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欠けた歯車と砂時計

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  1. 1 : : 2019/07/15(月) 20:49:46
    何だろ。ノベルゲームにハマって書きたくなった。そんだけ
  2. 2 : : 2019/07/15(月) 20:51:23
    タイトルから漂う良作の香り
  3. 3 : : 2019/07/15(月) 21:39:14

    それが虚無ならば虚無自身が このとほりで
    ある程度まではみんなに共通いたします


    全てがわたくしの中のみんなであるやうに
    みんなのおのおののなかのすべてですから

    「春と修羅」序



  4. 4 : : 2019/07/15(月) 22:08:45
    桜が舞う。


    ただ、舞い散る桜を見ている。


    その風景には、悲しみも、虚しさも、汚れも無い。


    全てが完成され、全てが調和しているからこそ生み出せる風景。


    だから、何も感じなかったのだろうか。何もかもが、欠けて、ただ落ちる様に時が過ぎるのを待つしか無い自分だから、


    視界を染める薄紅は美しくはあったが、だが、俺にはそうとしか思えなかった。


    薄紅を運ぶ風が頬を撫でた。


    風が風景を動かして行く。一瞬の輝きの連続を断続的に見せる自然の風景は、この視界の薄紅が永遠なのだと言う錯覚に陥れる。


    永遠に続く美しい風景、ただ美しさが永遠に続く風景の中で、一つ醜いものが映っていた。


    それは.....棺桶に入る自分だ。


    この桜の美しさの中に居る自分の死骸は、自分にはただただ醜いものに見えた。


    美しさを際立たせる要素は何も無い。ただ不純物が混ざるだけ。


    木箱から見つめる世界はどうだ?


    そう、棺桶に居る自分に語りかけるが、やはり何処か可笑しな気分になる。客観的に見たら、かなり奇怪な事を自分は思っているのだろう。


    自分の世界は、一度終わった。


    世界の歯車が一つ欠け、また更なる歪みを作る。


    だが、それは一時的だ。世界は歯車で回っているが、代えは幾らでもある。歯車という自分が欠けた所で、機械は故障を起こさない。神という修理師によって、また新しく歯車ははまり、世界はいつも通り周り出す。


    欠けた歯車は捨てられる。誰も知りもしない闇の中、この美しい風景とは対極とも言える醜い世界の中に


    自分は捨てられた。


    不要と判断させられ、古い歯車として、自分は捨てられた。


    自分は生きている。


    信じられないが、だからこそ、自分の葬儀の様子をこれほどまでに落ち着いて語れるのだろう。


    自分は不要と判断させられた筈だ。だが、捨てられなかった。


    これはどういう事だろう?
    この問いに答える者は居ない。


    桜の森で、自分はただ佇む。
    桜が舞う。
    春の青空を薄紅が染める。
    その姿はとても美しい。噛み合った歯車の様に、全てが機能した光景が眼前には広がる。


    棺桶の周りで涙を流す者を、
    ただ眺める。


    声をかけたかった。
    聞こえないだろうが、それでもここに居ると、言いたかったのだ。
    でも、出来ない。声をかけたら、何かが崩れる様な気がしたから、


    葬儀場に降り注ぐ花弁に視界が霞ませながら、自分は自分であった古い歯車を見送った。


    安心してくれ。新しい歯車はここにある。





  5. 5 : : 2019/07/15(月) 22:16:21
    んー....ノベルゲーっぽい地の文になったかねぇ

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