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屍の上に

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  1. 1 : : 2021/03/23(火) 01:34:19
    ・・・・・・

    ドット・ピクシス駐屯兵団総司令指揮官

    人類活動領域最南端に位置するトロスト区における最高防衛司令官であるピクシス司令は、生来の変人とも呼ばれる

    しかし、そんな司令の下す判断、作戦はいついかなる時にも的確であり、同時に大胆不敵である

    いざという時には兵士の命を切り捨てる非情な決断を下すことができる数少ない絶対的なカリスマ


    今回の作戦も、いかにもという内容だった・・・・・・





    進撃の巨人∼John Doe∼

    第4話 屍の上に
  2. 2 : : 2021/03/29(月) 03:26:49
    ・・・アルミンの主張を受けても尚、"処罰"を与えんとしていたキッツ隊長の合図を止めたのは、総司令官であるピクシス司令だった。

    その光景を見ていたジャンとライナー、アニ、ベルトルト、そして私は駐屯兵の方に連れ戻され、指示を待っていた。


    壁上にピクシス司令が現れたのはしばらく経ってからだった。

    作戦内容は、巨人化したエレンがトロスト区で掘り起こされている大岩を破壊された開閉門に運び、穴を塞ぐこと。

    シンプルかつ分かりやすい作戦ではあるが、この作戦を実行するためには、大岩付近の巨人と、開閉門への道中で戯れる巨人を討伐、付近から遠ざける必要があった。

    その任に当たるのが、私達生き残りの訓練兵であった・・・・




    クリスタ「エレンが、巨人・・・どういう事なの・・・?」

    ユミル「考えて分かるようなもんじゃねえだろ・・・まぁ、少なくとも今まで隠して立ってわけでもないみたいだが・・・」

    クリスタ「隠してた・・・それって・・・」

    クロノ「もしかしたら、エレンが"人類の敵"だったかもしれない・・・そういう事だろう」

    クリスタ「でもエレンは巨人と戦ってたし、それに・・・」

    ユミル「分かってんだよそんなこと・・・だがまあ、今まで一緒にやってきた同期はともかく、今日初対面の先輩方にとっちゃ、敵に見えても仕方ないだろうよ・・・」

    クリスタ「う・・・・」

    クロノ「エレンが味方であると証明する、それも兼ねてのこの作戦なんだろう・・・ピクシス司令は、少なくとも他の兵士よりかは信頼してるみたいだから、ひとまずは心配ないだろう・・・」

    ユミル「・・・・まぁなんにせよ、私とクリスタが無事ならなんだっていいさ・・・ていうかお前、絶対無茶する気だろ」

    クロノ「まあな・・・ここを失えば、人類は今度こそ終わる・・・鎧の巨人も遠くなる・・・・」

    ユミル「けっ・・・・あまり巻き込むんじゃねえぞ」

    クリスタ「ユっユミル!!そんなこと言わないで私たちも・・・・」

    ユミル「ほっといてもほっといてなくても無茶する奴について行ったらすぐ死ぬからな・・・それに、むしろ私らがいない方が自由に動けるだろ?」

    クロノ「・・・ああ、助かる」

    クリスタ「クロノまで・・・」

    ユミル「本当にいざとなったら助けてやるよ・・・・まだ貸しが残ってるからな」

    クロノ「分かってる、行くぞ」
  3. 3 : : 2021/03/30(火) 16:23:55



    凄惨で、薄暗い。

    それでいても尚、兵士は強くあろうとする。


    その先にある未来を夢見て・・・・


    ユミル「この辺の巨人はもういいだろう、十分壁の近くにおびき寄せた・・・あとは砲兵部隊の先輩さん方が何とかする・・・・」

    クロノ「壁を登ろう、後は吉報を待つだけだ」

    クリスタ「もう登っちゃうの・・・?」

    ユミル「不服かクリスタ・・・私らの担当範囲はもう終わったんだ、これ以上留まる理由も必要もない・・・ほら」

    ユミルが指した指の先には、そそくさと壁を登るジャン達の班がいた。

    ユミル「任務を終えたのは私らだけじゃない・・・行くぞ」

    クリスタ「残ってる人は・・・・」

    ユミル「助けに行っても返り討ちがせいぜいさ・・・壁付近に密集してるやつらの中には例え精鋭部隊でも無理だ」

    クリスタ「うん・・・・・・」

    ユミル「分かったら、さっさと行くぞ・・・ん?」


    壁を登ろうとした瞬間目にしたのは、作戦中断を示す赤の煙弾。

    そして、主作戦地域に飛ぶアルミンの姿。


    ユミル「中断・・・エレンが巨人とやらになったのは結構直前だっただろ・・・っておい!!」

    クリスタ「アルミン!?どこにーーーー

    ユミル「待てクロノ!!」

    クリスタ「えっ」

    振り返った先に見えたのは、アルミンを追うために今にも飛び出す寸前のクロノ。

    クロノ「アルミンは俺が追う、先に撤退するんだ」

    ユミル「待てよ、オイ!!・・・・行っちまった・・・」

    クリスタ「まって、わたしもーーーー

    ユミル「とまれクリスタ!」

    クリスタ「っ!?なんでよユミルこれじゃあ二人とも・・・・」

    ユミル「だからって後追いはすんじゃねえよ、助けに行って自分が死にたいのかお前は!!」

    クリスタ「くっ・・・でも・・・・・」

    ユミル「こういう時は、信じて待つんだよ・・・・アルミンは知らんが、運も実力も持ってるやつがいるんだ・・・」

    信じるなんて糞喰らえだが・・・・・・

    ユミル「きっと大丈夫だろう・・・・だから登るぞ」

    クリスタ「・・・・・うん、わかった・・・」


    いつぶりだっけな・・・・"信じる"なんて思ったのは・・・・

  4. 4 : : 2021/04/26(月) 01:09:27
    空を切る

    巻き取られるワイヤーの音

    視線の先には、恐らく親友がそこにいるであろう巨人の蒸気


    エレン・・・君は、いったい・・・・

    クロノ「アルミン!!」

    アルミン「!!クロノ、なんでここに・・・」

    クロノ「お前が飛んでいく所を見たから、追いかけてきたんだ」

    アルミン「そうか・・・僕は今から、エレンのところに行く」

    クロノ「ああ」

    アルミン「・・・よかったら、クロノにも来てほしい・・・一人で飛び出しはしたけど、やっぱり少し怖くてね・・・」

    クロノ「任せてくれ、護って見せる」

    アルミン「ありがとう・・・・行こう!!」

    ーーー
    ーーーーー
    ーー
    ミカサ「エレン・・・どうして・・・・」

    アルミン「ミカサ!!」

    ミカサ「アルミン・・・!どうしてここに!?」

    アルミン「作戦中断の煙弾を見てきたんだ、エレンはどうしたんだ!!」

    ミカサ「エレンは巨人化した、けど、その巨人にはエレンンの意志が反映されていない!!」

    アルミン「!?どういうことだ・・・・エレン」

    ミカサ「!!アルミン、逃げて!!!!」

    アルミン「!!」


    アルミンの背後に颯爽と現れた中型の巨人

    すぐさま戦闘態勢に入り、アルミンを救おうとするが・・・・


    ミカサ「!!クロノ・・・あなたまで、ここに・・・」

    クロノ「間に合ったみたいだな・・・アルミン、エレンはどうだ」

    アルミン「気を失っている・・・・だけど、僕がエレンを起こすよ・・・・」

    クロノ「そうか・・・任せたぞ」

    アルミン「ああ・・・・」

    ミカサ「待って、何をするつもりなの・・・?」

    アルミン「大丈夫だミカサ、エレンは死にはしない・・・・」

    ミカサ「それは、どういう・・・・!!アルミン!!」


    エレンの項をに目掛けてまっすぐ刃を突き立てるアルミン

    案の定、エレンは暴れだした


    ミカサ「あ・・・アルミン!!」

    クロノ「待て、ミカサ」

    ミカサ「ぅ・・・でも、このままでは・・・」

    クロノ「向こうを見てみるんだ」

    ミカサ「反対側の壁を・・・!!巨人が、戻ってきてる・・・」

    クロノ「奴らは恐らく、エレンに引き寄せられている・・・俺たちがやるべき事は、あの巨人共からエレンを守ること・・・そうだろう?」

    ミカサ「クロノ・・・・」

    クロノ「エレンは、アルミンに任せる・・・・アルミンなら、エレンを起こせる」

    ミカサ「・・・分かった、あなた達を信じる」

    クロノ「行こう」

    ミカサ「ええ・・・!!」


    ありがとう、クロノ

    一緒に戦ってくれて

    私を導いてくれて


    エレンとアルミンと、"友達"になってくれて


    おかげでわたしは、エレンとアルミンの他に、心から信頼できる人と・・・あなたと出会う事が出来た

    アルミンの信じるあなたなら、きっと私達を勝利に導いてくれる

    だからわたしは、あなたと共に戦おう

    ひとりの友人として、信じよう
  5. 5 : : 2021/05/09(日) 03:10:58
    状況は、最悪・・・・このままじゃ全滅する・・・

    リコ「イアン!!右だァ!!!!」

    イアン「くっ・・・しまった!」

    リコ「駄目だ、間に合わない・・・・!!」

    諦めかけた、その時だった

    ミカサ「クロノ!」

    クロノ「とどめは任せたぞ、俺は目を奪う」

    人影がふたり、巨人に突撃する

    瞬く間に討伐された目の前の巨人

    それを倒したのは・・・・二人の訓練兵

    リコ「君は・・・陽動作戦に出てたんじゃないのか!?」

    クロノ「事情により、やむを得ず・・・これより本作戦に合流します」

    リコ「そっそうか・・・だが実力は・・・」

    ミカサ「クロノなら、心配はありません」

    リコ「・・・イアン!」

    イアン「・・・大丈夫だ、作戦会議中の報告なら、討伐2体・討伐補佐4体とのことだ、動けるだろう」

    リコ「そうか・・・それじゃあ頼むよ!!私とミカサに同行してくれ!!」

    クロノ「了解しました・・・・」

    見る限り、絶望的な状況ではない

    反対側におびき寄せた巨人も、まだ向こうに張り付いたまま

    こっちに向かってくる数もそう多くはない


    何とかして、エレンとアルミンの元に巨人を寄せ受けないようにしなければ・・・・
  6. 6 : : 2021/07/11(日) 06:27:35
    ーーーーーーー起きろ、エレン!!ーーーーーー母さんの敵はどうした!!ーーーーーーーどうしてエレンはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー海を見に行くよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    一歩外に出れば、そこは地獄の世界なのに


    どうしてエレンは、外の世界に行きたいと思ったの?






    それはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーずっとこうしたかったんだーーーーーーーお前はエレン、自由のーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー俺はただーーーーーーーーーーーごめんなさいーーーーーーーこれが"自由"だ!!ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








    俺が、この世界に生まれたからだ













    地鳴り

    蒸気の音




    巨人の匂い


    振り返るとそこには




    大岩を担ぎ歩く、黒髪の巨人の姿があった…






    私は、ふと思い出した



    母に教えられたあの物語を……………







    あの"神話"を…………
  7. 7 : : 2021/08/22(日) 04:32:23
    エレンが勝った


    アルミンのそのひとことが、状況を変えた



    そこからは、断片的にしか憶えていない

    たしか巨人の気を引くために戦死覚悟で地面を走り回っていた



    "イアン隊長ォォォォォォォォォォ!!!!"


    駐屯兵の叫びが聞こえた

    視界に映る人影


    巨人の口の中



    無我夢中で項に飛び込み、肉を攫う



    間に合わなかった


    そこに残ったのは首から上だけ



    だが、次への切り替えは瞬時に出来た


    経験か、それとも……………




    そして、その時は来た




    エレンが穴に辿り着き、超大型巨人に破壊された壁の穴が塞がれ、これ以上の巨人侵入を阻む事となった



    あとはエレンを……………!!


    中型の巨人が2体!!急がなーーーーーーー




    それは刹那だった



    空から降ってきたそれ(・・)





    調査兵団兵士長、リヴァイ





    リヴァイ「オイ、ガキ共…これはいったいどういう事だ……………」


    続く

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著者情報
Ryusei18Asuka

雷電(・-#)

@Ryusei18Asuka

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進撃の巨人~John Doe~ シリーズ

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