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夢の彼方に何を見た
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- 1 : 2019/05/13(月) 21:25:26 :
- エレン「まっ───────」
──────
──
─
エレン「待って!!!!」
夢・・・?
脂汗がしたたる。手が震えている。
動悸が止まらず、うまく息が吸えない。
あまりにも鮮明な夢だった。
げんしょ・・・?せきひ・・・?
なんのことだ・・・・・・?
俺は何を、呼び止めてたんだ・・・?
ミカサ「エレン・・・?」
エレン「ミ・・・・カ・・・・サ・・・。」
ミカサ「大きな声が聞こえたから、様子を見に来た。エレン、何かあったの?」
エレン「夢・・・・、を、見た・・・。」
ミカサ「夢?」
──────────
─────
─
アルミン「夢の中でエレンは、誰かが何かを話してる声をひっそりと聞いていて、そこから聞こえたのが「げんしょ」や「せきひ」って言葉だったんだ?」
エレン「ああ。断片的にしか覚えてねえけど・・・・。」
ミカサ「「まって」という声が聞こえたけど。」
エレン「あぁ!!!そう、そうなんだ!誰かを呼び止めてたみたいなんだけど、一体誰を・・・?」
───────
───
─
アニ「あんたの顔、ひどいよ。エレン。」
エレン「あ、あぁ。寝不足でよ。」
結局あの後眠れなくて、朝からずっーと眠い。
ちくしょう。「げんしょ」ってなんだよ?
ジャン「おい、猪突猛進猪野郎。最近たるんでんじゃねえのかぁ?おいおいおいおい、無視すんじゃねえよ死に急ぎや───」
エレン「───っるせえな!!!お前こそどうなんだよ、ジ・ャ・ン・ボ!!!母ちゃんが起こしてくれねえから朝は心配なんじゃねえのか!?」
ジャン「その呼び方やめろ、てめええええええええええええええ!!!!」
エレン「っ!!!離せよ!!!服が破けちゃうだろうが!!!」
アニ「はぁ、懲りもしないでよくやってられるよ」
ジャンの挑発にカッとなって、掴み合いの喧嘩をする時は決まって周りが見えない。けど、今日は違った。
エレン「(あれ・・・?なんだこれ・・・?)」
呆れているアニの顔、苦笑いのアルミンに、訳のわからねえポーズを見せあってるコニーとサシャ、相変わらず無表情のミカサ。この角度から見える壁の装飾から、机に並ぶ食器の色や枚数まで、見えた。
いや、「見えた」というより「知ってる」。
俺は、この光景を知ってる。
次にジャンが言う言葉もわかる。
ジャン/エレン「「お前手加減しろよ!」」
ジャン「はっ!?」
エレン「どう、なってんだよ・・・?」
ジャン「こっちのセリフだ!!さっきから俺の裏ばっかりかきやがって!!!まるで俺の動きが分かってるみてえじゃねえか・・・!?」
エレン「そう、感じたのか?ジャン・・・?」
ジャン「あ?あぁ・・・。」
確信した。
夢だ─────。
俺はこの光景を「夢」で「見た」────。
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- 2 : 2019/05/13(月) 21:34:44 :
- 予知夢?
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- 3 : 2019/05/13(月) 21:42:13 :
- ジャン「夢だぁ?ハハハハハ、こりゃ傑作だな!?俺がお前の夢に出てきて、その俺がここにいる俺と同じ行動をして、同じ言葉を喋ったって?」
エレン「笑い事じゃねえ。普通に考えてみろよ、ジャン!?俺は夢で、この場面を見たんだぞ!?そんなのおかしいだろ!?」
ぱちんっ!
隣に座っていたミカサが唐突に頬を叩いてくる。
エレン「────ってぇっ!?何すんだよ、ミカサ!!!!」
ミカサ「痛いのなら、今の状況は夢じゃないみたい。」
どうやら今が夢かどうかを確かめたらしい。
いってえな。もっとマシな方法はなかったのかよ。
アルミン「今のは?」
エレン「は?」
アルミン「ミカサから叩かれる場面は、夢になかったの?」
そういえば、そうだ。
ミカサからビンタされるなんて分からなかったし、知らなかった。
夢に出てきた事もない。
エレン「いいや・・・?」
アルミン「エレン、」
アルミンはおもむろにスプーンとフォークを自分の背中に隠し、こんな質問をしてきた。
アルミン「僕がこれから机に出そうとしてるのは、スプーンかフォークか、どちらかわかる?」
エレン「いいや。わからねえよ、そんなの・・・。」
アルミン「エレン。それってさ。夢じゃないんじゃないかな?」
ミカサ「どういうこと?アルミン。」
ジャン「一体どういうことだよ?」
アルミン「平行世界って、知ってる?」
平行・・・・世界?
なんだ、そりゃ・・・・?
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- 4 : 2019/05/13(月) 21:56:22 :
- アルミン「「今の世界とは違う世界」があるんじゃないかって理論があるんだけど、、、、えっーとそうだな・・・・。例えば、」
アルミンは立ち上がり、床にスプーンを落として見せる。
エレン「・・・・?何してんだよ、アルミン」
アルミン「今、スプーンを落とした僕がいる。それはこの世界の出来事に過ぎなくって、違う世界には、スプーンを落とさなかった僕がいるんじゃないかっていう話なんだけど。」
エレン「えーっと、すまん、もっと分かりやすく説明してくれねえかな?」
アルミン「簡単に言えば、「もうひとつの世界」があるんじゃないかって事さ。」
ジャン「それはわかったけどよ?なんでその、なんだ?へいこうせかい・・・?だっけ?そこにいるエレンが、こっちのエレンの夢に出てくんだよ?」
そうだ。仮にいくつも世界があったとして、なんで別の世界にいる俺の夢に、別の世界の俺が出てくるんだよ?
アルミン「そこ、なんだよね。そこがわからない。」
ミカサ「「げんしょ」や「せきひ」、「まって」の意味も気になる。」
エレン「・・・・。」
───────
───
─
「げんしょ、は誰が引き継ぐ?お前じゃ力不足だろう?」
「何を抜かす。げんしょは代々───が引き継いできたじゃないか!!!これからも歴史は繰り返す!」
「それじゃ、駄目なんだよ、」
─────イェーガー、それじゃ、だめなんだ
───────
──
─
エレン「─────っは!?はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・!?」
夢だ・・・。また、夢だ。
前よりも鮮明に聞こえた。
「げんしょ」を「引き継ぐ」。
そう聞こえた。最後には・・・?
イェーガー・・・。イェーガーって言ったのか?
エレン「っくしょう!何が、どうなってんだよ・・・・?」
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- 5 : 2019/05/13(月) 22:14:05 :
- アルミン「あれから夢は断続的に続いてる、のか。」
訓練兵時代から「夢」に悩まされていた俺は、調査兵団に入った。
調査兵団に入ってからも、鮮明だったり、濁ってたり、種類はまちまちだけど、いまだに夢を見る。
アルミン「それで今回は、「げんしょ」を「引き継ぐ」事を、「イェーガー」と呼ばれる人物と何者かが話し合ってるのを、エレンは聞いた。」
エレン「あぁ・・・。」
ふと隣の部屋に耳をすますと、クリスタの声が聞こえてくる。
クリスタ「げんしょたるその悪魔は、大地に君臨し、人伝いに継承を繰り返している。」。この子、悪魔には見えないんだけどなぁ。」
「げんしょ」────?
「継承」──────?
俺は隣の部屋に走った。
クリスタ────!なんでお前がそれを知ってんだ────!
勢いよくドアを開いたからか、クリスタはびくっと驚く。
クリスタ「エ、エレン!どうしたの・・・!」
エレン「それ・・・!今のっ────!!どこで知った!?」
クリスタ「今の・・・・?何のこと・・・?わかんないよ・・・!」
エレン「げんしょ!継承って!?なんのことだよ、クリスタ!!!!」
クリスタ「こ、この絵本のこと?」
は・・・・?絵本・・・・?
クリスタは俺に「原初の種」という、絵本を見せる。クリスタはページを開き、さきほど読んでいた行を俺に指差しで伝える。
エレン「・・・・・・。」
──────
「原初の種」
原初たるその悪魔は、大地に君臨し、人伝いに継承している。
人伝いとは、悪魔に身を捧げ、悪魔そのものになることを指す。
「ああ、次の継承は誰にしましょう」
「いっそ悪魔を刈り取ってしまいましょうか」
狩人はいった。
「それではだめです。狩人さん、それではだめなのです」
─────
エレン「同じだ・・・・。」
クリスタ「えっ?」
エレン「俺の夢と、同じだ・・・・。」
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- 6 : 2019/05/13(月) 22:26:19 :
- クリスタ「・・・?これは絵本だよ?架空のお話なの!」
エレン「わかってる、わかってるんだよ。だけど、同じなんだ。俺がみた夢と同じなんだ。」
コニー「クリスタ!そろそろ馬術の稽古だぞ!遅れたら兵長に叱られるぞー!」
クリスタ「ごめんね、エレン、私行かなきゃ。」
エレン「待って!!!!」
待って─────?
そうか。夢の俺は、クリスタに「待って」と言ったのか。
クリスタ「・・・?どうした、の?」
夢がみるみるうちに繋がって行く。
外には行っては行けない。
外には、ダメだ、危険だ──────
エレン「外には行くな!!!!クリスタ!!!!!」
そう叫んだとほぼ同時だった。
外で稲妻のような閃光が迸る。
閃光はやがて爆風となって、兵舎を吹き抜ける。
窓は吹き飛び、壁は燃え盛る。
燃えて落ちた壁の隙間から、何かが見える。
巨人だ・・・・!
エレン「なんで・・・・?ここに、巨人が・・・・!?」
アルミン「エレン!!!!逃げて!!!!」
クリスタ「アルミン・・・。あの巨人は・・・?」
アルミン「わからない!」
クリスタ「コニーは・・・?どうなったの・・・・?」
アルミン「わからないよ!!!とにかく逃げなきゃ!!!ここは危険だ!!!エレン!?はやく逃げなきゃ・・・・!」
エレン「「原初の巨人」────。」
アルミン「・・・、なんだって?」
俺は、奴を知ってる
エレン「奴は────」
「原初の巨人だ」
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- 7 : 2019/05/13(月) 22:55:03 :
- ─────
──
─
アルミン「原初の巨人・・・・っていったの?」
エレン「あぁ。俺たちの家系は、代々「原初を継いで」きた。」
記憶が混濁してるとしたら。夢の「エレン」と今の「エレン」の記憶が、ぐちゃぐちゃに混ざってるなら、その記憶はエレンの物じゃないのかもしれない。僕は直感で思った。
アルミン「君は、誰・・・・?」
エレン「グリシャ・・・。グリシャ・イェーガー・・・。」
─────
──
─
「先生!お願いします!」
グリシャ「こちらへ!!!急いでください!!」
─────
──
─
グリシャ「はい?」
「原初を使えば、治癒できる傷だ」
グリシャ「原初・・・?冗談じゃない!!!この傷を癒すために、彼を巨人にしようと言うんですか!?」
「一人息子なんだ!!!!この子がいなければ、私は、私は、生きていけない!!」
グリシャ「あなたはご自分の息子を悪魔にしたいんですかっ!!!!!」
「どのみち引き継げないくせに!!!」
グリシャ「・・・・!?」
「お前は原初の適性ではない!!!お前が引き継げないなら、次は誰が原初を引き継ぐ?お前じゃ力不足だろう?」
グリシャ「なにを、何を抜かす!?原初は代々イェーガー家が引き継いできたじゃないか!?歴史は繰り返す!繰り返すんだよ!」
「それじゃ、駄目なんだよ・・・。イェーガー、それじゃ、だめなんだ・・・。」
グリシャ「やめろ!!!!おい、やめろ!!!!手を離せ!!!それから、原初かは手を離せえええええっっっっ!!!」
カッ────────
───────
───
─
ミカサ「エレン!!起きて」
あれ、俺、何してたんだっけ・・・
エレン「ん・・・」
ミカサ「もう帰らないと。日が暮れる。」
エレン「・・・・あれ?ミカサ、お前、髪が伸びてないか?」
さっきまで、兵舎に、いたはず。
あれ、なんでだろう、なんで、俺は・・・。
ミカサ「そんなに寝ぼけるまで熟睡してたの?」
エレン「イヤッ、」
─すっげー長い夢を見ていた気がして
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- 8 : 2019/05/13(月) 23:14:08 :
────────
────
─
ミカサ「またはじまった。」
エレン「本当なんだって!!!俺は調査兵団にいて、兵舎で、くつろいでたらっ────」
ミカサ「「原初の巨人」が現れた、でしょ。エレン。もう20回はその話を聞いてる。」
エレン「・・・・・。」
ミカサ「疲れてる?エレン。」
エレン「疲れてんじゃねえよ。本当なんだって!!!」
「エレン・・・・!原初をどこで知った・・・?」
父さんは、みたこともない形相をしていた。
言葉が、出ない。
エレン「あ、、それは、、その、、、」
グリシャ「「原初」をどこで知ったんだ!!!!!エレン!!!!!」
─────
──
グリシャ「そんな・・・。まさか。「道」が、そこにまで広がっていたというのか・・・。」
「道」とは、俺と俺を繋ぐ一本道なのだという。つまりは、こっちで俺が見た夢は、むこうにいた俺の生活で、むこうの俺は、こっちの俺の生活を夢を通して見ている。
やがてこっちの俺は成長し、むこうの俺と同じ境遇で同じ人生を歩む。だから、「道」を夢で見たものは、あたかも、未来を見たかのように錯覚するのだと。
グリシャ「むこうに原初が現れたそういったな?」
エレン「う、うん!!!兵舎にで休んでるときに突然現れたんだ!」
グリシャ「なら、私は、遠くない未来に、誰かを「原初」にし、それを野放しにしてしまう、ということか。」
エレン「違うよ!父さんじゃないんだ!」
グリシャ「どういうことだ?」
エレン「診断した患者の、関係はなんなのかわかんないけど、とにかく!診断した患者の側にいた男が、その患者に「原初」を射ったんだ!!!」
─────俺にしか、できないことがある
────
──
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- 9 : 2019/05/13(月) 23:15:20 :
- 今日はここまでです。
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- 10 : 2019/05/14(火) 06:20:54 :
- 男は誰かな?
ハンネスとかないよなw
期待
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- 11 : 2019/05/14(火) 20:30:11 :
- ────────
────
──
俺達はハンジさんにまだ壊れていない兵舎集められた。俺の「夢」についての話し合いで、だ。
ハンジ「まず手はじめに、訓練兵時代から調査兵団入団時にかけて、エレンが見た夢を分かりやすいよう並べてみるよ?みんな、少し前の黒板に注目してくれ」
エレン「はい」
今、そこにいるエレンを「今のエレン」、原初の巨人を継承するはずだった、夢のエレンを「原初のエレン」としようか。
今のエレンがはじめて夢をみたのは、訓練兵になりたてのころ。「今のエレン」の当時の年齢は12歳。今から3年前の事だ。
さらに、夢が鮮明に見えだしたのもその頃。
そしてそれからは同じような夢を繰り返し見ながら、調査兵団に入団。兵舎で各自休憩をとっていた所、またしても鮮明な夢をみた。この時、「今のエレン」は15歳、つまり、現在だ。
話は「原初のエレン」に移って、「原初のエレン」が夢を通して「今のエレン」を見たのは、大体5~6歳だったんだよね?
それから「原初のエレン」は、まだ存命だったグリシャ氏に、夢で見た事を話し、警鐘を鳴らした。今から10~9年前の話だ。
さらに、「今のエレン」は物陰で話を聞いていた「原初のエレン」を見た。グリシャ氏の制止をふりきり、ある男が自らの息子と見られる人物に「原初」を射った場面だ。
先ほどの「原初のエレン」とグリシャ氏の会話から解釈すれば、この場面は、先ほどの夢から時間が経過した後の出来事だと推測できる。この時の「原初のエレン」が何歳なのかはわからない。
ハンジ「間違いないね?エレン」
エレン「間違いありません。」
ハンジ「これを見て、ひとつわかったことは、「原初のエレン」も「今のエレン」も、その記憶が未来にしても、過去にしても、10年を越えないことだ。恐らく、最後に書いた記憶も、グリシャ氏の「そう遠くない未来」という言葉を素直に受け止めれば、10年の期間は越えないだろう。」
ミカサ「つまり、エレンの夢は、5、6歳~15歳までの約10年間の間をループしている、ということですか?」
ハンジ「そういうこと。ただし、この場面、「約10年間の間しかループできない」と表現した方が正確だろう。約10年の間の記憶しか見られないなら、11年前と1年後の記憶を知る由がない。」
ハンジ「そこで重要になってくるのは、「せきひ」の存在だ。」
───────
───
─
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- 12 : 2019/05/14(火) 20:55:14 :
- ──────
───
─
グリシャ「これは・・・?」
・・・・。石?か・・・?
巨人の高質化に似ているが、範囲が並外れている。
森の木々はそれに飲み込まれ、湾曲しているし、無事であった木々さえ、高質化に侵食されつつある。
高質化がピキピキと音を立てて侵食する森の中央。悪魔が女性に林檎を差し出しているような装飾をされた、大きな「石碑」。
やや塵が積もっている。かなり長い間放置されているもののようだ。私はそれを払い、削れて読み辛くなってはいるが、かろうじて読み取れる文章を黙読した。
──────
──
─
ハンジ「そう、それだ。これで「夢=エレンの道」という理論は、信用できるものではなくなった。なぜならその記憶は「グリシャ・イェーガー氏」のものだからだ。」
たしかにそうだ。父さんの記憶を見たのは、この時だけじゃない。「原初」と会ったあの時もだ。
────────
───
─
アルミン「熱ッッッッ!?こ、コニー・・・!?無事か!?」
コニー「こっちだアルミン、クリスタ、エレン!はやく来い!焼けちまうぞ!!!」
コニーは焦っていた。アルミンの腕を力いっぱいに引っ張って、熱波の届かない陰に俺達を引きずり込む。
コニー「お前ら、怪我はねえのか!!!?生きてるよな!?」
アルミン「うん、僕は大丈夫・・・!コニーは?大丈夫なの?爆心地に近い位置だったみたいだけど・・・。」
コニー「ぶっ飛ばされたのがむしろよかったんだろうな、背中は痛えけど、なんてことない。」
アルミン「そう、よかった・・・。」
コニー「にしても、一体エレンはどうしたんだよ?虚ろな目してよ・・・?」
アルミン「実は─────」
───────
───
─
エレン「この2つの夢に、なんの共通点が・・・。」
ハンジ「じゃ、見に行くかい?その石碑。」
エレン「え・・・・?どこにあるかなんてわからないんじゃ・・・。」
ハンジ「あるんだよ!「侵食してください」って言ってるような木々が生い茂ってる所が。」
アルミン「巨大樹の森・・・・、ですか?」
ハンジ「そう。巨大樹の森。」
───────
─────
─
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- 13 : 2019/05/14(火) 21:24:55 :
- ────────
────
─
ハンジ「夜の移動は巨人と遭遇することが少ない。ただし、過信はしないこと。奇行種の接近に気が付いたら、速やかにその場を離れる。いいね?」
一同「はい!」
ハンジ「よし、総員、進め!!!!」
俺達は夜間、馬で巨大樹の森を目指すことになった。
頼りは、俺の夢、いや、父さんの記憶だ。
ハンジ「巨大樹の森に接近。一同一時停止!」
風向きが嫌に変わった。
強風ではないのだが、明らかに、なにか違う風だ。
ハンジ「・・・・。嫌な感じだね・・・。よし、総員、進─────」
────ピキッッッッ
────キキキキキキキキキキキキッッッッ
ハンジ「────ッ!?みんな下がれ!!!!!」
ハンジさんの声かけで俺達は一斉に後ろにさがる。何が起きた・・・・?一体、なんの音だ・・・?
距離をあけるために必要以上に馬で駆ける。
振り返っている暇さえない。
やがてその音が鳴りやんだ頃、俺達は振り返る。
エレン「なんだ、これ・・・・?」
ジャン「おいおいおいおい、巨大樹の森が、硬質化に呑み込まれてるぞ・・・・」
ハンジ「まるで、私たちを拒んでるようだ・・・。」
巨大樹の森は、その殆どが硬質化に呑み込まれ、闇夜で不気味に輝いている。
中心からは硬質化が巨大な柱を形成し、巨大な木々を貫く。
エレン「クソっ!!!あと少し、あと少しだったのに・・・!!!あと少しで、何かを掴めてたのに・・・!!!」
ハンジ「・・・・仕方ない。総員撤退!」
エレン「撤退!?なんでですか・・・!!あと少し、あと少しで手が届きそうなのに!!!」
ハンジ「焦りは禁物だよ、エレン。得体の知れない現状を前に、私たちが出来ることは撤退して、情報を収集することだけだ。わかるよね?エレン」
エレン「っく・・・・!」
ジャン「ハンジさん・・・!もう少しだけ、進みませんか!?」
エレン「ジャン・・・・!?」
ジャン「危険なのはわかってます!!!だけど、これはエレンとエレンの親父のルーツを紐解く為の一歩なんです!!!そのルーツが紐解けりゃ、それこそ巨人の「原初」にたどり着けるかもしれない!!!」
ハンジ「・・・・。」
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- 14 : 2019/05/14(火) 21:36:47 :
- ハンジ「・・・・・、私、そういう友情に弱いんだよなぁ・・・。わかった。もう少し進んでみよう。もちろん、みんなに意見は聞かなきゃ
ならないけどね。」
エレン「・・・・。」
俺は振り返る。ひとりひとりの目を見つめながら、「許可してくれ」と目で訴える。
ミカサ「もちろん、私は賛成。」
コニー「ここまできたんだ。今さら引き返すなんて考えてないぜ!」
サシャ「侵入者を拒むということは、その中には重大な何かがあるってことです!!私もついて行きますよ!」
クリスタ「私は・・・」
ユミル「賛成だ、クリスタも。」
クリスタ「えーっ!!ユミル!?私何も言ってないよ!!!」
残りは、アルミンだ・・・。
アルミン、お前は、付いてきてくれるのか・・・?
アルミン「付いていくよ。エレンは、僕のわがままに付き合ってくれたから。エレンになら、付いていける。」
ハンジ「じゃ、みんな賛成だね!!!よし、総員!!!!進め!!!!」
────────
───
──
─
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- 15 : 2019/05/14(火) 21:38:31 :
- 今日はここまでです。
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- 16 : 2019/05/15(水) 20:43:44 :
- ジャン「ったく・・・!どうなってやがんだ・・・!?あたり一面硬質化に侵食されてんじゃねえか・・・?」
硬質化の侵食は木々だけに留まらなかった。地面は硬質化による侵食で、まるでガラスの床のように変容している。
ハンジ「うーん・・・。これじゃ、馬が滑ってしまうね。」
エレン「(俺の記憶が頼りだっつうのに、何も思い出せねえ・・・。)」
ミカサ「・・・・エレン、大丈夫。今日がだめなら明日だっていい。焦る必要はない。」
ミカサはそう言ってくれるが、実際そうはいかないだろう。
ただでさえ、夜間の壁外は体力を使うのに、それをそう何度も繰り返すことはできないはずだ。
ちくしょう。俺の記憶が鮮明に、もっと鮮明になれば────
エレン「・・・・・・!」
硬質化に侵食された木々の間。
不自然な空間がある。
不思議だった。馬はかなりのスピードで走っているのに、この時は、時間の流れがゆっくりに感じた。
エレン「─────石碑だ」
ミカサ「・・・・!エレン!石碑を見つけたの!?」
馬を止めて、石碑の方向を指差す。
エレン「あそこの木の間だ。そこに、石碑がある。」
ミカサ「ハンジ分隊長!!!石碑を発見しました!!!」
ミカサは前方を走るハンジ分隊長に知らせる。
俺はその間も、石碑に吸い込まれるかのように、石碑を見つめていた。
ハンジ「場所は!?」
ミカサ「東方向の木々の間です!!!」
ハンジ「よし、でかしたぞ!」
───────
──
─
コニー「なんか、ここだけ空気が違うっていうか、雰囲気が変わった気がしねえか?」
ジャン「たしかに、な。」
ハンジ「周囲から風が入ってこないからかもしれないね。なぜだがこのあたりだけ、隙間なく硬質化してるようだし。」
コニーやジャンが言うように、ここに流れる空気は明らかに違った。
うまく表現できねぇけど、、、。
ジャン「おい、これ、なんだよ・・・?」
ジャンが見つめる先には、巨大な石碑がそびえ立っている。その石碑も例外なく硬質化に呑み込まれているのだが、他の硬質化よりも透明度が高く、石碑に刻まれた文字がはっきりと読み取れる。
エレン「「755年 エレン・イェーガー 継承3年 不慮の事故により、当人死亡 継承が途切れる・・・・」」
755年 エレン・イェーガー 継承3年 不慮の事故により、当人死亡 継承が途切れる
765年 エレン・イェーガー 継承10年 非適性の継承により、継承が途切れる
775年 エレン・イェーガー 継承20年 非適性の継承により、継承が途切れる
795年 エレン・イェーガー 継承55年 非適性の継承により、継承が途切れる
エレン「55年・・・?」
ハンジ「795年から55年後、、、、。850年・・・だね。」
この石碑にまだ刻まれていない、歴代の俺は、、、850年、、、つまり、現在の俺だけ。
795年の俺が「原初」を継承できなかったということは、795年時点で、「原初」は誰かに奪われ、「非適性の継承」が行われたことになる。
それから55年間、「原初」はどこかをさ迷い続けていて、「原初」の継承ができていない──────。
エレン「次は、俺が「原初」を継ぐ番、ってことか・・・?」
-
- 17 : 2019/05/15(水) 21:29:05 :
- ハンジ「掠れて読めないところを見るに、この継承の歴史は、たかだか100年や200年の話じゃない。何千年、何万年前から、「継承」は続いてるはずだ。そして、「原初」の力を狙っている者もいる。」
アルミン「「原初」が奪われる度に、継承者は、非適性継承者から「原初」を取り返すサイクルを繰り返している・・・。」
ハンジ「奪われた「原初」を奪還するために、歴代継承者は、「道」を通して未来の継承者に継承を促すんだな・・・。なるほどね、エレンの夢の謎が解けてきたね。」
エレン「795年の俺から「原初」を奪ったのは、誰だ・・・?」
55年前に奪われた「原初」は、兵舎で見たあの「原初」でほぼ間違いないはずだ。間違いないはずだが、どうやって「原初」を奪ったのか、なぜ「原初」を奪う必要があったのかが、わからない・・・。
───────
───
─
グリシャ「やめろ!!!!おい、やめろ!!!!手を離せ!!!それから、原初から手を離せぇぇぇぇぇ!!!」
カッ────────
原初の巨人「ウォォォォォッアアアアアアアアア!!!」
グリシャ「お前、何をしたか解っているのか!!!?シャーディス!!?」
シャーディス「こう、するしか、なかったんだ・・・・。」
グリシャ「俺達は悪魔を縛る枷だったんだぞ!!!!!一体、一体どうしてくれるんだ!!!!!」
──────
──
─
ハンジ「シャーディス・・・?「道」で、グリシャ氏はそう言ったのか?」
エレン「はい・・・。」
ハンジ「シャーディス・・・。キース・シャーディス?いや、それじゃ辻褄があわない。その記憶は55年前のもののはずだ。」
石碑に到達し、兵舎に戻った俺達は引き続き、「原初」に迫ろうとしていた。
ハンジ「捕らえている「原初」のうなじから、その非適性継承者を引きずり出せば、それが誰なのかわかりそうなものだけど・・・。」
──────
──
─
エレン「熱っっっ!?ハンジさん、ここは・・・?」
ハンジ「「原初」専用の特別な部屋さ。どうやら彼は熱さに弱いみたいだから、焚き火で部屋の温度を上げてる。」
エレン「熱さに弱い・・・。だから、あの時・・・!」
──────
───
─
コニー「でも妙じゃねぇか。」
アルミン「そうだね。なぜか「原初」は姿を現した時から動こうとしない。動けないのか、動かないのかはわからないけど・・・。」
ハンジ「アルミン!エレン!コニー、クリスタ!!!大丈夫?」
アルミン「大丈夫です!!!」
ハンジ「巨人は、あれだね。」
全長は15mほど。特別大きいわけじゃないが、「原初」はぐったりとしており、うつ伏せのまま動かない。
ハンジ「うなじを守る力もないところを見ると、この巨人には知性が無いか、そうとう疲弊してるかだ。」
ハンジさんは「原初」をまじまじと見つめながら話す。
ハンジ「目を見張るべきは皮膚から放つ熱波だ。自分の皮膚の一部が焼けただれてしまうほど、強烈なもの。外敵を寄せ付けないようにするために発しているとしても過剰だ。」
エレン「・・・・」
ハンジ「ちょちょちょ、エレン!?近付いちゃダメだってば!!!すっげー熱いんだよ、その子、って、あれ・・・・?」
俺が近づくと、道を開けるように熱波が止む。
エレン「・・・・・!」
「原初」に触れられる程近くに来たとき、「原初」は目だけをこちらに向けた。
その顔には生気が感じられず、諦めたような表情にも見える。
エレン「お前、なんなんだよ?」
答えるわけがない。だけど、こいつにしかわからないことなんだ。俺の記憶を丸まま奪っちまったお前にしか、わからねえんだよ。
エレン「なんとかいいやがれ!!!!!このっ、デカブツ!!!!「原初」って、「石碑」ってなんなんだよ!?なんで、なんで俺達なんだ!!!なんで俺達を選んだ!!!答えろ!!!!」
「原初」の顔面を容赦なく踏みつけながら畳み掛ける。記憶の全てを知ってるくせに、黙りこくってる態度に腹が立つ。
ハンジ「よすんだ、エレン!その子は地下室に運ぶ予定なんだ!!!ここで消滅したらもとも子もない!!!」
ハンジさんに止められてようやく俺はその場を離れた。
──────
──
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- 18 : 2019/05/15(水) 22:06:10 :
- 期待
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- 19 : 2019/05/16(木) 18:17:52 :
- ─────
──
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焚き火の明かりが煌々と照る地下室。
あの日見たのと同じ体勢で、「原初」はいた。
身体から放たれる熱波は、やはり俺を認識すると同時に止まる。
エレン「おい、そこから出てこいよ、「原初」。お前、なんで俺達から「原初」を奪ったんだよ。」
原初の巨人「・・・・。」
エレン「また、黙りか?」
ただ一つ、あの日と違うことがあるとすれば、
原初の巨人「ぅうぅ────」
ハンジ「おおおっ、なに、なに?どうしたの!!?」
「原初」は俺の呼び掛けに答え、胴体に比べて異様に細い脚で身体を支えながら、俺の前に歩み寄る。
原初の巨人「────ぅ────ぅ」
「原初」は俺に頭を下げている、ように見える。頭を床に擦り付け、何度も唸り声をあげる。床はその温度で「ジュゥゥゥ」と音をたてる。
エレン「なんだよ?謝りゃ許してもらえると思ってんのか!?俺が欲しいのは謝罪じゃねえんだ!!!!そこにいんだろ!?なら出てこいよ!!!出て来て俺に「原初」を寄越せ!!!!」
「原初」は、それを聞いてまもなく、頭をあげ、まるで差し出すかのごとく、うなじをこちらに向ける。
ハンジ「・・・・どうやら、戦う意思も、「原初」を宿し続ける意思も、彼にはないようだ。」
「原初」の後ろ姿はあまりに小さかった。
こいつは、誰かに無理矢理「原初」を投与されただけだったんだ。ある日突然、略奪者となって、化け物扱いされるようになった、哀れな人間だ。
エレン「お前、それを返そうとしてんのか・・・?俺に・・・?」
原初の巨人「ぅ─────」
こいつは、自分の命ごと、「原初」をあるべき場所に戻そうとしている。
お前にそこまでの重荷を背負わせた、「シャーディス」とは誰なのか。
俺はお前を喰って─────
エレン「お前を喰って、そいつが誰なのか、明らかにしてやる・・・・!お前の命は、無駄にしない・・・!」
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- 20 : 2019/05/16(木) 18:32:30 :
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─
「原初」は屋外に出される。「原初」は依然、うなじをこちらに向け、敵対の意思は見せていない。
サシャ「なんだか、あの巨人かわいそうですね・・・。一度は死の縁に立たされて、せっかく生き延びたのに・・・。」
コニー「人生の終わりが、こんな形なんだもんな・・・」
ミカサ「あの巨人はエレンから大切な記憶を奪った・・・・。あの巨人には悪いけど、ここで死んでもらわなきゃならない・・・!」
エレン「「原初」。」
呼び掛けに「原初」は少し顔をあげる。
エレン「なんか────。やりたかったこととか、ある、か?」
こいつは、自分の人生を歩むはずだった。
そのはずだったのに、自分の意思には関係なく、自分としての自分を絶たれた。
せめて最期に、なにかしたかったことはないのか。
エレン「俺の、いや、正式には歴代の俺、だが・・・。俺のせいで、お前をそんなにしちまって、せめて、罪滅ぼしさせてくれよ。ほら、顔踏んじまった件もあるしさ。」
原初の巨人「ぅぅぅん─────」
「原初」は首を横にふった。
なにも、思い残すことはないと。
エレン「そう、か。」
俺は「原初」の後ろに回る。
エレン「すまなかった。俺のせいで。」
─────それから
─────原初を守っていてくれて
─────ありがとう
────カッ────────!!!
エレン巨人「アアアアアア!!!」
ガブッ、ブチブチブチブチッッッッ──
うなじを噛みきる。同時に、「原初」を体内に取り込んだ。
─────ドクンッ
なんだ、この記憶は・・・・
───ドクンッ
だれの・・・・。
──────
──
─
-
- 21 : 2019/05/16(木) 18:49:53 :
- ─────
───
─
「ねぇ、お父さん。「原初の種」って、なあに?」
これは────。クリスタが読んでた絵本だ。
これは、子供の頃の俺の記憶────?
「「原初の種」は我々が継いできた宝物だよ。それは父さんの中にも、お前の中にもいる。名誉ある民族にしか、継ぐことは許されていないんだ。」
「宝物」だ・・・?冗談じゃねえ。
そうか、そうやって騙して、俺たちに「原初」を継がせてきたんだな。
────────
───
─
「父さん・・・?」
「「原初」が奪われた・・・・!?」
これが、最初に行われた、「非適性の継承」か。
これから、3年間、誰かが「原初の悪魔」の宿命を背負うわけだ・・・。
─────
──
─
・・・・?ここは、石碑、か?
石碑を見つめるひとりの人物。
その人物は石碑に書かれた継承の歴史を、指でたどりながら読んでいるようだった。
巨大樹の森の時の俺のように、それを見るのは初めてなのだろう。
・・・・・?待て・・・。
850年 エレン・イェーガー 継承85年 寿命による継承者死亡により、継承が途切れる。
────これは、次に「原初」を継ぐ「俺」の、記憶か。
キース「グリシャ、何をしている?」
グリシャ「今、何年だ・・・? 」
キース「・・・?」
グリシャ「シャーディス!!!今は、何年だ・・・!?」
キース「今は、795年だ・・・。」
──────
──
─
ハンジ「795年・・・。歴史は繰り返してるってことか。」
エレン「・・・。あのとき、「原初」を奪った、「シャーディス」は、キース・シャーディス教官・・・。」
ハンジ「本人かはわからないけど、関係はありそうだね。」
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- 22 : 2019/05/16(木) 18:59:49 :
- すいません、一旦ここまでにします。
今日、夜中になるかと思いますが、再度更新する予定です。
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- 23 : 2019/05/16(木) 22:38:36 :
- ───────
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キース「・・・・。私と同じ名前、か。」
ハンジ「はい。」
キース・シャーディス。その名前を頼りに、俺から「原初」を奪った人物を探っていた。
キース「・・・・。力になるかはわからないが、」
エレン「はい・・・。」
キース「「シャーディス」という性を、戸籍表で確認してみてはどうだ?例えば私の親族・身内からでもいい。しばしそこでまて。」
そういうとシャーディス教官は席を立ち、どこかに向かう。
数分後に、教官は分厚い本を2冊、俺達の前に置いた。
キース「本来、個人の情報を易々と教えるわけにはいかないのだが、その目を見ると、嘘を付いているようには見えない。特別に開示しよう。好きに見てくれてかまわない。」
ハンジ「お言葉に甘えて、拝見します。」
────────
────
─
エレン「(シャーディス性はこんなにいるのかよ・・・。この中から当人を見つけ出すのは至難の技だな・・・。)」
ハンジ「あった。」
エレン「え、本当ですか!!!?」
ハンジ「ここだ。「キース・シャーディス 750年誕生 795年死没」とある。年齢からしても、年代からしても、このキース・シャーディスが夢に度々あらわれた「原初」を射った男だろう。」
エレン「795年に死没・・・。」
ハンジ「存命ではないだろうと予想は付いたけど、あの事件後に無くなっていたんだね。このシャーディスさんなんだけど、キース教官の高祖父から数えて2世代目にあたる人物だ。これだけ、年代が離れてしまっているんじゃ、キース教官とは縁もゆかりもないも同然。」
エレン「そう、だったんですね。」
──────
───
─
キース「もういいのか?」
ハンジ「はい。当人が見つかりましたのでお返しします。」
キース「ところで、その私と同じ名前の人物は、私の血縁者だったのか?」
ハンジ「ええ、一応は。ただし、高祖父から数えて2世代目、かなり遠い関係なので、ほとんど無関係かと」
キース「そうか。私の先祖は、時を繰り返していたグリシャと会っていたのだな。不思議な話だ。」
───────
──
─
ハンジ「エレン。君の中に眠る「原初」だが、どうするつもりなの?」
エレン「・・・・。俺の代で、この輪廻を断ち切ろうかと考えてます。「死ぬために生きる」なんて、おかしいと思うんです。俺達は記憶を引き継ぐ為の器じゃない。」
ハンジ「じゃあ、君の子供には、「エレン」と名付けずに、「継承」もさせない、ということだね。」
エレン「はい。」
ハンジ「君が決めたことに、私は口出ししないよ。君がそうしたいなら、そうするといい。」
───────
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- 24 : 2019/05/16(木) 22:46:54 :
- 「はい───────」
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──
─
「っはっ!!!!はっ!!!」
エレン「どうした?眠れないのか?」
「お父さん、夢、みたんだ。げんしょ、つぐ、とか、聞こえたんだ。」
エレン「・・・・。お父さんもよく夢を見ていた。お前と同じような夢だ。」
「そうなの?」
エレン「あぁ、そうとも。その度に俺は、夢を辿った。そして、真実にたどり着いた時、俺は、「俺達の忌まわしい歴史」を断ち切ったんだ。」
「お父さんってすごい人なんだね!?僕、その話聞きたい!!!」
エレン「聞かなくていいさ。」
────いつかお前にも、見える。
────道を通して、俺がたどってきた道が。
───862年 エレン・イェーガー 「原初」を手放す────
─────END────
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- 25 : 2019/05/16(木) 22:49:35 :
- 今回で最終回となります
やや難解で、長文が多くなりましたが、閲覧くださってありがとうございます。
誤字については後日まとめて修正します。
それまで、読みずらい箇所があるかと思いますが、ご容赦ください。
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