この作品は執筆を終了しています。
ライナー&ベルトルト「四人目」
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- 1 : 2014/01/09(木) 20:23:23 :
- 初投稿です。嘘です。とりあえず、久々に過去作リンク貼っときます
とびだす!こんちゅうの森!!シリーズ
http://www.ssnote.net/series/12
エレン「中途兵団!?」
http://www.ssnote.net/archives/2294
アニ「女型の巨人ってなんやねん!知らんがな!!」
http://www.ssnote.net/archives/2939
リヴァイ「第3の男」
http://www.ssnote.net/archives/3857
アニ「氷・晶・砕・破!アニがやらなきゃ誰がやる!!」
http://www.ssnote.net/archives/4779
とりあえずこんなもんで。
皆様から寄せられるコメント、大変うれしく感じるのですが、
読者様の読みやすさ等をことを考えて、「期待」「支援」のみといったコメントは、
極力控えていただければ助かります。
コメ返等は、一区切りついた時点でまとめてさせていただきたいと思いますのでご了承ください。
それでは、前置きが長くなりましたが、本編をお楽しみください。
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- 2 : 2014/01/09(木) 20:32:00 :
~兵団によるエレン奪還作戦後・シガンシナ区壁上~
ベルトルト「ありがとうユミル…すまない…」
ユミル「いいや…」
ユミル「…女神様もそんな悪い気分じゃないね」
ライナー「女神、ね…。どの口がそんなこと言ってんだかよ…」
ライナー「どちらかというと疫病神だな。お前のおかげで、えらい目に遭っちまったんだからな」ハハハ…
ユミル「違ぇねぇ」
ベルトルト「心強い女神様だ。よろしく頼むよ」
ユミル「改めて言われると恥ずかしいな。やっぱさっきのナシで」
ライナー「まぁ、そんなことはどうでもいいんだがな…」
ユミル「どうでもいいって何だよ、少しイラっと来たぞ」
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- 7 : 2014/01/09(木) 20:41:17 :
ライナー「今後の身の振り方を考えんとな。このまま故郷に向かうのか、もう一度壁内に戻るか…」
ベルトルト「エレンはともかく、アニをあのままにはできない。作戦を練って、一日でも早くアニを助けないと!」
ユミル「そいつは厳しいだろ。ローゼに潜り込むのも骨だってのに、さらにシーナの極北と来た。アニは諦めろ」
ベルトルト「ふざけるな!今までだってアニには辛い役回りを引き受けてもらってきたのに、見捨てろって言うのか!?」
ユミル「アニを助けようとして、私らまで捕まっちまったら本末転倒だろうが!!」
ベルトルト「だったら君は来なければいい!!僕一人だって、アニを助けに行くよ!!」
ユミル「この分からず屋が!!お前一人の問題じゃねぇんだぞ!?」
ライナー「やめろ。言い争ってたって何の解決にもならん。落ち着け」
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- 8 : 2014/01/09(木) 20:51:44 :
ベルトルト「でもライナー、このままじゃアニは…!」
ライナー「…腹減ってるだろう、お前ら?そこらの家掘り返せば、保存食の一つや二つ出てくるだろう」
ユミル「こんな時に、呑気にメシとはね…」
ライナー「こんな時だからこそだ。腹が減ってちゃ、イライラして何もいい考えは思いつかん。一度冷静にならんとな」
ベルトルト「…悪かったよ、ライナー。下に降りて探してくるよ」
ライナー「俺も行くぞ。ユミルは待ってろ、すぐに戻る」
ユミル「それじゃ、お言葉に甘えて…」
ユミル「…!?」ガバッ!
ベルトルト「…どうしたの?」
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- 9 : 2014/01/09(木) 20:59:19 :
ライナー「何だ?突然青い顔して…」
ユミル「…最悪、かも知れないな」
ライ&ベル「?」
ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……
ライ&ベル「!?」
ベルトルト「これは……足音!?」
ライナー「巨人か!?どこだ!?夜に動ける奴だとすると、厄介だな…」
ユミル「厄介ってレベルで済まなそうだぜ…」
???「お前ら、何してんの?ってか、何でこんなとこに人間がいるんだ?」
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- 10 : 2014/01/09(木) 21:05:38 :
ライナー「…お前は!!」
ユミル「…ウトガルドの猿野郎!」
獣の巨人「あ?何だ、お前らか。わざわざこんな壁の端っこまで出向いてきて、何か収穫でもあった?」
ライナー「あ…それは…」
ライナー(エレンの件を言うべきか!?それとも…)
ベルトルト「…」
ユミル(…やっぱこいつらと猿は知り合いか?だとしたらマズいか)
ユミル(エレンの件を告げ口されたら、壁内の奴らは用済みってことになるかもしれん。そうなるとヒストリアが…)
獣の巨人「どうしたの?急に黙っちゃってさ。まぁいいや、言いたくないなら言わなくても」
獣の巨人「どうせお前らには最初から期待してなかったしね。もうとっくに、代わりの奴を準備しといたから」
ライ&ベル「!?」
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- 11 : 2014/01/09(木) 21:10:15 :
ライナー「代わりって…どういうことだ!?俺達の他に、戦士を…!?」
ベルトルト「一体誰を!?と言うか、誰を食わせたんだ!?」
獣の巨人「あぁ、これからだよ。食わせる奴の目星は付けたから、壁の中に置いてきた」
ライナー「壁の…中!?」
ベルトルト「エレンのことか!?それはちょっと待ってくれ、彼は…」
獣の巨人「エレン?誰だそりゃ?そんな奴は知らないよ。他の奴だ」
ライナー「他の奴…だと!?思い当たる奴は、一人しかいない…!」
ユミル「…なるほど、戦士ってのはそういう事ね」
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- 12 : 2014/01/09(木) 21:16:13 :
ベルトルト「…ふざけるな!!今すぐやめさせてくれ!お願いだ!!」
獣の巨人「そいつは無理だよ。もうとっくに暴れ出してるだろうしね。あいつは止められない」
獣の巨人「何なら、お前らが代わりに食われればいい。そんなにあの子が大事なら…」
ベルトルト「ライナー!!」
ライナー「…行くんだな?」
ベルトルト「当たり前だ!!黙って喰わせてたまるか!!僕が身代わりになってでも守らなきゃ!!」
ユミル「おい、本気で言ってるのか!?さっき言ったばっかりだろ、壁内に戻っても本末転倒だって!!」
ベルトルト「そんなことはどうでもいい!!僕は、助けなければならない…」
ベルトルト「…アニを!!!!!」
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- 13 : 2014/01/09(木) 21:23:05 :
ライナー「まだ全快じゃないが、行くしかねぇ!乗れ、ベルトルト」バッ!
ライナー「」ガリッ!!
カッッッッッッッッッッッッ!!!!!!
ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ
鎧の巨人「」シュウゥゥ…
ベルトルト「はっ!!」バッ!
ベルトルト「」スタッ
ユミル「…おいおい、本気かよ」
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- 14 : 2014/01/09(木) 21:29:25 :
ベルトルト「君については、強制はしない。これは、僕らとアニの問題だ」
ユミル「…わざわざ戻るっていうなら、行かねぇ手はねぇな。ヒストリアにも、ちゃんと話付けとかねぇとならねぇしな」
獣の巨人「…手遅れにならないといいね。どうでもいいけど、使命も忘れないでよ」
獣の巨人「見込みがないと判断されたら、お前らも同じように…」
ベルトルト「分かってる!これ以上時間は取らせるつもりはない!黙って待っててくれ!!」
獣の巨人「忘れないでよ。どうして『4人目』が投下されたのか、その意味を…」
ベルトルト「…っ!」
ユミル(4人目…)
鎧の巨人「…」
ドドドドドドドドドド………
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- 15 : 2014/01/09(木) 21:36:27 :
~ウォール・ローゼ壁上~
ジャン「…信じられねぇ。本当に俺達は、生きて帰ってきちまった」
エレン「…」
アルミン「エレン」
エレン「…おう、アルミン。みんな無事で何よりだ。ミカサもさっき、医療班に運ばれてったよ」
アルミン「あの絶体絶命の窮地の中で、巨人達の謎の行動。もしかしてあれは…」
調査兵「団長っ!!しっかりしてくださいっ!!」
エルヴィン「」ガクンッ!
調査兵「マズい、意識がないぞ!!急いで運べ!!」
エレン「団長…」
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- 16 : 2014/01/09(木) 21:45:44 :
コニー「うちの同期は、何とか五体満足で帰ってこれたらしいな」
ジャン「みたいだな。悪運だけは強ぇよ、ウチの同期達は」
コニー「…あいつら、どうなったかな」
ジャン「知るかよ。あの場から逃げ切ったとして、壁内にあいつらの戻る場所はないぜ」
エレン「ライナー、ベルトルト。あいつらには必ず、それなりの報いを…」
クリスタ「違うよ」
エレン「…え?」
クリスタ「それは違うよ、エレン。敵は目先じゃ…ライナー達じゃないよ。ユミルがそう言ってたんでしょ?」
エレン「…だけどよ」
クリスタ「好きで人を殺したわけじゃない。ベルトルトもそう言っていた。ワケも知らずに、人を憎んでも仕方ないよ、ね?」
アルミン(クリスタ…)
ジャン(だいぶ無理してるな。ユミルの件と言い、ライナー達の正体と言い、目ん球飛び出てお釣りが来るほどの衝撃だからな…)
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- 17 : 2014/01/09(木) 21:52:12 :
クリスタ「だから、今は…」フラッ…
エレン「クリスタ!!」
リコ「おっと」ガシッ
アルミン「あなたは確か…」
リコ「久しぶりだな、人間兵器……いや、エレン・イェーガー。今回もまた例に漏れず、人の命を踏み台にして舞い戻って来たのか?」
ジャン「ちょっとあんた、そんな言い方は…」
エレン「いや、いいんだ。事実だからな」
ジャン「お前…」
リコ「それで、どうだ?今回も、犠牲に見合うだけの収穫はあったのか?」
エレン「…確証はありませんが、おそらく。前回以上の収穫があったと…思います」
リコ「…ならいい。死んだ兵士の命を無駄にするな。以上だ」
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- 18 : 2014/01/09(木) 21:59:52 :
リコ「この子は向こうに連れていくぞ。お前らも休め」
アルミン「あの…」
リコ「何だ?」
アルミン「壁内で発生した巨人の群れについては、その後どうなったのでしょうか?」
リコ「あぁ、その件か。壁内に発生した『通常の』巨人は、全て討伐された…と思う」
リコ「今日の日中、動ける兵でローゼ内の捜索を行ったが、巨人は発見されなかった」
アルミン「そうですか…」
リコ「…」
アルミン「…まだ何か?」
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- 19 : 2014/01/09(木) 22:08:21 :
リコ「いや、実はな…」
リコ「…」
アルミン「?」
リコ「…いや、今はやめておこう。後から、そっちのお偉いさんを通して話があるだろう。今、私が話すことではない」
アルミン「そうですか…」
リコ「今は、体を休めることに専念しておけ。それじゃ」
スタスタ…
アルミン「…」
ジャン「何だよ、あの人。何か勿体ぶってなかったか?」
アルミン「すごく深刻そうな顔をしていた。もしかして、僕らが壁外に出ている間に、何かよからぬことがあったんじゃ…」
コニー「そいつは是非とも聞きたくないな。どうせろくでもねぇ事なんだろうからよ」
ジャン「…どうなるんだろうな、これから」
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- 26 : 2014/01/10(金) 20:19:23 :
~翌朝、ウォール・ローゼ壁上のとある地点~
ベルトルト「…ふぅ」スタッ
ライナー「どうにか戻って来れたな。昨日の混乱の影響のせいか知らんが、壁上の警備が手薄で助かった」
ユミル「夜明け前に到着できてよかったよ。またあんな大群に囲まれるのはゴメンだからな」
ライナー「さて、どうしたものか…」
ベルトルト「真っ先にシーナを目指そう。『4人目』より先に、アニに辿り着かないと」
ユミル「その事なんだがよ、ベルトルさん…」
ベルトルト「え?」
ユミル「アニの拷問の件について、あんたはどう思ってるんだ?」
ベルトルト「どうもこうも、許せるはずがないよ。まぁ、僕が言える立場じゃないんだけど…」
ユミル「アニの奴が本気で拷問されていると?」
ベルトルト「…どういうこと?」
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- 27 : 2014/01/10(金) 20:24:15 :
ユミル「いつ巨人化するかも分からねぇ奴を、幽閉するならまだしも、拷問しようなんて考えるか、普通?」
ライナー「だが、俺達の考えもしない手法で行っているのかもしれんぞ。もしくは、地下深くとか…」
ユミル「それだって、万全じゃない。ましてや、ビビりの壁内人類様方が、だ。私だったら、そんな危険な轍は踏まないね」
ベルトルト「つまり、拷問はアルミンの狂言だと…?」
ユミル「可能性としては、それが一番だ。アニとお前らの接点を知っている辺り、捕獲したってのは本当だろうがな」
ライナー「何にせよ、『4人目』に狙われてるのは変わらん。どうにかしてアニの居場所を聞き出して、奴より先に行かんとな」
ベルトルト「本当の勝負は、ここからだ!」
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- 28 : 2014/01/10(金) 20:29:26 :
~調査兵団本部~
エレン「失礼します…」
リヴァイ「来たか、ガキ共。適当に掛けろ」
エレン「では…」
アルミン「…」
コニー「…」
ジャン「…」
クリスタ「…」
リヴァイ「5人か?ミカサはともかく、もう一人はどうした?」
コニー「サシャですか?昨日からずっと別行動で、どこに行ったかは知りません」
クリスタ「確か、自分の村のほうに行くって。無事だといいなぁ…」
ハンジ「死んだよ」
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- 29 : 2014/01/10(金) 20:35:54 :
クリスタ「…え?」
ハンジ「104期調査兵団、サシャ・ブラウスは死んだ。残念ながらね…」
リヴァイ「ハンジてめぇ、入ってくるときはノック位しやがれ」
ハンジ「ごめんよ。怪我人だと思って、大目に見てちょうだい」
エレン「それより、サシャが死んだって!?」
ハンジ「うん。どうやら彼女は、付近の村の人たちと一緒に逃げていたみたいなんだけど、その道中で餌食に…」
アルミン「巨人の…ですか?」
ハンジ「まぁ、巨人と言えば巨人だけど…」
リヴァイ「『例のヤツ』か?」
ハンジ「…そうだね。周囲の状況から、おそらく『ヤツ』だと思われる」
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- 30 : 2014/01/10(金) 20:41:19 :
エレン「何なんですか、『ヤツ』って!?」
リヴァイ「それについて聞かせるために、お前らを集めた。まぁ、聞いても胸クソ悪くなるようなことばかりだがな」
ガチャ…
一同「!?」
ミカサ「私にも…聞かせてください…」
エレン「ミカサ!?お前、どうして!?」
アルミン「まだ休んでないと駄目だよ!!」
ミカサ「私達の知らないところで、とてつもないことが起きていると思った。聞いておかなければいけない…」
ジャン「ミカサ、お前…」
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- 31 : 2014/01/10(金) 20:46:13 :
ハンジ「…揃ったね。始めようか」
ハンジ「まず、君たちが壁外へ出発した後のことについて話そう」
ハンジ「私達負傷者は、駐屯兵団の医療班の手で、壁上で治療を受けていたんだ」
ハンジ「その間、壁内に残った駐屯兵団、及び憲兵団の手によって、壁内の巨人の捜索、及び討伐が行われた」
ハンジ「まぁ結局、今のところはあれ以外に巨人発見の報告はない。ほぼ全滅したと思われる」
ハンジ「…『ヤツ』を除いてはね」
エレン「いい加減教えてくださいよ、『ヤツ』が何なのか…」
リヴァイ「俺も直接見たわけじゃないが、『ヤツ』とは巨人のことだ。ただ…」
リヴァイ「…普通の巨人じゃない。鎧や超大型と同じ、特殊な能力を持つ巨人だ」
一同「!?」
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- 32 : 2014/01/10(金) 20:53:00 :
ジャン「じゃあ、ライナー達以外にも知性を持った巨人が!?そんなこと、あいつらは一言も言ってなかったぞ…」
ハンジ「彼らと『ヤツ』が仲間かどうかは、現段階では不明だね。それに、通常の巨人と違って特殊な能力を持ってはいたけど…」
ハンジ「…『ヤツ』には、とても知性は感じられなかったそうだ。無差別に人を襲い、捕食するだけの巨人」
コニー「知性がない…?」
アルミン「ちなみに、その特殊な能力とはいったい!?アニのような、硬化能力ですか!?」
ハンジ「いや、むしろその逆。『ヤツ』の体は砂で出来ていて、刃や大砲といった物理的攻撃を受け付けない。攻撃しても、砂と化して通用しないんだ」
エレン「砂…!?それじゃ、どうやって倒せば…」
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- 33 : 2014/01/10(金) 20:56:12 :
アルミン「うなじは!?うなじへの攻撃も通らないのですか!?」
ハンジ「うなじを狙うと今度は逆。岩のように硬質化して、やはり攻撃が通らない。お手上げだね」
リヴァイ「交戦に当たった兵は、なす術もなく全滅したそうだ。まぁ、当然だな」
ハンジ「一通り暴れた後、地面と同化して姿をどこかへくらましてしまったらしい。今度、どこから現れるのか想像もつかない」
ハンジ「直接見てみないことには何とも言えないけど、もしこれが本当なら、現時点での最強の能力という事になるね」
エレン「そんなバケモノがいやがるのかよ…」
アルミン「…ですが、やはり弱点ははっきりしていますね」
ハンジ「えっ?」
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- 34 : 2014/01/10(金) 21:00:39 :
アルミン「他の部位への攻撃は砂化するのに、うなじへの攻撃に対してのみ硬化する。つまり、うなじは砂化できないという事」
アルミン「理由は不明ですが、やはり巨人である以上、弱点がそこにあるという事の証明にはなりませんか?」
ハンジ「…確かに。もしかしたら、うなじに誰かが入っていて、巨人化能力者は砂化できない。だから、硬質化で守るしかない、と…!?」
リヴァイ「なるほどな。その硬質化した部分を吹き飛ばしてみれば、謎が明らかになるってことか」
ジャン「だけど、じゃあなんで『ヤツ』は、無差別に人を?」
リヴァイ「知るか。腹でも減ってたんじゃねぇのか?」
ジャン「そんな…。おいエレン、お前はどうだ?巨人化したとき、人を食いたくなったりしないのか?」
エレン「そんなわけないだろ。俺に限らず、ライナー達だって人を食おうとしてるのは見たことねぇよ」
ジャン「だよ、な…」
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- 35 : 2014/01/10(金) 21:04:28 :
アルミン「まぁ、中に人がいるってのも予測の域でしかないからね。弱点がうなじである以上、より確実な手段で守ろうとしているだけなのかもしれないし」
コニー「つまり、能力持ちの通常巨人っていう可能性もあるってことか…?」
ハンジ「もしそうだとすると、壁内は最悪の局面を迎えているのかもしれない。そんな巨人が、これから次々と発生してきたら…」
リヴァイ「堪ったもんじゃねぇな。人類終焉のカウントダウンと言ったところか」
ハンジ「人類最強がそんな弱音を吐くんじゃないよ。みんなの士気に影響するでしょ」
リヴァイ「俺自身の身はともかく、ガキ共までは面倒見切れない。ましてやこの数日で、ウチの手練れが何人死んだ?」
ハンジ「それは…」
リヴァイ「その上、俺はこの有様。エルヴィンは片腕を失い、お前も戦える状態じゃない。ミカサ抜きの104期のガキ共に、どれだけ希望があるって言うんだ?」
エレン「俺がいます!」
アルミン「エレン…」
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- 36 : 2014/01/10(金) 21:08:15 :
リヴァイ「ほう、珍しく大きく出たな、エレン。お前のその貧弱な背中で支えきれるほど、人類の未来は軽くないぞ?」
エレン「…全部、背負ってやりますよ。どんな奴が来ようと、必ず!この俺が!!」
ミカサ「エレン…」
リヴァイ「…威勢だけは認めてやる。今のお前のその言葉、現実のものにしなければ、人類は滅ぶだけだ。覚えておけ」
エレン「はいっ!!」
リヴァイ「…俺はエルヴィンに会ってくる。今後の動きについては、後で全員で会議を行う。それまでは好きにしろ」
ハンジ「…それじゃね、みんな」
バタン…
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- 37 : 2014/01/10(金) 21:12:39 :
アルミン「…クリスタ」
クリスタ「大丈夫。ただ、いろいろあって頭が追い付かないや…」
ジャン「あの芋女が、こんなあっけなく、ね。人ってのは、分からねぇもんだな…」
コニー「マルコが死んだときから、分かってたことじゃねぇか。昨日の壁外で、実感したばっかじゃねぇか。『死』って言うのが、こんなに近くにあったことを…」
エレン「…」
ジャン「エレン、俺達は一体、どれだけお前に投資すりゃいいんだ?壁内人類全員の命を捧げて、それでも足りないなんてことはねぇよな?」
エレン「それは…」
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- 38 : 2014/01/10(金) 21:16:09 :
ジャン「…そこは『大丈夫だ』って即答するところだろうがよ。さっき、リヴァイ兵長の前で言ったことは嘘か?そんなに自信がねぇのか?」
ミカサ「ジャン、やめて。ここでエレンを責めても、何もメリットはないでしょ」
エレン「…とりあえず、俺が何とかするしかないんだよな。これ以上、誰かを死なせないためにも」
コニー「…一応、期待しておくよ。どうせ他にすがれるものもないしな」
ジャン「…お前が今背負っているものは、お前が思っている以上に重いぞ。よく覚えておけよ」
エレン「兵長と同じようなこと言ってんじゃねぇよ」
アルミン「今は、できることをしよう。せいぜい、突然の敵襲に備えておくくらいしかできないけど…」
ミカサ「いざとなったら、私も…」
エレン「やめろ、頼むから…」
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- 39 : 2014/01/10(金) 21:20:10 :
~トロスト区~
ライナー「おい、これは一体どうしたことだ…?」
ベルトルト「人が…」
シーン……
ライナー「誰もいないのか?いったい何があったんだ…?」
ユミル「どうやら、全員内地に避難したみたいだな。ローゼ内に巨人が発生したんだ、当然だな」
ベルトルト「ユミル。その情報をどこから?」
ユミル「向こうに張り紙があった。シーナ内の、旧地下都市に避難してるんだとよ」
ライナー「なるほどな。俺達にとって好都合だな。とりあえず、身を隠す必要もなさそうだ」
ベルトルト「それどころか、混乱に乗じて僕達も避難民を装えば、簡単にシーナに行けるかも」
ライナー「確かにな。しかし、肝心のアニの居場所が分からん…」
ベルトルト「アルミンはユトピア区って言ってたけど、本当かどうか…」
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- 40 : 2014/01/10(金) 21:24:18 :
ユミル「分からねぇのなら、炙り出せばいい」
ベルトルト「炙り出す?どうやって?」
ユミル「調査兵団の連中に、情報を流してやるのさ。『アニを狙う巨人がいる』ってな」
ライナー「奴らがそんな根も葉もない情報を信用するわけないだろう。第一、そんな情報を流してどうすると言うんだ?」
ユミル「狙われてると知れば、嫌でもアニを別の場所に移動せざるを得ない。まぁ理想は、近くに置いておきたくなるよな…」
ユミル「…調査兵団本部の地下とか、な」
ライ&ベル「!!」
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- 41 : 2014/01/10(金) 21:28:19 :
ユミル「アニを狙ってる奴がいるのは嘘じゃねぇんだ。信じるかどうかはともかく、そんなのを聞かされたら、黙ってはいられねぇはずだぜ?」
ライナー「可能性としてはあり得るが、どうやって流すんだ?ローゼ内には人はいないし、俺達が直接出向くわけにも…」
ユミル「方法はいくらでもあるさ。まぁ、私に任せてくれ」
ベルトルト「…じゃあ、お願いするよ」
ユミル「そっちはいいとして、問題は『4人目』が今、何をしてるかだ」
ライナー「おそらく、人間を求めて彷徨い歩いているはずだ。アニを見つけ出すのも、時間の問題だろう」
ベルトルト「シーナに人が密集しているのなら、標的が分散してアニが狙われる可能性も低くなる。今のうちに、取り返す算段を整えないとね」
ユミル「…そうと決まれば、私らもさっさと内地に避難しますか。『4人目』に見つかって、喰われるのは勘弁だ」
ライ&ベル「…」
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- 42 : 2014/01/10(金) 21:33:34 :
~3日後・調査兵団本部~
ナイル「…と言う状態だな。一応、混乱は最小限に抑えられている」
リヴァイ「だが、長くは持たねぇだろう。今に、避難民たちが暴動に走るぞ」
ナイル「そのために、全力を挙げてローゼ内の安全確認を行っているんだ」
リヴァイ「避難民の食糧は、後どれだけ持つんだ?」
ナイル「持って……4日と言ったところか」
リヴァイ「ならそれが、人類滅亡のリミットだ。奴らは巨人に食われて死ぬんじゃねぇ…」
リヴァイ「…人同士で潰し合って死ぬんだ。奪わなければ、奪われるだけ。単純だろ」
ナイル「それだけは何としても避けねばな。避難民が一斉に暴動を起こせば、現兵力だけではとても抑えきれん…」
リヴァイ「まぁ、人相手の任はてめぇらの仕事だ。勝手に頑張れ」
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- 43 : 2014/01/10(金) 21:38:19 :
ナイル「リヴァイ、貴様…。先日のエレン・イェーガー奪還作戦の際、多数の憲兵を死なせたらしいな」
リヴァイ「それがどうした?それに死なせたのは俺じゃねぇ、巨人だ」
ナイル「屁理屈を。こちらは命を賭して調査兵団に協力したというのに、貴様らはこちらへの協力を惜しむというのか?同じ、人類存亡の危機だぞ?」
リヴァイ「別に、協力を惜しんでいるわけじゃない。てめぇらみたいな木偶集団と違って、こっちは人手が足りないんでな」
ナイル「木偶集団とは言ってくれるな。人手が足りないのはこちらも同じだ。黙って協力しろ」
リヴァイ「…協力するのは構わねぇが、仮に今、壁内に『ヤツ』が現れた場合、誰が相手をするんだ?」
ナイル「それは…」
リヴァイ「貴重な調査兵の戦力を、木偶集団の補佐に回したおかげで、『ヤツ』を野放しにし被害の拡大を阻止できなかったとしたら、責任は誰にあるんだろうな」
ナイル「…」
リヴァイ「そういうことだ。エルヴィンも同じことを言うだろう。おとなしく内地に帰って髭の手入れでもしてろ、ナイル」
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- 44 : 2014/01/10(金) 21:43:17 :
ナイル「…仕方ないか。ここでいがみ合っていても、何も変わらないのだからな」
リヴァイ「ほう、随分と素直だな。今回の件が、少しは堪えたか?」
ナイル「話が変わるが、いいか?」
リヴァイ「便所なら廊下出て左だ」
ナイル「そうではない、馬鹿が!ふざけているのか!?」
リヴァイ「神妙な顔してやがるから、てっきりクソが漏れそうなのを我慢しているのかと思ったが?」
ナイル「アニ・レオンハートについての話だ」
リヴァイ「…その件か。待ってろ、ハンジを呼ぶ」
ナイル「…」
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- 45 : 2014/01/10(金) 21:48:28 :
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ハンジ「やぁ、ナイルちゃん。お元気?」
ナイル「貴様ほどではない。そして気分は最悪だ」
ハンジ「そりゃよかった。それで、聞かせてもらえる…」
ハンジ「…アニ・レオンハートがどうしたの?」
ナイル「実は先日、内地に逃げ遅れた避難民が3名、私の元へやって来た」
リヴァイ「逃げ遅れただと?ローゼ内の人間は、てめぇらが責任を持ってシーナ内に避難させたんじゃねぇのか?」
ナイル「そのはずだったが、まだいたんだよ。どこに隠れていたのか知らんがな」
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- 46 : 2014/01/10(金) 21:53:28 :
ハンジ「それを見つけて避難させるのが憲兵団の仕事だろ?とんでもない職務怠慢が発覚したよ」
ナイル「黙れ、今はその話ではないだろう!」
ハンジ「…話しを逸らした。後で総統にチクっちゃお」
リヴァイ「口を閉じろハンジ。話が進まねぇ」
ハンジ「…ちぇっ」
リヴァイ「続けろ、ナイル」
ナイル「その避難民が言うには『例の巨人がアニ・レオンハートを狙っているから、匿うべきだ』とのことだったのだが…」
リヴァ&ハン「!?」
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- 47 : 2014/01/10(金) 21:58:26 :
ハンジ「どうして避難民がそんなことを知っているんだ!?」
リヴァイ「アニの件もさることながら、巨人が狙っているだと?何を根拠にそんなことを」
ナイル「正直、私も半信半疑と言ったところだが…。後は、『アニがユトピア区にいるのか?』とも聞かれたな」
ハンジ「ユトピア区?何で?」
リヴァイ「…なるほど、奴らか」
ハンジ「え?奴ら?」
リヴァイ「その3人は、例の裏切り者共で確定だ。内地に捜査線を張れ、ナイル」
ナイル「は!?いきなり何を言い出すんだ?」
ハンジ「どうしてそれだけで、ライナー達だと断定できるのさ!?」
リヴァイ「アルミンが言うには、奴らの隙を伺うために、アニについてある狂言を用いたそうだ…」
リヴァイ「『アニがユトピア区に幽閉され、拷問されている』と」
ハンジ「それって…!!」
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- 48 : 2014/01/10(金) 22:03:48 :
リヴァイ「当然、一般人が知っている筈のない情報だ。奴らが、アニを取り返すためにわざわざ戻って来たという事になるな」
ハンジ「危険を冒してまで、わざわざ戻ってくるという事は、それほどまでにアニが大事な存在という事か…?」
リヴァイ「…いや。もし、『ヤツ』が本当にアニを狙っているのだとしたら」
リヴァイ「その3人は、アニを守りに来た、と言う線もあり得るだろ。つまり、『それ』がなければ、切り捨てる予定もあったという事の裏返しになる」
ハンジ「『それ』っていうのは、『ヤツ』が狙っているという事?」
リヴァイ「それ以外に何がある。ただ幽閉されているだけなら問題がなかったが、『ヤツ』に狙われることによって、何らかの不利益が生じる」
リヴァイ「それを避けるべく、多大なリスクを冒してでも壁内に戻ってくる。根性だけは見上げた奴らだな」
ナイル「イマイチ話についていけんが、要はその3人の避難民が、例の…」
ハンジ「超大型巨人、鎧の巨人、後はよく分からないけど『ユミルの民』と関係がありそうな巨人」
ナイル「とんでもない一大事だ…!人類を守るはずの避難場所に、人類の仇敵を招き入れてしまった…」
-
- 49 : 2014/01/10(金) 22:08:20 :
リヴァイ「憲兵団の日頃の仕事ぶりが伺えるな。遅れてきたという時点で、疑問を抱くべきだったな」
ハンジ「入れてしまったものはしょうがない。彼らの目的はアニだ。派手な真似はしないはず」
ハンジ「早急に探し出し、どうにか穏便に捕獲しないと…」
ナイル「だが、あれだけの避難民の中から探し出すのは、簡単ではないぞ」
リヴァイ「おまけに、ヘタに捜索を始めれば、いくら奴らでも感付く。最悪の事態も考えなきゃならねぇな」
ハンジ「それじゃ、どうしたら…」
リヴァイ「…簡単だ。アニをここへ移動させる」
ハンジ「アニを!?そんな無茶な!!だって彼らの狙いは…」
ハンジ「…あっ!」
リヴァイ「そういうことだ。探せねぇのなら、炙り出せばいい」
-
- 50 : 2014/01/10(金) 22:13:34 :
リヴァイ「アニ移送の情報を避難民の中に流す。知らねぇ奴にはどうでもいい情報だが、奴らにとっては喉から手が出るほど欲しい情報だ。食いつかねぇわけがねぇ」
リヴァイ「アニを餌に奴らをおびき出し、現存する最高戦力で迎え撃つ。場合によっては、殺しも厭わん」
ナイル「だが、いくら何でもあからさますぎないか?奴らだって、罠だと気付くかもしれんぞ…?」
リヴァイ「罠だろうと何だろうと、奴らは無視できない。『ヤツ』が迫っている以上、アニを手に入れるチャンスを逃すはずはないからな」
ハンジ「…イケるかもしれない。早速手配しよう!」
リヴァイ「まぁ待て、焦るな」
ハンジ「…っと、危ない。先走ってもいいことはないよね、冷静に冷静に…」
リヴァイ「作戦の決行は4日後。避難民のストレスがピークに達しているときに、アニ移送の情報を流す」
リヴァイ「疲れ切った避難民は、そんな情報には見向きもしないだろうから、好都合だ。奴ら以外は喰いつかん」
-
- 51 : 2014/01/10(金) 22:19:06 :
ナイル「それで、肝心の移送のタイミングはいつにするんだ?」
リヴァイ「移送は、情報を流した3時間後。ヘタに間が空くと、要らん興味を持つ奴が出てくるから、早い方がいい」
ナイル「なるほどな…。例の水晶を縛ったまま、荷馬車で運べば不可能ではないな…」
ハンジ「移送ルートはどうするの?ユトピア区から、直接ここまで…?」
リヴァイ「いや、王都を突っ切り、エルミハ区からここを目指す。奴らが仕掛けてくるとしたら、エルミハ区とここの間…」
リヴァイ「…この地点。ただっ広い平地が広がる、このエリアだ」
ハンジ「平地、か。立体機動が使えないとなると、少々私らには厳しいね」
リヴァイ「だが、チャンスはその場所のみだ。奴らだって、その機を逃すはずはない」
ハンジ「あらかじめ、対巨人用の罠でも仕掛けられれば話は別なんだけ……ど!?」
リヴァイ「…気付いたか」
ハンジ「…なるほどね。これならいけそうだ。だからこそ、この地点なのか」
リヴァイ「作戦に確実はねぇが、これが最善だ。ただ…」
ハンジ「ただ?」
-
- 52 : 2014/01/10(金) 22:23:32 :
リヴァイ「一つだけ、不確定要素があるとしたら、『ヤツ』の存在だ」
ハンジ「確かにね。内地なら心配ないだろうけど、平地ってことを考えると、『ヤツ』の独壇場だ」
リヴァイ「巨人共と『ヤツ』は、協力関係にないとみていいだろう。そうなると、三つ巴の争奪戦になる可能性がある」
ナイル「そんな争いを、ローゼ内でやると言うのか…」
リヴァイ「だからこそ、住民が避難しているタイミングで決行するんだろうが。不服か?」
ナイル「いや、そういうわけではないが。先日のストヘス区の件もあるからな、上からの反発が強くなければいいが…」
リヴァイ「そんなもんを気にして、人類を滅ぼす気か、ナイル?てめぇの脳ミソには、花畑でも広がってるのか?」
ナイル「…いや、分かっている。何を優先すべきかは。これ以上、貴様らに出し抜かれるのはゴメンだからな」
ナイル「アニ・レオンハート移送ルートについては、私の責任で確保・護衛に当たらせよう。そこから先は、調査兵団に一任する」
ハンジ「へぇ、協力してくれるの。ありがたいね」
ナイル「勘違いするな。また内地で貴様らに好き勝手されるわけにはいかない。こうでもせんと、心配でしょうがないからな」
-
- 53 : 2014/01/10(金) 22:28:41 :
リヴァイ「決まりだな。後は戦いに備えて、腹を括るだけだ」
ハンジ「人類の敵を一網打尽か、人類滅亡への序章か。はたまた、新たな敵の誕生か」
ナイル「例の砂巨人が、鎧共と相打ちになってくれればありがたいんだがな」
リヴァイ「知性がねぇのに、アニを狙うってのも不可解だ。厄介な事この上ねぇな」
ハンジ「いい加減、『ヤツ』の呼び名を決めないとね。『ヤツ』じゃ、伝わりづらいし」
リヴァイ「お前は『ヤツ』の能力について、どう思う?」
ハンジ「きっと、砂の粒の大きさを操っているんだろうね。岩の硬化も、粒を集めて行っているんだろう。全身硬化も可能だとしたら、厄介だな…」
リヴァイ「砂化する身体、岩化するうなじ、自由自在な砂の粒…」
リヴァイ「…『砂礫(されき)の巨人』と言ったところか」
-
- 54 : 2014/01/10(金) 22:33:24 :
ハンジ「リヴァイ、今日は冴えてるね。エルヴィンみたい」
リヴァイ「もともと、こんなのは俺の性分じゃねぇんだ。やれと言われたからやったまでだ」
ハンジ「才能があるのはいいことだけど、やりすぎるとエルヴィンが嫉妬しちゃうよ。『私なんていなくてもいいんだ』って」ケラケラ
リヴァイ「そいつは困る。あまり俺が出しゃばるべきじゃねぇという事だな」
ナイル「…さて、そうと決まれば早速、準備に取り掛かるか」
-
- 58 : 2014/01/12(日) 13:58:50 :
~4日後・シーナ地下都市~
ライナー「…そっちはどうだった?」
ベルトルト「ダメだ、何も手がかりなしだ」
ユミル「こっちもだ。とことん情報が隠ぺいされてやがる。叩いても全然出てこねぇ」
ライナー「やはり、憲兵団の師団長にもう少し喰らいつくべきだったか…?」
ユミル「馬鹿野郎、そんなことをしたら、私らの存在を向こうに知らせることになるぞ」
ユミル「ベルトルさんも、勝手にユトピア区のワードを出しやがって。ヒヤヒヤさせるなよ」
ベルトルト「ごめん、つい焦って…」
-
- 59 : 2014/01/12(日) 14:06:58 :
ライナー「俺の方は、アニについての情報はないが、別の情報を手に入れた」
ユミル「ほう、そいつは何だ?」
ライナー「『4人目』と思われる巨人の情報だ。昨日、ストヘス区周辺で目撃されたらしい」
ベルトルト「その前はトロスト区、エルミハ区、徐々に北に向かっている。やはりアニはユトピア区に…」
ユミル「どうだかな。ただがむしゃらに進んでいるのかもしれねぇし、アニを感じ取っているのかもしれねぇ。どっちみち、時間は限られてる」
ベルトルト「クソッ…!だとしても、北まで行く手段がない…!ローゼ内であれば、今は自由に行動できるっていうのに…!!」
ユミル「仕方ねぇよ。今は待つしか…」ペラッ…
ユミル「!?」
-
- 60 : 2014/01/12(日) 14:15:53 :
ライナー「どうしたユミル?何か書いてあったのか?」
ユミル「…ようやく、撒いた種が芽を出したぞ」
ライナー「は?何を言って…?」
ユミル「これを見ろ」ペラッ
ライ&ベル「…!?」
ユミル「今日の……今から3時間後か。アニの移送が始まるそうだ。私らの流した情報が、ようやく調査兵団を動かした!」
ベルトルト「ルートは…エルミハ区から本部へ。途中に広い平原がある」
ユミル「となると、おのずとチャンスはその場所になるな。敵さんが立体機動装置を使えない場所が理想だからな」
-
- 61 : 2014/01/12(日) 14:22:42 :
ライナー「いや待て、向こうだってそんなことは分かっているだろう。わざわざ王都を突っ切るのが理解できん」
ベルトルト「まだローゼ内に巨人がいる可能性を危惧したんじゃないかな。少しでも長く、安全な内地を通るために」
ライナー「…いや、やはりこれは罠だ。例の巨人が出るかもしれんのに、わざわざ平地を通る理由も考えられん」
ライナー「やはり師団長に接触したせいで、俺達が壁内にいると感付かれたのかもしれん。だからあえて、俺達を誘い出そうと…」
ベルトルト「だけど…」
ユミル「仮にこれが罠だとしよう。じゃあ、お前らはアニを諦めるのか?」
ライナー「それは…」
ベルトルト「諦めるわけがない。どんな罠でも、立ち向かうさ!」
ユミル「よく言った。かっこいいぞベルトルさん」
ベルトルト「君に言われてもあまりうれしくないよ…」
-
- 62 : 2014/01/12(日) 14:30:01 :
ライナー「となると、戦闘は避けられないとみていいか。だがもし、移送自体が狂言だとしたら、どうする?」
ユミル「移送ルートに、この地下都市の上が含まれてる。そこでアニを確認後、ローゼの平地に移動するってのはどうだ?」
ライナー「うむ、アニを遠目から確認できればいいがな…」
ベルトルト「あまり深く考えていても仕方がない。アニを取り返さなければならないことには変わらないんだ、絶対に失敗は許されない」
ユミル「そういうこった。こっちには女神がついてんだ、案ずることなかれってな」
ライナー「女神はクリスタだけで十分なんだがなぁ…」
ユミル「ブツブツ言ってないで、さっさと上に行くぞ。グズグズしてると、連中が通りすぎちまうからな」
-
- 63 : 2014/01/12(日) 14:35:14 :
~地上・アニ移送班馬車内~
ザワザワ…
ナイル「…思った通り、人はまばらだな。避難民はいないようだ」
ハンジ「だろうね。ローゼの人達にとっちゃ、それどころじゃないからね。それにしても…」
アニ水晶「」
ハンジ「大層な水晶だねぇ、お姫様。そこから出てきて、君がいろいろ教えてくれればありがたいんだけどねぇ」
アニ水晶「」
ハンジ「…何とか言えよ、もう」
-
- 64 : 2014/01/12(日) 14:43:20 :
ナイル「…本当に、奴らは喰いつくんだろうな」
ハンジ「ほぼ間違いないよ。おそらく、今この場所のどこかで、私達のことを見ているかも」
ハンジ「そのために、水晶の上部分を少し、馬車からはみ出させている。奴らならきっとそれに気付くはず」
ナイル「アニの水晶能力を知っている者なら、というワケか。何にせよ、内地で暴れなければ何だって構わん」
ハンジ「おっと、そろそろ出口だね。ここまで協力してくれてありがと、ナイルちゃん」
ナイル「やっとか、道中が恐ろしく長く感じた。後は貴様らに任せるとしよう」
-
- 65 : 2014/01/12(日) 14:49:02 :
- エレン「待ってましたよ、ハンジさん」
ハンジ「お待たせ、エレン。ここからは危険が付きまとうけど、大丈夫?」
エレン「はい。もう一度あいつらに会って、話しをしなきゃならないと思ってます。何としても…」
ケイジ「勢い余って殺すなよ。まだまだ、奴らには聞かなきゃならないことがあるんだからな」
髭ゴーグル「こいつが本気で暴れたら、俺らじゃ止められないだろ」
ニファ「同感。あまり熱くならないでよ?」
エレン「気を付けます…」
-
- 66 : 2014/01/12(日) 14:53:54 :
ジャン「とりあえず俺は、殺されないようにするのが精一杯だな。またあんな思いをするのはゴメンだ」
アルミン「僕はベルトルトに気を付けないと。突然斬りかかってきそうで怖いよ…」
コニー「まぁ、あり得なくはないかもな。あの時相当キレてたし、あいつ」
リヴァイ「さっさと作業しろ、ガキ共。壁外並みの緊張感を持て」
ハンジ「まぁ、そうカリカリしないでよ。ケイジ、向こうは手筈通り?」
ケイジ「問題ありません。後は、奴らを炙り出すだけです」
ハンジ「よし、それじゃ行こうか。くれぐれも気を付けて」
一同「はいっ!!」
-
- 67 : 2014/01/12(日) 14:59:05 :
~同刻・ライベルユミ組~
ライナー「…見えたか?」
ベルトルト「…アニは見えなかったけど、見えたよ」
ユミル「あん?どういう意味だ?」
ベルトルト「…アニはきっと、水晶に閉じこもっている。馬車の屋根からはみ出しているのが見えた」
ライナー「となると、拷問されていたというのはやはり狂言か。一杯喰わされたな、ベルトルト」
ベルトルト「何はともあれ、あの中なら誰も手出しできない。アニが無事ならそれでよかったよ」
ユミル「…最終確認だ。本当に行くんだな、あんたら?」
ベルトルト「ここまで来て食い下がるつもりはない。この中の誰かが死のうと、アニは必ず助け出す」
ユミル「おいおい、勝手に私の命を賭けるんじゃねぇよ。私はヒストリアに用があるんだから」
ライナー「何だっていいさ。俺達に協力してくれれば、おのずとクリスタも見つけやすいだろう」
ユミル「ちぇっ、策士だねぇ、あんたも」
-
- 68 : 2014/01/12(日) 15:04:25 :
ベルトルト「よし、早速移動しよう。調査兵団より先回りして、待ち伏せしないと」
ユミル「…」
ライナー「どうした、ユミル?」
ユミル「いや、ちょっとあの平地の先に、気になる場所があってな」
ライナー「気になる場所?」
ユミル「…いや、いい。とりあえず行こう」
ベルトルト「アニ…」
-
- 70 : 2014/01/12(日) 15:09:18 :
~シガンシナ区~
獣の巨人「…ったく、あいつら、威勢よく出て行った割には、一週間も音沙汰がないじゃないか」
獣の巨人「今は一体どうなってるんだ?『4人目』にでも食われたかな?」
獣の巨人「…」
獣の巨人「もう少ししたら、様子見に行くとするか。まったく、手間かけさせやがって…」
-
- 74 : 2014/01/12(日) 18:50:45 :
~ローゼ領内・大平原~
ハンジ「…へぇ」
ベルトルト「止まってください。そして、アニを渡してください」
ハンジ「君一人かい?こんな広い平原に突っ立ってると危ないよ」
ベルトルト「こちらの要求は一つ。アニを渡してください」
ハンジ「…話し合いの余地はないかな?」
エレン「何だ?急に馬車が止まって…」
エレン「…!?」
アルミン「ベルトルト…」
ジャン「おいお前、ほんとに来やがったのか!?」
コニー「目的はやっぱりアニか!?」
-
- 75 : 2014/01/12(日) 18:54:15 :
ベルトルト「悪いけど、君たちと話している時間はない。急がないと…」
エレン「何が急がないとだ…」
エレン「今更何しに来やがった!?もう前みたいなヘマはしねぇ!!ここでお前を…」
ハンジ「エレン、落ち着いて。今はそういうことをしている場合ではない」
エレン「…っ!」
アルミン「ベルトルト、時間がないって言ったね?どうしてだい?」
ベルトルト「君と話すつもりはないよ。また騙されるのも癪だからね」
アルミン「一体何に恐れているんだい?君たちのような巨人化能力者が恐れる存在って、一体何だい?」
ベルトルト「いいから早くアニを渡してくれ」
アルミン「もしかして、君たちが恐れているのは…」
ベルトルト「余計な話はいらない!!早くアニを渡せっ!!」
-
- 76 : 2014/01/12(日) 18:58:17 :
ライナー「もういいベルトルト、下がれ!!」バッ!
エレン「…ライナー!?」
ライナー「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」ガリッ!!
カッッッッッッッッッッッッ!!!!!!
ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!
鎧の巨人「」シュウゥゥ…
ジャン「出やがった…!」
コニー「力づくでアニを取り返す気か!!」
エレン「…やるんだな、ライナー?」
ハンジ「…やむを得ない。エレン、頼む!!」
エレン「はいっ!!」ガリッ!!
カッッッッッッッッッッッッ!!!!!!
ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!
エレン巨人「ウ…ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!」
ジャン「こっちも出やがった…」
アルミン「よし、僕らも当初の作戦通りに!!」
ジャン&コニ「おうっ!!」
-
- 77 : 2014/01/12(日) 19:02:08 :
鎧の巨人「…」
エレン巨人「…」
エレン(…本当は今すぐにでもぶっ殺してやりたいけど、まだそれはダメだ。ハンジさんの作戦通り…)
エレン(平原の先にある森に誘い込み、設置してある罠でこいつを捕まえる。俺の役目は、誘導だ!!)
エレン巨人「」ダッ!
鎧の巨人「!!」
ライナー(エレンの奴、逃げたのか?いや、違うな。あの方角は…)
鎧の巨人「」ドドドッ!!
ハンジ「追いかけてきた!!」
ジャン「想定通り、先にエレンを潰しに来たか!!」
アルミン「アニの回収を最優先にするとはいえ、目の前にいるエレンを放っとくわけがないからね。計画通りだ」
-
- 78 : 2014/01/12(日) 19:06:10 :
エレン巨人「」ドドドドドドドドドド…
エレン(さぁ来いライナー、お前を地獄に誘い込んでやる…)
鎧の巨人「」ドドドドドドドドドド…
ライナー(森の方角か。やはりな。だがエレン…)
ギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!
一同「!?」
ハンジ「何だ、この声は!?」
ジャン「森のほうからだ!!」
ライナー(…お前らの思い通りにはさせねぇぞ)
-
- 79 : 2014/01/12(日) 19:10:29 :
- エレン(…あれは!?)
ユミル巨人「」ドドドドドドドドドド…
コニー「ユミル!?森のほうから出てきやがった!?」
ケイジ「分隊長、報告します!!」
ハンジ「何だ!?」
髭ゴーグル「突如現れた巨人により…」
髭ゴーグル「…森の中に設置していた罠が、全て破壊されました!!」
ハンジ「何だって!?」
ニファ「ユミルが人間体で待ち伏せしていました!!」
アルミン「…まさか、読まれていたのか!?」
ジャン「なんてこった!!どうすりゃいい!?」
ユミル(悪いな、女型捕獲の状況を考えれば、あんたらの作戦は容易に予想できた。さて、ヒストリアは…)
ユミル巨人「」キョロキョロ…
ユミル(…さすがに来てねぇか。まぁ、期待はしてなかったがな)
-
- 80 : 2014/01/12(日) 19:14:58 :
ベルトルト「ユミル!!ライナーがエレンを抑える!!君は作戦通り、アニを!!」
ユミル(へいへい、了解ですよベルトルさん)
ユミル巨人「」バッ!
ジャン「マズい!!ユミルがアニのほうに!!」
コニー「あいつもあっち側なのかよ!!クソッ!!」
エレン(させるかよっ!!)
エレン巨人「」ダッ!!
鎧の巨人「」ガシッ!!
ライナー(行かせねぇぞ!!)
エレン(離せよ馬鹿野郎!!お前らの好きにさせるかよ!!)
-
- 81 : 2014/01/12(日) 19:18:27 :
エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォっ!!!!」グググ…
鎧の巨人「グオォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!」グググ…
アルミン「エレンはライナーに捕まれて動けない!!馬車を守れるのは…」
ハンジ「馬車を頼んだよ…」
ユミル(さてと、この馬車だな。さっさとトンズラこかねぇと、面倒なことに…)
ヒュッ…
ユミル(…!?)
ズバアァァァァァァァァァァァッ!!!!!!
ユミル巨人「ギャアァァァァァァァァァッ!!!!」
リヴァイ「てめぇが裏切りモンの一味か。調査兵団を出し抜いたこと、後悔しやがれ…」
ハンジ「…さすがリヴァイ。やるねぇ」
ユミル巨人「…」シュウゥゥゥゥ…
ユミル(なんてこった!よりにもよって人類最強様のお出ましとは!どうしたもんか…)
-
- 82 : 2014/01/12(日) 19:22:49 :
ベルトルト「ユミル!!」
ライナー(クソッ!姿が見えないと思ったら、そっちに居やがったのか!だが俺がいないと、エレンを抑える奴が…)
エレン巨人「ウ…オォ…」グググ…
エレン(離せって…)
鎧の巨人「!?」
エレン(言ってんだろうがあぁぁぁっ!!!!)
エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」ガバッ!!
鎧の巨人「グオォ…!!」ビュッ!!
ドシーンッ!!
コニー「すげぇ、エレンの奴、ライナーを投げ飛ばしやがった!!」
-
- 84 : 2014/01/12(日) 19:26:23 :
ユミル(おいおい、あっちもヤバそうだな!ここは一度、出直したほうが…)
リヴァイ「どこ見てやがる?」ヒュッ…
ユミル巨人「!?」
ザシュザシュザシュザシュッ!!!!!!
ユミル巨人「ギャアァァァァァァァァァッ!!!!」
ユミル(速すぎだろ!!このままじゃ、削られて無くなっちまう!!)
リヴァイ「…てめぇは削ぎやすくていいな。女型や鎧はすぐ硬化しやがるから、フラストレーションが溜まって仕方ねぇ…」ヒュッ…
ザシュザシュザシュザシュッ!!!!!
ユミル(がっ…!!)
リヴァイ「おとなしく投降すれば、命は助けてやる。だが、てめぇも鎧側に付くってなら、このまま全て削ぎ落とすだけだ…」ヒュッ…
ギャリギャリギャリギャリッ!!!!!!
ユミル(もう…持たねぇっ…)
-
- 85 : 2014/01/12(日) 19:30:43 :
ユミル巨人「グ…ウゥ…」シュウゥゥ…
エレン巨人「」グググ…
鎧の巨人「グオ…」メキメキメキ…
ベルトルト「ライナー、ユミル…」
ベルトルト(ライナーはエレンが、ユミルは兵長が、それぞれ圧倒している…。このままでは…!)
ハンジ「呑気に見ている場合じゃないよ」ジャキッ
ベルトルト「!?」
ジャン「おとなしく投降してくれ、ベルトルト。俺達はお前を傷つけたくない」
コニー「ちゃんと言うこと聞けば、悪いようにはされないはずだ!だから、頼む!!」
ベルトルト「ジャン、コニー…」
-
- 86 : 2014/01/12(日) 19:34:10 :
アルミン「こうなるリスクを背負ってでも、君はアニを守りたかったんでしょ?」
ベルトルト「…」
アルミン「君たちが危惧している物、それは…」
アルミン「…『砂礫の巨人』だね?」
ベルトルト「されき…?そんな呼び名で?」
アルミン「その巨人がアニを狙っているという情報を流したのも、君たちでしょ?」
ベルトルト「…その通り、そうすれば君たちが、アニを手の届く場所に移送させると踏んだからね」
ハンジ「その移送のタイミングを狙って、アニの奪還を試みたというワケか。見事なまでに予想通りだね」
ベルトルト「分かってましたよ。罠だってことくらい。でも、どうしてもアニを助けたかった!!」
アルミン「ベルトルト…」
-
- 87 : 2014/01/12(日) 19:38:34 :
ベルトルト「…聞かせてくれるかい、アルミン。アニは本当に、拷問されていたのかい?」
アルミン「…いいや。水晶に閉じこもったまま、ずっとあの状態だ。拷問なんてできるわけがない」
ベルトルト「…その言葉を聞けて安心した」スッ…
アルミン「ベルトルト!!何を!?」
ハンジ「マズい、巨人化する気だ!!」
ジャン「おいやめろ!!そんなことをすれば、お前は…!!」
ベルトルト「もう、後戻りはできないんだ。みんながどれだけ説得しようと、僕の考えは変わらないし、僕の罪は消えない」
ベルトルト「ならばせめて、仲間だった君たちは、僕の手で葬ってあげるよ。これが、僕のケジメだ…」
-
- 88 : 2014/01/12(日) 19:42:24 :
コニー「ふざけんな!!お前は仲間を殺そうっていうのか!?冗談じゃねぇぞ!!」
ベルトルト「僕に刃を向けておいて、仲間だって言われても説得力ないよ、コニー」
コニー「あっ…!違う、これは…」
ベルトルト「もういいよ。もう迷わない。僕の仲間は、ライナーとアニだけ。それ以外は必要ない…」スッ…
ハンジ「皆離れろ!!超大型が現れる!!総員、戦闘用意!!」
調査兵一同「おうっ!!」
リヴァイ「チッ!総力戦は避けられねぇか…」
ユミル(しめた!ベルトルさんが暴れる隙に、どうにか…!)
エレン巨人「」グググ…
鎧の巨人「」メキメキ…
エレン(…もうすぐ、お前の首をへし折ってやるから覚悟しろ!!)
ライナー(こいつ…!以前より強くなってやがる!!)
-
- 90 : 2014/01/12(日) 19:47:45 :
- ベルトルト「…うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」
ズズズズズズズズズズズズズズズズ……
ベルトルト「!?」
ハンジ「…何だ、この揺れは!?」
アルミン「ベルトルトが変身したわけではない!!じゃあ一体…!?」
コニー「俺、嫌な予感がする…」
ジャン「同感だ…。もしかして…」
リヴァイ「…『ヤツ』か」
ザアァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!
一同「!?」
ハンジ「何かが地中から出るぞ!!気を付けろっ!!!」
バッ!!!!!!
砂礫の巨人「ズオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!」
ケイジ「出た…」
髭ゴーグル「こいつが…」
ニファ「砂礫の巨人…!!」
-
- 91 : 2014/01/12(日) 19:51:37 :
ベルトルト「あ…あぁ…」
ライナー(出やがった!!こいつが『4人目』!!)
ユミル(状況は最悪だ!!どう考えても、私らは詰んでるぞ!!)
ジャン「う…うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」パシュッ!!
パスッ…
ジャン「なっ…!立体機動装置のアンカーが、刺さらねぇっ!!」
ハンジ「当然だ!!相手は『砂』!!物理攻撃は通らない!!」
コニー「どうしたら…!?」
-
- 92 : 2014/01/12(日) 19:55:29 :
ハンジ「ケイジ!!例の『アレ』を!!」
ケイジ「はいっ!!」ダッ!
アルミン「…効くでしょうか?」
ハンジ「分からない。ただ、やってみる価値はある!!」
ユミル巨人「」モコモコ…
リヴァイ「!?」
ユミル「…ぷはっ!!ゲホゲホッ!!兵長さん、聞いてくれ!!」
リヴァイ「うなじから顔を…。そんな芸当もできるのか…」
ユミル「今は私らが戦ってる場合じゃない!!あの巨人の狙いはアニ、いや…」
ユミル「…この場にいる巨人化能力者だ!!今すぐ、壁内に撤退するべきだ!!」
リヴァイ「巨人化能力者を?どういうことだ?」
ユミル「説明は後だ!!今この場で私らの誰かがあいつらに食われたら、もっと厄介な事になるんだ!!」
-
- 94 : 2014/01/12(日) 19:59:19 :
リヴァイ「その前に答えろ。てめぇは一体、どっちの味方だ?人間か?巨人か?」
ユミル「私は…」
ユミル「…ヒストリアの味方だ!!理由はそれだけで十分だろ!?」
リヴァイ「…ふん、悪くない。今だけは、てめぇらに手を貸してやる」
リヴァイ「おいエレン!!聞こえたか!?そう言うワケだ、撤退するぞ!!」
エレン(兵長!!分かりました!!)
エレン(…命拾いしたな、ライナー。次はねぇぞ!!)
エレン巨人「」パッ
鎧の巨人「」ドサッ!
ライナー(…ふぅ、首が持って行かれるかと思った。さて、状況は最悪だ)
-
- 95 : 2014/01/12(日) 20:03:19 :
砂礫の巨人「ズオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」バッ!
ベルトルト「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
ドシャッ!!
ベルトルト「…あれ?」
エレン巨人「」ズウゥゥンッ…
ベルトルト「エレン…庇ってくれたのか?」
エレン(…勘違いすんな。お前は俺の手で殺してやる!それまでは、誰にも殺させねぇ!!)
エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!」ブンッ!!
パッサァァッ!!
砂礫の巨人「」ケロッ
アルミン「ダメだエレン!!そいつに物理攻撃は通用しないんだ!!」
エレン(本当に砂みてぇな奴だ…。どうすりゃいい!?)
-
- 96 : 2014/01/12(日) 20:07:48 :
- ケイジ「そこをどけエレン!!」
エレン(ケイジさん!?)
ベルトルト「あれは……小型の大砲!?」
ニファ「これでも…」
髭ゴーグル「喰らいやがれっ!!!」
大砲「」ドオォォンッ!!!!
ヒュウゥゥゥ…
砂礫の巨人「!?」
バッシャアァァァァッ!!!!!
ライナー(あれは…!?)
ベルトルト「水!?そうか、砂なら水で固まるから…」
-
- 97 : 2014/01/12(日) 20:11:13 :
ハンジ「今だエレン!!あいつをタコ殴りに!!」
エレン(了解です!!)
エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」ブンッ!!
バコッ!!
砂礫の巨人「ズオォ…」ボロッ…
ジャン「よし!!奴の腕が崩れた!!」
アルミン「やはり水は通用するみたいですね!!」
コニー「そのままやっちまえ!!」
-
- 98 : 2014/01/12(日) 20:15:39 :
鎧の巨人「グオォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」ドドドドドッ!
一同「!?」
鎧の巨人「」ブンッ!!
バコッ!!
砂礫の巨人「オォォォォ…」ボロッ…
ジャン「ライナーも…あいつを!?」
ハンジ「まぁ、当然だろうね。彼らにとっても、奴は敵のようだから」
エレン(ライナー、お前…)
ライナー(今だけは、お前らと利害が一致している。こいつを潰すことに集中しろ!!)
鎧の巨人「グオォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
ハンジ「まさか、鎧とエレンが共闘する姿を見られるなんて…!感激だよっ!!!」
アルミン「落ち着いてください、分隊長…」
-
- 99 : 2014/01/12(日) 20:21:02 :
エレン巨人「」スッ…
鎧の巨人「」スッ…
エレン&鎧「オォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」ブンッ!!!!!
ガッキィィィィィンッ!!!!!!
一同「!?」
ジャン「何だ!?今、すげぇ音がしたぞ!?」
コニー「おい、あの巨人を見てみろ!!」
砂礫の巨人「」ビキビキ…
ハンジ「岩化した!?エレンと鎧の拳が、全く効いていない!!」
鎧の巨人「」シュウゥゥ…
ライナー(…なんて硬さだ!!こっちの拳がイカれちまった!!尋常じゃねぇぞ!!)
-
- 100 : 2014/01/12(日) 20:25:41 :
エレン(ライナーでもダメなのか!?それにあいつ…)
砂礫の巨人「」サラサラ…
ベルトルト「周囲から砂を吸収して、損傷した箇所を再生している…!あれじゃ、いくら攻撃してもキリがない!!」
リヴァイ「こいつは、とんでもねぇバケモノだな…」
ユミル「だから言ってんだ!!さっさと撤退しないと、みんなまとめて、ここでオダブツだ!!」
ハンジ「奴の体を崩して、その隙に撤退するつもりだったけど、あれじゃどうにも…」
ライナー(硬さで俺が負けるわけにはいかねぇな。何せ俺は…)
ライナー(…鎧だからなっ!!!!!)
鎧の巨人「グオォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」ダッ!
鎧の巨人「」ガシッ!
砂礫の巨人「!?」グググ…
ライナー(俺がこいつを抑えている間に、早く行け!!)
ベルトルト「ライナーっ!!」
-
- 101 : 2014/01/12(日) 20:29:12 :
ジャン「おいベルトルト、さっさと退くぞ!!きっとライナーの奴、時間稼ぎする気だ!!」
ハンジ「エレンも急いで!!君がアニを運んでくれると助かる!!」
エレン巨人「」コクン
エレン巨人「」ドシンドシン…!
ユミル「エレンの奴、こっちに来やがる…」
リヴァイ「おいエレン!奴の動きに注意して運べ!!お前自身も狙われていることを忘れるな!!」
エレン巨人「」コクン
エレン巨人「」スッ…
アニ水晶「」ガシッ!
砂礫の巨人「」ピクッ…
砂礫の巨人「ズオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」バッ!
鎧の巨人「!?」グラッ…
ライナー(こいつ!?アニを見た途端、急に…!?)
-
- 102 : 2014/01/12(日) 20:33:11 :
砂礫の巨人「」ピキピキピキ…
ジャン「何だ…?奴の腕が黒く…?」
アルミン「岩とも違う…。あれは一体…?」
砂礫の巨人「」ブンッ!
鎧の巨人「!!」ドゴッ!!
ライナー(…っ!?すごい衝撃だ!なんだコレは!?)
砂礫の巨人「」ブンブンブンッ!!
鎧の巨人「」ドゴドゴドゴッ!!
ライナー(ぐっ…!マズい、硬化が破られそうだ…!凄まじい攻撃力だ!!)
-
- 103 : 2014/01/12(日) 20:37:17 :
コニー「ライナーが押されてる!?鎧が破壊されてるのか!?」
アルミン「あの硬度、色、間違いない。今、奴の体はカーボン、つまり炭素繊維で構成されている!!」
ハンジ「炭素だって!?岩だけでも十分厄介なのに…!!」
ケイジ「この辺り一帯は、炭素繊維を含む土壌で出来ています!!おそらくヤツは、それを吸収したのだと!!」
ジャン「そんなのアリかよ…!予測できるわけねぇじゃねぇか!!」
ベルトルト「ライナー…」
アルミン「…見てください!!奴の体がまた!!」
砂礫の巨人「」ピキピキ…
砂礫の巨人「」シャキーンッ!
ジャン「今度は奴の腕が、槍に変化した!?」
コニー「しかも、半透明で光ってやがる!!」
ハンジ「あれはもしや…。炭素を変質化させたとしたら、考えられるものはただ一つ…」
アルミン「…ダイヤモンド!!!」
ジャン「ダイヤモンドの槍…何でもアリかよ、あいつ!」
-
- 104 : 2014/01/12(日) 20:41:13 :
砂礫の巨人「」スッ…
ライナー(アレはマズい!!防ぎきれ…)
砂礫の巨人「」ビュッ!!
ブッスゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!!
鎧の巨人「グ…オォォォォ…」グラッ!!
ベルトルト「ライナーっ!!!!」
鎧の巨人「」ドスーンッ!!!
ケイジ「鎧の肉体を…いとも簡単に貫きやがった…!!」
髭ゴーグル「俺は…夢でも見てるのか!?」
鎧の巨人「」
ベルトルト「ライナー!!返事をしてくれ、ライナーっ!!!」
-
- 105 : 2014/01/12(日) 20:45:45 :
ジャン「クソっ!!ちっとも撤退できやしねぇ!!エレンのほうはどうなった!?」
エレン巨人「」ドシンドシン…
アルミン「壁のほうに向かって走っている!!あの距離なら、砂礫の奴も簡単には追いつけない!!」
コニー「…おい、ちょっと待てよ」
ジャン「どうした、コニー…?」
シーン…
コニー「あいつはどこ行ったんだよ?さっきまでそこにいたよな…?」
一同「!?」
-
- 106 : 2014/01/12(日) 20:51:06 :
エレン巨人「」ドシンドシン…
エレン(…何だ?ずいぶん静かになったな。あいつの姿が見えないぞ?)
エレン(もしかして、皆ががんばって倒したのか?それとも…)
リヴァイ「エレンっ!!後ろだ!!」
エレン(!?)
バッ!!!
砂礫の巨人「ズオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」
エレン(こいつ!?地中から!?)
コニー「そんな!!エレンのほうに出やがったぞ!!」
ハンジ「地中を伝って、あっちまで一瞬で移動したんだ!!」
ジャン「あの距離じゃ、援護も間に合わねぇっ!!やべぇぞ!!」
-
- 108 : 2014/01/12(日) 20:55:23 :
砂礫の巨人「」ピキピキピキ…
砂礫の巨人「」ビュッ!!
エレン(うわっ…)
ズバアァァァァァァァァァァァッ!!!!!
エレン巨人「」ドスーンッ!!
ハンジ「ひえぇっ!!頭部を切り裂いた!!」
砂礫の巨人「」スッ…
アニ水晶「」ガシッ!!
アルミン「マズい!!水晶を奪われた!!」
ベルトルト「アニっ!!クソ!!」
-
- 109 : 2014/01/12(日) 20:59:22 :
砂礫の巨人「」アーン…
砂礫の巨人「」ガジガジ
アニ水晶「」
ハンジ「…さすがに、あの水晶はそう簡単には割れないようだ。あのままどうにか持ちこたえてくれ!!」
砂礫の巨人「」ピキピキピキ…
ジャン「なっ…!?奴の歯が…!」
砂礫の巨人「」シャキーンッ!!
アルミン「歯までダイヤになるのか!?」
コニー「それじゃ、アニの水晶も砕かれちまうんじゃ…!?」
-
- 110 : 2014/01/12(日) 21:03:16 :
砂礫の巨人「」ガジガジ
アニ水晶「」ピシッ…
ハンジ「マズい!!砕けるぞ!!」
ユミル「おいおい、こんな時まで呑気に寝てんなお姫様よ!!」
ユミル「エレンもさっさと目ぇ覚ませ!!アニが死んだらミッション失敗だぞ!!」
エレン巨人「」
ユミル「…チッ!!」モコモコ…
ユミル巨人「」ダッ!!
リヴァイ「おいっ!勝手に行くな!!」
-
- 111 : 2014/01/12(日) 21:12:35 :
砂礫の巨人「」ガジ…
アニ水晶「」ピシピシッ…
アニ水晶「」バリーンッ!!
ハンジ「割れたっ!!」
アニ「」ヒュゥゥ…
ユミル(間に合え…)
ユミル巨人「」バッ!
アニ「」ガシッ!
ジャン「おっし!ユミルがアニをキャッチした!!」
ベルトルト「アニ…」ホッ
-
- 112 : 2014/01/12(日) 21:16:25 :
リヴァイ「まだ油断するな!!奴は諦めてないぞ!!」
ユミル巨人「!?」
砂礫の巨人「ズオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」ビュッ!
ブッスゥゥゥゥゥゥゥッ!!!
ユミル巨人「ガアァァァァ…!!」
ユミル(マジ…かよ…)
ドサッ…
アニ「…っ!」ゴロッ
ベルトルト「ユミル!!アニ!!」
ジャン「やべぇっ!!アニが無防備だ!!」
アルミン「ダメだ!!この距離では間に合わないっ!!」
-
- 113 : 2014/01/12(日) 21:20:25 :
アニ「…うぅ…ここは…?」
砂礫の巨人「ズオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」
アニ「…は!?」
ベルトルト「アニっ!!そこから離れろ!!今すぐにっ!!」
アニ「…ベルトルト?それに、この状況は!?」
砂礫の巨人「」ズズ…
アニ「…あっ!!」
アニ(捕まる…!!)
-
- 114 : 2014/01/12(日) 21:24:31 :
ドドドドド…
ミカサ「アニっ!!手を出して!!」
アニ「ミカサ!?」
ガシッ!!
ミカサ「…ふっ!!」グイッ!
アニ「…うっ!」ドッ!
ジャン「ミカサ!?馬で駆って来るなんて、無茶し過ぎだ!!」
アルミン「まだ万全じゃないのに!!傷に響くよ!!」
ミカサ「今はそんなことを言っている場合ではない!アニ、怪我は?」
アニ「大丈夫だけど…。一体これはどうなってるの?」
ミカサ「説明は後。今は、あの巨人の手の届かないところに逃げる」
アニ「…まぁ、よろしく頼むよ」
-
- 115 : 2014/01/12(日) 21:28:27 :
エレン「…うっ!」ドサッ!
アルミン「エレンっ!」
ジャン「自力で出てきたか!おいエレン、ミカサと一緒に逃げろ!!」
エレン「…ミカサ?おいお前、何でここにいる!?」
ミカサ「話は後!!早く馬に乗って!!」
ガシッ!!
エレン「…うっ!」ドッ!
アニ「3人乗りとは、無茶しすぎでしょ…」
ミカサ「そう思って、一番馬力のある馬を連れてきた。この子なら大丈夫」
馬「ヒヒーンッ!!」
エレン「…おいアニ」
アニ「…」
エレン「お前には言いたいことが山ほどあるが、とりあえずこの窮地を脱してからだ。その後で、覚悟しておけ…」
アニ「…楽しみにしておくよ」
-
- 116 : 2014/01/12(日) 21:32:41 :
ボコッ!
馬「!?」グラッ…
エレン「なっ!?」
3人「」ドサッ!
ジャン「何だ!?あいつらの周りの地面が陥没したぞ!!」
ハンジ「奴の仕業か!?」
砂礫の巨人「」ズズズズズ…
アルミン「急いで逃げて!!奴が猛スピードで近付いている!!」
ミカサ「早く体勢を…」ズキッ!!
ミカサ(…っ!やはりまだ体が!)
-
- 117 : 2014/01/12(日) 21:36:22 :
エレン「…ってぇ。いきなり何が…」
アニ「あっ…」ガシッ!
エレン「あん?どうした、アニ…」
砂礫の巨人「」⊃アニ
エレン「…おい、嘘だろ…」
コニー「アニが捕まった!!!」
ハンジ「援護急げ!!」
ケイジ「うおぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」ダッ!
ベルトルト「そんな…アニっ!!」
鎧の巨人「…」
ライナー(…冗談じゃねぇ!早くアニを…!!)
-
- 118 : 2014/01/12(日) 21:40:32 :
砂礫の巨人「」アーン…
アニ「やめろ……離せっ!!」バタバタ!
ユミル巨人「…」
ユミル(ここまでしてやって……まさかそんなオチはねぇだろうが!!)
エレン「クソッ!!」ガリッ!
エレン「何で!!早く巨人化をっ!!」ガリッ!!ガリッ!!
ミカサ「アニを…離せっ!!」ジャキッ!
ガキンッ!!
ボキッ…
ミカサ「ブレードが通用しない…!」
-
- 119 : 2014/01/12(日) 21:43:21 :
砂礫の巨人「」カパァ…
アニ「あ…やめ…」
ジャン「おい!!誰か奴を止めろっ!!」
アルミン「誰か…誰か…お願いだっ!!」
ベルトルト「アニぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!!」
グシャッ…
バキッ…
ペキペキ…
-
- 120 : 2014/01/12(日) 21:50:18 :
砂礫の巨人「」モグモグ…
ベルトルト「…はっ?」
ジャン「嘘だろ…」
アルミン「そんな、目の前で…」
ミカサ「…」
エレン「…おい、冗談だよな…?」
ユミル(…マジかよ…)
ライナー(何てことだ…!!)
ハンジ「最悪のシナリオが…」
リヴァイ「これは、なんてザマだ…」
-
- 121 : 2014/01/12(日) 21:55:37 :
ベルトルト「あ…」
砂礫の巨人「」ポイッ
アニの腕「」トサッ…
ベルトルト「あ…あぁ…」
ベルトルト「ああぁぁあぁああぁっぁぁあぁあぁっぁぁっぁっぁあぁぁあああぁっぁぁぁぁぁぁああぁっぁあっっっ!!!!!!!!!!!!!!」
ハンジ「なっ…!落ち着け、ベルトルト!!」
ベルトルト「うあぁぁぁっ!!ああぁぁっぁあぁっぅ!!あああぁぁぁあぁあぁっ!!!!!!」
ケイジ「完全に錯乱状態だ…!手が付けられない!」
-
- 122 : 2014/01/12(日) 22:00:40 :
砂礫の巨人「」モグモグ…
砂礫の巨人「」ピタッ…
ミカサ「…動きが止まった!?」
砂礫の巨人「」グラァ…
砂礫の巨人「」ドスーンッ!
エレン「うわっ!!急に倒れてきやがった!!」
ジャン「死んだ……のか?」
ライナー「今すぐここを離れるんだ…」ヨロヨロ…
ジャン「ライナー!無事だったか…」
ユミル「だから私は言っただろうが。早く撤退しろと…」
リヴァイ「てめぇも出てきたか…」
ハンジ「今から何が起こるっていうんだ…?」
ユミル「世紀の瞬間さ。よく見ておけ。これが巨人化能力者誕生の瞬間だ…」
-
- 123 : 2014/01/12(日) 22:05:42 :
砂礫の巨人「」シュウゥゥ…
アルミン「…うなじから、何かが?」
ケイジ「…人か!?」
???「」ベロン
???「」ドサッ…
ライナー「!!」
ユミル「どうした?知り合いか?」
ライナー「…おいベルトルト」
ベルトルト「…」ボウゼン
-
- 124 : 2014/01/12(日) 22:10:28 :
ライナー「しっかりしろベルトルト。中身は、最悪の男だった…」
ベルトルト「…そう」
???「…うん?」
リヴァイ「…意識があるのか?」
???「…あれ?ここはどこだ…?俺は今まで何を…?」
ライナー「久しいな。お前も戦士になっていたとはな…」
ライナー「…ラーベ」
-
- 132 : 2014/01/14(火) 21:11:25 :
ラーベ「…ライナーか?そっちのデカいのは…ベルか。そっちの女はアニ…」
ユミル「…」
ラーベ「…じゃ、ねぇな。誰だあんた?」
ユミル「アニなら、お前の腹の中だろうが。まぁ、覚えてないだろうがな」
ラーベ「…あー、そういうことか。だから俺は元に、ね。納得したよ」
ラーベ「そうか、アニを食っちまったのか。勿体ないなぁ。イイ女だったのに…」
ベルトルト「ふざけるなっ!!!」
ラーベ「…あん?」
ベルトルト「お前だけは許さない…!!アニを食った、お前だけは…!!」
-
- 133 : 2014/01/14(火) 21:15:07 :
ライナー「落ち着けベルトルト!!俺達は昔から、そういう運命だったろうが!!こいつを責める権利は、俺達にはない!!」
ベルトルト「分かってるよライナー!!だけど、どうしてもこいつは許せない!!僕がこの手で…!!」
リヴァイ「おい、お前らの言う『戦士』とは何だ?こいつもお前らの仲間か?」
ライナー「仲間…というよりは、同じ目的を持つ同士、みたいなものです」
ラーベ「おいおい、俺達は昔から仲間だろう?だからこうして、俺も巨人の力を…」
ラーベ「…あぁ、そういうことか」
ハンジ「どうした…?」
ラーベ「何かしっくり来ねぇと思ってたけど、ここは壁の中か。じゃあ、あんたらが、壁内の?」
ハンジ「…あぁ、そうだ。君は、壁の外から来たのか?」
-
- 134 : 2014/01/14(火) 21:19:19 :
ラーベ「何だよ、俺達と変わらねぇじゃん。誰だ、悪魔だなんて言ったバカは。こんなことなら、俺もさっさと来るべきだったな」
ライナー「あまり要らんことをペラペラ喋るなよ、ラーベ。お前もここにいるということは任務を任されているはずだ」
ラーベ「任務…?」
ライナー「忘れたのか?まぁ、覚えてないのかもしれないが…」
ラーベ「…あぁ、思い出したよ。探し物があるんだったな」
ラーベ「俺はやりたくなかったのに、どこかの誰かさん達が無能なばっかりに、追加要員としてこんなん任されてよ」
ベルトルト「言わせておけば…!」
ライナー「まぁ落ち着け、ベルトルト。無能なのは否定できんが、探し物ならすでに見つけた」
ラーベ「おっ?さすがライナー、エリート君は違うねぇ」
ベルトルト「こいつ…」
-
- 136 : 2014/01/14(火) 21:23:22 :
ラーベ「んで?その探し物ってのは?」
ライナー「…そいつだ」
エレン「!?」
ラーベ「…こいつが?ただのガキにしか見えないけどなぁ…」
エレン「お前だってガキだろうが。やるなら、相手になるぞ…」スッ…
ラーベ「まぁ、そうイキるなよ。穏便に行こうぜ?」
エレン「…」
ライナー「そいつを連れて故郷に帰れば、俺達の任務は果たせる。本来なら、お前が来るまでもなかったんだよ」
ラーベ「ふーん。なるほどねぇ…。じゃあさ、もし…」
ラーベ「…こいつを殺したら、どれだけの奴らが困るんだろうな?」
一同「!?」
-
- 137 : 2014/01/14(火) 21:27:18 :
エレン「お前、何言って…」
ミカサ「エレン、下がって!!こいつは危険!!」
ライナー「ラーベ、お前何考えてやがる!?冗談でも言っていいことと悪いことが…」
ラーべ「…どうやら、相当困るようだな。おもしれぇ」
ハンジ「総員、戦闘用意!!」
ラーベ「あん?」
ハンジ「こいつは危険だ!!巨人化する前に捕えよ!!」
一同「」ジャキッ!
ラーベ「…何だ?やろうってのか?」
-
- 138 : 2014/01/14(火) 21:31:26 :
ライナー「もう一度聞かせてくれ、ラーベ。お前は、俺達と共に任務を遂行し、故郷に帰る気はあるか?」
ラーベ「…故郷ねぇ。正直、どうでもいいんだよな。あんな猿野郎の言いなりになるのも癪だし」
ラーベ「好きでこんな力貰ったわけでもないし、どうせなら楽しく生きたいじゃん?」
ライナー「お前…!」
ラーベ「ってワケで、その物騒なモンを降ろしてくれる?別に俺は、あんたらとやり合うつもりはないし」
ラーベ「さっきのも冗談だって。別にそいつが居ようが居まいが、俺には関係ないしね」
ミカサ「そんなのは信用できない。お前もライナー達の仲間なら、ここで息の根を止める」
-
- 139 : 2014/01/14(火) 21:35:18 :
ラーベ「…困ったなぁ。完全に嫌われちゃったかな?ジョークの通じない人はこれだから」
ラーベ「信用してもらうにはどうすればいいかな…?」チラッ…
折れたブレード「」
ラーベ「…これ借りるねっ!」ヒョイッ
一同「!!」
リヴァイ「おい、勝手な真似はやめろ。削がれたくなかったらな…」
ラーベ「別に変なことはしないって。ただ…」
ラーベ「…こうするのさっ!!」ビュッ!
ライナー「!?」
ズバアァァァァァァァァァァァッ!!!!
ライナー「ぐ…あぁぁぁっ!!!!」
ラーベ「あははっ!爽快っ!!」
ハンジ「なっ…!?」
ベルトルト「…貴様あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
-
- 140 : 2014/01/14(火) 21:39:27 :
ラーベ「これで信用してくれるかなぁ?何なら、もっと切り刻んでも…」
ユミル「ライナーっ!!ベルトルさんっ!!私に捕まれっ!!」
ライ&ベル「!?」
ユミル巨人「」ドドドドド…
ハンジ「逃げる気か!?」
ジャン「速ぇ!逃げられちまうっ!!」
ライナー「ぐっ…」シュウゥゥ…
ユミル巨人「」ガシッ!
ベルトルト「…」
ライナー「ベルトルト、ボケっとするな!!早く手を…」
ベルトルト「…二人で逃げてくれ。僕はこいつを…!」
-
- 141 : 2014/01/14(火) 21:45:29 :
ライナー「馬鹿なこと言ってるな!!ここにいても、拘束されるか殺されるかだ!!」
ユミル(本当に大馬鹿野郎だな!!せっかく逃げられるチャンスを!!)
ベルトルト「アニの仇を討てるなら、死んでも構わない。それに、こんな奴に戦士の使命を任せておくわけにもいかない」
ベルトルト「必ず僕は生きて君たちと合流する!!それまではどうか無事で…」
ライナー「ベルトルト…」
ハンジ「誰も逃がすな!!総員、ユミル巨人を討伐せよ!!」
ユミル(…これ以上ここにいたら、命はねぇ!!また会おうぜ、ベルトルさんっ!!)
ユミル巨人「」ダッ!!
ベルトルト「…ありがとう」
-
- 142 : 2014/01/14(火) 21:50:34 :
コニー「…速ぇな。もうあんなとこまで行っちまった」
アルミン「…せめて、君だけでも拘束させてもらうよ、ベルトルト」
ベルトルト「こっちも簡単に捕まるわけにはいかない。ラーベを討つまでは…」
ラーベ「お前も冷たいねぇ。昔は一緒に遊んだ仲だろうが。そんなにアニを食ったことが気に入らないか?」
ベルトルト「アニの件に飽き足らず、ライナーまで手に掛けようとした。それに君は、使命も果たす気は無いんだろ?」
ラーベ「無いな。最初からそんなものに興味ないし。何より、お前らの尻拭いって言うのが気に食わない」
ラーベ「さらっと見ただけだけど、壁内も面白そうだしな。俺は自由に生きさせてもらうよ」
-
- 143 : 2014/01/14(火) 21:55:56 :
ベルトルト「…残念だけど、それは叶わぬ願いだよ。君はここで散るんだからね」
ラーベ「面白れぇじゃん、やってみろよ。えーと……お前、本名なんだっけ?ベル…ベロ…?」
ベルトルト「…ベルトルト・フーバー。それ以上でも以下でもない。冥土の土産に、この名を持って行きなよ」
ラーベ「…来いよ、根暗野郎!!!」
ベルトルト「」ガリッ!!
カッッッッッッッッッッッッ!!!!!!
ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!
超大型巨人「」ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥン…
ケイジ「出やがった!!」
ハンジ「皆、迂闊に近づくな!!高熱の蒸気にやられるぞ!!」
-
- 144 : 2014/01/14(火) 22:00:14 :
エレン「こうなったら、俺がもう一度…」
ラーベ「待てよ。あいつは俺の獲物だ」
エレン「ふざけんな!!あいつは人類の仇!!お前なんかにやらせるかよ!!」
ラーベ「…なぁ、この中で一番偉い奴は、誰?」
リヴァイ「…要求は何だ?」
ラーベ「話が早くて助かるなぁ。何、簡単さ」
ラーベ「あいつやっつけるの手伝ったら、俺もそっちの仲間に入れてくれるか?」
一同「!?」
-
- 145 : 2014/01/14(火) 22:05:48 :
エレン「お前、何言ってやがる!!そんなの、信用できるわけねぇだろうが!!」
ミカサ「一時、エレンに殺意を抱いたお前を、近くに置いておくなどするはずがない!!」
リヴァイ「…手伝うんじゃない。一人でやれ。それができたら、考えてやってもいい」
ハンジ「…」
エレン「兵長、何言ってるんですか!!こいつもあいつらと同じ、人類の敵ですよ!?どうして…」
リヴァイ「こいつが敵かどうかは関係ない。今、超大型の野郎を潰せる可能性を持ってるのは、こいつだけだ」
リヴァイ「それともエレン、その満身創痍の体で、奴と戦えるとでも?」
エレン「それは…」
リヴァイ「利用できるコマはすべて利用しろ。こいつの処遇について考えるのは、この場を切り抜けてからでも遅くはない」
ラーベ「いやぁ、大人の方は分かってらっしゃる。そういう事だから、ヨロシクな」
エレン「…クソッ!」
-
- 146 : 2014/01/14(火) 22:10:57 :
ラーベ「さてと、確かこうやって手を噛み切ってたな…」スッ…
ベルトルト(…来い!!お前なんか、僕がこの手で…!!)
超大型巨人「オォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
ラーベ「…」ガリッ!
ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!
-
- 150 : 2014/01/15(水) 19:32:16 :
~翌日・調査兵団本部地下~
ハンジ「…っていう感じかな。昨日は大変だったよ」
エルヴィン「そうか、ご苦労だったな。リヴァイもご苦労」
リヴァイ「そんな社交辞令はいらねぇ。それよりも、牢獄の味はどうだ…」
リヴァイ「…ベルトルト・フーバーよ」
ベルトルト「…」
-
- 151 : 2014/01/15(水) 19:37:19 :
リヴァイ「どうやってここに運ばれたか覚えているか?」
ベルトルト「…いえ」
リヴァイ「砂礫の巨人が一瞬でお前をうなじから引きずり出し、四肢を切断した状態でお前を拘束した」
リヴァイ「ラーベの奴は、お前を調査兵団に引き渡す見返りに、自分も調査兵団に入れろと言ってきた。太ぇ野郎だな」
ハンジ「今は上でくつろいでもらっているよ。と言っても、監視付きだけどね」
エルヴィン「彼が本当に我々の敵でないかどうかを確かめる術がまだない。君の見立てではどうだろうか?」
ベルトルト「…知りませんね。彼は根っからの気分屋なので、ラーベのことはラーベにしか分かりません」
エルヴィン「そうか。ありがとう」
-
- 152 : 2014/01/15(水) 19:42:20 :
ハンジ「さて、君にはいろいろ聞きたいことがある。君たちの言う『戦士』、『故郷』、『使命』とは、一体何なのかな?エレンを攫ったのも、無関係ではない?」
ベルトルト「…」
ハンジ「黙秘権はないよ。喋らないのなら、少々手荒な真似をさせてもらうけど?」
ベルトルト「お好きにどうぞ。僕は何も言いません。どんな拷問をされようが、何も話しません」
リヴァイ「ハナから期待しちゃいねぇが、こいつも駄目そうだな」
ベルトルト「こいつも…?」
リヴァイ「てめぇの馴染みも、何も話しやがらねぇ」
ハンジ「何を聞いても『覚えていない』の一点張り。わざと覚えてないふりをしてるのか、本当に知らないのか…」
-
- 153 : 2014/01/15(水) 19:47:24 :
エルヴィン「そう言えば、ラーベは巨人体の状態でアニ・レオンハートを捕食し、人間に戻ったと聞いた。君たちのような能力者は、全員そうなのかな?」
ベルトルト「…」
エルヴィン「だんまりか。ひょっとすると、君のような能力者は複数いて、最初は無知性巨人と同じように、人間を求めて行動する」
エルヴィン「そして、元の人間に戻るために必要なのは、他の人間の捕食とみて間違いないか。となると、エレンも…?」
リヴァイ「どうだろうな。奴の過去に何があったかは知らねぇが、こいつらと同じだって言うなら、そういう事なんだろう」
ハンジ「問題は、捕食する人間。普通の人間でいいのか、それともアニのような巨人化能力者か」
エルヴィン「砂礫の巨人は、理性がない状態で無差別に人を喰らっていたと聞いた」
エルヴィン「もし通常の人間でいいのなら、その時点で人間に戻っていたはずじゃないか?」
リヴァイ「それに、そばかす女が言っていた。『狙いはこの場にいる巨人化能力者』だと。つまりは、そういう事だろ」
ハンジ「なるほど。つまり、彼らの言う『故郷』には巨人化能力者が複数いて、それらの犠牲の上に、理性を持った能力者を生み出している。こういうことかな?」
ベルトルト「…」
-
- 154 : 2014/01/15(水) 19:52:36 :
ハンジ「まぁいいや、続けよう。そうなると、通常の巨人が人間を本能的に捕食する行動。これにも、説明が付くんじゃないかな」
エルヴィン「彼らも、巨人化能力者を求めて、捕食活動をしていると?」
ハンジ「根拠はないけど、仮定としてはあり得るでしょ。そうでもないと、人間を捕食する理由が見当たらないし」
リヴァイ「おい、待て。そうだとすると、巨人の正体ってのが…」
ハンジ「…元は人間だったっていう可能性。元に戻るために、巨人化能力者を探しているとしたら?」
エルヴィン「…つまり、何らかの要因で巨人化した人間達が、壁の外をうろついていると?」
ハンジ「…ここまでの仮定はいかがかな?」
ベルトルト「…さぁ、どうでしょうか」
ハンジ「…だんだんイラついてきたよ、この子…!」
-
- 155 : 2014/01/15(水) 19:57:14 :
エルヴィン「…驚いたな。つまり、巨人の正体は我々と同じ人間だと?」
ハンジ「この子が黙秘している以上、確証はないよ。」
リヴァイ「さっきから何言ってんのか分かんねぇな、クソメガネ…」
ハンジ「あぁそうだね、ごめん…」
リヴァイ「じゃあ…何か?俺が必死こいて削ぎまくってた肉は、実は人の肉の一部で…」
リヴァイ「…俺は今まで、人を殺して飛び回ってた…ってのか?」
ハンジ「…確証はないと言っただろ」
リヴァイ「…」
ベルトルト「…」
-
- 156 : 2014/01/15(水) 20:02:15 :
ハンジ「彼らの言う故郷に、まだ巨人化能力者がいるとして、彼らがエレンを求める理由を仮定すると…」
ハンジ「エレンを食わせることにより、何らかの力ないし、利益を手中に収めること、これが『使命』と言う可能性はないだろうか?」チラッ…
ベルトルト「…」
ハンジ(…反応が分かりづらいな。ある程度、こういった事態も想定して訓練されているのか?)
エルヴィン「故郷と言うのがどこを指しているのか分からないが、『戦士』と言うのは、故郷の巨人化能力者のことでいいのかな?」
ハンジ「確証がない以上、そうしておくしかないよ。どうせこの子は教えてくれないし」
ベルトルト「…これから僕をどうするつもりですか?」
ハンジ「何も情報を引き出せないとなると、君はただの危険因子でしかない。ましてや、マリア陥落の首謀者だ。生かしてはおけないだろうね」
ベルトルト「ライナーとユミルはどうするつもりですか?」
ハンジ「もちろん探し出し、拘束する。ユミルは出方次第だけど、ライナーのほうは君と同じだ」
ベルトルト「僕の命と引き換えに、ライナーを見逃せと言ったら、飲んでくれますか?」
ハンジ「それは無理だ。鎧の巨人を野放しにして、また門を破壊されたら堪ったもんじゃない。要求は飲めないよ」
-
- 157 : 2014/01/15(水) 20:07:17 :
ベルトルト「…ラーベ」
ハンジ「うん?」
ベルトルト「ラーベは、あなたたちが立てた仮説の答えを、全て知っています。忘れるはずがない、隠しているだけです」
ハンジ「それは、君も一緒だろ?そこまで頑なに、私達に話すことはできないものなのかい?」
ベルトルト「ラーベは必ず裏切ります。あなたたちに待つのは、崩壊のみ。おとなしいうちに処刑するのが最善だと思いますけど…?」
ハンジ「それを判断するのは私達だ。君の助言は必要ない。それに君は、ただラーベに死んで欲しいだけだろう?」
ベルトルト「ただ死ねばいいのではありません。僕の手で殺さなければならないんです」
ハンジ「…何にせよ、無理な話だ。君はおとなしく、ここで拘束されていることしかできない。気が変わったら、何か話してくれると助かる」
ベルトルト「期待はしないでください」
ハンジ「…」
-
- 158 : 2014/01/15(水) 20:12:32 :
~調査兵団本部・とある一室~
エレン「…」
ミカサ「…」
アルミン「…」
ラーベ「~♪」ギーコギーコ
エレン「…なぁ」
ラーベ「なぁに?」ギーコギーコ
エレン「頼むから普通に座れよ。ギコギコうるせぇんだよ」
ラーベ「分かった」ギーコギーコ
エレン「言葉と行動が一致してねぇよ。やめろったらやめろ」
ラーベ「もう、うるせぇなぁ。殺すぞ?」
ミカサ「…」ガタッ
アルミン「ミカサ、落ち着いて…」
-
- 159 : 2014/01/15(水) 20:17:11 :
エレン「お前、本当にライナー達の仲間じゃねぇのか?3人で共謀して、俺達を騙してるとか…」
ラーベ「どうかな?あんま信用しない方がいいかもね」
エレン「お前…!」
ラーベ「なーんてな。お前を連れて帰ればいいみたいな話してたけどさ、俺には本当にどうでもいいんだよ、そんなこと」
ラーベ「それより、時間取れるときに、街でも案内してくれよ。壁内を探検することのほうが面白そうだ」
エレン「…」
-
- 160 : 2014/01/15(水) 20:22:29 :
アルミン「それより…」
ラーベ「何だ?」
アルミン「君はその…アニを食べて、何とも思ってないの?」
ラーベ「だって、誰かを食わないと人間に戻れないし。それに、あの時は俺の意思は反映されてないからな。アニを食ったことも覚えてない」
ラーベ「そういえば、お前も巨人になれるんだってな。壁内にもそういう奴がいたんだなぁ」
エレン「…」
ラーベ「んで、誰食ったの?」
エレン「いや…俺は…」
ミカサ「…」
-
- 161 : 2014/01/15(水) 20:27:12 :
アルミン「エレンと君とは、根本的に違うんじゃないかな?エレン自身も、巨人の能力を持ってるとは知らなかったみたいだし」
ラーベ「ふーん。まぁ、どうでもいいけど。考えたって分かんねぇし」
アルミン「そうだね…」
ラーベ「それよりさ、調査兵団?って、何するんだ?なんかかっこいい名前だな」
エレン「主な仕事は、巨人の駆逐だな。巨人殺しの達人たちの集まりだ」
ラーベ「巨人を…。わざわざあいつらを倒して回ってるってのか?」
エレン「まぁ…そうだな。俺は一日でも早く巨人を絶滅させて、壁の外を冒険するんだ!!」
ラーベ「壁の外、ねぇ…」
エレン「?」
-
- 162 : 2014/01/15(水) 20:32:32 :
ラーベ「夢を見るのは悪い事じゃないけど、あんまり期待し過ぎるのも良くないな。とりあえず忠告」
エレン「は…?何だよそれ…」
ラーベ「でもまぁ、巨人を殺すってのは面白そうだな。あいつら邪魔で鬱陶しかったし。ついでにあの猿野郎もやっちまえば…」ブツブツ
アルミン「一人で何を言ってるの?」
ラーベ「あー…、何でもねぇ。気にしないでくれ」
アルミン「?」
-
- 163 : 2014/01/15(水) 20:37:34 :
~ローゼ領内・とある場所~
ライナー「はぁ、はぁ…」
ユミル「何とか逃げ切れたか…?」
ライナー「まさか、ベルトルトがあの場に残ると言い出すとは…」
ユミル「どう見ても冷静じゃなかったな、あいつ。やっぱアニか?」
ライナー「だろうな。それなりに、抱いてる想いもあったみたいだからな」
ユミル「ったく、さっさと言わねぇから、ああいうことになるんだろうが…」
ライナー「あいつの気持ちも察してやってくれ。ヘタにアニと接触しないようにしていたんだからな」
ユミル「まぁ、そんなことは今はどうでもいい」
-
- 164 : 2014/01/15(水) 20:42:40 :
ユミル「あの砂巨人から出てきた奴、何者だ?」
ライナー「…あいつも、俺達と同郷の奴だ。名をラーベ」
ユミル「相当頭のイカれた奴だってことは分かった。確かに、人間に戻すべきじゃなかったかもな」
ライナー「俺も、まさか中身があいつだとは思いもしなかった。戦士になっていたこと自体、驚きだ」
ユミル「あんたら3人がさっさと任務を果たさないから、向こうが痺れを切らして送り込んできたってところか?」
ライナー「大方、そんなところだろうな。まったく、屈辱だ」
ユミル「信用ねぇんだなぁ、あんたら」ケラケラ
-
- 165 : 2014/01/15(水) 20:47:20 :
ライナー「まぁ、それは置いといてだ。問題は、これからどうするかだ」
ユミル「わざわざ壁内に戻ってきたが、面倒事が増えちまっただけだったな。ベルトルさん、どうすんだよ…」
ライナー「当然、ベルトルトを置いてはいけない。ラーベのほうもどうにかしないとなぁ」
ユミル「ほっとけばあいつ、何しでかすか分かんないぞ?かといって、能力的にとても敵いっこないし…」
ライナー「あいつはかなりの気分屋だからな。もしかしたら、今は調査兵団と一緒にいるかもしれんが、いつ裏切るかも分からん」
ユミル「…行くのか?」
ライナー「何度も言わせるな。ベルトルトを置いてはいけない」
ユミル「それ、前もどこかで似たようなのを聞いたぞ。ベルトルさんを助けようとしてベルトルさんが死に、あんたが奴らに捕まると…」
ライナー「やめてくれ、妙にリアルだから…」
ユミル「ま、そうなったら諦めてくれ。私は一人でトンズラこかせてもらうからさ」
ライナー「冷てぇな…。助けに来てはくれないのか?」
ユミル「無理だな。私が動くのは、私に利益がある時のみだ」
ライナー「…ぶれないな、お前は」
-
- 166 : 2014/01/15(水) 20:55:26 :
ユミル「まぁ、今回はヒストリアにも用がある。それまでは、あんたに協力してやるよ」
ライナー「恩に着る」
ユミル「それと、ベルトルさんがアレに気づいてくれればいいんだが…」
ライナー「アレ?」
ユミル「あんた連れて逃げる時に、ちょっとベルトルさんのポケットに仕込んだものがあるんだ」
ライナー「巨人の状態でか?器用なもんだなぁ…」
ユミル「私のはサイズが小さいからな。小技ならお手のもんさ」
ライナー「それで、何を仕込んだっていうんだ?」
ユミル「それはな…」
-
- 167 : 2014/01/15(水) 21:02:34 :
~翌日・調査兵団本部地下~
ベルトルト「…今日は君達か」
ミカサ「…」
アルミン「…」
エレン「…」
ベルトルト「ちょうど、話し相手がほしかったところだよ。ありがたい」
エレン「訓練所にいたときは、ろくに口も利かなかったくせに、話し相手がほしいだって?笑わせんな」
エレン「自分の置かれた立場が分かってんのか?おい…」
ミカサ「エレン、熱くなってはダメ」
エレン「別に、まだ普通だっての…」
-
- 168 : 2014/01/15(水) 21:09:14 :
ベルトルト「昨日は質問攻めにあって、かなり疲れたよ。何か、楽しい話題がほしいかな」
エレン「…おい、ふざけてんのかお前」
ベルトルト「ふざけてはいないよ。審議所の地下に拘束されたことのある君なら、この気持ちが理解できるだろう?」
エレン「お前と一緒にするなよ…。この猟奇殺人犯が…!」
エレン「俺は言ったよな!?お前らが、できるだけ苦しんで死ねるようにしてやるって!!」
エレン「楽に死ねると思うなよ!?ライナーの野郎もとっ捕まえて、二人まとめて俺がこの手で…」
ミカサ「エレン、そこまで。もう頭に血が上っている」
アルミン「感情的になっても意味がないよ。落ち着いて」
エレン「…あぁ、悪い。こいつらの顔を見てると、どうしても抑えられなくなっちまう…」
-
- 169 : 2014/01/15(水) 21:16:23 :
アルミン「ベルトルト、君に聞きたいことがある。君もかつて、ラーベと同じように、人間を食べてその姿になったのかい?」
ベルトルト「またその質問か。いい加減、うんざりなんだけど…」
アルミン「深く追求するつもりはない。本当に僕が知りたいのは…」
アルミン「…エレンについてのことだ」
エレン「…俺?」
アルミン「エレンも君たちと同じように、巨人の能力を得た際、誰かを食べて今の姿に戻ったのかどうか。それだけでも教えてくれないか?」
ベルトルト「エレンがその力を誰にもらったのかは知らないけど…」
ベルトルト「…まず、食べただろうね。誰を食べたのかは知らないけど、僕らの仲間でないことは確かだ」
アルミン「やはりか…」
-
- 170 : 2014/01/15(水) 21:23:28 :
エレン「…じゃあ、俺もお前らと同じように、誰かを食っちまったってことか…?何だよそれ…」
ミカサ「エレン…」
エレン「この力をくれたのは、ほぼ父さんだとみて間違いない。だとすると、父さんはどこでその力を…?」
ベルトルト「…もしかして、お父さんも巨人化能力者、と言う線は考えられないかい?」
エレン「…父さんが?」
ベルトルト「君のお父さんが、君に力を与えた。だけど、誰か能力者を捕食しなければ、君は一生巨人の姿。だとすると、お父さんはどうするだろうか?」
ミカサ「…!!」
アルミン「まさか…!?」
エレン「俺が…父さんを!?」
ベルトルト「あくまで仮説だよ。確証のかの字もない。僕にだって分からない」
エレン「俺が…そんな馬鹿な…」オロオロ
ミカサ「エレン、気を確かに!エレンがおじさんを食べたなんて、そんなことがあるはずない!!」
アルミン「そうだよ!もしかしたら、誰かを食べたってこと自体、無いのかもしれないよ!」
エレン「ミカサ、アルミン…」
-
- 171 : 2014/01/15(水) 21:30:10 :
ガチャ…
一同「!!」
クリスタ「…あ、ごめん。取り込み中だった?」
アルミン「やぁクリスタ…いや、ヒストリア、だったよね?」
クリスタ「別にどっちでもいいよ。呼びやすいほうで」
ミカサ「食事を持ってきたの?」
クリスタ「うん。ベルトルトが、お腹を空かせている頃だと思って」
エレン「そんなもん必要ないぞ、クリスタ。殺人鬼に食わせる飯なんてねぇ!」
クリスタ「でも、それじゃ…」
ベルトルト「いいんだよクリスタ。どの道、僕は殺されるだけなんだから」
エレン「よく分かってるじゃねぇか…」
-
- 172 : 2014/01/15(水) 21:37:17 :
クリスタ「エレンは…」
エレン「…?」
クリスタ「ベルトルトを餓死させるのが目的なの?それで満足?」
エレン「…は?」
クリスタ「確かに、お腹が空けば苦しんで死ねるかもしれないね。エレンの望み通りに」
エレン「おい、クリスタ…」
クリスタ「でも、もっと苦しめる方法があると思わない?」
エレン「クリスタ、何を言って…」
クリスタ「だって、あれだけのことを犯した張本人だよ。たかが餓死じゃあ、物足りないと思わない?そうでしょ、エレン」
エレン「…クリスタ、何かお前怖ぇよ…」
ベルトルト「…」
-
- 173 : 2014/01/15(水) 21:44:14 :
クリスタ「まぁ、エレンがそれでいいのなら、もう食事は持ってこない。いいよね?」
エレン「…」
アルミン「エレン…」
エレン「…分かったよ。こいつには、他の方法で苦しんでもらう。飯は勝手に食ってろ!!」
エレン「ミカサ、アルミン、行こうぜ」
ミカサ「それじゃ…」
アルミン「クリスタ、後はよろしくね…」
バタン…
クリスタ「…」
ベルトルト「…驚いた。君って結構、キツいこと言うんだね。さすがに傷ついたよ」
クリスタ「ごめんなさい。ああでも言わないと、あなたに食事を渡せなかったから…」カチャ
-
- 174 : 2014/01/15(水) 21:51:47 :
ベルトルト「…本当に君は優しいんだね。ライナーが惚れるのも頷けるよ」
クリスタ「えっ?」
ベルトルト「ウチの女神様が、君だったらよかったのにな。あれは頼りにはなるけど、癒しにはならないもんね」フフッ
クリスタ「…ユミルのこと?」
ベルトルト「どうかな」
クリスタ「…元気なの?一緒に、壁内に戻って来たの?」
ベルトルト「まぁね。今はどこにいるか知らないけど、元気だったよ」
クリスタ「そう、ならよかった…」
ベルトルト「…会いたいかい?」
クリスタ「そりゃぁ、あんな別れ方だったから…。会いたくないって言ったら、嘘になる…」
ベルトルト「…僕の頼みを、聞いてもらえないかな?」
クリスタ「…えっ?」
-
- 175 : 2014/01/15(水) 21:58:18 :
~同刻・壁外~
ラーベ「ひゃっほーっ!!」ビュッ!
ズバアァッ!!!
巨人「アァァ…」
バターンッ…!
ラーベ「はははっ、爽快爽快っ!巨人を殺すのって楽しいねぇ!」
ハンジ「…すごいね」
リヴァイ「本当に立体機動は初めてなのか?だとすれば、人間とは思えねぇな…」
-
- 176 : 2014/01/15(水) 22:06:23 :
ラーベ「ねぇ、もう少し狩ってっていい?楽しくてやめられないんだ!」
リヴァイ「おいガキ、好き勝手していいと誰が言った?帰るぞ」
ラーベ「えぇ…。ケチ!」
ハンジ「まだ君の身柄はあくまで『調査兵団預かり』だからね。上はまだ君を、危険因子だと断定しているんだ」
ハンジ「あまり勝手なことをされると、今後の動向についてもこちらが不利になってしまう。今は我慢して」
ラーベ「はいはい。じゃあ、また今度…」
ラーベ「!?」ガシッ!
巨人「アァァ…」
ハンジ「マズい!!捕まった!!」
-
- 177 : 2014/01/15(水) 22:13:58 :
リヴァイ「あのガキ…だから言っただろうが!!」ヒュパッ
ラーベ「いてて…あんまり強く握るなよ…」
巨人「」カパァ…
リヴァイ「今助ける…」ヒュオォォォ…
――――つまり、巨人の正体は我々と同じ人間だと?
リヴァイ「!?」ピタッ…
ハンジ「リヴァイ…?」
――――俺は今まで、人を殺して飛び回ってた…ってのか?
リヴァイ「俺は…」
-
- 178 : 2014/01/15(水) 22:20:35 :
ハンジ「リヴァイ、後ろっ!!」
リヴァイ「!?」
巨人「」ヌッ…
リヴァイ「しまっ……」
ズバアァァァァァァァァァァァッ!!!!!
スタッ…
ラーベ「…心配しなくても、自力で何とかできるっての。あんたのほうがヤバかったね」
リヴァイ「…」スタッ…
ハンジ「ラーベ、リヴァイ、怪我はない!?」
リヴァイ「俺は問題ない…」
ラーベ「こっちも。ってか、怪我してもすぐ治るしね」
ハンジ「それならよかった…」
-
- 179 : 2014/01/15(水) 22:27:25 :
ラーベ「それにしても、人類最強っていうから、もっとすごいのかと期待してたけど、そうでもなかったね」
リヴァイ「悪かったな。俺だって、調子の悪い日くらいはある…」
ラーベ「そんなもんなのかね?それとも…」
ラーベ「…自分達が立てた、巨人の正体についての仮説があまりにも衝撃的で、巨人を殺すことに迷いを感じてる、とか?」
リヴァイ「…っ!」
ハンジ「リヴァイ、それって…」
リヴァイ「…帰るぞ。今日はここまでだ」
ラーベ「へいへい」
ハンジ「リヴァイ…」
-
- 180 : 2014/01/15(水) 22:34:12 :
ラーベ「それにしてもさ、巨人を殺すのもいいけど、やっぱいつかは…」
コニー「おいジャン、あそこだ!あそこにいたぞ!!」
ジャン「兵長!!分隊長!!大変です!!」
ハンジ「ジャン!!コニー!!どうしたの、こんな壁外まで、しかも二人で!?」
コニー「壁から近い地点にいてくれて助かりました!!」
ジャン「おい、そんな話はどうでもいいんだ!!聞いてください、事件です!!」
リヴァイ「騒がしいな。何だ?」
ジャン「地下牢で拘束していたベルトルトが、脱走しました…」
リヴァ&ハン「!?」
-
- 181 : 2014/01/15(水) 22:41:17 :
ラーベ「へぇ…。逃げちゃったの。生意気」
ハンジ「馬鹿な…。彼はとても動けるような状態ではなかったはずだ!!」
リヴァイ「まさか、巨人化でもしたのか?あの地下で…」
ジャン「いえ、おそらく、手引きした者が…」
リヴァイ「裏切り者の巣窟か、ウチは?どうしてこうも、次々と…」
ハンジ「それで、誰が手引きしたかは分かるの!?」
コニー「それは、おそらく…」
-
- 184 : 2014/01/16(木) 20:18:37 :
~ローゼ領・トロスト区内門付近~
パカラッ!パカラッ…
ベルトルト「…いた。ライナーとユミルだ」
ライナー「…来たか」
ユミル「ベルトルさん、そして…」
ユミル「…ヒストリア」
クリスタ「…ユミルっ!!」
ユミル「会いたかったぞヒストリア!汚れ役をさせちまってゴメンな!!」
クリスタ「ううん、いいの。私ももう一度、あなたに会いたかったから」
ライナー「俺達が言うのもアレだが、よく協力してくれたな、クリスタ」
クリスタ「良くないことだって分かってたけど…。ユミルに会うためには、これしかないと思って…」
ライナー「…」
ライナー(ユミルの思惑通りってことか。自分に会えると思えば、クリスタは無茶してでも言う事を聞くと踏んで…)
-
- 185 : 2014/01/16(木) 20:24:21 :
ベルトルト「それにしても驚いたよ、ユミル。ポケットを見たときは、目を疑った」
ユミル「金切り鋸は役に立ったかい?ユミル様特製品だから、特殊合金の鎖だろうが問題ないぜ」
ベルトルト「それと手紙。『トロスト区内門で待つ。一人で無理なら、ヒストリアに協力してもらえ』」
ベルトルト「クリスタが本当に協力してくれるとは思ってなかったけど」
ユミル「さすが私のヒストリアだ。やっぱ女神ってのは、こういう奴のことを言うんだろうな!」
クリスタ「…」
-
- 186 : 2014/01/16(木) 20:30:36 :
ライナー「どうした?」
クリスタ「皆はこれからどうするの…?」
ユミル「それは…」
ライナー「このまま手ぶらで帰っても、俺達は殺されるだけ。かといって、ラーベの件を報告しないわけにはいかん。どうしたものか…」
ベルトルト「簡単だよ」
ライナー「…ベルトルト?」
ベルトルト「ラーベを殺して、エレンを連れていく。こうすれば問題はない」
ライナー「だが、どうやって!?手練れの兵士のほとんどを失った調査兵団はともかく、あのラーベが相手じゃ勝機はないぞ!!」
ベルトルト「どう言うワケか知らないけど、ラーベは今調査兵団にいる。完全に僕達の敵だ」
ライナー「だったら尚更だ!死にに行けってのか!?」
ベルトルト「そうだよ。ただし、死ぬのは…」
ベルトルト「…僕だ」
-
- 187 : 2014/01/16(木) 20:36:40 :
ライナー「おい、何言ってやがる!!冷静になれ!!アニの件でラーベが憎いのは分かるが、闇雲に行動しても…」
ベルトルト「僕はっ!!」
ライナー「!!」ビクッ!
ベルトルト「…僕は、これ以上仲間を、目の前で失いたくない」
ライナー「お前…!」
ベルトルト「強引にでもエレンを攫い、追跡してくる奴らを、僕が食い止める。ラーベだろうと誰だろうと、必ず」
ベルトルト「人類にとっての壁がこのローゼなら、君にとっての壁は、この僕だ!!全身全霊をかけて、君を守るよ!!」
ユミル「ベルトルさん、あんた…」
クリスタ「ベルトルト…」
-
- 188 : 2014/01/16(木) 20:43:00 :
ライナー「…お前の覚悟は伝わった。ただし、一つだけ約束しろ」
ベルトルト「…何だい?」
ライナー「死ぬな。以上だ。それが守れないのなら、俺はその考えに賛同しない」
ベルトルト「ライナー…」
ライナー「あくまで、俺とお前で故郷に帰るんだ。アニは残念だったが、あいつもお前が死ぬことを望んじゃいない。絶対な」
ライナー「とりあえず、作戦を練らないとな。基本的には、エレンを連れた俺が、一人で遠くまで逃げ遂せるのが前提だが…」
ハンジ「そんなことはさせないよ。君たちは、ここでお終いだ」
ライ&ベル「!?」
-
- 189 : 2014/01/16(木) 20:48:09 :
リヴァイ「覚悟はできてるな、ガキ共。裏切り者のチビ女も、タダで済むと思うな」
クリスタ「あ…」
ユミル「最悪だ…!こんなに早く追いついて来るなんて…!」
ハンジ「幸いにも、すぐそこの壁外にいたからね。じきにエレンたちも来るだろう」
ジャン「お前ら、まだそんな馬鹿なこと考えてるのか!?冷静になれよ、巨人と人間、どっちに付くのが最善かをよ!!」
コニー「俺だって、お前らとまた馬鹿騒ぎしてぇよ!!頼む、戻ってきてくれよ!!」
クリスタ「ジャン、コニー…」
ジャン「マルコが死に、サシャが死に、アニも死んだ。ミカサとアルミンはともかく、死に急ぎ野郎とバカの面倒なんて、俺一人じゃ見切れねぇよ!!」
コニー「ここでおとなしくしてくれりゃ、きっと悪いようにはされねぇ!!な!?」
ライナー「…悪いが、お前らの元に戻る気は無い。こっちの事情も知らずに、勝手なことばかり言わんでくれ」
ベルトルト「君たちに正体を明かしたあの日から、僕達の覚悟は決まっているんだ。ごめんよ…」
ジャン「この……馬鹿野郎共がっ!!!」
-
- 190 : 2014/01/16(木) 20:53:58 :
リヴァイ「話し合いの余地はねぇ。いつまた壁を壊されるか分かったもんじゃねぇからな。てめぇらには、ここで死んでもらう…」ジャキ…
ベルトルト「…やるしかないか」ジャキ…
ライナー「」ジャキ…
ハンジ「立体機動装置まで手に入れていたのか…。侮れないね、君たちは…」
ユミル「ヒストリア、下がってろ!ここは危険だ!」
クリスタ「…気を付けて!」
ラーベ「…危ないのは、前だけじゃないよ」ヒュッ
クリ&ユミ「!?」
-
- 191 : 2014/01/16(木) 21:01:38 :
ラーベ「裏切り者、まず一人…」ジャキ…
ユミル「しまっ…」
クリスタ「ユミルっ!!」
ライナー「あぶねぇっ!!」バッ!
ズバアァァァァァァァァァァァッ!!!!!
ライナー「ぐ…あぁぁぁっ!!!!」ドサッ!
ベルトルト「ライナーっ!!」
ユミル「あんた、私を庇って!!無茶すんな!!」
ライナー「気にするな、どうせ治る傷だ。それに、ウチの女神様に、傷をつけるわけにはいかんからな…」
ユミル「そんなん言ってる場合じゃねぇだろ!頭湧いてんのか!?」
-
- 192 : 2014/01/16(木) 21:06:21 :
ラーベ「…それじゃ、お前から殺っちまうか。それ」ビュッ!
ズバッ!!
ライナー「があっ!!!」
ラーベ「巨人化能力者も、うなじを削げば同じように死ぬのか?ちょっと試してみるか…」
ベルトルト「やめろ!!それ以上ライナーに手を出すな!!」
ラーベ「やめなーい。次はお前の番だから、準備しといてねぇ…」スッ…
ライナー「う…あぁ…」
ユミル「やべぇ!!あのままじゃ!!」
ベルトルト「やめろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」ダッ!
ラーベ「…バイバイ」ヒュッ…
ズッバァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!
ライナー「あ…」
ライナー「」ドサッ…
-
- 193 : 2014/01/16(木) 21:12:17 :
ベルトルト「は…?」
クリスタ「い……いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」
ユミル「ヒストリア!!気を確かに持てっ!!」
クリスタ「あぁ…」フラッ…
ユミル「ヒストリア!!」ガシッ!
クリスタ「」
ユミル「…なんてこった、ライナーまで殺りやがった!!」
ラーベ「…やっぱりだ。人を殺すのは、巨人を殺すよりも何倍もの快楽が得られる。最高だよ…!!」
ラーベ「巨人は痛がったり苦しんだりしないから、イマイチ面白みがなかったんだよ。これこれ、これを俺は欲してたんだ!!」
ハンジ「ラーベ…。君がさっき壁外で言いかけたのは、その事だったのか…」
-
- 194 : 2014/01/16(木) 21:15:49 :
- ラー何とかテメェ!
-
- 195 : 2014/01/16(木) 21:18:22 :
ラーベ「直接この手で殺ることで、紛れもない実感が得られるよ!!アニの奴も、直接殺ってみたかったなぁ」
ラーベ「じわじわ痛めつけて、死の恐怖に包まれた時、一体どんな声で鳴いてくれたのか…」
ベルトルト「悪魔め…」
ラーベ「うん?」
ベルトルト「こいつらが悪魔の末裔なら、貴様は本物の悪魔だ!!今すぐこの手で葬ってやるっ!!!!!」
ラーベ「壁壊して、散々人殺しといて、どっちが悪魔だろうねぇ」
ラーベ「ま、正義か悪かなんて、視点によって変わるからな。一方にとっての正義は、もう一方にとっての悪になる。そういうことだろ?」
ベルトルト「口を閉じろ!!もう貴様の声も聞きたくないっ!!!!!」
ラーベ「…いいよ、相手になってやる。この間は拘束するだけに留めたが、今度は容赦しない。生まれたことを後悔するくらい、苦しめてから殺してやるよ」ニヤァ…
ベルトルト「…こっちのセリフだっ!!」ダッ!!
-
- 196 : 2014/01/16(木) 21:24:37 :
ラーベ「…ほいっ」ジャキ
ベルトルト「はあっ!!」ジャキッ
ガキィンッ!!
ラーベ「…さすがだな。いいチカラしてんじゃん」グググ…
ベルトルト「お前に負けるわけがないだろう…」グググ…
ドドドドドドドドドド…
ハンジ「何だ…?」
リヴァイ「来たか…」
エレン「遅くなりました!!」
ミカサ「…これは一体、どういう状況!?」
アルミン「ラーベとベルトルトが…!?あそこで倒れているのは…ライナー!?」
-
- 197 : 2014/01/16(木) 21:30:21 :
ケイジ「分隊長!ご無事で!?」
ハンジ「…状況は何とも言えないね。人類の仇敵、鎧の巨人はついさっき、死んだ」
アルミン「…死んだ!?もしかして、ラーベが…!?」
ハンジ「あぁ。そして今は、怒り狂ったベルトルトと、ラーベの一騎打ちが始まったところだ」
エレン「俺の手の届かないところで、どんどん死んでいきやがる…。何なんだよ、この世界は…!」
ミカサ「…」
リヴァイ「…とりあえず、戦闘用意をしておけ。奴がいつ、超大型に化けるか分からねぇからな」
アルミン「了解しました…」
-
- 198 : 2014/01/16(木) 21:36:37 :
ベルトルト「ぐ…う…!」
ラーベ「ダメダメ。そんなんじゃ、俺を殺すことはできない…」
ラーベ「…よっ!!」ビュッ!
キィンッ!!
ベルトルト「しまった!!ブレードが…!!」
ラーベ「はい、二人目~…」
ガッキィィィィィンッ!!
ベルトルト「…え?」
ラーベ「…何お前、邪魔する気?」
コニー「…ちょっと待てよ、こいつに話があるんだ…!」グググ…
ジャン「コニー!!よくラーベのブレードを受け止めたな…!」
-
- 199 : 2014/01/16(木) 21:42:12 :
ラーベ「話?人の楽しみを邪魔しておいて、勝手な真似しないでくれるかな?」
コニー「黙って待ってろ、バンバン殺せばいいってもんじゃねぇんだよ!!」
ベルトルト「コニー…」
コニー「ベルトルト!悪いことは言わねぇ、頼むからおとなしく調査兵団に従ってくれ!!このままじゃ、お前も殺されちまう!!」
コニー「お前あの時言ったよな?俺達のことを、本当の仲間だと思ってたって!あれは、俺も一緒だ!!今でも、お前らは俺の仲間だ!!」
エレン「冗談じゃねぇっ!!コニー、そいつらは仲間なんかじゃ…」
コニー「エレンは黙っててくれ!!」
エレン「…っ!」
コニー「俺の目の前で、アニもライナーも死んじまった!せめてお前だけは生きててほしい!だから、頼むからよ…」
ベルトルト「…危ないっ!!」
ユミル「コニー、後ろだ!!」
コニー「えっ…?」ズバッ!!
コニーの頭「」ドサッ…
ラーベ「…邪魔。俺の楽しみ邪魔すんなって言ったよね?」
-
- 201 : 2014/01/16(木) 21:48:24 :
ジャン「…は!?俺は夢でも見てんのか…!?」
ユミル「あの野郎、コニーまで手を掛けやがった…!」
ベルトルト「コニー、僕を庇ったばっかりに、君が…」
エレン「ラァァァァァァァァァァべェェェェェェェェェェっ!!!!!!」ダッ!
ミカサ「エレン、あいつに近付いてはダメ!!何されるか分からないっ!!」ガシッ!
エレン「離せミカサ!!あいつは、ついに俺の仲間まで殺しやがった!!絶対に許さねぇっ!!!」
ラーベ「あーあ、ついムカっときて、一瞬で殺しちまったよ。もっと苦しむ様とか見たかったのに、残念だなぁ」
ラーベ「でもまぁ、まだ人はいっぱい残ってるしな。楽しみはまだまだある」
ラーベ「壁破壊して巨人に食わせるだけとか、つまんないことこの上ないだろ。人を殺すなら、やっぱ直接手にかけなきゃな」
-
- 202 : 2014/01/16(木) 21:55:01 :
ベルトルト「お前は何を言っているんだ…?思考回路が、とても人とは思えない…」
ハンジ「今の発言は、全人類に敵対する意思を示したという事でいいんだよね…?」
リヴァイ「それを聞いて安心した。あいつを削ぐための、真っ当な理由になるからな」
リヴァイ「あんな得体の知れねぇ奴をウチに置いておくこと自体、俺は乗り気じゃなかった。ここに来て案の定だ」
リヴァイ「さっさと処分して置かねぇと、安心してクソもできねぇ。ここで終わらせるぞ…」ジャキ…
ラーベ「やる気?いいよ、どこからでもかかって来いよ。安心しな、お前らを殺すのに、巨人の力は使わないからさ…」
ケイジ「…うおぉぉぉぉっ!!!!」ダッ!
ハンジ「ケイジ!無闇に突っ込むな!!」
ケイジ「はあっ!!」ビュッ!!
ラーベ「…遅いよ。あくびが出る」ヒョイッ
ケイジ(こいつ…!人間の動きじゃない!!)
-
- 203 : 2014/01/16(木) 22:00:41 :
ラーベ「どこからいこうかなぁ…。とりあえず…」
ラーベ「…右脚かなっ?」ズバッ!!
ケイジ「が…あぁぁぁっ!!!!」ドサッ!
ハンジ「ケイジ!!」
ラーベ「右脚の肉のミンチでございまーす…」ザシュザシュザシュザシュッ!
ケイジ「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
ハンジ「やめろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
ラーベ「喚くなよ。今、イイところなんだからさ。そこで黙ってみてな…」ギロッ
ハンジ「…っ!」
ハンジ(何だ、この眼力は!?足が…)
-
- 204 : 2014/01/16(木) 22:06:23 :
ケイジ「う…ぐぅ…!」
ラーベ「…あんたじゃイマイチ面白くないね。チェンジ」スッ…
ズッバァァァァァァァァァァッ!!!!!!
ケイジ「」
ハンジ「ケ……ケイジぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!!」
ラーベ「あぁ、でもやっぱり、殺る瞬間は気持ちいい…。自分の手で人を葬った感触が…」
リヴァイ「そいつは羨ましいな。俺にも味わわせてくれ…」ヒュッ…
ラーベ「!?」
ガッキィィィィィンッ!!!
リヴァイ「…チッ!うまく反応しやがったか」グググ…
ラーベ「あぶねぇ…。俺が快楽に浸っている隙に、うなじを削ぐつもりだったのか」グググ…
-
- 205 : 2014/01/16(木) 22:12:17 :
ハンジ「今だ皆!!」
エレン「コニーとケイジさんの仇っ!!」ダッ!
ミカサ「…」ダッ!
アルミン「はあぁぁぁっ!!!」ダッ!
ジャン「うおぉぉっ!!!」ダッ!
ラーベ「やべ…」
ズバアァァァァァァァァァァァッ!!!!!
ユミル「…やったか!?」
ベルトルト「いや、あいつは…」
ラーベ「…っぶねぇ。あとちょっと回避が遅れたら、首を持ってかれてたね」シュウゥゥ…
ハンジ「チッ!かわされた!手ごたえはあったけど、致命傷ではない!!」
リヴァイ「さっさと次を仕掛けろ!!再生しきる前に仕留める!!」
-
- 206 : 2014/01/16(木) 22:18:11 :
ラーベ「ったく、痛ぇじゃねぇか。痛めつけるのは大好きだけど、痛めつけられるのは大嫌いなんだよ…」シュウゥゥ…
ラーベ「完全に頭来た。もう、お前らはどうでもいいや。ここでまとめて潰してやるよ…」スッ…
ハンジ「マズい、巨人化する気だ!!みんな離れろっ!!」
ラーベ「…消えろ」ガリッ!
カッッッッッッッッッッッッ!!!!!!
ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!
砂礫の巨人「」ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥン…
ジャン「ついに出やがった…」
ユミル「最悪だ…!あいつには、誰も勝てねぇっ!!」
-
- 207 : 2014/01/16(木) 22:24:57 :
砂礫の巨人「なかなか快適だな。巨人体ってのも。力がみなぎってくるよ」
ハンジ「あの状態で喋れるのか!?」
砂礫の巨人「なんか喋りづらかったから、喋れるように体内を少しいじった。おかげで、この通りだ」
リヴァイ「流動する砂の体で、発声器官を造ったんだろう。何でもアリだな」
エレン「勝算はねぇけど、やるしかねぇか…」
ベルトルト「エレン、待つんだ」
エレン「…何だよ。気安く俺に話しかけてんじゃねぇぞ、殺人鬼が」
ベルトルト「このまま戦っても、あいつには勝てない。君も、
僕も…」
エレン「じゃあ、どうしろっていうんだよ!なんか方法でもあるっていうのか!?」
ベルトルト「奴が岩の状態になればお手上げだけど、砂、もしくはダイヤモンドなら、どうにかなるかもしれない…」
エレン「…どうするんだ?」
ベルトルト「それは…」
-
- 210 : 2014/01/18(土) 10:05:05 :
砂礫の巨人「ほらほら、ちゃんと逃げないと、ペシャンコになっちゃうぜ?」ビュッ!
ドオォンッ!!
ジャン「あぶねぇっ!!踏み潰されるっ!!」
ミカサ「くっ…!」パシュッ!
パスッ…
ミカサ「…駄目!やはりアンカーが刺さらない!」
ハンジ「参ったぞ、ここには砂を固められる水はない!かと言って、硬化されてもアウトだ!」
ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!
一同「!?」
エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」
超大型巨人「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」
リヴァイ「あいつら、巨人化を…!?」
ハンジ「どうするつもりなんだ?相手の実体をまともに掴めないんじゃ、どうにもならないぞ!」
ユミル(この隙に…)ササッ…
-
- 211 : 2014/01/18(土) 10:10:26 :
砂礫の巨人「デカいね、ベル。巨人化しても、お前はお前だなぁ。だけど、俺だって…」
砂礫の巨人「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」モコモコモコ…
アルミン「何だ!?奴の体が…!?」
ミカサ「地面から、土を吸収している!?」
ハンジ「…この辺りの土も、確か炭素を含んでいたはずだ…!」
砂礫の巨人「」モコモコモコ…
ジャン「いや、それだけじゃねぇ!!奴の体が、デカくなってやがる!!」
エレン(なっ…)
ベルトルト(こいつ…!)
砂礫の巨人「…どう?俺も60メートル級。さすがに、バランス保って立つのは難しいね」
砂礫の巨人「でも、お前らを絶望させるには十分だろ?お前らを潰して、ついでにトロスト区の奴らも踏み潰してやるか」
-
- 213 : 2014/01/18(土) 10:16:40 :
ベルトルト(好き勝手はさせないっ!!)
超大型巨人「」ヌッ…
砂礫の巨人「何だ、暑苦しいから近寄るな。アホみたいに蒸気ばっかり出して…」
超大型巨人「」ボオォォォォォォォォ…
エレン(…そろそろいいか?)
ハンジ「…そうか、そういうことか!!」
エレン巨人「」ガシッ!
砂礫の巨人「なっ!?掴まれた!?」
砂礫の巨人「」シットリ…
ベルトルト(今のお前の体は、僕の蒸気で湿っている。つまり、水分で砂が固まっているんだ!!)
-
- 214 : 2014/01/18(土) 10:22:21 :
砂礫の巨人「…小賢しいマネを」
エレン(よし、掴めた!!後は…)
エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」ブンッ!!
砂礫の巨人「うわっ…!!」グラッ
砂礫の巨人「」ドスーンッ!!
ベルトルト(よし、手筈通り転ばせた!!後は僕が…)
エレン(みんなを逃がさないと!!ここは危険だ!!)
エレン巨人「」クイクイッ
ハンジ「何だ?向こうに行け…って言ってるのか?」
超大型巨人「」ボオォォォォォォォォ…
ミカサ「あれはもしや…!」
アルミン「エレンを連れ去る時に使った、アレです!!みんな、できるだけ遠くへ!!」
ハンジ「アレはマズい!!急げっ!!」ダッ!
リヴァイ「チッ!」ダッ!
エレン巨人「」ドドドドド…
-
- 215 : 2014/01/18(土) 10:28:16 :
砂礫の巨人「そんなに激しく燃え上がって、何をする気だ…?」
ベルトルト(…消し飛べ!!)
超大型巨人「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」グラァ…
砂礫の巨人「なっ…!?」
ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!!!!!!!!
ハンジ「うひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!すごい衝撃だっ!!!!!」
リヴァイ「くっ…!」
ミカサ「これだけ離れていても伝わってくる…」
アルミン「アレを至近距離で受けたら、助かるとは思えないね…」
ジャン「見ろ、蒸気が晴れてくぜ…」
シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…
-
- 216 : 2014/01/18(土) 10:34:14 :
ベルトルト「…ゲホッ!やったか…?」
砂礫の巨人「」
ベルトルト「…とりあえず、動きを止めたか。早く中身を…!」
ハンジ「ベルトルト!」
ベルトルト「!!」
ハンジ「そいつは!?」
ベルトルト「分かりませんが、まだ中にいるはずです。早いうちに仕留めないと…」
ハンジ「分かった」
リヴァイ「ついでに、てめぇもここで拘束する。巨人化の直後で、まともに動けねぇ今しかねぇんでな…」
ベルトルト「…どうにもならない、か。仕方ないね」
エレン「おい」
ベルトルト「エレン…」
エレン「あいつを倒すのに協力したことについては、感謝する。だが、何があろうと、俺はお前を許すことは絶対ない。覚えておけ」
ベルトルト「肝に銘じておくよ…」
-
- 217 : 2014/01/18(土) 10:40:18 :
ジャン「さてと、とっととうなじ裂いて、中身を取り出さねぇとな…」
ジャン「…!?」ガシッ!
アルミン「慎重にね。油断するとあb…」
アルミン「…あぁ…」
ミカサ「どうしたの、アルミン?」
ラーベ「…やってくれたなぁ、お前ら。死ぬかと思ったよ」ミシミシ…
ジャン「う…うぅ…」ミシミシ…
ジャン(息が…!)
アルミン「ジャンっ!」
エレン「マズいぞ!あのままじゃ、窒息しちまう!!」
-
- 218 : 2014/01/18(土) 10:46:24 :
リヴァイ「おい!その手を離せ、負け犬が!!てめぇはもう逃げられねぇぞ!!」
ラーベ「…本当にそうかな?たとえば俺が、こいつを人質にとったら、どうする?」
ジャン「ぐ…」バタバタ
ハンジ「何て奴だ…」
リヴァイ「そいつの命と引き換えに見逃せと…?」
ラーベ「まぁ、そういうこと。早くしないと、こいつが死んじまうよ?」
アルミン「一国の猶予はありません!!ジャンの命を優先すべきです!!」
ハンジ「…やむを得ない。ジャンを離してくれ、君を見逃そう」
ラーベ「…」
ジャン「か…ぁ…」バタバタバタッ!
ハンジ「おい、聞こえなかったのか!?君を見逃すから、ジャンを解放しろと言っている!!」
-
- 219 : 2014/01/18(土) 10:52:35 :
ミカサ「早く離して!!ジャンが苦しそうな顔をしている!!見ていられないっ!!」
ラーベ「それじゃ…」メキッ!
ジャン「がっ…」ミシッ…
ジャン「」ダラーン…
エレン「…おいジャン、嘘だろ?返事しろ、ジャンっ!!」
ラーベ「」ポイッ
ジャン「」ドサッ…
アルミン「そんな、ジャン…」
ハンジ「…おい、私はジャンを離せと言ったよな…?お前の要求を飲むと言ったよな!?」
ラーベ「…別に。飲んでも飲まなくても、こいつを殺すつもりだったし。どんな反応するか知りたかったから、言ってみただけだよ」
ラーベ「別に見逃してもらわなくたって、お前らに捕まるわけないし。残念だったね」
エレン「…そんなことのために、ジャンを殺したのか…!?」
ラーベ「死に際の顔、傑作だったよ。やっぱ斬るのと違って、窒息寸前の顔は芸術的だね。最期まで足をバタつかせてさ…」
-
- 220 : 2014/01/18(土) 10:59:02 :
ベルトルト「本当に悪魔だな、お前は。どうやったら、そこまで非情になれるんだい?逆に尊敬するよ…」
ラーベ「たかだか人間が一人死んだだけだろ?何を狼狽える必要があるんだ?こんなに楽しいのに」
ベルトルト「ある意味お前は、一番戦士に向いているのかもしれない。最初からお前が任務についていれば、とっくの昔に終わっていただろうね」
ラーベ「つまり、俺が有能ってこと?褒めても何も出ないよ、腰抜けさん?」
ベルトルト「…」
リヴァイ「さすがの俺も、ここまでドタマに来たのは初めてだ。もうこの先は、お前の身がどうなるかは分からねぇぞ…」
リヴァイ「八つ裂きか、ミンチか、あるいは骨も残らねぇか…。存在ごと、この世から消してやる…」ジャキ…
ラーベ「おー、怖い怖い。だけどそいつは無理な話だ」
リヴァイ「てめぇのハッタリに付き合う気はねぇ。巨人化直後で、まともに動けねぇのは知っている」
-
- 221 : 2014/01/18(土) 11:04:35 :
ラーベ「確かに俺は今、ろくに動けない。けど、さっき、ある『仕掛け』をしておいたんだよね…」
リヴァイ「仕掛け…?」
ラーベ「この広大な土の一帯。俺の巨人の能力を使えば、こんなこともできたりして…」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
一同「!?」
ハンジ「何だ!?この揺れは!?」
モコモコモコモコモコ……
アルミン「地面から……何かが出てくる!?」
エレン「おい…何か、人の形になってねぇか…!?」
ミカサ「大きい……巨人!?」
土巨人「」ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥン…
ハンジ「土が集まって、巨人を模った!?」
リヴァイ「15メートル級か。厄介だな…」
-
- 222 : 2014/01/18(土) 11:10:23 :
ラーベ「さて、お前らの相手はこいつに任せて、俺は壁の上で高みの見物と行こうかね」
ベルトルト「待て!逃がさない!!お前は僕が…!」
ラーベ「…やれ」
土巨人「ゴオォォォォォォォォォォォッ!!!!!」ブンッ!!
ドゴオォッ!!!!
ベルトルト「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
アルミン「ベルトルト!!」
ハンジ「まさか、直撃じゃないだろうね…」
リヴァイ「他所見するなハンジ!!次が来るぞ!!」
土巨人「ゴオォォォォォォォォォォォッ!!!!!」ブオンッ!!
ハンジ「あぶなっ!!」バッ!
-
- 223 : 2014/01/18(土) 11:16:07 :
リヴァイ「…ふっ!!」ズバッ!!
土巨人の腕「」ボトッ…
エレン「やった、腕を…!」
ミカサ「いや…!」
土巨人「」モコモコ…
土巨人「」シャキーンッ!
アルミン「やはり再生した!!」
ハンジ「このフィールドでやる以上、どう考えても私らには不利だ!!」
ラーベ「じゃ、後はよろしく…」ヒュパッ!
エレン「待てっ!!」
アルミン「エレン、危ないっ!!」
エレン「!?」
土巨人「ゴオォォォォォォォォォォォッ!!!!」
エレン「クソッ…!」ダッ!
エレン(まだ巨人化は無理だ…!早くしないと、みんなが…)
-
- 224 : 2014/01/18(土) 11:22:25 :
ラーベ「」スタッ…
ラーベ「ほう、壁の上もなかなか快適だ。みんなの動きがよーく見える」
ラーベ「さて、いつまで持つかな…」
土巨人「ゴオォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」
ドオォォォォォォォォォンッ!!
リヴァイ「体勢を整えろ!!こいつは人を食わねぇ!!恐れるなっ!!」
ハンジ「だけど、いくら攻撃してもすぐ再生される!!うなじへの攻撃も意味があるかどうか…」
リヴァイ「悩む前にやってみろ!可能性はすべて探れ!!」
土巨人「…」ピタッ…
アルミン「動きが…止まった?」
ミカサ「待って、何か様子が…」
ラーベ「さて、そろそろかな。そいつは生まれてからある程度の時間が経過すると…」
土巨人「…」ボコッ!
ハンジ「…何が…!?」
土巨人「…」カッ!
一同「!!」
ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!!!!!!!!
一同「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」
ラーベ「…爆発して吹き飛ぶのさ。まぁ安心しなよ、殺傷能力は大したことないからさ」
-
- 225 : 2014/01/18(土) 11:49:08 :
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ラーベ「…さてと」スタッ…
エレン「」
ミカサ「」
アルミン「」
ハンジ「」
リヴァイ「」
ラーベ「気を失ってるけど、とりあえずは生きてるね。よかったよかった」
ラーベ「とどめはちゃんと、俺がこの手で刺してあげないとね。そのために生かしておいたんだからさ…」
ラーベ「どうやって殺そうかな…。とりあえず全員拘束して、恐怖を煽るように目と耳をふさいで…」
ラーベ「指を一本ずつへし折っていく?水桶に顔を付けて、窒息寸前で引き上げるのを繰り返す?より取り見取りだねぇ…」
ラーベ「…」
ラーベ「…んで、お前はさっきから何?また俺の邪魔するの?」
ラーベ「…なぁ、ベル君?」
ベルトルト「…」ザッ!
-
- 226 : 2014/01/18(土) 11:56:16 :
ラーベ「ちゃっかり生き延びてたのか。土巨人に吹き飛ばされて転がってると思ったけど。結構タフなんだな」
ベルトルト「…ようやく、お前と二人きりになれた。この瞬間を、ずっと待っていた。決着を付けよう」
ラーベ「カッコつけてんなよ、腰巾着野郎が。腑抜けでヘタレだったお前がどれだけ変わったのかは知らないが、あまり自惚れるなよ?」
ベルトルト「その言葉、そっくりそのまま返してやろう。お前こそ、僕に足元を掬われないように…」
ラーベ「…気に食わねぇな、昔も今も。覚えてるか?ガキの頃、お前とアニの奪い合いをしたこと」
ラーベ「貧弱で泣き虫の癖に、『アニは僕のだっ!!』って言って、俺に掴みかかって来たな」
ベルトルト「覚えてるさ。結局僕は、返り討ちにされた」
-
- 228 : 2014/01/18(土) 12:02:12 :
ラーベ「勝ったのは俺。なのに、アニはお前を選んだ。まぁ、昔の話だから時効だよな?」
ベルトルト「その件については、確かに時効だ。けれど、アニ殺しの罪は消えない」
ラーベ「まだ言ってるのか。あれは俺の意思じゃないだろう。しつこい男はモテないぜ?」
ベルトルト「アニを殺したのもさることながら、さらに許せないのはその後の言動」
ベルトルト「じわじわ痛めつける?死の恐怖にさらして、どんな声を上げるか知りたかった?ふざけるな」
ベルトルト「その上、ジャンもコニーも卑劣な手段で手に掛けた。情状酌量の余地はない…」
ラーベ「正義の味方気取りか?大層な身分だねぇ」
ベルトルト「正義なんてのは、視点によって形を変える。お前も言っただろう?僕視点の正義に基づいて、お前を殺す。それだけだ」
-
- 229 : 2014/01/18(土) 12:08:19 :
ラーベ「…あの泣き虫ヘタレ野郎が、ここまで言えるようになるとはね。見直したよ」
ラーベ「もう一度、名前を聞かせてくれよ。覚えづらくてかなわないんだよ。ベルべ…ベルレ…」
ベルトルト「ベルトルト・フーバー。お前と言う悪魔を裁く戦士の名だ」
ベルトルト「…まぁ、もう覚えてもらう必要もないね。死にゆく君には」
ラーベ「…言ってくれるな、ベルトルト・フーバー。最終決戦と行こうじゃないか」
ベルトルト「…望むところだっ!!」ダッ!
ラーベ「…ふっ!」ビュッ!
ベルトルト「はあっ!!」ビュッ!
ガキィンッ!!!
-
- 230 : 2014/01/18(土) 12:14:32 :
ラーベ「…あれ?心なしか、さっきより強くなったか?」グググ…
ベルトルト「お前が弱くなったんだろ…」グググ…
ラーベ「そいつは…面白れぇなっ!」ビュッ!
ベルトルト(もう片方のブレード…!?)
ベルトルト「くっ!!」ヒョイッ
ラーベ「それっ!!」ヒュッ!
ズバァァッ!!
ベルトルト「ぐっ…!!」ヨロッ…
ラーベ「ほらほらほら!気を抜くと危ないよ?」ヒュンヒュンヒュンッ!
ベルトルト「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」ズバズバズバッ!
ベルトルト「…っ!」ドサッ!
-
- 231 : 2014/01/18(土) 12:20:13 :
ラーベ「最初の威勢はどうした?どれだけ口が達者でも、実力が伴わないとかっこ悪いよねぇ」スタスタ…
ラーベ「…ってことで、とどめ」スッ…
ベルトルト(…今だ!!)
ラーベ「そーれっ」ヒュッ!
ベルトルト「…はっ!!」ビュッ!
ラーベ「!?」
グサッ…!
ラーベ「…お前!」ヨロ…
ベルトルト「とどめを刺そうとして、隙が大きくなったね。油断は慢心を生む。典型的な例だよ」
ラーベ「…いってぇな!!調子に乗んな、カスがっ!!」ビュッ!!
ベルトルト「ぐっ…!」バキッ!!
ラーベ「とことん気に食わねぇな、お前は!殴ったり斬り付けたりするくらいじゃ、腹の虫は到底収まらねぇ!!」
-
- 232 : 2014/01/18(土) 12:27:39 :
ラーベ「…もう一度、巨人化しろよ。肉片も残らねぇように、ズタズタに削ってやるからよ!!」
ベルトルト「…やってみろ!!お前なんかに負けはしない!!」
ラーベ「…消えろ、ゴミクズがっ!!」ガリッ!!
ベルトルト「受けて立つっ!!」ガリッ!!
カッッッッッッッッッッッッ!!!!!!
ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!
砂礫の巨人「ズオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」
超大型巨人「オォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」
砂礫の巨人「一瞬でズタボロにしてやるよっ!!」
ベルトルト(…やってみろ!!)
-
- 238 : 2014/01/18(土) 18:44:05 :
砂礫の巨人「」ピキピキ…
ベルトルト(あれは…)
砂礫の巨人「」シャキーンッ!
ベルトルト(…ダイヤモンド!!しめた!!)
砂礫の巨人「…せっかくだから、これで仕留めてやるよ。その気持ち悪い巨人体をズタズタに引き裂いてやる!!」
砂礫の巨人「」スッ…
ベルトルト(奴のダイヤ硬化はなんとかできる。しかし、スピードが…)
ザクッ!!!
超大型巨人「オ…オォ…」グラッ…
ベルトルト(くっ…!)
砂礫の巨人「はははっ!相変わらず鈍いねぇ、超大型サンドバッグさん!!」
-
- 239 : 2014/01/18(土) 18:49:55 :
砂礫の巨人「ダイヤの槍でハチの巣にした後、うなじごと串刺しにしてあげるよ!!」
ベルトルト(どうにか奴を捕まえられれば…!)
ビュッ…
ザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュッ!!!!!
超大型巨人「オォォォォォォォォォォォォォォ…!!」フラッ…
ベルトルト(ぐ…あぁぁぁ…!!)
砂礫の巨人「…あんま手ごたえないのもつまんないな。せっかくだから、何かやって見せてよ」
砂礫の巨人「さっきみたいに、熱エネルギーの暴発みたいなこと、またできるの?まぁ、俺のダイヤの体には効かないだろうけどさ」
ベルトルト(ダイヤの体に効かない…)
ベルトルト(…その考えが、お前の自惚れだ!!)
-
- 240 : 2014/01/18(土) 18:54:50 :
超大型巨人「」ヌッ!
砂礫の巨人「!?」ガシッ!
ベルトルト(…捕まえた。もうお前は終わりだ)
砂礫の巨人「何をするかと思えば、ただ掴むだけ?もう少し捻りを入れた攻めをしないと、俺は倒せないよ?」
ベルトルト(…今に分かるさ!!)
超大型巨人「オォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」ボオォォォォォォォォ…!!!
砂礫の巨人「うおっ、すごい蒸気。うなじの中でも、少し熱を感じるよ」
ベルトルト(蒸気だけでは……終わらないぞ!!)
超大型巨人「」ボオッ!!
砂礫の巨人「!?」
砂礫の巨人(こいつ、熱エネルギーを高めて、自身を発火させた!?)
-
- 241 : 2014/01/18(土) 18:59:43 :
ベルトルト(これは、僕の能力を最大限に発揮して放つ捨て身の技。これを使えば、僕の命にも関わってくる)
ベルトルト(だけど、こいつに勝つには!こいつを出し抜くためには!!僕の命くらい、簡単に捨てられるっ!!)
超大型巨人「」ボオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!
砂礫の巨人「暑苦しいだけで、俺には何の影響もないよ?そんなこと続けてたって、時間の無駄…」ボロッ…!
砂礫の巨人「!?」
ベルトルト(…来たか!!)
砂礫の巨人「何だ…!?ダイヤの肉体の、崩壊が止まらない…!?」ボロボロ…
砂礫の巨人「いや、崩れているというよりは…」
ダイヤ「」シュウゥゥゥゥ…
砂礫の巨人「…焼けている!?何故だ!?ダイヤが炎で焼けるなんて、聞いたことがないぞ!!」
-
- 242 : 2014/01/18(土) 19:05:15 :
ベルトルト(焼けるんだよ、ちゃんと。焼けると気化して、後には何も残らない!!)
ベルトルト(お前のその無知と自惚れが、結果的にお前を滅ぼすことになる!!)
ベルトルト(散々見下していた相手に殺される屈辱、とくと味わうがいいっ!!)
超大型巨人「オォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」ボオォォォォォォォォッ!!
砂礫の巨人「クソっ…!!離れろ、木偶の坊が!!」ガンガンッ!
ベルトルト(この手は絶対に離さない!!お前を地獄の業火で焼き尽くすまでは!!)
砂礫の巨人「」シュウゥゥゥゥ…
砂礫の巨人(本格的にやばいぞ!!表面のダイヤが焼けて無くなって、中まで炎が伝わって来た…!!)
砂礫の巨人(一度ダイヤ化すると、巨人化を解除しない限り、砂にも岩にもなれない!!)
砂礫の巨人(かといって、今うなじから飛び出したら、一瞬でケシ炭にされる!!)
-
- 243 : 2014/01/18(土) 19:10:28 :
砂礫の巨人「もう…限界だ…」フラッ…
超大型巨人「」グラッ…
ベルトルト(限界…こっちも相当キてるよ…。そろそろ、フィナーレと行こうか…)
ベルトルト(今の巨人体は、僕の命の蝋燭みたいなものだね…。命の炎を燃やし尽くし、炎が消えると同時に、僕もきっと…)
ベルトルト(アニ、ライナー、僕も今から…)
超大型巨人「オォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!!」
砂礫の巨人「や…」
砂礫の巨人「やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!!!!!」
ボオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ………
-
- 245 : 2014/01/18(土) 19:15:21 :
~ローゼ領内・とある場所~
クリスタ「」パチッ
ユミル「気が付いたか、ヒストリア」
クリスタ「ユミル!?ここはどこ!?戦いはどうなったの!?」
ユミル「あー…分からん」
クリスタ「分からんって…!みんなは無事なの!?助けに行かないと!!」
ユミル「もういいじゃねぇか。あいつらの…」
ユミル「…他の奴らのことなんてさ。お前は、私だけを見ててくれよ」
クリスタ「そんな…!何を言ってるの!?私達の仲間が殺されるのを、ユミルも見たでしょ!?どうしてそんな冷たいことが言えるの!?」
-
- 246 : 2014/01/18(土) 19:20:11 :
クリスタ「もしかして、あの場から私を連れて逃げてきたの!?皆を見捨てて…」
ユミル「ヒストリア・レイス!!」
クリスタ「!!」ビクッ…
ユミル「いつまでいい子ちゃんを演じてる気だ…?」
クリスタ「そんな、私は別にそんなつもりじゃ…」
ユミル「…もうお前は、あの頃とは違うんだ。誰にも縛られず、自由に生きられるんだよ」
ユミル「だが、それはあくまで、この壁の外での話。壁内じゃ、お前に明るい未来はない」
ユミル「お前のことを差し引いても、この壁内に、まともな未来は待っていないだろうさ」
-
- 247 : 2014/01/18(土) 19:25:10 :
クリスタ「でも、壁の外は…」
ユミル「正直に、率直に言え。お前は、壁の外を見てみたいとは思わないか?」
クリスタ「それは…」
ユミル「…どうだ?」
クリスタ「…見てみたい…かも」
ユミル「だろ?決まりだな」
クリスタ「でも、本当に皆を見捨てるの!?ずっと一緒にいた仲間を…!?」
ユミル「私にとっちゃ、お前以外の奴らはどうだっていい。お前さえそばにいてくれればいいんだ」
クリスタ「でも…」
-
- 248 : 2014/01/18(土) 19:30:08 :
ユミル「それとも何か?この壁内に、何か未練でもあるのか?」
クリスタ「未練…」
ユミル「あるはずねぇよな。だって奴らは、お前の上辺しか見ちゃいねぇんだから。そんな奴らに、お前が心から信頼できるはずもねぇ」
ユミル「故に、お前があいつらに何か、例えば、特別な感情やら思い入れやら、そんなもんを抱くとは思えねぇよ。違うか?」
クリスタ「それは…」
ユミル「…図星だろ。だったら、お前がこの壁内にこだわる理由は、何もないはずだ」
クリスタ「…本当に行くの?私たち二人だけで…」
ユミル「何度も言わせるな。私は、お前さえそばにいてくれれば、何もいらない。何も怖くない」
ユミル「極端な話、全人類の命とお前の命、どちらか一方を選べと言われたら、私は間違いなくお前を選ぶ!!」
-
- 249 : 2014/01/18(土) 19:35:15 :
ユミル「考えても見ろよ?今までの人生15年間、ここまでお前を想ってくれる奴はいたか?」
ユミル「そりゃ、金髪キノコやメンヘラゴリラはお前に気があったかもしれんが、さっきも言った通り、お前の本当の姿は何も知らねぇはずだ」
ユミル「そんな奴が、お前に身も心も捧げてくれると思うか?所詮、見た目がかわいいからだとか、そんな理由しかねぇだろう」
ユミル「私の気持ちは、そんな安っぽいもんじゃない。お前と二人きりで、どこまでも一緒に行ける自信がある」
ユミル「お前も考えてみてくれ。あいつらを選んで暗い未来に身を投じるか、私と一緒に来て、自らで道を切り開くか…」
クリスタ「自らで…」
ユミル「…あぁ」
-
- 250 : 2014/01/18(土) 19:40:24 :
クリスタ「ユミル…」ポロポロ…
ユミル「なっ…!泣くほどじゃねぇだろ、お前…」
クリスタ「…ユミルの言う通り。今まで私のことを、そこまで考えてくれる人なんていなかった…。とてもうれしい…」グスッ…
ユミル「ヒストリア…」
クリスタ「もし、許されるなら…。私が、人生で初めてわがままを言ってもいいのなら…」
クリスタ「…ユミル。あなたと一緒に、壁の外で共に生きて行きたい。お願い、私を連れてって!!」
ユミル「…ははっ」
ユミル「仰せのままに、マイエンジェル…」
クリスタ「もうっ、ユミルったら…」グスッ…
-
- 251 : 2014/01/18(土) 19:45:16 :
ユミル「しかし、本当にお前があいつらを捨てて、私を選ぶとはな。見直したよ、ヒストリア」
クリスタ「当たり前でしょ。だって私は『悪い子』だもん。あんな人たち、もう知らないっ」ニコッ
クリスタ「それに…」
ユミル「あん?」
クリスタ「私の名前は、クリスタ・レンズ。ヒストリア・レイスは、もうこの世にいない。そうでしょ?」
ユミル「…はっはっは、こいつは傑作だ。やっぱりお前、最高だよ」
クリスタ「はっはっは!ユミルのマネっ!」
ユミル「ふふっ…」
クリスタ「えへへ…」
ユミ&クリ「…」
-
- 252 : 2014/01/18(土) 19:50:10 :
ユミル「…さて、そろそろ行くとするか」
クリスタ「…どこに行くの?」
ユミル「どこだろうな。誰にも分らん。風の向くまま、気の向くまま、ってな」
クリスタ「…楽しみ。すごく。巨人に食べられないように気を付けなきゃっ」
ユミル「…行くぞ、『クリスタ・レンズ』!!降り落とされるなよっ!!」
クリスタ「うんっ!!」
ユミル「」ガリッ!
カッッッッッッッッッッッッ!!!!!!
ユミル巨人「」ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥン…
クリスタ「えいっ」ピョンッ!
ユミル巨人「…イクカ」
クリスタ「…私達の人生は、これからだっ!!」
ドドドドドドドドドドドドド………
-
- 253 : 2014/01/18(土) 19:55:23 :
~トロスト区内門前・砂礫の巨人との交戦地点~
ミカサ「エレンっ!」
エレン「ん…ミカサ?」
アルミン「良かった、気が付いたんだね!」
エレン「ここは…?」
リヴァイ「呑気なもんだな。さっきここで、全員が殺されかけたってのに」
エレン「…そうだ!ラーベは!?」
ハンジ「ベルトルトと一緒に、どこかへ消えてしまった。今エルヴィンたちが捜索してる」
エレン「団長まで…。まだ体も万全じゃないのに、何か申し訳ないですね…」
リヴァイ「裏切りモンの女二人もいねぇ。あいつらも見つけ次第、しかるべき措置を取らせてもらう」
エレン「はい…」
ミカサ「…」
-
- 254 : 2014/01/18(土) 20:00:18 :
アルミン「…ひどいもんだよね」
ジャン「」
コニー「」
ライナー「」
アルミン「訓練兵時代からの仲間が、今はこんな有様だ。覚悟はしていたつもりだけど、トロスト区奪還作戦の時とはワケが違う」
アルミン「結局、残った104期兵は僕ら3人だけだ。この何とも言えない気持ちは、どうしたらいいのかな…?」
ミカサ「アルミンは…どうしたいの?」
アルミン「…え?」
ミカサ「アルミンがどうしたいか聞いているの?笑いたい?それとも、怒り狂う?」
アルミン「僕は…」ポロッ…
アルミン「あ…あぁ…」ポロポロ…
エレン「…泣けばいいんだよ。ジャンとコニーはもちろん、今はライナーに対しても、俺は憐れみを持っちまってるんだ」
-
- 255 : 2014/01/18(土) 20:05:15 :
エレン「一体何が、誰が、こんな運命を仕組んだんだろうな…。どこかで道を選び誤ったから、こんなことになっちまったのか…?」
エレン「…ちくしょう…!!」ポロポロ…
ミカサ「エレン…」
リヴァイ「…」
ハンジ「…」
アルミン「…決めたよ」
エレン「アルミン…?」
アルミン「もし、こんな馬鹿げた運命を仕組んだ奴がいるのなら…」
アルミン「…僕は絶対に許さない。地の果てまで追いかけて、必ず息の根を!!」
ミカサ「私も付き合おう。アルミンを一人にはしない」
エレン「お…おい!それは俺のセリフだろ!かっこつけるタイミング逃しちまったじゃねぇか…」
アルミン「ははっ」
ミカサ「…ふふっ」
-
- 256 : 2014/01/18(土) 20:10:08 :
リヴァイ「…呑気な奴らだ」
ハンジ「まぁまぁ。なんだかんだで、リヴァイも彼らのこと、買ってるんでしょ?」
リヴァイ「…どうだかな」
ハンジ「相変わらず素直じゃないなぁ…」
モブリット「分隊長っ!!」
ハンジ「モブリット!!どうしたの!?」
モブリット「ベルトルトと、ラーベを発見しました!!」
ハンジ「何だって!?どこに!?」
モブリット「それが、二人は……」
-
- 257 : 2014/01/18(土) 20:15:11 :
~とある場所~
砂礫の巨人(残骸)「」シュウゥゥゥゥ…
超大型巨人(残骸)「」シュウゥゥゥゥ…
ベルトルト「…」
ベルトルト(終わったのか…?全て…。あいつどうなった…)チラッ…
ラーベ「」
ベルトルト(…よかった。もう、思い残すことはないな)
ベルトルト(もう、身体に力も入らない。指一本動かす力も残ってないや…)
ベルトルト(すごく体が軽く感じる。これが『死』ってやつなんだろうね、きっと…)
-
- 258 : 2014/01/18(土) 20:20:12 :
ドシーン……
ベルトルト(…何だ、この音は?)
ドシーン…
ベルトルト(…足音?)
獣の巨人「…様子を見に来て見たら、何だよ、このザマは」
ベルトルト(…あいつか。わざわざ出向いて来るとは、ご苦労なことだ)
獣の巨人「女を食った『4人目』は死に、向こうで一人、こっちでも一人。全滅かよ」
獣の巨人「こんなことなら、『次』を連れてくればよかったぁ。二度手間だよ、まったく」
ベルトルト(さすが、もう『次』をこしらえているのか。抜かりがないね…)
-
- 259 : 2014/01/18(土) 20:25:23 :
獣の巨人「それにしても、思った以上に役立たずだったなぁ、こいつら」
獣の巨人「どうせ死ぬなら、せめて後の戦士に食われるくらいしてくれればよかったのにな」
ベルトルト(残念でした。もう、お前らの思い通りにはなってやらないさ…)
獣の巨人「さて、そうと決まれば、早速準備してきますか…」
獣の巨人「壁内人類諸君、ひと時の安らぎを楽しみたまえ…」
ドシーン…
ベルトルト(…行ったか。最後まで気に食わない奴だ)
-
- 260 : 2014/01/18(土) 20:30:18 :
ベルトルト(さて…)
ベルトルト「…」
ベルトルト(いよいよ僕も終わりかな。手足の感覚も薄れてきた)
ベルトルト(死ぬっていうのに、すごく不思議な……どこか、心地よさを感じる…)
ベルトルト(ごめんよエレン、君が望んだ『できるだけ苦しむ死』は、どうやら僕にはできないようだ…)
ベルトルト「…」
ベルトルト(アニ、ライナー、そっちはどうだい?辛いこと、苦しい事から解放されて、楽しく過ごせるのかい…?)
ベルトルト(それとも、猟奇殺人班にふさわしい、文字通り『地獄』が待っているのかい…?)
『そんなもん、自分で来て見て確かめろ』
ベルトルト(!?)
-
- 262 : 2014/01/18(土) 20:35:23 :
『少なくとも、余計なことを考えずなくていいっていう点は、そっちよりマシかもね』
ベルトルト(ライナー、アニ…!?)
ライナー『ご苦労だったな、ベルトルト。こっちに来て、楽になろうぜ』
アニ『あんたはよくやったよ。ここまで根性があったなんてね』
ベルトルト(…本当に、君たちなのかい?僕は夢でも…)
ライナー『夢でも何でも構わないだろう。現に俺達は、ここにこうしている』
アニ『それよりも、ライナーから聞いたよ?あんた、訓練所でチラチラ私のことを…』
ベルトルト(…ごめんよ、アニ。僕はずっと君のことを…)
アニ『…』
ベルトルト(…ううん、何でもない。積もる話は、向こうでするよ)
アニ『…楽しみにしておくよ』
ベルトルト(…)
-
- 263 : 2014/01/18(土) 20:40:18 :
ライナー『…お前、今まで5年間、辛かっただろう?』
ベルトルト(それはみんな一緒でしょ?アニ、大丈夫?一人で辛くなかった?)
アニ『あんたに心配されるほど、落ちぶれちゃいないよ。ただ…』
アニ『…欲を言えば、もう一度お父さんに会いたかった…かも。約束、守れなかった…』
ライナー『故郷に何としても帰ると言う俺達の夢、果たせなかったことに関しては、残念だったと思う…』
ライナー『…けど』
ライナー『…これはこれで、よかったのかもしれないな。もちろん、俺の勝手な想像だが』
-
- 265 : 2014/01/18(土) 20:45:28 :
ベルトルト(…どうして?)
ライナー『…もう、何も背負わずに、何も考えずに済むだろ?正直、使命のことで思いつめた顔をするお前らを、見ていられなくてな』
アニ『真っ先にリタイアした奴に言われたくないね』
ベルトルト(本当だよ。いきなり兵士モードになったりするから、僕がどれだけ冷や汗をかいたことか…)
ライナー『それについては触れないでくれ…。申し訳ないと思っている…』
アニ『ったく…』
ベルトルト(…また3人で、こんな他愛もない話ができるなんて、思ってもみなかったな。とてもうれしいよ)
ライナー『まったくだな。今は心がすごく軽くてな。本心から、お前らと一緒に笑い合える気がする』
アニ『…私も』
ベルトルト(じゃあ、もう一度見れるんだね。アニの、屈託のないあのころの笑顔が…)
アニ『…変態』
ベルトルト(…キツいな、その一言は…)
-
- 266 : 2014/01/18(土) 20:50:10 :
ライナー『…』
アニ『…』
ベルトルト(…もしかして、そろそろ時間かな?)
ライナー『…そのようだ。いつまでもこっちにいるわけにはいかん』
アニ『さっさと行くよ。向こうで、みんな待ってる。ミーナも、マルコも、サシャもジャンもコニーも…』
ベルトルト(…怒ってないかな?)
ライナー『どうだろうな。あいつらと同じ場所に行けるかも分からんが、きっと受け入れてくれるさ』
ベルトルト(…ならよかった)
ベルトルト()フワッ…
ベルトルト『あ、もしかして、今僕は…』
ライナー『そのようだな。改めて、さっきまでご苦労だった』
アニ『お疲れ様』
ベルトルト『…ふふっ、変なの。これで、二人と一緒だね』
-
- 267 : 2014/01/18(土) 20:55:09 :
ライナー『…お前らは、転生ってものが実在すると信じるか?』
アニ『どうだろうね?ただ、もしそんなものが本当にあるなら…』
ベルトルト『…もう一度、今度は人間としての僕に生まれたい。そして、皆と出会って、死ぬまでずっと仲間でいたいよ』
ライナー『そうだな。みんなでまた、一生懸命訓練して…』
アニ『友達と一緒に笑ったり、泣いたり、たまには喧嘩もするかも』
ベルトルト『立体機動で飛び回りながら、巨人を駆逐して、壁の外へと夢を馳せて』
ライナー『いつかみんなで、その夢へとたどり着く。そんなことが、叶うといいな』
アニ『そうだね…』
ベルトルト『叶えに行こうよ、みんなで。きっと僕らなら…』
-
- 269 : 2014/01/18(土) 21:00:24 :
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
モブリット「ここです」
リヴァイ「こいつは…」
ハンジ「こりゃまたずいぶんと、安らかな顔で…」
ベルトルト「」
――――そう、僕らなら…
ライナー&ベルトルト「4人目」・完
-
- 270 : 2014/01/18(土) 21:01:41 :
以上で本エピソードは終了です。
終始、気持ちのいい展開ではなかったでしょうが、見方によってハッピーエンドかバッドエンドかが変わってくると思います。
皆さんにとっては、どちらだったでしょうか?
感想等があればこちらまで。
最後まで読んでいただいた方々、途中で支援くださった方々、
本当にありがとうございました。
-
- 271 : 2014/01/18(土) 21:02:04 :
- ウァアアアアアアア#泣#
すごいいいい良い!!!
最高!!
マジリスペクト
-
- 272 : 2014/01/18(土) 21:02:15 :
- 最高!!
-
- 273 : 2014/01/18(土) 21:02:29 :
- どうしたら、こんな…
感動しました!
-
- 274 : 2014/01/18(土) 21:04:47 :
- 転生後の世界とかも見てみたいですね
乙でした
-
- 275 : 2014/01/18(土) 21:06:33 :
- 面白すぎました!
-
- 276 : 2014/01/18(土) 21:16:54 :
- >>274
た…確かに
-
- 277 : 2014/01/18(土) 23:19:55 :
- めっちゃくちゃ面白かったです!!!!!!!O(≧∇≦)O
-
- 278 : 2014/01/19(日) 01:27:02 :
- クリスタうぜぇ死ねばいいのに腹黒いし
-
- 279 : 2014/01/19(日) 01:30:53 :
- クリスタマジ女神
-
- 280 : 2014/01/19(日) 01:32:39 :
- 腹黒?no……逆に腹白……真っ白さ!!!
クリスタ=女神
これでいいジャン!!!
-
- 281 : 2014/01/19(日) 08:53:45 :
- やっぱり神宮さんのss 面白い!!
そして、これからも頑張ってください!
-
- 282 : 2014/01/19(日) 11:15:23 :
- ここまで予想外にたくさんのコメントをいただき、大変うれしく思います。
次回以降の励みにします。ありがとうございました。
-
- 283 : 2020/09/27(日) 16:48:47 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
http://www.ssnote.net/archives/80410
恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
http://www.ssnote.net/archives/86931
害悪ユーザーカグラ
http://www.ssnote.net/archives/78041
害悪ユーザースルメ わたあめ
http://www.ssnote.net/archives/78042
害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
http://www.ssnote.net/archives/80906
害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
http://www.ssnote.net/archives/81672
害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
http://www.ssnote.net/archives/81774
害悪ユーザー筋力
http://www.ssnote.net/archives/84057
害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
http://www.ssnote.net/archives/85091
害悪ユーザー空山
http://www.ssnote.net/archives/81038
【キャロル様教団】
http://www.ssnote.net/archives/86972
何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
http://www.ssnote.net/archives/86986
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- 284 : 2023/07/04(火) 01:53:51 :
- http://www.ssnote.net/archives/90995
●トロのフリーアカウント(^ω^)●
http://www.ssnote.net/archives/90991
http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
sex_shitai
toyama3190
oppai_jirou
catlinlove
sukebe_erotarou
errenlove
cherryboy
momoyamanaoki
16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
ちょっと時間あったから3つだけ作った
unko_chinchin
shoheikingdom
mikasatosex
unko
pantie_ero_sex
unko
http://www.ssnote.net/archives/90992
アカウントの譲渡について
http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654
36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな
22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。
46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね
52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑
89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ
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