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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

轍(わだち)

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  1. 1 : : 2021/01/09(土) 19:20:50

    巨人の継承者を選ぶための訓練はどれも厳しいものばかりだ。
    その中でも今日の訓練はことさらに厳しい。
    猛吹雪の中、荷物を見つけ出し、それを担いで持ち場に戻る。単純に見えるが目の前が雪で全く見えない。

    ベルトルト「(前が....見えない...!!)」

    荷物を見つけ出すことさえ困難だ。

    ベルトルト「(.....!あれは....)」

    荷物....???いや、違う。人だ。

    ベルトルト「・・・・・!アニっっっっ!!」

    それはアニだった。アニが動けずにその場に尻餅をついている状態。

    ベルトルト「アニ!?どうし....」

    理由はすぐにわかった。トラバサミだ。
    猟師が設置した罠が積もりに積もった雪に隠れて見えなくなっていたのだろう。
    トラバサミはアニの脚に食い込み、夥しい出血が雪を真っ赤染めている。

    助けなきゃ....

    ベルトルト「アニ!!待ってて、今、今助けるから!!」

    アニ「来ないでっ....!」

    ベルトルト「何言ってるんだよ!?その罠を外さないと凍え死ぬぞ!!!」

    アニ「っぅ──!!!」

    アニは脚を抜こうとするが、トラバサミはさらに深く食い込む。

    ベルトルト「動いちゃ駄目だ!じっとしてて!」

    僕は急いでアニの元へ駆け寄る。
  2. 2 : : 2021/01/09(土) 19:33:24
    アニ「あんた、っぅっ...!!!荷物....早く見つけないと....どうなるかわかってるんでしょ!?」

    ベルトルト「知るもんか!」

    どうやったら外れる....??
    脚の骨までは折れていないのを見るに大型動物用の罠ではないらしい。ならば、猟師が罠を外すための機構があるはずだ....

    アニ「もういいって!あんたは先に行きな!私は大丈夫だから!」

    ベルトルト「ここで誰かを見捨てるのが戦士なら、戦士になんてなれなくていい」

    アニ「何言ってんのさ!?あんただけならいいさ!でも、あんたの家族はどうなるの?名誉マーレ人に、なれるかも知れないのに!」

    罠を外す手が止まってしまう。
    そうだ、僕は戦士に、マーレ人にならなきゃ、いけないんだ....
    でも、突いて出た言葉は違った

    ベルトルト「アニだって同じだろ!ここ動かないでいたら君のお父さんはどうなるんだ!」

    アニ「っ....!」

    ベルトルト「僕は、君を助けるよ。絶対に。」

  3. 3 : : 2021/01/09(土) 19:46:48
    これは動物用の罠だ。人間がかかるとは想定していないはず...

    ベルトルト「わかった!!」

    トラバサミの口を開閉するためのネジが僅かに緩んでいるのが見えた。人間の脚の太さと閉まった時の反動でネジが緩んだのだ。

    ベルトルト「うぐああああああああっっっっっっっっ!」

    アニ「ちょっと!!?何してんのさ!!!」

    ネジを思い切り引っ張り出す。
    指の皮が捲れ、血が滲むが構いはしない。

    ベルトルト「もうっっっっ、すこしっっっっっっ!!!」

    ネジが音をたて弾け飛ぶと同時にトラバサミは勢いよく開く。アニの脚には痛々しい傷が刻まれ、依然出血は収まらない。


    ベルトルト「ほら、乗って。」

    僕がアニに背中に乗るよう促す。

    アニ「歩ける....」

    ベルトルト「歩けるわけないじゃないか!」

    アニ「....あれ」

    アニが指差す先には荷物を運ぶ押し車が見える。

    アニ「せめて、あれにして....」


    ベルトルト「わかったよ。とってくるから、絶対動かないでよ!?」



  4. 4 : : 2021/01/09(土) 19:54:53
    ──────
    ───


    アニ「荷物は持ってかないの?」

    ベルトルト「こんなもの使ったんじゃどのみち失格だよ。早く治療してもらうのが先だ。」

    アニ「そう....」

    ベルトルト「脚痛くない?」

    アニ「痛くないわけ、ないじゃないか。」

    そりゃそうか....早く、皆のところに行かなきゃ。

    アニ「ベルトルト、わだちって知ってる?」

    ベルトルト「なんだよ、いきなり?」

    アニ「車が残した跡の事だよ。」

    ベルトルト「そうなんだ?知らなかったよ...」

    いきなりどうしたんだろう...

    アニ「あんたがこうしてわだちを残してくれなきゃ、私は助からなかった。下手すれば死んでたかも。」

    ベルトルト「・・・・?」

    アニ「わだちは、雪で消されて見えなくなるけど、私は、あんたが助けてくれたこと、忘れないから。」

    アニ「ありがと、ベルトルト。」


    思えばあのときから、僕は、アニの事....

  5. 5 : : 2021/01/09(土) 20:05:56
    ─────
    ──


    アルミン「今の....ベルトルトの、記憶....?」

    僕はベルトルトを喰ってからも定期的に地下室を訪れている。

    その度にアニに話しかけていた。

    今日だって、そうだ。


    ──────
    ──


    アルミン「アニ、わだちって知ってる...?知ってる、よね。アニが、教えてくれたんだもんね。あ、いや、教えてくれたというか、なんというか...」

    ヒッチ「どう?アニの様子。」

    アルミン「ヒッチ!!変わらないよ、ずっと眠ったまま。」

    ヒッチ「アニ~?あんたいい加減寝坊癖治したら~?」

    ─────
    ──


    皮肉なもので、ベルトルトを通してアニを知っていく度にベルトルトが恋をした理由がわかってくる。

    アルミン「人の視界を盗んで、何やってんだ、僕は...」

  6. 6 : : 2021/01/09(土) 23:19:30
    ─────
    ───


    この日は珍しく朝早くにアニに合いに赴く。ベルトルトを────食ったことを伝えようと思ったんだ。

    アルミン「アニ?今日は......」

    アニがいない────!

    僕はすぐさま扉の前で見張りを勤めるヒッチに確認を取る。

    アルミン「ヒッチ!!!アニがっ、アニがいない!」

    ヒッチ「はっ?水晶から出てきたの!?」

    アルミン「わからないっ...!とにかくアニがそこにいないんだ....!」

    ヒッチに気付かれずにこの地下室からどうやって....!!!

    アルミン「なにか心当たりはない!?好きだった場所とか、大切にしていた場所とか、なんでもいい!!!」

    ヒッチ「大切に....していた場所....?」

    心当たりは無いか....

    .....!?

    通気孔....小柄なアニならここから出られる....か...?

    ヒッチ「アルミン!わかった!あいつの行きそうな場所!」

    アルミン「ほんと!?」



    ─────
    ──


    アルミン「ハァッハァッ、ア....ニ....ハァッ、みつ、け、た....」

    アニ「やっぱりバレた?」

    アルミン「アニも....う....み....好きなんだ?」

    アニ「好きって言うより、癒される。心を洗ってくれる気がするから」

    アルミン「それは好きとは違うの?」

    アニ「心を洗ってくれる景色を好きって言い始めたらキリがないよ」

    アルミン「にしても、「海が好き」だけ聞かされたって、休憩室だとはわからないよ。通気孔の真裏がこの部屋だったからここしかないとは思ったけどさ...」

    休憩室に飾られた「海」の「写真」。壁外に出た時に初めてとった写真だ。

    アニ「あんたがよく「海を写真におさめられるなんて思わなかった」って言ってたじゃないか。嫌でも覚えてるよ」

    アルミン「やっぱり、聞こえてたんだ。」

    アニ「まぁね。で?今日の話は?」

    アルミン「あぁ────」











  7. 7 : : 2021/01/09(土) 23:30:40
    アルミン「ベルトルトが死んだよ...」

    アニ「....は?」

    明らかに動揺している。4年ぶりに目覚めたらこれだから、無理はない。

    アルミン「僕が....」

    アニ「もう、いい。やめて。」

    アルミン「聞いてほしいことがあ────」

    アニ「もういいから!!!聞きたくないっ....」

    アルミン「僕なんだ。ベルトルトを"喰った"のは....」

    アニ「.....喰った?」

    アルミン「僕が大火傷をして、瀕死の団長か、僕か。どちらかに脊椎液を注射して、ベルトルトを....喰わせようって。それで、僕が、選ばれた。」

    アニ「......!」

    アルミン「ごめん。どう伝えればいいか、まよっ─────....ア、ニ....?」

    おもむろにアニは僕の心臓に耳をあてて、心音を、聞いてる....?

    アニ「....っぅ....!!」

    アニは静かに涙を流していた。
    僕は、アニの背中に手を添えようとしかけてやめた。それは違う。
    アニはベルトルトの為に泣いてるんだ。僕のためじゃない。

    ──────
    ──








  8. 8 : : 2021/01/09(土) 23:38:20
    ─────
    ──


    アニ「じゃあ、ベルトルトの記憶、見たんだ?」

    アルミン「うん。多少は...」

    アニは少し落ち着いた様子だが、今も心臓に耳を寄せている。
    アニに心拍数が筒抜けなのがなんだか恥ずかしい。

    アニ「ベルトルト、私のことどう思ってたの?」

    アルミン「えっ?」

    予想外の質問だ....。
    ベルトルトじゃない僕から告げていいのか....


    アルミン「わか、らない。」

    アニ「嘘ついたって無駄。記憶まで見えてて感情がわからない筈ない」

    アルミン「知ってるけど、僕から言うことじゃないよ...。僕はベルトルトじゃないし、今のベルトルトの感情を代弁することもできないんじゃ、意味がない。」

    アニ「そう....。」

  9. 9 : : 2021/01/10(日) 11:28:05

    ミカサ「アルミン。エレンが呼んでる。二人とも......なに、してるの....?」

    突然ミカサが入ってきてすっとんきょうな声を上げてしまう。

    アルミン「ミッ....ミカサっっっっ!!!?のののの、ノックくらいしてよ!?」

    ミカサ「カギが開いてたから....」

    アルミン「ならなおさらノックしてよ....」


    ──────
    ──


    アルミン「エレン、ごめんね。遅くなって。ちょっと厄介なことになってさ....」

    エレン「あぁ。構わねえよ。」

    エレンは壁を見つめていた。
    そこから微動だにせず、こちらに向きさえしない。はっきり言って、「異様」だった。

    エレン「記憶を見たんだ。俺にはわけわかんなくてさ、聞いてくれるか?」

    アルミン「もちろん。どんな記憶?」

    エレンの隣に並び立ち、言葉の続きを待つ。
    第一声は予想だにしないものだった。

    エレン「人は何を「神」と呼ぶと思う?」


    アルミン「え...?」
  10. 10 : : 2021/01/10(日) 11:44:56
    アルミン「か、神?」

    エレン「あぁ。」

    アルミン「抽象的過ぎて、「何を」と定義することはできないよ。それぞれ信仰するもの、信じてるものによって神は姿を変える、んだと思う....」

    エレン「答えを知ってる奴がいた。記憶の中に。」

    アルミン「答え....?」

    エレン「あぁ。」

    アルミン「その人は、何て言ったの....?」

    エレン「始祖ユミル、"有機生物の起源"に触れた少女だ。」

    アルミン「しそ、ユミ....ル?」

    エレン「全ての巨人の始まり。最初に巨人を宿した人間。それを人間は"神"と崇めた。」

    アルミン「その「始祖ユミル」はどうやって巨人になったの?」

    エレン「そこまではわからねぇが...」

    アルミン「エレン。世界には神話がそこらじゅうに散らばってる。僕らも外に行ってからたくさん見聞きしたろ?」

    エレン「あぁ。」

    アルミン「その記憶に居た人も、きっと神話のことを話してたんだよ。"そういう仮説もある"。そうやって頭の片隅に置いておこう。」

    エレンの肩にポンと手を添えた時だった。


    ビリッッッ──────!!!

    ───「全ての予定通り動くわけじゃないって教わっただろ!?」
    ────「見えた!壁だ!」
    ────『巨人だ...!!』

    アルミン「っっっ!?」

    エレン「....?どうした?」

    アルミン「い、いやっ....なんでも....!」

    何だ、今のは....?
    ベルトルトの記憶....?
    今まであんなに鮮明に見えたことはなかった....どうして??


    エレン「お前顔色悪いぞ。本当に大丈夫か?」

    アルミン「う、うん!心配ないよ....!」





  11. 11 : : 2021/01/10(日) 12:05:01
    ─────
    ───


    ミカサ「何をしてたの?」

    アニ「何って?」

    ミカサ「アルミンに抱き付いてた。あれは何?」

    アニ「あんたには関係ない。私らには私らなりの事情があるんだよ。」

    ミカサ「わからない。事情って何?」

    アニ「あんたさ、質問以外はできないの?私の記憶だと脳まで筋肉で出来てるわけじゃない筈だけど?」

    ミカサに皮肉を言って隣を通り過ぎようとすると、腕を引っ張られ元の場所へ戻される。

    アニ「....何さ?」

    ミカサ「どうやって、水晶から出たの?」

    アニ「私が聞きたいよ...。突然、硬質化が解けて水晶が氷みたく割れたんだ。それしかわからない。」

    ミカサ「硬質化が解けた...?」

    アニ「そうだけど。」

    ──────
    ───


    ミカサ「エレン!!どうしたの!?」

    確かエレンが硬質化を用いた戦術を訓練していた時も────

    エレン「(どうしてだ....?うまく硬質化できねえ...)」

    進撃の巨人「グァァァアア」

    ミカサ「(硬質化が発動しないの...?)」

    エレン「(いつもと同じじゃダメか?なら、これはどうだ・・・・!)」

    エレンはうなじの硬質化も試みた。けど失敗。
    こんなことが何度もあった。
    あの時はエレンの体調が悪いのかと疑ったけど...

    ──────
    ───




  12. 12 : : 2021/01/10(日) 12:19:15
    アニ「そう。そんな事が...」

    ミカサ「アニ。心当たりは無い?なにか腐った物を食べたとか」

    アニ「あるわけないじゃない....」

    ミカサ「....そう...。」

    一体、どうなってるの....?

    ───────
    ────


    誰の記憶だ....?

    ──壁の外で

    なんの、記憶だ....?

    ──人類が生きてると知って、俺は

    俺の記憶...?

    ──ガッカリした....

    エレン「.....!!何だ...!今の...!超大型巨人が....群れが....人を....踏み潰して....!!これが、地鳴らし....?」


    壁の外に、人類が....いたんだよな。


    エレン「俺は、俺達は世界中から、憎まれて...迫害されて....」

    俺は、『全ての命を滅ぼすしかない』と結論を出して....

    ───止まるなよ。進み続けろ。

    エレン『お前が始めた物語だろ?』







  13. 13 : : 2021/01/10(日) 12:27:16
    ────ドドドドド

    アルミン「何の音だ!?」


    慌てて外の様子を確認する。

    アルミン「あ.....!!!壁が....!!地鳴らしが....始まった、のか...!?」

    でも、どうして!?王家の血を引くものと接触しなければ、始祖は行使できないんじゃ...!!!

    ミカサ「アルミン....これは?」

    アルミン「─────『ドドドドド』ンが────『ドドドドド』した───『ドドドドド』

    ミカサ「なに??聞こえない!」

    アルミン「エレンが『始祖』を行使した!!地鳴らしが発動したんだ!!!」

    ミカサ「....ありえない!!エレンは兵舎から出てない!!王家の血を引くものと接触できないはず!!!」

    アルミン「でも今、地鳴らしが起こってしまったんだ!!原因を探れる時間はない!!!みんなを避難させよう!!」

    ミカサ「みんな??みんなって誰!!!どこに避難させるの!?」

    アルミン「わからないよ!!!!助けられる人から助けなきゃ!!!」
  14. 14 : : 2021/01/10(日) 16:03:58
    ─────
    ───


    ......???

    ここは、どこだ?

    エレン「・・・・・!!」

    振り返ると見えたのは、中央に伸びる光の木。
    辺り一面砂で覆われた大地。

    エレン「道.....」

    ここが、道...?

    奥の方に誰かいる。誰だ?

    エレン『見ろよ、アルミン!俺達は自由だ!』

    アルミン「....!!」

    エレン「アルミンと...俺?」

    俺は子供だ。アルミンはそのまま。
    二人でなんの話をしてんだ?

    アルミン「....!!」

    エレン「アルミン....お前...」

    ─────
    ──


    ハンジ「全員助けることはできない。」

    ミカサ「ハンジさん!!」

    ハンジ「この飛行船に乗ることができる人数は限られている。全員は諦めるんだ、ミカサ。」

    アルミン「.....ミカサ、仕方ないよ。諦めよう。助けられる人から助けるんだ。」

    ビリッッッ────


    アルミン「うぁっ... !?」

    また、またこれだ。エレンと接触した時の───エレンと接触────?


    アルミン「エレン、そこにいるの?」

    ミカサ「アルミン....?」

    ───────
    ──


    エレン「ああ、ここにいる。アルミン、俺が見えるのか?」

    アルミン「いや、見えはしない。ただ、気配がするんだ。」

    エレン「そうか。」

    アルミン「エレン────」

    ───────
    ──


    アルミン「───どうしてこんな事を!?君の言う自由は、こんなっ、こんな惨たらしい物なのか!!?」

    ミカサ「アルミン....?誰と喋って───」

    アルミン「エレンが、エレン居るんだ!見えないけど、そこに!」

    ミカサ「なにを言ってるの?そこには誰もいない」

    アニ「いや、いる。」



  15. 15 : : 2021/01/11(月) 17:42:21
    アニ「あんた、そこにいるんだろ?「始祖の巨人」・・・・!」

    無数の超大型巨人が大地を踏み鳴らすその後ろで骨格のみの異様な姿を晒している「進撃の巨人」。その中央に人影が見える。


    アルミン「エレン・・・・!!」

    じゃあ、今僕に語りかけているこのエレンは・・・・?

    アルミン「エレン・・・海を見に行くんだろ?」

    ──────
    ───


    エレン『うみ・・・・?俺達は海をもう見たろ?』


    ────
    ─────

    アルミン「あぁ、もう見た。でも、君が見た海は僕らが見た海か・・・?」

    エレンじゃない・・・・!
    なら、誰だ?


    アルミン「君は、エレンじゃないだろ?エレンの形を真似るのはなんでだ?」

    ───────
    ────
    ──

    エレン『なにを・・・・俺は・・・』

    エレン「違う!!!そいつは俺じゃない!!!」

    エレン『余計なことをするな....!!!』

    エレン「そいつは─────」

    ───
    ──────
    ───────

    アルミン「始祖ユミル・・・!!」
  16. 16 : : 2021/01/11(月) 17:49:32
    アルミン「エレン!!!始祖ユミルを押さえることはできる?」

    ──────
    ───


    エレン「わからねぇけど、やってみる....!!」

    俺は『道』に向かって歩くユミルを追いかける。全力で走っているが、ユミルは遠ざかっていくだけ。このままじゃ追い付けない。

    エレン「(クソッ・・・!止まれ!!)」

    ───止まるなよ。

    エレン「うるせえよ・・・!!!」

    ───これはお前が

    エレン「うるせえって言ってんだろうが!!!!」

    ───ビリリリリッ!!!

    始祖ユミル「────!」

    止まった・・・・?

    エレン「(今しかねえ・・・・!)」

    俺は、後ろから抱き締めるようにしてユミルの動きを止める。

    エレン「やっと、捕まえた・・・!」

    ────ドクンッ!

    エレン「─────ッ」

    記憶がなだれ込んでくる。
    これは、『地鳴らし』か・・・・?
  17. 17 : : 2021/01/11(月) 18:03:22
    エレン『俺達は自由なんだ!』

    エレン「......!!!」

    地鳴らしで踏み潰された後の大地は赤く染まっていた。まだ、形を留めたままの死体も、まったく跡形もない死体も滅茶苦茶に散乱している。

    エレン「─────な、なんだよ、これ・・・・!?」


    今の記憶ではない。これはなんの記憶だ?
    未来?いや、違う。

    エレン「こうなる筈だった、世界か・・・?」

    ──────
    ────


    アルミン「エレン!?返事をしてよ!!!」

    あれからエレンの言葉はぴたりと止まる。
    一体どうなった?
    エレンを通してしか「道」は....


    いや、待て。僕はあの時に記憶を見たじゃないか....

    ────
    ──


    アルミン『その記憶に居た人も、きっと神話のことを話してたんだよ。"そういう仮説もある"。そうやって頭の片隅に置いておこう。』


    ビリッッッ──────!!!

    ───「全ての予定通り動くわけじゃないって教わっただろ!?」
    ────「見えた!壁だ!」
    ────『巨人だ...!!』

    ──────
    ───



    アルミン「(ベルトルトの記憶だけじゃない・・・!あの時のエレンの記憶も見た...!)」

    「始祖の巨人」に触れなきゃならないんじゃない。「始祖の巨人」に触れてさえいれば、「道」は開く....!!

    あそこに見えるエレンは、間接的に「始祖」を持つ進撃に触れてる・・・・!

    僕が、「あのエレン」に触れる事ができれば・・・!


    アルミン「ハンジさん!飛行船を今から飛ばせますか!?」

    ハンジ「出来るけど、救助はどうするの?」

    アルミン「僕を「進撃」の上に運んでくれるだけで構わない!!そこからなら十分救助の余地はあります!!」



  18. 18 : : 2021/01/19(火) 01:33:27
    私生活が忙しく、更新が滞ってしまっています。申し訳ありません。
  19. 19 : : 2021/01/19(火) 07:43:16
    いやめっちゃ面白いですよ。ごゆるりと頑張ってください。。。
  20. 20 : : 2021/01/19(火) 08:47:48
    せやなあ、期待やな
  21. 21 : : 2021/01/20(水) 15:44:24
    ─────
    ───


    見えた....!!
    「進撃」の上空、距離はあるけどここから飛ばなきゃ捉えられない。

    ミカサ「大きすぎる...!アルミン、やっぱり上からは無謀。」

    アルミン「いや、上からしかない。陸地であの軍勢を相手にするのは無理だ。確実に「進撃」からエレンに触れなきゃならない。」

    ミカサ「本当に、行くの?」

    アルミン「うん。エレンに聞かなきゃ。」

    ミカサ「え・・・?」

    ───一体

    アルミン「行ってくる!ハンジさん、みんな!救助は任せたからね!」

    ──君の

    ハンジ「任された!必ず帰ってくるんだよ、アルミン」

    アルミン「わかりました」


    ────どこが「自由」なのかって


    アルミン「(エレン、今行く!)」

    ─────
    ───

  22. 22 : : 2021/01/20(水) 15:53:44
    アルミン「うわっ!?」

    飛行船から飛び出してすぐに、光の刃が僕を目掛けて放たれる。

    アルミン「(なっ、なんだ!?)」

    ───ビシュン!!!

    アルミン「くッ!!!」

    間一髪で避けてはいるが、絶え間なく放たれる刃で満足にエレンを捕捉できない。

    アルミン「一体、何が・・・!!あれは・・・!」

    始祖が生成したのか、地上から戦鎚の巨人が弓を構え、矢を放っている。

    アルミン「対空攻撃・・・!立体機動を使わせないつもりか・・・!」

    獣を選ばなかったのは僕が巨人化できないと踏んだからか。石を投げるより矢で迎撃したほうが燃費がいい。

    アルミン「効率的だ・・・」

    やはり、始祖ユミルにはある程度巨人を操る力がある。

    アルミン「エレンの「道」に入り込めれば、ユミルを止められる───!」

  23. 23 : : 2021/01/20(水) 15:58:05
    アルミン「立体機動を活用できる立体物なんか初めからない。」

    ユミルはエレンのうなじを狙ってると思ってるはずだ。僕の狙いがバレてないなら────


    アルミン「やれる」

    僕はナイフを使い掌に傷を付ける。
    できるだけ陸に近い場所で、かつ「進撃」の丁度中心で超大型になれば「進撃」の身体は分断され、動くことすらままならなくなるはず。


    アルミン「勝負だ、「始祖の巨人」ッ─────!!!」



    ─────カッッッッ!
  24. 24 : : 2021/01/22(金) 19:00:10


    アルミン「(・・・・!よし、成功した・・・!)」

    始祖の巨人の身体は超大型巨人の発した強烈な爆風によって真っ二つに分断され、歩みを止める。

    アルミン「(エレンは・・・?エレンはどこだ・・・!)」

    ─────ガクンッ

    アルミン「(───なっ!?)」

    爆風から逃れた戦鎚の一体が剣を生成し、超大型巨人のアキレス腱を切り裂く。

    アルミン「(しまった・・・!)」

    続け様に戦鎚はクロスボウを作り出し、うなじを目掛けて発射する。

    アルミン「(くっ────!)」

    ズドドドドドッ!

    なんとかうなじへの攻撃を手で守るが、この隙を利用し、戦鎚が無数に生成される。
    このままではまずい・・・!

    超大型巨人「ウオアアアアアアアアア!!」

    地面を凪ぎ払い、その風圧で戦鎚を吹き飛ばすも、数が多すぎる・・・・!

    アルミン「(くそっ、鈍足の超大型じゃ不利だ。)」

    ─────
    ───
  25. 25 : : 2021/01/22(金) 19:16:47
    やべえめちゃくちゃ面白いな
  26. 26 : : 2021/01/22(金) 22:39:07
    ─────
    ──

    エレン「アルミンは、外で何をしてる・・・?」

    俺はユミルを抱き止めた状態のまま動けないでいる。外の情報はわからねえが、目の前のアルミンは「道」へ歩みを進めている。

    エレン「何してんだ・・・!?アルミン!!そっちじゃねえぞ!!!」

    アルミンは声に反応しない。

    エレン「っ・・・・!!」

    こっち向け・・・・!

    ──────
    ──


    ────そっちじゃねえぞ!!!

    アルミン「・・・・エレン・・・!」

    エレンの声・・・・!どこからだ・・・!

    アルミン「──────ッ!」

    動けずうずくまった僕の目の前に、白い輝きが無数に光る。

    悠に100を越える戦鎚の巨人。それぞれが遠距離への攻撃に適した武器を持ち、こちらに構える。

    アルミン「(まずい─────!)」


    ───ズドドドドドッ!ズドドドドドッ!

    放たれた弓やクロスボウの矢は超大型の身体を易々と貫き、みるみる肉が削がれ、うなじの僕が露になって行く。

    アルミン「くっっっっっ・・・・!」

    無理だ・・・・
    このままじゃ・・・!

    ───アルミン!!お前の後ろだ!!

    アルミン「え・・・・!?」

    後ろ・・・・?


    アルミン「・・・・・・・エレン・・・・!」

    ─────
    ───

  27. 27 : : 2021/01/22(金) 22:52:35
    ─────
    ───
    ──

    エレン「お前の後ろだ!!!」

    アルミン「・・・・エレン・・・・!」

    その言葉でようやくアルミンはこちらを振り向く。そして、ゆっくりと俺の方へ近寄ってるくる。

    エレン「そうだ!!アルミン!!」

    ────
    ──


    アルミン「うぁあああああっっっ!!!」

    僕は超大型の中から出ると、エレンに触れるために一か八か外に飛び出す。

    アルミン「届け─────!!!」

    エレンの背中に掌が触れた時、エレンの中、いや、始祖に飲み込まれたような感覚を覚え、意識を手放す。

    ──────
    ──


    暗い闇の中。ここはどこだ・・・?


    アルミン「僕は、死んだ・・・のか?」

    僕は、無数の戦鎚の中に飛び込んだ。
    心臓や頭を撃ち抜かれたなら即死でもおかしくはないだろう。

    アルミン「・・・息、してるよな。」

    手のひらを心臓にあててみる。

    アルミン「・・・心臓も、動いてる。じゃあ、死んでない、はず・・・だよな・・・?」

    何気なく後ろを振り向いとき、目映い光を放つ・・・・あれはなんだ?

    アルミン「・・・木?」

    その真下に、つながる跡。

    アルミン「あれって・・・」

    ベルトルトを通して見た、アニの言葉が蘇る。

    アルミン「あれは・・・!」

    ────アニ『ベルトルト、わだちって知ってる?』

    『車が残した跡の事だよ。』

    『あんたがこうしてわだちを残してくれなきゃ、私は助からなかった。下手すれば死んでたかも。』

    『わだちは、雪で消されて見えなくなるけど、私は、あんたが助けてくれたこと、忘れないから。』────


    アルミン「轍だ・・・・」

  28. 28 : : 2021/01/22(金) 23:01:34
    アルミン「わだちは、雪で見えなくなる・・・?」

    ここにはどこからともなく砂埃が舞い込んでいる。

    アルミン「急がなきゃ!!!」

    わだちが砂に埋もれて消えてしまえば、光の木への指標はなくなる───!

    アルミン「急げっ・・・!もっと走れ・・・!」

    光に近づくにつれ人影が見えてくる。
    誰かを抱きしめた人影。後ろ姿でもすぐにわかった。

    アルミン「エレン!!!!」

    ─────
    ──


    ───エレン!!!!

    エレン「は────?」

    後ろからアルミンの声がして、振り向いた拍子にユミルを手放してしまう。

    エレン「しま──────」

    ユミルは光へと全力で走り出す。

    アルミン「エレン!!!その子を止めろ!!!」

    エレン「行かせるか・・・・!!!」


    エレン「俺が始めた物語だ・・・・!俺の手で、終わらせる・・・!」

    ─────カッッッッ!

    進撃の巨人/エレン「『ニガズアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!(逃がすかああああああ!!!)』」



  29. 29 : : 2021/01/22(金) 23:15:35
    ─────
    ───


    ミカサ「・・・・!?」

    遠くに見える進撃の巨人のうなじ部分から、もう一体の、見馴れたエレンが姿を表す。

    ミカサ「エレン!!」

    手になにか持ってる、光耀く虫・・・?

    ミカサ「あれは一体、何?」

    ─────
    ──
    ──

    進撃の巨人「オオオォオオオ!!!」

    エレン「(こいつが、始祖の"正体"、有機生物の起源・・・!!)」

    アルミン「ふがぁっ!!!はぁっ、はぁっ!!!死ぬかと思った・・・!!!」

    僕はエレンの手に握りしめられ、窒息寸前だったが、なんとか生きている。
    ここは、進撃のうなじあたりか・・・?

    アルミン「どういう事だ・・・。エレンが変化した「進撃」からまた「進撃」が・・・。じゃあ、この「進撃」は一体・・・!」

    ・・・・!光り耀きうねる謎の物体が進撃に握られている。

    アルミン「あれが「有機生物の起源」・・・?この世の神の姿・・・」


    ────ビリリリッ!

    アルミン「ッ─────!?」


    ───
    ─────
    ───────

    これは・・・?

    アニ「あんた、いつまで寝てるわけ?」

    アニ、どうして、ここに・・・。

    アニ「どうしてって?訓練終わってないでしょ。」

    訓練・・・?何のこと・・・?

    アニ「はぁ?頭の打ち所が悪かったのかもね・・・。とにかく立ちな、ベルトルト」


    ベルトルト────?






  30. 30 : : 2021/01/25(月) 00:34:47
    ────
    ───


    い、まの、は・・・?




    リヴァイ「これも、お前の作戦通りか?アルミン」


    アルミン「へい、ちょう・・・!」

    リヴァイ「あのムカデが「神」か?ずいぶんと気色悪いが...」

    アルミン「はい。奴が、「始祖の巨人」、「全ての巨人の祖」です」

    リヴァイ「判断はお前に委ねる。殺すか、生け捕りか、お前が選べ。」



    アルミン「.....。すこし、時間を下さい。」

    リヴァイ「あ?」

    さっきの記憶は、いや、記憶なんてものじゃない。ベルトルトそのものだ、まるで・・・。

    その人になったみたいに





  31. 31 : : 2021/01/26(火) 01:21:04
    期待
  32. 32 : : 2021/01/27(水) 20:10:02

    アルミン「(継承者に干渉して見せる記憶は、持ち主の生死どころか時と場所さえ関係ない・・・)」

    なら、この世界に居なくてもかまわないのか・・・?

    アルミン「(あの進撃は「有機生物の起源」、"始祖"が"別の世界"から連れてきたもう一人のエレン・・・)」

    その世界のエレンが「王と触れ」ていて、それによって擬似的な地鳴らしをこの世でも発動できるとしたら・・・

    アルミン「奴を倒せば、巨人は「道」を通ってこられない」

    リヴァイ「あ?」

    アルミン「兵長。倒しましょう。奴を、「始祖の巨人」を」

    リヴァイ「了解した。ハンジは一通り救助を終えてこっちに向かってる。あとは到着を待つだけだ」

    アルミン「わかりました。エレン!!!」

    進撃の巨人「・・・グアアア?」

    アルミン「そいつを放さないで!今からそいつを倒す!どうするかはまだわからない!!!とにかく"離すな"!!!」

    進撃の巨人(エレン)「『ワアッタ・・・・(わかった・・・!)』」



  33. 33 : : 2021/01/27(水) 20:21:37
    他の「九つの巨人」のように、「始祖」が進撃を意のままに操れるなら、そう悠長にやってる時間はない・・・。

    アルミン「(喰うんではダメだ。確実に"殺さなければ"。)」

    でも、どうする?
    考えるんだ。なぜ、「神」に等しい超常的な力を持ちながら、人間と共生しなきゃいけない?
    なぜ、人間に巨人という力を与えてまで「肉体」を欲する?

    考えられることはひとつ

    アルミン「力があっても、あの状態じゃ何も出来ないのか・・・?」

    そうだとすれば今の状態は「始祖」にとって危機的な状態だ。肉体を得るために行動するだろう。

    真っ先に狙うのは─────

    アルミン「エレン!!!避けろ!!!」

    「始祖」は自身を槍のような形状に変化させ、進撃の巨人の口を貫く

    進撃の巨人「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

    アルミン「クソッ!!!」

    立体機動でエレンの元へ向かうも、途中で立体物が無くなり、進むことができない。


    アルミン「(『始祖』が狙ってるのは口腔の真裏、うなじだ!エレンを弾き出して、そこに自分が入ろうと、「進撃」を乗っ取ろうとしてる・・・!)」
  34. 34 : : 2021/01/27(水) 22:53:38
    ──────
    ────


    進撃の巨人「グアアアアアアアア・・・!」

    なんだ・・・!こいつ・・・!力が強すぎる・・・!

    噛み千切るしかねぇか・・・!

    進撃の巨人「グオオオアッッ!!─────!?」

    ────ベリベリヘギギッッッッ


    エレン「(なっ・・・!?)」

    ─────
    ──

    噛み千切ろうと試みた進撃の歯が砕け散る。
    何が起こった・・・!?

    なおもドリルのように回転しながら、進撃のうなじをめがけ口腔内を削りながら進行を続ける"始祖"。

    アルミン「(まさか、硬質化・・・?)」

    骨の塊と化した「もう一体の進撃」を使い、立体機動でエレンの背後までたどり着き、事の真相を確かめる。

    アルミン「エレン!!!手の甲をこっちに向けてくれ!そこにアンカーを突き刺す!!」

    進撃の巨人「アアア....」

    エレンが差し出した手の甲にアンカーを刺し、エレンの眼前に思いっきり飛び出す。

    アルミン「やっぱり、硬質化だ・・・!」

    その時、『始祖』の構成していた一部が光輝き、弓の形に変形する。

    アルミン「・・・まずい!!」

    ──ッュン!!!

    アルミン「ぐっぁっっっ!!」

    放たれた矢は的確に宙にいた僕を射抜く。

    エレン「(アルミン!!!)」

    進撃の巨人「オオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

    ───ブチブチブチィッ───!!!

    硬質化の間に合わない下半分に当たる部分を引きちぎるエレン。神経が遮断されたからか、うなじをめがけ進行していた上半分は元の形状に戻り、エレンの口からずり落ちる。


    ──────
    ───


  35. 35 : : 2021/01/27(水) 23:07:34
    ─────
    ──


    エレン「アルミンッッッ!」

    進撃の中から出て、アルミンを探す。
    ・・・見つけた!!

    腹部から血を長し、立体起動で繋がれたまま逆さ吊りの状態だ。早く助けねえと・・・!

    すぐに巨人化はできない。

    エレン「飛べるか?」

    進撃とアルミンまでの距離は遠くはねぇ・・・。やるしかない・・・


    いくしか─────

    ────カッッッッ!

    なんだ・・・?
    閃光が上げた煙から巨人がこちらに向かってくる。
    知ってる。記憶で、見た。あいつは、「進撃の巨人」だ。

    エレン「父さん──!」

    グリシャ・イェーガー、"父さんの巨人"だった。

    エレン「邪魔しないでくれ・・・!遊んでるヒマねえんだよ!!!」


    グリシャ巨人「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
    エレン「邪魔すんじゃねぇ────!この、紛い物がァァァァァァッ!!」

    俺は父さんを睨み付けながら左手を噛む。

    ─────カッッッッ!

    進撃の巨人「オオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


  36. 36 : : 2021/01/27(水) 23:15:02
    ─────
    ───


    アルミン「くっ....」

    力が・・・・でない。
    出血しすぎてる・・・・。宙吊り状態のせいで頭に酸素がまわってこない。死ぬ。

    これが────死か....。

    薄れて行く意識の中で、一人の少女がこちらを見ている。

    アルミン「・・・・?」

    ああ、走馬灯、か。
    でも、この女の子は、知らない、なぁ。

    ・・・・。

    ─────
    ──


    アルミン「・・・・はっ!?」

    また、まただ。また「道」だ。

    アルミン「どうして・・・?」

    腹部を見やると、先ほどの少女が砂を傷口に押し当てる。

    アルミン「なに、してるの・・・?」

    「・・・・。」

    少女は黙々とそれを繰り返すだけだ。

    アルミン「君は───、!!」

    まさか、この少女が・・・。

    アルミン「こんばんは。ユミルちゃん、だよね?」

    ユミル「そう。ユミル・フリッツ」








  37. 37 : : 2021/01/31(日) 19:17:13
    話が、できる・・・!

    アルミン「今、君は何を・・・?」

    ユミル「"あなた"を創ってるの。痛いでしょう?だから」

    アルミン「創ってる・・・?」

    ユミル「そう。他の巨人もみんな。」

    アルミン「君が巨人を・・・!?」

    ユミルは僕の身体を作り終えると、またしても光に向かって歩き出す。

    アルミン「信じられない・・・!身体が元に戻ってる・・・。」

    ──────
    ───


    グリシャ巨人「オアアアアアッッッ!」

    エレン「(ッ───!速ぇっ・・・硬質化っ・・・)」

    ・・・・!

    エレン「(くそっ、またか!肝心な時に・・・!)」

    硬質化が発現しない。
    以前にもこんなこと────────────
    ────────ドッ!

    父さんの巨人の鉄拳が顔面を的確に捉える。
    下顎が砕け散ったからか、かなりの距離を吹き飛ばされたからかは定かではないが、意識が朦朧とし、立てない。

    エレン「(ち、くしょう・・・。こんなとこで喧嘩してる場合じゃ、ねぇ、んだよ・・・)」

    父さんの巨人が俺を裏返し、うなじに狙いを定め食いちぎろうとしたその時だった。

    ─────ザシュッ────!

    エレン「(ミカサ!!!)」

    ミカサ「エレン、立てる?」
  38. 38 : : 2021/02/02(火) 22:47:54
    ──────
    ───


    アルミン「これがユミルの力・・・?」

    いや、違う....。

    アルミン「人間が「神の所業」と呼んだ現象...」

    ユミルはひとしきり歩いた後、横たわる人影の前で歩みをとめた。

    アルミン「....」

    ユミルはその人物に先ほどと同じように砂を繰り返し押し付けるが、僕とは違い意識が無いようで、ぴくりともしない。

    アルミン「あ・・・」

    砂ぼこりが晴れ、横たわる人物の正体が見えた。

    アルミン「ベルトルト────!」

    ───────
    ───


    ひとまず進撃から身体を出すが、目の前が歪んで見えるほど疲弊しているようだ。こりゃまずいな.

    エレン「い、や、無理だ。多分脳震盪、か?身体が動かねえ」

    ミカサ「そう。また硬質化が発現しなかったの?」

    エレン「あぁ。どうしちまったんだ、俺の身体は・・・?」

    ミカサ「アニもそう」

    エレン「は?」

    ミカサ「アニは硬質化が解けたことで、結晶体から脱出できた。おそらくは硬質化が解けるタイミングに規則性がある」

    エレン「規則性────?」

    こんな時にアルミンがいてくれりゃぁ。

    エレン「アルミン・・・・!なんか考えはねえのか!!!?」

    聞こえるはずもない満身創痍のアルミンにやけくそみたいにそう投げ掛けた。

    アルミン「ある。わかったよ、エレン。人は何を「神」と呼ぶのか。」

    エレン「アルミン、お前・・・!」

  39. 39 : : 2021/02/02(火) 22:55:52
    アルミン「「神」とは「鍵」だ。人間の扉を開いて巨人を解き放つための「鍵」。」

    エレン「かぎ・・・?」

    アルミン「「神」は「時・空間・世界線・場所」ありとあらゆる概念を超越して、鍵穴をこじ開けることができる。ただし、「神」は動くことが出来ず、鍵穴に刺された自分を捻る事ができない。」

    エレン「・・・・」

    アルミン「圧倒的な力を持ちながら人間の身体を欲するのはその為だ。僕らに「鍵」を開けさせようとしてる。例外は鍵が開かれ、役目を果たした扉だ。例えば、ベルトルト。」

    アルミン「ベルトルトは、生き返らなかった。「神」の力をもってしても、無理だった。」

    ミカサ「そう...。」

    アルミン「だけど、「神」に不可能があることもわかった。その不可能を僕らが人為的に引き起こすこともできる。」

    エレン「どうするんだ・・・!!」

    アルミン「「神」を「喰う」。喰って確実に「息の根を止める」。」


  40. 40 : : 2021/02/10(水) 17:00:30
    アルミン「「神」は自らが力を与えた扉を修復はできても、自分自身の修復はできない。その証拠が「道」の存在...」

    エレン「「神」を喰って、道を塞げば巨人が入ってくる扉が閉じる....」

    アルミン「その通り。閉じた道をこじ開ける力は巨人を持つものにしかない。その力を僕らが得れば、永遠に道はとざされたままになる。」

    ミカサ「そうすれば、どうなるの・・・?」

    アルミン「この世から、巨人が居なくなる。」

    ただ、この作戦は賭けだ。
    さっきの力を見るに、「神」は歴代の九つの巨人全ての力を有してる。特に厄介なのは「始祖 」の巨人を無尽蔵に生み出す力と、「鎧」の硬質化。

    アルミン「(超大型でもあの量の戦鎚相手には分が悪い・・・!どうする・・・?)」

    ───────
    ────
    ──

    ユミル「・・・・。」

    ──
    ────
    ───────

    アルミン「・・・・!今のは・・・!」

    手を伸ばすユミルの姿がはっきりと見えた。
    あの時と同じだ

    アルミン「(僕らは始祖に触れてる・・・・!今なら道に入ることがまだできる。やるしかない....)」

    ───ジュゴォッッッ

    エレン「アルミン!!!何してんだ!!」

    アルミン「「進撃」から道に入る!ユミルに力を貸してもらうんだ!」

    エレン「はっ・・・?ユミルが力を貸してくれんのかよ!?」

    アルミン「わからない・・・!」

    ミカサ「勝算はあるの?」

    アルミン「わからないよ!!!でも、やるしかない!「神」を内部から破壊できるのは、「道」の中にいる「始祖」だけだ!」



  41. 41 : : 2021/02/22(月) 00:51:49
    ─────
    ────
    ──

    アルミン「ユミル...。よかった、受け入れてくれて...」

    ユミル「....」

    ユミルは膝を抱えてうずくまっている。
    長くそうしていたからか、肩に塵が積もり、さらさらと流れ落ちていた。

    アルミン「ユミル。そんなところにいちゃ、風邪引くよ。ほら、気晴らしに歩こうよ?道って終わりがないんで────」

    ユミル「...にが?」

    アルミン「え?」

    ユミル「なにが、あなたをそうさせるの?」

    アルミン「"そう"って・・・?」

    ユミル「なぜ、巨人を根絶したいの?」

    アルミン「巨人が居るから、人の間に隔たりが産まれるんだ。「悪魔」と呼ばれる人達がいなくなればいいって思うから」

    ユミル「綺麗事ね。」

    アルミン「うん、そうだよ。でも、ただの綺麗事じゃない。手が届く位置にあるんだ。」

    ユミル「そのあとはどうするの?歴史は消えない。迫害の歴史も、あなた達がしてきたことも、消えない。」

    アルミン「そうだ。これからも因縁は付きまとう。だから、」

    ユミルの肩に積もる塵を払いながら、僕はユミルの隣に同じように座り、ユミルをじっと見据えながらユミルに懇願する。

    アルミン「僕らが「轍」を作らなきゃ。道しるべを僕らが示すんだ。」

    ユミル「いつか、積もった雪に消されるのに?」

    アルミン「今みたいに払えばいいじゃないか。ユミル、君は生きていたくないの?」

    ユミル「.....」

    アルミン「生きよう。道(ここ)でじゃない。皆の中で、君が轍になってくれ。ユミル、お願いだ。」

    僕はユミルに頭をさげたまま、返答を待っていた。




  42. 42 : : 2021/02/23(火) 00:29:05
    ユミル「私は、」

    アルミン「自由だ。自由でいていい。」

    ユミル「私が始めた物語なのに....」

    アルミン「だから、終わらせよう。君の手で。」

    ユミル「....」

    アルミン「協力する。約束するよ。」

    ユミル「私は、」

    ───自由になりたい

    ──────
    ──


    ─────カッッッッ!

    エレン「ぁっ!?何だ・・・!!!」

    アルミン「エレン、ミカサ!進撃から降りて!!!」

    ミカサ「わかった!エレン、こっち!!」

    「進撃」の体を引き裂き出てきたのは、

    ミカサ「「鳥」?」

    エレン「いや、違う・・・・巨人だ・・・!」




  43. 43 : : 2021/02/23(火) 00:32:07
    アルミン「二人ともこっちに来られる!?」

    アルミンは光輝く「鳥型」の巨人の背に乗りながらこちらに問う。

    ミカサ「それはできない!アンカーを突き刺す場所がない!」

    アルミン「なら僕の手に....」

    アルミンが手を伸ばすと、それに反応したかのように「鳥」から大きな光の手が伸びる。

    アルミン「ユミル、そんなこともできるの....?」

  44. 44 : : 2021/03/04(木) 20:41:41
    ミカサ「ユミルは「始祖」ではなかったの...?」

    アルミン「僕も鳥型の「始祖」なんて聞いたことないよ・・・」

    ユミル巨人「────!!」

    アルミン「!!ミカサッ────!「顎」だッ!頭を下げて!」

    ミカサ「ッ────!」

    ────ガブッッッッ

    頭の上を掠める顎。
    どういうことだ!?なんで「顎」がとん───

    アルミン「ッッッ!?」

    考えながら振り替えると、またしても「顎」が飛んでくる。

    アルミン「これは───」

    ユミルが使わなかった「対空攻撃」・・・!
    こんな事ができるのは───

    アルミン「いるな・・・・!「獣の巨人」・・・!」

    エレン「「獣」が「顎」をぶん投げてんのかよ・・・!?」

    アルミン「(高度が高すぎる・・・!目標の目視は無理か・・・・)」

  45. 45 : : 2021/03/04(木) 20:50:54
    アルミン「エレン、ユミルと一緒に「神」を捕らえてくれ!」

    エレン「アルミン、お前はどうすんだよ!?」

    アルミン「あの巨人の群れを引き付ける。このまま「巨人の雨」を受け続けたら前には進めない!」

    エレン「お前はもう「超大型」にはなれねぇだろ!!無茶すんな!」

    アルミン「大丈夫だ。都合よく立体物が飛んできてくれてる。立体機動ならなんとかなる、はずだ。」

    エレン「バカ言え!一発でもアンカーを外したら死ぬんだぞ!」

    アルミン「なんだよ?いつもと同じじゃないか。」

    エレン「・・・・!」

    アルミン「エレン。生きよう。みんなで「巨人のいない」世界を見よう。」

    エレン「アルミン・・・!」

    アルミン「僕が約束を破ったことなかったろ?」

    ──────
    ───







  46. 46 : : 2021/03/09(火) 01:28:14
    ────────
    ────


    エレン「ミカサ、後ろは頼んだ」

    エレンは私の背に自身の背をぴったりとつける。

    エレン「お前の背中は俺が守る。」

    ミカサ「エレン・・・!」

    エレン「ボサッとしてんな!来るぞ!」

    エレンの警告と同時に、私たちとユミルの巨人の周囲を無数の光が囲む。

    ミカサ「来い────!一匹残らず削ぐ!」

    エレン「やられてばっかじゃ終われねぇよ、なぁ、ムカデ野郎・・・!」

    ─────
    ───


    アルミン「ぅぅぅぅぅらぁっっっっ!」

    ───ザシュッ!

    向かってくる顎の雨を斬りながら、地上を目指す。エレンが言った通り、この「雨」が途切れ、アンカーが刺せなくなればそれで終わり。文字通り八方塞がりだ。

    アルミン「・・・・?」

    地上がようやく見えてきた時、声が聞こえた。聞き覚えのある・・・・

    アルミン「アニ・・・・!?なにしてるの!!!」

    女型の巨人「・・・・!」

    アニは両手を天高く掲げ、こちらに差し出す。
    そこに乗れって?

    アルミン「(顎が飛んでくる保証はない・・・!けど、このままじゃ、アニも喰われてしまう・・・!)」

    覚悟を決めなきゃ────


    アルミン「アニ!!!片手だけでいい!両手が塞がっていたら不利になる!」

    女型「・・・・」

    アニはゆっくりうなずいた。

    ─────


  47. 47 : : 2021/03/10(水) 02:24:20
    アルミン「ッッッッッ!」

    女型の手のひらに乗ったはいいが、無理な高さからアンカーを巻き取った為に脚に激しい痛みが走る。

    アルミン「(まだ、許容できる範囲だ・・・!)アニッ!走って!」

    女型「・・・?」

    アルミン「あの巨人達を引き寄せる!」

    アニ「(一体どうするつもり?)」

    アルミン「「神」はユミルを狙って進行してる。もしも、本当に全ての巨人の能力を使えるなら、無数の巨人に追われる僕らを追う理由はなくなる。そして、奴は必ず"飛ぶ"。僕らはそこを狙う。」

    アルミン「奴を喰うのは僕らじゃない。"神"が作り出した虚像だ。」

    プシュゥゥゥ───

    アニ「あんた正気!?そんな事をしたらまた同じことの繰り返しじゃないか!?」

    アルミン「そうはならない。」

    アニ「なにを根拠に!?」

    アルミン「言っただろ、奴らは「虚像」だって。意思はないんだ。もちろん、人間でもない。」

    アニ「・・・・。」

    アルミン「意思を持つ人間では「王家の記憶」に抗えない。「道」を閉ざすには、これしか方法がない。」

    アニ「飛んだところをどうやって狙うわけ?」

    アルミン「超大型巨人だ。」

    アニ「あきれた。あんたはもう消耗しきってるんだろ?ミカサに聞いたよ。その体で超大型になれるわけがないじゃないか!」

    アルミン「僕じゃないよ。ベルトルトだ。」

    アニ「え・・・?」





  48. 48 : : 2021/03/11(木) 00:56:49
    アルミン「僕ならいつ超大型を使いたいか考えてみたんだ。「外敵の行く手を阻みたい時」、「あらかた吹き飛ばしてしまいたい時」、いろいろ考えたけど、全部違った。超大型を使いたい時は「仕上げ」だ。事が終わろうとしている時のだめ押し。」

    アニ「つまり、私たちは超大型を誘き出すためのおとりってわけ?」

    アルミン「厳密には「僕が」なんだけど・・・ね。アニが来ちゃったから。」

    アニ「来たくて来たんじゃないよ...」

    アルミン「とにかく、「巨人に追われた人間を確実にかつ自分が動き出さずに全員排除する」には超大型が必要不可欠。戦鎚や顎では対立体機動には向かないと解ったはず。もう、奴に残されたカードはそれしかない。」

    アニ「ねぇ、あいつ、動き出したけど?」

    "神"は地面をえぐりながら、無数に巨人を生成しつつ進撃する。

    アニ「行くよ、アルミン!乗って!」

    アルミン「わかった!」

  49. 49 : : 2021/03/15(月) 00:49:06
    ──────
    ────


    リヴァイ「────ァアアァッッッ!」

    ───ザシュッ!

    リヴァイ「(ッチ!数が多すぎる...ラチがあかねえな。)」

    「兵長!代えのブレードとガスです!!使ってください!!」

    リヴァイ「お前ら....!下がってろと言っただろ!」

    「ですが・・・・!」

    リヴァイ「お前達の命を無駄にしたくねぇんだ、下がってて─────」

    ────オオオオオオオオオオオオオオ────


    リヴァイ「・・・・?」

    「な、なんだ・・・!?サイレン、じゃない、よな・・・・?」


    リヴァイ「───!!!お前ら──!!逃げ─────!!!」

    ─ドドドドドドドドドドッッッッッ!

    その音と同時に大量の巨人が押し寄せ、瞬く間に部下達を飲み込む。

    「あああああああ!くるなあっ!くるなあっ!ああああッ─────」

    リヴァイ「───ッ!!!お前ら!!」

    神とやらは、「巨人の能力が自由に使える」────。アルミンのその考察が正しいなら

    リヴァイ「『叫び』の力か────!」

    「獣」や「女型」の非じゃねぇ・・・!

    リヴァイ「(髭面────てめぇ・・・!)」

    姿が見えなくても邪魔しやがるのか・・・・!

    リヴァイ「ぅぅぅぅああらぁっっっっ!!」

    ───ザシュッ


  50. 50 : : 2021/03/16(火) 01:07:04
    ──────
    ────


    ────オオオオオオオオオオオオオオ────

    エレン「・・・・なんだ、今の音・・・?」

    先ほどまでユミルに噛みついていた顎達は、その音を聞いた途端、一斉に"神"へと群がり始める。

    ミカサ「どうなってるの・・・・?」

    エレン「同じだ・・・・」

    ミカサ「え・・・?」

    エレン「巨大樹の森で────」

    ──────
    ──


    アニ「────私が使った作戦と、同じだ・・・」


    アルミン「・・・・そんな、バカな・・・!」

    自分が作り出した巨人には意思も実体もない・・・!そんな巨人の中に居座ったって意味がないのに・・・!


    アルミン「なんで、自分を喰わせるんだ・・・・!!」


  51. 51 : : 2021/03/16(火) 01:17:38
    ────
    ──


    リヴァイ「(あの時とは勝手が違う・・・!ヤツは自身を目印に巨人を操ってやがる・・・!)」

    「始祖」の力ではなく、「獣」の力を使ったのも────!

    リヴァイ「(不規則な動きに対応できないと踏んでのことか────)」

    ムカデ野郎のくせして、なかなか頭使うじゃねえか....

    リヴァイ「頭がどっちかもわからねぇがなァッ!」

    ────ズシュッッッ

    リヴァイ「クソッ!ガスが持たねえっ──」

    あいつらが命がけで届けてくれたガスも既に底を突きかけている。

    "神"の進行方向はぶれることなく鳥巨人の方向だ。巨人を闇雲に生成していないところをみるに、随分余裕がある様だ。

    足止めをしようにも切り飛ばす足がなけりゃどうにもならねぇ。

    リヴァイ「何か、方法は───!」


  52. 52 : : 2021/03/22(月) 01:11:02
    ───────
    ───


    アルミン「おかしい...」

    アニ「何が!?」

    アルミン「自分を"喰わせようとする"なんて....。意思を持たない模造に....!まさか....」

    ─────
    ──


    リヴァイ「(──!?)」

    「───アアアアアアア───」

    リヴァイ「喰わせてやがる、のか・・・?」

    アルミン「兵長!今すぐ離れてください!!!」

    女型に乗ったアルミンが俺に向かって叫ぶ

    リヴァイ「何故だ?ヤツを追った方わなきゃどうしようもねぇんだぞ!」

    アルミン「九つの巨人です!」

    リヴァイ「あ?」

    アルミン「「神」を補食してるのは、九つの巨人です!」

    リヴァイ「────!!」

    群がっている巨人は「顎」、「車力」、「戦鎚」、「獣」────

    リヴァイ「いねぇのは「超大型」と「女型」、「進撃」....そして「始祖」...」

    アルミン「自分を喰わせた後、僕らが奴らを喰ってしまったら、新たな九つの巨人が産まれる!」

    リヴァイ「どういう事だ!?」

    アルミン「乗ってください!兵長!!」

    ──────
    ────



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