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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

この作品は執筆を終了しています。

春川「さよなら最原探偵事務所」

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  1. 1 : : 2021/01/04(月) 10:19:30
    注意書き
    ・ネタバレ、自己解釈、妄想含みます。
    ・これは私が過去に執筆した「最原探偵事務所シリーズ」のリメイク版です。また、『最原「よろしく最原探偵事務所」』の続編です
    ・更新はクソ遅いと思います。
    ・文章力はありません。
    ・多分あんま面白くないよ。
    ・荒らしやアンチコメはやめてね。
    ・諸々OKな人のみそのまま読み進めてください。
  2. 2 : : 2021/01/04(月) 10:59:21

    最原「…」


    春川「…」←トレーニングをしてる


    夢野「…」←マジックの練習をしてる


    天海「…」←本を読んでる


    赤松「…」←スマホを開いてる


    秋山「…」埃を目で追ってる


    蘭馬「…」←ゲームしてる


    千田「…」←何かを作ってる


    黒鉄「…」←キョロキョロしている


    ミライ『…』←スリープモード


    最原「…来ないね、依頼」


    春川「…まぁ、いつも通りだけどね……天海が来る前は大体こんなもんだったでしょ?」


    夢野「…確かに」


    赤松「えぇー?終一くんてばぁいつもこんなに寂しい日々を過ごしてたのぉ?可哀想ぉ〜♡」


    秋山「こらこら煽らないの。マキちゃんすごい殺気放ってるから」


    黒鉄「…でも、確かにこれだけ暇だとどうやって日銭を稼いでいたんです?」


    天海「バイト、ですよね!」


    最原「…まぁ、それもあるけど…今はあの時貰った謝礼金が山ほどあるからしばらくそんなに仕事頑張らなくてもいいみたい」


    赤松「ふーん、じゃあ一旦解散にする?もし依頼が来れば集合するって感じでさぁ」


    最原「…確かに、それもそうだね。」


    最原「という事で、みんな部屋に帰っていいよ。とりあえず今は自由時間って事で…」


    天海「分かりました!」


    そうして、僕達は一度部屋に戻った。


    最原(…さて、時間は結構あるけどどうしようか…)


    自由時間、開始!


    >>3 (どうするか、行動指定お願いします。)

    (誰かと過ごすでも良いですし、働いて日銭を稼ぐでも、パチンコしに行くでも、寝るでもいいです。)

    (この時の行動が後々に関わったりするかも?)

    (もし誰かと過ごす場合は天海蘭奈、赤松椛、秋山神奈、天海蘭馬、千田陸斗、黒鉄進太郎、ミライの誰かでお願いします。)
  3. 3 : : 2021/01/04(月) 21:34:33
    不要な私物や事務所にあるもの売りに行く(普通の物は質屋に、オーパーツに見えそうなものは葉隠に)
  4. 4 : : 2021/01/05(火) 08:38:06
    最原「…よし、要らないものを売りに行くか」


    そう言って、僕は部屋のものを物色し始めた。


    最原(とはいえ、不要なものはあまりないんだよなぁ…最近色々あってスッキリしたってのもあるけど…)


    最原「…そうだ、他の人の部屋はどうだろう」


    最原「…まずは春川さんの部屋だ」    


    そうして、僕は春川さんの部屋に入った。


    最原「…何もない。結構しっかりしてるんだよな…春川さんって…次は夢野さんの部屋か」


    最原「…マジックに使うであろうアイテムばかり…あと合気道の指南書と、化学の教材…?心理学の本とか色々…トランプ何種類もある。うわっ、鳩がいる!」


    最原「…何か、マジシャンの裏を見た感じがするな……次は…」


    と、そんな感じでほぼ全員分の部屋を見回ってきたがめぼしいものは特になかった。


    最原(あったとしても、絶対売れなさそうなガラクタばかり……思った以上に癖のある人ばかり集まってしまったんだな)


    最原「…最後は赤松さんの部屋か」


    最原(な、何だろう…この緊張感は…)


    最原「…とにかく入ろう」


    最原「…あれ?思ったより普通……なんで包丁がこんなに…うわっ、隠し撮り写真がいっぱい………日記帳?中にはなんて…?」


    そこには『見たね?』の文字と一面に埋め尽くされた♡が………


    僕はそっとページを閉じて部屋を後にした。


    最原「…結局何もなかったなぁ……どれも不要なものって感じでななかったし…」


    最原「…あれ?水晶玉…?こんなのさっきまであったっけ?まぁ、いいか…葉隠さんにでも売り付けてこよう。」


    僕は物陰からこちらを見つめてる誰かに気付く事なく葉隠さんの元へ向かった。




    赤松「…うぷぷ♡」
  5. 5 : : 2021/01/05(火) 08:41:05
    無事、あの水晶玉は高く売ることができたので、満足げに事務所へ帰ると…


    最原「…ただいまー…あれ?」


    鬼の形相で待ち構えていた春川さん達の姿が、その後ろで満面の笑みで手を振る赤松さんがあった


    ミライ『最原サン、アナタが乙女の部屋に無断で入った映像…ちゃんと残ってるのデスよ』


    最原「あ、あー…なるほどね……」


    その後僕は春川さん達にめちゃくちゃ怒られたのだった。


    最原「…赤松さんのは、ただのいたずらだったんだ?」


    赤松「うん♪終一くんが部屋を物色してるのに気付いたから、それでちょっとねぇー♡」


    赤松「まぁ?全部が全部冗談だとは限らないけどね♡中にはガチのガチだったものも…」


    最原「…えっ?」




    その後、僕たちは昼食を終え、また各自別れる事となった。
  6. 6 : : 2021/01/07(木) 13:36:36
    最原「…ふぅ、まだ時間が空きそうだな」


    最原(…そうだ、天海さんといっしょに時間を潰そう)


    最原「…天海さん、ちょっと時間ある?」


    天海「はい、大丈夫ですよ!」


    天海「…まさか、最原さんから誘ってくれるなんて…私とっても嬉しいです!」


    最原「そ、そんなに?」


    天海「当たり前です!私、最原さんのことすごい尊敬しているんですよ?」


    天海「せっかく最原さんが私の事誘ってくれたんです。時間は大丈夫なのでいっぱいお話ししましょう!」


    天海さんとお話しながら過ごした。


    天海「というわけで、最原さんは私に何か聞きたい事ありますか?」


    最原「…天海さんって、確か家出してたんだよね?その話について聞いてみたくて…」


    天海「…あー、やっぱりその話になっちゃいます…?はい、私は結構前に家を飛び出して今ここにいるんです。」


    天海「家族で旅をしてた時のことなんですけど…たしかあの時は、アメリカかそのあたりだったと思います…」


    天海「私はいつものようにお兄ちゃんと遊んでいたんですが、ちょっとした事で喧嘩になってしまって…それでその場から飛び出してしまったんです。」


    最原「…それで家族と離れ離れに…?」


    天海「飛び出して走り去ったはいいけど、そこが何処なのかさっぱりで…あっという間に迷子になってしまったんです」


    最原「そうだったのか…」


    天海「コロシアイの中継で見つけたお兄ちゃんはあの時のままで…ようやく手がかりを掴めたと、やっと会えると思っていたんですけど…」


    最原「…」


    天海「ま、まぁその事については最原さん達のおかげでもう立ち直ったので大丈夫です!」


    最原「天海さんはそれからどうやって過ごしてきたの?」


    天海「とても親切な老夫婦に拾っていただいたんです。お陰でこんなにすくすくと成長しました!」


    最原「それはよかったね。」


    天海「はい、あの老夫婦にはとても感謝しています。お陰で家に帰る事が出来ました。一年くらいにようやくですが…」


    最原「…なるほど、そこで天海くんがいなくなったのを知ったんだね?」


    天海「…はい。その事実が信じられなくて、そこでまた家出しちゃったんです。」 
  7. 7 : : 2021/01/07(木) 14:32:45
    天海「………ねぇ、最原さん。私が最初にここに来た時のこと覚えてますか?」


    最原「…うん、覚えてるよ」


    天海「あの時は…みんな見つけられたらって言いましたが」


    天海「最原さんや春川さん、夢野さんが仲良くしているのを見るとなんだかとても羨ましくて…私、余り友達がいた事ないので」


    天海「だから、ちょっと早すぎるかも知れませんがやっぱり今からお友達になりましょう!」


    最原「…えーっと、僕は最初からそのつもりだったけど…?」


    天海「えっ!?そうだったんですか?!」


    最原「…多分、春川さんや夢野さんもそう思ってると思うけど」


    天海「ええ!??」


    天海「そ、それじゃあ私が勝手に一人で塞ぎ込んでただけ…?そ、そんなのちょっとショックなんですけど!?」


    最原「…あはは」


    天海さんと少し仲良くなれたみたいだ


    天海「む、むぅ…それなら今すぐ他のみんなと…ごめんなさい最原さん!私急に用事ができました!それでは失礼します!!」


    最原「あ、うん…またあとでね」


    そう言って、天海さんは全速力でその場を去った。
  8. 8 : : 2021/01/07(木) 14:34:55
    最原「…まだ時間が空きそうだな」


    最原(赤松さんでも誘ってみるか…)


    赤松「えぇー?終一くんが私とぉ?いいよいいよ♪何して遊ぼうか☆」


    最原「ちょっと赤松さんとお話したいなって思ってさ」


    赤松「うん♪いいよ終一くん♡」


    赤松さんとお話しながら過ごした。


    赤松「いやぁ、終一くんとこうやって何でもない話するの希望ヶ峰学園以来だなぁ♡」


    最原「…赤松さんは僕と何度か会った事があるの?」


    赤松「うん、まぁキミは忘れてるんだろうけど…キミ達が普通の一般人に戻る前の話だからねぇ」


    最原「一般人に戻る前…?」


    赤松「そ♪実は終一くん、一回だけ楓お姉と同じクラスになった事があって…その時に何回かお姉と入れ替わって遊んでたからさ。」


    最原「…あれ?でもそういえば小さい頃に養子に出されてほとんど関わらなかったって…」


    赤松「それまでなかっただけだって♪私と楓は希望ヶ峰学園で再会して、それからはずっと仲良しだったんだよ」


    赤松「でもあの時、私はお姉ちゃんを売った。」


    最原「…その話も詳しく聞きたかったんだけど…それってどう言う意味なの?」


    赤松「簡単だよ。楓お姉に間違われて命を狙われそうになった…だから姉の情報を差し出して自分は助かった。それだけ」


    最原「…それは、仕方なかったんじゃないかな。だって自分の命が狙われただけなんだから」


    赤松「どうだろう、たぶん他にも方法はあったはずだよ。」
  9. 9 : : 2021/01/07(木) 14:55:39

    赤松「…私がチームダンガンロンパに入ったのもその時くらいかな。いちいち狙われるのが面倒だったからそれならいっそ入っちゃえって…結局人質として捕らえられる事になったんだけど」


    赤松「知ってる?私、終一くんたちが参加した殺し合いの首謀者候補だったんだよ。もし途中でつむぎちゃんが死んだ場合の保険としてね…たぶんそっちでもいけるように色々伏線が貼られていたと思うけど…」


    最原「…たしかに、そうだったけど」


    赤松「うぷぷ♡もし私が首謀者として現れたら絶望してくれたかなぁ?」


    最原「…それは、絶望したんじゃないかな…結構悪趣味な質問するね、赤松さん」


    赤松「まぁね、私は性根が腐ってるから」


    最原「…またそうやって自分を卑下にする」


    最原「たしかにさっきの質問は少し悪趣味だったけど、僕は赤松さんのことそんなに悪い人だとは思ってないよ。それは、この間の事件の時も言ったよね」


    赤松「…まぁ、終一くんは優しいからねぇ」


    最原「だって、どれもこれも環境がそうさせただけじゃないか。キミ自身が悪いことなんて何一つないよ」


    赤松「…終一くんって女ったらしだよね」


    最原「えっ!?」


    赤松「一体、今まで何人の女の子をその天性の口説きセンスで誑し込んだのか、是非問いただしたいものだけど、仕方ないなぁ惚れた弱みってのもあるしねぇ」


    最原「そ、それってどういう…」


    赤松「べー!そう何回も教えてあげるほど私は優しくないよっ♪ばーか♡」


    最原「…っ」


    赤松「…あれ?照れた?照れた照れた???照れちゃったぁ???終一くんかぁーわぁーいぃーいぃー♡♡♡」


    最原「ちょっ…」


    赤松「終一くんって結構チョロいよね、本当にいろんな(ヒト)に騙されそう…ちょっと心配になって来たよ。」


    最原「…赤松さん、あんまり揶揄わないでよ」


    赤松さんと少し仲良くなれたみたいだ


    赤松「うふっ♪じゃあまた後でね⭐︎終一くん♡」


    最原「…うん、また後で」


    赤松さんは最後まで僕を揶揄っていながらその場を後にした。


    最原(…今日は特に何も依頼は来なかったなぁ)


    最原「もう夜遅いし、今日はもう寝ようかな」


    そうして僕は眠りについた
  10. 10 : : 2021/01/07(木) 14:55:59
    翌日…


    その日も、依頼はやって来ず事務所でのんびり本を読んでいると…


    蘭馬「…なぁ、そんなに暇なら私の方から依頼お願いしていい?」


    最原「…ん?別にいいよ」


    蘭馬「…私自身、これが大変なのはよく分かってるし別に今すぐ解決しろって訳じゃないんだけど……」


    蘭馬「義妹(いもうと)たちを探して欲しい…んだ」


    最原「…義妹を?」


    天海「!」


    蘭馬「…義理とはいえ、一応私は次女の立場だし…(蘭太郎)(蘭子)も、(わたしたち)を探してたんだろ?じゃあ、それを引き継ぐのは私の…し、使命…だと思うから……」


    赤松「えぇー?でもでもぉ、蘭奈ちゃんが外で倒れてたときどうでもいいとか言って結構素っ気なかったじゃん」


    天海「えっ!?」∑(゚Д゚)


    蘭馬「あれは…その……えっと…そういう…のじゃ………」


    赤松「冗談だってば、本気で落ち込まないの…ちゃあーんと分かってるよ。」


    赤松「照れ隠しのつもりだったんでしょ?嬉しいのがバレたくなかったから…恥ずかしがり屋さんなんだから、もう」


    蘭馬「…ま、まぁ……そういう事だから、お願いしていい…か?」


    最原「いいけど…確か海外とかにいるんじゃなかったっけ?」


    蘭馬「そうだけど…でも、多分みんな今は日本にいると思う。最近のニュースで私と蘭奈の名前が出たし…兄と姉の事も聞いてるだろうから……むしろ、いないとおかしい。全員ブラコンでシスコンだから…」


    最原「…そ、そうなんだ……うん、分かった。その依頼受けるよ」


    蘭馬「…ありがとう」


    最原「とりあえず、出来るだけ早く情報を集めて捜査に出よう」


    蘭馬「…あ、でもそんなに急がなくてもいい…ぞ。もし他に依頼が来たならそっち優先して貰っても構わないし…」


    蘭馬「さっきも言ったけどこの依頼は間違いなく時間かかるし……その間収入がなくなる訳だから」


    最原「…それもそうけど……」 


    赤松「どうせ今仕事ないし暇だもんねぇ。まぁ、いつも通り適当に過ごしながら情報を集める程度でいいんじゃない?それに全員シスコンでブラコンなら勝手に集まりそうなもんだし」


    蘭馬「…うん、それでいい」


    最原「…えーっと、じゃあそんな感じで。みんなお願いね」


    「「「はーい」」」
  11. 11 : : 2021/01/07(木) 15:49:34
    最原「…よし、暇だし天海さん達の妹の情報でも集めようかな」


    最原「…秋山さん、一緒に天海さんの妹について調べない?」


    秋山「うん、別にいいよ。」


    秋山さんと天海さんの妹について調査しながら過ごした。


    最原「…秋山さんって春川さんの親友、だったんだね?」


    秋山「うん、孤児院で過ごしてた時だね。」


    最原「その時の春川さんについて聞いてもいい?」


    秋山「いいよー。とは言っても今とそんなに変わらないよ?」


    最原「…そんなに?」


    秋山「うん。あの時よりは前向きになれたみたいだけど、基本そんなに変わりない。あ、でも泣き虫なところは変わったかな。」


    最原「あの春川さんが?」


    秋山「うん、本人の前で言うと怒られちゃうから内緒なんだけど…おねしょも何回かしたことあるよ?その時はいつも泣いていたよ。」


    最原「へ、へぇー…」


    秋山「他にもすっ転んで膝から血が出ちゃった時とか、お気に入りの服汚しちゃった時、大好物のお菓子地面に落っことしちゃった時とかね。」


    秋山「下の子が増えてから、そういうことはなくなったけどね。」


    最原「そうなんだ…」


    秋山「…ほんと、強くなったよねマキちゃん…私はあの頃と何も変わらない、弱いままだっていうのに」


    最原「…え?」


    秋山さんと少し仲良くなれたみたいだ。


    秋山「…さぁ、早く行こう?蘭馬ちゃんの妹の調査するのもいいけど、あんまり遅いとみんな妬いちゃうよ?」


    最原「あ、待ってよ秋山さん…!」


    そう言って走り去る秋山さんに続いて僕もその場を後にした。




    ??「…あれ?今の人もしかして…」


    少女の名前は天海鈴音(あまみ すずね)、超高校級の冒険家である天海蘭太郎の義妹のうちの一人である。


    鈴音「…いや、気の所為か。そんな偶然あるわけないし」


    鈴音「早く見つけ出さないと…」
  12. 12 : : 2021/01/07(木) 16:09:23
    事務所に帰った僕たちが昼食を終え、またそれぞれ部屋に戻ろうとすると…


    赤松「ねぇ終一くん、暇?」


    最原「…暇だけど」


    赤松「じゃー、私からの依頼(オシゴト)ね。デートしよ、終一くん?」


    最原「ぶーーーっ」


    春川「で!?」


    夢野「…で?!!?」


    天海「…で、デートぉ?!!!!???」


    赤松「…実は近くにラブホ街があってね、いいお店見つけたんだぁ」


    最原「??!?!????」


    春川「ちょっ…」


    夢野「んあっ!?」


    天海「だ、ダメですダメ!そんなの絶対ダメ!!」


    赤松「…うぷぷ、あー面白い♪大丈夫だよ、安心して?そんなところに終一くんを連れて行ったりしないからぁ♡♡♡」


    天海「ダメだ全然説得力ないよ!?」


    赤松「大丈夫だってぇ…仮にもしヤるならみんなの前でするし⭐︎」


    天海「羞恥ぷれい!!?」


    最原「」


    春川「」


    夢野「」


    天海「さ、三人とも思考停止しないでください!?」


    赤松「というわけだから、行こう終一くん♪デートだよデート⭐︎ゴーゴーゴー♡」


    最原「あ、ちょっ、引っ張らないでよ…!」


    天海「なっ…みんな追いかけますよ!?」


    そうして、僕は赤松さんに引っ張られて何処かへ連れて行かれた。
  13. 13 : : 2021/01/07(木) 16:27:58
    最原「…ここは、もしかしてお墓?」


    赤松「そ、ラブホ街じゃなくてがっかりした?色々期待しちゃった?」


    最原「ち、違うよ…」


    赤松「…まぁ、ショックなのはわかるけどねぇ。普通の感性してたらデートで墓場に連れて行かれるなんて思わないだろうからさ」


    赤松「色々あった所為でここに来るの結構久しぶりなんだよね…それに終一くんだって今みんながどこで眠ってるか知りたいでしょ?」


    最原「…うん」


    赤松「…さ、ここだよ。本当はこんなのあったら彼らが死んだっていう証拠になっちゃうからダメなんだけど…会社の人に黙ってこっそり作っちゃったんだ。」


    そこには、死んでいったみんなの分のお墓があった。


    最原「お供物…?誰かよく来てるの?」


    赤松「うん、何人かはここの存在知ってるからね…少なくとも私と同じく捕まっていた人には教えてあるから」


    最原「…そうか」


    春川「…最原、ここってもしかして」


    最原「は、春川さん?みんなも…」


    夢野「…そうか、転子たちはここに」


    天海「…っ!」


    最原「…赤松さん、教えてくれてありがとう。」


    赤松「どういたしまして。これからもみんなに会いに来てあげてね」


    最原「…うん、もちろんだよ。」


    その日は、みんなそれぞれお墓の前で話をして一日を終えた。
  14. 14 : : 2021/01/07(木) 16:31:05
    翌日


    ??「スミマセン、依頼がアッてキタのデスが…」


    最原「はい、なんの御用でしょうか?」


    最原(…外国の人かな?)


    やってきたのは伏し目がちの金髪美女と、服の上からでも分かるくらいガタイの良い燕尾服を着た男性だった。


    ??「ワタクシの、フィアンセだったト言うヒトの名前ヲ知りタイんデス。」


    最原「…フィアンセ…だった?」


    ??「申し遅れマシタ、ワタクシの名前はエマ・スチュワート…とイウ者らしいデス」


    エマ「実は、ワタクシは記憶ヲ失くシテおりマシテ……記憶を失ウ前、交際してイタ誰かの名前が知りタクテ、ココに来まシタ。」


    最原「…なるほど、分かりました。因みに何か手掛かりになるような物ってありますか?」


    エマ「…ソレが、日本人だったコト以外はナニモ分からナクテ……」


    最原「そうですか…」


    エマ「…ワタクシ、とアル組織に拾われて、ズット匿われテタんデスケド…記憶を失うマエのコトはナニモ教えてクレなかッたんデス。デモある時、偶然ソノコトを話してイル所に遭遇しまシテ…問いただしテモ答えてクレナイんデス」


    春川「…ねぇ、最原……教えてくれないって事はもう…」


    最原「その可能性は高いと思う…けど……」


    夢野「んあー、なかなか酷な依頼じゃのう、これは…」


    エマ「…ワタクシも薄々は気付いテいるんデス、デモ、ソレならせめテ名前だけデモと…」


    最原「分かりました、尽力を尽くしましょう。」


    エマ「はい、アリガトウございます。」


    最原「…それと、すみません…さっきから気になっていたのですがそちらの男性は?」


    エマ「…このヒトは、最近組織の方がワタクシの身辺のお世話と護衛にト雇っテくださっタ…」


    西片「西片炎(にしかた ほむら)と申します。以後、お見知り置きを」


    最原「ど、どうも…」


    最原(あれ?この感じ、どこかで…)


    最原「それでは、調査の結果はまた後日お伝えしますので電話番号の方を…」


    エマ「分かりマシタ…」


    西片「お嬢様、そろそろ…」


    エマ「…ア、スミマセン西片サン…わざわざ付き合っテ頂いタのに……」


    西片「いえ、仕事ですので」


    エマ「ではソロソロ失礼いたしマス。依頼の方、ドウカお願いシマスネ」


    最原「はい、任せてください」
  15. 15 : : 2021/01/07(木) 16:34:50
    エマさんと西片さんが去った後、すぐに次の依頼人がやってきた。


    ??「クックックッ…冥府より解き放たれた邪気を纏う我が神威に恐れ慄くが良い!我が真の名は、天璋院咲耶(てんしょういん さくや)!又の名を深淵の闇の皇女と言う!」


    天璋院「古の契約により、汝らの力を欲するが為地獄より舞い戻ったぞ!!」


    最原(なんか凄い人きた)


    春川「冷やかしなら帰って」


    天璋院「ひ、冷やかしちゃうわい!」


    夢野「じゃあ何の用があって来たんじゃ?」


    天璋院「…クックックッ、よくぞ聞いてくれた!貴様がそこまで言うのなら教えて…」


    赤松「あ、やっぱりいいや。ばいばいさようなら」


    天璋院「えっ」


    ??「…ごめん咲耶さん、しばらく黙ってくれる?」


    天璋院「あう…」


    ??「ぼくの名前は日永デイヴィ、とある人物の正体について調べて欲しいんです。」


    最原「…とある人物?」


    日永「はい、実はここ最近ぼくたちの周りで正義の味方を自称する人物が色々人助けみたいの事をしているみたいなんですが、礼をしようにもすぐにいなくなってしまうので…」


    最原「な、なるほど…」


    日永「それに、何をしたとしても見返りを一切求めないので少し不気味と言いますか…ぼくの神さまも絶対何か裏があるって言ってますし」


    最原「…ん?」


    最原(…神さま?)


    日永「という訳で、調査の方お願いできますか?」


    最原「あ、はい。それはもちろん…」


    天璋院「クックックッ…しかし所詮は人の子の所業…我が全てを見通す神なる慧眼を持ってすればある程度の目星は、あ、ごめんなさい…」


    日永「…………。そういうわけで、実はある程度怪しい人物は絞られてるんで、その人たちの身辺調査を依頼したいんですけど」


    最原「分かりました、ではその人物の情報と、あとはどちらかの連絡先をてまた後日調査の結果をお伝えしますので」


    日永「分かりました…じゃあ咲耶さん」


    天璋院「わ、我が秘めたる数字をそう簡単に教える訳には…!」


    日永「…ほら、ぼくは携帯とか持ってないし。」


    天璋院「む、むぅ…仕方あるまい……」


    最原「…なんかすみません」


    最原(この二人あまり相性よくなさそうだな…)
  16. 16 : : 2021/01/07(木) 16:36:56

    最原「…狼男?」


    天璋院さんと日永さんが去った後、さらにもう一人依頼人がやってきたのだった。


    最原(…なんでだろう、今日はやたら依頼が舞い込んでくる…)


    ??「あぁ、ここ最近家の近くで見るようになったんだが…ありゃあ間違いねえ、狼男だ!」


    春川「…こいつ馬鹿なの?」


    ??「バカじゃねえよ!テメェこの世紀の大天才サマに向かってなんて口聞きやがる!」


    夢野「お主、冷やかしなら帰れ」


    ??「ひ、冷やかしじゃねえって…マジで見たんだよ、四つん這いで走り去るライオンみたいな男を…」


    最原「…分かりました、調査だけはしてみますが…」


    ??「何だよ、テメェ信じてねえな?!」


    最原「あ、いや、そういう訳じゃ…」


    天海「…だって、狼男って言われたら…ね」


    赤松「…でも、そういえば昔あったよねぇ?狼に育てられた少女だったっけ?あ、終一くん達からすればゴン太君の方が近いっけ?」


    最原「…なるほど、そういう系か。」


    ??「やっぱり信じてなかったじゃねえか!」


    最原「ところで、あなたの名前は?」


    ??「入間だ入間!入間虎雄(いるま とらお)!」


    入間「テメェらのよく知る、入間美兎の兄貴だよ!」
  17. 17 : : 2021/01/07(木) 16:51:44
    入間さんに詳しい話と連絡先を聞いた後、彼は何か用事を思い出したらしく急いで帰って行った。


    最原「…」


    春川「なんなの?今日やたらと依頼しにくる人多くない?」


    夢野「んあー、まさか一日で三件の依頼が来るとは…今までで一番忙しくなりそうだわい」


    赤松「…じゃあ、三手に分かれて捜査する?」


    天海「…そうですね!それが一番いいんじゃない?ですか…?」


    秋山「蘭奈ちゃん、慣れないなら無理してタメ口しなくてもいいんだよ?」


    最原「…じゃあ、一件目のエマさんの依頼は僕と…」


    赤松「はいはーい♪私そっちがいい⭐︎神奈ちゃんも一緒にいこ?」


    秋山「うん、分かったよ。」


    春川「…じゃあ私は狼男の調査に行くね。もしかしたら戦わなくちゃいけないかもしれないし」


    天海「あ、私もいきます!」


    黒鉄「そういうことならボクもそちらの捜査に動きますね」


    夢野「ということは…」


    蘭馬「残った三人で…」


    千田「正義の味方の正体を暴けばいいのか」


    ミライ『ちょっと!ワタシはどうすれば…!?』


    最原「ミライさんはお留守番って事で…もしかするとまた依頼に来る人がいるかもしれないし」


    ミライ『そういうことなら、了解しまシタ。お任せください!』


    最原「…よし、それじゃあみんな捜査をはじめようか」


    「「「おー!」」」


    そうして、僕たちはそれぞれ捜査を始めたのだった。
  18. 18 : : 2021/01/07(木) 20:01:43

    『…クソッ!やっと追い詰めたぞ、××!』


    『ったく、手間取らせやがって…さっさとぶっ殺してやる!』


    『待て、どうせ殺すならせめて色々愉しんでからでも良いだろう?』


    『確かに、その方が奴にとってもいい当て付けになるかもな。なぁ、××』


    『…ッ!』




    『…大丈夫ですか?』


    『彼らは、ちょうど我々と敵対していたため始末しましたが…』


    『……その、遅くなってしまい申し訳ありません』


    『また、命を狙われるかも知れません。ここはあなたは×××事にしましょう。その方が安全だと思われます』


    『…』




    『×××が××××を丸ごと全滅させたようです』


    『そして彼は、今××に××されています』


    『…会いに行きたいですか?』


    『いいえ、今更彼に会った所で…私と関わった人間はみんな××になってしまう、これ以上×××に迷惑はかけられません』




    『×××が亡くなったそうです』


    『例の、××××××××に巻き込まれたみたいで…それはもう、無惨に』


    『ダメです!それを見たらあなたはきっと壊れてしまう!』


    『…アァ、アアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!』




    エマ「…ッ!?」


    また、あの夢だ。最近よく見る、あの悪夢。


    西片「大丈夫ですか?随分とうなされていたようだ」


    エマ「…ハイ、大丈夫デス。ご心配ヲおかけし申し訳ありマセン。」


    今はまだ車で移動中だったようだ。いつの間に眠ってしまっていたのだろう


    西片「…そういえば、お嬢様がお休みになられてる間組織の方から連絡がありました。」


    西片「しばらく日本にいると告げたところ、随分とご立腹な様子でしたよ。恐らく組織の皆様もこちらに来るかと」


    エマ「…ソウ、デスか…後デちゃんと謝らなクテはナリませンネ」


    そうして、私達は現在の拠点へと帰ったのだった。
  19. 19 : : 2021/01/07(木) 21:24:01
    最原「………」


    赤松「終一くん?何か分かったの?」


    最原「…いや、そういう訳じゃないんだけど……今日会った人たちの中で赤松さんが知ってる人っている?」


    赤松「あぁ、そういうことね。」


    赤松「虎雄くんと、デイヴィくん、咲耶ちゃんは知ってるけど、エマちゃんと炎くんは知らないなぁ。」


    赤松「…デイヴィくんはアンジーちゃんと同じ島の住人で彼女の信者、咲耶ちゃんは是清くんのお姉さんのお友達候補、虎雄くんは…まぁいいよね。みんな動機ビデオに映ってた人だよ。三人とも、本人にとって効果があったのかどうかは知らないけどね。」


    最原「それは…あまり意味なかったんじゃないかな?」


    最原「でも、やっぱりそうか…」


    秋山「どうしたの?」


    最原「…西片さんだけど、恐らく東条さんの言っていた…」


    赤松「…あぁ、執事派遣組織ね。じゃあ、エマちゃんは竜馬くんの彼女だって?でも、死んだって言っていたよ?…そりゃあまぁ、記憶がないなら死んだようなものかも知れないけどさ」


    最原「それこそ、僕たちみたいに死んだって事にしただけかも知れない。とはいえ、はっきり証拠があるわけじゃないから何ともいえないんだけど…」


    最原(もしかして、エマさんは何か隠してる?)


    最原「とにかく、調査を進めよう。」
  20. 20 : : 2021/01/08(金) 07:01:08

    春川「…はぁ、にしても狼男、かぁ」


    天海「皆目見当もつかないですね…」


    春川「…いや、見当はついてるよ」


    天海「…え?」


    黒鉄「恐らく、赤松さんが言ったように狼に育てられた野生児の類いなのは確かでしょうが…それ以上に分かることでもありましたか?」


    春川「…たぶん、最原も夢野も気付いてると思うけど…今回の依頼者は全員私たちがやった殺し合いの参加者の関係者だよ」


    黒鉄「それは…そうかもしれませんが、それだけで候補は絞られるとは…」


    春川「…狼男は獄原の育ての親で、正義の味方は茶柱の師匠…辺りなんじゃない?」


    天海「流石に、そんな偶然は…」


    春川「誰かが仕組んだことなのか、グルなのか、それとも本当にただの偶然かは知らないけど…依頼の内容から察するにたぶんそうだと思う」


    天海「ふぇー…春川さんって確か暗殺者なんでしたよね?」


    春川「…それがどうしたの?」


    天海「いや…本当に探偵みたいだなぁって思って…」


    春川「まぁ、かれこれ一年以上は最原の助手やってるからね…」


    黒鉄「…それで、仮に獄原クンの育ての親が依頼にあった狼男だったとしてどうやって捕まえましょう?」


    春川「…そこが問題なんだよね。獄原の育ての親ってことはもしかするとあいつより強いかもしれないから…捕まえるのはすごく難しいと思う。」


    春川「もちろん、私の推理が間違ってる可能性もあるからいらない心配なのかもしれないけど」


    黒鉄「とにかく捜査を進めましょう。相手の正体が分かれば済む問題かも知れませんしね」
  21. 21 : : 2021/01/08(金) 21:17:13

    夢野「………」


    蘭馬「夢野、どうかしたのか?」


    夢野「………」


    千田「何か分かったのか?」


    夢野「………」


    夢野「さっぱり分からん!」


    千田「なんだよそれ!?」


    蘭馬「…あの時のあんたはかなり頭が冴えていたと思うけど…?」


    夢野「それは…単純に気持ちが昂っておったからというか…」


    千田「なるほど、つまりテメェは肝心な時にしか役に立たないってことか」


    蘭馬「…じゃあ、今回夢野はずっと役立たずだと」

      
    夢野「な、なにを言うとるんじゃ!ウチほど役に立つ者はそうおらんぞ!!」


    千田「…それで、どうするよ蘭馬」


    蘭馬「…とりあえず怪しいって人物の見張りでもしよう」


    千田「だな」


    夢野「んあー!ウチを除け者にするでない!!」


    夢野「それにしても、正義の味方か…なんだかワクワクしてきたわい!」
  22. 22 : : 2021/01/08(金) 23:00:45
    最原「とりあえず赤松さんに秋山さん、みんな分かれて捜査しようか」


    赤松「はーい。」


    秋山「うん、分かった」


    そして、各自分かれて捜査を始めて二時間が経った頃


    赤松「やっほぅ、捜査捗ってる?」


    最原「…うん、それなりには」


    赤松「やっぱり終一くんは流石だねぇ。私なんてさっぱりだよ」


    最原「…本当に真面目にやってる?」


    赤松「ちゃんと真面目にやってるってばぁ、そんな風に思われてるなんてショックだよもう!」


    最原「…ごめん」


    赤松「…そういえば、終一くんってお姉のこと好きだったんだよね?」


    最原「急になに?どうしてそんなことを…」


    赤松「別に、ただの好奇心。」


    最原「…たぶん好きだったんだと思う…けど」


    赤松「あれ?過去形?今は違うの?」


    最原「…好き、とまではいかないけど気になってる人なら……って、なんでそんなこと言わないといけないの?」


    赤松「だから、ただの好奇心だってば。でも、まぁそうだよね。みんな恋くらいするよねぇ…羨ましいなぁ」


    最原「…え?」


    赤松「私、本気で人を好きになったことないんだよ…たぶん」


    赤松「前に話したでしょ?楓お姉とよく入れ替わって遊んでいたって。それで、お姉ちゃんが終一くんのこと好きだったからそのフリをしてるうちにキミのこと好きになったんだけど…」


    赤松「でもそれってなんていうか、偽りの恋みたいな?あくまで楓を演じるための嘘みたいなものだったからさ…私も本気で恋したいなぁって思って」


    最原「…赤松さん」



    赤松「なーんてね⭐︎さっきの話は嘘嘘♪だって、私普通に終一くんのこと好きだし♡そりゃあ最初は嘘から始まったかも知れないけど、今は本当の本気だから!」


    赤松「さぁ、お喋りなんてしてないで早く捜査進めよう?」


    最原「…うん、そうだね赤松さん」


    赤松さんと少し仲良くなった。
  23. 23 : : 2021/01/08(金) 23:44:58
    最原「あ…」


    秋山「最原くん!調子どう?私は全然だよ…こういうのはあんまり向いてないのかな」


    最原「…まぁ、今まで探偵やってたわけじゃないだろうから仕方ないよ」


    秋山「ありがとう、そう言って貰えるとあまり落ち込まないで済みそうだよ。」


    最原「…そういえば秋山さん、この間言ってた…」


    秋山「あー、覚えてたの?私としては忘れて欲しかったんだけど……」


    秋山「私はね、マキちゃんと違ってなにも成長してない、何もかもあの時ままなんだよ。」


    秋山「昔から人に依存してばかりだし、未だによく泣くし、嫌われるのが嫌だから優しくみせてるだけだよ。」


    最原「…そんなこと」


    秋山「あるんだよ。」


    秋山「最原くんが知らないだけで、私は最低最悪の人間なの」


    最原「…」


    最原(…どうして、赤松さんも秋山さんもそんなに自分を卑下にしたくなるんだろう……やっぱり会社にいた時になにかあったのかな…)


    秋山「…そうだよ、私が、私がやらなくちゃ…マキちゃんにこれ以上手を…汚させるわけには…ダメだダメだ…私がやらないと……マキちゃんの代わりに、私が…」


    最原「あ、秋山さん…!?」


    明らかに様子がおかしい。パニックになっているのだろうか…


    赤松「神奈ちゃん、大丈夫?」


    秋山「…椛ちゃん?」


    赤松「落ち着いて、キミはもう暗殺者じゃないでしょ?」


    秋山「…あ、うん……そうだね」


    赤松「…ふぅ、ダメじゃない終一くん。神奈ちゃんに昔のこと思い出させたら。」


    最原「…赤松さん、今のは?」


    赤松「神奈ちゃんはPTSDを患ってるから、それが出たんだよ。普段は精神薬を飲んで抑えてるんだけど…この感じだと今日の分飛ばしたみたいだね。」


    最原「…そうだったんだ」


    赤松「…うん、今回は仕方ないけど…次からは気をつけてあげてね?いつも私が近くにいるとは限らない訳だから」


    最原「もしかして、赤松さん…」


    赤松「そ、催眠をかけて落ち着かせただけ。まぁ、あくまで一時的なものだから今日はもう休ませるね。」


    最原「うん、ありがとう赤松さん」


    そうして、僕たちはその日の捜査を終えた。
  24. 24 : : 2021/01/09(土) 00:37:07

    その日の夜、僕はよく眠れなかったので外に出て夜風に当たることにした。


    千田「…おっ、最原か。眠れないのか?」


    最原「…うん、千田くんも?」


    千田「…いや、オレの場合は日課だな。毎晩寝る前に空を見上げてるんだ。」


    最原「そうなんだ…」


    千田「…最原は解斗と仲良かったんだよな?」


    最原「…うん、僕と春川さんが特に仲良かったと思うよ。」


    千田「そうか…随分と手を焼いたんじゃねーのか?」


    最原「まぁね」


    千田「オレも、半強制的に書類の偽造を手伝わされてな…よく振り回されたもんだ」


    最原「…やっぱり昔からそうなんだ」


    千田「あぁ、昔っからリーダー気質のいい奴だったよ。正義感が強くてな、責任感もある。常にみんなのことをよく考えてた。」


    最原「…」


    千田「この夜空を見てると、いつもあいつのことを思い出すんだ。」


    最原「百田くんも、よく空を見上げていたよ」


    千田「…どんな不可能もやり遂げちまえば可能に変わる…か。全くその通りだな」


    最原「…確かにそうだね」


    千田くんと少し仲良くなった。


    千田「さぁ、もう寝ようぜ。あまり遅くなると明日が大変だ」


    最原「うん、おやすみ千田くん」


    そうして、夜は更けていった。
  25. 25 : : 2021/01/09(土) 17:29:09

    翌日


    最原「…今日は、エマさんに話を聞きに行きたいと思う。」


    赤松「それじゃあ、私たちは遠くから様子を見てたらいいのかな?」


    最原「うん…それより秋山さん、昨日はごめん…大丈夫?」


    秋山「平気だよ!ごめんね心配かけて」


    赤松「…それで?エマちゃんと話すってことは彼氏の正体が確定したの?」


    最原「いや、そういうわけじゃないけど…エマさんからもう少し情報を聞き出すことが出来たらいいなって思っただけで」


    赤松「そっか。」


    最原「とにかく、まずは彼女に連絡してみよう」




    最原「…すみません、わざわざ時間を作ってもらえて」


    エマ「いいえ、大丈夫デスヨ。ワタクシもアナタとお話がしタイと思っテいまシタから」


    最原「…以前、あなたはとある組織に匿われたと言っていましたがその組織とは…?」


    エマ「………マフィア、とソウ彼ら言っテいマシタ」


    最原「マフィア…ですか」


    エマ「と言っても、自警団のようなモノらしいデスガ」


    最原「自警団…」


    最原「匿われていた…というのは具体的にどういう事ですか…?」


    エマ「詳しく聞いタ訳ではナイんデスガ…どうやらワタクシは彼らが敵対しテいタ組織に命を狙われテいタらしいんデス。」


    最原「…ということは、やはり相手はマフィア…」


    エマ「…ハイ、恐らくは」


    最原「…なるほど、…もう一つ聞いていいですか?あなたはテニスをやったことがありますか?」


    エマ「…いいえ、やったことはありマセンが…観るのは好きデシタ。ナゼ急にソンナことヲ?」


    最原「…エマさんの恋人だったという方が僕の知り合いかもしれないと思ったんです。」


    最原「……エマさん、もしかしてあなたのかつての恋人の名前は…星竜馬さんのことではないでしょうか」
  26. 26 : : 2021/01/10(日) 02:55:05

    エマ「…星、竜馬」


    エマ「竜馬…りょうま……リョー、マ…」


    エマ「…あァ、確かにそうデシタネ…ソレがアナタの名前デシタ」


    最原「…エマさん?」


    エマ「アリガトウございマス、最原サン…アナタのお陰で全部思い出しマシタ。」


    エマ「ソレと、ゴメンなさい…ワタクシ実は記憶ヲ失っテいタ訳ではナイんデス」


    最原「…やっぱりそうだったんですね」


    エマ「…流石ハ最原サン、全てお見通しデシタカ」


    最原「…いや、確固たる証拠があったわけじゃないんでただの勘ではあったんですけど…まず、どうしてわざわざ僕たちに依頼しにきたのかと思って…」


    最原「次に、記憶を失ったという割には日本語があまりに上手だと思ったんです」


    最原「…話を聞いていた限りだと、あなたは組織に匿われた時点では記憶を失っていなかった。でもある事件をきっかけに記憶の一部を失った…」


    最原「この事件というのは、恐らくコロシアイ…星くんが殺された事件のことだ。話の内容によると、組織も彼のことを知っていた風だった。」


    最原「彼の死ぬ瞬間を見たせいであなたは一度記憶を失った…」


    最原「恐らく、記憶を失ったのは本当だったと思うんです。でも僕の推理では記憶の回復そのものは早かったんだと思います。ただ星くんの名前だけは分からなかった。」


    最原「…最近起きた絶望事件、それにより僕たちコロシアイの生存者の所在が明らかになった。たぶん、それがきっかけで星くんの話をしていたんだと思うんだ。」


    エマ「………フフ、流石デスネ。大体ソノ通りデス…でも少しだけ訂正ヲ…ワタクシは自ら望んデ彼の記憶を失ったんデスヨ。」


    最原「それって、どういう意味ですか?」


    エマ「…要は一種の現実逃避デス。ワタクシは彼を忘れるコトでソレ以上傷付くのを避けタ…ですが彼の存在はワタクシにとって想像以上に大きくテ、本当に大切なモノだったんデス。」


    エマ「…ワタクシは目を覚ました時彼を忘れましタ。いや、忘れた振りをしたんでス、その自覚がないままに…そうすることで自分の心を守ろうとしタ」


    エマ「確かに心が壊れるコトにはなりませんでしタ。ですがその代わりにワタクシは大きな喪失感に襲われましタ。そこで初めて気付いたんでス、彼はワタクシの生きル希望だったんダト…」


    エマ「周りの方はワタクシに気を遣イ、彼の話をするコトはありませんでしタ。そして年月が過ギ、ワタクシの中から誰かの記憶を失ったという事実すらも忘れてしまいそうになった時、ニュースを見ましタ。」


    最原「…なるほど、それで……」


    エマ「アナタのお陰でワタクシは彼の全てを思い出すコトが出来ましタ。報酬についてはまた後日、改めてお持ちしますネ。」
  27. 27 : : 2021/01/10(日) 10:48:17

    夢野「…ふむ、昨日見張っていた者は違うかったようじゃし他の者を見張るかのう」


    蘭馬「昨日たまたま活動しなかった可能性もあるから、私はまだしばらく見張っとく」


    千田「あぁ、それじゃあオレたちは次に行くぞ」


    夢野「んあー、そうじゃな。」


    千田「…にしても、悪いことをしてるヤツを片っ端から投げ飛ばすとは…若干正義の範疇を超えてるような気もするな」


    夢野「確かにそうじゃのう…聞き込みをする限りではちょっとしたいたずら程度の悪でも投げ飛ばされてるようじゃし…」


    千田「まぁ、とにかく捜査を進めようぜ。次は…寺か?」


    夢野「寺じゃと…?まさかそこに勤める者がこのような荒事を行なってるというのか……ッ!?」


    千田「…いや、だからこそ悪が許せないのかも……あぁ?どうかしたか?」


    前から歩いてくる者の姿に、ウチは息を呑んだ。


    夢野「……転、子?」


    千田「…はぁ?」


    その者は、ウチを蔑んだ目で見下しながらすれ違っていった。


    千田「…おい夢野、なにを見たんだ?」


    夢野「いや、何でもないわい……恐らく他人の空似、あやつとは無関係じゃ」


    千田「…?」
  28. 28 : : 2021/01/10(日) 11:24:50
    それから数時間後


    千田「…おい、ちょっと腹減ったから何か買ってくるが…欲しいもんはあるか?」


    夢野「決まっておろう、張り込みといえばあんぱんと牛乳じゃ!」


    千田「おう、了解したぜ」


    夢野「……あやつらの話では昼間も行われてるとのことじゃが…全く動く気配がないのう…」


    日永「捜査、捗ってますか?」


    夢野「んあぁ!?急に話しかけるでない!びっくりするじゃろう!!」


    夢野「んあ?お主は確か…」


    日永「日永デイヴィです。」


    夢野「そうそう、日永じゃ…もう一人の方はおらんのか?」


    日永「……………。」


    日永「あぁ、咲耶さんは今家にいると思いますよ、今日はまだあってないですから。それにしても秘密子さん、見かけによらず仕事熱心なんですね。神さまも褒めていますよ」


    夢野「…神さま、か……」


    日永「…どうかしましたか?」


    夢野「いや、何でもないわい。」


    夢野「それより、気になっとったがお主とあやつ…咲耶と言ったか?はどういう関係なんじゃ?」


    日永「……………。」


    日永「ぼくたちの関係ですか?」


    日永「そうですね、一言で言えば恋人ですね。ぼくたちは一年ほど前に知り合ったんです。しかし、その時彼女はまさしく人生のドン底に立たされていました。」


    日永「そんなある日、ぼくの助言で彼女は神さまに祈りを捧げ、その結果、無事救われることができたのです。」


    日永「それ以来、ぼくたちは神さまに見守られながら二人で支え合って生きてきました。」


    夢野「あやつが神さまを…?とてもそんな風には見えんかったが…」


    日永「いいえ、アレはただの病気です。今の彼女は神さまに対して不信感を持ってる…大丈夫、すぐに治りますよ」


    夢野「………」


    日永「それでは失礼します、捜査頑張ってくださいね」


    そう言い残し、日永は去っていった。


    千田「おーう、お待たせ…なんだ、どうしたんだ?」


    夢野「…いや、何でもないわい」


    夢野(あやつらの身辺も捜査した方が良いかもしれんのう)
  29. 29 : : 2021/01/10(日) 12:25:01

    夢野「…結局今日も何も起こらんかったのう」


    千田「そうだな」


    蘭馬「…?なんだ、この騒ぎは…」


    夢野「お主ら、何かあったのか?」


    「…あぁ、探偵事務所の…実は男三人が女子高生に路上で思い切り投げ飛ばされてケガしたらしくて」


    夢野「…んあ?女子高生に、じゃと?」


    千田「…なぁ、これって例の?」


    蘭馬「たぶん…でも容疑者に女子高生なんて…」


    夢野「…いや、それらしき人物ならおったわい。」


    千田「あぁ、あいつか…寺から出てきたあの女が」


    「ちくしょう、あのガキ…ちょっと体触っただけだってのに…」


    「…もう二度とナンパなんてやらねー」


    「まさか、ホテルに連れ込もうとしただけであんなに怒るなんて…」


    夢野「おい、犯罪じゃぞお主ら」


    千田「…そりゃあ投げられるわな」


    蘭馬「自業自得…」


    夢野「…とにかく、話をつけに行くぞ。恐らくあやつがクロじゃ」


    そうして、ウチらは寺に戻った。


    ??「なるほど、それでうちに……そうかそうでしたか、今日一日中誰か見張ってると思ったらそういう理由で」


    夢野「…気付いておったのか?」


    ??「そりゃあもちろん。お二人ともまだまだ甘いですぞ。」


    ??「申し遅れたのう、儂の名前は諫早景嗣(いさはや かげつぐ)と申す。」


    諫早「夢野さんと言ったか、我が弟子がよく世話になったのう」


    夢野「…弟子?」


    諫早「おや、気付いておらんかったか…茶柱転子は儂の弟子だったのじゃ」


    夢野「…転子の」


    諫早「…それで、さっきお主たちが申した娘についてじゃが…あれは儂の孫でな。転子のことをとてもよく慕っておったわい」


    諫早「…恐らく、今回の件は昔儂らがやっていたことの真似事じゃろうな。これ、出てきなさい」


    すると、ぶっきらぼうな顔でその娘は出てきた。


    ??「…」


    諫早「黙っとらんでまず自己紹介せんか」


    ??「…分かったよクソジジイ、あたしの名前は駒鳥飛鳥(こまどり あすか)。」


    駒鳥「説教はなしにしてよね、ダルいだけだし」


    そう言って、転子によく似た姿の者は転子とは似ても似つかない態度で、その場に座ったのだった
  30. 30 : : 2021/01/10(日) 14:48:46
    駒鳥「…つーか、あんた転子殺したヤツじゃん?そんなヤツがあたしに何の用なわけ?謝罪?」


    夢野「…」


    諫早「これ、何も夢野さんが殺した訳ではなかろう!」


    駒鳥「…こいつの所為で死んだようなもんじゃん」


    諫早「飛鳥!」


    夢野「いや、いいんじゃ。そやつの言う通り転子はウチが殺してしまったようなもの…それは否定できんわい」


    千田「でもよ、夢野…」


    夢野「それより、事件の話じゃ。駒鳥よ、お主がやっとることは正義でもなんでもないぞ」


    夢野「ただ自分の価値観を押し付けとるだけじゃ、そんなことをしても転子は喜ばん」


    駒鳥「…あんたに何が分かるわけ?転子が生きてる間ろくに向き合わなかったくせに」


    夢野「分かるわい、何故なら転子は今もウチの中で生き続けておる…その転子が、ウチが信じた転子が叫んでおるのじゃ。そんなのは間違っていると」


    駒鳥「…はっ、何それバッカみたい…!適当なこと言わないでよ!」


    夢野「適当ではないわい、転子の想いはずっとここにある…ウチはあやつらに色んなものを託されたんじゃ!それを否定させるわけにはいかん!」


    駒鳥「…っだから…!」


    すると、駒鳥はウチの胸ぐらを掴んできて、千田や諫早が止めようとしたがウチはそれを手で抑えながらなおも続けたのだった。


    夢野「お主の方こそ、転子の何が分かるんじゃ!いや、そんなことをしているお主には何も分かるまい!」


    駒鳥「な…っ!?」


    夢野「転子は、無闇矢鱈に暴力のみで解決しようとはせんかったぞ!」


    駒鳥「この…言わせておげば…!」


    駒鳥はウチに殴りかかってきたが、その拳が届くことはなかった。


    『ドサッ』


    駒鳥「…え?」


    ウチに投げられた駒鳥は何が起きたか分かってないようだった。目を瞬かせながら、そやつはこちらを振り向いた。


    夢野「…お主が悪を許せん気持ち…分からんでもないわい。その所為で転子も死んでしまったのだからのう…お主は悲しいのじゃ、あやつらを助けようとしなかった世界が…憎くて堪らない」


    夢野「じゃから、こんな蛮行に及んだ。正義の味方を自称しあらゆる悪を成敗した。じゃがのぅ、暴力では何も解決せん…それは新たな争いを生む火種じゃ」


    夢野「お主の力はもっと違うことに使えばよい、お主にはそれが出来るはずじゃ…何故ならお主はあの転子を慕っておったのじゃろう?」


    駒鳥「………また適当言ってる」


    駒鳥「でも、なんだろう…投げられて頭が冷えたのかな……色々迷いがなくなった気がする」


    駒鳥「…ありがとう、夢野さん……あんた小柄の割に結構強いんだね。」


    そうして、また一つの依頼が解決したのだった。
  31. 31 : : 2021/01/10(日) 18:05:26
    天海「………全然見つからないですね」


    春川「…やっぱりあいつの嘘だったんじゃない?」


    黒鉄「…流石にそれはないんじゃないですか?」


    天海「もうちょっと頑張りましょうよ、春川さん!」


    春川「…別に途中で投げ出すなんて言ってないし」


    黒鉄「…でも、もう調べ尽くしましたよ?他に調べるとこなんて…あれ?」


    その時、目の前には2メートルを越える巨体の大男が四つん這いで落ちて来たのだった。


    天海「あ…お、狼男!?!?」


    黒鉄「…確かにこれが突然現れたら恐怖以外の何物でもないですね…」


    春川「………あんた、名前は…?」


    ??「…鬼竜アギト(きりゅう あぎと)


    鬼竜「…オマエカ、オレサマノコトヲコソコソト嗅ギ回ッテルノハ」


    春川「へぇ、意外だね…話通じんの?」


    天海「だ、大丈夫なんですか…?!これ、大丈夫なんですか!??」


    黒鉄「天海さんは下がっててください…危険です」


    春川「…あんたのこと怖がってる連中がいるんだ、悪いけど早いとこ森に帰ってくれない?」


    鬼竜「断ル」


    天海「は、春川さん…」


    春川「…ふん、じゃあ無理やりにでも帰ってもらうしかないね…ッ!」


    黒鉄「…来ますよ」


    鬼竜「デキルモノナラヤッテミロ、クソ餓鬼ドモ」
  32. 32 : : 2021/01/10(日) 18:51:40
    最原「は、春川さん!?大丈夫?!」


    帰ってきた春川さんたちはすごいボロボロの姿だった


    春川「…別に、全部かすり傷だし」


    黒鉄「すみません、ようやく見つけたんですが逃げられてしまいました…」


    夢野「例の狼男をか…?」


    赤松「ていうか、魔姫ちゃんと進太郎くんがいて捕まえられなかったの?」


    天海「ご、ごめんなさい…私が足引っ張っちゃって…」


    千田「…まぁ、見つけたのが日が落ちてからなんだろ?見失っても無理ねーよ」


    秋山「でもさ、もうあとマキちゃんたちの依頼だけなんでしょ?それならみんなで解決しよーよ!」


    春川「…いや、私たちだけでなんとかするからあんたらは他の…天海の姉妹探しとか、そういうのやっときなよ」


    蘭馬「負けず嫌い…」


    最原「…まぁ春川さんがそういうのなら任せるけど…もし困ったらいつでも言ってね?仲間なんだし」


    夢野「最原の言う通りじゃ!もっとウチらを頼るがよい!」


    春川「…わかったよ、その時になったらちゃんと言う」


    最原「それじゃあ、今日はもうみんな休もうか」


    そうして夜は更けていった。
  33. 33 : : 2021/01/11(月) 01:21:50
    翌日


    エマ「…では、これが先の件のお礼でス。お受け取りくださイ」


    最原「はい、ありがとうございます…」


    エマ「金額にしテ二百万でス…もしかして少ないでしょうカ?」


    最原「にひゃっ…!??」


    エマ「…?どうかしましたカ?」


    最原「いえ…むしろ多いですよ、僕たちはそこまでのことをした訳では…」


    エマ「日本において謙虚は時に美徳とされていますガ…度が過ぎるのはあまり関心できませんネ」


    エマ「ワタクシは確かにアナタに救われましタ…それは紛れもない事実なんでス、ですからちゃんと胸を張って受け取ってくださイ。」


    最原「…はい、分かりました。」


    エマ「…何か困ったことがあれば是非言ってくださいネ、ワタクシに手伝えることであれば精いっぱい協力させていただきまス」


    最原「…そういうことなら、少し頼みたいことが……天海さんの義妹の捜索なんですが…」


    エマ「…なるほど、分かりました。ワタクシの方でも探してみますネ」


    最原「ありがとうございます」


    エマ「…そういえバ、この間は結局ゆっくりお話ができませんでしたよネ…最原サン今お時間ハ?」


    最原「…まぁ、大丈夫ですけど」


    エマ「せっかくでス、二人でお茶しましょウ!いいお店知ってるんですヨ?」


  34. 34 : : 2021/01/11(月) 01:22:50

    西片「そういうことでしたら、しばらく私たちは席を外しますね」


    あっという間に連れて来られたカフェで、西片さんはそう言って席を外したのだった。


    エマ「ここは紅茶もコーヒーも、ケーキも何でも美味しいんですヨ?」


    最原「そうなんですか…」


    最原「あの、エマさん…もしかして無理なされてます?」


    エマ「………」


    最原「なんだか、無理して明るく振る舞おうとしてる気がして…」


    エマ「アハハ…バレてしまいましたカ」


    エマ「覚悟していたコトとはいエ、恋人の死をようやく実感したんでス…少しくらい落ち込むのも当然ですヨ」


    エマ「でモ…だからといっていつまで落ち込んでられないんでス。そもそも彼とはもう関わらないと決めたのはワタクシなんでス、今更後悔したところで仕方ないんですヨ」


    エマ「だからせめテ、彼ト、そのご家族の分もしっかり生きて行こうって思ったんでス。」


    最原「…そうですか」


    エマ「…ト、いうわけでもっと楽しい話をしますヨ最原サン!」


    エマ「最原サンは紅茶とコーヒー、どちらがお好みですカ?」


    最原「えーっと…どっちも好きだけど、今はコーヒーの気分かな」


    エマ「分かりましタ、それじゃあ注文しましょうカ」
  35. 35 : : 2021/01/11(月) 01:23:07


    最原「……そういえば、改めて思うけどエマさんってスタイルいいよなぁ」


    正直、彼女のバストは赤松さんより大きいと思う。なおかつ余分な脂肪もないように見えるし脚も比較的長い


    最原(…流石外人さんっていう事なのかな)


    エマ「い、いきなりセクハラですカ…!?」


    最原「え、あ、そういう意味じゃ…!?」


    エマ「そういう意味にしか聞こえませんでしたガ…最原サンの気持ちは嬉しいですけドやはりリョーマを裏切るわけにハ……うーん」


    最原「いや!だ、だからそういうのじゃ…ごめんなさい、声出てるとは思わなくて…!」


    エマ「最原サンって女性をそういう目で見てるんですカ?でもアナタの事務所っテ…」


    最原「違うから!断じて違いますから!」


    エマ「…フフ、冗談ですヨ。あまり否定し過ぎると逆に本気っぽく見えますヨ?」


    最原「…エマさん、あまり揶揄わないでくださいよ」


    エマ「すみませン、最原サンがあまりに可愛かったモノでつイ…」


    最原「か、可愛いってそんな…歳もあまり変わらないですよね?」


    エマ「…えェ、リョーマとも一つしか差がありませんでしたかラ…最原サンも同じくらいだと思いますヨ?」


    エマ「…あッ、もしかして今のってワタクシの歳を聞くための誘導尋問でしたカ?」


    最原「ち、違いますってば!」


    エマ「…本当、最原サンは揶揄い甲斐がありますネ。そのうち誰かに騙されるんじゃないでしょうカ…気をつけてくださいヨ?」


    最原「この前、赤松さんにもそう言われたよ…」


    エマさんとお茶をしながら過ごした。


    エマさんと少し仲良くなれたみたいだ。


    西片「…お嬢様、そろそろ時間です」


    エマ「分かりましタ、最原サン今日は本当にありがとうございまス」


    最原「いえ、こちらこそ」


    エマ「天海サンの義妹についても、何か分かったコトがあればすぐに連絡させていただきますネ」


    そうして、僕はエマさんたちと別れた。
  36. 36 : : 2021/01/11(月) 10:05:40

    最原「…というわけで、今回の依頼は無事解決しました」

     
    天璋院「クックックッ…礼を言うぞ我が下僕(しもべ)たち!」


    日永「ありがとうございます、これで彼女にお礼(・・)ができます」


    最原「…それより天璋院さん…全身痣だらけのように見えますがどうしたんですか?」


    天璋院「あっ…これは……」


    日永「………階段で転んじゃったんですよ、相変わらずドジでして」


    天璋院「そ、その通り…!組織の陰謀により足を滑らせてしまい深傷を負ってしまったまでのこと…しかし心配無用である、我が神の如し聖なる御技を持ってすればすぐにでも完治し…」


    日永「そうです、なんて言ったって神さまは凄いですからね…信じる限り何が起きても救われるんですから、傷だってすぐに治してくれますよ」


    最原「…そうですか」


    最原(…確かに夢野さんの言った通り…少し調査した方がよさそうだ)


    最原「…そういえば、あなたは夜長アンジーさんと同じ島出身なんですよね?その神さまっていうのは彼女が言っていたものと同じなんですか?」


    日永「はい、その通りですが…」


    最原「…彼女の話では神さまの声が聞こえるのはアンジーさんだけだったはずですが…」


    日永「確かに昔はそうですが、残念なことにあの日神さまは彼女の元を離れてしまいました…その結果アンジーさんは殺されてしまったんです」


    日永「ですが、その直後に神さまはぼくの元に来てくれた。そう、ぼくはあの日を境に神さまの声と姿がわかるようになったんです…!」


    最原「…なるほど」


    日永「わざわざそんなことを聞くということは、終一さんも興味があるんですね?いいでしょう、神さまだって歓迎しています。あなたも一緒にお祈りしましょう!」


    最原「えーっと、今は仕事があるのでちょっと厳しいかな…?」


    日永「残念です…ではお祈りがしたくなったらいつでも言ってください。それで、依頼料ですが…咲耶さん」


    天璋院「わ、私…?」


    天璋院「ご、ゴホン…クハッハッハッ!光栄に思うがいい、全てを終焉に導く漆黒に包まれし者よ!汝には妾の望みを叶えた褒美として莫大な富と栄誉を…」


    日永「……………。そういうの、いいから早く」


    天璋院「は、はい…!こ、これ、お礼です…!ささやかなものですがどうぞ…!」


    最原「ありがとうございます、また何か困ったことがあったら是非来てください」


    日永「それでは失礼しますね」
  37. 37 : : 2021/01/11(月) 14:45:59


    最原「…夢野さん、確かにキミの言う通りだったよ」


    僕が声を投げかけると、部屋の方から夢野さんたちが現れた。


    夢野「…やはりのぅ、ウチの思った通りじゃった」


    最原「…恐らくDVかなにかを受けているんだと思う。もちろん本当にただ転んだだけの可能性もあるけど…赤松さんはどう思う?」


    赤松「私?…そうだね、傷については調べてみない限り分かんないけど、神さま云々については本当に見えてるんだと思うよ」


    蘭馬「それって、どういう意味?」


    赤松「あの子、捕まってた時からよく何もないところを見ながらぶつぶつ言ってたし…みんなには見えないものが見えてたんだよ。」


    千田「…つまり幻覚ってことか?」


    赤松「うん、元々精神的に不安定な子だったから可能性は高いと思う」


    夢野「んあー、とにかくあやつらについてはウチに任せるがよい」


    最原「…夢野さん、大丈夫?」


    夢野「元々、ウチが勝手に持ち込んだ仕事じゃし、あやつはアンジーの関係者なんじゃろ?」


    最原「…うん、わかったよ」


    夢野「うむ、それでは早速尾行してくるわい」


    そういうと走って後を追いかけたのだった。


    最原「…赤松さん、夢野さんの事…」


    赤松「はぁーい⭐︎秘密子ちゃんのことは任せて♡ちゃーんと見といてあ・げ・る♪」


    最原「ありがとう、赤松さん…それじゃあ僕たちは…」


    秋山「蘭馬ちゃんの妹探しだね!」


    蘭馬「…うん、助かる」

  38. 38 : : 2021/01/11(月) 15:55:52

    夢野「…んあー、流石に外では何かすることはないようじゃのう」


    物陰からこっそり、日永たちの様子を窺っておると背後から近付いてくるやつに気付かんかった。


    駒鳥「何見てんの?夢野さん」


    夢野「んあああああ!?」


    駒鳥「あ、ごめん…何回か声かけたんだけどやっぱ気付いてなかった?」


    夢野「そ、そうじゃったのか…いや、ウチの方こそすまんかった」


    駒鳥「それで、夢野さんは誰か尾行してんの?」


    夢野「う、うむ…しかし詳細は話せん、仕事なのでな」


    駒鳥「あの二人でしょ?あたしもさっき夢野さん見かけてからずっと追いかけてきたしなんとなく分かんの」


    夢野「んあー!商売上がったりじゃー!」


    駒鳥「…なんかごめん、あたしも今暇だから手伝うよ」


    夢野「…しかし」


    駒鳥「いいからいいから…だって、転子ならそうしたろうしさ」


    夢野「…それもそうじゃな、実はかくかくしかじかという訳なんじゃ」


    駒鳥「…は?あの色黒ぶっ殺してやる」


    夢野「ま、待てい!まだ確定しておらん!とにかくそういう訳じゃからもし危険があるようではすぐ逃げるんじゃぞ?流石にそのような惨事にはならんと思うが念のためじゃ」


    駒鳥「わ、わかった…!」


    夢野「…では、家まで尾いていくぞ」


    駒鳥「了解!」
  39. 39 : : 2021/01/12(火) 13:44:39

    夢野「…んあー、結局何もないまま二人は分かれてしまったのう」


    駒鳥「尾行に気付いたんじゃない?」


    夢野「…もしかしてウチには尾行の才能がないのかのう…逆に尾行されるくらいじゃし、それに諫早にもバレバレじゃったし」


    駒鳥「たまたま今日は何もしなかっただけじゃないの?!ほら、暴力って機嫌が悪い時にしかしないからさ!!あたしは夢野さんの尾行の技術凄いと思いますよ!」


    夢野「そこまで必死にフォローされると逆に傷つくんじゃが!?」


    駒鳥「あはは…あ、それじゃああたしは天璋院さんの方を尾行しますね。」


    夢野「…うむ、頼んだぞ」


    そう言うと、駒鳥は天璋院の後を追いかけて行った。


    夢野「…しかしそれにしても…日永とやら遠目で見るとまるで女子じゃな。普通に一部の男に需要がありそうな見た目じゃわい…」


    夢野「あれが俗に言う男の娘、と言うやつじゃな。なんて、くだらぬこと言ってる場合ではないか」


    夢野「…んあ?そういえば、日永のやつ…駒鳥にお礼をと言っておったが…駒鳥は日永どころか天璋院に会ったことはない様子じゃった……」


    夢野(もし、天璋院が日永に暴力を受けておってそこを助けたのなら流石にどちらかは覚えてるはず…特に天璋院は個性の塊みたいなもの…)


    夢野「仮に日永が女に間違われ、悪漢に絡まれているところを駒鳥に助けられたとすると…駒鳥のことじゃ、転子に憧れていた以上男は助けんじゃろうし…じゃがそれを女と勘違いしていたら、その限りではない」


    夢野「…もしや、普通にまるまるウチらの勘違いじゃったのか?」


    夢野「じゃが仮にもしそうだとしたら何もかも紛らわしすぎじゃぞ!?」


    夢野(とにかく、一度ちゃんと話を聞かねばならんぞ…!)
  40. 40 : : 2021/01/12(火) 13:45:36

    日永「…なるほど、つまりぼくが咲耶さんに暴力を振るってると、そう思ったわけですね?」


    夢野「…うむ」


    日永「あはは…よく勘違いされるので慣れましたよ、もう」


    夢野「?あやつの傷はなんだったんじゃ?」


    日永「最原さんにも言いましたが、本当にただ階段で転んだだけですよ。なんでもカッコよく階段を上がってみせるとか言って途中で盛大にすっ転んだんです」


    夢野「よく勘違いされる、という事は同じようなことが頻繁にあるのか?」


    日永「はい…いくらやめるように言っても全然聞いてくれなくて…」


    夢野「…では、お主に怯えておるように見えたのは?」


    日永「…まず、あの子はコミュ障で素の自分で話すことが極端に苦手です。だからそれを克服させようと…」


    夢野「依頼料を天璋院に出させたのは?」


    日永「二人で出し合ったものです。彼女はぼくが渡してくれると思ってたみたいで」


    夢野「では、お主はあやつの事を病気じゃと言ったのは…」


    日永「いわゆる厨二病ですね」


    夢野「ぐふっ…ふ、ふむ、なんとなく分かって来たぞ。…しかしなんじゃ、お主も普通に話せるのではないか?」


    日永「…あぁ、あれはフリですよ」


    夢野「…フリ?」


    日永「…確かに少し前までは本当にそういうのが見えてました。でも実は最近とある心理学者さんが治してくれて…」


    夢野「…心理学者?」


    日永「催眠療法っていうんですかね?…まぁ、それで治っていたんですけど…ぼくって実は人嫌いなんです」


    夢野「んあっ!?」


    日永「だから、神さまと喋ってる風に見せてると誰も寄って来ないから色々都合良くて……」


    夢野「…なるほどのう…ではなぜ突然ウチにはそのフリをやめたのじゃ?」


    日永「…まぁ、あれだけこれ以上関わったらダメな奴オーラ出してたのにまた話しかけてくるから、どうせ続けても意味ないんだろうなって思っただけですよ」
  41. 41 : : 2021/01/12(火) 13:51:00
    夢野「…じゃあ、お主は神さまを信じて?」


    日永「…いませんよ、アンジーが死んだあの日から……」


    日永「もうそんなものは存在しないってわかった後でその声と姿を感じてしまったので、本当に大変な思いをしました…」


    日永「でも、そんなぼくに彼女はずっとそばにいてくれた…だから、彼女がぼくの恩人なんです。だからぼくは彼女に惹かれたんです。」


    夢野「…そうじゃったのか…」


    日永「まぁ、それとこれとは話が別なんですけどね…早く厨二病を卒業して立派な社会人になって貰わないと…心配で胃が潰れそうなんです」


    夢野「んん?待てお主…この間言ったこととは随分違うようじゃが…?確かあの時は自分が天璋院を助けたとかなんとか…」


    日永「…あぁ、ぼく実は言葉が足らないってよく言われるんですよ。それも単純にお互い助け合った…みたいな感じの話でして……」


    日永「……いや、すみません…実はぼくもたぶんまだ完治してるわけではなくて…時々聞こえるんです、それでたまに変なこと話してしまう時がありまして…」


    夢野「…んあ?」


    日永「………ぼくも、まだ気が弱いところがありまして…見栄っ張りといいますか、どうしても自分を強く見せようって思ってしまうんです…自分でもそれで咲耶さんを傷つけてしまってる自覚はあるんですけどね」


    夢野「…まぁ、人間誰しもそうじゃろう…あまり気を落とすでない」


    日永「…要は、ぼくはまだ人として弱いって言いたいんですが…それでたまに現実逃避をしてしまう節があるんです。」


    日永「咲耶さんの傷、本人が階段で転んだって言ったのでそれを真に受けて話していましたが…たぶん違います」


    夢野「…では何だと思っとるんじゃ?」


    日永「…ぼくは自傷行為なのではないかと」


    夢野「…な、なんじゃと…!?」


    日永「…改めて考えると、階段で転んだのも、わざとなんじゃないかなって思うんです。わざと大怪我しようとしてるのではと…」


    日永「…ぼくは、まだ比較的自制心があるので大事には至らないと思いますが……今までの様子から見て彼女は…」


    日永「……あぁ、もしかするとその原因を調べて欲しくて、ぼくはあなたたちの前で怪しい言動をしたのかもしれません…」


    日永「もし彼女の傷の原因がぼくであるなら、どんな罰でも受けます。」


    日永「なので夢野さん、改めてぼくたちのことを調査してください。お願いします!どうか彼女を救ってあげて欲しいんです…!」
  42. 42 : : 2021/01/12(火) 13:51:29

    駒鳥「…夢野さん!あの人ヤバいよ!?急にジャングルジムに登ったかと思えば変なポーズ取って足滑らせるんだもん!」


    夢野「…んあー、やはり日永の言う通りじゃったか…」


    駒鳥「…え?どういうこと?」


    夢野「実はかくかくしかじかで…」


    駒鳥「…え、自傷行為?」


    夢野「その可能性がある、というだけじゃがな」


    夢野「それで、あやつは今どこに?」


    駒鳥「なんか、そのまま気絶しちゃったしとにかくヤバいって思ったから救急車呼んじゃった…」


    夢野「…そうか、ではウチらで様子を見に行くぞ」


    駒鳥「は、はい!」




    赤松「…なーんか面倒なことになって来たなぁ……ねぇ、自称凄腕の心理学者さん?」


    剛将「なんだ、俺の所為だって言いたいのか?」


    赤松「別に…ただ相変わらずヤブだなあって」


    剛将「言っとくが幻覚症状はもうないはずだからな?」


    赤松「でも実際あるって…」


    剛将「…思い込みだろう」


    赤松「要は、『ちょっと前までこうだったから今のこれもそうに決まってるー!』的な?」


    剛将「…自分の意思を幻覚による精神障害だと思い込むことで罪悪感等を打ち消してるんだろうよ。」


    赤松「ふーん、結論から言うと結局治せてなかったわけだ」


    剛将「…精神障害という大きな枠組みで言えばそうかも知れないな」


    赤松「相変わらずプライド高いねー」


    赤松「…それで、どうにかしてあげられそうにないの?」


    剛将「…さぁな、今のところなんとも言えないな」


    赤松「そっか………辛く悲しい、忘れたくなるぐらい嫌な記憶があるなら消してあげる方がいいのかな」


    剛将「…まぁあまり出過ぎた真似はするな、あくまでそれは最終手段に取っておけ。藪蛇になりかねないからな」


    赤松「言われなくても分かってるよーだ」
  43. 43 : : 2021/01/12(火) 15:09:05

    『…ネェ、早くこっちに来てヨ、天璋院さん』


    『言ったよネ?姉さんの友達になってくれるって』


    『僕はずっと待ってるのに、どうして来てくれないの?』


    『ネェ、天璋院さん…早く…早く!……早く!!』


    天璋院「…ッ!?」


    夢野「…んあー、起きたか天璋院」


    天璋院「…こ、此処は一体何処だ!汝らよ、妾をどうするつもりじゃ!何を企んで…は、もしや組織の陰謀……あれ、病院?」


    夢野「うむ、その通りじゃ。お主が倒れてるところをウチらがたまたま通りかかってのぅ」


    天璋院「あっ…ほ、褒めて使わすぞ、我が…我が……眷属よ!」


    夢野「…それで、お主は一体何しておったのじゃ?」


    天璋院「せ、聖戦の時を迎える為儀式の準備をだな…い、否!魔界の王たるこの咲耶様が、新たな奥義を編み出しておったところよ!ハーッハッハッハーッ!」


    駒鳥「…っていうか、いくらなんでも設定ころころ変わり過ぎでしょ」 


    天璋院「せ、設定言うな!」


    夢野「…それにしてもお主、随分と魘されておったようじゃのう」


    天璋院「た、と、我が天敵たる夢魔の仕業なれば…!」


    夢野「夢魔といえばサキュバス、淫魔じゃぞ…!」


    天璋院「あ、やっぱ今のなし!」
  44. 44 : : 2021/01/12(火) 15:18:16
    夢野「…冗談はさておき、いったい何の夢を見とったんじゃ?」


    天璋院「…言いたくないし、思い出したくもない…!そもそもなんであんたらがここにいんの…!?」


    駒鳥「さっき言ったでしょ、たまたま通りすがったら倒れてたって…」


    天璋院「…ふん、余計なお世話だっての」


    駒鳥「かっちーん、目の前で死にかけてたらそりゃ助けるでしょ、普通!」


    天璋院「誰もお前らみたいなのに助けてほしいなんて言ってない!」


    夢野「お、おいお主ら…喧嘩はやめ…」


    駒鳥「第一最初にせ、正義の味方(ごにょごにょ)…にお礼がしたいって依頼に来たのはあんたらでしょ!?」


    天璋院「私は乗り気じゃなかった!そもそもデイヴィがどうしてもって言ったから付き合っただけ!」


    駒鳥「…ッあー思い出した!あんたこの間自殺しようとしてた子でしょ!せっかくあの時助けたのに何また死のうとしてんだよ!」


    天璋院「ッ!あんたがそうだって言うの…!?余計な世話ばっかりして…!!」


    夢野「んあー!ここは病院じゃ静かにせい!」


    天璋院「…っごめんなさい…」


    駒鳥「…くそっ」


    夢野「お主ら、頭を冷やすんじゃ…ここで喧嘩しても仕方ないじゃろ」


    夢野「…日永に聞いたんじゃが、お主は真宮寺の知り合いだったそうじゃな?」


    天璋院「…ッ!」ビクッ


    夢野「なるほど、それが原因か…」


    夢野「実は、先程日永に再び依頼されたんじゃ。お主の傷について調べてくれとな」


    天璋院「…デイヴィが?」


    夢野「あやつはその傷の原因は自分にあるのかもと言って自分を責めておったぞ?それに心配もしておった。」


    天璋院「…」


    夢野「…何があったのかは知らんが、簡単に死のうとするでない…日永が悲しむ。」


    天璋院「別に死にたいわけじゃない…」


    夢野「…では何故そのようなことを?」


    天璋院「あの日、是清が死んでからずっと毎晩毎晩、あいつの声が聞こえるんだ…早く姉さんの元に来いって…私は、それが嫌で…さっさと解放されたくて…それを紛らわす為に…だから…」


    駒鳥「………」


    夢野「…よし、日永やみんなを呼ぶぞ!」


    天璋院「…は?」


    駒鳥「夢野さん、何するつもりなの?」


    夢野「全部、ウチに任せるんじゃ」


    夢野「ウチが、お主らを救ってやるぞい!」
  45. 45 : : 2021/01/12(火) 16:07:05
    日永「…それで、今から何やるんです?」


    最原「…さぁ?僕も無理やり連れて来られただけだから何やるか聞いてないんだよね」


    最原(でもまぁ、セットの様子からしてマジックショーかな…?)


    最原「そうだ、どうやら僕たちはキミに対して勘違いしてたみたいだね。」


    日永「あ、いえ…慣れてるので」


    天璋院「………」


    駒鳥「………」


    最原「それよりあの二人は何かあったの?」


    日永「…さぁ?」


    赤松「ねぇ、秘密子ちゃーん!そろそろ我慢できないんだけどぉー!もうどっか行っていいー?」


    秋山「もう少しくらい待とうよ、椛ちゃん」


    すると、勝負服に着替えた夢野さんが舞台に現れた。


    夢野「ふっふっふっ…お主ら、随分と待たせたの!これより始まるは夢野秘密子によるマジカルショー、豪華二十本立てじゃ!」


    「「「長い!!!」」」


    赤松「ねぇーえー!帰っていいー?」


    夢野「ま、待てい!ダメに決まっておろうが!」


    夢野「見れば必ず虜になるはずじゃ、他の余計なものなど忘れてしまうほどにな。」


    夢野「皆のもの、恥ずかしがらずに大いに楽しめ!ありのままの自分を曝け出すのは決して恥ずかしいことなどではない!」


    夢野「みっともなく泣き喚いてもよい、あたり構わず怒り散らしてもよい。感情を露わにすることは恥ではないのじゃからな」


    夢野「泣いて、怒って、笑って、心を柔軟にするんじゃ。わかったか、お主たち!いっぱい笑って楽しんでスッキリするがいい!!きっと嫌なことなど全て忘れてしまうぞ!?」


    最原「…夢野さん」


    赤松「私知ってるよ、転子ちゃんの受け売りだ!」


    千田「おいおい赤松、そういうのは黙っとくもんだぜ?」


    そうして、夢野さんのマジカルショーは幕を開けた。


    日永「わぁ、凄いですね!ねぇ咲耶さん」


    天璋院「…うん、凄い…!」


    駒鳥「………綺麗」


    赤松「…今までで一番輝いてるね、秘密子ちゃん」


    千田「流石は元超高校級ってとこだな…!」


    秋山「あはは!秘密子ちゃんブラボー!!」


    蘭馬「…はぁ、はしゃぎすぎて疲れた……」


    ミライ『凄いデス夢野サン!ワタシ感激しまシタ!』


    黒鉄「何だか盛り上がってますね」


    天海「なんですかこれ!?めっちゃ凄い!!」


    春川「…ふふ、楽しそうだね…あいつ」


    最原「…うん」


    最原「こうやって見てると、本当に魔法使いみたいだ。」


    夢野「かーっかっかっかー!お主たち、まだまだショーはこれからじゃぞ!!」


    結局、ショーは一晩中続き、幕が降りた途端みんなは深い眠りについたのだった。
  46. 46 : : 2021/01/12(火) 16:23:20

    日永「…夢野さん、本当にありがとうございました。なんだかとても気が楽になりましたよ」


    天璋院「妾を蝕む闇なる呪縛を解いた汝には感謝してもしきれぬ、故に妾が与え得る最大の褒美を授けようではないか!」


    夢野「うむ、当然のことをしたまでじゃ、何も気にするでない!」


    日永「それと、飛鳥さんもありがとうございました」


    駒鳥「あたしは別に…」


    天璋院「…昨日は、ごめんなさい。あなたに当たっても仕方なかったのに、怒鳴り散らしたりして」


    駒鳥「あ、あたしの方こそ悪かったってば…昔の自分見てるみたいでイライラしちゃって…なんだ、あんた普通に喋れるんじゃん!仲直り、しよ!」


    天璋院「それは別にいい…あまり仲良くなれなさそうだし」


    駒鳥「はぁ?!」


    夢野「これ、喧嘩するでないとあれほど…」


    天璋院「否!汝は好きに怒り散らせとも言った!」


    駒鳥「怒って心を柔らかくしろってね!」


    夢野「そこだけに注目するでない!?」


    日永「…ははは、咲耶さん言葉遣い」


    天璋院「あうっ…!」


    日永「じゃあ、ぼくたちは失礼します。この御恩は忘れません…何か困ったことがあればいつでも言ってくださいね」


    夢野「…では早速、お主たちに頼みたいことがあるのじゃが…」


    駒鳥「何?夢野さん」


    夢野「実は、天海の妹を探しておってのぅ…」
  47. 47 : : 2021/01/13(水) 10:39:50

    春川「…クソッ、また逃げられた…」


    黒鉄「あの巨体でこの速さ…参りましたね」


    天海「…でも、なんとなく読めて来ましたね春川さん!」


    春川「…うん、ここ最近のあいつは調理済みの食べ物を中心に盗りに現れてる」


    黒鉄「…もしかして、誰かを匿っているのでは?」


    春川「………」


    入間「んだよ、まだどうにかなんねーのか?」


    天海「あ、入間さん…」 


    入間「なんか思ってたより役に立たねーのな…ヒッ、なに睨んでるんだよテメー!」


    春川「…別に」


    入間「…まぁ、どうせお前らにもう用ねーしな。もうあのヤローの事どうもしなくていいぜ」


    黒鉄「…どういう意味ですか?」


    入間「ケッ、どういう意味もなにも、後は警察に任せてテメーらは家で寝てろって言ってんだよ!」


    天海「まさか警察を呼んだの?」


    入間「あぁ、だからテメーらはもう何もしなくていいぞ。わざわざ知らせに来てやったんだ、感謝しろ!」


    そう言い残すと入間は帰って行った。


    天海「…春川さん、どうしましょう…」


    春川「…捜査は続ける。警察なんて当てにならないからね」


    黒鉄「…まぁ、それは言えてますが…今のままだと彼を捕まえるのは非常に困難ですよ?」


    春川「…そうだ、地図ある?」


    黒鉄「…なるほど、そうか…今まで彼が出現した場所と逃亡した方向を線で引っ張れば…」


    天海「どこを住処にしているか分かるって事ですね!」


    黒鉄「となると、怪しいのは……ここですね…たしか、廃ビルだったかと…」


    春川「…とにかく、一度その場所に行こう」
  48. 48 : : 2021/01/13(水) 12:18:30
    春川「ここか…」


    黒鉄「とりあえず入ってみましょう…あれ、天海さん?」


    天海「…………えっ?何ですか!?」


    春川「早く行くよ、なにボーッとしてるの」


    天海「す、すみません…すぐ行きます!」


    天海(見間違い…だよね?)




    少女「………」


    鬼竜「…ドウシタ?食ベナイノカ?」


    少女「今はいいや、それよりついに来たよアギトおじさん」 


    鬼竜「…ッ!分カッタ、ココデ待ッテロ。オレサマガ追イ返シテ来ル」


    少女「……」


    鬼竜「………ナニカ気ニナルコトデモアルノカ?」


    少女「…あのさ、おじさん…緑色の女の子には手を出さないでね」


    鬼竜「…マサカ、例ノ姉妹カ…?」


    少女「たぶんね、遠目だったから分かんないけど一応」


    鬼竜「分カッタ、ソウイウコトナラ気ヲツケルガ…連レテ来ナクテモイイノカ?」


    少女「…ううん…今は、別にいいや」


    鬼竜「…ソウカ」


    少女「それより、おじさんの方こそ気を付けてね…食べてないでしょ」


    少女「おじさんは持ってくる食べ物全部僕にくれるけど…でもおじさん自身が何か食べてるの見た事ないよ」


    鬼竜「安心シロ、オマエガ気ニスルヨウナコトジャナイ。ソレニチャント虫ヤ鼠ヲ食ベテル」


    少女「…だといいけどさ。いや、やっぱりよくないよ、ちゃんとしたもの食べよう?」


    鬼竜「…トニカク行ッテクル、危険ガアルヨウナラスグニ逃ゲロ」


    少女「逃げないよ、ちゃんと待ってるから」


    そうして、鬼竜アギトは少女の元を離れたのだった。
  49. 49 : : 2021/01/13(水) 13:03:32
    春川「…なんなの、ここ…!本当にビルの中なの…!?」


    天海「落とし穴にトラバサミ…いろんな罠が置かれてるね…」


    黒鉄「…外敵の侵入を防ぐためでしょうが…若干やり過ぎな気もしますね…これだと外に出られないのでは?」


    春川「…でも、あいつは普通に外に出てる…どこかに抜け道があるんじゃないの?」


    天海「あの人、身体能力がめちゃくちゃすごいから普通に窓から飛び降りて屋上に乗り移ったりしてそうだけど?」


    黒鉄「…ですが、食事を持ち込んでることから安全な道もあるはずですよ」


    天海「あ、確かに…」


    黒鉄「…それにしてもここ入り組んでますね…元々置いてあった粗大ゴミや廃品なんかをバリケードとして使っているんでしょうか」


    春川「…うん、しかもだいぶしっかりしたバリケードだよ…あいつ、もしかして意外と頭良いのかもね」


    天海「…そういえば、結局あの人の正体ってなんなんだろうね」


    春川「多分、獄原の育ての親なんじゃないの?…黒鉄、あんたは何も知らないわけ?」


    黒鉄「…この間、赤松さんに聞いたんですけど…ゴン太クンの動機ビデオに映っていたのは本当の家族の方で育ての親ではなかったみたいです。」


    春川「…じゃあつまり、あんたらにはあいつの正体が分かってないってことだね」


    黒鉄「…ですが、あの雰囲気からして…ゴン太クンの育ての親なのは間違いないのでは…?」


    天海「えー、でもゴン太さんの森の家族って狼なんじゃなかったの?」


    春川「…前に最原から聞いたけど、本人が言うには恐竜人だったらしいよ。」


    天海「えっ!?きょ、恐竜人!?…って何ですか?」


    黒鉄「…まぁ、それは本人に聞きましょう。ちょうど向こうからやって来てくれたみたいですし」


    鬼竜「…ココカラ立チ去レ」


    春川「…あんたがこれ以上街に降りないっていうなら立ち去ってもいいよ」


    天海「春川さん!?」


    鬼竜「…オマエガ、『ケイカ』の…」


    天海「…え?けいかって…まさか…」


    鬼竜「…悪イガソレハ出来ナイ、ソレダト『ケイカ』ガ困ル。ダカラ、無理ヤリニデモ立チ去ッテ貰ウ…!」


  50. 50 : : 2021/01/13(水) 17:48:40
    (少し訂正 入間虎雄は入間美兎の兄ってことにしました)





    『…寝たきり…ですって?』


    『えぇ、残念ですが貴方の息子さんは…このままいくと一生寝たきりになります』


    『そ、そんな…!先生、どうにかならないんですか…!?』


    『…すみません、現在まだこの病気に対する有効な治療法が存在しなくて…』


    『じゃあ息子は…息子の虎雄は…どうすれば…!』


    『…大丈夫だよ、お母さん。美兎が言ったんだ、寝たままでもラクして生きていけるように、色んな発明を作ってやるって…』


    入間『だから、なにも心配しなくてもいいんだよ』




    入間「………」


    入間「寝ちまってたのか…オレ」


    入間「…あー、変なもの思い出しちまったぜ。」


    入間「…にしても、この身体になってからもう一年経つのか」


    そう言って、オレは自分の体を見下ろした。


    あの日、チームダンガンロンパに人質として捕まった時オレはすでに体の半分以上を動かせないでいた。しかし誰の気まぐれか、単純にそのままだと都合が悪かったのか知らないがオレは手術を受け、半身をサイボーグ化させる事で寝たきりを回避できるようになった。


    とはいえ、その先に待っていたのはチームダンガンロンパに駒として扱われる日々だった。皮肉なことに奴らによって救われてしまったオレはそれに逆らうことが出来なかった。そんなある日


    赤松『…そうだ、キミも誰かの才能を自分に植え付けたい?』


    オレはその言葉に頷き、美兎が持っていた才能を自分に植え付けたのだった。結果、チームダンガンロンパの技術者チームによるメンテナンスが必要だったオレの体は自分でそれらを済ませられるようになり、自分で新しい機能を取り付ける事も可能になった。


    入間「…はぁ、記憶も何もかも全部植え付けるもんじゃねーな…」


    オレが自身に植え付けたのは才能だけではなかった。美兎の持つ記憶も全て植え付けたのだった…そうすれば自分の中で美兎を生かし続けることができると、そう思ったからだ。その結果自身の性格が彼女の影響を直に受けてまるで人が変わったようになってしまったが…今はどうでもいい。


    赤松『…もう、キミたちは自由だよ。だから自分の好きに生きればいい』


    入間「………自分の好きに生きればいい…か」


    入間「…まさか、あの狼男があそこまで強かったとはな……天海の妹を攫っているのは知ってたから適当に捜査進めればいずれ辿り着くと思ったが…これ以上あいつらに危険な目は遭わせられねーし、仕方ねー…オレ様が自分で蹴りつけるしかねーか。」
  51. 51 : : 2021/01/13(水) 18:56:22
    春川「…くっ!」


    黒鉄「攻撃は単調で大雑把…それを踏まえた上でこの強さとは…改めてみると凄まじいですね…!」


    春川「それだけ膂力(パワー)が桁違いってことなんだろうね…」


    鬼竜「早ク、立チ去レ…ッ!」


    天海「…っ話し合いましょう!話をすればきっと…!」


    鬼竜「断ル、オマエラ人間ハ話シ合ッタ所デドウセ騙スンダロウ」


    春川「…あんたも、人間でしょうが…!」


    鬼竜「…緑ノ女、オマエダケナラ、マダ良カッタガ、今ハ駄目ダ」


    春川「天海!今は下がってろ…!怪我するよ!」


    天海「…っ、どうしよう…私全然役に立ててない…」


    少し距離を離すと、ちょうどそこには綺麗な道のようなものがあるのが見えた。


    天海「…あれ?これってまさか…抜け道?」


    天海(…今はまだ気付いてない…よし…!)


    黒鉄「…あれ、天海さんは一体どこに…!?」


    春川「…っ、こいつを大人しくさせたら探しに行くよ…!」


    鬼竜「…マサカ、アノ女…」


    春川「余所見なんて、随分と余裕なんだね…!」


    鬼竜「…減ラズ口ヲ…オマエラ、イイ加減シツコイゾ…ッ!」


    黒鉄「それは、お互い様のようですね…!」


    鬼竜「…クソッ」
  52. 52 : : 2021/01/13(水) 19:39:48
    天海「…ここは」


    辿り着いた先にあったのは大広間だった。


    ??「なんだ、来たんだ蘭奈姉ちゃん…」


    天海「…っ京華!」


    少女の名前は天海京華(あまみ けいか)、私の義妹の一人だった。


    天海「…こんなところで何して…?」


    京華「…僕、お金なくてさー…不法入国して来たんだけど警察に追われて…森で迷子になってポチ()と一緒に死にかけてたらアギトおじさんが助けてくれたんだー」


    天海「…っ」


    京華「姉ちゃんたちはまだ恵まれていたね、ちゃんとお金もあって…引き取ってくれる相手もいて…でも僕にはそれがなかった。おじさんだけだよ、助けてくれたの」


    天海「…ごめん」


    京華「…なんで姉ちゃんが謝るの?変なの。それで、一緒にいたんだけどね…おじさん友達いないみたいだったから僕が友達になってあげたの。だから、姉ちゃんの元に帰るつもりはないんだー。そしたらおじさんがまた一人ぼっちになっちゃうからね。」


    京華「…まぁ、帰れないってのもあるんだけどね…ほら、僕って警察に追われる身だから…」


    天海「…そっか……でも、それなら尚更ここを離れるべきだよ。だって……そのおじさんの事で困ってる人が警察を呼んじゃったから」


    京華「…っ」


    天海「…たぶん、このままだと二人は離れ離れになっちゃう…だから一緒に説得してくれる?」


    京華「…説得したとして、その後はどうしたらいいの?」


    天海「大丈夫、最原さんならきっと何とかしてくれるからさ。」
  53. 53 : : 2021/01/13(水) 21:00:31
    春川「…っ」


    黒鉄「ボクが彼の注意を引きます…春川さんはその隙に…!」


    春川「わかった…!」


    すると、黒鉄は鬼竜の方に突進していった。


    黒鉄「…フッ…!」


    鬼竜が黒鉄にカウンターを食らわせようとするも、当たる寸前で黒鉄はバックし、さらに右側へ走った。


    鬼竜「…クッ!?」


    その後も黒鉄は何度も近付いては離れてを繰り返し、フェイントをかけ続けた。


    鬼竜「…ッ鬱陶シイ…ッ!」


    業を煮やした鬼竜は両腕を思い切り払い除け、黒鉄を吹き飛ばした。


    春川「…ここだっ!」


    私はその隙を逃さず、鬼竜の顎に回し蹴りを食らわせたのだった


    鬼竜「ウッ……マ、マダマダァ…ッ!」


    春川「脳震盪を起こしてるはず、あまり無理しない方がいいよ」


    鬼竜「…ソレガ、ドウシタ…!」


    京華「おじさん、もういいよ!」


    鬼竜「…ッ、京華…!?」


    京華「もう終わりにしよ、おじさん。」


    京華「僕が言うのもなんだけど、これ以上おじさんに罪を犯してほしくはないな」


    春川「…天海、どういうこと?」


    天海「は、はい…あの、実はこの子私の義妹でして……奥にいたんですけど、鬼竜さんと一緒に過ごしていたみたいです」


    黒鉄「…あぁ、それで食料を…」


    春川「…じゃあ、解決ってことでいいの?」


    天海「…多分」


    入間「…おいテメェら、何でここにいるんだ?」


    春川「…あんたの方こそ何で…警察は?」
     

    入間「…あー、実はそれは……」
  54. 54 : : 2021/01/13(水) 21:52:51
    翌日


    最原「…なるほど、そうだったんだ…」


    入間「…あぁ、無事に依頼が完了したみてーだし報酬をだな…」


    最原「はい、ありがとうございます…」


    京華「それでついでに僕たちも匿って欲しいなーって」


    最原(…確か、天海さんの妹らしいけど…)


    最原「ちゃんと一人見つけられたんだね」


    天海「…はい!」


    最原「…それにしても、なんというか…大きいですね…」


    鬼竜「………アァ」 


    最原「…京華さんの話は分かりました。僕はこのままここで暮らしてもらっても構わないんですが…」


    最原「あまり人数が増えすぎると厳しいところもありますので他に住めそうな場所を調べます。それまでしばらくうちでゆっくりしていってください」


    最原「…あぁ、出来るだけ暴れないようにしていただけるとありがたいんですが…」


    鬼竜「ソレハ、大丈夫ダ」


    京華「迷惑かけてごめんねー、姉ちゃんも、せっかく好…」


    天海「あー!あーー!!あーあーあー!!!何言ってるのかなー京華ちゃんてば!!??」


    京華「な、なんかごめん」


    最原「…?それでは、しばらくの間よろしくお願いしますね。」


    京華「はーい!」
  55. 55 : : 2021/01/13(水) 21:54:56
    天海「…よいしょっと…ようやく一人見つかってよかったなぁ」


    天海「…あれ?、ポストになんか入ってる…何だろうこれ…」


    そこには、『DICE参上!』の文字ととある犯行予告が…


    天海「た、大変大変!最原さん達に知らせなきゃ!?」




    最原「…DICEからの犯行予告?」


    春川「…活動再開したってことは」


    夢野「うむ、色々落ち着いたんじゃろうな」


    天海「…じゃなくて!何でそんなに落ち着いてるんですか?」


    春川「…だって、DICEでしょ?」


    天海「…ぇ?」


    最原「…僕たちが知ってるDICEの通りなら、少なくとも死者は出ないはずだよ。」


    夢野「それで、予告の内容はなんて書いておるんじゃ?」


    天海「えーっと、まだ見てないです」


    最原「なになに?『DICEの活動再開を祝しまして、手始めに希望ヶ峰学園と最原探偵事務所をDICEカラーに染め上げたいと思います』だって…」


    最原「…」


    春川「………」


    夢野「………………」


    天海「迷惑極まりない!!??」Σ(゚д゚lll)ノノ


    赤松「アハハハっ♪なにそれ楽しそー⭐︎」


    黒鉄「じゃなくてですね?!せっかく修復とか色々終わったのにそんな事されたら…」


    蘭馬「…またしばらく直すのに手一杯になるな」


    秋山「…まぁ、全部終わった後なら少しくらい笑い話になるのかな?」


    千田「希望ヶ峰学園完全にとばっちりだな」


    ミライ『噂をすれば、最原サン!苗木学園長から電話デスよ!』


    最原「…はぁ、とりあえず苗木さんたちにはあまり迷惑かけられないし頑張って阻止しようか」
  56. 56 : : 2021/01/14(木) 07:33:45
    エマ「なるほど、話は分かりましタ…ホムラ、どうにかなりませんか?」


    西片「…マフィアの方々にお願いするにしても向こうの了承が必要でしょうし、我々執事はそれなりに忙しい身、仲間に頼むのも厳しいでしょうな。かと言って今住んでる場所には少々狭すぎる。申し訳ありませんが、京華殿だけなら大丈夫だと思いますが鬼竜殿もとなると…」


    日永「ぼくも同じですね……まぁ、邪魔をされたくないってのもありますが」


    天璋院「妾は構わんぞ?ふむ、獣に堕ちた剛毅なる怪物をヒトに戻す……クックックッ、昂ってきたわ……うぇえ?なんでそんな睨むん…?」


    日永「いや、別に。」


    駒鳥「…ウチも、お爺ちゃんに聞いてみないとなんとも言えないっすねー。たぶん難しいだろうけど」


    入間「言わずもがな、オレも厳しいぞ。」


    京華「…うーん、やっぱ難しいかぁ」


    鬼竜「分カリキッテイタ事ダロウ…」


    エマ「あ…でももう一つのお願いについては、大丈夫ですヨ!」


    西片「私の方からもよろしくお願い致します、アギト殿」


    日永「アギトさんの友達になるってやつですね…えぇ、終一さんの紹介ですしそれくらいなら…」


    天璋院「…うむ、共に盟友の契りを交わそうではないか!」


    駒鳥「あたしも別にいーよ。友達になろ!」


    入間「オレ様も、テメェがどうしてもってんなら友達になってやっても構わねーぜ?」


    鬼竜「ナラ、オマエハイイ」


    入間「あぁん!?」


    京華「あはは、良かったねおじさん」


    天海「うぅ…私も仲間に入れてー!!」


    秋山「私もー!」


    蘭馬「………っ」(唖然)


    赤松「蘭奈ちゃんも神奈ちゃんも落ち着きなさいな、別にそれが本題ってわけじゃないんだし」


    千田「まぁ、鬼竜の件も早いとこなんとかしねーといけねーのは確かなんだがな」


    黒鉄「えぇ、とりあえず今はDICEの犯行を阻止するために集まっていただいたんです」


    ミライ『犯行といっても悪戯程度なのデスがネ』


    最原「…うん、そうだね」


    春川「…いつの間にかもっと大所帯になったね……」


    夢野「賑やかなのはいいことじゃが…流石に狭すぎだわい」
  57. 57 : : 2021/01/15(金) 05:38:42
    近衞「みんな驚くだろうなー」


    綾小路「驚くっつーか、驚いてるっつーか…」


    冥土森「予告状出しちゃったからねぇ」


    嵐「でも、ぼく楽しみだなぁ〜…久しぶりだもんねぇ〜この感じ」


    兵藤「ただ純粋にいたずら仕掛けるだけだもんな!」


    爵堂「はい…!」


    妾魔「ここ最近、誰かさんの所為でずっと殺伐としてたからねー…」


    剛将「そうだっけか?もう忘れちまったよ」


    剛将「…じゃあ新総統、号令を」


    石蕗「…これより、ニューDICEの活動を開始する!」


    石蕗「姫乃に続け!ミッションスタートだよ!」




    石蕗「…と、いうことがあったわけなんだけど……」


    最原「…呆気なかったね」


    僕の目の前にはすでにロープで捕縛されたDICEのメンバーがいたのだった。


    冥土森「いくらなんでもセキュリティ強すぎでしょ!」


    綾小路「ほんと、なんなんだよその狼男に執事軍団は!?それにサイボーグとかありかよ!!?」


    近衛「もともと暗殺者二人に主人公が二人、チートが一人と一体いたけどなぁ…」


    爵堂「それを差し引いたとしてもしても戦力上がりすぎかと…」


    嵐「あははー…流石に無茶し過ぎたねぇ〜」


    兵藤「はっきり言って希望ヶ峰学園のことも舐めてたっすからねー!」


    妾魔「…調子乗ったね、みんな………それより眠い」


    剛将「まぁ、失敗すると思ったよ。人が増えてるのは知ってたしな」


    石蕗「みんなー!戦犯こいつだよー!!」


    最原「…まぁ、今回は見逃すって苗木さんたちも言ってたし何も起こらなかったからすぐ解放してあげるけど…それよりちょっとお願いしてもいい?」
  58. 58 : : 2021/01/15(金) 05:38:59
    石蕗「なるほどねー、つまり蘭奈ちゃん達の妹と、あと家を探してると…分かったー。」


    最原「ありがとう、石蕗さん」


    石蕗「それにしても、アギトちゃんかー…なんだったら姫乃んち来る?」


    鬼竜「…ン?」


    最原「…あれ?」


    石蕗「そうだよ、うちに来なよアギトちゃんを。みんな大歓迎だよー!」


    鬼竜「…イイノカ?」


    最原「ちょっと待って!?鬼竜さんをいたずらに利用する気でしょ!?」


    石蕗「なにも、本人が乗り気じゃないなら無理にはやらせないってー。」


    最原「…本当?」


    石蕗「ほんとほんとー、嫌がるのを無理やりさせたところで笑えないしねー。」


    最原「…そういうものか」


    石蕗「ウチのモットーは笑える犯罪、自分たちが笑えないのなら意味ないのー!」


    石蕗「というわけで、ウチにおいで!アギトちゃん」


    鬼竜「…助カル」


    石蕗「第一、ウチに来させるのが嫌ならなんで姫乃達に相談したのさー?」


    最原「…それもそうだけど…」


    最原(まぁ、仮にいたずらに加担したとしてもこのメンバーなら止められると思うし…別にいいか)


    最原「うん…それじゃあ任せたよ、石蕗さん」


    石蕗「りょーかーい!」
  59. 59 : : 2021/01/15(金) 07:39:54
    石蕗「そうだ、今度から予告はメールでお知らせするから連絡先交換しよー。」


    最原「わ、わかったよ」


    石蕗「うん、ありがとうー!じゃあねー、バイバーイ!」


    鬼竜「世話ニナッタ…」
       

    最原「いえ、こちらこそ…それではお元気で」


    天海「あ、ちょっと待って!せっかくだし送別会しようよ!どうせこの後仕事もないでしょ?」


    赤松「…それ良いねぇ♪私大輔くんの一発芸見たぁい⭐︎」


    剛将「ぶっ…」


    石蕗「なにそれ、姫乃もみたーい!」


    春川「あ、それなら私も見たい」


    剛将「ふざけんなよお前ら!?」


    最原「…でも、今から準備するのは…」


    夢野「何を言っておる。これだけの人数がいれば準備などあっという間じゃ」


    最原「それもそう、かな?」


    天海「とにかく、パーティーだよパーティー!知ってる人みんな呼ぼうよ!」


    そうして、天海さんの提案で突然パーティーが開かれたのだった。


    赤松「ふぁ〜あ♡しゅーいちくんがいっぱいぃ…」


    最原「赤松さん、まさか酔ってるの?」


    春川「…あっはっはっは!!殺されたい奴からかかって来い!」


    夢野「だ、誰じゃ!春川に酒を飲ませたのは!?」


    入間「し、シラネー」


    綾小路「エントリーNo.2056!いっきまーす!ショートコント、死にかけのトラフグの背びれのマネ!」


    近衛「マニアック過ぎだし、ショートコントとモノマネは違うぞ」


    爵堂「しかもどう見てもゴリラのマネですし…0点」


    エマ「うぇっへっへ…なんだか暑くなっちゃいましタ……」


    千田「ちょっ!?なに脱いでんだテメー!」


    天璋院「さぁ、豚の様に哭いて妾をもっと愉しませるが良い!夜はまだまだこれからぞ!!」


    日永「痛い痛い!咲耶さん、人前だよ自重して…!」


    剛将「なんだこれ地獄か」


    天海「あれー?剛将さん全然飲んでないじゃないれすか…もっと楽しみまひょーよ!」


    ぐえっ、と天海さんに一升瓶を口に突っ込まれた剛将さんが小さな悲鳴を上げた。


    最原「あ、天海さんまで……これは、明日が大変だぞ」


    赤松「ほらほら、しゅーいちくんも飲んで!」


    春川「最原も飲みなよ」


    天海「ね、最原さん!」


    最原「………お手柔らかにお願いします」





    ………


    …………………………


    そうして、夜は更けていった。

  60. 60 : : 2021/01/16(土) 11:26:04
    翌日、みんな二日酔いでしんどそうにしながら解散していった。


    最原(…まだ頭がガンガンする)


    最原(…さて、天海さんの妹の捜索を始めようか)


    日永「終一さん、失礼します…少しお話ししたいなって思って…ご一緒していいですか?」


    最原「うん、もちろん構わないよ。」


    日永くんと一緒に天海さんの義妹について調査しながら過ごした。


    日永くんと少し仲良くなれたみたいだ。


    最原「…」


    日永「…終一さんって、彼女いるんですか?」


    最原「いないけど…なんで?」


    日永「いや…終一さんモテそうだなーって思ったんですが…ほら、周りにたくさん女の人いますし」


    日永「誰か一人くらい、関係を持ちたいと思うような相手はいないんですか?」


    日永「もしかして、楓さんのことを忘れられないでいるんですか?それなら椛さんとかちょうど彼女の代わりになるんじゃ」


    最原「思わないよ。なんで、急にそんなことを聞くの?」


    日永「…」


    日永「…あ、ごめんなさい…もしかして怒ってしまいましたか?」


    日永「すみません、ぼく基本他人(ヒト)が嫌いなので今までまともに関わってこなかったんです。だからこういうとき何話したらいいのかよく分かってなくて…」


    日永「咲耶さんにもよく怒られるんです。『汝は他者の気持ちを軽んじ過ぎる』とか『脈絡なく我を罵倒するのはヤメろ』とか…」


    日永「昨日も、『デイヴィは他人ともっと関わりを持つべきだ』って本気で叱られました」
      
     
    日永「だから、気に障ったのなら謝ります。」


    最原「…いや、僕もちょっと怒りすぎたかもしれない。そういうことだったんなら仕方ないよ」


    日永「…ありがとうございます。あの、実は終一さんに一つお願いがあるんですけど…」


    最原「どうしたの?」


    日永「また、ぼくの話し相手になってください。どういう会話をすれば仲良くなれるのか練習したいです」


    最原(…まさか、最初から実験台のつもりで?)


    最原(まぁ、でもそれくらいなら…)


    最原「うん、構わないよ。でも、一部本当にそういう話をしたら怒るだけで済まない人もいるから気を付けてね。」


    日永「はい、ありがとうございます。」


    日永「今日はありがとうございました、またよろしくお願いします。」


    そうして、日永くんは帰っていった。
  61. 61 : : 2021/01/16(土) 11:26:42
    最原(…まだ時間はあるな)


    最原(もう少し天海さんの妹について捜索しよう)


    天璋院「クックックッ…悪魔の遊戯を終焉に導きし者よ、貴様には特別に我と共に闇にその身を隠した十二使徒の片割れを……探し出す事を許そうではないか!」


    最原(…なにか、カッコいい言い回しが思いつかなかったのかな?)


    最原「うん、別にいいよ」


    天璋院「フッフッフッ…貴様のその傲慢さ嫌いではない!我が放つ邪悪なるオーラに押し潰されぬよう精進することだな!!では行くぞ!」


    天璋院さんと天海さんの義妹についての聞き込みをしながら過ごした。


    天璋院さんと少し仲良くなれたみたいだ。


    天璋院「………」


    最原「…えーっと、どうしたの?」


    天璋院「フッ、前から思っていたが…全身を漆黒に染め上げたその装い、我好みの実に良い趣味しているではないか!


    最原「…そうかな」


    天璋院「さては、貴様も我と同種の人げ」


    最原「いや、それはないよ」


    天璋院「そ、そんな食い気味に否定せんくても…」


    最原「あ…ごめん、別にそんなつもりじゃ…」


    天璋院「…クックックッ、構わん許す。そもそも下賤な輩に我の高貴なる思想に共感出来ると思っておらん」


    最原「…下賤って……」


    天璋院「………」


    天璋院「…貴様は、笑わないのだな」


    最原「…え?」


    天璋院「貴様だけではない、その仲間も…誰一人我の話し方を笑う者はいなかった。」


    天璋院「今まで咲耶が何かを話すたびに笑い声が聞こえたから…」


    天璋院「それ以外で笑わなかったのは、デイヴィぐらいで…」


    最原「…なんで、天璋院さんはそんな話し方をするの?カッコいいから?」


    天璋院「…クックックッ、残念だったな!その経緯はまた後日に話すとする。余の気持ちが変わらぬ事を祈っておくんだな!」


    天璋院「……またお話ししよ、楽しみにしてる」


    天璋院「クーッハッハッハー!さらばだ!」


    そうして、天璋院さんは帰っていった。


    最原「…暗くなって来たし、僕もそろそろ帰ろうか」
  62. 62 : : 2021/01/16(土) 22:24:43
    天海「最原さん!聞いてくださいよ、ハルマキちゃんが…!」


    春川「だから、その呼び方やめてって言ってるでしょ…!」


    最原「なに、どうしたの?」


    赤松「終一くん♪おかえりなさぁい⭐︎ご飯にするぅ?お風呂にするぅ?それともわ♡た♡し♡」


    最原「…春川さん、説明してくれる?」


    赤松「無視酷い!」


    春川「…別に、大したことないよ」


    天海「大したことないって?!大ありだよ!!」


    春川「あー、話が進まない!」


    夢野「春川が天海のプリンを食べてしまったんじゃ」


    春川「あんたが寄越したんでしょ…」


    最原「…なるほど」


    最原「ていうか、二人ともいつの間にそんな仲良くなったの?」


    春川「…いろいろあったんだよ」


    最原「ふーん、そっか…あれ、そういえば他のみんなは?」


    赤松「…ミライちゃんはスリープ中、進太郎くんと陸斗くんはどっか行ってて、蘭馬ちゃんと神奈ちゃんは寝てるよ」


    最原「…赤松さん、拗ねてる?」


    赤松「べっつにぃ〜?」


    最原「…さっきのことを言ってるなら謝るけど…でも赤松さんすぐふざけるし」


    赤松「ふざけてないもん大真面目だもーん」


    最原「…」


    赤松「それよりさ、蘭馬ちゃん達の義妹について他になんかわかったことでもある?」


    最原「…いや、今のところ特にないよ。というのも手がかりが全くないから捜査のしようがないってのもあるんだけど…」


    赤松「だよねぇ…もう、変なところで優秀なんだから。」


    夢野「まぁ、がむしゃらに探したところで見つかりっこないだろうじゃろうな」


    天海「じゃあどうするんですか?」


    赤松「…そのことなんだけど、しばらく私に任せてくれない?」

      
    春川「なにか悪いことでも考えてるの?」


    赤松「ふふ、私ってそんなに信頼ならない?大丈夫だよ、私が終一くんに嫌われるようなことするわけない。その一点だけは信用して欲しいな」


    最原「…わかったよ、しばらくはキミに任せる。でも…」


    赤松「なにか困ったことがあればいつでも言うよ。安心して?」


    そうして、みんなそれぞれの部屋に戻って行き、夜は老けていった。
  63. 63 : : 2021/01/16(土) 22:26:07
    翌日


    ??「失礼…最原終一くん、君に依頼があって来たよ」


    最原「…は、はい」


    やって来たのは白衣を着たご老人だった。


    ミライ『…!お父サマ!!』


    最原「…え?」


    春川「…ミライの父って事は…」


    夢野「もしや、お主が飯田橋博士か!」


    ??「ほっほっほっ…その通り、私の名前は飯田橋博士(いいだばし ひろし)。」


    飯田橋「みなからは博士(ハカセ)と呼ばれておる」


    天海「えーっと、名前が博士の博士…んん?」


    赤松「相変わらずややこしい名前ぇ…」


    最原「赤松さん、知り合いだったの?」


    赤松「んー、まぁちょっとねぇ…彼もチームダンガンロンパでこき使われていた者同士だから」


    赤松「ほら、あのロボット(キーボくん)この人工知能(ミライちゃん)を作る技術力を持ってる訳だから会社としては是非とも確保したい人財だと思うじゃん?」


    最原「…たしかに」


    飯田橋「まぁ、君達のお陰で無事解放された訳だがね。」


    最原「…それで、依頼というのは…?」


    飯田橋「いやね、大した事ではないのだよ。ただ父親として改めてミライの事をお願いしに来ただけでね」


    飯田橋「ミライには未だ沢山の潜在能力を秘めている。なので是非君達の元で色んな事を学習させたいと思ってね。」


    飯田橋「君達ならミライを悪用する事もないだろう?他の所では余り信用がないのでな」


    最原「えぇ、それはまぁ…もちろん」


    飯田橋「では、今後ともうちの娘の事宜しく頼むよ。」


    最原「…はい、分かりました。」


    飯田橋博士はそれだけ言い残して事務所を後にした。

  64. 64 : : 2021/01/17(日) 13:04:27
    最原(…赤松さんは自分に任せるよう言ったけど、本当に大丈夫なのかな?)


    最原「まぁ、悩んでも仕方ないし彼女を信じてみよう…」


    最原「さて、どうやって時間を潰そうかな…」


    駒鳥「最原さん、少しお話ししたいんすけど…」


    最原「駒鳥さん?別にいいよ」


    駒鳥「ありがとうございます」


    駒鳥さんと話をしながら過ごした。


    駒鳥さんと少し仲良くなれたみたいだ。


    駒鳥「…」


    駒鳥「最原さんってネオ合気道のこと知ってるっすか?」


    最原「うん。茶柱さんとその師匠…諫早さんがなんとなくで作った新しい流派だよね?」


    駒鳥「まぁ大体合ってます。そして、それに新たな要素を加え込んだのがあたしが作ったネオ合気道・改というんすよ」


    最原「ネオ合気道…改?」


    駒鳥「元々のネオ合気道に、空手や柔道、ムエタイ、テコンドー、レスリング、中国武術にサバット、ボクシングなど世界に存在するありとあらゆる格闘技の要素を取り込んだもの、それがネオ合気道・改です。名前は概要を聞いた爺ちゃんが付けました」


    駒鳥「因みに咲耶に言ったら究極暗黒死技・超絶拳(ダークアルティメットハイパーフィスト)の方がふさわしいとか言い出したから却下して投げました」


    最原「…小学生みたいなネーミングだ」


    駒鳥「でしょ?って、それは今は良いんです。最原さんもネオ合気道・改を学んでみませんか?」


    駒鳥「前々から思ってたんす、最原さんは見るからにひ弱だなって」


    最原「一応これでもトレーニングはしてるんだよ?」


    駒鳥「でもただの筋トレでしょ?しかも軽めの…」


    駒鳥「最原さんは探偵事務所の要です、それにダンガンロンパも終わらせた人物でもある。命を狙われる要素ならいくらでもあるんすよ。」


    駒鳥「護身術の一つくらいは身につけて損はないはず、そこでネオ合気道・改の出番というわけ。どうです?」


    最原「…確かに駒鳥さんの言う通りだ。」


    最原(別に今まで考えなかったわけじゃないけど…それを怠っていたのも事実だし)


    最原「うん、それじゃあそのネオ合気道・改の指南をお願いしてもいいかな?」


    駒鳥「はい、任せてください。」


    駒鳥「あ、でももうこんな時間…続きはまた今度ということで!それじゃあ失礼しまーす」


    最原「うん、またね」


    そうして駒鳥さんは帰っていった。
  65. 65 : : 2021/01/18(月) 20:48:45
    最原「…まだ時間がありそうだな」


    最原(なにして過ごそうか…)


    西片「すみません、失礼します。依頼があるのですが、春川殿と秋山殿はおられますか?」


    最原「…春川さんと秋山さん?多分いると思いますけど…」


    西片「では、呼んで頂きたいのですがお願いしても宜しいでしょうか?」


    最原「は、はい」


    そうして、西片さんの言われるがまま春川さんと秋山さんを呼び出した。


    春川「…突然なに?」


    秋山「私たちに依頼って、本当…?」


    西片「…えぇ。」


    西片「お二人にお願いしたいのは、暗殺です」


    最原「………えっ?」


    春川「……………はぁ?」


    秋山「…なんで?」


    その時、春川さんと秋山さんから恐ろしいほどの殺気が漏れ出した。」


    最原「…!二人とも落ち着いて…!」


    西片「勿論、それ以外の方法で解決出来るのならそれに越した事はありませんが…生憎と裏の世界はそう甘くはない」


    最原「…もしかして、そのターゲットって…」


    西片「今、お嬢様…スチュワート殿がとあるマフィアに御厄介になっておられるのはご存じですね?」


    西片「何でも、手厚く保護されているお嬢様が我々の派閥の最重要人物であると現在敵対しているギャングに勘違いなされたようで、そこから送られてくる刺客に命を狙われ続けているのです。」


    西片「お嬢様は顔には出されていませんがかなり心労が溜まってるご様子…なればこそ、先に相手の親玉を排除して仕舞えば、残るは烏合の衆…殲滅も容易いと思いまして」


    春川「…ふーん」


    最原「話は分かりましたが…」


    西片「何か気になることでも?」


    秋山「確か、炎さんってただ雇われた身だよね?何でそこまでするの?」


    西片「なに、我々はただ仕えるからには全力でお守りするだけです。『滅私奉公』こそが我々のモットーですので」


    最原「…そうですか」


    西片「話し合いや告発等で済むのならそれでも構いません。どうにか暗殺を止めていただきたいのです。」


    最原「分かりました。では、殺さないで済む方法をメインに調査させていただきます。」


    西片「ありがとうございます。では、お嬢様を外で待たせてしまっているので失礼致します。」


    そう言い残して西片さんは去っていった。
  66. 66 : : 2021/01/18(月) 20:49:01
    春川「…それで、どうするつもりなの?」


    最原「…彼らに協力して貰おう」


    秋山「彼らって…DICEのみんな?」


    最原「うん、DICEならそっちの世界にも詳しいはずだし殺す以外の方法を知ってるはずだよ。」


    春川「…たしかにあいつらなら色んなことに役立てるだろうしね」


    秋山「でも、そんな簡単に協力してくれるの?」


    最原「多分してくれるはずだよ。彼らにとって人の生き死にがかかった犯罪なんて面白くないはずだからね」



    石蕗「なるほどねー。突然終一ちゃんからのラブコールを受けたからびっくりして飛び出してきたけどそういうことだったんだー」


    最原「ラブコールって…それで、協力してくれるかな?」


    石蕗「いいよー。確かにそれは笑えないし、罪滅ぼしの意味も込めて手伝ってあげるー。みんなもいいよね?」


    近衞「おう!」


    剛将「あぁ、別に構わないぞ」


    妾魔「他ならぬ終一の頼みだからね」  


    嵐「うん、断る理由はないよね〜」


    綾小路「あ、そうそう。代わりにそのエマって子紹介しろよ?」


    冥土森「終一君、こんなやつの言うことなんて無視していいからね?」


    兵藤「いやあ、こういう感じも懐かしいですなー!」


    爵堂「前もよく法で裁けない悪党を面白おかしく晒し者にして来ましたからね」


    最原「そういうこともしていたんだ…」


    最原(もしかしたら、彼らの力を借りればあの件についても…いや、今はいいか)


    石蕗「というわけで…姫乃達に任せたまえ、終一ちゃん!」エッヘン


    最原「ありがとう、じゃあみんなしばらくの間よろしくね」
  67. 67 : : 2021/01/19(火) 23:55:03
    妾魔「ねぇ終一、今軽く相手の情報を探ってたんだけど…ちょっと今回の仕事面倒かも」


    最原「…何が分かったの?」


    妾魔「どうやら色んなとこにコネ持ってるみたいなんだよ。向こうの国の警察と繋がってたりね」


    綾小路「うげ」


    妾魔「他にも大手自動車会社やお菓子メーカー、ゲーム会社、新聞社…この国の極道とも仲良しみたい。これを吊し上げたら怒る人多いだろうね」


    最原「…なるほど」


    妾魔「でもまあ、安心して。DICEの名にかけて仕事はちゃんとこなすから」


    石蕗「うーん、久しぶりの大仕事になりそうだなー」 


    赤松「ただいまぁー…あれぇ?なんでDICEのみんながいるの?」


    最原「おかえり赤松さん、実は…」


    赤松「…なーるほどねぇ……そっかそっか…ギャングの親玉を…炎くんも命知らずだねえ、二人にそんな依頼するなんて」


    最原「…あはは」


    赤松「でもまあ、こんな偶然あるんだね。」


    赤松「たぶんね、その組織に蘭馬ちゃんの妹がいるよ。どういう立ち位置なのから捜査中だけどね」


    最原「…えっ?」


    赤松「でもまぁ…うん、そうだね、暗殺はちょっと困るから私も少し手伝うよ。」


    最原「あ、ありがとう…それより、今の話って…」


    赤松「…どうやら、そういう裏社会に引き取られた子がそこそこいるみたいなの。もしかしたら酷い目に遭ってる子もいるかもだから早くなんとかしてあげないと…」

    最原「…っ、分かった。そのつもりで捜査しようか」


    赤松「うん」
  68. 68 : : 2021/01/20(水) 23:11:31

    石蕗「作戦決行は明後日、ちょうどエマちゃんとこと抗争するらしいからそれに便乗する形で吊し上げにするよー。」


    最原「分かった、準備しておくよ」


    石蕗「…んー、終一ちゃんはお留守番しておく方が良いかも。今回のはまあまあ危険だしさー…戦闘の素人が来ると危ないってー」


    最原「…心配いらないよ、足手纏いにはならない。」


    石蕗「…終一ちゃん、もしかしてムキになってない?最近誰かに似たようなこと言われたとか?」


    最原「………別に」


    石蕗「…図星、みたいだねー。終一ちゃんはもうちょっとポーカーフェイスの練習した方が良いんじゃない?顔に出るタイプでしょ」


    最原「……そんなこと…いや、分かったよ。」

     
    近衛「まあ、別に良いんじゃないか?それらをあんまり鍛えすぎても他の子の立つ瀬がねえだろ」


    最原「えっ?」


    妾魔「確かに言えてるかもね。だって魔姫が肉弾戦得意で、秘密子が心理戦得意じゃん?椛も椛で情報戦得意だし…」


    冥土森「そうね、終一くんは更にもっと頭脳を鍛えた方がバランスは良いと思うわよ。あくまでバランスを重視するなら、という話だけど…」


    剛将「あくまで得意分野がバラバラだってだけだろ?なら寧ろ、他の連中も色んなとこ鍛えた方がバランス良いだろ。そうでもしねーと一人に負担がかかる。」


    剛将「勿論他の皆んなを頼るのは大事だろうよ、それぞれの役割分担を明確にするのも大切だ。だが頼り過ぎってのはただ押し付けてるのとそう変わらん、それはいずれ必ず重荷になる。」


    剛将「…まぁ、長々と喋ってしまったが…助け合いがただの擦り付け合いにならねーよう各々よく頑張ることだな」


    最原「…うん、剛将くんの言う通りだ…これからも精進するよ。ありがとう」


    石蕗「大輔ちゃん、随分語ったねー」


    綾小路「キャラに似合わず、めっちゃ語ったよな」


    兵藤「いやあ、聞いてて恥ずかしくなっちまったっすよー」


    爵堂「正直気色悪いです」


    剛将「おう、いじめか?」


    嵐「大丈夫だよ〜、みんな大輔ちゃんのこと好きだからね〜」


    最原「…ほんと仲良いよね」


    石蕗「まあ、それなりに付き合い長いからねー…」


    春川「…そろそろ夢野たちが帰ってくると思うけど、あんたらどうするの?」


    秋山「泊まってく?」


    剛将「いや、俺達がいたらいくら馬鹿でも何か事件があったと勘づくだろ。」


    近衞「それに俺たちが泊まるには狭いしなあ」


    冥土森「ええ、お心遣いには感謝するけどあまり迷惑もかけられないしね」


    綾小路「つーわけで、オレ達は自分らの家に帰るわ。じゃあな」


    最原「うん、また明日」
  69. 69 : : 2021/01/21(木) 07:43:51
    天海「たっだいまー!今日の夢野さんのマジカルショー凄かったよー!」


    最原「おかえり、天海さん…そうか、今日って夢野さんのマジックショーの…」


    夢野「マジカルショーじゃ!」


    最原「…マジカルショーのバイトがあったんだね」


    春川「なに、最原知らなかったの?」


    最原「…うん、やけに早く家を出たなとは思ったけど…」


    赤松「終一くん…そういう事はちゃんと把握しといた方がいいよ?余計な縺れを産みたくないならさ」


    最原「…気をつけるよ」


    蘭馬「確かに、その調子なら…記念日とか忘れそう…」


    千田「ははっこいつら相手にそれはマジで笑えねーから本当に気をつけろよ」


    秋山「んー?どーいう意味かな陸斗くん?」


    黒鉄「…まぁ、仕事が大事なのは確かですから難しいところではあるんですけどね…。手が必要ならいつでも言ってください」コソッ


    最原「あ、ありがとう」


    ミライ『…ところで、先程から怪しい人影がドアの前に立っていマスが…皆サンご存知デスか?』


    最原「…えっ?」


    その時、突然事務所の中が真っ暗になった。


    夢野「て、停電じゃと!?」


    春川「電線でも切られたの?!」


    天海「ミライさん!大丈夫?!」


    ミライ『は、ハイ!予備電源のお陰で辛うじて…!』


    最原「…一体、誰なんだ…?」


    ??「………ヒミツ。」


    赤松「…っ終一くん後ろ…!」


    最原「…うわっ」


    赤松さんの声に、急ぎ後ろを振り向くと月の光が反射した得物を振り翳す人影が…


    春川「…っ!」


    風を切る音とともに剛速で振り下ろされた刀を春川さんがギリギリの所でそれを防いだ。


    ??「…チッ」


    天海「最原さん!?」


    ??「…此処に居たんだ…蘭奈」


    天海「…え?」


    蘭馬「まさか…」


    ??「そっか…そういえば蘭馬も居たんだね」


    そこで、電気が復旧してその姿を現した。


    ??「…はぁ、流石に今回はもう無理か…」


    天海「…鈴音ちゃん…!」


    鈴音「…また来るね…蘭奈、蘭馬」


    そう言い残すとその人影は一目散に去っていった。


    春川「…くそ、なんて逃げ足の速い…!」


    赤松「それより、今のって…」


    蘭馬「…あぁ、行方不明になっていた…妹の鈴音だ」
  70. 70 : : 2021/01/21(木) 20:03:06
    (天海蘭奈の天海鈴音への呼び方少し訂正しました)



    翌日


    石蕗「なるほどねー、そんなことが…」


    春川「うん、だから西片の依頼はあんたらDICEと最原、赤松に任せる。」


    最原「…なんでも、今話した鈴音さんについて気になることがあるみたい…」


    春川「…あの顔…なんか何処かで見たことがある気がして…それにあの身のこなし…体捌きの仕方、覚えがある」


    赤松「同じことを神奈ちゃんも感じたみたいだし、もしかしたら孤児院もしくは神明救済会の関係者かも知れないって話なんだぁ」


    剛将「…了解した。まぁ、別に今回の目的は暗殺じゃねえからいても大して変わらねえしな。そっちの捜査に励んで貰っても構わないが…今回の件との関連性はないのか?」


    最原「…というと?」


    剛将「昨日赤松が言ってたろうが…天海の妹が相手方に身を置いてるって。それが奴らの雇ったヒットマンだって可能性はねえのか?」


    剛将「昨日西片がお前らに依頼したんだろ?その情報が筒抜けだった場合ここを狙うのはおかしくねえと思うが?」


    最原「…確かにその可能性はあるけど…今の所はなんとも言えないかな…」


    石蕗「まー、その辺の采配は終一ちゃんに任せるよー。」


    剛将「そうだな、全部最原に任せるさ」


    最原「うん、ありがとう」




    エマ「…アナタは一体」


    ??「んーとね、あーしの名前は天海友梨(あまみ ゆうり)ってゆーの。」


    友梨「あんただよね?パパが言ってた敵マフィアの最重要人物って…ちょっと一緒にお茶でもしよーよ」
  71. 71 : : 2021/01/22(金) 06:41:04
    エマ「…天海、友梨」


    エマ(ということはランマたちノ…)
     

    友梨「そうそう、友梨ちゃんって呼んでね!」


    エマ「…どうして今のワタクシがそのマフィアに身を寄せていることをご存知なのデ?」


    友梨「なんでだと思う?当ててみて!」


    エマ「………」


    友梨「もー、深く考えすぎだって!一昨日抗争でチラッと見かけただってーの」


    友梨「あーし、今のところに引き取られてから歳の近い女友達がいなかったから、ちょっと気になってさ」


    エマ「…なるほど、そうだったんですネ」


    友梨「…はぁー、堅いなあ…真紘(まひろ)ちゃん思い出すよ」


    エマ「…マヒロ?」


    友梨「うん、あーしの双子の妹…あんま似てないんだけどね。真紘ちゃんもそりゃあもう堅かったよ、堅すぎるくらいに堅すぎた。それでクソ真面目だった。あーしがちゃらんぽらんだったから」


    エマ「…申し訳ありませン、辛い事を思い出させてしまっテ…」


    友梨「えっ?なんで?」


    エマ「…ワタクシの知人にアナタ方姉妹を探してる方がいらっしゃるのですガ、皆さん行方不明と聞きまス。恐らく長い間顔を合わせてないはずでス」


    友梨「…あー、そういうこと…ごめんごめん、実はそんなことないんだ…実はもう既に何人か会ってて連絡先も交換してるんだ。だからみんながみんな行方がわからないってわけじゃないんだよ」


    エマ「…えッ?」


    友梨「今、あーしと連絡取り合ってるのは…さっき言った真紘ちゃんと、鈴音ちゃんや卯月(うづき)ちゃん、紅羽(くれは)ちゃんに理沙(りさ)ちゃんの五人だよ?」


    エマ「…ッ!」


    友梨「まぁ、ゆーてみんな秘密主義者だからなかなか居場所教えてくれないしすぐには会えないんだけどね」


    友梨「それに、友達と姉妹は違うじゃん?だからノーカンなの。」


    エマ「…他の姉妹に会いたいと思われますカ?」


    友梨「そりゃあ会いたいけど、それより先に女友達っしょ。もしかしなくてもさっき言ってた知人ってあーしの姉妹でしょ?口ぶりから察するにいつでも会えるみたいだし、今は別に良いかなー。」


    エマ「……そうですカ。」


    友梨「つーわけで、あんたもあーしの友達になってよ。せっかく境遇が似てることだしさ」


    友梨「…あ、世話役の人が迎えにくるって。じゃあ、また明日抗争の時に会おうね。エマちゃん」


    そう言い残すと、彼女は去っていってしまった


    エマ「…そういえばワタクシ、彼女に名前を教えましたでしょうカ…?」


    西片「お嬢様!こんなところにいたんですか?!」


    西片「今の貴女は命を狙われているんです、気を付けてください。」


    エマ「す、すみませン…ホムラ」
  72. 72 : : 2021/01/22(金) 19:18:56
    エマ「…ということがありましテ…」


    最原「…まさか、既にもうそこまで…」


    赤松「逆だよ、終一くん…言い忘れてたけど、実は蘭馬ちゃんの妹が行方不明ってのはちょっと違うんだ。」


    最原「…どういう意味?」


    赤松「元々、ある程度見つかっていたんだよ。それでみんな蘭太郎くんの周りにいた…普通希望ヶ峰学園は部外者立ち入り禁止だけど、学園長の許可があればそこそこ自由に行き来できるからね。」


    赤松「だけど、しばらくして超高校級狩りが始まって…本来超高校級狩りのターゲットはその名の通り超高校級に絞られて一般人には手を出さないんだけど、身内はその限りじゃないから当然狙われて、それから逃げるためにまたバラバラになったの」


    赤松「あの時、蘭馬ちゃんは適当に濁してたけど、日本にいるはずってのはそういうこと。そこまでの行動力はないと思ったんだろうね…結局何人か海外に出ちゃってたみたいだけど…」


    最原「…なるほど」


    赤松「…あの時、まだ見つかってなかったのは…末っ子の希空(のあ)ちゃんくらいじゃないかな…?」


    赤松「…だから、本当はみんか面識あるはずなんだよね……」


    最原「…えっ?」


    赤松「もしかしたら、みんな知らない間にモノ忘れライトとか浴びてたりしてね…なんて、ただの冗談だよ。」


    最原「………」


    赤松「まあ、それは置いといて…さっき言ったのはあくまで表向きの理由」


    最原「…表向きの?」


    赤松「…みんな自分の意思で、それぞれの目的のために超高校級狩りが起こる前から失踪していたんだよ。なかなか帰りたがらないのはそれが理由…早いとこ集めたいならそれぞれの願いを叶えてあげなきゃ…」


    最原「…そうだったんだ」


    赤松「…まぁ、今はそんなことより目の前の仕事をこなさなきゃ。」


    最原「…そうだね」
  73. 73 : : 2021/01/22(金) 19:19:03
    エマ「…その依頼の件についてなんですガ、やはり暗殺するのはやめてほしいんでス。そんなことをすればユーリが悲しんでしまウ」


    最原「そこは問題ありません、元々暗殺以外の方法で解決するつもりでしたから」


    エマ「そう…だったんですカ、すみませン」


    エマ「…今回の抗争…そもそもお互いの勘違いが原因なんでス。ですから可能な限り穏便に済ませたくテ……」


    エマ「ホムラは何故かいつもワタクシに対して過保護と言いますカ、お金の関係であるに関わらズ、必要以上に世話を焼いてくれるんでス。」


    赤松「きっと、エマちゃんに惚れてるんだねえ」


    エマ「…それはないでス、彼はワタクシを子供扱いしているだけデ…そもそも彼がワタクシを好きになる理由がないですヨ。」


    エマ「仮にもしそうだとしてもワタクシにリョーマを裏切るようなことは出来ませン」


    エマ「心配してくれるのは勿論嬉しいのですが行き過ぎはちょっト…その、煩わしいと言いますカ。」


    最原「分かりました、任せてください」


    エマ「ありがとうございまス、それではよろしくお願いしますネ」


    そう言い残すと、エマさんは事務所を後にした。
  74. 74 : : 2021/01/23(土) 11:44:59
    最原「…赤松さん、改めて天海くんの妹について知ってる限り教えてくれないかな」


    赤松「…いいよ。ていうか、蘭馬ちゃん結局言ってなかったんだね」


    最原「…うん」


    赤松「とはいえ、私が知ってるのもあくまで二、三年前の情報だから現在とは多少相違があると思うんだけど…」


    赤松「…まず最初に蘭子ちゃんについてだけど、彼女は既に死んでるからここでは省くね。同様に蘭馬ちゃんと蘭奈ちゃん、既に保護されてる京華ちゃんについても改めて説明することはないと思う。」


    赤松「次は、鈴音ちゃんについてだけど…孤児院に引き取られた過去があるみたい。だから、魔姫ちゃんと神奈ちゃんが言っていたのはそういうことだと思うよ。たぶん色んな組織を転々としながら殺し屋稼業をやってるんじゃないかな?」


    赤松「紅羽ちゃんは、ハリウッドで大活躍中の女優さんだよ。確か芸名はスカーレット=グレイスって名前だったと思う。本人は隠してたけど、残念ながら私には筒抜けだったよ。今は向こうでも行方不明みたいだね…まあいつものように役作りの為なんだろうけど」


    赤松「卯月ちゃんはヤンキーだよ。縛られるのが嫌みたい、自由に生きるんだって言って家出したんだ。彼女の実妹である弥生(やよい)ちゃんは運命の人を探しにいくんだって言って姉同様家出したんだ。二人とも一時の感情で家を飛び出してるあたりよく似てると思わない?」


    赤松「友梨ちゃんは、エマちゃんが言ってた通りギャングに拾われてたみたいだね。手厚く甘やかされて育ったのかな、世間知らずの超箱入り娘って感じの子だったなあ。つまり、あの子にとっては家の中の世界だけが全てだから…注意しといた方がいいかも」


    赤松「真紘ちゃんは確か、大きな財閥に拾われてたと思うよ。なんでも子供がいなかったからか知らないけど、友梨ちゃん同様手厚く育てられたみたい。でも、昔犯罪組織に誘拐された事があって…その相手を探してるみたいなんだよね…」


    赤松「理沙ちゃんは科学オタクで、学園にいたときは飯田橋博士に弟子入りしてたっけ。他にも色んな科学者に弟子入りしてるみたい…というか、技術や知識を盗んでるっていうか…この子も大体どこに居るか見当はついてるよ。」


    赤松「あとは、希空ちゃんについてだけど……見た感じザ・妹っていうのかな…そんな感じの雰囲気だった。あれは間違いなく計算でやってるね。それ以外は知らないなあ」


    最原「………赤松さんって、相変わらず情報収集力に長けてるというか…実はもう、全員見つけてるんじゃないの?」


    赤松「…言ったでしょ?みんなそれぞれ目的のために行方を眩ませたって。それをどうにかしないと帰ってきてはくれないんだって」


    最原「…じゃあ、今回の件が終わればすぐにでも対処しないといけないね」


    赤松「うん、そゆこと。」


    赤松「…それで、これからどうする?」


    最原「………」
  75. 75 : : 2021/01/23(土) 14:56:18
    天璋院「デイヴィに浮気された!」


    夢野「…んあー」


    天璋院「家に!女連れ込んでるの!見た!」


    夢野「………それで、どうして欲しいのじゃ?」


    天璋院「相手の女ぶっ殺して欲しい…!」


    夢野「…素行調査ではなくてか?」   


    天璋院「必要ない!浮気してるのは確定なんだ!」


    夢野「…喋り方を忘れるほど頭にきておるんじゃな……」


    天璋院「最近付き合い悪いし、姉妹がいるって話も聞いたことないし、問い詰めても話してくれないし、絶対クロなんだ!」


    夢野「…まあ、仕方あるまい…少し捜査するかのう」


    天海「…夢野さん、私も手伝いましょうか?」


    夢野「…そうじゃな、一応ついてきてくれるか。すまんが春川、ウチらはこっちに取り掛かるわい」


    春川「…別にいいよ。あんたらはいてもいなくても特に変わらないだろうし」


    天璋院「ありがとう、一緒にデイヴィをぶっ飛ばそう」


    夢野「んあー…」
  76. 76 : : 2021/01/24(日) 06:07:32
    『「…ねぇ、そんなところで何してるの?」』


    『「…は?誰だよお前」』


    『「私?私の名前は…………………だよ。あなたは?」』


    『「……………だ。」』


    『「そう…ねぇ、それで………はそこで何してるの?」』


    『「なんでもいいだろ、あっち行ってろ馬鹿野郎」』


    『「そうもいかないわよ、ここはお父様の領地…その中で好き勝手にさせられないもの。これも次期当主となる私の使命よ」』


    『「あっそ、おれには関係ねー」』


    『「あるに決まってるでしょ!話聞いてたの!?」』




    『「…お父様がね、あなたとはもう関わるなって言うの…」』


    『「そりゃあそうだろ、おれにみたいなならず者とつるんでる方がおかしいんだ」』


    『「…ねぇ、だったらいっそうちに仕えない?ちゃんとした仕事にちゃんと就けばお父様も…」』


    『「馬鹿野郎、まともな教育を受けてこなかったおれに出来るわけねーだろ。そもそもお前の父親が許すはずねー」』


    『「…そう」』




    『「あはは…ねえ、…………私勘当されちゃった…」』


    『「何やってんだ馬鹿野郎!なんでそんなことに…!」』


    『「…ちょっと喧嘩しちゃって、お父様のことなんか知らない!って言ったら出て行けって言われたの…」』


    『「…お前まさか」』


    『「…ちょっと悔しくて…色々と…」』


    『「………」』


    『「大丈夫だよ、ちゃんとすぐに仲直りするって…だからそんな顔しないで。あなたの所為じゃないから」』




    『「私は、ここにいると自由にはなれないみたい…」』


    『「………」』


    『「だから、私を攫ってくれる?」』


    『「…無理だ、おれにはそんな、無責任なことはできない…」』


    『「……はは、冗談、だよ。本気にした?」』


    『「…お前、言っていい嘘と悪い嘘が…」』


    『「ごめんね…じゃあまた、明日会いましょう、ホムラ」』




    それが俺とあいつが交わした最後の言葉だった。
  77. 77 : : 2021/01/24(日) 12:07:56
    エマ「…ラ、……ムラ………ホムラ!」


    西片「…っ!」


    エマ「もウ、聞いているのですカ?ホムラ」


    西片「…あぁ、すみませんお嬢様。少しボーッとしてしまいました…」


    エマ「…疲れているのですカ?最近特に多い気がしますけド…やはり気張りすぎでハ?」


    西片「いえ、大丈夫ですよ。それでなんの話でしょう?」


    エマ「…やはりお休みになってはいかがでしょうカ。ワタクシのことなら心配いりませんシ…」


    西片「そうもいきません、今の貴女は命を狙われているんですよ」


    エマ「…ホムラ…どうしてそこまデ?」


    西片「仕事だから、です。仕えるからには全力で…」


    エマ「それは前にも聞きましタ。ワタクシは建前なんかではなく本音が聞きたいんですヨ」


    西片「…」


    エマ「ホムラが、それ以外の感情で動いてるのかくらい見ていて分かりまス……」


    エマ「だから教えてくれませんカ?ホムラがどうしてそこまで尽くしてくれるのか…」


    エマ「それともやはリ、言いたくないのはワタクシは信用できないからですカ?」


    エマ「もしそうでないなら教えてくださイ、ワタクシにはこれ以上ホムラに無理をして欲しくないんでス…だから」


    西片「…少し黙れ、余計なお世話だ。」


    エマ「…っ!」


    西片「思ってたより、しつこいんだな。お前は…」


    西片「私に自分の全てを事細やかに教える義理はないはずです。ええ、貴女の言う通り信用できないんですよ。だから言わないんです」


    西片「分かったら、二度とその話はするな」


    エマ「…そウ、ですカ……分かりましタ。ではもうこの話はしませんネ」


    エマ「…アナタのそれも、立派な余計なお世話だというのに」


    そう、エマは少し悲しそうな顔をしながら言うと、それから黙り込んでしまい二人の間にとても長い沈黙が訪れてしまった。

  78. 78 : : 2021/01/25(月) 10:23:23
    綾小路「………なぁ、今からテメーに相談してもいいか?」


    剛将「断る、お前の相談はいつもロクなことじゃあない」


    綾小路「そう言わず聞いてくれって…実は最近ストーカー被害に遭っててだな…」


    冥土森「はぁ?なんで…ていうか終一くんに相談すれば良かったじゃない」


    妾魔「そもそもなんでDICEのメンバーともあろうものが簡単につけられてるの」


    綾小路「何言ってる、あれは間違いなくその道のプロだぜ。テメーらでもあいつを巻くのは無理のはずだ。最原に言わなかったのは、そう何度もあいつを頼るのはよくねーと思ってだな…」


    剛将「…まぁ、いい。どうせ準備も殆ど終えて今日はもう暇なんだ…土下座したら手伝ってやっても構わんぞ。ほら、やれよ土下座。助けて欲しいんなら誠心誠意土下座で懇願しろよ」


    綾小路「…ブチっ」


    爵堂「相変わらず仲が悪いといいますか…」


    近衞「喧嘩するほど仲が良いってやつだよ、お互い信頼し合ってるからこそこうやって軽口言い合えるってもんだ」


    剛将「誰と誰が」


    綾小路「仲良しだって!?」


    兵藤「うひょー、息ピッタリ!」


    嵐「それよりさ〜、さっき言ってたストーカーってどんな人〜?」


    石蕗「仕事に支障来たすのなら早めに対処しないとねー」


    綾小路「…昨日の夜さ、恐怖のあまりパッと振り向いたのよ。そしたらすぐ後ろに目ぇかっ開いて無表情でオレ様の顔を覗き込んで来たわけ」


    兵藤「ヒェッ」


    近衞「そんなんちびるわ」


    綾小路「オレ様も危うくちびりそうになったがそこは我慢した。それで、表情柔らかくして私のこと覚えてます?って聞くの!どうやら過去にナンパした子だったらしくて…」


    剛将「自業自得じゃねーか」


    綾小路「…それで、すぐに名前が出てこなかったんだ…そしたら急に笑い出して…」


    兵藤「怖い怖い怖い怖い」


    石蕗「…はっきり分かるんだねー、怖いのはおばけより人だって…」


    綾小路「名前だけ言って去ってったの、確か『弥生』っつってた」


    綾小路「今日はまだ見てないから分からんけど、本当怖いからどうにかして欲しい」


    剛将「弥生?」


    妾魔「…それって」
  79. 79 : : 2021/01/25(月) 16:47:01
    諫早「孫が非行に走り始めてしまって…」


    千田「元々非行少女みたいなとこはあったがな」


    蘭馬「…そうだね」


    諫早「柄の悪い男と常に行動しておるし…」


    千田「あいつが?そいつ実は女じゃね?」


    諫早「いつも喧嘩して帰って来おるし…」


    蘭馬「前も同じようなことしてなかった?」


    諫早「極め付けはピアスの穴を開けおったんじゃ!」


    千田「やっとそれっぽいの出たな」


    諫早「と、言うわけであやつの素行調査を依頼したいんじゃ」


    蘭馬「…ミライが突然依頼が来ましたなんて言うから何かと思えば…」


    千田「…まぁ、元々この程度の仕事しかなかったそうだから妥当っちゃ妥当だよな」


    諫早「…では、よろしく頼むの」




    入間「…テメェ、何者だ?」


    ??「…理沙」


    理沙「天海理沙、それがウチの名前。暫くお宅の研究室にお邪魔させて貰うから、よろしく」


    入間「…待て、待て待て待て…どうしてオレの研究室のこと…じゃなくて、テメェ天海の妹か!」


    理沙「………うん」


    入間「すげー嫌そうな顔…何か変なこと聞いたか、オレ?」


    理沙「別に…まさか知ってるとは思ってへんかったし…」


    入間「そりゃあ苗字名乗ったんだから分かるだろうよ…」


    理沙「いくら説得しても無駄だよ、暫く帰るつもりないから」


    入間「…はぁ、一応あいつらに連絡だけでもしとくか…」


    理沙「…」
  80. 80 : : 2021/01/26(火) 07:23:44
    天璋院「…ここだよ、デイヴィの家は」


    夢野「…んあー、確かに誰か連れ込んでるようじゃのう…女の声が聞こえるわい」


    天海「…?この声何処かで…気の所為、かな?」


    夢野「…どうかしたのか?」


    天海「あ、なんでもないです!早く突入しましょう!」


    すると、突然廃語から声をかけられた。


    日永「あれ、皆さんぼくの家に何か用ですか?」


    夢野「なんじゃお主か、実はかくかくしかじかで………ってんあああぁぁぁ!?!?いつの間に!!??」


    日永「…いや、まぁ街で見かけたので…」


    天璋院「な、汝!妾との契りを無下にするとは何事か!?」


    日永「…あぁ、そういう…安心して、彼女とぼくはそういう関係じゃ…」


    天璋院「か、彼女…!?!??!??!」ボーゼン


    日永「………。あの人には一時的に部屋を貸してるだけです、行く宛がないみたいでしたし、警察に厄介になるのは面倒だから…と。たぶん紹介した方が早いですね、とりあえず上がっていってください」


    そうして、ウチらは日永の家に入って行った。


    ??「あ、おかえりデイヴィっち。小道具買って来てくれた?」


    日永「うん…それより、紹介したい人がいるんだけど…この人の名前はスカーレット=グレイスさん、あの有名なハリウッド女優の…」


    天海「紅羽ちゃん!!」


    紅羽「げ、蘭奈っち」


    日永「…あれ?」


    夢野「まさか、お主の妹か?」


    天海「あ…うん、そうなんです!」


    紅羽「イイエヒトチガイデスワタシニホンゴワカリマセン」


    天璋院「バリバリに喋っているぞ」


    紅羽「あーあ、もうバレちゃったか……まだ大丈夫だと思ってたんだけどなー……」


    紅羽「そーだよ…可愛いは大正義、みんなのハートをぶち抜き世界に煌めく一番星!神をも魅了する超天使ことスカーレット=グレイス、又の名を天海紅羽ちゃんとは私のことだッッッ!!!」


    天海「…」


    夢野「…既視感。」


    天璋院「クックックッ…此奴はきっと我の同志に違いない…!そんな気がする」


    紅羽「…はぁ、やっぱりあんまウケないなぁ…向こうだとそこそこ盛り上がってくれたけど…新しい口上考えないと…」


    天璋院「違うただの仮面だった」


    紅羽「…日本(こっち)には役作りのために来てただけなんだ、だからまだそっちには帰らないよ」


    天海「…どうして」


    紅羽「やっぱり知らないんだね…蘭馬っちの言ってた通りだ。」


    天海「…えっ?」


    紅羽「何でもない、とにかくまだ帰らないから。そのつもりでよろしく」


    日永「……?状況が読めないんですが…」


    夢野「…んあー、よく分からんが何やら特別な事情があるようじゃし…出直すとするかのう」


    天璋院「…いいの?」


    夢野「仕方あるまい、あやつに帰るつもりがないのじゃし」


    天海「わ、分かりました…」


    紅羽「じゃ、また今度そのうち何処でね」


    そうして、ウチらはその場を後にした。
  81. 81 : : 2021/01/26(火) 12:36:16
    千田「…はぁ、まさか駒鳥とつるんでるって野郎の正体がテメーの妹だったとはな。卯月、だったか?」


    蘭馬「…うん」


    千田「…オレも神奈も、もちろん終一たちも聞いてねーと思うが…テメーらは何を隠してる?」


    蘭馬「え?」


    千田「あいつは何を言っても帰らねーの一点張り…その間テメーはずっと黙り込んでいた。喧嘩でもしたか?」


    蘭馬「………私が、他の姉妹から嫌われていることは否定しないけど、そうじゃないよ…みんなそれぞれ目的があるから…それを達成してないから帰らないんだ。」


    千田「…なるほどねぇ、それで……もしかしてテメー、他の奴らが何処にいるかも分かってんじゃ…?」


    蘭馬「…うん、見つけたのは椛だけど…」


    千田「…食えねーな、あいつはチーダンにいた頃から何でも知ってやがった…まだ隠してることも多いだろーよ。」


    蘭馬「…(仲間)を疑うの?」


    千田「そんなつもりはねーよ。ただ確かあいつは手術(・・)のやり方をも知ってたはずだ。それが何で、あいつらに放置されている?」


    蘭馬「どういう意味?」


    千田「…ここ最近奴らは大人しすぎる。逆に怪しいだろうがよ、オレらみてーな裏切り者が堂々としていられるなんてよ」


    蘭馬「…!」


    千田「…ついこの間まで、オレらにはびったり見張りの目がついていた。だから表面上は絶望の残党であるかのように、絶望のために行動しているように見せていた。じゃあ今は?本当に見張りがついてないと言い切れるか?もしかすると、事務所の誰かがスパイなんじゃねーのか?」


    蘭馬「…」


    千田「…悪い、だいぶ話が逸れた……今の話は忘れてくれ…だが、気を付けろよ。あいつらが何時何処で何を仕掛けてくるか分かったもんじゃねーからな」


    蘭馬「…分かった」


    千田「とにかく今はテメーの妹について…だな。とりあえず帰ったら終一に相談してみるか…」


    蘭馬「うん、そうだね」
  82. 82 : : 2021/01/27(水) 12:04:15
    その日の晩


    最原「………はい、ありがとうございます入間さん」


    入間『長いこと居座られるのも面倒だし、手が空いた時にでも連れ帰ってくれや』


    最原「…えぇ、また今度お伺いしますので、詳しい話はまたその時に…」


    入間『おう、じゃあな』


    最原「……………それで、その子が弥生さん…ですか?」


    剛将「…あぁ、そうだと思うが…」


    弥生「………ここ、何処ですか」フシャー


    赤松「この子明らかに不機嫌だねー。まあ仕方ないか、ここは最原探偵事務所…お姉さんの依頼で貴方達妹を探していたの」


    弥生「…へー」


    天海「いつの間にそこまで話が…」


    千田「…だな、少し驚きだ」


    赤松「それでぇ?魔姫ちゃんと神奈ちゃんは進捗…ある訳ないね…キミ達頭がアレだから」


    春川「どういう意味?」


    黒鉄「まぁ、実際なんにも分からなかったんですけど…」


    夢野「そんなにすぐ所在がバレるようでは暗殺者などやれんじゃろうに…それはお主らが一番分かっておるのでは?」


    秋山「あはは…確かにその通りだね」


    蘭馬「………」


    最原「蘭馬さん、キミの本当の依頼は妹さん達の願いを全部叶えてあげること、だったんだね。」


    蘭馬「…うん」


    最原「教えてもらってもいい?その妹さん達の願いを…」


    蘭馬「…鈴音は、多分目的を叶えてる。だから今は私達同様姉妹を探してるはず。紅羽は、兄に見せるって言って完成させられなかった映画を作りたいんだと思う。卯月は縛られるのが嫌なだけだと思う…頑固だから、人の指図で戻るのが気に入らないんだと…もう十分自由に生きただろうからさ。弥生は、運命の人を見つければそれで良い…よね?」


    弥生「はい…どうやら司さんは運命の人ではなかったみたいですしぃ…」


    綾小路「包丁オレ様に向けて言うのはヤメて!」


    蘭馬「…友梨は、今回の依頼が終われば帰ってくると思う。真紘は、三年前あいつを誘拐した人間を見つけたらそれで良いと思う。京華は、もう終わったから置いとくとして、理沙は満足するまで研究出来たらいいんだと思う。もうある程度回り終えただろうし…希空は、この子だけはよく分からない」


    最原「…そうか、ありがとう。」


    赤松「それで、どうするの?みんなバラける?それとも一つずつみんなで解決していく?どの道明日は抗争があるから何人かはそっちに行かないとダメだろうし」


    最原「…そうだね、それじゃあ……」
  83. 83 : : 2021/01/28(木) 12:37:50
    翌日


    最原「…さて、確か作戦は今日の夜8時からだったな。準備はもう終えてるし、何をして時間を潰そうかな…」


    最原(…そうだ、エマさんや西片さんと話をして過ごそうか…)


    最原「…エマさん、今から時間大丈夫かな?」


    エマ『はイ、お昼頃までなら大丈夫でス。今から向かいますネ』


    三十分後


    エマ「お待たせしましタ、いかがしてお過ごしましょうカ?」


    最原「…実は少し話しして過ごそうかと思って…」


    エマ「そうでしたカ、ではカフェにでも移動しましょうカ。」


    最原「うん、そうだね」


    エマさんとカフェでお茶しながら過ごした。


    エマさんと少し仲良くなれたみたいだ


    エマ「シューイチは今までの人生でどれだけ後悔して来ましたカ?」


    最原「それは…たくさんして来たよ。寧ろ後悔しない日はない…どうしてそんな事を?」


    エマ「ワタクシもいっぱい後悔してきましタ…あの時リョーマに逢いに行かなかったのもそうでス。変に相手を気遣っテ、その結果空回りしテ…大切なものを失ってばかりいまス。」


    エマ「…アナタのような方でモ、後悔したことがあるのカ…どうやってそれを乗り越えたのカ…ちょっと気になってしまっテ…もし気分を害されたのでしたら謝りまス」


    最原「いや、そんな事は……僕はみんなのおかげで乗り越えることが出来たんだ、決して僕一人の力で立ち直った訳じゃないよ。」


    最原「もし、まだ星くんの事立ち直れずにいるというのなら僕達が力を貸すよ。だから、簡単に言うのは違うとは思うけど…大丈夫だよ、エマさん」


    エマ「…はイ、ありがとうございまス」


    最原「…そういえば、西方さんはどうして今日…?」


    エマ「…実は昨日少し喧嘩致しましテ…今日は代わりの付き人と参りましタ」


    最原「喧嘩…ですか?」


    エマ「少し無遠慮に色々聞きすぎてしまったからかもしれませン…まさかあそこまで怒るなんテ」


    エマ「実は彼、昨夜から行方が分からないんでス」


    最原「…えっ?」
  84. 84 : : 2021/01/28(木) 12:38:03
    エマ「もしかしたラ、自分の手で殺そうとしてるのではト…凄く心配デ…ワタクシはホムラに手を汚して欲しくないのニ…」


    最原「そういえば、今回の件はお互いの勘違いだって…」


    エマ「………この抗争は仕組まれた物なんでス。ワタクシは知っていまス、彼らがギャングではない事ヲ」


    最原「どういう事?」


    エマ「…本当の敵は彼らが懇意にしてる極道なんでス。ワタクシ、彼らが路地裏で悪巧みしているのを聞いてしまっテ…」


    最原「…まさか、命を狙われてるっていうのは…」


    エマ「実は本当の事だったんでス、あくまでワタクシ達がギャングだと思い込んでる人達からの刺客ではなかったというだけデ…」


    最原「…うん?待ってエマさん、ギャングだと思い込んでるって…」


    エマ「彼らは実はただの財閥デ、もちろんそこに匿われているのはマヒロのはずなんでス。」


    エマ「そして恐らく、ユーリはその極道に捕まっているはずでス。ワタクシの予想では脅されてるのではト…そう思うんですガ」


    エマ「ユーリとマヒロは連絡を取り合ってると言いましタ。場所を知らないからすぐには会えないとモ…もしかしたらお互い状況を理解している可能性が十分にあるはずでス」


    エマ「…ワタクシが思うに、その誘拐犯というのはホムラの事だと思うんでス」


    最原「それは、僕もそう思っていたけど…」


    エマ「ですガ、この推理が合っていたとするとあの時のユーリはマヒロが変装した姿という事になりまス。ならばあの時ワタクシを迎えにきたホムラの姿を見て気付かないはずがありませン…」


    エマ「つまリ、当時財閥にいて誘拐されたの本当はユーリで逆にギャングの元にいたのはマヒロという事になル…初めから逆だったんですヨ。」


    最原「だとすると、彼女達の本当の依頼は…」


    エマ「…マヒロはユーリを誘拐して貰う事で救い出したくテ、ユーリは財閥にはこれ以上罪を被って欲しくないと思っているはずでス。だから、今回戦うべき相手は…極道という事になりまス」


    最原「エマさんは、最初から全部分かっていたの?」


    エマ「確信したのハ、実はついさっき…天海さんの妹の情報を受け取った後でしタ。正直、ワタクシは自分の推理に自信が持てなかったんでス。また余計はお世話をしてしまうのではないかと不安でもありましタ」


    最原「…そうだったんだ…とにかくみんなを呼ぼう。作戦を変更する必要がある。」
  85. 85 : : 2021/01/29(金) 17:05:32
    剛将「…なるほど、事情は分かった。確かにそう考えるのが妥当だろうな」


    石蕗「珍しいねー。愛華ちゃんが情報収集ミスるなんてー」


    妾魔「何言ってるの…?今回はたまたまだし。たまたま相手に有利だっただけで次やったら絶対わたしの方が勝つし」


    綾小路「なにムキになってんだよ…」


    剛将「…まぁ、俺達ならその友梨って子を攫うくらい訳無えが…西片はどうする?話を聞く限りだとそいつにも注意を払うべきだと思うが…?」


    剛将「それに、さっきはああ言ったがその推理が丸々全部間違っている可能性もあるはずだ。」


    剛将「…はっきり言って全部に手を回せるほど足りてはいないぞ、第一今から作戦を変更するにしたって色々準備が…」


    最原「…うん、分かってるよ」


    剛将「…いや、悪かった…別に最原を責める気はないんだ。采配をお前に任せると言ったのも俺達だしな。」


    剛将「お前が望むならどんな難題でも叩きつけてくれ、それでこそ償いが出来るというものだ」


    最原「いや、剛将さん達は作戦通り財閥の相手をして欲しいんだ。」


    石蕗「…え?」 


    剛将「…目眩してという事か?」


    最原「うん、本命の方には僕達が行く」
  86. 86 : : 2021/02/01(月) 06:56:26
    西片「………よし、行くか」


    今、俺は敵の頭を殺そうとしている


    結論から言うと、俺とエマは赤の他人だ。ただ昔の馴染みに似ていただけで、仕事の時にあったのが初対面なんだ。だから、あいつにとっては身に覚えのない事で余計なお世話を焼いてるのだ。そりゃあ、いい迷惑だと思うだろう。でも、俺はもう二度と…


    西片「………」


    そうして、俺は敵のアジトに足を運んだのだった。
  87. 87 : : 2021/02/02(火) 02:25:09
    そうして、夜になり一つの抗争が幕を開けた…のだが


    西片「………なっ…!?」


    西片がその場に辿り着いた頃には、全てが片付いていた。敵の人間は全て拘束されており、更にはボスすらも吊し上げにされていた。


    剛将「よう、遅かったじゃねーか…西片炎さんよ」


    西片「これは、一体…?」


    剛将「見て分からねーか?クソみてーな犯罪を犯すギャングを潰して、その親玉を吊し上げているだけさ」


    近衛「なんでも抗争始めるつもりだったみたいだからその前に、油断したところを晒し者にさせて貰ったところだよ。」


    石蕗「そういう炎ちゃんは何しに来たのー?」


    西片「…っ、それは…」


    剛将「まぁ、丁度いいか…偶然にもお前に逢いたいってやつがいたんだよ。ほら」


    西片「…え?」


    友梨?「あなたですね、昔友梨(わたし)を誘拐したのは」


    西片「…貴女は…まさかあの時の…?!」


    友梨?「いいえ、わたしの名前は真紘…あなたが誘拐したのはわたしの双子の姉である友梨です」


    そう言って彼女はカツラとメイクを取り、その素顔を露わにした。


    真紘「あなたに、お願いがあります」


    一方その頃…


    下っ端組員その1「…ふぁーあ…そろそろ抗争が始まっている頃か…?」


    下っ端組員その2「おい、シャキッとしろ。何のための門番だ」


    下っ端組員その1「…悪い悪い、ちょっと寝不足でな……」  
     

    下っ端組員その2「…ったく、仮に誰か侵入しようものなら俺達の首が飛ぶんだぞ」


    下っ端組員その1「あぁ、分かってるって。それより中が騒がしくないか?…何かあったのか?」


    下っ端組員その2「さぁ…?」


    ??「おい」


    下っ端組員その1「…あ?」


    ??「てめぇらか?」


    下っ端組員その2「は?なんなんだお前は」


    ??「うちの妹捕まえてるってのはてめぇらかって聞いてんだよ!」


    下っ端組員その1「お前、まさか…」


    「オレの名前は卯月!天海卯月だ!」


    卯月「てめぇら、人の妹に手ぇ出してただで済むと思うなよ!クソが!」


    そういって、彼女は見張り二人を殴り飛ばしたのだった
  88. 88 : : 2021/02/02(火) 03:31:41
    卯月『…は?今なんて…?』


    千田『だから、帰って来る来ないはてめーの自由だしこれ以上は無理強いもしねーが…これだけは伝えとく。』


    千田『ぶっちゃけ今てめーの妹の友梨が監禁されてピンチだ、早く助けてやった方が良いんじゃねーのか?』


    千田『正直な話、それがあるからてめーに時間を割く訳にはいかないんだよ。』


    卯月『…嘘、じゃねーのか?』


    千田『嘘つくためにわざわざこんなところ来るかよ。』


    卯月『………』


    千田『じゃあな、オレは今それなりに忙しいからこれ以上長居は出来ねー。』


    卯月『待て!最後に、どこに監禁されてるかだけでも教えやがれ!』


    千田『はっ…それはな…』




    卯月「…チッ、本当にアイツの言う通りだったのか…」


    卯月「…ムカつく!ムカつくムカつくムカつく!!全部見透かされてたみてーだ…!」




    赤松『私は、ゆっくりでも良いと思ってたし……今は状況が状況だから教えるけど…あの子達は基本、蘭馬ちゃんの言った通り本当は根っからのブラコンでシスコンなんだよ。だから、姉妹の一人がピンチだって言ったら多分みんな大人しくついて来るよ。』


    赤松『もちろん、あくまで裏技的なやり方だから最終的にどっちに転ぶは分からないけど…その辺は蘭馬ちゃんに任せてるし、最悪なことにはならないんじゃないかな?』


    あの時、みんなを集めた時に赤松椛が言った事だ。


    日永(まさか、ここまで効果があったなんて…)


    つい先ほど、ぼくがさりげなく発した言葉に紅羽さんは強い反応を示して、詳細をぼくから聞くと一目散に家を飛び出してしまった。


    どうやら、それは他の人達もそうだったみたいでさっき連絡が入ったけどみんな友梨さんの元へ向かったみたいだった。


    天璋院「…デイヴィ、我々も一刻も早く向かうぞ!」


    日永「うん、そうだね」

  89. 89 : : 2021/02/02(火) 04:05:18
    若頭「…クソ、どうなっている!なぜ今ここが襲われる…!」


    幹部「若!どうやら奴らの狙いはお嬢のようです…!」


    若頭「…くっ、何故それを…!まさかあいつら裏切ったのか…?!」


    幹部「…それが、どうやら既に拘束されてるみたいで…それに口を割った様子もないと……相手は凄腕の探偵と聞きます。単純に全てバレてしまったとしか…」


    若頭「チッ…おい、貴様!あいつらを追い返せ!それくらい造作もないだろう!?妹がどうなってもいいのか!?」


    鈴音「…分かった……ッ!?」


    春川「なるほど、そういう事だったんだね。何となく合点がいったよ」


    若頭「っ!貴様は…!」


    鈴音「………ッ!」


    春川の存在に気付いた鈴音は、一瞬で距離を詰め春川の首を目掛けてナイフを突き立てようとしたが


    春川「やっぱり…実践経験が少ないんだね。ちょっと躊躇いが見える……あんた、言うほど人を殺してないでしょ?」


    鈴音「…」


    春川「…まぁ、今はそんな事いいか…それより、良い話を聞かせてあげる………」ゴニョゴニョ


    鈴音「!」


    春川に耳打ちされた鈴音はゆっくりナイフを下ろした。


    若頭「な…おい、貴様!何をしている早く殺せ!」


    紅羽「静かに。黙らないとその頭吹き飛ばすよ?」


    すると、若頭の背後から頭に向けて拳銃を構える紅羽が現れた。


    弥生「よくも、鈴音ちゃんと友梨ちゃんを…!」


    京華「大人しくした方がいいと思うな、死にたくなかったらね」


    そして、その両隣には包丁を首元に当てる弥生と、その逆から警棒で顎を上げる京華がいた。


    若頭「…ッ……!」


    幹部「貴様ら、いつのまに『ゴッ』うっ…?!」


    秋山「いやー、卯月ちゃんが玄関先で大暴れしてくれてるお陰で簡単に入れたね。」


    蘭馬「うん、そうだね…」


    幹部「な、…くっ……」


    理沙「さぁ、早くゲロった方がいいよ。長生きしたかったらね」


    そう言って理沙はスタンガンを若頭の目の前で電源をONにしたり OFFにしたりして脅していた。


    若頭「あ、あぁ………お、奥に…オヤジと一緒に…」


    天海「よし、早く行こう!…てあれ?」


    蘭奈が早く向かうように催促すると、周りは急に静まり返った。


    蘭馬「蘭奈、互いの願いについては基本的に不可侵だ。真紘と友梨がそれを求めているからにはこれ以上は野暮だ。」


    天海「そ、そっか…」


    卯月「おい友梨!一体どこ……あ?何だもう片付いていたのかよ…」


    蘭馬「…揃ったな。みんなに言いたい事がある、少しだけ聞いて欲しい」

  90. 90 : : 2021/02/02(火) 04:39:37
    組長「…ここまでか」


    友梨「ごめんね、真紘のお義父さん。あーしが頼んだんだ」


    組長「いや、いい。あの子が居なくなってしまってから我々は道を踏み外してばかり…ここいらで清算しなくてはな。」


    友梨「…うん、そうだね。それは真紘も望んでいる事だよ。」


    組長「しかし、あの子は真面目で正義感が強く、とても優しい性格だった。あの子がいなくなったりしなければ、我々は道を踏み外さずに済んだだろうな」


    友梨「でしょ?あーしの自慢の妹なんだ…入れ替わって、本人のフリをしていても…結局根は真面目だから、ここでも正しかったんだと思うよ」


    組長「一つ聞いて良いかい?君らはいつから入れ替わっていた?」


    友梨「結論から言うと、家に戻ってきた時には入れ替わっていたよ。いや、どっちかといえば元に戻ったって感じかな。」


    友梨「真紘は、あーしのフリをしている時に、あーしは真紘のフリをしている時に離れ離れになった。だから仕方なく偽ったまま生きてきた。つまりおじさん達が拾った友梨は本当は真紘だったんだ。」


    友梨「正直に話して、ちゃんと謝りたかった。でも、あーしが帰ってきたらおじさんはあーしを閉じ込めた。二度と逃げないよう、失わないように」


    組長「…」


    友梨「はっきり言って、あーしはここのこと真紘から聞いていただけだしよく知らなかった。おじさん達が悪いことしてるって気付いた頃には手遅れだったんだ。だから…」


    組長「いいさ…君は君で思い悩んでいた。表の事は子供に任せていたせいで裏目に出てしまったか…」


    友梨「おじさんさ、多分本当は早いうちにあーしの中身が違うって気付いていたでしょ?なんで、気付かないフリをしていたの?」


    組長「……たとえ偽物だったとしても、自分の子供を失いたくなかった。ただそれだけだよ」


    友梨「…そっか」


    友梨「ごめん、もう迎えが来たみたい。そろそろ行こうか」


    組長「…あぁ、そうさな」




    友梨「ごめんね、テロリストのおじさん。真紘に無理言って連れて来ちゃって」


    西片「……何故だ?お前は俺を恨んで…」


    友梨「別に恨んでないよ、寧ろ感謝してる。あーしはそのお陰で外の世界を知ることが出来たんだもん」


    西片「…!」


    友梨「おじさんも、今痴情のもつれで思い悩んでるみたいだけど、自分に正直に生きたらいいよ。だって世界はどこまで自由なんだからさ」


    西片「………痴情のもつれではない」


    友梨「えっ!でも真紘が…!?」


    その後、極道一家は警察に連行され、財閥の人達も事情聴取のため署まで同行したようだ。でも、すぐに解放される事だと思う。


    こうして、蘭馬さんと西片さんの依頼は終わりを迎えた。

  91. 91 : : 2021/02/02(火) 08:19:58
    天璋院「…あぁあ!せっかく来たのに既にもう全部片付いてるではないか!!」


    日永「やっぱり留守番してた方がよかったんだよ」


    最原「…あはは、まぁ今回は僕達もずっと裏方だったわけだけど、あまり何もしてないからね…」


    夢野「うむ。天海の妹らの手際が良過ぎたんじゃ!」


    最原「それより、まさか事務所のすぐ近くに住んでたなんてね…」


    僕が問いかけた少女…天海希空は小さく返事した。


    希空「たまたま、偶然だけど」


    赤松「見つけたの私だからねぇ?褒めて」


    最原「…うん、凄いよ赤松さん」


    赤松「わぁーい⭐︎やったぁー♡」


    最原「それで、蘭馬さん達は明日から他所に移るんだよね?」


    赤松「…うん。自分たちで働いて、生計を立てて、みんなで一緒に暮らすって、だからまだ実家には帰らないんだってさ。」


    赤松「立派に、兄がいなくてもちゃんとやっていけるって知らしめるんだって言ってね」


    赤松「だから、しばらくは会えないかも知れないらしいんだよね。これから忙しくなるだろうからさ」


    最原「…そうか」


    赤松「ちょっと、寂しくなるね…」


    最原「赤松さんが適当にはぐらかして、情報を伏せて、先延ばしにしようとしてたのは、それが理由?」


    赤松「…まぁね、もう少し一緒にいたかったけど…仕方ないよ」


    最原「……うん、そうだね」


    すると、向こうからぞろぞろ天海さんの妹達がやってきた。
  92. 92 : : 2021/02/02(火) 08:20:03

    紅羽「へー、京華っちのそれ警官から盗んだものなんだ」


    京華「うん、ぼくって不法入国者だし働けないからちょくちょく盗みを繰り返しながら生活してたからね。」


    真紘「これからは絶対ダメですよ、そんなことしたら」


    京華「分かってるよー。」


    蘭馬「あ、椛…ここにいたんだ」


    赤松「うん、最後の挨拶にね」


    蘭馬「…?何言ってる?引越し先は事務所の近所だろう?いつでも会えるんじゃ…」


    最原「赤松さん?」


    赤松「てへ⭐︎ちょっと揶揄っちゃった♡」


    最原「………もう」


    蘭馬「?何の話?」


    最原「いや、ごめん何でもないよ…それで、天海さん…蘭奈さんはどうするって?」


    天海「もちろん、探偵事務所に残るよ!」


    最原「…そっか」
     
     
    日永「…では、そろそろ失礼しますね。ぼくたちがいても邪魔になるだろうし『王子様!?』え?」


    弥生「あなたが弥生の運命の人ですか?」


    日永「違うけど…」


    天璋院「そ、そんなわけないだろう!デイヴィは咲耶の彼氏」


    弥生「かれ…し?あははいいえそんなはずありませんあなたが弥生の王子様なんですあなたと付き合うべきは弥生なんですそうですそうに決まってますだから一緒に暮らしましょう婚姻届も用意してありますなんなら何処かへ高飛びしまし『ゴッ』あ痛!何するの卯月お姉さん!」


    卯月「いや、気持ち悪いよお前…弁えろって流石に」


    弥生「うぅ…すみません」


    蘭馬「とにかく、色々準備しないとだから失恋するね。依頼料はまた今度渡すし」


    最原「分かってよ、じゃあね」


    日永「じゃあ、ぼくたちも…」


    最原「うん、また今度」


    そうして僕達は解散した。
  93. 93 : : 2021/02/02(火) 08:43:24
    翌日


    最原「…さて、今日は何しようかな…」


    秋山「ねぇ、ちょっといいかな」


    最原「秋山さん?別に良いよ。」


    秋山「最原くんと話がしたくてね。一緒に歩こうか」


    秋山さんと散歩して過ごした


    少しだけ仲良くなれたみたいだ。


    秋山「いやー、マキちゃんって立派になったよねー。今じゃ頼り甲斐のあるいいお姉さんじゃん」


    最原「うん、そうだね…」


    秋山「…本当、私なんて必要ないくらい……」


    最原「…え?」


    秋山「私の心残りね、一つ解消されちゃった。マキちゃんが心配だから今までやって来たつていうのにね」


    最原「…秋山さん?」


    秋山「…ねぇ、最原くん…私からの依頼聞いてくれるかな?」


    最原「…う、うん」


    秋山「良かった。あのね、マキちゃんの事よろしくね。もしマキちゃんが困ってたら助けてあげて欲しいんだ。」


    最原「それは、もちろん…ねぇ、どうしたの?なんでいきなりそんなことを…」


    秋山「私、やらなくちゃいけない事を思い出したの。だから…」


    秋山「みんなとは、もうさよならしなくちゃいけないんだ。」


    最原「…えっ?」


    秋山「じゃあね、今まで楽しかったよ。」


    その言葉を最後に、秋山さんは姿を僕達の前から姿を消してしまった。


    一方、


    天海「魔姫さん!この服なんかどう!?」


    春川「いや、私はこう言うのは…」


    夢野「一度くらい着てみてはどうじゃ?案外気に入るかもしれんぞ。」


    春川「…うん、分かった。」


    ??「存外楽しそうにやってるんだな、マキ」


    春川「………ッ?!?!」


    その時、すれ違い様に声をかけられた私は目を疑った。耳打ちされるまで何も気付けなかったが、それは間違いようがなかった。
     

    急いで振り返るも既にそこには誰もいなかった。


    春川「…なんで……そんな…急に…」


    夢野「春川?どうしたんじゃ…様子が…」


    天海「…っ、凄い汗…!?顔色もおかしいし…お、落ち着いてください!過呼吸になってますよ?!」


    春川「…はぁっ…うっ…くっ…」


    間違えるはずがない。だってアレは…あの頃よく聞いた声だった。


    私を、超高校級とも言えるほどの暗殺者に育て上げた、組織の幹部…私の、もう一人の先生…神道朙愛(シンドウ メイア)のものだった。
  94. 94 : : 2021/02/02(火) 08:50:25
    秋山さんが姿を消して一週間が経った。


    春川「………まだ、カナは見つからないの?」


    最原「…うん」


    赤松「魔姫ちゃん、少し落ち着いたら?慌ててもしょうがないんだからさ」


    春川「あんたは寧ろ落ち着き過ぎ……いや、ごめん……あんたも心配なはずだもんね」


    最原「………」


    すると、ドアをノックする音が聞こえた。


    最原「…っ、どうぞ」


    霧切「失礼。ごめんなさい、ちょっとあなた達に依頼したいのだけど…」


    最原「…ッ!?き、霧切さんが、僕なんかに依頼…?!」


    入って来たのは、この間の事件でお世話になった、元超高校級の探偵の霧切響子さんだった。彼女ほどの人間が僕に依頼をすると言う事は余程の難事件なのかもしれない。


    霧切「…えぇ、というのも今私たちは例の件で手が離せないの」


    最原「…あ、あぁ…なるほど、それで僕たちに…」


    霧切「それにこの事件は、あなたたちも無関係では済まされないと思ってるわ。」


    最原「…というと?」


    霧切「機密事項だからニュースでは取り上げられてないのだけど、元チームダンガンロンパの社員が次々と惨殺される連続殺人事件が起きているの」


    最原「…ッ!?」


    霧切「…つまり赤松さん、秋山さん、千田くん、天海蘭馬さん、黒鉄くんも命を狙われる可能性が充分にあるの」 


    最原「…わかりました。是非捜査に協力させてください」


    霧切「ありがとう、そう言って貰えると助かるわ」


    そう言い残して、霧切さんは事務所を後にした。


    天海「ね、ねぇ…今の話…まさか」


    春川「…いや、大丈夫だよ。あいつはそんな簡単に殺されたりなんか…」


    最原「とにかく捜査を始めよう。もしかしたら何か分かるかもしれない」
  95. 95 : : 2021/02/02(火) 09:06:24
    剛将「なに?元チームダンガンロンパ社員をターゲットにした連続殺人事件だと?」


    最原「うん、だからキミ達も気をつけた方がいいと思う。」


    近衛「安心しろって、ここにいる奴ら全員そんな簡単に殺されるようなタマじゃ…」


    最原「それが、春川さんのいた暗殺組織が関わってる可能性があるんだ。」


    冥土森「えっ?!」


    最原「春川さんに聞いたんだけど、丁度一週間くらい前に秋山さんが姿を消した時に春川さんは自分の暗殺の師匠に遭遇したって言ってた…僕にはこれが偶然だとは思えない」


    石蕗「…なるほどねー」


    妾魔「確かに、わたし達は全員魔姫一人に負けちゃうくらいだから簡単に殺されるかもしれないね」


    剛将「…わかった、情報感謝するよ。俺達の方からも何か分かれば連絡する。お互い無理のないように気をつけねーとな」


    最原「…うん」


    実を言うと、昨日一昨日から千田くんも行方不明になっている。いよいよ、今がいかに大変な状況にあるか嫌でも理解してきてしまった。


    プルルルルッ


    最原「電話?天海さんから…もしもし?」


    天海『た、大変!蘭馬お姉ちゃんが…!』


    最原「…まさか…すぐ行くよ!」
  96. 96 : : 2021/02/02(火) 12:32:21
    春川「背後から鈍器で何者かに殴られたみたいだけど…大丈夫、命に別状はないよ。多分気を失ってるだけだと思う」


    友梨「よ、よかった〜」


    卯月「クソッ…一体誰の仕業だってんだよ…!」


    弥生「えぇ、見つけ次第仕返ししなければ…!」


    鈴音「やめた方がいい。相手はかなりの手練れだよ」


    紅羽「私も鈴音っちに賛成かなー。下手に動いても返り討ちに遭うだけだよ」


    最原「…それで、一体誰が見つけたの?」


    真紘「わたしです…朝起きて、部屋を出たら玄関で倒れてて…」


    夢野「しかしどうするんじゃ?蘭馬が生きてると知ればまた襲ってくるのでは?」


    最原「…」


    ??「お困りのようっすねぇ!」


    最原「…えっ?」


    如月「どうも、如月勇輝っす。お久しぶり!」


    赤松「…あぁ、そういえばそんなやついたっけ」


    如月「酷え!?」


    最原「…どうしてここに?」


    如月「実は、最原さんの叔父である結次さんに頼まれたんす。終一の手助けをしてやってくれって」


    赤松「へー、自分からは来ないんだあのロクデナシ」


    最原「あ、赤松さん…?もしかして怒ってるの?」


    赤松「いや、別に。でもまあ、彼なら安心できるかもね…純粋な戦闘力では魔姫ちゃん達よりも強いと思うから。」


    最原「そうなの…?」


    赤松「うん、だって彼らが生き残ったコロシアイは無人島で生き残りをかけたバトルロワイヤルだもん。それを真正面から全勝してるんだから不意打ちでもされない限り大丈夫だよ、きっと。」


    如月「あの、そういうフラグっぽいのはやめて頂きたいんすが」


    赤松「…まぁそういうわけだから護衛の方は如月くんに任せて、私たちは捜査に移ろうよ」


    最原「うん、そうだね」
  97. 97 : : 2021/02/02(火) 14:56:52
    エマ「…えッ?その話は本当ですカ?」


    最原『うん。大丈夫だとは思うけど、万が一って事もあるし、念のため一人で出歩かないようにしてほしいんだ。』


    エマ「え、えェ、それは勿論…あの、それよりリクトとカナは…」


    最原『…まだ大丈夫だと信じたいけど、今はなんとも言えないかな。』


    エマ「そうですカ…分かりましタ。他のみんなにはワタクシから伝えておきまス」


    最原『ありがとう、エマさん』


    エマ「シューイチも、気を付けてくださいヨ?ワタクシはもう誰かを失うのは嫌ですからネ」


    最原『うん、勿論。』


    エマ「ワタクシも、何か分かったことがあればすぐにお知らせしまス」


    最原『分かった、でも無理はしないように。じゃあね、そろそろ切るよ』


    エマ「はい、それではまタ…」


    西片「…お嬢様」


    エマ「えェ…何か分かるかも知れませン、ワタクシ達もカレらの消息について調べましょウ。」


    西片「了解しました。」
  98. 98 : : 2021/02/02(火) 15:16:57
    赤松「…連絡終わった?」


    最原「…うん」


    赤松「…何が起こるか分からないし、みんなにちゃんと注意喚起しないとだからね」


    最原「……赤松さんにも今の状況について把握ができてないの?」


    赤松「………」


    最原「…本当のことを教えて欲しいんだけど」


    赤松「残念ながら、私も把握してることとしてない事があるよ。そこまで万能じゃないからね…私が知ってるのは今はまだ死んではないだろうって事だけで…」


    ??「こんばんわ、最原終一さんに赤松椛さん」


    最原「…えっ?」


    ??「初めまして、ボクの名前は佐々木真(ササキ マコト)。以後お見知り置きを…」


    赤松「…あんた、確か……ッ!」


    最原「…どうしたの、赤松さん…?」


    赤松「終一くん、逃げるよ。あなたを庇いながらじゃ戦えない」


    最原「…どういう事?」


    赤松「あいつの名前は今は神座真(カムクラ マコト)なの…!確か終一くんに異常な執着を持ってて…」


    赤松「それに、私や進太郎…それと神座零や皇永ゼツと同じ手術(・・)を受けた……あっ」


    最原「手術?…それってまさかカムクラプロジェクト…!?」


    赤松「………っ」


    最原「まさか、キミもその手術を…!?」


    赤松「………ねぇ、まさかあなたが一枚噛んでるっての?」


    真「それは違いますよ、全部彼女が企んだ事ですので」


    赤松「じゃあ何しに来たわけ?終一くんを攫いにでも来た?私がさせると思ってる?」


    真「いいえ、ボクの狙いは赤松さん…あなたですよ」


    赤松「…!」


    真「…社長は放っておいていいと言いましたが、やはり手術の方法を知ってるあなたは危険だ。あまりに危険すぎる。だから始末をつけに来ました。」


    真「とはいえ、こちらに戻るというのなら殺すのは勘弁してあげますよ。戦うのならそれでも構いません、あなたを殺してついでに最原さんも連れて行くだけだ」


    最原「な…なんで僕を…」


    真「…あなたは覚えてないでしょうけど、あなた達はボクにとっての光であり希望なんですよ。それを求める心理は普通だと思いますが?」


    最原「…っ」


    赤松「………」


    最原「赤松さん…?」


    すると、赤松さんは僕の腹部に強烈な一撃を食らわしたのだった。


    最原「ガハッ」


    赤松「ごめんね、終一くん…あなたを助けるにはこうするしかなかった…短い間だったけど楽しかったよ。ありがとうね」


    最原「あ、あがまづ…さん…ど、どう…して…」


    赤松「…見ての通り、私はそっちに戻るよ。だからこれ以上は手出さないでね?もしその時は…」


    真「えぇ、あなたの強さは充分分かってますよ。足手纏いさえいなければボクの方が一歩劣る…約束は守りますよ、ご安心を」


    赤松「…みんなには、ごめんって言っておいて……じゃあ、さよなら。」


    最原「…うっ……」


    そうして、僕は意識を手放した。
  99. 99 : : 2021/02/02(火) 15:30:03
    最原「…うっ、」


    夢野「さ、最原!?目を覚ましたか?!」


    最原「ゆ、夢野さん…?それに天海さんも…」


    天海「よ、よかった…死んじゃったかと…!」


    夢野「まさか、犯人に襲われたのか?」


    最原「…ううん、違う。違うんだよ」


    夢野「…んあ?」


    天海「あれ、そういえば赤松さんは?確か一緒でしたよね…?」


    最原「…実は」




    夢野「な、なんじゃと!?チームダンガンロンパに連れ去られた…!?」


    最原「連れ去られた…というより自分から行ったんだけどね」


    天海「でも、そんなの半分強制みたいなものじゃないですか…!」


    夢野「んあー…実は春川も捜査中に突然行方を眩ませてしまったんじゃ」


    最原「…えっ?」


    天海「探しても全然見つからないし、最原さんにも連絡はつかないしで大変だったんです!それを…」


    ミライ『ハイ!ワタシが最原サンを見つけマシタ!』


    最原「そうだったんだ…わかったよ。とにかく一度事務所に戻ろう。話は、それから…」


    天海「そ、そうですね…」


    そうして、僕達は事務所の方へ戻ると…


    最原「…あれ?鍵が空いてる…まさか、春川さんかな…?」


    天海「ほ、本当ですか!?」


    夢野「いや、普通に黒鉄やDICEかも知れんぞ。」


    最原「そ、そうだね。」


    妙な胸騒ぎがする。


    夢野「?どうしたんじゃ?さっさと開けんか」


    最原「分かってる…よ」


    そうして、一思いにドアを開けた。すると…


    夢野「な、なんじゃこれは…!?」


    天海「…なんでこんなに散らかって…?!」


    最原「…ッ!」


    夢野「さ、最原…!?」


    急いで、いつもみんなが集まってる部屋に向かうが、信じられない光景が僕の目の前に飛び込んできた。
























































    それは





















    たくさんの刃物で磔にされた







    変わり果てた秋山神奈さんの姿と


















    その血溜まりの上に立ち、たくさんの返り血を浴びながら、凶器と思える日本刀を手に持った…














    淡々とその死体を見下ろす春川魔姫さんの姿だった。
  100. 100 : : 2021/02/02(火) 15:35:59
    夢野「…な」


    天海「き、きゃああああああ!!?!!?」


    最原「…春川…さん…?」


    春川「…あんたら、随分と遅かったね」


    夢野「は、春川よ!お主一体何しとるんじゃ!?」


    春川「……あぁ、これ…別に」


    天海「べ、別にって…それ秋山さんですよね…?まさか死んでるんじゃ…」


    春川「そうだね、たしかに死んでるよ。だって私が殺したんだから」


    最原「っ!」


    春川「…あぁ、そろそろ行かなくちゃ……私にはやらないといけない事があるから」


    最原「ま、待って…!」


    春川「悪いね、最原…夢野……それに百田」


    春川「私は、やっぱりただの人殺しだった。何も変わってなかった」


    春川「さよなら、最原探偵事務所のみんな。二度と会う事はないよ。」


    そう言い残して、春川さんはその場を去っていってしまった。


    後日、逃亡した春川魔姫は指名手配され、全国の警察から追われる身となってしまった。
















    To Be continued…
  101. 101 : : 2021/02/02(火) 15:41:54
    最後までこのような駄作に付き合っていただき誠にありがとうございます。


    実際に期待してる人がいるのかわかりませんが、次回作も乞うご期待ください!
  102. 102 : : 2021/06/16(水) 12:35:54
    >>97について修正しました
  103. 103 : : 2021/09/24(金) 01:17:19
    99 : 名無しさん : 2021/09/23(木) 18:51:26
    一連の流れを通じて、皆が最も納得するであろう
    バラストがすべき最善のこと。




    携帯やインターネットを辞めろ

    いや、マジでこれだよな


    100 : Mk-Ⅱ : 2021/09/23(木) 18:53:25
    お前黙れや。言い過ぎだわ
    そこまでいくとただの誹謗中傷だろ


    101 : Mk-Ⅱ : 2021/09/23(木) 18:54:15
    ゴミとか言われる方の身になってちったー考えて発言しろや。

    パラストも別に迷惑なんてかかってないから書け、上手くなりたいなら書くしかないやろ。


    102 : さとりいぬ@チームダンガンロンパ宣伝部長 : 2021/09/23(木) 19:49:42 このユーザーのレスのみ表示する
    一連の流れ見て、短絡的すぎませんかとは思った


    103 : Mk-Ⅱ : 2021/09/23(木) 19:57:12
    毎度毎度こういう流れになってる度に思うんだが、なんか勘違いしてる奴いないか。
    noteがこんなに過疎ったのは下手ながらに頑張ろうとしてる奴をゴミだのネットやめろだの好き勝手言う誹謗中傷と助言とかの区別もつかない奴にも原因はあるんやぞ


    104 : Mk-Ⅱ : 2021/09/23(木) 19:58:14
    誰が「皆」だ。
    まるで総意みたいに言ってる奴もいるが俺はパラストに教えることそのものを迷惑だなんて思ったことは一度もねえ。
    勝手に決めつけて勝手に相手を追い込むようなこと言うのも大概にしろってんだ。


    113 : 名無しさん : 2021/09/24(金) 00:59:32
    だからって言って良い事と悪いことあるよな?
    お前ら極端すぎなんだよな

    パラストに群がってるゴミ共に一言


    お前らって人にそこまで偉そうに言えるほどすげぇ奴なのか?

    現実は他人と目も合わせられない言いたいこと言えないクソ野郎なんじゃないのか?(^ω^)

  104. 104 : : 2022/02/21(月) 20:05:44
    うんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこう

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