この作品は執筆を終了しています。
クリスタ「想い人は、霧の彼方に翳(かす)む。」
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- 1 : 2014/02/03(月) 01:43:06 :
- 某人気ss作家のお墨付きをいただきました!!
期待を裏切らないように一生懸命書いていきまっす(・∀・)/
いつも通りのまたーり進行ですが、最後までお付き合いくださると嬉しいです♪
それでは、霧のベールの向こうを覗く勇気のある方のみ、先にお進みくださいーー…
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- 2 : 2014/02/03(月) 02:01:26 :
だって、気づいたときには、もう遅かった。
好きなんだって、気づいたら、もうどうしようもなかった。
気づかなければよかったなんて、もう何度願っただろう。
あなたはいつもそこにいて、輝いていた。
私はいつもそこにいたいと、願ってしまった。
そう、あなたの隣に、ずっと、ずっと、いつまでも。
なのに、深い深い霧が、あなたを隠してしまうの。
私は知っている。
いくら払いのけようと、この霧だけは晴れることがないことを。
私の祈りが、決して届かないように。
私の想いが、決して実らないように。
この霧は、決して晴れやしないんだーー…
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- 10 : 2014/02/04(火) 08:48:42 :
ートロスト区襲撃戦・ガス補給作戦成功後ー
駐屯兵「訓練兵!!」
「装備を万全にして次の指令まで班編成で待機だ!!」
ザワザワザワ……
コニー「そんで何とかガスが手に入ったんだ…」
クリスタ「……」
「そんなことが…」
「ごめんなさい…」
「何度も皆の補給の救援を志願したんだけど…」
ユミル「せっかく私達はガスを確保できたのにな…」
「みんなに知らせる!つって飛び出したのはコイツだ…」
クリスタ「じゃ…じゃあ」
「今ここにいない人達は全員…」
(そ、そんな、まさか…)
(彼…も……?)
ユミル「……」
コニー「…ああ」
クリスタ(う、うそ…)
(う…そ……でしょ…?)
-
- 12 : 2014/02/04(火) 09:04:39 :
ユミル「本当か?」
「あのミカサもか?」
コニー「ん?」
「イヤ… ミカサはジャン達と一緒に遅れて来たと思ったんだが…」
ユミル「ジャン…」
「まさかミカサは負傷でもしたのか?」
ジャン「……」
「ゴクッ …ぷは」
「オレ達には守秘義務が課せられた… 言えない」
「もっとも… どれ程の効果があるのかわからんが…」
コニー「守秘命令?」
ユミル「何だそりゃ?」
ジャン「隠し通せるような話じゃねぇ…」
「すぐに人類に知れ渡るだろう…」
「…それまでに人類があればな……」
クリスタ(…こんなときなのに、)
(彼のことなんか、聞いたりしちゃダメ、だよね…?)
(で、でも… 気になりすぎて、おかしくなりそうだよっ!)
ジャリッ…
クリスタ「ね、ねぇ… ジャン?」 ひそっ
ジャン「…んあ?」
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- 13 : 2014/02/04(火) 09:19:31 :
クリスタ「あ、あのね…」
「私、彼の姿をまだ見てないんだけど…」
「ここに、みんなと一緒に、戻ってきた… んだよね?」
ジャン「…!」
「あ、ああ… あいつなら、大丈夫だ」
「生きてる」
クリスタ「ほ、ほんと…!?」
「どこ!? 彼は…っ!」
ジャン「落ち着けよ、クリスタ」
「ほら、あそこにいるだろ」 …スッ
クリスタ「え…!?」 クルッ
ダズ「うぅ… マルコ…」
「俺… もう駄目だ… もう… 巨人と戦えない…!」
「俺達の仕事ってのは… つまりは…」
「巨人に食われるまで戦わされ続けることなんだろ!?」
マルコ「しっかりしろよ!!」
「お前だけじゃないんだぞ!?」
「みんな恐怖と戦っているんだ…」
クリスタ「あ…」
(生き、てた……) ほっ…
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- 20 : 2014/02/09(日) 21:08:07 :
ークリスタの回想ー
ー座学開始前ー
がやがやーーー…
クリスタ「…ダメだよ、ユミル」
「講義中に居眠りなんかしちゃ」
ユミル「そりゃー私だってわかってるよ」
「でも、どうもなぁ〜」 ふあぁ〜
カタンっ
クリスタ「!」
マルコ「ごめん、クリスタ」
「席、1つ詰めてもらえないかな」
クリスタ「あ、う、うん!」
「もちろん!」
「ユミル、窓際に1つズレてもらえる?」
ユミル(ふぅーん…)
(前からそうなんじゃないかとは思ってたケド…)
「えー なんでだよー」
「マルコだけなら詰める必要ないんじゃね?」
マルコ「いや、あとからジャンも来るからさ」
クリスタ「…!」
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- 22 : 2014/02/09(日) 21:24:09 :
ユミル「…あ そう」
「わかったよ、しょーがないなー」 …かたん
マルコ「ありがとう」 ギシ…
クリスタ(ど、どうしよ…)
(マルコと隣の席になっちゃった…)
(あぁ… もうどんな顔すればいいんだろ…?)
ジャン「おぉーい、マールコー?」
クリスタ「ビクッ」
マルコ「あ… ジャンだ」
「ジャンー こっちこっちー」
ジャン「お」
「いたいた」
「場所取りさんきゅー♪」 へへへ
ユミル「…」 スゥ
「おまえらさー」
「最近、やたら仲いいよなー?」
クリスタ(…ーえっ?)
マルコ「そ、そうかなぁー?」 あはは…
ジャン「まぁ、悪くはないな」 しれっ
ユミル「ほぉー」
クリスタ(ユ、ユミル…?)
ジャン「つうか、なんだよ急に?」
ユミル「べっつにー」
「ちょっと思っただけー」
ジャン「あー? そーかぁ?」
ガラララッ…
マルコ「あ、教官きたよ」
ユミル「ふあぁ〜」
「ねっむ」
クリスタ「・・・」
-
- 23 : 2014/02/09(日) 21:58:41 :
教官「えー というわけでー…」
ユミル「…ぐぅ」
クリスタ(もぅ… ユミルったら…)
(ユミル…)
(なんで急にあんなこと言ったんだろ?)
(マルコとジャンはずっと仲良かったし…)
(そんな、今さらあえて言うようなことでもないのに…) チラッ
(真剣な、マルコの横顔…)
(やっぱり、かっこいいな…) きゅぅ…っ
マルコ「…!」
クリスタ(ーーー…?)
マルコ「なに? …ジャン」 ひ そっ
ジャン「いや、別に…」
マルコ「ここ、重要なところなんだから、ちゃんと聞いておかないとー…」
ジャン「わかってるって」
教官「では、その主な理由を誰かに答えてもらおうか」
「じゃあ、クリスタ・レンズ」
クリスタ「は、はい…っ!」 がたっ
(ど、どうしよう…!?)
(今のところ、全然聞いてなかった…!!)
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- 24 : 2014/02/09(日) 22:20:31 :
クリスタ「ユ、ユミル…!」 ひそっ
ユミル「…すぴー」
クリスタ(ああ、もうっ! しょうがない、正直に言うしか…)
「え、え…っと」
「あの、すみませんが、もう一度…」
マルコ「"兵士が部品を横流しするのを防ぐため"だよ」 ひそっ
クリスタ「あ…」
教官「んん?」
クリスタ「…は、はい!」
「理由は、"兵士が部品を横流しするのを防ぐため"ですっ」
…ゴクリ
教官「…ふむ、そのとおりだ」
「座っていいぞ」
クリスタ「はい」 カタ…ン…
教官「前回の講義でも言ったように、立体機動装置本体だけでなく、各兵団から支給される全ての部品や食糧は…」
クリスタ「マ、マルコ…」 ひ そり
マルコ「うん?」
クリスタ「その、あ、ありがと…」
マルコ「…うん」 にこっ
クリスタ(どきっ!)
(ど、しよ… もう、顔上げられないよ…) かぁぁ〜////
ーーー
ーー
ー
-
- 25 : 2014/02/09(日) 22:39:51 :
教官「以上、今日のところはここまで」
ーわや、わやわや…
ユミル「ふ、あぁ〜」 こきっ こきっ
「やっと終わったかー」 ぐいーっ
クリスタ「も、もう、ユミルってば!!」
ユミル「…ん?」
「どーしたクリスタ、珍しくカッカしちゃって」
マルコ「くすくす…」
クリスタ「ちょ、ちょっと、マルコまで笑わないでよ…!」
マルコ「ごめんごめん、でも、ほんとに珍しいからさ」
「クリスタが講義中に上の空だなんて」
ユミル(あー… そういうことか)
「なにー? まったくもー クリスタは悪い子だなー」
「ダメだろー ちゃんと良い子にしてなきゃー」 うりうりー
クリスタ「ユ、ユミルなんて居眠りしてたくせにっ」 おこ!
ユミル「あっはっはー」
ジャン「ほら、マルコ」
「講義終わったんだから、さっさと移動すっぞ」 ぐいっ
マルコ「わわっ」
「じゃ、2人とも、また後で!」 …たたっ
クリスタ「あ…!」
『ちょ、ちょっと、そんなにひっぱらないでよジャン! うっせーはやくこいーーー…』
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- 30 : 2014/02/22(土) 13:18:48 :
ユミル「ほら、私たちもさっさと移動するぞー」
クリスタ「え、あ…」
「ユミル、ちょっと、待って?」
ユミル「ん…?」
クリスタ「そ、の…」 もじ…
「さっき、ユミルが言ってたこと、なんだけど…」
ユミル「あー… アレな」
「はぁ… クリスタさ」
「アイツのこと、好きなんだろ?」
クリスタ「な…っ!?」 かぁぁっ
ユミル「ははっ バレバレだっての」
(私が、どれだけおまえのことだけ見てると思ってんだよ…)
クリスタ「ちょ、声が大きいよっ」 はわはわっ
ユミル「だーいじょぶだって」
「誰も聞いてやしないさ」
「ほんと可愛いなー 私のクリスタはー」 なでなで
クリスタ「ちょ、やめてよぅ…」
ユミル「でも…さ、」 ぴた…
クリスタ「ユミ、ル…?」 きょとん…
ユミル「アイツは、やめとけ」
クリスタ「え…?」
-
- 31 : 2014/02/22(土) 13:41:32 :
クリスタ「そ、そんな…」
ユミル「アイツを好きだっていうクリスタの気持ちを、踏みにじるつもりは私にはない」
「でも、今なら遅くない」
「アイツのことは、忘れた方がいい」
クリスタ「ど、して…?」
「何か知ってるの?」
ユミル「…別に」
クリスタ「ねえ、ユミル、答えて…!」
「彼の、何を知ってるの?」
ユミル「はぁ…」
「恋は盲目ってか…?」
「あのさ、アイツのことずっと見てりゃ、いやそうでなくてもわかんだろ?」
クリスタ「わかんないよっ」
「お願いだから、ハッキリ言って!」
ユミル「…いいのか?」
「言っても?」
クリスタ「…う、うんっ」 ぎゅ…っ
ユミル「ほんとうに…?」
クリスタ「…ビクッ」
(ほんとうに…?)
(私は、知りたいと思ってる…?)
(ほんとうは、こわい…)
(…けど)
-
- 32 : 2014/02/22(土) 13:59:33 :
ユミル「クリスタ、本当に知りたいのか?」
クリスタ「…りた…い…」
「教えて!」
「彼に好きな人がいるとかその程度のことだったら、私、全然平気だから!」
ユミル「…!」
(はぁ…)
(可愛い顔して、時々さらっとひでーことさせんのなー、クリスタって…)
「わかったよ」
「教えてやる」
「確かに、アイツはクリスタ以外のヤツとデキてる」
クリスタ「…!」
ユミル「だから、アイツのことは忘れろ」
クリスタ「…そっか」
「そうなんだ」
「気づかなかったな」 あはは…
「ふはぁ〜 そっかそっかぁ〜…」
「ごめん、平気って言ったクセに」
「やっぱり、ちょびっとだけ、ショックかも…」 えへへ…
ユミル「クリスタ…」
クリスタ「ユミルは、その相手が誰か、知ってるの…?」
ユミル「…!」
「まぁ、一応な」
-
- 34 : 2014/03/23(日) 12:28:40 :
ユミル(ここまで言っちまえば、さすがに気づく…か?)
クリスタ「そ…なんだ…」
「どんな子だろ?カワイイ子かなぁ?」 あはは
ユミル「…か、カワイイ系、ではないと思うけど」
(バカか、私は…)
(なに、真面目に返してんだよ…)
(でも、じゃあ、なんて言えばいいんだ?)
(…そんな、無理して笑わないでくれ) キリ…
クリスタ「えぇ? じゃあ、どんな子だろう?」 むむむ…
「あー わかんないやっ」
「あんなに見てたのにね、こんなこともわかんないなんて」
「私ってば、なっさけないなー!」 へへへ
ユミル「そんなこたー…」
「…ハッ!」
クリスタ「…でも、」
「私じゃ、ないんだね…?」 じわ…
ユミル「・・・」
クリスタ「違う、んだよね…?」 ぽろ…
-
- 35 : 2014/03/23(日) 12:41:38 :
クリスタ「ふっ… くっ……」
「あ…れ…?」
「やだな、なんだろ、私、こんな…」 ひっく…
ユミル「クリスタ…!」 カツン…ッ
ぎゅぅぅ…!
クリスタ「ご…めん、ユミル…」 ひっ…く…
ユミル「クリスタが謝ることじゃねーだろ」
クリスタ「うん…」
ユミル「心配すんなって、誰にも言わねーから」
クリスタ「はは… やだな、もう、」
「私、ほんと、かっこわる…」 ぐすっ…
ユミル「…泣けるときに、泣いておけ」
クリスタ「ん、ぅ、はぁ… そ、だね…」
「…り、がと」
「ありがと、ユミル…」
ユミル「…だから、いいって、そういうの」 …ぎゅっ
(くっそ…!)
(ほんとバカだよ、おまえ、マルコ…!!)
-
- 36 : 2014/03/23(日) 21:23:27 :
ーーー
ーー
ー
ートロスト区駐屯兵団編隊区域ー
クリスタ「…な、なに!?」
「もしかして…ほ、砲声……?」
ユミル「…!」
(そして、あれは…)
(巨人の蒸気…?)
(間違いない… けど、なんであんなところに?)
ダズ「う、うわぁぁぁぁ・・・!!!!」
「なんだよ、いまの音ぉ〜〜〜!?」
バシュ…ッ!!!
マルコ「ライナー、アニ、 …ジャンまで!?」
クリスタ「ち、ちょっと、みんな待って!!」
ダズ「もう、いやだ…!」 ぐず…っ
「も、終わりなんだ、何もかも…!!」
マルコ「ダズは、ほんとにもう、いい加減落ち着いてくれ」
ダズ「こんな状況で落ち着いてられるかよぉぉ!」
マルコ「だからって、騒いでばかりいたってしょうがないじゃないか!」
「僕だって、本当は、怖くて怖くて仕方ないけど…」
「僕らは、僕らにできることを、今、やりつくしておかないといけないんだ」
「…そのことだけは、わかってるつもりだ」
ダズ「う、ぅ…」
クリスタ「マルコ…」
-
- 38 : 2014/08/10(日) 13:35:23 :
クリスタ(私たちにできることを、いまは、やりつくす・・・)
(そうだよ、いまは、やれることのすべてをやるだけなんだ)
(怯えてる場合じゃない、頑張らなくっちゃ!)ギュッ
マルコ「じゃあ、僕は、上官にいまの状況を確認してくるよ」
「しっかりしろって、ダズ!な!」ポンポンッ
ダズ「あ、あぁ・・・」グズッ
マルコ「うん」スクッ
タッ…
クリスタ(あ!)
「ま、待って、マルコ!」
マルコ「うん?」
「どうしたの、クリスタ」
クリスタ「え、と、」
「私も、上官に確認しておきたいことがあるから、その…」
マルコ「そっか」
「じゃあ、一緒に、行こうか?」
クリスタ「!」
「う、ん…」
-
- 39 : 2014/08/10(日) 13:53:06 :
クリスタ(バカだな、あたし、こんなときに、なにやってんだろう・・・)
(本当は、さっきのマルコの言葉に励まされて、それで純粋に頑張ろうって思えたから、ありがとうって伝えたかっただけなのに)
(なんでこんなに疾しい気持ちになるの?)
(まともにマルコの顔も見れない、なんて)
(って、それは今に始まったことじゃないんだけど・・・)
(・・・じゃなくて!!!)
(素直に、ありがとう、って伝えればいいだけじゃない!)
(ああ、もう、あたしのバカぁーっ!!)
マルコ「…クリスタ?」
「大丈夫?」
クリスタ「え!?」ハッ
マルコ「あ、こんなときに大丈夫なわけないよね」
「ごめん、バカなこときいちゃった」
クリスタ「そ、そんなこと、ないよ…」
「…ありがと」
マルコ「?」
「なにが?」
クリスタ「あ、ううん!」
「なんでもないよ!あはは…」
マルコ「そう?」
-
- 40 : 2014/08/10(日) 14:08:16 :
クリスタ(ハッ・・・!)
(ちがう、ちがう!!)
(なんでもなくないでしょ!?)
(いま、ちゃんと、伝えなきゃ!)
(ありがとうって!!)
クリスタ「マルコ、あ、あのね!」
マルコ「…なに?」
クリスタ「や、やっぱり、ね、」
「・・・ありがとうっ!!」
(い、言えた・・・!)
マルコ「・・・ふっ」クス
「なんだよ、やっぱり、って」クスクス
クリスタ「ちがっ!」
「こ、これは、そのっ」
「な、なんていうか、えっと・・・」
マルコ「ははは…」
「ごめん、ごめん」
「…クリスタは、まじめだなぁ」
クリスタ「そ、そんなこと、ないよ…?」
マルコ「そんなことあるって」
クリスタ「でも…」
マルコ「じゃあさ、」
「いま、どんなこと考えてる?」
クリスタ「え…?」
-
- 41 : 2014/08/10(日) 14:55:14 :
マルコ「右も左も、わからない」
「明日どころか、1時間後に自分がまだここで生きていられるかどうかの保証もない」
「そんないま、クリスタは、どんなことを考えてるの?」
クリスタ「それは…」
「さっき、マルコがダズに、『今できることをやりつくしておかなくちゃ』って言ってたのを聞いて、」
「ああ、私も、頑張らなくちゃって思えて、」
「だから、どうしても、マルコにありがとうって伝えたくて、それで…」
マルコ「…ほら、やっぱりまじめだ」くすくす…
クリスタ「?」
「ど、どうして??」
マルコ「だってさ、」
「もし僕がクリスタだったら、きっとそんなふうには思えないよ」
「ふざけんな、って」
「死ぬ確率の方がずっと高いのに、それに、そこに希望があるかどうかすらもわからないのに」
「そんなの、やってられるかよって、思っちゃうと思うな」
クリスタ「・・・」
「そ、れは・・・」
マルコ「…ほらね」
「またそうやって、人の話を真に受けて、真剣に悩んじゃってる」
「やっぱり、クリスタはまじめだ」くすくす
クリスタ「…!」
「も、もう、マルコってば!」かぁぁ
マルコ「あははは」
「あ、ちょうど上官が向こうの通りに…」
「追いかけよう」 …タッ
クリスタ「う、うん!」
ーーー
ーー
ー
-
- 42 : 2014/08/10(日) 15:46:12 :
それが、私がマルコとまともに交わした最後の言葉になった。
前代未聞の決死作戦の末、数日後、マルコの遺体を回収したのは、ジャンだったと聞いた。
私は、最後の最後まで、彼の無事を祈っていた。
気味の悪いもやに包まれた住宅地の中で、ひょっこりと彼が表れやしないかと、何度も何度も、目をこらした。
けれど、遺体回収時に担当していたエリアが離れていたこともあって、私がマルコの死を知らされたとき、彼は、すでに燃えさかる火炎の渦の中だった。
あまりにもたくさんの仲間が死んで行った。
そして、自分は、まだ、生きている。
その2つの事実は、なぜか、私の中で、うまく結びつかない。
…本当に?
本当に、私はまだ、生きている?
私は、本当に、自分が生きているのか、自分でもよくわからなくなっていた。
いなくなってしまったのは、彼らじゃなくて、むしろ、私の方なんじゃないか。
私は、巨人が蒸発した後の不気味な霧に包まれながら、混乱した。
それでも、身体中にできた痣や傷が脳に告げる痛みが、私に、おまえはまだ生きているのだと、告げていた。
戦死者を弔う送り火は、私にとっては、ただの炎でしかなかった。
そこに、何かしらの意味など、見出せなかった。
みんなは、盛大に立ち昇る火柱を見守っていたけれど、私は、そっとその場を離れた。
人気のない場所までやってきたけれど、それでも、あたりには、煙が立ちこめていた。
すっきりとしない視界の中で、空を見上げてみる。
厚い雲に覆われているのか、煙のせいなのか判然としないが、星は1つも見えなかった。
-
- 43 : 2014/08/10(日) 16:32:17 :
- クリスタ「私、まじめなんかじゃないよ・・・」
「いい子なんかじゃ、ないんだよ・・・」
きっと、そんなことは、彼にとって、どうでもいいことなのだろうとは思う。
わかっているのに、唇が、言葉の輪郭を勝手になぞってしまう。
だって、どうしても、彼にだけは、伝えたかったのだ。
本当は、真面目なんかじゃない、身勝手な自分を受け入れてほしくて。
彼になら、人のいいマルコになら、受け入れてもらえるんじゃないかと、期待に身を絆して。
そんな思い込みが、一番身勝手なのだとはわかっていながら、それでも、と、願わずにはいられなかったのだ。
そこまで逡巡して、やっと、自分の恋心の正体に気づいた。
それがあまりにバカバカしくって、情けなくって、おかしくって、厚かましくて、そして、何より醜くて…渇いた笑いが喉をふるわせる。
クリスタ「ほら、ね・・・?」
「私、あなたの優しさに付け入ることばかり考えてたんだよ」
「全然、いい子なんかじゃないでしょ・・・?」
この世にはもういない彼に向かって問いかけた声は、視界に広がる薄い煙に遮られて、響かない。
そうして、思う。
ああ、もう、私の声が届くことはないのだ、と。
想い人は、霧の彼方に翳む。
この霧が晴れることは、決してないのだろう。
-
- 44 : 2014/08/10(日) 16:47:13 :
…だと、しても。
この深い深い霧が、永遠にあなたを隠してしまっても。
私は、きっと、願い続けるだろう。
いつか。
いつか。
そう、いつの日か。
もしも、この霧が、晴れたなら。
あなたは、あのときのように、クスクスと笑いながら、私に言うの。
「クリスタは、まじめだなぁ」 ・・・って。
ーおしまいー
-
- 45 : 2014/08/10(日) 17:04:34 :
- ーおまけー
ジャン「なぁ、ユミル」
ユミル「言うな、バカジャン」
ジャン「バカって言うなよ、バカ」
「それより、俺とマルコの関係はどうなったんだよ」
「そして、おまえとクリスタの関係は?」
ユミル「言うなつってんだろ」
「中断してから4ヶ月も経ってんだぞ?」
「作者の都合くらい、察しろってんだ」
ジャン「いや、おまえは誰の味方なんだよ?」
ユミル「あーもーっ、グダグダうっせーんだよ、女々しいやつだな」
「いいだろ?クリスタがこれから頑張って生きていこうと決意したところでピリオドが打たれてんだからさ」
「完結しただけまだましじゃねーか」
ジャン「いや、そういう問題じゃ・・・」
ユミル「ま、あたしとしては万々歳とはいかないまでも、ぎりぎり合格ラインってーとこかな」
「今後の展開によっちゃ、あたしには、まだまだチャンスあるしねー♪」
ジャン「…俺、まじで不憫じゃね?」
ーほんとに、おしまい。ー
-
- 46 : 2014/08/10(日) 17:16:25 :
- うぃっす。お久しブリの煮付け食べたい。
中断してから4ヶ月。わたくしにも色々なことがありまして。
絶対に、放置して終わると思っていたこの霧のクリスタ編(←自分ではこう呼んでいるんです)。
まさかの急展開からの、完結。
おまけでユミルねーさんが言っていたように、完結できただけましなのかなと。
それから、ジャンがなにやらぶつくさ言っておりましたが、まぁ、記憶にある限り、当初想定していたジャンとマルコの腐向けシーンは全カットされちゃいましたね。
期待してた方には、申し訳ない。
いかんせん、わたくしめのssにおいては、そのときの気分がストーリーの展開を決定してしまうので、こればかりはどうしようもないんです。
とはいえ、ゴールのイメージは当初思い描いていたまんまのものが再現できたとは思っているんです。
ただ、ぶっちゃけ、自分でも自分で書いたお話を客観的に見ることができなくて、困ってるだけで。
しばらく時間を置いてみてから、また改めて考えてみようと思います。
あい。
違うところでも書きましたが、あまりにも久しぶりにきたので、完全に浦島太郎気分です。
にもかかわらず、最後まで読み通してくださったあなた様、本当にありがとうございました。
欲を出して言えば、感想的なものを残していっていただけると非常に嬉しいです。
そして、きっと私の思いは届かないかもしれないけれど、
もしも、いつか、届く日がくるのならば、伝えたい。
途中で放置しちゃったせいで裏切られたような思いをさせてしまった方に。
ごめんなさい。
お約束はできかねますが、また、なにやら書きたくなったら、来ます。
そのときまで、みなさま、お元気で。ぺこり
めたん
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