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キース「井の中の蛙大海を知らず」
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- 1 : 2020/03/31(火) 00:52:33 :
- キース「私達は‥井の中の蛙に過ぎなかった」
キース「私達調査兵団は‥巨人から奪われた自由を取り戻すためにと」
キース「公に心臓を捧げて、人類の復興に尽力してきた。その目的は何とも魅力的だったか」
キース「調査兵団こそ選ばれた人間の集まりだと勝手に思い込み、そしてその調査兵団の団長である私はもっと特別であると思っていた」
キース「だが‥私は突撃しか脳のない‥無能な団長に過ぎなかった。私の無謀な指揮によって多くの犠牲者が出てしまった」
キース「だが‥私は仲間を殺した罪悪感よりも、調査兵団にいた本当にいた特別な奴らに嫉妬して、調査兵団をやめた」
キース「それからは‥訓練兵団の教官を務める事になった。私は無能だが‥人を見る目は一流だった。通過儀礼の際に私のその類稀な能力は発揮されていたと思う」
キース「実際に私はアッカーマンと巨人の能力者を見事に見分ける事ができた。それに私は大柄で単純な戦闘能力や巨人を殺す事に関しても一流だったと言えるだろう。私の迫力もあってか訓練兵達はよく育ってくれた」
キース「もちろん彼らがあそこまで成長したのは、自分自身の力と仲間の力を信じて修練に励んだ結果だろう。しかし私や他の教官の力もあった。だから‥私は教官には‥案外向いていたのかもしれない」
キース「だが‥我々の置かれている現状が知れるにつれて‥巨人狩りの技術はあまり重要ではなくなってきた。」
キース「我らの真の敵は世界の人類全てだと分かったからだ」
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- 2 : 2020/03/31(火) 01:07:05 :
- キース「パラディ島の人類が島の巨人を一掃したとは言え‥マーレには巨人を新たに造り出す技術があった」
キース「だが‥巨人の力一辺倒では我々に勝てないと悟った敵は‥航空技術や戦艦‥さらに大勢の部隊を引き連れてやってくる事は誰でも容易に想像できた」
キース「誰もが思っただろう。巨人殺しの技術よりも、銃火器の訓練や戦艦を量産したり、航空機を開発した方が有意義であると。やるべき事はそれなのだと」
キース「私は相変わらず旧式の訓練を課していた。私も分かってはいたが、やはり傍観者に過ぎないわたしにはせいぜい自分の得意分野の事を教えるのが精一杯だったのだ」
キース「そうやって私は狭い世界で生きてきた。いや‥それは私だけではないだろう。この島の人間全員が同じだ」
キース「ハンジ達主力部隊はヒィズル国の助力で外の世界に進出したらしいが‥それは一部に過ぎない」
キース「この島にいる人間‥全員が外の世界の全てを知ったわけではない」
キース「そういった意味では私達は井の中の蛙なんだろうか?」
キース「自分たちよりも遥かに高度な技術を持った文明や、優れた国々があると本当の意味で知ってしまったら」
キース「それに追いつくためにはどうすれば良いのか‥考えるだろう。実際に我々は島の開発に積極的に取り組み」
キース「機関車や最新の連写式の銃火器‥航空輸送や港‥あらゆる物をこの島に恩恵として造り出した」
キース「だが‥我々には選択肢がなかった。巨人と戦っていた時よりもさらに絶望感に打ちのめされた。この島の全員が全力で抵抗したとしても」
キース「地ならしという強大な力が無ければ、一瞬で絶滅させられるのは明白だった」
キース「‥いきなり大きな世界を知った時‥狭い世界でしか生きてこなかった者には‥驚愕の事ばかりだろう」
キース「しかし‥別に困難と言っても選択肢が無かったわけではない。ただ少なかった‥それだけだ」
キース「私達には切り札があった。地ならしという」
キース「そして‥それは行使され‥完全に実行されれば我々以外の人類‥いや‥生物はこの世から排除されるだろう」
キース「何事も‥遅いと言うことはない‥」
キース「ただ‥私自身は傍観者に過ぎない‥これからのこの島の未来は‥今を生きる若者達に任せる」
キース「これは決して責任から逃げたわけではい。やはり現在を生きている人間にしか、今を作る事は出来ない」
キース「私はどのような結果であっても受け入れる覚悟は出来ている。私ももう若くない。仲間の命を代償にして人の人生の何十倍も生きてきた」
キース「私が勝手なことを言える立場には無いのだ。本当の地獄を経験した者にしか分からない‥見えていても理解できない」
キース「世界があるのだ」
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