このスレッドの編集には編集パスワードが必要です。 表示するレスにはチェックしを、表示しないレスはチェックを外してください。 全てのレスを表示する 全てのレスを非表示にする ▼一番下へ 1 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/11(木) 19:19:21 エレン「魔王なのに人間界に迷って帰れなくなった。頼む誰か助けて」 http//www.ssnote.net/archives/79701 エレン「魔王なのに全世界を救うことになった。頼む誰か助けて」 http//www.ssnote.net/archives/79977 ↑こちらから読んでいただくとこの物語は理解しやすいと思います。魔法とか同じ物を使用しますので。 アルミン「引っ越し先の田舎村が異常に凄かった件.......」 http://www.ssnote.net/archives/79936 ※別作です。(偏りが無いようにしたいなぁ)←心の声 ────────────────────────────────────────── ~プロローグ~ これは悪魔の物語。いや、『悪魔』とだけ記すと、誤想してしまうかもしれませんね。 この『悪魔』は、一般人が彷彿させる、禍々しい翼を所持し、角や何やらが生えている神話等の悪魔、とは違います。 いやいや、案外彼のことを悪魔と称しても善いのかもしれません。寧(むし)ろ悪魔で無ければ何になる、と言う声も出るでしょうから。 彼は千年間───まずそれだけ生きている、って時点で人間では有り得ません───その館で、生きてきました。 辺りは森閑とした、万緑の森の奥地に、その館はありました。 ひっそりと佇み、静寂が空間を支配する中、その館は。 そして、人間の築いた国から直々、『悪魔』───彼の討伐依頼が出たのですが、報酬は誰もが目を見張る、見張ってしまう報酬です。 報酬は屋敷一軒と、白金貨五千枚でした(現代で言えば約五億円)。 無論、危険を顧みず果敢にも挑んだ冒険者も居ました。彼等の努力と勇気、それはこの私が保証します。 しかし、一月経ち、二月経ち、一年経っても、彼等は帰ってきません。悪魔に喰い殺されてしまったのでしょうか?そもそも館に辿り着けたのでしょうか? その館は、ポツリと建っていました。別に洒落た外観と言うわけでもなく、かといってボロボロと言うことはありません。 漆黒の館でした、それは。 2 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/11(木) 19:20:54 http://www.ssnote.net/archives/79701http://www.ssnote.net/archives/79977:←これ打つのを忘れていました。 3 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/11(木) 22:28:28 言い忘れていましたが、割りと短編になりそうです。──────────────────────────────~последний(パスリエードニー)~「......」パチッ「......ああ」彼は未だ微睡(まどろ)むその眼を擦りながら、のっそりと、のっそりと立ち上がりました。「......また、あの夢を......見てしまった」刹那。ギギギギィィィィ....!!「!」「......まさか?......いや、違う。アイツらはもう、居ないんだ」半ば自棄糞になりながら、彼はその館の入り口へと向かいました。~первый(ピェールヴィ)~少年少女達と悪魔の出逢いは、ある意味運命的だったと言えるでしょう。彼等は、魔法訓練所の訓練生でした。「......ミカサ?」ミカサ「......アルミン?」アルミン「どうしたの?やけにボーッとしてたけど」ミカサ「......いや、何でもない。大丈夫」「み、ミカサ。体調が悪かったら俺に言えよな!」ミカサ「ありがとう、ジャン......」アルミン「訓練の疲れが出たのかな?......って、ああっ!ちょっ、僕のパン!」「アルミンこそボーッとしているのが悪いんですよ!」ジャン「ってかサシャ俺のも盗ってんじゃねえか!?」少女は、口にパン───アルミンの───を加えながら片手にもパン───ジャンの───を掴み、走っています。アルミンは困ったという表情をしながら、密かに喜んでいました。───こんな平和な日常が、ずっと続かないかなあ。なんて思ったりしながら。しかしここではっきりとさせてしまえば、平和な日々は長くは続きません。 4 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/12(金) 20:36:33 ~последний(パスリエードニー)~「......」スタスタ彼は薄暗い館内を歩きます。「......」スタスタガチャッ「!」「......千年振り、エレン」エレン「......フリーダ」フリーダ「......やけに肌が白いよ?」エレン「......何の用で来た」彼女は屈託に笑ってみせました。フリーダ「酷いなぁ。どうせ千年間寂しかったんでしょ?で、今日はその寂しさ......空虚感から逃れる為に、良い話を持ってきたの」エレン「......もう、嫌だ」フリーダ「え?」情けなく彼は繰り返し、近くの椅子に座り嘆きます。エレン「......もう、嫌なんだよ。大切な奴を、喪ってしまうのは......!」彼はあの時の悲壮を思い出したと言わんばかりに、目元を潤ませました。~первый(ピェールヴィ)~ジャン「なあ、アルミン。魔法術式のこう言う問題、どうやって解けばいいんだ?」昼の休憩時間、訓練所の敷地内を歩きながらジャンはアルミンに訊(き)きました。しかし彼は苦笑しながら、困った顔をして応えます。アルミン「説明しがたいなぁ。どうって言われても、公式を暗記して、それに当て嵌めていく、としか言いようがないよ」ジャン「クソっ......やばいな、テストが有るってのに。善いよな、アルミンは頭良くて」アルミン「じゃあ言葉を借りるけど、善いよね、ジャンは戦闘(たたかい)が上手で」ハッとジャンも苦笑(わら)ってみせると、ジャン「皮肉にしか聴こえねえよ......作戦はお前が立てるのが上手だ」アルミン「皮肉じゃないよ......あっ」アルミンが目を向けていたのは、馬小屋でした。その中には一人の金髪の少女が居ます。ジャン「またクリスタは世話してるんだな」アルミン「本当だね」するとその視線に気付いたのか、クリスタ「二人とも、何してるの?」と、やや大きめな声で訊いてきました。 5 : 鹿クンが見てる! : 2019/07/13(土) 01:25:36 期待 6 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 11:19:01 >>5 期待ありがとうございます! 7 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 11:47:23 ~последний(パスリエードニー)~嘆く彼を見て、フリーダはどうしたでしょうか。同情した?それとも、見て見ぬ振りをした?いいえ違います。彼女は彼を侮蔑したのです。そして滂沱の涙を今にも流しそうな彼に厳かに言いました。フリーダ「......まだ悲しみを引き摺ってるの?正直、哀れだよ。人間は短命なんだ、私達とは違って」エレン「それでも、人間にしては死ぬのは早すぎた!」彼は叫びます。それは彼の慟哭(どうこく)でした。友を亡くした悲しみを表した、慟哭。フリーダ「ねえ、エレン。人間も私達もね、いつ死ぬか誰も判りやしない。どうやって死ぬのかも判らない。早く死ぬか遅く死ぬか。貴方の友人は早く死んだだけじゃない。いずれ生物は死んでしまうの」彼女はエレンにそう諭しました。エレン「......もう、いい。良い話とは、何だ」フリーダ「............」最初、彼女は黙りましたが、口を開きました。フリーダ「人間の暮らしの中に、入らない?」一瞬、静寂の時が流れます。エレン「......もう、嫌だ。人間と、会いたくない......会ってしまえば、あの時の悲しみが甦(よみがえ)る。大切な友を作ってしまうから、悲しんでしまうんだ!」彼を一瞥し、彼女は言いました。フリーダ「......大切な友が居るからこそ、友が消えた時の悲しみは大きい。だけど、大切な友が居るからこそ、毎日が楽しいんだよ?......どうする、行く?」エレン「......」凄く長い時間、彼は非常に小さな声、呟き程度の声で「考えておく」と、言いました。~первый(ピェールヴィ)~「......エルヴィン」エルヴィン「はい」「悪魔を知っているか?」エルヴィン「勿論、知っています。国が屋敷と白金貨五千枚もの大金で依頼した、森の奥に潜むと呼ばれる悪魔。現在五つのチームが受諾し、森へ進出しましたが、どのチームも帰ってきていません」「そうだ.......エルヴィン、行くか?」エルヴィン「ご冗談を。私などの力では、恐らく殺せないでしょう。キース団.......失礼、キース教官」キース「慣れなければ団長でも良いが?」エルヴィン「まさか」笑いが、その部屋に広がりました。 8 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 12:01:59 ~последний(パスリエードニー)~一夜明け、外では太陽が昇っています。しかし館内は薄暗く、夜なのかと間違えそうな程です。スタスタガチャッフリーダ「お早う、エレン!」元気な声でフリーダが部屋に入ってきます。エレン「......何故、ここに?」彼の表情は困惑を表していました。フリーダ「何故って、泊まったからだよ。それよりどうするの?またずっとこの館に引き籠り、詰まらない毎日を送る?それとも、人間と一緒に訓練するか......」エレン「訓練?」彼が俯(うつむ)いていた顔を上げました。フリーダ「あ、言ってなかったね。その場所は訓練所なんだ。でも大丈夫、エレンは強いし楽勝だよ」エレン「......っ」彼はうんとも言わず、ただただ黙っていました。目には未だ悲しみ、そして彼女にも読み取れなかった感情を募らせています。しかし悲しみは有りながら、軽く頷いたのでした。~первый(ピェールヴィ)~キース「全員注目!!」ある日の昼、教官は食堂で昼食を摂っている訓練生一同を見渡し言いました。キース「今日、新しく訓練生が入る!来い!」アルミン「へえ、新しい訓練生......」ボソックリスタ「どんな人だろうね」ボソッ呟き合いながら、入ってくる方向を見ます。彼は扉を開け、入ってきました。妙に肌は白く、太陽の光を受けているのか判らないくらいです。エレン「エレン・イェーガー、です。よろしくお願いします」と、彼は短く挨拶をしました。キース「よし、イェーガーは昼食を摂ったか?」エレン「いいえ」キース「じゃあ......そこだ、そこで食ったら後で教官室に来い」エレン「はい」スタスタ彼が座ったのは、アルミンのすぐ傍(そば)でした。アルミン「あ、よろしくね」エレン「......ああ、よろしく」微笑を浮かべながら、エレンのその場で初の友人が出来ました。 9 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 12:15:09 ~последний(パスリエードニー)~フリーダ「えっ」自分から提案したにも拘(かかわ)らず、彼女は驚きの声を上げました。エレン「......何だよ、自分から提案したのに」フリーダ「いや、ご免。てっきり拒絶するのかと思ってたから、つい」やっぱりどんなに彼女が蔑みの感情を彼に向けても、彼の悲しみは理解していたようです。~первый(ピェールヴィ)~その後、彼の元には沢山の人々が集まってきました。特に同席だったアルミン、クリスタ、ミカサとは、すぐに仲良くなります。エレン「......」クスッいつの日か、悲しみに暮れていた筈のエレンには、微笑が浮かんでいました。クリスタ「エレンって、どこから来たの?」ある時、彼女は訊きました。特に意味も無かった質問ですが、彼の動きは止まります。エレン「......秘密だ。でも、来た目的なら教えられる」クリスタ「目的?」些(いささ)か躊躇していましたが、口を開きます。エレン「強いて言うなら、『友達を作るため』」クリスタ「友達を......?強くなるためとか、魔法を使えるようになるため、とかじゃなくて?」エレン「......少し長くなるけど、善いか?」彼女は頷きました。 10 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 12:33:50 ~последний(パスリエードニー)~フリーダ「じゃあ、千年振りに人間と会うんだね」エレン「......だけど、若干の恐怖もあるんだ。もしここの悪魔だとバレたら、殺される」フリーダ「馬鹿みたい」エレン「.......?」フリーダ「エレンに敵う人間なんて、この世には居ないでしょ?」しかしその言葉に、エレンの心は僅かに沈みます。エレン「......そう、人間は、弱いんだ」~первый(ピェールヴィ)~エレン「......イザベルとファーランという、友達が居たんだ」彼が人間では無かったのも気にせず、近付いてくれた『人間の』友達、エレンからしてみれば初の友人達でした。エレン「人間は、弱い。悲しいくらいに、弱い......もう判るだろ?」クリスタ「まさか......」彼女は既に察していました。エレン「ああ......もう、死んだ。それから、かなり苦しんでいた」黒い館で、彼はずっと閉じ籠っていました。光を遮断し、孤独でした。そして生憎彼は悪魔なのです。空腹など感じず、買い物にも行かず、人との交流など皆無でした。エレン「ずっと、ずっと悲しみの波に溺れていた。死にたかった。だけど、死ねなかった!生きることは、アイツらへの償いだからだ!」苦痛を浮かべ、思わず叫びます。しかし落ち着きを取り戻したエレンは、引き続き語りました。エレン「......悪い。お前に話しても何の解決にもならな」クリスタ「なるよ」彼女は断言します。困惑を浮かべるエレンを凝視しながら。クリスタ「エレンが本音を私に話してくれた。だったら、目的は達成したんだよ。今、そしてこれからも目的は達成し続けていく」エレン「.......やっぱり、孤独だから......悲しみは......!」後は言葉になりませんでした。滂沱の涙を流し、何を言っているのか聞き取れなかったのです。だけど、エレンの心は彼等───イザベルとファーラン───が生きていた時に感じていた、『嬉しさ』『楽しさ』と言った、感情を取り戻しつつあります。これから起こる事など、全く想像もせずに......。 11 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 12:50:41 ~последний(パスリエードニー)~エレン「案外、これも一種の償いかもしれない」フリーダ「償い......イザベルとファーラン、って言う人への?」エレン「......アイツらは、最終的に......俺が殺したも同然だ」フリーダ「......」エレン「......なあ、その訓練所では、どんな奴が居るんだ?」フリーダ「判らないよ。そこまでは調べてない。けど、何とかなるよ。いくら悲しみに呑まれても、そこで最良の友を作ればね」~первый(ピェールヴィ)~「あ、噂の訓練生!」エレン「噂......?」クリスタ「普通、噂になると思うよ」「私はミーナ。よろしく、エレン」エレン「よろしく......」ミーナ「あれ、クリスタと何話してたの?」クリスタ「他愛ない世間話だよ」ミーナ「それよりも今日、ミカサが」ミカサ「呼んだ?」ヌッ突如、ミーナも背後にミカサが現れました。ミーナ「うわあっ!......吃驚(びっくり)した......ミカサか......」その場にはアルミンも居ました。彼は苦笑しながら言います。アルミン「ねえ、エレン。どう?ここは」エレン「.......」しかしエレンは何も言わず、微笑を浮かべるばかりでした。そして絶望は訪れます。彼の喜びは短時間だけだったのです。 12 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 13:07:52 ~последний(パスリエードニー)~エレン「最良の友、か......作れるかな?」フリーダ「作るだけじゃ駄目なの。守らなきゃね」エレン「っ......」彼の目に涙が溜まります。親友を守れなかった悲しみから、です。しかし涙を堪え、決心して言いました。エレン「ああ。次こそは......守ってみせる!」~первый(ピェールヴィ)~「王!」「何だ?」その国の王に、臣下は告げました。「魔族が、我が国へ攻めてきます!」「何っ!?」ザワッ辺りは騒然とし、その場から逃げた者も現れました。「ど、どういたしましょう!」「......すぐ、迎え撃つ!魔族は強い!戦力を全て投入しろ!」「全て!?」「これは国家の存続を懸けた戦いだ!敗けは絶対に認めぬ!」キース「注目!」キース「知っての通り、魔族が攻めてきた!いずれこの待ちにもやって来るだろう!そこで我々も出兵し、東西南北の四班に分ける!」魔族は、人間とは比べ物にならないほど強く、些か大袈裟かもしれませんが、象と猫ほどの差です。エレンは東の班、ミーナは西、クリスタは北、アルミンは北、ミカサは西でした。そしてこの戦争が始まったのは、彼が訓練所に来てからまだ一週間程しか経っていない頃なのです。すぐに彼等はそれぞれの街門へ行きます。クリスタ「......エレン、死なないでよ」エレン「勿論だ......だが、お前らもな」アルミン「......正直、凄まじい程の恐怖だよ。僕は戦闘には向いていないのに......」見ると、彼の体は震えています。エレン「......じゃあ、行ってくる」そう言って彼は向かいました。久し振りに、悪魔の力を解放しようとしているのです。 13 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 13:22:32 ~последний(パスリエードニー)~フリーダ「じゃあ、そろそろ行こうか」エレン「お前も行くのか?」フリーダ「いや、私は訓練所には行かないよ。訓練所までの道案内。その後は任せた」エレン「......ああ」ガチャッ~первый(ピェールヴィ)~彼の行った東門では、既に魔族が来そうでした。「魔族が来たぞ!」「迎え撃て!!」魔族「人間どもめえええっ!!」タッタッタッエレン「......さっさと、散って貰おうか」スッ彼は右手を鉄砲の形にする指鉄砲を作り、魔族に向かって構えます。エレン「【死の弾丸(タナトス・バレット)】」ダァァァンッ!!砲音が鳴り響き、黒い弾が魔族の胸を貫きます。魔族「ぐうあっ!!」一撃必殺(ワン・ショット・ワン・キル)。魔族は地に落ちていきました。魔族「なっ.......」ズリッエレン「......やっぱり嫌だ。生物を殺すのは」しかし魔族は彼の威圧感に圧倒され、思わず後ろへ下がります。エレン「【連鎖化催眠(チェイン・スリープ)】」魔族「ううっ......?」フラッその魔法を掛ける否や、睡眠は連鎖し、魔族はバタバタと眠っていきます。その光景に、人間側は唖然としていました。エレン「......殺すよりは、こっちの方が好い」未だ連鎖が続いている中、そう呟きました。 14 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 13:34:50 急いで打ってるから誤字多い!─────────────────────────~последний(パスリエードニー)~ギギギギィィィ.....!!重い扉を開き、太陽の煌(きら)めきがエレンの目を光らせます。エレン「......眩しい、な。これが太陽か」千年前と全く代わらぬ太陽を見ながら、そう言いました。フリーダ「......じゃあ、行くよ。準備は善い?」~первый(ピェールヴィ)~エレン「【飛翔(フライ)】」フワッすると彼は宙に浮きました。方向を定め、力を入れます。ビュゥゥゥゥゥゥンッ!!凄まじい速さで、彼は空へ飛び立ちました。彼はここ数日、悲しみを然程感じていませんでした。何故なら、素晴らしい仲間がいたから。喜びを分け合い、楽しさを分け合う、仲間が。ビュゥゥゥゥゥゥンッ!!まず、北に向かいます。エレン「......?」直ぐ様、異変を感じました。妙に静かなのです。そして、絶望を見ました。エレン「な......っ!!!」血溜まりがそこら中に出来ています。何人もの人間が倒れ伏しています。エレン「アルミン、クリスタっ!!」フワッ叫びながら着地し、捜します。エレン(そんな筈ない、生きている、生きて───!!)発見したのは、倒れているクリスタでした。 15 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 19:56:15 ~последний(パスリエードニー)~フリーダ「【飛翔(フライ)】」フワッエレン「【飛翔(フライ)】」フワッフリーダ「訓練所はあっち。北の方向だよ」エレン「......」彼は何やら考えているようでした。フリーダ「......どうしたの?」エレン「......何でもない」そして彼等は、凄まじい速度で飛んでいきました。~первый(ピェールヴィ)~エレン「クリスタっ!」彼は駆け出します。死んでいないことを祈って。クリスタ「......エレ、ン」エレン「だ、大丈夫か!?」彼は瞠目しました。彼女の腹には赤黒い血、腹に穴が開いていたのです。クリスタ「......エレン、東に、居るんじゃ、ないの?」エレン「......東に居る魔族は、全員眠っている筈」クリスタ「......まあ、これが、幻でも、好いや.......ねえエレン」喋ったら更に出血すると言うのに、彼女は話し続けます。エレンの静止など無視して。 ・・・クリスタ「......お願い......私を、殺して」その言葉に、彼の身体は止まりました。 16 : 空山 零句 : 2019/07/13(土) 20:03:20 oh......>>15がやや文章の上点がズレてる。。期待ですよ 17 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 23:01:36 >>16 oh......期待&お気に入りありがとうございます! 18 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/14(日) 10:02:19 ~последний(パスリエードニー)~彼は例の訓練所へ向かうまで、様々な出来事を思い出していました。友を救いたかった後悔、自分ならそれが出来たかもしれないのに......!しかし首を大きく振り、違う、次こそは救う、守るんだ、と固く決心します。太陽の光が燦然と輝き、彼はフリーダに密かに感謝していたのでした。~первый(ピェールヴィ)~エレン「殺してって......何で......!!」そう。彼はイザベルとファーランが亡くなる際、その自らの手で殺めたのです。それでは正に、あの時の繰り返しです。折角、友を死なせ感じた空虚を訓練所で麻痺させて来たと言うのに、これでは、また───!クリスタ「ご免ね.......死ぬときは、魔族の攻撃で、死んだ、ってことに、したくない......」見るとどくどくと鮮血は溢れてきます。クリスタ「......我が儘、だけど......ごめ」突如、クリスタは意識を失います。エレン「く、クリスタ!おい!」揺さぶりますが、起きません。生きてはいるのです。しかし、その溢れでる血液を一瞥し、一刻の猶予も無いと感じました。最初で最後の我が儘を、叶えて───赤黒い血を流し意識を失っている彼女が、そう言った気がしました。 19 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/14(日) 10:22:53 ~последний(パスリエードニー)~フリーダ「ここね」エレン「あれか......」彼は数十メートル先の訓練所をじっと凝視します。どこか懐かしさを感じ、謎の切なさを感じます。フリーダ「じゃあ、私はそろそろ帰るね。次こそ、達者でやることを祈ってるよ」エレン「......フリーダ」何?と返す彼女に、言いました。エレン「ありがとな」訓練所の前に立ち、エレンは思います。───似ているな。エレン「なあ、次こそは絶対にさ、最高の友が出来たら、守ってみせるよ......フリーダ」今まで彼が殺して───仕方がない事だったのですが───きた仲間を想いながら、彼は歩き出します。 ・・・こうして、彼の人生では最後の訓練所生活が幕を開きました。~первый(ピェールヴィ)~彼が殺めた後、誰かの叫び声が聴こえました。それは、彼自身の声でした。それは、彼の慟哭なのです。何で、何で、また───!!自分が、酷く滑稽に思えてきます。彼は滂沱の涙を、彼女に話を聞いてもらった時のように流します。その後、結果的には人間の勝利になりました。北に居た筈の魔族の軍勢は、とある場所で大量死しているのが発見されました。誰の仕業かはハッキリしてませんでしたが、読者の皆様にはお判りでしょう。そしてエレンは訓練所から消え去っていました。無論訓練所の皆は捜しましたが、見付かることは無いのです。では、彼はどうしていたのか?ギギギギィィィ...... ・・・あの漆黒の館に、引き籠ることになるのです。千年間もの長い間、ずっと。 ・・・こうして、彼の人生では最初の訓練所生活が幕を閉じました。 20 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/14(日) 10:28:23 ~エピローグ~「全員注目!」昼、教官が訓練生に向かって言い放ちました。「今日、新たに訓練生が入る!それが彼だ!」エレン「」スタスタ彼は千年も昔に、同じような体験をしています。だから、あの日のように、彼は言います。しかし、僅かながら大きめの声で。エレン「......エレン・イェーガーです。よろしくお願いします......!」彼の人生で二回目、そして人生最後の訓練所生活は、果たしてどうなるのでしょうか?Fin. 21 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/14(日) 10:35:01 ~後書き~えっと......まず最初に、この物語の構成、解りましたか?そこが一番心配です。それはさておき。読者の皆様、このような駄作を読んでいただきありがとうございました。何とも言えない結末ですね。でも、きっと彼は親友を作り、守り、時に守られながら生きていると思いますよ。最後に。ロシア語でпоследнийは『最後の』、первыйは『最初の』と言う意味です。by茹でた茄子 22 : 名無しさん : 2019/07/14(日) 14:04:10 これってさ、クリスタたちとの訓練所生活が未来と思わせておき、本当は過去だったってことか?深読みしすぎ? 23 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/15(月) 08:53:41 >>22 いいえ全然深読みじゃないです。 24 : 名無しさん : 2020/09/22(火) 07:20:30 おもしぇー 25 : 名無しさん : 2021/09/28(火) 00:44:07 !!? ▲一番上へ 編集パスワード スレッド投稿時に設定した編集パスワードを入力してください。
このスレッドの編集には編集パスワードが必要です。 表示するレスにはチェックしを、表示しないレスはチェックを外してください。 全てのレスを表示する 全てのレスを非表示にする ▼一番下へ 1 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/11(木) 19:19:21 エレン「魔王なのに人間界に迷って帰れなくなった。頼む誰か助けて」 http//www.ssnote.net/archives/79701 エレン「魔王なのに全世界を救うことになった。頼む誰か助けて」 http//www.ssnote.net/archives/79977 ↑こちらから読んでいただくとこの物語は理解しやすいと思います。魔法とか同じ物を使用しますので。 アルミン「引っ越し先の田舎村が異常に凄かった件.......」 http://www.ssnote.net/archives/79936 ※別作です。(偏りが無いようにしたいなぁ)←心の声 ────────────────────────────────────────── ~プロローグ~ これは悪魔の物語。いや、『悪魔』とだけ記すと、誤想してしまうかもしれませんね。 この『悪魔』は、一般人が彷彿させる、禍々しい翼を所持し、角や何やらが生えている神話等の悪魔、とは違います。 いやいや、案外彼のことを悪魔と称しても善いのかもしれません。寧(むし)ろ悪魔で無ければ何になる、と言う声も出るでしょうから。 彼は千年間───まずそれだけ生きている、って時点で人間では有り得ません───その館で、生きてきました。 辺りは森閑とした、万緑の森の奥地に、その館はありました。 ひっそりと佇み、静寂が空間を支配する中、その館は。 そして、人間の築いた国から直々、『悪魔』───彼の討伐依頼が出たのですが、報酬は誰もが目を見張る、見張ってしまう報酬です。 報酬は屋敷一軒と、白金貨五千枚でした(現代で言えば約五億円)。 無論、危険を顧みず果敢にも挑んだ冒険者も居ました。彼等の努力と勇気、それはこの私が保証します。 しかし、一月経ち、二月経ち、一年経っても、彼等は帰ってきません。悪魔に喰い殺されてしまったのでしょうか?そもそも館に辿り着けたのでしょうか? その館は、ポツリと建っていました。別に洒落た外観と言うわけでもなく、かといってボロボロと言うことはありません。 漆黒の館でした、それは。 2 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/11(木) 19:20:54 http://www.ssnote.net/archives/79701http://www.ssnote.net/archives/79977:←これ打つのを忘れていました。 3 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/11(木) 22:28:28 言い忘れていましたが、割りと短編になりそうです。──────────────────────────────~последний(パスリエードニー)~「......」パチッ「......ああ」彼は未だ微睡(まどろ)むその眼を擦りながら、のっそりと、のっそりと立ち上がりました。「......また、あの夢を......見てしまった」刹那。ギギギギィィィィ....!!「!」「......まさか?......いや、違う。アイツらはもう、居ないんだ」半ば自棄糞になりながら、彼はその館の入り口へと向かいました。~первый(ピェールヴィ)~少年少女達と悪魔の出逢いは、ある意味運命的だったと言えるでしょう。彼等は、魔法訓練所の訓練生でした。「......ミカサ?」ミカサ「......アルミン?」アルミン「どうしたの?やけにボーッとしてたけど」ミカサ「......いや、何でもない。大丈夫」「み、ミカサ。体調が悪かったら俺に言えよな!」ミカサ「ありがとう、ジャン......」アルミン「訓練の疲れが出たのかな?......って、ああっ!ちょっ、僕のパン!」「アルミンこそボーッとしているのが悪いんですよ!」ジャン「ってかサシャ俺のも盗ってんじゃねえか!?」少女は、口にパン───アルミンの───を加えながら片手にもパン───ジャンの───を掴み、走っています。アルミンは困ったという表情をしながら、密かに喜んでいました。───こんな平和な日常が、ずっと続かないかなあ。なんて思ったりしながら。しかしここではっきりとさせてしまえば、平和な日々は長くは続きません。 4 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/12(金) 20:36:33 ~последний(パスリエードニー)~「......」スタスタ彼は薄暗い館内を歩きます。「......」スタスタガチャッ「!」「......千年振り、エレン」エレン「......フリーダ」フリーダ「......やけに肌が白いよ?」エレン「......何の用で来た」彼女は屈託に笑ってみせました。フリーダ「酷いなぁ。どうせ千年間寂しかったんでしょ?で、今日はその寂しさ......空虚感から逃れる為に、良い話を持ってきたの」エレン「......もう、嫌だ」フリーダ「え?」情けなく彼は繰り返し、近くの椅子に座り嘆きます。エレン「......もう、嫌なんだよ。大切な奴を、喪ってしまうのは......!」彼はあの時の悲壮を思い出したと言わんばかりに、目元を潤ませました。~первый(ピェールヴィ)~ジャン「なあ、アルミン。魔法術式のこう言う問題、どうやって解けばいいんだ?」昼の休憩時間、訓練所の敷地内を歩きながらジャンはアルミンに訊(き)きました。しかし彼は苦笑しながら、困った顔をして応えます。アルミン「説明しがたいなぁ。どうって言われても、公式を暗記して、それに当て嵌めていく、としか言いようがないよ」ジャン「クソっ......やばいな、テストが有るってのに。善いよな、アルミンは頭良くて」アルミン「じゃあ言葉を借りるけど、善いよね、ジャンは戦闘(たたかい)が上手で」ハッとジャンも苦笑(わら)ってみせると、ジャン「皮肉にしか聴こえねえよ......作戦はお前が立てるのが上手だ」アルミン「皮肉じゃないよ......あっ」アルミンが目を向けていたのは、馬小屋でした。その中には一人の金髪の少女が居ます。ジャン「またクリスタは世話してるんだな」アルミン「本当だね」するとその視線に気付いたのか、クリスタ「二人とも、何してるの?」と、やや大きめな声で訊いてきました。 5 : 鹿クンが見てる! : 2019/07/13(土) 01:25:36 期待 6 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 11:19:01 >>5 期待ありがとうございます! 7 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 11:47:23 ~последний(パスリエードニー)~嘆く彼を見て、フリーダはどうしたでしょうか。同情した?それとも、見て見ぬ振りをした?いいえ違います。彼女は彼を侮蔑したのです。そして滂沱の涙を今にも流しそうな彼に厳かに言いました。フリーダ「......まだ悲しみを引き摺ってるの?正直、哀れだよ。人間は短命なんだ、私達とは違って」エレン「それでも、人間にしては死ぬのは早すぎた!」彼は叫びます。それは彼の慟哭(どうこく)でした。友を亡くした悲しみを表した、慟哭。フリーダ「ねえ、エレン。人間も私達もね、いつ死ぬか誰も判りやしない。どうやって死ぬのかも判らない。早く死ぬか遅く死ぬか。貴方の友人は早く死んだだけじゃない。いずれ生物は死んでしまうの」彼女はエレンにそう諭しました。エレン「......もう、いい。良い話とは、何だ」フリーダ「............」最初、彼女は黙りましたが、口を開きました。フリーダ「人間の暮らしの中に、入らない?」一瞬、静寂の時が流れます。エレン「......もう、嫌だ。人間と、会いたくない......会ってしまえば、あの時の悲しみが甦(よみがえ)る。大切な友を作ってしまうから、悲しんでしまうんだ!」彼を一瞥し、彼女は言いました。フリーダ「......大切な友が居るからこそ、友が消えた時の悲しみは大きい。だけど、大切な友が居るからこそ、毎日が楽しいんだよ?......どうする、行く?」エレン「......」凄く長い時間、彼は非常に小さな声、呟き程度の声で「考えておく」と、言いました。~первый(ピェールヴィ)~「......エルヴィン」エルヴィン「はい」「悪魔を知っているか?」エルヴィン「勿論、知っています。国が屋敷と白金貨五千枚もの大金で依頼した、森の奥に潜むと呼ばれる悪魔。現在五つのチームが受諾し、森へ進出しましたが、どのチームも帰ってきていません」「そうだ.......エルヴィン、行くか?」エルヴィン「ご冗談を。私などの力では、恐らく殺せないでしょう。キース団.......失礼、キース教官」キース「慣れなければ団長でも良いが?」エルヴィン「まさか」笑いが、その部屋に広がりました。 8 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 12:01:59 ~последний(パスリエードニー)~一夜明け、外では太陽が昇っています。しかし館内は薄暗く、夜なのかと間違えそうな程です。スタスタガチャッフリーダ「お早う、エレン!」元気な声でフリーダが部屋に入ってきます。エレン「......何故、ここに?」彼の表情は困惑を表していました。フリーダ「何故って、泊まったからだよ。それよりどうするの?またずっとこの館に引き籠り、詰まらない毎日を送る?それとも、人間と一緒に訓練するか......」エレン「訓練?」彼が俯(うつむ)いていた顔を上げました。フリーダ「あ、言ってなかったね。その場所は訓練所なんだ。でも大丈夫、エレンは強いし楽勝だよ」エレン「......っ」彼はうんとも言わず、ただただ黙っていました。目には未だ悲しみ、そして彼女にも読み取れなかった感情を募らせています。しかし悲しみは有りながら、軽く頷いたのでした。~первый(ピェールヴィ)~キース「全員注目!!」ある日の昼、教官は食堂で昼食を摂っている訓練生一同を見渡し言いました。キース「今日、新しく訓練生が入る!来い!」アルミン「へえ、新しい訓練生......」ボソックリスタ「どんな人だろうね」ボソッ呟き合いながら、入ってくる方向を見ます。彼は扉を開け、入ってきました。妙に肌は白く、太陽の光を受けているのか判らないくらいです。エレン「エレン・イェーガー、です。よろしくお願いします」と、彼は短く挨拶をしました。キース「よし、イェーガーは昼食を摂ったか?」エレン「いいえ」キース「じゃあ......そこだ、そこで食ったら後で教官室に来い」エレン「はい」スタスタ彼が座ったのは、アルミンのすぐ傍(そば)でした。アルミン「あ、よろしくね」エレン「......ああ、よろしく」微笑を浮かべながら、エレンのその場で初の友人が出来ました。 9 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 12:15:09 ~последний(パスリエードニー)~フリーダ「えっ」自分から提案したにも拘(かかわ)らず、彼女は驚きの声を上げました。エレン「......何だよ、自分から提案したのに」フリーダ「いや、ご免。てっきり拒絶するのかと思ってたから、つい」やっぱりどんなに彼女が蔑みの感情を彼に向けても、彼の悲しみは理解していたようです。~первый(ピェールヴィ)~その後、彼の元には沢山の人々が集まってきました。特に同席だったアルミン、クリスタ、ミカサとは、すぐに仲良くなります。エレン「......」クスッいつの日か、悲しみに暮れていた筈のエレンには、微笑が浮かんでいました。クリスタ「エレンって、どこから来たの?」ある時、彼女は訊きました。特に意味も無かった質問ですが、彼の動きは止まります。エレン「......秘密だ。でも、来た目的なら教えられる」クリスタ「目的?」些(いささ)か躊躇していましたが、口を開きます。エレン「強いて言うなら、『友達を作るため』」クリスタ「友達を......?強くなるためとか、魔法を使えるようになるため、とかじゃなくて?」エレン「......少し長くなるけど、善いか?」彼女は頷きました。 10 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 12:33:50 ~последний(パスリエードニー)~フリーダ「じゃあ、千年振りに人間と会うんだね」エレン「......だけど、若干の恐怖もあるんだ。もしここの悪魔だとバレたら、殺される」フリーダ「馬鹿みたい」エレン「.......?」フリーダ「エレンに敵う人間なんて、この世には居ないでしょ?」しかしその言葉に、エレンの心は僅かに沈みます。エレン「......そう、人間は、弱いんだ」~первый(ピェールヴィ)~エレン「......イザベルとファーランという、友達が居たんだ」彼が人間では無かったのも気にせず、近付いてくれた『人間の』友達、エレンからしてみれば初の友人達でした。エレン「人間は、弱い。悲しいくらいに、弱い......もう判るだろ?」クリスタ「まさか......」彼女は既に察していました。エレン「ああ......もう、死んだ。それから、かなり苦しんでいた」黒い館で、彼はずっと閉じ籠っていました。光を遮断し、孤独でした。そして生憎彼は悪魔なのです。空腹など感じず、買い物にも行かず、人との交流など皆無でした。エレン「ずっと、ずっと悲しみの波に溺れていた。死にたかった。だけど、死ねなかった!生きることは、アイツらへの償いだからだ!」苦痛を浮かべ、思わず叫びます。しかし落ち着きを取り戻したエレンは、引き続き語りました。エレン「......悪い。お前に話しても何の解決にもならな」クリスタ「なるよ」彼女は断言します。困惑を浮かべるエレンを凝視しながら。クリスタ「エレンが本音を私に話してくれた。だったら、目的は達成したんだよ。今、そしてこれからも目的は達成し続けていく」エレン「.......やっぱり、孤独だから......悲しみは......!」後は言葉になりませんでした。滂沱の涙を流し、何を言っているのか聞き取れなかったのです。だけど、エレンの心は彼等───イザベルとファーラン───が生きていた時に感じていた、『嬉しさ』『楽しさ』と言った、感情を取り戻しつつあります。これから起こる事など、全く想像もせずに......。 11 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 12:50:41 ~последний(パスリエードニー)~エレン「案外、これも一種の償いかもしれない」フリーダ「償い......イザベルとファーラン、って言う人への?」エレン「......アイツらは、最終的に......俺が殺したも同然だ」フリーダ「......」エレン「......なあ、その訓練所では、どんな奴が居るんだ?」フリーダ「判らないよ。そこまでは調べてない。けど、何とかなるよ。いくら悲しみに呑まれても、そこで最良の友を作ればね」~первый(ピェールヴィ)~「あ、噂の訓練生!」エレン「噂......?」クリスタ「普通、噂になると思うよ」「私はミーナ。よろしく、エレン」エレン「よろしく......」ミーナ「あれ、クリスタと何話してたの?」クリスタ「他愛ない世間話だよ」ミーナ「それよりも今日、ミカサが」ミカサ「呼んだ?」ヌッ突如、ミーナも背後にミカサが現れました。ミーナ「うわあっ!......吃驚(びっくり)した......ミカサか......」その場にはアルミンも居ました。彼は苦笑しながら言います。アルミン「ねえ、エレン。どう?ここは」エレン「.......」しかしエレンは何も言わず、微笑を浮かべるばかりでした。そして絶望は訪れます。彼の喜びは短時間だけだったのです。 12 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 13:07:52 ~последний(パスリエードニー)~エレン「最良の友、か......作れるかな?」フリーダ「作るだけじゃ駄目なの。守らなきゃね」エレン「っ......」彼の目に涙が溜まります。親友を守れなかった悲しみから、です。しかし涙を堪え、決心して言いました。エレン「ああ。次こそは......守ってみせる!」~первый(ピェールヴィ)~「王!」「何だ?」その国の王に、臣下は告げました。「魔族が、我が国へ攻めてきます!」「何っ!?」ザワッ辺りは騒然とし、その場から逃げた者も現れました。「ど、どういたしましょう!」「......すぐ、迎え撃つ!魔族は強い!戦力を全て投入しろ!」「全て!?」「これは国家の存続を懸けた戦いだ!敗けは絶対に認めぬ!」キース「注目!」キース「知っての通り、魔族が攻めてきた!いずれこの待ちにもやって来るだろう!そこで我々も出兵し、東西南北の四班に分ける!」魔族は、人間とは比べ物にならないほど強く、些か大袈裟かもしれませんが、象と猫ほどの差です。エレンは東の班、ミーナは西、クリスタは北、アルミンは北、ミカサは西でした。そしてこの戦争が始まったのは、彼が訓練所に来てからまだ一週間程しか経っていない頃なのです。すぐに彼等はそれぞれの街門へ行きます。クリスタ「......エレン、死なないでよ」エレン「勿論だ......だが、お前らもな」アルミン「......正直、凄まじい程の恐怖だよ。僕は戦闘には向いていないのに......」見ると、彼の体は震えています。エレン「......じゃあ、行ってくる」そう言って彼は向かいました。久し振りに、悪魔の力を解放しようとしているのです。 13 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 13:22:32 ~последний(パスリエードニー)~フリーダ「じゃあ、そろそろ行こうか」エレン「お前も行くのか?」フリーダ「いや、私は訓練所には行かないよ。訓練所までの道案内。その後は任せた」エレン「......ああ」ガチャッ~первый(ピェールヴィ)~彼の行った東門では、既に魔族が来そうでした。「魔族が来たぞ!」「迎え撃て!!」魔族「人間どもめえええっ!!」タッタッタッエレン「......さっさと、散って貰おうか」スッ彼は右手を鉄砲の形にする指鉄砲を作り、魔族に向かって構えます。エレン「【死の弾丸(タナトス・バレット)】」ダァァァンッ!!砲音が鳴り響き、黒い弾が魔族の胸を貫きます。魔族「ぐうあっ!!」一撃必殺(ワン・ショット・ワン・キル)。魔族は地に落ちていきました。魔族「なっ.......」ズリッエレン「......やっぱり嫌だ。生物を殺すのは」しかし魔族は彼の威圧感に圧倒され、思わず後ろへ下がります。エレン「【連鎖化催眠(チェイン・スリープ)】」魔族「ううっ......?」フラッその魔法を掛ける否や、睡眠は連鎖し、魔族はバタバタと眠っていきます。その光景に、人間側は唖然としていました。エレン「......殺すよりは、こっちの方が好い」未だ連鎖が続いている中、そう呟きました。 14 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 13:34:50 急いで打ってるから誤字多い!─────────────────────────~последний(パスリエードニー)~ギギギギィィィ.....!!重い扉を開き、太陽の煌(きら)めきがエレンの目を光らせます。エレン「......眩しい、な。これが太陽か」千年前と全く代わらぬ太陽を見ながら、そう言いました。フリーダ「......じゃあ、行くよ。準備は善い?」~первый(ピェールヴィ)~エレン「【飛翔(フライ)】」フワッすると彼は宙に浮きました。方向を定め、力を入れます。ビュゥゥゥゥゥゥンッ!!凄まじい速さで、彼は空へ飛び立ちました。彼はここ数日、悲しみを然程感じていませんでした。何故なら、素晴らしい仲間がいたから。喜びを分け合い、楽しさを分け合う、仲間が。ビュゥゥゥゥゥゥンッ!!まず、北に向かいます。エレン「......?」直ぐ様、異変を感じました。妙に静かなのです。そして、絶望を見ました。エレン「な......っ!!!」血溜まりがそこら中に出来ています。何人もの人間が倒れ伏しています。エレン「アルミン、クリスタっ!!」フワッ叫びながら着地し、捜します。エレン(そんな筈ない、生きている、生きて───!!)発見したのは、倒れているクリスタでした。 15 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 19:56:15 ~последний(パスリエードニー)~フリーダ「【飛翔(フライ)】」フワッエレン「【飛翔(フライ)】」フワッフリーダ「訓練所はあっち。北の方向だよ」エレン「......」彼は何やら考えているようでした。フリーダ「......どうしたの?」エレン「......何でもない」そして彼等は、凄まじい速度で飛んでいきました。~первый(ピェールヴィ)~エレン「クリスタっ!」彼は駆け出します。死んでいないことを祈って。クリスタ「......エレ、ン」エレン「だ、大丈夫か!?」彼は瞠目しました。彼女の腹には赤黒い血、腹に穴が開いていたのです。クリスタ「......エレン、東に、居るんじゃ、ないの?」エレン「......東に居る魔族は、全員眠っている筈」クリスタ「......まあ、これが、幻でも、好いや.......ねえエレン」喋ったら更に出血すると言うのに、彼女は話し続けます。エレンの静止など無視して。 ・・・クリスタ「......お願い......私を、殺して」その言葉に、彼の身体は止まりました。 16 : 空山 零句 : 2019/07/13(土) 20:03:20 oh......>>15がやや文章の上点がズレてる。。期待ですよ 17 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/13(土) 23:01:36 >>16 oh......期待&お気に入りありがとうございます! 18 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/14(日) 10:02:19 ~последний(パスリエードニー)~彼は例の訓練所へ向かうまで、様々な出来事を思い出していました。友を救いたかった後悔、自分ならそれが出来たかもしれないのに......!しかし首を大きく振り、違う、次こそは救う、守るんだ、と固く決心します。太陽の光が燦然と輝き、彼はフリーダに密かに感謝していたのでした。~первый(ピェールヴィ)~エレン「殺してって......何で......!!」そう。彼はイザベルとファーランが亡くなる際、その自らの手で殺めたのです。それでは正に、あの時の繰り返しです。折角、友を死なせ感じた空虚を訓練所で麻痺させて来たと言うのに、これでは、また───!クリスタ「ご免ね.......死ぬときは、魔族の攻撃で、死んだ、ってことに、したくない......」見るとどくどくと鮮血は溢れてきます。クリスタ「......我が儘、だけど......ごめ」突如、クリスタは意識を失います。エレン「く、クリスタ!おい!」揺さぶりますが、起きません。生きてはいるのです。しかし、その溢れでる血液を一瞥し、一刻の猶予も無いと感じました。最初で最後の我が儘を、叶えて───赤黒い血を流し意識を失っている彼女が、そう言った気がしました。 19 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/14(日) 10:22:53 ~последний(パスリエードニー)~フリーダ「ここね」エレン「あれか......」彼は数十メートル先の訓練所をじっと凝視します。どこか懐かしさを感じ、謎の切なさを感じます。フリーダ「じゃあ、私はそろそろ帰るね。次こそ、達者でやることを祈ってるよ」エレン「......フリーダ」何?と返す彼女に、言いました。エレン「ありがとな」訓練所の前に立ち、エレンは思います。───似ているな。エレン「なあ、次こそは絶対にさ、最高の友が出来たら、守ってみせるよ......フリーダ」今まで彼が殺して───仕方がない事だったのですが───きた仲間を想いながら、彼は歩き出します。 ・・・こうして、彼の人生では最後の訓練所生活が幕を開きました。~первый(ピェールヴィ)~彼が殺めた後、誰かの叫び声が聴こえました。それは、彼自身の声でした。それは、彼の慟哭なのです。何で、何で、また───!!自分が、酷く滑稽に思えてきます。彼は滂沱の涙を、彼女に話を聞いてもらった時のように流します。その後、結果的には人間の勝利になりました。北に居た筈の魔族の軍勢は、とある場所で大量死しているのが発見されました。誰の仕業かはハッキリしてませんでしたが、読者の皆様にはお判りでしょう。そしてエレンは訓練所から消え去っていました。無論訓練所の皆は捜しましたが、見付かることは無いのです。では、彼はどうしていたのか?ギギギギィィィ...... ・・・あの漆黒の館に、引き籠ることになるのです。千年間もの長い間、ずっと。 ・・・こうして、彼の人生では最初の訓練所生活が幕を閉じました。 20 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/14(日) 10:28:23 ~エピローグ~「全員注目!」昼、教官が訓練生に向かって言い放ちました。「今日、新たに訓練生が入る!それが彼だ!」エレン「」スタスタ彼は千年も昔に、同じような体験をしています。だから、あの日のように、彼は言います。しかし、僅かながら大きめの声で。エレン「......エレン・イェーガーです。よろしくお願いします......!」彼の人生で二回目、そして人生最後の訓練所生活は、果たしてどうなるのでしょうか?Fin. 21 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/14(日) 10:35:01 ~後書き~えっと......まず最初に、この物語の構成、解りましたか?そこが一番心配です。それはさておき。読者の皆様、このような駄作を読んでいただきありがとうございました。何とも言えない結末ですね。でも、きっと彼は親友を作り、守り、時に守られながら生きていると思いますよ。最後に。ロシア語でпоследнийは『最後の』、первыйは『最初の』と言う意味です。by茹でた茄子 22 : 名無しさん : 2019/07/14(日) 14:04:10 これってさ、クリスタたちとの訓練所生活が未来と思わせておき、本当は過去だったってことか?深読みしすぎ? 23 : 茹でた茄子h8GR2EC9Ss : 2019/07/15(月) 08:53:41 >>22 いいえ全然深読みじゃないです。 24 : 名無しさん : 2020/09/22(火) 07:20:30 おもしぇー 25 : 名無しさん : 2021/09/28(火) 00:44:07 !!? ▲一番上へ 編集パスワード スレッド投稿時に設定した編集パスワードを入力してください。