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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの危難』
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- 1 : 2016/01/14(木) 12:52:40 :
- 密めき隠れる恋の翼たち~『エルヴィン・スミス暗殺計画』
(http://www.ssnote.net/archives/2247)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスとの1週間』
(http://www.ssnote.net/archives/4960)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの苦悩』
(http://www.ssnote.net/archives/6022)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの審判』
(http://www.ssnote.net/archives/7972)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの否応』
(http://www.ssnote.net/archives/10210)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの溜飲』
(http://www.ssnote.net/archives/11948)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの流転』
(http://www.ssnote.net/archives/14678)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの渇望』
(http://www.ssnote.net/archives/16657)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの血涙』
(http://www.ssnote.net/archives/18334)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの証明』
(http://www.ssnote.net/archives/19889)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの慕情』
(http://www.ssnote.net/archives/21842)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの天命』
(http://www.ssnote.net/archives/23673)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの微睡』
(http://www.ssnote.net/archives/25857)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの再陣』
(http://www.ssnote.net/archives/27154)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの謀反』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの杞憂』
(http://www.ssnote.net/archives/30692)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの勇敢』
(http://www.ssnote.net/archives/31646)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの挽回』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの慈愛』
(http://www.ssnote.net/archives/34179)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの青天』
(http://www.ssnote.net/archives/35208)
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- 2 : 2016/01/14(木) 12:53:29 :
- 密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの夢想』
(http://www.ssnote.net/archives/36277)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの愛念』
(http://www.ssnote.net/archives/37309)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの咆哮』
(http://www.ssnote.net/archives/38556)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの大望』
(http://www.ssnote.net/archives/39459)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの死闘』
(http://www.ssnote.net/archives/40165)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの火蓋』
(http://www.ssnote.net/archives/41081)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの贖罪』
(http://www.ssnote.net/archives/41737)
★巨人に右腕を喰われたエルヴィンと最愛のミケを失うが、エルヴィンに仕えることになった隠密のイブキとの新たなる関係の続編。
『進撃の巨人』の最新話に私の想像(妄想)を書き足したオリジナルストーリー(短編)です。
オリジナル・キャラクター
*イブキ
かつてイヴと名乗りエルヴィンの命を狙っていた隠密の調査兵 。
生前のミケ・ザカリアスと深く愛し合っていた。
ミカサ・アッカーマンの年の近い叔母。
※SSnoteのルールに則り感想等を書いていただくグループコミュニティを作りました。
お手数ですが、コメントがございましたら、こちらまで
お願いします⇒http://www.ssnote.net/groups/542/archives/2
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- 3 : 2016/01/14(木) 12:55:04 :
- シガンシナ区の壁面から離れ、5年前に壊滅した住宅街と麓の間で巨人たちと隊列を組み、その中心に存在する獣の巨人に変貌したジーク戦士長と彼の斥候である四足の巨人は調査兵団の動きを眺めていた。朽ち果てた屋根から屋根に飛び移る兵士たちが小型巨人に苦戦している。麓の後方で昇る太陽は地平線からだいぶ離れ、大型巨人たちの前方で作られる影はさらに伸びた。
緊張感が漂う中、シガンシナ区内で戦う彼らの仲間であるライナー・ブラウンからの一報はまだない。共にすべてをこの場所で終わらせようと誓ったベルトルト・フーバーは相棒を案じるも、企てた作戦の性質上、潜むその樽の中では身動きすら出来ず、ただ合図を待つしかなかった――。
ベルトルトが潜む樽だけでなく、いくつもの物資をその背に抱える四足の巨人は自分の左前方で腰を屈め座り込むジーク戦士長の背中が揺れる微かな動きを見やって、思わず声を掛けた。
「戦士長、先ほどからイラついてますね。どうかなさったんですか? ライナーが仕掛ける奇襲の進捗が気になっておられ……」
麓から吹いている強風と壁内から聞こえる爆音に集中しているせいか、ジークには四足の問いが届いていないようだった。だが、斥候は戦士長の視線の先を眺めて軽く溜め息をついた。シガンシナの壁上では小さな姿ではあるが、調査兵団団長のエルヴィン・スミスが女と寄り添っている姿形を捉えていた。
「まったく、部下が戦っているときに、あの男は何をしてるんでしょうかね……」
溜め息交じりの斥候の独り言は少し尖っていて、それはジークの耳に届いていた。
「あぁ……あの女はホントにいい女だったんだよ。かっさらったら、俺が真っ先に――」
低くてねっとりとした口調は猿の中で舌なめずりでもしているようだ。四足は冷めた尻目でジークを眺めていた。数日前、この四足の巨人がウォール・ローゼ内まで調査兵団の進捗を偵察に行こうとしたときだった。ジークが暇だから、という理由だけで代理を申し出た。戦士長の突然のわがままを許すべきではなかったと、四足は後悔していた。情報を得られなかったがいい女を見つけた、と鼻歌を歌い、目的を果たさなかっただけでなく、機嫌よく戻ってきたからだった。
ジークに向けられる四足の冷淡な声音には嫌味も含む。
「女遊びも大概にしてくださいよ。この戦いが終われば私は何も言いませんから」
樽の中のベルトルトは二人の会話を聞いておらず、ライナーの吉報を待つのみだ。
四足の巨人は壁上を真剣に眺めるジークがエルヴィンに寄り添う女に本気で興味を持っていると踏んだ。調査兵団団長の挑発に男として首尾よくひっかかっていた。
「あの女が馬に跨いで、駆けてるときに揺れる胸と弾む尻がよくてよ! 俺の上にも跨いで、あんな感じに乱れて欲しい! たまんねぇな、おいっ」
一人で興奮する口ぶりに、斥候はただ冷めた眼差しでジークの背中を眺めていた。
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- 4 : 2016/01/14(木) 12:56:30 :
- 「馬じゃなく、自分に跨いでだなんて……。こんなときに何をおっしゃるんですか。まぁ、今は猿でしかも猫舌ですよね?」
「さっきから、本当にうるさい!」
少し荒げた声を右後方の四足にぶつけた。視線は壁上のエルヴィンを眺めたままだ。
「この次の作戦が成功すりゃ、恐らくあいつは木っ端微塵。あの女も瀕死の重傷だろうがな。まぁ、俺がそのときは手厚く看病して、その後……楽しませてもらってもいいかもな――」
語尾は凍てつく様な口ぶりだった。その声を聞いて、四足の背中に悪寒が走った。多くの物資を抱え、その重さを感じることはなくても。ジークは女に夢中になりながら、この作戦の本質をもちろん忘れることもなく、また女を必ずモノにする、という欲望が枯れることはないようだった。
シガンシナの壁上では調査兵団団長のエルヴィン・スミスがが暗殺者から調査兵に生まれ変わったイブキをその胸に抱き寄せていた。雷槍が何度も爆音を上げ、空気の震えがその背中に伝わる。正面の猿を睨みつける眼差しは左手で握るブレードの刃先よりも鋭くて、その強い輝きを見てしまえば痛みを与えるようだ。
エルヴィンの背中に伝わっていた空気の振動が落ち着いてきたと同時に立体起動装置のガスの音が交わって、傍らに近づいていた。兵士が壁上に降り立つ前、エルヴィンはイブキをそっと自分の身体から離し、改めて傍に立たせた。イブキが温めていた胸元に吹き荒れる冷たい風が通り過ぎる。
「団長、雷槍が威力を発揮しました! 鎧を仕留められました!」
「ご苦労だった。だが、油断ならない。安堵に浸らず、気を抜くな、と皆にも伝えて欲しい」
「はっ!」
団長に報告する精鋭兵の声は弾むようでも、エルヴィンの命令に再び顔を引き締め敬礼する。簡単な報告の後、鎧の巨人が両膝を落とし、うなじから蒸気を上げるその場所へ、その兵士は急いで戻っていった。ガスの音が遠ざかり、イブキが再びエルヴィンの傍らに近づいた。
「敵は高い目的意識の下、策を練り、確実に実行している。気を抜けないわね」
「あぁ、君だって最初の頃は――」
「えぇ。確かにそうだった。でも……」
エルヴィンはイブキが暗殺者として自分の命を狙っていたことを思わず口にしていまえば、咄嗟にそれを飲み込んだ。殺意を持って自分に近づいていたはずが、今では手放せない存在に変わっている。イブキはエルヴィンの右肩に寄り添って、彼を見上げた。その口元は柔らかな笑みを作る。
「命を狙っていた私があなたに仕えることもある。どこで何がひっくり返るかわからない。だから、敵の動きだって、どこでひっくり返せるか……」
「そうだな」
エルヴィンは短くても落ち着いた口調で答えた。イブキはエルヴィンのマントの下から背中に手を添えた。制服のシャツに触れると、汗でぐっしょりと濡れていた。少し前の憂いを払拭できても、緊張感はまだ漂う。イブキは遠くで構える獣の巨人から不穏な視線を感じつつ、敵の策に隙を作るには、と考え、エルヴィンに寄り添った。二人の合間に冷ややかな風が駆け抜けても、イブキの頬に温かな空気のベールが包んだ。その空気の正体にイブキは心で問う。
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- 5 : 2016/01/14(木) 12:58:01 :
- (ミケ、私にはまだ巨人がわからない……)
(とにかく、目の前のあの野郎には気をつけろ――)
イブキに危機が迫れば、その心に沸いてくるミケ・ザカリアスの声はいつもなら温かく染み渡るようでも、この時ばかりは少し険しい。その声を感じて、イブキがエルヴィンに添える手のひらの力は強くなっていく。
調査兵団兵士長のリヴァイが小型巨人のうなじをブレードで削いで、シガンシナの朽ち果てた住宅の屋根に降り立った。刃先に付着した巨人の血液を振り払って、何気なく壁上を見上げた。エルヴィンとイブキが寄り添う姿を見つけていた。
「あの二人、こんなときに何いちゃついてんだ……」
リヴァイは冷徹な眼差しを向けるも不快な気持ちにはならない。
「まぁ、エルヴィンのことだ……何か意図があるのだろうが」
リヴァイは鼻で微かに笑い、自分に迫ってくる巨人に狙いを定めたときだった。壁内から巨人の叫び声が一陣の風と共に吹きぬけた。咄嗟にその方向に視線を送れば、珍しく焦りから純色の目を忙しく泳がせていた。
エルヴィンは獣の巨人に視線を向けていたはずが、虚をつかれた叫び声に振り返った。イブキは初めて聞く巨人の叫び声に戸惑うも、正面の獣を眺めたままだ。だが、エルヴィンは巨人の叫び声が巨人を呼び寄せる奇襲だと改めて思い起こせば、何が起こるか咄嗟には想像できず、全身が凝り固まってしまった。
「まさか――」
イブキは獣の巨人の新たな動きに気づく。斥候が抱える背中の物資に手を伸ばしていた。遠すぎてその具体的な形までは見えない。
「エルヴィン、あれ……!」
イブキが声を上げて、彼女が示す指先を見やれば、すでに獣は樽を握っていた。
「あのコントロールのよさだ。確実に何かを狙って投げてくる」
鎧の巨人の叫び声が消えうせた頃、獣は樽を握り締め、勢いをつけるため駆け出した。シガンシナの空に向け、その樽を力いっぱい投げつけた。瞬く間に壁上を駆け抜け、シガンシナの真上に到達しようとしていた。イブキは獣が放った物体が樽だとようやく気づく。
「まさか、あれが爆発するとか?」
「あぁ、爆発すれば、超大型巨人になるだろうが……」
「あれも、巨人!?」
「そうだ」
エルヴィンは狼狽をその目に宿し、それを視線で追いかけるしかできない。二人は少し前に話していた、どういう結果にひっくり返るかわからないこの瞬間を目の当たりにしていた。
世界の真相に繋がるイェーガー家の地下室に辿り着けないだけでなく、作戦失敗の可能性がエルヴィンの脳裏にチラつけば、ブレードを握る手に力が込められた。しかし、同時に幼顔の聡い兵士が震えながら放った精一杯の言葉が過ぎった。
『――誰もが思いつく常識の範囲内に留まっていては到底敵を上回ることはできないのです!!』
ベテラン兵に囲まれ気圧されるアルミン・アルレルトに兵士達は従い、その結果、壁の中から敵を探し当てたことを思い返す。
「どんなに追い込まれても、出来る限りのことをやってやろうじゃないか……!!」
エルヴィンは冷淡さが張り付くような声でつぶやく。その声を聞いてイブキも静かに頷いた。
その物体が飛ぶ方向を兵士達は一斉に眺めているだろう。あらゆる策を練り、危難は避けられずとも兵士達はシガンシナ奪還に命を賭すと実感するほど、エルヴィンの心には痛みがじわりと押し寄せた。
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- 6 : 2016/01/14(木) 12:58:16 :
- ★あとがき★
みなさま、いつもありがとうございます。
今月号でマルコの死がとうとう明かされましたね。。
予想はしていましたが、まさか3人で巨人に食わせたとは
それは予想を上回っていました…。だけど、マルコとアルミンの
頭脳が合わされば、巨人への謎に早く近づけていたかもしれないし、
でも、故郷3人組にとっては脅威の2人組みだったのかもしれません。
それにしても、3年間の訓練兵時代はどんな気持ちで
皆と接していたのでしょうか…。それもいつか、原作で読んでみたいものです。
だけど、マルコの死は私が書いたのは隠密の当時の頭(かしら)
後のケニーが一刀両断で刃を入れた、ってことにしましたが…これも私の
描く(妄想ですが)の進撃です。
獣のとうとう名前が判明し、またどんな人物かってのがわかっていくでしょうね。
妖艶で美しい笑みを湛えるイブキに興味を持ったけど、いったい、どうなるのでしょうか。
エルヴィンは守りきれるのか?次回もよろしくお願いいたします!
お手数ですが、コメントがございましたら、こちらまでお願いいたします!
⇒http://www.ssnote.net/groups/542/archives/2
★Special thanks to 泪飴ちゃん(•ㅂ•)/♡love*
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