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今、蘇る死 後編 ~名探偵コナン×古畑任三郎~
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- 1 : 2017/06/11(日) 07:53:46 :
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名探偵コナン×古畑任三郎の後編になります。
長くなるとは思いますが、お付き合いいただけたら幸いです。
よろしくお願いいたしますm(__)m
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- 2 : 2017/06/11(日) 07:54:39 :
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真実語るは、鬼切村のわらべ歌!
果たして祟りは本物なのか!
そして、その奥に隠されたこの事件の真相とは!
今回の事件では古畑警部補も大活躍!
たった一つの真実見抜く、見た目は子供、頭脳は大人!
その名は、名探偵コナン!
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- 3 : 2017/06/11(日) 07:56:00 :
名探偵コナン
×
古畑
任三郎
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- 4 : 2017/06/11(日) 07:57:05 :
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___________翌日
堀部家の歴代当主に降りかかった災難は、この小さな村を恐怖のどん底に陥れていた。
その為、音弥の提案で、お祓いが行われることになった。
この村に降りかかる祟りを、村人が恐れたためである。
お祓いの行われる場所へはバスが出ており、バスの中には珠代が天馬の付き添いで乗車していた。
二人とも浮かない表情を浮かべており、特に続けざまに身内を亡くした珠代には疲れの色が見て取れる。
そのすぐ後ろにはコナンと蘭、そして阿笠博士が座っていた。
古畑「おはようございます!」
とここで、一番後ろに座っていた古畑が声をかけて来た。
どうやら偶然一緒に乗り合わせたらしく、古畑のわきには高木の姿も見えた。
珠代「あ、古畑さん!」
コナン「おはようございます! 古畑のおじさん!」
蘭「こんなところで偶然ですね!」
古畑「ええ、こちらに座っても?」
珠代「どうぞ。」
古畑「失礼します。」
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- 5 : 2017/06/11(日) 07:58:07 :
古畑は軽く会釈をして、コナンや珠代とは通路を挟んで反対側の椅子へと座った。
それから珠代は、天馬に古畑を紹介した。
珠代「こちら古畑警部補。今度の事件を捜査なさってる。」
お互い会釈をする古畑と天馬。
珠代「あの、こちら天馬先生。今は郷土資料館の館長さんをされてます。」
古畑「どうも。」
天馬「こちらこそ。」
高木「昨日はどうも。」
古畑「ん?」
高木「あ、昨日古畑さんがお見えになる前に事情聴取をしたんです。先生は音弥さんと一緒に現場に踏み込まれたんです。」
古畑「ああそうでしたか、ご協力ありがとうございました。」
再び頭を下げる古畑。
すると、今度は天馬のほうから古畑に話しかけてきた。
天馬「珠代さんから伺ったんですが、事故ではないんですか?」
古畑「え~・・・・・・残念ですが。」
天馬「事故に見せかけた殺人だと?」
古畑「内密にお願いします。」
古畑の言葉に動揺したのか、「信じられない。」と呟く天馬。
口にこそ出さないものの、珠代も天馬と同じような表情を浮かべていた。
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- 6 : 2017/06/11(日) 08:55:40 :
古畑「あの~、これからお祓いに?」
珠代「ええ。」
古畑「そうですか。村の人たちも随分と集まるようですね~。」
珠代「そのようです。古畑さんたちも?」
古畑「あの~、ちょっと見学を~。」
コナン「じゃあおじさんも僕と一緒だね?」
古畑「おや、コナン君も? ふふふふふ・・・・・・。」
笑みを浮かべる古畑。
古畑「あ~、そうだ~。せっかくだから2、3、お話を宜しいですか?」
古畑の提案に顔を見合わせる珠代と天馬。
ややあって、珠代が「私は構いませんよ。」と答えると、古畑は笑顔で「ありがとうございます。」と礼を述べた。
古畑「え~とですね、昨夜二階から大きな物音がした時、お二人は下のリビングにいらっしゃったんですよねぇ?」
天馬「音弥君を入れて三人で話をしていました。」
古畑「それは何時ごろですか?」
珠代「・・・・・・先生がいらしたのは確か・・・・・・。」
天馬「・・・・・・八時くらいだったと思います。」
古畑「高木君、ちゃんとメモしてる?」
高木「え、あ、はい!」
慌ててメモをし出す高木に、コナンは苦笑いを浮かべた。
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- 7 : 2017/06/11(日) 08:56:33 :
古畑「先生は昨夜なぜあそこに?」
天馬「それは昨日この方 にお話ししましたが?」
古畑「あの、もう一度ご本人の口から、ははははは・・・・・・。」
天馬「・・・・・・私は日ごろから、堀部家とは家族ぐるみの付き合いをさせていただいています。
今は資料館の館長をやっておりますが、去年の春までは村の小学校の校長を務めておりました。それ以前は教員を。
・・・・・・亡くなった大吉君も、音弥君も、私の教え子です。」
古畑「そうだったんですか。」
天馬「昨夜は・・・・・・音弥君が見せたいものがあると連絡を受けましてね。」
コナン(見せたいもの?)
ここで、密かに話を聞いていたコナンが首をかしげた。
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- 8 : 2017/06/11(日) 08:58:03 :
古畑「音弥さんに呼ばれたんですか?」
天馬「そうです。」
古畑「ちなみにそれは、なんでしたか?」
天馬「彼が山道で拾ったという、土器の破片でした。いや、それは値打ちのあるものではなかったんですが。」
それから天馬は少し身を乗り出すように古畑に話しかけた。
天馬「ねぇ、あの、古畑さん。」
古畑「はい?」
天馬「いや、やはりこれは、事故以外には考えられないと思うんですがね。」
古畑「ん~・・・・・・どうでしょうか。」
天馬「誰かが故意に、鎧の入った箱を落としたと思ってらっしゃるんでしょうか? いや、だとしたら、まったくもってありえないことです。
二階で物音がして、私と音弥君が駆けつけるまで、階段を降りてきた者は、誰もいませんでした。
それは、我々が断言します。ねぇ?」
珠代「・・・・・・はい。」
天馬「そして、調べていただければこれは分かることなのですが、二階からはあの階段を使わずに降りることは不可能です。
なおかつ、現場には大吉君以外に人影がなかった。
もし殺人事件だとおっしゃるんだったら、犯人はどうやって大吉君を殺し、なおかつ、現場から逃亡したのか?」
そう語る天馬の表情には、若干ながら、不愉快さがにじみ出ていた。
コナン(確かにそうだ。三人にはアリバイがある。)
この事件の難しいところはここであった。
犯行が行われたとされている時間には、三人ともリビングにいたのである。
この鉄壁のアリバイを崩さないことには、犯人に近づくことすらできない。
古畑にしても、まだ謎は解けていないようであった。
古畑「そこなんですよね。あ、着いたみたいですよ~?」
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- 9 : 2017/06/13(火) 00:06:00 :
バスが到着したところには、既に村人たちが集まっていた。
魔よけの祈禱が行われているここは、一見すると何の変哲もない、ただの空き地であった。
目立つところと言えば、隅っこに何やら石碑と、その由来の書かれた看板があるばかり。
住民たちは焚き火をしめ縄で囲み、一生懸命に祈祷している。
その住民たちの中に混じって音弥の姿が、そして、住民たちの脇には先行してここに来ていた目暮警部の姿があった。
さて、当の古畑やコナンは天馬と共に、住民たちに混じって椅子へと座った。
古畑「あの~、どうしてこんなところでお祓いを?」
天馬「ここは、15年前、古代の石器が初めて発見されたところなんです。」
コナン「ここで石器が見つかったの?」
天馬「それで背後に記念碑が。村人たちにとってはいわば、聖地のようなものなんですよ。」
そういわれてコナンが後ろを向くと、確かに記念碑には『鬼切村旧石器発掘記念碑』と文字が刻まれていた。
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- 10 : 2017/06/13(火) 01:08:24 :
古畑「実はですね、先生。先生にはもう一つ伺いたいことがございまして。」
天馬「後にしていただけますか?」
古畑「失礼しました。」
天馬「午後に、資料館のほうへ。」
古畑が頷くと、今度は住民たちの脇でビデオカメラを回している目暮警部を見た。
古畑「ちゃんと取れてます?」
目暮「うむ。」
古畑「フィルムちゃんと回ってます?」
天馬「お静かに。」
古畑「失礼しました。」
それでも古畑は立ち上がり、目暮にあれこれ注文を付けるので、しびれを切らした天馬も立ち上がった。
ややあきれたような口調で、天馬は古畑に尋ねた。
天馬「何をしているんですか・・・・・・。」
古畑「あ、いやその、これも捜査の一環でして。」
天馬「捜査?」
古畑「ええ、あの、この村の皆さんの多くはですね、この事件を何らかの祟りだと考えています。
まぁ確かに平和な村で突然二人の人間が不審な死を遂げたわけですから無理もございません。
ただですね、その中で一人だけ!
これが祟りではないと確信している人物がいます。
つまりですね・・・・・・。」
天馬「大吉君を殺した犯人というわけですか。」
古畑「ですからお祓いの様子を見れば何かつかめるのではないかと思いましてね。」
天馬「祟りを信じない人間ほどお参りの時間が短いと?」
古畑「そういうわけです。ま~証拠にはなりませんが、参考にはなるかなぁと。」
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- 11 : 2017/06/13(火) 01:09:22 :
古畑が説明している間にも、村人たちが次々と、手に持った木切れを焚火にくべては念入りに手を合わせて祈りを捧げていく。
が、一人だけ、木切れをポイっと投げては一瞬手を合わせてお辞儀をしただけの男がいた。
それを見た天馬の顔からさっと血の気が引いた。
動転したように天馬は古畑に話しかけた。
天馬「音弥君は違う。彼はもともとああいったことは信じない人間なんです。
お参りをする時間が短いからといって、音弥君を疑うなどバカげてる!」
もちろん、そんなことを言われて首を縦に振る古畑ではなかった。
古畑だけではない。
コナンや阿笠もまた、音弥のあまりにもあっさりとした祈りを目撃していた。
蘭が祈祷のために立ち上がったところで、コナンにそっと耳打ちをする阿笠。
阿笠「見たかの、新一?」
コナン「ああ、間違いねぇな。」
さて、当の古畑は右手の人差し指で考え込むように眉間を押さえた後、天馬に向かってこうつぶやくのだった。
「しかしですね、そもそもお祓いをしてもらおうと言い出したのは、彼自身なんです・・・・・・。」
二人は犯人が誰であるかを確信していた。
後は、仕掛けられたトリックやアリバイを崩すだけである。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 12 : 2017/06/13(火) 07:50:56 :
___________お祓いがあった日の昼間
事務的にお祓いを終えた音弥が、堀部パンの事務所の中へと意気揚々と入っていく。
社員A「社長、おはようございます!」
女性社員「社長、おはようございます!」
音弥「おはよう!」
大吉の死により副社長から社長へと就任した音弥は意気揚々と社長室へと入っていく。
音弥「ふふ、ふふふふふ、ははははは・・・・・・。」
社長のいすに座り、椅子を横へと一回転させ、有頂天になって音弥は両足を机の上へと投げ出す。
大吉を追い落として社長に就任したことで、音弥はまるで子供の様な笑みを浮かべていた。
ビーッ!!
とここで内線のベルが鳴り、慌てて音弥は姿勢を直してスイッチを押した。
音弥「はい!」
受付『古畑警部補がお見えです。』
音弥「お通しして!」
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- 13 : 2017/06/13(火) 07:52:01 :
古畑の名前を聞いた音弥は、慌てて書類を机の上へと広げ始める。
そして、古畑が入ってくる頃には、さも仕事を一生懸命していたかのような体裁を取り繕っていた。
ドアをコンコンとノックした後、古畑はいつもの慇懃な態度で部屋へと入ってきた。
その後ろには高木も一緒である。
コナンと目暮は一足先に堀部家へと向かっていた。
古畑「失礼いたします。音弥さんが社長になられたとお聞きしまして。」
音弥「他にいないんだから仕方ないでしょう。
仕事の引継ぎもあるし、兄の葬式も出さなきゃいけないし、もうてんてこ舞いですよ!」
忙しくて忙しくてたまらないという空気を醸す音弥に対し、古畑は多少遠慮がちに訪ねる。
古畑「あの、レジャーランド建設の計画は続行されるんですよね?
さすがに今からじゃ中止にはできない。」
すると、音弥は顔を上げ、これをはっきりと拒絶した。
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- 14 : 2017/06/13(火) 07:53:11 :
音弥「どうして?
中止に決まってるじゃないですか!」
古畑「え~!
大丈夫なんですか!?」
音弥「経営者が変われば経営方針も変わる、当たり前でしょう?
大体土地を売らなきゃいけないなんて重役たちの怠慢ですよ!
僕に言わせればね、堀部パンは僕が変えます!
ビジョンはいっぱい持ってる!」
自信満々に言う音弥に対し、「それは頼もしい。」と切り返す古畑。
が、そんな皮肉は耳に入らなかったのか、音弥はこんな大言をぶち上げた。
音弥「まずコンビニとの提携。
同じ範囲でしか売ろうとしないから頭打ちになる。
これからは大きなコンビニと手を組んで全国展開を目指す。
うちのパンが日本中で買えるようにする。」
笑顔で「楽しみです。」と畳みかける古畑に対し、音弥はこうも言い切った。
音弥「ああそれと新商品も開発します。
いつまでもジャムパンとあんぱんじゃ消費者が飽きるって!
今はスイーツの時代でしょう?
だから僕は菓子パンもスイーツの一種と考えます。
例えばこう、パンをパイ生地風に重ねてミルフィーユみたいにするとか。
そういう新しい発想を取り入れようと思って。」
しまいにはこうである。
音弥「見ていてください。
5年で堀部パンを日本一にしてみせますから!」
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- 15 : 2017/06/13(火) 07:54:06 :
高木「あっ、これは!?」
と、ここで突然高木が声を上げた。
高木「もしかして、この棚に飾られてるのは、八分の一のバギーですか?」
音弥「知ってますね!?」
ついうっかりラジコンカーを見つけて大はしゃぎする高木をたしなめる古畑。
と思いきや、古畑もまじまじと音弥のラジコンカーを見つめてこんなことを言い出した。
古畑「最近のラジコンカーって言うんですか、進歩してますねぇ。」
すると、気分を良くしたのか、音弥は満面の笑みを浮かべて、こう尋ねてきた。
音弥「興味ありますか!? じゃあ実際に走らせてみます?」
古畑「え、いいんですか!?」
高木「自分もぜひお願いします!」
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- 16 : 2017/06/13(火) 07:54:32 :
間もなく三人は外のサーキット場でラジコンカーを走らせ始めた。
音弥「あの黒いのはだれかな!?」
高木「じ、自分です! おかしいな、バックしたままで前に進まないんですよ。」
バックした状態でしか走らないので、ラジコンの近くへと駆け寄る高木。
それを見た音弥はもう大爆笑であった。
一方の古畑も負けず劣らず、まるで子供のようにはしゃいでいた。
古畑「ふふふふふふ、楽しいなぁ!」
音弥「古畑さんの車、動いてないですよ?」
古畑「えっ? だってこれ?」
音弥「あの白いのが古畑さんのですよ!?」
古畑「こっち!? 私あっちだと思ってました!」
音弥「あれは僕のですよ!」
古畑「なぁんだ! はっはっはっはっはっ!」
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- 17 : 2017/06/13(火) 07:55:14 :
ラジコンカーの調子を確かめてる高木をよそにはしゃぐ音弥。
一方の古畑は何とか走らないラジコンカーを走らせようと笑いながらリモコンをあれこれいじっている様子。
とここで、不意に音弥がこんな話を切り出した。
音弥「あ、そうだ。例のわらべ歌の件なんですが、どう思いました?」
古畑「ん~、正直、身の毛がよだちました。」
相も変わらずにこにこと、慇懃な態度をとる古畑。
音弥「僕はあまり超常現象は信じないんだけど、あれだけ実際と一致するとね。
お祓いしてもらいたくなる気持ちもわかるでしょ?」
古畑「ただですね~。
私はですね~。
祟りだとか呪いだとか、あんま信じたくないんですよね~。」
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- 18 : 2017/06/13(火) 07:56:05 :
ここで軽く石を投げる古畑。
古畑の軽い挑発に、音弥はいとも簡単に乗っかってきた。
音弥「じゃあどうするんですか?」
古畑「簡単ですよ。
わらべ歌の歌詞を知っている人間がそれに合わせて事件を起こしているんですよ。」
音弥「それはどうだろう?」
古畑「お兄さんの場合はですね、鎧さえそろえば、歌詞の通りに実行できるわけです。」
ほんの少し外堀を埋める古畑。
音弥「じゃあおじさんは?
歌の通りにクマに人を襲わせるなんてどうやったら出来るの?」
古畑「ん~、そこが分からないんですよね~。」
困ったような笑みを浮かべる古畑に今度は音弥が畳みかける。
音弥「僕もできれば古畑さんみたいに考えたいですよ。
でもそれじゃあ説明がつかないんだよなぁ。」
それは、音弥からの明らかな挑発であった。
音弥の笑みに対して、古畑もまた柔和な笑みで答えた。
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- 19 : 2017/06/13(火) 07:56:46 :
古畑「あっ! 動いた!」
突然話を遮るように声を上げる古畑。
走り出した古畑のラジコンカーは、そのまま高木へと体当たり。
高木「いて! な、何するんですか、古畑さん!」
古畑「勝手に動いてるんだよ!」
高木「や、やめてくださいよ!」
古畑「制御不能になってる!」
逃げる高木を笑いながらラジコンカーで容赦なく追い掛け回す古畑に、音弥もまた便乗した。
音弥「あれ、こっちもだ! あははは!」
高木「おいやめろ!!」
音弥「こんなことは初めてだよ!!」
一緒になって高木を追い込み、相も変わらず子供っぽくはしゃぐ音弥を、古畑は笑みを浮かべながら覗き込んでいた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 20 : 2017/06/13(火) 16:00:02 :
___________古畑が社長室を訪れているちょうどその頃
阿笠「犯人はもうすでに絞り込めておるのじゃろう、新一?」
コナン「ああ。けど、まだ決定的な証拠が見つかってない。
分かりやすい男だけど、ああやって虚勢を張るだけのことはある。」
コナンは阿笠と共に庭に出て、一体どのようにして二階の廊下の窓に侵入したかを考えていた。
昨日降った雪はすでに溶けて、庭は茶色の地面がむき出しになっていた。
コナン「大吉さんを殺した犯人は必ずあの窓から侵入したはずなんだ。
じゃなきゃ大吉さんの部屋には入れない。
それに、音弥さん自身が足跡がないと話していた。」
阿笠「語るに落ちるというわけじゃな。」
コナン「ああ。雪の上を足跡をつけないように移動したとみていいだろう。
後はどうやって移動したかなんだけど・・・・・・。」
そこから先がどうしても分からない。
顎に手を当て、うろうろと庭を歩き回り考え込むコナン。
すると、あまりに現場をうろうろするのにしびれを切らしたのか、目暮警部がコホンと咳払いをした。
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- 21 : 2017/06/13(火) 16:01:07 :
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コナン「あ、目暮警部。」
目暮「コナン君、いつも私たちに協力してくれるのはうれしいが、君はまだ子供だ。
いつもは毛利君が注意してくれるんだが、今日はいないから、私が代わりに言う。
あまり現場を荒らしてはいかんよ、コナン君。」
コナン「・・・・・・ごめんなさい。」
目暮「分かればよろしい。」
シュンとなってコナンがうつむくそぶりを見せた、その時だった。
ゆっくりと頷いて、目暮警部が立ち去っていった、その時だった。
うつむいて地面を見たときに、小さな丸い穴を見つけた、その時だった。
そして、まだ子供だという言葉が、妙に頭に残った、丁度その時であった。
目暮が姿を消したのを確認すると、コナンはすかさず地面を確認した。
はたして、コナンがにらんだ通り、小さな丸い穴が等間隔で廊下の二階の窓へと向かっている。
阿笠「どうしたんじゃ、新一?」
コナン「どうしたもこうしたもねぇよ。分かったんだよ、密室の謎が。」
阿笠「!? なんと!?」
それからコナンは会心の笑みを浮かべ、阿笠に話しかけた。
コナン「博士、今から言うものを揃えてくれないか?
本当にそんなことができるかどうか、早速確かめてみてぇんだ。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 22 : 2017/06/14(水) 09:02:54 :
さて、音弥の元を訪れた古畑は、その足で郷土資料館へと向かった。
天馬が館長を務める、あの資料館である。
二階へと上がった古畑は、ショーウィンドウに飾られた石器や土器を見て感嘆の声を上げた。
古畑「はぁ~、素晴らしいコレクションですねぇ。」
天馬「いやいや、まぁゆっくりご覧になってください。」
古畑「ありがとうございますぅ。」
天馬「この辺りはねぇ、土を掘り返せば、旧石器時代の土器のかけらが今でも出るんですよ?」
とここで古畑は、一個だけ個別のショーウィンドウに飾られている石器に目が留まった。
古畑「ああ、これは何ですか? 随分古いもののようですねぇ?」
天馬「これは、今から三万年前ほど昔に使われていたものです。」
古畑「三万!?」
天馬「これですよ! 15年前最初にあの記念碑のところから出たのは!」
古畑「は~・・・・・・、これは、ナイフですか?」
天馬「実際はねぇ、木の棒の先にこう括り付けて、槍として使っていたようですね。」
古畑「槍? 槍にしては先が尖っていませんね?」
古畑がこの槍の先端が欠けていることを指摘すると、今度は天馬は感嘆の声を上げた。
天馬「刑事さん、流石だなぁ、目の付け所が違う!
いや、元々尖っていたものがおそらく、獲物をしとめたときに折れたんでしょう。」
古畑「あぁ、なるほどね~・・・・・・。」
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- 23 : 2017/06/14(水) 09:03:40 :
天馬「で、私に聞きたいこととは?」
古畑「ああ、そうだそうだ! ええっと、見ていただき・・・・・・あれ、どこやったか、ありましたありました。」
おもむろにコートの中をまさぐる古畑。
内側のポケットから取り出したのは、一枚の紙きれだった。
古畑「これこの地方に伝わるわらべ歌なんですけども、先生ならきっとご存じだと思いまして。」
古畑からメモを受け取って見る天馬は、すぐに頷いた。
天馬「ああ、あの世節ですね?」
古畑「やはりご存知で!」
天馬「ええ、元々この地方に伝わる手毬歌でね、最近は歌える人も少なくなった。」
古畑「おばあちゃん、堀部家のおウメさんですか、教えてもらいました。」
天馬「いやぁ、あの人だったら正確に歌えるでしょう。」
古畑「しかし、こんな薄気味悪い歌で毬をついていたんでしょうかねぇ?」
天馬「はは、子供というのはいつの世も残酷ですからね。」
古畑「ふふふふふ。」
談笑をかわす二人。
やがて天馬のほうから、この事件の本質に迫る話が始まった。
天馬「いや確かに、堀部家の一連の出来事は、その歌詞と符合はしている。」
古畑「どうお考えになりますか?」
天馬「単なる偶然でしょう?」
あまりにもあっさりというので、内心少し意外に思いながら話をつづける古畑。
古畑「偶然として片づけてしまって良いものでしょうか?」
天馬「良いと思いますよ?」
古畑「・・・・・・。」
釈然としないといった表情を浮かべる古畑に、「ご説明しましょう。どうぞこちらへ。」と天馬は書庫の方へと彼を案内した。
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- 24 : 2017/06/14(水) 17:47:46 :
薄暗い書庫に入ると天馬は、棚から手書きのファイルのようなものを取り出した。
天馬「これはかつて、私のクラスの子供たちを使って、村の老人たちから採取したあの世節の歌詞です。
あの世節の歌詞は実は、現在まで伝えられているのが、八十八番まであるんですよ。」
ファイルを受けとり、光の差し込む窓際へと移動する古畑。
歌詞を眺める古畑に、天馬はさらに説明を加えた。
天馬「人間が死ぬ場合。あらゆる可能性を歌にしたのがあの世節だとお考え下さい。
つまり、いかなる死に方をしたところで、このどこかに当てはまる歌詞があるということです。
失礼ですが、あの、お父様は?」
古畑「あ、父? 父? 父は、あ~、他界いたしました。」
天馬「ご病気ですか?」
古畑「いやあの、海外旅行中に事故にあいまして、あの~ですね、あの~、タヒチの海岸でえ~、ヤシの実が落ちてまいりまして、それが頭直撃、死んでしまいました~。」
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- 25 : 2017/06/14(水) 17:48:04 :
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冗談とも本気とも取れない話をする古畑。
その話を聞いた天馬は、古畑が手に持っていたファイルをそっと手に取ると、別のページをめくり始めた。
古畑「あれ? あるんですか?」
天馬「・・・・・・第三十四番。あの子はあの子で、上からヤシの実落っこちて・・・・・・。
お~つむくだいて~、おっちんだ~・・・・・・。」
最後は口ずさむように歌う天馬のあの世節を、古畑は真剣な表情で聞いていた。
天馬「幽霊の正体見たり枯れ尾花。
呪いや、祟りといった類は、一皮むけばこういったからくりがほとんどです。」
古畑「ただこのからくりを利用している人間がいるとしたらどうですか?」
天馬「・・・・・・。」
古畑「クラスの生徒を使って歌詞を集めたとおっしゃいましたよね?」
天馬「ええ、手分けしてもらって、村の老人たちに聞いて回ったんです。」
古畑「その時の生徒たちの名前、教えてもらえますか?
そしてその中に・・・・・・・・・・・・堀部音弥さんの名前があるかどうか?」
この時点で古畑は音弥が犯人である可能性についてかなり確信を持っていた。
後は密室の謎と、鎧の謎とを解くだけである。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 26 : 2017/06/15(木) 03:56:12 :
堀部パンの事務所では、音弥が重役たちを集めて、会議を始めようとしていた。
音弥「僕は無駄話は嫌いなので本題に入らせていただきます。
まずはレジャーランドの件について、これは無期延期。
今までの契約書も一切白紙にします!」
席に着くなり早口で捲し立てるような言い草に、重役の一人が言いにくそうに口をはさむ。
重役A「お言葉ではございますが、社長・・・・・・。」
音弥「これは決定事項です!
議論するつもりはありません!」
突っぱねる音弥に対し、言いにくそうながら、重役は引き下がらなかった。
重役A「分かっていただきたいのは、我々の中の誰一人として、レジャーランドの建設に賛成していたものはいなかったということです。
あなたのお兄様もそうでした。」
音弥「それが?」
重役A「しかしそうなると、工場を閉鎖するしかないのです。
お兄様も苦渋の決断でございました。」
音弥「山を売るのは最後の手段でしょう?」
重役A「今がその時なのです!」
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- 27 : 2017/06/15(木) 03:57:41 :
工場の経営は、音弥が考えていた以上に危ないものであった。
それでも、音弥は自分のビジョンを口にした。
音弥「それよりも僕はもっと、売り上げを伸ばす努力をするべきだと・・・・・・。」
重役A「あらゆる努力はしてきました!
大吉さんは悩んだ末に、私たちと会社と、そしてこの村を守るため、裏山をする決意をされたのです。」
ガタンと音を立てて椅子を引き、ポケットに手を入れて立ち上がる音弥。
それはまるで、授業を受け続けるのを我慢できない子供のようでもあった。
音弥「僕に言わせれば努力が足りないんですよ!
例えば大手のコンビニエンスストアと提携して全国展開を目指す。
なぜこの程度のことを誰も思いつかないんですか?
こんなにいて・・・・・・。」
重役A「お言葉ですが、コンビニ展開は先々代の時代にやろうとしました。
そして失敗しています。
今更、我々が入り込む余地はどこにもありません!」
最近まで興味を持っていなかったこともあり、音弥は自らの会社のことを詳しく知らなかった。
そのツケが、今になって帰ってきていたのである。
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- 28 : 2017/06/15(木) 03:58:27 :
音弥「製品に独自性があれば?
コンビニだって食いついてくるんじゃない?
今だにあんぱんとジャムパンしか作ってないから相手にされないんだよ。
例えばパンをパイ生地風に重ねてミルフィーユみたいにするとか。」
重役A「既にその手の菓子パンは大手のメーカーが続々と販売しているのです。
とても私たちが参入できる市場ではありません。」
たくさんビジョンを持っていると古畑に豪語した音弥であったが、いざふたを開けてみれば何のことはない。
空き缶みたいに何も入っていないことに音弥は今さらになって気が付いた。
そしてそれを取り繕うように、こんなことを言うのがやっとであった。
音弥「とにかくさぁ! みんなが一丸となって頑張ればさぁ、乗り越えられると思うんだよ!」
重役A「お言葉ですが、音弥さん。精神論だけでは乗り越えられないところまで来ているのです。」
音弥「・・・・・・・・・・・・ほかの皆も同じ意見ですか?」
音弥の問いかけに、一様に渋い顔をして下を向く重役たち。
何から何まで否定された音弥に、それを覆すだけの理想も目的も手段もなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 29 : 2017/06/15(木) 06:12:17 :
蘭「何してるの? コナン君? 阿笠博士?」
コナン「あ、蘭姉ちゃん!」
阿笠「コナン君に、せがまれての。竹馬を、作って、いるんじゃよ。」
さて、堀部家の庭では阿笠がコナンに頼まれて、慣れない日曜大工に精を出していた。
ねじり鉢巻きを額に巻いた博士は汗びっしょりで、冬だというのにとても暑そうだった。
阿笠「さて、できたぞい!」
コナン「あはは、なんか左右の長さ違うね。」
蘭「足場の位置もなんかずれてますよ?」
日曜大工をするお父さんというものは得てして報われないものである。
酷評の嵐に阿笠は、しかし、満面の笑みを浮かべた。
阿笠「細かいことを気にしても始まらんじゃろう。はっはっはっはっはっ!」
コナン「あはは・・・・・・。」(はは、いくらなんでも不器用すぎるだろ、博士・・・・・・。)
-
- 30 : 2017/06/15(木) 06:13:18 :
-
内心ツッコミを入れるコナンであったが、その気持ちを脇に押しやり、竹馬に乗ろうとするコナン。
コナン「わわ、おっとッ!?」
もちろんうまく乗りこなせるはずもなく、右に行ったり左に行ったりでなかなか前に進めない。
とそこへ、ちょうど古畑が資料館から堀部家の屋敷へと戻ってきた。
竹馬を見るなり古畑は、目を輝かせてコナンに近づいてきた。
古畑「おやぁ、竹馬ですか? 懐かしいですねぇ。私も子供の頃はよく・・・・・・。」
コナン「あ、古畑のおじさん!」
蘭「ごめんなさい。コナン君がやりたいっていうので。」
頭を下げる蘭に「あぁどうぞお気遣いなく・・・・・・。」とさりげなくフォローをいれつつ、古畑は縁側へと座った。
それから、竹馬を置いたコナンへ、こんなことを尋ねた。
古畑「しかし、どうしてここで竹馬を? 今の時代もっと違う遊びもあるでしょうに?」
コナン「さっきね、庭でね、小さな丸い穴を見つけたんだ。」
古畑「穴?」
コナン「その穴がね、あの二階の窓へと続いてたから、もしかしたら犯人は竹馬で移動したのかなって。
ほら! 雪の上には足跡なかったでしょ?」
蘭「え~。まさかぁ・・・・・・。」
阿笠「それはあまりに子供っぽくはないかのう?」
-
- 31 : 2017/06/15(木) 06:15:06 :
-
蘭と阿笠は半信半疑で首をかしげたが、古畑は違っていた。
例の右手人差し指を眉間に当てる仕草をした後、古畑は満面の笑みを浮かべた。
古畑「ん~、可能性はあります。今回の犯人はかなり特殊なようですし。」
コナン「特殊って?」
古畑「犯罪そのものを楽しんでます。だから子供の気持ちになって考えてみなくてはと思っていたんです。」
コナン「あはは。目暮警部にまだ子供なんだからって怒られちゃって。それでピンと来たんだよね。」
古畑「ピンと来たとは?」
コナン「古畑のおじさんと同じでね、子供の気持ちになってみたんだよ?」
古畑「え~、そうでしたか~。
ふっふっふっ、コナン君。君なかなか優秀ですね~。
私の部下の今泉君よりずっと優秀ですよ。
毛利小五郎さんの躾がいいんでしょうかねぇ、ふふふふふ・・・・・・。」
コナン「あはは・・・・・・。」(いやそれは絶対ないな。)
蘭(それは違うわね。)
阿笠(違うじゃろうな。)
内心ツッコミの嵐であったが、古畑は一向に気にしていない様子であった。
それから古畑は、嬉々として目暮と高木を呼びに行った。
-
- 32 : 2017/06/17(土) 07:28:01 :
-
自宅に帰ってくるなり、音弥は自分の部屋のベットに身を投げ出し、頭をくしゃくしゃと搔きむしった。
___________初めての会議は散々な結果だった。
こんなはずじゃなかった。
こんなはずじゃ。
何事もなければ、この考えはいつまでも堂々巡りとなっていたかもしれない。
しかし、音弥の自己嫌悪にも似たこの感情は、次の瞬間には吹き飛んでいた。
音弥「!?」
窓の外を眺めた音弥は、庭で竹馬に乗る高木刑事の姿を見て驚愕した。
一瞬、打ちのめされたかのような表情を浮かべる音弥。
音弥の表情は、しかし、しばらくすると挑戦的な笑みへと変わった。
まるで、内心の動揺を取り繕うかのように。
-
- 33 : 2017/06/17(土) 07:29:36 :
古畑「よしよし、いいぞいいぞ頑張れがんばれ!」
高木「おっと、うぉわ!」
古畑「そっちじゃないだろ高木! おいおいこらどこ行くんだよ!」
あさっての方向に歩き出す高木を、縁側で寝そべり、笑いながらからかう古畑。
そこへ、「どこ行っちゃったんすか!」と笑いながら割って入ってくる音弥。
コナン「あ、音弥のお兄さん!」
古畑「どこ行っちゃったんでしょうねぇ。ほっときましょう。」
ひとしきり笑った後、体を起こす古畑。
庭で笑っている蘭やコナンをよそに、縁側の脇に立っている目暮は、何やら渋い表情を浮かべていた。
目暮「そろそろ教えてくれんかね、古畑君。
君はいったい何のつもりで竹馬遊びをしているのかね?」
古畑「え~、実験です。懐かしいでしょう?
私も子供の頃はよくやったものです。」
音弥「古畑さんはひょっとして犯人は竹馬を使ってあの二階の窓まで行ったと思っているんですか?」
古畑「いえいえ、私じゃありません。
コナン君がそう考えているんです。」
-
- 34 : 2017/06/17(土) 07:30:54 :
えへへと笑みを浮かべるコナンを見下ろす音弥。
それから再び視線を古畑へと戻して笑みを浮かべた。
音弥「コナン君はどうしてもこれを殺人事件にしたいわけだ。」
古畑「これが成功すれば密室の謎が解けます。あ、そうだ、検死の結果お伝えしましたっけ?」
音弥「聞いてないな。」
古畑「お兄さんですね、直接の死因は後頭部の打撲が原因です。
まぁ転んだ拍子にぶつけたとも考えられますが、誰かに殴られた可能性も十分にあるとのことです。」
揺さぶりをかけ始める古畑。
警視庁捜査一課の中でも、古畑の犯人に対する追及の執拗さはよく知られていた。
はじめ渋い顔をしていた目暮も、これが本気だと悟ったのか、気が付けば真剣な表情を浮かべている。
対して音弥は、再び虚勢を張った。
-
- 35 : 2017/06/17(土) 07:31:46 :
音弥「じゃあ間違いない。これは殺しだね。」
音弥のこの一言を待っていたかのように、古畑は笑みを浮かべた、
それは、犯人を追い詰めるときによく使う、底意地の悪い笑みであった。
古畑「そうだ、音弥さん、竹馬をお願いできますか? ふふふふふ・・・・・・お願いします。」
コナン(この刑事さん鬼だな・・・・・・。)
これにはコナンでさえも辟易するほどであった。
少しずつ追い詰められていく音弥は、それでも笑みを浮かべ、高木から竹馬を受け取った。
竹馬を受け取るやいなや、音弥は不揃いなそれを見事に乗りこなし始めた。
古畑「素晴らしぃ!」
音弥「子供の頃は一日中乗ってたこともある。
大事なのは足元をあまり見ないことね。
目線はいつも、正面。」
コツを注釈しながら庭を歩いていく音弥。
やがて竹馬は、廊下の二階の窓の前へと到達した。
音弥「こんな感じ?」
古畑「戻ってくれますか?」
お互いに笑みを浮かべる古畑と音弥。
それから音弥はもう一度コナンを見る。
対してコナンは無邪気な笑みを浮かべた。
・・・・・・・・・・・・こうして、密室の謎は解かれたのである。
-
- 36 : 2017/06/20(火) 10:08:45 :
しかし、これだけでは音弥を追い詰めることができないということも、コナンと古畑にはわかっていた。
密室の謎は解かれたが、もう一つの謎が解かれていなかったからである。
音弥「だけどそう考えるとおかしくないですか?」
もちろん音弥もそのことを指摘してきた。
そしてそれこそが、古畑の作戦なのである。
音弥「犯人はこれで母屋の窓に侵入し、二階に上がって兄を殴り殺し、そしてまたこれを使って逃げたことになるよ?」
古畑「ん~そういうことになります。」
音弥「でも物音がしてから僕と先生はすぐに二階に駆け上がった。そんな短い時間にあの窓を抜け出すことは出来るのかな?」
古畑「出来ません。無理です。」
音弥「じゃあどうしたと思うの?」
古畑「・・・・・・お兄さんが亡くなったのはそれよりもっと前です。」
音弥「もっと前?」
古畑「死亡推定時刻は9時10分頃となってますが、それはあくまでもあなたと先生の証言に基づいたものです。
え~、検視官もですね、それよりん~、10分から15分前の可能性もあると言っています。」
-
- 37 : 2017/06/20(火) 10:09:48 :
かまをかけて反応を見る古畑。
案の定音弥はすぐに噛みついてきた。
音弥「だったらあの時の物音は?」
古畑「それもトリックです。」
笑顔でそういう古畑に、音弥も「うそぉ? どういうことぉ?」と笑みを浮かべ、興味津々そうに食いつく。
ここから古畑はさらに畳みかけるように攻勢に出た。
古畑「いかにもあの時に事故が起きたように犯人が仕組んだんですよ。」
音弥「どうやって?」
古畑「どうやって~・・・・・・。ふふふふふ・・・・・・。」
古畑が笑いながら首を横に振ると、音弥は「なぁんだ。そこが大事なんじゃないですかぁ、古畑さん。」といかにも残念そうに笑ってみせる。
古畑「この事件の犯人は実に頭の切れる人物のようです。」
音弥「ひょっとしたら、何かタイマーのようなものを仕掛けたのかもしれない。」
すると、話を聞いていたコナンが割って入ってきた。
コナン「実は僕もそんな気がしてたんだ。」
音弥「へぇ、コナン君もかぁ。それは面白い偶然だね? で、何か考えでもあるの?」
あくまで笑みを崩さない音弥に対し、コナンはいかにも子供っぽく見せかけて、核心へと迫っていく。
-
- 38 : 2017/06/20(火) 10:10:17 :
コナン「僕はね、え~っと・・・・・・ラジコンを使ったんじゃないかなって思うんだ。」
音弥「ラジコン?」
コナン「犯人はね、鎧が大吉さんの上に落ちるようにリモコンで遠隔操作したんじゃないかなって。」
すると音弥が笑いだし、古畑も笑い出した。
コナン「あれ? 僕変なこと言ったかな?」
古畑「いえいえ、良い線いってると思うんですけどねぇ。」
音弥「じゃあ、そんなことができるのかどうか、試してみてよ、コナン君。」
音弥の笑いは、人をコケにしたような、あざけりを含んだ笑いであった。
音弥「コナン君、ここは携帯の電波が弱いって気づいてたかな?」
コナン「・・・・・・。」
古畑「・・・・・・。」
音弥「磁場の影響みたいだね。
このあたりじゃ問題なく使えるのは会社の敷地の中だけなんだ。
だからね、僕がラジコンをやるのもね、会社にいるときだけ。
じゃあ、頑張って。」
それは、音弥からの探偵に対する挑戦状だった。
コナン(お前に見せてやるよ、真実って奴を・・・・・・。
この世に解けない謎なんて塵一つもねぇってことをな!)
自分の部屋へと去っていく音弥の後姿を、コナンはきっと睨みつけた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 39 : 2017/06/20(火) 10:31:50 :
日もすっかり暮れた堀部家の大広間では、大吉の葬儀が行われていた。
本来はおじである五平の葬式のために準備されたものが、皮肉にもそのまま大吉の葬儀にも使われることになったのである。
珠代と音弥が並んで座り、弔問客に頭を下げている中、阿笠と蘭、目暮と高木は小声で話をしていた。
蘭「あの、コナン君はどこに?」
阿笠「それがのう、あの古畑という刑事と一緒に現場検証をしてるんじゃ。」
目暮「高木君、古畑君はどこに行ったのかね?」
高木「それが・・・・・・コナン君を連れて現場検証をしてるみたいで・・・・・・。」
四人はそれぞれため息をつき、あの二人のことを考えた。
きっと生き生きと、水を得た魚のように捜査をしているのだろうと思うと、頼もしいような頭が痛いような、そんな気がしていたのである。
-
- 40 : 2017/06/22(木) 10:39:38 :
古畑「じゃあ動かしてくれます?」
コナン「もう動かしてるよ! 古畑のおじさん!」
さて、古畑とコナンはというと、四人が予想したように生き生きと現場検証を行っていた。
コナンが階段の下段にてラジコンのスイッチを入れる中、古畑が二階の廊下にてラジコンの動きを見守っていた。
事件現場にあった二本のつっかえ棒。
このつっかえ棒を使って鎧の入った箱を支え、ラジコンを使ってつっかえ棒を倒し、箱を落として事故に見せかけたと、二人は踏んでいたのである。
が、音弥の指摘する通り、地場の影響があってラジコンはうんともすんとも言わなかった。
コナン(くそ・・・・・・あとはここだけなんだ。
このトリックさえわかれば、あとは・・・・・・。)
ピロリンッ!
とここで、コナンの携帯電話が鳴った。
微弱な電波を受信した携帯をコナンが見ると、灰原からのメールであった。
コナン(!! これは!?)
メールの内容を確認したコナン。
その瞬間、コナンの頭の中に電流が走った。
コナン(そうか、そういうことだったのか!!)
-
- 41 : 2017/06/22(木) 10:41:12 :
古畑「電池、入ってるよね・・・・・・。」
一方の古畑は電池が入っていることを確かめるために、ラジコンを持ち上げていた。
すると・・・・・・ゴトンという音と共に、電池が一本、床へと落ちた。
落ちた電池はゴロゴロと、傾いた床を転がっていく。
偶然にも落っこちた電池の行方を注意深く見守る古畑。
転がっていった電池は、つっかえ棒の脇を通り、ちょうど階段を駆け上がってきたコナンが拾い上げた。
コナン「分かったよ、おじさん! この事件のトリックが!」
電池を拾い上げ、声を張り上げるコナンに対し、古畑もまた笑みを浮かべる。
過程は違ったが、古畑もまた、コナンと同じ結論に達していた。
とうとうすべての謎は解かれた。
犯人である堀部音弥を追い詰める布石が、いよいよ整ったのである。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 42 : 2017/06/23(金) 04:46:38 :
-
天馬「それにしてもコナン君。君は面白いことを考えるね?」
翌日、古畑はコナンを伴い、郷土資料館を訪れていた。
これはもちろん昨晩、灰原から届いたメールの内容を確認するためであった。
コナン「おじさん、元々は学校の先生だったんでしょ?
だからこのこともわかるかなぁと思って。」
天馬「うむ。確かに角砂糖は一方の力に対して強い抵抗力を持つ。しかし、砂糖の特性でね。
もう片方から力が加わると、途端に崩れてしまうんだよ。」
昨晩灰原から来たメールの内容は、角砂糖ならば鎧の重さを支えられるというものであった。
コナンの話に感心したように天馬が頷くと、古畑が尋ねた。
古畑「例えばですねぇ、角砂糖の上に50kg以上の重さを加えたとしたら?」
天馬「やったことはありませんがねぇ。理論的には、大丈夫なはずです。」
古畑「ちなみにこれは学校の授業で教えるものでしょうか?」
コナン(上手い質問だな。)
コナンはこの古畑という男の話の上手さにほとほと感心していた。
いくら名探偵コナンと言っても、これだけの話術は持ち合わせてはいない。
もし今自分が工藤新一に戻ったとしても、まだこれだけの話術は使えないだろう。
天馬「理科の教科書には出ていなかったと思います。
しかし、私個人に関していえば、生徒たちに科学に興味を持ってもらうために、授業で話したことはあります。」
天馬から聞きたかった言葉を引き出した古畑。
コナンと古畑は互いに顔を見合わせ、ゆっくりと頷いた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 43 : 2017/06/23(金) 20:39:19 :
-
それからコナンと古畑は、堀部パンのパン工場に天馬を伴って移動した。
倉庫にはすでに高木刑事がスタンバイしており、大きくて平べったい木枠を6段ほど倉庫の真ん中に積み上げていた。
その様子を阿笠と蘭が不思議そうに覗いている。
高木「古畑警部補! お疲れ様です!」
蘭「コナン君? 高木刑事から聞いたんだけど、やってみたいことがあるの?」
コナン「うん! 古畑のおじさんに手伝ってもらって、これから実験をするんだ。」
阿笠「しかしなんじゃ、木箱の上に砂糖を積んでおるが、一体何の実験なんじゃ?」
蘭と阿笠とが不思議そうに首をかしげる中、高木は古畑から言われたとおりに角砂糖を三つずつ、三点に積んだ。
それから慎重に、角砂糖を壊さないように板を角砂糖の上へと乗せる。
とそこへ、目暮警部が音弥を連れて倉庫に入ってきた。
目暮「古畑君。音弥さんをお連れしましたぞ。」
古畑「ああどうもお待ちしておりました。音弥さんも興味を持ってくれるんじゃないかと思って。
これからちょっと実験を。
名付けて砂糖は力持ち。」
-
- 44 : 2017/06/23(金) 20:42:04 :
-
笑いながら言う古畑を見つめる音弥の目には、驚愕の色が浮かんでいた。
なぜわかった?
どうして?
音弥が答えの出ない堂々巡りをする中、コナンが天馬に近づく。
コナン「ごめんね、天馬のおじさん。
僕、どうしても自分の目で見てみたくて。」
天馬「まぁ悪くないと思うよ。」
天馬の了解を得て、コナンは高木刑事を見た。
コナン「ねぇ高木刑事、この板の上に乗ってみてよ?」
高木「え? そんなことしたら角砂糖が崩れちゃうでしょ?」
一笑する高木の顔をじぃっと見続けるコナン。
困った高木がまわりを見渡すと、天馬が声をかけてきた。
天馬「大丈夫だと思いますよ? 角砂糖の力を信じなさい。」
古畑「早く乗りなさい。」
古畑にまで突っ込まれ、どうしてこんなことしなくちゃならないんだろうと思いつつも、角砂糖の上に乗った板に近づく高木。
そっと、そぉっと。
両手をまず板の上へ慎重に置き、それから板の上に膝を乗っけて、まるで正座をするような形で、高木は板に乗った。
角砂糖は・・・・・・崩れていない。
高木「はぁ・・・・・・すごいなぁ。」
さっきまで不満に思っていた高木だったが、今は角砂糖の力に感心していた。
阿笠も蘭も感心することしきりで、天馬は懐かしそうに音弥に声をかけた。
天馬「昔授業で話したのを覚えているかね?」
音弥「・・・・・・思い出した。角砂糖は上からの重さには強いんですよね。」
天馬「実験は成功というわけだね、コナン君。」
-
- 45 : 2017/06/24(土) 13:32:21 :
するとここで、古畑が口をはさんだ。
古畑「いえ、実験はここからなんです。」
音弥「これ、一体何のための実験なんですか?」
天馬「いや、私にもさっぱりだよ。」
動揺する音弥に首をかしげる天馬。
目暮が紙袋からあるものを取り出して支度をしている間に、古畑は音弥に実験の意図を説明し始めた。
古畑「え~・・・・・・現場に水が零れていたのを覚えていますか。
バケツがひっくり返って。」
コナン「あの水ね、舐めてみると甘かったんだよ?」
天馬「!? 甘かった!?」
音弥「・・・・・・舐めたのかい? コナン君?」
蘭「あれはさすがに汚いよ、コナン君。」
コナン「えへへ、なんか気になっちゃって・・・・・・。」
古畑「というわけで! 現場には砂糖が落ちていた可能性が出てきました!
そこで考えてみたんです!
もしそれが・・・・・・・・・・・・角砂糖だったとしたら?」
-
- 46 : 2017/06/24(土) 13:49:38 :
音弥「・・・・・・全然意味が分かりません。」
天馬「古畑さん、私たちにも分かるようにお願いします。」
すると古畑は何やら準備をしていた目暮を見た。
目暮は頷き、二本の棒を取り出す。
それは、あの時現場に落ちていた、長さの違う二本のつっかえ棒であった。
もちろんその棒を見た音弥が、驚愕の色を浮かべたのは言うまでもない。
古畑「え~、長さが微妙に違うのが分かりますか?
こっちの方が若干短い。3センチほど足りません。
角砂糖にたとえて言うならちょうど二個分! ちょ う ど 二個分 です!」
わざわざその部分を強調し、畳みかけてくる古畑に、いらいらと動揺の混じった声で「なんで二回も言うの。」と呟く音弥。
すると古畑は、ここぞとばかりに意地悪な笑みを浮かべた。
-
- 47 : 2017/06/24(土) 14:09:15 :
古畑「これはあくまで仮定の話ですよ~?
犯人はですね~。この二本のつっかえ棒を立てて、短い棒の下には角砂糖を二個置いてバランスを保った。
そしてその上には例の鎧が入ったケースを。
そしてここからが面白いのですが、音弥さん?
あそこの廊下、かなり立て付けが悪くて床が微妙に斜めになってますよねぇ?」
音弥「立ててからかなり経ってるのでね。」
古畑「ん~つまりですね。
奥の方でバケツを倒しておくと、水はゆっくりと廊下を階段側に流れていきます。
つまり犯人はこれを、タイマー代わりにしたんですよ。」
天馬「角砂糖が水で溶ける時間を利用して、犯行時刻をごまかしたとおっしゃるんですか?」
古畑「はい・・・・・・。」
-
- 48 : 2017/06/24(土) 14:10:30 :
遂に追い詰められた音弥は、「ありえない・・・・・・。」と虚勢を張るしかなかった。
無論それを見逃すような古畑ではない。
古畑は紙袋から水鉄砲を取り出すと、高木を乗せている板を支えている角砂糖を水鉄砲で撃ち始めた。
古畑「ふふふふふ・・・・・・。」
高木「えっ!? ちょっ!? 止めて! 古畑さん!!」
これ以上ないくらい意地悪かつ楽しそうな笑みを浮かべる古畑。
そして・・・・・・・・・・・・
高木「うわぁッ!!」
横から力を加えられた角砂糖はついに砕け、高木は板の上から転げ落ちた。
文句を言う高木を差し置いて、古畑は笑みを浮かべたまま、動揺し続けてる音弥を見据える。
___________犯人に罪を認めさせ、償わせる。
古畑任三郎と江戸川コナン。
人柄も推理のやり方も一見正反対の二人ではあるが、根っこの部分においては共通するものを持っていた。
それは・・・・・・あらゆる犯罪を憎む正義感ともいうべきものであった。
「いかがですか?」と詰め寄る古畑に、音弥は往生際悪く、またしても虚勢を張った。
音弥「一つの仮説ではあるかもね。」
罪を認めさせなければ充分とは言えない。
それは古畑だけでなく、コナンにしても同じであった。
そして、彼らの誤算 は、ここから始まったのである。
-
- 49 : 2017/06/24(土) 14:29:17 :
天馬「・・・・・・そろそろ仕事に戻っても構いませんかねぇ?」
ここで、天馬は時計を見、それから極めて不愉快そうな口調で古畑に話しかけた。
天馬「古畑さん・・・・・・一言言っておきますがねぇ。
こんな茶番はこれでもう終わりにしていただきたいものですねぇ。」
古畑「やってることは茶番に見えますが、至って真剣です~、ふっふっふっ。」
天馬「・・・・・・君のやり方というのはいつもこうなのかねッ!」
古畑「はい?」
ここにきて、天馬は今までの不満をぶつけるかのように声を張り上げた。
天馬「君は音弥君が真剣にお祓いをしなかった!
それだけのことで彼を疑っているが、人を疑うにはあまりに薄っぺらな根拠だ!
そして彼が犯人だと仮定したうえで、彼だったらどうやって殺人を犯すか!
それを考えてる!
これは極めて危険な捜査だよ!!」
古畑「・・・・・・・・・・・・私が言いたかったのは、あの夜二階で物音を聞いた時、仮にリビングにいたとしてもそれは何のアリバイにもならないということです。」
天馬「だったら私や珠代さんもおんなじ理屈で容疑者ということになるじゃないか!
違うかねッ!?
それにね、古畑さん。
もし私が本気で誰かを殺そうとしたら、夜道を狙って、誰もいないのを確かめ後ろから殴り殺すだろうッ!!
そんなわらべ歌をなぞったり、機械的トリックで犯行時刻をごまかしたり・・・・・・。
そんなことはね、普通の人間はめんどくさくてしないもんなんだよッ!
それが許されるのはフィクションの世界だけだッ!!
挙句にコナン君みたいな子供まで巻き込んで・・・・・・。
君はいったい何様のつもりだッ!?
・・・・・・・・・・・・失礼ッ!」
踵を返し、怒り収まらぬといった様子で立ち去っていく天馬。
天馬の怒りに満ちたその言葉は、古畑ではない。
ほかならぬ音弥を傷つけていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 50 : 2017/06/24(土) 14:50:03 :
-
結局、古畑とコナンはこの日、これ以上の追及を断念せざるを得なかった。
その日の夜、音弥はリビングにて、恩師でもある天馬に相談を持ち掛けていた。
天馬「古畑の言うことなど無視すればいい!
彼のは単なる見込み捜査だよ。
まっとうな刑事のやることじゃない!」
音弥「・・・・・・僕はどうすればいいんでしょう。」
天馬「何もしない方がいい! 下手に動けば犯人扱いされる!」
すっかり自信を打ち砕かれ、音弥は縋るように天馬に話しかけた。
音弥「先生信じてください! 僕はだれも殺してません!」
天馬「・・・・・・確かに君は誤解されやすい。
軽薄な部分もあるし、どこまで真剣なのか分からない現代青年特有の一面も持ってる。
しかし私は、その裏に隠れた、君の優しい部分をよく分かってるつもりだ。」
天馬から温かい言葉をかけられ、「ありがとうございます。」と弱々しい声で呟いた後、音弥は頭をぐしゃぐしゃと両手でひっかいた。
音弥「本当に頭に来ますよ、あの男!
何か思い知らせてやりたいです!」
天馬「そんなことはしない方がいい!
あの男の小さな脳細胞は、君が犯人だという妄想に取りつかれているんだ!
その考えは、真犯人が名乗り出ない限り変えることはないだろう・・・・・・。」
音弥「だけど・・・・・・。」
天馬「後は例えば君自身が次の犠牲者にでもなれば、さすがの彼も目を覚ますだろうがね。」
音弥「・・・・・・僕が、ですか。」
天馬「いやいや、これはあくまでも例えだよ。
心配するな。警察には私の教え子もたくさんいる。
彼が捜査から外されるのにそう時間はかからないだろう。
・・・・・・・・・・・・私に任せなさい。」
-
- 51 : 2017/06/24(土) 15:01:17 :
-
自分の部屋に戻った音弥は、件の大学ノートを再び開いた。
よろい殺人
雪の密室殺人
鬼切村わらべ歌殺人
順々にページをめくっていき、音弥はその次のページを開いた。
そこには、こんなことが書かれていた。
警察に犯人と疑われたときの攪乱法
犯人が被害者を装う
~怪我はするけど死なない事故の起こし方~
ようやく、音弥は笑みを浮かべ、大学ノートを机の引き出しの中へとしまう。
そして、兄である大吉の持ち物であった狩猟用の散弾銃を手に取った。
___________翌朝
裏山の森の中に入った音弥は、散弾銃をゆっくりと構える。
銃口の先には、布が詰まっていた。
そうすれば、銃口に入れた8、5gの無煙火薬が暴発し、怪我はするけれど死なず、被害者を装うことが出来るというわけである。
音弥は、今一度笑みを浮かべる。
僕が被害者になったらあの古畑がどんな顔をするのだろうか・・・・・・・・・・・・。
笑みを浮かべたまま、音弥は、散弾銃の引き金を引いた。
-
- 52 : 2017/06/24(土) 15:25:43 :
-
___________堀部音弥の遺体が発見されたのは、それから数時間のちのことである。
発見者は、江戸川コナン。
音弥の姿が見えないことを怪しんだコナンが、必死に捜索した結果であった。
裏山の山道。
その山道のはずれの、落ち葉がたくさん落ちているところに、音弥の遺体は横たわっていた。
その傍らには破裂した散弾銃。
やがてパトカーが駆けつけ、蘭や阿笠、警察の人間が集まってきても、コナンは音弥の遺体をじっと見つめ、そこから動こうとはしなかった。
一方、音弥の遺体を確認した古畑は、まるで上の空であった。
ややあって、実況見分を終えた高木が後ろから話しかける。
高木「・・・・・・・・・・・・銃口に何かが詰まっていて、その状態で引き金を引いたみたいです。
事故の可能性が高いと思われます。」
後ろを向いて空を眺めたまま、何の反応も示さない古畑。
高木「散弾銃は大吉さんの物でした。
音弥さんはお兄さんに黙って銃を持ち出しては、ここで狩りをやっていたみたいです。」
何を言っても、古畑は反応を示さなかった。
-
- 53 : 2017/06/24(土) 15:27:23 :
この時、コナンは浅井成実のことを、
古畑は黛竹千代のことを、それぞれ思い出していた。
___________それはどちらも、それぞれの犯人が自殺を遂げた唯一の事件であった。
蘭はその場に居合わせていた。
だから、死体の前でうつむくコナンの心境が痛いほどわかっていた。
分かっているがゆえに、かける言葉も見つからなかったのである。
一方、高木も特命全権大使の自殺という衝撃的な結末を迎えた事件を知ってはいたが、ここまで落ち込んだ古畑を見たのは初めてであった。
高木が目暮と目を合わせると、目暮はゆっくりと首を横に振って、その場を離れていった。
いてもたってもいられず、高木は古畑に再び声をかけた。
高木「古畑警部補・・・・・・。」
すると、上の空の古畑は振り返ることもせず、こんなことを呟き始めた。
古畑「高木君・・・・・・なんか甘いもの食べたいね。」
高木「あ、甘いものですか?」
古畑「食パン丸ごと焼いてさ。
熱々のところにバニラアイスクリームのっけてさ。
はちみつかけてさ。
シナモンシュガーかけてさ。
チョコレートソースちょっとだけかけてさ・・・・・・。
そういったのが食べたいね・・・・・・。」
高木「・・・・・・。」
そう静かに呟く古畑の背中が、彼の心境を物語っていた。
-
- 54 : 2017/06/24(土) 15:43:59 :
高木「・・・・・・・・・・・・作ってもらいましょう、古畑さん。ここにはパンもいっぱいあります。」
古畑「・・・・・・・・・・・・都会に帰ろう。この村は私に向いてない。」
ぽつりとつぶやく古畑に、ポンと右手を古畑の右肩に置く高木。
すると古畑はにべもなく、「離しなさい。」と手を払いのけて歩き出す。
とそこへ、先ほどこの場から離れた目暮が戻ってきた。
目暮「古畑君、少し・・・・・・わしについてきて欲しいのだが・・・・・・。」
古畑「・・・・・・嫌だ。」
目暮「古畑君!」
古畑「イ ヤ だ !」
それからしばらくして、古畑は目暮に連れられて、音弥の部屋の中へと入った。
鑑識のカメラのシャッター音が虚しく響き渡る中、目暮は一冊の大学ノートを手に取った。
目暮「見てくれたまえ、古畑君。
これが、音弥さんの机の中から見つかった。」
それは、堀部音弥が小学生の時に自由研究で発表した、完全犯罪の計画表ともいうべきノートであった。
よろい殺人
雪の密室殺人
鬼切村わらべ歌殺人
そして、犯人が被害者を装う方法。
そのページには散弾銃の銃口に無煙火薬を8、5g詰め、先端を布で詰め、それから引き金を引くとあった。
音弥は忠実にそれをなぞって、皮肉にも死を遂げたのである。
古畑はしばらくノートを眺め、それから静かにそれを閉じた。
___________こうして、堀部大吉の殺人事件は、容疑者の事故死という皮肉な結末をもって、幕が下りることとなった。
-
- 55 : 2017/06/25(日) 05:41:14 :
-
- 56 : 2017/06/25(日) 05:41:34 :
その日の夜、コナンと蘭は阿笠の研究所へと立ち寄った。
コナンはずっとうつむいたままであった。
そして、蘭や阿笠も何か励ましの言葉をかけようとしても出てこず、しゃべりだせずにいた。
研究所に着いた三人を出迎えたのは、灰原であった。
灰原「こんばんは、蘭さん、コナン君。
お帰りなさい、博士。」
阿笠「すまんのう、何日も家を空けてしまって。」
通り一遍の挨拶をする灰原に、なるだけいつも通り対応しようとする阿笠。
しかしそれでも、落ち込むコナンに影響されてか、その笑顔に陰りがあった。
阿笠「さて、みんなお腹すいたじゃろう? ん?
何か用意するからの。
ちょっと蘭君、キッチンにきて手伝ってくれ。」
リビングのソファーにコナンと灰原を座らせ、蘭をキッチンへと連れていく阿笠。
灰原がコナンと向かい合って座り、沈黙すること数分。
やがて、灰原が静かに話しかけ始めた。
灰原「・・・・・・・・・・・・事件のことは博士から聞いたわ。」
コナン「・・・・・・・・・・・・ああ。」
心ここにあらず、といった状態のコナン。
流石の灰原もここまで落ち込んだコナンを見るのは初めてなので、言葉を選びつつ話していた。
-
- 57 : 2017/06/25(日) 05:42:20 :
-
灰原「今回の犯人は、決して、自殺なんかじゃなかった。」
コナン「・・・・・・・・・・・・分かってる。」
灰原「それでも、無念なのね・・・・・・・・・・・・工藤君。」
本名でそう問いかけられた工藤新一は、眼鏡をはずし、ゆっくりと頷いた。
コナン「・・・・・・・・・・・・犯人をみすみす自殺させちまうような探偵は、殺人者と何ら変わらない。」
灰原「どうするつもりなの? まさか、探偵を辞めるつもり?」
そういわれてコナンはソファーから立ち上がり、窓の外を見た。
すっかり暗くなった夜空には、星が瞬いている。
コナン「・・・・・・・・・・・・バーロー、辞めるわけねぇだろ。」
一言、コナンはそうつぶやくと、再び灰原を見た。
コナンの瞳には、新たな決意の灯が宿っていた。
コナン「今ここで辞めちまったら、死んじまった犯人に申し訳が立たねぇよ。」
灰原「・・・・・・そうかもしれないわね。」
コナン「俺は忘れない、この事件を。
探偵は犯人に罪を償わせるためにある。
どんなことがあったって、これが俺の信念だ。」
やがて阿笠と蘭が料理を運んでリビングへと戻ってきた。
コナンはもう一度夜空を眺め、それからソファーへと向かって歩き出した。
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- 58 : 2017/06/25(日) 06:21:49 :
-
ウェイトレス「お待たせ致しました!」
事件が終わった後、古畑と高木は目暮に連れられ、都内のレストランへと入っていた。
古畑の目の前には巨大なハニートーストが運ばれてくる。
これは、先の事件で古畑が食べたいと言っていたものであった。
目暮はハニートーストを食べている古畑に向かって、音弥の大学ノートを手にしながら話しかけた。
目暮「どうやら、今回の犯罪の元ネタはこの自由研究だったようじゃ。
中身は様々な推理小説からトリックを集めた小学生レベルの代物。
事件全体が、どうも作り物めいていたのは、このせいだったのじゃな。」
古畑の目の前にすっと大学ノートを置く目暮。
古畑はハニートーストを食べながら、今一度、ノートに目を通し始めた。
高木「しかし、これだけ堀部家の当主が不審な死を遂げると、何か本当に祟りってあるかもって思っちゃいますね。」
目暮「そうじゃな・・・・・・。
わしもあまり信じたくはないが、目に見えぬ大きな力というのはあるんじゃろう。」
目暮が柄にもなく祟りのことを信じかけていた、その時であった。
古畑が、『犯人が被害者を装う』と書かれたページを読んでいた、その時であった。
そして、古畑の目に、『火薬の量は、“8、5g”』と記された部分が飛び込んできた、ちょうどその時であった。
古畑が、はっとしたような表情を浮かべたのは。
その部分によく目を凝らすと、鉛筆で書かれた8という数字。
その数字の左側の鉛筆が少しばかり濃くなっている。
古畑「・・・・・・・・・・・・私は大きな間違いをしでかしていたのかもしれない。」
古畑は自らに言い聞かせるようにそうつぶやいた。
この瞬間、今まで見えなかったこの事件の、本当の真実が見え始めたのである。
目暮「古畑君?」
古畑の異変に気が付いた目暮が、心配そうに声をかける。
すると、古畑はこうつぶやき始めた。
古畑「目暮さんのいう通りです。
この事件はどうやら、別の大きな力が働いていたらしい。」
高木「!? 古畑さんまで祟りを!?」
古畑「そんなわけないじゃないか!」
高木「痛い!」
高木のおでこをベチンと叩く古畑。
それから古畑は立ち上がり、ノートを手に取った。
古畑「この事件は、まだ終わってない。
今コナン君、どこにいるかな?
・・・・・・一緒に村に戻る。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 59 : 2017/06/25(日) 07:01:11 :
その日の深夜、古畑は、大学ノートを携えて堀部家を訪れた。
五平に大吉に音弥・・・・・・・・・・・・立て続けに三人の当主を亡くし、珠代は内心すっかり消耗していたが、それでも古畑がやってくると、気丈にふるまっていた。
そして、古畑は例の大学ノートを差し出し、珠代はその自由研究のノートをリビングのソファーの上で読み始めた。
珠代「・・・・・・・・・・・・覚えはあります。
子供の時、音弥さん推理小説が大好きで。
あれは、六年の文化祭の時でしたか・・・・・・。
皆の前でこれを発表したことがあります。
同級生たちは山で見かけた草花とか昆虫とかを調べていたのに、一人だけ内容がどうやって人を殺すかだったんで、PTAがびっくりしたのを覚えています。」
それから珠代は、テーブルの上に広げたアルバムに目を落とした。
それは、音弥の小学生の時の卒業アルバムであった。
古畑は気丈にふるまう珠代を気遣いながら、音弥の話を切り出し始めた。
古畑「音弥さんは、どういうお子さんでしたか?」
珠代「・・・・・・・・・・・・あの子は、自由奔放に見えましたが、実際は繊細で、傷付きやすい子でした。
強気な態度に出るのも、自信のなさの裏返しだったと、私は思ってます。」
古畑「そういうお子さんならば、自分から何かを始めるとか、率先して皆を引っ張っていくようなことはあまりなかったんじゃあないですか?」
珠代「ええ。学校ではいつも、周囲の目を気にしている子だったようです。
リーダーシップを発揮するタイプの子ではなかったようです。
むしろ、そういう子の、後ろから付いていくような、そんな感じでした。」
-
- 60 : 2017/06/25(日) 07:02:10 :
古畑もまた、音弥の卒業アルバムに目を通す。
そこにはなるほど、ワイワイと声を上げる子供たちの輪を、後ろから眺める音弥の孤独な姿が映し出されていた。
古畑「彼は、レジャーランド建設には反対されてましたよね?」
珠代「・・・・・・はい。」
古畑「彼らしくないように思えるんですが、いかがですか?」
すると、珠代ははっとしたように、「おっしゃる通りです。」と返事を返した。
珠代「大吉さんの経営方針に、音弥さんが口を出すようになったのは、ごく最近のことです。
それまでは、自分の趣味に一生懸命で、そういったことにはあまり関心がないように見えました。」
古畑「・・・・・・ありがとうございました。
ちなみに最近、二階の廊下、改築工事をされましたか?」
珠代「ええ、以前はかなり傾いていたので10年ほど前に。
あ、でも最近はまた傾いてしまって・・・・・・・・・・・・それが一体何か関係あるんですか?」
珠代の言葉に、考え込むように右手人差し指をこめかみへ当てる古畑。
ややあって、珠代は、胸の奥にしまっていた疑問を口にした。
-
- 61 : 2017/06/25(日) 07:02:49 :
珠代「古畑さん。音弥さんは、自殺したのでしょうか。
それとも、事故だったんでしょうか。」
真相を知るのは、恐ろしかった。
もしかすると、追い詰められて、自ら命を絶ってしまったのかもしれない。
それでも、珠代は真相を知りたかったのである。
例え、それがどれだけ残酷なものであったとしても・・・・・・。
しかし、古畑から帰ってきた返答は、珠代の予想していた答えとは異なっていた。
古畑「・・・・・・・・・・・・まだはっきりしたことは言えませんが、私はそのどちらでもないと思っています。」
珠代「? どういうことでしょうか?」
古畑「・・・・・・・・・・・・彼は“殺された”んです。
この事件の、本当の“真犯人”に。」
-
- 62 : 2017/06/25(日) 07:04:00 :
リビングから続く階段の上段において、古畑と一緒についてきたコナンは、二人の話を静かに聞いていた。
ややあってコナンは眼鏡をはずし、蝶ネクタイ型変声機のスイッチを入れた。
今、江戸川コナンは工藤新一として、読者へと語りかけ始めた。
新一「一旦終了としたこの作品ですが、どうぞもう少しだけ、お付き合いください。
大吉さんを殺したのは確かに音弥さんでした。
しかし、この事件にはもう一人、真犯人が潜んでいたんです。
その計画は実に巧妙でした。
彼は音弥さんを意のままに操り、大吉さんを、そして音弥さん自身さえも葬り去りました。
音弥さんは最後まで、自分が操られていたとは気が付かなかったでしょう。
明日朝一番で、俺は古畑さんと一緒にこの犯人と対決します。
読者の皆さん。どうかもう一度この話を思い出してみてください。
そして考えてみてください。
そうすれば、この事件に隠された、たった一つの真実が見えてくるはずです。
・・・・・・・・・・・・以上、工藤新一でした。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 63 : 2017/06/25(日) 07:29:17 :
-
それは、コナンが今までに会ったことのないタイプの犯人であった。
そして、古畑にとっても、これ以上ないほどに手強い犯人であった。
翌日の朝、古畑とコナンは郷土資料館を訪れた。
二階にあがった二人は、そこで仕事をしている人物に会いに来たのである。
天馬「そろそろお見えになる頃だろうと思っていましたよ、古畑さん。
それと、コナン君。」
コナン「おはようございます、天馬さん!」
古畑「失礼いたします。」
天馬に丁重に案内され、ソファーに座るコナンと古畑。
天馬は二人に向かい合うようにソファーへ腰を下ろした。
天馬「音弥君には、可哀そうなことをしました。」
古畑「おっしゃりたいのはそれだけですか?」
天馬「? ほかに何か?」
そういうと古畑は、音弥の大学ノートをテーブルの上に置いた。
初めに古畑が、天馬に話を切り出し始めた。
-
- 64 : 2017/06/25(日) 07:31:14 :
古畑「これ見覚えありますか~?」
天馬「・・・・・・・・・・・・ない。」
古畑「え~、今回の事件はすべてしの中に書いてあることを忠実になぞって再現しています。
よろい殺人、雪の密室殺人、鬼切村わらべ歌殺人と・・・・・・。」
天馬「では事件は解決したも同然だ。君の勘が正しかったことになるね。」
古畑「小学生時代の音弥さんは様々な書物から得た知識でこれを書いています。
まぁ、現実味のないトリックですが、子供だけに細かいところは実に几帳面に調べています。
え~、毒物を飲んだ時の身体に及ぶ整域を示した棒グラフ、鑑識の人間に見せたらそのまま警察の資料に使ってもいいくらい正確だと言われました。」
天馬「では採用してやってください。」
古畑「ただですね! この中で一つだけ、大きなミスがございました! これ!」
古畑はそう声を張り上げると、ノートのとあるページの箇所を指さした。
それは、昨日古畑が違和感を持った箇所であった。
-
- 65 : 2017/06/25(日) 07:32:28 :
-
古畑「え~、銃口に弾から“8、5g”の無煙火薬をとりだして詰めるとあります。
そして銃口に布を詰めて引き金を引けば、銃身が爆発して事故に見せかけることができると。
そして本人は怪我程度で助かると!
問題はこの数字なんです。
“8、5g”・・・・・・。
“8、5”!?
実際は“8、5g”では多すぎたんですよ!
その結果彼は死んでしまいました・・・・・・。
数理に誤りがあったんですよ~。」
天馬「子供の自由研究ですからね。」
古畑「はい。しかし、他のページでは驚くほど正確なのに、なぜここだけ間違ったのか。
そう思ってよく見るとね~、んふふふふ、これ分かりますか~?」
“8、5g”という数字を指さす古畑。
天馬が身を乗り出してみるのを見計らい、古畑は話をつづける。
古畑「これ実は最初、“3、5”、“3、5g”だったんです。
それを誰かが後から書き換えてるんですよね。
ほら、この8の数字、左側の鉛筆がちょっと薄くなっていると思いませんか?」
天馬「私には同じにか見えませんがね。」
古畑「これほど巧妙な殺人を私は知りません。
ただ“3”を“8”に書き換えるだけで人が殺せた。
そしてそんなことができたのは天馬先生、あ な た だ け です。」
-
- 66 : 2017/06/25(日) 07:38:09 :
コナンと古畑がようやく掴んだ天馬の殺人計画は、実に用意周到で恐るべきものであった。
天馬「ふふ、ふふふ、実に面白い。
面白いが、根拠がない。
私を有罪にするためには君は、“3”を“8”に書き換えたことを立証しなくてはならない。
そんなことは到底不可能だ。」
古畑「それが不可能じゃないんです。」
天馬「?」
古畑「コナン君が立証の方法を考えてくれました。」
それから古畑はコナンを見た。
コナンは頷くと、懐からカセットテープを取り出した。
コナン「音弥さんの家ってすっごくお金持ちだったんだね。
文化祭の時のカセットテープが残ってたんだ。」
古畑「音弥さんは随分と家族から可愛がられて育ったんですねぇ。運動会や学芸会はすべてビデオテープに残っていると珠代さんが教えてくれました。
さすがにすべてがビデオテープに残っていたわけではありませんが。なんせ当時はビデオテープも高価だったですからねぇ。
ではコナン君、お願いします。」
-
- 67 : 2017/06/25(日) 07:53:23 :
天馬が注目する中、コナンは携帯レコーダーのスイッチを入れた。
小学校6年生の時の音弥の声が、携帯レコーダーの中から流れてくる。
それは、文化祭における自由研究の発表会の記録であった。
音弥『そして、集めた無煙火薬を紙に包んで、銃口に詰めます。
火薬の量は、“3、5g”。』
天馬「・・・・・・。」
古畑「コナン君、もう一度。」
音弥『火薬の量は、“3、5g”。』
確かに、音弥は火薬の量を“3、5g”と読み上げていた。
数字が改竄されたことが、ここに証明されたのである。
コナン「おかしいなぁ。確かに“3、5g”と言っているのに、ここには“8、5g”と書かれているよ?
書き換えたの・・・・・・天馬さんだよね?」
-
- 68 : 2017/06/25(日) 07:54:00 :
次に古畑が立ち上がり、一緒に持ってきた音弥の通信簿を手に取った。
古畑「え~、音弥さんの6年生の時の通信簿です。
ここにはこう書かれています。
“人の意見に耳を傾けるのも大切ですが、自分の意見を持つことも忘れないように”。
これは担任からのアドバイス、つまりあなたの言葉です。
音弥さんは他人の意見に非常に左右されやすい子供だったようですねぇ。
あなたは、これを利用した。
まあ彼にしてみれば尊敬すべき担任の天馬先生の言葉は絶対ですからねぇ。」
それから古畑はコナンを見た。
この事件においてほとんどのトリックを暴いたのは、コナンであった。
コナンはきっと天馬を見据え、自らの推理を披露し始めた。
-
- 69 : 2017/06/25(日) 07:54:42 :
コナン「五平さんがクマに襲われてから、天馬さん、あなたの計画は始まったんだ。
まず天馬さんはレジャーランドのことで、大吉さんと音弥さんとが真っ向から対立するように仕向け、そして、わざと目につくようにこの大学ノートを音弥さんの目の前に置いた。
天馬さんの計画では、音弥さんが自分で殺人の計画を思いつかきゃいけなかった。
あのノートだけでは弱いと考えた天馬さんは、さらなる一手を打った。」
天馬「さらなる一手?」
コナン「うん、鎧を堀部家へと移させたんだ。
天馬さん、あなたは事件のあった日の午後、社長室へと入ってるよね?
表向きは裏山売却の話だったけど実は違った。
天馬さんがなんと言ったのかは分からないけど、ともかく、鎧はその日のうちに堀部家へと移されたんだ。
音弥さんはびっくりしただろううね。
だって、彼の計画には鎧が絶対に必要。
それが、絶妙のタイミングで転がってきたわけだからさ。」
-
- 70 : 2017/06/25(日) 07:55:38 :
-
コナン「そしてもう一つ、天馬さんにとって幸運だったのは、雪だった。」
天馬「ふふ、私が降らせたとでもいうのかい、コナン君?」
天馬は笑ったが、コナンの表情は険しかった。
その顔には、冷酷な天馬に対する静かな怒りが現れていた。
コナン「雲行きから見て2、3日のうちに崩れるとは考えていた。
けど、天気は予想より早く崩れた。
その時音弥さんには、まるで天が味方したかのような気持ちになったんだろうね。
大吉さんを殺すのは、自分の使命だと・・・・・・。」
こうして、堀部音弥は、天馬の思惑に乗せられるまま、自らの兄を殺害したのである。
コナン「全ては天馬さん、あなたの計画通りだったというわけだ。
けど、ここで音弥さんは忘れてることがあった。」
天馬「ほう? 忘れていることとは何かな、コナン君?」
コナン「あの廊下は10年前に改装工事を行ったんだ。
傾いていたのを一度直した。
それが、最近また傾いてしまったんだけどね。
だから水の流れる時間が昔より遅くなっていたことを、音弥さんは知らなかったんだ。」
-
- 71 : 2017/06/25(日) 07:57:45 :
コナン「時間になっても鎧が落ちる音が聞こえてこないから、音弥さんは焦った。
やがて珠代さんが部屋に戻ると言い出して、音弥さんは必死に引き留めようとした。
自分のアリバイのためにも、ここで珠代さんに部屋に戻られては終わりだったからね。
そこで、助け舟を出したのは他でもない・・・・・・天馬さん、あなただった。」
天馬「・・・・・・。」
コナン「音弥さんには救いに思えただろうけど、一番冷や冷やしていたのは実は天馬さんだったでしょ?
なぜなら、珠代さんがいなくなっては、自分のアリバイも崩れてしまうからね。」
コナンが話し終えると、天馬はほとほと感心した、といった様子で笑みを浮かべた。
天馬「ふふ・・・・・・君は少年にしては随分と想像力が豊かだね?
こんな生徒はついぞお目にかかったことはない。
大したものだよ。
大したものだが、やはり根拠がない。」
天馬はコナンの話をにべもなく一蹴すると、古畑を見て笑みを浮かべた。
-
- 72 : 2017/06/25(日) 07:58:36 :
天馬「話はこれで終わりですかな? 古畑さん?」
余裕の笑みを浮かべる天馬。
その様子を見た古畑もまた、笑みで応じた。
古畑「周到に計画を立て、音弥さんに大吉さんを殺させたあなたは、今度は一転して、音弥さんに嫌疑がかかるよう工作を始めます。」
古畑やコナンは知らなかったが、大吉の死体に音弥がはめさせた軍手に細工をしたのも、天馬であった。
しっかりはまっていた右手の軍手から小指と薬指を抜き、事故と推理する可能性を天馬は巧妙に消していた。
音弥が動揺したのも、実はしっかりはめたはずの軍手がはまっていなかったからだったのである。
そして、古畑やコナンが音弥を疑い出したとみるや、その疑いを少しずつ固められるよう、言葉巧みに二人を誘導した。
古畑「あなたはあの世節の秘密を私に伝え、犯人が暗にあなたの教えた生徒の中にいるかのような暗示を私に与えました。
あなたは、音弥さんを操り、コナン君を操り、そして、私をも操ったのです。」
古畑の表情は、いつもと変わらぬ、人を食ったような笑みではあったが、その中に微かな悔恨を滲ませていた。
-
- 73 : 2017/06/25(日) 07:59:39 :
古畑「お恥ずかしい話ですが、私やコナン君はあなたの望むとおりに事件を推理しました。
そして、あなたの望むとおりに捜査は進みました。
そして、あなたの犯罪は・・・・・・・・・・・・仕上げに入ります。」
天馬「・・・・・・。」
ここで古畑は、ようやく真剣なまなざしを天馬に向けた。
天馬は座ったまま静かに前を向き、古畑の話に耳を傾けていた。
古畑「あなたは警察が音弥さんを疑っていることをさりげなく本人の前で強調しました。
追い詰められた音弥さんはあなたに助けを求めます。
あなたは、自分がどういえば、彼がどう考えるか、完璧に把握していました・・・・・・。」
天馬の言葉に乗せられた音弥が被害者を装おうとして、ついに天馬の罠にはまって命を落としたのは、すでに古畑が述べたとおりである。
-
- 74 : 2017/06/25(日) 08:01:12 :
古畑「・・・・・・・・・・・・これが、あなたの犯罪です。
あなたは、自らの手をまったく汚すことなく、堀部家の二人の兄弟を抹殺しました。」
話を聞き終えて、天馬は笑みを浮かべた。
それはまるで、あざけっているとも、敬意を表しているとも取れるような笑みであった。
天馬「君たちの話は面白いがね、全ては憶測の上に成り立っている。」
古畑「おっしゃる通りです。」
天馬「それにだね。君たちの話が本当だとして、私はいったい何の罪で罰せられるのだね?
私が一体何をした?」
古畑「何も・・・・・・。
そこなんです。
だから私はお手上げなんです。
正に 完 全 犯 罪 です。
これほど完璧な犯罪の計画を、私は他に知りません。」
古畑がこう形容する通り、これは正に完全犯罪であった。
一見すれば音弥が一人で起こした犯罪。
そしてたとえ、天馬が誘導したことが露見しても、罪に問うにはあまりに根拠が貧弱。
どちらに転んでも、天馬が罪に問われることはない。
これにはコナンにも、古畑にも、どうすることもできないことであった。
-
- 75 : 2017/06/25(日) 16:21:28 :
天馬「お褒めの言葉として受け取っておきましょう。」
ぬけぬけと古畑の言葉を受けとる天馬を、コナンは睨みつける。
対して古畑は笑みを浮かべたまま、話をつづけた。
古畑「動機はやはり、森の自然を守るためですか?
しかし、音弥さんは死ななくてもよかったんじゃないですか?」
天馬「それは君もご存じのはずだよ。
彼は人の意見に非常に左右されやすい。
そりゃ今は私の言いなりだがね、会社の重役たちに責められたらどう転ぶかわかったもんじゃない。」
古畑「会社と土地の権利は珠代さんが引き継ぐことになります。
あの方はあなたに頼りっきりだから、あなたとしては好都合というわけですね?」
静かなる狂気。
天馬「どれほど工場の経営が危機に瀕していたとしても、裏山にレジャーランドを作るなどもってのほかだよ!
あの山はね、掘り返せばまだまだ貴重な、旧石器時代の遺物がたくさん出るんだ!
さらに言えば、あそこにしか生息していない植物や、動物や、昆虫は、あの山がなくなったらどうなるというんだ!」
それは、郷土を愛するが故の凶行。
天馬「私はね、この村に生まれた人間として、最後まで・・・・・・あの村を守るつもりだ。」
コナン「・・・・・・・・・・・・ふざけるんじゃねえよ!
人を殺しておいて、何が守るだ!
殺人だけはな、やっちゃいけねぇんだよ!!」
-
- 76 : 2017/06/25(日) 16:22:38 :
激怒するコナンを、天馬は一顧だにしなかった。
天馬「さ、そろそろ帰ってくれないか?
出かけなくてはならない所があるんでね。」
古畑「え~、どちらへ?」
天馬「珠代さんに、音弥君の葬儀の段取りを手伝うと約束してしまったんだよ。」
何でもないことのように言う天馬。
それから、天馬は再び笑みを浮かべ、コナンを、そして古畑を見据えた。
天馬「いやぁ、君たちはよくやってくれた。
君たちがあそこまで音弥君を追い詰めてくれなかったら、私の計画は半分でとん挫するところだったよ。
改めて礼を言うよ。」
あまりにも冷酷な言い方に、コナンは怒りのあまり、言葉も出てこなかった。
古畑の方も、笑みを浮かべてはいたが、その目はもはや笑ってはいなかった。
天馬「では、失礼。」
そういうと天馬はコートを手に持ち、出かける身支度を始めた。
-
- 77 : 2017/06/25(日) 16:25:42 :
コナン「・・・・・・・・・・・・ねぇ、天馬さん。
今から“15年前”にも、山が売られそうになったことがあったそうだね?」
コートを身に纏い、出かけようとする天馬へ、不意にコナンが怒りを抑えて話しかける。
それは、コナンが用意していた最後の詰め手であった。
その瞬間、天馬の表情が変わった。
コナン「その話は音弥さんのお父さんの幾三さんが行方不明になって無くなったって話を思い出して、15年という数字が妙に引っかかったんだ。」
天馬「引っかかった?」
コナン「山が売られそうになったのも“15年前”。
幾三さんが行方不明になったのも“15年前”。
そこの3万年前の槍が見つかったのも“15年前”。
それと、あの記念碑が立ったのも“15年前”。
これって、みんな偶然なのかな?」
天馬「!?」
コナン「もし、レジャーランドができるとなれば、当然あの記念碑だって掘り返されるよね?
もし、記念碑の下から・・・・・・死体が出てきたら?
そしてもし、その死体の胸から・・・・・・・・・・・・槍の先端が出てきたら?
天馬さん、あなたはこれを、どう説明するのかな?」
-
- 78 : 2017/06/25(日) 16:26:43 :
-
コナンが最後の詰め手を投げかけたちょうどその時であった。
___________遠くから聞こえてくる、サイレンの音。
天馬が窓から外を覗くと、パトカーに先導され、ショベルカーを乗せたトラックが道を横切っていくのが見えた。
古畑「・・・・・・・・・・・・コナン君の提案で、珠代さんから記念碑の下を掘り返す許可をいただきました。
お兄さんが埋まっているかもしれないと話すと、珠代さんも進んでサインをしてくれました。」
古畑は静かに呟き、それから、天馬に向かって笑みを浮かべた。
古畑「確かに、今回の犯罪は完璧でした。しかし、昔のはいただけませんねぇ。ふふふふふ・・・・・・。」
___________今、蘇る死
15年前、時効寸前であったこの不可解な失踪の謎が、ついに天馬を追い詰めたのである。
-
- 79 : 2017/06/25(日) 16:27:23 :
天馬「・・・・・・・・・・・・計画的な犯行ではなかったからね! いわゆる発作的な殺人だ。
あの男が山を売ると言ってきかなかったものだからね!!」
古畑「凶器を残していたのもどうかと思いますよ。」
追い詰められた天馬は、その原因となった石器のショーケースに両手を置いた。
自らが発掘し、そして幾三の殺害に用いた、先端のかけた槍を眺め、それを大事そうに眺めながら呟いた。
天馬「考えても見たまえ。3万年前の槍だよ!?
学術的観点から言っても破棄するにはあまりにも惜しい!」
それから天馬はコナンを見た。
この小さな名探偵に敬意を表すように、天馬は呟いた。
天馬「そっちから足が付いたか・・・・・・。
まさか君に追い詰められることになるとはね・・・・・・。
もう一度、君の名を聞かせてくれないか?」
コナン「・・・・・・・・・・・・江戸川コナン、探偵さ。」
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- 80 : 2017/06/25(日) 16:28:06 :
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フッとほほ笑んだ後、天馬は古畑を見る。
古畑は相変わらず笑みを浮かべていた。
天馬「もう一度、言ってはくれませんかね?
これほど完璧な犯罪を・・・・・・。」
古畑「私は知らない。」
それを聞いて満足げな笑みを浮かべる天馬。
が、そこへ古畑は一言、付け加えた。
古畑「しかし、それでも犯人は捕まる。」
一瞬渋い顔をした後、天馬は笑い、古畑も一緒に笑った。
それから天馬は、古畑にエスコートされ、郷土資料館を後にした。
あまりにも完璧な完全犯罪。
閑静な鬼切村を震撼させた連続殺人事件は、こうして静かに、幕を下ろしたのであった。
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- 81 : 2017/06/25(日) 16:28:30 :
古畑任三郎・・・・・・・・・・・・田村正和
江戸川コナン・・・・・・・・・・・・高山みなみ
工藤新一(声)・・・・・・・・・・・・山口勝平
毛利蘭・・・・・・・・・・・・山崎和佳奈
阿笠博士・・・・・・・・・・・・緒方賢一
灰原哀・・・・・・・・・・・・林原めぐみ
高木渉・・・・・・・・・・・・高木渉
目暮十三・・・・・・・・・・・・茶風林
向島巡査・・・・・・・・・・・・小林隆
堀部珠代・・・・・・・・・・・・立石涼子
堀部大吉・・・・・・・・・・・・千葉哲也
堀部ウメ・・・・・・・・・・・・吉田日出子
堀部音弥・・・・・・・・・・・・藤原竜也
天馬恭介・・・・・・・・・・・・石坂浩二
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- 82 : 2017/06/25(日) 16:30:13 :
以上で、本当に終了になります
思った以上に長くなってしまいましたが、楽しんでいただけたでしょうか?
ご感想をいただけたら幸いです
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- 83 : 2020/06/23(火) 16:08:33 :
- あ
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- 84 : 2020/06/23(火) 16:09:04 :
- あ
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- 85 : 2020/09/01(火) 06:38:10 :
- >>69からのコナンが自分の推理をしゃべり始めた時のコナンの声はどういうトーンだったんでしょうか?
灰原とか自分の正体を知っている人に対する低めのトーンだったのか、それとも「あれれ~」の猫を被った声色だったんでしょうか?
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- 86 : 2020/10/26(月) 14:18:54 :
- http://www.ssnote.net/users/homo
↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️
http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️
⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
今回は誠にすみませんでした。
13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
>>12
みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました
私自身の謝罪を忘れていました。すいません
改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
本当に今回はすみませんでした。
⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️
http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi
⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ごめんなさい。
58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ずっとここ見てました。
怖くて怖くてたまらないんです。
61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
お願いです、やめてください。
65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
元はといえば私の責任なんです。
お願いです、許してください
67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
アカウントは消します。サブ垢もです。
もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
どうかお許しください…
68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
これは嘘じゃないです。
本当にお願いします…
79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ホントにやめてください…お願いします…
85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
それに関しては本当に申し訳ありません。
若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
お願いですから今回だけはお慈悲をください
89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
もう二度としませんから…
お願いです、許してください…
5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
本当に申し訳ございませんでした。
元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。
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