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進撃の巨人Another 第41話 『邂逅と思惑』 ――ストヘス区急襲編 No.1――
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- 1 : 2014/06/30(月) 00:07:08 :
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進撃の巨人Another 第41話 『邂逅と思惑』
――ストヘス区急襲編 No.1――
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- 2 : 2014/10/09(木) 20:37:43 :
――――壁外調査の4日後(配属35日目)の朝――――
上官「整列!」
ババッ
上官「あー、今日からこの憲兵団ストヘス支部に配属になる新兵を紹介しよう」
ザワザワ
上官「…マルコ・ボットだ」
ユーク「…!」
アニ「……」
マルコ(ユーク…アニも)チラッ
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- 3 : 2014/10/09(木) 20:38:07 :
上官「俺は『デニス・アイブリンガー』。いわゆるお前達の上司だ」
マルコ「はい!」
上司「基本的に今年の新兵は俺が監督している。何かあれば、都度俺に報告するように」
マルコ「はっ!」ビシッ
上司「じゃあ、お前も自己紹介しろ」ポリポリ
マルコ「『マルコ・ボット』です。皆、よろしく」ニコッ
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- 4 : 2014/10/09(木) 20:38:22 :
ユーク(そうか…噂で聞いていた新兵って、マルコだったのか…)
アニ(マルコ、久しぶりだね。ユークがこの間のトロスト区戦で窮地を救ったんだっけ)
上官「ボットは、トラスやレオンハートと同じトロスト区の訓練所の出身か」
ユーク「はい、そうです。久しぶりに会えて自分も嬉しいですよ」
アニ「……」コクリ
マルコ「ユーク…」
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- 5 : 2014/10/09(木) 20:39:17 :
上官「同じ出身の奴が居るなら、日常で困ったり心配になったりする事も少ないだろうな」
マルコ「はい」
上官「とりあえず、はじめはお前達二人がボットのサポートをして、色々教えてやれ」
ユーク「はっ」ビシッ
アニ(とか言って、自分が面倒事を避けたいだけなんだろうね、このダメ上司)ビシッ
マルコ(ユークとアニが居るなら、とても心強いね。それに本来の目的のためにも都合が…)
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- 6 : 2014/10/09(木) 20:40:13 :
マルロ「あの…少し質問してもよろしいでしょうか?」
上官「なんだ?」チラッ
マルコ(彼…もしかして、ユークが以前お見舞いの時に話していた…)
ヒッチ(こいつ、また時間掛かるような事聞くんじゃないでしょうね?)ジロリ
上官(頼むから、面倒な事だけは聞いてくれるなよ?)
マルロ「なぜ、このタイミングで配属されたのですか?」
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- 7 : 2014/10/09(木) 20:40:33 :
マルロ「同じ新兵なら、先月の段階でここへ来ていたはずでは…」
マルコ「それは…」
ユーク(まぁ、マルコは怪我していたしな)
アニ(完治するまで時間が掛かったっていうだけなんだろうけどね)
ユーク(でも、マルコもここへ来るとは…)
アニ(同じ出身でも、配属が分かれることはあるらしいし…偶然だよね?)
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- 8 : 2014/10/09(木) 20:41:10 :
上官「あぁー、トロスト区戦の事は皆も知っているだろうが…」
マルロ「……」シーン
上官「ボットは、その戦いで負傷してしまったようでな。その療養に時間が掛かっただけだ」
ザワザワ
マルコ「……」コクリ
上官「とはいえ、元は成績優秀な新兵だと聞いているから、憲兵団入りも何も問題はない」
上官「…面倒事さえ、起こさなければ…な」
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- 9 : 2014/10/09(木) 20:41:33 :
シーン
ユーク(やっぱり…)
アニ(本心はそっちだろうね…)
マルロ(腐ってるか)
マルコ(今のが、この上官の本音なのだろうか…?)チラッ
上官「じゃあ、ボットの“入団式”もこれでお開きだ」
上官「そうだ、フォイルナー」チラッ
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- 10 : 2014/10/09(木) 20:42:17 :
新兵「はい」
上官「お前、今は寮の部屋を一人で使っているだろう?」
新兵「そうですね。合部屋ですが今は自分一人です」
上官「じゃあ、今日からボットはフォイルナーの部屋に振り分ける」
新兵「分かりました」
マルコ「よろしくね」
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- 11 : 2014/10/09(木) 20:43:43 :
上官「じゃあ、荷物はテキトーに運んでおけ。仕事開始まで時間もないし、さっさとな」
上官「後はフォイルナー、お前に任せる。仲良くしとけよ」ヒラヒラ
スタスタ スタスタ
新兵「……」
マルコ「…あの」
新兵「あ、すまん。オレは『ボリス・フォイルナー』だ。気軽に『ボリス』と呼んでくれ」
ボリス(新兵)「同じ部屋になる事だし、これからよろしくな」
マルコ「うん。よろしく。俺の事も『マルコ』でいいよ」
マルコ「皆も、これからよろしくね!」
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- 12 : 2014/10/09(木) 20:44:14 :
「あぁ、よろしく」
「背高いねー!」
マルコ「じゃあ、早速部屋に案内してもらってもいいかな?」
ボリス「あぁ、いいぞ。上官も言っていたように、仕事まで時間ないし、さっさと行こう」
マルコ「あ、それと少し待って…」
ボリス「ん?」
マルコ「ユーク!」
ボリス(ユーク…?そうか。さっき同じ訓練所出身って言っていたっけ)
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- 13 : 2014/10/09(木) 20:44:52 :
ユーク「マルコ、久しぶりだな」
アニ「元気そうだね」
マルコ「うん。おかげさまでね…言葉の通り」
ユーク「…感謝はもう要らないぞ?」
アニ(ほんと、なんで助けちゃったんだか…)
マルコ「…あぁ!俺はこれからお前に返す番だ」
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- 14 : 2014/10/09(木) 20:45:07 :
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ユーク「いや、だからいいんだって。仲間を助けるのは当然の事だった」
アニ(揺らがないでね、ユーク)
マルコ「でも、ここでもまたライバルだ。少し遅れを取ったけど…よろしくね」ジッ
ユーク「…あぁ。また鎬《しのぎ》を削り合うか…楽しみだ」
マルコ「勿論、負けないよ…っと!急がないといけないんだった。じゃあ、また後でね!」
ユーク「さっさと支度して来いよ」
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- 15 : 2014/10/09(木) 20:45:50 :
タッタッタ
ボリス「やっと、挨拶が終わったか」
マルコ「ごめん、お待たせ。すぐ行くよ」
ボリス「今までだって、ずっと一緒に居たんだろ?」
マルコ「まぁ、そうなんだけど。こうしてこの憲兵団で再会するとなると…ね」
ボリス(同じ訓練所だったって事は…アニもこいつと仲良かった…のか?)チラッ
マルコ(突然、黙ってどうしたんだろう…どこか見てる?)
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- 16 : 2014/10/09(木) 20:46:21 :
ワイワイ…シーン
ユーク「…どう思う、アニ?」
アニ「別に…多分、偶然じゃない?」
ユーク「…なら、いいんだけどね。俺達も向かおうか」
アニ「そうだね。もう皆行ったみたいだし」
ユーク「とりあえず、怪我も治って元気そうで良かったよ。精神面でもね」
ユーク(マルコがここへ来たのは、やはり偶然か…?)
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- 17 : 2014/10/09(木) 20:48:32 :
――――更に3日後(配属38日目)――――
ユーク「どうだ、マルコ。3日経って少し落ち着いたか?」
マルコ「うん。おかげさまでね。妙な緊張はもうないよ」
ユーク「流石、マルコ。肝が太いな」
マルコ「ユーク達が懇切丁寧に教えてくれるから、とても馴染みやすかったんだよ」
ユーク「まぁ、こうして毎日一緒に朝食を食べたり行動を共にしたりしているからな」
マルコ「そうだね。それに…ここの食事は、訓練所に比べてはるかに質がいいし」
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- 18 : 2014/10/09(木) 20:49:00 :
ユーク「そこは俺も思ったな。役得ってやつだよ」
マルコ「まさかユークからそんな言葉が出るとは思わなかったけど、まさにその通りだ」
ユーク「それに、人と一緒に食べる食事は…旨いからな」
マルコ「それは…そうだね。皆とまた会いたい」
ユーク「…っと!あんまり懐古ばかりもしている余裕もないぞ?」
マルコ「そうだった。俺達はまだまだ新兵。これからだね」
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- 19 : 2014/10/09(木) 20:49:31 :
アニ「…って、話しに花を咲かせるものいいけどね」
マルロ「俺達が居るのも忘れるなよ?」
ヒッチ(また変なのが入ってきた…うひひ、遊べそう)
ボリス「……」
ユーク「このテーブルも遂に6人掛けになったか」
マルロ「いつもは、俺とボリスを除いた4人で食べていたんだっけ?」
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- 20 : 2014/10/09(木) 20:49:53 :
ユーク「まぁ、いいんだよ。増えて困る事もない」
アニ(私は静かにしていたい派だけどね)
ヒッチ「そうそう!楽しければいいんだよ」
ボリス「……」チラッ
アニ(ん?視線?)
マルコ「迎えられているみたいで嬉しいよ」
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- 21 : 2014/10/09(木) 20:52:09 :
――――訓練中――――
マルコ「格闘訓練か…ここにもあるんだよね。昨日知ったけど」
マルロ「よしっ!マルコ、俺が相手しよう」
マルコ「あ、ならよろしくね」
マルロ「あいつに散々鍛えられているからな。お前で確かめてみる」
マルコ「あいつ?」
マルロ「……」チラッ
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- 22 : 2014/10/09(木) 20:52:50 :
「アニー!たまには対戦しようよ」
「え、アンタ相手だと本気出しそうだから、ダメ」
「えぇー、そんなぁー」
「怪我したくないし」
「実践だとそういう訳にもいかないでしょ?」
「アンタはあいつでもテキトーに鍛えてなよ」
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- 23 : 2014/10/09(木) 20:53:13 :
マルコ「あぁ、やっぱり彼か」
マルロ「悔しいが、俺には手も足も出ないのが現実だ」
マルコ「うん。彼…相当強いからね…格闘に限らず」
マルロ「俺は、あんなに強い奴とは今まであった事がなかった。同じ歳には思えない」
マルコ「そう…だね。彼の中にも崩せない意志が…あるんだろうね」
マルロ「だから、俺はあいつから学ぶ。そして、自分の物に昇華させる!」
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- 24 : 2014/10/09(木) 20:53:39 :
マルコ「なんで、そこまで強くなろうと?」
マルロ「俺はこの憲兵団を一新したいと思っているからな!まずは強くなる事だ」
マルコ「だから、彼に鍛えてもらっているって事?」
マルロ「あぁ。ここで恥を気にするなど、そんなつまらん矜持《プライド》は捨てた」
マルコ「真っ直ぐなんだね、君って…」
マルロ「俺は自分の目的だけを見つめ続ける…最早、全てはその過程に過ぎない」
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- 25 : 2014/10/09(木) 20:55:37 :
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マルコ(ユーク…君はここでもまた一人に強い影響を与えたんだね)
マルコ(きっと、マルロだけじゃなくて、他にも影響を受けている人は必ずいるはず)
マルコ(俺もいつか…そんな大きな器の人間になりたいよ…)
マルコ(それに、このマルロの真っ直ぐな正義感。この憲兵団を改革したいとする強い意志)
マルコ(こんな人がもっと沢山いたら…世界は大きく変わるのかもしれない)
マルコ(そして、そんな意志を持った彼らを導く者が…そこに現れたのなら…それも叶う?)
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- 26 : 2014/10/09(木) 20:57:32 :
――――翌日(配属39日目)――――
スタスタ スタスタ
マルコ(こうして、建物内の事や人間関係も少しずつはっきりしてきた事だし、目的へ…)
マルコ(俺の目的は…ユークとアニの事を“直接”調べる事)
マルコ(それが…アルミンとエルヴィン団長から依頼された事)
マルコ(この二人が巨人だなんて、到底思いたくないけど…)
マルコ(逆に言えば、ここで彼らがそうでないと判断出来れば、それは信頼に足る証拠)
マルコ(俺は…彼らを信じるために…心を鬼にして彼らを疑うんだ!)
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- 27 : 2014/10/09(木) 20:57:48 :
スタスタ ピタッ
マルコ(とにかく、彼らと親密に話をしない限り、何も真実は見えてこない)
マルコ(何か怪しい事があるのなら、話をしているうちにほころびが生まれるはず)
マルコ(今まで通り、何気なく話すつもりで、もっと接近を試みよう)
マルコ(今日は確か、ユークと一緒に書類の仕事が入っていたはず)
マルコ(アニは別の仕事が任されているから、彼女に話を聞くのはまた次の機会に…)
マルコ(…よし!やるぞ!!)
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- 28 : 2014/10/09(木) 20:58:18 :
ガチャ
ユーク「おっ、マルコ来たか。おはよう」
マルコ「おはよう、ユーク。もう来ていたとは早いね」
ユーク「…早く終わらせたくてね」ムスッ
マルコ(なんか不機嫌そう…)
ユーク「だから、こうして既に取り掛かっているんだよね」
マルコ「ええと…急ぐ理由あったっけ?」
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- 29 : 2014/10/09(木) 20:58:34 :
ユーク「…定時までに終わらせたいから」
マルコ「確かに書類系は定時過ぎる事が多いみたいだけど、そんなの慣れっこなんじゃあ?」
ユーク「アニ…ここに居ないから」ムッスー
マルコ(あぁー、やっぱりそういう事…)
ユーク「さっさと終わらせて、アニの元へ向かう」カリカリ
マルコ(ユークの行動原理は、彼女の存在が大きいのか…?)
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- 30 : 2014/10/09(木) 20:58:59 :
ユーク「……」セッセッ
マルコ「そういえば、ユーク」カリカリ
ユーク「何?」イソイソ
マルコ「上官は?」
ユーク「さぁ?どうせ明け方までトランプでもしていて、今は寝ているか飲んでいるかだろ」
マルコ「うわぁ…その様子だともう慣れてるって感じだね」
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- 31 : 2014/10/09(木) 20:59:50 :
ユーク「救いようがない奴らだからな。気にするだけ無駄だし、諦めてる」カリカリ
マルコ「この書類の手順とかは、勝手に進めて大丈夫なの?」
ユーク「昨日、上司達が消える前に予め手順や決まり事を聞いておいたからな」
ユーク「あとは俺達の“自己責任”で、好きなように進めてもいいんだと」
マルコ「自己責任って…そんな事でいいの?」
ユーク「彼らに責任感など残っていない。彼らの中にあるのは、自分の立場の保身だけだ」
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- 32 : 2014/10/09(木) 21:00:05 :
マルコ「実態を見ると…そうなのかもしれないけど」
ユーク「お前もここに4日居るのなら、ここが既に腐敗しているのが分かっただろ?」
マルコ「…うん。残念だけど、ここには俺が目指した憲兵団の姿はなかった」
マルコ「人は…皆ああやって自分の事しか考えないようになっていくんだろうか…」
ユーク「…そうしょげるなよ。マルロのように強い意志を持って前を向く奴もいる」
ユーク「お前は、あいつと同じ『強くなれる存在』だ」
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- 33 : 2014/10/09(木) 21:02:25 :
マルコ「……」
ユーク「3年間寝食を共にし、訓練に励んだ友として、俺はお前を理解しているつもりだ」
マルコ「…!」
ユーク「お前は現実に屈することなく、あいつと共に強くなって行け」
マルコ「ありがとう…ユーク」
ユーク「あぁ」コクリ
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- 34 : 2014/10/09(木) 21:02:46 :
マルコ「そういえば、少し話を戻すけど」
ユーク「なんだ?」
マルコ「こんな風に、新兵だけで不備が無いように書類を書くのって、とても難しいよね?」
マルコ「間違えても怒られるし、かといって向こうからはやり方を教えてくれないし」
ユーク「だから、予め詳細を聞いておくんだよ」
ユーク「酔いつぶれていたら話にならないし、機嫌が悪くない時間帯を狙って聞くしかない」
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- 35 : 2014/10/09(木) 21:03:13 :
ユーク「それが、俺がこの1ヶ月の間に気が付いた『ダメ上司への対処法』だな」
マルコ「流石だね…順応したり、本質に気付いたりするのに長けているや」
ユーク「元より何にも知らない俺達は、まず聞くしか選択肢がないからな」
ユーク「要はタイミング見計らって聞けば、必要な事は喋ってくれる」
ユーク「あとは、俺達が注意して仕事するだけだな。この方法は皆にも教えてある」
マルコ「情報の共有は大事…だもんね」
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- 36 : 2014/10/09(木) 21:03:40 :
ユーク「そっ!こうしておけば、皆助かるし、自分に被害が及ぶリスクも大きく軽減できる」
マルコ「他人を簡単に見捨てない君が…とても大きく見えるよ」
ユーク「ん?なんでだ?」
マルコ「窮地の俺やミーナを救って…命を生かした」
マルコ「君の根底にある不屈の心は、人間の鑑《かがみ》だ」
ユーク「…素直に受け取っておく。照れるな」
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- 37 : 2014/10/09(木) 21:05:10 :
マルコ「…さっ!頑張って手を動かそうか」
ユーク「そうだな。お前が居れば書類との格闘も心強いし、雑談をたまに挟めば気が紛れる」
マルコ(次、雑談のチャンスが訪れた時に…話を切り出そう)
ユーク「……」カリカリ
マルコ(あくまで普段通りに…仕事の片手間に話すかのように…)
ユーク(…マルコは、巨人に対して恐怖心を抱いていないのだろうか?)
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- 38 : 2014/10/09(木) 21:05:29 :
――――――――
マルコ「ところで、ユーク」カリカリ
ユーク「ん?」カリカリ
マルコ「先日の調査兵団の壁外調査の事…何か聞いた?」
ユーク「何かって、何だ?」
マルコ(特に反応した様子は…ないみたい。筆も止まっていない)
ユーク(…来たか)
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- 39 : 2014/10/09(木) 21:06:53 :
マルコ「帰還したアルミンが話してくれてね。折角だから、ユークにもと思って」
ユーク「…それは、ありがたいな。片手間に聞かせてくれるか?」カリカリ
マルコ「うん。そうするよ。書類…まだあるからね」カリカリ
ユーク「……」
ユーク(下手に向かい合って話をすると表情の僅かな変化で悟られるリスクがある…)
マルコ(仕事は継続か。少しでも動揺した様子が見られれば、そこから追及していこう)
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- 40 : 2014/10/09(木) 21:07:47 :
マルコ「今回の壁外調査では、思わぬ敵との遭遇で大打撃を受けたらしい」
ユーク「そうなのか?ここにいると、外からあまり情報が入ってこなくて分からないな」
マルコ「女型の巨人と…仮面の巨人と呼ばれる、知性を持った巨人が発見されたんだって」
ユーク「知性…ねぇ」
マルコ「発見されたというより、襲撃されたという表現が正しいらしい」
ユーク「その2体に調査兵団がやられたって事かい?」
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- 41 : 2014/10/09(木) 21:08:26 :
マルコ「……」
ユーク(“壊滅”とは、決して表現しない…こういうありふれた言葉で濁すのが肝心だ)
マルコ「そう。あまりの奇襲で隊の半分は壊滅寸前まで追い詰められたそうだよ」
ユーク「物騒だな。でも、なんでそいつらに知性があると分かったんだ?」
マルコ「…他の無知性巨人を操り、知性的な戦い方をしていたからだそうだよ」
ユーク「巨人を操った?」
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- 42 : 2014/10/09(木) 21:09:31 :
マルコ「声で巨人を呼び寄せたり、指示を出したりする能力があるみたいって、アルミンが」
ユーク「…なるほどね。実際に状況に遭遇した者でないと、説明が難解みたいだな」
マルコ「調査兵団も、彼らに知性がある事に結論付けるには、かなり時間が掛かったみたい」
ユーク「それで、結果はどうなったんだ?」
マルコ「結果?」
ユーク「どちらかを捕獲したとか、討伐に成功したとか、あるだろ?」
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- 43 : 2014/10/09(木) 21:09:44 :
マルコ「あぁ…それは…」
ユーク「…散々やられて逃げるので精一杯だったって事か?」
マルコ「そう…らしい、どうもね」
ユーク「…今回の壁外調査の目的は…確か、拠点作りだったっけ?」
マルコ「そうだね。エレンの故郷であるシガンシナ区の地下室へ向かうための経路確保」
ユーク「エレンを安全に運ぶための拠点作りが目的か」
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- 44 : 2014/10/09(木) 21:10:22 :
マルコ「他にも、壁外調査に初めて参加するエレンをはじめ、新兵達に経験値を得させる事」
ユーク「壁外をなにも知らずにいきなりシガンシナへ、というのは流石に無理があるからな」
マルコ「でも、今回は新たな敵の出現のせいで、大きく損害を受けたようだけど」
ユーク「その『女型』と『仮面』というのは…どういう奴だったのか聞いたか?」
マルコ「あぁ…その呼び名の通り、今まで未発見だった『女型の巨人』」
マルコ「そして、通常種とはまた別の…顔に『仮面』のような皮膚を纏った巨人だよ」
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- 45 : 2014/10/09(木) 21:11:01 :
ユーク「『女型』というのが…本当に居たとはな」
ユーク「そして…『仮面』とやらの妙な種も」
マルコ「驚きの発見だね」
ユーク「あぁ、そうだな…払った犠牲も大きいだろうが…」
マルコ(あまり…動じていないみたい)
ユーク(今初めて聞いた風に装うんだ…さも、『なるほど』、という風に)
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- 46 : 2014/10/09(木) 21:11:26 :
マルコ「何か他に聞きたい事とかあるかい?」
ユーク「…なぁ、他には…いや」
マルコ「…?」
ユーク(危ない…あの『獣』の事をうっかり聞いてしまうところだった)
ユーク(『他に敵はいなかったのか?』、と…)
マルコ「何か気になる事が?」
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- 47 : 2014/10/09(木) 21:11:45 :
ユーク「…アルミンがそこまで詳細に教えてくれたのか?」
マルコ「え?う、うん…そうだよ?」
ユーク(憲兵団に来る事が決まっていた奴に、なぜそこまで詳細に…?)
マルコ(まずいな、俺…何か勘付かれるような話し方をしただろうか…?)
ユーク(もし仮に…仮に、アルミンが何かを狙ってマルコを差し向けているとすると…)
ユーク(この先の会話は、より用心しないといけないだろうな)
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- 48 : 2014/10/09(木) 21:12:12 :
マルコ「そういえば、君とアニは壁外調査の間は、休暇を取っていたんだって?」
ユーク「あぁ。二人で休みを楽しもうと思ってね」
マルコ「どこに行って来たんだい?」
ユーク「ん?ローゼ内をぶらぶらと二人旅していたよ。勿論、楽しかったけどな」
マルコ「まぁ、君は彼女と居ればどこでだってそうだろうけどね」
ユーク「ははっ、分かってるな、マルコ」
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- 49 : 2014/10/09(木) 21:15:28 :
マルコ「それは、もう…見てきたから分かるさ」
ユーク(ほころびが出ないように、事細かな事までは離さないように逸らそう)
マルコ(うぅーん、詳細までは聞き出せそうにないかな?しつこいと怪しまれるし…)
ユーク「…お!もう書類の山も終わるな」
マルコ「…ほんとだね。いつの間にか、もう終わりが見える」
ユーク「こうして話をしていると、時間もあっという間に過ぎるものだな」
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- 50 : 2014/10/09(木) 21:16:26 :
マルコ「でも充実していたんじゃ…ないかな?」
ユーク「あぁ、多分な」
マルコ「それじゃあ、ラストスパート掛けて頑張ろうか!」
ユーク「よしっ!アニに会いに行く!!」
マルコ「君はずっとそれだね」アハハ
ユーク「それくらい大切な存在なんだ…さて、集中」
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- 51 : 2014/10/09(木) 21:17:17 :
マルコ(本日の収穫…おそらくなし。時間は少ないだろうけど、地道に…)
ユーク(…油断大敵だな。アニにもこっそり伝えておかないと)
マルコ(この沈黙の戦いは…長期戦になりそうだ…だけど、必ず“どちらか”の確証を!)
ユーク(マルコは…ただ疑うような奴じゃない…疑う事で信用を持とうとしているんだ!)
マルコ(俺は…最後まで君達を信じたい…君達は敵なんかじゃないって)カリカリ
ユーク(だけど、悪いな、マルコ…お前の期待には…応えられそうにない)カリカリ
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- 52 : 2014/10/09(木) 21:17:58 :
――――――――
ヒッチ「ねぇ、アニ~。ここどうやるのぉ~?」
アニ「さっき言ったでしょ?この部分は、上官の印が要るから保留だって」
ヒッチ「じゃあ、ここは?ここは~?」
アニ「アンタ、ほんとに人の話聞いてたの?ここはこう書いておけばいいんだよ」
ヒッチ「うへぇぇ、書類もう嫌ぁ~~!!」バターン
アニ(…もうヤダ、帰りたい…でも、このままだと書類終わらないし帰れない――――)
別の部屋では、こんな様子である
今日、ユークがアニの元へ向かう事は、おそらく叶わないだろう…
To be continued...
【あとがき】
自らが救った命と邂逅した“英雄”
その友の背中には、何者かが鳴りを潜めるのか
影の存在。両者の思惑が交錯する沈黙の戦いが幕を開けた――――
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- 53 : 2014/10/09(木) 21:19:56 :
珍しく1回で一挙投稿!
明日は、42話を完結させます。では、また~。
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- 54 : 2014/10/09(木) 21:26:59 :
- 今回も素晴らしかった(^-^)
なんかアニからボロが出そう......欺け!アニ!
続きを期待して待っております( ̄^ ̄)ゞ
-
- 55 : 2014/10/09(木) 21:29:26 :
- >>54
さぁ、どうかな~?ww( ̄▽ ̄)
-
- 56 : 2014/10/09(木) 22:14:30 :
- >>55 ニヤニヤして待っています!
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- 57 : 2020/10/26(月) 14:09:55 :
- http://www.ssnote.net/users/homo
↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️
http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️
⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
今回は誠にすみませんでした。
13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
>>12
みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました
私自身の謝罪を忘れていました。すいません
改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
本当に今回はすみませんでした。
⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️
http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi
⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ごめんなさい。
58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ずっとここ見てました。
怖くて怖くてたまらないんです。
61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
お願いです、やめてください。
65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
元はといえば私の責任なんです。
お願いです、許してください
67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
アカウントは消します。サブ垢もです。
もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
どうかお許しください…
68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
これは嘘じゃないです。
本当にお願いします…
79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ホントにやめてください…お願いします…
85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
それに関しては本当に申し訳ありません。
若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
お願いですから今回だけはお慈悲をください
89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
もう二度としませんから…
お願いです、許してください…
5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
本当に申し訳ございませんでした。
元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。
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