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巡り会えた七夕の奇跡
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- 1 : 2015/06/22(月) 00:01:12 :
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http://www.ssnote.net/groups/524
ここの大会に出場しております(初出場)
プロトタイプです
今回のテーマは「七夕」
なので七夕に関するssを書こうと思います
尚、コメントは制限しております
ご了承ください
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- 2 : 2015/06/22(月) 00:01:45 :
……今日も空は雲に覆われている
ここ最近ずっとだ…
もうすぐ七夕だっていうのにこれじゃあ願い事も叶わないな…
雲があると…
願い事が神様に見られないから…
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- 3 : 2015/06/22(月) 00:03:03 :
「はぁ……」
つい溜息が出てしまった…
それもそうだ、もうここ3日間も曇り空
雨は降り出しそうだが降らない
気分も落ち込むよな…
「よっ!もうすぐで七夕だな!」
こいつは俺の幼馴染の笠沙木 守 だ
「今年は何願うんだ?彦 」
「いや…特に考えてない」
願ったところで叶う保証があるわけないしな…
まあ…願うとしたら…
「織 に会いたいなぁ……」ボソッ
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- 4 : 2015/06/22(月) 00:04:20 :
「…織に会いたいのか?」
やべ、声に出てたか?
織は俺の幼馴染だ…
まあ今更思い出したって…もう会えないから…意味ねぇよな……
「俺も会えるなら会いてぇよ…でもあいつ…1年前に引越しちまっただろ」
わかってる…そんなことは誰よりもわかってる
もう会えないことくらい
「ま、ただの願い事だししておいて損はないだろ、彦星君」
「その呼び方はやめろ…」
「あいつも織姫ちゃんって言われてたろ?お前とちょうどいいじゃねぇか」
「もしかしたら会えるかもなっ!」
もう一年近くも音沙汰ないんじゃ可能性はほとんどないだろ
「バカ言ってねぇで教室に行くぞ」
「冷てぇな〜」
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- 5 : 2015/06/22(月) 07:22:49 :
あと二日で七夕か…
もうすぐ…織が引越してから一年経つのか
「今日の国語では笹に飾る短冊を書こうと思います」
「この短冊に願い事を書いてくださいね」
願い事…か
「ちなみにこの願い事は発表してもらいますよ」
えぇー!と周りから批判を浴びる先生
「黙らっしゃい!」
それをピタッと止める先生
「それじゃ端の列から発表してもらいますよ!笠沙木君!」
げっ、次俺!?
まあ願い事はもう決めてるしいいか…
「俺の願い事は……」
なんだろうな…笠沙木の願い事か…
「俺の願い事は【彦星と織姫を巡り会わせることです】」
周りも驚いた様な顔をしている
もちろん俺もだ
「ってのは冗談だwそんなマジな願い事するかよ!俺はゲーム機が欲しいっていう願い事だ!」
周りのやつらは表情を戻した
だが
笠沙木の言葉が妙に胸を締め付けさせた
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- 6 : 2015/06/22(月) 17:37:15 :
- 「では次!」
俺か
俺は席を立ち一呼吸おいてから言葉を発した
「俺の願い事は…」
だけど不意に言葉が止まった
……?あれ?
声が喉に粘りついて上手く話せない…?
なんだ?願い事を言うだけだろ?
何を恥ずかしがってる?
「願い事は………」
もう決めてるだろ?願い事
それを言うだけだ
なのになんで声が出ない
わかりきってるから?
叶わないとわかってるから?
「あ………」
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- 7 : 2015/06/22(月) 17:38:30 :
だからなのか?
俺の頬を伝うこの水はなんで出てくるんだ?
あいつに会えない…それだけでなんでこんなに胸が締め付けられて声も出ないんだよ…
なんで目から涙が止まんないんだよ…
「あ……す…すみません…ま、まだ…考えていま……せん…」
力を振り絞りやっとの思いで出した声
思い出した…そうだよ
俺はあいつとはもう会えないんだ…
「……ちゃんと考えておくように、次の人!」
先生は何かを察したのか深くは追求せずに話を進めてくれた
そして___
____その日俺は一度も顔を上げることなく学校を終えた
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- 8 : 2015/06/22(月) 18:37:21 :
空は今もどんよりと暗く染まっている
いつになったら晴れるのか、そんなことを考えながら家に帰った
「寒いな…」
もうすぐで夏だというのにまだ肌寒い
この雲のせいだろうか
少し古びたドアを開け家に入る
「ただいま」
「おかえり彦」
そう言いながら俺の姉ちゃんは忙しそうに準備をしていた
「姉ちゃん…外結構寒いよ」
「んー、大丈夫だよ、厚着するし」
「そっか…」
姉ちゃんは今日友達と一緒に1泊2日の温泉旅行に行くらしい
2日後はちょうど七夕だな…
そんなことをふと自然に考えていた
「それじゃいってくるね!行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい」
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- 9 : 2015/06/22(月) 22:59:12 :
ボフッ、と俺はベットに飛び込んだ
「…」
カチカチと携帯を弄る、誰からもメールは来てない
当たり前か…寧ろ誰から来ると思ってたんだ…
「ちょっとだけ…寝よ…」
瞼が重たくなってきた俺はそう呟き俺は目を閉じた
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- 10 : 2015/06/22(月) 23:01:26 :
目を覚ました時にはもう外は暗かった
まさか寝落ちした!?
時間を急いで確認すると午後9時
しまった…今日は父さんも母さんもいないんだ…
誰かに起こしてもらえると考えてた俺を殴りたい
今更また寝ろだなんて無理な話だ
手元に置いてあった携帯を開くと新着メッセージが2件あった
急いで開くと
【ご飯は食べた?母さんと父さんは明後日帰るわね】
というメッセージがあった
とりあえず心配させないように【食べたよ】と返信した
もう一つは
【七夕の願い事なんだ?】
と笠沙木から来てた
……これは既読スルーした
わざわざ教えるほどの願い事でもないしな
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- 11 : 2015/06/23(火) 07:26:44 :
携帯を机に置き俺は目を閉じた
今はあまり動きたくない、動くとなぜか涙が零れそうだったから
一人が寂しいという意味ではなく
俺のことをあいつは忘れているのかもしれない
という不安からだった
「おやすみなさい」
誰に言うわけでもないが暗い闇の中で俺はそっと呟いた
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- 12 : 2015/06/23(火) 15:55:59 :
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- 13 : 2015/06/23(火) 15:56:20 :
- ジリリリリリリ!!!!
とてつもなく煩い目覚ましの音で俺は起きた
しかも登校時間ギリギリに目覚ましがセットしてあった
「やべ…急いで行かねぇと」
すぐに学校の準備をし口にパンを咥え学校に向かって走った
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- 14 : 2015/06/23(火) 17:30:18 :
キーンコーンカーンコーン
「やっと昼休みだなぁ〜彦ォ…」
「そうだな」
「そういえば昨日俺が送ったメール見たか!?」
見たけど見てないと言っておこう
「見てない」
「見てないだと!なら今言え!七夕の願い事何にした!」
「結局言わなかったじゃねーか!」
「さあな」
「教えろよ…!!」
「言うほどの願い事でもない」
「それに願い事言ったらその願い事は叶わなくなるとかいう言い伝えもるだろ」
「そんなもん信じてんのかよ…ちぇっ…」
笠沙木はまるで幼稚園児がするような舌打ちをした
「まーいいや、七夕過ぎたら教えろよなー」
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- 15 : 2015/06/23(火) 23:18:47 :
七夕まで後1日
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- 16 : 2015/06/23(火) 23:22:12 :
今だに天気は曇りだ
『明日の天気は晴れのうち曇りでしょう、場所によっては雨も降るかもしれません』
久しぶりに晴れの時があるのか
まあ途中から曇りで雨も降るらしいが
『明日は七夕です!そこで今日は〜』
最近は七夕についてのことが多いな…
願い事が本当に叶う保証があるわけないのに…
ただ祈るだけなら祈らない方が楽だ
祈ったあとに叶わなくて落ち込むよりかはいい
こんなこと考えてるのになんで俺は祈ったんだ?
「バカかよ……まったく…」
「七夕なんて…」
自分の本心に沿わない言葉を口にし俺はベットで横になった
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- 17 : 2015/06/23(火) 23:30:29 :
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チュンチュン
眩しい…久しぶりに太陽を拝めた気がする
晴れ…か
学校は休みだし散歩にでも行きたいな
そういえば晴れから曇りになって雨も降るかもしれないと天気予報で出てたな…
雨が降る前に帰れば大丈夫
そう考え俺は外に出た
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- 18 : 2015/06/24(水) 20:02:31 :
「おーい、彦ー」
特に考えないでぶらぶらと歩いていたら話しかけられた
笠沙木か
「どうした?」
「ここにいたのか、探してたぞ」
「?」
「その…お前相手に手紙を預かってんだ、いるか?」
俺へ手紙…?
誰だ?というか直接俺に送れよ
「ほい、これだ」
笠沙木はシンプルな封筒を渡してきた
「ん、ありがとな」
「それじゃまた明日な!じゃあな!」
鳥のように去って行った
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- 19 : 2015/06/24(水) 20:03:47 :
- 手紙か…なんだろう
ガサガサと中身を取り出す
空はいつの間にか暗くなっていた
もうすぐ雨が降るだろう
だけど俺はこの手紙を見ることしか頭になかった
勝手に手が動く
中の手紙を取り出す
俺は_____
_____一瞬 息が止まった
ドクンッ、と心臓が踊った
俺の中の"世界"が止まった
差し出し人は____……
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- 20 : 2015/06/24(水) 23:40:56 :
拝啓
急に手紙なんかごめんね、一年も音沙汰ないんじゃ私のことなんか忘れたかな?
でも私は覚えてるよ
今日は七夕だね、昔私が織姫ちゃん、彦君が彦星君って言われてたの覚えてる?
あなたに会いたい
1日だけでもいい。会いたい
笠沙木君に渡した理由はかささぎという鳥が織姫と彦星を巡り会わせてくれるという言い伝えがあるからなんだよ
笠沙木君にはちょっと失礼だったかな?
ごめんね、女の子のロマンチックな話に付き合わせちゃって
最後に、言いたいことがあるの
私の今年の七夕の短冊に書いた願い事は_____
____私のことを…思い出してほしい
いつかまた会おうね
好きだよ、彦君
敬具
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- 21 : 2015/06/24(水) 23:43:47 :
- ポタ…ポタ…
全くだ…なんてロマンチックなものに付き合わせるんだよ…
なんで直接俺に渡さなかったんだよ…
なんで…
なんで目から涙が溢れるんだよ…
ポタポタ……
ああ……雨が降ってきやがった…
いや…雨なのか涙なのかもわからねぇ…
ザァァァ___……
「七夕に雨が降るのは、久しぶりに彦星に会えた織姫が流す嬉し涙」
どっかで聞いたことある話だな
本当にこんな話だっけな…?
……まあ嬉し涙ってのは本当だろうな….
だってよ……
こんなにも俺…嬉しいんだから
でも泣かねぇよ……俺は……
ああ…一つ一つの雨粒がやけに大きい雨だな…
ポタポタ……
泣いてなんかねぇよ…これは雨だ…
ははっ…強がって何になる…
今泣いても…雨が全部隠してくれる…
あいつも今…泣いてんのかな…
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- 22 : 2015/06/24(水) 23:44:49 :
「全く…雲があったって願い事は神様に届くもんなんだな…」
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- 23 : 2015/06/24(水) 23:45:52 :
【俺のことを思い出してほしい】
願い事…叶ったよ
雨粒より一回り大きな水が頬を伝って地面に落ちた
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- 24 : 2015/06/24(水) 23:46:29 :
『巡り会えた七夕の奇跡』
ーENDー
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