当時最高峰の時計」というオーダーのもと、製造に至ったとか。
なお、時計が完成したのはマリー・アントワネットが断頭台の露と消えた34年後の、1827年でした。

ではパーペチュアルカレンダーがどのような機構かと言うと、前述の通り、腕時計が動いている限り、半永久的にカレンダーの手動修正が必要のない機構です。
普通、機械式時計は小の月(月末が31日より前に終わる月のこと)には手動でカレンダー修正をしなくてはなりません。31日を1周期として設計されているためです。しかしながらパーペチュアルカレンダーは、これが必要ないことを意味します。
さらには4年に一度の閏年ですら自動調整してくれると言う。まさにカレンダー機能の金字塔とも言うべき存在ではないでしょうか。
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機構の仕組みはブランドにもよりますが、基本的な考え方は「閏年を一周期とし、4年分それぞれの月のメモリが機械にプログラミングされている」というものです。
このメモリによく使用されるのが、48ヵ月ディスク(カム)。
48ヵ月とはすなわち4年ですが、このカムに刻まれた48個の大小の溝によって大の月・小の月を識別させます。そして4年目に閏年の2月29日を過ぎると、一周期をまた始める…といった要領です。
この48ヵ月カムに接するレバーが溝の大きさに応じて、カレンダーディスクを送るためのカムを必要数(1~4日分)動かします。

なお、パーペチュアルカレンダーはあくまで「半永久的な自動修正」です。なぜならグレゴリオ暦との誤差があるためです。
現在一般的なグレゴリオ暦は太陽暦の一種で、地球が太陽を一周する期間を一年と定めていますね。
実際の一年間の日数は「365.2422日(平均値)」であり、365日サイクルではいずれズレが生じてしまいます。過去扱われていたユリウス暦ではこのズレの解消のために4年に一度、4で割り切れる西暦年に閏年を設け、2月29日を制定してきました。しかしながらこれでもまだズレが生じることとなります。

※一年を365日とすると0.2422日余っており、この日数に4をかけると0.9688日。つまり約一日となり、これを閏年で増やしていけば誤差が解消される、というのがユリウス暦の考え方です。しかしながら小数点以下の誤差はまだあり、毎年0.0078日分(4年で0.032日)となります。そこでより精密なグレゴリオ暦が用いられることとなりました。

一方のグレゴリオ暦では4年に一度ルールの他、西暦の年数が100で割り切れる年は「4で割り切れる年」であっても平年とし、かつ100で割り切れても400で割り切れる年は閏年とする、といったルールを設けます。
ちなみに直近の2000年は100で割り切れてかつ400で割り切れる年であったため、平年設定でした。次のこのイレギュラー年は、2100年となります。