このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
進撃の調査劇団~人魚姫~
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- 1 : 2014/05/28(水) 12:12:38 :
- こんにちは。執筆を始めさせていただきます。
今回は、ハンジさんを普段とは別の視点で描いている部分があるので
ハンジファンの方には、抵抗あるかも、です。
数珠繋ぎも、ハンジさん大好きですが、だからこそ、描いてみようと思いました。
…あ、もちろん、ちゃんと演劇もやりますよ。(^^)
では…
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- 2 : 2014/05/28(水) 12:13:50 :
- ※ハンジ視点から、始めていきます。
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- 4 : 2014/05/28(水) 12:17:28 :
- きっとこの想いは
言葉にすると
そっと崩れ去るだろう。
私は不安だった
私は怖かった
飽くなき探求心と、様々な視点から、人類への希望を見いだそうとする毎日のなかで
私は…怖くてたまらなかった
ねぇ、あなたは受けとめてくれる?
愛がなくてもいい
その温かい身体さえあれば、いいから…
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- 7 : 2014/05/28(水) 12:24:41 :
- <壁外にて>
私は使命感に燃えていた。
巨人の生態を研究し、人類の勝利へと近づく。
憎しみではなく、別の感情や視点を糧にして。
そのためには、巨人の生け捕りが必要だった。
私は、躍起になっていた。
「あの人は、狂っている。」
変人の巣窟、そう呼ばれている調査兵団のなかで、私はその代名詞のような存在だった。
でも、やる。
私自身のためだけじゃない。
壁の外の世界に憧れ
でも…もう、永遠に見ることのできなくなった、仲間たちのために。
私はやる。
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- 10 : 2014/05/28(水) 12:40:30 :
- ハンジ 「あっ…あの巨人、奇行種かな。いい顔してんじゃん。連れて帰れないかなぁ…」
モブリット 「ぶ…分隊長…こんな状況で…」
周りには、巨人が数体。皆、必死で戦っている。
分かってますって。私は、分隊長。兵士たちを1人でも、無事に壁の中へ帰す責任がある。
我が副官殿は、冗談が通じないんだから…。
ハンジ 「分かってるって。」
周りの状況を、今一度確認する。
すると…ある1体の巨人が目にとまる。
ハンジ 「あっ…その巨人…ちょっと、待って!!」
今まさに、うなじを削ごうとする兵士に、私は待ったをかける。
兵士 「えっ…!?」
当然のことながら、兵士は驚き、戸惑う。
私は、すぐさま兵士のもとへと駆け寄る。
ハンジ 「いい具合に弱ってる。完全に再生するまで、しばらくかかるだろうね。生け捕りには、ちょうどいい…」
兵士 「は…はあ…」
戸惑う兵士を尻目に、私は目の前に迫る生け捕りという成果に、高揚し、これから繰り広げられるであろう実験の日々を思うと、快感すら覚えた。
ハンジ 「よし、生け捕り用のワイヤーを持ってきておいてよかったよ。さっそく手配を…」
兵士 「う…うわぁぁぁっ!!!」
兵士の悲鳴に振り向くと、まだ再生しきれていない巨人の手が、兵士の体をつかんでいる。
兵士 「た…たすけ…て…」
そして…彼は…
ハンジ 「…あ…」
喰われた。
程なくして、撤退命令が下された…。
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- 12 : 2014/05/28(水) 12:50:10 :
- <数日後…>
エルヴィン 「さて、さっそく今回の演目だが…」
ハンジ 「」
エルヴィン 「人魚姫だ。」
リヴァイ 「少女趣味だな。」
ペトラ 「私たちが、未だかつて見たことのない、海が舞台なんですよね。」
グンタ 「海に住む、体の半分が魚のお姫様の話だったよな。」
エルド 「そして、王子との恋が叶わぬまま、海の泡となって消える…」
オルオ 「なっ…涙なしには観られねぇぜ…」ウウウウ…
グンタ 「オルオ、泣くなよ。」
ペトラ 「あんたの出演枠は、無いわよ。」
エルド 「確かに、男役といえば、王子くらいか…」
オルオ 「フッ…俺の出ばn…」
ペトラ 「無理。」
エルド 「オルオ…否定ではなく、拒否られたな…」
グンタ 「気持ちは分かるが…」
オルオ 「ペトラ…人魚姫を演じる自信がないからって俺を束縛するのもいいかげんに…」
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- 13 : 2014/05/28(水) 12:55:41 :
- リヴァイ 「…おい…」
ハンジ 「」
リヴァイ 「おい、クソメガネ。」
ハンジ 「…えっ?」
リヴァイ 「どうした。クソでも出なくて困ったようなツラしてやがる。」
ハンジ 「…そんなこと…ないけど…」
リヴァイ 「いつもなら、ジャックがいいだの、なんだのとうるさいが…」
ハンジ 「え…今回は、人魚姫なんでしょ。いいと思うよ、それで…」
リヴァイ 「…ならいいが。」
ペトラ 「ハンジさん…なんか元気ないですよ。体調が優れないんですか?」
ハンジ 「…ううん、何でもない。大丈夫。」
エルヴィン 「では、さっそく配役を決めよう。」
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- 14 : 2014/05/28(水) 13:15:57 :
- ハンジ 「…あのさ…」
エルヴィン 「なんだ、ハンジ。」
ハンジ 「私…人魚姫やりたいな…なんて。」ヘヘヘ
エルヴィン 「…ペトラ、それでいいか?人魚姫役は、やはり女性がいいと思うのだが…」
ペトラ 「ええ、構いません。じゃあ私は、隣国の姫役ですね。」
グンタ 「…魔女役もありますが…」
エルヴィン 「それはミケに頼んだ。」
エルド 「ミ、ミケ分隊長にですか!?」
エルヴィン 「ああ。あいつも、この前のかぐや姫の帝役で、出番が少なかったと不満を漏らしていてな…今回も出演のはこびとなった。」
一同 (…ほんとかよ…)
ペトラ 「あと、人魚姫の姉役もほしいのですが…」
エルヴィン 「それは、ナナバに頼んである。」
エルド 「今回、104期は、スケジュールの都合で、来られないんですよね…」
グンタ 「…あとは、俺とエルド、オルオ、そしてリヴァイ兵長か…」
オルオ 「兵長は…」
リヴァイ 「…あ?」
オルオ 「兵長は…王子様が似合うと思います!!!」
グンタ 「おお!」
エルド 「よく言った、オルオ!」
ペトラ 「オルオ、今世紀で唯一の名言ね!」
エルヴィン 「よし…王子役はリヴァイだな。」
グンタ 「…あと残ってる枠といえば…」
エルド 「人魚姫の姉って、けっこういたよな…」
グンタ&エルド ………ハァ。
オルオ 「おっ…王子様の執事役なんてのは…」
エルド 「おお!」
グンタ 「オルオ、お前今日どうしたんだ。やけに冴えてるな!」
エルヴィン 「うむ…今回は、配役が比較的保守的だな…」
リヴァイ 「毎回ナレーターにおさまってるやつが、何言ってやがる。」
エルヴィン 「演技指導もやるぞ。」
リヴァイ ハァ…「とにかく、衣装合わせするぞ。」
一同 「は~い!」
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- 15 : 2014/05/28(水) 13:26:51 :
- <衣装部屋にて>
キラリラ~ン
エルド 「ふっ…」
グンタ 「執事コス…」
オルオ 「完、成…」
エルド 「…というか、オルオ…」
オルオ 「なんだよ。」
エルド 「お前…執事っていうより…じいやだな。」
グンタ 「じい…www」
オルオ 「ああっ!?エルド、自分が一番イケてるとか、思ってるんじゃねぇだろうな!?」
エルド 「…いやいや。そんな俺なんて…」フッ…
オルオ グヌヌ…(…言い返せないのが、悔しい…)
グンタ 「…なあ、俺はどうかな。」
エルド 「…どうと言われても…」
オルオ 「普通だな。」
エルド 「お、おう。」
グンタ 「…そうか…」ハァ
エルド 「でも、なんか、優秀なベテラン執事ってかんじだぞ。」
オルオ 「ああ。新人教育にも厳しそうというか…」
グンタ 「…とにかく、変じゃないことだけは分かった…」
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- 25 : 2014/05/28(水) 20:48:53 :
- オルオ 「兵長の王子様…どうなってるかな…」
エルド 「衣装部屋は別だからな…」
グンタ 「兵長のお姿を拝見できるのは、舞台の上か…」
オルオ 「楽しみだな。」
グンタ 「ああ。」
オルオ 「兵長…」
エルド 「…ところで…」
グンタ 「どうした、エルド。」
エルド 「ハンジ分隊長のマーメイド姿よりも、ペトラのお姫様姿よりも、兵長の王子様姿を期待する俺たちって…」
グンタ 「エルド!!!」
オルオ 「バカ野郎だな、お前は!」
エルド 「…えっ…」
グンタ 「俺たちは、リヴァイ班だぞ!」
オルオ 「そんな俺たちが…兵長以外の何に期待するっていうんだ!!!」
エルド ガーン…「す…すまない…」
グンタ 「分かれば、それでいいんだ…」
オルオ 「時には、道に迷うこともあるさ、エルド…」
オルオ (…と言いつつも、実はちょっとペトラのお姫様も期待してるんだが…言えねぇよな…)ドキドキ
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- 26 : 2014/05/28(水) 21:15:54 :
- 【開幕】
エルヴィン 「昔むかし、海の底に、人魚の住む国がありました。」
ハンジ 「…ねぇ、エルヴィン…」
エルヴィン 「どうした、ハンジ。」
ハンジ 「この格好…恥ずかしいよぉ…///」※ハンジさん、人魚姫コスです。髪をおろし、メガネも外してみました♪
エルヴィン 「人魚姫なんだから、我慢しなさい。」
ハンジ 「なに、その理屈…っていうか、ナナバは?」
エルヴィン 「まだ、ナナバもミケも到着しないんだ…間に合えば良いのだが…」
ハンジ 「…はぁ…」
エルヴィン 「続けるぞ…人魚の国には、ひときわ美しい、人魚姫がいました。」
ハンジ (…てか、私しかいないけど…)
エルヴィン 「人魚姫は、夜な夜なこっそり海から上がっては、地上の世界に、憧れを抱いていました。」
エルヴィン 「そんなある日、人魚姫はいつものように、海の上から顔を出し、地上の世界を眺めていました。」
ハンジ (外の世界、か…まるで人魚姫って、壁の外に憧れる、私たち人類と、なんか似てるかも)…ナンテ
エルヴィン 「すると、大きな船が、海の上をゆっくりと進んでいるのを見つけ、人魚姫は、船へ近づいていきました。」
ハンジ (リヴァイ…ちゃんとやってるのかな…)
エルヴィン 「船の上には、美しい王子様が乗っていました。」
ハンジ 「」
エルヴィン 「人魚姫は、一目で王子様のことが、好きになりました。」
ハンジ 「…って、リヴァイが見えないんだけど!?」
エルヴィン 「…おかしいな。甲板の上に出ることになってるはずだが…」
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- 27 : 2014/05/28(水) 21:43:41 :
- 【一方、船の上では…】
エルド 「おお…」
グンタ 「これは…」
オルオ 「へい…ちょう…」
リヴァイ 「…なんだ。」
オルオ 「高い位置に備え付けの椅子に、長い脚を組んで座り、悩ましく頬杖をつき、極めつけは、ワイングラス…」
グンタ 「そしてその、不機嫌そうな目付き…」
エルド 「これはまさに、サディスティック王子の名にふさわしい…」
オルオ 「ぜひとも自分を蹴りあげてくださいっ!」
リヴァイ 「…生憎だが、俺にそういう趣味はねぇ。」
エルヴィン 「…すまないが、リヴァイ、甲板へ出てくれないか。人魚姫が王子を見つけられず、困っている。」
リヴァイ 「…さっき出た…しかし…」
エルヴィン 「なんだ。」
リヴァイ 「…汚いうえに、掃除する道具が何も無い。この椅子の上が一番ましだった。俺は甲板には出ない。人魚姫にそう伝えろ。」
オルオ 「さすが兵長…見事なわがままぶりだ。」
ハンジ 「んもぉ!」
エルヴィン 「人魚姫は頑張って、船の上まで上がりました。」
ハンジ バタァン!「ちょっと、リヴァイ!!」
リヴァイ 「やればできるじゃねぇか、クソメガネ。」
ハンジ 「そんなっ、悠長にっ、椅子のっ、上にっ、座ってるっ、暇があるんならっ、さっさとっ、甲板にっ、あがれっ、てんだよっ!」
エルド (ハンジ分隊長…人魚姫役だから、足が魚のしっぽの着ぐるみに固定されてて、ここまで匍匐前進で来たのか…)サスガ。
リヴァイ 「…ここまで来れたこと…誉めてやろう。」
グンタ 「ラスボスみたいだな…」
エルヴィン 「…カット!!」
エルド 「まさかの…」
エルヴィン 「リヴァイ…もっと優しい王子様オーラを出すんだ。」
リヴァイ 「…あ?」
ハンジ 「エルヴィン…それは無理な注文だよ…」ツカレタ…
エルヴィン 「今回からは、演技指導にも熱を入れようと思ってな。王子様というのは、かっこよくて優しい、世界中の女の子の憧れなんだぞ。もっと自覚をもて、リヴァイ。」
リヴァイ 「…これは持論だが…」
リヴァイ 「物事には常に、変革を求めるべきだと思う。この機会に、その王子様ってやつのイメージを、俺は今、ぶっ壊してみたくなった…」ゴゴゴ…
ハンジ 「あっちゃ~、リヴァイ怒らせたっぽい…」
リヴァイ 「とにかく、俺は汚いところには居たくない。あと、ワインの追加を持ってこい…以上だ。」
エルド 「…はっ、ただいまお持ちします!」ダッ
グンタ 「…王子様って、意外にこんなかんじなのかもな…」
オルオ 「兵長ぉ…痺れるっスぅ…」
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- 29 : 2014/05/28(水) 21:57:39 :
- エルド 「…兵ちょ…王子、ワインです…」
リヴァイ 「…ああ。」
トクトクトク…
リヴァイ 「…あと、1つ…」
グンタ 「…なんでしょう…」
リヴァイ 「そこの汚ねぇ人魚を、片付けておけ。」
ハンジ ムカッ「ちょっと、ひどいよリヴァイ!」
リヴァイ 「…お前がなぜ率先して人魚姫をやってるかは知らんが…」
ハンジ 「」
リヴァイ 「…余計な茶番に付き合う気はねぇよ。」
ハンジ 「…そんな…私はただ…」
エルド 「さ、とにかく、立ちましょう、ハンジさん。」
ハンジ 「ありがと、エルド。君は優しいね。どっかの誰かさんとちがって。」
グンタ 「衣装が汚れてしまいましたね…さ、このタオルを使ってください。」
ハンジ 「ありがと、グンタ。君は気づかいが良いね。どっかの誰かさんとちがって。」
オルオ 「兵長、肩こってませんか、なにか、食べるものをお持ちしましょうか。もうすぐ、汚い人魚は片付きますから…」
ハンジ 「オルオぉぉぉ…」ゴゴゴ…
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- 44 : 2014/05/31(土) 08:29:35 :
- 【公演再開】
オルオ 「兵長!肩をお揉みしましょう!」
エルド 「兵長!ワインのおかわりを!」
グンタ 「兵長!靴が汚れてます!磨きましょう!」
エルド 「兵長!」
グンタ 「兵長!」
オルオ 「へいちょょょう!」
リヴァイ 「…別に深い意味はないが…」
エルグンオル 「は?」
リヴァイ 「俺の班に…ペトラがいて、よかったと思う。」
エルグンオル 「!!!?」
エルド 「兵長…そんなにペトラのことが…」
グンタ 「ペトラ…可愛さ余って憎さ100倍…」
オルオ 「俺は越える!ペトラを越えてやるぞ!!」
リヴァイ 「…だから、深い意味はねぇと言ってるだろ。言ってみれば…そうだな、お前ら、飯食ってる時のことを、考えてみろ。」
エルグンオル 「……はあ…」
リヴァイ 「旨いといっても、ずっと肉、肉、肉と肉が続くと、飽きるし、胃にもこたえるだろ。3口に1ぺん位は、野菜が食べたくなる。…俺も年をとったのかもしれんが、たまに野菜だけでも良い時もある…」
エルド 「…それはつまり…」
グンタ 「俺たちにかまわれてるばかりでなく…」
オルオ 「時には、ペトラにもかまってほしくて…」
エルド 「そして時には…」
グンタ 「ペトラだけでも…」
オルオ 「…良いと…」
リヴァイ 「いや、そういう意味ではn…」
エルド 「兵長!自分は、悲しいです!」
グンタ 「兵長に、自分はどれだけお仕えしてきたことか…」
オルオ 「あの夜に、俺に言ったことは、ウソだったんですか!?」
リヴァイ 「いや、いつの夜だ俺はお前と夜を過ごした覚えはねぇ1人でつっ走ってんじゃねぇ!!!」
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- 45 : 2014/05/31(土) 08:53:36 :
- ハンジ 「ね~え、リ~ヴァ~イ~!」
リヴァイ 「…なんだ。」
ハンジ 「つ~まんない~っ!」
リヴァイ 「黙れクソ人魚。」
ハンジ 「うわ。新ジャンル。」
リヴァイ 「メガネをかけてねぇからな。」
グンタ 「そういえばハンジさん…まだずいぶん汚れが残ってますね…」
ハンジ 「そりゃそうだよ。グンタが渡してくれたタオル、ガッサガサで拭くと痛いんだよ。それにエルド、こんな冷たい床の上に寝かされたら、風邪ひいちゃうよ、まったく…」
エルド 「…はあ…すみません…」
ハンジ 「今、リヴァイ班に足りないもの、それは…」
エルグンオル 「それは?」
ハンジ 「女子力!」
エルグンオル 「女子力!?」
ハンジ 「やっぱペトラがいないとね。君たち、いつもペトラがいて、気遣ってくれるのが、当然だと思ってるんじゃないのかね?」
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- 49 : 2014/05/31(土) 15:36:59 :
- エルド 「…ペトラ…」
グンタ 「そういえば、この公演が始まってから、ずっと感じていた、この空虚な気持ちは…」
オルオ 「フッ…俺の女房役としてはまだまだだが…」
エルド 「ペトラがいないから、なのか…って、ペトラはオルオの女房役など、これっぽっちも望んじゃいないけどな。」
オルオ 「…お前にあいつの何が分かる…」
グンタ 「そのセリフをそのままお前に返したい…」
エルヴィン 「…そろそろ嵐をおこすか…モブリット、嵐だ。」
モブリット 「了解です!」
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- 51 : 2014/05/31(土) 15:45:55 :
- 【嵐!!!】
ゴォォォォ!!!
ハンジ 「わわっ…揺れるぅっ!」
エルド 「確か、ここで王子が海に溺れて、人魚姫が助けるんでしたよね!?」ウワッ、ユレル!
オルオ 「人魚姫にゃ任せておけねぇ!俺が兵長を…」
グンタ 「話がややこしくなるから、やめとけオルオ!!」
リヴァイ 「チッ…よく見りゃ、俺よりも人魚姫のほうが、参っているようだが?」
ハンジ 「ううっ…ぷ…気持ち悪い…」
グンタ 「人魚姫が…船酔いしてる…」
エルヴィン 「船酔いしている人魚姫を、王子様は優しく優しく介抱してあげました。」
リヴァイ 「あ?ふざけn…」
エルヴィン 「…と言いつつも、王子様は優しく優しく優しく、人魚姫を介抱しました。」
エルド 「兵長…おそらく、人魚姫を介抱しないことには、団長も次の段階には進めないと思います。ここは、一思いに…」
エルヴィン 「王子様は優しk…」
リヴァイ 「…仕方ねぇな…」
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- 53 : 2014/05/31(土) 16:00:02 :
- リヴァイ 「…おい、クソ人魚…」
ハンジ 「う~リヴァイ~、気持ち悪い…」ウェェ
リヴァイ 「…ここで吐きやがったら吊るして干物にするぞ。」
ハンジ 「…うん…がんばる…」
リヴァイ 「この揺れはいつまで続くんだ…」
ハンジ 「わ~揺れ…」
パサッ…
ハンジ 「………る…」
エルヴィン 「王子様は、人魚姫を優しく胸元に抱き寄せ、大丈夫だよ、と、ささやきました。」
リヴァイ 「ささやいてねぇ!抱き寄せてねぇ!!離れろクソ人魚!!!」
ハンジ 「は…ごめ…ん…///」
エルヴィン 「王子様は、嵐がおさまるまで、人魚姫を優しく抱き、守り続けました。」
リヴァイ 「…おら、そういうことだ、しばらく離れるな。」
スッ…
ハンジ 「…あ、ああ…うん…///」
エルヴィン 「そして、次第に嵐はおさまっていきました…」
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- 54 : 2014/05/31(土) 16:10:02 :
- エルド 「…揺れが…」
グンタ 「おさまった…」
オルオ 「…ってて…頭打った…」
リヴァイ 「…おい、いつまでもくっついてるんじゃねぇ。」
ハンジ 「…そうだね…」
リヴァイ ハァ…「…どうするんだ。本当はお前が俺を助けるんじゃなかったのか?」
ハンジ 「うん…ごめん…」
リヴァイ 「ま、これで話が終わるんなら、好都合だが…」
エルヴィン 「王子様も、人魚姫のことが大変気に入りましたが、人魚姫は王子様の制止をふりきり、海へ戻っていきました。」
リヴァイ 「話は続くようだな…さっさと行け。」
ハンジ 「うん…あのさ、リヴァイ…」
リヴァイ 「…なんだ。」
ハンジ 「……ありがと。」
リヴァイ 「さっさと海へ沈め。」
ハンジ クス…「…はいはい。」
エルヴィン 「2人は、なかなか良い雰囲気です。」
リヴァイ&ハンジ 「ち.が.う!!!」
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- 55 : 2014/05/31(土) 16:26:18 :
- 【人魚の国にて】
エルヴィン 「人魚の国に戻った人魚姫は、王子様のことばかり考えていました。」
ハンジ ハハ…「考えてないない…」
ナナバ 「ハンジ…」
ハンジ 「うえっ!?ナナバ…」
ナナバ 「遅くなって、すまない…」
ハンジ 「…っていうか、ナナバ…」
ナナバ 「…なに?」
ハンジ 「美しいよ?」
ナナバ ハハ…「…ありがと。ハンジは、なんかずいぶんと汚れてるね。」
ハンジ 「…ま、色々あってね…」
ナナバ フゥン…「リヴァイの王子様は、どうだった?」
ハンジ 「///…はっ…まっ…まあまあってとこ…かな…///」
ナナバ 「ハンジは素直だね…ミケも、スタンバイOKだってさ。行くことになってるんでしょ?」
ハンジ 「そういえばそう…なのか?」
エルヴィン 「人間になりたいと思った人魚姫は、海の底に住む、魔女のところへと向かいました。」
ナナバ 「…だってさ。行っておいで、人魚姫。」
ハンジ 「うん…行ってくるよ…」
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- 57 : 2014/05/31(土) 16:46:50 :
- 【海の底】
ハンジ 「お~い、ミケ~!」
ミケ 「…来たか。」
ハンジ 「うっわ、ミケ、かっこいいね~、絵本で見たことあるけど、ポセイドンみたいだよ。」
ミケ 「…まさか、上半身裸にされるとは思わなかった…」
ハンジ 「ははっ。ところでさ…」
ミケ 「ハンジ…」
ハンジ 「…なに?」
ミケ 「何かあったのか?」
ハンジ 「…えっ…」
ー前回の壁外調査の記憶がよぎるハンジー
ハンジ 「…別に…なにも…」
ミケ 「…そうか。変なこときいて、すまんな。」
ハンジ 「いいって別に。それより、人間になる薬が欲しいんだけど。」
ミケ 「…ああ。作っておいた…」
スッ…
ハンジ 「わ~、超良いにおい♪」
ミケ 「飲みやすいように、色々なハーブをブレンドしておいた。」
ハンジ ヒュ~♪「さっすがミケ。ありがとね。もう、人魚の着ぐるみにも飽き飽きしてたんだ。んじゃさっそく…」
エルヴィン 「…ハンジ、陸に上がってから飲んでくれ。」
ハンジ 「わかった。ありがと、ミケ!」
ミケ 「…ああ。頑張れよ。…というか、俺の出番これだけなのか…?」
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- 59 : 2014/05/31(土) 17:00:05 :
- 【海岸】
ハンジ 「…よっすぃ~、飲むぞ~!」
エルヴィン 「…ちょっと待て、ハンジ!」
ハンジ 「今度は何!?」
エルヴィン 「観客の皆さん、申し訳ないが、俺がいいと言うまで、目を閉じていてもらえないだろうか…」
ハンジ 「なんで?」
エルヴィン 「…なぜって…このまま人間になると…ハンジは裸のままだ。かといって、いきなり服を着ているのも不自然だし…」
ハンジ 「あ~あ…」ハイハイ。
エルヴィン 「絵本でみても、人魚姫は裸だしな…あれを見た時は、俺も幼心にドキドキした。」
ハンジ 「じゃあ、観客の男性諸君、ちょっと向こうむいててね♡」
エルヴィン 「俺がいいと言うまでだ…申し訳ないが…」
ハンジ 「…って、エルヴィンなにげに見ようとしてるでしょ!エルヴィンのエッチ!!ど変態!!」
エルヴィン 「俺はナレーターとして当然のことを…いや、いい。じゃあナナバに頼もう。」
ハンジ 「…頼むよ?じゃあ、飲むからね…」
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- 60 : 2014/05/31(土) 17:15:53 :
- ゴクゴクゴク…フー。
エルヴィン 「人魚姫は、たちまち人間の姿に変わりました。」※ちなみにエルヴィンは、ちゃんと後ろを向いてます。
ハンジ (気絶、気絶っと…)
エルヴィン 「するとそこへ、王子様が通りかかりました。」
ハンジ (王子様って…えっ!?///)
バサッ…
ハンジ (へっ…?毛布…)
リヴァイ 「…それ被って、さっさと来い。」
エルヴィン 「口のきけない人魚姫を、王子様は、自分の城へ連れて帰ることにしました。」
ナナバ 「…皆さん、目を開けて良いですよ。」
ハンジ (…そっか、人魚姫は薬をもらう代わりに、自分の声を失ったんだった…)ダマッテナイト…
エルヴィン 「かわいそうな人魚姫を、王子様は自分の妹のように可愛がりました。そして楽しい日々は、あっという間に過ぎていきました。」
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- 61 : 2014/05/31(土) 17:30:13 :
- エルヴィン 「人魚姫は、王子様との結婚を望んでいましたが、その願いも叶わず、王子様は隣の国のお姫様と結婚することになりました。」
ペトラ フー(…やっと私の出番ね…楽屋のお菓子、おいしかったな♪)
ペトラ 「王子さm…」
オルオ 「ぺ…ペトラぁぁぁっ!!!」
ペトラ 「オ…オルオ!?」
オルオ 「ペトラっ、俺が悪かった!!!頼むから、戻ってきてくれぇ…」
ペトラ 「はっ…?ちょっと、すがらないでよ!」
オルオ 「ペトラぁぁぁ…」ウエェェ
エルヴィン 「隣の国のお姫様は、元旦那に復縁を迫られてしまいました。さあ、大変。」
ペトラ 「だっれっがっ元旦那ですかっっっ!!!離れなさい、オルオ!!!」
エルド 「ペトラ…俺たち、気づいたんだ…」
ペトラ 「エルド?気づいたって、なにを?」
グンタ 「俺たち、リヴァイ班にとって、お前がどれだけ大切か、ということだ…」
ペトラ 「…グンタ…」
エルド 「ペトラ…俺たちは、お前あってこそのリヴァイ班だ。これからも、よろしくな。」
グンタ 「お前と同じ班になれて、良かったよ…」
ペトラ 「2人共…」
オルオ 「ペトラぁぁぁ」
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- 63 : 2014/05/31(土) 18:42:23 :
- リヴァイ 「…とまあ、お前がいないと、こいつらはダメみてぇだな…」
ペトラ 「…兵長…」ジーン…
ハンジ 「…ねぇねぇ…」ツンツン。
リヴァイ 「…なんだクソ。」
ハンジ 「…ついにクソのみに…」
リヴァイ 「結婚なら、ペトラとするぞ。」
ペトラ 「まあっ、兵長、そんな大胆な…///」
リヴァイ 「いや、演劇の中の話だが…」
ハンジ 「…つまりは、私は泡になって、消えるのか…」
リヴァイ 「何言ってやがる。そうと決まったわけじゃねぇだろ。」
ハンジ 「…そうだっけ?」
リヴァイ 「俺を…」
ハンジ 「」
リヴァイ 「俺を殺せば…お前は生き延びられる…」
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- 64 : 2014/05/31(土) 19:32:42 :
- ハンジ 「そんな…そんなことできるわけ…」
リヴァイ 「…芝居だろ。本当に死ぬわけじゃねぇんだ。…ほらよ。」
パシッ
ーハンジに、小道具のナイフを渡すリヴァイー
リヴァイ 「本来なら俺が渡す物じゃねぇが…」
ハンジ 「」
リヴァイ 「話の流れなんざ気にするな。お前の正しいと思う方を選べ。」
ハンジ 「そんな…私…もう…無理っ!!」
ー走り去るハンジー
エルヴィン 「人魚姫は、王子を殺すことができず、海の泡となっt…」
リヴァイ 「待て、エルヴィン!」
エルヴィン 「…どうした、リヴァイ。」
リヴァイ 「まだ、あいつの選択をきいてない。」
-
- 65 : 2014/05/31(土) 19:45:29 :
- 【舞台裏にて】
モブリット 「分隊長…どうしちゃったんだろう…」
モブリット 「まさか、まだあの時のこと気にして…って、エレン?」
エレン 「///」
モブリット 「君…まさか、見たね?」
エレン 「…………はい、見ました///」
モブリット 「団長が、目をつぶっててと、言ってたよね?」
エレン 「かっ、観客の皆さんだけかと…」
モブリット 「話の流れで、ハンジさんが全裸になることくらい、分かるんじゃないかい…まさか、分かってて目を開けてたとか?」
エレン 「いっ、いいえっ!!!決してそのような事は…」
モブリット 「まったく…裏方の仕事も覚えたい、って言うから、連れてきたはいいものの、興奮して何も手につかないとは…」
エレン 「こっ、興奮なんてしっししてませんっ!」
モブリット 「…と言いつつ、顔が茹でダコみたいになってるよ。鼻血出る?ティッシュ持ってこようか?」
エレン 「いえ、要りまs………ください…」
モブリット ハァ…「…んっ、ちょっと、エレン…」
エレン 「はい?」
モブリット 「なんか…焦げ臭くない?」
エレン 「は…そういえば…」
ジリリリリリリリリリリリリリリ!!!!
ー火災報知器が、鳴り響く!!!ー
モブリット 「大変だ…火事だ!!!」
-
- 66 : 2014/05/31(土) 19:50:10 :
- モブリット 「団長!!!」
エルヴィン 「モブリット、劇は一旦中止だ。観客の皆さんを、速やかに避難させるんだ!」
モブリット 「了解です!」
エルヴィン 「今、現在の観客動員数は、373名だ。確実に全員避難したか、確認を怠るな。」
モブリット 「はい!!!観客の皆さん、落ち着いて避難してください!!!」
※演出上、劇は中断しましたが、話はこのあとも続きます。
-
- 67 : 2014/05/31(土) 19:57:51 :
- ※ここからは、ハンジ視点です。
や…ば……
煙で…視界が…メガネも外してるし、最悪だね、こりゃ。
わけも分からず、飛び出して来ちゃったけど…外に…出られるかな…
ハンジ 「ゴボッゲホッ…」
火事で一番怖いのは…煙だって聞いたことあるけど…まさか、自分の体で体験できるとはね…。
ハンジ 「……ケホ…」
…だめ…もう、動けない…
このまま…死ぬのかな…壁の外じゃなくて、こんなところで…
調査兵団分隊長、失格だね…ごめんね、エルヴィン…
…リヴァイ…
-
- 68 : 2014/05/31(土) 20:03:23 :
- 【劇場外にて】
モブリット 「団長、観客373名、およびスタッフ、演者、無事、避難しました!」
ペトラ 「待って、ハンジさんがいないわ!!」
モブリット 「そっ、そんな…まさかまだ中に!?」
リヴァイ 「…チッ、……クソが。」
オルオ 「兵長!?」
エルド 「助けに行くなんて、無茶ですよ!!」
グンタ 「消防の到着を待ちましょう!!」
リヴァイ 「…そんなの…待ってられねぇよ…」
ペトラ 「…兵長!!!」
ー火の中に、飛び込んでいくリヴァイー
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- 69 : 2014/05/31(土) 20:10:28 :
- ※再び、ハンジ視点です。
…人魚姫、か…。
人魚姫が死んで、自分の命の恩人とは違う人と結婚して、王子様は幸せになったのかな…。
…本当に自分を愛してくれた人は…もう、いないのに…。
私も…死ぬのかな…
ま、泡となって消えるなんていう、洒落たもんじゃなくて…
焦げ焦げの、真っ黒焦げになっちゃうんだけどね…はは…。
……はは……。
……こわいよ…死ぬのがこわいよ…
こわいよ…たす…けてよ…
…だれか…
-
- 70 : 2014/05/31(土) 20:40:52 :
- …ガタッ…
…え…?
リヴァイ 「クソが…こんなところにいた…」
ハンジ 「リヴァ…イ…?」
リヴァイ ハァ…「…なんだ、そんなところで、次の巨人の捕獲作戦でも練ってたか。」
ハンジ 「…はは…そうなんだ…なんか、全然考えがまとまんなくて…気が…ついたら…周りがこんなになっててさ…」
リヴァイ 「…じゃあ、そろそろ出るぞ。」
ハンジ 「リヴァイっ!!!」
私は、人類最強の兵士に、抱きすがっていた。
リヴァイ 「…なんだ。」
ハンジ 「…私…本当は私…」
泣いていた。なぜだろう、彼の前だと、泣けるんだ。弱い自分を出せる。
リヴァイ 「…消えたかったか?」
ハンジ 「…え?」
リヴァイ 「一丁前に、悲劇のヒロインにでもなって、消えてしまいたいとでも、思ったか。」
ハンジ 「…だとしたら、どうする…軽蔑する?」
リヴァイ 「…別に、誰がどんな考えを持とうが勝手だが…」
私は、彼の次の言葉を待った。彼の声、心地良かった。低くて、良く響く、大好きなその声。
リヴァイ 「俺の背は…そんなやつの命を背負えるほど、広くない…」
私は、笑ってしまう。
ハンジ 「それって…私に生きろって言ってるの?」
リヴァイ 「…死ねと言った覚えはない。」
ハンジ 「私…このまま私でいいかな…」
リヴァイ 「変われと言った覚えはない。」
ハンジ 「私…もう、善い人間じゃないことは、分かってる…そんな私でも…愛してもらえるのかな…抱いてもらえるのかな…」
リヴァイ 「…それは…」
彼は、言葉を切った。なぜか、彼の顔が悲しくみえた。
リヴァイ 「…そう思ってるのは、お前だけじゃない…」
ハンジ 「…君もなの?…奇遇だねぇ…」
彼は、私と向き合った。
リヴァイ 「俺にも良く分からんが…」
彼は続ける。
リヴァイ 「…たとえ、世に言う善人がいたとしても、すべての人類を敵に回すような、極悪人がいたとしても…」
夢をみているようだった。彼は私に口づけしたのだ。とろけるような、熱いキスだった。このまま意識を失って、死んでしまってもかまわないとさえ、思ってしまうような…。
リヴァイ 「…こういう事ができるのは、生きてるやつだけだ…」
ハンジ 「…う…」
これは、愛とよべるのだろうか。いつも、クソメガネ、なんだ、クソチb…って、じゃれあってる私たちなのに…いざ、身体を触れ合わせてみると、こんなにも気持ちいい…。
リヴァイ 「…ほら、行くぞ。」
ハンジ 「…うん…」
それが愛なのか、それとも、ただのひとときの快楽なのか、それが分かるのも、生きている人間だけだ。
私は、生きるよ。もしかしたら…いや、確実に、この命が、誰かの犠牲によるものだとしても。
リヴァイったら…なにげにキスが上手いんだから…
慣れてやがるな…この。
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- 74 : 2014/05/31(土) 21:03:13 :
- モブリット 「あ…あれは…!」
オルオ 「兵長!!!」
ペトラ 「ハンジさん!!!」
ハンジ 「…やあ、君たち、こんなところで、なにしてんの?」
モブリット 「なにしてんの、じゃないでしょう、心配したんですよ、分隊長!!!」
ハンジ 「…はは、ごめんごめん。」
エルヴィン 「…ハンジ、ケガはないか。」
ハンジ 「うん、ピンピンしてるよ。今からでも、壁外に出られるくらい、元気だよ。」
モブリット 「…よかったぁ…」
ペトラ 「…兵長は、おケガは…」
リヴァイ 「…ねぇよ。」
オルオ 「よかった…兵長ぉ…」
リヴァイ 「オルオ…泣くんじゃねぇ。」
オルオ 「すっ…すんません!」
リヴァイ 「…俺は…先に帰るぞ…この分じゃ、公演は取り止めだろうしな…」
ハンジ 「あっ…待ってリヴァ…」
私は、見逃さなかった。
エルヴィン 「とりあえず、観客の皆さんに事情を説明しよう。」
モブリット 「はい!」
リヴァイが…右腕をかばいながら、足早に立ち去っていったのを…。
-
- 76 : 2014/05/31(土) 21:23:39 :
- エルヴィン 「ご来場の皆さん、申し訳ないが、今回の公演は、これにて終了させてもらう。」
モブリット 「結局、会場は全焼…ケガ人が出なかったのが、せめてもの救いです。」
エルヴィン 「次の会場の手配の関係もあり、次の演目は未定だ。」
モブリット 「決まり次第、数珠繋ぎを通して、お知らせします。」
エルヴィン 「今回は、このような結果となってしまったが、調査劇団は、今後も活動していきます。これからも、よろしくお願いします…」
数珠繋ぎ 「お願いしますっ!」
-
- 77 : 2014/05/31(土) 21:26:32 :
- ※以上で、終了とさせていただきます。
次回の演目は…本当に決まってません(^_^;)
まずは、あのあと、リヴァイとハンジがどうなったかを、描いていきたいと思います。
ご来場、ならびに、S席のご購入、コメントをくださった方々、本当にありがとうございました。
また、よろしくお願いします。
-
- 86 : 2016/03/10(木) 01:31:47 :
- 乙です!
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進撃の調査劇団 シリーズ
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