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エルヴィン「駆逐」リヴァイ「依存症?」
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- 1 : 2014/01/04(土) 02:29:27 :
- http://twitpic.com/dqxluq
このつぶやきを見てたら、一つネタを思いついたので投下。
かなりBAD ENDです。
しかもオチが意味不明。わけがわかりません。
アニメ派の方でネタバレ厳禁な方、閲覧注意です。
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- 2 : 2014/01/04(土) 02:30:22 :
- エルヴィン
「近頃、調査兵団内に、『駆逐依存症』なるものを訴える者が続出しているらしい」
リヴァイ
「ほぅ……調査兵団は精神を病む奴が多いからな…で、どんな病なんだ?」
エルヴィン
「何でも、巨人の討伐に成功した兵士がかかるらしい」
リヴァイ
「あ?仲間が目の前で喰われて…とかじゃねえのか?」
エルヴィン
「リヴァイ…お前は、巨人を討伐した時、お前はどんな感情を感じる?」
リヴァイ
「嫌悪感だ。あいつらは汚い…綺麗に削いでも、血を浴びちまうし…」
エルヴィン
「はは…お前らしいな……だが、こう思う時はないか?『気持ち良い』と」
リヴァイ
「……あるさ、そりゃあ……俺の可愛い部下達を食ってきた奴らを削いでんだ……気分は悪くないに決まっている」
エルヴィン
「なるほどな……リヴァイ…お前はこの病には掛からなさそうだな」
リヴァイ
「はっ…そりゃよかった……で?どんな病か早く説明しろよ」
エルヴィン
「ああ、そうだったな……お前は違うようだが、兵士の中には、巨人を倒す行為そのものに強い快感を覚える者がいるんだ……巨人の肉を斬り、血を浴び、倒れて蒸発して消えていく巨体を見ること…そのことに、理由もなく興奮するのだそうだ」
リヴァイ
「猟奇的な殺人者みてぇな心理だな……」
エルヴィン
「ああ、まさにそれに近い。だが、それだけで済むならただの血の気の多い兵士で済む……駆逐依存症とは、一度巨人討伐に成功して感じた快感が無限に増幅していく病だ」
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- 3 : 2014/01/04(土) 02:30:41 :
- リヴァイ
「…」
エルヴィン
「巨人を駆逐した快感が薄れると、苛立ちを覚え、もっと巨人を駆逐したい、という欲求が生まれる…その後、壁外調査などで巨人と接触し、駆逐に成功すると、一度はその欲求が満たされる。だが、しばらくすればその快感は薄れる。すると、また巨人を駆逐したくなる。これを繰り返していくうちに…」
リヴァイ
「耐性が出来て、満足するために必要な巨人の駆逐数が増えていく……ってところか?」
エルヴィン
「そうだ…そうして、寝ても覚めても巨人のことしか考えられなくなる」
リヴァイ
「はっ…ヤク中と同じだな……」
エルヴィン
「調査兵団は、もともと血の気の多い兵士だらけだ……悪化しやすいんだろう。もちろん、巨人を1体でも多く駆逐したいという欲求は、強い戦意に直結する。恐怖で萎縮し、本来の力を出せないよりは良いだろうが、それは作戦行動を乱す単独行動にも繋がる。そうなれば、その兵士は、勇敢な翼ではなく、ただの『死に急ぎ』になる」
リヴァイ
「…幸か不幸か、そんなに好戦的な兵士はそうそういねぇと思うが……」
エルヴィン
「恐らく、そこまで悪化する前に、命を落とす者が多いのだろう」
リヴァイ
「…なるほどな……って…おい……巨人のことしか考えてねぇ奴なら一人知ってるぞ…」
エルヴィン
「奇遇だな。私も一人、知っている」
リヴァイ
「あの奇行種クソメガネ、平気なんだろうな?」
エルヴィン
「ハンジは平気だ……この報告を私にしたのがハンジだからだ」
リヴァイ
「なるほどな……ま、あいつのは純粋な好奇心か……」
エルヴィン
「『好奇心依存症』と言ってもいいくらいかもしれないな。何か一つ知ると、もっと新しいことを知りたくなる」
リヴァイ
「全くだ……まあ、巨人が駆逐されて、壁の外に人類が行けるようになりゃ、そこには新しいことだらけだ…ハンジの奴も困ることはないだろ」
エルヴィン
「はは、そうだな……では、そろそろ面会の時間だ……噂の『彼』とね」
地下牢
リヴァイ
「おい…お前のしたいことは何だ」
エレン
「調査兵団に入って…とにかく巨人をぶっ殺したいです……」
リヴァイ
「ほぅ…悪くない」
エルヴィン
「(この子……駆逐依存症予備軍なのでは……)」
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- 4 : 2014/01/04(土) 02:30:59 :
- ストヘス区
エレン巨人体
「ウォオオオオオオオ!!!ガァアアアアア!!!」
エルヴィン
「(女型を……殺して喜んでいる……?)」
ハンジ
「(『捕まえるため』じゃない……『巨人を痛めつけるため』に痛めつけている……良くない傾向だ……って!!女型を食うつもりか!?)」
ザシュッ
リヴァイ
「大事な証人を食うんじゃねえよ…馬鹿野郎…」
会議室
エルヴィン
「ミカサが報告してくれた…エレンが……あの時…『気持ちよかった』…と言っていたと…そのまま死んでもいいくらいに、気持ちよかったと」
リヴァイ
「チッ……完全に…その病気じゃねえか………あいつ……」
ハンジ
「だけど、エレンの巨人化の力無くしてウォール・ローゼ奪還は難しい。できれば巨人とこれ以上接触させたくないけど、それは不可能だよ」
エルヴィン
「……しかたがないな……我々調査兵団が一丸となって、エレンが暴走しないよう見張るしかない」
ウドガルト城
エレン
「やった!討伐数1!」
兵士
「エレン!戦うなって言ってんだろ!」
ウォール・ローゼ
エレン巨人体
「ガァアアアアアアアアアア!!!」
ハンジ
「(ちゃんと意識保ってるみたいだし…勝てる…かも!!だけど……エレン……どんどん…衝動が強く……)」
巨大樹の森
エレン
「殺してやる…!!!」
エルヴィン
「エレ…ン……ハァ……ハァ……くそ…」
ヒストリア
「やった!初めて一体倒した!……気持ち…いい…!!」
エレン奪還作戦帰還後
ヒストリア
「……はやく……壁の向こうに行こう!!…巨人を…倒そうよ…!!」
アルミン
「…ヒ……ヒストリア…?」
ラガコ村
コニー
「くっそ…誰だよ……俺達をこんな目に合わせる奴は!!」
ハンジ
「……コニー……」
コニー
「殺して…やる……!!」
ハンジ
「(……当然と言えば…当然か……もう…わからない……人が…死に過ぎた…奪われたものも多すぎる……私も…コニーも……駆逐依存に陥っているのか、いないのか…どこで線を引けばいいのか…)」
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- 5 : 2014/01/04(土) 02:31:15 :
- 隠れ家
リヴァイ
「エレン…ヒストリア…お前ら…今、巨人を殺したいか?」
エレン・ヒストリア
「「はい!」」
リヴァイ
「コニー…どうだ?」
コニー
「殺したい…です…」
リヴァイ
「ミカサ、アルミン、ジャン、サシャ」
ミカサ
「エレンや私達を邪魔する巨人は、殺さなければならない。今は巨人は居ません。ので、殺したくはないです」
アルミン
「僕は…自分じゃ殺せない気がするけど……もちろん、憎いです…けど「今」は……巨人の秘密を解き明かす必要もあるかと…」
ジャン
「…殺したいです……けど……」
サシャ
「怖い…です……またあんな思いをするのかと思うと…」
リヴァイ
「そうか……」
エレン
「おいジャン!サシャ!何言ってんだよお前ら!!…それでも調査兵団員かよ!」
アルミン
「エレン…しょうがないよ……僕だって…」
ヒストリア
「巨人は殺さなきゃ……怖いとか、勝てる勝てないとかじゃない…殺さなきゃ…!!」
リヴァイ
「その辺にしろ…お前ら、急に変なことを聞いて悪かったな……」
エレン
「兵長…!!俺は……ッ!!」
リヴァイ
「落ち着け…ヒストリア、お前もだ……頭を冷やせ……巨人が憎いのはわかる。だが、『殺す』のは手段であって目的じゃない……それをはき違えるな……そこに囚われ続ける限り、お前達は『死に急ぎ野郎』であり、仲間を危険な目に遭わせることになるぞ…!!」
エレン
「…わかりました…」
ヒストリア
「ごめんなさい……」
リヴァイ
「(大丈夫、大丈夫だ……同期には噛みついても、俺の言うことなら聞く…このまま抑えて行けば…)」
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- 6 : 2014/01/04(土) 02:31:34 :
- 壁外
リヴァイ
「お前らっ…!!止まれ…!!」
エレン巨人体
「ガァアアアアア!!」
ヒストリア
「ふふっ……そぉーれっ!!」
コニー
「おいヒストリア!!」
アルミン
「リヴァイ兵長…!!……右から巨人が!!」
ミカサ
「危ない!!」
ジャン
「ヒストリア!!避けろ!!」
バキッ
アルミン
「ジャン!!!」
ヒストリア
「ジャンっ……私を庇って…!!くそ…あの巨人!!殺してやる!!!」
リヴァイ
「ミカサ!ジャンを頼んだぞ…!!ヒストリア!止まれ!単独行動をするな!!」
ヒストリア
「ジャンの為です!仇を…!!」
リヴァイ
「いいや違う!!お前の為だ…お前は今、自分の為に行動している!!」
ヒストリア
「…」
リヴァイ
「(無視か……こりゃあいよいよ重症だな……とにかくあいつにこれ以上殺させるわけには…)…ハァッ!!」
ザシュッ
ヒストリア
「ああっ……私の…獲物が!!」
リヴァイ
「いい加減にしろっ…!!」
ガッ
ヒストリア
「いや!!放して!」
アルミン
「ヒストリアっ……ぐうっ…捕まえた…放さないぞ…!!リヴァイ兵長、今…」
エレン巨人体
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
ミカサ
「エレン!エレン!」
リヴァイ
「くっそ…どいつもこいつも勝手ばかり………サシャ?コニー!?おい、サシャ!!どこだ!!」
シュタッ
サシャ
「す、すいません……巨人に襲われて……」
リヴァイ
「その返り血……独りでやったんだな……!!よくやった……」
サシャ
「はい…!!もう怖くないです…!!」
リヴァイ
「そうか…」
サシャ
「今は……楽しいです!!あはは!!」
リヴァイ
「何て面してやがるっ……おい!サシャ!!クソ!!」
ガシッ
サシャ
「ハ、ハンジ分隊長…!!放してください!」
ハンジ
「はぁーい暴走タイムは終わりー!!自由人同士仲良く『協力』して巨人倒しましょー!…リヴァイ!エレンを!!」
リヴァイ
「コニーもどっかに…!!」
コニー
「放せぇ!!俺は!母ちゃんの!皆の仇をっ…!!!」
モブリット
「一緒に取ろう…!!独りで戦ってはだめだ!!」
リヴァイ
「モブリット…すまない…俺の部下が…」
モブリット
「もともと『生き急ぎ』のブレーキ役だったんです…『死に急ぎ』だって同じですよ…行って下さい!!」
リヴァイ
「(クソっ………クソっ………悪いことじゃ、無ぇのに…!!仇を取りたい気持ちも、兵士としての達成感に浸ることも、悪くなんかねぇのに…!!)」
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- 7 : 2014/01/04(土) 02:31:54 :
- 帰還後
エルヴィン
「リヴァイ……ハンジ……」
ハンジ
「ははっ……こっちまでつられて楽しくなりそうだったよ…」
リヴァイ
「俺の…責任だ……クソ…」
モブリット
「ジャンは、肋骨にヒビが入っているようですが、意識はしっかりしています。ミカサとアルミンが付き添っています」
エルヴィン
「そうか、よかった……エレン、ヒストリアはもう完全に制御不可能か……討伐数は合わせて40体余り……」
ハンジ
「凄い記録だよねえ…討伐補佐は0だけどね」
リヴァイ
「討伐妨害も数えてやりたいくらいだったよ…」
エルヴィン
「全くだな…二人は地下牢だ……それから、コニー、サシャ」
ハンジ
「コニーはもともとその気があったんだ…でも、ラガコ村のことがあったばかりだから……気のせいかも、って思ってた…すまない」
リヴァイ
「サシャもだ……あいつは、巨人との戦闘を恐れていたから……巨人に殺されないかどうかしか心配してなかった…」
エルヴィン
「反動かもしれんな……恐怖していたからこそ、乗り越えた時の快感は大きかったのかもしれない…」
リヴァイ
「次は、エレン以外は、戦闘に参加させない……エレンも、巨人が片付くまでは自由にはしない」
ハンジ
「そうだね…次が、きっと最後の戦いになる。次、あの巨人を倒せば、私達人類は勝てるんだ……」
エルヴィン
「リヴァイ…ハンジ…もし、次の戦いで発症した人間が居たら……見捨てるんだ……」
リヴァイ
「なっ……てめぇ…!!」
ハンジ
「エルヴィン……」
エルヴィン
「わかっているだろう……次の戦いは正真正銘最後の戦いだ。負けたら人類はその時点で終わりなんだ。何としてでも勝たなければならない」
リヴァイ
「俺が…暴走したら……」
ハンジ
「リヴァイが暴走しても誰も気づかないかも。今日絶好調だな、って思うだけかも」
リヴァイ
「クソメガネ…テメェが暴走しても、俺は気付かんぞ…」
モブリット
「僕が気づきますよ…」
エルヴィン
「確かにな……2人とも、その時は俺達全員が手足を斬り落としてでも止めてやるから安心しろ……腕の1本や2本無いくらいで別に困りはしない……特に、巨人のいない平和な世界ではな」
ハンジ
「あなたが言うと説得力あるね……うん、安心した。……頼むよ」
リヴァイ
「行くぞ……」
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- 8 : 2014/01/04(土) 02:32:24 :
- 決戦
リヴァイ
「あらかた巨人は片付いた…!!…お前達、エレンを放せ!!」
アルミン
「エレン……巨人が……うぅっ……君を待ってるよ……ぐすっ……平和な世界で…また会おう…」
ミカサ
「エレン…いってらっしゃい……うっ…ううっ……エレン!!!いや!!!エレン!!!!行かないで!!!」
エレン
「ははははははは!!!あはははははは!!!ありがとよ皆!!!!」
リヴァイ
「エレン……お前は悪くない……行くぞ、エレン……俺も…一緒に…楽しんでやる…から……」
エレン
「兵長…やっとわかってくれたんですね!一緒にぶっ殺しましょう……ああでも俺の獲物は俺が殺しますから手を出したら殺しますから」
ハンジ
「ごめん、ごめんね、エレン……私達は……君に希望というラベルを貼って…殺戮の道具に貶めてしまったんだ…ごめんよ、ごめんよエレン…」
エレン
「はははは…いいですよ……今!俺は!最高に!楽しい!!!」
ハンジ
「ああ…わかるよ、エレン……巨人狩りは……楽しいよね………昔の私がそうだったから…わかるよ……」
ガブッ
ピカッ
エレン巨人体
「ガアア!!!ガアアアア!!!アアアアアアアア!!!!!」
リヴァイ
「すま…ない……」
決着後
ハンジ
「勝った……!!!皆…!!!ミケ…ナナバ…ゲルガー…リーネ…へリング…皆……!!!」
モブリット
「やった…ついに……ううっ……やった……」
ミカサ
「エレンは……」
リヴァイ
「生きている……さっき…俺がうなじから引きずり出した……巨人体と…上は肩、下は膝のあたりまで融合していた…」
アルミン
「じゃあ…」
リヴァイ
「腕と脚の血はもう止まっている…そのうちまた生えてくるのだろうな……今は……巨人化の影響で意識が無いが……目を覚ませば…また……」
アルミン
「…エレンは…さっき……兵長に向かって『殺す』って…言ってましたよね…『手を出したら殺す』って」
リヴァイ
「ああ…だが、俺はあいつに今まで何度も、『暴走したら殺す』と言い続けてきた……実際には…暴走したのに殺してやることができなかった……殺されても仕方がないくらいだ」
ミカサ
「あなたは悪くない。エレンも悪くない。悪いのは巨人。この、残酷な世界…そうでしょう?」
リヴァイ
「………わからない…」
モブ兵士
「兵長……」
リヴァイ
「何だ?」
モブ兵士
「聞きたいことが…」
リヴァイ
「後にしてくれ…今大事な話を……」
モブ兵士
「巨人はどこですか」
リヴァイ
「…」
モブ兵士
「兵長、巨人はどこですか」
答えを、間違えるな。
ここで、答えを間違えたら、こいつか、俺か、ミカサ達が死ぬ。
リヴァイ
「…ここには、もういないようだな」
モブ兵士
「どこならいますか?」
リヴァイ
「……」
モブ兵士
「どこですか…どこですかどこですかどこですかどこですか」
リヴァイ
「(くそ…やばいか…?)」
アルミン
「みっ…南の方に…!!」
リヴァイ
「…!!」
ミカサ
「そうです……巨人は南から…やってくるんですよね?」
モブ兵士
「ミカサ…ありがとう…行ってみるよ…」
ザッザッザッ
ドスッ(鳩尾)
モブ兵士 ドサッ
リヴァイ
「……よし…気絶…してんな……巨人が居なくなったら対人格闘術か……………ハァ…お前ら、助かった……礼を言う……」
ミカサ
「周りも気づいてないようですね……この兵士はとりあえず手足を拘束しておきます」
アルミン
「いえ……でも…どうしよう…この分じゃ…発症した人はまだいますよね……」
ミカサ
「何か理由をつけて…とりあえず拘束するしかない……」
リヴァイ
「そのためには…まず正気の奴を探さねえとな……」
ザッザッザッザッザッ
ハンジ
「リヴァイ…っ!」
リヴァイ
「ハンジ、どうした」
ハンジ
「まずいよ…結構な人数が発症してる……あっちが完全に多数派だ…」
モブリット
「…しかも、さっきまでの激しい戦闘の興奮を引きずってるせいか、大分症状が重いみたいで…」
リヴァイ
「…どうする……」
ハンジ
「と、とりあえず………とりあえず………くそっ……まともなアイデアが浮かばない……」
ミカサ
「……兵士達を…殺すという選択肢…」
ハンジ
「ああ、悔しいけどそれくらいしか浮かばない……でも、それは…!!」
アルミン
「1つ…」
リヴァイ
「話せ」
アルミン
「でも…これは……」
ミカサ
「言って。やるかやらないかはそれから決めればいい」
アルミン
「……では…」
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- 9 : 2014/01/04(土) 02:32:46 :
一同
「………」
リヴァイ
「…確かに……めちゃくちゃな……話だな………」
ハンジ
「とりあえず、その作戦を実行する奴は、まず死ぬね」
アルミン
「…僕がやる」
ミカサ
「いえ、私がやります」
リヴァイ
「ふざけんな…俺に決まってんだろ……全ての責任は俺にある」
ハンジ
「君達何言ってんのかなあ!?駆逐依存症に一番詳しいのは私だよ?私に決まってるでしょう」
モブリット
「ハンジさんが行くなら僕も行きます。ハンジさんが行かなくても僕が行きます」
ハンジ
「何言ってんの!!」
アルミン
「でも、誰かが壁内で待ってるエルヴィン団長達の所に報告しに行かなければならないんです…だから、全員で行くわけには…」
リヴァイ
「とりあえずアルミンはエルヴィンの所へ行け」
アルミン
「何故です!?」
ハンジ
「この作戦を思いついたのがあなただから」
ミカサ
「あなたには正解を導く力がある」
モブリット
「エルヴィン団長の所に行って、作戦を練ってくれ。君と団長の2人が力を合わせれば、作戦を実行する人間も含め全員が助かる道を見つけられるかもしれない」
リヴァイ
「上官命令だ。ミカサ…お前も行け…」
アルミン
「兵長!?」
ミカサ
「…エレンはもういない…私はどうせもう、いや、また一人だ…」
リヴァイ
「前に、お前に聞いたな。『巨人を殺したいか』と。お前は言ったな。エレンを邪魔する巨人は殺すと」
ミカサ
「ええ。私にはエレンが全てでした」
リヴァイ
「だから行けと言っているんだ……いいか、この作戦は、発症者を壁から遠ざける作戦であって、助ける作戦じゃねえ……だが、壁に向かう組は違う。お前達は救える。…お前達はエルヴィンと共に頭を捻って、エレンと部下達と…余力があれば俺達を助けろ」
ミカサ
「…兵長は…エレンは元に戻ると思ってるんですか?」
リヴァイ
「思っている。あいつは、根性と多少の運しかないような奴だが、根性だけなら人類最強だ」
ハンジ
「そして、ミカサ。あなたはエレンの為なら何だって出来る。そうでしょう?…大丈夫、私達もあなた達と同類だから」
モブリット
「何だかんだ言って、生き残ってきたんだ…大丈夫だよ」
リヴァイ
「発症者が落ち着きを無くし始めてる。やるぞ」
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- 10 : 2014/01/04(土) 02:33:06 :
- 壁内
エルヴィン
「勝利とは…何なのでしょうね…ピクシス司令」
ピクシス
「さぁのぅ……自分の目標を達成すること、かのぅ」
エルヴィン
「ならば、我々は勝利したと」
ピクシス
「お主の目標は知らんが…少なくとも儂は勝ったぞ…今、巨人はこの世界のどこにもおらんのじゃからな」
エルヴィン
「私の目標も同じです。こうして、巨人のいない世界を、壁の上から見下ろすことが出来て…長年の願いが叶いました…ですが…それは本当に純粋な『勝利』そのものでしかない…傍らに、部下が居てくれなければ…何も満たされない…!!」
ピクシス
「…儂も、超絶美女がおらんと、勝っても楽しくないのぅ」
エルヴィン
「壁の外も、同じでしょうか…壁の中と……」
ピクシス
「お主の言う、部下達がどうにかしてくれていることに期待したいのぅ」
エルヴィン
「ここも、そう長くは持ちませんよ」
ピクシス
「そうじゃのう」
エルヴィン
「……」
ピクシス
「4枚目の、壁になってみるか…?ウォール・ピクヴィン…なんてな…」
エルヴィン
「…仰っている意味が…」
ピクシス
「最後に、もう一勝負してみるかと言っておるのじゃ。ちなみに、儂の目標は、壁内から発症者を追い出すことじゃ」
エルヴィン
「おや…私はもう勝負を始めているつもりでしたが……」
ピクシス
「はっはっは…そりゃすまなかったのう……では…いざ参らん…」
エルヴィン
「司令……一言申し上げたいことが」
ピクシス
「なんじゃ?」
エルヴィン
「名前…どうせなら、ウォール・エルシスにして戴けませんか」
ピクシス
「……はは!!!思ったより堅物ではないようじゃ……門はもう開けてある………さあ、行くっ……っ!!エルヴィン!あれを見ろ!!」
エルヴィン
「…!!あれは…まさか……!!」
壁外 壁と逆方向
パカラッパカラッパカラッパカラッ
リヴァイ
「そろそろだな」
ハンジ
「準備はいい?モブリット」
モブリット
「馬に乗って、走り出した時から準備万端ですよ」
リヴァイ
「これを撃ったら最後……もう止まることは出来ない」
ハンジ
「早く撃とう…アルミン達が無事に壁に辿り着けるように」
モブリット
「大丈夫ですよ、兵長」
リヴァイ
「『兵長』…か……」
リヴァイ班の顔が浮かぶ。エレンの笑顔。エルド達の顔。エレンを守れ。そう言った俺が、あの生意気なクソガキを守れなくてどうする。
懐から、信煙弾用の銃を抜く。
込める弾は、赤。
巨人発見の、煙弾。
高く構え、引き金を引いた。
パンッ シュゥウウウウウウウウウ
撃つと同時に、3人は、壁とは逆方向に向かって、更に馬を走らせる。
一斉に、こちらに走って来る足音が、歓喜の叫び声が、時間差を伴って届いてくる。
暫く走って、また煙弾を撃つ。
このまま、どこまでもどこまでも走ってやる。
馬がダメになったらこの脚で。使えるなら立体機動も存分に使う。
壁の外の世界を一番乗りで見させてもらうぞ。
最後の敵は自分の中にいる巨人だったんだよ、お前達。
けど安心しろ。俺達も心中してやる。
俺達と一緒に、また「敵」を駆逐しよう。
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- 11 : 2014/01/04(土) 02:33:36 :
- 壁外 壁の近く
アルミン
「ミカサ…っ」
ミカサ
「始まったわね……私達は、発症者と遭遇しないよう避けながら、壁内に戻る!!」
アルミン
「壁を登って、後は立体機動を駆使してエルヴィン団長の所までたどり着く…!!」
壁外
リヴァイ
「どこまで走っても…同じ風景だな」
ハンジ
「アルミンが話して聞かせてくれた、燃える水とか、氷の大地とか、塩が沢山とれる大きな水たまりってのはどこにあるのかね?」
モブリット
「世界はこんなに広かったんですね……改めて…戦ってきてよかった…」
リヴァイ
「ああ…鳥になった気分だ……どこまでも、自由に行ける」
ハンジ
「もう、『鳥籠』は見えないね」
モブリット
「アルミン達はまだ若いから、安全な鳥籠の中に居てほしいですね」
ハンジ
「さて、リヴァイ…どうする?」
リヴァイ
「さあ…どうしようか」
モブリット
「彼らは、もう追ってきてないですね…」
ハンジ
「…こんなに壁から引き離しちゃって…可哀想な死なせ方をさせてしまうね…野垂れ死になんてさ…」
リヴァイ
「…」
ハンジ
「リヴァイ……!!!」
モブリット
「何だ…いや、誰だ…!!お前は……!!」
???
「誰か、だって?そうだね、じゃあ、キュゥべえ、とでも名乗ろうかな」
リヴァイ
「変な名前しやがって……何でこんな所にいる?」
キュゥべえ
「もちろん、君達を待っていたのさ!」
ハンジ
「待っていた…だと…?」
キュゥべえ
「リヴァイ、ハンジ、モブリット。君達は、アニ・レオンハート達の『故郷』を探そうと思っていたんだろう?ここまで壁から離れてしまったら、そう簡単には生きて帰れないからね」
モブリット
「…じゃあ、お前が『故郷』に関係するのか?」
キュゥべえ
「その通りさ!」
ハンジ
「じゃあ、お前が今まで巨人を生み出していたのか?」
キュゥべえ
「その表現には少し語弊があるけれど…まあ、そういうことになるね」
リヴァイ
「兵士達の精神の異常も、お前の仕業か…?」
キュゥべえ
「それは違うよ!あれは、君達人間の、どうしようもない性が引き起こしたのさ」
モブリット
「性……?」
キュゥべえ
「君達は、巨人のいる世界を当たり前に思っている…いや、思っていただろう?でもね、この世界にもちゃんと、巨人の居ない時代があったんだ」
ハンジ
「そりゃ…平和だったんだろうね。羨ましい」
キュゥべえ
「ハンジ、本当にそう思うのかい?それなら、今君達も平和で幸せなはずだ。違うかい?」
リヴァイ
「その時代にも、今と同じようなことがあった、というのか」
キュゥべえ
「僕の主観になるけれど、今よりずっと酷かったよ。余計なエネルギーを沢山使って、人が人を殺していたんだ。今は、余分なエネルギーは使ってないだろう?まだ、少しはマシさ!」
リヴァイ
「…で、どうしようもない、俺達の性って何だ?」
キュゥべえ
「ありすぎて全部は言えないよ…だけど、あえて言うなら、争わずにいられない、ってところかな」
ハンジ
「争わずに…」
キュゥべえ
「もっと纏めて言うなら、全体の幸福の追求が出来ないところかな。皆、結局は自分の為、誰かの為なんだ。誰一人として、世界の為、宇宙の為には行動できない。気づいても、周りの空気に流されたりして、結局実現は出来ないんだ……ふふ、話が難しくなりすぎたかな?」
モブリット
「じゃあ、駆逐依存症は…」
キュゥべえ
「今は平気でも、皆がいつかは発症するのさ。君達もね。発症したくないなら、死ぬしかない。そもそも、君達にとっては、たまたま『巨人』が全ての行動原理だったから、巨人が引き金となって発症しただけだ。君達人類は勝ってはいけなかったんだよ」
リヴァイ
「なら…」
キュゥべえ
「どうすればいいのか、だよね。簡単さ。巨人をまた出現させればいいんだ。そうすれば、彼らは正常に戻る」
ハンジ
「何…だと…!!ここまで、あれだけの犠牲を払って得た、巨人からの解放を捨てろというのか…」
キュゥべえ
「そうだよ。何かを得るためには、何かを捨てないとね…安いと思わないかい?たった3体でもいい。この世界のどこかに巨人が居れば、壁の中は安全で皆平和に暮らせるんだ」
リヴァイ
「…俺達は何をすればいい…?」
キュゥべえ
「僕と契約して、巨人になってよ!」
ハンジ
「私達に…巨人になれ…と?」
キュゥべえ
「どのみち、ここから生きて帰る手段は残されていないんだ。構わないだろう?本当ならここで野垂れ死ぬ予定の君達が巨人になれば、壁内を救うことが出来て、望むなら、壁内まで帰ることもできる。エルヴィン達は、君達が戻って来るのを心待ちにしているはずだ。きっと受け入れてくれるさ」
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- 12 : 2014/01/04(土) 02:33:59 :
- 数ヶ月後 壁の近く
「帰って来たな」
「うん」
「何も食べなくても、平気でしたね」
「…うなじさえ無事ならな」
「皆は…無事でしょうか」
「きっと無事だよ…さあ、暴れようか……世界の為に」
キュゥべえ
「全く、本当に人間と言う生き物は愚かだね」
「ねぇ…これ……」
「…」
「…」
キュゥべえ
「壁内の人間達が、自分達で問題を解決できると本当に思っていたのかい?」
「エルヴィン…?」
「…」
「…」
キュゥべえ
「彼らは、まず真っ先に、調査兵団を切り捨てた」
「…おい……何とか言えよ……」
「……ミカサ、アルミン……」
「どうして……」
キュゥべえ
「当然だよね?巨人が居ない世界に、調査兵団は要らない」
「…」
「…」
「壁の中は…どうなっているんだ……」
キュゥべえ
「結局、壁の中は王政の独裁状態さ」
「ねえ…あれ」
「…」
「貴族か…」
キュゥべえ
「そして、そこに現れるのが『戦士』達」
「あんなところで…呑気にピクニックか…」
「あそこは…」
「巨大樹の森は…」
キュゥべえ
「君達は、きっと生まれて初めて呪うだろう。自分の同胞を。壁の中の人類を」
「あそこは…私達の…」
「……」
「……」
キュゥべえ
「そして、ここからが人間の力の見せどころだ。君達の『感情』という病は、『奇跡』を起こす」
「どけよ……」
「人類の為に…戦ってきた…ずっと…」
「俺の仲間達が…眠っているんだよ…」
キュゥべえ
「僕が少しだけ力を貸してあげる」
かつて巨人に駆逐され
かつて巨人を駆逐し
かつて人類に駆逐された英雄達の屍は
今度は人類を駆逐するために立ち上がる
キュゥべえ
「君達は、壁の中の人類によって絶望に突き落とされた。そして、今度は君達が進撃する番だ。壁の中の人類は君達の力を思い知るだろう。そして絶望へと再び沈むはずだ。僕が欲しいのは、まさにそのエネルギーだ」
三人は、かつて自分達の希望となった少年の真似をする。
閃光と爆音が迸る。その中を、ゆっくりと歩き出す。
希望から絶望への相転化のエネルギーにより、巨大な肉体を手に入れて。
傍には、かつての同志達が、巨人と呼ばれる姿を得て立っている。
ああ、恨んでいるのだろう。
死ぬはずの自分達が生きているのだから。
死なないはずの彼らは死んだのに。
言い訳は、あの世でさせてくれ。
自分達「戦士」には、その前にしなければならないことがあるのだ。
「「「駆逐してやる…一匹残らず…覚えていろ…悪魔の…末裔め……!!!」」」
キュゥべえ
「こうして、何度も絶望と希望を繰り返して、この世界は負のエントロピーを生み出す永久機関であり続ける。もちろん、宇宙全体の為にね。この世界の場合は、もう2000年は経つと思うんだけど……誰一人として、そんな事にも気づかないなんてね…」
壁の向こうに、巨人が顔を見せる。
壁の傍に居た住民達は、立ち尽くす。
その日 人類は思い出した。ヤツらに支配されていた恐怖を… 鳥籠の外に追い出された者達の怒りを……
キュゥべえ
「それにしても…駆逐依存症って…変な名前だなあ…わけがわからないよ」
END
-
- 13 : 2014/01/04(土) 04:30:32 :
- この話すごい…
見いっていた…
作者さんすごいです!
-
- 14 : 2014/01/04(土) 09:33:40 :
- 最後までお読みいただき、ありがとうございます(*´ω`)o。゚:.・+
オチにまどマギ的幸福・エネルギー論を使うという暴挙に出てしまいました…(´д`ι)
全然ハッピーになれないお話でごめんなさい(´・ω・`;A)
また何か書けたら、と思います♪
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- 15 : 2014/01/04(土) 11:17:05 :
- わぁぁあ………
すごいとしか言えない……
-
- 16 : 2014/01/04(土) 11:42:13 :
- ありがとうございます!(ノω<;)
深夜のテンションで書いてしまったので、そのうち手直ししたくなるかもです笑
(修正版はブログに載せるようにしますね)
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- 17 : 2014/01/04(土) 23:24:15 :
- すごい完成度で、一気読みしちゃいました…!!
これ原作のネタバレだって言われたら信じちゃうかもw
これからも頑張ってください!
-
- 18 : 2014/01/05(日) 09:30:52 :
- ありがとうございます!!
今、もう一つの終わり方(ANOTHER END)を描いています。
完成したら載せますね♪
-
- 19 : 2014/01/05(日) 18:02:29 :
- 乙でした!うわぁ、凄い
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- 20 : 2014/01/08(水) 22:39:51 :
- お返事遅れて大変申し訳ありませんでした!!
コメありです^^
続編、うまくまとまるかわかりませんが、頑張ります♪
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駆逐依存症 シリーズ
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