このスレッドの編集には編集パスワードが必要です。 表示するレスにはチェックしを、表示しないレスはチェックを外してください。 全てのレスを表示する 全てのレスを非表示にする ▼一番下へ 1 : 名無しさん.CGTm.L.72 : 2020/03/03(火) 03:24:38 エレン「いやあ、中々に壮大な結婚式だな」 エレン「ワインも上等だし、料理もキャビアやフォアグラとか高級な料理ばかり」 エレン「新郎新婦も幸せそうで…」 エレン「……あれ?」 エレン「新郎新婦って、誰だったっけ?」 2 : 名無しさん.CGTm.L.72 : 2020/03/03(火) 03:45:49 エレン「俺は新郎側だったっけ、新婦側だったっけ」エレン「それとも両方と知り合いだったか」エレン「おかしいな、全然思い出せない」エレン「あ、ワインおかわり」エレン「お、余興が始まるみたいだ」エレン「西遊記だな…そうそう、岩の下敷きになった悟空のところへ、三蔵法師が…」エレン「……」エレン「結婚式の余興って、こんな本格的にセット組むもんだったっけ」エレン「…何か妙な違和感があるな…飲みすぎたか」エレン「新郎新婦の名前ぐらい確認しないと、受付に行くか」エレン「受付は誰もいないな……そういえばご祝儀とか渡してない気が」エレン「でも、いつもご祝儀なんか渡してないな、記帳もしてない……」エレン「……いつも?」エレン「えーと新郎新婦の名前は…ウエルカムボードはどこかな、外かな」エレン「そこの扉から外に出るか」エレン「……」ガチャガチャエレン「カギがかかってる……?」係員「お客様、どうされましたか」エレン「えっ」エレン「いや、ちょっと外へ出ようかなと」係員「外へ?何故ですか?」エレン「なぜって、いや新郎新婦の名前を…その…」係員「…お客様、なにか混乱されてるようですが」係員「いかかです、別室でリセットされますか」エレン「えっ」エレン「い、いえ大丈夫です。戻ります」係員「………そうですか」エレン「…なんだリセットって…なんの事だ…?」エレン「…」チラ係員「…」 エレン「まだこっちみてる……とりあえず席に戻るか」 司会者「本日はお越しいただきありがとうございました」司会者「列席者のみなさまは左手出口より退場し、お部屋にておくつろぎ下さい」エレン「終わったか…とりあえず、部屋に戻るか」エレン「左手の出口からずっと廊下を歩いて、654番が俺の部屋」エレン「中はバスルームとベッドだけの部屋だ」エレン「まずは礼服を脱いでカゴにいれ、ドアの外に出す」バサッエレン「そして入浴して、ベッドに横になると」エレン「どこからかプシュッて音がして、数秒後に」エレン「Zzz…」ピリリリリリ…エレン「お、朝か…」エレン「スッキリとした目覚めだ…ドアの外にはクリーニングされた礼服…」エレン「よいしょ…礼服を着て、身だしなみを正して、今日も結婚式に出るか」エレン「………」エレン「いや、おかしいだろ、こんな生活…」エレン「なんで俺は毎日結婚式に出てるんだ?」エレン「新郎新婦は毎回違う人だけど、いったいどこの誰だ?」エレン「それ以前に……俺は誰だ?」 エレン「部屋の窓には…」エレン「深い森の中みたいだ、ロビーの窓からも森しか見えなかった」エレン「この式場はどこに建ってるんだ…俺なんでこの中でだけ生活を…」エレン「俺一人で考えられる事じゃない」エレン「…あいつに相談するか」 3 : 名無しさん.CGTm.L.72 : 2020/03/03(火) 16:20:20 エレン「なあ、この結婚式って誰の結婚式だったっけ」アルミン「え?」アルミン「誰の結婚式って、新郎も新婦も毎日違う人じゃない」エレン「だから、何で俺たちが出席してるのかって話だ、俺たちとどういう関係のある人なんだ」アルミン「結婚式ってそういうもんじゃないの?例えば村で誰かが結婚するときは、村の人は、だれでも好きに出席して祝え、る……」アルミン「……あれ?」アルミン「いや、おかしい…なんで僕たちが出席しているの…」アルミン「そもそも、僕たちはこの生活に入る前まで何をしてたの…」アルミン「それになんで結婚式で中華…?」エレン「お前もか…」アルミン「ええと、そう言えば僕たち、互いの名前も知らないね」エレン「俺の名前……モヤッとしてるが、確か、エレンだ…姓しか思い出せないが」アルミン「僕はアルミン…だった気がする」エレン「会話することはあるけど、余興の話や料理の話だけだからな」アルミン「朝から晩まで結婚式に出てるからね…」アルミン「何が起こってるんだろう…スタッフの人に聞いてみる?」エレン「いや、あまり目立ちたくない…」エレン「実は昨日の式で……」アルミン「リセット?」司会者「続きましての余興は中庭で行われます、どうぞご移動ください」エレン「とりあえず移動するか」アルミン「そうだね」エレン「中庭も本当に立派だな」エレン「かなりの広さがあるし、噴水や彫刻もある、花壇も立派だ」エレン「余興もほんとに色々ある、こないだは手持ち花火ってやつやったし」アルミン「ジャグリングや水芸もあったね、音楽なら弦楽四重奏からヘビメタまであるし」エレン「今日は何だ、何人か出てきたけど」アルミン「組体操みたいだね」アルミン「とりあえずケーキバイキングがあるから何個か取ってくるよ」エレン「だな、俺の分も頼む……」エレン「……いや、それどころじゃないんだった」エレン「興味がすぐ式の方に行くな、なんでだろ…」エレン「すごい技だな、五人が肩車でタワーになってる」アルミン「カステイだね、スペインのバレンシア地方で見られる伝統的な組体操だよ」エレン「しかし、さすがにちょっと高すぎる気が……」エレン「あっ!」エレン「てっぺんの奴が落ちた!!」ボキィィッエレン「あああああああ!!く、首が!!首が折れてる!!」司会者「おっと、ちょっとしたトラブルのようです」司会者「大丈夫です、すぐに別の余興を用意いたしますので、しばしご歓談ください」エレン「べ、別の余興って……」エレン「……なんだ、組体操してた他のメンバーも、何事もなかったように落ちたやつを運んで……」エレン「本当に次のが来た、ピエロが三人」エレン「ジャグリングが始まったけど、いや、さっきの人はどうなったんだ……」アルミン「……」アルミン「エレン、見た?」エレン「見た、首がポッキリと……」アルミン「そうじゃない、頭から落ちたでしょ、頭部に大きな裂傷ができてたのに、血が一滴も出てなかった」エレン「そうなのか?」アルミン「あれはロボットだ、人間じゃない」エレン「!!」 4 : 名無しさん.CGTm.L.72 : 2020/03/03(火) 19:23:57 エレン「な、なんでロボットが余興を!?」アルミン「わからない……」アルミン「それに、あんなに人間そっくりなロボットは見たことがない」アルミン「というか、今はいったい何年……?」エレン「……そうか、分かったぞ」アルミン「うん?」エレン「俺たちも……ロボットなんだ」エレン「俺たちはこの結婚式場のスタッフなんだ」エレン「列席者という役割のロボットなんだ!」アルミン「……」アルミン「…確かに、式に出てくれる友人が少なかったり、新郎と新婦で来客数に大きな差がある場合、サクラで式に出るアルバイトがある、という話は聞くね」エレン「俺たちはこの式場が用意してるロボットなんだ……」アルミン「いや、それは違うと思うよ」エレン「どうしてだ?」アルミン「だって僕たちは飲み食いしてるし、トイレも行くし」アルミン「顔にうぶ毛も生えてるし、唾液や涙も出る、ロボットでここまで再現するとは思えない」アルミン「さっきのロボットは血が出てなかったけど、僕たちは血管も見えるし、脈も打ってるから」エレン「それはそうだが…」アルミン「じゃあ何か、目に見える証拠を探そう」アルミン「エレン、そこのスプーンを頬の内側に当ててみて」エレン「へ?こうか?」モゴモゴアルミン「ミネラルウォーターのペットボトルを用意して、首の少し下で切る、漏斗の形だね」アルミン「そしてフタにアイスピックで穴を開ける」アルミン「ここに丸いガラス玉かビーズをはめ込めば、手作りの顕微鏡になるんだよ」アルミン「プレパラートもペットボトルの切片で作れる」エレン「ビーズなんて何処に…」アルミン「結婚式場ならあちこちにあるよ、そのコサージュされてる造花にもついてる」アルミン「見える見える、これが頬の内側の細胞だね」エレン「おお、凄いな」アルミン「これで証明できたね、さすがに細胞レベルからロボットを作るとは思えないし」アルミン「僕らは人間だ」 5 : 望月冬夜IgwPcghkHo : 2020/03/04(水) 07:36:20 おちんぽー 6 : 名無しさん.CGTm.L.72 : 2020/03/04(水) 18:22:35 エレン「俺たちがロボットでないのはわかったけど、何が起ってるのかは謎のままだな」アルミン「そうだね、情報が欲しいけど、うかつに人には聞けないし、外にも出られない……」アルミン「無電源ラジオを作るには材料のハードルが高いなあ」アルミン「バス停や蛇口がラジオになったなんて例もあるけど、あれは送信所の近くの話だし…」エレン「話についていけねぇ」司会「さあ新婦によるブーケトスです、ご希望の方は列の前にお並びください」アルミン「!!」アルミン「エレン! あのブーケ取ってきて!」エレン「へ?」アルミン「いいから早く!」エレン「わ、わかった」司会者「さあブーケをお投げください」エレン「うおおおおぉぉっっ!!!」ゴロゴロエレン「はあはあ……と、取ってきたぞ、礼服に土がついた…」アルミン「ありがとう、ちょっとトイレに行こう」エレン「?」エレン「トイレに来たけど、どうしたんだ?」アルミン「よく見て、このブーケ、生花じゃなくて造花だ」エレン「だな」アルミン「その中に、英字新聞で作った手裏剣みたいな花が混ざってる」エレン「ふむふむ、んで?」アルミン「英字新聞だよ、立派な外の情報だ」エレン「あっ! そうか!」アルミン「読んでみるよ、えーと、ん……」アルミン「『休刊のお知らせ』」アルミン「『617年に渡りご愛顧いただきましたデイリー・テレグラフ紙は、その歴史的な役割を終え、休刊となりました』」アルミン「『もはや報道されるべき犯罪もなく、抱くべき不安も耐えて久しく、新聞がその役割を終えることは大いなる歓びであります』」アルミン「『以後は気象情報、年中行事その他につきましては電子版にて配信を行います』」エレン「ふーん、休刊するのか…」アルミン「…………」アルミン「そ……そんな、バカな……」エレン「ど、どうした?新聞が休刊になるのは珍しいかも知れんが、別に……」アルミン「そうじゃない…デイリー・テレグラフ紙はイギリスの新聞だけど」アルミン「その創刊はえーと……クリミア戦争の頃…そう、たしか1855年だよ」エレン「?」アルミン「それが617年間のご愛顧って…」アルミン「つまり今は、少なくとも西暦2472年以降だよ!」エレン「なッ!?」 7 : 望月冬夜IgwPcghkHo : 2020/03/04(水) 21:19:13 おちんぽー 8 : 名無しさん.CGTm.L.72 : 2020/03/07(土) 14:22:25 エレン「も、もう驚くのも疲れたけど、どういうことだ」アルミン「……僕たちの記憶は21世紀初頭のものなのに」アルミン「僕たちはここで400年近くも…?」エレン「だが、新聞が役割を終えたってのも変な書き方だな、犯罪がないとか、不安がないとか」アルミン「……」 アルミン「いろいろ、可能性は考えられるけど、これ以上は考えても仕方ないね」アルミン「ここを出よう、外は森だったし、少なくとも冬じゃなかった、出てしまえば何とかなる」エレン「だけど、ドアには鍵が…窓から逃げるのか?」アルミン「こっそり逃げるとは言ってないよ」アルミン「火事を起こせば、お客は外に出さざるを得ないでしょ?」エレン「えっ」-数日後-アルミン「準備完了だ、今夜の0時ちょうどに自動発火装置が作動する」エレン「お前すごいな、ありあわせの材料でよくそんなもん……」アルミン「原始的なものだよ、でも設置した部屋のスプリンクラーは壊してるし、紙も置いてるから、それなりの大火事になるはず」アルミン「今日はベッドに横にならず、床に座っててね」エレン「床に座っとけばプシュッてならないのは確認済みだからな」アルミン「そう、火災のベルが鳴るはずだから、そうしたら式場の前まで走ってきてね」アルミン「服は着てたほうがいいな、礼服はカゴに置かずに着たままでいて」エレン「わかった」 ▲一番上へ 編集パスワード スレッド投稿時に設定した編集パスワードを入力してください。
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あのブーケ取ってきて!」エレン「へ?」アルミン「いいから早く!」エレン「わ、わかった」司会者「さあブーケをお投げください」エレン「うおおおおぉぉっっ!!!」ゴロゴロエレン「はあはあ……と、取ってきたぞ、礼服に土がついた…」アルミン「ありがとう、ちょっとトイレに行こう」エレン「?」エレン「トイレに来たけど、どうしたんだ?」アルミン「よく見て、このブーケ、生花じゃなくて造花だ」エレン「だな」アルミン「その中に、英字新聞で作った手裏剣みたいな花が混ざってる」エレン「ふむふむ、んで?」アルミン「英字新聞だよ、立派な外の情報だ」エレン「あっ! そうか!」アルミン「読んでみるよ、えーと、ん……」アルミン「『休刊のお知らせ』」アルミン「『617年に渡りご愛顧いただきましたデイリー・テレグラフ紙は、その歴史的な役割を終え、休刊となりました』」アルミン「『もはや報道されるべき犯罪もなく、抱くべき不安も耐えて久しく、新聞がその役割を終えることは大いなる歓びであります』」アルミン「『以後は気象情報、年中行事その他につきましては電子版にて配信を行います』」エレン「ふーん、休刊するのか…」アルミン「…………」アルミン「そ……そんな、バカな……」エレン「ど、どうした?新聞が休刊になるのは珍しいかも知れんが、別に……」アルミン「そうじゃない…デイリー・テレグラフ紙はイギリスの新聞だけど」アルミン「その創刊はえーと……クリミア戦争の頃…そう、たしか1855年だよ」エレン「?」アルミン「それが617年間のご愛顧って…」アルミン「つまり今は、少なくとも西暦2472年以降だよ!」エレン「なッ!?」 7 : 望月冬夜IgwPcghkHo : 2020/03/04(水) 21:19:13 おちんぽー 8 : 名無しさん.CGTm.L.72 : 2020/03/07(土) 14:22:25 エレン「も、もう驚くのも疲れたけど、どういうことだ」アルミン「……僕たちの記憶は21世紀初頭のものなのに」アルミン「僕たちはここで400年近くも…?」エレン「だが、新聞が役割を終えたってのも変な書き方だな、犯罪がないとか、不安がないとか」アルミン「……」 アルミン「いろいろ、可能性は考えられるけど、これ以上は考えても仕方ないね」アルミン「ここを出よう、外は森だったし、少なくとも冬じゃなかった、出てしまえば何とかなる」エレン「だけど、ドアには鍵が…窓から逃げるのか?」アルミン「こっそり逃げるとは言ってないよ」アルミン「火事を起こせば、お客は外に出さざるを得ないでしょ?」エレン「えっ」-数日後-アルミン「準備完了だ、今夜の0時ちょうどに自動発火装置が作動する」エレン「お前すごいな、ありあわせの材料でよくそんなもん……」アルミン「原始的なものだよ、でも設置した部屋のスプリンクラーは壊してるし、紙も置いてるから、それなりの大火事になるはず」アルミン「今日はベッドに横にならず、床に座っててね」エレン「床に座っとけばプシュッてならないのは確認済みだからな」アルミン「そう、火災のベルが鳴るはずだから、そうしたら式場の前まで走ってきてね」アルミン「服は着てたほうがいいな、礼服はカゴに置かずに着たままでいて」エレン「わかった」 ▲一番上へ 編集パスワード スレッド投稿時に設定した編集パスワードを入力してください。