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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

――不肖 秋山優花里の〇〇入門講座――

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  1. 1 : : 2022/01/16(日) 23:03:37




              ~まえがき的ななにか~



      

             お久しぶりです!!!!!!!!!!!!
       というよりもうなんか、ハジメマシテ!!!!!!(二回目)ですかね。
                (;゚Д゚)


    前回の投稿から何年サボっていたか・・既にすぐには頭から
    出てこない程久々ですが、まあ考え直してみれば仕事でも責務でもない
    趣味が垂れ流す産廃でしかありませんので・・・深く考えるのは
    止めるようにしました^^;


    では久々の挨拶もそこそこに以下恒例の簡易注意点を挙げていくと
    しましょうか....。。





    お話の内容としましては
    「ガルパン」であります・・・・・・  が、
    前回書き捨てた会長×みぽりんの話から繋がりつつ、少し
    日数が経った後の話になります。

    例によって簡易注意点として以下の点を
    先に挙げさせて頂きます....








               ※簡易的注意事項※

                  (特記)



               『エロ展開一部ありです。』


    ・はい・・・、よくよく考えても見れば
     これほどエロに没頭し、どぅ――でもいい拘りを
     棄てる事ができない煩悩の塊みたいな私が
     どうして度々、
     
     『ガルパンにエロ要素は要らぬ!!』・・・という姿勢を
     貫いていたのか・・・甚だ疑問ではあるのですが、
     その抑圧より解き放たれたのか今回は何故かエロに走るそうです。
     (ただ、作品の性質上そこまで深くは吶喊しない・・・ハズ。。)




                『百合です。』


    ・百合毒耐性にマイナス値、百合アレルギーを持つ方、そうでなくとも
     そもそも拙いエロス、幼稚なエロスに吐き気を示す方の身を案じて
     その様な方々に関しては問答無用の全車撤退(ブラウザバック)
     推奨致します。

     何せ書いている私自身ですらあまりディープに書いていると、
     吐き気を催します。ので
     できるだけそうならないよう加減に気をつけたいと思います。





             『おそらくまたぶった切ると思います』


    ・これだけでは何を言っているのか分からないと思いますので
     簡単に説明致しますと・・・・・

     毎度の事ながら気の利いたオチでは終りそうもないという事です。






               ※簡易的注意事項※ 
                  (通常)




    ・ネタバレについてですが・・・・今回の時系列設定は

     本筋が『準決勝・プラウダ戦』で推移する中、
     モノローグを進行させる今回の主役でもある彼女の
     回想で時系列が度々さかのぼることになり、
     ややこしい事になると思います(;'∀')


     
     話のノリは弐〇マルコさん世界線に非常に近い為
     極北スピンオフであるリボンの武者ネタや、
     もっとらぶらぶ作戦です!にも触れるかもしれません。




    ・その為、会話の各所に???が浮上する事かと思いますが、
     その辺は些細な事と見逃して頂ければ幸いです。





    ・パロディ過多。
     例に漏れず、私の書き連ねる諸々はパロディで
     構成されていると言っても最早過言ではありません。
     ご気分を害されたらスミマセンm(__)m




    ・序盤中盤とシリアスで行くのかと思いきや、
     恐らく強引な超信地旋回でエロ展開へと捩じ込んでいくかと。

     ・・・そしてそこまでが退屈な割に結構長い。

     




    ・・・・等々他にも書いておかなければいけない事は星の数ほど
    あるのですが・・・これではいつまでたっても進めませんので、
    今回はこの辺りにしておきます。





  2. 2 : : 2022/01/16(日) 23:06:16

    .

    .

    .

    .










     ―――――――どうも皆様、はじめまして。








     私の名前は、・・・・秋山優花里。





     県立大洗女子学園 2年、普通Ⅱ科所属、、16歳・・・



     

     6月6日生まれの双子座で血液型はO型....





     なんて、当たり障り無いどうでもいい私のプロフィールを
     紹介していても仕方がありませんよね・・・・、




     実を言いますと、私達が置かれている現状況なのですが・・・・・・・










     ――――――




              ーーー




                     ――・・・ッドガッッッッ!!!!!!!!!!!










    「ちょっ・・・ちょちょっちょちょちょ!!!!


             撃ってきた"!!!!撃ってきてるって!!!!!!!!」
            キャァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!!!






       ガラガラ・・・・・          ズゴォオオン!!!








    「流石にカーボン無いと死んじゃうよ"""!!!!!!!」




    「まさかのダイレクトアタック!!!;」




    「ありえな~~~い!!!!(艶泣)」





    「奴ら加減ってものを知らないのか!!?;

     これは流石に根性ではどうにもならん!!
     皆、八九式に乗り込め!!!!」ソレソレ~~





    「リアルな事言ってしまうと八九式に乗っても相手の主砲だと
     全然安全じゃありません!

     寧ろ身動き取れなくて的にされるので
     事実上のカモ撃ちです、キャプテン!!!!(泣)」





    「アヒルなのにカモ撃ちとはこれいかに!!!!(錯乱);;;」





    八九式(フラッグ車)は一番奥まった位置で、
     カモさんチームのルノーに匿って貰って下さい!
     
     他の皆さんは戦車に乗り込んで砲撃が落ち着くのを待って!」







    「絶対に落とされるんじゃないぞ!!!!
     バレー部(おまえたち)がやられたら大洗(我が校)はおしまいだ!!!!!」ウァワアアア!!!





    「皆さん、慌てず急いで戦車に乗って下さい!」




  3. 3 : : 2022/01/16(日) 23:08:59





     ・・・全国大会もいよいよ詰めの準決勝、、
     我々大洗女子学園戦車道チームは陣頭指揮を執っている
     我らが軍神・西住殿只一人を除けば、戦車道未経験者で
     構成されているということもあり、ここまで勝ち上がってきた事実に
     皆々様の士気は鰻登り・・・・・



     ・・・・・・と、そこまでは良かったのですが



     実際の戦場においてそうであるように・・・
     昂ぶりすぎてしまった士気ほど厄介なモノはなく、

     有頂天に達してしまった皆様の士気は、西住殿の指揮を素通りし・・・
     独断先行の吶喊という愚行に走らせてしまいます。



     しかも相手は前年度覇者のプラウダ高校、、、極めつけは
     相手のホームグラウンドでもあり、我々が未だ一度も
     経験したことのない寒冷地での雪上戦。



     以上の理由から、開幕速攻で袋小路・・・というより
     廃墟に追いつめられた我々は今まさに、





     生きるか死ぬかの瀬戸際・・・







          ッドガァァァァァン!!!!!!!!!!







        ―――――文字通り・絶対絶命の・・・・
                危機的状況だったりします・・・・・。















           ―――――Ⅳ号戦車・車内―――――





    「やっぱり流石にあんこう踊りはまずかったのかな....」
     ガコンッ



    「ほんと勘弁してよねみぽりん!!(号泣);;;
     戦車から降りてれば流石に砲撃は無いとかいってたのに
     フツーに()る気マンマンじゃんもぅ~~!!!!!;;
     物理的な意味でお嫁に行けなくなるところだったじゃん!」
     ヤダモオォォォゥ!!!!!



    「ついでに嫁にいく夢どころか全員仲良く
     木っ端微塵になるとこだったな・・・物理的な意味で」
     ファァ・・・;



    「しかし・・・負ければ廃校、ですからね・・・・
     皆さん、西住殿の指揮を軽んじてしまった負い目もあるでしょうし、
     その結果こうして相手の戦略に陥れられてしまったところで
     あんなに重い話をされてしまったら・・・ああでもしなければ
     更に状況は悪化すること必至だったでしょう・・・・」ニシズミドノワルクナイ




    「これ以上悪くなることがあるか・・・・?
     これだけ寒いと急には動けないから、決死で抜けだそうにも
     当然暖機はする必要があるし・・・そうなれば向こうには
     こっちが動くタイミングも全て筒抜けだろ。」



    「走破性を重視して八九式をフラッグにしたのも、
     この状況だと完全に裏目に出ちゃったし・・・・

     こんな事なら少しでも装甲の厚いルノーにしておけば・・・;」



    「に、西住殿・・・、こんな事は言いたくありませんが、
     作戦が西住殿の口頭通り進められた結果こうなってしまったなら
     西住殿が負い目を感じるのも分かりますが・・・この場合それは
     気にするべきじゃない・・・と、思います・・・」エエ、ワタクシハ・・!



    「そう、、だよね・・・・....!
     過ぎちゃったことを悔やむんじゃなくて・・・
     この状況からどうやって、アヒルさんチームの身軽さを
     活かして離脱するかを第一に考えよう・・・!」


  4. 4 : : 2022/01/16(日) 23:12:58






    「・・・最低限、抜け出すにしても相手の居るおおまかな配置くらいは
     知っておきたいですよね」ガコッ・・
     ココカラジャミエマセン。。




    「・・・うん、それもそうなんだけど・・・(汗)

     まさか・・あんこう踊りだけでここまで相手を刺激しちゃうと
     思わなかったから・・;流石にこの状況で誰かを
     斥候に出すわけにも・・・・」オロオロ






       ・・・・ドゴォンッ・・・・!!!    バガンッ!!





    「おいおい・・・まだ撃ってくるぞ・・・

     建物に被弾してないだけマシだが・・・前年度覇者なんだろ・・・。。
     この沸点の低さはどうなんだ実際。。。」ネム。。。





    「ッ・・・・・・ただの威嚇で済んでる内になんとか
     突破口を見つけないと・・・・・!」




     西住殿が・・・困っています・・・!しかし、それも無理は無いです・・・、


     私にとっても西住殿と同じ認識で・・・対戦相手のプラウダ高校は・・・
     多少数と力に任せた強引な強行突破も行いながら、
     相手を陥れる為、時にはある程度の犠牲を視野に入れた
     罠を張るなどといった狡猾さも持ち合わせる戦術が
     印象に強いのですが・・・


     しかしプラウダの地吹雪カチューシャと言えば・・・
     そのような狡猾な奇手より寧ろ強行物量圧し(スチームローラー)こそを得手とするきらいがあります。
     その事実が心の片隅にでも引っかかっているうちは
     これからどんなに危険な戦場となるか解らない
     フィールドへ無闇に斥候を出そうなどという指示に西住殿が
     踏み切れるハズもありません。。



     ・・また、軒並み初心者で構成される我々に対し、油断こそしても
     本気で激情に駆られ、籠城中であるのもお構いなしに
     威嚇射撃を行ってくる程気性が荒いとは考えていませんでした。



     ・・・しかし、結果はご覧の有様・・・・!!



     西住殿が意気消沈してしまった皆さんを鼓舞するために
     提案した集団あんこう踊りも、すっかり相手方には
     侮蔑行為と受け取られ......



     特使を即時退却させての猛烈な威嚇射撃・・・・・



     勿論審判団の目がある以上、彼方様も流石に私達が立てこもる
     この大聖堂跡を、今よりもっと風通しのよいアスレチックに
     リフォームしようなどと思い切ったことはしない・・・・



     ・・・・筈ですが。


     そう信じたいのは山々ですが、


     どんな状況にだって、「つい、うっかり」は付き物です。。




     戦時中、人道的観点から人体に向けての発砲を禁じられていた
     対物狙撃銃が・・・


     ボディーアーマーを狙ったつもりがついうっかり

     敵兵の半身を吹き飛ばしてしまったと供述された例の如く。。



     相手がこれだけ危険な攻めに踏み切れると知った以上・・・、、
     実質大洗の作戦運用の全権を担っている西住殿の立場からすれば・・・


     軽はずみな偵察を指示できるハズがない・・・・!
     ならばここは勿論・・・・・・!!







    「あっ・・・

     あの・・・・・!に、にしずみどのっ!!!!」バッ!!



    「なっ・・・なに?優花里さん・・・・・;?」
     タジッ・・・・



     疑問系で返してくる西住殿・・・ですが、
     そこは当然車長ですから・・・その、わずかな迷いに
     揺れている眼を見れば、もう既に私の意見に対してどんな形で
     却下を言い渡そうか、言葉を探している意図が明白です。



     この状況で・・・私の人間性を鑑みれば、そんな人間が
     威勢良く挙手する理由なんて・・・黒森峰でエースを
     張っていた西住殿にかかれば簡単にお見通しでしょう。



    ですから・・・・、、(わたくし)ここは意を決して・・・・!




  5. 5 : : 2022/01/16(日) 23:16:03






    「あ、あの、まことにお恥ずかしながらっ!!!////
     わたくし、少々そのっ、、、この寒さですので

     お、ぉ、,///お花を摘みに行きたくなってしまいまして・・・!!////」
     /////カアアアァァァァ.....!!!//////








                「「ッ!!??」」




                「「..???;」」





     勇気を振り絞ってそう申し出た私の愚申は・・・・




     しかし、残念ながらその場にいた約二名に対して・・・・
     伝えたかった意図が通じませんでした...。






    「・・・??ゆ・・・、優花里さん??;

     今はその・・・試合中だし・・・っていうか、相手が私達の籠城に
     しびれを切らしていつ撃ってくるか分からない様な状況だし・・・・

     、、その、、お花とかはまた・・・・ね?;」ウン?;
     ヒク,.ヒクッ・・・






     ぁあぁぁ・・・・そんな、、、






     「・・・コイツ、とうとう頭が・・・^;」みたいな、哀れみの籠もった眼で
     見つめないで下さい西住殿ぉぉ・・・・;!!!


    最低限の笑顔を保ちながらもあきらかな苦笑いで
     眉間にしわを寄せつつ、
     しかもお鼻がヒクヒクと・・・これはもしや、西住殿が・・・・
     プチギれておられるのでしょうか・・・・!??
     (※ごく微細な苛つき表現)




     でもなんか、ありがとうございます!!!!//;




    「そうだよゆかりん!!!
     それにこんな一面雪が積もるほど寒いところで
     その辺にほぃっ☆と咲いてる花なんてあると思う??!
     ほら、お花なら華がもってきたのあるんだから、
     これで我慢してよ!!」ササッ
     ヤダモ→!*




     たけべどの。。。;






     違います・・・、、


         
                違うんです、



                      そうじゃないんです...!!!;;












     ...こんな様子で主に一番遠回しにでも察して欲しかった
     西住殿と、こういった日本古来からの隠語に
     さして明るくなさそうな武部殿の二人に。。





    「み、みほさん、優花里さんが言っている、お花を摘む(▪▪▪▪▪)というのは・・・・!!!(ゴニョゴニョ..)」





    「・・・・ま、まあこの寒さで・・・冷気が伝わりやすい鉄の塊に
     乗ってるんだ・・・これじゃいつ催しても仕方ない・・・・///
     私も冷えやすいからよく分かる。。。」フィッ





     ちゃんと察してくれた冷泉(れーぜー)殿と五十鈴殿がさりげなくフォローを入れてくれる
     その何とも言えない間が・・・







          ・・・・死ぬほど・・・・恥ずかしかったです。。






    「(ゴニョゴニョ・・・)」
     トイウイミナンデス...
    「・・・・・・!!!」ハッ!?
     ソ、ソウナノ!??
    「ナニナニ・・・・!?」





     しかも、暗に察して欲しかったとはいってもそれは
     危険を承知の上で斥候に志願するこちらの申し出を
     後押しするための・・・





     あくまでも暗黙の了解的な意味でしたので・・・・;;







  6. 6 : : 2022/01/16(日) 23:19:45






    「そっ・・・、そうだったんだ・・・・!!(悟)



     ―――――その、ごめんね優花里さん!!!;

     そんなに顔が真っ赤になるまで我慢してたなんて・・
     きっと決壊寸前なんだよね!??いいよ!!

     早く行ってこないと!!我慢は身体に良くないよ!!!;(真面目)」ウン!!
     ホラハヤク!






    「ハッ・・・はヒぃ....!!!!!!/////;」プルプルプル
     ボシュゥゥ・・・・!!!//////





     弾薬箱周辺に被弾したM4シャーマンの如く、
     今すぐにでも炎上しそうな私の顔面は・・・きっと西住殿からすれば
     堪えきれない尿意の哮りに、為すすべ無く悶絶する様にしか
     見えては居ないことでしょう.....





     ぁあっ・・・ついにはそんな情けないモノを見つめる目でッ・・・!!!
     早く行って済ませてこいとばかりに......!!!!!!





     繰り返しになりますが・・・!
     でも、、なんかありがとうございます!!





     ガチャンッ・・・・






    「で、でわっ・・・;;不祥、秋山優花里、、敵状視察を交えっ・・・、
     お、お花を摘みにいって参りますぅぅぅ!!!!!!」ダダッッ
     ウワァァァァァンンン!!;;;;;;;;;






    「ッ!??ぁ、ゆかりん!??紙は・・・!?ティッシュとか持ってるの!!!!?
     私ウェットティッシュ的なの持ってるし、あとナp(ry...
    「でっ・・・できるだけ早く帰ってきてね~~~!!!!!;;優花里さん!!」
     ノシノシ




     キューポラとハッチから顔を出す西住殿と武部どのが
     何か見送りの言葉をかけて下さっていたようですが・・・


     当然ながらといいますか・・・・・。
     この時の私にその内容を拾えるだけの余裕なんて
     ありませんでした・・・・、、えぇ・・・;


     しかし、この時、不意に籠城を強いられていた廃墟裏手から
     飛び出す私に追いすがる気配を感じます。







    「(まっ・・・まさか、相手校(プラウダ)の追っ手・・・?!?
     しかし、伝令役は既に退去しているハズ・・・?!)」
     ババッ!!



     そんな一抹の不安を裏切る形で、すぐそこに駆け足で迫っていたのは・・・・









    「違う違うっ!安心しろ、私だ、同志グデーリアン!!!」







    「ぇ・・・・???エルヴィン殿っ!???なぜあなたがここに!」





    「それはこっちの台詞だ・・・!
     この弾雨の中隊長車(あんこうチーム)からの指揮もないから、
     さてどう出ると現状を睨むしかなかった我らだが・・・・

     そんな中一人だけグデーリアンがⅣ号から
     飛び出していくじゃないか・・・・!

     すぐにフィジカルモンスターの門佐が護衛に出ようとしたが・・・
     グデーリアンに随伴するなら自身が適任と判断して
     私があいつを止めたんだ...」



    「そ、そうだったんですか・・・・!それは・・・
     何とも説明不足故に要らない誤解を招いてしまったようで
     申し訳ありません!!!!」ババッ!!!



    「弁明は後で聞く!!此処は既に203高地だ!!!!

     兎にも角にもまずは身を隠せる場所に駆け込む!!!

     背後(せなか)は預けたぞ、戦友(グデーリアン)!!」



    「ぁっ・・・、、、了解(ヤーー)ッ!!!!」ババッ







     本気で廃墟外壁を全壊させる目的で放たれて要るわけでは
     無いように見える相手方の砲弾ですが・・・この場合の我々にとって
     それはむしろ砲撃に巻き込まれる危険要素が大きい事に
     他なりません。

     進路を確保するエルヴィン殿と交互に背面に気を配りつつ・・・
     我々二人は、ひとまず降雪をやり過ごせそうな場所を探し、
     ひた走りました。。。。






  7. 7 : : 2022/01/16(日) 23:24:14


























     さて、ここで非常に何の突拍子もなく唐突な事は承知の上で
     ひとつ。お聞きしたいのですが・・・・







     皆さんは・・・・。。




         ここ最近、世に伝え聞くようになった



              "百合"    というものに対して・・・



         いったいどのような印象をお持ちでしょうか?





     ぇえ、もちろんあの、香り高く、凛とした佇まいを魅せる
     花の品種の事を言っているのではなく。


     
     ・・・・ここで私が言っているのは、



     いわゆる女性同士の同性愛的な描写を揶揄した
     隠語を指しています。レズビアンとも言うのでしょうか。
     ・・・それだと些か直接的すぎる気も致しまして。


     これに関しましては質問の受け取り手の性別如何に
     よって、その返答も変わってくるモノと思われますが・・。。


     実は(わたくし)・・・予備知識こそあっても、それほどこれに関しては興味も関心も・・・・・
     ごく最近までは(▪▪▪▪▪▪▪)あまりありませんでした。

     むしろ戦車を思い浮かべている時の方が私にとっては
     至福の時間でしたので・・・・。


     何を言っているのか・・・・分からないかもしれませんが、
     性欲が戦車に向いてしまう(▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪)事すらあったくらいで・・・ 
    そういう意味では・・・"それ"に興味を持つ前の私の方が、
     実は人間的に言ってかなり問題有りだったのでしょう。


     ・・・それは自覚しています。。


     あんな場に居合わせる事になるまでは(▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪)・・・本当に、 
    そこまで真に迫った情欲の目で西住殿を見つめたりなんて・・・





     絶対・・・




             ・・・いぇ。きっと・・・?;



                     あんまりありませんでした;






     さて、私がここで挙げる事になる"あんな場"という
     経験談については二つ程ありまして・・・・





     まず一つ目が、そんな未知の感情を静かに目覚めさせる・・・







     ―――――といいますか、前々から心にあった疑問を
     芽吹かせる"きっかけ"に過ぎず・・・






     ――――二つ目に挙げられる経験は・・・






     まさしく、私を・・・そっちの道(▪▪▪▪▪)にたたき落とすのに十分な
     破壊力、殺傷能力共に申し分のない威力を有していました・・・・



     もう・・・ここまで"それ"に興味を抱いてしまった私は・・・
     一度その禁忌の底まで傾倒して見ないことには・・・・・

     普通の人がおちる恋に焦がれるような
     普通の道にはおそらく進めない事でしょう。


     それだけの衝撃が・・・偶々私が知ってしまった事実の中には
     詰まっていました。



     まるで敵地のトーチカを容易く吹き飛ばす高射砲のように・・・



     "あのお二人”が誰に気取られることもなく
     交わされていた蜜月は・・・。。



     私の脆弱な一般論などという薄っぺらな装甲を、
     容易く吹き飛ばしてしまいました。





  8. 8 : : 2022/01/16(日) 23:29:18








     この感情の発火点を紐解くにあたっては・・・
     まず一つ目の出来事から説明しなくてはなりません。


     その発端は・・・・―――――今この時より
     少々の月日を遡ります。


     いつも行き慣れた大洗の戦車喫茶ではなく、
     少し趣向を変えて、都会に新たにオープンされた
     戦車用品店へと散策の足を延ばす為、とある都心部を
     訪れた時のことです・・・・・






          ―――――都内・某繁華街周辺―――――







    「(茨城から出てこんな町中まで戦車用品を
     見て回る機会は最近ではめっきり減りましたが・・・

     たまに来てみるとなかなかどうして新しい発見が多くて
     大戦果でしたねぇ・・・・///♪(ホクホク)」ダイダゲキ!



     今や高校在学中の女子のみならず、全国的にも
     大きな盛り上がりを見せている戦車道。

     私にとっては、例え有志の方々が自身の趣味で
     ファインダーに納めた写真のみであっても
     大変貴重なお宝となり得ます。


     それらを物々交換するための交流の場としても解放されている
     戦車道用品店としては都内有数の品揃えを誇るチェーン店の一角・・・
     "せんしゃ倶楽部"を後にし、駅に向かう道中の事でした。






    「なんと言ってもあのマニアックすぎる品揃えもそうですが・・・
     地下階まで降りるともはや連盟認可もギリギリ下りてない
     キワモノすら陳列されているアングラっぷりが
     また堪りません・・・////
     
     ぉ~~~ヨシヨシ・・・・・・・///  ...!」ピクッ





     その日手に入れた新たなコレクション達を
     電車に乗るまでの辛抱もできず、しげしげ眺めつつ
     表情を緩ませる事に終始していた私の目に・・・・



     ふと、後方から私を追い抜いていく
     一組の女子の姿が捉えられます。
     後ろ姿ですのでそこから推察するしかないのですが・・・


     ・・・高校生でしょうか。きっと歳の頃は
     私とそう変わらない感じでした。当然見たことのない
     制服を着ていましたが、ここが都心部で、
     なおかつ駅が近いことを考えるとこの辺りに通っている
     学生であると断定するにはまだ判断材料が足りません。







    「~~~~でも、ホントにあんな偶然格安で
     積み替えてくれるなんて話が出てきて良かったね!姫!」




    「時の運、人の巡り合わせを手繰り寄せるもまた将器の内ぞ。
     それもそうと鈴・・・ここまで我が食い下がろうと未だ
     すね様の旗印の件、まかり通らぬと断じる也や?」オヨョョ・・・///





     片方の御方はとても大きなリボンを頭に乗せています・・
     あまりにもデカすぎるので・・・コスプレかなにかでしょうか。


     ・・・もう片方の御方は肩から背中に余裕で掛かる茶髪と、
     もみあげに当たる部分が特徴的な外ハネをして居られます。






    「却下なモノは却下ッ・・・・って買ってきたのソレ!??」ギョッ
     イチマンシタデショ!?!!


    「ヨイデハナイカ・・・・、此度の換装費も我が方持ちであるに...」
     ブゥブゥ・・・・////




     片方の方は後ろ姿だけ見ても、
     その茶髪と腰に回したカーディガンなどから来る印象で、
     いかにも今風な"女子高生らしい女子高生"の出で立ち・・・
     ・・・・なのでありますが。


     もう一方の方は―――――、なんと言ったらいいのでしょうか、
     非常に耳によく通る精悍な声であると同時に、
     古風というよりも、やや芝居がかって聞こえてしまう程
     特徴的にして徹底したその古風な喋り方を聞いていると、
     どうしても"身近な方々"を重ねてしまいそうになります。



     しかし、私がその「2人」を目にして、
     ここまで意識を集中させた理由はそれとは別にありました。



     というのもその二人は・・・・




     当然、私以外の疎らな人の往来もある通りの中・・・・




     至って何を臆することもない様子で・・・堂々と。





           各々「手をつないでいた」のです。




  9. 9 : : 2022/01/16(日) 23:32:31





     ーー分かります・・・ぇえ、相手が異性でなくたって
     誰かと手を繋いで歩くというのは・・・見方によっては
     何もおかしな事では無いのかもしれません。





     しかしながら、ここであえて私の見解も
     皆さんに一考していただきたい。



     その相手が(▪▪▪▪▪)姉妹、親族などの括りに入らない同級生だったと仮定して。


     大勢の人が居る前を歩く際・・・・
     特に何か会話を交わしたり、談笑するでもなく・・・
     平静な顔で、かつ3人以上の複数形でなくツーマンセルで
     御手々を繋いで歩を進めるというのは・・・



     果たして、本当に何の変哲もない、
     "普通のお友達”の範疇に収まる進軍陣形と
     判断されるものでしょうか?



     無論、この時の二人に関しましては
     談笑やそれに付随するやりとりもあったので
     この例えに該当するパターンとは言えませんが・・・




     わたしはその、あまりに堂々たる身振りと歩調で
     自らの愛馬(パートナー)を誇示するかのような潔さに
     感服すら覚え、しばしその場に呆然として
     立ち尽くしてしまった程です。



     その手で紡がれた後ろ姿には・・・
     明らかに只の友人同士などには見えないほど、
     強い、強い絆が・・・・それこそ主君とその従者と述べても
     過言ではない"繋がり”が感じられました。



     ・・・・なんて、
     これだけほんの僅かな間、それも後ろ姿しか見えなかった
     人達の人となりを幾ら何でも過大解釈しすぎですかね。。



     ・・・でも、確かにその御二人には
     私のそれまでの常識を揺さぶるだけの・・・"何か"を感じたのです。
     それだけは絶対に間違いがありません。




     その時を境に・・・私の内にも"その感情"は静かに・・・
     それでいて熱くくすぶり始める事になります。




     ――――抑えきれない好意の前に・・・性別という稜線は
     さしたる問題ではない、という衝動に。。。




     段々と歯止めが効かなくなっていきました。






     さて、こうなってしまったからには私の内なる
     原風景を支配するのは当然ながら西住殿の存在のみと
     なってしまいます。



     元々は戦車道を通して羨望の眼差しで
     見つめていた西住殿を性的な目で見るようになるまで
     何らかの苦悩や逡巡などを抱くことも特には無く・・・



     まるでそうなるのが当然だったかのように。



     少し前までポーランド軍主力戦車などによって埋め尽くされ、
     同時に統治されていたはずの私の精神世界が・・・・

     突如15メートル級に巨大化し、大挙して押し寄せた西住殿の軍勢に
     圧倒的武力弾圧でもって地ならしをかけられるのは
     まさに一瞬の内の出来事で・・・



     ・・・もう既に妄想だけで西住殿を想うのにも
     限界を感じ、近く迫る世界の崩壊を―――――



     理性という城壁の決壊をも悟っていました―――――・・・・






     ―――――どうすれば・・・・・?




     ―――――一体どのようにすれば私が西住殿と並んで・・・




          あの日のお二人の様に手を取り合える未来は
              やって来るのでしょう?





  10. 10 : : 2022/01/16(日) 23:36:47







     常にそればかりを考えていた私では有りますが・・・





     当然、客観的に自分がどんどんアブない感情に走っているという
     自覚も生まれてはいました。





     しかしそれでもやはり西住殿の事は諦めきれません。





     このままではどんどん西住殿に対する依存が深まる事になり、
     いよいよ本格的なストーキング入門も待った無しかと
     慄いた私は・・・その捌け口をひとまず
     "物体"に向ける事にしました。





     即ち、合同練習後、皆さんが撤収して暫くたった頃、
     メンテにあたる自動車部の方々、その他諸々の誰もが
     倉庫内に残って居ないのを確認してから、
     気配を殺しつつ単身Ⅳ号戦車へと舞い戻り・・・・




     普段西住殿が腰を預けているクッションへと顔を沈め、
     鼻孔経由で西住殿成分(※通称ミポリン)を直接吸引する事によって
     自らの過剰な発憤の鎮静を計るという・・・・




     名付けて・・・クンクン作戦...!!(あなた(わたし)・・・最低です....!)
     これによって、もし万が一現場をおさえられよう物なら
     間違いなく西住殿からはもちろんの事、Aチームの皆様方
     全員から絶対防衛線を敷かれてしまうこと確実なリスクと
     引き替えに・・・・私は日々なんとか正常な自我を保っている、
     そんな有様でした・・・・・、、






     ええ、みなまで言わずとも分かって居るんです。
     私の没頭しているこの行為が如何に常軌を逸した、
     変態と蔑まれても文句が言えない奇行であるかという事は。





     ・・・しかし、こうでもしないことには・・・
     きっと私の煩悩の矛先は、"直接"本人に向いてしまうことでしょう。




     それだけは、何をどうしても避けなければいけません。
     全国大会に勝ち抜く事でしか我々に道はないと言うのは
     今日初めて知ったことですが。。。






     大会を控えたこの大事な時期に問題を起こす訳にいきません。






     そんな建前も私の奇行を後押しする言い訳となり、
     その日も、いつもの日課である鎮静剤投与を行うため
     Ⅳ号戦車へと勇み足で乗り込んでいった私は・・・・・




     西住殿の残り香という自身の目標を失念させるのに十分な・・・
     衝撃の現場に居合わせてしまうことになります。。




















         ―――――放課後・Ⅳ号戦車車内―――――







    「(あぁ・・・今日もなんてかぐわしい香り・・・

     どうしてこう・・・同じ洗剤、同じ柔軟剤を調べ上げて
     使用したところで・・・私自身とは全く違う香りを
     纏っておられるのでしょう・・・)」スウ・・・ハァ...
     ニシズミドノ・・




     その日は特に発作がひどかったと思います。
     なぜか練習中の西住殿の様子が少し普段より冴えていない
     様子というか・・・我々の問いかけにワンテンポ遅れて
     返事をする機会が目立つものでしたので、
     私も、勝手な思いこみに拍車がかかってしまって居たのでしょう・・・



    「(ぁあ・・・・・!
     西住殿といえどやはり、理性で行動できない
     日はお有りなんですね・・・///!

     そんな日(▪▪▪▪)の鬱屈にも凛とした態度を崩さない西住殿・・・・///
     素敵です・・・!)」スンスンスン/////




  11. 11 : : 2022/01/16(日) 23:41:45




    「(ハッ・・・、今私、とんでもない事に気付いてしまいました・・・
     こうして態々練習後、人目を盗んで戦車に乗り込まずとも・・・


     この、武部殿がホームセンターで買い揃えたクッションと
     同モデルの物を自身で工面すれば・・・(フワフワ)毎回すり替えるだけで
     自室でゆっくり西住殿を堪能し放題・・・・・!??)」
     アクマテキ・・・ッ!アクマテキ ヒラメキデス・・!




    「(私は犯行発覚のリスクを下げることができて・・・
     西住殿は常に清潔な敷物に腰掛ける事ができるという・・・
     これこそまさにwinwinなカンケ・・・・・!!?,,  、



     ・・・・などと至極どうしようもない事に鼻息を荒くする
     私の感覚の中で・・・今最も手薄だった"聴覚"が、
     一つの異常を察知します。




     ーーー、、、っ・・・・ーーーーーー




    「!!?!??????(ぉ....音ッ!!???)」ビクンッ!!!!
     ガタッ!!




     私の全身に微熱を循環させていた血流は
     どこへ消えてしまったのかという勢いで・・・
     



     ―――――瞬時に顔面の血の気が失せました。




     当然、いつかはこんな事になるかもと
     覚悟していなかったワケでは有りません・・・・

     ただ、やはり発覚の危機が間近に迫るとなると
     前もって用意していた打開策も・・・・何もかもが頭の中から
     ホワイトアウトしてしまうものです。




    「(ぉっ・・おちつけ秋山優花里・・・・!!
         素数を・・・・素数を数えて落ち着くんだ・・・!!!!
       2,,,3・・・・・5・・・な、、、なな・・・・;;;

     こんな時どうするか・・・・、、そ、そうです・・・・・!
     練習後うっかり疲れ切って戦車の中で寝入ってしまった体で
     狸寝入りを決め込む・・・・スヤスヤ作戦で・・・・・!!!!)」ガバッ↓↓



    「・・・・・・・・・・・・・・・―――――」




     西住殿愛用クッションに顔を埋め、沈黙を守りながらも
     聴覚感度を最大限に引き上げ、静止する私でしたが・・・・、、




    「(な・・・なんですか・・・・?先ほど聞こえた気がした声・・?
     の様な物が・・・今は全く・・・・)」ドキドキドキドキ



     私自身の心臓が煩さすぎて、暫くの間
     私の耳が、何らかの物音を拾うことは有りませんでした・・・・。

     しかし、再び西住殿を吸引する事によって落ち着きと
     冷静さを取り戻し、鮮明な色彩を感じる事ができる様になった
     私の世界は・・・・






     この場で最も聞いてはならない"音声"を拾ってしまいます。










         「    ふぁっ・・・・・ッ!!、、ァッ・・    」







           「             」ピタッ




     ―――――――それはまさしく・・・疑いようもない







    「に・・・・にしずみ・・・・どの・・・・・・・・・!!??」ガタガタガタ・・・・






     今、この時点での状況認識では、最も聞きたくなかった・・・





     後に、この状況を正しく理解できる頃には
     すぐさまⅣ号戦車から降車し、この声の発生源となっていた
     車両に張り付かなかった事を死ぬほど後悔する事になる・・・・






     ―――――――私が最も敬愛するその人の嬌声でした。







  12. 12 : : 2022/01/17(月) 00:10:10





    「(イヤ゙・・・・嫌だ・・・嫌だ・・・嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ・・・・・・!!!!
     嫌ですッ・・・・!!!!西住殿にこんな所を見られてしまえば・・・

     私は間違いなく悶死してしまいますッ・・・?!?!お、お願いです
     どうか、どうか・・・・・・・・!!!!)」ブルブル・・・・ガタガタガタ・・・・





     冷静に考えてしまえば、私はただ西住殿の私物を
     汚して居たわけでも・・・その場に何か言い逃れのできない
     物的証拠を残すような犯行に及んで居た訳でもありません。




     当初講じていた狸寝入り作戦で十分その場はやり過ごせると
     タカを括るのが本来で有れば正常な思考なのですが・・・・




     当然、当時の私はそんな判断にたどり着ける程
     冷静ではありませんでした・・・・。




     最悪の発覚をおそれ、全てを拒絶するように沈黙に
     ふさぎ込む事数分。。。






     ――――後に、この数分にも満たない恐慌状態に支配された
     沈黙の時間に・・・・肝心の西住殿の声の出所と、




     その声の発せられていた理由として、
     "そこ”で何が行われていたのか・・・・それを
     正しく知ることになった時。








     ,,,,  ガコンッ・・・・・・・・  、、、カツッ








    「    !!!!!!(この開閉音.....!!)」






    「ほぉ~ら、西住ちゃ~ん??足にキてるのは分かるけど
     さっさと退散しなきゃ~☆誰か来ちゃったらどうすんのさ=///」
     ットトン、、 カツッ・・・




    「か、、会長も・・・・そういいながら、
     シカの赤ちゃんみたいな足取りですよ...///;
     大丈夫ですか・・?肩をお貸ししなくても、、、?」
     トッ・・・トン・・・トン・・・







           「              」







     肺の中の酸素が全て消えてしまったような感覚に、
     私はただ・・・誰も見ていない暗闇の中、口を開け放つ事しかできず、
     たった今聞こえた二人分の会話から、
     事ここに至るまでのおおよその推測を高回転で組み立てる
     脳の稼働に追われ、唖然としているのみでした。







    「しっかし、西住ちゃん~最近日に日に上達してなぁい~??
     危なく2回くらい白旗あげそうになっちゃったカモ~☆」





    「会長、フリ(▪▪)が上手なのでわかりづらいんですけど・・・
     三回くらいきわどいのあったような気が・・・;」






    「ぶっぶ~~♪実は一回もイってませんでした~!!





     ・・・って言ったら信じる?」ウン?






    「会長が本当だって言うなら・・・信じますよ私は//
     フリでもなんでも、喜んでもらえるなら、それだけで
     嬉しいですから」
     ハイ。





    「・・・そ・・かっ、、、、今日も愉しかったよ、、
                                    (ありがとね)








     お二人のこのようなやり取りは倉庫を出るまでに
     交わされた会話内容のみ聞き取れましたが、
     西住殿が角谷会長へ返した言葉を最後に・・・・

     それに確かに応じて返された会長の言葉だけは聞こえませんでした。





  13. 13 : : 2022/01/17(月) 00:16:44







     ガッ・・・・・チャンッ・・・・     カッ・・  コッ・・・・・







       ガコッ・・・・・・








    「・・・・・・・・・・・・・・・・・(そ・・・そんな・・・・)」








     大凡の状況を掴み、ひとまずは車外に出ても安全であると判断し
     キューポラから半身を乗り出し・・・・


     茫然自失としながら倉庫天井を仰ぐ私。








    「(に・・・西住殿・・・と・・・・か、会長・・・が・・・・・????)」
     ブルブルブル・・・・・・・・







     全身に走る震えは、留まるどころか勢いを増していきます。







    「そんな・・・・そんな・・・・・・・!!!!」
     ガクガク・・・・






     "なんで?"、だとか、"どうして?"といった・・・・
     この場で当たり前の様に沸き上がるであろう疑問の言葉は・・・・



     不思議と私の中には皆無でした。



     そうです、私の全身を揺さぶっていたのは―――――







     ―――――受け入れ難い・・などでなく


     ―――――受け入れたくて仕方がない(▪▪▪▪▪▪▪▪)程に待ち望んでいた・・・








         \コロンビアァァァァ\(^ω^)/ァァァアアアア!!!!/

    「(ヒャッホォォォウウ!!!!最高だぜえぇぇぇ!!!!!!////(小声))」
          









     衝撃の事実発覚による底知れない希望の光でした―――――・・・・






    「(どのような経緯あっての事かはさておき・・・!

     今のやり取りを聞く以上・・・少なくとも。

     ぇえ、少なくとも(▪▪▪▪▪)両者合意の上での密会であった事実.....!!
     これについては疑いようが有りません・・・・!つまり!
     
     つまりこれが何を意味するかと言うと・・・・!!!?)」




     西住殿は・・・・両刀使い(ソッチもいける).......!!!!





     なんと西住殿まさかの双砲塔型確定のお知らせ,,,,!!

     ただそれだけの事実に私は・・・・

     時間を忘れ、Ⅳ号戦車の上で静かな雄叫びをあげるのみでした。

     その雄叫びとは・・・・



     永遠に叶わぬ望みと思われていた、
     行く先も何もない細く危うい桟橋が・・・・




     実は思っていたよりも強固かつ、頑丈な作りになっていて、
     更にその先にはちょうど乗り付ける為の船まで来ているという・・・
     正に渡りに船としか言いようのないこの状況に対する
     歓喜の雄叫びでもあり・・・・





    「(ぁああああぁぁぁ↓↓↓

     そうとわかっていたなら・・・・!!

     そうとわかっていたなら、、、一か八か
     あの場で吶喊してあわよくば一緒にお愉しみという
     選択肢もあったのでは・・・・・・・?!??)」
     ワシャワシャ・・・・!







     止めどない悔恨の叫びでもありました・・・・・





  14. 14 : : 2022/01/17(月) 00:22:32




    ―――――――――――――――



    ――――――――――



    ――――――


    ――――


    ――













             ―――――洞穴―――――








     ・・・・・といった具合にですね。






     つい先ほど西住殿と会話を交わす間も、
     常に目の前の敬愛すべきお方の知られざる顔を想像しながら
     内心だけで悶絶しながら、一字一句会話のやり取りを
     (たの)しむというのが・・・最近の私の密かな楽しみだったのでありますが・・・。



     なぜ、今この場でこうした追憶に想い耽っているのかと
     問われますと・・・・何でなのでしょうかね・・・・








    「しかし・・・地域が違うだけで凄い荒れようだな。
     これだけの吹雪は地元じゃ滅多にお目にかかれん。

     ちょうど良い避難場所があって助かったが・・・これでは
     偵察どころじゃない」ヤレヤレ・・・・




    「はぁ・・・・・。。。」





     きっと・・・普段と異なるこの状況で、
     それも特段他の同性よりも付き合いの深い方と、
     こうして行動を共にしているからでしょうか・・・・。





     松本殿・・・・もとい、エルヴィン殿とは
     同じ2年の間柄で・・・戦車道チーム発足からの
     付き合いではありますが・・・・そのほとんどが戦車そのものに
     興味はおろか、さしたる知識を持ち合わせていない女子で
     構成されるチームの中で・・・・数少ない同好の士でもあることから
     すぐに打ち解けることができ、今となっては
     あんこうチームの方々に次ぐ、私の心の支えといっても
     過言ではない掛け替えのない趣味の友人です。







    「・・・どうしたグデーリアン?
     流石にスカートでは冷えるか・・・・?私のジャケットでよければ
     膝掛けに使うか?」ダイジョウブカ?




    「はっ・・・?!ぁア、いえいえ!!
     ちょっと考え事をしてまして・・・^;」
     スミマセン





     ご覧の様に、トレードマークのジャケットも野戦帽も、
     奇をてらうためだけに身につけているのではなく
     趣味のためにはどこまでも一途になれる・・・
     実際心根の優しい誠実なお方です。




    「しかし・・・本当に困ってしまいましたねぇ・・・
     私戦車から出てくるときも流石に西住殿からは
     反対されると思い、咄嗟にお手洗いを我慢できない折りを
     伝えようとしたのですが、建前で口にした意図を結局
     汲んでもらえませんでしたので・・・

     あまり長引くと、相当自分自身との戦いに
     苦戦してるのではないかと・・・余計な心配を
     させてしまうかもしれません・・・・(溜息)」ハァ。。。



    「・・・なんと。
     そんな事情がな・・・・。

     しかし、あの状況では単に斥候にでると言っても、
     万一を考えて認められないのは明らかだ。
     西住隊長の性格を考えても・・・な。

     それにこの荒れようでは流石に身動きも取れん。
     私達の帰還を待たずして状況を開始する事もないだろう。

     時間には・・。。。まだまだ猶予がある。
     ここはおとなしく待ちに徹しようじゃないか」ッハッハ。





     こうして接していると・・・
     本当に頼りがいのあるお方です。
     カバさんチーム中、おそらくエルヴィン殿が最も
     車両関連の知識に関しては高いものを持っていると
     認識していましたが・・・

     そのエルヴィン殿本人が、陣頭指揮をとるのではなく、
     なぜか同チームの司令塔は
     カエサル殿が任されているという点からも・・・・
     

     Cチーム・・・もといカバさんチーム内での
     互いの思慮深さと絆の深さを実感できる様な気もします。




  15. 15 : : 2022/01/18(火) 00:28:30





    「そう・・・ですね。ここまでの荒天ですと・・・
     我々の現在の装備では流石に身を隠すにもうってつけ、
     とは言い難いです(苦笑);」


     流石に・・・防寒ジャケット仕様で臨んでいるとはいえ、
     下はスカートなので、一つ所に落ち着いてしまうと
     この身を縛る極寒を無視することはできません。






    「...~ゆき~の進軍、氷を踏んで、
     ど~れが河やら道さえしれず~・・・・・・
     


    「・・・・・、、!」



     トンッ・・・





     ・・・と、少々気弱になっていた私に肩を寄せ、
     防寒着の上から羽織っていたジャケットを隣り合った背に
     かけながらエルヴィン殿が口ずさみ始めたのは・・・

     遠い昔・・・いまから120年くらいは昔に、とある軍楽隊員が
     我が国の軍人の心理情景などといった内面を忠実に、
     善し悪し含め、「忌憚なく」描いた歌でした。





    「うま~はたおれる すててもおけず
      こ~こはいずくぞみ~なてきのくに♪」




     私も、既にその歌の歌詞を見知っていたので
     つられて歌い出します。
     相変わらずの猛吹雪で身動きが取れず、狭い洞穴の中で
     無視のできない寒さに打ち震える中でそうして
     二人寄り合って歌っている内は・・・



     本当に、なんだか寒さを忘れる事さえできました。






     ・・・しかし、「忌憚なく」という言葉を
     特筆してあげた事からも分かります様に・・・
     「軍歌」という括りの中では、少々異例でもある
     軍批判と取れる内容もあってか・・・
     現在に伝え聞く歌詞の内容には実は改訂前と、
     後の物が混同しており・・・・・












    「どーおせ生かして還さぬ(▪▪▪▪▪▪▪)t,,,,
    「どーおせ生きては還らぬ(▪▪▪▪▪▪▪)つも,,,,



             「ん???」
             「・・おや?」


     二人揃えてここまで危なげなく同調していた歌詞に、
     ここでようやく齟齬が生まれました。



    「エルヴィン殿ならご存じかと思っていましたが・・・
     ・・・改訂後派でしたか」フム






    「いっ・・・いやいや、流石に知って居るとも。
     大東亜戦争で歌唱が禁じられるよりも前に・・・
     ・・・軍批判ともとれるのマイナスイメージを避ける為,,,だろう?



     士気の高揚とはかけ離れた内容だからな・・・
     仕方がないと言えばそうだが・・・・・しかしこちらも驚かされたな。
     同志グデーリアンの人柄ならきっとこっちでは・・・と思っていたが」






    「そ、そうでしたか・・・・、流石にご存じですよね;

     いえ・・・なんていうか、私にとっては歌詞に込められた内容に
     感銘を受けてとか・・・共感を抱いて・・・みたいな、
     そんな大それた理由があるのではなくて・・・ただ」







    「・・・・ただ?」








    「その時代に、最も皆さんに愛して唄われたそのままを
     唄いたいと思ってそうしてるだけで、、。

     なんというか、うまく言えないのですが・・・
     作り手の意志が介在しないところで改変されてしまった唄では・・
     なんだか替え歌の様な気がしてしまってですね」






    「なるほど・・・・・それもそうか」






    「・・・でも、確かに唄を口にする上で、
     イメージって大事だと思う心もあります。

     ので・・・
     やっぱりここはエルヴィン殿にならって、改訂・後で、
     いきたいと思いますw;」






    「ははw・・そうだな。
     西住隊長の命で偵察にきているといっても
     間違いではない身の上で、流石に"生かして還さぬつもり"
     というのはイメージに反している」


  16. 16 : : 2022/01/18(火) 00:31:09






    「そ、そうでした・・・あの、エルヴィン殿・・・・?」
     オソルオソル






     クツクツと笑いながら仰るエルヴィン殿でしたが・・・

     冗談半分で口にされたその名前は、今の私にとって
     鎮火方向に向かっていた感情の点火スイッチにしか
     なりませんでした。






    #####################






    「・・・・どうした?同志グデーリアン・・・?」





    うつむき加減でおそるおそる伺うようにして自らのソウルネームを
    呼ぶ優花里に、大きな話の流れの転換を感じ取ったエルヴィン。





    「何か・・・聞きづらい事なのか?その様子だと」





    しかし、そんな優花里の様子を察して尚、
    彼女の問いかけに身構えるようにはせず、あけすけな態度で
    即応する対応に少々面食らったのか、、






    「え・・・・?まだ何も言ってないのに・・何故そんな・・・・?」






    問いかけようとした優花里本人が、思わずキョトンとしてしまう。





    「聞くまでもなく、疑問系で名前を呼ばれたらそれは
     大抵質問につながるものだろう?その様子をみれば・・・

     私に対して聞きづらい事か、もしくはあまり人前で大きな声では
     話したくない事だとか。それくらい想像するのは容易だ」フッフン





    「さ・・・流石です・・・っていうかそれしかないですよね・・・
     普通に考えて;」






    「伊達にルームシェアしていないからな。

     これで結構あの曲者三人と私生活を共にしてる経験値からくる
     人心把握術は、我ながら信におけるものだと自負している。」





    「・・・・・・」






    「・・・・と、まあ、なんだ・・・・。
     こんな事を大まじめに、面と向かって言うのは得意でないが。

     このチームで知り合ってから日が浅いとは言え、それでも
     我々は趣を共にする同志だ。他言してほしくない事なら
     決してその約束を破ったりなどしない。

     ・・・だから、それが私なんかで力になれるような質問だというのなら・・
     遠慮せず何でも聞いてくれ。同志グデーリアン。」フフッ






    質問の内容如何も聞く前にして、
    たどたどしく言葉をつなげる優花里が自らに聞こうとしている
    質問内容が、何か真剣且つ非常に聞きづらそうな
    話題であるのを察してか、その様に促すエルヴィン。


    彼女が述べるように、二人が知り合ったのは戦車道履修組として
    行動を共にするようになってからであり、決してその仲は
    旧知の間柄と言えるほどのものではなかったが・・・



    そんなことは気にするなとばかりに自らの胸を貸す意向を示す。







    ##########################


  17. 17 : : 2022/01/18(火) 00:32:30








    「っ・・・・ぇ、エルヴィン殿・・・・」





    「(とは言ってみたものの・・・。いったい何の相談だ?;
     感じからして恋愛方面の相談かと思いもしたが・・・


     流石に大洗女子(ウチ)ソレ(▪▪)は・・・いや・・・まさか、西住隊長に・・・・?


     いやいや・・・早合点はよくない。ひょっとすると無難に・・
     あまりにマニアックなところまで掘り下げたミリオタ談義という
     可能性だって・・・・)」





     ・・・言ってしまってから、内面では結構な思案に頭を抱えていた
     私だったが。。そんな私に差し向けられた次なる一言は・・・
     めまぐるしく移り変わる自身の思考を急停止させ、、、







    「では、あのーーー・・・・・






     直後、それまで以上に急遽高回転で加速させるものだった。






    「ど・・・同姓同士で肌を合わせたりとか・・・身を寄せ合うのって
     ・・・・・どんな感じというか・・・・やってる本人達は・・・
     どういう気分だと思いますか??///;」







            「   (´・ェ・`)はぇ  ?」






     咄嗟に私の口から出てしまったのは・・・ご多分に漏れず、
     以上のような疑問詞にすらなっていない、ただ・・ただ、間の抜けた声。






    「っっえ、、、あ・・・・・!!!いえ、そ、そのですね!!
     す、すみません突然変なコト聞いて!!???????
     
     ちっ、、違うんです!!??わ、私はそんなんじゃ」
     ブンブンブン!!!!!






    「(ま、まずい!!!!!!つい!!)」
     ビクッ




     言ってしまってから・・・腹の底から、しまった!!!
     

     ――――と叫びたかった。
     秋山さん・・・もといグデーリアンと私の仲に、隠し事など要らないと
     大見得切った直後にこの失態だ。

     彼女を見ればイヤと言うほど分かる・・!せっかく意を決して
     問いを投げてくれたというのに・・・私がどれだけ意表を突かれたか
     計りかねて、咄嗟に前言撤回している・・・・だけでなく、
     私に妙な誤解を与えまいと必死の釈明に入ってすらいる。



     ・・・しかし裏を返すなら、その反応から察するには・・・



     つまり彼女が私に聞きたかったコトというのはそういう(▪▪▪▪)コトなんだろう。、

     だが・・・ここは意表を突かれた反応を活かす意味でも・・・!




    「まてまて!、す、すこしストレートに捉えすぎて
     面食らってしまっただけだ!!決して引いてなんかいないぞ!!うむ!;

     別にそんなことはない!」ウンウン



     その質問を受けて"私がどう思うかはさておき"

     まさか彼女の口からそのような趣旨の言葉が紡がれる等とは
     思いもしなかったから、やはりそれは驚いたが・・・
     とにかくこの流れのままに話題が寸断されないようにまず、、、、!


    「そ・・・・ぅですか、、?いえ、すみません、私もいきなり
     直球すぎる聞き方をしてしまって・・・・」オドオド



     ょ・・・・よかったぁぁ・・・・!;(心の溜息..)
     こんなコトで折角できた大事な同好の士(ミリ友)を失いたくなど無い・・・・


    「ああ、べつにグデーリアンの質問はおかしくも何ともない。
     ・・・・()に有るとおりだろう?」





    「へ・・・・?う、唄・・・・ですか??」キョトン




     そう・・・!先ほどまで唄っていた歌詞でさりげなくかわしつつ
     変化球で返す・・・・・!まずはこれで・・・・!



  18. 18 : : 2022/01/18(火) 00:35:59





    「ぁ、ああ・・・!今このときだってまさにそうだが・・・
     あまりの寒さに耐えかねて、敵に見つかる危険性を天秤に掛けて、
     それでも、"堪えきれない寒さの焚き火"と唄ってしまうほどだ・・・
     そのような極限状態において貞操観念や一般常識など二の次だ。


     低体温症で命を落とすくらいなら、同姓の兵士だろうと
     身を寄せ合い、暖を取るというのは別におかしいことでも・・・
    「いえあの・・・救命措置(そういうの)とかではなく・・・割とガチな・・・性的(あっち的)な意味で・・・
    お聞きしたの、、ですが(真顔)」




    「・・・・・・・・・・・・・・・」







           ド 直 球 じゃ な い か ! ! ! ! !






     ・・・今度は面食らうこともなく、一瞬だけ無言で思案する僅かな
     時間に、心の中で絶叫した・・・。。




    「な、なるほど・・・グデーリアンの聞きたいことはなんとなーくだが・・

     うむ、分かった・・・・!;し、しかしそれを正確に捉えた上で
     私からも聞きたいのだが・・・



     ・・・・何故私なんかにそれを尋ねてくれたんだ?」





     "そんな、相手次第ではその後の交友関係すらブレかねない
     危険な質問を・・・"、とまでは続けなかった。
     嫌悪感を与えず、且つ親身になっている気持ちを伝える為にも
     慎重に返す。偽りなどない本心でだ。



     グデーリアンだって、私に問の答えを伺いたくなるほど
     困っているからこうしてとても聞きづらい事を、
     意を決して聞いてくれているんだ。



     そう考えればこそ・・・嘘偽りなんてこの場に必要ではない



     ともすれば・・・逆の立場で考えたら、
     否応無く距離を取られてしまうのを恐れて、私なら
     まず踏み出せないような一歩を踏み出してくれた信頼を・・・

     グデーリアンの信頼を無下になどできない。




    「それは・・・その・・・

     先ほどエルヴィン殿もおっしゃってたとおり、
     杉山殿と、野上ど..っ、、

     ぁ、いえ!
     左衛門佐殿とおりょう殿、それにカエサル殿の三人と
     同じ屋根の下で暮らしていると言う事でしたから・・・・」





    「事でしたから・・・・?;」ダラダラ...





    「ひょっとして、私生活を共にする中で、少しくらいそんな風に
     互いを意識する時もあったりするのかなーー、、などと・・・;」




    「ンないない!!! ぜっ、全然そんなこと無いぞ!今の所!!!」
     ブンブン!!



    「そ・・・そうですか・・・・!いえ、もしそうだとしても
     わたくし、決してヒいたりなどしませんが!」ウンウン




    「(ひょっとして秋山さ・・・・否、、、グデーリアン・・・?;;;)
     ゴホンッ・・・


     ま、まあその・・・なんだ?ここから先は私からも
     完全部外秘で頼むが・・・

     我々三人も、趣味が趣味だから・・・・ホラ、な。。
     幕末物、戦国物、戦時中物でそれぞれそっち向けの
     二次創作などをネタにして・・・ハ、はっさんシたりとか・・・///
     そう言うこともあるから;・・・・・互いにそういった(▪▪▪▪▪)時間を取る為に
     家の中に常に一人だけで居られる時間を設けたりしているわけだが・・・

     そういう事情を互いに把握していても、それで直接互いで
     ナニかしようってなった事は・・・今まで一度もないんだ・・・

     ち、誓って嘘は言ってない・・・・;/////」ググ・・・





    「・・・・・・・・・・/////、、!」





     若干ぽかーんとして、開け放たれた口と、
     昂揚で朱に染まる頬・・・そしてビー玉のような目から放たれる





     "なにもそこまで洗いざらい白状しなくても・・・・!"





     といわんばかりの視線がとても痛い!!

  19. 19 : : 2022/01/18(火) 00:41:02






    「えっ、、?うぁ、、、・・な、・・何か言ってくれ!??///
     勇気を出して言ったのに、これじゃ生殺しじゃないか・・・!」
     カァァァ,,,,







    「じゃあ、あの、わっ・・・私だって・・・、、
     西住殿の勇ましいお姿を想像して床の間で暴走気味に
     一人でナニかしてしまったこととかあるので・・・!
     こ、これでおあいこです!!!!?」ビクビク・・・・




    「(おおよそ想像通りなんだが、改めてなんの会話だこれは!??)

     ァあ――――・・・;(困)まあ分かっては居たんだが・・・
     グデーリアンは・・・・やはり西住隊長の事が・・・・・?」



     そうか、やはり隊長への恋煩い,,的な。



     きっとそうだと・・・、そうに違いないと、、



     この話の流れではそれ以外にあり得ないと。




     この時点では私もそう思っていた訳だが。





    「ぅ、ううん・・・・なんと言えばいいのか・・・

     そうとも言えますが(▪▪▪▪▪▪▪▪▪)そうじゃない(▪▪▪▪▪▪)んです,,,,」モジモジ




    「・・・・・???」





    「いましがたのエルヴィン殿のお言葉・・そのままお借りしますが、
     ここから先は私の方から完全部外秘でお願いしたいのです,,,」



    「ま・・まあもとよりそのつもりだ(ゴホン)。

     重ねて誓おう。我々の間にそのような不義など無いし・・・
     どのような爆弾発言も受け止める覚悟がある・・・。
     
     なにより私がグデーリアンに対して信用しろと言っているのだ。
     私がそれ以上の信用を示すのは必定だ。」



     外で吹きすさぶ吹雪がまだ弱まりそうもない事を、
     互いに横目で認め合い、尚も続く私とグデーリアンの密談。

     本当ならば早いところ敵陣の様子を伝えるため、
     急ぎ帰投したいところではあったが・・・

     彼女の神妙な面もちを見るに・・この話は、
     今果たすべき任と比べて見ても、それ以上に
     彼女にとって大事な事なのだと察することが出来たため、
     流石にこの場で話を切り上げようなどと言う流れには・・・
     



    「で、ではそのお心遣いに甘えて、
     続けさせて頂きます・・・・。。。実はわたくし先日、、、




     持っていけるはずもなかった・・・・・、、、






    ――――――――――――――――――



    ―――――――――――――



    ――――――――――



    ――――――




    ――







    「はあ・・・・、、、それはまた・・・
     にわかには信じ難い・・いや、受け入れ難いことだが」



     それからグデーリアンの口から語られた話の内容は、
     彼女の言葉をすべて事実として受け入れるつもりでいた
     私でさえも、驚きのあまり返す言葉に困ってしまうものであった。




     内容としては・・・単純に纏めるならこうだ。





     ”西住隊長が、大洗女子(ウチ)の戦車倉庫の中の、何れかの車両の中において、
     戦車道チーム中の「誰か」と、完全に「そうとしか思えない」
     情事に陥っているのを、偶々聞き及んでしまった"




     ・・・・との事。
     



     声だけ聞いてそうに違いない(▪▪▪▪▪▪▪)と確信できたあたり・・・
     それ(▪▪)は相当疑いようのない嬌声・・・の類だったんだろう。





     「それ」が、果たして西住隊長のものだったのか、
     「相手」のものだったのか・・・はたまた両者一様にそのような(▪▪▪▪▪)状態にあったのか。。





     当該車両を伏せている事実もあるし、
     流石に聞いていた当のグデーリアン本人は把握している筈だが、






     やはり、"誰が”とは言わなかった。






     それに関して言及できない理由についても、、




  20. 20 : : 2022/01/18(火) 00:43:29





    「すみません・・・。

     私が耳にしたのは、あくまで外からでは伺えない戦車の中で、
     どちらかがどちらかに強要するような形ではない状況で・・・

     その、,,,
     そういった(▪▪▪▪▪)やりとりがされていたという事実だけでして・・・、、

     に、にしずみどのがどういった状況であの方(▪▪▪)
     ああいう関係を築いていたのか・・・それが明らかになるまでは
     私の口からそれを他言してしまうのは・・・・」カタカタ・・・


     ―――と、いった具合だ。



     以上の様に、どうかご勘弁をという心境が端々から見て取れる
     彼女の様子に・・・それ以上の追求など出来ようはずもない。


    「もも、申し訳ないです!

     エルヴィン殿にはここまで親身になって聞いて頂いて、
     この場で包み隠すべき事など何もあってはならないというのも
     理解してはいるんですが・・・、、!;
     流石に、まさかあのお二人(▪▪▪▪▪▪▪▪)が・・・と衝撃を受けてしまった
     私の心境から考えても・・・これは流石にエルヴィン殿にも
     お聞かせしないほうが良いのではないかという気がして・・・」



     成る程・・・・そこまで言われては気になってしまうのが人情だが・・・
     グデーリアンがこう言うんだ。それはおそらく・・・・

     知ってしまえば、私自身の試合に臨む際の士気にも
     大きく関わるような・・・それくらい意外な相手だったという事だな。





    「グデーリアンがそこまで不安に駆られてるところを見るに・・・

     "相手"はそれほどまでに意外な人間だったのか?」フム・・・




     確認するまでもないが・・・一応聞いてみるか。


     実は・・・もう既に何か聞くまでもなく、
     もし、そうなるとしたらの仮定の上で・・・


     何人か、その候補を導き出せてはいる。



     グデーリアンの反応を見るに・・・・まずAチーム・・すなわち
     あんこうチーム内の誰かでないのはほぼ確定とみていい。


     何故か?
     難しく考えるようなことではない。
     自チーム内でそういった衝撃現場を目撃したのなら・・・
     私などに聞く前に、どちらか(▪▪▪▪)に聞くほうが手っ取り早い。
     西住隊長は・・・当人の事情こそ子細に伺ってはいないが
     砲手、通信手のあの二人(▪▪▪▪)に引き入れられて、このチームにやってきたと聞き及んでいる。



     そうなるまでの過程に・・・
     生徒会の干渉と少々の揉め事を交えたとも。


     つまりそれが何を意味するかというと、
     隊長は自身の意志のみで、我らが戦車道チームの門を叩いた訳では
     無いと言う事・・・・。


     それに加えて、度々突拍子もなく、破天荒な舵取りを
     行うことで知られる大洗女子(ウチ)の生徒会が、長年休止状態にあった戦車道チーム復活を決め、
     その人員確保に踏み出したあまりのタイミングの良さ。




     これらの事実を判断材料にあげるならもうこれは間違いなく・・・・

  21. 21 : : 2022/01/18(火) 00:46:12






    「ぇえ、・・・それはもう意外でした・・・

     あまりに意外すぎて・・・だから、最初はどちらかが
     強要してるんじゃないかと思って(▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪)・・・・・・」オドオド




     グデーリアン、、「どちらかが」とは言うが、
     西住隊長の人柄を考えたら、それはまず無いだろう;


     いや・・・まあ、あの(▪▪)西住隊長が、よもや戦車の中という
     閉塞空間内に於いて、普段の物腰とまるっきり異なる強硬姿勢で
     その"相手"に差し迫っていったというのなら・・・
     それはそれで(▪▪▪▪▪▪)グデーリアンにとって払拭できない更なるトラウマの種となった事だろう。

     ・・・しかし、今されている話の方向性からすると・・・
     どうも、そうではない(▪▪▪▪▪▪)


     つまり行為の強要を促した可能性ありと判断したのは
     "相手側"に対して・・・・か。



     これでネタは揃ったな。






    「 ・・・なるほど、 つまり会長か 」






    「えぇ・・・・、、
     わたくしあまりの衝撃に、Ⅳ号戦車の車内で
     凍り付いたまま動くこともでき.,,,,,,,
                        ・・・・・・は?;
    「やっぱり。相手は会長で戦車は38tか。」






    「なっ・・・・な、な な 、なんで!!??
     どうして・・・・そんな”!!?」ワシャワシャ





     余程言い当てられたのが心臓に悪かったのか、
     左右に泳ぐ視線と同調するように頭を掻き毟るグデーリアン。。

     私も人のことを言えない位には癖っ毛だが・・・
     近くで見ていると中々に弾力のある毛質だ。。

     度々触ってみたくなる、、。



    「(溜息)...なんでってそれはな・・・・;
     グデーリアン自身が答えを言ってるようなものじゃないか。
     うちのチームで唯一の実戦経験者である西住隊長に、
     "何か"を強要できる立場で、その可能性があり・・・

     なおかつそんな(▪▪▪)一面を想像すら出来ない位意外な相手といったら・・・これはもう疑いようが・・・
     ・・・ぁ、いや、疑いの目しか向かない・・・か、この場合では」



    「しっ・・・しかしお互いそうなった経緯といいますか・・、、動機は・・・?
     私もそれだけがどうしても分からなくて・・・それで・・・
     ここ数日夜も眠れないくらいに悩んでしまって・・・」






    「それは・・・・」






     ――――――それは。





    「それについてはもう、先ほど本人の口から聞かされた
     事実を念頭に置けば・・・考えるまでもないだろうな。

     何故我々戦車道チームが立ち上げられるまでに至ったか・・・
     その理由を、会長自身がさっき説明しただろう。

     後は・・・・」






    「後は・・・?」







    「グデーリアン。君が私に、"会長"の名を伏せたのと・・・
     根本的な見方からすれば同じ理由だ。」







  22. 22 : : 2022/01/18(火) 00:48:42






    「・・・・・え・・・・・?」







     私の言葉の意味するところが、正直分からない。
     そんなグデーリアンの心境が、表情と声からは手に取るように伝わる。
     ・・・だから私は、偉大な先人の言葉を借りて・・・・




    「おそらく、どちらがそんなふうに(▪▪▪▪▪▪)迫ったのかと推測するなら・・・
     それは多分会長の方だったんじゃないかな・・・」


     魂の祖とも言える人の言葉を借りて、自身の考察を述べる。




    「"軍人にとって最も不安なのは、敗北の予感に見舞われる時だ。
     ・・・そしてその予感を最も察知するのは、指揮官が
     弱っているのを目の当たりにしたときだ。
     
     ・・・心理的にせよ、肉体的にせよ指揮官は常日頃から部下に弱みを
     見せてはならず・・・その印象を与えぬ努力を欠いてはならない”」




    「・・・・・・・・・。。」




    「・・・・・・無論私たちは軍人じゃない。

     ・・・だが、今日ここまでの窮地に追いやられるまで会長達が
     頑なに口にしなかった"絶対に優勝”を目指さないといけなかった
     理由を考えれば・・・

     会長がどれだけ自分達のこれからに不安を抱いていたか・・・
     そしてどれだけ西住隊長という存在に心の拠り所を求めたか。


     私は・・・なんとなくそれが理解できるよ」
     ギュッ・・・


     肩を寄せ、互いの防寒グローブ越しに、
     グデーリアンの手を握る。震えているのは
     ・・・多分寒さのせいだけじゃないだろう。
     



    「私も・・・大洗来るまでは一人で浮いてた時期あったからなぁ、、、///;

     話の趣味が合う奴なんて周りに誰もいなかったし・・・
     居たとしても、そういう男子連中の間に入っていこうと思えるほど
     私も勇敢じゃなかった。

     ・・・あの三人とつるみ始めるようになるまでは、な」
     フフッ



    「・・・、、ぁ、ぅ私も・・・・

     小、中とクラスでは大分浮いてましたのでその気持ち、
     ものすごくわかります・・!やっぱり一人は・・・良くないですよね・・・」
     シュン....



    「ああ・・・違いない。

     グデーリアンも・・・やはり趣味で周囲から浮いてしまった口か?」



    「それもあるのでしょうが・・・・
     おそらく、身体的コンプレックスと言いましょうか・・・・・
     当時の私の髪型が一番の原因だったのかも・・・」



    「髪型・・・?いや、確かにグデーリアンの髪質は
     中々頑固、、、というか・・・(ゴホンッ)芯の強い感じではあるが、
     だからと言ってそれが原因で・・・・」




    「ぃえ・・・・;
     当時、周りの目も何も気にして無かったわたくしはですね・・・;
     よりにもよって、自分の癖っ毛に辟易して、
     いっそ父親とお揃いにと・・・・」






    「ま、まさか角刈りとか・・・・?」ダラダラ・・・





    「イエ・・・・ パンチです,,,;」ショボショボ・・・






    「ぱ・・ぱんち・・・・・?パンチってあの・・・・」
     チョッチュネ・・・?





    「はィ....;あの(▪▪)パンチですゥ....;////」
     カァァァ・・・・



     これは流石に驚かない訳にはいかないだろう・・・





    「(この・・・グデーリアンの髪が・・・・)」ゴソゴソ...
     スッ・・・




    「ふぉぁっ!!!?????」
     Σビグッ




     ワシャッ・・・




     気づけば私は・・・グローブを外した手のひらで、
     グデーリアンの髪を解くように撫でていた。

     外気にさらされ、微細な粉雪が乗った癖の強い髪が、、、
     グローブから脱したばかりでまだ暖かい私の指に解かれる事で
     適度に濡れて、とても触り心地が良い。





  23. 23 : : 2022/01/21(金) 01:14:36






    「・・・・・~~フム、」
     ワシワシ





    「・・・??!・・・・・・・?!?」ワナワナ・・・




     本人には言えないが・・・
     まるで散歩している最中に、一切の敵意も、警戒も見せず
     そばに寄ってきてくれた余所の家の犬を撫でている時のような・・
     得も言えぬ謎の安心感。

     こう・・・なんだろう、
     触っているだけでも心が穏やかになっていくのが分かる。





    「この髪にも・・・まさかその様な時期があったなんて・・・;」ゴクリ;
     パンチ,,,




    「あ・・・・ぁのう・・・・?;」
     モジモジ・・・




    「・・・・ん?ああ、?」
     ノシノシ モフモフ=3




    「そろそろ・・・恥ずかしぃ・・・・です,,,,///
     髪から手を離していただいても・・・・?」オソルオソル





    「ぇ・・・・?
          (モコ...モコ....)      イヤだよ・・・・;
     こんなに気持ちの良い手触りと知ってしまったら最早手放せない」
     フモッフ...





    「まさか拒否されるとは思いませんでした!!!」
     ウワァァァン!!;;;





    「ワハハハw 観念して触り倒されるがいい我が盟友よ!」
     ヨイデワナイカ ヨイデワナイカ!
    「自由を!!!さもなくば死を!!!!!;;;」
     ォヤメニナッテェェ!!!!





    ピトッ・・・



    「・・・ム。」

    「あっ・・・・」



     グデーリアンから示される抵抗の意志は明らかなものだったが、
     一片の興味から手をさしのべたそれは、
     思いの外魅惑の触り心地で・・・・


     ・・・・言っては何だがやはり、高級毛皮などを彷彿とさせる
     病み付きの柔さと・・・適度な反発(テンション)が同居していて、なかなか手放し難い。
     許せ・・・・我が友(グデーリアン)


     ・・・と、ここで?




    「ア・・・・」




     お返しとばかりに私が被る野戦帽に手を突っ込んできた
     グデーリアンと私が組み合う形になった際に・・・
     互いの頬が、ほんの少しだけ触れあった。



     ・・・冷たい。私がそう感じたと言うことは・・・グデーリアンからすれば
     温く感じたのだろうか。






    「あ、そ、その・・・くっつきすぎました・・・

     ・・・・・・・ご、ごめんなさい・・・;」ババッ・・・





     唐突に距離を取って、そそくさと髪を整える(全然整ってない)
     グデーリアンを見て・・・ふと、思い出した。





    「(そんな話をしてる最中だったか・・・・そういえば)」
     ァア・・・。




     狭まりすぎたお互いの距離に・・・
     急いで取り繕うように身だしなみを整えようとする彼女に、
     私は至って緊張感のない声で、問いを投げた。




  24. 24 : : 2022/01/21(金) 01:16:00





    「・・・・なあ、試してみるか?グデーリアン」








    「・・・・・はィ?」クルン






     その問いの意味が、まったくもって意に介さない。
     そんな心がまざまざと見て取れる・・・

     それはそれは見事な裏声だった。





    どこまで(▪▪▪▪)やったら・・・そんな気分になるか(▪▪▪▪▪▪▪▪▪)だ。
     興味が・・・あるんだろう?」ウン?




    「ぇ・・・・?!?;は、はい?!?
     ちょっ。。。チョッと待ッって下さいエルヴィンどの?!??

     エルヴィン殿には・・・そういった(▪▪▪▪▪)趣向は今の所無いと・・・
     さっきご自身で仰ってたハズで・・・・!!!」アタフタ・・・



    「ああ・・・無かったよ。ついさっきまではな。

     だから・・・・・たった今(▪▪▪▪)興味が沸いたんだ。グデーリアンの話を聞かされて。」




    「!?」



    「・・・・・・」




    「、、、、ぅ・・・うう・・・・;そ、そう言われましても・・・・」
     オドオド・・・




    「やっぱり西住隊長じゃなきゃダメか・・・?

     まあ、それもそうだな・・・私では隊長のように他人を引き寄せる
     魅力もないし包容力もなし。容姿にしたって・・・・」
     フゥ・・・↓↓




    「っ!!??ちっ・・・ちがいマス、そんなッ・・・・!!!」
     バッ




    「・・・・ほほぅ、なら問題ないな・・・?」
     ニヤリ




    「ぇっ・・・エルヴィン殿との間柄は・・・
     掛け替えのない趣味を共有できる大事な友達と言う認識です・・・!
     どんなことでも打ち明けられる仲ではあっても・・・

     私があの日知ってしまった西住殿と・・・会長殿のような
     関係になってしまっては・・・何かこれまでの形に
     戻れないんじゃないかって気がしてしまって・・・・、、、;」



    「.....同志グデーリアン。
     私とてこう見えて年頃の女子だ。野戦帽を被り、
     軍服を羽織って和気藹々と軍歴談議に花を咲かせる事があったって・・
     当然そればかりじゃない。

     君が夜眠れなくなった原因として挙げたみたいな・・・
     そんな気分になるときだってわりとある(▪▪▪▪▪)

     今がまさにそうだと言ったら・・・・ーーその声に応えてくれるのが
     ・・・それこそ友達ってヤツじゃないのか?」



     無理に迫ることはしない
     そうする必要は無い気がした。



    「ず、ズルいですよ。。。;
     そんなにまっすぐな言い方されて・・・私。。。。ぁあもぅ・・・!;」
     ワシワシ・・・


     ・・・・焦ると髪を触ってしまうのは一種の条件反射なのか・・・いや、
     あの触り心地を知ってしまった後だとその見方も変わってくる。

     確かにあの感触には昂ぶった精神へ働きかける
     一種の鎮静作用みたいなものが期待できるからな。




    「"これまでの形に戻れない"というのなら・・・・
     いっそその先に進んでしまえばいい。 ・・・そういう考えも
     有りじゃあないのか」
     





    「ぅううん・・・・、、、、しかし、、、、;」








    「悪かったよ、イヤなら・・・・無理にとは言わない。」フイッ
     ワスレテクレ






  25. 25 : : 2022/01/21(金) 01:18:53







     押してダメなら、退いてみろ、だ。
     逆に考えるんだ・・・・主導権を"あげちゃってもいいさ”と・・・・




     そう、大事なのは・・・彼女にも、
     "そうなるまで"の選択肢を委ねることだ。




    「い、イヤだと言ってるわけではないんです・・・!ただですね・・・・
     ぅうん・・・・;;ぁあ、でもそれも・・・そうですよねぇ・・・・
     元はと言えば私があんな話をしたのが原因ですしぃ...」
     イジイジ



    「(いいぞ・・・そうだ、、あともう一押し)」



    「と、遠回しに言っても仕方有りません・・・!;(グッ)
     幻滅されるまえに言ってしまいますがわたくし・・・・

     けっこう、いえ、かなり・・・

     ・・・・大分欲がつよい自負が有りまして・・・;」カチコチ・・




    「・・・・・・ふむ?」ピタッ




    「ここでなにか始めてしまったとしたら、わたくし、
     どこで(▪▪▪)踏みとどまれるか自信がなくて・・・・;

     い、いえあの!
     決してそういう経験が有るわけじゃないんですよ!??

     ただ・・・だからこそですね・・・・・」モジモジ




    「(なんだろう・・・・なんか・・・・)」




    「もし、致してしまったら簡単には止まれない気がして・・・////」
     ハァハァ・・・・;;;;




     な ん か・・・少 し 怖 く な っ て き た ぞ 。




    「い、一応聞いておくが・・・・
     どこまでの展開を想像してた・・・・?グデーリアン的に;」
     ダラダラ



    「エ・・・イヤソノ・・・西住殿ト会長ドノガヤッテタクライノ・・・・」
     ゴニョゴニョ



     何か・・・この感じだと私とグデーリアンの間には
     認識の食い違いがある。
     そこをまず精査しておかないといけないな・・・。。




    「いや・・・まずそれだ!!
     私はなんとなく、ざっくりとしか聞いてないが・・・
     その二人は一体どこまでイッてる感じだった?!

     それを知っておかないことには流石に・・・!」
     アセアセ









    「エ・・・・いや、あの・・・たぶん
     ご想像できる限りで、一番深いところまで
     繋がり合ってるような・・・そんな感じかと..///」
     ハズカシクテ イエマセン//




    「想像してたのとは大分隔たりがあった!!!!///
     (せいぜいボディタッチからのBくらいまでかと!!!)

     流石にこの極寒の中でソレは無いだろ!!
     そんな死に方はしたくない!!!」ブンブン




    「そうですよね!そうですとも!///
      じゃ、じゃあ・・・   やっぱりこの話はこの辺で・・・!!;」
     ワタワタ




    そこまで(▪▪▪▪)掘り下げるのは止そう!だから・・・
     そうだな、あくまで下の方(▪▪▪)にはノータッチな感じで!」ドウダ;!?




    「この話自体を無かったことにしては貰えないんですか!!(泣)」
     



    「そっ・・・それは無理な相談というヤツだ;
     私もすっかりグデーリアンとの話で
     その気になってしまっているからな。腹を括ってもらおうか」



     そう・・・これで案外・・・特に大洗女子(ウチ)のような・・・
     いや、私が身を置くような環境で・・・

     こういった系統の話で盛り上がれる機会はそう滅多にない。
     その上相手が気心の知れた同胞であるというなら・・・


     中途半端なところで終いにしたくないのが本音だ。
     ・・・私の探求心的に言わせて貰っても。


     "こういった話"を始めてしまった以上、
     その落としどころはどうしても必要になってしまう。


  26. 26 : : 2022/01/21(金) 01:21:04







    「エルヴィン殿にそう言われてしまうと、
     話を持ち出した私の立場としては、強く出られません、、、;」
     ゥゥ、、、、;



    「待て待て。勘違いをして貰っては困る。
     私()グデーリアンの話でその気になった、
     というだけの話だろ。別に、グデーリアンがこの話は
     ここまでと、打ち切ってしまう方向でいいので有れば・・
     私もそれで構わないが」イイノカ>?



    「・・・・・・・・」



     ここで俯きながら少し間を空けるグデーリアン。
     話の方向がこっちにシフトしたのは明らかに
     自らの言葉が原因であると言うことを認識しつつ、
     本当にこのまま続けていいのか・・・?
     という目を此方に向けてくる。





    「あ、あの、もう一度念のためお聞きしますけど・・・、
     イヤ(▪▪)ではないのですか・・・?エルヴィン殿としては」




    「・・・・・イヤとは?何がだ?」






    「いえ・・・、私としてはですね、、、
     やっぱりエルヴィン殿が無理に気を利かせて
     私の話題にあわせてくれているような気がして・・・
     最初に、ルームシェアをしていても、女子相手には
     今までそんな気になったことはないと・・・・
     頑なに仰っていたのもありますし・・・」オズオズ。。。。




     ・・・なるほど、なかなかどうして・・・




     グデーリアンは・・・思慮深いというよりは、
     優柔不断が過ぎる性格のようだ。



     最初に戦車に乗って校内戦でやり合ったときには・・・
     もう少し思い切りの良い、決断力に富んだ性格だと
     思っていたものだが。



    「・・・・・ふむ、そうか。そう思われてしまったなら
     ・・先の私の言葉はなおさら失言だったな・・・

     なら、・・ならば       ―――――こうしよう」
     ・・・・・ガバッ




    「ぇっーー――――――――――
                     ッゥむ!!??////

     言葉より・・・行動で示す方がいくらか話が早い。


     隣で共にジャケットを羽織るグデーリアンに、
     なんの前置きもせず私は・・・・・・その唇に自分の唇を重ねた。




     なんの躊躇もなかった訳ではないが・・・




     やってしまってから気がついた。
     ・・・そういえば・・・・これが初めてだな・・・・・。私にとっては。










    「~~~~////?"???!!??」
    「・・・・・・~~~~~・・・・・」




     さて、互いの口がしっかり重なっているこの状況で、
     グデーリアンは混乱のあまり目のやり場が凄いことに
     なっているのがこのゼロ距離でもよく分かる訳だが・・・

     "それだけ"だった。私を突き飛ばす事も、
     抵抗に顔を背ける様なこともしないのを確認して・・・
     私はつとめて冷静に考える。



    「(・・・で、ここからどうすればいいんだ・・・・?;///

     舌とか・・・入れちゃうのか?;ただ唇が重なってるだけじゃな・・・
     何とも実感がないし・・・)」レロッ・・

    「ッーーーーンフヒッ!!?????!」ブハッ!


    ババッ


    「・・・・おっと;」



     ここまで来て、とうとうグデーリアンと私に
     斥力が生まれる。

     流石に舌まで入れるのはやり過ぎだったか・・・・




    「エ、エルびんどのッ・・なッ・・・きゅうにッ..っ。。
            ・なな、、なにっ・・・なにを・・・・???!!?////」
     ドッドッドッドッド・・・・


     胸に手を当てて、もう一方の手で
     真っ赤に染め上げた頬を抑える姿が、何とも初々しい。
     
     ・・・ぁ、いや、私も初めてだったんだが・・・

     まるでマラソン中に全身の動作を制限されたかのように、
     暴れる血流を抑え込もうとしている様だ。





  27. 27 : : 2022/01/21(金) 01:22:59






    「いや・・・、悪かったよ、言葉で色々言うよりも・・・
     グデーリアンにはこうして行動で示した方が・・・
     伝わるのが早いと思って・・・・少しやりすぎたのは反省してる。

     ・・・ただ、さっきの言葉を誤解してほしくなくてな・・・・」





    「さっきの言葉・・・とは?」
     ハフッ・・ハフ・・・・///






    「ほら・・・・グデーリアン自身も気にしてただろ。
     私が・・・あの三人とルームシェアしている間にも・・・
     そんな感情を抱くことは一度も無かったと釈明した件についてだ。

     あのとき私はな・・・・、、」ソッ・・・






    「は、はぃ・・・・?」





     距離をとられてしまったが、その姿勢には
     私に対する忌避の色は見えなかったので、
     段々と紅潮していく頬に優しく手を添える。


     よかった、イヤがられては居ないようだ。






    「・・・や、あの時は私()グデーリアンと同じ様に・・・・・
     普通じゃないと、思われて嫌われるんじゃないかと・・・

     ・・・距離を置かれてしまうんじゃないかと。
     少し臆病風に吹かれて言ってしまっただけなんだ。」






    「・・・・えっと・・・つまり、
     お三方と暮らす内にそういう気分になったことも・・・
     あると言うことですか・・・・?それは・・・??」オ、オゥ・・?//






    「イヤイヤイヤ^;そうだと言ってるわけではないんだが・・・
     そうだな、あの三人には・・・正直そういった感情を
     抱く機会が無かったというだけだ。
     仲良くなったきっかけにしてもそうだし・・・・
     連んでる理由が理由だしな。

     ・・・・しかし、今実際このような場に直面してみると・・・
     これが不思議と・・・」





    「はい・・・?不思議と??」
     ドキドキドキ






    「本気で・・・その気になってしまっているみたいなんだ・・・
     その・・・、、ゆ、ゆかり・・・、(キミ)にな・・・・?;」


     ここは・・・・少しでも冗談を言ってない気持ちを伝える為に、
     ソウルネームでなく、下の名前で呼んでみる。
     流石に呼び捨ては少し勇気が要る決断だったが・・・


     しかし、彼女の反応を見て私は。







    「ぅえ、、、・・・エエ、!??////

             そっ、、それは・・・その・・??!
               具体的に言って・・・どういった意味でですか?

     恋愛感情的な・・・・?それとも・・・な、なんというか・・・性的な??」;



     本心とは真逆に・・・自身の今の気持ちを伝えたことを
     少しだけ・・・、ほんの少しだけ後悔してしまった。


     大まかに言って、その感情は後悔などではなく、
     相手に拒絶されなかった事実に抱く安堵の方が大きかったのだが・・・


     しかしまさか・・・






    「まあその・・・どっちといわれても困るから・・・
     この場合は両方と受け取ってもらって構わない。
     じ・・・自分でもまさかこの短時間話を交わすだけで
     君にこういう感情を抱くと・・・お、思ってなかった・・・からな;」
    「、?、?////」ギュッ


     まさか、こうまで嬉しそうな顔をして手まで握って来るとは
     思いもしなかったからだ。今も・・・


     急に迫ってきたグデーリアンの顔と、物言わず
     輝く瞳は、まるで「それで?それから?」
     と言わんばかりの圧迫感を纏って私に迫ってくる。


     ちょっと待て・・・これで何度目か忘れたが・・・
     改めてなんなんだこの状況・・・・?!



  28. 28 : : 2022/01/21(金) 01:25:10








    「そ・・・・それからだな・・・;
     私の気持ちを伝えた上でもう一度はっきり
     させておきたいんだが・・・・グデーリアンはその・・・・」




    「はい?なんでしょうか///?」ワクワク



    「西住隊長と会長の一件に居合わせてから・・・
     同性の関係に興味を持ち始めた・・・、、で良かったな?」


    「はぃ~、、ま、まあ実を言うとその前にも少しイロイロと
     ありまして・・・かねてよりくすぶっていた物が
     一気に燃え上がったと・・言いましょうか・・・・///」
     ブンブン



     此方も完全にその頭になっていると知った今、
     グデーリアンには一切遠慮の色は無く、感情の一切を抑えず
     全ての挙動に思っていることが如実に現れている。



    「それなら・・・言ってしまえば、究極・・・
     グデーリアンが求めるのは・・・西住隊長と・・
     ・・・そういう関係を持つこと・・・・・じゃあないのか?」





    「・・・・・・・・!」ピタッ






     私の問いを耳にするなり、上機嫌で首を振っていた
     彼女は・・・瞬く間に真剣そのものと言った
     表情になおり・・・同じように真面目な声色で言葉を紡いだ。





    「・・・どうなんでしょう・・・・?

     私は・・・正直、西住殿に・・・少なくとも
     私の"この想い”を拒絶されず、もしかしたら受け止めて
     もらえるかもしれない・・・と考えたら・・・
     
     その可能性が少しでもあるという事実に浮かれてしまって
     いた訳ですが・・・本当に"西住殿とそうなりたい”という
     感情しか無いのかと聞かれると・・・

     ・・・それにはけっこう疑問が残ります」






     ・・・意外だった。私はてっきり・・・
     彼女の眼中には、西住隊長の存在しか捉えられていないと
     そう思っていた。だから・・・今この場で私にそんな気持ちを
     向けられても困るんじゃないかと・・・。


     ――――そう思ったからこそ・・・・
     私は、この想いを言葉として発する前に今一度
     確認しようとした。彼女の表情や・・・その反応を。

     ・・・結果として、その様子見は・・・
     完全に後手に回る結果を招いてしまった。





    「な・・・なぜかというとですね・・・・;/////
     お恥ずかしながらわたくしも・・・

     今、凄く目の前にいる貴女が・・・気になってしまって・・・」
     ギュッ・・・



    「ッ・・・・」






     両手で私の手を握り、寄れるところまで肉薄してくる
     グデーリアン。
     言葉より先に、彼女の距離の詰め寄り方には返答の意志が
     強く現れていた。


     彼女の、自身の心根を隠す素振りすら
     見せようとしない振る舞いに、私は・・・





    「い・・・いいのか・・?//
     何をどうすればいいとか分からないんだが・・・
     雰囲気でしてしまうぞ・・・・?;////」





    「はぃ~///、その点はお互い様です、、。
     さっき私が咄嗟に驚いてしまったのは・・・・
     まだ互いの気持ちを確認しあう前だったから
     気が動転してしまっただけでして。」





    「わ・・・悪かったよ、先に口頭で伝えてから
     ああすれば何も面倒は無かった・・・;」シブシブ





  29. 29 : : 2022/01/21(金) 01:27:11






    「いぇ・・・、嬉しいんですw
     エルヴィン殿が咄嗟の判断でああされたと言うことは・・・
     私にはそれで十分気持ちが伝わると思って頂けたからこその
     行動だった訳ですから・・・・」





    「そんな大層なモンじゃない・・・。。;
     初めてだったから・・・緊張が空回りしてしまっただけだ

     今思えば・・我ながらなんとも情けないことだ」
     フイッ・・・





     
    「私も・・・里子殿が初めてですので、慣れない者同士、
     手探りでいきましょうww;」アハハハ///;






    「さ、さらっと名前で呼ばないでくれ・・・
     なんか恥ずかしい・・・・」





     そうだ・・・その名前で呼ばれるのは・・・
     ソウルネームはともかく、苗字で呼ばれる以上に
     ・・・気恥ずかしい。






    「・・・・??どうしてですか?」キョトン



     ・・・私の名前は呼んだのに、という顔。






    「だ・・・だって・・・何というか・・・
     名前負け・・・とは、この場合言わないかもしれないが
     ・・・ミスマッチじゃないか・・・;//」オズオズ・・・





    「ぃいえぇ~?;素敵ですよ、私は良いと思いますー。

     すっごく可愛らしい名前でいいじゃないですか!」
     ウラヤマシイ!





    「それを気にしてるんだ・・・;
     元々私は容姿も中途半端だし、趣味も見ての通りだ。

     ・・・だからとて親から賜ったこの名前に不満があるとまでは
     言わないが・・・とても自分に似つかわしい名前という
     自負を持てないんだ」





    「容姿って・・・・ぁあ、キャラデザを気にしてるんですか?!
     そんなこといったら私なんて初期設定とか見たら
     全然原型有りませんよ~~」アッハハハ






    「メタ要素多めだな!グデーリアン!!;
     まあ・・・キャラデザもともかく・・・・
     ・・・髪だって・・・こんな癖っ毛だし」グシグシ



    「私のに比べれば全然ですよぅ~//;
     それに、ブリーチもあてた・・んですか?結構思い切って
     やりましたよね。綺麗に染まってるじゃないですか」



    「私も・・・グデーリアンと同じで、
     自分の髪質にはコンプレックスあったからな・・・
     それを少しでも隠す為の脱色だったんだが・・・」
     ッハハ・・・;




     何気なく・・・一触即発の空気から、会話の内容自体
     他愛のない身の上話にシフトしつつあるように見えるが・・・



     ・・・実際全然そんなことはなかった。


     というのも、真隣で私と手を繋ぎ、密着して
     座り込むグデーリアンだが・・・



     手空きの腕は、会話の平静さと真逆に、
     私の衣服の下へと侵入を果たし、少しずつではあるものの、
     徐々に心臓へと、その指が迫ってきている。



    「でも・・・相当驚かれたんじゃないですか?
     ご両親や・・・特にあのお三方には?」モゾモゾ



    「・・・・・・」



     グデーリアン自身・・・その表情にはまったく
     普段通りの平静を装った色しか見えない。

     やはり・・・そういった雰囲気を全面に押し出して
     事に到るよりは・・・"この方”が気分的に楽だと言うことだろうか

  30. 30 : : 2022/01/21(金) 01:30:21



    「ぁあ・・・んっ///
     いや、実を言うとだな・・・染めたのはあの三人と
     知り合う前だったんだ。・・・まぁ、
     勿論親には事前通告なしで敢行したからな。

     当然、グレたかと思われて大層心配させたよ」ッハハ;


     対する私はと言えば、グデーリアンの意志を如実に表す
     左腕に身を委ねたまま、普通に会話に応じているが・・・・

     彼女と合わせたままの両目だけで、会話とは別の、
     "対話"を続けていた。


    「別に目立ちたくてこうした訳じゃなかったが・・・
     暫くは皆してイジってくるし頭皮はヒリヒリするしで、
     散々だった。・・・・しかも一度染めてしまうと染めムラ(プリン)も気になるし

     一度風紀委員に指摘されて黒戻しした時なんか・・・
     ・・・元の姿を知られてないあの三人にしこたま爆笑されたぞ?」





    「そう・・・だったんですか;
     でもそんな・・・色が変わっただけで笑われる程ですかね?;」





    「・・・言ったろ、コンプレックスなんだ...(諦)
     この髪型で・・・金パで見慣れてると
     黒に戻したとき相当間抜けに見えるそうだ・・・。。

     ・・・まあ、門佐の通常形態をお返しに相当笑ってやったから
     こればっかりはおあいこだが」ハッ




     グデーリアンばかりにやらせていてもなんだか
     受け身感がして仕方がない・・・。
     ・・・となれば、こっちも・・・・

     何処かしら触らせて貰うとするか。





    「えっ・・・左衛門佐殿も・・・何かあるんですか?
     見たところ染めてもいない感じですし・・・ま、まさか
     ウィッグ・・・・・???」




    「いや・・・、そー・・・、、ではない・・・んだが;

     だがしかし・・・我々と行動を共にしてない間の・・・

     つまり登校から放課後までの時間教室で過ごしてる間の
     アイツは・・・多分、グデーリアンが見ても誰だか分からんぞ;」
     サワサワ




    「えっ・・?!?!そんなに違うんですか普段のあの人!??
     っていうかあの格好は放課後限定なんですか?!」





    「放課後限定というか・・・私たちと居る時と、
     教室で暮らしてる間の線引きが凄まじいんだ。

     ・・・・我々三人も、同学年で居ながらにして学内で
     奴の姿を見る機会が殆ど無い事に疑問を覚えてはいたんだが・・・

     ・・・・まさかああまで違うとは思わなかった」ナデナデ





    「きっ・・・気になりますそれは・・・!
     あと・・・ぇ、エルヴィン殿・・・・?;///」

  31. 31 : : 2022/01/21(金) 01:35:23






    「・・・ん、なんだろうか」
     ヨシヨシ







    「えっと・・・私は遠慮なくエルヴィン殿の下着にまで
     手を伸ばして絶賛鷲掴み中なのでありますが、、、」
     ムニュ~ッ






    「・・・・?そうだな。

     悪かったな。私の前面装甲では傾斜も厚みも
     全く西住隊長やその親友には及ばないだろ?

     ・・・正直そんなの触ってて楽しいか?」
     ワサワサ






    「そっ・・・それはこっちの台詞です!!!///

     私が触ってるのはこんなダイレクトな部分なのに・・・!
     エルヴィン殿はなぜこの期に及んでまだ髪を!!!///」





    「・・・?=3;

     いや、どこをどうするかは私の自由だろ・・・?」
     ファサファサ・・・





    「・・・と、言われましてもこれでは私の方が
     なんだかそういう気分が削がれると言いますか・・・!//」
     コレジャナイ.....!





    「なんだ、同じ場所を触ってほしいのか?
     それならそうと素直に言えばいい。」ヨット
     グイッ・・・






    モニュッ・・・






    「はひゃっ!??///」







    「ぉっ・・・お、おお・・・?
     なんだ・・・グデーリアン・・お前、結構・・ある(▪▪)・・・な・・・・・?!試合後の風呂でみただけじゃ
     やっぱり実感沸かなかったが・・・こうして触ってみるとなかなか」
     グムグム






    「きっ・・・気のせいですよぉ・・;
     私なんて西住殿や武部殿に比べたらまだまだ・・・;」







    「いや・・・なんというか隊長もそうだが
     あんこうチーム、砲手通信手の二人は特に発育すごいよな・・・。。
     高校生レベルじゃ無い気がする・・・。

     操縦手の冷泉さんとグデーリアンは同志だが・・・・」ッムフフ
     モニモニ..






    「ひゃふっ・・・///W
     ちょっ・・・丹念に触りすぎですぅ...w;」
     クッ・・クスグッタィ・・






    「~~・・髪を触るなと言ってみたり
     胸は触りすぎるなと言ってみたり・・・注文が多いなグデーリアンは。
     一体私にどうしろと・・・?」ニヤニヤ





    「ど、どうしろとは仰いませんが・・・
     そうですね、エルヴィン殿がしたいようにして下さい///」






    「ならば御髪だな。」モフッ=3
     ヨシヨシ





    「ぇえ~・・・、またですかぁ・・・;」
     ゲンナリ・・・





    「露骨に嫌そうな顔をするなぁ・・・
     私がしたいようにと言ってくれたからそうしただけだが・・

     グデーリアンがイヤなら止めるが?」




  32. 32 : : 2022/01/24(月) 00:05:51






    「い、嫌ではないです・・・・ので、止めるまでは
     しなくていいんですが。ただですね、やっぱりソノ、
     こういうのって雰囲気とか、そういったものが・・・」
     イジイジ・・・






    「ならば諦めてくれ。
     こちとら同性,,は当然として;
     異性問わずこんな雰囲気に陥った経験は
     皆無でな。

     ならばこの期に及んで気の利いた対応など
     取れようハズもない。」モシャモシャ



     こうしてグデーリアンの頭を撫で回していると、
     まるで落ち着かない飼い犬をなだめているかのような
     錯覚に陥ってしまう。






     うむ、愛いやつめ。






    「そう・・・ですよね;わ、私もそうですので・・・
     この際もう難しいことは言いっこ無しで、お互い
     やりたいようにしますか・・・・;(ハァ)」






    「やっと観念したか。我々のようなコミュニケーション能力面で
     他者との隔たりがある人間にはそもそも、
     "普通”という概念を求めるべきではない。観念して
     モフり倒されてしまうがいい」ヌッフフフフ
     ワキワキ







    「えっ・・・エルヴィン殿はそんなことありませんって・・・
     事実大洗のチーム結成からあっという間にこうして
     面識の無かった私ともよくして貰って・・・」





    「・・・そうか?・・・まあそうは言っても我々の場合
     所詮は同好の士、同じ穴の狢だからな・・・

     ・・・それを言ってしまえば、グデーリアンもだなぁ。

     何せ単身相手校の懐に潜り込み、情報を獲取しようなど・・・
     並外れたコミュニケーション能力無しでは到底
     成し得ることではないw」
     (ワシャワシャ) ッハッハ・・・






    「(溜息).... っ・・・、あ。そういえば・・・・エルヴィン殿??」







    「・・・・?どうした?」






    「今更なのですが・・・実は聞き返すタイミングを逃して
     いただけでずっと気になっていたことがあって。

     ・・・・まあ、エルヴィン殿の単なる言い間違いか・・・
     私の聞き間違いでしたらそれでいいのですが、、」







    「、、ふむ?」ピタッ







    「ほら、先ほどエルヴィン殿が、ルームシェア生活を送る中での
     発散事情をカミングアウトされたときの話です」







    「っ~~/////

     その話はもう聞かなかった事にしてくれ・・・!
     これで結構恥ずかしい思いをしてるんだぞ・・!  私も;」





    「ぁっ、いえ!そのお話の内容自体を深く掘り下げようと
     言うのではなくですね・・・、確かあの時エルヴィン殿は・・・

     "私達三人"と、仰いませんでしたか?
     あれはエルヴィン殿本人を含めず・・・という事で
     良かったのでしょうか?
     それとも・・・」






    「ぁ、あ~~~・・・ああ、・・・・・;」
     オズ,,,




    「あ、なにやら私の思い過ごしでないご様子」ヒシッ
     ムヒッ=3






     グデーリアンの毛質を心行くまで撫で回して愉悦を得ていた
     私の手の平が不意にこわばったのを察知するや否や、
     してやったりとばかりに、私の半身に抱きついて面白い
     にやけ方をするグデーリアン・・・。


     その表情と笑みからこぼれる鼻息からは、
     "逃がしはせん"という言葉が
     これでもかと言うほど伝わってくる。






     これはもう・・・観念するほかあるまい。



  33. 33 : : 2022/01/24(月) 00:08:10







    「あ~・・・・ぁあ、もう、分かった分かった;
     秘匿などするつもりはないからそう急かすな。
     
     ・・・ただしかしな・・・、この流れで私が白状する事実というのか・・・
     憶測と言えばいいのか、とにかく、情報の提示を行って
     プライバシーを害されるのは私ではないのだが。」ヒクヒク







    「・・・・フむ、、然様ですか・・・・・

     では、こうしましょう。名前まで挙げる必要は迫りませんので
     先ほどの言葉の意味だけお教えいただければそれ以上
     追求しません」ドウデスカ??







    「~~~・・・・まあ、それなら私が同室の仲間を
     売った、と言うことにはならないか・・・」チラッ






    「はぃ~~、そうなりますっ。」ニッコニコ~・・・



     一応建前を示し合わせるようにそんなやり取りを
     交わしはするものの・・・なかなか、グデーリアンも
     笑顔の下に隠しきれない闇をのぞかせるような・・・
     予想外の計算高さをちらつかせる。


     既にここまで含みを持たせた会話の中で、
     互いにその意味が通じてしまっている時点で、
     グデーリアンの考察は、私と示し合わせるまでもなく
     当たってしまっていると言っていい。






     ・・・とくに今この状況においては・・・





     先に私がうっかり漏らしてしまった失言により、
     匿名で話を進めたところでグデーリアンには
     話の槍玉に挙げられているのが誰であるか、
     消去法で分かってしまう状況にある。


     それが分かっていて・・・私には話したところで友を裏切るような
     罪悪感を抱く必要はないと・・・
     身を寄せる忠犬のような・・・否、甘言を耳打ちするべく
     身をすり寄せてくる悪魔の笑みでもって促しているのだ。


     ・・・正直ここまで強かな性格だとは思わなかったが・・・
     この実態を目の当たりにしてしまえば成る程.....
     流石は対戦相手校(サンダース)の中核まで自力で単独潜入を敢行して
     無事生還してきただけのことはある。




     ぁあ・・・後はアンツィオもそうらしいが・・・
     あそこはそんなに難易度高く無さそうだしな・・・。



     ・・・・ノリと勢いだけでフツーに日帰りできそうだ。



     しかしまあなんと言えばいいのか・・・・




     純粋すぎる裏表のなさというのは時に
     周囲の目をいともたやすく欺き通してしまうものなんだな・・・



     そして彼女の場合、裏表はなくとも
     それでいてそれなりの計算高さがあるので
     殊更その印象が強い。






    「では私が口にした言葉の意味だけ先に
     説明しておく事にするが・・・私が"三人"と言ったのは・・・・
     "私を含めた三人"と言うことだ・・・つまり・・・///」ゴホンッ・・






    「・・・・・なるほど、ははぁ・・・!意外でした・・・

     まさか、あの中で・・・"カエサル殿"だけが・・・例外だったなんて」






    「・・・早いな。答え合わせがw;」ヒクヒク,,





     私が、会話の流れで会長を言い当てたのと
     同じように合点するグデーリアン。


     "追求しない”とは言ったが独り言に関しては
     何も言っていない。。。ので、これも建前上セーフなのか。



    「まあ・・・エルヴィン殿が挙げた各々の発奮材料の中に・・・
     戦国モノと幕末モノ、しかカテゴリ分けが無かった訳ですから。

     その時点でおやおや・・?と思ってはいました。」





  34. 34 : : 2022/01/24(月) 00:11:05






    「・・・・しかし奴だけそういった部分歴史ネタではなく、
     普通にそこらへんの女子が興味を示すようなモノを
     発散材料にしている可能性もあるだろう?・・・それか、
     そもそも自発的な発散を行ってない可能性だって・・・・」






    「・・・・その可能性を示唆されてしまうと、
     頭ごなしに否定はできません。なにせ私はエルヴィン殿と違い、
     カエサル殿の人となりをよくご存じでありませんので・・・・。

     ・・・・ただ、なんとなくですよ、、?何となくですが・・・・」






    「・・・・・ふむ?なんとなく?」







    「何となくあの人って・・・・
     同性に好かれそうな・・・有り体に言って、
     モテそうな印象があるんですよ・・・中性的と言ってしまっても
     いいのでしょうかねぇ...

     完全に先入観なんですけど」





    「ぁあ~~・・・それは分かるな・・・いや・・・実を言うとだな、
     別に我々三人も、奴から直接何か聞いたわけでもないし、
     それについて口止めされてるわけでもないから
     言ってしまうが・・・二回戦目の対戦校、栃木のアンツィオと
     当たっただろ?」





    「ええ、私自身潜入捜査も行いましたのでよく覚えてます~。
     ・・・諸々の事情で地上波未放映でOVA限定エピソードですから
     ご存じの方とそうでない方で二分されるでしょうけど・・・」





    「またメタなネタをさらっとこぼしてきたな・・・;

     まあ・・・話を戻すが、問題のそのアンツィオにあれだけ
     仲の良い幼なじみが居ると来たら・・・もう完全な黒だろう。

     ・・・・それも相当な別嬪ときた。」





    「確かつくば出身の方でしたよね~

     まああれは・・・試合開始前のやりとりからして
     一目瞭然でしたよね。・・・・しかし、
     個人的な偏見で言わせてもらうなら・・・

     アレは至って健全な仲の様に見えましたが。」





    「・・・・健全かそうでないかの認識など・・所詮は、
     受け取り手次第だ。我々三人はぶっちゃけ・・・あの様子では
     間違いなくデキていると睨んでいるがな。

     何せ相手方の搭乗車両を特定するや否や、問答無用の
     一騎打ちに踏み切っただけでなく・・・

     あの時のアイツの目ときたら・・・フラッグ車など
     眼中にも無いくらい無我夢中だった。

     ・・・まるで出兵の果てに生き別れた意中の人に再び
     まみえた恋人同士の様に」
     




    「なるほど・・・、、相対する関係となっても
     互いを求めて惹かれ合う。。なんだか、
     性別の垣根とか抜きにしてそういうのって憧れますね・・・///」






    「君はそう言うがな・・・^;

     同乗している我々からすれば堪ったもんじゃなかったぞ(呆)
     確かにアイツの表情ときたら・・・戦車道を共に初めてから
     あの時が一番輝いているように見えたりもしたものだが・・・・

     我々からすればセモヴェンテとのぶつかり合いの度に、
     "そういう事は家でやれ!!!"と心の中で叫ばずに居られなかった。

     ・・・操縦手としてⅢ突を走らせているおりょう本人ですらな。。」




  35. 35 : : 2022/01/24(月) 00:12:58





    「映像ではお目に掛かりましたが・・・
     あれほど熾烈なぶつかり合いは全国大会でも中々
     お目に掛かれない名勝負でした・・・・・・。

     ・・・しかしそういう(▪▪▪▪)見方をすると・・・なるほど、
     大分違った絵面に見えてきますね・・・・;」






    「ぁあ・・・飾らずに言って割と本気で
     "爆発しろ!"と唱えていたぞ。我々三人とも二両がぶつかる度にな。

     耳を抑えようにも衝突の衝撃に備えるのに
     それどころじゃなかったし、衝突の度に、いつ転輪から履帯が
     外れるかと冷や汗モノだった」 
     ハハハ・・・





    「・・・・あっ・・・ははは・・・アハハ・・、、」







    「・・・・・」





    「・・・・・」







     一時の気分の盛り上がりも手伝って、そうしていたのであろうが、
     話題をカエサルの方向に持って行った事によってすっかり
     互いの熱が冷めきったところで・・・・

     しかし、未だグデーリアンの手は私のタンクジャケットの
     下に着込んでいる防寒インナーの更に下・・・つまり、
     腹部に直接触れたままのこの状況。。





    「・・・・えっと・・・これ、私達どういう状況でしたっけ・・・」






    「・・・知らん、私に聞くな////」







    「・・・お話的にいってしまえば・・・ここは時間を忘れてエルヴィン殿と
     くんづほぐれつ激しい運動に及んだとしても・・・

     都合のいいシーン切り替えがはたらいて、無事斥候の役割も
     果たせると思うのですが・・・」






    「いや・・・・;そのメタ読みは流石に浅慮だ。考えても見ろ・・・
     ノリと勢いに任せてプラウダが降車中の我々目がけて
     斉射してくるような、そういう世界観だぞ"ここ"は。

     どっちかといえば野○×鈴○(タンカスロン)世界線だ。」





    「むぐぐ・・・それでは・・・最悪、
     こうして我々がお外でいちゃいちゃしている所を、
     あのプラウダの地吹雪と恐れられる小(?)隊長殿に
     あえなく発見されて、随伴のあの怖い副隊長殿に
     怪しげなモノを投薬されて尋問、、、等という同人(うすいほん)的展開も
     ・・・十分あり得ますね・・・;」






    「そういうことだ。それが冗談では
     済まないとなると・・・

     流石にそんな目に遭うのは御免被りたい。然るに・・・

     ・・・そろそろ敵陣の情報収集に向かうか?」








    「;そうですねぇ・・・

             そうしま・・・・、、
                      ・・・・、、 、!!」
     (;;; ゚д゚)パクパク・・・






    「・・・・?」






     何だ・・・・?言い掛けたグデーリアンの視線が、
     私の後方・・・つまり、現在我々が身を隠す洞穴の奥へと
     釘付けになり、開けたままの口を、空気を欲する
     金魚のようにぱくぱくと・・・・






  36. 36 : : 2022/01/24(月) 00:15:21









       「・・・・・同志カチューシャ。侵入者を発見しました
        恐らく相手校(大洗)のスパイかと」









    「っっ!!?!????」ビクッ!!!






     今この時まで・・・全く人の気配など感じられなかった。
     それなのに・・・今、グデーリアンの異常に気がついた瞬間、


     その声は、洞穴の外から薄暗く洞穴に入り込んでくる曇天の
     光量が届かない、暗闇の奥深くから唐突に響き渡った。



     ・・・っていうか一体何処から入って来たんだ・・・・・?;






    [[でかしたわ、ノンナ!
     それで!?場所は?見つけたネズミは何匹??]]
     ザザッ・・・






    「0346地点付近の洞穴に。・・・2人です。
     生憎の天候ですから・・・恐らく荒天を避けて
     避難していたのでしょう。  ―――――如何致しますか?」
     チャッ・・







    「(まずいな・・・・(小声))」
    「(ぇえ・・・、これは非常に・・・;(小声))」





    「("いかがいたしますか”と訪ねてはいるが・・・
     あの、プラウダの隊長が見せた試合前の物腰を見れば、 
     タダで見逃して貰える公算は限りなくゼロに近い。

     ・・・しかし、相手が一人に対し、
     こちらが二人居るからと言って、ここで強行策的な
     一か八かに賭けるというのも・・・)」
     チラッ・・



     しかも・・・なんだ?今彼女が背後に回した
     後ろ手で掴んだモノは。。金属の擦れ合うスライド音の様な・・・・
     どう聞いても不穏な感じしかしない効果音が...




    「(エルヴィン殿・・・!"それ"は止めておきましょう・・・!
     単独で敵陣地側の捜索に来ていると言うことは・・・・
     恐らく我々二人が策を講じた所でどうにかなる相手では
     無い気がします・・;(小声))」




    「(た・・・確かにそうか・・・・・校風的にもなんか、
     サンボとかシステマとか習得してそうだしな・・・;(小声))」




     それ以前に・・・同じ女子高生にすら見えないし・・・;



     ・・・色々な意味で。。






     まず・・・・"デカい"。






     何がデカいって・・・色々とだ。





     ・・・一体何センチ有るんだ・・・?





     どう考えても私やグデーリアンとは人種レベルで
     規格が違うが・・・生徒会のお三方という例もあるので、
     ウチも他校の事は言えない・・・のか?













    [[決まってるじゃない!!二匹ともキッチリ首輪付きにして
     ここまで連れて来なさい!!強制労働に何をさせようか
     考えてた所だから、ちょうど良いわ!!]]ガガッ・・・



     無線の向こう側にてとても可愛らしい声で
     がなり立てている隊長に到っては・・・もはや
     別の意味で高校生には見えなかったが。


     それにしても色々と恐ろしい事を言っている。
     私たちは無事ここから生還を果たす事が出来るのだろうか・・・






    「・・・・(溜息)・・・同志カチューシャ。
     偵察行為自体は禁止されていませんし、
     捕虜として拘束したとしてもそれらに対する拷問などは
     認められませんよ」






    「(・・・お?なんだ・・・グデーリアン、割と常識的な感じじゃないか?
     ・・・隊長の方は概ね想像通りだが・・・;(小声))」





  37. 37 : : 2022/01/24(月) 00:18:12




    「(ぇえ、、・・・その様ですが・・・、無罪放免という
     甘いことも無いでしょう・・・;

     しかしエルヴィン殿、ここで少し考えてみましょう・・・
     プラウダの副隊長は・・・一体何をしにこんな所まで
     単身で・・・?(小声))」






     何をしにって・・・それは・・・







    「(可能性で言えば・・・そりゃ我々と同じく斥候しかないだろう。
     ・・・籠城している我々の配置でも確認しにきたか。
     降伏勧告に応じなかったことを踏まえれば、遅かれ早かれ
     我々が出たとこ勝負に打って出るのは必定・・・となれば
     フラッグ車がどのタイミングで出るのか知っておきたい所は
     あるだろう・・・・。伏撃(アンブッシュ)で軽く一捻りといきたいならば
     尚更・・・な。




     ・・・しかしそうなると更に状況は芳しくないな・・・
     こちらは相手の配置情報すら入手できず・・・(小声))」






    「(敵には袋の鼠に追いやられ、さらにその配置を把握されてしまいます
     ・・・!ですからエルヴィン殿・・・ここはせめて(▪▪▪▪▪▪)(小声))」





    「(・・・・うむ?(小声))」




    「(せめて相手の注意をひくことに専念して・・・
     敵の陣形を持ち帰ることはできないにせよ、少しでも
     時間を稼ぐことに尽力しては如何でしょう・・・?;(小声))」



    「(なるほど・・・。まあこの状況では・・・
     敵が黙って我々の斥候を手放しで見咎めてくれるはずも無し、
     例えそうなったとしても、我々の存在が感づかれた時点で、
     斥候など何の役にも立たん。

     ・・・それは相手にしても同じ事が言えるわけだが・・・・
     いいだろう。可能な限りここにつなぎ止められるよう
     足掻いてやろうじゃないか(小声))」



    「(それに・・・プラウダのブリザード・ノンナといえば、
     撃破スコアからも同校歴代最強と名高い名砲手です・・・!
     彼女自身をここに留めて置くことが出来れば・・・!(小声))」




    「(そうか・・・、相手が大きな動きに出ることもない・・・!
     いや、動いたとしても・・・!戦力は大幅に目減りするな・・!(小声))」








    [[まあいいわ!スパイをこっちで捕まえてたなら
     カーべーたんの砲身に吊し上げてやるところだったけど、
     こうまでアッサリと策にハマってくれるとは思ってなかったから、
     私も拍子抜けしてなんだか少し眠くなってきちゃった(欠伸)~,,

     2時間くらい寝てるから、そこのネズミ二匹の処遇は
     ノンナに任せるわ!煮るなり焼くなり、ピロシキの具にするなり
     好きにすると良いわ!

     早いところ相手の配置を持って帰ってきなさいよね!]]
    「っ・・、、カチュ,,,
                ―――――ブヅッ・・・






    「・・・・・・(溜息)、、、。(すぐ側には相手校の斥候も居るというのに)」






     一方的に切られた・・・というか不通に陥った無線機を
     懐に仕舞いつつ、まるで子供の我が侭に呆れるような表情で
     肺の中の空気を放り出すプラウダの副隊長・・・。。


     しつこい事だがどこからどう見ても、
     おまけに何度見直しても同年代には到底見えない。
     ・・・一年程度上級生だったにしてもだ。



     体つきや顔の造りにしてもそうだが・・・なんというか、
     全身に纏っている雰囲気からして。



     今のは完全に・・"母親の面影"だった。。。







  38. 38 : : 2022/01/24(月) 00:20:59






    「・・・・・・さて。お待たせしてしまい申し訳ありません。

     我々の隊長は"この様に"仰っているのですが・・・。

     しかし、私には"それとは別に"、あなた方へ個人的に
     聞いておきたいことがあります」ズイッ・・・




    「ッ・・・・・!!」
    「(ビクッ)」






     ・・・先にも外見印象から思い描いたとおり、
     その高身長からくるプレッシャーは中々どうして半端ではない。


     顔もよく言えば端正で整いすぎているといっても
     良いくらいの顔つきだが、
     言い換えてしまえば、そのような容姿で表情に乏しいとなると、
     かえって人間味に欠けているという、
     ある種の不気味さを感じてしまう要因にもなりかねない。



     ・・・特に、表情をうまく読みとれない今のような
     暗がりの中に居る状況下において・・・



     ・・・それは、つまり言い換えれば得体の知れない恐怖と
     表裏一体の美しさだった。




    「・・・・失礼、一つ言い忘れていましたが・・・・」
     スッ・・・



    「っ・・・・!?」スザッ





     その得体の知れなさというか・・・単に今のこの状況が
     そうさせているだけかもしれないが・・・


     彼女の単なる片手を挙げるだけの挙動にすら・・・
     一々身体が反応してしまう。



     流石にそれはないと信じたいが・・・
     拳銃とか持ってたりしないだろうな・・・・;






    「あなた方二人の処遇に関しましては
     同志カチューシャからは先ほどお聞きになられたとおり、
     私に一任されていますので・・・"私個人の用件"が済むまで、
     ここから簡単に出られると思わないで下さい」
     ジリッ・・・・





    「ヒッ!!!???」ガタガタ・・・






    「ゃっ・・・やめろ!それ以上近づくな!!!
     私達に乱暴する気だろう!!!....エロ同人みたいに!!!!」




     グデーリアンは相手の圧に耐えきれず、
     すっかり怯えきってしまっており・・・私にしても、
     少し勢い余って予定していたのとは別の
     口上が、口をついて出てしまった・・・・。






    「・・・・・?仰っている言葉の意味が解りませんが、
     取り決めに反するような暴力行為を、私が進んで行うことは
     無いのでご安心下さい。

     ・・・・あくまで、あなた方が私の制止を振り切ろうと
     抵抗しなければの話ですが・・・」ヌッ・・









    「(向こうの用件とやらが何かは知らないが・・・ここは少しでも
     話を長引かせてここに引き留めるぞ!グデーリアン!(小声))」




    「(そ・・そうですね・・!(小声))
     あ・・・えっと、プラウダの副隊長殿とお見受けした上で、
     私からも、お聞きしたいことがあるのですが!」ビシッ



    「・・・・・・何か?」



    「ぇ・・・えっと・・・好きな戦車は・・・・?」ダラダラ・・・;



    「(グデーリアンよ・・・・・、、!

      今聞く事か・・・・・?;それは・・・・・!)」




    「・・・・SUー100。戦車と言うより自走砲ですが。」



    「なっ・・・なるほど、
     私はデスね・・・!7TPそ
    「          私は特に聞いていませんので」
     Σピシャリ



    「(そら見たことか!言わんこっちゃない・・・!)」



     こういうのは・・・状況の主導権を握っている人間が、
     少しでも興味を持って乗ってくるような話でなければ
     もちかける意味がない・・・・!


     初見で確信を持てる訳ではないが、
     ここはやはり・・・・・




  39. 39 : : 2022/01/24(月) 00:24:38





    「プラウダの隊長もあんな調子では・・・
     そちらも随分苦労が絶えないだろうな。」







    「・・・・・何が言いたいのですか?」ピクッ






    「(お・・・食いついてきた・・・・?)
     いいや・・・深い意味などない。ただ・・どうしても隊長と
     副隊長の練度の差が気になってしまってな。

     ・・・失礼だが、貴女はどう見ても三年生だ。
     どうして隊長があんな試合中に寝てしまうような
     下級生で・・・」
    「カチューシャは私と同期で歳も17ですが」キッパリ





              「 え・・・・!?;」




     そうか・・・!私としたことがすっかり失念していたが。。。
     プラウダと言えば・・ガチガチの年功序列制でも知られている
     マンモス校・・・・!あの見てくれですっかり勘違いしてしまったが、
     そこで隊長に任命されていると言うことは当然・・・・!




    そんなことより(▪▪▪▪▪▪▪)あなたは今・・・私の同志を侮辱したのですか?」ズイッ・・・



     その冷たい表情が大きく崩れる事はなくとも、
     整った無機質な貌に並ぶ双眸の奥に、明確な敵意が灯った。。。





     いかん・・・話の喰付きはいいが、このままだと
     その勢いのままこちらの喉笛を噛み千切られかねない






    「っち・・・・違う違う!!!
     そうじゃない!ただ・・・その、事前に聞き及んでいた
     プラウダの常套戦術と違っていたから、
     今大会の指揮系統はこれまでと違っていたのかと、、

     そう思っただけだ」





    「・・・・そ、そうだったのですか?」





    「ぁあ・・・知らないのか?グデーリアンは。
     プラウダ名物と言えば本領は物量押しのローラー戦術にあると
     聞いていたが」





    「あ、それは知ってました。ハイ」






    「・・・・・それは事実でもありますが。
     要するに、貴女方は同志カチューシャにとって、本領(それ)
     発揮するほどの相手ではなかったという事です。
     開始早々大聖堂に追いやって尚、降伏までの猶予を与えたのは・・
     彼女なりの寛大な心の現れです」









    「・・・・なるほど、余程隊長の事を信頼しているのだな、
     ・・・副隊長殿は。しかし・・・それなら尚疑問が残る。
     そこまで全幅の信頼を置いていながら・・・

     何故その隊長にとっての片腕とも言える補佐役の貴女がこうして
     敵地に向けて単独で斥候などする必要が・・・?」




    「・・・・・私は、単純に思考を停止してまでカチューシャを
     盲信している訳ではありません。
     彼女には果てしない可能性と未だ開かれていない才覚が
     眠っていますが・・・それらは卒業を目下に控えた今でこそ開花
     しきっていません。

     ・・・それを少しでも長く、可能な限り側で支え・・・
     彼女自身の成長を見守るのが・・・私の務めであり、本懐です。

     後任が未だ心許ないと言うのもありますが。」



    「・・・・」



    「彼女には裏表が無く、先ほど無線で晒してしまったような、
     無防備な一面も有ります。・・むしろ隊長としては
     完全などとはほど遠い存在ですが・・・

     それも、あくまで"今はまだ”というだけの話です。

     前年度の実績から隊長に任命された時も、校内での賛否は勿論
     二分されました。・・・しかし、私は・・・
     私だけは・・・例え彼女が簒奪者と罵られようと、
     暴君と蔑まれようと。

     彼女の支えになり続ける事を、心に決めていますから」
  40. 40 : : 2022/01/24(月) 00:27:22




    「・・・・・つまり、其方は其方で我々の包囲突破に際しての陣形情報を
     少しでも手に入れようと・・・そんなところかな」





    「否定はしませんし・・・する意味もないでしょう」





    「・・・・そうか。それでは・・・
     それでは、互いに益々手は抜けないな。
     しかし、どうする?互いに斥候がいる事実を
     知ってしまった以上これでは相手の位置情報を持ち帰ったとしても
     互いに意味のある情報ではなくなってしまうのでは」







    「・・・・ご心配なく。
     こちらにとってはもう・・その必要性が失われてしまったので。
     あなた方は私の質問にだけ答えて頂ければ、
     後は情報収集なりなんでも好きにして帰って貰って構いませんが。

     ・・ああ、ですがもしこちらの陣地内で不用心にも
     発見されてしまった場合、先ほどカチューシャが言っていた通り
     吊るし上げの刑罰が待っていますので、その辺りはお覚悟を」



     無表情で言ってはいるが一応ジョークのつもりなのだろうか。



    「ぁあ・・・そういえば・・・質問か。
     何か聞きたいことが残っていたのか。
     悪かったな、こちらの質問しかしていなかった気がする」



     相手の様子を見るなり、
     これ以上状況が悪くなることも無いだろうと内心ホッとして
     胸を撫でおろす私達二人だったが―――――・・・・







    「(概ね時間は稼げましたかね・・・!)」グッ


    「(ああ・・・こちらの視察も意味がないとみて
     切り上げてくれるようだし及第点と言って良いだろう。
     どうなることかと思ったが・・・なんとか切り抜けたな;)」
     ホッ・・・







     ――――しかし。ここからが修羅場だった。







    「では遠慮なくお尋ねしますが・・・お二人はこの洞穴の中で
     ・・・・・一体何をなさっていたのですか?」ズズズズ・・・・・
     (※宵闇に沈む湖のようなまなざし)





             「「―――――」」








    「・・・何って、見た通りだろう・・、、斥候に出てきて・・・・
     天候が荒れてたから・・・こうして一時避難を・・・」ダラダラダラ;
    「っ!っ!!」コクコク






    「・・・私が"見た通り"ですと・・・あなた方お二人は肉薄して
     一方が頭部を撫でながら・・もう一方の方が衣服の中に手を・・・」
     オヤ・・・?






    「待て待て待て!!早合点をしないで貰いたい!
     我々はあくまで低体温症から逃れる為に身を寄せ合って・・・!
    「寄せ合って・・・、までは理解しますが。

     ―――――しかし、口づけまで交わす必要は・・・?」ヌゥッ・・・



    「っ―――――・・・!!」


    「/////////////////」カァァァア...!!







     プラウダの副隊長は・・・
     一体・・・"いつから"ここに居たんだ・・・・??;







  41. 41 : : 2022/02/12(土) 01:39:32




    「見ていたならそうと言ってくれ・・・!

     そこまで知っているなら態々こちらが説明せずとも
     解りそうなものだろう・・・?///;」ゴホン・・・







    「・・・・?いえ、見ていたわけでは有りませんが、

     なるほど・・・口づけはやはり初期段階で済ませるもの・・・と。」






    「こっ・・・・こいつ・・・・!!!////」カァァァ・・・!







     単純な誘導尋問(カマ掛け)に掛かってしまったせいもあって、
     最早グデーリアンは完全にお手上げ状態。
     私も・・・なんだか段々隠し通す気も失せてきてしまった。







    「・・・・!・・・・...っ=3
     ・・・・もういい、隠し立ては無しだ。認めよう、

     確かに今さっきまで私と・・・、この、同志グデーリアンは
     見ての通り同姓間の慰み合いというか・・・まあ、
     それに準ずる何かに致ろうとはしていた。

     だっ・・・、だがあくまで未遂だぞ!
     まだ・・・、そのっ、、一線を越えてはいないからな!!/////


     ・・・・それで?・・・結局そっちの目的は?
     我々に何を問いたくて・・・何を知りたいんだ・・・?」






     今更だが・・・顔から火が出そうだ。







    「・・・理解が早くて助かります。
     ・・・しかし、私は別に難しいことを訪ねようと
     言う訳ではありません。」



     彼女が一呼吸そこで置くと・・・
     次の一言を放った顔を見て、私は自分の目を疑った。





    「そ・・・その・・・、お二人は・・・どう言った課程を踏んで
     そのような仲に・・・?出来ればでいいのですが、
     その辺りの経緯を詳しく...その.....//」オドオド・・・








    「・・・・・?」
    「・・・・・;」ポカーン・・・





     何か・・・急に雰囲気が変わった気がするというか・・・;
     同じ人間に見えない位の豹変をとげたな。



    「・・・と、言っているんだが・・・グデーリアン・・・
     ここに至るまでの経緯とやらを・・・・
     私達の場合どう説明すれば・・・・?」
     フクザツダナ・・・・・





    「それは・・・説明に困ります、、、そもそも私が興味を持った経緯を
     エルヴィン殿に相談したら・・・偶々エルヴィン殿が
     気を利かせて相談に乗ってくれる形でああなっただけですので・・

     特に、何が原因でこうなったとかは・・・・;」コマリマス・・・






    「・・・なるほど、説明が難しいのでしたら、其方は結構ですが
     ・・・では、そうですね、その代わりとして
     先程の続きをお見せして頂いても宜しいでしょうか?」
     ドキドキドキ・・・・





    「は?」

    「え?」







    「何か私が難しい事を言いましたか?

     言ってませんよね。お二人が先ほど行おうとしていた
     "情事"を・・・私的な後学の為に
     完遂しては頂けないかと・・・・

     そう口にしたのですが」キリッ






    「・・・・じょうじ??;;」ダラダラダラ





    「・・・・はい、情事です。」
     クロイヤツジャナイデスヨ





     何かとんでもない一言が飛び出した。






     ―――相変わらず一切の冗談を口にしていないと思えるその
     鉄面皮から放たれる圧はすさまじいものだ・・・・



  42. 42 : : 2022/02/12(土) 01:41:46







    「いっ・・・言っている意味がよく解らないんだが・・・?」ダラダラダラ・・

    「そっそそそ、、そうです・・・よ・・・・!続きって・・・そんなッ・・・」バクバク






    「・・・・・?
     ですから・・・、あなたが先程、自ら仰っていた、
     "越えていない一線"とやらを、今、この場で
     そちらの彼女と越えて頂き、、、"未遂"と称していたものを
     "完遂”して頂きたい。


     ・・・これが私からお二人に対して、現状提示できる・・・
     この状況から無条件で解放できる最大限の譲歩です。
     

     勘違いしないで頂きたいのは・・・これが
     所謂"お願いごと"では無いという事ですが・・・。。


     ・・・そうですか、、どうしてもお見せ頂けない、
     と言うことなら仕方有りません。
     相手本陣の配置情報の代わりに、ここで見たありのままを
     「我が校の同志全員」に報告するしかないですね・・・・。

     克明かつ・・・子細に。。」ガッカリデス....
     クルッ・・・




    「わぁぁああ!!!;待て待て待て!!!悪かった!!
     それだけは堪忍してくれ!!何をすればいい??!何でもするから!!
     ホントッそれだけは!!////」





    「私からも、お願い致します!!ど、どうか御慈悲を~~!!!」
     ソンナコト、ニシズミドノニシラレタラ!!





    「いえ・・・、何をすればいいと聞かれても・・・

     お二人が"何をするつもりだったのか"、
     それが気になっていただけですので・・・私は。」オメオメ,,,




    「おいおい・・・そ・・・そんなこと言われたって・・・
     なあ、グデーリアン・・・・;一体どうしたら・・・・?;」オロオロ




    「仕方がありませんよ・・・!それがあちらの求める条件と
     あらば・・・かくなる上は・・・!や、やるしか・・・・・!////」
     ゴクッ・・・





     なんだかグデーリアンは・・・極度に追いつめられた時にこそ
     腹を括る度胸を発揮するらしい・・・流石と言うべきなのか
     何というか・・・。




     今は、その潔さがかえって困りものだ。




    「や・・・やる気満々じゃないか・・・;
     しかし、続きを今ここで行うと言っても
     "ドコまで”行くつもりだ??;正直私は・・・
     グデーリアン以外の目があるとなってしまうと・・・・
     は、恥ずかしくてリードとかできる自信がない・・・のだが...」



    「そういうことでしたら、"攻め"の手は私にお任せください・・!;
     何とか・・・ノリと勢いでやり切りますので!!(グッ)

     何か・・・意外なことに見られてると思ったら
     逆に漲ってきました・・・!///」
     ムフーー・・・!=3




     ・・・と思っていたが違った。。




     度胸云々とかいった話じゃなくて・・・・
     見られている事に興奮するという・・・つまるところ、
     グデーリアンは単なるマゾに近い性質を
     持っていただけのようだ・・・・・;


  43. 43 : : 2022/02/12(土) 01:44:21






    「そ、そうか・・・お手柔らかに頼むぞ;(諦)
     私としては・・・流石に第三者の眼が有るとなると
     恥ずかしくて自分から何かしようという気になれん・・・;」



     それも、これだけ至近距離で、穴が開きそうなほど
     じっと見つめられていたらな。



    「私も、どの程度に留めればいいのかとか・・・
     未経験ですので探りながらで行かせていただきますが。
     そうですね・・・、こう、合わせて互いに擦るとか、
     そういうのは・・・どうでしょう??」ドキドキドキドキ



    「・・・・え~と・・・それはつまり・・・あの、
     互いの弱点(ウィークポイント)
    的な部分を・・・という事か?;」



    「はぃ~・・・;」



    「・・・割とその・・・本気趣向(ガチ)だな・・・;」



    「しかし、それくらいして見せなければ、
     とても納得して解放していただける気配が・・・・」
     クルッ



    「・・・・・・・・・・(興味津々)」
     ドキドキドキ



    「(めっちゃくちゃ期待の籠もった眼で
     ガン見されてるじゃないか...)な・・・なぁグデーリアン。
     別に会話しながらでもいいと思うから
     いくつか話しておきたいことがあるんだが・・・」



    「・・・・?なんでしょうか」スッ・・・ トサッ


     返答を返しながらもスカートを下ろす素振りに、
     最早一切の抵抗が感じられない。


     ・・・ここまで来ると流石だと思うが・・・


     しかし羞恥心の判定基準が複雑だな。



     私に髪を触られるのはあんなに嫌がった・・というより
     恥ずかしがっていたのに。・・その彼女が今、
     対戦相手校の幹部級の人間が見ている前で濡れ場の実演を
     強要されて、それに素直に従おうとしている。



     ―――――自分のスカートと下着を脱した彼女は・・
     なにを躊躇することもなく、至って淡々と・・・表情に
     恥じらいを見せることもなく、私の側頭部に顔を寄せながら
     こちらのスカートに指を掛ける...




    「ふと―――――・・・本当にふと思っただけなんだが・・・
     各校隊長的なまとめ役は必ず居るわけで・・・
     大洗女子(ウチ)であればそれは当然西住隊長がそうなる訳だ・・・」



    「ふむふむ」
     スルスル・・



    「ではそうなると・・・ウチの場合、"副隊長"は・・・・誰がそれに
     当たるんだろうな?」





    「・・・・・?それはまあ・・立ち位置的にも、
     実質的にも・・・会長がそうなるのでは無いでしょうか・・・?
     アレ・・・でもそうなると西住殿じゃなく会長が・・・?」
     ンン・・・・?


    「私はな・・・かねてよりそれを考えた結果、
     やはりグデーリアンこそがそのポジションに当たるんじゃ
     ないかと思っていたんだが」



          「                」ピクッ



     ―――――と、ここで、明らかな動揺に手を滑らせた
     グデーリアンが、私の衣服を引っ剥がす手を止めてしまう。




    「っ・・・??!、い、いきなり何を仰るかと思えば・・^;
     流石にそれは突飛に過ぎる意見では・・・・・」


  44. 44 : : 2022/02/12(土) 01:46:43






    「いや・・・突飛でも何でもないだろう?それを言ってしまうと
     会長と西住隊長は・・どちらが副次的な立場という訳ではなく
     どちらも大洗にとっての首脳(ブレイン)的な存在なんだ。

     ・・・そこへきてグデーリアン。
     お前は・・・・」



    「・・・・?・・・・???」



    「直接頼まれた訳でもないのに自主的に敵情視察に
     単独潜入を慣行したり・・・・

     今この場においても斥候役を進んで買って出ているじゃないか」





    「・・・・ぇえ・・・・?;
     いえ・・・それは・・・・・そうは言ってもですね・・・;」
     オドオド・・・・



     私の言葉に向き合えず、しどろもどろと泳ぎ回る視線からは・・・
     どれだけグデーリアン自身の自己評価が低いか、
     まざまざと見て取れる・・・。


     そちらに気をとられるあまり、手も止まってしまっている。
     ・・・・やれやれだ。




    「・・・・・何故今私がこんな事を言い出したか・・・理由が聞きたいか・・・
     グデーリアン?」グイッ・・・


    「っ・・・ぁ_?」


     私とグデーリアンは互いに下に何も衣服を纏っておらず、
     地面には私のコートと互いのスカートやら、その下に履かれていた
     面積の少ない布地やらが敷かれている。


     その上にて立て膝の姿勢で向かい合う我々だったが、
     私の言葉に返す言葉に迷って手を止めてしまったグデーリアンを
     引き寄せる。


     先程は私にリードできる気がしないと言ってしまったが・・・
     こうなってはやるしかあるまい。



    「・・・会長と隊長、どういう経緯があって"そんな関係"に
     おちついたのか私には解らない。しかし・・・

     グデーリアンにその気があるなら・・・私はグデーリアンにも
     同様の恩恵があって然るべきだと思うんだ。

     ・・・つまり・・・その。、」



    「・・・・・・・・・」



     私と、グデーリアンの両目が、
     互いのピントの合わないほどの至近距離でピタリと合う。


     この状況を傍目から見ればまるで・・・
     そういう告白を行う場面のようにしか見えないだろう




    「私は・・・そんな、西住隊長の為に危険を省みず、
     そして僅かな躊躇いすら見せず
     我が身を投じていけるようなお前を・・・・、、、

     グデーリアンの事を、全力でサポートしたいんだ///」




    ########################

  45. 45 : : 2022/02/12(土) 01:47:40



     そこが幾ら洞穴の中とはいえ、流石にお互いこの様な格好では
     風邪をひいてしまってもおかしくないという状況で・・・


     ・・・しかし、今にも触れてしまいそうなほど
     密着した状態で感じるエルヴィン殿の顔から放たれる気化熱と、
     その一言が・・・第三者の監視を受けている身の上すら忘却させ、
     私の感情と羞恥心を一瞬で蒸発させてしまいました。



     しかし本当に・・・何故こんな事に・・。
     大会準決勝、開戦も早々に窮地に追い込まれ、
     相手校の陣地へ敵情視察に乗り込むも・・・

     何故かこうして今相手側斥候の見ている前でエルヴィン殿と
     蜜月を交わす様を晒す事になるなんて・・・

     努めて冷静さを保って居なければ頭がおかしくなりそうな
     この状況で・・・とうとうその覚悟を決めたエルヴィン殿の
     指使いが、私の身体の内でも今最も熱を持つ芯へと
     到達せしめると同時に、



     更に平静を保てない私にとって追い打ちになる、
     そんな言葉を投げかけます。




    「それからだな・・・・私からもう一つ・・・
     グデーリアンには謝らなければならないことがある」



     ―――彼女の言葉が。私の体躯に初めてその手指の末端を
     滑り込ませてくる事によるヒリヒリとした刺激と混ざり合い、
     耳元で聴覚の全てを埋め尽くす彼女の言葉が、
     私の最後の理性を打ち砕きました。






    「――今までこんな事に興味を抱くことが無かったといったな。

     ・・・・あれは嘘だ」ボソッ





                  「え?」







    「お前の事が好きだったんだよ!!グデーリアン!!!!」ガバッ!!






              「ッッ!??!??・・・・・!??!!!??」






     その言葉を皮切りに、今までの全てが吹っ切れたかのように・・・
     とたんに激しさを増していく指の動きと・・・私の口を塞いだ上で
     口腔をのたうち回る暴力的な舌使い。


     私は・・・この瞬間、自分の例をエルヴィン殿に重ねて、
     その言葉と、彼女が爆発させた感情の意図を少しだけ理解しました。





     ―――――きっと彼女は・・・・





    ##########################
  46. 46 : : 2022/02/12(土) 01:49:02


     ――きっと私は・・・怖かったんだと思う。



     何が怖かったって・・・グデーリアンに、
     同姓趣向の有無を打診された時に、咄嗟にその問いに対して
     全否定を行ってしまった件に関してだ。



     それについての興味を示唆しながら会話の一幕を切り出してきた
     グデーリアンに嫌悪感を与えずに応じるなら・・・
     寧ろ、自分にも"その傾向がある"と、正直(▪▪)に応えるのが
    妥当だったのだ。

     しかしそれができなかった・・・
     理由は単純だ。

     "あの三人"と暮らしている中で"それ"を芽生えさせたと
     素直に暴露してしまえば・・・私にとってその
     "発端であるグデーリアン"に、私の事を誤解されてしまうと考え、
     慌ててしまったからだ。


     結論私にとっての同姓趣向(ソレ)というものは・・・
     特定個人への興味と、好感に先立って確立されたものであり、
     端的に言うと、その他の同姓に関して、そういった興味は
     あまりにも薄い。




     言うまでもなくその相手というのが、




     ・・・・・他でもない
     今この私の目の前にいる・・・、突然のカミングアウトに
     言葉を失って固まってしまっているグデーリアン・・・



     いや、秋山優花里という一人の同級生だ。



     私からの突然の懺悔による気の動転によるものか、
     途端に激しさを増した私の攻めの手に対する慄きか・・
     それともすぐ側でその様子の一部始終を、まるで
     実験動物の観察でも行うかのように凝視するプラウダの副隊長の
     重圧に圧されてなのか・・・


     恐らくその全てをうけ、私の胸中にて声を失い、
     寒さのみならず驚きの連続に愕々と震える彼女を抱く私の胸に・・・



     走馬燈の如き早さで廻る、
     彼女と知り合って間もない日々の記憶が・・・
     この身と心を静かに、まるで火の粉を巻き上げて
     燃え上がる篝火のように昂ぶらせていく。。









  47. 47 : : 2022/02/12(土) 01:52:21






         ~~~~戦車道チーム発足から数日後の事~~~~









    「すみませ~~ん、だいぶ待たせてしまいましたか??」
     ハッ・・ハッ・・・・



    「いや何、大して待ってなどいないさ」
     キニスルナ



     ―――県立大洗女子学園。。



     その中でも問題の多い学内の実状をなんとか統治しながらも、
     実際彼女達そのものすら我が校を象徴すると言っても
     過言ではない位に"破天荒"という表現が板に付いた生徒会一同が
     提唱した、あまりに唐突かつ耳を疑う学内における
     新たなる必修科目の発表。


     ・・・つまり、永遠に凍結されていたとおぼしき
     "戦車道チーム”その、急遽復活に沸き上がり、
     願ってもいない好機とその募りに応じた私と・・・
     その他の顔ぶれを見比べてみても、我が校の生徒でもなく、
     外部に居る一般人からして見てみれば。

     募集要項に掲げられている、成績優秀者を対象とした特典に対し



     "この応募人数"="参加人数"でもある実状を前にして―――


     果たしてこれが少ないのか、多いのか。
     その判断を単純につけるのは難しい所だろう。



     結論から言ってしまえば―――






         ――――それはおそらく "どちらでもない"のだ。








     何故どちらとも断言できないのか・・・?
     生徒会の提示した条件に対し、この程度の参加人数であるというのは
     流石に少なすぎると言う意味でもそうだし・・・


     しかしながら、淑女の嗜みとして少々お堅いイメージも
     内包している"戦車道"という肩書きに対し・・・

     世間一般的に"女子高生"を自称する我々からすれば、
     その認識は一様にして"古くさい”という印象に
     鎧袖一触されてしまう事がほとんどだろう。


     そういう意味では逆に、普通科通いで戦車道などという
     言葉とは無縁な学園生活を送っていたものからすれば・・・
     "こんなに志願者がいるなんて"と驚かれた事だろう。


     生徒会メンバーを除く総志願者数・18人。


     「成績優秀者」という、基準すら不透明な条件を考えたにしても
     食券100枚贈与、三倍の単位追加に加えて200日分・・・
     つまり年間出席数を大幅に越える遅刻見逃しという、、、


     冷静になってみればどう考えても底知れぬ深い
     闇の気配しか感じられない人参を目前に吊されて飛びついたのが
     この人数では・・・・まあ、決して多いとは言えないのが実状だと思う。




     ・・・そうした報償ではなく、あくまで
     "戦車"に惹かれて集った我々のような・・・
     ごく一部の変わり者を除いて。






    「いぇ~~;!言い出しっぺの私が遅刻など
     断じて許されることでは有りません!!ここはどうか
     相応の罰で責任を負わせて頂きたく存じます!!」
     ヘコヘコ



     目の前で弾力豊富な癖っ毛を弾ませて
     平身低頭にペコペコと頭を下げているのが、そのごく一部の
     変わり者に該当する・・・同好の士、秋山優花里・・さんである。



    「では、戦車喫茶のブレンド一杯で手を打とうか」
     フム・・・


    「はぃ~~!その程度の賞罰でしたらもう何なりと・・・!」



  48. 48 : : 2022/03/07(月) 02:00:46






     私達は・・・なんというか、好きでしているとはいえ
     こんな私の出で立ちと、彼女の戦車を語る際の物腰を
     見て貰えば一目瞭然であるが・・・


     言うまでもなく似た者同士だった。


     戦車道チームという場で意気投合してからは、
     それまで互いの間にあった他人に対する心の垣根というものが
     一瞬で取り払われ・・・
     


     それまで互いに普通科通いではあったものの、
     この時期にさしかかるまで自らの趣味に向けられる熱が
     原因で友人の一人も出来なかったと語る彼女は・・・
     だからこそ、その反動を示す様に私との
     交友関係を一瞬で構築せしめた。



     驚くべきは・・・彼女のその、戦車に向けられる
     情熱の凄まじさだった。


     ・・それは彼女自身も自覚しているようで、
     いくら同好の士と巡り会えても


     常人ならばまさしく、その・・・
    常軌を逸すると言い表す他ない程に
     喰付きの深すぎる戦車トークの熱量と密度は・・・


     趣を同じくする者として、この私の中に確かに存在した、
     "遠慮”という稜線をいとも容易く破壊し・・・



     ・・・そして、乗り越えてきた。



     ・・・おかげで現在ではそんな彼女の扱いというか・・・
     接し方にも大分慣れてきた,,,



     いや、正確には私が慣れたというより、
     彼女自身の順応性がきっとそうさせたんだろう。






           ~~~戦車道喫茶四人掛け席~~~






     流石に放課後からこれだけの時間が経過していると、
     四人席を悠々と陣取る事に抵抗が生じないほど、
     周囲の客入りはまばらだ。


     我々の他に喫茶、もしくは喫食にいそしんでいる者の中には
     最早学生など居らず、家で夕餉を仕立てるのが億劫なのか、
     おそらくその日の夕餉を喫茶店のオムライスや
     ナポリタン等で妥協する年輩の方々、、

     若しくは何らかのデスクワークを一掃するために
     カンヅメしているのであろうか、非常に難しい顔をして
     度々眉間に出現させる渓谷を爪先で押さえながら
     ノートパソコンを指で親の仇かあるいは
     モヒカンの悪党かという程に情け容赦のない連打で
     滅多打ちにしている女性の姿...くらいしか見あたらなかった。










    「っ・・・ゴホンッ・・・・

     しかし秋山さん。
     本当に気にしてはいないと言うのも本心であって・・・

     こうして待ち合わせの時間に間に合わなかった事に対しての
     背景を知っている身としては・・申し訳ないと
     思っているのは寧ろこっちの方なんだが・・・」チラッ



     ・・・というのも、彼女の属する・・・Aチーム・・・もとい、
     あんこうチームの面々にあっては・・・
     我が戦車道チーム唯一の経験者にして、いまさら語るまでもない
     超実戦派・西住流の生まれでもある、西住隊長を除く全員が・・・


     ただでさえハードな生徒会及び、同隊長の放課後練習を終えた後、
     隊長にも内密で自主連を行っている。。



     無論、Aチームを除く私達の中にだって
     そうするべきだと思っている人間が居ないわけではないが・・・
     寮や家庭の門限などの諸々の都合も考慮すると・・・
     それが出来ないメンバーが大半を占めているのが実状だ。




    「いえぃぇ!!!(ブンブン)
     そんな滅相もないッ!!!私達自主トレ(コレ)は自分達がそうすべきだと
     判断してやってることですので!!」
  49. 49 : : 2022/03/07(月) 02:04:49



    「・・・・本当に頭が下がるよ・・・。。
     言い訳に聞こえてしまうかもしれないが私達にも
     それだけの時間があったらな・・・」



     説明の必要は無いと思うが・・・我々カバチーム(Dチーム)にあっては、
     学園艦上の一所帯を借りてのルームシェアという
     居住形式をとっている以上、4人の内誰かしらが先に帰宅を
     果たし、当番制である夕餉の調達を行う必要がある。
     ・・・その為、同じ様な練習に講じることが出来ないのが
     この上なく悔やまれる。


    「同じ居残り練習にしたって、
     Ⅳ号のみならず、我らがⅢ突もその場に加われるなら・・・
     仮想敵を見据えた練習もしようがあるというのに。」
     ムム・・・




    「あっはは・・・^^;

     それに、自主練とは言いましてもですね・・、
     監督役も兼ねている生徒会役員の皆さんと
     西住殿が不在の中では、もしもの事があってもマズいですから。

     ・・・そういった事情の手前、できる練習は自ずと
     照準合わせや次弾装填までのタイムアタックなどといった・・・
     本当に地味な練習のみになってしまいますから;

     当然発砲が絡む練習は経費や安全性から見ても流石に
     NGですし」





    「・・・だとしても・・・だ。(溜息)」






     本当に・・・彼女という人間はつくづく・・・・・





    「真っ直ぐだな・・・・」ボソッ





    「はぃ?」パラッ





     ラミネートで装丁されたメニュー欄を翻す彼女には
     私のつぶやくような一言が聞こえて居なかった様なので・・・
     よく考えると反芻するのも気恥ずかしさのある言葉だったので
     その場で繰り返す事はせず、彼女には別の切り口で問いかけた。




    「秋山さんは・・・なぜ大洗女子学園(ウチ)に来ようと・・・・?」



    「・・・っへぁ・・・?い、いえ・・・アノ???;
     エルヴィン殿もまた・・・おかしな事を言うんですね??

     私の様な人間が・・・20年も投棄されていた戦車道の復活なんて
     聞いてしまったら・・・そりゃもう履修科目一択に決まってるじゃ、、、」
    「~~~、じゃなくて;!!
     戦車道チーム・・・ではなく、、そんなのモチロン
     [志望校]のほうに決まってるじゃないか。

     秋山さん程戦車に対する思い入れが強いなら・・・
     サンダースやグロリアーナ・・・は、、流石に経済面で難しいにせよ
     もっと他に通いたい志望校だって・・・、

     い、いや、それこそ・・・・」ハッ・・・




     まあ・・・言い掛ける前からその可能性を考えなかった
     訳ではなかったが・・・私の言葉が言い切られる前に分かりやすい程
     暗転する彼女の顔が・・・、コレばかりはどうしようもない、
     と言わんばかりの心中を吐露しようと口籠もるのに合わせ・・・



    「まあ・・・その、何といいますか・・・;」エヘヘ・・



     咄嗟に私も、あまりに浅慮な問いかけだったという意味で
     謝意を示す。



    「す、済まない・・。すっかり失念していたが・・・
     ご両親は学園艦で・・・自営業・・・だったか・・・。。。

     やっぱりその・・・
     家庭の事情とか・・・そういったところだろうか」



    「はぁ・・・、まあ、お父さんお母さんが居てくれるから

     今こうして戦車趣味に没頭できる私が居る訳ですし・・・、
     幼心の私にそれを教えてくれたのも・・・
     わずかとは言えきっかけは父ですから(微笑)

     この・・大洗の学園艦上に実家の理髪店がある身の上を
     恨めしく思った事なんて一度もありませんよ・・・・」ェッヘヘ;




    「・・・・・・・・」
  50. 50 : : 2022/03/07(月) 02:07:04






     ばつの悪そうな苦笑いをしながらも、そう語る彼女の言葉は・・・
     恐らく偽りのない本心なのだろう。




     しかしながら、心のどこにも、思うところが無いと言い張るには・・・
     それは若干、寂しさの伴う苦笑でもあった。




    「っ・・・・ぁああぁ~~~;(ガシガシ)
     いけませんいけません!!折角の息抜きにこうして
     エルヴィン殿にもお付き合い頂いているんですから、
     暗い話題は無しの方向でここはひとつ!」
     バッ



     暗転し掛けた表情で、はっとした彼女は言うが早いか
     瞬時に頬を張ると、持ち前の明るさを体現したかのような
     芯の強い癖っ毛を自ら掻き乱し、卓上に鎮座していた
     戦車のミニチュアにしか見えないソレを
     素早く手元に手繰り寄せ、そして確認を促してくる。



    「エルヴィン殿は・・・本当にブレンド一杯で宜しいので???」



    「ぁあ・・・、本当に自腹でいいから、それだけで」



    「いーえっ、それだけはなりません!!(苦笑)

     然らば、、、・・・・とうっ!!」カチッ



              [[[  ッドガァァン!!"  ]]]



     彼女の中指が押し込む釦に応じて、車体下部のスピーカーから
     若干くたびれて掠れた、電子的な砲撃音が閑散とした店内に
     むなしく響きわたる。



     コールボタンそのものはただ発音するのみの役割しか
     果たしておらず、ボタン押下に伴って卓番が
     ディスプレイなどに表示される機構も
     とくに備わっていないため、

     当然混雑時にあっては店員は音の種類と、
     卓の様子と距離などで判断してオーダーを取りに来る。



     ・・・・・今この場ではその必要が無いくらいに、
     注文をしそうな客は私達以外に見渡してもいなかったが。




     それから互いに注文を済ませ、カップ一杯の湯気を立てる
     ブレンドが、最早温いと表現する温度すらを通り越し・・・
     完全に氷抜きのアイスコーヒーになった後。


     そこから一時間かけてそれをゆっくり舐めるようにして
     啜る、回転重視が本意である店側にとって、
     それはそれは迷惑なペースで私と秋山さんの戦車談義は続いた。


     まあ・・・店がもっと煩雑としていたなら流石にここまでの
     籠城戦は遠慮するところだったが、これほどまでに
     閑古鳥が鳴いているのだから、少しくらい多めに
     見てもらえるだろうと信じる心は確かにそこにあった。





     本当に・・女子高生が喫茶店で和気藹々と話し合う話題ではないと
     頭では理解できていたものの・・・



     私も・・・そして彼女も、



     とてもそんなことを気に留められるほど、
     談合の内容以外に気を向けられる状態ではなかった。




     ・・・・こんな時間がいつまでも続けば良いのにと。




     ・・・きっと彼女もそう思っていたに違いない。








             少なくとも、私はそうだった。


  51. 51 : : 2022/03/07(月) 02:09:57







            ~~それとはまた別の日の午後~~







    「ん~~っ、このマップは未だにスコア更新が捗らない
     難所なんですが・・・なんでしょう、今ならいける気がします・・!
     エルヴィン殿という心強い随伴が居てくれる今でしたら!!」
     ガチャガチャ・・・





    「秋山さんは戦車倶楽部のシミュレーターも
     相当やりこんでいると聞いていたが・・・まさかこちらもとはな」




     これはまたいつ頃の事だったか・・・・
     正確な日取りはおぼえていないものの、
     印象に強いやり取りがあったので覚えている事だが・・


     その日彼女と共に向かった先は・・・
     学園艦の休校日にしか向かうことが出来ない
     県外、都内でもかなり規模の大きいゲームセンターだった。


     寄港日に大洗港近辺をまわったとしても実のところ
     水戸くらいまでいかなければろくな規模のゲームセンターが
     無いので仕方のない事ではあるが・・・


     お目当てはやはりというか、当然というか・・・
     ここ最近では一番新しい、戦車に乗り込む臨場感を味わえる、
     アーケードの戦車ゲームだった。


     どこぞで見たことのある電車運転ゲームの最新版のように
     前方半分を複数のモニターで囲われ、まるで戦車に
     搭乗しているかのような臨場感を味わえるというものらしい。



     ・・・ただ、いくら臨場感を求めるといっても同時プレイ人数が
     二人までである都合上、操作システムを簡略化していようとも
     最低限のリアリティ追求のため、使用可能な車両は、
     軽戦車級までと限られている・・・・



     そういった面では妙なこだわりを感じるゲームでもある。



     通常、このゲームをプレイする場合、
     シングルプレイでは戦車の足まわり、つまり操縦手の役割は
     CPUが行い、プレイヤーが砲手を担当するわけだが・・・

     連れ添いが2Pを操作することにより、戦車の操縦もマニュアルで
     行うことが可能となる。。

     つまり、口頭での伝達を行いながら連携をとることで、
     ようやく通常ソロプレイでは行えない立ち回りが
     可能となるわけである。


     これまで、戦車仲間に恵まれず、一人孤独にこのゲームを
     やりこんでいた彼女には、どうしてもマップの構造上一人では
     やりこめないステージが有ったらしく、これだけはどうしても
     誰かに助力を乞う必要が有ったらしい。


    「いやぁ・・・参ってたんですよ。
     CPUに操縦(あしまわり)を一任してしまえば回収仕切れない
     要素があるマップで・・・逆に砲手をそちらに一任する事ほど
     このゲームにおいて無謀な賭けはありませんので・・・」シミジミ




    「成る程な・・・しかし、あまり期待はしてくれるなよ・・・;
     何せこっちは初陣だからな。

     えっと・・・このペダル・・・とレバーが・・・」ゥウム・・



    「いえいえ!!例えこのゲームに理解がなかったとしても、
     エルヴィン殿なら、基本操作だけ理解していただければ
     なんら問題ありません!」



     惜しむらくは、肝心の私にそこまでの練度が無かったこと・・
     というより、経験が無かった事であるが。



     ・・・しかし、その操作方法は実際の戦車と比べれば大分
     簡略化されていたため、すぐに経験のない私でも
     彼女の指導により、ポーランド軍軽戦車を手足の如く
     動かせるようになっていた。うむ、大分わかりやすいぞ。
     これなら小学生でも充分通用するんじゃないか?



     最近のゲームは凄いな本当に。







    「それでは・・・いきますよ!」


    「ああ、望むところだ!」




     今更言うまでもない事であり、
     それこそが彼女とこの私を、今こうして強く結びつけて
     いるものでもあるので、わざわざ実感し直す事でもないんだが・・・


     本当に・・・彼女、、"秋山優花里"という少女は・・・
     戦車道・・・・いや、"戦車"を心から愛してやまない
     存在なんだというただ一つの疑いようのない事実が・・・
     まざまざと感じられた。



  52. 52 : : 2022/03/07(月) 02:13:05






    「いやっ・・・ほっ!!!


               ふんっ!!


                    .......おっと!!!!」
         ガチャッ   ガチガチッ!    カチンッ!!







    「ただでさえ勇ましいTPの双砲塔にっ・・・・・・!
     貫禄と品位をもって今、必殺のッーーーーーー!!!!!」ガッッ!






           ドウッッ!!!!
                     ブッピガァン!!!!!!






     一際気合いの込められたレバーのトリガー引き絞りに応じて
     鼓膜のみならず全身を振るわせる発砲音と共に、
     画面中央に映し出された敵車両へ砲弾が吸い込まれていき・・・


     実際より若干...否、だいぶ派手なエフェクトと同時に、

     実際には戦車と言うより空想化学兵器が
     破砕するときに聞こえてきそうな奇天烈なSEを響かせて、
     敵車両が派手に爆散四散する。




     ・・・・そして終戦。
     彼女の悲願達成を告げるリザルトのバックに、、
     



     先ほどまで私たち二人の分身となって
     TP双砲塔型を操縦していた二人の少女が両手を広げて
     勝利を謳歌する様が画面一杯に広がる。。。





    「やった・・・・!!やりましたエルヴィン殿ーーーッ!!!!
     ハイスコア更新です!!!!

     今日初めての搭乗とは思えません!!」ブンブン



     ・・・心の底から喜ぶしかないと言うくらいの笑顔を輝かせ
     私の手を取ってくる秋山さんだったが、
     実際その時の私の中は・・・・


     この、実際乗員3名で操縦する軽戦車を2人で操縦して
     仮想空間を駆け回っているうちに頭の中を
     巡っていた疑問のみで支配されていた。



     それは・・・いつだかの戦車喫茶で彼女に私が投げかけようとした
     問いそのものだった。





    「・・・・・そうだ・・・思い出した。軽戦車といえば」








    「!!!~~~~、、、は、はぃ??なにか言いましたか
     エルヴィン殿・・・」






    戦車強襲競技(タンカスロン)―――――」
     ボソッ






    「・・・・・っ」ピタッッ




    「・・・そうだ、タンカスロンだ・・・秋山さん・・・
     君の性格だったら例え大洗に戦車道が無くったって・・・・・!」
     グッ・・・







     強襲戦車競技(タンカスロン)。それは・・・
     同じ戦車を用いた競技でありながらも、
     昔ながらの伝統と礼節を重んじる"戦車道"とは異なり、
     それらを"古くさい"、"時代遅れ"と考える人間が増えてきている
     昨今の若年層からの注目を密かに集め始めている、
     戦車競技の種目名である。


     "戦車道"と比べ目に付くルールや特色の違いについては・・・
     まず第一に車両等級の違い。



     "戦車として"参加資格があるのは軽戦車級の車両のみ。
     故に後述する自由度の高いルール性もあって、元の車両が
     便宜上・中戦車である・・・例えば89式中戦車であったとしても
     諸々の軽量化などといったカスタムを行い、重量さえ規定の
     軽戦車規格に収まるなら・・・これも参加資格を得ることができる。


     そして・・・戦車道とは大きく異なる・・・というより、
     賛否両論を巻き起こしている同競技の特色の一つとして・・・


     また、"密かに注目"され始めているその
     「密やかさ」を必要とされる最大の原因として



     "基本何でもアリ"という、雑把を通り越し、
     もはやスポーツマンシップを第一と考える大半の人種からは
     野蛮と非難されても仕方がない程の自由性の高さが
     挙げられる競技でもある。


  53. 53 : : 2022/03/07(月) 02:15:51







     "それ”がどれほど過激なのかと問われるならば。




     
     時に戦車の主砲"以外の"飛翔体武装の使用すら黙認されていたり。

     (流石に某アクション映画では無いのだからソレそのもので
     戦車を狙ったとかではなく、あくまで何か副次的な
     狙いあっての事だとは思うが、弓を用いて矢尻を飛ばした
     砲手が居たとかって話もあるし、それどころか
     "あの"アンツィオが参戦した際には対物狙撃銃を持ち出し、
     これによって相手の戦車を直接制圧したという話まで聞く。
     ・・・・もう戦車とか関係ない・・・それが事実だとすれば;)

     観戦者と競技者の線引きすら不明瞭な為、アンダーグラウンドな
     側面が非常に大きく、それ故いつそういった(―――――)アバウトな
     スタンスが原因で、競技中に多数の犠牲者がでても
     おかしくはない為、目下戦車道連盟の厳しい目も含め、
     その競技の存続自体も危ぶまれてはいるが・・・


     未だにその競技内でしか味わえない熱狂と興奮に魅了された
     一部の競技者達の支持もあり、その熱量と人気はやはり、
     "密かに"その火力を上げてきている。。




    「・・・・・・・・・」




     喜々とした笑顔で掴み取ってくれた私の手を握ったまま・・
     しかしその表情は途端に曇天に飲み込まれる太陽の如く、
     明るさを失っていく秋山さんの顔。


    「たとえ・・・大洗に戦車道がなかったとしても。
     使われていない戦車が倉庫に眠っているのであれば・・・

     その道だって」




    「・・・・あっはは...、、そうは仰いましてもエルヴィン殿・・・
     私の"この"性格を考えて頂ければ・・・難しい話でもなく
     簡単に察して頂けると思います...」ションボリ



    「・・・・・・?;」





    「・・・偶々運良く奇跡的に、、二人乗りの軽戦車がそこらへんに
     転がっていたとしてもです。

     同好会の認可が下りる規定人数はおろか・・・
     一緒に戦車に乗ってくれるようなご友人を・・・
     私一人でどうにかできたと思えますか???^;」




    「ああ、出来る。私は自信をもって言えるが・・・
     秋山さん。君のこの情熱をもってすれば・・・

     少なからず"私の様な人間なら"・・・・・」




    「・・・・非常に嬉しいお言葉ですが・・・

     でもそれはやはり買い被りだと思うんです。

     私がこんな風に同じ趣味を持っている方に接するように
     なれたのも・・・やっぱりこの大洗戦車道チームが
     発足してからの事でしたから。」



    「・・・・・・・」




  54. 54 : : 2022/03/07(月) 02:17:59






    「だから・・・・私は多分・・・いえ。間違いなく・・・・

     他の誰よりもこの大洗女子学園に、私の在籍中に
     戦車道を復活させてくれた生徒会の先輩方に
     感謝している筈だと思います~」ニコニコ




    「・・・・私でなくても察しがつく者は居るだろうが・・・
     その裏には絶対何かあると思うがな・・・・。

     現生徒会の面々が"我々のような人間"にはとても見えないし・・・
     生憎"そうでない生徒"・・・戦車道に興味すら無い生徒の中からも
     参加者を獲取せんとする、あの特典の数々・・・・

     それも、"成績優秀者"という言い回しがどうにも引っかかる・・・」
     ゥゥム・・・




    「それは・・・そうなのかも知れませんが。

     でも、私や・・・エルヴィン殿にとってはどうですか?」ジッ・・・




    「・・・・・///
         あぁ。。。
            ・・・・邪推だったな。

     動機や事情はさして問題ではない。
     私も無論秋山さんと同じ人種だ。志同じくする仲間と共に
     戦車に乗れる機会が得られるならば・・・・

     そんな色々は心底どうでもよかった」ハハッ



     己が栄光の為でなく。



     そうだ。勲章や賞与を得たいが為にこの場に居るわけではない。
     "私と彼女"にあっては・・・その点に関して
     他の追随を許さないくらい確固たる意志の元、
     この場に身を寄せているような人種である。




    「ならばいっそ――――・・・・
     "そんな色々な事情がもし無かったら"・・・・・
     
     私とエルヴィン殿でタンカスロンチームを立ち上げる・・・・
     そんな未来もひょっとしたらあったと思いますか?」




     ―――――そう、全ては・・・戦車に乗るため。




    「・・・・・有りだったかもな。どうだ?
     現実ではそうならなかった様だが仮想空間でなら
     今すぐにでももう一戦・・・・」チャラッ





    「・・・・!  い、いいんですか??!!(ババッ)
     アッ・・・としかし百円玉が!!!急いで両替してきますので!!
     しばし待機を!!!」ダダッ



    「・・・・・」フッ




     ・・・・・きっと、私の心は・・・少しずつではあるものの、
     この辺りの頃から確実に秋山さん


     ・・・もとい、グデーリアンへの想いを
     一層強めていくことになっていったのだと・・・・




     今この時になって漸く理解出来た。







     ――――――――――――――――――――――


     ―――――――――――――――――


     ―――――――――――――


     ――――――――――


     ――――――――


     ―――――


     ―――


  55. 55 : : 2022/03/07(月) 02:20:15






     ・・・・自ら想い描いていたのとは全く違う形。



     それも試合中の相手チーム参謀が間近で見ているという
     極めて異質な状況で自らの胸中を打ち明けただけでなく、



     その相手と、今すぐ"ナニ"かが始まってもおかしくない
     着衣の乱れた姿で絡み合っていた私と彼女だったが・・・・





     そんな状況に、またしても予期せぬストップが入る。





     {{{ザザッーーー・・・ ノンナ副隊長ッ!!ノンナ副隊長ッ!!??
      ヲッ・・・応答ねげぇますだ!!(願います!!)ザガッ}}}





    「・・・・・=3  ・・・こちらノンナ。
     どうしたというのですかニーナ。今良いとk....ゴホン。。
     敵陣地から目が離せない状況なのですが。」ツラツラ




    {{{ザザザッ==はっ・・・!??そっただ事・・・
     
     ノンナ副隊長はどつらに・・・??!こっぢは今っ
     ひぁっ!!??? ズガンッ!!!  ドドッ ザッ・・・・}}}




    「ッ・・・・・・?!?  ニーナ、応答を。
     今のは何の音ですか・・・・・、、、まさかとは思いますが」




    {{{い"っ・???!?!いいづけどん(言いつけ通り)持ち場ァ離れちゃいねぇですだ!!っ、ただぁ・・・・やづら(奴ら)・・・・!

     こっぢのKVー2のエンジントラブルさぁ気ぃとられでおまげに
     やっっだら吹雪いてきだどおもっだら・・・やづら(奴ら)
     いつの間にか大聖堂ハァ抜げだして・・・・


     そんまま本陣攻め込んで来ただ!!!!とぐ()よんごー(Ⅳ号)
     Ⅲ突の猛攻がしづこくって、本丸はも"うかちゃくちゃ....っだぁ!!!!
     ドガァァッ...ン!!!!ザザ・・・}}}







    「ッッ・・・・・・!やられましたね、、、


     まさか斥候そのものが囮だったとは・・・・無線の様子からして
     カチューシャも未だ昼寝から目覚めていないでしょう・・・・

     (バッ)ニーナ、KVー2の損耗は」




     鋭い舌打ちと共に鉄面皮を崩す副隊長殿。
     釘付けの視線に縫い止められる私とグデーリアンに、
     ほんのわずかではあるが自由と緊張感の緩和が訪れる。




    {{{エンジンそのものに"ぃ問題はねぇがらまだ
     白旗あがっではィねえですだ!!!

     ただぁ・・・妙な火の吹き方しだもんでどーすりゃいいが
     困っぢまっで・・・!!!そんな矢先に"ぃ・・・}}}




    「・・・・・・・・・」




    「―――――ハラショー(よろしい)。そのまま
     フラッグ車だけでも例のプランで死守し・・・私が到着するまで
     持ち堪えて下さい。5分・・・・いえ、3分弱で戻ります。」






  56. 56 : : 2022/03/07(月) 02:22:32





    「なん・・・でしょう・・・??一体・・・」
    「(おそらく・・・作戦には無かったが私が戻らなかったから
     ・・・"奴"が動いたんだろうな・・・・さぁ大変だぞ・・・;
     この天候に乗じて多少の無茶をやらかしたみたいだが・・・
     プラウダの砲手が戻ってしまったら形成が逆転しかねん(小声))」


     流石に密着していないと外気の関係で
     凍えてしまうというのもあったが・・・現在捲り上げられた
     衣服と何も纏っていない下半身という姿・・・つまり半裸の状態で
     身を寄せ合っていた私とグデーリアンの小声のやりとりが
     果たして聞こえていたのかいなかったのか・・・



    「・・・おそらく意図してのものではなく即興の
     強襲プランなのでしょうが・・・ともかく
     こうもしていられなくなりましたね。

     ですがあくまで・・・私が戻り、カチューシャが
     目を覚まして戦列に加わればそれで終わりです。この続きは
     いずれお付き合い願うと思いますが・・・それまでは
     しばしお別れとしましょう」フラッ,,,,




     それまでこちらに向けていた興味津々といった視線を
     あっさり切り上げた彼女は、




    ダスヴィダーニャ(さようなら)」フッ・・・





     それだけ言い残すと、最初に私たち二人の前に
     現れた時と同様に・・・まるで最初から居なかった存在のように、
     洞穴の出口に向かい、強風に霧散する粉雪のように消えていった...









    「た・・・助かった・・のか・・・・・??(ガタガタブルブル)」




     貞操観念から見た、個人の尊厳的な意味にせよ・・・
     生命維持の観点から見た物理的な意味においても・・・
     私たち二人は・・・確かに助かったんだろう。



    「そ・・・そのようではありますが・・・・さ、サスガにこの・・・
     極寒の中での半裸はッ、、ぅぅ・・!!(ブルブル)
     厳しっ・・・かったですねェ・・・」ガクガク
     ソソクサッ・・・



    「っ・・・、、  

                    !!!!」ピタッ



     ・・・と、その時、急いで下半身の衣服を、
     たった二枚とはいえ身に纏わんとするグデーリアンの身動きが、
     一際大きな震えと共に静止した....



    「あっ・・・あの、そのぅ・・・・え、ぇエルヴィン殿・・・????」
     ガタガタガタ


     その身の制止で以て必死に縛り付けているであろう
     生理現象の躍動は・・・今の今まで下着すら着けずにいた
     私にも・・・・同様に襲いかかって来ていた。



    「・・・・ん、。何だ?」


     ただし、その逼迫度は目の前で脂汗を滝の如く滲ませる
     彼女程では無かっただろう。彼女の全身が纏っている
     落ち着きのなさ、それからこの寒さに関わらず
     顔面を滑っていく汗がそれを物語っている。


    「ぁあ、、
          あの、アノ、あの・・・・
                    その、ワたくし


     寒さのあまり上手く着替えが出来そうもないので、
     よければお先に洞窟から脱出して・・・」トトッ・・トトトト




    「そうか?奇遇だな。私もスカート一着履くのに
     難儀するほど手が震えてしまってだなあ・・・・・
     是非ともグデーリアンには先に洞窟を出て欲しいと
     思っていた所なんだが・・・

     凄いドモり方だが・・・大丈夫か?」ニヤニヤ

  57. 57 : : 2024/03/07(木) 02:38:14



    「っ・・・・~~~ッっ・・・・//・・//////」
     ジタジタジタ・・・・



    「・・・・?オイどうしたグデーリアン・・・」
    「す、、、、すススみません!!冗談抜きにもう・・・
     もう本当に限界なんですゥ・・・・!!!!////
     もういまこの瞬間にも・・・・!」ジワッ・・・
     ワタワタワタ



    「・・・・=3」



     少し意地悪をしすぎてしまった気もしたが・・・・
     仕方がない。私も限界だったし・・・
     "無事解放された"とはいえ・・・

     "この状況の先に"何かを期待をしてなかった
     ワケでは無いこの私にとって・・・

     
     普通の女子学園生活を送っていたらまず至り着けぬ
     非・日常的なハプニングに対する憧れとか・・・



     そんな気持ちは確かにあったんだ。




    「分かって居るとも。私も限界だったからな。
     だからグデーリアン、今回は痛み分けとしようじゃないか」ガタガタ
     ニッコリ


                ガシッ



               「ぁへ!??」ビクッ



     そんな擬音が聞こえてきそうなくらいしっかりと
     肩をとられた事に対してか、もしくは、そうして笑顔で
     傍らに拘束してくる私の手が自分以上に震えていたことに、
     いい知れない不安を抱いたのか、彼女が焦燥の悲鳴を小さく漏らす。



    「ぇっ・・・エルヴィン殿・・・ぃ、ま・・・私の話・・・・」ビクビク
     フーッ・・フー・・・///!!!!



     私の腕による拘束で既に警笛を鳴らしている膀胱の
     氾濫警報が頂点を突き抜けてしまったのだろう彼女は、
     下っ腹に凄まじい力を込めての腹式呼吸を行いながら、
     真っ赤な顔で抗議の眼差しを向けてくる・・・・・

     その、腹から絞り出すようにして
     紡がれる一字一句が彼女の心情を表すようにして
     震えているかのようだ。



     きっと・・・・




     戦争の真っ直中、今の今まで本気で殺し合っていた敵兵を
     紙一重で制圧した時、その相手が虫の息で武器を捨て、
     両腕を掲げながらも捕虜の殺害を条約違反であると
     訴えながら命乞いをしてきたら・・・



     そいつは、今この瞬間の私のような気持ちに・・・少しは
     なっていたかも知れない。


     それくらい、必死に何かを訴えかける・・・
     感情の籠もった眼差しが、そこにはあった。



    「ぁあ。聞いていたとも。

     時にグデーリアン、下着を着けたままでは
     流石に用を足せないだろう?」


     ズルッ。。。。    ストン


     先ほどまでその全身を小刻みに揺すったり、
     激しく足踏みを行うことで襲い来る排泄衝動を振り払おうと
     抗っていた彼女だが、その段階は既に踏みはずして
     しまったのだろう。今はもう、身動き一つで
     自らのダムが決壊するのを悟ってしまっている。


     そんな彼女の肩に片腕を乗せたまま正面に立った私は、
     何を臆することもなく彼女が急いで身につけていた下着を
     足首辺りまでずりおろす。  そしてその勢いのまま、
     肩にかける重圧を増大させ、自らも同様に、彼女の真隣で
     しゃがみ込む。
  58. 58 : : 2024/03/07(木) 02:40:38





    「~~~~~・・・っ!!!~~~~・・・・....。。。。」シュンッ・・・






     強制的にしゃがまされるまで驚異的な精神力で
     堪えていた彼女の表情が、自害の意を決した一兵卒ような
     諦観の極みに達したその時・・・・


     彼女の全身から、糸が切れたように力が抜け落ちた。。


     これまで必死に執着していた生への希望、
     一縷の望みに賭けて諦めまいとしていた意志の消失と・・・・

     もう頑張らなくていい、という安心感の入り交じった
     表情に・・・全身を縛り付けていた緊張の解放と共に
     先ほどまでのモノとは異なる頬の赤らみを見せ、
     背筋を駆け上がる怖気に首筋を仰け反らせるグデーリアン。




     ・・・また、彼女ほど差し迫った段階では
     ないとはいえ、この極度の寒波の中、
     同じような軽装でほぼ排泄の抑制も
     限界に近かった私も、全身を弛緩させる。



     ただし此方は彼女と違い、至って自分の意志で
     放水弁を緩めただけなので、実際彼女程の葛藤が
     襲い来るというワケでも無かったのだが。





    「・・・・・ぇルヴィン殿・・・・・・」シクシク





    「・・・・・・ん。。。/////」ブルルッ



     炎天下のアスファルトに散水した瞬間を想起させるような
     二つの水音が、私たち二人の耳を叩く中、比喩でも何でもなく
     涙を流しながら俯く彼女が細々と言葉を紡ぐ




    「ホント・・・今だけはこっち・・・・・見ないで下さいね・・・・・////////;;;

     あと、鼻で息するのも絶対NGで,,,」シクシクシク;





    「ああ・・・・///目で見ずとも、音と熱で充分伝わってくるがなぁ」ホカホカ
    「そういうのも一切禁止でお願いしますゥ!!!!!」ブンブンッ!!
     イァァアアアアアア!!!!!!




     濁流の如き勢いで外気に放出される二人分の体温。
     ・・・・ここまでの辱めに親友を巻き込んでおきながらも
     これだけは釈明させてもらうが・・・・


     私自身には・・・なんだろう、こういった
     排泄している状況だとか、排泄されたモノ・・・
     それらに特化して何か自身の性衝動を
     駆り立てられるような趣向を持っているワケではない。





     しかし、モノは考えようというもので・・・
     今私と同じように隣で、普段は決して人前で外さない制御弁を
     解放して全身を震わせる彼女というのは・・・・



    「・・・・・・///////」




     幼少期等、自立していない時分を除けば
     それは誰にも見せたことのない、鏡を見ながら
     用を足すような時の彼女自身しか知らない
     彼女の顔と言うことになるわけで





    「・・・・・・・・ぁのう、エルヴィン殿。。//////」





    「・・・なんだ、グデーリアン」





    「こっち・・・見ないでって言いましたよね私ぃ....」
     ウッ。。ウッ・・・・;////



     その訴えの声色には・・・切実な願いを反故にされた事に対する
     憤りの色などは感じられず、寧ろそのまま縮こまって
     貝になってしまうのではないかという物腰で、膝を抱え込む
     グデーリアン。恥辱の極みによるものか、赤熱した顔色も
     既に危険域に到達している。




  59. 59 : : 2024/03/07(木) 02:42:42





    「・・・おやぁ、?私の勘違いでなければ・・・
     君の言い分には矛盾が生じるんじゃないか?

     君も私を見ていないならなぜ私の視線がそちらに行っていると・・・」





    「息っ・・・・が、、、その!!さっきから顔に
     当たってるんですぅ///!!!!」ブンブン




    「・・・・気のせいじゃないか?

     ・・・・!ああ、それは私の吐息じゃなくて下から上ってくる
     蒸気だろ。。なにせ二人分だからな。」




    「声の感じでもわかりますっ!」



    「・・・・顔しか見てないよ」



    「・・・・顔だけでも勘弁して下さい...////」



    「・・・すまん、正直に聞いて良いか?
     それは何故駄目なんだ?」



    「恥ずかしいからに決まってますゥう~~~~~!!」
     ブンブン!!!!



    「・・・・そうか・・・恥ずかしいから・・・・、、

     いや、今更かもしれないが、君がそこまで
     羞恥心に対して拒絶の色を強く見せるとは思ってなかった。

     そこまで言うのなら・・・済まなかった、
     もう二度とこんな事はしない。」




     またまたお決まりの押して駄目なら・・・退いてみろ・・だ。



    「だが、これだけは誤解をしないでおいて欲しい。
     私は・・・"普段決して見ることが出来ない"君の顔を
     見たいという意志が興じてしまっただけであって・・・

     断じて君が本気で嫌がる顔を見たいからといって辱めを
     強要したワケじゃないんだ。

     ・・・イヤ本当に済まなかったよ。反省している」


    「・・・・・・」ジト....


     
     「それにもう一つだけ。
     これも聞いておいて欲しい事だが。。

     グデーリアン、キミのその、誰にも見せたことがない
     生理現象の解放に惚ける顔・・・とても良かったぞ」




     ついでにもう一撃、だ。





    「ぇ、、エルヴィン殿・・・・」ジワァァ・・・




     顔を正面に向けた為視覚から得られる情報では
     知り得ない事だが・・・きっと、声質の潤みかたからしても、
     彼女の下瞼には涙腺からひりだされた涙が貯まっている事だろう。



     それは極度の羞恥心と・・・喜びが入り交じったような、
     何とも不思議な表情変化。





     ・・・・同時に、ちょっと良い雰囲気を醸し出そうにも
     私達二人は、揃って野外排泄の真っ最中・・という何とも
     締まらない状況でもあるのだが。、




    「っ・・・・フウッ・・・・」ブルブルッ



    「んっ・・・!!///」ゾクッ



     私と彼女、ほぼ同時に排水は打ち切られ、
     残尿感を振り払う為の身震いを行う。



    「っ・・・、あ、そのエルヴィン殿・・・
     良かったらこれ、使って下さい、、、」スッ
     クシャッ...


     彼女の手に幾つか握られていたのは、
     コンビニやファミレスで手に入るような・・・
     個別包装のウェットティッシュ的なお手拭きだった。

  60. 60 : : 2024/03/07(木) 02:47:17





    「、、おお、有り難く頂戴しよう。
     しかしグデーリアンは準備が良いなぁ。

     もしかして本当は最初から用を足すつもりで・・・」
     クシャッ・・ ビリッ




    「せっ・・・戦車から飛び出す際に武部殿が
     気を利かせて投げて下さったんです!!!
     私は最初からそんなつもりじゃ・・・!



     ・・・い、いぇ、まあ私は私で自分用に持ってましたし、
     折りたたみスコップとかも常時持参してはいますけど・・!!


     でもそれはそれです!!!///」




    「・・・・悪い悪い、悪かったよw
     ほんの冗談だ。共に隣り合って戦場で用を足した仲じゃないか、
     そう目くじらを立てないでくれ」ッハッハッハ




    「っ・・・・!!グムム・・・!!!っ・・・
     はっ・・?!?いえ、そうですよ!戦場と言えば・・・

     こ、こんな事してる場合じゃありません!早く・・・早く
     プラウダの副隊長が戦線に戻ろうとしている事実を
     誰かに伝えないと・・・・!」バタバタ





    「・・・・ぅぅむ・・・はやる気持ちは分かるが・・・
     ここは我々が慌ててももはや仕方が無いことだと思うぞ。」




    「っ・・・?!?エルヴィン殿・・?!
     もうこの状況・・・そんな楽観的でいられる
     段階では・・・?!!」オロオロ






    「・・・まあ落ち着いて聞け、戦友よ。
     無線の内容から察するには・・・

     拮抗状態を崩し・・・状況好転を狙い、
     奇襲の一手を指したのは我々だ。


     ・・・無論我々・・・もとい西住隊長なワケだが・・・
     プラウダの主戦力と、フラッグ車の装甲を考えれば、
     我が校で王手を指し込める車両は限られる。


     ・・・・そう、"我々"か・・もしくは"君達"の車両だ。」




    「・・・・・・・!」ピタッ




    「加えて先程の無線連絡だが・・・

     通訳が必要な程ではないとは言え結構な東北訛りで
     伝えられた内容の中でも・・・一つ聞き逃せないものがあった。


     ・・・全て私の憶測になるが・・・」




    「は・・・はい・・・・・??」ゴクッ




     現在の状況が第三者の聞き耳を警戒しなければいけないような
     ものではないというのに声のトーンを落とし、なおかつ
     身を屈める私の物腰から、何かよからぬ空気を
     察したのだろう彼女も、同じようにして身を屈める。




    「反撃の口火を切って出たのは、
     おそらく・・・ウチの"門佐"だ。それも・・・西住隊長の指揮下ではなく
     ・・・あくまで単騎で・・・戦車強襲競技(タンカスロン)寄りの強攻策でもって
     均衡を崩しに行った可能性が高い・・・・;」




    「・・・・・・・・!!!」




    「いずれにせよ・・・急いで戻ったところでそこは
     砲撃弾幕が降り止まぬ鉄火場だ。

     むこうの副隊長が戻ってさらにその戦火が激化している中に
     我々斥候二人が舞い戻れる余地など更々無いだろう。


     こうなってはもはや・・・我々は副隊長をここに
     引きつけていた時間だけでどれだけ大洗に貢献できたか
     腹をくくって待つ他あるまい」




    「っ・・・・そ、それは・・・まあ、エルヴィン殿の仰る
     通りかもしれませんが・・・でも・・・!///」ぐっ




    「それと・・・これは直接そっちとは関係ないんだがな。
     グデーリアン、さっきから随分とすごい赤ら顔を
     している様子だが・・・大丈夫か?;まだ出せる分を
     我慢してるとかは・・・」




    「いっ・・?!??!?イエイエイエイエ!!!出すべきモノは
     全部出しました!!誓って嘘は。。!!」グラっ




    「ッ・・・・!!」



     屈んでいた姿勢から一気に強い否定を見せながら
     立ち上がる際、普段維持している平衡感覚の欠如に
     ふらつきを見せる彼女を・・・私の両腕が抱き留めた。


     やはり、その全身は先程とは異なる震えを帯びており・・・
     額に当てた私の掌から・・・彼女のコンディションが
     思った通りの不調を訴えていると確信させるのに充分な
     熱量を感じ取った。



  61. 61 : : 2024/03/07(木) 02:48:30




    「・・・・やはりな。
     この極寒の中そこそこの時間半裸を強要されてしかも
     体温と水分が一気に失われる排泄まで行われれば・・・

     熱くらい出るか。私は・・・・コート(コイツ)に救われたようだが」



     そう・・・疑いの余地もなく、彼女の体は平熱を遙かに
     上回る体温上昇に見舞われており、鼻腔からはそれを
     助長するように一筋の滴が延びていた。




    「いっ・・・いえいえ、これは単に寒さで!!」ズズッ




    「分かった分かった。なら、強情を張らず、
     今はとにかく安全最優先でこの場を離脱し・・・
     
     無線の有効な位置まで戻ったら味方の邪魔をしないよう
     立ち回るしかない。ほら、まっすぐ歩けるか?」グッ・・・




    「あっ・・・、歩けますとも!これ位全然へっちゃらで・・・!」ガクガク
     ブルブル




    「・・・・・(溜息)=3」



     他校の生徒に気取られることなく潜入捜査を完遂せしめる
     彼女の秀逸な欺瞞能力はそこになく・・・


     ただ、嘘が下手な彼女の痩せ我慢を全身で表す姿が
     あるだけだった。


     排泄に耐えているのでないとすれば、その足の震えは
     流石に一人で足場の不安定な雪路を歩かせるわけに行かない
     レベルだ。



     ーーー仕方がない。




    「、ほら、」ザッ




    「・・・・・・??;」



     急に背を見せてしゃがんだ私の真意がすぐには汲み取れない・・・
     そんな顔を見せたのも2秒程の話で、逆に言えば私のこの姿勢が
     どんな意向を示しているのか、瞬時には導き出せない程に、
     彼女の脳の処理能力は低下しているという事になる。




    「ほら、無茶は止めて遠慮なく乗っかってくれ。
     ここで無理をされてなにかあってからでは遅い。

     まあ、私の背中に身を預けるのが不安というなら
     強要できるものではないが・・・。。
     こう見えてそこまで非力じゃないぞ。

     ・・・君ほどの健脚でもないがな」



    「・・・・~~~・・・・」ジトッ・・・




     割と希少価値のあるものだろう。
     彼女という人間が、人の好意を前にして意地を張り、
     その好意に応じまいと食い下がるこの光景は。




    「どうしたグデーリアン。時間が惜しいんじゃないのか」
     ホレホレ




    「エルヴィン殿、さっき見ないでって言ったのに
     私のほう、見てましたよね、、」ジトッ・・




    「・・・・・!」




     ・・・・・これはなんと言うことだろう・・・・・?!





    「私がもう限界だって言ってるのに
     解放してくれませんでしたよね・・・・・!;」ジットォォ・・・・




     非常に信じ難い事実だが・・・・今目の前の彼女は・・・・・・
     この私に対して、"疑い"と"拒絶"の色を露わにしたのだ。

  62. 62 : : 2024/03/07(木) 02:51:33





     無論、普通に考えるなら友との間にあってこの二つの感情は
     あまりプラスに受け取られるものではないのだろう。


     しかし、それを隠しもせずに、堂々と相手に対して
     自分が思っている事として晒けだすとなると
     話はまるで違ってくる。



     互いに自我を持つ人間として一から十まで相手に
     抵抗無く順応できる人間などそうそう居ない。。


     というのは
     改まって言うまでもない事だが・・・


     そういった順応性に他人より秀でている彼女が
     よりによってそれを他人に晒け出すというその行いは・・・





    「・・・・グデーリアン、ひょっとしてお前・・・・・」




    「・・・・・??ひょっとして???;なんですか」ジリッ・・




    「ぁあ、いや(笑)なんでもない」
     ドッ,,, ガシッ



    「わ」



     背中から軽くすくい上げるような体当たりをお見舞いし、
     少々強引に彼女を担ぎ上げたが、思った以上に
     抵抗する力も弱く、彼女自身の意地がどうとか以前に
     やはり彼女のコンディションは大分悪化している様だ。



    「ほら、もう足下がフラフラじゃないか。
     こんな有様じゃ積雪に足を取られて即転倒だ。

     そこに味方の砲撃でも飛んできたらと考えたら・・・」






               ッ・・・・ドン.....!!


                「「・・・!!」」





     洞穴の出口に近づいた事で外の音が
     耳に入りやすくなったのも充分に原因の一つに
     あげられるが・・・


                  ...ドンッ!!




     この砲声・・・そして砲撃間隔。




    「・・・・・・・」



     私よりも彼女の方が、実際聞こえてくる砲声に感じる
     嫌な予感は大きいだろう・・・その背に預ける彼女の鼓動と、
     全身の震えが少し違うリズムを刻んでいるのが分かる、、、。




    「まずい・・・まずいですよ・・・・!この・・・・・・・!!!
     122mm砲の等間隔で聞こえる砲声、、、!!

     きっと・・・フラッグ車が・・・・アヒルさんチームが・・・
     さっきの副隊長に・・・・・!!!」ガタガタガタ



     相変わらずどういう聴力をしているのか・・・
     ここまで離れてしまうと私でもその砲声での
     聞き分けなどという離れ業は真似できるものではないが・・・


     この・・・・仕留めるべき獲物をスコープに納めた
     狙撃手が刻む、効力射への歩詰めの様なリズムで
     曇天に響かせられる砲声は・・・


     さしずめ敵対する我が校側からすれば、唐突に訪れる
     死への秒読み(カウントダウン)以外の何物でもない・・・



     周囲の積雪と、降雪の続く雪原を経て届けられる砲声は、
     若干低く、そしてくぐもった音で、私達二人の全身を縛り付ける。

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ne5716

夢馬

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