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ジャン「自分の命に、見合うのか」

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  1. 1 : : 2014/01/25(土) 21:58:29


    ご覧いただきましてありがとうございます!

    ・ストーリーはアニメの24,25話をベースにしています。上記範囲、それ以前の台詞が頻出するため、一部ネタバレがあります。注意してください。

    今回も面白く読んでいただけるような作品にするべく、尽力いたします。

    どうぞよろしくお願いします☻

  2. 2 : : 2014/01/25(土) 22:05:31



    見慣れた街並みが、窓の外を流れていく。


    第57回壁外調査で大損害を出した調査兵団の信頼は失墜し、王政はエルヴィン団長やリヴァイ兵長、そしてエレンを王都に召集することに決めたと聞いたが…





    こんな大事な時に、団長は一体俺に何のようがあるって言うんだ。

    俺…ジャン・キルシュタインは、団長に呼ばれて、調査兵団本部へ向かう馬車に揺られていた。




    本部に着くと、会議室に通される。

    そこにはエルヴィン団長、リヴァイ兵長、ハンジ分隊長、ミケ分隊長など、調査兵団の早々たる顔ぶれが揃っていた。


    …どう考えても、俺は場違いだ。





    エルヴィン「…君が、ジャンだね?」


    エルヴィン団長が静かに口を開く。

    団長と直々に話をする機会なんて、新兵の俺にはまずない。緊張で敬礼にも力が入る。


    ジャン「は、はい!調査兵団所属、ジャン・キルシュタインです。」


    団長が俺を見つめて、ハンジ分隊長に話しかける。



    エルヴィン「…どうだ?似てるか?」

    ハンジ「うーん、背格好はまあいいとして、顔がちょっとなあ…」

    リヴァイ「顔なんか誰も見ないだろう。髪さえなんとかすれば、憲兵団の豚どもは気付きゃしねえよ。」



    顔?

    髪?





    団長方は一体何の話をしているんだ?


    俺の考えていることを読んだかのように、団長が話し始めた。

  3. 3 : : 2014/01/25(土) 22:50:34



    エルヴィン「…こんな早朝から急に呼び出したりして悪かったね。」

    エルヴィン「君を呼んだのは他でもない。本日王都に召集される予定になっている、エレンの身代わりになってもらいたいんだ。」






    …は?

    いま、団長はなんて?




    あまりに予想外のことに何も言えずにいると、エルヴィン団長はこう続けた。



    エルヴィン「驚くのも無理はない。けれど、君はただ馬車の中にいてくれるだけでいいんだ。時が来たら、我々が君を救出する。」

    ジャン「きゅ、救出って…あの、エルヴィン団長。」

    エルヴィン「なんだ?」




    ジャン「なぜ、エレンの身代わりが必要なんですか?」

    エルヴィン「…エレンには他の極秘任務に就いてもらうことになった。」

    ジャン「そ、それはつまり…エレンがその任務を遂行する間、俺がエレンの身代わりになって憲兵団の目を欺く、ということ…でしょうか…?」



    団長の目の奥がキラリと光る。


    エルヴィン「…エレンの言う通り、なかなか頭がきれるようだな。」

    ミケ「ふむ…エルヴィン。こいつにも作戦を説明しておくべきじゃないかと思うんだが、どうだろう。」

    ハンジ「わたしもそう思うな。彼もリスクを背負うわけだから、多少頭に入れておいたほうがいいこともあるだろうし。」



    団長は2人の言葉を聞き、少し考えて兵長に話を振った。



    エルヴィン「…リヴァイ、お前はどう思う?」

    リヴァイ「…こいつが仮に度を超えた腰抜けだった場合、護送中にビビって逃げ出す可能性がある。何のためにエレンの身代わりが必要なのか、それだけでも教えておけば、自制心が奴の逃げる足を止めるだろう。」

    エルヴィン「なるほど…ジャン。これから話すことは極秘中の極秘だ。心して聞いてくれ。」

    ジャン「は、はい!」


    ごくり、と唾をのみこんで、団長の言葉を待った。


  4. 4 : : 2014/01/26(日) 00:06:28



    エルヴィン「我々は本日、ウォール・シーナ内カラネス区にて女型の巨人捕獲作戦を決行する。」

    エルヴィン「女型の巨人と思われる人物は現在憲兵団に所属しており、カラネス区にいる。カラネス区はここから王都へ向かう途中の地区であるから、当然奴も我々の王都召集の護衛につくだろう。」

    エルヴィン「そこでアルミン・ミカサ・エレンが奴を地下のポイントまで誘い込み、そこで捕獲する。これが今回の作戦だ。」



    衝撃と驚きと困惑が頭の中を支配した。

    女型の中身の正体が分かったのか?

    あの3人が誘い込む、ということは、あいつらの知り合いが…





    そこまで考えを巡らせたとき、あることを思い出した。





    第57回壁外調査で、ライナー、アルミンと一緒に女型の巨人と合間見えたときのこと。

    奴の力の強さを読めず、ワイヤーを掴まれそうになった瞬間だった。




    アルミン『ジャン!!死に急ぎ野郎の仇をとってくれ!!!』




    その言葉に女型は反応を見せ、動きを止めた。

    そのおかげで俺は今こうして生きているわけだが…







    そのときから、ずっと引っかかってたことがある。



    …『死に急ぎ野郎』?

    そのあだ名は俺がエレンにつけたあだ名だ。

    女型はエレンを探していた。

    そしてそのあだ名を聞いた奴は反応を見せた。


    ということは…








    『死に急ぎ野郎』がエレンであるということを知っている人物だということか?


    となると、女型の中身は104期訓練兵団の誰かだということになる。








    そして今のエルヴィン団長の話によると、そいつは憲兵団に所属しているらしい。


    …104期訓練兵団から憲兵団を志願したのはただ1人。















    ジャン「…アニ・レオンハート…」


  5. 5 : : 2014/01/26(日) 13:38:44
    ジャンまじ主人公!
    主人公交代まだかなww
  6. 6 : : 2014/01/26(日) 13:44:55
    すごぉ…
    頑張ってください!
  7. 7 : : 2014/01/26(日) 16:29:22
    >>5 さま

    コメントありがとうございます☻
    名前からジャンへの愛が溢れておりますね…!
    わたしもジャンはもっと報われるべきだと思っております。笑
    このSSではジャンまじ主人公なので、是非このあともお楽しみくださいませ(´◡͐`)
  8. 8 : : 2014/01/26(日) 16:30:11
    >>6 さま

    舞曲♪さん!コメントありがとうございます☻
    すごいだなんて、恐縮です…(*_*)
    でも嬉しいです。照
  9. 9 : : 2014/01/26(日) 16:30:13
    >>7
    私も報われてほしいなーっと思っております!
  10. 10 : : 2014/01/26(日) 16:30:55
    よろしければ、私のも見てみてください♪
    結構かっこいいジャンがいっぱいいますよ!
    探してみてください!
  11. 11 : : 2014/01/26(日) 16:31:04
    >>6 さま

    うっかり途中で投稿してしまいました。
    この後も是非お楽しみくださいね(´◡͐`)
  12. 12 : : 2014/01/26(日) 16:32:31
    >>10 さま

    今舞曲♪さんが執筆中のお話、めっちゃ期待してます。ジャンかっこいいし。笑
    楽しみにしておりますね〜!
  13. 13 : : 2014/01/26(日) 16:33:11
    (。・ω・。)ゞ
  14. 14 : : 2014/01/26(日) 17:06:26



    俺の独り言のような声を聞いたリヴァイ兵長が、静かに口を開いた。


    リヴァイ「…察しがいいな。何か心あたりがあったのか?」

    ジャン「いえ…ただ、前回の壁外調査で女型と戦った時、同期しか知らないエレンのあだ名に反応したことを思い出して…同期で憲兵団に行ったのはアニだけだから、まさか、と。」


    それを聞いた団長が少し微笑む。


    エルヴィン「なるほど。アルミンも同じ理由で、アニが女型の中身ではないかと我々に進言してきたんだ。それをもとに本作戦を立案し、本日実行することとした。」

    エルヴィン「…そこでだ、ジャン。先ほども少し説明した通り、君はエレンのふりをして憲兵団の護送の馬車に乗って欲しい。我々がカラネス区を通る頃には、恐らく捕獲作戦は決行されているはずだ。」

    リヴァイ「女型を人間の姿のまま捉えることに成功したら、憲兵団の野郎どもの前で種明かしだ。…もし失敗して女型が巨人化したら、今度奴らは俺たちの護送なんてしてる場合じゃなくなる。どちらにせよ、お前はただ馬車の中で座ってるだけでいい。」

    ジャン「…」






    あのアニが、女型の巨人…

    にわかには信じがたいが、団長をはじめ調査兵団の部隊がアニの確保に動いていることを考えると、可能性は極めて高いのだろう。

  15. 15 : : 2014/01/26(日) 17:27:08
    緊張感した様子と共に冷静さも垣間見える、そんな心理描写がなんともジャンらしくて惹きつけられますね!
    人物の性格や特徴、そして物語の情景ををほんの少しひねりを入れて読者に感じさせるような表現力、凄く好きです♪
    更新楽しみにしています、!
  16. 16 : : 2014/01/26(日) 17:31:52
    ちなみに前作のジャンの一言、「おいコニー、お前、牛乳嫌いなんじゃなかったのか?」が凄く個人的に好きでした、w
  17. 17 : : 2014/01/26(日) 18:24:31
    >>15 >>16

    ゆきさんー!いつもありがとうございます☻
    すごく好きだなんてとても光栄です!嬉しくて小躍りしちゃいそう…笑
    続きもぜひお楽しみくださいね(´◡͐`)

    あのセリフは考えついた時から絶対ジャンに言わせると決めていましたw
    気に入っていただけて嬉しいです☻
  18. 18 : : 2014/01/26(日) 18:45:43









    マルコ『怒らずに聞いて欲しいんだけど…ジャンは強い人ではないから、弱い人の気持ちがよく理解できる。』

    マルコ『それでいて、現状を正しく理解することに長けているから、今何をすべきか、明確に分かるだろ?』




    これまでに何度も自分を奮い立たせた、マルコの言葉が頭の中に響いてくる。


    今、何をすべきか。


    なあ、マルコ。

    今は…






    ジャン「…わかりました。やります。」



    …女型の中身であり、同期の仲間であるアニ・レオンハートを捕えるべき、なんだよな。

    ぐっ、と拳を握った。






    エルヴィン「…決断してくれて嬉しいよ。」


    そう言うとエルヴィン団長は、席を立って俺のところまで歩いてくる。


    エルヴィン「君に敬意を。」


    柔らかく微笑みながら、俺に手を差し出す団長。

    透き通った青色の瞳には、優しさと、奥に秘めた強さが滲み出ていた。




    ジャン「…よろしくお願いします。」


    その瞳を真っ直ぐに見つめながら、手を強く握り返した。



  19. 19 : : 2014/01/26(日) 21:20:11






    ナナバ「…作戦の概要はだいたいこんな感じかな。恐らく、三次作戦の出番はないと思うけどね。」

    ジャン「…はい。」


    上官のナナバさんとゲルガーさんが、俺にエレンの髪の色と同じ焦げ茶色のかつらをセットしながら、今回の作戦の概要をことこまかに教えてくれた。


    ナナバ「よし…なかなかいい感じだ。ゲルガー、どうかな?」

    ゲルガー「おお!背格好が似てるせいか、髪の色を変えただけなのに一見エレンそっくりだな。」

    ジャン「そうですかね…」


    鏡の前で苦笑いをする。




    会議室を出た後すぐにこの部屋に通されて、そのまま身支度が始まった。

    …エレンたちはもう、作戦実行に動き出しているらしい。





    ナナバ「おっと、そろそろ憲兵団がお迎えに来る時間だ。ジャン、行こうか。」



    ナナバさんたちに付き添われ、調査兵団本部の地下にある地下牢に連れて行かれる。



    ナナバ「少しの間だけ、ごめんね。」

    そう言って、俺に手錠と足枷をつける。




    ゲルガー「じゃあ…がんばれよ、ジャン。この作戦が終わったら一杯やろう。」

    ジャン「…はい。」







    牢の鍵を閉め2人が出ていくと、辺りは暗闇と静寂に包まれた。








    …不安でいっぱいだった。


    エレンたちがアニの誘導に失敗してアニが巨人化したら、あいつらはうまく逃げられるのだろうか。

    エレンも巨人化して女型を捕獲する二次作戦を実行した場合、街の被害はどのくらいになるのだろうか。

    そして…






    甚大な被害を出した場合、作戦を憲兵団や王政にも言わず独断で決行した、エルヴィン団長の処遇はどうなるのか。







    時の流れがひどくゆっくりに感じる。



    思えば団長は第57回壁外調査のときも、女型がエレンを探して追ってくることを予想し、巨大樹の森で捕獲作戦を決行した。

    結果的に作戦は多数の犠牲を出して失敗したが、なぜ団長はそんなリスクを背負ってまで、重大な決断を下すことが出来るんだろう。







    そんなことを考えながら、憲兵団の到着を待った。


  20. 20 : : 2014/01/27(月) 00:39:15



    しばらくすると地下牢の扉が開けられ、一角獣の紋章を胸につけた男たちが入ってきた。



    先頭にいるのが…ナイル・ドーク。憲兵団の師団長だな。

    先ほどナナバさんたちに教えてもらった名前を思い出す。





    ナイル「…エレン・イェーガー、どこへ行くかは分かっているな。大人しくついてこい。」

    ナイル師団長の通った声が、地下牢に響いた。





    手錠と足枷を外され、両脇に憲兵団の兵士がつく。

    憲兵団の護送の馬車の前まで連れてこられると、エルヴィン団長とリヴァイ兵長がいた。

    団長はひとつ頷くと、兵長と一緒に馬車に乗せられていった。



    俺が2人とは別の馬車に乗せられると、馬車はすぐに出発した。

  21. 21 : : 2014/01/27(月) 01:12:26
    期待ですヽ(^0^)ノ
    頑張ってください!(p^^)p
  22. 22 : : 2014/01/27(月) 17:28:57
    >>21 さま

    常に暇人さん!ありがとうございます☻
    ご期待に添えるような作品にするべくがんばりますね(´◡͐`)
  23. 23 : : 2014/01/27(月) 17:49:20
    面白いです!\(^∀^)/
    期待期待♪
  24. 24 : : 2014/01/27(月) 19:31:23
    >>23 さま

    コメントありがとうございます☻
    期待していただけて嬉しいです!
    これからも頑張りますね〜∠( ゚ω゚)/
  25. 25 : : 2014/01/27(月) 19:37:13



    少し走ると護衛のため隣に乗っていた憲兵団の兵士が、俺をじろじろ見ながら口を開いた。


    兵士「おい、審議場で見たときは、目の色は緑だったぞ。…お前、本当にイェーガーだろうな?」





    …しまった。

    いくら背格好が似ているとはいえ、こんな間近に座られたら目の色の違いは分かってしまう。





    ジャン「…気のせいじゃないですか?」

    動揺を悟られないよう平静をつとめたが、少し声が震えた。




    兵士「…まあ審議場で見たときは遠目だったからな。その調子で大人しくしていろよ。」

    そう言うと兵士は、目をつぶって寝始めた。




    危なかった…

    額に浮かんだ汗を手で拭う。







    そろそろ夕方に近付こうかという頃、馬車が壁の門をくぐった。




    ここから先は、ウォール・シーナだ。

    とうとうきたか…

    ふう、と気合を入れるようにひとつ息を吐き、窓の外を見つめる。



    頼むぞ、エレン…



    馬車はカラネス区の街を、静かに進んでいた。



  26. 26 : : 2014/01/27(月) 20:03:17
    ジャン視点だと原作よりもますますの緊張感が漂ってきてますね!
    続きに期待です!

    怠惰な憲兵にしては観察眼のある兵士でなかなか侮れないですね!笑
  27. 27 : : 2014/01/27(月) 21:08:44
    >>26 さま

    ゆきさん!いつもありがとうございます☻

    いつもはマルロみたく真面目なのですが、今日だけ眠かったんです。きっと…!笑
  28. 28 : : 2014/01/27(月) 21:41:36



    ドーーーーーーーーン!!!


    突然地鳴りのような音がして馬車が大きく揺れた。




    ナイル「護衛斑!ここはいい!状況を見てこい!」

    外でナイル師団長が叫んでいる声が聞こえる。







    体が強張るのを感じた。


    …間違いない。

    アニだ。


    本当に、アニが女型の巨人だったんだ。




    兵士「…外の様子を見てくる。お前はここにいろ!」


    先ほどの大きな音で目を覚ました兵士は、そう言うと、馬車から降りていった。

    開いた馬車の扉から、一瞬エルヴィン団長の姿が見えた。



    その扉に、聞き耳を立てる。



    ナイル「妙だな…さっきの爆発のような音と言い…」

    エルヴィン「ナイル、すぐに全兵を派兵しろ。…巨人が出現したと考えるべきだ。」

    ナイル「!?何を言っている…ここはウォール・シーナだぞ!?巨人なんて、現れるわけがない!!」

    エルヴィン「…」



    窓から様子をうかがうと、ナイル師団長とエルヴィン団長が馬車の外で話をしている。

    そこへ、調査兵団の兵士がやってきた。



    兵士「団長!これを!」

    エルヴィン「…ご苦労。」


    団長は兵士が持ってきた立体起動装置を装備する。

    その間、師団長は何が起きているのかわからないと言った様子で呆然としていた。



    ナイル「おい、エルヴィン!」

    エルヴィン「動ける者は全員続け!女型捕獲班に合流する!!」



    エルヴィン団長の呼びかけに応えようと、馬車の扉に手をかけた瞬間だった。



    ナイル「おい、エルヴィン!!!」







    ナイル師団長が、エルヴィン団長に銃を突きつけた。

    周りの憲兵団の兵士も、それにならう。

  29. 29 : : 2014/01/27(月) 23:05:02



    ジャン「!!」





    ナイル「貴様のやっていることは、王政に対する明らかな反逆行為だ!!」

    リヴァイ「ナイル…てめえの脳みそはその薄らヒゲみたいにすかすかか?何が起きてるのかも分からないらしいな。」


    銃を突きつけながら怒鳴るナイル師団長に、リヴァイ兵長が冷ややかに言う。そんな兵長を無視して、師団長はエルヴィン団長を睨みつけた。


    ナイル「…装備を外せ、エルヴィン!!!」




    兵士「ナ、ナイル師団長!状況を報告します!に、2体の巨人が…街で戦っています!!!」

    様子を見に行っていた護衛斑の兵士がそう報告すると、師団長の顔色が変わった。



    ナイル「巨人同士が戦っているだと…!?」

    兵士「はい。街の被害は、想像を絶するかと…」

    兵士「住民、兵士ともに、多数の死傷者が出ています。」

    ナイル「くっ…エルヴィン!すべて貴様の作戦が招いたことか!?」


    エルヴィン「…そうだ。全て私の独断専行だ。…弁解するつもりはない。」


    エルヴィン団長は、ごく落ち着いて、静かに答えた。

    その言葉を聞いた師団長は、団長の襟首に掴みかかる。それでも団長は顔色ひとつ変えない。


    ナイル「街中でそんな作戦を決行すれば、どんな事態になるか分かっていたはず…なぜだ、なぜそんなことが出来た!?!?」
















    エルヴィン「人類の…勝利のためだ。」

    ジャン「…!!」



  30. 30 : : 2014/01/28(火) 18:20:06




    前回の壁外調査のとき、アルミンが話していたことを思い出した。



    アルミン『対して長くも生きてないけど…確信していることがあるんだ。』

    アルミン『何かを変えることのできる人間がいるとすれば、その人はきっと、大事なものを捨てることが出来る人だ。』

    アルミン『化け物を凌ぐ必要に迫られたのなら、人間性をも捨て去ることが出来る人のことだ。』





    アルミン『何も捨てることが出来ない人には、何も変えることは出来ないだろう。』







    ああ、そうか。

    団長は、何かを変えることのできる人間なんだ。

    あの壁外調査のとき、沢山の仲間の命を切り捨ててでも壁の中の人類の命を守ろうとしたように、

    今回の作戦では、壁の中の人類全ての命と、この街の住人の命を天秤に掛けて…







    この街の住人の命を切り捨てることを選んだのだろう。







    ナイル「…っ!ふざけるな!!!」

    ナイル「貴様は反逆者だ!!今すぐこの場で処刑しても、上は文句も言わんだろう!!!」


    怒鳴り声で我に返ると、ナイル師団長がふたたびエルヴィン団長に銃を向けていた。

    師団長が銃の撃鉄を外しても、団長は全く動じない。


  31. 31 : : 2014/01/28(火) 21:15:48



    エルヴィン「…構わない。だが、後の指揮も頼むぞ。」

    ナイル「…は?」



    団長はそのまま淡々と話し出す。


    エルヴィン「絶対に女型を逃がすな。兵の展開はペール、補給はバイラーが担当だ。彼らと連携し、東の壁際に何としても女型を追い込み…」

    ナイル「ま、待て!待て!!」






    ナイル「お前…これが、本当に…」

    ナイル「人類のためだと…?」



    近くで火災が起きたのか、煙の臭いがする。

    俺はこの状況を、固唾を飲んで見守っていた。








    エルヴィン「…その一歩になると信じている。」



    それを聞いたナイル師団長は、諦めたように銃を下ろした。


    ナイル「…全員銃を下ろせ!!奴には手錠を。」

    ナイル「全兵を現場に派遣し、住民の避難、救助を最優先で行え!!」

    兵士たち「「はい!!」」




    ナイル「エルヴィン…貴様の処刑は正統な裁きで決めてもらおう。」

    エルヴィン「…全てが終われば、喜んで。」


    エルヴィン団長は、手錠をかけられながらそう答えた。








    …なあ、マルコ。

    お前は俺が指揮官に向いていると言ったが、



    俺はエルヴィン団長のような、『何かを変えることの出来る人間』になれるだろうか。



  32. 32 : : 2014/01/28(火) 21:33:06



    遠くから、巨人の雄叫びが聞こえる。

    …エレンだ。



    俺は緊張で震える身体を落ち着かせ、馬車の扉を開けた。






    ジャン「団長!!俺も女型捕獲班に合流します!!!」

    兵士「な!!お前は中で大人しくしていろ!!イェーガー!!」


    馬車に一緒に乗っていた兵士が、俺を中に押し戻そうとする。






    ナイル「…いや、そいつは偽物だ。そうだろう?エルヴィン。」

    エルヴィン「…いつから気付いていた、ナイル?」

    ナイル「…巨人が『2体』暴れているとの報告を受けたときだ。1体が女型だとしたら、もう1体はイェーガー以外にいないだろう。」

    兵士「な!?おい!!」




    ジャン「変装ごっこはもう終わりだ!二度とその名前で呼ぶなよ馬鹿野郎!!」


    兵士が俺を睨めつけたが、そいつに焦げ茶色のかつらを投げつけて団長のもとへ走る。






    エルヴィン「…ご苦労だったな。装備は第4班から受け取れ。」

    ジャン「了解!」


    マントを羽織ると、団長の隣にいたリヴァイ兵長が口を開いた。


    リヴァイ「威勢がいいのは良いが、死なねえ工夫は忘れるなよ。」

    リヴァイ「俺は無駄死には嫌いだ…するのもさせるのもな。」


    ジャン「…はい!」




    その言葉を胸に、走り出す。


    …その道中に、調査兵団に入団して間もなかった頃のことを思い出した。







    ジャン『知っておくべきだ。俺たちが何のために命を使うのかを。じゃねぇと…いざというときに迷っちまうよ』

    ジャン『きっちり値踏みさせてくれよ…自分の命に、見合うのかどうかをな。』




    俺がエレンに言った言葉だ。












    …自分の命に、見合うのか。









    それは、まだわからない。

    わからない、けど











    今、何をすべきかは分かる。




    装備を身につけると、夕焼けで赤く染まり始めた空を仰いで、アンカーを打ち空中へ飛び出していった。















    ジャン「…きっちり値踏みさせてもらうぜ」

















    「自分の命に、見合うのかをな。」






    ー fin ー


  33. 33 : : 2014/01/28(火) 21:39:53



    最後までお読みくださり、ありがとうございました(´◡͐`)

    最近わたしのなかで空前のジャンブームが来ておりまして、かっこいいジャンが欲しくて書きました。笑

    あと、ずっと「自分の命に、見合うのか」というタイトルでSSを書きたいと思っていたこともあり、そこからこの作品を組み立てていきました。

    楽しんでいただけたら嬉しいです。

    またよろしくお願いします☻

  34. 34 : : 2014/01/28(火) 22:38:09
    俺もジャン好きなんです!
  35. 35 : : 2014/01/28(火) 22:58:59
    ジャンいいですよねー 超かっこいい すごく面白かったです お疲れさまでした
  36. 36 : : 2014/01/28(火) 23:09:01
    ジャンかっこいいジャン!
  37. 37 : : 2014/01/28(火) 23:20:57
    >>34 さま

    コメントありがとうございます(´◡͐`)
    ジャンかっこいいですよね!!!
    見れば見るほど好きになってゆくようです〜…♥︎
  38. 38 : : 2014/01/28(火) 23:22:39
    >>35 さま

    コメントありがとうございます☻
    う、嬉しいお言葉…!恐縮です。
    また面白く読んでいただける作品が書けるよう頑張ります(´◡͐`)
  39. 39 : : 2014/01/28(火) 23:24:10
    >>36 さま

    コメントありがとうございます!
    ジャンをかっこ良く書けてよかったジャン!笑
    またかっこ良く書けるように頑張ります。
  40. 40 : : 2014/01/29(水) 00:42:37
    お疲れ様でした!
    とてもジャンらしい心理描写で、読んでいてどんどん引き込まれました!
    今後も素敵な作品を書いてくださること、期待しております♪
  41. 41 : : 2014/01/29(水) 01:09:22
    >>40 さま

    ゆきさん!いつもありがとうございます☻
    ジャンは素直な性格なので、すごく書きやすかったです。
    また素敵だと言っていただけるような作品が書けるように尽力してまいります(´◡͐`)!
  42. 42 : : 2014/02/09(日) 11:40:55
    やっばり1さんの文章は引き込まれます!!
    心理描写が丁寧でいい小説を読んでる気分になります
  43. 43 : : 2014/02/09(日) 14:42:56
    >>42 さま

    コメントありがとうございます!
    アニの話に続き、この作品も読んでくださったのですね。
    いい小説だなんて、そんなお言葉もったいないです…(°_°)
    嬉しいです、ありがとうございます☻
    これからも頑張りますね!
  44. 44 : : 2015/02/22(日) 10:50:16
    良い作品!
  45. 45 : : 2016/07/06(水) 22:16:27
    圧巻のサイドストーリーでした。
  46. 46 : : 2016/07/07(木) 23:12:14
    ジャンかっこいいから大好きです!ジャン視点の捕獲作戦いいですね!
  47. 47 : : 2017/08/15(火) 00:01:53
    うんこ)おまんな

    それな(まんこ
  48. 48 : : 2017/08/15(火) 00:02:23
    うんこ)あらす?


    いいね(ちゆこ
  49. 49 : : 2020/09/27(日) 16:44:35
    高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
    http://www.ssnote.net/archives/80410

    恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
    http://www.ssnote.net/archives/86931

    害悪ユーザーカグラ
    http://www.ssnote.net/archives/78041

    害悪ユーザースルメ わたあめ
    http://www.ssnote.net/archives/78042

    害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
    http://www.ssnote.net/archives/80906

    害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
    http://www.ssnote.net/archives/81672

    害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
    http://www.ssnote.net/archives/81774

    害悪ユーザー筋力
    http://www.ssnote.net/archives/84057

    害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
    http://www.ssnote.net/archives/85091

    害悪ユーザー空山
    http://www.ssnote.net/archives/81038

    【キャロル様教団】
    http://www.ssnote.net/archives/86972

    何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
    コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
    http://www.ssnote.net/archives/86986
  50. 50 : : 2020/10/26(月) 13:58:31
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。
  51. 51 : : 2023/07/04(火) 01:31:44
    http://www.ssnote.net/archives/90995
    ●トロのフリーアカウント(^ω^)●
    http://www.ssnote.net/archives/90991
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
    http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
    2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
    sex_shitai
    toyama3190

    oppai_jirou
    catlinlove

    sukebe_erotarou
    errenlove

    cherryboy
    momoyamanaoki
    16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ちょっと時間あったから3つだけ作った

    unko_chinchin
    shoheikingdom

    mikasatosex
    unko

    pantie_ero_sex
    unko

    http://www.ssnote.net/archives/90992
    アカウントの譲渡について
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654

    36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
    理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな

    22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
    以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。

    46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね

    52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
    一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑

    89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
    noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ

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