このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
Ever Lasting Story〜リヴァイside〜
- 進撃の巨人 × ホラー
- 2350
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- 1 : 2015/08/10(月) 01:23:31 :
- 前作のリヴァイ兵長目線になります
http://www.ssnote.net/archives/35678
ユーザー登録をしたので今までの作品も載せておきます
http://www.ssnote.net/archives/31765
人類最強
http://www.ssnote.net/archives/32184
もしも巨人が絶滅したら
-
- 2 : 2015/08/10(月) 01:25:52 :
- あいつらがいなくなった
これで何度目だろうな
部下や仲間を失うのは
もっとも、はなからそんなもん数えちゃいないが…
いつもと同じことだ
後悔はしていない
俺があいつらといればあいつらは死なずに済んだかもしれねぇ
だがそれは所詮結果論にすぎない
あの時エルヴィンの指示に従い、ガスと刃を補給したおかげでエレンを守れた
ただそれだけだ
俺の班の目的はエレンを死守すること
そのためには犠牲が必要だ
…いや、犠牲がなけりゃ守れねぇ、といったところか
とにかく俺にはあいつらの死を悼む時間も余裕もない
あいつらもそんなことは理解していただろう
-
- 3 : 2015/08/10(月) 11:46:26 :
- あいつらはよくやってくれた
兵士としての務めを全うした
あぁ、これで終わりだ
俺はもうお前らを引きずってはいられない
すまねぇな
だがお前たちの意思は俺が引き継ぐ
お前たちの死を無駄にはしない
ある種の儀式とも言えるようになった少しの弔い
終われば、俺が死んでいったあいつらに思いを馳せることはない
この世界のクソみてぇな真実とやらがわかるまでは…
そう思っていた
そのつもりだった
俺の目の前に偉そうに陣取ったこの白い本
俺の決意を嘲笑うかのように白紙のページを見せつけている
-
- 4 : 2015/08/10(月) 20:16:55 :
- 「こんなもん誰が持ってきやがった」
忌々しげに毒づくが、それに答えるやつはいない
「エレン…のはずはねぇな」
あいつには俺の監視がない限り自由が許されていない
こんな本を手にする機会はなかった
仮にもしこれがあいつの物だったとしても、なんの断りもなく勝手に俺の部屋に置いていくわけがない
「………」
ハンジの日記帳か?
…いや、それもねぇな
あいつがそんなマメなことをするとは考えられん
他にもいくつかの可能性を考えた
どれもしっくりこない
「チッ…」
仕方ない
今度調査兵団本部へ行くついでに持っていく
誰のものともしれねぇ紙束を勝手に処分するわけにはいかんからな
そうするとしても邪魔だ
なにせこのデカさ
どこのどいつが何の目的で作ったのかは知らんが、これほど実用性のないものに金をかける奴の気がしれねぇ
-
- 5 : 2015/08/10(月) 23:47:48 :
- 俺の部屋に置いておくことはできる
見たところ汚くはなさそうだ
本棚ならいくらでもある
本に触れた途端
「…っ!」
目眩に似た感覚だがもっと酷い
体が落ちていくように感じた
気がつくとそこは
「巨大樹の森…?」
数日前と全く同じ
この世を去ったはずの班員たち、エレンを追う女型の巨人
怪我をした足も何ともねぇ
「…っ進みます!」
「!」
エレンが叫んだ
知っている
この声も、エルド達の安堵した表情も
女型がスピードをあげた
「走れ!」
無意識だった
状況なんざ理解できないが、今はそんなことで戸惑っている場合じゃねぇ
エレンが進むことを決めた
ならば俺がとるべき行動はこいつらを"あそこ"まで…
連れて行ってどうする?
また殺すのか?
俺が選択を変えれば…あいつらは生き残れるのか?
俺の後ろを着いてくるあいつらは、俺のことを信頼している
俺に命を預けてくれている
その命を、俺は自ら手放すのか?
俺は…………
-
- 6 : 2015/08/11(火) 21:29:03 :
-
- 7 : 2015/08/11(火) 21:30:21 :
- 木の上から見下ろす四つの死体
「………」
すまない
俺はお前らを見殺しにする道を選んだ
先を知りながら、お前らから離れた
長く地獄を見すぎちまった俺には、お前らが戻ってくるという一縷の望みを信じることもできなかった
俺たちは痛いほど知っちまった
消えた人間は二度と戻らねぇ
それに………
「俺はお前らの幻を追い続けるわけにはいかねぇ」
エレンを奪還すべく女型の後を追った
前回と同じように、ミカサに追いつき、女型と戦い怪我をした
この世界が何であれ、過去を変えることは禁忌だろう
分かっていて自分から怪我をするのは少しばかり面倒だが、簡単なことだ
エレンの奪還に成功した
「ーーーお前の大切な友人だろ」
自分の言ったことなんざいちいち覚えちゃいないはずだったが、何故かスラスラと全く同じ言葉が出てくる
「…っ」
エレンを抱え立体機動に移ったとき、この世界にきた時と同じ感覚に襲われた
体勢を保てず落下する
-
- 8 : 2015/08/11(火) 23:09:40 :
目を開けるとそこは鬱蒼と生い茂る巨大樹もなければ女型の巨人もいない、殺伐とした孤独な空間
本は最初から存在しなかったかのように何処かへと消えた
「さっきのは夢か?」
…夢だろうと現実だろうとどっちでも同じことだ
痛む足を庇いながらエレンの様子を見に行った
階段を降り、地下室の扉に手を掛ける
「………!」
俺の手はノブに触れる寸前で止まった
中から聞こえてくるのは恐らくエレンが壁でも殴っている音だろう
『くそっ!』
扉越しのくぐもった声は15のガキのものとは思えねぇほどいろいろな感情を含んでいる
怒り、憎しみ、悲しみ
そしてあいつらを救えなかった自分への大き過ぎる嫌悪感
エレンは昔の俺に似ている
らしくもねぇが込み上げてくるものがある
-
- 9 : 2015/08/12(水) 11:27:34 :
- 「エレン、随分荒れてるじゃねぇか」
「兵長…」
今にも死にそうな声をしてやがる
「入るぞ」
返事なんざ期待はしていない
勝手にドアを開けた
酷い状態だ
汚いとは少しばかり違うが、とにかく荒れてやがる
あれだけ掃除を叩き込んでやったんだがな
俺に指摘され、エレンは片付け始める
駄目だ
今のこいつは使いものにならねぇ
「…いや、片付けは後でいい。
お前は一度この部屋を出ろ」
今のエレンにはこの閉じきった部屋はマイナスにしかならねぇ
「しかし…」
「これは命令だ。さっさと切り替えろ」
そんなに簡単じゃないことはわかっている
こいつは兵士だろうと巨人化できようとガキに過ぎない
それでも俺のやるべきことはこいつを慰め励ますことじゃない…と思っている
ようやく部屋を出ていった
なぁ、エレンよ
もしも今、お前の目の前にあの本が現れたら、お前は何を選ぶ?
やり切れない思いを拭うために部屋を片付けてやることにした
-
- 10 : 2015/08/12(水) 15:08:33 :
- 数十分が経過した
そろそろ部屋に戻っている頃かとまた階段を降りる
声をかけたが反応がない
「まだ戻ってねぇのか」
踵を返し自室に戻ろうとしたが、嫌な予感がした
俺の勘だ
ドアを開けた
案の定誰もいない
だが、俺の目はある一つの物に吸い寄せられて離れない
床に落ちている白い本
「まさか…」
近づき確かめる
間違いない
さっきの本と同じものだ
だが違うことがある
落ちたせいか、最初の一ページ目が開かれている
そこには
あなたは主として認められました
この瞬間から、この本はあなたの物です
「俺の時にはこんなもんはなかった…」
嫌な予感は更に大きなものとなった
俺の時とエレンの時とでは何かの条件が違うらしい
あいつは不審に思わなかったのか?
本を捨てようとしたのか?
あるいは………
こいつを受け入れたのか?
落ち着け
まだそう決めつけるには早すぎる
まだエレンはこの本を見つけていないかもしれない
エレンを探しに行く
それが今すべきことだ
地下室の近くを重点的に探しているが見つかる気配すらない
-
- 11 : 2015/08/12(水) 20:09:47 :
- 「〜〜〜っ!〜〜」
エレンの声か?
地下室に戻りやがったな
また階段を降りる
声はだんだんはっきりと聞こえるようになってきた
『なんだよ…この本…!?』
エレンも勝手に引き込まれて行ったらしい
俺にはエレンを守る義務がある
あんなクソみたいな本にエレンをどうにかされるわけにはいかねぇ
部屋を開けようと手を伸ばした…が
ビリッ
「!」
頭の中で静電気がおこったような痺れ
それは一瞬のことで、痺れがなくなった時
「俺は何をしていた…?」
俺は何の為にここまで来たのかを忘れちまった
何故エレンの部屋を訪れたのか
心当たりが何もない
「…」
用がないなら入る必要はねぇ
腑には落ちないがとにかく部屋に戻る
階段を上っても何の痛みもない足に違和を感じることもなかった
-
- 12 : 2015/08/12(水) 22:50:58 :
- 部屋で壁外調査の書類整理をしていた
物音がした気がする
エレンが部屋を出たのか?
食堂の方から聞こえてくるらしい
扉を開けるとエレンが驚いた顔でこっちを見ていた
水を飲みに来たと言っていたが、様子がおかしい
俺の足がどうだとか、エレンの馴染みがどうだとか、だ
俺には覚えのないことばかりほざいてやがる
俺が知らないと言えばそれで取り乱す
余程あいつらの死が堪えたか?
よく見れば汗だくだ
顔色も良くない
休ませる必要があるようだ
「エレン、お前には休養が必要だ。
地下室で休んでいろ」
何か言いたそうにしていたが、素直に戻っていった
俺も自室に戻ろうとしたが、やけにあいつの態度が気にかかる
錯乱しているだけだろうが、話を聞いておく必要がありそうだ
再び地下室へ降りた
-
- 13 : 2015/08/13(木) 12:21:57 :
- 「…!」
急に思い出した
怪我のこと、ミカサのこと、白い本のこと
「なんてザマだ…っ」
蹴破る勢いで扉を開けた
「待て!」
既にエレンの手は本に振り下ろされていた
俺の声も聞こえてはいないだろう
エレンの体はここにある
ただ、獣のような鋭い光を放っていた目はその光を失い、中身がないことは誰の目にも明らかだ
ベッドの上には本
開かれたページには物語が綴られている
「これのせいか…」
その物語が実際にあったことなら俺の足に怪我がなかったことも、ミカサと戦った記憶がないのも頷ける
状況から考えればこうだろう
この本には過去を変える力がある
過去が変われば現在の奴らにも影響が出る
俺の怪我と記憶が改竄されていたのがいい例だ
持ち主が時間を遡る時、過去をリセットする
つまり過去を変える前に戻るということだ
急に俺の状態が戻ったのもそのせいだろう
最後に、記憶が書き換わるまでのタイムラグはおそらくあの本に物語が綴られるまでの時間
今一番問題なのは、エレンが過去を操作しちまったということだ
俺は何もしなかった
だから何も起きなかったんだろう
だが、この本に書かれてあることがあいつのしたことならばエレンは既に本の能力を頼ったことになる
その場合どうなるのか
想像もつかねぇ
今はとにかくエレンが戻ってくるのを待つしかない
「チッ…情けねぇもんだ」
-
- 14 : 2015/08/13(木) 20:03:02 :
何分経っただろうか
どうやら時間の進み具合は本の中も現実も同じらしい
地下室のベッドに腰掛けエレンを待つ間、俺はクソみてぇな考えに憑かれていた
俺は死人が生き返るなんざ夢物語だと、可能性すらも拒んだ
だがもしも、もしもこの力が本物なら…
今思えば、俺はどうかしていた
“もし”なんて希望的観測を信じたのはファーランたちが死んだあの時以来だ
本当に情けねぇ
割り切れてねぇのは誰だ
偉そうに説教垂れておきながら、エレンとあの本に希望を抱いてやがる
こんなクソな人間も久々だ
だが、俺は結局不確かな奇跡を信じた
エレンに望みを託し、様子を見ることにした
-
- 15 : 2015/08/14(金) 12:54:31 :
- エレンの意識が戻る度に落胆し、ようやく分かった
無駄だ
あいつが何度時を遡ろうと、それを期待して待とうと、結果はもう決まっていた
あの本には知性のようなものを感じる
俺が見つけた時にはなかった一ページ目の文字
あれは恐らく俺に期待をしていなかったからだろう
エレンと俺との違いは本の力を信じたかどうかだ
どんな基準かは知らねぇが、俺は信じないだろうと判断し、まあ保険のような扱いだったんだろうな
逆に言えばエレンは信じるとわかっていたということだ
エレンが過去に遡るのも何度目かになると、いちいち記憶が書き換えられることはなくなった
それはエレンが本に依存しちまったせいだろう
過去が変わるまで一心不乱にさかのぼり続けると判断した
エレンが現実を生きないのならわざわざこっちの歴史まで変える必要はない
気付いた途端、言いようのない怒りが湧き上がる
仲間を無残に殺された時と同じ感情
そして思い出した
俺の仕事
あいつを現実に連れ戻す
エレンにとってどちらが楽かなんざ関係ない
可能性がなくなった以上、俺もエレンも夢に溺れるわけにはいかねぇ
-
- 16 : 2015/08/14(金) 18:34:37 :
- 「………!」
戻ったらしい
「くそっ!なんでだ!なんで上手くいかない!?あの時とは違う選択をしてるのに!何が足りないんだよ!」
真後ろにいる俺にも気付いていない
また手を振り上げた
もうそれを見送ったりはしねぇ
「リヴァイ兵長…!」
すまない
お前をここまで苦しませたのは俺の責任だ
お前は充分苦しんだ
だから…
「もういい。もうやめろ」
「放して下さい…。俺は過ちをやり直さなけ
ばいけないんです…」
それなら一番の過ちを犯したのは俺だ
「お前がしていることは、ただの現実逃避だ」
現実から目を背けさせていたのも俺
「…目の前に過去を変える機会があるならも
のにしたいと思うことは当然だ」
笑わせる
自分じゃ信じもできなかったくせにな
エレンを頼って、情けねぇ
「一昔前の俺だったらもしかすると手を出し
ていたかもしれねぇ」
お前は本当に昔の俺に似ている
だから余計に止められなかった
「運命がどうだのと言うつもりはない。
だが一つ言えることがあるとすれば…」
どの口が言う
「一度失われた命は二度と戻らない」
それを理解できていなかった、いや…忘れていたのは俺だろう?
言葉は全て鋭い刃となり俺自身に突き刺さる
エレンばかりが辛い目を見るのは割に合わねぇだろ?
これは戒めだ
俺とエレン、両者が進み続けるための
一言一言発するたび、“今”の俺に戻っていく気がした
調査兵団兵士長、人類最強と呼ばれる男
ただそれだけだ
迷いがあるなら言い聞かせろ
「お前にこんなことをさせる為じゃなかったはずだ」
あいつらは俺を立ち止まらせるために死んだんじゃねぇ
今までに死んだ奴らもそうだ
枷じゃない
俺たちの背中を押す、力をくれる、俺たちにとっての糧だ
「エレン、今お前がすべきことは何だ」
過去は捨てて進み続ければいい
今生きている奴らがバカみてぇに笑い転げていられる自由を掴むまでは
エレンもだいぶ吹っ切れた
二度と本を開かないと言ったその顔は嘘じゃねぇ
-
- 17 : 2015/08/14(金) 22:08:09 :
-
- 18 : 2015/08/14(金) 22:08:50 :
- 「………………」
次の朝、エレンの意識は現実になかった
手遅れだった
いつからかはわからねぇ
記憶の改竄がなくなった時が最後のチャンスだったのか、一度でも頼れば永遠に抜け出せないのか
意識が取り込まれたわけではないだろう
時々体が跳ねている
強制的に往復させられているらしい
それがわかったところで何も代わりはしねぇが…
「」
お前はあいつらを取り戻すことを選んだ
自分の責任だと感じていたお前には重すぎる誘惑だっただろう
お前は『人間』としての道理を貫いた
人間性を捨てきることは簡単じゃねぇ
「誰にもお前を責めることはできない」
エレンのことを何も知らない市民どもは化け物だなどと言うが、この状況で真っ先に人類の損害を考えちまう俺よりこいつの方がよほど人間らしいじゃねぇか
人間と人形の狭間を行き来しているお前を見ているのは…気持ちのいいもんじゃねぇ
-
- 19 : 2015/08/14(金) 23:24:57 :
- 「ハンジ、様子はどうだ」
「見てのとおりだよ…。一瞬視線が動いたかと思えばすぐに抜け殻状態。お手上げだね」
平然としてはいるが、どこか絶望感を滲ませた顔だ
それも当然か
エレンは人類の希望
多大な犠牲を払ってやっとのこと死守したってのにこのザマだ
このままエレンが戻って来ないとなれば、それこそ調査兵団のただでさえ薄い信用は完全に地に落ちる
いろいろな策を試した
エレンの意識が戻ってくる一瞬を狙って、話しかけたり揺すってみたり、だ
どれも駄目だった
一瞬すぎる
視認してから実行したんじゃ到底間に合わねぇ
本を燃やす、なんていう案も出たが、現時点では危険すぎる
燃え尽きるまでエレンの意識が留まってくれるわけでもない
最悪本と一緒に臨終、なんてことにもなりかねん
いや、どんな手を尽くそうとエレンが戻ることはない
これは勘だが、何故か確信を持って言える
それなら…このまま未来のない世界を彷徨い続けるよりも、一思いに殺してやったほうがいいんじゃねぇのか?
エレンは永遠にあいつらの死を見続けることになる
-
- 20 : 2015/08/15(土) 08:09:49 :
- 「エルヴィン、エレンを殺してやれ」
答えは分かりきっている
「それはできない」
だろうな
「リヴァイ、お前もあの本で過去に行ったんだろう。だが今ここにお前の意識も体もある。エレンに少しでも可能性がある以上手放すことはできない」
「可能性なんざねぇだろうが。あいつはもう戻れない。あの世界はエレンにはキツすぎる」
「…お前が責任を感じているのはわかる。だが今回のことは不可抗力だ」
そんな気休めクソほどの得にもならねぇ
「エレンの巨人化能力と同じように、我々人類にとって大きな利となる力である可能性もあった」
ああ、てめぇの言いたいことはこうだろう
過去を変えられる可能性があるとすれば、どの道誰かを使って実験がされていた
今回はそれがエレンだっただけだと…
「俺は責任感からこんな提案をしているんじゃねぇ。生憎だがそんなもんは当てにしてないんでな」
そうだ
俺は現実の話をしている
「これは経験者だから言えることだ。エレンは二度と戻れねぇ。これ以上揺すろうと声をかけようと無駄だ。諦めろ」
尚も食い下がる俺に、エルヴィンは
「リヴァイ、理解してくれ」
それだけ言って部屋を出て行きやがった
エルヴィン、それは違う
俺は理解している
ただ納得できねぇだけだ
一つの決心とナイフを持って地下室へ向かった
-
- 21 : 2015/08/15(土) 13:30:08 :
- 後のことは…想像の通りだろう
エレンのうなじをナイフで深く抉りとった
エレンの命が途絶えると同時に本も何処かへ消えた
ことが終わった時、ハンジは俯き唇を噛み締めていた
エルヴィンが駆けつけた
ハンジに向けられようとする視線を遮り、俺が言う
「そいつは止めた。振り切ったのは俺だ」
確かにハンジは止めた
消え入りそうな声で
『リヴァイらしくないよ…』
それがハンジにとって精一杯の制止だった
ハンジにも心苦しいものがあったんだろう
できるならエレンを楽にしてやりたいと思っていた
だから俺に声をかけることしかできなかった
「俺のことはどうとでもしてくれ」
「まったく…お前はわかっているだろう」
ああ、わかっている
「それはできない」
-
- 22 : 2015/08/15(土) 18:58:13 :
- あの後エレンの同期にも伝達がいった
「ミカサが暴動を起こしかけたらしいよ」
ハンジが苦笑しながら俺に言う
ミカサについては予想していたがな
「せめて最後に合わせてあげれば納得してくれていたかもしれないよ?」
「お前はあいつにあんな状態のエレンを見せろってのか」
「………そうだね」
抜け殻状態のエレンを見せればミカサがどうなるかは想像に容易い
「そろそろ仕事に戻らなくちゃね。エレンがいなくなった穴は大きいよ」
そう言って立ち去った
-
- 23 : 2015/08/15(土) 21:41:56 :
- 一人になった途端にいろんな思いが交錯する
俺があの本を始末していれば
エレンを止めていれば
それ以前に、もっと早くエレンと話をしていれば
もしかすれば、本の能力は本物で、過去を変える道もあったんじゃねぇか?
「クソ…」
俺はいつからこんなに弱くなった?
6年前に変われたと思っていたが、以前よりずっと脆くなっちまった気がする
こんなことで調査兵団の兵士が務まるはずもない
久々に感じる自己嫌悪
-
- 24 : 2015/08/16(日) 00:14:35 :
- ふと気配を感じ横を見る
そこには
あなたは主として認められました
この瞬間から、この本はあなたの物です
〜END?〜
-
- 25 : 2015/08/16(日) 00:16:48 :
- ?とか付けておきながらこれで終了です
予想以上に短くなってしまいましたが、閲覧ありがとうございましたm(_ _)m
ご意見、ご感想があれば宜しくお願いします
-
- 26 : 2016/03/26(土) 22:07:34 :
- 凄い・・・
-
- 27 : 2016/03/27(日) 11:54:08 :
- ゲーマーさん
閲覧ありがとうございました
そう言っていただけて嬉しいです!
-
- 28 : 2016/04/09(土) 21:10:30 :
- 怖いです!読み終わってゾクッ…としました!
-
- 29 : 2016/04/10(日) 00:13:33 :
- ( ゚д゚)元 : みかん死神さん
閲覧ありがとうございました
励みになります!
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