の前を覆った…
    と思ったら、激しい衝撃を身体に感じて…

    モブリットは地面に倒れ込んだ

  6. 8 : : 2014/07/27(日) 10:00:12
    「君、君、大丈夫?!」

    ゆさゆさと身体を揺さぶられる感覚と、切羽詰まった様な声で、モブリットは意識を取り戻した

    「…う、う~ん…」

    口を動かすと、じゃりっと音がした

    モブリットが何が起こったか分からないまま、恐る恐る目を開けると、眼鏡を掛けた少女が心配そうに見つめていた

    「良かった!!気が付いたんだね。着地しようと飛び降りたら、急に君が真下にくるんだもん、びっくりしたよ」
    少女はモブリットににかっと笑顔を見せた

    「…あ、あの、すみません…」
    じゃりっ…また口の中で音がした

    何かが口に入っているのだ

    すると、少女がモブリットの口をぱかっとこじあけた

    「あっ…食べてる…私のせみの脱け殻…折角集めたのに…」

    少女は肩を竦めると、辺りに散乱したせみの脱け殻を拾い集め始めた

    「せ、せみの…脱け殻…?うわぁぁぁ!!」
    モブリットは慌てて、口の中の異物を吐き出した

    「あっ、食べても大丈夫だよ!?せみの脱け殻はね、お薬と同じなんだ。風邪薬とか、皮膚の薬になるんだよ?」

    少女は人差し指を立て、モブリットに教える様に言った

    モブリットは首をぶんぶん振る

    「ぼ、僕は…せみが大嫌いなんだぁぁ!!」
    そう言って、ぽろぽろと涙を溢したのだった
  7. 12 : : 2014/07/27(日) 10:49:12
    「ちょ、ちょっと君…!!そんなに泣かなくてもいいだろ…?」
    少女はモブリットの涙に狼狽えた

    モブリットより少しだけ大きな手で、彼の頬を伝う涙を拭ってやりながらいつの間にか…

    「泣くなよ…うわぁぁぁん!!」

    もらい泣きなのだろうか、少女は一緒に泣き始めてしまったのだった

    モブリットは、自分の上で大泣きしだした少女に驚き、泣き止んだ

    口の中は相変わらず気持ち悪い

    でも、自分が泣かせてしまった少女の事の方が気にかかったのだ

    「あ、あの…大丈夫…ですか…?」
    おずおずと、泣いている少女に話しかけるモブリット

    少女が掛けている眼鏡は、既に涙に濡れて、その用を担うことが出来なくなっていた

    「うっうっ…」
    少女はまだ泣き止まなかった

    モブリットは手を伸ばし、用を成さない眼鏡をとった

    大きなヘイゼルの瞳が涙で潤んでいて、とても美しい物に見えた

    モブリットは思わず、その瞳に吸い込まれる様に、じっと見つめた
  8. 13 : : 2014/07/27(日) 12:19:41
    「あ、あの…大丈夫…ですか?」
    モブリットは外した眼鏡をそっと手に持ちながら、少女に問い掛けた

    「う…ヒック…うん、大丈夫…」
    少女はやっと涙を止めて、頷いた

    「あの…お怪我は…?」

    「無いよ…君の方が、怪我をしているかもしれない。私、思いきりふんずけてるもん…」

    少女はそう言うと、モブリットの体の上から退いた

    モブリットは身体を起こしたが

    「っつ…」
    背中に痛みを感じて、眉を引き絞った

    「大丈夫?!痛いの!?お医者さんに見せなきゃ…」

    少女は慌てふためいたが、モブリットは首を振る

    「…大丈夫、です。動けますから」
    そう言うと、ゆっくり立ち上がった

    少女は自分より少し背が高かった

    ブラウンの髪を無造作に結い上げ、ピンクのワンピースを着ていた

    少女は、愛嬌のある笑顔をモブリットに見せる

    「そっか、良かった!!君ってもしかしてモブリット?メイド長のお孫さんの…」

    「はい、モブリットと言います」

    少女は頷いた

    「私はハンジ、ハンジ・ゾエ。よろしくね!?」
    少女…ハンジはモブリットの手をぎゅっと握りしめた

    「あなたが、お嬢様…?」
    モブリットは目を丸くした

    ゾエ家はこの屋敷の持ち主の名前だ

    ということは、この少女が深窓の令嬢…
    モブリットは、予想外過ぎる人物に、驚きを隠せなかった

    「うん、一応ね。お嬢様って柄じゃないんだけどね…君もそう思うだろ?」
    ハンジはそう言って、愉しげに笑った

  9. 14 : : 2014/07/27(日) 14:03:14
    「君ってさ、私のお側付きになるんだってね!!」
    ハンジはそう言って笑顔を見せた

    「…はい、そうみたいです」
    モブリットはこくんと頷いた

    「あのさ…さっきせみが大嫌いって言ってたけど…もしかして虫が嫌い?」
    ハンジは心配そうな表情を、モブリットに見せた

    「はい、あまり好きではありません…セミと蜘蛛とカマキリが特に嫌いです…」
    モブリットは何とも情けない顔をした

    「そっかあ…私は虫とか動物とか大好きでさ…爬虫類も。でも嫌いなら、お側付きっていっても、あんまり一緒に遊べないね…私は虫取りばかりしてるし…」
    ハンジは寂しげな表情で言葉を発した

    「あの…お嬢様は、虫が好きなんですか…?」

    「うん、大好き!!私大きくなったら、生物の学者さんに成りたいんだよ!!」

    ハンジはそう言って、笑顔を見せた

    モブリットの目は、その向日葵の花が咲いたような明るい笑顔に、釘付けになった

    「そ、それなら…僕も…好きになる努力をします。食わず嫌いの様なものかもしれませんし…」

    「食わず嫌いかあ!!君さっきせみの脱け殻食べたから、セミは食べても嫌いだって事かなあ!!あはは」

    ハンジはモブリットの手をぎゅっと握りしめて、楽しげに笑った

    モブリットはハンジが見せる笑顔が、とても好きになっていた

  10. 15 : : 2014/07/27(日) 19:14:06
    「へえ、君は7才なんだ。私は9才、お姉さんだね!!」
    ハンジはモブリットの手を引いて、屋敷の廊下を歩きながら言った

    「はい」
    モブリットはこくんと頷いた

    「私の部屋で遊ぼう?お父様はまだ帰って来ないし。あっ、挨拶一緒に行ってあげるからね?お父様は少し気難しいんだよ」
    ハンジは眉を潜めた

    「そ、そうなんですか…」
    モブリットは表情を曇らせた

    「だってさあ、私がワンピースで木に上ったら怒るし、屋敷の中でセミを放したら怒るし…」

    「…そ、それは怒られて当然では…」
    モブリットは首を傾げた

    「あっ、やっぱりそうだよねえ!!あはは」
    ハンジはまた、愉しげに笑った


    ハンジの部屋は、とても広くて豪華だった

    だが、美しい細工の施された机の上には、得たいの知れない物が散乱していた

    ベッドは大きく、天蓋がついていて、そこから贅沢な刺繍が施されたレースが床にまで届いていた

    モブリットはきょろきょろと部屋を見回していた

    本棚には沢山の本が並んでいた

    モブリットは本が大好きだった

    あまり買っては貰えなかったが、近所の人にもらった本を何度も何度も読み、ボロボロになっても補強してまで持っていた

    じっと本棚を見つめていると、それに気がついたハンジがモブリットの手を引いて、本棚に誘った

    「君、本が好きなの?好きな本、持って行っていいよ。好きなだけ、読んでいいからね?」

    ハンジはにっこり笑ってそう言った

    「で、でも…」
    モブリットは嬉しかったが、同時に不安になった

    自分はこんな屋敷に住まわせてもらって、その上本まで読んでいいなんて、虫がよすぎる話だったからだ

    「遠慮いらないよ?ほら、これあげる」
    ハンジは遠慮するモブリットに、半ば無理矢理本を一冊手渡した

    動物の生態の本だった

    「あ、あの、でも…」

    「いいの、いいの。さっきせみの脱け殻食べさせたお詫びだと思って、ね!?」
    ハンジの笑顔に、モブリットは何故か胸がつまり、涙が出そうになった
  11. 16 : : 2014/07/27(日) 20:50:34
    「モブリット、これ見て!!」
    ハンジは雑然とした机の上から、一冊のノートを取り上げ、モブリットに手渡した

    モブリットがパラパラとページをめくると、虫の事が細かく書かれていた

    「これは、全部ハンジお嬢様がご自分で…?」

    「うん、そうだよ!!学校の勉強は正直簡単すぎてつまらないんだ。だから勝手に好きな事を研究してるんだ!!」

    ハンジはえっへんと胸を張った

    モブリットは舌を巻いた

    スケッチから行動から餌から、あらゆる事が細かく記載されていたからだ

    「凄い…です」

    「本当に?!嬉しいな!!だってさ、誰も凄いなんて言ってくれないんだよ!?女は勉強よりも手習いとか振る舞いが大事だってお父様に言われちゃうしさ…」
    ハンジはため息をついた

    確かに貴族の令嬢ともなれば、 10代のうちに同じ有力貴族か王族に嫁ぐのが常

    女は勉強が必要とはされていなかった

    モブリットもその事は知っていたが、幼心に、これだけ勉強ができる人が、普通に嫁いで、屋敷の奥で一生を暮らすのは勿体ないなと思った

    だからと言って、自分が何をできるわけではないが

    「まだまだ、好きな事沢山出来ますよ、ハンジお嬢様」
    モブリットは、そう言うことしか出来なかった

  12. 17 : : 2014/07/28(月) 09:32:00

    ハンジとモブリットは、虫の話や動物の話で親睦を深めていた

    生物の話をしている時のハンジは、まるで水を得た魚の様にいきいきと、目を輝かせていた

    楽しげに話すハンジを見ているだけで、モブリットは心が暖かくなった気がした

    両親を急に事故で亡くして以来、塞ぎ込みがちだったモブリット

    彼にとって、この出会いは久々に嬉しく、心が踊る出来事であった

    まるで、新な家族ができた様な、そんな気持ちになっていた
  13. 20 : : 2014/07/28(月) 16:42:41
    「ハンジお嬢様、ピアノの先生がいらっしゃいました」

    扉がノックされ、外から声がした

    「うわあ、やだなあ…全然練習してないよ」
    ハンジは表情を曇らせた

    「…ハンジお嬢様、頑張って下さい。僕は他に仕事がないか、探してきます」

    モブリットはペコリと頭を下げて、部屋を後にしようとした

    「あっ、モブリット…本、持って行って?」

    モブリットはその言葉に首を振る

    「やっぱり…頂くわけにはいきません。旦那様のお許しが頂けたらその時は…」

    モブリットは少し寂しげに微笑むと、ハンジの部屋を後にした

    その後ろ姿を見送ったハンジは、ふぅと息を吐いた

    「まだ7才なのに…あんなに遠慮するかな、普通。どんな生活をしてきたんだろ…」
    ハンジは思考を巡らせようとしたが、ピアノを思い出して中断した

    嫌なことはさっさと終わらせて、また新しい友人と遊ぼう、そう考えたのだった
  14. 21 : : 2014/07/28(月) 17:07:28
    モブリットはまだ慣れない広い屋敷の中を、きょろきょろしながら歩いた

    何処に何があるか、把握する必要もある

    塵一つなく磨かれた大理石の床は、歩を進めるたびにコツコツと音がした

    何となくその美しい床を踏むのが心苦しくなり、なるべく傷がつかないように、そっと歩く事にした

    「やっぱり…お嬢様のお側にいるだけじゃ、ダメだよね。ちゃんと働かなきゃ…」

    モブリットは幼いが真面目だった

    何もせずただ遊ぶだけというのは、どうしても落ち着かなかった

    そして、またメイドの詰め所に向かった


    ノックをし、部屋に入ると、数人のメイド達が直立不動で立っていた

    そのメイド達の前で、一人の年を取ったメイドが厳しい表情で何やら話をしていた

    モブリットは若いメイド達の後ろで、じっとしていた

    やがて話が終わり、メイド達が部屋から去ると、部屋には初老のメイドと、モブリット二人きりになった

    「お前がモブリットかい?」

    そう問われ、こくんと頷いた

    「はい、モブリット・バーナーです」

    「勝手に駆け落ちして出ていった娘が、産み落とした子だね」

    モブリットはその言葉に目を見開いた

    実は両親の出会いなど、何も知らなかったモブリット

    彼はこの母方の祖母とも、父方の祖父母とも、親戚とも、一切会ったことがなかった

    駆け落ち…という事実も初めて知った
    祖母の口調と表情から、怒りが見え隠れする

    きっと何か許されない事が、祖母と母との間にあったのだろう

    「お祖母さま、僕をここで働かせて下さい」

    「お前にお祖母さまなどと言われる筋合いは無いよ。旦那様が何処からかお前の事を聞き付けなければ、ここにこさせる事など無かったというのに…」

    モブリットの祖母は、こめかみを押さえた

    「…すみません、メイド長様。僕は何でもやれるようになりますから…どうか、お母さんを許して下さい」

    モブリットは優しい母の面影を確かに残す、厳しい表情の祖母に、頭を下げた

    「旦那様はお前をお嬢様のお側にとおっしゃったが、下働きとして仕事をしてもらうよ。わかったね!?」

    祖母の言葉に、モブリットは頷いた

    「はい、わかりました、メイド長様」

    モブリットにとっては、働く事はなんら問題ではなかった

    むしろ遊んでいるだけの方が、気を使う

    いち早く沢山の仕事を覚えよう…
    モブリットはその時から、小さな手で、小さな身体で、出来る限りの仕事をするようになった

    朝早くから、夜遅くまで
  15. 22 : : 2014/07/28(月) 23:38:42
    ハンジの父との対面は滞りなく済んだ

    ハンジの父…この屋敷の主人は立派な体躯の持ち主で、精悍な顔付きだった

    貴族として、ただ特権を貪っていたわけではない、そんな人物

    ハンジの父は、モブリットにもちゃんと学ぶ事を約束させた

    自分が親代わりになるとまで、言ってくれた

    どうして見ず知らずの人がそんなに自分に親切にしてくれるのか

    モブリットにはわからなかったが、ハンジの父のある言葉が引っ掛かった

    「君の母は…幸せだっただろうか」

    母とこの主人の間に何かがあったのか

    詮索することもできず、モブリットはただ頷いた

    屋敷の仕事の手伝いについては、好きにするように言われた

    だからモブリットは、勉強をさせてくれるかわりに、一生懸命働く事を約束したのであった

    「ハンジも、よろしく頼む。あれは手が掛かるが私の一人娘だ。変わった趣味をしているが…どうか見守ってやってほしい」

    主人のその言葉に、モブリットは頷く

    「はい、僕が責任もって…ハンジお嬢様をお守りします」

    主人はモブリットの肩に手を置いて、頷いた
  16. 25 : : 2014/07/29(火) 13:07:52
    モブリットの一日は朝早い

    五時半に起床すると、直ぐに身支度を整え机に向かう

    勉強をする時間は朝早くと、夜遅くにしかとれない

    折角主人の好意で行かせてもらっている学校だ

    暇がなかろうと、生半可な成績はとりたくなかった

    要領はさほど良くはないが、真面目なモブリットはこつこつ努力をした

    お陰で成績は優秀だった

    朝の勉強の後は、厨房で料理の下拵えの手伝い

    その後は、ダイニングや廊下の掃除をし、それが済むと、メイド達と朝食を素早く摂る

    「モブリットはよく働くいい子よね」

    「ほんとほんと、小さいのに偉いわ」

    小さくて真面目なメイドモブリットは、メイド達の間で可愛がられる存在になっていた

    メイド達に頭を撫でられて頬を染め、それを見たメイド達がまた可愛がる

    そんな日常が毎日繰り返されていた
  17. 26 : : 2014/07/29(火) 13:14:15
    自分の朝食が済むと、次はハンジを起こしに行く

    いつも自分から起きることがないハンジ

    ノックをし、扉を勝手に開けることを許されていたモブリットは、毎朝彼女を起こしに行っていた

    「ハンジお嬢様、おはようございます」
    モブリットは扉の付近で、少し大きな声で挨拶をする

    返事があった場合は直ぐに身支度を整えるための衣服を手渡すのだが、大抵返事がない

    今日も返事がなかったため、ベッドにそっと歩み寄った

    気持ち良さそうにすやすやと寝息をたてているハンジ

    モブリットはしばしためらった後、布団の上からポンポンと身体を叩く

    「お嬢様、朝ですよ。起きてください」

    それを繰り返すこと数回、やっとハンジは目を覚ました

    「う、うーん…おはよ、モブリット」
    ハンジは目を擦りながら身体を起こした

    「おはようございます、ハンジお嬢様。服のお着替えなさって下さい」

    モブリットはハンジに着替えを手渡すと、くるりと後ろを向いた

    「あ、やっぱり後ろ向くんだね?」
    ハンジは楽しげにそう口にした

    初めてハンジを起こしに行った朝、着替えを渡すや否や、ハンジはモブリットの前で服を脱ぎ始めた

    その行動に面食らいながらも、思わず凝視してしまったのだった

    それからと言うものの、モブリットはもう絶対に見ないと誓って、着替えを渡せばすぐに後ろを向いていたのであった

    「あ、当たり前ですよ…早くお着替え下さい」
    モブリットは頬を染めながら呟くように言った
  18. 29 : : 2014/07/30(水) 07:49:22
    ハンジの着替えの後は朝食だ

    だだっ広いダイニングにある、大きなテーブルで、一人ポツンと食事を摂るハンジ

    モブリットは後ろに控えて様子を伺いながら給仕をする

    「ねえねえ、モブリットも一緒に座って食べようよ~」
    ハンジは何度もそう言ったが、モブリットは首を振る

    使用人が主人と一緒に食事を摂る様な事は許されてはいない

    「モブリット、つれないなぁ…」

    そう言って寂しげな表情をするハンジに、モブリットはただすみません、としか口に出来なかった

  19. 30 : : 2014/07/30(水) 08:56:17
    朝食の後は学校だ

    モブリットは初等科の一年生、ハンジは三年生だ

    貴族や有力商人の子息が集まるこの学校

    モブリットが本来通うべき学校ではないのだが、ハンジのお側付きという肩書きがある以上、同じ学校に通うべきだという、主人の判断だった

    場違いな雰囲気に飲まれそうになりながらも、真面目に勉学に打ち込むモブリットであった

    立場の違いから、いじめに遭うこともあった

    「使用人が学校なんかに来やがって!!」

    「貧乏人のくせに!!」

    モブリットはそれらの心無い言葉を耳から耳へスルーさせて、穏やかな表情を崩すことはなかった

    それらの言葉は的を得ている、確かに場違いだ…それは自分が一番良く分かっているからだ

    だが、ハンジがその現場を目撃した時、モブリットの穏やかな表情が一変する

  20. 32 : : 2014/07/30(水) 09:09:24
    学年が違うため、ハンジはしばらくは、いじめに気が付いていなかった

    昼食を一緒に摂ろうと誘いに行った時、初めてその現場を目撃した

    心無い言葉を浴びせられているモブリットの姿を

    悲痛な顔一つしていないモブリットであったが、彼が忍耐強い事をハンジは知っていた

    嫌な事があっても、顔にも態度にもあまり出さないのだ

    ハンジは唐突に、握りしめた拳をいじめっ子の一人に炸裂させた

    「ハ、ハンジお嬢様!?」

    モブリットは慌てて止めに入る

    だが、ハンジの鬼気迫る表情は収まるところを知らず、ますます顔を怒りで赤く染める

    ハンジに殴られた相手は、昏倒していた

    「モブリットをいじめたやつ、他にもいるだろ…?出てきなよ」

    怒りで赤く染まった顔から紡ぎ出される、青い焔のような、一見冷たい言葉

    それは、いじめっ子達の背筋を凍えさせるに十分だった

    「ハンジお嬢様…」
    モブリットはハンジといじめっ子の間に立ちながら狼狽えた

    いつもにこにこと笑顔なハンジとは、打って変わった表情だったからだ

    「モブリットをいじめた奴は、絶対に許さないから…そのつもりでいなよ?」
    ハンジはそう言い捨てると、モブリットの手をぎゅっと掴んで、引きずるようにその場を後にした

  21. 36 : : 2014/07/30(水) 10:09:04
    「モブリット、言われっぱなしで嫌じゃないの?」

    ハンジはモブリットの手を引きながら、不機嫌そうに言った

    「…嫌じゃない訳では無いんですが…彼らの言っている事は間違ってはいませんし…」

    「モブリットの事はさ、お父様が自分の子どもだと思って育てるって言ってたよ!?だからあいつらの言ってる事は間違ってるんだよ」

    ハンジは頬を膨らませた

    「旦那様…有りがたいお言葉です、本当に。ですがハンジお嬢様、僕のために他人を殴ったりなさらないでください」
    モブリットは表情を曇らせながら言った

    ハンジは立ち止まり、モブリットの顔を覗き込む

    「どうしてだい?君が手を出さないから私が代わりに…」

    「僕のために、手を痛める様な事はなさらないでください。彼らには言わせておけば、いいんですから」
    モブリットはそう言って、ハンジに微笑みかけた

    「君がそう言うなら…もう手は出さないよ。でもその変わり…授業中以外はなるべく一緒にいよう?」

    ハンジはモブリットの頭を優しく撫でた

    「はい、ありがとうございます、ハンジお嬢様」
    モブリットはハンジの心遣いに、胸を熱くするのだった


  22. 45 : : 2014/07/30(水) 11:38:18
    学校での生活は、モブリットにとって楽しいものだった

    確かに心無い言葉は言われるものの、勉強をしたり、本を読んだりする事が、嫌な事を忘れさせてくれた

    昼にはハンジと一緒に食事が出来る

    その事も、モブリットにとっては楽しい待ち遠しい時間だった


    学校から帰ると、直ぐに着替えてまたお屋敷の仕事をする

    メイド達に混ざって掃除は勿論、買い出しに水汲みに、薪割りに…

    全てを一生懸命こなした

    必然的に、ハンジと顔を会わせる機会が少なくなっていたが、仕方がなかった

    「モブリットは、ハンジお嬢様のお側付きなんだから、もっとお嬢様のお相手をして差し上げなきゃだめよ?」

    メイド達がそう言うのだが、モブリットは首を振る

    「早く仕事を覚えたいんです、僕は…。ハンジお嬢様とも遊びたい…んですが…」
    モブリットは少し寂しげな表情をした

    まだ7才のモブリット
    本来なら遊びたい盛だ

    だが、自分が生まれた境遇からか、彼は年齢より大人びた考え方しか出来なかった

    「遊べばいいのに…」
    メイドはそう言って、モブリットの頭を優しく撫でた

    「はい、時間が出来ましたら…」
    モブリットは優しく接してくれるメイドに、微笑みを向けた

  23. 46 : : 2014/07/30(水) 12:19:49
    「モブリットー何やってるの?」
    ハンジはたまに、モブリットの仕事中にひょこっと顔を出した

    「今から薪割りをするんですよ、ハンジお嬢様」
    モブリットはにっこりと笑顔で答えた

    「薪割り、私も手伝うよ!!早く終わらせて、一緒に遊ぼう?」
    ハンジはモブリットの顔を覗きながら言った

    ハンジはなかなか遊んでくれないモブリットに、少々へそを曲げていた

    もしかしたら、虫が嫌いだから遊んでくれないのだろうか、と思ってもいた

    「ハンジお嬢様、僕は…」
    モブリットは申し訳なさそうな顔をして、言葉を発した

    ハンジはそれを見て、頬を膨らませる

    「わかったよ、モブリットは私が嫌いなんだね。だから一緒に遊んでくれないんだ…」

    そう言って、拗ねた

    モブリットがそうすれば困ることを知っているのに…

    案の定、モブリットは今にも泣き出しそうな顔をした

    「僕が…お嬢様を嫌いだなんて…そんな事…」

    震えるような声で、そう言うモブリットに、ハンジは慌てふためく

    「わ、わ、わ、ちょっと泣くなよ!?モブリット…泣いたらだめだよ!?」

    「…」
    モブリットは無言で、目に涙をためていた

    「あああ、泣くのは反則だよ…ずるいよモブリット…うわぁん!」

    ハンジは泣き出しそうなモブリットを見て、先に泣いてしまった

    そうなると、今度慌て出すのはモブリットだ

    守ると言ったその人を、泣かせてしまったのだから

    「ハンジお嬢様…すみませんすみません…お願いですから、泣かないで下さい…」
    モブリットはハンカチでハンジの頬を伝う涙を拭きながら、自らも涙を溢すのであった
  24. 47 : : 2014/07/30(水) 12:36:18
    「薪割り楽しいね!!やぁっ!!」
    パン!!

    ハンジが斧を降り下ろすと、小気味いい音と共に、薪が真っ二つに割れる

    結局ハンジに押されて、仕事を一緒にすることになったモブリット

    実は先程のやり取りを見ていた先輩メイドが気を効かせて、モブリットの他の仕事を肩代わりしてくれたのだった

    たまにはお嬢様と遊んであげて、と耳打ちされて…

    「ハンジお嬢様、とてもお上手です。でも、無理はなさらないでください。怪我されては困りますし…」

    モブリットはハンジを気遣う言葉をかけた

    ハンジはにかっと笑う

    「大丈夫大丈夫!!モブリットは心配性だなあ!?早く終わらせて遊びたいしね!!」

    パン!!
    そう言って、また薪を割るハンジ

    「ハンジお嬢様、そろそろ代わりますよ?」

    「やだよ~もう少しやらせて!!あと少しで終わるもん」

    結局、ハンジはモブリットに、斧を渡そうとはしなかった

    ハンジは知っていた

    モブリットの手のひらのまめがつぶれて、酷くなっている事を

    それでも仕事をさぼるようなモブリットではない事も、知っていた

    だから、無理矢理にでも仕事を肩代わりしてあげたかったのだった
  25. 48 : : 2014/07/30(水) 12:45:50
    こうして、ハンジや、屋敷の人たちに温かい心遣いを受けていたモブリットは、両親のいない心の隙間を感じなくなってきていた

    厳しいメイド長は相変わらずだったが、それでもモブリットは、メイド長を祖母としてと言うよりは、上司として尊敬の念を抱くようになっていた

    ハンジの父は、たまに帰ってきてはモブリットを部屋に呼んで、最近の出来事等を聞いた

    仕事を熱心にこなしながらも、成績の良いモブリットを誉めた

    モブリットは、そんな主人に対してますます尊敬の念を抱き、約束をした事を必ず守ろうと、心に誓うのであった

    ハンジをずっと見守るという事を…


  26. 49 : : 2014/07/30(水) 12:51:15
    ハンジとの遊び、はどちらかというと研究…と呼ぶのに相応しい物だった

    虫を採って観察したり、食物をいろいろ与えてみたり…

    虫があまり好きではないモブリットだったが、やがて慣れていった

    セミだけはどうしてもダメだったが…

    そんな平和で幸せな毎日を、モブリットは大きな屋敷で過ごしていた

    そして、10年の月日がたつ
  27. 50 : : 2014/07/30(水) 13:00:10
    せみを食べて泣き叫んだモブリット少年は、17才になっていた

    小さかった背も伸びた
    いつしかハンジよりも高くなっていた

    屋敷での仕事は全てを把握し、執事というメイドのさらに上の役職で呼ばれる様になった

    少し癖のある明るいブラウンの髪は、真ん中で綺麗に分かれている

    その下にある瞳は優しげで柔和な光を、常に宿していた

    メイド達の上に立とうとも、謙虚な姿勢は変わることはなかった

    メイド長は亡くなる時、彼に屋敷を取り仕切る様に言った

    死ぬまで屋敷の事を考えていた祖母であった

    結局自分を孫とは認識してくれなかったが、優秀な部下…としては認めてもらえたのだろう

    モブリットはそれで満足していた



  28. 51 : : 2014/07/30(水) 13:12:20
    「モブリットー見て見て!!すっごい発見だよ!!」

    ハンジは19才になっていた
    濃いブラウンの髪をポニーテールにして、眼鏡をかけている

    小さな頃から変わらないスタイルだ

    背はモブリットよりは幾分低かったが、女性にしては高い方であった

    すらりとした体型で、何を着ても似合いそうだが、スカートははいたことがなかった

    「ハンジお嬢様…俺は仕事中なんですが…」

    屋敷の切り盛りをするようになったモブリットは、経理からなにから任されていた

    凄く、忙しかった

    「分かってるよ、でもさあ…見てもらいたくって…君は執事になってから殆ど私に付き合ってくれないじゃないか」 
    ハンジは口を尖らせた

    「…すみません、お嬢様。ですが本当に今は手が離せなくてですね…」

    「そっかあ、モブリットは私の事が嫌いなんだね…」
    ハンジは上目使いでモブリットを見ながら言った

    目にうっすら涙をためて

    だが、モブリットは肩を竦める

    「そんな顔をしてそんなこと言ってもダメですよ。もうその手には乗りませんから」

    「…むー!!モブリットかわいくない!!なんだよもう!!」

    ハンジは頬を膨らませた

    「かわいくなくて結構ですよ。ハンジお嬢様はピアノのお時間まで、練習なさって下さい。まだソナチネが終わらないなんて、あり得ないです…」

    モブリットはため息をついた

    「だって、向いてないもん、嫌いだもん!!生物の研究だけでいいじゃないか!!なんでピアノなんかしなきゃならないんだよ…」

    ハンジは泣きそうな顔をした

    なんでしなきゃならないのか、それは…

    もうすぐ来るであろう、縁談のために他ならない

    モブリットは知っていたが、黙っていた
  29. 52 : : 2014/07/30(水) 13:25:43
    主人に呼ばれて、数人の写真とプロフィールを並べられたモブリット

    男性だ

    ハンジの見合い相手候補だった

    「ハンジの見合い相手には、誰が相応しいと思うかな?モブリット」

    プロフィールを見ると、全員貴族であった

    次男三男ばかり

    ハンジは一人娘だ、将来ゾエ家の当主になるために、婿にきてもらうのだ

    どの男性も、学歴や職は安定したものだった

    「…どのお方も、立派な方だと思います。俺には、選べません」
    モブリットは首を振った

    「お前の意見が聞きたいのだがな。一番ハンジの側にいた、お前の意見が」

    主人の言葉に、モブリットは小さく息をついた

    「この方は、年が…離れすぎています。この方は、貴族ですが、最近めっきり力を弱めた家です。借金の肩代わりでも、させられそうです」

    モブリットは数人のうち、二人を弾いた

    「なるほどな、その通りだ。ではこの二人のどちらかだが…」

    「この方は、女癖が悪いという噂です。ですので…」

    もう一人を弾く

    「この男なら、ハンジを幸せに出来るだろうか」

    残った写真に指で触れながら、主人は言った

    「はい…」
    モブリットは、頷いた

    頷く事しか出来なかった
  30. 53 : : 2014/07/30(水) 13:37:24
    「ねえねえモブリット、一緒に外出なんて久しぶりだね!!」

    ハンジはモブリットと共に、町に買い物に出ていた

    「そうですね、あ、ここですよ」

    モブリットに誘われて入った所は、上等な生地が沢山置いてある、仕立て屋だった

    「ここ、服作る店だよね?モブリットが作るの?」

    ハンジの疑問に、モブリットは首を振る

    「あなたの服ですよ、ハンジお嬢様」

    「えっ!?どうして急に!?」

    ハンジは首を傾げた

    「…あなたももう年頃なのですから、ワンピースの一枚や二枚、持っていなければなりません」

    「やだよ、似合わないもん」
    ハンジは口を尖らせた

    「この生地なんか…お嬢様に似合うと思いますよ。あててみて下さい」

    モブリットが手にしたのは、薄いピンクの生地だった

    ハンジの身体に生地をあてる

    「い、いらないのに!!」
    ハンジは顔を真っ赤にした

    「ほら、良くお似合いです。一枚はこの色にしましょうね…後は…」

    「ちょ、ちょっとまだ買うなんて言ってないのに!!」

    ハンジの抗議は無視されて、身体の採寸など滞りなく行われたのだった
  31. 54 : : 2014/07/30(水) 13:57:30
    「全く、君は横暴だよモブリット…私はワンピースなんか着ないのがポリシーなのに…」

    ハンジは公園のベンチに腰を下ろしながら、ぶちぶちと文句を言っていた

    「折角女性に生まれたのですから、綺麗に着飾って、美しくですね…」

    「や、やだよ!!着飾るとか冗談じゃないよ…拷問だ!!」

    ハンジはモブリットの言葉を遮る様に叫んだ

    「…着るんですよ、ハンジお嬢様」
    モブリットはハンジの側に立って、静かにそう言った

    「えっ?」

    「今度…あなたはお見合いをするんです。そのための、衣装なんですよ」

    モブリットのその言葉に、ハンジは目を見開いた

    「…うそ…」

    「本当です。見合いの相手は…立派な方です」

    モブリットは静かに言葉を続けた

    ハンジは立ち上がって、モブリットに詰め寄る

    「立派って、どんな人なんだい!?何が好きなの!?どんな性格!?」

    「…分かりません」
    モブリットは首を振った

    「そんな、訳分からない人と、お見合いなんかしなきゃならないの!?モブリットが選んだの!?」

    「俺が、候補の中から選びました。お見合いは、もともと知らぬもの同士が出会う場ですから、訳分からなくて当たり前です」

    怒りで顔を真っ赤にしたハンジを宥める事すらせずに、モブリットは冷静な態度で対応した

    「違うよ、違う!お見合いは、即結婚なんだよ!!そう決まってるんだ…私は、知らない人と、結婚なんかしたくないのに!!」

    ハンジはそう言うと、モブリットの頬を思いきり張って、駆け出して行ってしまった

    モブリットは、はぁとため息をついた

    「ハンジお嬢様…すみません」
    小さな声で呟いて、ハンジが駆け出した方へと脚を踏み出した

    頬の痛みは、胸の痛みと共に、モブリットを苛んだ
  32. 55 : : 2014/07/30(水) 14:10:06
    ハンジははぁはぁと息を荒くしながら、立ち止まった

    モブリットの頬を張った右の手のひらが、じんじんと痛かった

    握りしめると、涙が溢れてきた

    モブリットは悪くないのに、手を出してしまった…後悔の念が、ハンジの心に影を落とす

    お見合い…考えていない訳ではなかった

    いずれはそうなるだろうと、予想はしていた

    でも、あまりにも急過ぎた
    まだ、何も成していないのに…

    学校だって、高等科にやっと入ったばかりだ
    これからまだまだ、やりたいことがあった

    それに…モブリットの事だ

    何時も側にいて、自分の事を何よりも理解してくれていた彼の事

    モブリットと、離れなければならないのか

    彼が側にいる事が普通だったハンジにとって、それが他の男にとってかわる等、想像できなかった

    でも、モブリットは言った…見合い相手を自分が選びましたと

    ハンジはそれを聞いた瞬間、胸がきりきりと軋むような、そんな痛みを感じた

    「お見合いなんか…結婚なんか…したくないよ…」
    ハンジは涙を溢しながら、とぼとぼと宛もなく歩いた

  33. 56 : : 2014/07/30(水) 14:32:09
    モブリットは町をくまなく歩き回ったがハンジは見つからなかった

    結局なじみの店が、ハンジが屋敷に向かって歩いて行ったという情報を耳にし、急ぎ屋敷に戻った

    夕食の時間なのに、ハンジが部屋から出てこないというメイドの言葉に、モブリットはハンジの部屋を訪れた

    ノックをしたが、返事がない

    モブリットは静かに扉を開けて、部屋に入った

    初めてこの部屋に入った時から変わらない、乱雑に物が置かれている机の上

    投げ出されていたノート…モブリットに何度も見せようとしていた、研究ノートだ

    それを手に取り、舌をまく…一人でここまで調べたのかと

    執事になってから、殆どハンジの話にも、遊びにも、勉強にも、付き合ってやらなかった

    忙しかったからだが、今更ながらにその事を後悔した

    もう、一緒にいられる時間は少ないというのに…

    ノートを閉じて、目を伏せる

    せみの脱け殻を食べるという衝撃的な出会いから、毎日を共に手を携えて過ごしてきた

    ハンジの屈託のない笑顔に、自分が心から惹かれていくのに、時間はかからなかった

    義務感からだけではなく、ハンジを守りたいと思うようになっていた

    ベッドにそっと歩み寄ると、ハンジはうつ伏せで眠っていた

    顔が横を向いている…頬にははっきりと、涙の跡が見えた

    モブリットは、その頬に手を伸ばそうとして、引っ込めた

    「…ハンジ、お嬢様…すみません…」

    小さな声で謝罪する…泣かせてしまった事、相手をしてあげられなかった事

    …だがもう取り返しはつかない

    モブリットは肩を落として、だが、ハンジの身体に布団を掛けると、部屋を後にした

  34. 57 : : 2014/07/30(水) 14:55:32
    その日は結局、ハンジは夕食を摂らなかった

    モブリットが何度呼んでも、答えてくれる事はなかった

    翌朝、何時もの時間に起こしに行ったが、鍵がかかっていた

    本格的に嫌われたのかもしれない

    その方が、いいのかもしれない…モブリットはそう思った

    自分がこうして世話をするのも、彼女が結婚するまでの話なのだから

    結婚すれば、自分のようなお側付きは邪魔なだけだ

    モブリットは、主人の部屋へと足を運んだ


    「…出ていくと言うのか?些か性急すぎやしないか、モブリット」

    部屋を訪れるなり、辛そうな表情で重大な発言をしたモブリットに対して、主人は肩を竦めた

    「相手からしましたら、自分の様なお側付きがいるというのは、いい気がしないでしょう…。そしてお嬢様も、お怒りのようですし…」

    モブリットは静かな口調でそう言った

    「お前はそれでいいのか?行く宛はあるのか?」

    「旦那様のお陰で、勉強ができましたから…働く場所は事欠きません。行く宛はありませんが、故郷に戻ろうと思っています」

    モブリットはぺこりと頭を下げた

    「…本気なのか」
    主人はモブリットの表情からなにかを読み取ろうとするかの様に、じっと彼を見据えた

    「一つだけ、お願いがあるのですが…」
    モブリットは、主人にそう言って、話を始めた

    主人はモブリットの言葉をじっと聞いて、頷いた

  35. 58 : : 2014/07/30(水) 15:05:29
    ハンジは、モブリットが起こしにきたのを知っていた

    既に着替えも終え、支度を整えていた

    だが、部屋を出る気にはなれなかった

    一日部屋でごろごろとしていた


    モブリットが居なくても、何でも出来る…そう思いたかった

    結婚すれば、学校にも行けなくなる

    結婚した女が学校に通ったり働いたり、そんな話は聞いたことがなかった

    もう、研究もできない

    机の上のノートを手にとって、ため息をついた

    この研究、モブリットが継いでくれないだろうか…そんな考えが頭をよぎった

    そして、頭を振る

    モブリットに顔向けなんか出来るはずがない

    思いきり、ぶってしまったのだから

    彼は何も悪くないのに

    いつも優しくて、自分の事を一番に考えてくれていたモブリット

    そんなモブリットに対して、なんて仕打ちをしたんだろう…ハンジは両手で顔を覆った

    謝ろう、そしてノートを渡そう

    ハンジはそう決心して、部屋を出た
  36. 59 : : 2014/07/30(水) 15:21:03
    ハンジが屋敷の中を探し回っても、モブリットの姿はなかった

    メイド達に聞いても、皆言葉を濁して教えてくれなかった

    何となく嫌な予感がした時、呼び鈴が鳴った

    ハンジが誰よりも先に玄関に向かうと、昨日の仕立て屋だった

    「お嬢様、ワンピースが一着完成致しましたので、お持ちいたしました。あと一着はしばしお待ちくださいね」

    仕立て屋は、ハンジに箱を手渡すと、屋敷を後にしていった

    「お嬢様、試着してみませんか?」

    ハンジは返事を言う隙も与えられず、メイド達によって半強制的に出来立ての服を着せられたのだった

    「お嬢様、よくお似合いです…。桜色のワンピース」

    そう、モブリットが選んでくれた生地だった

    「モブリットは…どこ?皆、知ってるんだろ…?教えて…?」

    ハンジは、スカートの裾を握りながら、小さな声で言った

    「…お嬢様、旦那様がお帰りになりましたら、旦那様からお聞きになって下さい…」

    メイドの言葉に、ハンジは頷くしかなかった
  37. 60 : : 2014/07/30(水) 15:49:10
    夜、食事の後で父の部屋に行ったハンジ

    「お父様、モブリットは何処に行ったの…?」

    「ハンジ、見合いをして、結婚しても、学校には通っていいそうだ。相手方がそう言っていた」

    父はハンジの言葉に返事をしないまま、そう言った

    だが、ハンジは首を振る

    「そんな事はどうでもいいの。モブリットは何処に行ったの?」

    「出ていったよ。お前を守る役目を終えたと言ってな」

    父の言葉に、ハンジは机をばんと叩く

    「役目って何だよ!!モブリットは…」

    「モブリットに頼んでいたんだ。お前を守ってくれとな」

    ハンジは父の言葉に首を何度も振った

    涙が溢れて、瞳からこぼれ落ちた

    「私を守るのが、役目…?私のために、今まで…?私、そんな事、頼んでないよ…」

    ハンジはついに、泣き崩れた

  38. 61 : : 2014/07/30(水) 16:09:21
    「モブリットは、故郷へ帰ると行っていた。まだ、遠くへは行っていないかもしれんな」

    父の言葉に、ハンジは顔を上げる

    「…ありがとう、お父様」
    ハンジはそう言うと、立ち上がった

    「ハンジ、戻って来てくれるか?」

    父の言葉に、ハンジは頷く
    「はい、モブリットを連れて、帰ってきます」

    「わかった。気を付けてな」

    ハンジは父の言葉を背に、屋敷を飛び出した

    馬屋から一頭馬を連れ出し、ヒラリと跨がる

    夜の闇を切り裂くようなスピードで、街道を疾走する


  39. 62 : : 2014/07/30(水) 16:35:00
    モブリットは、街道筋の宿で一夜を明かす事にし、部屋のベッドに腰を掛けていた

    故郷に向かう街道を馬車と徒歩でのんびり旅するつもりだった

    あの人との沢山の思い出の詰まった、あの屋敷に思いを馳せながら

    ベッドに突っ伏し目を伏せると、浮かぶのはハンジの笑顔

    彼女の見合い相手を決めた時に感じた、胸に突き刺さる様な痛み

    ついに来るべき時がきた…わかってはいたのだが、いざそうなってみると、その苦しい痛みはどうやっても収まらなかった

    離れるしかないと思った

    離れるべきだと、思った

    何のお礼も言わずに出てきてしまった

    その事も、更にモブリットの心を重くしていた

    自分よりも大切な人

    誰よりも幸せに、誰よりも笑顔になってほしい人

    あの人の笑顔のためならなんでも、できた

    それなのに、最後の最後であの人を泣かせた

    モブリットの瞳から涙がこぼれ落ちた

    「ハンジお嬢様…ごめんなさい…」
    モブリットは、そう呟いて、枕に顔を埋めた
  40. 63 : : 2014/07/30(水) 16:45:16
    馬を走らせて数時間、街道筋に宿が見えてきた

    ハンジは情報をを入手しようと、宿に入った

    すると、宿帳にモブリットの名前を発見したのだった

    「間に合った…」

    ハンジは宿の主人に言われた部屋へ向かった


    部屋の扉をノックすると、返事が聞こえた

    紛れもなく、モブリットの声だ

    扉が開くと、モブリットが目を見開いて、何度も瞬きした

    「ハンジ…お嬢様…どうして…」

    今にも消え入りそうな声で、モブリットは目の前にいる女性の名を呼んだ

    「君が勝手に出ていったから…追いかけてきたんだ」
    ハンジはそう言うと、笑顔を見せた

    モブリットが守りたかった、大好きな、笑顔だった

  41. 64 : : 2014/07/30(水) 17:04:13
    部屋に入ると、薄暗い部屋に簡素なベッドが見えた

    ハンジはベッドに腰を下ろした

    「馬で駆けてきたんだ…疲れたよ」

    そう言って、足をぶらぶらさせる

    モブリットは何も言わずに、ハンジのブーツを脱がす

    足を軽く解しながら、ちらりとハンジの様子を伺う

    すると、ハンジもモブリットの様子を伺っていたのか、目があった

    「…君、泣いていたの?モブリット」

    ハンジはモブリットの頬に涙の跡を見つけてそう言った

    目尻も赤かった

    「…泣いていませんよ」

    「嘘だ。目が赤いもん」

    ハンジはそう言うと、ベッドから降りてモブリットの顔を覗きこんで、頬に触れた

    「…少し、感傷的になっていました」

    「どうして勝手に出ていったんだい…?追い付いたから良かったけど…」

    ハンジの言葉に、モブリットは項垂れた

    「すみません…ハンジお嬢様…」

    「謝るなら私だよ…叩いちゃってごめんね」
    ハンジもまた、項垂れた
  42. 65 : : 2014/07/30(水) 17:20:35
    「モブリット、私…お見合いしないよ」

    ハンジはそう言い放った

    「ど、どうしてですか…?結婚しても学校や研究は…」

    「うん、お父様はそう言ってた。相手方がそれで良いって言ったって。でも私ね…気がついたんだ」

    ハンジはそう言うと、モブリットの手を引っ張って立たせた

    自分より少し背が高い彼を、じっと見つめると、モブリットは顔を赤く染めた

    「研究よりも学校よりも、君と一緒に…いたかったんだ、私」

    「俺と、一緒に…?」

    モブリットは目を見開いた
  43. 66 : : 2014/07/30(水) 17:34:53
    「モブリットはさ、今まで私のために、私を守るために側にいてくれた…だから、これからは、私が…モブリットを守るよ」

    ハンジはそう言うと、モブリットの手をぎゅっと握りしめた

    「…で、ですが…俺と、ハンジお嬢様では…」

    「釣り合わないとか、無しだよ。それはもう言うのは止めよう。お父様や、君のお婆様、お母様みたいに、辛い経験を繰り返さないためにもね」

    ハンジはそう言うと、モブリットの頭を撫でた

    二人はベッドに腰を下ろして、話を始めた

    「君のお母様はね、最初お屋敷で働いていたんだって。君と同じ様にね…とても美人だったから…お父様がお嫁さんにしたかったみたい。で、君のお祖母さんもそのつもりだった…けど…」

    ハンジはそこで言葉を止めた

    「君のお母様は、他に好きな人がいた。同じ町の、商人の息子だった。二人は…駆け落ちしたんだ。お父様と、君のお祖母様が、二人の事を許さなかったから…」

    「お父様は、たいそう落ち込んだらしい。君のお祖母さんは立派なメイドだったから、娘が主人を苦しめたのを許せなかった…そして、絶縁してしまったんだ…」

    「そう、だったんですか…」
    ハンジの話に、モブリットは頷いた

    「私は…身分なんかいらないんだ。君と一緒にいられないなら、君を誘拐してでも駆け落ちしようと思っていたんだ」

    ハンジは不敵な笑みを浮かべた

    「は、ハンジお嬢様!?」

    「君はお堅いから、素直に気持ちを受け入れてくれるとは思えなかったしね」

    ハンジはそう言うと、微笑みを浮かべた
  44. 67 : : 2014/07/30(水) 17:43:00
    「ねえ、モブリット」
    ハンジはモブリットの手をぎゅっと握りしめ、身体をモブリットに寄せる

    「はい、何でしょうか、ハンジお嬢様」
    モブリットは肌に感じるハンジの温もりに、顔を赤くする

    「大好きだよ…ずっと前から…好きだった。だから、一緒に帰ろ?」

    ハンジの言葉に、モブリットは
    「…はい、ありがとうございます…ハンジお嬢様…」

    そう言って、また泣きそうになるのであった

  45. 68 : : 2014/07/30(水) 17:54:27
    「ねえ、今日はここで一緒に泊まろう?折角だし、いいだろ?」

    ハンジの言葉にモブリットは仰天する

    「い、いいわけないじゃないですか!?一応言っておきますが、俺は男ですよ…?」

    モブリットは後ずさった

    「分かってるよそんな事。君の裸は何度も見てるしね。何がついてるかくらい知ってるよ」

    「…ち、小さな頃の話を持ち出さないで下さいよ…」

    モブリットは顔をこれ以上ないほど真っ赤にそめた

    「屋敷に戻ったらどうせ忙しいって相手してくれないだろ…?だから今のうちだよ。善は急げというやつさ」

    「こ、こんなことはきちんと結婚を決めた相手とですね…」

    「モブリット、結婚しよう?」

    ハンジはそう言うと、モブリットをベッドに押し倒した

    「ちょ、ちょっとハンジお嬢様!?むぐっ…」

    モブリットの慌てる言葉を無視して、ハンジは彼の唇に、自分のそれを押し付けた

    「結婚、するのしないの?どっち?モブリット…」
    唇を離してそう言うハンジに、モブリットは

    「俺でよければ…喜んで婿になります」
    真摯な眼差しを彼女に向けて、そう言うのであった
  46. 69 : : 2014/07/30(水) 18:03:54
    「じゃあ、問題ないよね!!」
    ハンジはそう言うと、モブリットに跨がったまま、服を脱ぎ始めた

    「ま、ま、待った!!ハンジお嬢様!!」

    モブリットは慌てて制止する

    「何だよ…気が削がれるじゃないか」
    ハンジは口をとがらせた

    「こういう事は、きちんと旦那様に結婚の許しを得てからですね…ってああこら!!」

    ハンジは既に下着だけになって、次はモブリットの服を脱がせ始めた

    「そんなの、許してもらえなくても結婚するから、関係ないよ…ん~モブリット…何だかセクシーで興奮してきた…」

    ハンジはモブリットのブラウスをはだけさせて、その首筋や胸板にキスを落とす

    「うわぁぁ、ハンジお嬢様!!生き急ぎ過ぎです!!あんた男みたいな台詞言わないで下さいよぉぉ!!」

    「あんたって言われちゃった…もう結婚するしかないね…ふふ」

    「あああ、もう!!」

    結婚の約束をなかば強引にとりつけたハンジは、愛しいモブリットと夜の熱い抱擁…を積極的に行うのであった
  47. 70 : : 2014/07/30(水) 18:16:54
    翌朝ハンジはモブリットと共に屋敷に戻る

    妙に疲れきっているモブリットに対して、ハンジはつやつやと元気で、父にモブリットと結婚することを報告した

    「モブリット…よろしく頼むぞ?」
    主人の言葉に、モブリットはしっかり頷いた

    「はい、頑張ります」

    「私も頑張るよ、お父様!」

    「ハンジお嬢様はもう頑張らなくても!!」
    モブリットは突然顔を赤くしてそう言った

    「モブリットは妙に疲れきっているが、何かあったのか?」
    主人が怪訝そうな顔をモブリットに向けた

    「いやいや、何も!!ちょっといろいろ試したら脱け殻のように…あはは」

    「いろいろって何だ?」

    「夜の…」

    「何でもありません旦那様!!俺は元気ですはい!」

    ハンジの言葉を遮るようにモブリットが叫んだ

    「モブリット、まだ元気なんだね!?」
    ハンジがまた不敵な笑みを浮かべた

    「きょ、今日はもう無理です!!」

    「だから何の話だね?!」

    二人はこうして、暖かい家庭を築き、仲睦まじく暮らしていくのであった


    ―完―



  48. 71 : : 2014/07/30(水) 18:22:14
    最後がw続き欲しいwwwwww
    面白かったです!
  49. 72 : : 2014/07/30(水) 18:24:39
    >クロノスさん☆
    最後にドタバタになりましたw
    読んで頂きありがとうございます!!
    これの続きw下ネタにしかなりそうにないですww
  50. 73 : : 2014/07/30(水) 20:59:25
    凄い!モブリットの名言来たー!
    うん!見たいよ!続き!期待です!
    (気がはえぇw)
  51. 74 : : 2014/07/30(水) 21:03:47
    >ハンジもどきさん☆
    ハンジお嬢様!!生き急ぎ過ぎです!!ですかねw
    続き、書けたら書きますねw
  52. 75 : : 2014/07/31(木) 08:21:20
    執筆お疲れ様でした。
    最後の方は、にやけながら読んでいました。うふふ…←
    この2人には是非幸せになって欲しいです!
    地の文が分かりやすかったので、その場面ごとの映像が脳内で再生でき、とてもすらすらと読めました。
    87さんのモブハンは、まさに私の理想のモブハンです。
    これからも執筆頑張って下さい!
  53. 76 : : 2014/07/31(木) 08:25:04
    >さきら君さん☆
    読んで頂きありがとうございました♪
    にやけながら読んで頂けて本望ですっ!!(●^o^●)
    地の文、分かりやすいと言って頂けて嬉しいです♪私の作品の、多分一番の特色かなあ…と思っていますので(//∇//)
    理想のモブハン!!これからもモブハンを書き続けますので、また遊びにきて下さい♪
    お待ちしています(*´∀`)
  54. 77 : : 2014/07/31(木) 08:32:23
    うわああああああ!
    モブハン感動しました!
    次回作期待してます\( •̀ω•́ )/
  55. 78 : : 2014/07/31(木) 08:33:54
    >リヴァイ兵長かっけーっすさん☆
    うぁぁぁ!!読んで頂きありがとうございました♪
    感動していただけて嬉しいです(//∇//)
    また書き続けますので、遊びにきてくださいね♪
  56. 79 : : 2014/08/01(金) 17:53:07
    87さん、こんばんわっ!! 砂糖愛舞です☆
    この作品を読んで、より一層モブハンが好きになりました♪
    次回作に期待です(*^^*)
  57. 80 : : 2014/08/01(金) 18:05:59
    >>砂糖愛舞さん☆
    こんばんは♪
    読んで頂きありがとうございます(*´∀`)
    モブハンますます好きになって下さって、嬉しいデス♪
    これからもモブハン沢山書いていきますので、遊びにきて下さい(●^o^●)
  58. 81 : : 2014/08/02(土) 00:48:17
    やっぱりモブハンもいいですね♪
    とても面白かったです*\(^o^)/*
    ずっとニヤニヤしてました\(//∇//)\
    次の作品、期待してます♪(((o(*゚▽゚*)o)))
  59. 82 : : 2014/08/02(土) 00:55:18
    >メープルさん☆
    モブハン気に入って頂けて嬉しいデス♪
    にやにやしていただけて幸せ!!
    また頑張りますので、遊びにきて下さい(●^o^●)
  60. 83 : : 2014/08/07(木) 05:47:07
    はじめまして♪はるみんです☆
    お疲れ様でした!いいですね!このお話大好きですっ!モブハンもハマってしまいました(笑)
  61. 84 : : 2014/08/07(木) 19:03:02
    >はるみんさん☆
    こんにちは♪
    読んで頂きありがとうございます(*´∀`)
    わあ♪お話気に入って頂けて嬉しいです♪
    ありがとうございますm(。≧Д≦。)m
    モブハンワールドへようこそw
    歓迎しますよぅぅぅ(^-^)v
  62. 86 : : 2014/08/11(月) 08:42:13
    題名を見て「こ、これは...」と既にニヤニヤ状態でしたw
    最後に特にハンジさんの幸せそうな描写があって、もう、バカップル爆発しろ!でしたw
    執筆お疲れ様です♪
  63. 87 : : 2014/08/11(月) 10:06:37
    >妹姫☆
    読んで頂いてありがとうございます♪
    題名からにやにやでしたかww
    うん、モブハンは爆発すべきだと思いますw
    また懲りずに遊びにきてねw
  64. 88 : : 2014/08/11(月) 15:56:31
    すいません!>>85は妹のいたずらです
  65. 89 : : 2014/08/11(月) 16:04:16
    >>88
    いえいえw投下ミスかなあと思っておりました♪
    おきになさらないで下さいね(*´∀`)
  66. 90 : : 2014/09/02(火) 22:27:06
    >>89ありがとうございます!!!そして面白かった!!
  67. 91 : : 2014/09/02(火) 22:51:58
    >雨宮リンドウさん☆
    読んで下さってありがとうございます♪
    面白いと言って頂けて嬉しいです(*´ω`*)
  68. 92 : : 2014/09/13(土) 20:22:34
    めっちゃ面白ろかったです!
  69. 93 : : 2014/10/15(水) 23:53:25
    >Ayakaさん☆
    ありがとうございます♪
    そう言って頂けて嬉しいです(///∇///)
  70. 94 : : 2014/10/15(水) 23:55:13
    ロメ姉の書くモブハンは最高です。
  71. 95 : : 2014/10/16(木) 00:04:27
    >とあちゃん☆
    ありがとう(´;ω;`)ほんと嬉しいです(///∇///)
  72. 96 : : 2014/10/16(木) 00:45:18
    師匠の書く作品は本当に最高ですよ!!
    モブハン大好きになったのも師匠のおかげです!!いつまでも応援してます!そして、永遠のファンです!!
  73. 97 : : 2014/10/16(木) 07:02:45
    >EreAni師匠☆
    師匠、暖かいコメントありがとう(///∇///)
    細く長く、お互い頑張ろうね♪
    私も師匠の永遠のファンやで~(σ*´∀`)

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fransowa

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