この作品は執筆を終了しています。
『泣いた巨人』
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- 1 : 2014/01/13(月) 01:06:54 :
- 今書いている話を考えている時に思いついた作品なので、結構短いです。
似たようなものがありましたらごめんなさいorz
思いつきで書いたので文章がおかしなところがあるかもしれません、その場合はご指摘くださるとありがたいです。
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- 3 : 2014/01/13(月) 01:11:23 :
- 言い忘れていましたが、タイトルの通り『泣いた赤鬼』がベースとなっています。
その辺よろしくお願いします。
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- 6 : 2014/01/13(月) 14:20:42 :
- ある山奥に、心優しい若者が住んでいた。彼は人間が大好きで、できることならば麓の村の人々と友達になりたいと思っていた。
しかし、彼は普通の人間ではなかった。巨人化できる人間だったのだ。
そのため村の人々は彼に近寄らず、彼は孤独だった。
唯一の友達は、隣の山に住む親友1人だけだった。
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- 8 : 2014/01/13(月) 14:25:16 :
ある時、彼はこんな立て札を家の前に立てた。
【心のやさしい人間のうちです。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます】
仕事のために山へ登った村人はこれを見てこう言った。
『あいつは人間じゃないだろう、嘘つきめ』
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- 9 : 2014/01/13(月) 14:27:57 :
それを聞いていた若者は立て札を変えた。
【心のやさしい巨人のうちです。普段は人間の姿で暮らしています。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます】
村人はこれを見てこう言った。
『心の優しい巨人なんているものか。きっと騙して食べてしまうに違いない』
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- 10 : 2014/01/13(月) 14:33:40 :
それを聞いていた若者は信じてもらえないことを嘆き、悲しんだ。
彼はただ、人間と友達になりたかっただけなのだ。
終いに彼はせっかく立てた立て札を引き抜き、地面に叩きつけ、壊してしまった。
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- 11 : 2014/01/13(月) 14:45:41 :
次の日、隣の山に住む親友がやってきた。
彼もまた、巨人化できる人間だった。
叩きつけられた立て札と、ふさぎこんでいる若者を見て、親友は言った。
『お前は、人間と友達になりたいのか?』
若者は静かにうなづいた。
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- 12 : 2014/01/13(月) 14:58:57 :
しばらく考えるようなそぶりを見せた親友はこう言った。
『俺に考えがある。なに、簡単なことさ』
その考えは親友が麓の村へ降りて行き、暴れようとするのを若者が取り押さえるというものだった。
これを聞いた若者は反対した。
親友に申し訳ないと思ったからだ。
『そんなことをしたら、君はどうなるんだ』
しかし親友は断固として譲らなかった。
ついに若者は折れた。
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- 13 : 2014/01/13(月) 14:59:40 :
次の日、麓の村は大騒ぎだった。
巨人が村へ向かって突進してきたのだ。
人々は普段見ぬ巨人の姿に恐れ慄いた。
そこへもう1人の若者が現れ巨人となり、自らを盾として村を守った。
人々は巨人が自分たちを守ったことに困惑し、驚いた。
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- 14 : 2014/01/13(月) 15:06:36 :
その日の夕方から、若者の家には人間が来るようになった。
若者は多いに喜び、お茶とお菓子を振る舞い、人々をもてなした。
毎日毎日、若者の家は人間の出入りが絶えることはなかった。
若者は幸せだった。
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- 15 : 2014/01/13(月) 15:12:01 :
しばらくして、彼は親友が心配になった。
いつもなら顔を見せにくる日であるはずなのに、こなかったのだ。
それなら今度は近況報告も兼ねてこちらから遊びに行こうと思い、家を出た。
【隣の山まで行ってきます。明日までには戻ります】
という立て札を、家の前に立てて…
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- 16 : 2014/01/13(月) 15:13:02 :
親友の家に着いた若者は、戸を叩き呼んだ。
しかし中からの返事はない。
留守かな、と思いながら扉のしたを見ると手紙が挟んであった。
親友からの手紙だった。
【親友よ、お前は人間たちと仲良く楽しく暮らしてくれ。もし、俺がこのままお前と付き合っていると、お前も悪い巨人だと思われるかもしれない。だから俺は、旅に出る。だがいつまでもお前を忘れない。じゃあな、体を大事にしろよ。俺はどこまでもお前の友達だ】
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- 17 : 2014/01/13(月) 15:13:39 :
若者は黙ってそれを読んだ。
2度も3度も読んだ。
そして、静かに涙をこぼして泣いた。
そして若者は家の前の立て札を外し、こう変えた。
【旅に出ます、さようなら】
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- 19 : 2014/01/13(月) 16:32:13 :
若者は歩き続けた。
親友を探し歩き続けた。
しかし彼は見つからなかった。
若者は一度家へ戻ることにした。
最後の望みをかけ、親友の家に寄ると、戸が少し開いており、中には探していた彼が放心状態で座っていた。
久しぶりに見た親友はやつれていた。
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- 20 : 2014/01/13(月) 16:34:32 :
若者は何度も何度も謝り泣いた。
親友はわらって言った。
『お前が楽しかったなら、幸せだったなら俺はそれでいい』
2人は固く抱き合い、泣いた。
そしてまだ見ぬものを見ようと、ともに旅へ出た。
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- 21 : 2014/01/13(月) 16:46:51 :
旅をするうちに親友の心は回復していった。
炎の海、氷の大地、砂の雪原
生まれて初めて見るその景色に、2人は興奮した。
若者はぽつりと言った。
『村の人たちにも、見せてあげたい』
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- 22 : 2014/01/13(月) 17:02:10 :
若者は続けた。
『一緒に帰らないか、2人で村のみんなをここまで案内するんだ。みんなきっと喜んでくれる』
『いや、戻るならお前1人で戻れ。俺と一緒にいたら、お前も悪く言われてしまう』
『構わない。僕にとって本当に辛いのは大切な友達を失うことだ』
ついに2人は村に戻ることにした。
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- 23 : 2014/01/13(月) 17:04:56 :
それから数日後
2人はたまたま出会った旅人から、麓の村が滅びたという話を聞いた。
『どうして、僕らの村が…』
放心している若者に、親友は語りかける。
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- 24 : 2014/01/13(月) 17:07:09 :
『ベルトルト、必ず帰るぞ。俺たちの村へ、故郷へ』
『でも、もう村は…みんなは…』
『…帰ろう、な?』
『…そうだね、ライナー。絶対に帰るんだ、僕たちの故郷へ…!』
2人の目つきが、変わった。
この日、彼らは戦士になった。
彼らが村の生き残りである1人の女性と再開するのは、また別の話。
〜終〜
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- 25 : 2014/01/13(月) 17:10:22 :
- これにて終了です、思いつきの作品…クオリティが…
ここまでおつきあいいただき、ありがとうございました。
よろしければこちらの作品もよろしくお願いします。
一作目
ミカサ『部分記憶障害』http://www.ssnote.net/archives/3445
二作目
『待つ人の話』
http://www.ssnote.net/archives/4701
ジャン↑
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- 26 : 2014/01/13(月) 17:11:25 :
- うわあやらかした。
上の>>25名無しは私です
改めて、ありがとうございました!
ジャン↑
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- 36 : 2015/03/12(木) 00:10:12 :
- 彩華のSSに対するコメントはこちらへお願いします!
http://www.ssnote.net/groups/1306/archives/1
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