このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
この作品は執筆を終了しています。
#0 生まれる(改)
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- 1 : 2014/01/25(土) 21:31:45 :
- こんばんは。数珠繋ぎです。ここ数日の間に、オリキャラを登場させた作品、【生まれる】、【集う】を執筆させていただきましたが、編集パスワードのトラブルにより、完了させることができなくなってしまいました。
改めてユーザー登録を済ませ、きちんとした形で皆さんに楽しんでいただきたいと思います。
【生まれる】につきましても、今一度紡ぎ直します。皆さんから頂いたアドバイスを参考にしながら…
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- 2 : 2014/01/25(土) 21:47:55 :
- 842年、ウォール.シーナ地下街
古びた家屋の、片隅に置かれたベットの上で、少女は目覚めた。少女はずっと1人だったわけではない。大きく乱れたベットシーツが、それを物語っていた。
「……。」何かの気配に気付き、少女は顔を上げた。窓の外に、鳥が一羽とまっている。鳥は少女が目覚めるのを待っていたかの様に、大きく羽を羽ばたかせ飛び立った。
少女はそれをじっと見ていた。そして思った。
(私はこの光景を忘れない。どんなに世界が…残酷だったとしても…)
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- 4 : 2014/01/25(土) 22:15:32 :
- 少女は部屋の中に視線を戻した。何もない。ただ薄汚れたベットがある。そこに自分がいる。
「……。」
少女は思い出していた。ほんの数時間前に起こった出来事を。
「キス。」「……え?」
「キス、してみようか…」「…私、分からない…初めてだもん。」
…これでいいのだろうか…少女は上目遣いで男を見た。男は興奮しているようだ。どうやらこの男は、幼い少女を[教育]するのが趣味らしい。
客のニーズには答えてやらねばならない。客が来なくなったら終わりだ。
「目を瞑って…そう…いい子だ…」
男はそう言い終わるのも束の間、少女の口に、自分の唇をねっとりと合わせてきた。そのまま少女を押し倒す。
「おじ…さん…何をするの…?」
不安げにそう囁いてみるが、少女にはこの先何をされるかわかりきっていた。
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- 6 : 2014/01/25(土) 22:30:26 :
- まず服を脱がされる。そして身体をなめまわされ、男の熱くて硬くなったものが少女の中へと入っていく…。11才の少女にとってそれは、痛みでしかないはずだった。
「……。」
痛みでも、ましてや快楽でもない。少女の顔は何も訴える事もない。
(痛みなんて感じない…涙なんて出ない…私は…な…に…?)
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- 7 : 2014/01/25(土) 22:43:01 :
- 同年、ウォール.シーナ内地
二人の男が、シーナの賑やかな街を歩いている。エルヴィン.スミスとナイル.ドークである。
「すまないな、ナイル。付き合わせてしまって…」
「なに。憲兵なんざ、暇をもて余してる様なもんだからな。それよりお前
も大変だな。上官殿の使い走りとは…」
「シーナでしか手に入らない代物らしい。それだけ高価な物なんだろう。
我々並みの兵士には、到底縁のない話さ。」
「相変わらず、待遇はあまり良くないのか」
「近々分隊長になるという話は聞いているが、待遇を良くするとは聞いて
いない。」ナイルは笑って、「ま、昇格すれば待遇も良くなるさ。」
「…だといいがな。」
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- 8 : 2014/01/25(土) 23:00:22 :
- 再び、ウォール.シーナ地下街
男は少女の中に射精すると、少女の身体から離れた。終りだ。男は見繕いを済ませると、再び少女に近づき、頬ずりした。余韻に浸りたいのだろう。
「おじさん…お金がほしいの…」
なるべく甘える声で囁く。男は
「ああ、ごめんね…」と言い、上着のポケットから紙幣を取り出す。少女は素早く掠め取ると、枚数を数え始める。
「じゃあ、また来るから…」 そう言い残し、男は少女に背を向けた。
「……。」 男の上着の背中には、何かの生き物の横顔が描かれていた。
角の生えた生き物。少女はあの絵が怖かった…。
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- 13 : 2014/01/26(日) 12:27:23 :
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男が出ていったあと、少女は身体を起こした。少女の中に入った“もの”がぬるりと漏れ出てくる。まだ温かかった。
男の唾液がついた身体はべとついて気持ちが悪い。少女は表情こそ変えなかったものの、全裸のまま風呂場へと歩いていった。
きれいにしておかないと…また次が来るかもしれない。
窓の外にとまる一羽の鳥の姿を、少女はまだ気づかずにいた。
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- 14 : 2014/01/26(日) 12:35:19 :
- ーウォール.シーナ内地
「なあ、エルヴィン…お前まだ結婚しないのか?」
ナイルの問いに、エルヴィンは苦笑いを浮かべた。
「何だ、藪から棒に…」
「いや、どうなのかと思ってな…実は、二人目が出来てな…」
ナイルの言葉に、エルヴィンは笑って、
「そうか!おめでとう。最初の子が女の子だったから、次は男の子かな。」
「まだ分からんさ。昨日妻が病院に行って分かった。」
「そうか…」 「なあ、エルヴィン…」 「なんだ?」
「もし…もしもだ…自分の娘が…まだ何も知らない無垢な少女が、男に
無理矢理犯されたとしたら…」
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- 15 : 2014/01/26(日) 12:49:06 :
- 「…おい、何の話だ!?」
エルヴィンは慌てた様子で周りを見た。幸い、誰にも聞こえていないようだ。
「地下街の話だ。最近、児童買春が横行しているらしい。我々の耳に届い
ているということは、相当広がっていると考えるべきだ。」
「……。」エルヴィンは黙ってナイルの言葉に耳を傾ける。
「酷い話さ…まだ初潮も迎えていない位の少女を金で買っているらしい。
…主に幼い少女が趣味の変態連中だが…」ナイルは言葉を切って、悔しそうに顔を歪めた。
「我々と同じ…憲兵団の連中の姿も目撃されているらしい…」
エルヴィンは眉を潜め、「それは…捨て置けん話だな…」
「ああ…」ナイルは続ける。「俺には娘がいる。…俺の宝だ。その娘が
もし…そう考えると…気が…狂いそうになるんだ…それも俺と同じ…
憲兵団の紋章を背負った奴が…」ナイルはとうとうその場に頭を抱えしゃがみこんでしまう。その背中を、エルヴィンはそっと支える。
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- 16 : 2014/01/26(日) 12:55:21 :
- …ふと、エルヴィンは一人の憲兵に視線を移した。
「…おい、ナイル…」 「…?どうした…」
ナイルは、エルヴィンの視線を追った。一人の憲兵が、おぼつかない足取りでふらふらと歩いている。酒に酔っているのだろうか…それにしても普通ではない。憲兵はそのまま、地下街の方へ歩いていく。
「…エルヴィン…」ナイルは立ち上がった。
「後をつけよう…」 「ああ…」二人は、歩き始めた。
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- 17 : 2014/01/26(日) 13:02:53 :
- ーウォール.シーナ地下街
シャワーを浴び終えた少女は、そのままベットに横になり、いつの間にか眠っていた…そして目覚めると、飛び立つ鳥を見るのである。
ふと、少女は先程の情事で生じたであろうシーツの乱れを直し始める。まだ服は着ていない。
ベットのすぐ横には、窓がある。少女が飛び立つ鳥を見た窓である。あえてこの位置にしてある。この窓から少女の姿を見た男で、性欲を掻き立てられた者は、この窓を叩く。 来客の合図だ。
少女はシーツを直し、服を着て、髪を直すと、ベットの上に座った。
合図を待つ。
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- 18 : 2014/01/26(日) 13:11:38 :
- 「……。」少女が合図を待つようになってから、一年が経った。
…一年前まで、少女には、育ててくれた優しい男の人がいた。本当の父親では無かったが、自分を大切に育ててくれた。薄暗い殺伐とした地下街の中ではあったが、少女は幸せだった。
だが、10才を迎えたある日、男の人は少女をベットの上に押し倒し、犯し始めた。下半身にとてつもなく痛いことをされた。血が出た。まともに歩けるようになるまで2~3日かかった。
少女は自分のされたことの意味をこの時、理解できずにいた。男の人には妻がいたが、少女の泣き叫ぶ声を聞き、全てを悟った…
そして少女は一人になった。
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- 20 : 2014/01/26(日) 13:28:54 :
- 「……。」…コツコツ…。
「…!」合図だ。少女は窓の方を向き、かすかに頷く。
扉が開き、男が入ってくる。ふらふらと歩く、あの憲兵だ。
少女はその瞳に、あの角の生えた生き物の横顔を映した。
…あの絵…こわい…。
…30分程前、エルヴィンとナイルは憲兵を追って地下街へと潜入していた。
「油断するなよ?エルヴィン…」
「ああ。分かってる。…対人格闘術の成績は、俺の方が上だったよな…」
ナイルは笑みを浮かべ、「その意気で頼むぞ、次期分隊長?」
エルヴィンは素早く辺りを見回した。時折、歩いてくる人影は亡霊かゾンビの様に生気がない。道端に座り込むのは…もしかしたら死体かもしれない。
「あまりキョロキョロするな。」ナイルが鋭く言い放つ。「家屋の奥には
な…見るなよ?…俺たちがカモなのかどうか見定めている奴が大勢いる。
兵士だろうと襲われる。」 「お前は…」 怖くないのか。エルヴィンはそうきこうとしたが、やめた。ここはウォール.シーナだ。
「…おい、見ろ。」ナイルは立ち止まった。あの憲兵が、一軒の古びた家屋へと入っていく。
「…近くで様子を見よう。」 「分かった…」
エルヴィンはナイルの瞳に、ただならぬ気配を感じていた…。
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- 21 : 2014/01/26(日) 13:39:47 :
- 憲兵は家の中に入ると、すぐに少女へと近づき、僅かに膨らんだ乳房を愛撫し、そのまま押し倒す。
少女は無表情のままだ。虚ろな目で天井を見ている。
すると憲兵は少女に唇を合わせはじめ、そのまま舌をいれて、少女の口腔を蹂躙しはじめた。少女は、ゆっくりと目を閉じた…。
…ガタッ…「…?」窓が鳴る。また合図?少女はキスされたまま瞳だけ外へ動かした。
…鳥だ。真っ白な鳥がこちらを見ている。汚れを知らない、純白の羽が美しい。鳥は、少女がこちらに気がついたのを待っていたかの様に、羽を羽ばたかせ、飛び立とうとする。
一緒に行こうと云わんばかりに…
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- 22 : 2014/01/26(日) 13:47:07 :
- 憲兵はキスを止め、首筋を舐めながら服を脱がし始める。脱がされ、舐め回されるのを感じながら、少女の唇が動く。
「た…す…」
鳥は、飛び立って行った…
「た…す…けてぇ…!助けて!!」
少女の突然の叫びに、憲兵は動きを止め、戸惑う。
「助けてぇ!!いやだ…嫌だぁっ!!」
少女はいつしか憲兵から解放されようと、身体をバタつかせ始める。
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- 23 : 2014/01/26(日) 14:00:07 :
- 憲兵の瞳は怒りに燃えはじめ、少女を押さえつける。
「…エルヴィン、行くぞ!」「ああ!」
ナイルたちにも、少女の声が聞こえた。少女の声は、静まりかえる地下街に響き渡っていた。
「くっ…何だよ!?お前から誘ったんだろうが!!いきなり純潔ぶってんじゃ
ねぇよ…この売女がよぉ!!」
バタ…ン!!戸口が開き、ナイルとエルヴィンは室内へとなだれ込んだ。
ナイルは目の前に映る光景を見るなり、全てを悟った。
「…くっ…」 少女から憲兵を引き離し、その胸ぐらを掴んだ。
「何を…している…」 静かに憲兵に問う。その声は、怒りに震えている。
「…ナイルじゃねえか…いいのか?先輩に対してそんな態度をとってよぉ…」 「何をしているのか、と聞いている。」
「何って…見ての通りさ。なに、みんなやってることだよ。お前も一回
どうだ?一回やればお前も…」
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- 24 : 2014/01/26(日) 14:09:47 :
- ナイルは、憲兵の言葉を最後まで聞くことなく、床にねじ伏せ、護身用のナイフを取りだし、憲兵に向け…
「…やめろ、ナイル!」
エルヴィンはナイルの右腕を掴んだ。
「止めるな!エルヴィン!これは制裁だ!こんな奴がいるから…」
「お前には、大切なものがあるだろう。それを捨ててまで、こんな奴の
命を、お前は背負うつもりなのか!?」
エルヴィンの言葉に、ナイルは、はっとして力を緩めた。その隙をみて、憲兵は素早く駆け出し、逃げて行った…。
それを気に留めることもなく、ナイルは力無くうつむき、エルヴィンは少女の方へ視線を移した。
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- 25 : 2014/01/26(日) 14:21:42 :
- 少女は先程の叫びが嘘かの様に、ぐったりと仰向けに横になり、虚ろな目で天井を見ている。
「…大丈夫かい?」 エルヴィンの声かけに、少女はゆっくりと顔を向ける。虚ろな瞳のままで。
「…起きれるかい?」 エルヴィンはなるべく優しい口調のまま声をかけ続ける。少女に反応はない。
「…本部に応援を頼むとしよう。この子の保護を優先させる。」
ナイルはすぐさま憲兵団員としての顔を取り戻し、少女に背を向ける。
「…ひっ…!」 少女は戦慄した。
あの生き物だ…角の生えた生き物の横顔…こわい…こわい…。
エルヴィンは一瞬少女の様子に訝ったが、先程の憲兵と、ナイルの姿を見るなり、全てを悟った。
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- 26 : 2014/01/26(日) 14:40:35 :
- 「…なあ、ナイル…」 「何だ?」
「この子はうちで引き取る事にしよう。」
エルヴィンはそう言って、少女に背を向ける。
「…。」この人には、違う絵が描いてある…。きれい…翼の絵だ…。
この人は、きれいな翼を背負ってる……。
「おいおい、ここはウォール.シーナだぞ。我々の管轄のはずだ。」
「この子の体調が戻り次第、開拓地へ移ってもらう。まだ訓練兵になるに
は早そうだ。」
ナイルは、何か言い返そうとしたが、エルヴィンの一度決めたら絶対に譲らない性格と、その思慮深さを考え、
「…分かった。」とだけ告げ、「逃げたさっきの憲兵を捜してくる。」
と、出ていった。エルヴィンは、ふと、少女を見た。先程の怯えた表情はいつの間にか消え、また無表情のまま、虚ろな瞳をこちらへ向けている。
「…とりあえず、服を直そうか。」
少女は黙ってボタンをとめはじめる。
「とりあえず、この街を出てからになるが…何か、食べれそうかい?」
「……。」少女は答えない。
「水を飲むかい?」
「……。」少女は答えない。
エルヴィンは困った様にため息をつくと、膝をつき、少女と目線を合わせ、ゆっくりと問う。
「何か、欲しい物は、あるかい?」少女は、ふと顔を上げ、
「……さい……」微かに唇が動く。
「…え?なんだい?」
「私に…名前をください…」
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- 27 : 2014/01/26(日) 14:59:06 :
- 「な…まえ…名前かい?」少女はこくりと頷く。エルヴィンは顎に手をやり、思案する様に目を伏せた。そしてまた少女の目を見、
「いいだろう。しかし、タダ、という訳にはいかない…」
「……。」
「君は、体の調子が戻ったら、開拓地へ行くんだ。そして12才になったら
訓練兵になるんだ。そして解散式を終えたら、調査兵団に志願するんだ。
…」 「ちょうさ…へいだん…?」 「そうだ。」
少女は問うように小首を傾げる。
「我々と一緒に、自由に向けて突き進むんだ。君には、その力がある。」
「じ…ゆう…?」
エルヴィンは立ち上がり、また背を向ける。少女の瞳に、またあの翼が映る。
「君の名前は…そうだな…」
エルヴィンはしばらく考え、ゆっくりと少女の方へ振り向き、
「セレナだ。」と告げる。
「セレナ.ラングレー。それが君の名だ。俺が昔読んだ本の中で、囚われの
身の上でありながらも、戦い続け、自由を勝ち取った女性の名前だ。…
気に入ったかい?」
セレナと名付けられた少女は、何も言わず、表情こそ変えなかったものの、その頬を伝う涙を見て、エルヴィンは安堵した。
「さあ行こう、セレナ…」
その翌日、エルヴィン.スミスは分隊長へと昇進を果たし、1か月後、セレナ.ラングレーは開拓地へと送られていった…
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- 28 : 2014/01/26(日) 15:05:27 :
- 以上で、#0生まれる(改)を終了させていただきます。
この話は、物語のほんの序章に過ぎません。次回にてセレナ.ラングレーは訓練兵へと志願し、ペトラ、オルオとの出会いを果たします。
今執筆中状態の、【集う】の改定版を、次回はお届けしたいと思います。読んでいただき、ありがとうございました。
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