このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
エレン「千年間の空虚と、孤独の館」
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- 1 : 2019/07/11(木) 19:19:21 :
- エレン「魔王なのに人間界に迷って帰れなくなった。頼む誰か助けて」
http//www.ssnote.net/archives/79701
エレン「魔王なのに全世界を救うことになった。頼む誰か助けて」
http//www.ssnote.net/archives/79977
↑こちらから読んでいただくとこの物語は理解しやすいと思います。魔法とか同じ物を使用しますので。
アルミン「引っ越し先の田舎村が異常に凄かった件.......」
http://www.ssnote.net/archives/79936
※別作です。(偏りが無いようにしたいなぁ)←心の声
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~プロローグ~
これは悪魔の物語。いや、『悪魔』とだけ記すと、誤想してしまうかもしれませんね。
この『悪魔』は、一般人が彷彿させる、禍々しい翼を所持し、角や何やらが生えている神話等の悪魔、とは違います。
いやいや、案外彼のことを悪魔と称しても善いのかもしれません。寧 ろ悪魔で無ければ何になる、と言う声も出るでしょうから。
彼は千年間───まずそれだけ生きている、って時点で人間では有り得ません───その館で、生きてきました。
辺りは森閑とした、万緑の森の奥地に、その館はありました。
ひっそりと佇み、静寂が空間を支配する中、その館は。
そして、人間の築いた国から直々、『悪魔』───彼の討伐依頼が出たのですが、報酬は誰もが目を見張る、見張ってしまう報酬です。
報酬は屋敷一軒と、白金貨五千枚でした(現代で言えば約五億円)。
無論、危険を顧みず果敢にも挑んだ冒険者も居ました。彼等の努力と勇気、それはこの私が保証します。
しかし、一月経ち、二月経ち、一年経っても、彼等は帰ってきません。悪魔に喰い殺されてしまったのでしょうか?そもそも館に辿り着けたのでしょうか?
その館は、ポツリと建っていました。別に洒落た外観と言うわけでもなく、かといってボロボロと言うことはありません。
漆黒の館でした、それは。
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- 2 : 2019/07/11(木) 19:20:54 :
- http://www.ssnote.net/archives/79701
http://www.ssnote.net/archives/79977
:←これ打つのを忘れていました。
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- 3 : 2019/07/11(木) 22:28:28 :
- 言い忘れていましたが、割りと短編になりそうです。
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~последний ~
「......」パチッ
「......ああ」
彼は未だ微睡 むその眼を擦りながら、のっそりと、のっそりと立ち上がりました。
「......また、あの夢を......見てしまった」
刹那。
ギギギギィィィィ....!!
「!」
「......まさか?......いや、違う。アイツらはもう、居ないんだ」
半ば自棄糞になりながら、彼はその館の入り口へと向かいました。
~первый ~
少年少女達と悪魔の出逢いは、ある意味運命的だったと言えるでしょう。
彼等は、魔法訓練所の訓練生でした。
「......ミカサ?」
ミカサ「......アルミン?」
アルミン「どうしたの?やけにボーッとしてたけど」
ミカサ「......いや、何でもない。大丈夫」
「み、ミカサ。体調が悪かったら俺に言えよな!」
ミカサ「ありがとう、ジャン......」
アルミン「訓練の疲れが出たのかな?......って、ああっ!ちょっ、僕のパン!」
「アルミンこそボーッとしているのが悪いんですよ!」
ジャン「ってかサシャ俺のも盗ってんじゃねえか!?」
少女は、口にパン───アルミンの───を加えながら片手にもパン───ジャンの───を掴み、走っています。
アルミンは困ったという表情をしながら、密かに喜んでいました。
───こんな平和な日常が、ずっと続かないかなあ。
なんて思ったりしながら。
しかしここではっきりとさせてしまえば、平和な日々は長くは続きません。
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- 4 : 2019/07/12(金) 20:36:33 :
- ~
последний ~
「......」スタスタ
彼は薄暗い館内を歩きます。
「......」スタスタ
ガチャッ
「!」
「......千年振り、エレン」
エレン「......フリーダ」
フリーダ「......やけに肌が白いよ?」
エレン「......何の用で来た」
彼女は屈託に笑ってみせました。
フリーダ「酷いなぁ。どうせ千年間寂しかったんでしょ?で、今日はその寂しさ......空虚感から逃れる為に、良い話を持ってきたの」
エレン「......もう、嫌だ」
フリーダ「え?」
情けなく彼は繰り返し、近くの椅子に座り嘆きます。
エレン「......もう、嫌なんだよ。大切な奴を、喪ってしまうのは......!」
彼はあの時の悲壮を思い出したと言わんばかりに、目元を潤ませました。
~первый ~
ジャン「なあ、アルミン。魔法術式のこう言う問題、どうやって解けばいいんだ?」
昼の休憩時間、訓練所の敷地内を歩きながらジャンはアルミンに訊 きました。
しかし彼は苦笑しながら、困った顔をして応えます。
アルミン「説明しがたいなぁ。どうって言われても、公式を暗記して、それに当て嵌めていく、としか言いようがないよ」
ジャン「クソっ......やばいな、テストが有るってのに。善いよな、アルミンは頭良くて」
アルミン「じゃあ言葉を借りるけど、善いよね、ジャンは戦闘 が上手で」
ハッとジャンも苦笑 ってみせると、
ジャン「皮肉にしか聴こえねえよ......作戦はお前が立てるのが上手だ」
アルミン「皮肉じゃないよ......あっ」
アルミンが目を向けていたのは、馬小屋でした。
その中には一人の金髪の少女が居ます。
ジャン「またクリスタは世話してるんだな」
アルミン「本当だね」
するとその視線に気付いたのか、
クリスタ「二人とも、何してるの?」
と、やや大きめな声で訊いてきました。
-
- 5 : 2019/07/13(土) 01:25:36 :
- 期待
-
- 6 : 2019/07/13(土) 11:19:01 :
- >>5 期待ありがとうございます!
-
- 7 : 2019/07/13(土) 11:47:23 :
- ~
последний ~
嘆く彼を見て、フリーダはどうしたでしょうか。
同情した?それとも、見て見ぬ振りをした?
いいえ違います。彼女は彼を侮蔑したのです。そして滂沱の涙を今にも流しそうな彼に厳かに言いました。
フリーダ「......まだ悲しみを引き摺ってるの?正直、哀れだよ。人間は短命なんだ、私達とは違って」
エレン「それでも、人間にしては死ぬのは早すぎた!」
彼は叫びます。それは彼の慟哭 でした。友を亡くした悲しみを表した、慟哭。
フリーダ「ねえ、エレン。人間も私達もね、いつ死ぬか誰も判りやしない。どうやって死ぬのかも判らない。早く死ぬか遅く死ぬか。貴方の友人は早く死んだだけじゃない。いずれ生物は死んでしまうの」
彼女はエレンにそう諭しました。
エレン「......もう、いい。良い話とは、何だ」
フリーダ「............」
最初、彼女は黙りましたが、口を開きました。
フリーダ「人間の暮らしの中に、入らない?」
一瞬、静寂の時が流れます。
エレン「......もう、嫌だ。人間と、会いたくない......会ってしまえば、あの時の悲しみが甦 る。大切な友を作ってしまうから、悲しんでしまうんだ!」
彼を一瞥し、彼女は言いました。
フリーダ「......大切な友が居るからこそ、友が消えた時の悲しみは大きい。だけど、大切な友が居るからこそ、毎日が楽しいんだよ?......どうする、行く?」
エレン「......」
凄く長い時間、彼は非常に小さな声、呟き程度の声で「考えておく」と、言いました。
~первый ~
「......エルヴィン」
エルヴィン「はい」
「悪魔を知っているか?」
エルヴィン「勿論、知っています。国が屋敷と白金貨五千枚もの大金で依頼した、森の奥に潜むと呼ばれる悪魔。現在五つのチームが受諾し、森へ進出しましたが、どのチームも帰ってきていません」
「そうだ.......エルヴィン、行くか?」
エルヴィン「ご冗談を。私などの力では、恐らく殺せないでしょう。キース団.......失礼、キース教官」
キース「慣れなければ団長でも良いが?」
エルヴィン「まさか」
笑いが、その部屋に広がりました。
-
- 8 : 2019/07/13(土) 12:01:59 :
- ~
последний ~
一夜明け、外では太陽が昇っています。
しかし館内は薄暗く、夜なのかと間違えそうな程です。
スタスタ
ガチャッ
フリーダ「お早う、エレン!」
元気な声でフリーダが部屋に入ってきます。
エレン「......何故、ここに?」
彼の表情は困惑を表していました。
フリーダ「何故って、泊まったからだよ。それよりどうするの?またずっとこの館に引き籠り、詰まらない毎日を送る?それとも、人間と一緒に訓練するか......」
エレン「訓練?」
彼が俯 いていた顔を上げました。
フリーダ「あ、言ってなかったね。その場所は訓練所なんだ。でも大丈夫、エレンは強いし楽勝だよ」
エレン「......っ」
彼はうんとも言わず、ただただ黙っていました。目には未だ悲しみ、そして彼女にも読み取れなかった感情を募らせています。しかし悲しみは有りながら、軽く頷いたのでした。
~первый ~
キース「全員注目!!」
ある日の昼、教官は食堂で昼食を摂っている訓練生一同を見渡し言いました。
キース「今日、新しく訓練生が入る!来い!」
アルミン「へえ、新しい訓練生......」ボソッ
クリスタ「どんな人だろうね」ボソッ
呟き合いながら、入ってくる方向を見ます。
彼は扉を開け、入ってきました。妙に肌は白く、太陽の光を受けているのか判らないくらいです。
エレン「エレン・イェーガー、です。よろしくお願いします」
と、彼は短く挨拶をしました。
キース「よし、イェーガーは昼食を摂ったか?」
エレン「いいえ」
キース「じゃあ......そこだ、そこで食ったら後で教官室に来い」
エレン「はい」スタスタ
彼が座ったのは、アルミンのすぐ傍 でした。
アルミン「あ、よろしくね」
エレン「......ああ、よろしく」
微笑を浮かべながら、エレンのその場で初の友人が出来ました。
-
- 9 : 2019/07/13(土) 12:15:09 :
- ~
последний ~
フリーダ「えっ」
自分から提案したにも拘 らず、彼女は驚きの声を上げました。
エレン「......何だよ、自分から提案したのに」
フリーダ「いや、ご免。てっきり拒絶するのかと思ってたから、つい」
やっぱりどんなに彼女が蔑みの感情を彼に向けても、彼の悲しみは理解していたようです。
~первый ~
その後、彼の元には沢山の人々が集まってきました。
特に同席だったアルミン、クリスタ、ミカサとは、すぐに仲良くなります。
エレン「......」クスッ
いつの日か、悲しみに暮れていた筈のエレンには、微笑が浮かんでいました。
クリスタ「エレンって、どこから来たの?」
ある時、彼女は訊きました。特に意味も無かった質問ですが、彼の動きは止まります。
エレン「......秘密だ。でも、来た目的なら教えられる」
クリスタ「目的?」些 か躊躇していましたが、口を開きます。
エレン「強いて言うなら、『友達を作るため』」
クリスタ「友達を......?強くなるためとか、魔法を使えるようになるため、とかじゃなくて?」
エレン「......少し長くなるけど、善いか?」
彼女は頷きました。
-
- 10 : 2019/07/13(土) 12:33:50 :
- ~
последний ~
フリーダ「じゃあ、千年振りに人間と会うんだね」
エレン「......だけど、若干の恐怖もあるんだ。もしここの悪魔だとバレたら、殺される」
フリーダ「馬鹿みたい」
エレン「.......?」
フリーダ「エレンに敵う人間なんて、この世には居ないでしょ?」
しかしその言葉に、エレンの心は僅かに沈みます。
エレン「......そう、人間は、弱いんだ」
~первый ~
エレン「......イザベルとファーランという、友達が居たんだ」
彼が人間では無かったのも気にせず、近付いてくれた『人間の』友達、エレンからしてみれば初の友人達でした。
エレン「人間は、弱い。悲しいくらいに、弱い......もう判るだろ?」
クリスタ「まさか......」
彼女は既に察していました。
エレン「ああ......もう、死んだ。それから、かなり苦しんでいた」
黒い館で、彼はずっと閉じ籠っていました。光を遮断し、孤独でした。そして生憎彼は悪魔なのです。空腹など感じず、買い物にも行かず、人との交流など皆無でした。
エレン「ずっと、ずっと悲しみの波に溺れていた。死にたかった。だけど、死ねなかった!生きることは、アイツらへの償いだからだ!」
苦痛を浮かべ、思わず叫びます。しかし落ち着きを取り戻したエレンは、引き続き語りました。
エレン「......悪い。お前に話しても何の解決にもならな」
クリスタ「なるよ」
彼女は断言します。困惑を浮かべるエレンを凝視しながら。
クリスタ「エレンが本音を私に話してくれた。だったら、目的は達成したんだよ。今、そしてこれからも目的は達成し続けていく」
エレン「.......やっぱり、孤独だから......悲しみは......!」
後は言葉になりませんでした。滂沱の涙を流し、何を言っているのか聞き取れなかったのです。
だけど、エレンの心は彼等───イザベルとファーラン───が生きていた時に感じていた、『嬉しさ』『楽しさ』と言った、感情を取り戻しつつあります。
これから起こる事など、全く想像もせずに......。
-
- 11 : 2019/07/13(土) 12:50:41 :
- ~
последний ~
エレン「案外、これも一種の償いかもしれない」
フリーダ「償い......イザベルとファーラン、って言う人への?」
エレン「......アイツらは、最終的に......俺が殺したも同然だ」
フリーダ「......」
エレン「......なあ、その訓練所では、どんな奴が居るんだ?」
フリーダ「判らないよ。そこまでは調べてない。けど、何とかなるよ。いくら悲しみに呑まれても、そこで最良の友を作ればね」
~первый ~
「あ、噂の訓練生!」
エレン「噂......?」
クリスタ「普通、噂になると思うよ」
「私はミーナ。よろしく、エレン」
エレン「よろしく......」
ミーナ「あれ、クリスタと何話してたの?」
クリスタ「他愛ない世間話だよ」
ミーナ「それよりも今日、ミカサが」
ミカサ「呼んだ?」ヌッ
突如、ミーナも背後にミカサが現れました。
ミーナ「うわあっ!......吃驚 した......ミカサか......」
その場にはアルミンも居ました。彼は苦笑しながら言います。
アルミン「ねえ、エレン。どう?ここは」
エレン「.......」
しかしエレンは何も言わず、微笑を浮かべるばかりでした。
そして絶望は訪れます。彼の喜びは短時間だけだったのです。
-
- 12 : 2019/07/13(土) 13:07:52 :
- ~
последний ~
エレン「最良の友、か......作れるかな?」
フリーダ「作るだけじゃ駄目なの。守らなきゃね」
エレン「っ......」
彼の目に涙が溜まります。親友を守れなかった悲しみから、です。
しかし涙を堪え、決心して言いました。
エレン「ああ。次こそは......守ってみせる!」
~первый ~
「王!」
「何だ?」
その国の王に、臣下は告げました。
「魔族が、我が国へ攻めてきます!」
「何っ!?」
ザワッ
辺りは騒然とし、その場から逃げた者も現れました。
「ど、どういたしましょう!」
「......すぐ、迎え撃つ!魔族は強い!戦力を全て投入しろ!」
「全て!?」
「これは国家の存続を懸けた戦いだ!敗けは絶対に認めぬ!」
キース「注目!」
キース「知っての通り、魔族が攻めてきた!いずれこの待ちにもやって来るだろう!そこで我々も出兵し、東西南北の四班に分ける!」
魔族は、人間とは比べ物にならないほど強く、些か大袈裟かもしれませんが、象と猫ほどの差です。
エレンは東の班、ミーナは西、クリスタは北、アルミンは北、ミカサは西でした。
そしてこの戦争が始まったのは、彼が訓練所に来てからまだ一週間程しか経っていない頃なのです。
すぐに彼等はそれぞれの街門へ行きます。
クリスタ「......エレン、死なないでよ」
エレン「勿論だ......だが、お前らもな」
アルミン「......正直、凄まじい程の恐怖だよ。僕は戦闘には向いていないのに......」
見ると、彼の体は震えています。
エレン「......じゃあ、行ってくる」
そう言って彼は向かいました。久し振りに、悪魔の力を解放しようとしているのです。
-
- 13 : 2019/07/13(土) 13:22:32 :
- ~
последний ~
フリーダ「じゃあ、そろそろ行こうか」
エレン「お前も行くのか?」
フリーダ「いや、私は訓練所には行かないよ。訓練所までの道案内。その後は任せた」
エレン「......ああ」ガチャッ
~первый ~
彼の行った東門では、既に魔族が来そうでした。
「魔族が来たぞ!」
「迎え撃て!!」
魔族「人間どもめえええっ!!」タッタッタッ
エレン「......さっさと、散って貰おうか」スッ
彼は右手を鉄砲の形にする指鉄砲を作り、魔族に向かって構えます。
エレン「【死の弾丸 】」
ダァァァンッ!!
砲音が鳴り響き、黒い弾が魔族の胸を貫きます。
魔族「ぐうあっ!!」一撃必殺 。
魔族は地に落ちていきました。
魔族「なっ.......」ズリッ
エレン「......やっぱり嫌だ。生物を殺すのは」
しかし魔族は彼の威圧感に圧倒され、思わず後ろへ下がります。
エレン「【連鎖化催眠 】」
魔族「ううっ......?」フラッ
その魔法を掛ける否や、睡眠は連鎖し、魔族はバタバタと眠っていきます。
その光景に、人間側は唖然としていました。
エレン「......殺すよりは、こっちの方が好い」
未だ連鎖が続いている中、そう呟きました。
-
- 14 : 2019/07/13(土) 13:34:50 :
- 急いで打ってるから誤字多い!
─────────────────────────
~последний ~
ギギギギィィィ.....!!
重い扉を開き、太陽の煌 めきがエレンの目を光らせます。
エレン「......眩しい、な。これが太陽か」
千年前と全く代わらぬ太陽を見ながら、そう言いました。
フリーダ「......じゃあ、行くよ。準備は善い?」
~первый ~
エレン「【飛翔 】」フワッ
すると彼は宙に浮きました。方向を定め、力を入れます。
ビュゥゥゥゥゥゥンッ!!
凄まじい速さで、彼は空へ飛び立ちました。
彼はここ数日、悲しみを然程感じていませんでした。
何故なら、素晴らしい仲間がいたから。
喜びを分け合い、楽しさを分け合う、仲間が。
ビュゥゥゥゥゥゥンッ!!
まず、北に向かいます。
エレン「......?」
直ぐ様、異変を感じました。妙に静かなのです。
そして、絶望を見ました。
エレン「な......っ!!!」
血溜まりがそこら中に出来ています。何人もの人間が倒れ伏しています。
エレン「アルミン、クリスタっ!!」フワッ
叫びながら着地し、捜します。
エレン(そんな筈ない、生きている、生きて───!!)
発見したのは、倒れているクリスタでした。
-
- 15 : 2019/07/13(土) 19:56:15 :
- ~
последний ~
フリーダ「【飛翔 】」フワッ
エレン「【飛翔 】」フワッ
フリーダ「訓練所はあっち。北の方向だよ」
エレン「......」
彼は何やら考えているようでした。
フリーダ「......どうしたの?」
エレン「......何でもない」
そして彼等は、凄まじい速度で飛んでいきました。
~первый ~
エレン「クリスタっ!」
彼は駆け出します。死んでいないことを祈って。
クリスタ「......エレ、ン」
エレン「だ、大丈夫か!?」
彼は瞠目しました。彼女の腹には赤黒い血、腹に穴が開いていたのです。
クリスタ「......エレン、東に、居るんじゃ、ないの?」
エレン「......東に居る魔族は、全員眠っている筈」
クリスタ「......まあ、これが、幻でも、好いや.......ねえエレン」
喋ったら更に出血すると言うのに、彼女は話し続けます。エレンの静止など無視して。
・・・
クリスタ「......お願い......私を、殺して」
その言葉に、彼の身体は止まりました。
-
- 16 : 2019/07/13(土) 20:03:20 :
- oh......>>15がやや文章の上点がズレてる。。期待ですよ
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- 17 : 2019/07/13(土) 23:01:36 :
- >>16 oh......期待&お気に入りありがとうございます!
-
- 18 : 2019/07/14(日) 10:02:19 :
- ~
последний ~
彼は例の訓練所へ向かうまで、様々な出来事を思い出していました。
友を救いたかった後悔、自分ならそれが出来たかもしれないのに......!
しかし首を大きく振り、違う、次こそは救う、守るんだ、と固く決心します。
太陽の光が燦然と輝き、彼はフリーダに密かに感謝していたのでした。
~первый ~
エレン「殺してって......何で......!!」
そう。彼はイザベルとファーランが亡くなる際、その自らの手で殺めたのです。それでは正に、あの時の繰り返しです。
折角、友を死なせ感じた空虚を訓練所で麻痺させて来たと言うのに、これでは、また───!
クリスタ「ご免ね.......死ぬときは、魔族の攻撃で、死んだ、ってことに、したくない......」
見るとどくどくと鮮血は溢れてきます。
クリスタ「......我が儘、だけど......ごめ」
突如、クリスタは意識を失います。
エレン「く、クリスタ!おい!」
揺さぶりますが、起きません。生きてはいるのです。しかし、その溢れでる血液を一瞥し、一刻の猶予も無いと感じました。
最初で最後の我が儘を、叶えて───
赤黒い血を流し意識を失っている彼女が、そう言った気がしました。
-
- 19 : 2019/07/14(日) 10:22:53 :
- ~
последний ~
フリーダ「ここね」
エレン「あれか......」
彼は数十メートル先の訓練所をじっと凝視します。どこか懐かしさを感じ、謎の切なさを感じます。
フリーダ「じゃあ、私はそろそろ帰るね。次こそ、達者でやることを祈ってるよ」
エレン「......フリーダ」
何?と返す彼女に、言いました。
エレン「ありがとな」
訓練所の前に立ち、エレンは思います。
───似ているな。
エレン「なあ、次こそは絶対にさ、最高の友が出来たら、守ってみせるよ......フリーダ」
今まで彼が殺して───仕方がない事だったのですが───きた仲間を想いながら、彼は歩き出します。
・・・
こうして、彼の人生では最後の訓練所生活が幕を開きました。
~первый ~
彼が殺めた後、誰かの叫び声が聴こえました。それは、彼自身の声でした。それは、彼の慟哭なのです。
何で、何で、また───!!
自分が、酷く滑稽に思えてきます。彼は滂沱の涙を、彼女に話を聞いてもらった時のように流します。
その後、結果的には人間の勝利になりました。
北に居た筈の魔族の軍勢は、とある場所で大量死しているのが発見されました。誰の仕業かはハッキリしてませんでしたが、読者の皆様にはお判りでしょう。
そしてエレンは訓練所から消え去っていました。無論訓練所の皆は捜しましたが、見付かることは無いのです。
では、彼はどうしていたのか?
ギギギギィィィ......
・・・
あの漆黒の館に、引き籠ることになるのです。千年間もの長い間、ずっと。
・・・
こうして、彼の人生では最初の訓練所生活が幕を閉じました。
-
- 20 : 2019/07/14(日) 10:28:23 :
- ~エピローグ~
「全員注目!」
昼、教官が訓練生に向かって言い放ちました。
「今日、新たに訓練生が入る!それが彼だ!」
エレン「」スタスタ
彼は千年も昔に、同じような体験をしています。だから、あの日のように、彼は言います。しかし、僅かながら大きめの声で。
エレン「......エレン・イェーガーです。よろしくお願いします......!」
彼の人生で二回目、そして人生最後の訓練所生活は、果たしてどうなるのでしょうか?
Fin.
-
- 21 : 2019/07/14(日) 10:35:01 :
- ~後書き~
えっと......まず最初に、この物語の構成、解りましたか?そこが一番心配です。
それはさておき。
読者の皆様、このような駄作を読んでいただきありがとうございました。
何とも言えない結末ですね。でも、きっと彼は親友を作り、守り、時に守られながら生きていると思いますよ。
最後に。ロシア語でпоследнийは『最後の』、первыйは『最初の』と言う意味です。
by茹でた茄子
-
- 22 : 2019/07/14(日) 14:04:10 :
- これってさ、クリスタたちとの訓練所生活が未来と思わせておき、本当は過去だったってことか?
深読みしすぎ?
-
- 23 : 2019/07/15(月) 08:53:41 :
- >>22 いいえ全然深読みじゃないです。
-
- 24 : 2020/09/22(火) 07:20:30 :
- おもしぇー
-
- 25 : 2021/09/28(火) 00:44:07 :
- !!?
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