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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

流星はいつか燃え尽きる

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  1. 1 : : 2022/04/05(火) 00:26:33
    エレン「流れ星?」

    「そう!びゅーんってね、流れていくんだよ!」

    難民キャンプで出会った少年に、空を流れる星の話を聞いた。彼は勤勉で、俺達の言葉がわかるらしい。父さんの記憶でも見たことがなかったな、流れ星なんて。

    エレン「どのあたりでよく見える?」

    「うーん。あの丘の峰なんかがよく見えるって言ってた。でも危ないから登っちゃだめって言われて登ったことないんだ...」

    エレン「教えてくれてありがとう。そうだ、これ、やるよ」

    少しばかりの金を少年に渡す。どうせ使い道もないしな。

    「え!!いいの!?」

    エレン「あぁ、もちろん」

    ──────
    ───


    ミカサ「星が流れるの....?空を?」

    エレン「あぁ。」

    ミカサ「頭の上とか落ちてこないの?どこかに落下したら危険。」

    エレン「しねぇよ。大方は燃え尽きて塵になる。」

    ミカサ「そう...」

    俺は近々、ここにある笑顔の殆どを踏み潰す。
    俺は、彼らにとっての敵になる。
    ミカサ達を守るために。

    エレン「ミカサ、見に行かないか?」

    ミカサ「流れ星を?」

    エレン「あぁ。あの丘からならよく見えるらしい。」

    ミカサ「私で、いい、の?」

    エレン「当たり前だろ。お前じゃなきゃダメなんだよ。」

    ミカサ「っ....。わかった...。」

    頬を赤らめたミカサを愛おしいと思った。
    俺は、守りたい。お前らが大事なんだ。




  2. 2 : : 2022/04/05(火) 00:40:06
    ──────
    ──


    エレン「気を付けろよ、足元」

    ミカサ「うん、ありがとう」

    エレンが私に手を差し伸べてくれる。
    こんな少しの段差なんてひとりで上がれるのに。

    エレン「そろそろ着くぞ。もうひと踏ん張りだ」

    ミカサ「うん」

    最近のエレンはとても優しい。
    大人になってトゲがなくなったのか、隠れていた思いやりを表に出してくれるようになった。
    私は、そんなあなたにますます惹かれていくばかり。二人きりになれるこの時に想いを伝えたいと思っていた。伝えければと思っていた。

    エレン「あぁっ!?」

    私が考えを巡らせているとき、珍しくすっとんきょうな声を上げたエレンに引き戻される。

    ミカサ「エレン!?どうしたの!?」

    エレン「流れ星、行っちまった.....。タイミング悪ぃよ...。」

    どうやら私が見る前に流れ星が流れて行ったらしい。凄く残念そうにしているエレンの横顔に思わず声をかけてしまった。

    ミカサ「エレン....?」

    エレン「ん?」

    呼び掛けたは良いものの次の言葉が言いだせない。沈黙があまりに長すぎて、エレンが不思議そうにこちらに向き直る。

    エレン「どうした?ミカサ」

    ミカサ「流れ星はいつでも見られる。そんな、悲しそうな顔しないで」

    その言葉を聞いたエレンは眉を寄せ、さらに悲しそうな表情になってしまった。一体、どうしたのだろう。

    エレン「二度と、見られないかも知れない。いや、見られないんだ。」
  3. 3 : : 2022/04/05(火) 00:52:02
    ミカサ「───?」

    何を言ってるのだろう?"二度と見られない"?一体、どういう....

    エレン「俺は世界を滅ぼす」

    背筋が凍った。月に照らされたエレンの瞳はとても冗談を言っているようには見えなかった。

    ミカサ「え....?」

    エレン「エルディア人への憎悪を絶ち切るには、文明ごと滅ぼすしかねぇんだ」

    その恐怖が怒りへと変わる。理不尽に命を奪われる事のやるせなさが私達にはわかるはずなのに....

    ミカサ「間違ってる」

    私は初めてエレンに声を荒げた

    ミカサ「あなたは───間違ってる!!壁の外の人達が皆悪い人じゃない!!エレンだって、見てきたはずっ...!」

    エレン「たしかにそうだ。だけど、大半が俺達を悪魔だと思ってる事も事実だろ?ミカサ、お前はあの露店で何を聞いた?」

    ミカサ「っ...。それは───」

    エレン「「悪魔じゃない」と否定した人間がひとりでもいたか?いなかった。ひとりも。この世界には味方なんていなかった。もう、無理なんだ、ミカサ。」

    ミカサ「そんなわけ、ない。私があなたにそんな事、そんなバカな事させない!!!あなたが世界を滅ぼすなら、私はあなたを止める」

    エレン「・・・殺せんのか?お前に、俺が。」

    ミカサ「・・・殺すだけが、解決策じゃない・・・。」

    ──────
    ───

  4. 4 : : 2022/04/05(火) 01:02:52
    ────
    ──


    あなたが地鳴らしを起こしたあの日、私はあの日を思い出した。

    ミカサ「あなたを止めると、約束した」


    超大型巨人の群れとその後方から闊歩する異形と化したエレンを見つめながら私はつぶやく。

    多くの仲間を殺したのは、あなたを止めるため。
    生きて、あの日伝えられなかった想いをあなたに伝えるため。
    あなたを連れ帰る。

    アニ「あんた、いまだに殺す以外に方法があると思ってるの?」

    ミカサ「アニ。」

    宿屋の扉にもたれかかったアニが声をかけてくる。

    ミカサ「思ってる。約束したから」

    アニ「あんな姿になって、あんたとの約束覚えてるの?」

    ミカサ「茶化さないで。何か用があって来たんでしょ。」

    アニ「皆があんたを呼んでこいって。まったく、よりにもよってなんで私なんだろうね。」

    ミカサ「わかった。すぐ行くと伝えて。」

    それを聞いたアニは皆の元へ帰っていった。
  5. 5 : : 2022/04/05(火) 20:58:25
    ──────
    ───


    下の階へ向かうと、皆が集まって会議をしている。どうやら、道はひとつしかないらしい。

    リヴァイ「遅ぇぞ」

    ハンジ「みんな、集まったね。ミカサ、地鳴らしを止めるには────」

    ミカサ「できません」

    ハンジさんの意見は聞くまでもない。
    「エレンを殺さなければ地鳴らしは止まらない」。でも、それはできない。私はエレンを連れて帰ると決めた。流れ星を見ると約束した。

    ハンジ「ミカサ、気持ちはわかるよ。幼なじみを手にかけさせるなんてそんな事させたくもない。だけど、わかってくれ。彼を、「始祖の巨人」を止めなければ地鳴らしは止まらないんだ。」

    ミカサ「別の道を探します。エレンは殺さない。」

    椅子に座ったまま無言を貫いていた兵長が腰を上げ私の隣に立った。

    リヴァイ「なら示せ。今すぐに。奴を殺す以外の解決策をこの場で示せ。」

    ミカサ「・・・・・」

    リヴァイ「駄々をこねても奴らは止まらねぇ。お前の精神年齢がまだ15のガキじゃないならすぐに答えは出るはずだ。」

    ミカサ「私は約束しました」

    リヴァイ「ほう。忌み嫌われた化け物になって人類を蹂躙してる友人の約束を守るとは律儀じゃねぇか。」

    頭に瞬時に血がのぼり、兵長にかなり至近距離まで詰め寄る。

    ミカサ「エレンの事を悪く言うのは許さない・・・!」

    リヴァイ「目を醒ませ。」

    「とん」と私の心臓の位置に拳を置いて話を続けた。

    リヴァイ「奴の行為は今まで人類の為に心臓を捧げて散っていた仲間への冒涜だ。あいつらが捧げた心臓の結末はわからねぇが、自由に使えと言った覚えはねぇ...!」

    ミカサ「───っ」

    リヴァイ「仲間を自分の手で殺せとは言わない。最期は俺に任せてもいい。作戦と言えるかもわからねぇくらいお粗末だが、わかってくれないか、ミカサ。」

    わかっている、どちらが重要かなんて。
    人類の未来と私達の約束なんて天秤にかけるまでもない。

    それでも、

    ミカサ「私にはできません」

    ──────
    ───




  6. 6 : : 2022/04/05(火) 21:13:00
    ────
    ──


    ハンジ「駄目だったね。リヴァイ?」

    ミカサは今日も作戦に賛同してくれなかった。
    別の道はないのかの一点張りだ。
    リヴァイと二人きりになった夜。私からリヴァイに声をかけた。

    リヴァイ「あぁ」

    ハンジ「にしてもさ?あんな熱い事言うなんてねぇ、リヴァイ?」

    リヴァイ「事実を言ったまでだろ。」

    ハンジ「そうだね...。ねぇ、リヴァイ」

    リヴァイ「あ?」

    怪我をし、傷で塞がったリヴァイの視線が何処を向いてるのかはわからない。返事だけでこちらに向いているとわかるのは昔からの仲だからだろうか。

    ハンジ「リヴァイなら、どうしてる?私がエレンは立場で、ミカサがリヴァイ。私と約束したことを果たすために生かす方法を探す?」

    リヴァイ「・・・・いや。お前の"心臓も捧げてもらう"。そうじゃなきゃ、死んでいった奴らが報われねぇ。」

    ハンジ「私ならね、ミカサと同じ反応するよ。」

    リヴァイ「・・・・。」

    ハンジ「殺したくないもん。親友をさ。」

    リヴァイ「だが、最期には折れる。お前はそういう判断は間違えない奴だ。」

    リヴァイは真っ直ぐ正面を見つめながら、私に顔も向けないで話す。

    ハンジ「意外だなぁ、褒めてくれるなんて」

    リヴァイ「折れても折れなくても間違いじゃねぇ。俺があいつに突き付けてるのも結局は「仲間との約束」だ。駄々こねてんのはお互い様だな。」

    「寒くなってきやがったな」とリヴァイは席を立つ。

    ハンジ「もう寝るの?まだ話してようよ」

    リヴァイ「何時だと思ってんだ。さっさと寝ろ、クソメガネ。」

    ハンジ「はぁーい」

    ──────
    ───




  7. 7 : : 2022/04/06(水) 23:52:05
    ────
    ───


    あの後、私は眠れずに考えていた。

    ミカサ「世界を救うにはエレンを止めなければ....エレンを止めるには...」

    彼を殺さなくては。

    ミカサ「できるわけ、ない...」

    「僕もだよ」

    後方から聞き覚えのある声が聞こえた。
    振り返らなくても誰かわかるから、そのまま名前を呼ぶ。

    ミカサ「アルミン。あなたも眠れないの?」

    アルミン「逆だよ。ぐっすり眠れすぎた。全く眠気が来なくて。」

    「ミカサもどう?」と手にした暖かい飲み物を差し出してくれる。

    ミカサ「ありがとう」

    アルミン「どういたしまして」

    ミカサ「アルミンもエレンを殺すのは反対?」

    その質問を聞いたとたん、険しい表情になる。
    飲み物を一口飲んだ後、アルミンは話し始めた。

    アルミン「反対ではない。世界を救うなら、エレンを殺す道以外は・・・正直思い付かない。ただ、僕個人としては嫌だ。」

    ミカサ「アルミン...」

    アルミン「でも、大切な時にいい人じゃダメな事くらいもうわかる。悪魔にならなきゃ。」

    悪魔。そういえばエルヴィン団長もそう呼ばれていた。

    ミカサ「エルヴィン団長みたいに?」

    アルミン「そうだね。団長みたいな人が必要なんだ。」

    ミカサ「私は、悪魔になれるかな・・・。」

    アルミンは首を小さく横に振る。

    アルミン「なれない。ミカサだけじゃなく、兵長だってなれっこない。だからこそ、僕は生半可な奴のまま作戦に臨む。決心なんか間に合わせない。」

    ミカサ「私にもそうしろって言いたいの」

    アルミン「無理強いはしない。ただ時間も無い。兵長も言ってた通り、「最期は僕らにまかせてもいい」。ミカサを置いていくわけにもいかないんだよ。」

    ─────
    ──


  8. 8 : : 2022/04/07(木) 00:06:26
    ────
    ──


    ミカサ「作戦に同行します」

    私は決心なんかしないと決めた。
    アルミンに言われたように、エレンを殺さないで済む道を模索しながら作戦に同行する。そう決めた。

    リヴァイ「ミカサ、感謝する。お前の決断を無駄にはしない。」

    ハンジ「役者は揃ったね。飛行艇を使って、「進撃」の真上まで行く。そこから降下する事ができる人間は限られている。巨人化できるアニ、ライナー、アルミン、ピーク。この4名だけだ。」

    ミカサ「それでは、私達はどうすればいいんでしょうか?」

    リヴァイ「お前と俺はこいつを使う。」

    パラシュート。しかし数が足りない。
    これではジャン達が飛行艇から外に出られない。

    リヴァイ「他の奴らは車力に運んでもらう。地面スレスレを飛行しながら車力の背中に立体機動を用いて飛び乗る。危険が伴うが、こいつの数が限られてるんじゃ仕方ねぇ。俺とミカサは他に先んじて着陸し、鎧の援護を受けながら奴の首をはね飛ばす。」

    ミカサ「・・・・。」

    リヴァイ「安心しろ。その役目は俺が引き受ける。お前は鎧と共に俺の援護を頼む。なにしろ手負いだからな。」

    ミカサ「了解」

    ハンジ「よし。皆飛行艇に向かうよ!道中はイェーガー派の追撃も考えられる。躊躇しなくていい。防衛し、死ぬな。いいね?」

    私達は飛行艇の元へと向かった。エレンを止めるために。

    ─────
    ───

  9. 9 : : 2022/04/07(木) 23:18:42
    ─────
    ──


    私達は飛行艇を乗せた船が停泊している港へと向かう。前方に人影が見える。


    ミカサ「止まって!」

    ジャン「どうした!?ミカサ!?」

    ミカサ「人がいる....!」

    人影はこちらに両手を振りながら何かを叫んでいる。何を言ってるのかさざ波の音にかき消されてよく聞こえない。

    「────れ!」

    ミカサ「なん───」

    聞き返そうと近付く私をコニーが制止する。

    コニー「イェーガー派だ!構うな、走るぞミカサ!ジャン!」

    ミカサ「まだ港にも入ってないのに、なぜイェーガー派が!?」

    コニー「わからねぇ。フロックの手回しが早かったんだろ、クソ。いいから走るぞ!」

    さざ波の音で流されていた声がようやく鮮明に耳に届いた。

    「待ってくれ!俺達は武器を持ってない!ほら、雷槍もないし、立体機動も付けてない!助けてくれ!ミカサ!!ジャン!!コニー!!」

    ミカサ「───っ」

    私は彼を知ってる。調査兵団として共に活動した時間は短いけど、同じ死線をくぐり抜けた仲だ。忘れるわけがない。

    ジャン「手を上げろ」

    ジャンは全く躊躇することなく、銃を彼に向ける。

    「ひっ。撃たないで、撃たないでくれ。ほ、ほら!手を上げたぞ・・・!?」

    ジャン「そのまま後ろを向け」

    「え....?な、なんで!?俺は手を───」

    ジャン「さっさと後ろを向け!!!!!それともなんだ?後ろを向けねぇ訳でもあんのかよ。」

    その指摘で、彼の形相が変わる。
    彼は隠し持っていた拳銃を素早く引き抜き、ジャンに銃口を向け、引き金を引こうとした。

    「この売国奴があああ!」

    その刹那、彼の頭が弾け飛び、糸が切れた操り人形のようにその場に倒れた。

    ミカサ「ジャン・・・・。」

    ジャンは淡々と次の弾を装填し、飛行艇に向かう。

    ジャン「行くぞ」

    ミカサ「・・・・」

    ─────
    ───


  10. 10 : : 2022/04/09(土) 00:53:30
    ─────
    ───


    アルミン「遅かった・・・・・!」

    フロックの判断が僕らより早かった。既に港にはイェーガー派が雷槍を装備して集まっている。

    考えろ、考えるんだ。今、この状況を切り抜ける為には何が必要だ?

    アルミン「(飛行艇を吹き飛ばす恐れがある。ここで巨人にはなれない・・・)」

    僕の思考は銃声に遮られる。

    アルミン「(ミカサ達の方からだ・・・。一体何が・・・?)」


    フロック「銃声だ!!!あっちの方からか。追うぞ!お前らはここに残って飛行艇を見張れ!!奴らが現れたら伝えなくてもいい。躊躇せずに殺せ!いいな!」

    「了解!」

    イェーガー派の数が減った・・・・!

    アルミン「(チャンスは・・・今しかない・・・!)」

    ────
    ──





  11. 11 : : 2022/04/09(土) 01:14:46
    ─────
    ──


    ミカサ「わざと撃ったの?ジャン」

    あんな場所で騒ぎを起こせばイェーガー派が直ちに反応すると分からないはずがない。あきらかに故意だった。

    ジャン「・・・あぁ。」

    ミカサ「言ってくれれば私が撃ったのに。あなたが手を汚す必要はなかった。」

    ジャンはあの時撃ち損じた事を後悔していた。アルミンに手を汚させ、自分は助かったことを気に掛けていた。もしかしたら、自分が手を汚さなければいけないと思っているのではないか、なら私が代わりに引き受けたのに。

    ジャン「バカ言うんじゃねぇよ。お前の綺麗な手より、俺の無骨な手が血にまみれた方が痛々しくねぇし、なにより、」

    ミカサ「なにより、何?」

    ジャン「俺が嫌だよ。お前にそんな真似させんのは。」

    「だから、俺でよかったんだ」。その呟きは私にと言うより、自分にいい聞かせているようだった。

    コニー「来たぞ!ジャン!イェーガー派だ!」

    ミカサ「───ッ!」

    私は素早くブレードに手を掛ける。しかし、引き抜く所で手が止まってしまう。

    ミカサ「(どうして・・・?まさか、躊躇してるの・・・?)」

    ジャン「ミカサ!危ない!!!」

    棒立ち状態の私をめがけて雷槍を構える兵士。

    ミカサ「(間に合わないっ・・・!)」

    ──バンッ!

    「ごッ!?」

    間一髪ジャンが放った弾丸は兵士の立体機動を的確に居抜いた。バランスを崩して地面に頭から落下した兵士はピクリとも動かない。

    ミカサ「ジャン・・・!助かった、ありがとう」

    ジャン「感謝すんのは後にしてくれ!来るぞ!」

    ジャンと背中あわせに互いの背後を守り会う。
    もう、

    ミカサ「(迷っている場合じゃない!)」

    ジャン「(躊躇えば────)」

    ミカサ「(地鳴らしは止められない───!)」

    放ったアンカーが兵士の一人を貫く。
    そのままアンカーを巻き取り、兵士の首をブレードではね飛ばす。

    頭の無くなった死体を盾に銃弾を防ぎ、じりじりと兵士との距離を詰める。

    ─カチッカチッ!

    「はっ・・・!あああぁあっ!」

    装填していた銃弾を使い果たし、尻餅をついた兵士の顔面を思い切り蹴り飛ばす。

    ミカサ「っっっらぁっ!!!」

    「があっ!」

    吹き飛んだ兵士は海に落下し、浮かび上がってくる事はなかった。

    フロック「クッッッッソ・・・!ハッ・・・!」

    立体機動の反動で後ろに下がったフロックも逃がさない。すかさず後ろに回り込み、太もも辺りに狙いを定め、ブレードを振りかざす。

    ───ガキンッッッ!

    フロックが銃口でそれを防ぎ、つばぜり合いのようにそれぞれが武器越しににらみ会う。

    ミカサ「フロック──諦めて、死んで!!」

    フロック「ただじゃ、死なないさ。」

    ミカサ「───!」

    フロックは私の腹に拳銃を突き立てた。

    フロック「刺し違えても殺す!!」
  12. 12 : : 2022/04/11(月) 22:38:46

    ────
    ───


    ジャン「(クソッ!これじゃラチが明かねぇ!!)」

    弾を撃って次弾を装填する前にやってくる敵の波。物陰に隠れては撃ち、隠れては撃ちを繰り返すが、弾も無限ではない。

    ジャン「(それに、ミカサはどうなった!?いくらミカサとは言え、1対複数じゃ分が悪いぞ・・・!)」

    確認しようにも振り返る余裕はない。

    コニー「よそ見してんな!!」

    ジャン「わーってるよ!!」

    コニー「ミカサの後ろを全力で守るぞ!ただでさえキツい状況なんだからよ!?」

    そうだ。ミカサは俺達を信頼して後ろを任せた。んなとこでへばれるか・・・!

    「裏だ!裏に隠れてるぞ!雷槍を流し込め!」

    右側から二人、立体機動のワイヤーが壁から外れた瞬間。今なら次のワイヤー発射まで時間が空く・・・!体勢が整わねぇんじゃ避けようがねぇだろ!

    弾を装填するとほぼ同時に物陰から飛び出す。不意を付かれ、放った雷槍の一発目は俺を捉えられなかった。

    ジャン「上等だ、コラァッ!!」

    ─────
    ───


    フロック「────ッ!?」

    私はフロックが突きつけた拳銃をブレードの柄で弾き、逆に喉元にブレードを突き付ける。

    ミカサ「"刺し違えても殺す"?それは私の台詞・・・!!」

    そのままじりじりと壁へ追い詰め、やがてフロックは壁を背にした逃げ場のない状態となった。

    ミカサ「あなたに逃げ場はない。諦めて。」

    フロック「なぜ、止める!?地鳴らしを止めてどうする!!俺達に世界の悪魔のままでいろって言いたいのか!どこでイカれちまったんだ、ミカサ!!!」

    ミカサ「うるさい...!」

    フロック「俺は変えたいんだ。この世界を!この歴史を!だから、止めるな....!!エレンを、地鳴らしを止めるなよ!」

    ミカサ「大義のもとの虐殺はもうたくさん、沢山見た!私もあなたも!世界が滅びて私達が助かる道なんて間違えてる。歴史と世界は地鳴らしでは変わらない。歴史と世界が終わるだけ!そんなことに意味はない...!」

    フロック「お前とは利害は一致しないようだ・・・・・なッッッ!」

    フロックはブレードを手のひらで押し返す。
    夥しい出血を伴いながら走ったフロックの行く先はアルミン達の方だ。

    フロック「時間稼ぎだ!!!ミカサ達は時間稼ぎをしようとしている!!!」

    ミカサ「(気付かれた・・・・!)」

    生かしては、おけない・・・!

    フロック「本命は恐らくアルミンだ!!!元の配置に─────」

    ミカサ「ッッッッッァッ!!!」

    フロックが振り返るより早く、私はブレードでフロックの体を切り裂く。


    フロック「───戻───れ...」

    フロックは最後まで作戦を告げたが虫の息だ。フロックの指示を受けた他のイェーガー派を止めなければ・・・!

    ミカサ「ジャン!!!コニー!!!もう一人も逃せない!覚悟を───決めて!!」

    ジャン「覚悟なんてとうの昔に決まってる!!コニー、一人残らず倒すぞ!!」

    コニー「わかった!!!」

    ────
    ──

  13. 13 : : 2022/04/11(月) 23:02:18
    ────
    ──


    「ア、アルミンだ・・・!どうする・・・?」

    「そ、そんな事・・・!撃て、躊躇するなといわれたろ!?」

    やるしかない。武器を持ってないなんて示す事は僕自身が武器である以上、もはやできない。

    アルミン「フロックが、殺された!!」

    一か八かだった。フロックが向かった先に誰がいるかなんて理解しているはず。フロックと同伴したイェーガー派が戻ってこないなら尚更揺さぶられる筈だ。

    アルミン「何してるんだ!!?一緒に行こう!!フロックを助けに行くんだよ!!!」

    「信用、できない───!」

    アルミン「・・・・。がっかりだよ。まさかフロックを見殺しにする奴だったなんて。僕一人で行く。信用できないなら、付いてこなくていい。そこにいればいいさ。」

    僕はフロック達の元へ向かう。

    「──俺は行くぞ!!アルミンに付いていく!!」

    ひとりが声を上げた。それに賛同するようにぞろぞろと名乗りを上げた。

    アルミン「・・・・!」

    ────
    ──


    ミカサ「はぁっ──!はぁっ───!」

    全てのイェーガー派を一人残らず殲滅した。
    辺りは血の海。私はその中心で膝から崩れ落ちたまま動けない。

    ミカサ「(私はっ───私達はっ───。悪魔になった・・・。もう、後戻りできないっ・・・!)」

    ジャン「あれ、アルミンか?なんで、イェーガー派を引き連れてんだ・・・?」

    ジャンの言葉で遠くのアルミンに気付く。
    声は出さず、口元だけが何かを伝えようと動いている。

    ミカサ「・・・?」

    "にげろ"


    ミカサ「ジャン!コニー!下がって!!!」

    ─────
    ───


    「いたぞ!あいつら本当にフロックを・・・!」

    「ありがとう、アルミン!疑ってわるかっ────」

    兵士のひとりが振り向いたその時、僕は自らの手をナイフで切り裂く。

    アルミン「君たちは正しかった・・・。でも、僕らも止まれないんだ・・・。」

    ───バチッ!

    アルミン「許してくれ。」

    ─────バチッ!バチッ!


    ────カッッッッッッッッッ!!



  14. 14 : : 2022/04/17(日) 00:17:09
    ───
    ──


    ジャン「まさか、お前の策がイェーガー派をまとめてぶっ飛ばす事だとは驚いたぜ」

    アルミンが吹き飛ばした場所は死体の1つもない。おそらく熱波で灰になって散ったのだろう。

    たしかに、活路は見いだせた。けど、随分とお粗末な作戦じゃねぇか。

    アルミン「方法は他にもあったけど、イェーガー派を一網打尽にする機会はここしかなかったんだ。荒っぽいとは思うけど───」

    ジャン「荒っぽいなんてもんじゃねぇよ。ミカサとコニーまで吹き飛ぶ可能性だってあったんだぞ?」

    アルミン「超大型の爆風は調整できる。巻き込まない範囲にはしたよ」

    ジャン「皆吹き飛ばしちまえばラクにはなるだろうが、そりゃ人間の諸行じゃねぇだろ!?」

    ミカサ「やめて。アルミンは仕方なくやった。仕方なく騙した。心が痛いのはアルミンも同じ。」

    コニー「だけどよ!?アルミンなら、こう、もっと───」

    ミカサ「私達は既に悪魔。さっきの惨状を覚えてないの?私達はもう───。」

    仕方ねぇのはわかってんだ。だけど、対話を望んでたお前がなんでだ?アルミン


    アルミン「誰も、好きでやってないよ・・・。こんなことっ・・・。」

    アルミンは今まで見たことのない形相で語り始めた。

    アルミン「ようやく、ベルトルトが言ってた事がわかった・・・・!誰かがやらなきゃいけないんだ。手を血で染めなきゃいけない。この事だったんだ。今度は僕らの番なんだよ、ジャン」

    ジャン「・・・・」


    ─────
    ──





  15. 15 : : 2022/04/17(日) 00:34:00
    ─────
    ───



    飛行艇の奪還が完了した旨をハンジさん達に伝え、一同がその場に向かおうとしていた。

    アニ「なに・・・?これ」

    アニはアルミンが残した爆風の後を見つけ愕然としている。

    アニ「これ、アルミンがやったの・・・?」

    ミカサ「そう」

    アニ「イェーガー派を全員爆風に巻き込んで焼き付くしたってわけ。アルミン、対話の道はどうしたの?」

    アルミン「対話の為だ。何も捨てないで何かを得ることは・・・・できない。」

    アニ「本当にこんな事をする連中と対話なんてしてくれると思うの?」

    ミカサ「アニ。アルミンを責めるのはやめて。私達だってほとんどのイェーガー派を殺してきた。私もアルミンと変わらない。アルミンが責められるなら私も一緒。」

    アニ「べつに責めるつもりなんかないよ。ただ、アルミンにしては短絡的な作戦だって思っただけ。」



    ─────
    ──


    「あんた、ベルトルトに似てきたよ」とアニから言われたが、まったくその通りだと思う。
    あの時のベルトルトが今の僕だ。境遇は違っても、立場は同じ。

    アルミン「(他に方法なんて、なかったんだ)」

    海の外に来て、不可能や不条理や抗えない現実を見た。僕は「対話」に夢を見てきたが、その夢はかなり早い段階で打ち消された。

    この世はすべてが敵。あまりにも、敵が大きすぎた。

    アルミン「(ねぇ、エレン。)」


    君を殺せば、僕らは本当に自由になれるのか?

    アルミン「教えてよ、エレン」

    蒸発する遠くの海を見ながら、進撃の巨人に向かってぽつりと呟く。

    アルミン「いいさ。教えてくれないなら、直接聞くよ。君に嫌な質問してやる。」

    ─────
    ───




  16. 16 : : 2022/04/17(日) 23:03:48
    ────
    ──


    リヴァイ「おい。まだ到着まで時間はある。焦っても仕方ねぇぞ。」

    パラシュートの装備を身に付ける私に兵長が話しかけてきた。確かにまだ時間はあるだろう。
    けど、想定外も考えておかなければ。

    ミカサ「相手は「始祖」です。何をしてくるかわからない。いつでも出撃できるようにしなければ」

    リヴァイ「・・・・。」

    ミカサ「何か?」

    リヴァイ「いいや、何でもねぇ。心構えは申し分ねぇな。」

    ミカサ「・・・」

    「心構えは」?何が言いたいのだろう。
    私は確かに、こうやって「始祖」を止めようとしている。

    ────
    ──


    ジャン「緊張してんのか?ライナー。らしくねぇ」

    ライナー「・・・!ジャン!」

    窓の外を見ながら息を深呼吸を繰り返すライナーは明らかに緊張して見えた。相手がエレンだからか、それとも

    ジャン「俺達に協力するのは怖いか?」

    ライナー「ジャン・・・」

    ジャン「はっきり言えよ。もう何も隠すな。」

    ライナー「・・・確かに、怖い。お前らだからじゃない。俺だからだ。俺だから怖い。」

    ジャン「どういう意味だよ?」

    ライナー「俺は半端者のクソ野郎だ。頼りにされるときに限って、頼りにならない」

    ジャン「んなもん周知の事実だろうが」

    ライナー「今まではよかった。だが今回は、エレンが相手だ・・・。今までの俺じゃ太刀打ちできない」

    ジャン「ならくよくよしてる暇もねぇだろ。今回もお前を頼りにしてるが、それは今までのお前にじゃない。今のお前を頼りにしてんだ、ライナー」

    ライナー「ジャン・・・!」

    ジャン「俺らは世界を相手にしてきたんだ。今さら死に急ぎ野郎とケンカしようなんて事でビビってどうする」

    ライナー「・・・そうだな。お前らは俺が守る。任せてくれ、ジャン。」

    ジャン「あぁ。任せたぞ。」

    ──────
    ──





  17. 17 : : 2022/04/26(火) 18:39:20
    ─────
    ────
    ───


    車力の巨人が全速力で飛行艇の隣を駆け、ぴったりと並走する。頃合いを見計らい、ハンジさんが指示を出した。

    ハンジ「飛行艇の高度を下げてくれ!」

    車力と飛行艇との距離が十分近づいたところで、ミカサとリヴァイ、バックアップ担当のライナーを除いた巨人を宿す2人以外が車力に飛び乗る。

    ミカサ「ジャン」

    ジャン「うん?」

    飛行艇に残っていたミカサに呼び止められ、忘れ物でもしたかと振り返ったが、そうじゃなかったらしい。

    ミカサ「生きて・・・・帰ってこよう。皆も。わかった?」

    ジャン「おう、まかせとけ」

    ライナー「「進撃」の側で落ち合おう」

    ミカサ「わかった」

    ──────
    ───


    皆を送り出した飛行艇は再び上空へ飛び上がり、「始祖」に向かって進み始めた。

    ミカサ「(やはり・・・大きい)」

    超大型を遥かに越える巨体は、肋骨のみで地を進む。砂ぼこりと無数の超大型が起こす振動は大気をも震わせ、私たちにも伝わった。

    リヴァイ「お前ら、行くぞ」

    ミカサ「・・・・はい。」

    私達はパラシュートで、アニ達は巨人になり、「始祖」に向かって落下する。

    ミカサ「(待っていて、エレン!!!)」

    私が───あなたを────

    ──────
    ───




  18. 18 : : 2022/04/29(金) 11:14:58
    ─────
    ───


    いつからだっただろうか。
    あいつが俺を追い始めたのは。

    「ここは、「道」・・・・?」

    俺が皆と同じ速度で歩けなくなったのは。
    あいつに「あなたはいつも先を歩く」と言われた時、気付いた。

    「身体、動かねぇ・・・。」

    俺は振り返らないと心のどこかで決めていたんだと。進み続けると────


    エレン「(俺は───決めた)」

    ────
    ──


    ミカサ「(くっ・・・!足場が悪い・・・!)」

    「始祖」の肋骨に着地したまではよかった。だが、その振動はワイヤーを食い込ませたとしても直に伝わってくるほど凄まじいものだった。

    ミカサ「(これではまともに動けない・・・!)」

    私の隣に鎧が走ってくる。

    ミカサ「ライナー!」

    鎧の巨人『ガアア!』

    ミカサ「「乗れ」?」

    ライナーは頷く。

    ミカサ「それはできない。あなたは皆の援護をお願い。私はエレンのうなじに向かう」

    それを聞いたライナーはもう1度頷き、後方から走る車力の速度に合わせ、エレンへ向かう。

    リヴァイ「ミカサ!避けろ!!」

    ミカサ「っ!?」

    足元から光の矢が襲ってくる。間一髪回避することは出来たが、また後退を余儀なくされてしまった。

    ミカサ「(この光、身に覚えがある・・・!)」

    戦鎚の巨人だ。
  19. 19 : : 2022/04/29(金) 11:30:53
    足元を見ると、戦鎚の巨人が弓をつがえ、こちらに狙いを定めている。

    ミカサ「兵長!撃ってきます!」

    リヴァイ「ちっ・・・!なぜ「戦鎚」が・・・?これもヤツの力か・・・!」

    その射撃はなぜか私たちを的確に撃ち抜こうとはしない。まるで、後退させる為だけに撃っているようだった。

    ミカサ「(エレン・・・?なぜ、私を避けるの・・・?)」

    私は、あなたの真意を知りたい。
    思うより行動が先だった。立体機動を使い、エレンへと向かっていく。

    リヴァイ「ミカサ!!勝手な行動をするんじゃねぇ!」

    ミカサ「このままでは押し返されるだけです!」

    リヴァイ「奴が巨人を無尽蔵に産み出せたとしたら、闇雲に進むだけでは勝ち目はねぇ。今は作戦を組み立て直すべきだ。」

    ミカサ「それでもここで止まる訳には・・・・」

    突然ワイヤーが切れ、地面に落下していく

    ミカサ「(顎の・・・巨人!)」

    始祖によって生成された顎の巨人が私のワイヤーを切断した。そのスピードと小柄故の機動力で近づいてきたのだとすら感じなかった。

    ミカサ「(こんなところで────死ぬわけには────)」

    ─────
    ───


    次の瞬間目を開けた私の目の前に見覚えのある光景が広がる。あの丘だ。エレンと流れ星を見ようとした、あの丘。

    そして、身に覚えのある後ろ姿が、丘から景色を見下ろしているのが見えた。

    ミカサ「────エレン!!!」

    振り返ったエレンは優しい笑顔だ。いつもの、エレンだ。

    エレン「お前、無茶しすぎだろ。来てくれるとは思ったけどよ・・・。」

    「来てくれる」?どういう、事だろうか。

    エレン「ここは「道」。俺の記憶の一部分にミカサ、お前を呼んだ。」


  20. 20 : : 2022/04/30(土) 09:39:45
    ミカサ「「道」───?呼んだ───?エレン、何を────」

    エレン「"最期"にもう一度、流れ星をお前と見たくて。だから、呼んだ。」

    ミカサ「最期じゃない!!私はあなたを助ける為に────」

    エレン「ミカサ。もう、無理だ。」

    無理じゃない。きっと、方法がある

    エレン「方法はあっても、世界は俺を許さない。これだけの人を・・・殺して、不幸にしたんだ。まだ歩みは止まらないから、不幸の連鎖は止まらない。無理なんだ」

    ミカサ「無理だなんて・・・言わないで・・・!っ・・・!?」

    エレンはふいに私を抱き締めた。
    私を抱き締めたまま、エレンは話し始める。

    エレン「あの時、言ってくれたよな。「殺すだけが解決策じゃない」って」

    ミカサ「・・・・言った。」

    エレン「見つけてくれたか?その"解決策"を」

    ミカサ「・・・・まだ、見つけてない」

    エレン「見つかりそうか?」

    ミカサ「・・・・。」

    わかってはいる。解決策なんて無いんだろう。
    他の解決策があるなら、ハンジさん達がすぐに行動にうつす。アルミンだって、私達に作戦を教える。もう、だめなんだろう。

    エレン「俺はお前らに幸せになって欲しいんだ。だから、世界にまだ未来があるなら、お前しかいないんだ。」

    ミカサ「エレン・・・」

    エレン「ミカサ、お前が世界を救ってくれ」


    ─────一匹残らず、この世から巨人を駆逐してくれ

    ──────
    ───


    ミカサ「私は────」

    こんなところで寝ている暇はないッ・・・・!

    ライナーは私の身体が地面に叩き付けられる前に私を受け止めてくれた。

    ミカサ「ライナー、助かった。」

    私はエレンに未来を託された。
    エレンは、私を幸せにするために

    ミカサ「止めてほしいと思っている・・・!」

    ならば、しなければいけないことは決まっている。

    ミカサ「エレン、今楽にしてあげるから・・・・!」




  21. 21 : : 2022/05/04(水) 15:24:34
    車力に乗ったアルミンは慌てた様子で私に問う

    アルミン「大丈夫!?ミカサ!!」

    ミカサ「えぇ。大丈夫。」

    アルミン「よかった・・・。」

    車力の巨人『無事なのは良かったけど、あの巨人の群れ、どうするの?』

    行く手は無数の九つの巨人が阻む。
    正面突破は得策ではない。止まっていても、ただの的だ。

    ミカサ「(何か突破する方法は・・・・!)」

    リヴァイ「俺が引き付けよう。手負いだが、引き付けるだけなら死にはしねぇ」

    車力の巨人『それは無理。恐らく、九つの巨人は無限に生成される。いくら引き付けたところで、打つ手が無くなるのを待つだけ』

    アルミン「光る虫・・・。」

    ミカサ「え・・・?」

    アルミン「エレンから飛び出てきたあの光る虫みたいな奴をどうにかできれば、この局面が変わるかもしれない。車力のスピードがあればエレンの元まで行けるだろうし、打開策はそこにしか・・・。」

    リヴァイ「車力だけじゃあの量を掻い潜るのは無理だろう。ライナー、お前の出番だ。俺達のバックアップを頼む」

    ライナー「(・・・・やるしかない・・!)」




  22. 22 : : 2022/09/18(日) 06:22:52
    いい歳をしてこんなの書いて恥ずかしくないのか(^ω^)


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MDaidaros

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