このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
今宵も月は涙を零す。
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- 1 : 2019/10/04(金) 13:16:43 :
- 新作になります!見ていってください!
エレアニの現パロです。苦手な方はページを閉じることをおすすめします。
それでは、楽しんでください!
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- 2 : 2019/10/04(金) 13:21:04 :
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アニ「エレン………」
エレン「ん……?」
アニ「ドキドキする………」
灯りのない部屋の中
泣いてる月から光が射し込み
その悲しい光だけが、二人を照らしていた………
私たちの目に映る月は、いつも泣いていた
ほら、今日も涙を零してる……
大きく欠けた月が、静かに泣いている………
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- 3 : 2019/10/04(金) 13:31:18 :
- アニ・レオンハート、19歳。
ベッドの上で、私は彼の腕に包まれながら眠る。
エレン・イェーガー、20歳。
彼に出会ったのは、16歳の冬。
私は実年齢より大人っぽい落ち着いた顔立ちをしているせいで、小学生の頃は中学生に見られ、中学生の頃は高校生に見られ、そして高校へ進学してからは、学校の外で「20歳」と言うと簡単に信じてもらえた。
老け顔なだけだけど、「綺麗だね」「可愛いね」「綺麗な目が羨ましい」「ニキビ一つない綺麗な白い肌が羨ましい」と……、人はいつも私を褒めた。人はいつも私を羨ましいと言った。
だけど、薄暗く濁った本当の私を知れば、人はきっと羨ましくなくなるだろう。
“この女にだけはなりたくない”
誰もがきっとそう思う。
アニ・レオンハート、16歳、冬…………。
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- 4 : 2019/10/04(金) 13:59:53 :
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まだ高校1年生だった私は、実年齢より少し老けて見える自分の容姿のお陰で、未成年が入れない場所へも簡単に入れてもらえた。
自分に合ったメイクをして、肩甲骨を半ばまで隠すくらいの金色の髪を上で束ねる。
毎晩のようにクラブへ足を運ぶ。
クラブに出入りすることに特に目的はなく、ライトが光り、爆音の音楽で盛り上がっている室内で、私はただその光景をぼんやりと眺めているだけだった。
毎晩、何も言わなくてもいろんな男がお酒を与えてくれた。
男は毎晩私に寝泊まりする場所を与えてくれて、私はそのままその男に抱かれる。
一度寝た男は明くる日も明くる日も、「もう一回」「今日も」「あと一回だけ」と何度も求めてくる。
私は泊まれる場所が確保できるならなんだっていいから、もちろん体を許す。
中には勘違い男もいる。
一度寝ただけで私が彼女になったと大きな勘違いをする、笑えるほどバカバカしい男。
付き合う気なんてこれっぽっちもないと言うと、「付き合え」といきなり上から目線になる勘違い男。
昔に流行った“壁ドン”とやら。
そんなことをして本当に惚れる女が果たしているんだろうかと、バカで浅はかな男たちを目の前に、腹の中ではいつも笑っていた。
そんなことを毎日変わりなく延々と繰り返していた16歳。
私はエレンに出会った…………。
ーーー
ーー
ー
12月に入ってすぐだった。
エレンもよくこのクラブに出入りしていたけど、一度も話した事はなく、私の中にはエレンの存在など影すらなかった。
エレンに出会ったその日も、私は知らない男が与えてくれたお酒をフラフラになるまで飲み続けていた。
男「可愛い……何杯でも飲んでいいからね?」
アニ「うん」
男「踊らないの?」
アニ「うん」
男「そっか…でも本当に可愛いね?何歳?」
アニ「20歳」
男「へぇ〜。彼氏いるの?」
アニ「ううん」
男「本当に?それが嘘じゃないなら俺、立候補しようかな」
アニ「………………」
男の面倒な話を無視して、お酒を片手にヨタヨタと2階へ上がり、そのままカウンターに寄りかかった。
盛り上がる室内を上からぼんやり眺めながら、私はさっき男に与えられたお酒を口に含もうとした。
その時……、
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- 5 : 2019/10/04(金) 23:56:58 :
「はい、終わり」
いきなり持っていたお酒を取り上げられた。
酔って意識が朦朧としている中、私はそっと顔を上げる。
目の前で、私から取り上げたそのお酒をゴクゴク飲み始める知らない男。
パッと見た感じは20歳前後くらい。
アニ「何…?誰……?」
「未成年はお酒飲んじゃダメだって知らねぇの?」
アニ「未成年じゃない……」
「嘘ばっかり。それに、それ以上飲むとまた男に持ってかれちまうぞ」
アニ「は……?」
「毎晩いろんな男に持ってかれてる女がいるって噂。お前のことだろ?」
アニ「だったら何……?別に同意の上だから。それにあんたには関係ないでしょ?お酒返して」
「酒を飲んでるんじゃなくて、酒に飲まれてるところがまだまだガキな証拠なんだよ」
人をバカにするようにクスッと笑うこの男に、苛立ちを覚えた。
「大人っぽく見せかけて……17ってとこか?」
アニ「16」
「やっぱ未成年じゃねぇか」
アニ「悪い?本当は未成年なんて、この中できっと私だけじゃないと思うよ。それに未成年がお酒飲んだって、別に死ねるわけじゃない」
「お前……死にたいのか?」
アニ「は…?」
「いや。今、『死ねるわけじゃない』って言ったから…」
アニ「別に。ていうか……あんた誰?」
「誰って…お前と同じだろ?ここに出入りしてる最近の若者」
アニ「あんたこそ何歳なのさ?」
「ん〜…大人の男」
アニ「は…?」
「お前よりは大人ってことだよ」
またクスッと笑うこの男。
いつも私に話しかけてくる酒臭いバカっぽい男たちとは明らかに何か違う雰囲気。
サラサラの黒髪に、どこか冷めきったような整った顔立ち。
黒いTシャツにデニム、首元につけられたシルバーのアクセサリー。
特別にお洒落しているわけではないのに、この男はやけにキマっていた。
DJの前でバカ騒ぎをして、女を口説きまくってるゴミ屑のような男たちとは、雰囲気も話し方も何もかも違う。
今日はまだ泊まる場所を確保できていない。
たまにはこんな男も面白そうだと思い、今夜の相手になってもらおうと、男の手をそっと握った。
アニ「ねぇ……ホテル行かない?」
「自分から誘うタイプなわけ?」
アニ「今だけね。今日はまだ泊まる所ないんだ……。そろそろ眠いから……」
「ラブホ探すより俺の家の方が近いから来ていいよ。ここからすぐ」
アニ「あんたの家?」
男はゴクゴクお酒を飲みながら頷いた。
まぁ、場所なんてどこだっていい。
外でするのだけはごめんだけど、寝泊まりできればどこだっていい。
「お前、16ってことは高校生だろ?家帰ってないの?」
アニ「帰ってるような帰ってないような……。着替えにだけ帰ってる」
「高校生が家帰らないなんて今時珍しい話でもないか……。親と喧嘩してるとか?」
アニ「ううん……」
私には誰もが憧れるような大きくて綺麗な家がある。
帰りたい時に帰ればいい。
足りなくなればお金だってたくさんもらえる。
アニ「あんたには関係ないでしょ?ねぇ、私もう寝たいから早く家連れてってよ」
「はいはい……わかったよ」
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- 6 : 2019/10/05(土) 03:42:02 :
- CLUBで笑う
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- 7 : 2019/10/05(土) 13:25:41 :
- 改めて見た時のCLUBの浮き具合にびっくりしたので、片仮名に直しました!
ご指摘ありがとうございます(*´꒳`*)
更新は今夜行う予定ですので、もうしばらくお待ちください。
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- 16 : 2019/10/05(土) 21:15:52 :
私は男の後についていった。
クラブを出て交差点を左、お洒落な美容室を通り過ぎて信号を二つめで右に曲がる。
すると、綺麗でもなければボロボロでもない、ごく普通のアパートに着いた。
二階へ上がって二つめの部屋の前で立ち止まり、男は鍵を開ける。
「入っていいよ」
アニ「おじゃまします」
1K、バスルームとトイレは別。8畳ってとこ。
部屋の中にはテレビ、シルバーのラック、テーブル、ベッド。
テーブルの上には食べた後のカップ麺のゴミ、お酒の空き缶や空き瓶、タバコ、灰皿。
周りには脱ぎ捨てたような服、そして雑誌、空になったペットボトルが散乱していて、まさに男の部屋。
アニ「汚な……」
思わずボソッと声が出る。
「悪かったな。でも感謝してほしいもんだな。タダで泊めてもらえるんだから」
アニ「タダじゃないじゃん。ちゃんと体で払うし、それに私、お金くらい持ってるから」
「金持ってるなら、自分で適当にホテル探して泊まればいいだろ。わざわざ毎晩毎晩、知らない男に抱かれなくても……」
アニ「別にいいでしょ。あんたには関係ない。シャワー借りていい?」
「勝手に使え」
シャワーを浴びて、染みついたクラブ独特の匂いを洗い流す。
タバコ、お酒、汗、香水……、いろんなものが混じったあの匂いだけは好きになれない。
バスルームの鏡に映る自分の姿をじっと見つめる。
アニ「汚れてる………」
自分の汚れた体。
もはや自分の体なんて“物”でしかない。
いい香りがするボディソープで何度擦るように洗っても、もうこの体が綺麗になることなんてない。
汚れた体だと知ってても男はみんな私の体に触れてくる。
16歳だった私は、もうどうだっていいと思っていた。
今更純情でピュアな女の子になれないことはわかっている。
そんな風になりたいとも、大して思わなかった。
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- 17 : 2019/10/05(土) 21:34:32 :
バスルームから出ると、男は携帯で誰かと話していた。
出てきた私に気付いた男は、静かにしてろと言うように人差し指を口にあてる。
その行動で、電話の相手が女だとわかる。
男って本当に浅はかな生き物。
そんな男を自分だけの物だと信じきっている女はもっと浅はかだと思う。
私は“彼氏”なんてものを知らない。
誰とも付き合ったことがない。付き合うということの趣旨が分からないから。
結局、付き合ってる男女がすることなんて、今から私がこの男とすることと何も変わらない。
「お待たせ」
男は電話を切って携帯をテーブルに投げた。
アニ「彼女?」
「うん。多分彼女なんだと思う」
その返事に思わず笑いが出る。
アニ「結構黒いことするんだね」
「黒いこと?そうかな……別に結婚してるわけじゃあるまいし」
アニ「どうだっていいけど……。私を面倒くさいことに巻き込まないでね」
男はタバコを吹かしながらクスクスと笑っている。
「別に巻き込まないから安心しろよ。なんか飲む?」
アニ「お酒以外」
「じゃあ水しかない」
アニ「水?まさか女の子に水道水飲ませるの?」
「安心しろって。ちゃんと買ってきたミネラルウォーターだから」
男は冷蔵庫からペットボトルに入ったミネラルウォーターを取り出し、私にパスした。
アニ「ありがとう」
「俺シャワー浴びてくるから。テレビでも見ててくれ」
アニ「うん」
男はバスルームへ入っていった。
ブーブーブーブー…。
私のバッグの中で携帯のバイブが震えている。
大体誰からの連絡か想像はつく。
携帯をバッグから取り出そうか考える。
ブーブーブーブー…。
しつこく震え続ける携帯に苛つき、乱暴に携帯を取り出した。
[着信中:母]
ブーブーブーブー…。
震え続けていた携帯のバイブはピタッと止まる。
ブーブー…。
しばらくすると振動時間の短いバイブ。
次はメール。
ため息をつきながらメールの画面を開いた。
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- 28 : 2019/10/07(月) 08:03:41 :
ーーーーーーーーーー
アニ、どこにいるの?
学校からアニがずっと休んでると連絡がありました。
心配しているので連絡下さい。
ママ
ーーーーーーーーーーー
また思わず笑いが出る。
アニ「誰が誰のママだよ偽善者が……」
返信をせずにメールを削除して、もう一度携帯をバッグの中へ戻した。
ベッドの端に座り、散らかっていたメンズ雑誌を読んでいると、男がバスルームから出てきた。
「男モノの雑誌なんか読んでて楽しいか?」
アニ「エロ本はないんだね?」
「エロ本読みながら妄想して一人でムラムラしてるより、実際に女とした方が勉強になると思わない?」
またクスッと笑いながら、私が飲んでいた水を奪い取り、ゴクゴクと飲み始める男。
アニ「あんたさ…私の飲み物奪うの好きだね」
「これは元々俺の水」
アニ「私にくれたんでしょ?あげた物を返せなんてダサいね」
「お前に全部あげるとは言ってない」
アニ「あっそ……子供みたい」
雑誌を閉じて、テレビをつけようとテーブルの上にあるリモコンに手を伸ばそうとしたその時、男は私の腕を掴み勢いよく後ろへ倒した。
へぇ…こんな始め方するんだ。
私の上に被さった風呂上がりの男は、じっと私の目を見つめる。
見れば見るほど男の瞳は恐ろしいほど美しく、目を合わせていると、そのままどこかへ引き込まれていきそうだった。
男の髪先からポタポタと水滴が落ち、私の顔へかかる。
男は私の顔に落ちた水滴を手で拭い、そのまま唇を重ねた。
重ねられた男の唇は、激しく何度も何度も私の唇と擦れ合い、舌が絡み合い、それだけで意識が途切れてしまいそうだった。
唇を離すと、男はもう一度私の目をじっと見つめた。
アニ「何……?早くすれば?」
「………………」
何も言わず、ただ私の目を見る男。
アニ「ねぇ……焦らしてるつもりなの?」
「………………」
男はまだ目を逸らさない。
私は焦れったいのが大嫌い。
焦らしてるつもりか知らないけど、私を苛立たせるだけ。
する気がないなら早く眠らせてほしい。
突き飛ばそうとした……その時、
「やめた」
男は私の上から退いて、そのまま私の横で仰向けになった。
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- 45 : 2019/10/11(金) 19:51:33 :
アニ「しないの?」
「うん。しない」
アニ「ふーん……汚い女には触れたくないってこと?まぁ、どうだっていいけど」
「違うよ?」
アニ「だったら何?苛つくんだけど」
男は自分の腕を枕にして、私の方へ体を向けた。
「そんな目で見られるとできない」
男はまた私の目をじっと見つめて訳のわからないことを言ってくる。
アニ「は?そんな目ってどんな目なわけ?ちゃんと二重まぶただし、まさか目尻にシワなんかないけど」
「そういうことじゃない」
アニ「じゃあ何?本当に苛々するんだけど」
「そんな死んだような目してる奴は抱けないって言ってんだよ」
アニ「は……?」
真剣な顔でまた目を見てくる男。
訳のわからない男の発言に苛々しながらも、なぜか胸の奥の底の方をグッと掴まれたように苦しくなった。
アニ「………意味わかんないんだけど」
「本当にわかんないのか?実は自分でも気付いてんじゃないのか?自分の目が生きてないことくらい…」
アニ「……帰る」
「どこに帰るんだよ?家に帰るより男に抱かれてる方がマシだと思ってんだろ?そんな奴がどこに帰るんだよ」
アニ「適当に男探す」
ベッドから下りた私の手首を、男は素早く掴んだ。
「ここにいればいいだろ。別に泊めないって言ってるわけじゃない。タダでも泊めてやるよ」
アニ「恩着せがましいのは嫌いなんだけど」
「お前結構ひねくれてんな。いいから素直に泊まっていけよ。俺我慢するから」
男は掴んだ手首をぐいっと引き寄せ、また私をベッドの中へ引き込んだ。
アニ「あんた……我慢できんの?」
「うん」
アニ「本当に?」
「ていうか、煽らないでくれる?結構マジで我慢してるから。結構ヤバいから」
アニ「ヤバいなら別に我慢する必要ないじゃん。私がいいって言ってるんだから」
「何言ってんだよ。その目生き返らせてから言えよ」
男の頑なな態度に思わず笑いが出る。
アニ「変な奴……」
「いや、お前も変だよ?」
アニ「……知ってる」
「じゃあ、俺は下で寝るからベッド使っていいよ」
男はベッドから下りようとした。
思わず、男の腕をガシッと掴んだ。
男は驚いた様子で振り返り、じっと私を見つめた。
「どうした?」
アニ「我慢してるとこ悪いんだけど……ここで寝てくれない?」
ベッドをパンパンと叩いた。
「お前、下で寝たいの?」
アニ「違う、そうじゃなくて……隣で一緒に寝てって言ってんの」
私自身、なんでこんなお願いをしてるのかわからなかった。
でも、どうしてもそうしてほしかった。
男は私をじっと見つめた後、クスッと笑う。
「ドSな頼みごとだな」
アニ「だめ?」
男は特に返事はせず、そのまま私の隣へ戻ってきてくれた。
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