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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

Ability World(1)~能力世界の《凍牙》の少年~

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  1. 1 : : 2019/04/03(水) 02:32:14
    Ability World(ノウリョクセカイ)

    注意事項

    ・グロ表現有り。苦手な方は逃げましょう。

    ・原作キャラクターとは異なる部分有り(一人称等)。

    ・誤字脱字(多分)有り。

  2. 2 : : 2019/04/03(水) 03:00:22
    「おいっ、準備は良いか?」



    「ああ」



    その二人組は、巨大な建造物──博物館の屋根に屈んでいた。



    「潜入開始だ」



    一人が鉄の板を退ける。天井裏に繋がっていた。



    「静かに行けよ」



    「分かってる」



    小声で話ながら、ゆっくり、ゆっくりと天井裏を歩いていく。時刻は深夜で、警備員が巡回している程度だった。



    「ここだ」



    男が指差したのは天井裏と室内が繋がっている唯一無二の道。鉄格子を外し、室内に飛び降りた。



    そこは倉庫だ。埃っぽく、蜘蛛の巣も多少張り付いていた。



    男が掛かっていた鍵を開け、そっと扉を開いていく。



    「今はいないな。行くぞ」



    小さく呟き、忍び足で歩いていく。そう、彼等は所謂こそ泥、泥棒だ。



    泥棒達が一歩ずつ狙っている物へ向かっている時、彼は現れた。



  3. 3 : : 2019/04/03(水) 03:21:35
    「お疲れ様でした」



    「っ!?」



    彼等は思わず振り向いた。



    そこにいたのは左足の無い車椅子の少年。冷徹な視線を彼等に投げ掛ける。



    「お前らの計画はもう失敗している......最初からな」



    車椅子の少年はそう告げたが、泥棒の彼等は勝ち誇った様な笑みを浮かべる。当然だ。彼等は自信の足。少年は車椅子。警備員も撒ける自信があった。



    車椅子で全速力の者に追い付ける筈が無い。──少年が一般人であったなら。



    「お前らには氷地獄の刑だ」



    少年は右手を掲げると、その言葉を唱えた。



    「《凍牙》の苦しみを篤と味わえ」




    瞬間、彼等は違和感を覚える。そしてその答えも直ぐに理解した。



    「なっ......氷!?」



    「精々足掻け。そして絶望して死ね」



    少年は両手に尖った氷──氷柱を持っていた。



    氷柱を上に投げる。天井スレスレで落ちてきたそれは、彼等の頭目掛け落下する。



    彼等は手で頭を守る、筈だった。しかし、足の氷は手まで届いており動かす事は出来ない。



    「うああああああっっ!!」



    「やめろおおおおおっ!!」







    何かが砕ける鈍い音がした。





    「氷柱だからって甘く見てはいけない。充分凶器だ」



    そう言い残すと、少年は身を翻した。車椅子の状態だが。
  4. 4 : : 2019/04/03(水) 16:23:26
    少年は家へと帰還する。目立たぬ所にある平凡な家だった。



    「......毎回玄関で(つまず)くんだよな。何か板でも設置するか」



    そんな独り言を呟きながら、玄関に最も近い部屋に入る。



    「......ゴメン」



    少年は悲しく笑い、いや自嘲し、それ(・・)の前までやってくる。



    「......僕は、そろそろここを出なければならない。大丈夫、住むところは既に決まっているからな。本当に悪いとは感じているが、耐えられなかったんだ......父さん、母さん」



    少年は、頭を深く下げ、目の前のそれ(・・)──少年の両親の遺骨に手を触れる。



    「じゃあな......」





    少年は家の外へと出る。涼しい風が吹き、彼の髪を軽く揺らした。



    そして右手を掲げる。先刻の博物館での時の様に。



    「《凍牙・天樹氷》」



    突如、その家の周りからカチカチと凍っていく。その光景を寂しげに彼は見ていた。



    全てを凍らせ呑み込む氷は、やがて天まで届きそうな巨大な樹氷へと変化していた。



    「この、《アビリティー》さえ......能力さえ無ければ......!」



    ──僕は笑いながら今を過ごしていたかもしれない。



  5. 5 : : 2019/04/03(水) 16:45:42
    期待でーす
  6. 6 : : 2019/04/03(水) 21:52:15
    >>5 ラーメンラーメンさんありがとうございますm(_ _)m ラーメンラーメンさんも頑張ってください。
  7. 7 : : 2019/04/03(水) 23:09:02
    その施設では、《アビリティー》保持者が集まっていた。彼等は講義室で講義を受けている最中だった。



    「《アビリティー》、即ち能力とは、極一部の者が持つ魔法の様な物だ。産まれた頃は何も無く、成長していくと突如能力を得る。科学的にはまだ解明されていない。無論強弱もあり、強い者では簡単に人を殺害可能。しかし治療能力を得る者もいる」



    教壇に立つ教師が語り終わると、生徒が手を挙げた。



    「キース先生」



    「何だ、アルレルト」



    金髪の小柄な少年だ。



    「何か音がします......東側から」



    キース「音だと?」



    彼が東へ数歩進んだ瞬間、響き渡る大声で叫んだ。



    キース「危ないっ!!」



    燃える巨大な大岩が、その部屋へと飛んで来た。熱風が襲い、彼等は飛ばされる。



    「うっ!」



    「アルミン、大丈夫!?」



    アルミン「ううっ......あ、ありがとう。ミカサ」



    先程の金髪の少年──アルミンが、右腕を擦りながら立つ。



    アルミン「ちょっと打ったけど、大丈夫」



    キース「全員無事か!」



    「おっと、逃げれると思うんじゃねえぞ」



    崩れた壁から出てきたのは、少年少女の二人だった。



    「俺はイザベル・マグノリアだ」



    「ファーラン・チャーチだ」



    キースは驚いた声で叫ぶ。



    キース「まさか......《煉獄》と《雷電》、非合法組織『黒水晶』かっ!?」



    ファーラン「御名答。今回お前らを狙ったのはただ一つだ......お前らの中に《神治》を持つ者がいる」



    《神治》。かなり強力な治療系の能力であり、時には一生遊んで暮らせる様な高い金で雇おうとする所もある。



    「っ!」



    その中、一人の少女が反応を示す。



    イザベル「お前か」



    キース「止めろ!もしも拐かすつもりならば、こちらも力ずくで行く」



    イザベル「ちっ......仕方ねえ、殺るぞファーラ......」



    鈍い音と共に、血の雨が降り注ぐ。



    イザベル「ファーランっ!?」



    キース「氷......!?」



    その氷、いや樹氷は、部屋の天井を軽く貫いていた。天井にファーランがくっつき、貫かれた腹からは内臓と血液が覗いている。



    「これは僕にも害のある事だから、貫かせて貰った」



    入り口から入ってきた少年に、部屋の者は全員注目する。



    車椅子を一人で動かしながら、冷笑を浮かべているその少年には、左足は存在しなかった。



    「次はお前を殺るが、良いか?僕にとっては容易い事だが」



    イザベル「ちっ!《煉獄・獄手》!!」



    炎で形成された手、獄手が、車椅子の少年へと向かう。彼は逃げもせず、泣きもせず、ただ右手を掲げ、その言葉を告げていただけだった。




    「《凍牙》の苦しみを篤と味わえ」



    ──凍ったような目でじっと見透かしながら。
  8. 8 : : 2019/04/06(土) 19:55:08
    ──時折、あの人のあの言葉を思い出す。



    『納得いかない事もある。だが不条理も全て引っ括めて、この世界を───



    だがあの人は、僕の前から忽然と消えていった。



    そして、忽然と現れた。



    ──あれ(・・)として。




    カシャァァンッ!



    獄手は凍りついた。



    イザベル「なっ......!?」



    イザベル(ただ、触れただけで!?)



    「そう言えば、僕の自己紹介を忘れていた」



    カシャァァン......



    凍った獄手を砕き、イザベルの目を見て言った。



    「......エレン・イェーガー。能力は《凍牙》」


  9. 9 : : 2019/04/06(土) 20:31:20
    イザベル「エレン・イェーガー......!まさかお前は、あの──」



    彼女の足下から氷が飛び出す。



    イザベル「っ!」



    身を捩らせ回避する。



    エレン「僕は悪魔じゃない。慈悲は与える」



    エレン「《凍牙・砕散布》」



    イザベル「......?何が......」



    ギシッ



    彼女の側の樹氷から軋む音がする。



    イザベル(ファーランを貫いた樹氷っ!)



    エレン「そこの彼はまだ生きているが、これが割れて運が悪ければ死ぬ。......助けるかは、お前が選べ。行ったら怪我は負うけどな」



    エレンが言い終わる前に、イザベルは既に樹氷の方へ向いていた。



    ギシッ



    ギシッ



    カシャッ



    カシャァァンッ!!



    樹氷が割れ、ファーランもろとも落ちてくる。氷は、紅く血で染められていた部分もあった。



    イザベル「っ......ファーラン!」



    氷の破片に傷を受けながらも彼の身体を受け止める。



    エレン「さて、どうする?退却か、死か」



    イザベル「......!」



    彼女は崩れた壁から、素早く出ていった。



    エレン「全く、時間が無駄になったじゃないか......」



    エレンは後ろで唖然としている者達に語りかけた。



    エレン「......この訓練所(・・・)で生活させてくれませんか?」
  10. 10 : : 2019/04/07(日) 20:21:46
    期待!
  11. 11 : : 2019/04/07(日) 20:29:31
    >>10 名無しさんありがとうございますm(_ _)m
  12. 12 : : 2019/04/08(月) 20:40:28
    イザベル「ぐっ......これは(まず)いな」



    撤退した彼等は、『黒水晶』の本部へ戻っていた。



    「《煉獄(お前)》は軽傷を受け撤退。《雷電(ファーラン)》は生と死の境目を彷徨っている。愚かだな」



    イザベル「黙れ」



    揶揄してきた者をイザベルは睨む。



    「それより、お前を倒したのは何処の誰だ?」



    イザベル「......なあ、エレン・イェーガーって知ってるか?」



    男は首を横に振り、知らない、と言う動作を表す。



    イザベル「何処かで聞いた事があるんだ......」



    「そいつか?」



    イザベル「ああ。悪い事は言わない。止めておけ」



    「安心しろ。こっちは三人で行く」



    イザベルは自信満々の男に溜め息を吐く。呆れ、哀れみの感情からだった。



    その時、警報が鳴り響く。



    イザベル「なっ!?」



    「恐らく、別組織......『恐怖(ティーメン)』か、『紅菊』だろう」



    舌打ちをしながら立ち上がる。



    イザベル「行くぞ。追い返せ」
  13. 13 : : 2019/04/09(火) 20:58:10
    キース「全員注目!」



    食堂にて、キースが大声で呼び掛ける。訓練生は一斉に彼の方を向いた。



    キース「先程、正式に彼、イェーガーが、貴様ら訓練生の一人となる事が決まった!」



    あの騒動後、四方八方から何事かと教師が集まってきた。その彼等が受け持っていた訓練生らは、外へと避難させたらしい。



    幸い怪我人は少なく、居ても僅かな傷だけであった。



    攻めてきた組織、『黒水晶』の二人組を撃退させた車椅子の少年の話は既に広まっており、一部報道機関ではエレン本人や回りの訓練生を取材すると言う噂もあった。



    だがしかし、彼が何の目的で此処に来たのかは知る者はいなかった。



    キース「イェーガー、来るのだ」



    そして左足を失った車椅子の少年、エレンが入ってくる。



    エレン「......僕はエレン・イェーガー。生憎こんな状態だ」



    と、自らの脚を見て笑う。自嘲の笑みだ。




    エレン「色々面倒を掛けるかも知れないが、これからよろしく」



    キース「......と、言う訳だ。これからは彼と共に訓練に励め!......以上」



    キースが食堂から退場する。その時を待っていたかの様に数人、エレンに話し掛けてきた。

  14. 14 : : 2019/04/11(木) 23:13:25
    「ちょ、お前、あれは何だったんだよ!」



    訓練生の男が話し掛けてきた。



    エレン「あれ?」



    すると別の男が、



    「ほら、『黒水晶』が攻めてきた時、容易く追い返したよね」



    エレン「......悪い、名前を教えてくれないと分からない」



    「ああ、そうだったな。俺はジャンだ。《アビリティー》は《アラ・クネ》」



    ジャンという馬面の男は頭を掻きながら言った。



    「えぇっと、僕はアルミン。《アビリティー》は《平行世界(パラレルワールド)》」



    小柄な金髪少年のアルミンは少し俯いて言った。
  15. 15 : : 2019/04/12(金) 20:31:23
    待って今更だけど《並行世界》だった......
  16. 16 : : 2019/04/12(金) 21:06:47
    エレン「で、何が()きたい」



    アルミン「いや、エレンって強いんだな、って」



    しかし彼は首を横に振る。



    エレン「生憎、上には上がいる」



    ジャン「お前より強いのか?」



    エレン「《忘却(オブリヴィオン)》だ」



    突如、エレンがその言葉を言う。



    アルミン「?」


                        ・・・
    エレン「僕と互角か、或いはそれ以上か......あの人の《アビリティー》。それが《忘却(オブリヴィオン)》」









    イザベル「ちっ!」



    「糞っ、やはり『紅菊』か......」



    イザベルと男は、『紅菊』の侵入者と乱戦していた。



    イザベル「《煉獄・花鳥風月》!」



    炎は次々と生み出されていく。敵を中心とした炎の花が咲き誇り、不死鳥を連想させる炎の鳥。風に吹かれた様に炎が揺れ、三日月形の炎が、侵入者に全て向かっていく。



    紅菊団員「ひいいっ!!」



    全ての炎が彼を(まと)う。その熱に耐えきれず、地面のタイルは黒く焦げていた。



    イザベル「ちっ......まだまだ居るんだろ」



    「ああ。面倒だが行くぞ」


  17. 17 : : 2019/04/14(日) 10:42:24
    イザベル「《煉獄・獄手》!」



    炎の手が、紅菊団員達へと飛んでいく。



    紅菊団員「避けろ!!」



    獄手を上手く回避し、両手に持った銃を構える。



    紅菊団員「撃てっ!!」



    無数の銃弾が放たれ、彼女は物陰に隠れ回避する。



    イザベル「《煉獄・獄手》!」



    獄手が放たれ、彼等はそれを避け、銃弾が放たれ、彼女はそれをまた回避するの繰り返しだった。



    イザベル(糞っ......このままじゃ埒が明かねえ......)



    「イザベル、これだ!」



    何者かから、謎の物体を投げられる。



    イザベル(これは──手榴弾!)



    手榴弾を着火させ、爆発する前に団員達の方へ投げる。



    紅菊団員「(まず)い、避け──



    ドカァァァァンッ!!



    イザベル「......殺ったか?」



    彼女は爆発を確認した後、あの手榴弾を投げてきた方向へ目を向ける。



    イザベル「ファーラン!?」



    腹は包帯でぐるぐる巻にされたファーランだった。

  18. 18 : : 2019/04/16(火) 13:59:59
    イザベル「だ、大丈夫なのか......」



    ファーラン「治癒能力を持つ奴等を掻き集めて貰い、何とか出血は止まった。まだ痛みは激しいが。油断した......気が付いたら本部で吃驚(びっくり)したぞ」



    イザベル「......エレン・イェーガーって知ってるか?」



    しかし彼もまた男と同じ首を横に振る動作をする。



    ファーラン「それが、彼奴(あいつ)の名前なのか?」



    ファーランが()いてきたが、イザベルはただ「ああ」と言っただけだった。



    そしてたった一人、思いを巡らす彼女がいた。



    イザベル(エレン・イェーガー......イェーガー......まさか、あの───)
  19. 19 : : 2019/04/18(木) 21:13:34
    エレン「ひっくしゅん!」



    突如、エレンが()る。



    ジャン「風邪か?」



    エレン「いや、急に出た......誰か噂しているんじゃないのか」






    食事を摂り終え、彼等が向かったのは割と大きめのグラウンドだった。



    キース「それでは今から《アビリティー》の訓練を始める!」



    エレン「訓練?」



    何も知らない彼が傍にいたアルミンに()いた。



    アルミン「《アビリティー》......能力を使う訓練だよ。例えばあの案山子(かかし)に攻撃したり、お互いに戦いあったりする。戦い合うのは無論相手が死なない範疇だけどね」



    エレン「成る程。じゃあ僕は案山子に殺った方が良さそうだ」



    「待って」



    よくアルミンと行動を共にしていた彼女は言った。



    アルミン「ミカサ?」



    ミカサ「......こんな事を言って気を悪くしたら申し訳無いけど」



    一刻言うのを躊躇したが、結局口を開いた。



    ミカサ「貴方は......()()、どちらなの?」



    彼はやや困惑、だが冷静に言った。



    エレン「......黒とか白って、何の事だ」



    ミカサ「貴方の、底、実力が見えない。左足が欠損していると言うのに、恐ろしい程見えない」



    悪い、全然何言ってるのかわからない、とでも言いたげな表情をアルミンに送る。



    アルミン「ええとね......まず、このミカサの《アビリティー》には、相手の実力も理解できる機能もあるんだ」



    ミカサ「......《残酷なる殺戮者》。自分の身体能力を三倍に強化する。あとはアルミンの言った相手の実力も分かる......でも、貴方の実力は全く見えなかった」


  20. 20 : : 2019/04/22(月) 17:47:09
    更新速度遅れるかもなぁ(というか遅れてる)......気分転換にまとめる。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    エレン・イェーガー

    《Ability》【凍牙】
    氷を形成する。又、触れた物を凍らす事も出来る。


    ミカサ・アッカーマン

    《Ability》【残酷なる殺戮者】
    自分の身体能力を三倍にする。又、相手の実力も大体理解できる。


    アルミン・アルレルト

    《Ability》【並行世界(パラレルワールド)
    もう一人自分を召喚でき、両者操作可能。片方が死ぬと自分の意識、記憶はもう一人への方へと移る。二人ともいる場合時間経過で片方が自動的に消滅する。


    ジャン・キルシュタイン

    《Ability》【アラ・クネ】
    巨大な蜘蛛に変身する。頭を吹き飛ばされない限り無限に再生可能。


    イザベル・マグノリア

    《Ability》【煉獄】
    炎を形成出来る。又、様々な物を溶かす事も可能。


    ファーラン・チャーチ

    《Ability》【雷電】
    電流、電気を操れる。しかし強力すぎる電流を出すと倒れる場合が多い。




    《Ability》【忘却(オブリヴィオン)
    エレンと何かしらの因縁がある人物であり、強さは互角かそれ以上。

  21. 21 : : 2019/04/22(月) 20:10:48
    エレン「それは能力の問題だと思......」



    彼は反論したが、遮ってミカサは言った。



    ミカサ「見ようと思えば見れる(、、、、、、、、、、)。見れる。でも......見てはいけない。見たら恐らく......死ぬ」



    エレン「大袈裟な......じゃあな」



    ミカサ「待って!」



    彼女は再び引き留める。



    ミカサ「勝負して」



    アルミン「ちょ、ミカサ?」



    エレン「......勝負?」



    彼の目が急に冷めた様に、冷たく視線を送る。



    ミカサ「貴方は私より遥かに強い。例え貴方の車椅子が無く、地面に座っているだけでも負ける」



    エレン「......お前は何を望んでいる」



    ミカサ「強さ」



    きっぱりと断言した。



    その言葉から呆れを抱いたのか、溜め息を吐きながら急に車椅子で数メートル離れた。



    そして指で挑発しながら言った。



    エレン「来い。そして《凍牙》の苦しみを(とく)と味わえ」

  22. 22 : : 2019/04/22(月) 20:21:31
    戦い始めて三十分が経過した。



    ミカサ「ぐっ......」



    ミカサの身体からは至る所から出血していた。



    エレン「......呆れるな」



    そして無傷、それも一歩も動いていないエレンは、再び溜め息を吐いた。



    ──結果は誰が見ても分かる様に、ミカサの惨敗だった。



    アルミン(あの、素でさえ強いミカサが?)



    いつの間にか彼等の戦いを誰もが注目し、キースもまたそれを眺めていた。



    ミカサ「くっ!」



    エレン「はぁ......」



    走り出したミカサへ、尖った氷が向かう。それを横へ回避したが、地面から同じ様な氷が飛び出す。



    鮮血が空中へと飛散した。



    エレン「じゃあな。《神治》......クリスタだったか。彼奴(あいつ)に治療して貰えよ」



    エレンは建物へと帰っていった。


  23. 23 : : 2019/04/24(水) 15:34:17
    「だ、大丈夫?」



    小柄な金髪の少女──クリスタが()()ずと声を描けてきた。



    ミカサ「クリスタ、お願い」



    クリスタ「わかった......《神治》」



    光が浮波々々(ふわふわ)とミカサの傷口へ向かって行く。数刻の後光は消え、出血していた肌は元通りになっていた。



    ミカサ「ありがとう」



    クリスタ「いくら私が居るからって、ここまでやらなくても善いのに......」



    そこへアルミンが口を挟む。



    アルミン「あれは本気じゃないと思うよ......」



    ミカサ「最後の一突き。あれは私が避ける事を想定していて放った物......対処出来なかった......」



    残念そうに首を振りながら言った。






    冷風が吹き、三日月が爛々と耀く深夜。



    その者達は倉庫に居り、一人は狩られる側、そして一人は狩る側だった。



    「やや、止めろ!俺は嫌々此処に来ただけで、本当は攻めたかった訳じゃない!」



    もう一人──狩る側は、冷酷を感じさせる声を放った。



    「紅菊の刺客......俺が直々楽に死なせてやる。感謝するんだな」



    ギ......ッ、ギギッ......!



    彼の右腕が巨大化した。否、巨大化だけではない。彼の右腕その物が別の右腕に変化した。元々の様な白みは無く、無機質で機械の様な腕で、長さは一メートル以上ある。爪は鋭く──喉をも切り裂けそうな程尖っていた。



    「ああ、っあ......!!」



    言葉にならない叫びを上げながら、壁にぴったりとくっつく。



    「頼む、見逃してく──」



    言い終える前に残虐にも頭部ごと斬り飛ばされていた。



    ゴロゴロと頭が転がる音がする。



    「流石だね」



    拍手を鳴らしながら近づいてくる者が居た。黒いコートを(まと)っている女だった。



    「どうせなら私の実験の実験台(モルモット)にしてくれれば()かったのに」



    「黙れ。お前の実験は危な過ぎて怖い」



    「へえ。黒水晶の頂点(・・)に立つ者でも怖い物って有るんだね」



    彼は彼女を睨み付ける。



    先刻(さっき)の刺客みたいにしてやろうか」



    「冗談だよ」



    月に黒雲が重なり、耀いていた光は遮られてしまった。

  24. 24 : : 2019/04/25(木) 19:42:48
    期待
  25. 25 : : 2019/04/26(金) 19:40:00
    >>24 名無しさんありがとうございますm(_ _)m
  26. 26 : : 2019/04/26(金) 19:58:15
    朝日がエレンの顔を照らす。眩しさに思わず眼を覚ました。



    エレン「う......朝か......」



    その時、偶々(たまたま)隣にいたアルミンが、「おはよう」と声を掛けてくる。



    エレン「そうか......僕はここに来ていたんだったな」



    そこは男子寮で、昨夜ここについて紹介されたばかりだった。



    アルミン「テレビでも見る?」



    アルミンがリモコンに手を伸ばそうとすると、突如エレンが言った。



    エレン「何か悪寒がするんだが」



    アルミン「風邪?」



    「イェーガー、居るか?」



    キースが扉から出てきた。



    エレン「......何でしょう」



    キース「どうやら新聞社が明日の新聞に載せたいらしい。そこでイェーガーに取材を求めてきた」



    エレンは明らかに面倒臭そうな顔をしながらも、渋々頷いた。





    エレン「地獄だった」



    取材終了直後、彼が発した第一声がそれだった。



    アルミン「一時間ぐらい掛かったよね......そう言えば、朝食を摂ってないんだ、エレン」



    エレン「あの記者、最早(もはや)関係無いところまで()いてきたぞ。趣味は何ですかとか、好きな人は居ますかとか」



    「もう取材はご免だ」と車椅子に思い切り(もた)れながら言った。



    キース「イェーガー、済まないが」



    エレンを捜していたキースが声を掛けてくる。それに嫌な予感を感じてしまう。



    エレン(何か、物凄い嫌な予感が......)



    キース「今度は別の新聞社から依頼だ。頑張って来い」



    がっくりと肩を落としたエレンだった。



  27. 27 : : 2019/04/26(金) 20:14:37
    エレンが訓練所に来てから一週間が経った。



    基本的に朝食、訓練、昼食、訓練、講義、夕食、休憩、睡眠の繰り返しである。だが、これは『基本的に』の話であり、緊急事態にその流れは変化する。



    緊急事態は、来てから一週間が経った朝に起こった。



    男子寮でいつもの様に起床する。



    エレン「んん......起きるの早いな、コニー」



    坊主頭のコニーが既に起きていた。



    コニー「おうエレン!俺は早寝早起きで健康体だからな!」



    アルミン「おーいベルトルト起きろー」



    弱冠棒読みのアルミンが、素晴らしい寝相のベルトルトを揺らす。



    ベルトルト「うっ......もう朝か」



    ベルトルトの身長は百九十センチを超えており、一番背が高い。籠球(バスケットボール)ではかなり役に立つだろう。



    「今日の天気は曇りだな」



    ベルトルト「ライナー、どうして(わか)るの?天気予報見てないよね......」



    大柄のライナーが言った。彼の立場は頼りになる兄貴的存在だ。



    ライナー「ベルトルトの寝相が曇りだったからな」



    ベルトルト「ご免。全然(わか)らない......」



    その時、男子寮の扉が勢いよく開いた。



    「ねえっ!クリスタ知らないっ!?」



    アルミン「あれ、ミーナ。知らないけどどうしたの?」



    ミーナは息を切らしながら言った。



    ミーナ「クリスタが......クリスタが消えた(・・・)!」

  28. 28 : : 2019/04/27(土) 11:07:22
    ライナー「クリスタが消えたっ!?」



    ミーナ「朝起きたら、クリスタの布団だけもぬけの殻で、皆で捜したんだけど......」



    エレン「......まさか、『黒水晶』か?」



    エレンが独り、呟いた。





    キース「今朝、レンズが突如失踪した!」



    食堂でキースが言った。



    キース「彼女の荷物が持ち出されていない件、一週間前に『黒水晶』が彼女を狙った件から、誘拐の可能性が高いと見られる!......エルヴィン」



    エルヴィン「はい」



    傍にいたエルヴィンが返事をした。



    キース「策は考えているか?」



    エルヴィン「はい。奪還作戦を警察、それと我々教師で行......」



    ライナー「待ってください」



    突如ライナーが口を挟んだ。



    ライナー「俺達もクリスタの仲間です。俺達も協力します!」



    エルヴィン「しかし、君達はまだ若い。下手をしたら命を落とすかもしれない!」



    エレン「だが」



    エレンが言った。



    エレン「僕は『黒水晶』に言いたい事があるんでね......特に総統(ボス)に」



    キース「総統(ボス)......だと?」



    エルヴィン「......君は」



    (いぶか)しげにエルヴィンは言った。



    エルヴィン「君は一体、何者だ?」



    エレン「(いず)れ知るから、今言わなくても問題は無いですよ」



    問いに、ただそう答えただけだった。

  29. 29 : : 2019/04/27(土) 17:52:23
    「......もう来たのか」



    監視カメラの映像を見ながら、総統(ボス)は言った。



    「まあ仕方無いね。じゃあ、誰を送る?」



    「そうだな。まずは───」






    エルヴィン「本当に善いのか?」



    ライナー「はい。仲間ですから」



    「全くあんたには呆れたよ......」



    ライナー「アニか......」



    小柄なアニが溜め息を吐いた。



    キース「エルヴィン......相手も来るみたいだ。気配がする」



    エルヴィン「はい──突入!!」





    「居たぞ!撃て!」



    現場の指揮を執っていたイザベルは、彼等の方向を向き叫ぶ。



    黒水晶団員から無数の銃弾が放たれる。



    エレン「──《凍牙・氷乃障壁》!」



    しかし、氷で出来た障壁に阻まれる。



    イザベル(ちっ!またエレン(こいつ)かよっ!)



    ミカサ「アルミン、貴方は下がって!」



    アルミン「僕も戦うよ!──《並行世界(パラレルワールド)》!」



    アルミンの傍に黒い穴が開き、そこから彼と一寸たりとも違わないアルミンが出てきた。



    ミカサ「アルミン!」



    ミカサが二丁、銃を投げてきた。それは黒水晶団員の銃だ。



    ミカサ「危なくなったら逃げて」



    アルミン『「(わか)った!」』



    二人のアルミンは同時に叫んだ。





    ミカサ「《残酷なる殺戮者》......」



    黒水晶団員「撃てっ!!」



    二人の団員か撃った銃弾がミカサへと向かう。



    ミカサ「(のろ)い」



    シュンッ!!



    黒水晶団員「なっ、消え──」



    ドカァァンッ!



    いつの間にかミカサが銃弾を避け、団員の後ろに回り込んでいた。殴られた団員は壁へと吹っ飛び、凄い音を鳴らし気絶する。



    その事に気付いたもう一人は、対応しようと試みる。



    しかし、遅かった。



    ヒュッ



    ドカァァンッ!!



    ミカサ(......進もう)





    キース「《狂う土竜(もぐら)》!」



    黒水晶団員「死ねっ!」



    彼等が銃をキースに向ける。その瞬間、突如地面が陥没した。



    黒水晶団員「なっ!?」



    キース「エルヴィン!!」



    エルヴィン「はっ!《右腕(うわん)滅却》!」



    彼の右腕から黒い靄が出た。その靄は穴の中の彼等の右腕へと移動する。



    ブチイイッ!!



    突然、黒水晶団員の右腕が千切れた。赤い血が飛び散り、彼等は地を──穴の中だが──転がる。



    そして──



    ドカァァンッ!!



    右腕は爆発した。穴の中に二人分の血液が散る。



    キース「行くぞ!」






  30. 30 : : 2019/04/27(土) 22:52:52
    ────────────────────────────
    どうでもいいけど少し題名変えました(ホントドウデモイイ)
    ────────────────────────────
  31. 31 : : 2019/04/28(日) 13:55:47
    黒水晶団員「撃てっ!」



    二人の団員が、アルミンに向かって撃った。



    アルミン『ぐああっ!!』



    黒水晶団員「殺ったぞ!」



    しかし、撃たれたアルミンは倒れず、粉の様に散って消えた。



    黒水晶団員「何っ!?──ぐあっ!」



    黒水晶団員「どうしたっ!?」



    団員が見ると、先刻(さっき)散った筈の彼が銃を持っていた。



    アルミン「ご、ご免なさい!──《並行世界(パラレルワールド)》!」



    黒い穴が開き、そこからもう一人アルミンが出てくる。



    黒水晶団員「っ!?」



    アルミンは傍にあった鉄パイプを持ち、団員に向かって走る。



    黒水晶団員「来るなっ!」



    団員が銃を向けた瞬間だった。



    ダダダンッ!!



    黒水晶団員「っ!」



    もう一人──銃を持っているアルミンが放った弾丸により、団員の銃は弾かれる。



    そしてもう一人──鉄パイプを持っているアルミンが、団員目掛け鉄パイプを振り下ろした。





    イザベル(くっ......(つえ)え......!)



    エレン「もう終いか《煉獄》。お前は様々な物を溶かす事が可能みたいだが、僕までは溶かせなかったようだ」



    エレンの周囲には、黒水晶団員達──ざっと十名──が氷に腹を貫かれるなり首を貫かれるなりして倒れていた。床は彼等の血液や血飛沫(ちしぶき)で汚れている。



    イザベル「《煉獄・花鳥風月》!」



    花、鳥、風、月。四種の炎がエレンへと向かう。



    エレン「甘い」



    ズズッ!!



    エレンは自分の周囲を氷で固める。出口の無い一種の鎌倉の様だった。



    ドガァァァァンッ!!



    炎は全て直撃するが、氷によって守られる。



    イザベル「だが、お前もそこから出られないだろう!」



    エレン「残念。《凍牙・砕散布》」



    ガシャァァァァンッ!!



    守った氷を自らの外側へと向けて砕いた。割れた氷は尖っている為、当たると傷を受ける可能性は高い。



    イザベル「ちっ!」



    氷の破片を避けながら、イザベルは思わず舌打ちした。



    イザベル「《煉獄────」



    ボッボッボッボッ ボッボッボッボッ



    エレンの周りを人魂の様な炎が囲う。



    エレン(......何だこれは?)



    ボウッ!



    イザベル「《──韓紅(からくれない)》!!」



    ドガァァァァンッ!!!



    エレン「ぐああっ!!」



    一斉に周りの炎がエレンに集い、爆発したのだ。その爆発の威力は凄まじく、エレンはその場に倒れた。


  32. 32 : : 2019/04/28(日) 19:38:30
    その時、訓練所の食堂では留守番係が集まっていた。



    ミーナ「大丈夫かなぁ......」



    コニー「彼奴等(あいつら)のことだし、何とかなるんじゃねえか?」



    そんな中、一人浮いた行動をしている少女が居た。



    「パン美味しいです!」



    ジャン「......サシャ。お前こんな時にも食ってんのかよ」



    サシャ「ええ。腹が減っては戦は出来ませんからね」



    「別に俺らは留守番だけどな」と、コニーが言った。



    サシャの《アビリティー》である《暴食》は、ありとあらゆる物を食す事が出来る。食べ物でなくても関係無く、食べた物はどこへ行っているのか誰も知らない。



  33. 34 : : 2019/04/28(日) 22:29:04
    イザベル「《煉獄・獄手》!」



    実際の手の約三倍程の、炎の手が、エレンの車椅子へ向かう。



    ドガァァン!



    車椅子は粉々に潰された。



    イザベル「これでお前は動けねえ......違うか?」



    エレン「......」



    イザベルが問うが、エレンは無言で微笑を浮かべていた。


    ──────────────────────────────

    彼等が黒水晶の本部であるビルで奮闘中、警報音(サイレン)の音が鳴り響く。



    「やはり警察が来たか......」



    ビルの最上階に居た総統(ボス)は、片手に持っていた無線機(トランシーバー)に声を掛ける。



    「おい、()いぞ。殺れ」



    『OK。じゃ、遠慮無く!』



    その無線機(トランシーバー)の相手は屋上に居た。紅菊の刺客を殺した際、傍に居た黒コートの女だった。



    「さて、どこに降りようか......」



    ぶつぶつと呟きながら、柵に足を掛ける。そして、笑みを浮かべ────


      ・・・・・
    ──飛び降りた。




    警察官「ん?何だあれ......」



    警察官「......人!?人だっ!人が落ちて──」



    ズドォォォォォォォンッ!!!



    パトカーや警察官もろとも潰し、巨大なクレーターを作った。



    警察官達は彼女に驚愕と唖然の視線を向けた。



    「うーん。あまり深く作れなかったなぁ......」



    などと呑気な事を言いながら平然としている。


                        ・・・・
    「まあ、良いや。さて、それじゃあ────実験開始!!」



    瞬間移動の如く、彼女も含んだ警察官全員が、その場から一人残さず消え去った。


  34. 35 : : 2019/04/28(日) 22:57:30
    ズドォォォォォォォンッ!!!



    アルミン(何だっ!?)



    轟音に驚いたアルミンは、窓の外を見下ろした。



    アルミン(何だ、あのクレーターは......それに、警察官が一人も居ないっ!?)



    ピリリリリリリ



    アルミンの持っていた携帯電話が鳴った。



    携帯電話には「五月蝿(うるさ)いスキンヘッド」と名前が表示されている。キースの番号だった。



    アルミン「もしもし?」



    キース『アルレルトか』



    アルミン「はい。どうかしましたか?」



    キース『電話に出れる、と言う事は、無事であり、尚且つ周りに誰も居ないのだな?』



    アルミン「居ません」



    「しかし、それが何か」と不思議に言った。



    キース『イェーガーが居ないのだ』



    アルミン「エレンがっ!?」



    まさかの連絡に驚愕する。



    アルミン「まさか、敵にやられた?」



    キース『それは(わか)らない。先に進んでいる場合もある。イェーガーは携帯を所持していない為、一階で彷徨(さまよ)っている可能性もあるが、それは無いだろう』



    アルミン「今、皆さんはどこに?」



    キース『中央広間だ。イェーガーと《煉獄》が戦っていた場所だ』



    アルミン「今すぐ行きます!」



    アルミンは即座に電話を切り、走り出した。


  35. 36 : : 2019/04/29(月) 20:40:38
    キース「来たか」



    アルミン「ほ、本当に居ないんですね......」



    キース「イェーガーだけでなく、警察も突如消え去った......どうするか?」



    悩む彼等に、ミカサが助言(アドバイス)を出した。



    ミカサ「このまま行きましょう。私達の目的は()(まで)も救出、そして無事に帰ること。それに、彼なら何とかするでしょう」



    ライナー「......そうだな」



    キース「......このまま進むぞ!」






    「......相手を一人捕らえただと?」



    黒水晶団員は、大きく頷いた。



    黒水晶団員「イザベル様が一人捕らえました。連れてきましょうか?」



    「......まあ、そいつの《アビリティー》も気になる。連れてこい」



    黒水晶団員「(かしこ)まりました」


  36. 37 : : 2019/04/30(火) 19:12:43
    「よう、久しいな」



    キース「《雷電》......!」



    《雷電》ことファーランが、階段を昇った直後に現れた。



    キース「昇降機(エレベーター)が使えなかったのは、貴様の仕業か?」



    ファーラン「ああ。ちょっと(いじ)って、一時的に使用不可にした」



    ミカサ「一時的、という事は、再び使えると言うこと。貴方を倒したら、使用できる?」



    ファーラン「さあな。勝てたら教えてやるよ」





    イザベル「連れてきたぞ」



    イザベルが最上階の部屋へ、手錠で繋がれた少年──エレンを連れてきた。



    「......イザベル」



    イザベル「ん?」



    「この阿呆(あほ)が」



    突如言った所為(せい)か、イザベルは「はあっ!?」と間抜けな声を出す。



    エレン「......久し振りですね」



    「ちっ......まさかお前が捕まった......否、違うな。(わざ)と捕まったんだろう」



    エレンが薄い笑みを浮かべた。



    「おいイザベル......こいつに手錠は効かないと思った方が良い」



    イザベル「どういう事だ?」



    エレン「こういう事だ」



    カチャァン!


                          ・・・・・
    イザベルがエレンの方を向いた。その手の手錠は外れている。



    イザベル「なっ......!!」


     ・・
    「氷で鍵を作る事はお前にとっては造作もない事だろうな」



    エレン「鍵穴に合った形で氷を形成していき、ドライバーの様な取手にすれば、鍵を開ける事が出来る」



    「おい、どうするんだ!?」と、彼女が慌てて言った。


                  ・・・・・・・
    エレン「......貴方は、どうして組織を裏切った?そして、何故此処(黒水晶)総統(ボス)に成っている?......元『紅菊』の長、そして現『黒水晶』の総統(ボス)、リヴァイ・アッカーマン」



    彼が、不適な笑みを浮かべ、エレンの言葉を真似する様に言った。


                                           ・・・・
    リヴァイ「お前は何故組織の長を()めた?そして、訓練所の生徒に成っている?先代紅菊の長、エレン・イェーガー」

  37. 38 : : 2019/04/30(火) 19:14:00
    ──────────────────────────────
    ・の場所一文字ずれたぁぁぁ......
    ──────────────────────────────

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