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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

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アニ「ある男の子に」エレン「ある女の子に」エレアニ「恋をした話」

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  1. 1 : : 2018/08/31(金) 09:23:12
    〜筆者からのお願い事〜

    ※本編を閲覧する前に必ず下記をご参照ください。


    ・長編&蛇足

    ・ギャグ&シリアス

    ・キャラ崩壊あり

    ・オリジナル設定を大きく含みます

    ・オリキャラが1人入ります(物語に大きく関わるわけではありません)

    ・ネタバレ要素が所々あります

    ・誤字脱字があるかと思いますが、ご了承願います

    ・読まれている方の妨げになるようなコメントは、非表示設定の対象になる場合がございます(雑談.長文.アンチ.荒らし.本編に無関係な発言、等)


    ※以上の事を理解してくださる方のみ本編をお楽しみください。
  2. 9 : : 2018/08/31(金) 09:45:37
    〜845年〜

    「……………ン…」

    「……レ…ン…」

    「…エレン」

    「エレン!」

    エレン「……ん?」

    「起きて」

    「もう帰らないと日が暮れる」

    エレン「……?…あれ?」

    エレン「…ミカサ……お前…」

    エレン「髪が伸びてないか…?」

    ミカサ「………」ジ-

    ミカサ「そんなに寝ぼけるまで熟睡してたの?」

    エレン「いや…なんかすっげー長い夢を見ていた気がするんだけど…」

    エレン「何だったっけ、思い出せねぇな…」

    ミカサ「…エレン?」










    ミカサ「どうして泣いてるの?」










    エレン「え…?」
  3. 10 : : 2018/08/31(金) 09:45:54
    ーーーーーーーー

    エレン「…」チラッ

    ミカサ「…」ジ-

    エレン「言うなよ…誰にも」スンッ

    ミカサ「……言わない」

    ミカサ「でも…理由もなく涙が出るなんて一度おじさんに診てもらったら?」

    エレン「バカ言え!親父に言えるかこんなこと」

    ハンネス「何泣いてんだエレン?」

    エレン「!ハ、ハンネスさん」

    ハンネス「ミカサに何か怒られたのか?」ケラケラ

    エレン「は!?なんで俺が泣くんだよ!」

    エレン「って酒くさ!!……また飲んでるのかよ」

    ハンネス「お前らも一緒にどうだ?」ケラケラ

    エレン「…親父に聞いてからにするよ『ハンネスさんに酒誘われたけど飲んでいいか?』ってな」ニヤ

    ハンネス「お、おい…冗談に決まってんだろ?真に受けんなよ…」ヒヤアセ

    エレン「じゃーなハンネスさん、行くぞ…ミカサ」

    ミカサ「…」コク

    エレン「あ、そうだ」

    ハンネス「?」

    エレン「もう駐屯兵団なんて名乗るのやめて壁工事団とかにしたらどうだ?お似合いだと思うぞ」ケラケラ




    ハンネス「…何だエレンの奴…今日は随分噛み付いてくるじゃねーか…」

    オイハンネス!ツギオマエノテバンダゾ!
    ハヤクコイヨ!

    ハンネス「…ああ、今行く」
  4. 11 : : 2018/08/31(金) 09:46:25
    カンカンカンカンカン!!

    ザワザワ

    エレン「!……何の音だようるせーな」

    ミカサ「…多分、今朝出発した調査兵団が帰ってきた」

    エレン「……興味ねーよ、帰ろうぜ」

    ミカサ「…」コク

    ーーーーーーーー

    ガチャ

    エレミカ「ただいま」

    グリシャ「おかえりなさい」

    カルラ「遅かったのね二人とも」

    エレン「いつも薪を拾ってるあのでかい木の麓で俺が居眠りしちまって…」ハハ

    ミカサ「…」

    エレン「あれ?父さん今から出かけるの?」

    ミカサ「…」

    グリシャ「ああ、2つ上の街に診療だ」

    ミカサ「…エレンが…」

    ミカサ「調査兵団に入りたいって…」

    カルラ「!?」

    エレン「…は?」

    グリシャ「…」

    エレン「お、お前何言っt「エレン!!」

    カルラ「何を考えているの!?」

    エレン「いや俺はそんなこと言ってn」

    グリシャ「…」

    カルラ「壁の外に出た人類がどれだけ死んだか分かってるの!?」

    エレン「わ、分かってるよ!それに俺はそんなこと言ってないって言ってるだろ!」

    ………シ-ン…

    グリシャ「…そろそろ船の時間だから行くよ…」

    カルラ「ちょっとあなた!エレンを説得して!」

    エレン「いや、だから」

    グリシャ「カルラ」

    グリシャ「人間の探究心とは誰かに言われて抑えられるものではないよ」

    グリシャ「そうだろ?エレン」スタスタ

    エレン「…」



    カルラ「エレン」

    エレン「…なに?」

    カルラ「駄目だからね、調査兵団なんてバカなマネ」

    エレン「…だからさっきから言ってるだろ!俺は調査兵団へ行きたいなんて一言も言ってねーよ!」ダッ

    カルラ「ちょ、ちょっとエレン!まだ話は……エレン…」

    ミカサ「…ごめんなさい…」

    カルラ「ミカサ…あなたが謝る事ないのよ…」

    カルラ「…エレンが調査兵団に憧れてるなんて昔から知ってたのよ…」

    ミカサ「!…おばさん…気づいてたの…?」

    カルラ「当然じゃない…家族なんだから…でもあの子は少し頭が固いから、私がダメって言えば絶対に反発するだろうからずっと黙ってたのよ…いつか調査兵団へ入りたいなんて気持ちが消えてくれるだろうと思って」

    ミカサ「おばさん…」

    カルラ「さっき声を荒げてしまったのは私のミスね…分かってはいたけど、あの子の目を見てしまえば調査兵団に入りたいって気持ちをまだ持ってるのを再確認してしまって……ごめんね…」

    ミカサ「…」

    カルラ「勿論ミカサのこともちゃんと分かってるつもりよ」ニコ

    ミカサ「私の…?」

    カルラ「ええ、あなたはいつもエレンの事を第一に考えてくれている」

    カルラ「さっきもエレンが調査兵団に入って危ない目に遭わないように言ってくれたのよね?」

    ミカサ「…」コク

    カルラ「あなたは優しい子…いつも誰かを想って誰かの為に行動してる」

    カルラ「でも一つダメな所は、その為に自分を犠牲にしてもいいと思ってる所よ」

    ミカサ「!…」

    カルラ「ミカサ、あなたはもう私達の大事な家族なの…自分を犠牲になんて考えないで…ね?」

    ミカサ「うん…」

    カルラ「…」ヨシヨシ

    カルラ「ミカサ…あの子は大分危なっかしいから…困った時は二人で助け合うのよ」

    ミカサ「うん…!」

    ミカサ「それじゃあ私…エレンを追いかける」ニコッ

    カルラ「いってらっしゃい」ニコッ
  5. 12 : : 2018/08/31(金) 09:47:50
    ーーーーーーーー

    「どうした異端者」

    「悔しかったら殴り返してみろよ!」

    アルミン「そ…そんなことするもんか!それじゃあお前らと同レベルだ!!」

    「何だと!?」

    アルミン「僕が言ったことを正しいと認めているから…言い返せなくて殴ることしか出来ないんだろ?」

    アルミン「そ…それは!僕に降参したってことじゃないのか!?」

    「う、うるせぇぞ屁理屈野郎!!」グッ

    エレン「やめろ!何やってんだお前ら!」

    「エ、エレンだ!ガクブル

    「おい!逃げるぞ!」ガクブル



    アルミン「イテテ…」

    エレン「おい!大丈夫かアルミン?」

    アルミン「…あ、あぁ大丈夫だよ」

    エレン「そうか…」ホッ

    ーーーーーーーー

    アルミン「それで、人類はいずれ外の世界に行くべきだって言ったら殴られた…異端だって」

    エレン「くそっ!外の世界を見てみたいっていうのがそんなにおかしな事なのかよ」

    アルミン「そりゃ壁の中にいるだけで100年ずっと平和だったからね」

    アルミン「下手に外に出ようとしてヤツらを壁の中に招くようなことが起きないように王政府の方針として外の世界に興味を持つこと自体をタブーにしたんだ」

    エレン「つまり王様がビビりすぎっつー話だろ!」

    ミカサ「エレン、そんな大声で王様の悪口を言ってはダメ」



    エレアル「!?」バッ

    エレン「お前いつの間に…」

    アルミン「びっくりした…」

    ミカサ「さっきからずっと後ろにいた」

    エレン「こえーよ…ってミカサお前さっきはよくも父さんと母さんに俺が調査兵団に入りたいなんて事言ってくれたな!」

    アルミン「え!?」(バレちゃったんだ…)

    ミカサ「事実そうでしょ」

    エレン「俺はそんなこと一言も言った覚えねーよ」

    ミカサ「見てれば分かる…さっきも帰ってきた調査兵団を見に行きたそうにしてた」

    エレン「…」

    ミカサ「白々しそうに興味ないなんて言ったって分かる」

    エレン「うるせーよ…」

    ミカサ「…」

    エレン「…」

    ミカサ「…おばさんも本当はエレンが調査兵団に憧れてる事をずっと前から知ってる」

    エレン「…は?」

    ミカサ「帰ったらちゃんと謝って一度しっかり話をした方がいい」

    エレン「チッ…分かったよ」



    アルミン「…あ、そうだ!」

    アルミン「またお爺ちゃんの本を持ってきたよ!一緒に見ようよ」

    エレン「お、あの外の世界の事が書いてある本か」

    アルミン「うん、バレちゃったんだし今日からはミカサも一緒に…ね?」

    ミカサ「…………」コク

    エレン「しゃーねーな…突っ立ってないでここ座れよ」

    ミカサ「…」ストン



    ソレデネソトノセカイニハ…


    ーーーーーーーー


    ピカッ

    ドォォォォォォォォォォン!!!!
  6. 13 : : 2018/08/31(金) 09:48:04
    エレミカアル「!?」

    アルミン「な、何だ!?」

    エレン「地震か!?」

    ミカサ「街のみんなが…門の方を指差してる」

    アルミン「…え?」(何でみんなあんなに怯えた表情で…)

    エレン「行ってみよう!」ダッ

    ミカサ「!待って!一人では危ない!」ダッ

    アルミン「ちょ、ちょっと待ってよー!」ダッ



    エレミカアル「!?」

    アルミン「!そんな…!?」

    アルミン「あ…あの壁は……ご…50m…だぞ……」


    エレン「…ぁ……ヤツらだ……」










    エレン「巨人だ」










    その日
    人類は思い出した

    ヤツらに支配されていた恐怖を…

    鳥籠の中に囚われていた屈辱を…
  7. 14 : : 2018/08/31(金) 09:48:28
    アルミン「あ……ありえない」

    アルミン「巨人は最大でも15mのはず…!50mの壁から頭を出すなんて…」

    エレン「!?動くぞ!」

    ドッゴォォォォォォォォォォ!!

    エレン「何の…音だよ…耳が痛ぇ!」

    エレン「…!?」

    ヒュウウウウゥゥ

    アルミン「あんなに大きな岩が…空を舞って…」

    ミカサ「二人とも伏せて!」

    ドォォン!ドガン!

    エレン「か…壁に…穴を開けられた…」

    「ひっ…」

    「「「うわああああああ!!!!」」」

    「キャアアアア!!」

    「誰か助けてくれえええ!」

    アルミン「逃げるぞ二人とも!」

    アルミン「早くしないと次々と巨人が入ってくる!」

    エレン「…!」ダッ

    アルミカ「エレン!?」

    アルミン「そっちは逆だよエレン!」

    エレン「壁の破片が飛んでった先に家が!母さんが!」

    ミカサ「!」ダッ

    アルミン「ミカサ!」



    アルミン「…………」ブルブル

    アルミン「うぅ…もう駄目なんだ…この街は…もう…」

    アルミン「無数の巨人に占領される!」

    ーーーーーーーー

    エレン「はぁ…はぁ…」(家に当たってるわけがない)

    ウワ-ン!オト-サン!!オキテヨォォ!!

    エレン「はぁ…はぁ…」チラッ(とっくに逃げたに決まってる…)

    エレン(あの角を曲がれば…いつもの家が…)

    エレン(いつもの……)



    エレン(…クソッ!)

    エレン「母さん!!!」ダッ



    エレン「母さん…?」

    カルラ「……エレンかい?」

    エレン「ミカサ!そっちを持て!この柱をどかすぞ!」

    エレン「行くぞ!」

    ミカサ「…!」コク!

    エレン「せーの!!」


    ウオォォォ!!


    ズシン…ズシン…


    エレミカ「!?」

    カルラ「…?」

    ミカサ「……………」ブルッ

    カルラ「…!」

    エレン「ミカサ急げ!」

    ミカサ「わかってる」

    カルラ「…きょ…巨人が…入ってきたんだろ…?」

    カルラ「エレン!!ミカサを連れて逃げなさい!!」

    エレン「!」

    カルラ「早く!!」

    エレン「逃げたいよ俺も!早く出てくれよ!早く!!一緒に逃げよう!!」

    カルラ「…母さんの足は瓦礫に潰されて、ここから出られたとしても走れない…わかるd」

    エレン「俺が担いで走るよ!!」

    カルラ「どうして…どうして母さんの言うこと聞かないの!」

    カルラ「最期くらい言うこと聞いてよ!!」

    カルラ「…ミカサ!」

    ミカサ「やだ…いやだ…」ブツブツ

    ズシン…ズシン

    ズシン…ズシン…ズシン

    巨人「」チラッ

    カルラ「!二人とも逃げて!!」

    エレン「急げミカサ!!」

    ミカサ「うん…!」

    カルラ(このままじゃ…3人とも…!)

    ハンネス「…」ダッ

    カルラ「!」

    エレン「ハンネスさん!!」

    ハンネス「…」シャッ

    カルラ「待って!!戦ってはダメ!」

    ハンネス「…!?」

    カルラ「子供たちを連れて…逃げて!!」

    ハンネス「見くびってもらっちゃ困るぜ、カルラ!」ダッ

    ハンネス「俺はこの巨人をぶっ殺して、きっちり3人とも助ける!」

    ハンネス「恩人の家族を救って、ようやく恩返しを「ハンネスさん!」

    カルラ「お願い!」

    ハンネス「…!」(確実に…確実に二人だけは助ける方を取るか…巨人と戦って全員助ける賭けに出るか…)

    ハンネス「…」(カルラの願いに応えるか…俺の恩返しを通すか…)

    ハンネス(俺は!!)

    ハンネス「…」ジャキ

    巨人「」ニタァ

    ハンネス(俺は……)

    ハンネス「…」カシャ…ガシッ…

    エレミカ「!?」

    カルラ「ありがとう…」

    エレン「お、おい!?ハンネスさん!?何やってんだよ!母さんがまだっ」

    カルラ「エレン!!ミカサ!!生き延びるのよ…!」

    ズシン

    カルラ「…ぁ………ぃ……」





    カルラ「行かないで…」






    エレン「やめろおおおおお!!」

    巨人「」パキ…パキ…ゴクン…
  8. 15 : : 2018/08/31(金) 09:48:52
    ーーーーーーーー

    タッタッタッタッ

    ハンネス「はぁ…はぁ…いッ…!?」

    ハンネス「エレン!?何を「もう少しで母さんを助けられたのに!!」

    エレン「余計なことすんじゃねぇよ!!」

    ハンネス「……」

    エレン「ッ…!」ドサッ

    ハンネス「お前の母さんを助けられなかったのは…お前に力がなかったからだ…」

    エレン「!」ガバッ

    ハンネス「俺が…!巨人に立ち向かわなかったのは…」パシッ


    ハンネス「俺に勇気がなかったからだ…」


    エレン「……!」

    ハンネス「すまない…」

    エレン「………うぅ…」

    ハンネス「すまない…」

    ミカサ(…あぁ)

    ミカサ(また…これか…)

    ーーーーーーーー

    ハンネス「…この先に船がある…その船に乗って避難するんだ」

    ハンネス「すまない…俺には駐屯兵団の任務があって一緒について行ってはやれない…」

    エレン「…行くぞ…ミカサ」スタスタ

    ミカサ「…うん…」スタスタ

    ハンネス「本当に…すまない…」

    ーーーーーーーー

    「この船はもう満員だ!出航する!」

    オレタチヲミステルツモリカ!
    コノタダメシグライドモガ!
    コノコダケデモタスケテクダサイ!

    エレン「そ、そんな…頼むよ!ミカサだけでも…こいつだけでいいから乗せてくれよ!」

    ズシズシズシズシズシ

    ミカサ「…何?地面が…揺れてる…」

    オイ!ナンナンダヨコレ!
    ダレカセツメイシロヨ!

    ズシ!ズシ!ズシ!ズシ!


    エレン「…どんどん音が大きくなってる」


    …ドゴォォン!!!


    「扉が…」

    「ウォールマリアが…突破された…!?」

    「おしまいだ…また人類は…巨人に食い尽くされる…」

    エレン「ここまで…なのかよ…」

    ミカサ「…エレン……」ギュ

    エレン(もう…あの家には…二度と帰れない)

    エレン(どうして最後までロクでもない口喧嘩しか出来なかったんだ…)

    エレン(もう…母さんはいない…どこにもいない)

    エレン(…もうどうでもいい…母さん…もうすぐ俺もミカサと一緒に…)

    エレン(そっちへ行くよ)
  9. 16 : : 2018/08/31(金) 09:49:27
    ズシン…ズシン…

    巨人数体「」ニタニタ

    オイ!キョジンタチガ!
    モウオレタチハオシマイナンダ!



    ミカサ「…」(エレンの家に引き取られてから毎日が本当に幸せだった…)

    ミカサ(おじさんはいつも私たちのことを温かい目で見守ってくれていた)

    ミカサ(おばさんはいつも優しくて、美味しくて温かいご飯を毎日笑顔で作ってくれていた)

    ミカサ(エレンは私の命を救ってくれた)

    ミカサ(エレンは私と一緒にいてくれた)

    ミカサ(エレンは私に生き方を教えてくれた)

    ミカサ(エレンは私に…マフラーを巻いてくれた)

    ミカサ(おばさん…ううん…お母さん…お母さんが言ったように、私は自分を犠牲にしてしまうダメな子)

    ミカサ(でも…エレンを救えるなら…)



    ドンッ



    エレン「!?うわっ!」ボチャン

    「!?おい!子供が一人川に落ちたぞ!」

    「…チッ!仕方ない、子供一人くらいなら食料の積荷を1つか2つ捨てれば大丈夫だろう…引き上げろ!」

    「おい!そこのガキ!早くそのロープに掴まれ!」

    エレン「おい!ミカサ!」

    ミカサ「エレン…生きて」

    エレン「何言ってんだよ!お前も来いよ!!」

    ミカサ「私は…!私は行けない…」(子供一人を引き上げる代わりに食料の積荷を捨てなければならない…ウォールマリアが突破された今、これから先食料が不足する…これ以上食料を捨てる事は出来ないはず…)

    エレン「は!?なら俺が残る!お前が船に乗れ!」

    ミカサ「…」(それに私が飛び込めば他の人達も飛び込んでロープを降ろせない)

    巨人「」ア-ン

    エレン「何黙ってんだよ!!早く来いよもう後ろに巨人が…!」








    ミカサ「エレン…私にマフラーを巻いてくれて…ありがとう」ニコッ








    エレン「ミカサああああああああ!!!」
  10. 17 : : 2018/08/31(金) 09:50:04
    どうして

    どうしてこんな目に…


    …そんなの分かりきってる…


    俺が…弱いからだ

    俺が弱いから家族を守れない

    俺が弱いから…誰も守れない

    弱いヤツは泣き喚くしかないのか…?





    「駆逐してやる…」

    「この世から…一匹残らず!」
  11. 18 : : 2018/08/31(金) 09:50:28
    〜847年〜

    キース「私が第104期訓練兵団の教育を担当するキース・シャーディスだ」

    ーーーーーーーー

    キース「おい、貴様」

    アルミン「ハッ!」バッ

    キース「貴様は何者だ!?」

    アルミン「シガンシナ区出身!アルミン・アルレルトです!」

    キース「そうか!バカみてぇな名前だな!親がつけたのか!?」

    アルミン「祖父がつけてくれました!」

    キース「アルレルト!貴様は何しにここに来た!?」

    アルミン「人類の勝利の役に立つためです!」

    キース「それは素晴らしいな!貴様は巨人のエサにでもなってもらおう」

    キース「3列目、後ろを向け!」

    キース「貴様は何者だ!」

    ハッ!

    眼鏡教官「やってるな…お前も訓令兵の時は初っ端からあれだったろ?」

    モブ教官「懐かしいです…でもあの恫喝には何の意味が…?」

    眼鏡教官「通過儀礼だ」

    眼鏡教官「それまでの自分を否定して真っさらな状態から兵士に適した人材を育てるためには必要な過程だ」

    ーーーーーーーー

    食堂

    アノイモオンナマダハシッテルノカ?
    ヨクキョウカンノマエデイモナンカクエルヨナ

    アルミン(探したけどやっぱりエレンとミカサはいなかった…2年前逃げ切れなかったのかな…)

    アルミン(ダメだ!こんな事考えちゃ!)フルフル

    ジャン「お前何頭振ってんだ?」

    アルミン「あ、ごめん…少し考え事してて…えっと君は確か…」

    ジャン「ジャンだ、ジャン・キルシュタイン」

    アルミン「そうだったね…ごめん」

    ジャン「構わねーよ、一緒に食わないか?」

    アルミン「いいけど…どうして僕なんだい?」

    ジャン「言いたくなかったらいいんだが、お前シガンシナ区出身なんだろ?…その…見たのか?」

    アルミン「…見たよ…僕はすぐに避難できたから俗に言う超大型巨人っていうのしか見てないけど…」

    ガチャ…

    キース「手を止めてこちらに注目!」


    …ピタッ…


    キース「これから先3年間貴様らにはこの宿舎で生活してもらう」

    キース「それに伴いこちらで部屋割りを組んだ」

    キース「部屋割りは正面玄関の掲示板に記載してある、食べ終わり次第掲示板を確認するように」

    キース「入浴時間は20時〜22時までだ、入浴を済ませた後、各部屋に帰り就寝しろ」

    「「「ハッ!」」」

    ーーーーーーーー

    アルミン「この部屋か…」(他の部屋割りは4人部屋のはずなのに僕の部屋だけ3人しか名前が書いてなかったなぁ…)

    ガチャ…

    ジャン「よぉ…アルミン」

    アルミン「ジャン…知った顔が同じ部屋でよかったよ」

    コニー「よろしくな!昼間みんなの前で紹介させられたけど俺はコニーだ!」

    アルミン「よろしくね、コニー」

    コニー「おう!挨拶も済ませたし俺はもう寝るぞ!」

    アルミン「僕らも寝ようか」

    ジャン「おう」

    ーーーーーーーー



    アルミン「…ん…もう朝か…おはよう」

    ジャン「遅ぇぞアルミン」

    コニー「おはよう!食堂行こうぜ!」

    アルミン「着替えてから行くから二人とも先に行ってていいよ」

    コニー「お、そうか?実は結構腹減っててよ」ハハハ

    ジャン「なら俺たちは先に行ってるぞ」スタスタ

    ーーーーーーーー

    食堂

    アルミン「お待たせ」

    ジャン「おう、先に食ってんぞ」

    コニー「遅ぇよ!アルミン、お前のおかず一つ貰っといたからな!」

    ガチャ

    キース「手を止めてこちらに注目!」


    …ピタッ…


    アルミン(!?)

    キース「こいつも1日遅れだが104期訓練兵団に所属した」





    キース「エレン・イェーガーだ」





    キース「イェーガー訓練兵にはアルレルト、キルシュタイン、スプリンガーと同じ部屋に入ってもらう」

    アルミン(エレン…!生きていたんだね…!)

    イケメンジャナイ?///
    チョットアリカモ///
    カノジョトカイルノカナ?

    サシャ「あの人かっこよくないですか?パンくれそうです」

    ユミル「お前はそればっかだな」ケラケラ

    クリスタ「た、たしかにちょっとかっこいいかも…」

    アニ(眠い…)ウトウト
  12. 19 : : 2018/08/31(金) 09:51:30
    キース「イェーガー訓練兵には明日から訓練に参加してもらう」

    キース「朝食をとり明日の訓練に備え、今日は休むように」

    エレン「ハッ」

    ーーーーーーーー

    アルミン「エレン!」

    エレン「…あぁ、アルレルトってのはやっぱりアルミンの事だったんだな」

    アルミン「2年も会わないから僕はてっきりもう……でも生きていてくれて嬉しいよ!」(…?以前のエレンと雰囲気が違うような…)

    アルミン「ミカサは紹介されなかったけど一緒じゃないのかい?」

    エレン「ミカサは死んだ」

    アルミン「…え?」

    エレン「別に隠すような事じゃねぇからな、母さんとミカサは死んだよ」

    アルミン「そんな…」

    エレン「もういいか?部屋で休みたいんだ」

    アルミン「え、でも朝食が…」

    エレン「いらねぇよ」スタスタ

    アルミン「エレン…」(…やっぱり以前のエレンとは明らかに違う…)

    アルミン(きっとおばさんやミカサの死をずっと引きずっているんだ…)

    ーーーーーーーー

    訓練所内-グラウンド

    キース「本日は基礎体力測定を行う、本格的な訓練は明日からだ」

    「「「ハッ!」」」

    キース「最初はグラウンドの周回だ、己の限界まで走れ!」

    キース「限界を迎えた者は倉庫前で休憩だ」

    キース「…始め!!!」

    「「「ハッ!」」」

    ーーーーーーーー

    グラウンド周回中

    ジャン「おいアルミン」タッタッタッ

    アルミン「ジャン…どうしたんだい?」タッタッタッ

    ジャン「お前あのエレンって奴と知り合いみたいだったが、どんな奴なんだ?」

    コニー「あ、それ俺も気になってたんだ!」タッタッタッ

    サシャ「私も気になります!」タッタッタッ

    コニー「うわ!?お前どこから…えっと…確か芋…」

    サシャ「サシャですよ!!サシャ・ブラウス!失礼ですね!」

    アニ「…」タッタッタッ

    アルミン「えっと…エレンは僕と同じシガンシナ区出身なんだ」

    アルミン「いつも一緒に遊んだりしてて、僕が他の奴らにイジメられてたら真っ先に飛んできてそいつらをボコボコにしてたね…」ハハッ…

    コニー「喧嘩強いんだな!あいつ!」

    アルミン「少なくとも僕はエレンが誰かに負けるなんて事想像も出来ないかな…」

    アルミン「でもただ強いんじゃなくて、本当に優しいんだよエレンは」

    アルミン「口は悪かったけど弱い者を助けて、みんなが見て見ぬ振りをする事でも間違っている事は間違ってるとハッキリ言える…僕にとってエレンは正義のヒーローみたいな存在なんだ…」

    ジャン「随分持ち上げるじゃねーか」ハッ

    コニー「強くていい奴なんだな!」

    サシャ「いい人は好きです!パンくれますから!かっこよかったですし!」

    アニ(眠くて顔見てなかったな…)

    アルミン「ご、ごめん…僕もう限界…先に倉庫前で休憩させてもらうよ…」ハァ…ハァ…

    ジャン「情けねーやつだな、まだ全然走ってねーぞ」

    コニー「アルミンは運動苦手なんだな!」

    サシャ「おつかれさまです!」

    アニ「…お疲れ…」ボソッ



    アルコニジャンサシャ「!?」バッ

    ジャン「お前いつからいた!」

    アルミン「全然気付かなかった…」(前にもこんな事あったか気がする…)

    サシャ「アニは影薄いですからね!仕方ないです!」

    アニ「…」イラッ

    ーーーーーーーー

    ベルトルト「ライナー」

    ライナー「…今後どうなるかは分からんが、今の所今期の訓練兵の実力程度なら3年後の計画に問題はないだろう」

    ベルトルト「なら計画の変更は無しでいいんだね?」

    ライナー「あぁ」
  13. 20 : : 2018/08/31(金) 09:51:44
    現在公開可能な情報

    ・男子部屋割り
    1号室
    エレン・イェーガー

    アルミン・アルレルト

    ジャン・キルシュタイン

    コニー・スプリンガー

    2号室
    ライナー・ブラウン

    ベルトルト・フーバー

    マルコ・ボット

    フランツ・ケフカ

    ・女子部屋割り
    1号室
    アニ・レオンハート

    サシャ・ブラウス

    クリスタ・レンズ

    ユミル


    ・巨人化の可否

    エレン・イェーガー:巨人化不可

    アニ・レオンハート:巨人化不可

    ユミル:巨人化不可

    ライナー・ブラウン:巨人化可能[鎧の巨人]

    ベルトルト・フーバー:巨人化可能[超大型巨人]
  14. 21 : : 2018/08/31(金) 09:52:00
    アルミン「訓練が終わって、食堂に行ってもいないしどこにいるのかと思ったら…」

    ジャン「こいつ朝からずっと寝てんのか?」

    コニー「俺は最高2日間寝てたことあるぜ!」

    ジャン「どうでもいいっつーの、俺は風呂に行ってくるぞ」

    コニー「待てよ!俺も行く!」

    アルミン「僕も行くよ」(起きてたら話したい事も沢山あったんだけど、無理に起こして聞くのも悪いしね…)

    バタン…

    エレン「…やっと出て行ったか…」ムクッ

    エレン(アルミンが帰ってきて質問攻めにされるのも面倒だし筋トレにでも行くか…)

    ーーーーーーーー

    訓練所の端

    エレン(480…481…482…)

    スタスタ…

    エレン「…」(誰だこんな時間に…もう消灯時間はとっくに過ぎてるぞ…)

    エレン(483…484…485…)

    アニ「!?」ビクッ

    エレン「誰だお前」

    アニ「あんたこそ誰?」(…え、ほんとに誰?…てか何で片手倒立しながら腕立てしてんの…?)

    エレン「質問に質問で返すな」(486…487…488…)

    アニ「………アニ・レオンハート…」(偉そうなやつ…)

    エレン「エレン・イェーガーだ」(489…490…491…)

    アニ「!…あんたがエレンか」(確かアルミン達が話してた…)

    エレン「いきなり呼び捨てとは失礼だな」(492…493…494…)

    アニ「いきなりお前呼ばわりしてくる奴に言われたくないね」

    エレン「たしかにそうだな」(495…496…497…)

    アニ「………あんた人と話してるんだから筋トレはやめたら?」

    エレン「後3回で終わる」(498…499…500…)

    エレン「…それで?こんな時間に何してんだ?」(!…こいつのこの目…)

    アニ「…別に」

    エレン「寝れないのか?」

    アニ「……別に…」

    エレン「…まだ部屋に戻らないなら暇潰しがてら俺に付き合ってくれよ」

    アニ「……別に…………いいけど…」

    エレン「なら付いて来てくれ」スタスタ

    アニ「…」スタスタ(妙なことになったなぁ…)

    歩くこと10分

    アニ「ねぇ…まだ?」(さっきからずっと無言だし)

    エレン「もうすぐだ」

    アニ「…」

    エレン「…」

    アニ「…」

    エレン「ついたぞ」

    ザ-------

    アニ「…綺麗……」

    アニ「…あれは滝?」

    エレン「あぁ、5mくらいだけどな」

    エレン「さっき筋トレをする前、散歩してる時に見つけた…汗を流すのに丁度いいと思ってな」(この時間風呂はもう使えねぇしな)

    アニ「…で?私は何の為にここまで連れてこられたわけ?」

    エレン「……お前…何を抱えてる」

    アニ「…何の事?」

    エレン「さっきお前の目を見た瞬間分かった」

    エレン「お前は俺と同じで、過去に囚われてる奴だってな」

    アニ「……あんたの見当違いじゃない?私は何も抱えてなんかいない」

    エレン「…本当か?」

    アニ「…あぁ」

    エレン「…」

    アニ「本当に何もないからそんなに見ないでくれる?」

    エレン「…」

    アニ「…」

    アニ「…あんたに誤魔化しは効かなそうだね…」

    アニ「これも何かの縁だと思って話すよ…」

    エレン「あぁ、聞かせてくれ」
  15. 22 : : 2018/08/31(金) 09:52:15
    〜845年〜

    私は幼い頃両親を亡くし孤児院に引き取られた

    でもその孤児院の中でもいじめられて育った

    けど、街で唯一仲良くしてくれる親友がいたおかげで私は救われていた



    親友の名前はミーナ・カロライナ



    その日も私達は一緒に遊んでいた

    明日も遊ぼうと別れる直前、耳を潰すような音が響いた

    すぐには理解出来なかったが、どうやら壁が壊されたらしい

    私には心配するような家族はいないけど、ミーナには大好きな家族がいる

    アニ「ミーナ!家へ急がないと!」

    ミーナ「!…うん!」ダッ

    ーーーーーーーー

    ミーナ「お母さん!!お父さん!!しっかりして!」

    アニ「せーのでこの瓦礫を持ち上げよう!」

    ミーナ「うん!」

    アニ「せーの!」

    瓦礫を持ち上げた瞬間ミーナは体を震わせ膝から崩れ落ちた…

    瓦礫の下敷きになりながら…

    アニ「ミーナ!?」

    そう言いながらミーナの目線の先に目をやると

    巨人「」ニタァ

    ミーナ「…アニ……!」

    ズシン…ズシン…

    巨人「」ニタァ

    アニ「ぁ…ぁ…」

    ミーナ「アニ!…逃げて…!」

    ミーナがその言葉を放つが先か後か…私は逃げ出した

    それから避難船に乗りながらずっと考えてた、ミーナにどうしたら許してもらえるだろう…

    そうして考えた先がこの訓練兵団だった
    ミーナの仇を大義名分に自分が生きる為の口実だった

    ーーーーーーーー

    アニ「これが私の過去」

    アニ「親友を裏切って逃げて」

    アニ「生きる理由もないのに」

    アニ「生きたくて…死ぬのは怖くて…」

    アニ「親友の死を利用して生きながらえようとしてる、それが私なんだよ…」
  16. 23 : : 2018/08/31(金) 09:52:33
    エレン「…ミーナって奴は本当にお前を恨んでると思うのか?」

    アニ「……思うよ…」

    エレン「俺はそうは思わない」

    エレン「俺は綺麗事は嫌いだが、ミーナって奴は本心でお前に生きて欲しいと願ったはずだ」

    エレン「直接会って話したことのない俺でさえそう思うんだ、お前はとっくにミーナがそう思ってたことに気づいてるんじゃないのか?」

    アニ「…」(きっと私は…これからも生きる事を死んでしまったミーナの代わりにこうして誰かに許してもらいたかったんだ…)

    アニ「…ぅ…ぅぅ……」

    エレン「…今なら胸を貸してやる」

    アニ「…ぅぅぅ」ダキ

    アニ「ぅわぁぁぁぁん…みーなぁぁ…うぅ…みぃぃなぁぁ………ぅぅ……」

    ーーーーーーーー

    アニ「」ス-ス-

    エレン「…」ナデナデ(泣き疲れて寝やがった…)

    エレン「…」(寝てる時は結構可愛いもんだな…)

    エレン「…」ウトウト(あぁ…やばい…眠気が…)

    ーーーーーーーー

    パチッ

    アニ「…え?」(もう日が沈み始めてるんだけど…)

    アニ「…」(…で、何でこいつは私を抱きしめたまま寝てんの…)

    アニ「………悪くないけど」ボソッ

    エレン「…ん……ん?…」

    アニ「起きた?ならさっさとこの腕どかして欲しいんだけど」

    エレン「…!?」ガバッ

    エレン「しまった…朝までには帰るつもりだったのに…」

    アニ「朝どころかもう夕方だから」

    エレン「…悪かったな、お前まで訓練サボらせるハメになって」

    アニ「…別に」

    エレン「…レオンハート、またここに連れてきてもいいか?」

    アニ「アニ…」ボソ

    エレン「え?」

    アニ「レオンハートじゃなくて、アニでいいから…」

    エレン「あ、あぁ…帰ろう」

    ーーーーーーーー

    キース「イェーガー!レオンハート!貴様ら今まで何をしていた!!!」

    ナニアノオンナ!
    エレンクントナニシテタノ!?

    アルミン(昨日、お風呂から上がってきたらいないし朝になっても戻ってこないと思ったら…)

    キース「お前らは罰則として15kgの重しを背負い、消灯時間ギリギリまで走ってこい!!」

    アニ「ハッ!」

    エレン「教官、少しよろしいでしょうか」

    コソコソ



    キース「…レオンハートは罰則無し、代わりにイェーガー…お前には30kgの重しをつけ消灯時間ギリギリまで走ってもらう、勿論夕飯は無しだ」

    エレン「ハッ」

    アニ「…え?」

    エレン「…」タッタッタッ


    アニ「あの…教官…」

    キース「何だ?レオンハート」

    アニ「なぜ私の罰則が無くなり、その…エ、エレンの罰則が重くなったのでしょうか?」

    キース「…イェーガーが『今回の責任は全て自分にあり、アニには一切の責任はありません、罰則は全て自分が受けます』…そう言ったからだ」

    アニ「それは!…」

    キース「真実はどうであれ、ああいう奴は嫌いではない」スタスタ

    アニ「…」

    ーーーーーーーー

    食堂

    アニ(エレンがまだ私の分まで走ってると思ったら食べ物が喉を通らない…)

    「おい…」

    アニ(あまり多くは隠せないけど、パンくらいなら隠せるし後で渡そう…)

    「聞いてんのかよ!」パンッ

    アニ「痛ッ…」


    …シ-ン…


    「あんたなんなの?エレン君とどういう関係なわけ!?」

    アニ「別に…」(痛い…)

    「別にって…喧嘩売ってんのかよお前!」ガシッ

    アニ「ッ…」(い、痛い…髪が抜けちゃう…)

    アルミン「やめなよ!これ以上やれば僕だけじゃない…みんな黙ってないよ!」

    ジャン「…」イライラ

    コニー「何だよあいつら!」イライラ

    サシャ「あれはやりすぎですね…」イラッ

    クリスタ「ど、どうしたら…」オロオロ

    ユミル「ああいうやり方は気に入らねーな」イライラ

    「チッ…なんだよ」スタスタ

    「みんないい子ちゃんぶってきもいんだよ!」スタスタ

    アルミン「大丈夫?」

    アニ「平気…もう行くから…」

    アルミン「…うん…」
  17. 24 : : 2018/08/31(金) 09:52:52
    エレン(そろそろ消灯時間だし終わっていいか…)

    アニ「…お疲れ様」ヒョコ

    エレン「…何してんだ?こんな時間に」

    アニ「あんた夕飯無しって言われてたし、お腹空いてるんじゃないかと思って持ってきたんだ…」

    エレン「…助かる」

    アニ「あまり多くは持ってこれなかったからパンくらいなんだけど…あ、食べる前に井戸の水汲んで飲んでからの方がいい」

    エレン「さっき飲んだから大丈夫だ」モグモグ

    アニ「……飲んだって…あんた井戸の逆から来たよね…?」

    エレン「あぁ、そうだけど?」

    アニ「……どうやって水飲んだの?」

    エレン「走り終わる5分くらい前にレンズって奴から貰った」

    アニ「あっそ…」イラッ(…?…なんでイライラしてるんだろ…)

    エレン「…?…お前頬腫れてないか?」モグモグ

    アニ「!……腫れてない」サッ

    エレン「なら何で隠す」

    アニ「…」

    エレン「話せ」

    アニ「…あんたには関係無い」

    エレン「…」(どこかにぶつけたとかなら話すよな…喧嘩とかもするタイプには見えねーし…誰かから一方的にやられたのか?)

    アニ「…もう寝るから…罰則の件はありがとう…」スタスタ

    エレン「…」(気乗りしねーけどアルミンにでも聞いてみるか…)

    エレン(何であいつにこんなにも肩入れしちまうんだろうな…)
  18. 25 : : 2018/08/31(金) 09:53:08
    ガチャ

    アルミン「エレン!おかえり」

    エレン「…あぁ」

    コニー「よう!罰則終わったのか?」

    エレン「誰だお前」

    コニー「俺はコニーだ!こっちはジャン!」

    ジャン「勝手に俺の紹介までしてんじゃねーよ」

    エレン「お前らがスプリンガーとキルシュタインか」

    アルミン「エレン、昨日の夜からどこ行ってたのさ…朝になっても帰ってきてないし帰ってきたと思ったら夕方だし、しかもアニと一緒に…」

    コニー「そうだぞ!何してたんだ?」

    エレン「…お前らには関係の無い事だ、話す義理は無ぇよ」(あいつの過去を勝手に話すわけにもいかないしな)

    ジャン「何だその言い方」(これがアルミンの言う正義のヒーローか?聞いた話のイメージと全然違うぞ)

    アルミン「そ、そうだよエレン…今のはよくないよ」(エレン…)

    エレン「そんな事よりアルミン、お前に聞きたい事がある」

    ジャン「チッ…なんだよこいつ」

    アルミン「…聞きたいことがあるのは僕も同じだよ、ここじゃ話せない事もあるだろうし…少し場所を変えようか」(特におばさんやミカサの事は話しにくいだろうし)

    エレン「移動するのが面倒だ、ここでいい」

    アルミン「え!?い、いいのかい?」

    エレン「あぁ…まず俺からだが」

    エレン「アニの頬が腫れていた…原因を知ってるか?」

    アルミン「…あ、あぁ」(またアニか…本当にどういう関係なんだ…)

    コニー「それなら俺たちも見てたぜ!な、ジャン!」

    ジャン「こんな奴に話す事は何もねーよ、俺はもう寝るぞ」

    エレン「アルミン、教えてくれて」

    アルミン「…でも最初から見てたわけじゃないんだ」

    エレン「構わない、教えてくれ」

    アルミン「えっと、食堂でアニが誰かに頬を叩かれて、髪を掴まれてたってくらいで…」

    コニー「あいつらは確か5号室?…いや、7号室の連中だったっけ…?」

    エレン「何号室の誰か分からないか?」

    アルミン「ごめん、そこまでは…」

    コニー「えーっとなんて名前だっけなー…」

    ジャン「……6号室の×××と××××だ」ボソッ

    アルコニ「起きてんじゃん…」

    エレン「ありがとう、キルシュタイン」

    ジャン「…うるせぇ」

    アルミン「何だかんだ言ってジャンは優しいな…」クスッ

    ジャン「…」

    アルミン「それで…エレン、次は僕から質問いいかな?」

    エレン「…あぁ」

    アルミン「この2年間どこにいたんだい?避難民の殆どが開拓地に回されたはずなのに僕は開拓地で君を一度も見なかった」(だから死んだとばかり…)

    エレン「……2年間カラネス区の路地裏で寝泊りをして、調査兵団の支部に行って訓練を見ていた…見に行っていたと言っても陰から覗いていただけだけどな」

    アルミン「!?な、なんでそんな生活を…」

    エレン「開拓地で畑を耕していても、巨人を殺せる術を身につけられないからな」

    ジャン(巨人を殺せる術って…こいつは調査兵団志望なのか…?)

    アルミン「食料はどうしていたんだい?開拓民じゃないと食料は配布されないはず…」

    エレン「近くの森で兎や鹿を捕って食ってた、不足分は街から盗んできて食ってたよ…」

    アルミン「そんなギリギリの生活を2年間も…」(君はそこまでして巨人を…)

    エレン「もういいか?」

    アルミン「待って…もう一つだけいいかな…?」

    エレン「…あぁ」(2年前の話だろうな…)

    アルミン「その…2年前…壁が壊されて僕らが別れた日の話を聞きたいんだ」

    エレン(だと思ってたよ…この話になると思ったから気乗りしなかったんだ)

    アルミン「話にくかったら…いいんだけど…」(壁が壊されておばさんやミカサを亡くしてしまったんだ…エレンがここまで変わってしまうのは仕方のない事だったかもしれないけど…エレン、僕は君にその辛さを乗り越えて欲しいんだ…)

    エレン(隠す事じゃないって言った手前、話さないわけにもいかないか…)

    エレン(それにアルミンは昔からの親友で、ミカサと仲も良かったんだ…こいつにはミカサの最期を聞く権利がある)

    エレン「…話すよ、2年前のあの日のすべてを」
  19. 26 : : 2018/08/31(金) 09:53:42
    女子寮1号室

    ガチャ

    クリスタ「アニ!おかえり!」

    アニ「あぁ」

    ユミル「おいアニ、お前エレンって奴とデキてんのか?」ニヤニヤ

    アニ「は?そんなわけないでしょ」(急に何…)

    ユミル「それにしては一緒に訓練サボったり、飯持って行ったり…仲良すぎないか?」

    アニ「あれはたまたまで…」

    ユミル「たまたま同じ方向からたまたま同じ時間に帰ってきたってか?それはさすがに無理があるだろ」ケラケラ

    アニ「…」イラッ

    アニ「私とエレンは何もない」

    ユミル「『エレン』か…」ニヤニヤ

    アニ「…うるさい」

    クリスタ「そ、それよりアニ…頬大丈夫?」

    アニ「気にしなくていい…大丈夫だから」

    クリスタ「そう…?」

    アニ「…私はそろそろ休みたいんだ」

    クリスタ「ご、ごめんね!おやすみ…」

    ユミル「チッ…あいつとの関係確かめたかったのに…」

    クリスタ「もしかしてユミル…」(エレンの事好きなんじゃ…)

    ユミル「変な勘繰りはよせよクリスタ、私はただ人の弱みを握るのが好きなだけだ」ヨシヨシ

    クリスタ「もう!ユミルったら!」

    サシャ(あれ…?私空気…)
  20. 27 : : 2018/08/31(金) 09:54:07


    アルミン「そんな事が…」(ミカサはエレンを助けるために…)

    エレン「すっかり長くなっちまったな…」(眠いな)

    コニー(zzz…)

    ジャン(あいつにそんな過去があったのか…結局寝れなかったし…)

    カン!カン!カン!カン!カン!

    アルミン「起床の時間か…」

    エレン「結局寝てないけど大丈夫か?」

    アルミン「少しきついかも…でも大丈夫だよ、エレンは平気なの?」

    エレン「俺は問題ない」(相当眠いな…)

    アルミン(久し振りに話が出来たからなのかな?不思議とエレンがこの口調でも壁を感じないな…)クスッ

    コニー「飯だ!!!」ガバッ

    アルミン「びっくりした…おはようコニー」

    コニー「おはよう!…何だお前らまだ話してたのか?」

    アルミン「さっき話し終わったところだよ」

    コニー「そうか!なら早く食堂に行こうぜ!おいジャン起きろ!」

    ジャン「…ん…あぁ…」(寝起きのふりしとかないと…)

    アルミン「おはようジャン」(目、真っ赤だ…話聞いてたんだね…)

    エレン(目、真っ赤だ…こいつ聞いてたな)

    アルミン「みんな起きたところで、食堂に行こうか」

    ーーーーーーーー

    食堂

    …シ-ン…

    アルミン「僕らが一番だね」

    ジャン「そのうち他の奴らも起きて来るだろ、奥の席に座ろうぜ」

    アルミン「うん…エレン?何で入り口に立ったままなんだい?」

    エレン「俺の事は放っといていい」

    ジャン「ほっとけほっとけあんな奴」モグモグ

    コニー「いただきます!」ガツガツ

    アルミン「う、うん…いただきます」

    オハヨウ!
    オハヨ-
    キョウノチョウショクハナンデスカネ!?

    アルミン「…」モグモグ(廊下の方がざわついてきたな…みんな起きたのか)

    エレン「おいお前」

    サシャ「はい?パンくれるんですか?」

    エレン「お前×××か、××××か?」

    サシャ「え、違いますけど」

    エレン「そうか、ならいい」

    アルミン(扉の前で手当たり次第に×××と××××を探す気か…本当にアニとはどういう関係なんだ…)

    アニ「…」スタスタ

    エレン「アニ…おはよう」

    アニ「…おはよ」スタスタ(昨日素っ気なく帰っちゃったから気まずいな…)

    アルミン「アニ!よかったら一緒に食べない?」

    アニ「あ、あぁ…」ストン

    アルミン「アニとエレンはどういう関係なの?」

    アニ「別に」(いきなり何?)

    アルミン「…もしかして付き合ってるの?」

    ジャン(よくぞ聞いたアルミン)

    アニ「…は?そんなわけないでしょ」(ユミルといいこいつといい…私とエレンの関係ってそういう風に見えてるのかな)

    オイオマエ×××カ?
    エ、エレンクン!?
    ソウダケド…

    アニ「…何で急にそんな事」

    アルミン「昨日一緒に訓練サボってたでしょ?エレンも君に肩入れしてるみたいだったから、そうなのかなってね…」(あ、見つかったみたいだね)

    ××××ハドコニイル?
    ワタシダヨ!
    …オマエラガ×××ト××××ダナ?チョットコイ

    アニ「あれは別に…」

    ーーーーーーーー

    エレン「…」スタスタ

    アルミン「あ、おかえりエレン」

    エレン「あぁ」ストン

    アニ(謝らないと…昨日のこと…)

    エレン「…」モグモグ

    アニ「…あの…昨日はごめん…関係無いなんて言って突き放して…」

    エレン「気にしてねぇよ」

    アニ「そっか………ごめん…」

    エレン「…」(本当に気にしてなかったんだけど、ここまで謝られると逆に気まずくなるな…)

    アルミン「……あ、この後立体機動の適正訓練をするみたいだよ!」(何か話題を変えないと…)

    エレン「へー、場所はグラウンドか?」

    アニ(そういえば昨日突っかかってきた人達いないな…)

    アルミン「うん、朝食が終わり次第集合だって」

    エレン「ならもう食ったし行くか」

    アルミン「うん」

    エレン「おい、アニ…お前も一緒に来いよ」

    アニ「!…うん」
  21. 28 : : 2018/08/31(金) 09:54:31
    ーーーーーーーー

    キース「まずは貴様らの適性を見る!両側の腰にロープを繋いでぶら下がるだけだ!」

    キース「全身のベルトで体のバランスを取れ!これができない奴は囮にも使えん!」

    眼鏡教官「これはまだ初歩の初歩だが、この段階から立体機動の素質は見て取れる…ん?」

    眼鏡教官「見ろ…あの子だ、まったくブレが無い…何をどうすればいいのか全て分かるのだろう…」(寝ているが…)

    エレン(zzz…)プラ-ン

    キース「寝るな!」

    眼鏡教官「素質とはそういうものだ…」

    モブ教官(そういうものなのか…?)

    ーーーーーーーー

    キース「次は対人格闘訓練だ!」



    ライナー「イテテ…ほら次はお前がならず者をやる番だ、まったく…俺の巨体を投げ飛ばすとは…」

    キャ-!エレンクンスゴイ!
    アンナゴリラニカツナンテカッコイイ!

    エレン「悪い…力の加減に慣れてなくてな」

    ライナー「お前は取っ組み合いに慣れてやがるな?」

    エレン「ガキの頃は体ばっかでかいガキ大将が遊び相手だったからな…」

    ライナー「へぇ…」(立体機動の適性と言い、こいつは要注意だな…)

    エレン「しかしどうなんだこの訓練は…兵士が人なんか相手にしてどうする?そもそも獲物に素手で対応しようなんてバカがやることだ」

    ライナー「じゃあどう対処すりゃいい?」

    エレン「逃げりゃいいんだそんなもん」

    ライナー「んな無責任な…」

    エレン「こんな木剣じゃ何も分かんねぇよ」

    ライナー「…」

    エレン「こんな格闘術…上手くいった所でそりゃ運がよかっただけだ」

    エレン「実際は、上手くいかずに終わるのが殆ど…ガキの戯れとは違う」

    ライナー「…」(何だこいつ…他の奴らとは明らかに何かが違う…)

    ーーーーーーーー

    キース「本日はここまで!」

    「「「ハッ!」」」
  22. 29 : : 2018/08/31(金) 09:54:58
    食堂

    アルミン「エレン!席取っておいたよ!」

    ジャン「…」モグモグ

    エレン「あぁ」

    アルミン「エレンは本格的な訓練は今日が初めてだよね?どうだった?」

    エレン「緩い」

    アルミン「はは…僕は結構きつかったんだけどな…」

    エレン「風呂入った後筋トレでもして体動かさないと寝れる気がしないな」

    ジャン(こいつの体力は化け物並か)

    アルミン「お風呂入った後に汗掻いちゃったら意味ないよ…」

    エレン「別に問題ねーよ」(滝で汗洗い流すし…)

    ーーーーーーーー

    女子部屋1号室

    クリスタ「お腹いっぱいだねー」ポンポン

    サシャ「私はまだ食べれます!」

    ユミル「大食いに関して言えばお前の右に出る奴はいねーな」

    アニ「…」スタスタ

    クリスタ「あれ?アニどこか行くの?」

    アニ「…散歩」

    ユミル「またエレンとか?」ケラケラ

    アニ「違うから…」

    ガチャ…バタン…

    ーーーーーーーー



    ザ-------

    エレン(結局予定してた筋トレメニューより多くやっちまった)

    エレン(…早く立体機動の訓練してーな…)

    スタスタ…

    エレン(誰か来る…)

    アニ「!?…エレン…?」

    エレン「アニか…こんな時間に何してる」

    アニ「…別に、ただ散歩してただけだよ」(いるかもしれないとは思ったけど本当にいるなんて…)

    エレン「頬の腫れは引いたか?」

    アニ「あ、あぁ…別にこんなのなんて事ないよ」

    エレン「見せてみろ」

    アニ「!?」(顔近ッ!)

    エレン「本当に腫れは引いてるみたいだな」

    アニ「……顔…近い…///」

    エレン「あぁ、悪い」



    アニ(気まずい…何か話題を変えないと…)

    アニ「………話は変わるけどさ」

    アニ「…訓練兵団に所属して間もないけど、あんたは卒業後の所属兵科…何にするか決めてるの?」

    エレン「あぁ…調査兵団だ」

    アニ「!……死ぬよ…」

    エレン「自分がやりたい事をして死ねるなら構わない」

    アニ「私はあんたに死んでほしくない」

    エレン「…自分の命を賭けるんだ、周りに何も言われる筋合いはねぇよ」

    アニ「それでも私は…」(あんたに…死んでほしくないんだ…)

    エレン「お前は決めてるのか?」

    アニ「……憲兵団にするつもり…上位10名に残れたらの話だけど…」

    エレン「そうか…」

    アニ「……エレン」

    エレン「何だ?」

    アニ「…あんたは…私に『俺と同じで、過去に囚われてる奴』って言ったよね」

    エレン「…そうだったな」

    アニ「あんたは過去に何が「やめろ!!」

    アニ「!…ご、ごめん」(こいつがこんなに声を荒げるなんて…)

    エレン「…それ以上立ち入ってくるな」

    アニ「…」(私はただ…あんたを救いたいだけなのに…)

    エレン「…もう行けよ」(俺は何をしていたんだ…もう二度と誰かを失う苦しみを背負わない為に人と距離を置く事にしたんじゃないのか)

    アニ「ごめん…」

    エレン(何が綺麗事は嫌いだ…何が胸を貸してやるだ…)

    エレン(…俺自身は何も乗り越えられてねぇのに何を偉そうに…)
  23. 30 : : 2018/08/31(金) 09:55:18
    ガチャ

    クリスタ「あ、おかえりアニ」

    サシャ「おかえりなさい!」

    アニ「あぁ…」

    ユミル「何だ?今日は随分早いお帰りじゃねーか、また夕方になると思ったのによ」ケラケラ

    アニ「…悪いけど今そういうノリに付き合ってやれる気分じゃないんだ」(エレン…)

    ユミル「チッ…んだよノリわりーな」

    クリスタ(どうしたんだろうアニ…)

    ーーーーーーーー

    朝-食堂

    アニ「あの…おはよう…」

    エレン「……あぁ」

    アルミン「おはようアニ」(どうしたんだろう二人とも…何か様子が…)

    アニ「…食べ終わったら少し話があるんだ」(もう一度ちゃんと謝らないと…)

    エレン「悪いが、俺は忙しい」

    アニ「そ、そっか…じゃあまたにするよ…」

    アルミン(やっぱりおかしいな、二人ともギクシャクしてる感じがする…)

    ーーーーーーーー

    昼-訓練休憩中

    アニ「ねぇ…」

    エレン「悪い、次の訓練の準備を頼まれてるんだ」

    アニ「そっか…」(やっぱり昨日の事怒ってるのかな…)

    アルミン(…)

    夕方

    キース「本日はここまで…解散!」

    エレン「…」スタスタ

    「エレン君!一緒に帰ろうよ!」

    「夜一緒に食べよ!」

    アニ「…」イラッ

    エレン「アルミンと食うから無理だ」(うるせぇ奴ら…)

    ーーーーーーーー

    食堂

    エレン「…」モグモグ

    アルミン「…」モグモグ(さっきからずっと無言だな…)

    アニ「…」キョロキョロ(エレンは……いた…)

    アニ「…隣いい?」

    エレン「…」

    アルミン「…い、いいよ」(気まず過ぎるな…)

    アニ「ありがとう」ストン

    エレン「…ごちそうさま」ガタン

    アニ「待って、話したい事があるんだ」

    エレン「…俺にはねぇよ」スタスタ

    アニ「あっ…」

    アルミン「……アニ…エレンと何があったのか聞いてもいいかな?」

    アニ「………あぁ」
  24. 31 : : 2018/08/31(金) 09:56:03
    アルミン「まさか君達がそんな仲になってたなんて…」

    アニ「あいつは私を救ってくれた、だから今度は私があいつを…って思ったんだけど…」

    アルミン「…内容まで勝手に話す事は出来ないけど、僕はエレンの過去を知っている」

    アルミン「君とエレンの仲を修復する手助けも出来ると思うけど…どうする?」(もしかしたら、アニなら…エレンを救ってくれるかもしれない…)

    アニ「……本当にありがたい申し出だけど、自分で何とかしてみるよ…」

    アニ「あいつの過去はあいつの口から聞きたいんだ」

    アルミン「そっか…でも無理はしないでね、助けが必要ならいつでも言って」

    アニ「ありがとう…でもどうしてそこまでしてくれるわけ?」

    アルミン「…さっき言ったのは嘘ではないけど正直建前なんだよ」

    アニ「建前?」

    アルミン「あぁ、僕の目的は君達の仲を修復する事じゃない…エレンを過去から救う事だ」

    アルミン「まだ予想の範囲内だけど、君達の仲を修復する事がエレンを過去から救う一番の近道と踏んだだけなんだ」

    アニ「随分はっきり言うんだね…」

    アルミン「変な勘繰りをされるよりいいからね」ハハ…

    アニ「そうかい…話を聞いてくれてありがとう、私はもう行くよ」

    アルミン「あぁ、おやすみ」

    アニ「おやすみ」

    ーーーーーーーー

    ガチャ

    サシャ「あ、おかえりなさいアニ」

    クリスタ「おかえり!」

    アニ「ただいま…」

    ユミル「アルミンと随分話し込んでたみたいだったが、何の話をしてたんだ?」

    アニ「別に大した事は話してないよ、明日の訓練の話とか…」

    ユミル「へぇ…」(そんな軽い話をしてる雰囲気じゃなかったけどな)

    アニ「今日は少し疲れたからもう寝るよ」(明日こそはエレンと話さないと)

    ユミル「おつかれ」

    サシャ「おやすみなさい!」

    クリスタ「おやすみー」
  25. 32 : : 2018/08/31(金) 09:56:37
    ーーーーーーーー

    訓練所内-森

    キース「これより立体機動訓練を行う」

    エレン(ようやくか…)

    キース「立体機動訓練は事故率も高く、訓練と言えども死人が出る事も少なくはない」

    キース「よって、立体機動訓練初日はペアで行うものとする…ペアは事前にこちらで決めてある」

    キース「イェーガー、レオンハート前に出ろ」

    エレン「ハッ」(よりによってアニとペアか…)

    アニ「ハッ」(早速話せるチャンスが…)

    キース「貴様ら二人は立体機動の適性も高い…手本として軽く飛んで見せろ」

    エレアニ「ハッ」バシュ

    エレンクンスゴイ!
    カッコイイナ-…
    アニモナカナカノモンダナ
    フタリトモスゴイネ

    キース(レオンハートの技術も流石だが…)

    キース(エレン・イェーガー…あいつは別格だな…このまま成長すればあのリヴァイと並ぶやもしれん)

    ライナー(対人格闘をした時から注意はしていたが、ここまでとは…)

    ベルトルト(これは予想外だな…まさかここまでの動きが出来る奴が訓練兵に混じってるなんて…)

    キース「ではイェーガー、レオンハートペアはそのまま訓練開始!森の中にある巨人のパネルを5体討伐した後、森を抜けた所で待機だ」

    エレアニ「ハッ」バシュ

    キース「3分後に出発する次のペアを発表する…アルレルト、キルシュタインペア!準備しておけ」

    アルジャン「ハッ!」

    ーーーーーーーー

    アニ「…」シュ-

    エレン「…」シュ-(思ってた以上に簡単だな…調査兵団の訓練を覗き見しに行ってたのが活きてるのか?)

    アニ「…あの」

    エレン「前方100m2時の方角に5m級1体と120m先11時の方角に7m級1体確認、俺は11時の奴をやるお前は2時の方だ」

    アニ「あ、あぁ…」



    アニ「…はぁ…」ズバッ(全然話を聞いてもらえる気がしない…)



    エレン「…」ザクッ(斬撃の進入角度と削ぐ時のタイミングに少し違和感がある…修正が必要だな…)

    ーーーーーーーー

    エレン「次が最後の一体だ」

    アニ「…エレン…あんたと話がしたいんだ…」

    エレン「訓練中だ、集中しろ」

    アニ「……前方150m先1時の方角に15m級を確認…」(何で話を聞いてくれないの…?)

    エレン「俺が行く…」シュ-

    アニ(速ッ!立体機動装置の性能は同じはずなのに何であんなに速く…)

    エレン「…」ザクッ(この手応え…修正は完璧だな…)

    アニ(!?…右手のトリガーを逆手に…)

    エレン「5体討伐完了だ、森を抜けるぞ」

    アニ「…あぁ…」

    ーーーーーーーー

    キース「本日の訓練はここまで!解散!」

    アニ「…エレン」

    エレン「…昨日も言っただろ…俺はお前と話す事なんかねぇよ」

    アニ「何で…話を聞いてくれないの…」

    エレン「お前の言葉はもう聞きたくねぇんだ…」(悪い…アニ…お前と話してると心臓が痛くて仕方ないんだ)

    アニ「…」
  26. 33 : : 2018/08/31(金) 09:57:01
    それからもアニはエレンに話しかけ続けたが、結局相手にしてもらえる日は一度も無く2ヶ月の月日が経った

    ーーーーーーーー

    夜中

    アルミン(喉が渇いて目が覚めちゃった…ん?井戸の前に誰かいるな…)スタスタ

    アニ「…ぅぅ……えれん…ぅ…」グスッ

    アルミン「アニ…?」

    アニ「!?…アルミン…」

    アルミン「…泣いてたのかい?」

    アニ「…放っておいて…」

    アルミン「何でそこまでエレンの事を…」(普段感情をあまり表に出さないアニがここまで取り乱れる程エレンの事を考えていたのか…)

    アニ「…私は多分…あいつの事が好きなんだと思う…」

    アルミン「…『思う』って、どういう事?」

    アニ「人を好きになった事なんて無かったから分からないんだ…」

    アニ「最初は救ってくれた恩を返したいって気持ちで…だけどこの2ヶ月間全く相手にしてもらえなくて、他の女の子達と話してるあいつを見るとたまらなく心臓が痛くなるんだ…」

    アルミン「アニ……」

    アニ「…」グスッ

    アルミン「…僕はやらなきゃいけない事を思い出したから部屋に戻るよ」

    アニ「ごめん…こんな話聞かせて…」

    アルミン「君が気に病む事じゃないよ、それじゃ…」スタスタ

    ーーーーーーーー

    アルミン「エレン、起きて」ユサユサ

    エレン「…ん…?…アルミンか…こんな時間に何だよ」

    アルミン「君はアニの事をどう思ってるの?」

    エレン「…いきなり起こしといて何だ?その質問は」

    アルミン「悪いけどそんな白々しい茶番に付き合うつもりはないよ」

    エレン「……お前には関係のない事だ」

    アルミン「君はそう言えば誰も深く立ち入ってこないとでも思っているのか?」

    エレン「何が言いてぇんだ?」イラッ

    アルミン「さっきアニと会ったよ、あのアニが君の名前を呼びながら泣いていた」

    エレン「……それが何だ?」

    アルミン「いい加減にしろ!」バキッ

    エレン「痛ッ」

    アルミン「君は逃げてるだけだ…過去を話したらアニが自分から離れていってしまうかもしれない、過去を話したらアニが今までのように自分を見てくれなくなるかもしれない」

    アルミン「そうやって君は自分の保身の為だけにこれから先もアニに涙を流させるのか!?」

    エレン「……お前に何が分かるんだよ」

    アルミン「何もわからないよ、僕はエレンじゃない…だけど一つだけ分かってる事がある…アニを信じないのは間違ってるって事だ」

    アルミン「たしかに君のその過去は簡単に乗り越えられるものじゃないと思うよ、だからと言って君が今アニにしてる行為は許されるものではないよ」

    アルミン「アニは本当に君の事が大事で、君のそばにいたいと思ってる…その想いを伝えたくてここ2ヶ月君と話をしたがっていたんだ…」

    エレン「…」

    アルミン「僕が信じるアニを信じてくれ」

    アルミン「…喧嘩で君に勝てる自信は無いけど、ここまで言って信じてくれないのなら僕は実力行使に出たって構わない」

    エレン(あのアルミンがここまで言うなんて…)

    エレン「…分かったよ、お前と…アニを信じる」

    アルミン「ありがとう、幸い明日は休日だしゆっくり話すといいよ」

    エレン「あぁ…気を遣わせて悪かったな」

    アルミン「僕も殴って悪かったよ」



    アルミン「…寝ようか」

    エレン「あぁ…」

    ジャン(うるさくて目が覚めたらすごい話を聞いてしまった…)

    コニー(zzz…)
  27. 34 : : 2018/08/31(金) 09:57:20
    朝-食堂

    ザ-------

    アニ(エレンは私から話しかけられないようにする為か他の女の子たちの誘いもあまり断らなくなったし、最近では食堂に顔を出す事も減った…)

    クリスタ「おはようアニ!起きたらもういないし今日は早起きだったんだね!」

    ユミル「あー眠いなー」

    サシャ「おはようございます!」

    アニ「あぁ…」(本当は昨日の夜中から部屋に帰ってないだけなんだけど…)

    アルミン「おはよう、みんな」

    クリスタ「あ、おはよう!」ニコ

    アルミン(天使…)

    ジャン「お前らもう来てたのか」

    サシャ「ジャン、コニーおはようございます!」

    コニー「おいブス!そんなとこに突っ立ってんじゃねーよ邪魔だろ」

    ユミル「おいハゲ、私は眠くて機嫌が悪いんだ…それ以上身長縮められたくなかったら黙ってろ」

    アニ「アルミン…あの…エレンは…」

    アルミン「昨日は遅くまで起きてたみたいで、まだ寝てるよ」クスッ(起こしたの僕なんだけどね)

    ユミル「もうやめとけよお前あいつから相当避けられてるだろ」ケラケラ

    クリスタ「ちょっとユミル!」

    アニ「…」(これ以上はもうやめた方がいいのかな…)

    アルミン「アニ、今日は部屋にいた方がいいと思うよ」

    アニ「?…なんで?」

    アルミン「えっと…」(まずい…何も考えてなかった)

    ジャン「…さっき廊下で黒くテカって素早くて有名なGさんが2匹もいたからな」(まぁ嘘だが)

    アルミン(ジャンの奴また聞いてたな…察しのいい奴め)

    アニ「!…これから朝食なのに気持ち悪い…せめて食べ終わった後に言ってよ…」

    ジャン「ハハッ…悪かったな」ケラケラ

    サシャ「それにしても折角の休日に雨なんてついてませんね」

    クリスタ「ほんとだよ!今日はユミルと街に行くつもりだったのに…」

    ユミル「残念だが部屋でトランプでもやるか」

    ザワザワ…
    ガヤガヤ…

    アルミン「みんな起きてきたみたいだね…廊下が騒がしくなってきた」

    サシャ「そうですね、そろそろ席に座りましょうか」

    クリスタ「そうだね」スタスタ

    ーーーーーーーー

    ガチャ

    アルミン「あ、エレン起きてたの?」

    エレン「ついさっきな」

    アルミン「これ今日の朝食、起きそうになかったから君の分は持ってきたよ」

    エレン「悪いな」

    ジャン「チッ…アルミンはこいつに甘いんだよ」

    アルミン「そうかな?あまり自覚はないんだけど…」ハハ…

    エレン「ごちそうさま」スタスタ

    コニー「食うの早ッ!」

    アルミン「エレン、どこか行くの?」

    エレン「あぁ、アニと話をしてくる」

    アルミン「アニなら部屋にいるよ」

    エレン「分かった」
  28. 35 : : 2018/08/31(金) 09:57:55
    クリスタ「もう!ユミル強すぎるよ!」

    ユミル「昔からトランプは得意なんだよ」ハハッ

    アニ「…」(また最下位…)

    サシャ「食べ物を賭ければ負けないんですが…」

    アニクリユミ(本当に負けないから怖い…)

    コンコン

    クリスタ「誰だろ…どうぞー!」

    ユミル「メガネ教官が明日の訓練内容の用紙でも渡しにきたんじゃねーの?」

    サシャ「あの人マメですからね!」

    ガチャ

    エレン「…アニいるか?」

    アニクリユミサシャ「!?」

    アニ「いるけど…」(何でエレンが…)

    エレン「話があって来た」

    アニ「な、なに?」(怖い…今度こそ完全に拒否されたらどうしよう…)

    エレン「…」チラッ(こいつら邪魔だな)

    クリスタ「!…ユミル、サシャ!私達はいない方がいいだろうし出てようよ」(告白だ!これ告白だ!)

    ユミル「あ、あぁ…」(こいつアニの事避けてたんじゃないのか?どういう風の吹き回しだ)

    バタン

    アニ「…」

    エレン「…」

    アニ「……話って何?」

    エレン「…」(何て切り出したらいいのか全く考えてなかった…)

    アニ「…エレン?」

    エレン「…悪かった…」

    アニ「…え?」

    エレン「ここ2ヶ月、お前の事をずっと避けていて悪かった」

    アニ「…」

    エレン「俺は逃げていたんだ…過去から…自分から………お前から…」

    アニ「…逃げてたって…どういうこと?」

    エレン「……俺は…お前が俺の過去を知ったら俺から離れていくんじゃないかって思ったんだ」

    アニ「そんな事絶対にない!」

    アニ「あんたにどんな過去があったとしても、私から離れていくなんて事絶対にしない!」

    エレン「………怖いんだ…」

    アニ(!…こいつからこんなセリフを聞くなんて…)

    エレン「もう一度何かを失うのが怖いんだよ…だからウォールマリアが突破されたあの日以来、人と関わりを持つ事をやめたんだ」

    エレン「人と関わらなければ、失って傷つく事もない…なのに何でだろうな…」

    エレン「あの日お前の目を見た時救ってやりたいと思った、俺は過去を乗り越えられなかった…でも俺と同じで過去に囚われているお前を救ってやりたいと思ったんだよ」

    エレン「…笑えるよな、俺は何も乗り越えらて無いくせにベラベラお前に偉そうな事を語ったんだ」

    アニ「…だから何?あんたが過去を乗り越えていようがいなかろうが、私はあの時のあんたの言葉で救われたんだ…」

    アニ「だからあんたの過去を話して…今度は私があんたを救う」

    エレン「……聞いてくれて…俺の過去を…」
  29. 36 : : 2018/08/31(金) 09:58:13
    ーーーーーーーー

    エレン「…」

    アニ「…」(こんな過去…私なんかとは比べ物にならない…家族を…しかも2人とも目の前で亡くすなんて…)

    エレン「…やっぱりこんな奴とはいたくねぇよな…部屋に戻るわ…」

    アニ「待って」スタスタ

    エレン「何だよ」

    アニ「…」ギュ

    エレン「は?お前何して…」

    アニ「…抱きしめてる」

    エレン「そんな事を聞いてんじゃねぇよ」

    アニ「…私はいなくならない…絶対にあんたの側にいるから…」

    エレン「俺は…家族を見捨て、犠牲にして生きている奴なんだぞ…それにお前の事をずっと避けてたのに…」

    アニ「確かにあれは凄く傷ついた…けどもういい」

    アニ「…私だって親友を犠牲にして生きてる…親友と家族じゃ失う重さは違うのかもしれないけど、そんな私をあんたは嫌いにならないでいてくれた」

    アニ「私も同じ、あんたの過去を聞いたって何も変わらない…あんたの側にいたい」

    エレン「…………ありがとう」



    アニ「そういえばあんた頬腫れてない?ちょっと見せて」

    アルミン「アルミンに殴られたからな」

    アニ「…え?何で…」

    エレン「……顔近い…」

    アニ「!?ご、ごめん///」バッ

    エレン「…ハハッ…いつかとは逆だな」クスッ

    アニ「…うるさい」ボソッ(初めて笑った顔見た…)

    ーーーーーーーー

    ユミル「長い…あいつらどれだけ話してたら気が済むんだよ…」

    サシャ「確かに長いですねー」

    クリスタ「アニとエレン何を話してるんだろ…」(気になる…盗み聞きしたい!)

    ユミル「いい加減もういいだろ…入ろうぜ」

    ガチャ

    クリユミサシャ(…)

    エレアニ(ス-ス-…)ギュ

    ユミル「何でこいつら抱き合いながら寝てんだよ…」

    クリスタ「二人とも付き合ってるのかな?」(抱き合って寝るなんて…告白成功したんだね!)

    ユミル「起きろお前ら」ゲシッ

    エレン「…ん…お前らか」

    ユミル「お前らか…じゃねーよ、待たせといた挙句二人で何仲良くおやすみしてんだよ」

    エレン「悪い、寝ちまってたんだな…俺はもう部屋に戻るよ」

    ユミル「おいアニ、お前も起きろよ」

    エレン「悪いけど、そいつはもう少し寝かせておいてやってくれ」

    サシャ「パンくれるならいいですよ!」

    エレン「夕飯全部やるよ」(腹減ってねーしな)

    サシャ「ユミル!アニを起こすのはやめてください!」

    ユミル「簡単に買収されてんじゃねーよ」
  30. 37 : : 2018/08/31(金) 09:58:31
    アニ「…ん…」パチッ

    ユミル「ようやく起きやがったなこいつ」

    サシャ「おはようございます!」

    クリスタ「おはよう!」(寝起きアニはいつ見ても可愛い…)

    アニ「…エレンは?」ボ-

    ユミル「とっくに帰ったっつーの…今何時だと思ってんだ」

    サシャ「もう消灯時間すぎてますよ…さすがに寝すぎです」

    アニ(昨夜から寝てなかったとはいえ、そんなに寝てたなんて…)

    クリスタ「それよりアニ、エレンと仲直りできて良かったね!」

    ユミル「抱き合って寝るのが仲直りとか笑えるけどな」ケラケラ

    アニ「…///」

    クリスタ「二人は付き合ってるの?」ワクワク

    アニ「え?」

    ユミル「どうなんだよ」ニヤニヤ

    アニ「付き合ってないよ…」

    クリスタ「え、そうなんだ…」ショボン…

    アニ「…でも」

    アニ「私は好きだよ」

    クリユミサシャ「!?」

    ユミル(こいつがこんな事ストレートに言うなんてどうなってんだ…)

    クリスタ(そうだろうとは思ってたけど、アニが直接こんな事口にするなんて!)

    サシャ「え!?アニはエレンの事が好きだったんですか!?」

    ユミル(気付いてなかったのかよ…)

    クリスタ(気付いてなかったんだ…)

    アニ「…うん」

    クリスタ「じゃあ何の話をしてたの?」(てっきり告白だと思ってた…)

    アニ「ごめん、それは言えない」

    クリスタ「そっか…」

    ユミル「まぁ、あいつにも聞かれたくない話の一つや二つくらいあるだろ」

    サシャ「そうですね!」

    クリスタ「じゃあもう消灯時間過ぎてるし寝よっか!」

    サシャ「はい!」

    アニ「あぁ」

    ユミル「お前はついさっきまで寝てたんだから寝れないだr」

    アニ(zzz…)スピ-

    ユミル「寝れんのかよ!しかも早ッ!」
  31. 38 : : 2018/08/31(金) 09:58:48
    朝-食堂

    エレン「何か今日の朝食は美味いな」モグモグ

    アルミン「いつも僕が朝食を部屋に持って行く時には冷めちゃってるからね」ハハッ

    コニー「エレンが食堂にいるのってなんか新鮮だな!」

    ガチャ

    アニ「…」キョロキョロ(…いた!)

    アニ(今日からはもう話しかけても大丈夫だよね…?)スタスタ

    アニ「お…おはよう」ドキドキ

    アルミン「あ、おはようアニ」

    コニー「おっす!」

    ジャン「おう」

    エレン「あぁ、おはよう」

    アニ「私もここで食べていい?」ジ-ン…(エレンが挨拶返してくれた…)

    エレン「あぁ」

    アルミン(言葉遣いは相変わらずだけど、心なしか表情が以前より柔らかくなったね…よかった…)

    アニ「…ありがと」ストン


    ユミル「アニのやつ嬉しそうだな」モグモグ

    クリスタ「そりゃそうだよ!やっとエレンと仲直り出来たんだもん」モグモグ


    エレン「今日は午前が座学で午後から立体機動の訓練だったな」

    アルミン「座学は久しぶりだね!」

    ジャン「ヤケに気合い入ってんじゃねーか」

    アルミン「僕は体を動かすのは苦手だから、少しでもマシな座学で評価を得ないとね…」ハハ…

    ジャン「『少しでもマシな』なんて謙遜すんなよ、座学でお前の右に出るやつはいねーんだからよ」

    エレン「評価を気にするって事はアルミンは憲兵団志望なのか?」

    アルミン「…うん、そうだよ」

    アルミン「僕は、直接巨人の脅威を目の当たりにしたわけじゃないけど…」

    アルミン「でも開拓地に残らなかったのは、一年前あんな滅茶苦茶な奪還作戦を強行した王政があることを考えるとじっとしていられなくて…体力に自信は無いし自分に何が出来るのかは分からないけどこの状況を黙って見てることなんて出来ない」

    アルミン「だから僕はその王政を変える為に、少しでも王政に近い兵団に入りたいんだ」

    アニ「…」

    アルミン「ジャンやコニーは決めてるの?」

    コニー「俺も憲兵団だ!憲兵団になって故郷の連中を見返してやるんだ!」

    アルミン「そうなんだ…ジャンは?」

    ジャン「俺は調査兵団だ」

    アルミン「え!?ジャンって調査兵団志望だったの?」

    ジャン「何意外そうな面してんだよ」

    アルミン「ごめん…でも何で調査兵団なんだい?」

    ジャン「トロスト区を…家族を守りたいからだ」

    アルミン「そっか…ジャンはトロスト区出身だったね」

    ジャン「トロスト区だって2年前までは内地だったんだ…シガンシナ区が破られ、ウォールマリアが突破され、このままいけば次はトロスト区だ」

    ジャン「仮に俺が上位10名に選ばれて憲兵団に行ったとして、大事な家族を守るという大役を他の誰かには任せておけねーんだ…」

    コニー「それなら駐屯兵団でもいいんじゃねーのか?」

    ジャン「ダメだ、駐屯兵団は巨人と戦う術を知らない…それが人類の活動領域がここまで後退しちまった原因の一つじゃねーのか?」

    エレン「ジャン」(ここまで俺の思考と似たやつが身近にいたなんてな)

    ジャン「なんだよ」(こいつ今俺の事をジャンっつったか?)

    エレン「俺も調査兵団志望だ、よろしくな」

    ジャン「あぁ!…エレン」(前に話聞いちまってたからそんな気はしてたけどな…)

    アニ(私は死にたくないなんて理由だけで憲兵団を志望していいのかな…)

    アルミン「随分話し込んじゃったね…そろそろ座学が始まるし行こうか」

    エレン「そうだな」
  32. 39 : : 2018/08/31(金) 09:59:18
    座学開始前

    アニ(最後列の窓際が空いてる…教官からは一番見えにくいしあそこにしよ)スタスタ…ストン


    「エレン君!一緒にやろ?」

    「何言ってんの?私とやるよね!?」

    エレン「悪い、アニとやるから」スタスタ

    「え?」(最近あの女とは距離取ってる風に見えたのに…)


    エレン「隣、いいか?」

    アニ「あぁ…え、エレン!?」(びっくりした…)

    エレン「…」ストン

    アニ「いつも座学はアルミンとしてたのに何で…」(嬉しいけど…)

    エレン「…俺の側にいたいんだろ?」ニヤッ

    アニ「…うるさい」(昨日といい、色んな表情見せてくれる…///)

    ガチャ

    眼鏡教官「それでは座学を始める」

    ーーーーーーーー

    眼鏡教官「本日はここまで!次は立体機動訓練なので、10分後にはグラウンドに集合しておくように」スタスタ

    エレン「アニ、起きろ」ユサユサ

    アニ「…んん…」パチッ

    エレン「もう座学終わったぞ」(相変わらず寝顔可愛かったな)

    アニ「あ、あぁ…」(折角隣に座ってくれたのに何で寝ちゃうかなぁ…)
  33. 40 : : 2018/08/31(金) 09:59:32
    ーーーーーーーー

    キース「これより立体機動訓練を行う!」

    キース「その前にイェーガー!前に出ろ」

    エレン「ハッ」

    キース「以前皆の前で手本を見せた時は立体機動の動きだけだったが、今回は巨人の模型も用意した…斬撃の手本を見せてやれ」

    エレン「…教官、自分では手本になれないかと思います」

    キース「貴様ほど立体機動に優れた訓練兵はおらん、やれ!」

    エレン「アニ・レオンハートを手本に推奨します」

    キース「いいからやれ!」

    エレン「…ハッ」バシュ

    キース(!…もう速さだけではリヴァイと並んでると見える)

    エレン「…」ズバッ

    キース「!?…イェーガー戻ってこい!」(こいつ今右手のトリガーを逆手に…それではまるで…リヴァイと同じではないか…)

    エレン「戻りました」スタッ

    キース「貴様ら!今のイェーガーの手本は忘れろ…レオンハート!手本を見せろ」(あんな特殊な斬撃方法は手本にならん…)

    アニ「ハッ」バシュ(そりゃあいつのあんなやり方は誰にも真似できないだろうね)

    アニ(でもこれはあいつにいい所を見せる好機!)ズバン!

    アニ「…」スタッ

    キース「今のレオンハートを手本とするように」(レオンハートの斬撃も見事なものだったが…)

    エレン(アニのやつ…さすがだな)

    キース「…」チラッ(イェーガー…こいつは間違いなく規格外だ…)

    キース「イェーガー!私と共に教官室へ来い!」スタスタ

    エレン「ハッ」スタスタ(面倒臭い…)



    アルミン「今のエレンの斬撃はなんだったんだ…」

    ジャン「おいアニ!お前最初のペアでやる立体機動訓練の時、エレンとペアだったよな?」

    アニ「あぁ…」

    アルミン「アニは知ってたのかい?エレンがあんなトリガーの握り方をするなんて」

    アニ「知ってたよ…と言ってもあの握り方をするのを見るのは今日で2回目だけど…」

    ジャン「2回目?あの日討伐する巨人の模型の5体の内3体はエレンがやったんじゃないのか?」

    アニ「そうだよ」

    アルミン「…予想の範囲だけど…エレンは最初僕達と同じやり方をしてたけど、自分の中で違和感を感じて自分の一番やりやすいやり方に修正した結果があの握り方だったんじゃないかな…?」
  34. 41 : : 2018/08/31(金) 09:59:49
    教官室

    キース「…イェーガー、あのトリガーの握り方はなんだ?」

    エレン「自分に一番合ったやり方に近付けた結果です」

    キース「では誰かの真似をした訳では無くお前は自分自身の試行錯誤の末にあの握り方を見出したと言うのだな?」

    エレン「はい」(誰かの真似…?)

    キース「…貴様の立体機動の動きには目を見張るものがある、将来はそれを十分に発揮出来る兵団に所属してもらいたいと思っている」(こいつが調査兵団に入団してくれればリヴァイに続き更なる調査兵団の変革になるだろう…)

    エレン「言葉を濁さずに言ってください……教官は自分に調査兵団へ行けと…そう言いたいんですよね?」

    キース「……その通りだ…知っての通り調査兵団に入団すれば、犠牲を覚悟して壁外の巨人領域に挑む事になる」

    キース「当然死亡率も高い」(私も過去に多くの兵士を死なせてしまった…)

    キース「皆が憲兵団を目指す理由も分かる…貴様程の実力であれば、上位10名に入り憲兵団に行く事も可能だろう…無理強いはしない」

    キース「…だが誰かがやらなければならない…ここで誰も続く人がいなければ、今までに死んでいった人達の命が無駄になる」

    エレン「教官は勘違いをしているようです」

    キース「何?」

    エレン「明確な目的はないけど死にたくないから憲兵団へ…上位10名に選ばれなかったから調査兵団よりマシな駐屯兵団へ…」

    エレン「自分はそう考える者が間違ってるとは思いません、誰しも死にたくないというのは当たり前の事です」

    エレン「自分だって死にたくなんてありません」(ミカサが救ってくれた命だからな…)

    キース「…」

    エレン「ですが自分は昔から夢見ている事があります」

    キース「夢だと?」

    エレン「外の世界を見てみたいんです…昔、友人に聞いた事があります」

    エレン「この世界の大半は『海』という塩水で覆われていて『炎の水』『氷の大地』『砂の雪原』があると…きっとそれだけではありません、我々人類が未だ嘗て見た事が無いような風景が無数に存在している」

    キース「外の世界…」

    エレン「自分はそれらの風景を誰よりも一番に見たいのです」

    エレン「誰しもが死にたくないから憲兵団や駐屯兵団に行くのと同じで、自分はその夢を叶えたいから調査兵団に行くのです」

    キース「なら貴様は…」

    エレン「教官に調査兵団へ行けと言われるまでもありません、自分は調査兵団へ入る為に訓練兵になったのですから」

    キース「……ならばその風景を私にも見せてくれ」

    エレン「自分の後でよろしければ喜んで」

    キース「フッ…楽しみにしている」

    エレン「…教官でも笑うんですね」

    キース「……調子に乗るな…立体機動の訓練へ戻れ」

    エレン「ハッ」

    ガチャ…バタン

    キース(…エレン・イェーガーか…中々に面白い男だ)
  35. 42 : : 2018/08/31(金) 10:00:09
    アルミン「エレン!おかえり!」

    エレン「あぁ」

    ジャン「教官と何の話をしてたんだ?」

    エレン「…親睦を深めてただけだ」

    アニ「それよりもうそろそろ訓練は終わる時間だけど何で立体機動装置つけてんの?」

    エレン「軽い運動程度なら問題ないだろ」バシュ

    アルミン「あ、エレン!…行っちゃった…」

    ジャン「おいアニ、追いかけて止めなくていいのか?」ケラケラ

    アニ「別に付き合ってるわけでもないのにそんな所まで口出しされたらあいつだって嫌でしょ」



    アルジャン「え!?」

    アニ「なに?」

    アルミン「え、え?…君達付き合ってるんじゃないのかい?」

    アニ「?前にも付き合ってないって言ったでしょ」

    ジャン「でも昨日あいつが部屋に帰ってきた時お前と仲直り出来たって…」

    アルミン「僕もそう聞いたからてっきり昨日付き合う事になったんだと…」(アニとエレンはどう考えても両想いだから付き合う事になるとばかり…)

    アニ「仲直りはしたけど仲直り=付き合う事になる意味が分からないんだけど」

    アルジャン「…」

    アニ「まぁ…私は好きだけど…」

    アルジャン(それはエレンに対する態度で分かる…)

    アルミン(そうか…ジャンは寝たふりしながらエレンの話を聞いていたからエレンがアニの事を好きなのは大体分かってるけど、アニは知らないんだ…自分自身がエレンに好かれている事を…)

    アニ「なに?さっきから黙り込んで」

    アルミン「いや、何でもないよ…」(君たちは両想いなんだよ…)

    ジャン「コクってみればいいじゃねーか」

    アルミン(ジャン!ナイスアシストだ!)

    アニ「…は、はぁ!?///そんな事出来るわけないでしょ!?やっと側にいられるようになったのにフラれたらもう側にいられないかも知れないし…」

    アルジャン(なにこの乙女)

    エレン「何の話してんだ?」スタッ

    アニ「!?」ビクッ!!

    アルミン「エ、エレン…早かったんだね」アセアセ

    エレン「軽い運動程度だって言ったろ」

    アニ(聞かれてないよね…?)

    エレン「おいアニ」

    アニ「な、なに?」

    エレン「お前顔真っ赤だぞ…大丈夫か?」

    アニ「ちょ…顔近いって…///」

    アルジャン(なにこのリア充)
  36. 43 : : 2018/08/31(金) 10:00:42
    食堂

    ジャン「そういやさっき軽い運動って言ってたけど、どんな運動してきたんだよ」モグモグ

    エレン「小回りのきく機動の訓練をする為に森の中でも特に木が密集している所で飛び回ってたな」モグモグ

    アルミン「そういう立体機動の鍛え方もあるんだね…勉強になるよ」モグモグ

    コニー「小回りのきく動きなら自信あるぜ!」ガツガツ

    ジャン「頭の回転が悪いお前がか?」ケラケラ

    エレン「いや、コニーの小回りのきく機動は中々のもんだと思うぞ」

    コニー「お、おう!故郷でも褒められた事なんて殆ど無くて叱られる事ばっかりだったから何か照れるな…」

    エレン「市街地や森での戦闘では貴重な技術だからな」

    ガチャ

    キース「手を止めてこちらに注目!」


    ピタッ…


    キース「知っての通り明日も普段通りの訓練だったわけだが、明日は休暇に変更とする」

    キース「…そして明晩23時より訓練を行う!内容は3日間による山でのサバイバル訓練だ!」

    キース「この訓練の目的は貴様らの危機管理能力を見極める事だ…よってこの3日間は我々教官は貴様らがどのような危機に陥ろうとも一切の手助けはしない、非常に過酷な訓練となる」

    キース「それに伴いこちらで4人1組の班を決めた、以前の部屋割りの時と同様で班のメンバーは正面玄関の掲示板に記載してある、部屋に帰る前に各々確認するように」

    「「「ハッ!」」」

    バタン

    コニー「変更で休日だってよ!」

    ジャン「聞いてたっつーの」

    エレン「昨日も休日だったろ…いい加減体が鈍っちまうぞ」

    アルミン「エレンは夜によく部屋を抜け出して筋トレしに行ってるから問題ないだろ」ハハッ


    クリスタ「なんだかエレン楽しそうだね」

    アニ「…」ウズウズ

    ユミル「あぁ、笑ってはいねーけどな」

    クリスタ「目が笑ってるってやつだよ!」

    アニ「…」ウズウズ

    ユミル「クリスタは詩的だな」ケラケラ

    クリスタ「もう!からかわないでよユミル!」

    アニ「…」ウズウズ

    サシャ「あの…アニ?」

    アニ「なに?」

    サシャ「私達には気を遣わずエレンの所へ行っていいんですよ…?」

    アニ「…別にそういうわけじゃないし」

    クリスタ「そうだよアニ、私達の事は気にしなくていいよ」

    ユミル「こいつはただ照れて行けないだけなんだって」

    アニ「…そんなことないから」

    ユミル「じゃあ行ってこいよ」ニヤニヤ

    アニ「………私は別に行きたくて行くんじゃなくてあんたに照れてるとか勝手に言われるのが嫌で行くだけだから」ガタン

    ユミル「はいはい」ケラケラ

    アニ「…」イラッ


    アニ「…」スタスタ

    アニ「あの…私も一緒していい?」

    エレン「ん?アニか…俺達もう食い終わったからこれから風呂に行くんだ、悪いな」

    アニ「」チ-ン


    ユミル「あっはははは!」ゲラゲラ

    クリスタ「ちょっとユミル!」

    サシャ「…」ブフッ

    クリスタ「サシャまで!!」
  37. 44 : : 2018/08/31(金) 10:01:16
    廊下

    アルミン「あ、お風呂に行く前に掲示板に班のメンバーを確認しに行ってもいいかな?」

    エレン「あぁ」

    コニー「俺も気になってたんだ!」

    ジャン「俺も構わねーぞ」

    掲示板前

    アルミン「…残念だけどエレンとは違う班だね」

    エレン「お前がいてくれたら余裕だったんだけどな、仕方ないか」

    アルミン「エレンなら僕がいなくても余裕のくせによく言うよ」ハハッ

    コニー「俺の班は全員知ってる奴らでよかったぜ!よろしくな!アルミン」

    ジャン「…誰だよこいつら…」ガクッ

    アルミン「あ、うん…」(ジャン可哀想に…)

    エレン「早く風呂に行こうぜ」

    ーーーーーーーー

    廊下

    ユミル「風呂行く前に班のメンバー見に行っとこうぜ」

    クリスタ「賛成!」

    サシャ「いいですね、見に行きましょう」

    アニ「別にいいけど」

    掲示板前

    ユミル「…そんな…クリスタと違う班なんて…」ガクッ

    クリスタ「仕方ないよユミル…それにサシャと同じ班だし他の二人とも知ってる人でよかったじゃない」

    ユミル「まぁ知らない奴と組まされるよりマシか…今回はサシャで我慢しといてやるよ」

    サシャ「さらっとひどい事言いますね!」

    クリスタ「アニ、よろしくね!」(アニはそれどころじゃなさそうだけど…)クスッ

    アニ「あぁ、よろしく…」(エレンと一緒…)
  38. 45 : : 2018/08/31(金) 10:01:30
    現在公開可能な情報

    ・サバイバル訓練班割り
    第1班
    アルミン・アルレルト

    コニー・スプリンガー

    サシャ・ブラウス

    ユミル

    第2班
    エレン・イェーガー

    ライナー・ブラウン

    アニ・レオンハート

    クリスタ・レンズ

    第3班
    ジャン・キルシュタイン

    ベルトルト・フーバー

    フランツ・ケフカ

    ハンナ・ディアマント
  39. 46 : : 2018/08/31(金) 10:01:43
    コンコン

    クリスタ「?…どうぞー」(誰だろ)

    ガチャ

    エレン「アニとレンズはいるか?」

    クリスタ「エレン!?」

    エレン「レンズだけか?アニは?」

    クリスタ「私以外はまだみんなお風呂だけど…」

    エレン「そうか…中で待たせてもらってもいいか?」

    クリスタ「う、うん」(何でエレンが…)

    エレン「お前らの部屋は割と綺麗にしてんだな」スタスタ

    クリスタ「そんなに見ないでよ!」(恥ずかしい…)

    エレン「悪い、女はこういうの嫌がるんだったな」

    クリスタ「別にいいんだけど…何か用なの?」

    エレン「サバイバル訓練の事で話があってな」

    クリスタ「あ、同じ班だったね!よろしくね」

    エレン「あぁ」

    クリスタ「それでサバイバル訓練の話って?」

    エレン「その訓練があるから明日休暇になったろ?二人とも少し買い物に付き合ってもらいたくてな」

    クリスタ「!?…私は別にいいけど…訓練に何か関係があるの?」(エレンが訓練の無い日に誰かを街に誘うなんて…)

    エレン「そうだが…何意外そうな面してんだよレンズ」

    クリスタ「ご、ごめんね…別に悪い意味じゃなくて…っていうかレンズじゃなくてクリスタでいいよ」

    クリスタ「今回の訓練は同じ班のメンバーとして3日間過ごすんだしレンズなんて言われてたら私の方が気を遣っちゃうよ」

    エレン「あぁ、分かった」

    クリスタ「それで訓練の為の買い物って?」

    エレン「その説明はアニが帰ってきてからにする…二度手間になるのも面倒だしな」

    クリスタ「それもそうだね」

    エレン「突っ立ってるのも疲れるし少し横にならせてもらうぞ」ゴロン

    クリスタ「べ、別にいいと思うよ…」(それアニのベッドだし…)



    エレン「…」

    クリスタ「…」(沈黙が気まずい…)

    クリスタ「エ、エレンって好きな食べ物とかあるの?」(自分で聞いといてなんだけど何この質問…)

    エレン「ん?…刺身かな」

    クリスタ「お刺身って凄く高級じゃない?」

    エレン「店に食べに行けばそれなりの金は取られるだろうけど、捌き方や下処理の方法さえ知ってたら自分で出来るしそれほど金はかからねぇよ」

    クリスタ「そうなんだ!エレンは出来るの?」

    エレン「あぁ、でも新鮮な魚じゃないと刺身には出来ないから訓練所に来てからは食ってねぇけどな」

    クリスタ「そっか…私もエレンが作ったお刺身食べてみたいなー」

    エレン「…運が良ければ今回の訓練中に食えるかもな」

    クリスタ「え?」

    ガチャ

    ユミル「何先に上がってんだよークリスター」

    サシャ「お腹空いてきました!」

    アニ「ついさっき食べたでしょ」

    クリスタ「みんなおかえりー」

    エレン「アニ、おかえり」ムクッ

    アニ「あぁ…」



    アニユミサシャ「!?」

    ユミル「何でお前がここにいるんだよ!」

    アニ「…というかそれ私のベッド…」

    エレン「そうだったのか、悪かったな」スタッ

    クリスタ「えっと、エレンは私とアニに話があって来たみたいだよ」

    アニ「…話?」

    エレン「あぁ、明日が休暇になったろ?それで二人とも買い物に付き合ってほしいんだ」

    アニ「!?」(こいつが休暇に誰かを買い物に誘うなんて…)

    クリスタ(アニのその反応よく分かるよ…)

    サシャ「何でアニとクリスタだけなんですか?」

    ユミル「明日のサバイバル訓練と関係あるのか?」(この3人の共通点なんてそれくらいしかないし…)

    エレン「そうだ」(正確にはアニとクリスタだけじゃないんだけどな)

    エレン「今回のこの訓練の目的を覚えてるか?」

    アニ「私たちの危機管理能力を見極める事…」

    エレン「そうだ、本来ただサバイバル訓練をするなら明日の訓練を休暇に変更しなくてもいいはずだろ」

    サシャ「確かにあの鬼教官なら普段の訓練の後サバイバル訓練をするって言ってもおかしくないですね」

    エレン「そこで重要なのがさっきアニが言った危機管理能力だ」

    エレン「危機管理能力っていうのは危険に陥った時にどのようにその危険を対処するか…そして被害を最小限に抑えられる事ができる能力の事だ」

    ユミル「そんな事は私らも知ってる」

    エレン「それともう一つ、事前にどんな危険があるかを想定し、その危険に対してどれだけの備えをしておくか…という事だ」

    エレン「他の奴らは明日が休暇になってはしゃいでいるが、そうじゃない」

    エレン「サバイバル訓練は明日の朝、外出可能時間から始まるんだよ…だからその訓練に備える為に同じ班のお前らには明日俺に付き合ってもらいたい」

    アニ「…私は構わないよ」

    クリスタ「私も!」

    エレン「なら明日9時に門の前に集合だ」スタスタ

    ガチャ

    エレン「おやすみ」

    バタン
  40. 47 : : 2018/08/31(金) 10:02:01
    ユミル「確かにあいつの言う事は一理あるな」

    サシャ「じゃあ私たちも明日買い物に行きましょうか」

    ユミル「そうだな…それよりクリスター」

    クリスタ「ん?」

    ユミル「私らが帰ってくるまであいつと何の話してたんだ?」ニヤニヤ

    アニ「…」ピクッ

    クリスタ「え、特に何も話してないよ?エレンの好きな食べ物聞いたくらいかな!」

    ユミル「ぶはっ…なんだその話題」ケラケラ

    アニ(あいつの好きな食べ物か…なんだろ)

    サシャ「私はお肉が好きです!」

    ユミル「聞いてねーよ、ってか芋じゃねーのかよ」

    クリスタ「エレンはお刺身が好きみたいだよ」

    アニ(お刺身か…)

    ユミル「おいアニ、あいつの好物刺身だとよ」ケラケラ

    アニ「…寝る」イラッ

    クリスタ「ユミル!そんなにからかわないの!」

    ユミル「はいはい…しゃーねーなー」

    サシャ「そろそろ私たちも寝ましょう」

    クリスタ「そうだね、おやすみー」

    ユミル「おやすみ」

    サシャ「おやすみなさい」

    アニ「…おやすみ」ボソッ(掛け布団からエレンの匂いがする…)スンスン

    ーーーーーーーー

    廊下

    エレン(後は…)スタスタ

    ライナー「…」スタスタ

    エレン「ブラウン…」

    ライナー「エレン…何か用か?」(こいつが訓練以外で話しかけてくるなんて…)

    エレン「話があって丁度今お前の部屋に行こうと思ってたところだ」

    ライナー「…話?」

    エレン「あぁ、明日は休暇になっただろ?俺に付き合ってほしいんだ」

    ライナー「…何かあるのか?(こいつには注意しておかないと)

    エレン「明日の夜から始まるサバイバル訓練の件で買い物に付き合ってほしくてな…同じ班のアニとクリスタは付き合ってくれるみたいだから、後はお前だけなんだ」

    ライナー「別に構わないが…」

    エレン「そうか、なら明日の朝9時に門の前に集合だ…頼んだぞ」スタスタ

    ライナー「あぁ…」

    ーーーーーーーー

    ガチャ

    アルミン「おかえり」

    エレン「あぁ」

    コニー「戻ってくんのおせーぞ!今トランプで明日の朝飯賭けてるとこなんだ!お前も入れよ!」

    エレン「…たまには混ざるのも悪くねぇな…」

    ジャン「お、今日はノリいいじゃねーか」

    アルミン(エレンを入れたら賭けにならないよ…でもエレンが前とは違ってみんなと打ち解けてきてるのが嬉しいな…)

    2時間後

    コニー「結局全部エレンの一人勝ちかよ!」

    アルミン(エレンの賭博センスは常人の域を遥かに超越してるからね…)

    ジャン「明日は休暇だと思ったらついだらだらしちまったなー」

    アルミン「…突然でなんだけど、同じ部屋のよしみとしてみんなには言っておくよ…」

    アルミン「明日の休暇は、街でサバイバル訓練で使えそうな物を買っておいた方がいいと思うよ」

    エレン「…」(アルミンも気付いてたか…)

    ジャン「?…どういう意味だ?」

    アルミン「部屋割りの班は同じでも明日の夜からは班が違うから出来る助言はここまでだよ…」(エレンもやっぱり気付いてたみたいだね…)

    ジャン「よくわからねーけどお前が言うならその方がいいんだろうな」

    コニー「話は終わったか?なら寝ようぜ!」

    アルミン「そうだね、おやすみ」

    ジャン「おやすみ」

    エレン「あぁ」

    コニー(zzz…)
  41. 48 : : 2018/08/31(金) 10:02:16
    ーーーーーーーー

    8時50分-門前

    アニ「…おはよ」(早めに来たつもりなのにもう着いてるし…)

    エレン「おはよう、アニ」(アニの私服って初めて見たけど可愛いな)

    アニ「…あんた9時集合って言ってたのに来るの早くない?」

    エレン「それはお前もだろ」クスッ

    アニ「…うるさい」

    エレン「そういや今朝食堂にいなかったな、何してたんだ?」

    アニ「…寝坊」(服選んでたら朝食の事なんて忘れてたんだよ…)

    エレン「寝坊したくせに10分前集合か」クスクス

    アニ「あんた黙らないとそろそろ本当に蹴るよ…」(恥ずかしすぎる…)

    ライナー「よう、お前ら早いな」

    エレン「おはよう、ブラウン」

    アニ「…おはよ」(こいつも来るのか)

    ライナー「対人格闘もよく組む仲なんだし、ライナーでいいぞ」(昨日色々考えたが、これから3年の間は事を構えるつもりはないんだし友好的にしておいても構わねーよな…)

    エレン「あぁ、ライナー…今夜からの訓練よろしくな」

    ライナー「おう」

    9時-門前

    クリスタ「おはよう!」(みんなもう揃ってる…)

    アニ「おはよ」

    エレン「おはよう」

    クリスタ「ごめんね、遅れちゃって…」

    エレン「俺たちが早く着きすぎちまってただけだから、気にすんなよ」

    クリスタ「えっと…そっちの人は…」

    ライナー「ライナー・ブラウンだ」

    クリスタ「あ、同じ班の!よろしくね!」ニコ

    ライナー「…おう」

    エレン「揃ったことだし、行くか」
  42. 49 : : 2018/08/31(金) 10:02:39
    ライナー「それで?どこから回るんだ?」

    エレン「そうだな…まず釣り針と釣り糸を買いたいから近くの釣り具屋から回るか」

    クリスタ「魚を獲る為?」(エレンのお刺身!)

    エレン「それもあるな」

    アニ(…も?)

    釣り具屋

    クリスタ「ねぇねぇ!竿あったよ!」

    エレン「竿なんて邪魔になる物持って行かねぇぞ…」

    クリスタ「そうなんだ…」ズ-ン

    アニ「ここで買うのは針と糸だけ?」

    エレン「そうだな」

    ライナー「次はどこ行くんだ?」

    エレン「雑貨屋だな」

    雑貨屋

    クリスタ「ここでは何を買うの?」

    エレン「ここでは買う物が多いから俺とアニ、ライナーとクリスタで二手に別れる」

    アニ(一緒…)

    エレン「ライナーとクリスタはろうそくとマッチ、それと火打ち石を頼む」

    エレン「買い終わったら表で集合だ」

    クリスタ「分かった!行こうライナー」タッタッタッ

    ライナー「おう」スタスタ

    エレン「俺とアニは虫めがねとコンパスに針金だ」

    アニ「…随分詳しいんだね」

    エレン「…それ程じゃねぇよ、行くぞ」

    アニ「うん」



    クリスタ「ライナー!ろうそくとマッチあったよー」

    ライナー「火打ち石も見つけた」(楽しそうだな…)

    クリスタ「値段は少し高いけどこっちのろうそくの方が大きいかな?うーん…」

    ライナー「こっちの小さい方でいいんじゃないか?サバイバル訓練なんだから持ち運びしやすい方がいいだろうしな」

    クリスタ「そうだね!こっちにしとく!」ニコッ

    ライナー「随分楽しそうだな」

    クリスタ「うん!ユミルと服買いに来たりご飯食べに来たりする事もあるけど、こうやって同じ班の人と訓練の事を考えながらする買い物も楽しいから!」

    ライナー「そうか…」

    クリスタ「お会計行こ!」タッタッタッ

    ライナー「あぁ…確か悪くないかもな…」ボソッ



    アニ「ねぇ、こっちにも釣り針と釣り糸あるしさっきの店で買わなくてもよかったんじゃない?」

    エレン「こういう店より専門店の方が糸は頑丈だからな、まぁ針はここでもよかったんだけど」

    アニ「そうなんだ…あ、コンパスあったよ」

    エレン「虫めがねと針金は見つけたし、会計行くか」

    アニ「うん…」(もう少しだけ二人で買い物してたかったな…)

    エレン「…アニ、金渡しとくから先に会計して外に出ててくれ」

    アニ「何か買い忘れ?」

    エレン「まぁそんな感じだ」

    アニ「?別にいいけど…じゃあ表で待ってるから」

    エレン「あぁ」




    エレン「これ2つください」

    「はいよ」




    エレン「待たせたな」

    クリスタ「遅いよー」

    ライナー「次はどこだ?」

    エレン「みんな腹減ってないか?」チラッ(アニは今朝食堂にいなかったしそろそろ飯にしてやらないと)

    アニ(そういえば朝食べてないしお腹空いたかも…)

    ライナー「それなら美味い和食屋知ってるぞ」

    クリスタ「じゃあそろそろご飯にしよっか!」

    アニ「そうだね」(思い出したら余計お腹空いてきた…)

    和食屋

    アニ「美味しい…」モグモグ

    エレン「美味いな」モグモグ

    クリスタ「この茶碗蒸しっていうの凄く美味しいよ!」モグモグ

    ライナー「喜んでもらえてよかった」(こんなに楽しい飯の時間は久しぶりだな…)

    アニ「あんたのそれ美味しそうだね、私もそれ頼めばよかった…」

    エレン「…ほら…食えよ」スッ

    アニ「…は、はぁ?///」(これって…)

    クリスタ(あーんだ…)

    ライナー(あーんだな…こいつらデキてんのか?)

    エレン「食いたいんだろ?」ニヤ

    クリスタ(!…エレンがあんな表情見せるなんて…ちょっとドキッとしちゃった)

    アニ「…」パクッ

    ライクリ(いったああああ!!)

    エレン「どうだ?」

    アニ「……美味しい…」(恥ずかしすぎる…)

    ライナー「あー…その、なんだ…お前ら付き合ってるのか?」

    エレアニ「付き合ってないけど」

    ライナー「えっ…」(こんなやり取りしてるくせに付き合ってねーのかこいつら)

    クリスタ(その気持ちよく分かるよライナー…)
  43. 50 : : 2018/08/31(金) 10:03:06
    夕方

    クリスタ「あー疲れたー!」

    ライナー「飯の後も色々回ったしな」

    エレン「じゃあここら辺で解散しとくか」

    アニ「?みんな訓練所に戻るんだしここで解散しなくてもいいんじゃない?」

    エレン「悪い、俺は少し行く所があってな」

    ライナー「なら俺たちは先に帰るぞ?」

    エレン「あぁ」

    クリスタ「じゃあまた夜にね!」

    ライナー「お先」

    アニ「…」(どこ行くんだろ…)

    エレン「また後でな」スタスタ



    ライナー「それにしてもエレンのやつどこに行ったんだろうな…誰かと約束でもしてたのか?」

    クリスタ「私は何も聞いてないよー、アニは?」

    アニ「私も何も…」(気になる…)

    クリスタ「それにしてもお昼の和食すごく美味しかったねー!」

    ライナー「そんなに気に入ってもらえたなら紹介した甲斐があったな」ハハハッ

    クリスタ「今回の訓練が終わったらまたこの4人で食べに来ようよ!」

    ライナー「……そうだな…」

    アニ「…ごめん、私も用事思い出した…先に帰ってて」

    クリスタ「え、アニも?」

    ライナー「別に構わんが…」

    アニ「それじゃまた後で」タッタッタッ



    クリスタ「エレンもアニもどうしたんだろ…」(ハッ!まさか二人で落ち合ってるんじゃ…)

    ライナー「さぁな…まぁ色々あるんだろ、行こうぜ」スタスタ

    クリスタ「うん…」スタスタ(気になる…)
  44. 51 : : 2018/08/31(金) 10:03:19
    ーーーーーーーー

    アニ(さっきこの辺りで別れたしまだこの辺りに…)キョロキョロ

    エレン「この花をください」

    「はーい」(イケメンが花を…!)

    アニ(いた!…でも花って…誰かに渡すのかな…)モヤモヤ

    エレン(門限までにはなんとか間に合うか…)スタスタ

    アニ(ごめん、尾行なんて…)ササッ

    エレン(訓練兵になる前日に行って以来だな)

    アニ(でもどうしても気になるんだ…)

    ーーーーーーーー

    トロスト区-街の外れ

    アニ(街からも外れてるし、こんな所に何が…)

    エレン「悪いな…本当は毎日にでも来てやりたいんだけど、そうもいかなくてな…」

    アニ(あんな所に座り込んで何してるんだろう…)

    エレン「まだ完全には乗り越えられてねぇけど、少しは前に進めた気がするよ」

    アニ(何か話してるけどここからじゃ聞き取れない…もう少し近くに…)

    パキッ…

    アニ(やばっ…!)

    エレン「誰だ!」

    アニ「…………ごめん…私…」

    エレン「アニか…」

    アニ「本当にごめん…」

    エレン「…お前ならいい、こっち来いよ」

    アニ「あの…私…どうしても気になって…」

    エレン「お前ならいいって言ったろ、こっちに来て挨拶してやってくれ」

    アニ「うん…」スタスタ





    エレン「母さんとミカサの墓に」





    アニ「…」(私は本当に最低だ…エレンにとって大事な二人の御墓参りを尾行するなんて…)

    エレン「手を合わせるだけで構わないから…」

    アニ「うん…」スッ



    エレン「二人が死んだのはシガンシナ区だけど今は行けねぇからさ、シガンシナ区になるべく近いここに墓を建てたんだ」

    アニ「エレン…本当にごめん…」

    エレン「いいって言ってるだろ?いつかはお前も連れて来ようと思ってたしな」

    アニ「…」

    エレン「そろそろ帰るぞ…」スタスタ

    アニ「…うん」
  45. 52 : : 2018/08/31(金) 10:03:42
    エレン「門限ギリギリだったな」

    アニ「うん…」

    エレン「いつまで気にしてんだ」ポンポン

    アニ「だって大事な二人の御墓参りだったのに…」

    エレン「いいんだよ」ナデナデ

    アニ「…」(こんな話をしてるのに頭を撫でられて喜ぶなんて不謹慎だな…)

    エレン「夜の集合の時にもまだそんなしけた面してたら怒るぞ?俺がいいって言ってんだ、もう気にするな」

    アニ「…分かった」

    エレン「それじゃあまた後でな」スタスタ

    アニ(…私どんどん嫌な女になっていくな…彼女でもないのにあいつの行動一つ一つが気になって仕方ない…あいつは私の事、どう思ってるんだろ…)

    ーーーーーーーー

    ガチャ

    ジャン「戻ったかエレン」

    エレン「あぁ、アルミンとコニーは?」

    ジャン「あいつらなら訓練の話とかでサシャとユミルの所に行ったぜ、いいよな知ってる奴が全員同じ班って」

    エレン「ジャンは確か…」

    ジャン「全員知らねーよ!チクショウ!」

    エレン「ハハッ…ついてねぇな」

    ジャン「…お前最近たまに笑うようになったよな」

    エレン「そうだな…アニのおかげだ」

    ジャン「とっとと付き合っちまえよ、あいつがお前の事を好きなのは気付いてんだろ?」

    エレン「…まぁ、なんとなくはな…」

    ジャン「相手の好意に気付いてながら放置なんてのは男じゃねーよ」

    エレン「その通りだ、だから告白する気ではいるよ」

    ジャン「!…そうだったのか、それはなんつーか野暮な事言っちまったな」

    エレン「気にすんな」

    ジャン「まさかお前とこんな話をする時が来るなんて思っても見なかったな」ハハッ

    エレン「俺はこんな話どころかお前と二人だけの空間に耐えられるとすら思ってなかったよ」クスッ

    ジャン「お前そんな風に思ってたのかよ!」ケラケラ

    エレン「俺の中でお前に対しての見方が大きく変わったのは、目的は違えど調査兵団に入るって夢が同じと知った時からだ」

    ジャン「…お前の目的はなんなんだよ」

    エレン「外の世界を見て回る為だ、この世界には俺たちがまだ見た事もないような世界が広がってるんだ」

    ジャン「外の世界か…考えた事も無かったな…」

    エレン「知ってるか?この世界の大半は海っつー塩水で覆われててよ…それだけじゃねぇんだ、他にも…」

    扉の前

    アルミン(エレンは変わったな…誰かに自分の思ってる事をこんなにも楽しそうに話すなんて…)クスッ
  46. 53 : : 2018/08/31(金) 10:04:00
    23時-門前

    キース「これより馬車に乗りサバイバル訓練を行う山へと移動する、到着後全班一斉に訓練開始だ」

    「「「ハッ!」」」

    23時55分-山の麓

    キース「全班が揃った所で訓練内容の追加を言い渡す」

    エ?
    ソンナノキイテナイゾ…
    ナンデソンナノイマニナッテイウンダヨ!

    キース「…この山の山頂にある小屋の中に蹄鉄を用意してある…各班はそれを一つ持ち帰る事」

    キース「迎えの馬車は3日目の18時だ、それまでに全班集合しておくように…」

    キース「では、訓練開始!!!」

    「「「ハッ!」」」





    キース(願わくば誰一人欠ける事無く戻ってきてくれ)
  47. 54 : : 2018/08/31(金) 10:04:21
    1日目-0時30分

    ライナー「訓練内容の追加とはな…エレンは予想していたのか?」

    エレン「当然だ、ただ3日間過ごせばいいのなら山の麓の川付近で魚でも釣って過ごせばいいだけだろ?なら過酷でもなんでもねぇよ」

    ライナー「…確かにそうだな」

    クリスタ「あ、洞窟だ」

    エレン「今日はあの洞窟で寝るぞ」

    アニクリライ「!?」

    アニ「いくらなんでも寝るの早くない?」

    クリスタ「そうだよ!山頂に蹄鉄を取りに行かないといけないのに…」

    エレン「夜の登山は危険だ、視界が悪い上に誰かがはぐれたりしたら面倒だ」

    ライナー「ここはエレンに従った方がよさそうだな…」

    洞窟内

    エレン「お前らは寝てろ、俺は火を焚いて外の見張りをしておく」

    ライナー「なら先に寝かせてもらうぞ、悪いな」

    クリスタ「ごめんね、全部エレンに任せちゃって…おやすみ」

    アニ「おやすみ…」(エレンは寝ないのかな…)

    1時30分

    アニ(全然寝れない…)

    アニ(エレンはまだ起きてる…そりゃそうか…自分から見張りを申し出といて寝るようなやつじゃないよね)

    アニ(普段とは違う状況だからかな…なんかアプローチしてみようかなって思っちゃう…)

    2時

    エレン(6時出発くらいがベストだしそれくらいに起こすか…)

    アニ「エレン…」

    エレン「アニ…まだ起きてたのか?」

    アニ「うん…」

    エレン「6時くらいに出発を考えてるからもう寝たほうがいい」

    アニ「…」ストン

    エレン「…俺の話聞いてたか?」

    アニ「手…握ってもいい?」

    エレン「あ、あぁ…」

    アニ「ありがと」ギュ



    エレン「これ以上起きてたら朝に支障が出る、本当に寝たほうがいい」

    アニ「迷惑?」

    エレン「いや…そういうわけじゃねぇけど…」

    アニ「ならいいでしょ」

    エレン(どうしたんだ?こいつ…)

    アニ(エレンが隣にいると安心する…)ウトウト

    3時

    アニ(zzz…)ス-ス-

    エレン(やっと寝たか…)

    6時

    エレン「アニ、起きろ」ユサユサ

    アニ「…ん…」パチッ

    エレン「起きたか?出発するからあいつら起こしてきてくれ」

    アニ「あ、うん…」(そういや昨日エレンの手握りながら寝たんだった…思い返すと恥ずかしいな…)



    エレン「起きたか」

    ライナー「おう」

    クリスタ「おはよう」

    エレン「お前らこれ食っとけ」

    クリスタ「焼き魚?」

    エレン「お前らが起きてくる間にそこの川で獲ってきて焼いたんだ」

    クリスタ「そうなんだ!ありがとう!」モグモグ

    ライナー「悪いな、何から何まで」モグモグ

    アニ「ありがと…」モグモグ

    エレン「食い終わったら出発だ」モグモグ

    12時

    ライナー「それにしても他の班の連中が全然いないな」

    エレン「昨日訓練開始して夜通し歩いて今頃寝てるって感じだろうな…多分とっくに追い越してるぞ」

    クリスタ「え?でも夜通し歩いてたならもっと先にいるんじゃ…」

    エレン「夜なら足元も地形も見え辛いからな、本人達が思ってる以上に進んでねぇってのがオチだろうな」

    アニ「それであんたは昨日訓練が始まって早々に就寝にしたんだね」

    エレン「あぁ、他の連中は起きたら夕方近いからまた見え辛い山道を歩くだろうし…悪循環だな…」

    ライナー「なら今のところ俺たちが一番だな」

    エレン「どうだろうな…一番か二番のどちらかは間違い無いと思うけど」(アルミンの班がいるしな…)

    15時

    ライナー「エレン、そろそろ休憩を取った方がよくないか?俺たちは大丈夫でもクリスタが…」チラッ

    クリスタ「はぁ…はぁ…」

    エレン「悪い、気付いてなかった…休憩にしよう」(やっぱり少しでも寝ておけばよかったか…集中力が切れてきてる…)

    ガサガサッ

    狼「ガルルル…」

    エレン「!クリスタ!!」ダッ

    クリスタ「え?」

    エレン(ここからじゃ間に合わない…!)

    アニ「!?後ろに狼が!」

    ライナー(やばい!)ダッ

    狼「ガウッ!!」ダッ

    クリスタ「きゃあああ!!」

    ライナー「どけ!」ドンッ


    狼「グルル!」ガブッ

    ライナー「痛ッ!」(しまった…!何自分から怪我をしに行ってるんだ!)

    エレン「ライナー!そのまま抑えてろ!」

    ライナー「!」ガシッ

    エレン(俺が指揮していたのになんてザマだ…)グサッ

    狼「キャウン!…」ビクッ…ビクッ…

    ライナー(やばい…集中しないようにしないと傷口が修復しちまう…)

    エレン「そのままじっとしてろ!今すぐ治療をする」スッ

    クリスタ「それって釣り針と釣り糸!?」

    エレン「集中するから黙ってろ!」
  48. 55 : : 2018/08/31(金) 10:04:45
    エレン「悪い…俺がもっとしっかり気を配ってれば…」

    ライナー「気にするな…お前の治療のおかげで大事には至っていない」

    クリスタ「ごめんね…私を庇ったせいでライナーが怪我を…」グスッ

    ライナー「気にするなよ、咄嗟に体が動いちまっただけだ…」

    アニ「…それにしてもあんたのその医療技術はなんなの?」(ライナーの傷口を釣り針と釣り糸で縫合するなんて…)

    アニ(それにナイフで狼の心臓を一突き…)

    エレン「……俺は元々医者の息子だからな…」

    アニクリライ「!?」

    アニ(知らなかった…)

    ライナー「何はともあれ、幸いにも怪我したのが足でなくてよかった…足なら山を登れないからな…」

    クリスタ「ライナー!何言ってるの!?今すぐ麓まで降りなきゃ…」

    ライナー「降りたところで迎えが来るのは3日目の18時だ、教官が言ってただろ?どんな危険に合おうと一切の手助けはしないって」

    クリスタ「でも…」

    エレン「…ライナーの荷物は俺が背負う、ライナー…ついてこれるよな?」

    ライナー「当然だ」

    エレン「…進むぞ」

    17時

    エレン「少し早いが今日はこの川沿いで野宿にする」

    アニ「私は周りに針金使って罠を張ってくる」スタスタ

    エレン「頼んだ、俺は食料調達に行ってくる、クリスタはライナーの身の回りの世話を頼む」スタスタ

    クリスタ「うん…」

    ライナー「クリスタ…そこまで気に病まなくていい」

    クリスタ「でも…ごめんね…」

    18時

    エレン「飯出来たぞ」

    アニクリライ「!?」

    ライナー「何だこの豪勢な飯は…」

    アニ(エレンの手料理!)

    クリスタ(エレンのお刺身!)

    ライナー「いただきます」パクッ

    アニ「いただきます…」パクッ

    クリスタ「いただきます!」パクッ

    ライナー「…お前料理人になれんじゃねーのか!?」(美味すぎる)

    アニ「美味しい…」

    クリスタ「本当に美味しいよ!」

    エレン「…飯食い終わったら男女交互に水浴びだ…」

    20時

    ライナー「ふー、さっぱりしたな」

    エレン「今日も俺が見張りをするからお前らは寝てろ」

    クリスタ「え、さすがに連続はエレンに悪いよ…」

    エレン「別に構わねぇよ…見張りと言ってもずっと警戒してるわけじゃないし、軽くは寝てるから」

    アニ(嘘つき…ずっと起きてたくせに…)

    クリスタ「そう…?それなら休ませてもらうけど…」

    エレン「あぁ、それとライナーは寝る前に包帯取り替えとけよ」

    ライナー「ん?あぁ分かった、それじゃお先」スタスタ

    エレン「おう、お疲れ」

    アニ「…」

    エレン「お前も寝ろよ…」

    アニ「やっぱり今日は私が見張りをするよ…」

    エレン「ダメだ、しっかり休め」

    アニ「それならあんたも休まないと」

    エレン「俺は大丈夫だから、な?」

    アニ「…分かった…おやすみ」

    エレン「おやすみアニ」
  49. 56 : : 2018/08/31(金) 10:05:11
    2日目-2時30分

    エレン(俺がもっとしっかりしていればライナーが負傷する事もなかったのに…)

    エレン(何をしてんだ俺は…)

    エレン「…」チャリ…(これも早く渡さねぇとな…)

    3時

    パチッ

    アニ「…」ムクッ

    アニ(やっぱり起きてるし…)スタスタ

    アニ「エレン」

    エレン「…お前また起きてたのか」

    アニ「ううん、さっき目が覚めたとこ」

    エレン「喉が渇いたなら水飲んでさっさと寝ろよ」

    アニ「…」ストン

    エレン「お前なぁ…」

    アニ「迷惑?」ニヤッ

    エレン「…好きにしろ」

    アニ「そうする」クスッ

    エレン「…」

    アニ「…」

    エレン「…恐らく昼過ぎには山頂の小屋に着くだろうから順調に行けば3日目の昼頃には麓に帰れると思う」

    アニ「…ねぇ」

    エレン「何だ?」

    アニ「見張りを交代するって言ってもあんたは許してくれないだろうから、1時間交代で寝る事にしない?」

    エレン「いきなり何だ」

    アニ「訓練始まってから寝ずに班のみんなを指揮して、見張りもして、見張りをしてる最中もずっと休む間も無く訓練の事考えてる…せめて今だけは私を頼ってよ」

    エレン「…」

    アニ「お願い」

    エレン「…1時間だけだ」

    アニ「ありがと…膝貸してあげる」

    エレン「あ、あぁ…」(なんか訓練始まってから大胆になったなこいつ…)

    3時5分

    エレン(zzz…)ス-ス-

    アニ(すぐ寝ちゃった…よっぽど疲れてたんだね)

    アニ(ありがとう…エレン)ナデナデ

    7時

    ライクリ「おはよう」スタスタ

    アニ「あっ…」

    ライクリ「…」(アニがエレンを膝枕してる…)

    アニ「あの…これは…」アセアセ

    クリスタ「あー…ライナー、朝食作ろっか」

    ライナー「そうだな、邪魔しちゃ悪いし」(これで何で付き合ってないんだ…」

    アニ「…///」(見られた…)

    7時30分

    パチッ

    エレン「…しまった!」ガバッ(寝すぎた!)

    ライナー「よう、お目覚めか?」ニヤニヤ

    クリスタ「おはようエレン」ニヤニヤ

    エレン「…」イラッ

    アニ「…おはよ」

    エレン「あ、あぁ…」

    クリスタ「朝食は私とライナーが作っておいたから食べて出発しよ」

    ライナー「お前ほどじゃねーが、美味いと思うぞ」

    エレン「…ごちそうさま」

    アニライクリ「早ッ!」
  50. 57 : : 2018/08/31(金) 10:05:35
    13時

    ライナー「おいエレン…これは予想してたか…?」

    エレン「…完全に想定外だ」

    クリスタ「何この崖…もしかして小屋ってこの上!?」

    アニ「ざっと20mはあるね…」

    クリスタ「こんなのどうしたら…ライナーは腕を怪我して登れないし…私もこんな崖登れる気がしないよ…」

    エレン「俺が登って蹄鉄を取ってくる」

    アニライクリ「!?」

    アニ「あんた何言ってんの?命綱はないんだよ?」

    ライナー「ここは諦めて迂回ルートを探すべきだろ」

    クリスタ「そうだよエレン!危険すぎるよ…」

    エレン「…ロープだけ肩にかけて、他の荷物は置いていく」ドサッ

    ライナー「おいエレン!」

    エレン「俺なら大丈夫だ、お前らは精々俺が落ちない事だけ祈っててくれ」

    エレン「よっと」ガシッ



    ライナー「本当に何者なんだあいつ…」

    クリスタ「…あっという間にもう半分くらい登っちゃった…」

    アニ(エレン…)



    エレン(あともう少し…)

    ガラッ…

    エレアニライクリ「!?」

    アニ「エレン!!」

    エレン「しまっt」ガシッ

    エレン(危なかった…)

    アニ「よかった…」ホッ



    エレン(なんとか登れた…取り敢えず無事を知らせる為に手でも振っとくか)

    ライナー「あの野郎こっちの気も知らないで手なんか振ってんぞ…」ハハッ…

    クリスタ「途中はどうなる事かと思ったよ…」

    アニ(本当に無事でよかった…)



    エレン(あの小屋か…)スタスタ

    ガチャ

    コニー「ん?エレンじゃねーか!無事でよかった!」

    サシャ「あ、こんにちは!」

    エレン「お前らこそ無事でよかったよ」(まさか先客がいるとはな…ん?)

    エレン「アルミンとユミルはどうした?」(負傷でもしたのか?)

    コニー「二人なら山の中間辺りで待機してるぞ」

    エレン「待機だと?」

    サシャ「アルミンの作戦で山頂の小屋までは山育ちの私たちが二人で行った方が早いと言うもので…」

    エレン「なるほどな」(さすがはアルミン…考えたな)

    エレン「それにしてもあの崖を登るなんて大したもんだな」

    コニー「崖?崖って何の事だ?」

    サシャ「私たち崖なんて登ってませんよ?」

    エレン「…いや、忘れてくれ」(やはり他のルートもあったのか…俺たちの班は運悪く貧乏くじを引いたってわけか…)

    コニー「それよりそのロープなんだ?」

    エレン「これか?…バンジー用だ」

    コニサシャ「???」

    エレン「それじゃ蹄鉄も取ったし、先に失礼する」スタスタ

    コニー「おうまた明日麓でな!」

    バタン

    エレン(この長さならこの辺りの木でいいか)

    エレン(よし…木には結んだし腰にも結んだ…)

    エレン(後は切れねぇ事を祈るだけだな)ダッ



    クリスタ「エレン遅いね」

    ライナー「そろそろ崖の上から顔出してもいい頃なんだがなぁ…」

    アニ「…!?ちょっ、上!」

    ライクリ「え?…!?」

    エレン(切れるなよ…)ヒュ---

    ライナー「あいつ何やってんだ!!!」

    クリスタ「えっえっ…」アタフタ

    ピタッ

    エレン「よう、戻ったぞ」

    ライナー「戻ったぞじゃねーよ!後1mロープが長かったら死んでたかもしれないんだぞ!」

    エレン「でも死んでねぇだろ?」

    アニ「…」スタスタ

    クリスタ「本当に心配したんだからね!?」

    エレン「悪かったな」

    アニ「…」パンッ…

    エレン「痛ッ…」

    アニ「どれだけ心配したと思ってんの…ロープが切れてたらあんた死んでたんだよ?」

    ライクリ(アニが凄く怒ってる…)

    アニ「私をまた…一人にする気?」

    エレン「!…」

    エレン「悪かった…」(そうだった…たかが訓練で俺はアニをまた一人にさせる所だった)

    アニ「…」

    クリスタ「あ…えっと…蹄鉄は手に入れたんだよね?なら早く下山しようよ」(何か話題を変えないと…)

    ライナー「そ、そうだな」
  51. 58 : : 2018/08/31(金) 10:05:52
    19時

    ライナー「丁度頃合いの洞窟も見つけたし今日はこの辺りで野宿でいいよな?」

    エレン「…あぁ」

    アニ「…」

    クリスタ「私ご飯の準備してくるね…」(気まずい…)

    ライナー「俺は包帯の取り替えに…」(気まず過ぎる…)

    エレン「アニ、さっきは悪かった」

    アニ「…水汲んでくるから」スタスタ

    エレン(相当怒ってんな…)

    20時

    ライナー「…」モグモグ

    クリスタ「…」モグモグ

    エレン「…」モグモグ

    アニ「…」モグモグ

    21時

    エレン「今日も俺が見張りをするから…」

    アニ「…」

    ライナー「お、おう…」(なんだこの空気…)

    クリスタ「最後までごめんね…」(エレンには申し訳ないけど早くこの場から逃げたい…)



    アニ「…」

    エレン「アニ」

    アニ「…」

    エレン「悪かった」

    アニ「…もう寝るから…」スタスタ

    エレン(どうしたもんか…)
  52. 59 : : 2018/08/31(金) 10:06:25
    3日目-0時

    アニ(全然寝れない…)

    アニ(やっぱりエレンときちんと話そう…)ムクッ

    スタスタ

    アニ「エレン…」

    エレン「アニ…どうした?」

    アニ「…」

    エレン「…」

    アニ「…ごめん」

    エレン「お前が謝る必要なんてねぇよ…」

    アニ「でも私はあんたの事叩いて避けてた…」

    エレン「…隣座れ」

    アニ「…うん」ストン

    エレン「アニ…お前に言わなきゃいけねぇ事がある」

    アニ「えっ…なに?」

    エレン「…」

    アニ「…」

    エレン「俺はお前の事が好きだ」

    アニ「…ぇ…え?」(今こいつ私の事好きって…)

    エレン「俺は無愛想で…たかが訓練でも無茶して、いずれは調査兵団へ行くなんて言ってる死に急ぎ野郎だ」

    アニ「…」

    エレン「でも何があってもお前の元に帰ってくると約束する、絶対にお前を一人にはしない…」

    エレン「こんな俺でも受け入れてくれるなら…これを受け取ってほしい」

    アニ「…指輪…?」

    エレン「ペアリングってやつだ」

    アニ「………嫌だよ」

    エレン「そう…だよな…」

    アニ「あんたがいない人生なんて嫌」

    エレン「!…それって…」

    アニ「指輪…あんたが着けて…」スッ

    エレン「あぁ…」



    エレン「本当に俺でよかったのか?」

    アニ「あんたじゃないと嫌」

    エレン「…ありがとう」

    アニ「こちらこそ」クスッ
  53. 60 : : 2018/08/31(金) 10:07:09
    1時

    アニ(夢みたいだ…)

    アニ(好きな人から告白されて恋人同士になれるのってこんなにも幸せなんだ)

    エレン「さっきからどうした?ぼーっとして」

    アニ「え、いや、別に…///」

    アニ「そういえば以前私に突っかかってきた人たちがいたんだけど最近見ないなー」(付き合ったって知ったらまた何か言ってきそう…)

    エレン「あぁ、あいつらか」

    アニ「知ってるの?」

    エレン「まぁな…今頃開拓地で畑でも耕してるんじゃないか?」

    アニ「え、どういう事…」

    エレン「アニ…この世には知らない方がいい事もあるんだよ」ニヤッ

    アニ(この笑顔は怖い…)

    エレン「お前はもう寝ろ、6時にはみんな起こして13時頃には麓に着きたいからな」

    アニ「うん…おやすみ、エレン」

    エレン「おやすみ、アニ」

    5時半

    エレン(起こす前に水浴びにでも行くか…ここから5分くらいの所に川があったはずだし…)スタスタ



    エレン(やっぱり朝の水浴びは気が引き締まるな…)ザバッ

    バシャ…バシャ…

    エレン(!?誰だ!)

    ユミル「…」

    エレン「…」

    ユミル「は、はぁ!?///」バッ

    エレン「ユミルか…驚かせんな」

    ユミル「お前何してんだよ全裸で!」

    エレン「川で全裸なんて水浴びに決まってんだろ、それにお前も全裸じゃねぇか」

    ユミル「いいからあっち向けよ!!」イラッ

    エレン「お前の裸体になんか興味ねぇって…」

    ユミル「いいから向けぇぇ!」



    エレン「…もう服着たか?」

    ユミル「あぁ…」

    エレン「お前の班もこの辺りで野宿してたんだな」

    ユミル「アルミンの指揮のおかげで初日に立ててた予定通りだったよ…」(こいつの筋肉すげぇ…ムキムキじゃねーか…着痩せするタイプだったんだな)

    エレン「そういや山頂の小屋でコニー達と会ったな」

    ユミル「聞いたぞお前バンジーして崖の下まで降りたらしいな」ゲラゲラ

    エレン「あいつら見てたのか」ザバッ

    ユミル「お、お前急に立つなよ…目のやりどころに困んだろ…」

    エレン「お前男勝りなくせして案外ウブなんだな」

    ユミル「うるせーよ!」(あれ…こいつこんな指輪つけてたっけ?)

    エレン「じゃあそろそろ班のやつら起こさないといけないから、着替えて戻るよ」

    ユミル「あぁ、私も戻る…じゃーな」

    エレン「また麓でな」(戻って飯作っておいてやるか)

    6時

    エレン「お前ら起きろ、飯食って出発するぞ」

    ライナー「…もう朝か…」ムクッ

    エレン「腕の調子はどうだ?」

    ライナー「まだ痛むが、大丈夫だ」(こいつらの手前修復できないのが面倒だな…)

    クリスタ「ん…おはよう…」ウトウト

    エレン「飯の用意はしてあるから、顔洗ってさっさと食えよ」

    クリスタ「うん…」ウトウト

    エレン「おいアニ…起きろ、朝だ」

    アニ「…んん……」

    エレン「…ライナーとクリスタは先に食ってろ」

    クリスタ「う、うん」スタスタ(また気まずい1日が始まる…)

    ライナー「おう…」スタスタ

    エレン「アニ」

    アニ「…」

    エレン「起きてんだろ?」

    アニ「……何で分かったの?」

    エレン「内緒だ、飯にするぞ」ニヤッ

    アニ(何だか恥ずかしくて寝たフリしてたのにバレたせいで余計恥ずかしい…)

    6時15分

    エレン「…」モグモグ

    アニ「…」モグモグ

    クリスタ「…」モグモグ(二人とも早く仲直りしてくれないかなぁ…)

    ライナー「…」モグモグ

    エレン「アニ…」

    アニ「なに?」

    クリスタ(…何だか胃が…)キリキリ

    エレン「ちゃんと野菜も食え」

    アニ「…これ苦いから嫌い」

    ライクリ(ん?)

    エレン「食わせてやるから食え、ほら」スッ

    アニ「…///」ア-ン

    ライクリ(んん?)

    アニ「苦い…」

    エレン「我慢しろ」

    ライクリ(んんん?)

    クリスタ「ん?…あれ?アニって指輪なんてつけてたっけ」

    アニ「!…えっと…つけてたよ…」(内緒にしとこうって話にはなってないけど敢えて話すのも恥ずかしいし…)

    エレン「そろそろ出発するぞ」
  54. 61 : : 2018/08/31(金) 10:07:31
    12時30分

    クリスタ「着いたー!」

    ライナー「俺たちが一番だったみたいだな」

    エレン「アルミンの班と競ると思ってたんだけどな…」

    アニ「18時まで暇だね…」

    ガサガサ

    アルミン「やっと着いたね…」

    サシャ「疲れました…早くお風呂にゆっくり浸かりたいです…」

    ユミル「お前が飯より風呂の事考えるなんて、明日は雪でも降るんじゃねーか?」ケラケラ

    サシャ「失礼ですね!」

    コニー「あ!エレンの班がもうついてんぞ!」

    アルミン「さすがエレンだね…」

    エレン「お疲れ、アルミン」

    アルミン「勝てると思ったんだけどなー」ハハッ…

    エレン「俺の班もついさっきついたところだ、それ程変わらねぇよ」

    サシャ「お腹空きました!」

    エレン「じゃあ1班2班合同で飯にでもするか」

    サシャ「いいですね!」

    13時30分

    サシャ「これ美味しいですね!誰が作ったんですか?」ムシャムシャ

    アルミン「確かに美味しいね」(この味付けはエレンかな?シガンシナにいた頃に何度か食べさせてもらった味に似てる…)モグモグ

    クリスタ「それはエレンが作ったやつだね!」

    ユミル「へーお前料理の才能もあったんだな」

    サシャ「こんなに美味しい物作れるなんて…私のお嫁さんになってください!」

    アニ「…」ピクッ

    ユミル(ん?アニのあの指輪どこかで…あ、エレンのやつと同じ指輪じゃねーか!)

    エレン「断る、飯代がいくらあっても足りなさそうだ」

    アルミン「はははっ、確かにサシャの食欲は異常だからね」

    コニー「あ、お前俺の分取りやがったな!」ガツガツ

    ライナー「余所見してんのが悪いんだよ」ハハハッ(こんな時間がいつまでも続けばいいのにな…こんな事考えるなんて俺は戦士失格だな…)

    クリスタ「ほら、私のあげるから」

    コニー「お前いい奴だな!」

    ユミル「…ところでさ…なんでお前ら同じ指輪つけてんの?」

    アニ「…」

    エレン「…」

    シ-ン…

    アニ(何でいきなりこんなに静かになるの…)

    エレン「…」

    アニ「…」

    エレン「…」モグモグ

    アルミン「このタイミングで食べる!?」

    アニ「その…」チラッ(別に言ってもいいんだよね…?)

    エレン「付き合ってるからだ」

    エレン以外「!?」

    アニ(そんなサラッと言わないでよ…いや私も言おうとしたけど…)

    アルミン「え、付き合ってるってこの訓練前はまだ付き合ってなかったんだよね…?」

    エレン「あぁ」

    クリスタ「って事はこの3日の間に…」(今朝はもうアニが指輪つけてたし昨日私が寝た後かな?)

    ユミル「ったくお前ら訓練中に何やってんだよ」ケラケラ

    サシャ「おめでとうございます!」

    コニー「おめでとう!」

    ライナー「二人ともおめでとう」(喧嘩したと思ったら今朝妙に仲が良かったのはこういう事か…)

    クリスタ「おめでとう!アニ!」(エレンの事を想う気持ちが報われてよかったね…)

    アルミン「あのエレンが…本当におめでとう」ナミダメ

    エレン「お前は俺の母さんかよ」クスッ

    アニ「…ありがと」(やばい…本当に恥ずかしい)

    エレン「みんな…ありがとな」(俺にこんな時が来るなんてな…2年前には考える事も出来なかったな)
  55. 62 : : 2018/08/31(金) 10:07:50
    18時

    キース「今回の訓練はこの時刻を持って終了とする!」

    キース「今回の訓練で得た経験や知識は必ず貴様らのプラスになっているはずだ、その事を忘れずにまた明日から訓練に励め!」

    キース「それでは撤収する!馬車に乗れ!」

    「「「ハッ!」」」

    ーーーーーーーー

    男子寮-1号室

    アルミン「あー疲れたねー」

    コニー「俺今すぐにでも寝れるぜ!」

    ジャン「お前はいっつもすぐ寝てんだろ」

    エレン「3日間なのにジャンとは久々に合う感じがするな」

    ジャン「たしかにな…ん?おいエレンお前指輪なんてつけてたか?」

    コニー「おいジャン!エレンとアニって付き合ってるんだってよ!」

    ジャン「そうか…よかったなエレン」

    エレン「あぁ」

    アルミン「あれ?ジャンは驚かないの?」

    ジャン「まぁ…訓練の出発前にその手の話を二人でしてたからな」

    アルミン「えっ…いつのまに二人ともそんなに仲良くなったの?」

    エレン「いいじゃねぇかそんな話」

    ジャン「話してやりゃいいじゃねーか、俺たち二人の話をよ」ケラケラ

    エレン「お前その言い方は気持ち悪い」

    ーーーーーーーー

    女子寮-1号室

    サシャ「はーお腹減りましたねー」

    ユミル「ほんとお前はそればっかだな」

    クリスタ「ずっと洞窟や地べただったからベッドはいいなー」フカフカ

    アニ「私は疲れたしもう寝るよ」スタスタ

    ユミル「ちょっと待て」ガシッ

    アニ「…なに?」

    ユミル「お前今日このまま寝れると思ってんのか?」ニヤニヤ

    クリスタ「そうだよ!エレンとの話を聞かせてくれないと!」キラキラ

    サシャ「そうですよ!何であそこまで美味しい料理が作れるのか!」

    アニ「…あんたの聞きたい話だけちょっと違わない?」
  56. 63 : : 2018/08/31(金) 10:08:05
    朝-食堂

    アルミン「昨日エレンが作ったご飯を食べた後だからかもしれないけど、今日の朝食はあまりおいしくなく感じるね…」

    コニー「そうか?エレンの飯も美味かったけど今日の朝飯も美味いぞ!」ガツガツ

    ジャン「エレンの飯はそんなに美味かったのか?」モグモグ

    アルミン「ジャンがあの時いなかったのが本当に残念なレベルでね」

    エレン「そんなに持ち上げても何もねぇぞ」

    アルミン「本当の事だよ、また今度作ってよ」

    エレン「…気が向いたらな」

    アニ「…」スタスタ

    アニ「…」ストン

    アルジャン(当然かのようにエレンの隣に座った…別にいいんだけど…)

    エレン「おはようアニ」

    アニ「おはよ」

    アルミン「君たちの仲は周りには内緒にするのかい?」

    エレン「別にどっちでもいいんじゃねぇか?」

    アニ「聞かれたら言うくらいでいいと思ってる」

    アルミン「まぁ、君たちがそれでいいならいいと思うけど…」

    ジャン「いいのか?アニ」

    アニ「なにが?」

    ジャン「ぶっちゃけエレンはモテるぞ、彼女アピールしとかないとコクる奴も出て来ると思うがな」ニヤニヤ

    アニ「…」ピクッ

    エレン「…からかうのはよせよジャン、例えコクられてもアニ以外の女に興味ねぇよ」モグモグ

    アニ「…///」

    アルミン(顔もそうなんだけどこういう事をサラッと言えるのがモテる所なんだろうなぁ…)

    エレン「それよりアニ、罰則覚悟で今日の訓練サボってくれないか?」

    アニ「え?何かあるの?」

    エレン「連れて行きたい所がある」

    アニ「別にいいけど…」

    エレン「ならこの後裏門に来てくれ」

    アニ「分かった」

    ジャン「裏門なんてあんのか?」

    アルミン「僕も初めて知ったよ」

    エレン「今食ってるこの食料とか備品とかもいつも裏門から搬入してるんだよ、使う人が教官とかしかいねぇから常時開門されてる状態なんだ」(アニは前に裏門から出て滝に連れて行った事があるから分かるけど、他の連中は知らないのか)

    アニ「じゃあまた後で」ガタン

    エレン「あぁ」

    アルミン「どこに連れて行くの?」

    エレン「…お前も今度連れて行ってやるよ」

    アルミン「?うん…」
  57. 64 : : 2018/08/31(金) 10:08:21
    裏門

    アニ(遅いなー)

    エレン「悪い、遅れた」

    アニ「遅い」

    エレン「悪かったって」

    アニ「別にいいけど…それで?どこに行くの?」(なんかデートっぽい…)

    エレン「ついてきたら分かる、行くぞ」スタスタ

    ーーーーーーーー

    アニ(この通りって…)

    エレン「この花をください」

    「はーい」(またこのイケメン!)

    エレン「…前尾行してたならもう分かるだろ?」スタスタ

    アニ「うん…」(さっきデートみたいとか思ってた自分を蹴りたい…)

    トロスト区-街の外れ

    エレン「母さん…ミカサ…今日は紹介したい奴ができたから連れてきたんだ」

    エレン「…アニ、手を合わせるだけで構わないから挨拶してやってくれ」

    アニ「…」スッ



    エレン(いつまで手合わせてんだ…もう軽く5分くらい経つぞ…)

    エレン「アニ…別にそこまでしっかりしなくてもいいんだぞ」

    アニ「後一言だけ…」

    エレン「お、おう」

    アニ(エレンの命を救ってくれてありがとう…今度は私があなたの代わりにエレンを守るから…)

    アニ「…終わった」

    エレン「なら戻るか…」

    アニ「エレン」

    エレン「何だ?」

    アニ「連れてきてくれてありがとう」(ちゃんと家族に紹介してくれてありがとう…)

    エレン「あぁ…」

    アニ「何突っ立ってんの?戻るんでしょ?」スタスタ

    エレン「なぁアニ」

    アニ「なに?」

    エレン「折角だし…今日一日サボっちまうか…」

    アニ「…」(これはデートの誘い…でいいんだよね?)

    エレン「ダメか?」

    アニ「ううん、嬉しい」ニコ

    エレン「行くぞ…」スッ

    アニ「うん!」ギュ

    エレン(こいつの手…こんなに小さいのにこんなにも安心できる…)

    エレン(この小さい手を生涯離さないようにしよう)
  58. 65 : : 2018/08/31(金) 10:08:34
    〜850年〜

    104期訓練兵団解散式前日

    アルミン「結局君たちの仲を知ってるのは僕らの部屋割りとアニの部屋割りの人達だけだったね」スタスタ(後ライナーもか)

    エレン「そうだな…」スタスタ(別に隠してたわけじゃねぇけど結局聞いてくる奴はいなかったから話さなかったし)

    アルミン「ところでアニは?一緒じゃないみたいだし」

    エレン「…知らねぇ」

    アルミン「もしかしてまた喧嘩でもしたの?」

    エレン「喧嘩じゃねぇよ、あいつが調査兵団に入りたいって言うから…少し口論になっただけだ」

    アルミン「それで足を蹴られたの?」

    エレン「…蹴られてねぇよ…」

    アルミン「さっきから歩き方が少し変だよ」

    エレン「…うるせぇ」

    アルミン「エレンはどうしてアニが調査兵団に入るのを反対するんだい?」

    エレン「死んでほしくないからだ、当然だろ」

    アルミン「アニはもう十分過ぎるくらいに強いと思うけど…」

    エレン「そんな事は俺が一番よく分かってるんだよ…でも強いからと言って死なないわけじゃない」

    アルミン「それはそうだけど…」

    エレン「壁外に出れば予測出来ない事が次々と起こる…それでも俺が一緒なら守ってやれるけど調査兵団はみんな命を懸けてるんだ、俺の我儘でアニと同じ班にしてもらうわけにはいかない」

    アルミン(本当にサラッとこういう事が言えるのかっこいいよなぁ…)

    エレン「同じ班になれる確証が無い以上はあいつが調査兵団に入る事を俺は許可出来ない」

    アルミン「まぁこれは君たちの問題だからこれ以上僕が首を突っ込むわけにはいかないけど、死んでほしくないって気持ちはアニも同じだと思うよ」

    エレン「…そんな事分かってる…」

    ハンネス「!」スタスタ

    エレアル「!」バッ

    ハンネス「あー…直っていいぞ」

    ハンネス「規律は大事だがお前らが相手だとどうも慣れねぇ…久し振りだな」

    エレン「本当に慣れねぇな、飲んだくれでも今や駐屯部隊長だからな」

    ハンネス「また大きくなったなお前ら…もうこの街に来て5年も経つのか…」

    ハンネス「…すまねぇな…カルラと…ミカサを救えなくて…」

    エレン「その話はもういい、ハンネスさんはあの時兵士としてやれる最大限の事をやったんだ…あの頃の俺はガキだったからハンネスさんに当たり散らす事しか出来なかったけど、今なら分かるよ」

    ハンネス「…まだお前らが生まれてくる前、俺の家内が流行病に罹った…同じ病気で多くの人が死んでいった」

    アルミン(また始まった…)

    ハンネス「ところがある日イェーガー先生がその抗体を持って現れて、みんな助かったんだ」

    ハンネス「俺はその恩返しがしたかったんだがついぞ叶わねぇまま…」

    エレン「何回同じ話すんだよ…行くぞアルミン」スタスタ

    アルミン「え、うん…」スタスタ(ハンネスさん放っといていいのかな…)
  59. 66 : : 2018/08/31(金) 10:08:51
    104期訓練兵団解散式当日

    アルミン「エレン、もう朝だよ」ユサユサ

    エレン「…あぁ…」ムクッ

    アルミン「ジャンとコニーはもう食堂へ行ったよ、僕らも早く行こう」

    エレン「…食欲無い」

    アルミン「ダメだよ朝はしっかり取らないと」(大方アニと顔合わせるのが気まずいんだろうな…)

    エレン「なら後で持ってきてくれよ」

    アルミン「君は相変わらずだね…もうそろそろ付き合って3年になるんでしょ?いい加減喧嘩する度に食堂に行かなくなるのやめなよ…」ハァ…

    アルミン「アニは喧嘩していてもちゃんと食堂に来てるよ」

    エレン「……行きゃいいんだろ…」スタスタ

    アルミン「本当はアニに会いたいくせに素直じゃないなぁ…」クスッ

    食堂

    アニ「…」モグモグ(どうせいないと思ったけどやっぱりいない)

    サシャ「何だかアニ機嫌が悪いですね」ボソボソ

    クリスタ「またエレンと喧嘩したらしいよ」ボソボソ

    ユミル「アニとエレンは喧嘩してもすぐ仲直りしてるし今回も問題ないだろ」ボソボソ

    アニ「あんたら聞こえてるから」

    ガチャ

    エレン「…」スタスタ

    アニ「!」(喧嘩中に食堂に顔出すなんて珍しい…)

    エレン「!…アルミン、奥の席座るぞ…」フイッ(目合っちまった…)

    アニ(あいつ無視しやがった…)イラッ

    アルミン「はいはい」クスッ



    ジャン「よう、起きんの遅かったなエレン」

    エレン「あぁ…ちょっとな」ストン

    アルミン「またあれだよ…」

    ジャン「あーあれか…」(また喧嘩したのか)

    エレン「あれって言うなよ」イラッ

    ジャン「だってお前ら普段からくだらねー事で喧嘩してんじゃねーか」ケラケラ

    アルミン「アニの食べ物の好き嫌いで喧嘩になったり」

    ジャン「エレンの言葉足らずで誤解されて喧嘩になったり」

    アルミン「エレンがアニに好きって言わなくて喧嘩になったり」

    ジャン「エレンがコクられてアニが嫉妬して喧嘩になったり」

    アルミン「他にも沢山あるし…」

    コニー「喧嘩するほど仲がいいって言うじゃねーか!」

    ジャン「まぁその言葉はエレンとアニに関しちゃその通りなんだろうけどよ…実際すぐに仲直りしてるし」

    エレン「今回はそういうレベルの話じゃねぇんだよ」

    アルミン(まぁ命が絡んできてるからね…)

    ジャン「なんだ?お前らも遂に破局か?」ケラケラ

    エレアニ「それはない」



    エレアルジャンコニ「!?」

    アニ「…」ストン

    エレン「何だよ…何か用か?」

    アニ「さっき目合ったのに無視した」

    エレン「…してねぇよ」

    アニ「した」

    アルミン「してたよ」

    エレン「…」

    アニ「…絶対に調査兵団に行くから」

    エレン「ダメだ、お前なら必ず上位10名に選ばれる…憲兵団に行け」

    アニ「嫌」

    エレン「こればっかりは俺だって譲れねぇ」

    アニ「嫌」

    エレン「頼むから…」

    アニ「嫌」

    エレン「…」

    アニ「絶対にあんたと同じ兵団に行くから」ガタン

    エレン「おい、話はまだ…」

    アニ「…」スタスタ

    アルミン「…君と同じでアニもこればっかりは譲れないって感じだね」

    ジャン「おいどうすんだ?」

    エレン「…」

    ガチャ

    キース「手を止めてこちらに注目!」


    ピタッ…


    キース「本日は104期訓練兵団解散式を行う…朝食後グラウンドに集合するように」

    「「「ハッ!」」」
  60. 67 : : 2018/08/31(金) 10:09:37
    ーーーーーーーー

    キース「100年の平和の代償は5年前の惨劇によって支払われた、当時の危機意識では突然の超大型巨人の出現に対応できるはずもなかった」

    キース「その結果ウォール・マリアを放棄、人類の活動領域は現在我々のいるウォール・ローゼまで後退した」

    キース「今この瞬間にもあの超大型巨人が壁を破壊しに来たとしても不思議ではない…その時こそ貴様らはその職務として生産者に代わり、自らの命を捧げて巨人という脅威に立ち向かってゆくのだ!」

    キース「心臓を捧げよ!!」

    「「「ハッ!」」」

    キース「本日貴様らは訓練兵を卒業する」

    キース「その中で最も訓練成績の良かった上位10名を発表する、呼ばれた者は前へ…」

    キース「首席、エレン・イェーガー」

    キース「2番、ライナー・ブラウン」

    キース「3番、ジャン・キルシュタイン」

    キース「4番、アニ・レオンハート」

    キース「5番、ベルトルト・フーバー」

    キース「6番、コニー・スプリンガー」

    キース「7番、サシャ・ブラウス」

    キース「8番、アルミン・アルレルト」

    キース「9番、クリスタ・レンズ」

    キース「10番、マルコ・ボット」

    キース「以上10名!」
  61. 68 : : 2018/08/31(金) 10:09:53
    キース「本日を以って訓練兵を卒業する貴様らには3つの選択肢がある」

    キース「壁の強化に努め各街を守る、駐屯兵団」

    キース「犠牲を覚悟して壁外の巨人領域に挑む、調査兵団」

    キース「王の元で民を統制し秩序を守る、憲兵団」

    キース「無論、新兵から憲兵団に入団できるのは成績上位10名だけだ」

    キース「後日配属兵科を問う、本日はこれにて第104期訓練兵団解散式を終える…以上!」

    「「「ハッ!」」」

    エレン「…」

    ーーーーーーーー

    エレン「アニ…話がある」

    アニ「…なに?」

    エレン「頼む…憲兵団に行ってくれ」

    アニ「何度も嫌って言ってるでしょ」

    エレン「俺はお前の事が好きだ」

    アニ「な、急に何言ってんの///」

    エレン「だからお前に危険な所には行って欲しくないんだ」

    アニ「…それは私も同じだから…あんただけ調査兵団に行ってもし戻ってこなかったらって思うと…」

    エレン「サバイバル訓練のあの日の夜約束した通り俺は何があっても必ずお前の所に戻ってくる」

    アニ「…嫌」

    エレン「絶対にお前を一人にはしない、どんな任務でも必ず生きて帰る…俺を信じてくれ」

    アニ「…」

    エレン「この指輪に誓う」

    アニ「………分かった…」

    エレン「俺の我儘を受け入れてくれてありがとう」ギュ

    アニ「あんたに抱きしめられると凄く安心する…」

    エレン「アニ…」

    アニ「なに?」

    エレン「愛してる」

    アニ「…私も…」(愛してるなんて初めて言われた…)

    アルミン「エレン、そろそろ固定砲整備始まるって…」

    エレアニ「…」

    アルミン「ご、ごめん…邪魔しちゃった…?」

    エレン「問題ない、すぐ行く」

    アニ「行ってらっしゃい」

    エレン「あぁ、行ってくる」

    アルミン(夫婦かよ)
  62. 69 : : 2018/08/31(金) 10:10:50
    壁上

    ジャン「遅かったなエレン」

    エレン「悪い」

    ジャン「そういやさっき聞いたんだがコニーが調査兵団に入るらしいぞ」

    コニー「お、お前言うなよ!」

    エレン「コニー、お前は憲兵団に入りたいんじゃなかったのか?」

    コニー「気が変わったんだよ!」(お前やジャンを見てると調査兵団も悪くねーかなって思ったんだよ…)

    サシャ「あのーみなさん…上官の食料庫からお肉盗ってきました」

    エレジャンコニ「!」

    エレン「サシャ…お前独房にぶち込まれたいのか?」

    ジャン「お前本当にバカなんだな」

    コニー「バカって怖えぇ…」

    サシャ「後でみなさんで分けましょう…スライスしてパンに挟んで…むふふ…」

    コニー「戻してこい」

    ジャン「そうだぞ、土地が減ってから肉なんて凄く貴重になったんだからな」

    サシャ「…大丈夫ですよ、土地を奪還すればまた牛も羊も増えますから」

    コニー「え?」

    ジャン「なるほどな、ウォール・マリアを奪還する前祝いに頂こうってわけか…食ったからには腹括るしかねーもんな」

    コニー「…俺もその肉食う!」

    エレン「俺も食うからちゃんと取っとけよ」クスッ

    エレン(あれから5年経った…3分の1の領土と2割の人口を失ってようやく人類は尊厳を取り戻しつつある)

    ジャン「おいエレン、作業に戻らねーとバレちまうぞ」

    エレン(勝てる、人類の反撃はこれからだ…)

    ピカッ

    ドォォォォォォォォォォン!!!!
  63. 72 : : 2018/08/31(金) 10:11:12
    ビュオオオオ!

    コニー「うわあぁあ!」

    エレン(熱ッ!)

    エレン「みんな立体機動に移れ!」バシュ

    ドッゴォォォォォォォォ!!

    ジャン「壁が壊された…また…巨人が入ってくる…」

    エレン「ジャン!しっかりしろ!お前は何の為に訓練兵団に入ったんだ!」

    ジャン「!…そうだ…」(俺はこの街を…トロスト区を…家族を守る為に!)

    エレン「固定砲整備4班!戦闘用意!」

    コニサシャ「!?」

    エレン「目標目の前!超大型巨人!」

    ジャン「…」シャッ

    エレン「これは好機だ、絶対逃がすな!」バシュ

    ジャン「壁を壊せるのは超大型巨人だけだ…こいつさえ仕留めれば…!」バシュ

    エレン「よう…5年振りだな…」ギロッ

    超大型巨人「…」ジロッ…

    ズガガガガ!!

    エレン「こいつ…」(こいつ固定砲を狙いやがった…それだけじゃない開閉扉を狙ったのも偶然じゃなかった)

    エレン(こいつには知性が…!)

    ジャン「エレン!俺が目を潰す!」

    エレン「了解」

    エレン「人類の痛みを…思い知れ」バシュ

    フシュ------

    ジャン「!こいつ…また熱風を…」

    エレン「ジャン!下がってろ!」

    エレン(熱ッ…肌が焼き爛れそうだ…)ジャキ…

    ジャン「おい離れろエレン!それ以上は火傷じゃ済まねーぞ!」

    エレン(別に構わねぇよ…その程度の代償でこいつを殺せるなら!)ザクッ

    ベルトルト「ッ…!」

    エレン「!お前…」(削いだうなじからベルトルトが出てきやがった…こいつが超大型巨人の正体だったっていうのか…?)

    ベルトルト「エレン…」(誤算だった…熱風を出せば近付けないと高を括ってこんなあっさり引きずり出されるなんて…)

    エレン「お前が5年前に壁を破壊した張本人なのか?」

    ベルトルト「目的を邪魔をする奴は全員殺す…」

    エレン「ベルトルト…今のお前のセリフでお前が敵だって事がよく分かった」

    ベルトルト「僕等は帰らなきゃいけないんだ…」

    エレン「人を斬る趣味はねぇが、お前が人類の敵だっていうのなら殺すまでだ」ジャキ

    ベルトルト「僕等は…」

    エレン「じゃあな…ベルトルト」

    ベルトルト「必ず…」

    エレン「…」ザシュ…

    ベルトルト「かえ…る…」

    エレン「俺にも帰らないといけない所がある…悪く思うな…俺は人間でお前は巨人だった、お前を殺すのにこれ以上の理由はいらねぇだろ…?」

    ジャン「エレン!」バシュ

    ジャン「これは…一体どういう事だ…」スタッ

    エレン「…超大型巨人の正体はフーバーだった…」

    ジャン「ベルトルトが…巨人…」

    「何をしてるんだ訓練兵!」

    「超大型巨人出現時の作戦は既に開始している!ただちにお前らの持ち場に就け!」

    「超大型巨人はどこへ行った!」

    エレン「超大型巨人は自分が殺しました」

    「なっ…貴様こんな状況で虚偽の報告とはふざけているのか!」(訓練兵程度が殺せるわけがない!)

    エレン「サシャ」

    サシャ「え、はい!」

    エレン「お前は見てたよな?本部への報告はお前に任せる、行け」

    サシャ「はい!」バシュ

    エレン「コニー!お前もサシャと行け!」

    コニー「わ、分かった!」バシュ

    「貴様上官を無視とは何事か!」ガシッ

    エレン「上官こそ状況を把握できていますか?壁が破壊され、巨人達が入ってくるって時にそんなつまらない事に時間を割いてる暇はないんですよ」パッ

    ジャン「エレン!7m級3体入ってきたぞ!」

    エレン「あぁ、行こう」バシュ

    ーーーーーーーー

    「今に…見てろよ…」ザクッ…

    巨人「」ジロッ

    「お前らなんか…今に…人類が滅ぼす…最後に生き残るのは人類だ…」

    「お前らなんか…きっと…リヴァイ兵長が…」

    リヴァイ「…」ザシュ!

    ズシン…

    リヴァイ(右に1体…左に2体…)

    ペトラ「兵長!増援を集めてきました!」

    リヴァイ「ペトラ!お前は下の兵士を介抱しろ!残りの全員は右を支援しろ!」

    「「「ハッ!」」」

    リヴァイ「俺は左を片付ける」バシュ

    リヴァイ「揃いも揃って面白ぇ面しやがって…」ズバッ

    リヴァイ「おとなしくしてろ…そうしないとお前の肉を…綺麗に削げねぇだろうが」ザクッ…

    ズシン…

    リヴァイ「汚ねぇな…」ゴシゴシ

    リヴァイ「…ペトラ、そいつはどうだ?」

    ペトラ「兵長…彼はもう…」

    リヴァイ「…」

    エルヴィン「リヴァイ!退却だ」

    リヴァイ「退却だと…?まだ限界まで進んでねぇぞ?俺の部下は犬死にか?」

    エルヴィン「巨人が街を目指して一斉に北上し始めた」

    リヴァペト「!?」

    エルヴィン「5年前と同じだ、街に何かが起きてる」

    エルヴィン「壁が…破壊されたかもしれない」
  64. 76 : : 2018/08/31(金) 10:12:16
    エレン「…」スカッ(チッ!こんな時にガス切れか!)

    巨人「」ア-ン

    ジャン「エレン!」(くそっ!ここからじゃ間に合わない…)

    エレン「死んで…たまるか…」ギロッ

    エレン「必ず…アニの所へ帰る…」ジャキ…

    ヒュッ…ザシュ…

    ズシン…

    ジャン「!あれは…」

    エレン「自由の…翼…」

    リヴァイ「おい…これはどういう状況だ?」

    リヴァイ(急いで戻ってきたと思えば扉が破られたにしては被害が少なすぎる上に、扉付近には無数の巨人の死体…)

    アルミン「エレン!」

    エレン「アルミン!?何でこんな前線に…」

    アルミン「君とジャンが扉付近で巨人と戦ってるって聞いて、ガスを持ってきたんだ!」

    エレン「!…ありがとよアルミン…」

    エレン「丁度ガス切れで死にかけた所だ」

    アルミン「ジャンもこっちに来て早くガスの補充を!」

    ジャン「あ、あぁ…!」バシュ



    アルミン「えっと…それであなたは…」

    リヴァイ「リヴァイだ」

    エレン「!…危険な所を助けて頂いてありがとうございます」(この人が人類最強と言われるリヴァイ兵長…)

    リヴァイ「この巨人の山はお前が殺ったのか?」

    エレン「俺と、ジャンでやりました」

    リヴァイ「…そうか」(この数をたった二人で…それで街の被害が少なかったのか…)

    ライナー「エレン…」スタスタ

    ジャン「ライナー…何でお前まで前線に…」

    ライナー「超大型巨人を殺したんだって?」(こいつがベルトルトを…)

    エレン「あぁ…」

    リヴァイ(!?…こいつが超大型巨人を…?)

    ライナー「そうか…」シャッ…(ベルトルト…今ここでお前の仇を!)

    アルミン「ライナー!何を…!」

    エレン「いいぜ…ガスの補充もしたし、お前を殺しに行こうと思ってた所だライナー…」

    エレン「いや…鎧の巨人…」ギロッ

    リヴァアルジャン「!?」

    ライナー「…」ダッ

    ガキン…

    ライナー「いつから気付いてた?」

    エレン「…さっきフーバーが『僕等』って言った時だ…あいつの同郷はお前だけだからな…!」

    ライナー「なるほどな…」バッ

    エレン「お前の事は仲間だと思ってたよ…お前とは仲良くやれると思ってた…」バッ

    ライナー「お前に何が分かる…俺だって兵士でいられたらと毎日思ったさ」(エレン相手に肉弾戦は不利か…)

    ライナー「でも俺はどこまでいっても結局戦士だったんだ…!」ガリッ

    エレン「!お前ら離れろ!」

    リヴァアルジャン「!」バッ

    ピカッ

    ドォォォォォォォォォォン!!!!
  65. 77 : : 2018/08/31(金) 10:12:56
    ーーーーーーーー

    アニ「!」ダッ

    クリスタ「待ってアニ!」ガシッ

    アニ「離して!」

    クリスタ「気持ちは分かるけど落ち着いて!」

    アニ「落ち着いていられるわけないでしょ!あいつが…しかもジャンとたった二人だけで今も最前線で戦ってるっていうのにこんな所にはいられない!」

    ユミル「サシャ!お前が余計な事言うから!」(あのアニがこんなに取り乱すなんて…)

    サシャ「ご、ごめんなさい!良かれと思って言ったんですが…」

    アニ「離してってば!」(エレン…!)

    クリスタ「エレンなら大丈夫だよ!訓練兵の中で誰よりも強かったんだよ!?」

    アニ「そんな事私が一番分かってる!でも…!」

    クリスタ「分かってないよ!アニが今する事はここで住民を避難させる事!そして…」

    クリスタ「エレンを信じて待つ事でしょ!!」

    アニ「!…でも…エレンが…」

    クリスタ「エレンなら絶対に大丈夫だよ」

    ユミル「そうだぞアニ、超大型巨人を殺せるような奴が簡単にくたばるわけないだろ?」

    アニ「エレン…」(無事だよね…?ちゃんと私の所に帰ってくるよね…?)
  66. 78 : : 2018/08/31(金) 10:13:21
    エレン「アルミンとジャンは離れてろ!」(リヴァイ兵長と俺がやれば…勝てる…!)

    リヴァイ「…エレンって言ったか?お前さっき俺の事をお前呼ばわりしたな」スタッ

    エレン「あれは言葉の綾というか…」

    リヴァイ「まぁいい、今はあいつだ」

    鎧の巨人「アアァァァ!」

    エレン「…」バシュ

    リヴァイ「おい!いきなり突っ込むんじゃねぇ!」

    パキン…

    エレン「!…ブレードが…」(こいつ…硬すぎる…)

    リヴァイ「エレン!まずは膝裏や筋肉が剥き出しになってる箇所から削げ!」バシュ

    エレン「はい!」

    リヴァイ「…」ザクッ

    エレン「!?」

    リヴァイ「右のアキレス腱は削いだぞ!」

    エレン「俺は左の脇下をやります!」(リヴァイ兵長の今のトリガーの持ち方は俺と同じ…)

    エレン「…」ザシュ

    リヴァイ「!?」(こいつのトリガーの握り方は俺と全く同じ…)

    鎧の巨人「エレン…オマエヲ…コロス…」

    エレン「!…喋れるとは驚いたな…」

    リヴァイ「ハンジがいたら歓喜しそうだ…」

    リヴァイ「エレン!長い事時間はかけられない、今この時も破られた壁から巨人が入ってきている」

    エレン「でもうなじは硬くて削げません!」

    リヴァイ「簡単な方法があるだろ」

    エレン「!…うなじが硬くて削げないなら…」

    リヴァイ「頭を斬り落としちまえばいい…」

    エレリヴァ「…」バシュ!



    アルミン「僕の目がおかしくなってしまったのか…?」

    ジャン「あの光景を見てれば誰だってそう思うさ…」

    アルミン(エレンとリヴァイ兵長の動きに目が追いつかない…)

    ジャン「人間を怖いと感じたのは生まれて初めてだ…」



    エレン(削ぐ…殺す…こいつを…!)ザクッ!…ザシュ…

    リヴァイ(元は人間かなんて知らねぇ…俺は…眼前の敵を殺すだけだ…!)ズバッ…ザンッ…

    鎧の巨人「アァァァ!!」

    リヴァイ「うなじの部分の鎧が剥がれた…!エレン!殺れ!!!」

    ーーーーーーーー

    ベルトルト『エレン、ここはこうした方がいいと思うよ』

    ライナー『ハハハッ!お前技術は高いくせにこの手の訓練は苦手だな』

    ベルトルト『エレンは器用なのか不器用なのかよく分からないな、ははっ』

    ライナー『こんな平和な時間がいつまでも続けばいいのにな…』

    ーーーーーーーー

    エレン(こんな時に思い出させるんじゃねぇよ…!)

    エレン「ベルトルト…ライナー!この…裏切り者がぁぁぁ!!」ザシュ…
  67. 79 : : 2018/08/31(金) 10:13:39
    ライナー「…」ツ-

    エレン「お前…何人間みたいに涙を流してやがる…」

    ライナー「誰が…」

    エレン「…」

    ライナー「誰が…人なんか殺したいと思うんだ!」

    エレン「!…」ビクッ

    ライナー「誰が好きでこんな事…したいと思うんだ!」

    ライナー「人から恨まれて…殺されても当然の事をした…取り返しのつかない事を…でも…俺達は罪を受け入れきれなかった…」

    ライナー「戦士である事を忘れて兵士を演じてる間だけは少しだけ…楽だった…」

    ライナー「嘘じゃないんだ…エレン…確かに皆騙してたけど全てが嘘じゃない、本当に仲間だと思ってた!」

    リヴァイ「耳を貸すな!殺れ!エレン!」

    エレン「…」

    ライナー「…もう俺には何が正しい事なのか分からん…俺のすべき事は…自分のした行いや選択に対し、戦士としてでも兵士としてでもなく、一人の男として責任を取る事だ…」

    リヴァイ「こいつ…まだ動けるのか」ジャキ

    エレン「待ってくださいリヴァイ兵長!」

    鎧の巨人「」ズシン…ズシン…

    リヴァイ(破壊された開閉扉に向かってるのか…?)

    エレン「…」

    鎧の巨人「…」

    鎧の巨人「」シュ-----

    エレン「!…鎧の巨人が壁と一体化していく…」

    ライナー(お前らと兵士をやっている間、本当に楽しかったんだ…)

    ライナー(もし叶うなら次は戦士としてではなく兵士としてお前らと…)

    リヴァイ(あいつは何者だったんだ…?敵として戦ってたと思えば自分を犠牲にして壁の穴を塞ぎやがった…)

    エレン(ライナー…お前が何故そんな行動をとったか今すぐには分からない…でも…お前に少しでも人間の心が残っていたんだと思うことにするよ…)
  68. 80 : : 2018/08/31(金) 10:13:54
    ハンジ「リヴァイ!…戦況の報告をしろってエルヴィンが!」スタッ

    リヴァイ「あぁ…エレン…お前とはまた近いうちに会うことになるだろうな…」

    エレン「奇遇ですね…俺もそう思います」

    リヴァイ「…」バシュ

    エレン(…俺はまた『人間』を殺したのか…)

    アルミン「エレン…」

    エレン(ベルトルトやライナーにも俺と同じで帰らないといけない場所があったのに…)

    アルミン「エレン!」

    エレン「!…悪い…少し考え事をしてた…」

    アルミン「…トロスト区に入った巨人全ての殲滅が完了したってさっき報告が…」

    エレン「そうか…」

    アルミン(エレンの心にはまた大きな傷を負わせてしまった…)

    アルミン(信じていた仲間を殺させてしまった…またあの頃に戻らなければいいけど…)

    エレン「アルミン…お前の考えてる事は大体分かる…でも俺は大丈夫だ」

    アルミン「え?」

    エレン「俺にはアニがついていてくれる…」

    アルミン(大丈夫みたいだね…)

    エレン「帰ろう…」(アニ…)
  69. 81 : : 2018/08/31(金) 10:14:15
    ーーーーーーーー

    アニ「エレン!」ダッ

    エレン「!?」

    アニ「エレン…無事でよかった…」ギュッ

    エレン「アニ…」

    アニ「本当に心配したんだ…怖かった…あんたが帰ってこないんじゃないかって…」

    エレン「アニ…言ったろ?俺は必ずお前の所に帰ってくるって…」

    アニ「こんなに傷だらけで何言ってんの…」グスッ…

    エレン「手足が捥げようと俺は必ず帰ってくる」

    ユミル「…惚気んのはそこまでにしてエレンはさっさと医務室に行けよ」

    エレン「あぁ…」スタスタ

    アニ(本当に無事でよかった…)

    ユミル「ん?お前も医務室に行けよ、怪我してんじゃねーか」

    ジャン「俺のは見た目ほど大したもんじゃねーよ、それに確認しておかなきゃいけない事もあるしな…」

    クリスタ「確認って?」

    ジャン「…今回の騒動で死亡した人のリストを見せてくれ」(家族の名前が無い事を祈るしかねぇな…)
  70. 82 : : 2018/08/31(金) 10:14:36
    医務室

    コンコン

    エレン「?…はい」(アニか?)

    ガチャ

    エレン「?あなたは一体…」

    エルヴィン「調査兵団団長、エルヴィン・スミスだ」

    エレン「!」バッ

    エルヴィン「直っていい、君にいくつか聞きたいことがあって来たんだ」

    エレン(大体分かるけどな…)

    エルヴィン「まず最初に聞きたいんだが、君が超大型巨人を討伐したというのは本当か?」

    エレン「…はい」

    エルヴィン「…その後リヴァイと協力し、鎧の巨人を討伐したというのも本当か?」

    エレン「本当です」

    エルヴィン「…その正体は…人間だったんだな?」

    エレン「…はい、二人とも俺の同期でした」

    エルヴィン「そうか…話は変わるが君は調査兵団への入団を希望しているそうだが…」

    エルヴィン「実際に巨人と戦ってもまだその気持ちは変わっていないのか?」

    エレン「はい、微塵も変わっていません」

    エルヴィン「本来なら後日配属兵科を問うところだが」

    エレン「?」

    エルヴィン「…君には本日付けで調査兵団への配属を言い渡す」

    エルヴィン「後で調査兵団の制服を支給するよう手配しておく、明日からは我々と行動を共にしてもらう」

    エレン「ハッ!」バッ

    エルヴィン「今日はゆっくり休むといい…明朝には迎えの者が来る」スタスタ

    バタン…

    エレン(ようやく調査兵団に…)

    ーーーーーーーー

    調査兵団本部

    エルヴィン「リヴァイ」

    リヴァイ「何だ?」

    エルヴィン「エレンが調査兵団の一員になった」

    リヴァイ「配属兵科を決めるのはまだ先のはずだろ…」

    ハンジ「エレンってリヴァイと一緒に鎧の巨人を倒した新兵!?」キラキラ

    リヴァイ「お前が巨人以外の話に目を輝かせるなんて明日は雨だな」

    ハンジ「リヴァイと同レベルの強さを持つ人間なんて興味あるに決まってるでしょ!それにあの超大型巨人も倒したんでしょ?私じゃなくても興味あるって」

    リヴァイ(エレンか…俺と同じトリガーの握り方をし、超大型巨人と鎧の巨人を討伐、更に3m〜15m級の巨人を50体以上討伐…明らかに異常な強さだ)

    エルヴィン「ハンジ…そんな事より例の結果はどうだった」

    ハンジ「…結果から言うと成果は0」

    リヴァイ「0だと?」

    ハンジ「私の班が駆けつけた時にはベルトルト・フーバーの死体は巨人と同様で蒸発して、骨しか残っていなかった」

    ハンジ「ライナー・ブラウンが塞いだ壁は他の壁と全く同質の物で、未知の物質の様な物は一切検出されなかった」

    ハンジ「我々はまた…巨人の正体を掴めなかった」

    エルヴィン「0ではない」

    エルヴィン「人間が巨人になれるなんて事をこれまで誰一人として解明できてはいなかった」

    ハンジ「それは…」

    エルヴィン「我々の一歩は小さくとも確実に前へ進んでいる」
  71. 83 : : 2018/08/31(金) 10:15:22
    ーーーーーーーー

    コンコン

    エレン「どうぞ…」(医務室だってのに来客が多いな…怪我人を休ませようって気はねぇのか…)

    ガチャ

    ペトラ「君がエレン?」

    エレン「そうですけど…」(誰だこの人…)

    ペトラ「よかったぁ!…さっきは病室間違えちゃってさー」スタスタ

    エレン「は、はぁ…」

    ペトラ「体の調子はどう?」

    エレン「問題ないかと…」(随分若そうに見えるけど医者なのか…?)

    ペトラ「そっかそっか!」

    エレン「えっと…どちら様ですか?」

    ペトラ「あ、自己紹介もせずにごめんね!私は明日からエレンの世話係に任命されたペトラ・ラル」

    エレン「世話係…?」

    ペトラ「いきなり世話係って言われても困るよね…私もさっきエレンに制服を持って行けって言われたついでに任命されちゃってさ…」

    エレン「制服…って事はあなたは…」

    ペトラ「調査兵団特別作戦班、通称リヴァイ班に籍を置いていて…ついさっきからエレンの先輩だよ」

    エレン「!」バッ

    ペトラ「いやいや!敬礼なんていいから!」

    エレン「でも何で私服なんですか?」

    ペトラ「今ここにいるのは殆どが今朝訓練兵団を卒業した新兵と駐屯兵団ばかりでしょ?調査兵団の制服を着た人がうろうろしてたら他の人も気になっちゃうし…」

    エレン「なるほど…」(それでエルヴィン団長も制服じゃなかったのか…)

    ペトラ「あ、そうそう!本題はこれだったね!はい、制服」

    エレン「ありがとうございます」

    ペトラ「折角だし着て見せてよ」

    エレン「別にいいですけど…」ヌギヌギ

    ガチャ

    アニ「…」

    エレン「…」

    ペトラ「?」

    アニ「…失礼しました」

    エレン「おい待てアニ!」

    アニ「…何?」

    エレン「お前は勘違いをしてる」

    アニ「上半身裸で言われても説得力ないんだけど」(心配して来たのに何これ…)

    エレン「だからそれが勘違いだって言ってんだ」

    アニ「いいから服着たら?」(それに誰この人…見た事無いし、訓練兵団にはいなかったよね…)

    エレン「あ、あぁ…」

    ペトラ(何かあの女の子に凄い睨まれてるし何この状況)

    アニ(エレンに限って浮気は無いだろうけど…この状況はやっぱり気に入らない…)

    ペトラ(!…もしかしてこの二人付き合ってるのかな)

    エレン「本当に誤解だ」

    アニ「…」

    エレン「アニ…」

    ペトラ「えっと…もしかして二人は恋人同士だったりするのかな…?」

    エレン「はい…」

    ペトラ「そ、そうなんだ!」(やっぱりそうだったんだ)

    ペトラ「アニちゃんだっけ…?」

    アニ「…何ですか?」

    ペトラ「あの、私は今日からエレンの先輩になったペトラっていうの」

    アニ「先輩?」

    エレン「俺はつい数時間前に調査兵団に入ったんだよ…ペトラさんは調査兵団での先輩になるんだ」

    アニ「…は?正式な兵団入りはまだのはずでしょ」

    ペトラ「エレンは数時間前に調査兵団のエルヴィン団長から直々に調査兵団入りを言い渡されたんだよ」

    アニ(そう言えばさっきも私服を着た男の人が医務室に入っていったような…)

    ペトラ「私は制服を持って来ただけで、折角だから着て見せてよって言ってそれで…」

    アニ「…」

    エレン「ペトラさん、後は俺一人で大丈夫ですので」

    ペトラ「う、うん…何かごめんね?それじゃまた…」スタスタ

    バタン

    アニ「…ごめん」

    エレン「誤解が解けたならいい」

    アニ「こんな嫉妬深い女で…ごめん」

    エレン「それだけ俺の事を好きでいてくれてるって事だろ?いいからこっち来い」

    アニ「…」スタスタ(何でこいつはこんなに優しいんだろ…)

    エレン「アニ…」ギュ

    アニ(あぁ…この感覚だ…こいつに抱きしめられると守られてるって感じがする)

    アニ「私どんどん嫌な女になっていってる…」

    エレン「俺はそう感じた事はねぇな」

    アニ「今回だってあんたは浮気なんてしないって思ってたけど、いざ疑わしい場面になってみればあんな嫌な態度を取っちゃうし…」

    エレン「お前はそのままでいい…無理に変わろうとなんてすんなよ」

    アニ「でも…」

    エレン「嫉妬なんて何回したって構わない、我儘でも何でもいい」

    エレン「俺の側にいてくれるだけでいいから」

    アニ「エレン…」

    エレン「馬鹿力で蹴られるのはクソ程痛ぇがな」クスッ

    アニ「…」ゲシッ!

    エレン「痛ッ…」

    アニ「…なんかムカつく」スタスタ

    ガチャ

    アニ「ちゃんと休んでなよ」

    バタン

    エレン「…お前が怪我増やしてどうすんだよ」クスッ



    アニ(側にいてくれるだけでいい…か…)クスッ
  72. 84 : : 2018/08/31(金) 10:15:40
    ユミル「なんかお前機嫌いいな」

    アニ「!…そ、そう?」

    クリスタ「エレンの所から帰って来てから機嫌いい気がする」

    アニ「気のせいじゃない?」

    ユミル「…お前エレンと何か進展あったんだろ」ニヤニヤ

    クリスタ「え!そうなの!?」キラキラ

    アニ「…関係ないでしょ」(こいつらに話したら軽く1週間は弄られる…)

    クリスタ「えー!教えてよー」ブ-ブ-

    ーーーーーーーー

    ガチャ

    ペトラ「戻りました」

    リヴァイ「面倒かけたな」

    ペトラ「いえ、大丈夫です」

    エルヴィン「戻って来た所で悪いがまだやってもらう事がある」

    ペトラ「は、はい!」

    エルヴィン「今回の騒動でトロスト区の壁は完全に封鎖され、二度と開閉出来ない状況となった…トロスト区から壁外への出発が不可能となった今、早々に拠点を移す必要がある」

    ペトラ(今まではトロスト区からの出発が多かったからトロスト区付近のここが本部になってたけど、今となってはこの本部が壁外へ一番遠い場所になっちゃったんだ…)

    エルヴィン「そこで候補に上がった拠点がカラネス区付近にある旧調査兵団本部だ」

    ペトラ(!…確かにあそこならどの支部よりも壁外まで一番近い)

    エルヴィン「自室に戻り明朝までに身支度を整えておいてくれ、明朝エレンを連れ旧調査兵団本部へと向かう」

    ペトラ「ハッ!」バッ

    ハンジ「まぁ、明日引っ越すから引っ越し準備を明日の朝までにしておけって事だね」

    リヴァイ「エルヴィンは回りくどすぎる」

    エルヴィン「…」

    ペトラ「…失礼します」スタスタ

    バタン

    ーーーーーーーー

    ガチャ

    エレン「ノックはどうした」フッ…

    ジャン「何だ?突然入られたら困ることでもしてたのか?」ケラケラ

    エレン「そんなわけねぇだろ、お前じゃあるまいし」

    ジャン「俺もそんな事した覚えはねーよ」スタスタ

    エレン「…体調はどうだ?」

    ジャン「昼間の激戦のおかげで全身ガタガタだ」

    エレン「その割には元気そうで安心した」

    ジャン「…」

    エレン「…何かあったのか?」

    ジャン「……今回の騒動での死亡者リストを見てきたんだ」

    エレン「…」

    ジャン「死亡者リストは驚く程に薄かったよ…たった数ページだった」

    ジャン「俺たち二人で巨人の侵入をあそこまで止めたんだ、英雄って言われてもおかしくないぜ…」

    ジャン「なのによ…その薄いたった数ページの死亡者リストに俺の家族の名前が載ってんのは何でだ!!!」

    ジャン「俺は何の為に訓練兵団に入ったんだ!俺は!!何の為に…!」

    エレン「ジャン…」

    ジャン「お前が悪いわけじゃねぇのに怒鳴り散らしちまってすまねぇ…誰かにこのやるせない気持ちをぶつけたかっただけなんだ…」

    ジャン「本当にすまねぇ…」

    エレン「ジャン…俺は夕方、調査兵団に入った」

    ジャン「!」

    エレン「調査兵団のエルヴィン団長が直々に来て俺の調査兵団入りを告げて帰ったよ」

    ジャン「…夢だったんだろ?よかったじゃねぇか…」

    エレン「明朝俺はここを発つ、お前も一緒に来い」

    ジャン「俺はもう…調査兵団へ行く理由も戦う理由もなくしちまったんだよ」(何の為の3年間だったんだ…いっその事死んじまった方がよっぽど楽だ…)

    エレン「お前程の奴がこのまま潰れていくのは見てられねぇ…」

    ジャン「お前に何が分かるってんだよ!」ガバッ

    エレン「分かる…俺だって家族を巨人に殺されてる」

    ジャン「!」(…そうだった…こいつも家族を…)

    エレン「お前は昼間に俺とあの死地を共に生き抜いた仲間だろ、ここでお前を見捨てられない」

    エレン「復讐心だって何だって構わない…それを生きる糧にしろ!死んでしまったらもう何も、家族の事さえ思い返せなくなるんだぞ!」ガシッ

    ジャン「ッ…!」

    エレン「…明朝調査兵団の迎えの者がここに来る事になってる、お前も来い…俺が必ず話をつけてやる」

    ジャン「…俺は行かねぇ…」スタスタ

    バタン

    エレン(腐るなジャン…お前は必ずその壁を乗り越えられるはずだ…)
  73. 85 : : 2018/08/31(金) 10:16:01
    ガチャ

    アニ「…」スタスタ(さすがにもう寝てるか…2時だもんね…)

    アニ(寝てるこいつ見るのって何か凄く久し振りな気がするな)

    エレン「…」ス-ス-

    アニ(意外とまつげ長いんだな…)ジ-

    アニ(…手握ってもいいよね…?)ニギッ

    アニ(やっぱりこいつに触れてると安心する…)

    アニ「…好きだよ…エレン」ボソッ

    エレン「俺も好きだ、アニ…」

    アニ「…」

    エレン「…」

    アニ「…」

    エレン「…」

    アニ「…死ぬ前に言い残したい事ある?」

    エレン「落ち着け」

    アニ「何で起きてんの」

    エレン「寝ようと思って目瞑った瞬間にお前が入ってきたんだよ」

    アニ「…何ですぐ起きなかったの」

    エレン「無防備な俺にお前が何するのか気になった」

    アニ「…死ぬ前に言い残したい事ある?」

    エレン「悪かった」

    アニ「…」

    エレン「どうした?」

    アニ「寝れない…」

    エレン「横、入るか?」

    アニ「…うん…」モゾモゾ

    アニ「狭い…」

    エレン「そりゃ医務室のベッドだからな、二人寝れるようには設計されてねぇよ」

    アニ「落ちそうだし…」

    エレン「ならもっとこっち来いよ」グイッ

    アニ「ちょ…///」(近すぎ…///)

    エレン「嫌か?」ニヤッ

    アニ「嫌じゃ…ないけど…///」

    アニ「それにしてもあんた、ほんと色んな表情見せるようになったね」

    エレン「そうか?自覚してやってるわけじゃねぇし、よく分からねぇけど…」

    アニ「3年前のあんたからじゃ考えられないよ」

    エレン「…やっぱり俺を変えたのはお前だな」

    アニ「何でそうなんの」

    エレン「お前と出会うまで笑ったりとか怒ったりとかそういう感情は表には出さないようにしてたけど、お前と出会ってから世界が広がったような感じがするんだよ」

    アニ「…」

    エレン「お前がいるなら笑えるし、お前の為なら怒れるし、お前の為なら何だって出来るような気がするんだ」

    エレン「だから俺の世界はお前が中心に回ってるんだなって思うよ」

    アニ「…よくそんな恥ずかしいセリフ言えるね」(嬉しいけどさ)

    エレン「俺は恥ずかしいと思った事なんかねぇよ、お前に対する気持ちを恥ずかしいなんて思わねぇ」

    アニ(こいつはほんと…無自覚でこういう事言うから…)

    エレン「アニ…」

    アニ「なに?」

    エレン「俺が調査兵団に入ったのは言ったから知ってるよな」

    アニ「うん…」(その事を考えてたせいで寝られなかったんだって…)

    エレン「お前は憲兵団に、俺は調査兵団に入る…これまでみたいにはいかなくなる…顔を合わせる機会も少なくなるけど大丈夫か?」

    アニ「……大丈夫って言ったらあんたは安心するの?」

    エレン「…」

    アニ「私があんたと同じ兵団に行きたかった事知ってるよね?」

    アニ「その私の気持ちを諦めさせたあんたがそれを言うの?」

    エレン「悪い…」

    アニ「………私も嫌な言い方した…ごめん」

    エレン「…」

    アニ「…」

    エレン「…3年後」

    アニ「え?」

    エレン「3年後、俺は18歳になる」

    アニ「え…うん、そりゃそうでしょ…あんた今15歳なんだから」

    エレン「俺が18歳になったら結婚してくれ」

    アニ「…は?」

    エレン「調査兵団では18歳からは家庭がある奴は寮に帰らなくてよくなる、だから18歳になったら結婚して家を建てて一緒に住もう」

    エレン「所属する兵団は違うが毎日同じ家で目覚めて同じ家で眠れる」

    エレン「俺はお前と一緒にいたい…」

    アニ「…」

    エレン「…嫌か?」

    アニ「嫌なわけない…」グスッ

    エレン「お前泣いてんのか?」

    アニ「泣いてない!」

    エレン「…こっち向け」

    アニ「…」(真剣な顔してる…)

    エレン「また3年後に改めてプロポーズする、答えを今から考えとけ」

    アニ「…ぅ……」

    エレン「…」チュ

    アニ「んっ…」

    エレン「おやすみ」

    アニ(…なにこれ…)

    アニ(…なにこれ!)

    アニ(なにこれ!!)

    アニ(初めてキスされた…)

    アニ(っていうかプロポーズされた…!)

    アニ「あんた今…!」

    エレン「もう寝ろ」

    アニ(もう一回キスしてほしい…)

    アニ「エレン…もう一回…」

    エレン「寝ろ…」

    アニ「…お願い」

    エレン「…」チュ

    アニ「んっ…」

    エレン「さっさと寝ろ…」

    アニ「うん…おやすみ…」

    アニ(夢じゃない…私エレンにキスされてプロポーズまでもらえたんだ…)
  74. 86 : : 2018/08/31(金) 10:16:24
    朝-廊下

    スタスタ

    ペトラ「あれ?部屋で待ってると思ったのに廊下に出てるなんてどうしたの?」

    エレン「おはようございます、そろそろ来る頃かと思いまして…」

    ペトラ「もしかして早く調査兵団のみんなと合流したくて、早起きして廊下で待ってたとか?」クスッ

    エレン「…まぁ、そんな感じです」(部屋に入られてアニが寝てるのを見られるのはマズいからなんだが…)

    ペトラ「意外と子供っぽいところもあるんだね」クスクス

    エレン(こんな屈辱的な誤解をされる羽目になるとはな)

    ペトラ「それじゃあ行こっか」

    エレン「すみません、少し待ってください」

    ペトラ「え?でも時間が…」

    エレン「お願いします…10分…いや5分で構いません…お願いします」(来るはずなんだ…あいつは必ず来る…)

    ペトラ「まぁ5分くらいならいいけど…」

    エレン「ありがとうございます」(ジャン…)

    ペトラ「そういえば昨日はごめんね…アニちゃんとは仲直り出来た…?」

    エレン「はい、誤解は解けました」

    ペトラ「そっか!よかったぁ…誤解とはいえ悪い事したなって思ってたんだー」

    エレン「大丈夫ですよ」

    ペトラ「二人はどのくらい付き合ってるの?」

    エレン「もうそろそろ3年になります」

    ペトラ「3年!?結構長いんだね」

    エレン「そうなんですか?」

    ペトラ「長いよ!」

    エレン「俺は初めて付き合った相手がアニなので、そういった交際期間の長さとかはよく分かりません」

    ペトラ「3年も付き合えるなんて凄いよ…」

    エレン「ペトラさんは今付き合ってる相手とかいるんですか?」

    ペトラ「ん〜?」ニコッ

    エレン「…すみません、女性に対し失礼でした」(いないんだな…)

    ペトラ「っていうかそんなに長い間一緒にいたのに突然離れ離れになるなんてアニちゃんよく許してくれたね」

    エレン「あー…まぁ、はい…」(寝る前に言いそびれたからさっき手紙を残して出てきただけなんだけどな…)

    ペトラ(突然歯切れが悪くなった…)



    ペトラ「エレン…そろそろ」

    エレン「はい…行きましょうか…」(ジャン…)

    ペトラ「誰か待ってたの?」スタスタ

    エレン「はい…」スタスタ

    ペトラ「もしかしてアニちゃん?」

    エレン「いえ、違います」

    ペトラ「そ、そっか…」



    ペトラ「馬車に乗って」

    エレン「はい」

    ペトラ「それじゃ出発するよ?」

    エレン「はい」

    パシンッ…ヒヒ-ン!

    エレン(ジャンの奴結局来なかったな…)

    エレン(昨日あいつを引き止めてもっと説得していれば)

    ペトラ「…」チラッ(何だか凄く考え込んでるみたいだし話しかける雰囲気じゃない…)

    エレン「そういえば聞いてませんでしたね」

    ペトラ「うぇっ!?」(いきなり話しかけてくるから変な声出ちゃった…)

    エレン「これからどこへ向かうんですか?」

    ペトラ「旧調査兵団本部だよ」

    エレン「…旧?」

    ペトラ「今ある調査兵団本部が建つ前に使われてた調査兵団の本部だよ」

    エレン「何故昔の本部へ?」

    ペトラ「トロスト区の壁が完全に封鎖されたから、今の調査兵団本部より旧調査兵団本部の方が壁外に出るのも早いし都合がいいんだって団長が言ってたよ」

    エレン「…なるほど」
  75. 87 : : 2018/08/31(金) 10:16:44
    アニ「…んん……」

    パチッ

    アニ(…もう朝か…)

    アニ「あれ…?エレン?」

    シ-ン…

    アニ(トイレにでも行ってるのかな…)

    カサッ…

    アニ(?…手紙?)

    ピラッ



    エレン『悪い、寝る前に伝え忘れてたんだが…今日から調査兵団のみんなと生活する事になった』

    エレン『暫く会えないと思うけど、我慢してくれ』

    エレン『愛してる』



    アニ(…あいつ!)イラッ

    アニ(…でもなんでだろ…不思議と不安とかは感じない)

    アニ(結婚してくれって言ってくれたからかな…)



    アニ(次会ったら覚えてなよ…)クスッ
  76. 88 : : 2018/08/31(金) 10:16:57
    旧調査兵団本部

    コンコン

    エルヴィン「入れ」

    ペトラ「失礼します」

    ガチャ

    リヴァイ「遅いぞペトラ」

    ペトラ「すみません!」

    エレン「…」スタスタ

    リヴァイ「また会う事になるだろうとは言ったがこんなに早くに会うとはな…」

    エレン「全く以って同感です」

    エルヴィン「私語は後にしてくれ」

    エレン「失礼しました」

    エルヴィン「エレン…君には特別作戦班に所属してもらう」

    エレン(リヴァイ兵長の率いる班か)

    エルヴィン「その名の通り他の班より過酷な任務を遂行してもらう事になるが、異論は無いな?」

    エレン「ハッ」バッ

    エルヴィン「ならばこれより君の処遇はリヴァイに一任する事とする」

    エルヴィン「リヴァイとエレンは下がっていい」

    リヴァイ「行くぞ…」スタスタ

    エレン「はい」スタスタ

    バタン

    エルヴィン「ペトラ、君には西棟にいるハンジ班の手伝いに向かってもらう」

    ペトラ「えっ…」(ハンジさんの手伝いはロクな事がないし嫌だな…)

    エルヴィン「…どうした?」

    ペトラ「い、いえ…すぐに向かいます…」トボトボ

    ガチャ…バタン…
  77. 89 : : 2018/08/31(金) 10:17:13
    リヴァイ「…」スタスタ

    エレン「…」スタスタ



    リヴァイ「…」

    エレン「…あの、兵長」

    リヴァイ「何だ」

    エレン「本部から出てしまいましたがどこに向かってるんですか?」

    リヴァイ「俺たちの拠点だ」

    エレン「拠点?」(拠点は本部じゃないのか?)

    リヴァイ「…本部から200〜300m程の距離に東塔、西塔、南塔、北塔と4つの塔がある」

    リヴァイ「昔は調査兵団の中で団長に実力者が認められた者だけが塔の管理を任せられる事になっていたらしい、それの名残だな」

    リヴァイ「俺が管理するのは東塔だ、勿論俺の班員も東塔で生活する事になる」

    エレン「なるほど、それで拠点…という事ですか」

    リヴァイ「そうだ、着いたぞ…」



    エレン「なんというか…」(廃墟そのものだな…)

    リヴァイ「…エレン」

    エレン「はい…?」

    リヴァイ「お前…掃除は出来るか?」

    エレン「人並み程度には出来るかと…」

    リヴァイ「早急に取り掛かるぞ」ダッ
  78. 90 : : 2018/08/31(金) 10:17:45
    ーーーーーーーー

    アニ「…」スタスタ

    ユミル「よう」

    クリスタ「おはよう!」

    アニ「おはよ」

    ユミル「…今お前医務室の方から出て来たよな?」

    アニ「…」

    クリスタ「え!?え!?」

    アニ「…別にどうでもいいでしょ」

    ユミル「お前ら遂にヤッたな…?」

    アニ「し、してない!」

    ユミル「おい今こいつ焦ったぞ!」ケラケラ

    クリスタ「今日こそは言ってもらうよ!」キラキラ

    アニ「……したよ…キス…///」

    ユミル「…えっ…」

    クリスタ「キャー!アニ遂にキスしちゃったんだ!」

    アニ「声でかいから…」

    ユミル(…こいつらピュアかよ…)

    アルミン「おはようアニ」

    アニ「!…おはよ」(聞かれてないよね?)

    アルミン「エレンは医務室にいる?少し話があって…」

    アニ「あ…えっと…もういない」

    アルミン「そっか、今どこにいるか分かる?」

    アニ「分からないけど、もうこの拠点にはいないと思うよ」

    アルミン「え?それってどういう…」

    アニ「あいつ今頃は調査兵団の人達と一緒にいるから」

    アルクリユミ「!?」

    アルミン「エレンは何で調査兵団の人達と?」

    アニ「昨日の夕方、あいつの所に調査兵団の団長が直々に来てあいつに調査兵団入りを告げて帰ったって言ってた」

    アルミン「そんな事が…」

    アニ「それで朝起きたらあいつが隣にいなくて手紙が残されてて、調査兵団の人達と生活する事になったから暫く帰れないって書いてて…」

    アルクリユミ「…ん?」

    アルミン「僕の聞き違いじゃなければ朝起きたら隣にいなかったって聞こえたんだけど…」

    クリスタ「私もそう聞こえた…」

    アニ「…」(しまった…つい口がすべった…)

    ユミル「ほう…つまり昨日から夜通しエレンと一緒に寝てたと…?」ニヤニヤ

    アニ「…………悪い?…別に付き合ってるんだからいいでしょ…」

    ユミル「こいつ開き直りやがった!」

    クリスタ「キスまでの流れ聞かせてよ!」

    アルミン(!…エレンとアニがキス…あのエレンが…大人になったんだね…)
  79. 91 : : 2018/08/31(金) 10:18:01
    ーーーーーーーー

    リヴァイ「全然なってない、やり直せ」

    エレン「…はい」(もう3度目だぞ…これ以上どこを掃除すればいいんだよ)

    ペトラ「兵長、ハンジさんの手伝い終わりました」

    ペトラ「エルド達も今到着したみたいです」

    リヴァイ「そうか…丁度いい、休憩がてらあいつらに挨拶でもしてこい」

    エレン「はい」(助かった…)

    ペトラ「あ、案内するよ」

    エレン「ありがとうございます」

    ガチャ…バタン…

    ペトラ「兵長の掃除に付き合うのは大変でしょ」フフッ

    エレン「正直あそこまでやり直しさせられるとは思ってませんでした」スタスタ

    ペトラ「今じゃもう慣れたけど私も最初は大変だったなー」スタスタ

    ペトラ「あ、いたいた」

    エルド「ん?そいつが例の特別入団したってやつか?ペトラ」

    エレン「エレン・イェーガーです」バッ(特別入団?)

    エルド「態々敬礼なんてしなくていい、よろしくなエレン」

    エレン「よろしくお願いします」

    オルオ「特別入団かなんだか知らねーが俺はまだ認めたわけじゃ」ガリッ

    ペトラ「その老け顔がオルオね、それと…あれ?グンタは?」

    エルド「先に報告書を団長の所に持って行くって言ってたな」

    ペトラ「そっか、ならグンタはまた後でいいかな」

    エレン(俺を含めてもたった6人の班…この人達が特別作戦班か…)

    リヴァイ「おいエレンいつまで休憩してやがる、さっさと戻って掃除の続きだ」

    エレン「…はい」


    ペトラ「エレンもこれから大変だね」

    エルド「これも一種の通過儀礼みたいなもんだからな」
  80. 92 : : 2018/08/31(金) 10:18:17
    アニ「はぁ…」

    クリスタ「まだ離れて1週間なのにそんなに溜め息吐いてたら体が持たないよ?」クスッ

    アニ「別にそんなんじゃないから…」

    クリスタ「そういえば聞いた?今回の騒動があったから所属兵科の決定日が1ヶ月後まで伸びたんだって」

    アニ「へぇ…」

    クリスタ「やっぱり調査兵団に行きたい?」

    アニ「そりゃそうだけど…でも…行かない」

    アニ「何があっても帰って来てくれるって約束してくれたから」

    クリスタ「…そっか!」

    アニ(3年我慢すればこの不安も少しは無くなるのかな)

    クリスタ(そうは言ってもやっぱり不安そうな顔してる)

    アニ「はぁ…」

    クリスタ「また溜め息出てるよ」クスッ

    アニ「クリスタ」

    クリスタ「なに?」

    アニ「3年って長いね」

    クリスタ「え、いきなり何の話?」

    アニ「何でもない」

    クリスタ(あんまり深く聞かない方がいいのかな?)

    クリスタ「そう言えば訓練兵団を卒業してから新しい所属兵科が決まるまで一人部屋が与えられるでしょ?」

    クリスタ「アニの部屋はどうだったの?」

    アニ「どうって言われても…多分あんた達の部屋の間取りとかと変わんないよ」

    クリスタ「そうなんだー何部屋もあったから色々違うのかと思ってた」

    サシャ「あ、二人ともこんな所にいたんですか」

    クリスタ「サシャ、どうしたの?」

    サシャ「今回の騒動の後処理が人手不足で私たち新兵まで駆り出されるらしくて呼びに来ました」

    サシャ「私は他の人たちにも伝えないといけないので行きますね、集合場所は街の広場です」

    クリスタ「わかったーすぐ行くね」

    アニ(エレン元気にしてるかな…)

    クリスタ「アニ、行こ」

    アニ「うん…」
  81. 93 : : 2018/08/31(金) 10:18:32
    ーーーーーーーー

    旧調査兵団本部-東棟-エレンの寝室

    パチ…

    エレン「…朝か…」

    エレン(少し早く起きちまったな…アニはもう起きてんのかな)

    エレン「…いや、あいつの事だし寝てるか」

    ーーーーーーーー

    食堂

    ペトラ「おはようエレン」

    エレン「おはようございます、今日はペトラさんが食事当番の日でしたっけ」

    ペトラ「うん、料理はあんまり自信ないんだけどね…」

    エレン「そんなことないですよ、美味しいです」

    ペトラ「そ、そう?ありがと」

    エレン「何か手伝う事ありますか?」

    ペトラ「じゃあちょっとお願いしていい?食器並べておいて欲しいんだけど」

    エレン「分かりました」スタスタ

    ペトラ「そういえば今日は会議があるらしいから食べ終わったら本部で会議があるから参加してくれってさ」

    エレン「まだ入団して間もないのに会議に参加してもいいんですか?」

    ペトラ「会議では大抵私たちリヴァイ班に任務が言い渡されるからリヴァイ班は全員参加だよ」

    エレン「そうなんですか、分かりました」(初任務か…一体どんな任務なんだろうな)

    ガチャ

    グンタ「おはよう…ん?食事当番でもないのに早いなエレン」

    エレン「おはようございます」

    オルオ「後輩は早起きして先輩を迎えるのは当たり前なんd」ガリッ

    エルド「気にするなよエレン、別にそんな決まりなんてないからな」

    エレン「大丈夫です、たまたま早起きしただけなので」

    ペトラ「全員揃ったし朝ご飯にしよっか」

    エレン「兵長がまだ来てませんよ?」

    グンタ「リヴァイ兵長は会議がある日は本部で寝泊まりするんだ」

    オルオ「だから今日はこれが全員なんだよ、分かったか新兵!」

    エレン(そろそろアニのやつ起きたかな)

    ペトグンエル(エレンってスルースキル高いな)
  82. 94 : : 2018/08/31(金) 10:18:59
    旧調査兵団本部

    ガチャ

    リヴァイ「遅いぞお前ら」

    ペトラ「すみません!」

    エルヴィン「席についてくれ」

    アイツガエレンイェ-ガ-カ…
    トクベツニュウタイラシイガジツリョクハドウナンダロウナ

    エレン(これが調査兵団の精鋭達か…ん?)

    ハンジ「…」ジ-

    エレン(他の人たちからの視線も結構なものだが、あの人はやばい感じがする…)

    エルヴィン「それでは会議を始める」

    エルヴィン「会議の内容は次回の壁外遠征の目的とそれに関する各班の役割についてだ」

    エルヴィン「今回の騒動があって間もないが我々に休む事は許されない、知らなければならない事も増えた」

    エルヴィン「…よって次回の壁外調査の目的は通常種2体の捕獲、そして奇行種2体の捕獲だ」

    ネス「!通常種ならともかく奇行種の捕獲は危険すぎます!」

    ネス「以前に何度か奇行種の捕獲を試みましたが結果は1体の捕獲も出来ず、多くの兵士を犠牲にするという結果になりました!」

    エルヴィン「…君の言う通りだ、過去に奇行種捕獲作戦の失敗が続きこの件はうやむやになった」

    ネス「ならどうしてまたこのような作戦g「しかし」

    エルヴィン「今回の騒動で人間が巨人になれる事が明らかとなった」

    エルヴィン「それを踏まえた上で幹部達で話し合った上に出た答えが」

    エレン「奇行種も中身は人間なのではないか…」(!しまった…声に出てた…)

    エルヴィン「今エレンが言った通りだ」

    ネス「…」

    エルヴィン「巨人でありながら予想外の行動を取ることは、奇行種もフーバーやブラウンと同じであると考えた」

    エルヴィン「それを確かめる為に通常種と奇行種を捕獲する必要がある」

    エルヴィン「他に異論がある者は?」



    エルヴィン「捕獲する為のチーム編成をこちらで組んだ、今からそのチーム編成を読み上げる」

    エルヴィン「通常種Aの捕獲をハンジ班、実行と補佐との編成は班長のハンジに任せる」

    エルヴィン「通常種Bの捕獲をミケ班、ハンジ班と同様で編成は班長のミケに任せる」

    エルヴィン「奇行種Aの捕獲をエレンを除くリヴァイ班に任せる」

    エレン「!?」(俺が外されるのか?)

    リヴァイ(エレンを外すのか?何を考えてるエルヴィン)

    エルヴィン「…奇行種Bの捕獲を……」

    エルヴィン「エレン、君に任せる…」

    !?

    リヴァイ「おいエルヴィン…お前の頭がおかしくなったのか俺の耳がおかしくなったのかどっちだ?」

    エルヴィン「…何がだ?」

    リヴァイ「奇行種の捕獲をエレン一人に任せると聞こえたんだがこれは幻聴か?」

    エルヴィン「…会議は以上だ、決行日は今日から丁度2週間後の9時だ」

    リヴァイ「おい」

    エルヴィン「解散」
  83. 95 : : 2018/08/31(金) 10:19:16
    エレン(団長は何を考えてる…俺の実力を認めての事なら文句はねぇが、兵長ですら班員が付くのに俺に付かないってのはあまりにおかしな話だ…)スタスタ

    ペトラ「エレン!」タッタッタッ

    エレン「ペトラさん」

    ペトラ「さっきのは団長の何かの間違いだよ…こんな危険な作戦をエレン一人でやらせるなんてさすがにおかしいし…」

    エレン「ですが俺には団長が嘘や冗談を言っているようには見えませんでしたよ」

    ペトラ「…」

    エレン「失礼します」スタスタ

    ーーーーーーーー

    リヴァイ「おいエルヴィン、てめぇ何考えてやがる」

    エルヴィン「リヴァイ…今の私は何も言えない」

    リヴァイ「何も言えないだと?」(何か裏があるのか?)

    エルヴィン「すまないが王都に呼ばれている、これで失礼する」スタスタ

    エルヴィン「エレンを守れ」ボソッ

    リヴァイ「!?」

    ガチャ…バタン…

    リヴァイ(エレンを守れだと?どういう事だ…)

    リヴァイ(少し調べる必要があるな…あいつに頼むか)
  84. 96 : : 2018/08/31(金) 10:19:52
    夜-東棟の外れ

    ファーラン「久しぶりだな、リヴァイ」

    リヴァイ「お前に調べて欲しい事がある」

    イザベル「兄貴の頼みなら聞かねーわけにいかねーよ」

    リヴァイ「エルヴィンを見張れ」

    ファーラン「調査兵団の団長か」

    リヴァイ「そして…エルヴィンを見張っている奴の素性を探れ、決して勘付かれるな」

    ファーラン「!…あいつ誰かに見張られてんのか?」

    リヴァイ「あいつがこんな無茶な作戦を言う筈がねぇ、裏で動いてる奴が必ずいる筈だ」


    エルヴィン『今の私は何も言えない』


    リヴァイ(あの言葉が引っ掛かる…何かを伝えようとしている感じがしてならない)

    ファーラン「分かった…何か分かり次第連絡する」

    リヴァイ「頼む」
  85. 97 : : 2018/08/31(金) 10:20:10
    エレン「朝か…」(結局一睡もできなかったな)

    エレン(団長にどういう意図があろうと、与えられた任務はきっちりこなさねぇとな…)

    エレン(あー…アニに会いてぇな…)



    エレン「会いに行っちまうか」

    ーーーーーーーー

    ペトラ「あれ?エレンは?」

    エルド「さっき寝室を見てきたけどいなかったぞ」

    オルオ「昨日団長にあんな無茶な作戦出されたんだ、逃げたんだろ」

    ペトラ「オルオ!」

    オルオ「!」ビクッ

    オルオ「じょ、冗談じゃねーか…真に受けんなよ」

    グンタ「いないなら仕方ない先に朝飯済ませてしまおう」

    リヴァイ「…」

    ーーーーーーーー

    エレン(あいつの事だし到着する頃でもまだ寝てんだろうなー)
  86. 98 : : 2018/08/31(金) 10:20:29
    アニ「…」ス-ス-

    エレン「案の定まだ寝てたか…」

    アニ「…ん…ぇれん…」ス-ス-

    エレン「…夢の中まで俺かよ」

    エレン(こいつの寝顔見たせいか安心して一気に眠気がきやがった…)

    アニ「…」ス-ス-

    エレン「横入るぞ…」ゴソゴソ…

    ーーーーーーーー

    アニ「ん…」パチッ

    アニ(また昼前まで寝てた…起きてもあいつがいないって思うと早起きしなくなるな…)

    エレン「…んん…」ゴソッ

    アニ「…」

    アニ「な!あんた何してんの!?」

    エレン「…ん?おはようアニ」

    アニ「おはようじゃない!あんたこんなところで何してんの!?」

    コンコンコン

    クリスタ「アニ?大きな声が聞こえたけど大丈夫?」

    アニ「あ…えっと…だ、大丈夫」

    エレン「寝癖ついてんぞ」

    アニ「…」イラッ

    バシッ…

    エレン「お前その蹴り癖どうにかしろよ…」ヒリヒリ

    アニ「うるさい、あんたが悪い」

    エレン「久し振りに会いにきたっていうのに歓迎の挨拶が蹴りとかお前らしいな」クスッ

    アニ「もう一発蹴られたい?」



    アニ「それであんた何してんの?」

    エレン「会いたくなってな」

    アニ「……まだ離れて1週間くらいなのにそんなんじゃ体持たないよ」

    エレン「迷惑だったか?」

    アニ「そんな事…ないけど…」

    エレン「ならいいじゃねぇか」

    アニ「…」

    エレン「…」

    アニ「…会いたかった…」

    エレン「俺もだ」

    アニ「エレン…」ギュ

    エレン(やっぱりアニが側にいると安心する…)ギュ

    アニ「朝起きたら…あんたはもう起きたかなって思う」

    エレン「俺もだ」

    アニ「ご飯食べてる時はあんたはちゃんと食べてるのかなって思う」

    エレン「俺もだ」

    アニ「夜寝る時はあんたもそろそろ寝るのかなって思う」

    エレン「俺もだ」



    アニ「好きだよ…あんたの事」

    エレン「俺も好きだ」



    アニ「それで、なんでここにいんの?」

    エレン「…休暇が貰えたんだよ」

    アニ「…嘘…ちゃんと話してよ」

    エレン「なんで嘘になんだよ」

    アニ「何年あんたの彼女やってると思ってんの」

    エレン「…初任務が決まった」

    アニ「…うん」

    エレン「相当危険な任務だ」

    アニ「……」

    エレン「昨日から夜通しずっと任務の事を考えてたら眠れなくてな、お前の顔見たくなったんだよ」

    アニ「…帰ってくるよね…?」

    エレン「…当然だ」

    アニ「どんなに過酷な任務でもあんたが帰ってくるのを私はちゃんと待ってるから」

    エレン「あぁ、必ず戻る」

    アニ「その任務の日はいつ?」

    エレン「2週間後の9時にカラネス区からの出発だ」

    アニ「そっか…」

    エレン「その日まではお前と過ごすつもりだ」

    アニ「…じゃあ、沢山…」

    エレン「沢山?なんだよ」

    アニ「沢山…デート…しよう」

    エレン「あぁ、俺と一緒にいるのが飽きる程デートしてやるよ」

    アニ(あんたとのデートで飽きるわけないでしょ…)
  87. 99 : : 2018/08/31(金) 10:20:52
    ーーーーーーーー

    オルオ「3日経ってもあの新兵の姿が見えねーってなるとこれはいよいよ逃亡になるんじゃねーのか?」

    ペトラ「…」

    エルド「なかなか骨のあるやつに見えたんだがな…」

    グンタ「今すぐにでもエレンの捜索を開始しないと…あいつは今度の壁外遠征の内容を知っているんだ、街にバラされでもしたら…」

    リヴァイ「必要ない」

    グンタ「しかし兵長!」

    リヴァイ「エレンは俺たちの班の一員のはずだ、信じてやれ」

    グンタ「…はい…」

    リヴァイ(エレンのやつ…どこで何してやがる…)

    ーーーーーーーー

    アニ「…んん…」

    エレン「そろそろ起きないとお前朝から任務あるんだろ?」

    アニ「もう少しだけ…zzz…」

    エレン「お前がさっさと起きねーと心配した他の連中が部屋に入ってきて俺の存在がバレる、連れ戻されちまうぞ」

    アニ「…」ムクッ

    エレン「ちゃんとここにいてやるからさっさと任務終わらせてこいよ」

    アニ「うん…」(離れたくない…)

    エレン「着替えな、向こう向いとくから」



    アニ「着替えた」

    エレン「じゃあ…任務終わるの待ってるよ」

    アニ「行ってきます」

    エレン「おう」

    アニ「…行ってきます」

    エレン「?…おう」

    アニ「…」

    エレン「…?」

    アニ「行くよ?」イラッ

    エレン「え、おう…いってらっしゃい」(何回このやり取りすんだよ…)

    アニ「…行ってきますの何かあったりしないの?」

    エレン「何か?…あぁ…」

    エレン「いってらっしゃい」チュ

    アニ「行ってくる」ニコッ

    バタン

    エレン(あいつ本当に一々可愛くなったな)
  88. 100 : : 2018/08/31(金) 10:21:27
    ファーラン「リヴァイ」

    リヴァイ「何か情報を掴めたか?」

    ファーラン「あぁ、単刀直入に言うと今回のエレン・イェーガーに無謀な作戦をやらせようとしているのは、憲兵団師団長のナイル・ドークだ」

    リヴァイ「ナイルだと?」

    ファーラン「ナイルは今回エレンが特別入隊した事で憲兵団と調査兵団の立ち位置が入れ替わることを恐れている」

    ファーラン「まぁ当然と言えば当然だ」

    ファーラン「リヴァイと同格の強さを持つ兵士が調査兵団に入れば民衆は憲兵団より調査兵団に期待をする」

    リヴァイ「…」

    ファーラン「結果内地で自分達憲兵団が威厳を無くすのが怖いんだろうよ」

    ファーラン「それでナイルが考えた作戦がエレンに消えてもらう事だったってわけだ」

    リヴァイ「だがそんなふざけた理由にエルヴィンが納得するとも思えねぇが?」

    ファーラン「そこは俺も引っかかってた所なんだがどうやらエルヴィンとナイルとの間で極秘の取り引きがあったみたいだ」

    リヴァイ「極秘の取り引きだと?」

    ファーラン「取り引きの内容全てを聞き出す事は出来なかったんだが、その取り引きの中で一人の男の名前を聞けた」

    ファーラン「その男を捕まえられれば大きく歴史が変わる」

    リヴァイ「そいつの名前は何だ?」







    ファーラン「グリシャ・イェーガーだ」







    リヴァイ「イェーガー…だと…?」

    ファーラン「あぁ、俺もその姓に引っかかった」

    リヴァイ「エレンと関係のある人間か…」

    リヴァイ「ファーラン、続けての頼みで悪いが今すぐエレンの居場所を探れ」

    リヴァイ「今すぐにでもエレンと連絡が取りたい」

    リヴァイ「多少手荒な真似でも構わない」

    ファーラン「了解」
  89. 101 : : 2018/08/31(金) 10:21:49
    ガチャ

    アニ「ただいま」

    エレン「おかえり」

    アニ「疲れたぁー」ギュ

    エレン「お前ほんと大胆になったよな」

    アニ「何が?」

    エレン「付き合いたての頃なんて今みたいにお前から抱きついてくるなんてまずなかっただろ」クスッ

    アニ「嫌ならしないけど…」

    エレン「嫌なわけねぇだろ、嬉しい変化だよ」ギュ

    アニ「…お腹減った…」(なんか恥ずかしい…)

    エレン「たしかに腹減ったなー」

    アニ「何か買ってくるけど食べたいものある?」

    エレン「お前の手料理食ってみたいかな」

    アニ「…自信ない」(自分で作った事ないし…)

    エレン「自信なくてもいいから作ってみてくれよ」

    アニ「…不恰好な料理でも笑わない?」

    エレン「笑わねぇよ」

    アニ「……しょうがないな…」

    ーーーーーーーー

    エレン「見た事ねぇ料理だな」

    アニ「オムライスっていうらしい」

    エレン「へぇ…」モグ

    アニ「…どう?」ドキドキ

    エレン「美味いな…」モグモグ

    アニ「よかった」ホッ…

    エレン「今度また作ってくれよ」モグモグ

    アニ「気が向いたらね」(こんなに美味しそうに食べてくれるならまた作ってやってもいいかな…)
  90. 102 : : 2018/08/31(金) 10:22:05


    エレン「明日も朝から任務か?」

    アニ「うん…」

    エレン「…元気ねぇな」

    アニ「折角一緒にいれるのに…離れたくない」

    エレン(…そうだよな…普段強気なこいつだってまだ16の女の子なんだ)

    エレン(いきなり離れ離れになるなんて不安だったはずだ…)

    エレン「アニ」

    アニ「なに?」

    エレン「ごめんな」

    アニ「え、なにが?」

    エレン「今までずっと一緒にいたのにいきなり一人にして不安だったよな」

    アニ「…」

    エレン「本当に悪いと思ってる」

    アニ「…謝らなくていい」

    アニ「確かに不安が絶えない毎日だけど、それでも私は幸せだから」

    エレン「…」

    アニ「あんたの事考えると凄く不安になるけど、それ以上に幸せな気持ちになれる」

    アニ「離れて間もないけど改めて思った…私はあんたの事どうしようもないくらい好きなんだ」

    エレン「…俺なんかが誰かからこんなに愛情をもらうなんて思いもしてなかったよ」

    アニ「初めて会った時のあんたは周りと距離を取ってて誰も寄せ付けようとしなかったからね」

    エレン「あの時はそうすれば自分が傷つかないと思ってた…もう誰かを失うのは嫌だったから」

    アニ「今は違うの?」

    エレン「俺から突っぱねられてもめげずにぶつかって来たお前のおかげで違う考え方も知れた」

    エレン「今は失うのが怖くて人との繋がりから逃げるんじゃなくて失うのが怖いから守りたい…そう思えるようになった」

    アニ「あんたはいつでも守る側なんだね」

    エレン「どういう意味だ?」

    アニ「なんでもない、もう寝よ」

    エレン「お、おう」

    アニ「おやすみ」

    エレン「あぁ、おやすみ」

    アニ(あんたは昔から人に頼らず弱みも見せず…ずっと守ってばかりだ)

    アニ(私だってあんたを守りたいんだよ…守るばかりじゃなくてたまには守られてよ…)

    アニ(そんなんじゃ…いつか心が保たなくなる…よ…)zzz

    エレン(寝たか…)スタスタ

    ガチャ…バタン…
  91. 103 : : 2018/08/31(金) 10:22:22
    エレン「…」スタスタ(ずっとアニの部屋に篭りっきりだったから久々に外歩くと体が鈍ってるのを実感するな)

    エレン(夜の街はいいもんだな…人がいなくてうるさくねぇ…)

    ファーラン「振り向かずに答えろ」スッ

    エレン「…」ピタッ…

    ファーラン「エレン・イェーガーだな?」

    エレン「…あぁ」(調査兵団の奴らか?)

    ファーラン「大人しくついてきてもらおうか」

    エレン「断る」(散歩してただけなのになんでこうなるんだ)

    ファーラン「悪いがお前に拒否権はない」

    エレン「…」(逃げ切るのは簡単だろうが、万が一俺の身辺調査もされてたとなると…アニが危険だな…)

    エレン(殺すか…)

    ファーラン「余計な真似をすれば…!」サッ

    エレン「チッ…」(間一髪のところで避けられたか)

    ファーラン「テメェ人の話聞いてんのか!」(リヴァイに手荒な真似をしてもいいって言われてるけど…)

    エレン「…」ギロ…

    ファーラン(こんないきなり殺しにかかってくるようなイカれた奴相手なんて聞いてねぇぞ…)

    エレン「逃げ回れば痛みが増えるだけだ、大人しく殺されろ」(この身のこなし…調査兵団じゃねぇな…)

    ファーラン「…待て」

    エレン「何だ?遺言でも残し損ねたか?」

    ファーラン(背に腹はかえられない、すまねぇリヴァイ)

    ファーラン「俺は調査兵団のリヴァイに頼まれてお前を連れて来いと言われただけだ」(これ以上は命が保たねぇ…)

    エレン「兵長に?」

    ファーラン「そうだ、俺とリヴァイは昔からの仲で昔から今回のような密命を頼まれてるだけだ」

    エレン「信用出来ない、この場で確実に息の根を止めてやる」

    ファーラン「チッ…」ダッ(本当の事を言ったところで聞く耳もたねぇじゃねーか!)

    エレン「逃げれると思ってんのか」ダッ

    ファーラン「早ッ!…イザベル!」

    イザベル「捕まれ!」バシュ!



    エレン「チッ…」(立体機動を付けた奴が待機してるとはな…)

    エレン(殺し損ねちまった…)

    スタスタ…

    エレン(しまった!さっきの奴に夢中になりすぎて近付いてくる奴に気付かなかった…)

    ユミル「…ん?」

    エレン「…」スタスタ

    ユミル「ちょっと待てよ!」ガシッ

    エレン「…」

    ユミル「エレン…だよな?」

    エレン「…あぁ」

    ユミル「お前こんな所で何してんだ?」

    エレン「そっちこそこんな時間に何してんだよ」

    ユミル「私は眠れないから散歩してただけだけど…」

    エレン「…」

    ユミル「何か言えねぇ事情でもあんのか?」

    エレン「…」

    ユミル「…まぁいい、こんな時間に話してて憲兵に話しかけられるのは面倒だ…少し移動するぞ」グイッ
  92. 104 : : 2018/08/31(金) 10:22:51
    ユミル「ここなら問題ねぇだろ」

    エレン「…」

    ユミル「いつまで黙り決め込んでんだよ」

    エレン「…誰にも言わないでくれ」

    ユミル「…別にそれはいいけどよ、アニはお前がこの街にいる事知ってんのか?」

    エレン「あぁ、今はアニの部屋に寝泊まりしてる」

    ユミル(あいつが最近元気よかったのはこういう事か…)

    ユミル「お前が何でこの街にいるかは聞かねーよ、どうせ聞いても答えねぇんだろうしな」

    エレン「…悪い…」

    ユミル「気にすんなよ…人間誰でも人に言いたくない事の一つや二つあるもんだろ」

    エレン「…もうアニの部屋に戻っていいか?」

    ユミル「戻る前に一つ聞かせてくれ」

    エレン「何だ?」

    ユミル「お前アニの事ちゃんと好きだよな?」

    エレン「当たり前だ」

    ユミル「その言葉が聞けただけでいい、あいつは私にとっても大切な友達なんだ…泣かせたりしたらぶん殴ってやるからな」

    エレン「肝に銘じておくよ」スタスタ

    エレン(良い友達に恵まれたな、アニ)
  93. 105 : : 2018/08/31(金) 10:23:09
    ーーーーーーーー

    ファーラン「リヴァイ…」

    リヴァイ「どうした?エレンはどこだ?」

    ファーラン「悪い…作戦失敗だ」

    リヴァイ「…」

    ファーラン「居場所は特定したが、あいつを連れてくるのは至難の業た」

    リヴァイ「お前でも無理だったか」

    ファーラン「…危うく殺される所だった」

    リヴァイ(ファーランですら無理ならもうこれまでか…後はエレンが自分の意思でここに戻って来るのを待つしかないな…)

    ーーーーーーーー



    アニ「」zzz

    エレン「アニ」

    アニ「ん…」zzz

    エレン「アニ」

    アニ「んん…」zzz

    エレン「アニ」ユサユサ

    アニ「んーうるさい…」zzz

    エレン「…」(ここまで寝覚めが悪くなってるとはな…)

    アニ「えれん…」zzz

    エレン「…」

    パチッ

    アニ「エレン…」

    エレン「おはよ」クスッ

    アニ「先に起きてるなら起こしてよ…」

    エレン「何回も起こそうとしたのにお前が起きなかったんだよ」

    アニ「…なんかムカつく」

    エレン「理不尽だな」ケラケラ

    エレン「朝から任務だろ?行ってこいよ」

    アニ「…ちゃんと待っててよ」

    エレン「待ってるよ、大丈夫だからさっさと行ってこいよ」

    アニ「…行ってくる」

    エレン「行ってらっしゃい」チュ

    アニ「…もう一回」

    エレン「さっさと行け」

    アニ「…もう一回だけ…」

    エレン「もう一回だけだからな」チュ

    アニ「ふふっ…行ってきます」

    ガチャ…バタン…
  94. 106 : : 2018/08/31(金) 10:23:39
    ーーーーーーーー

    グンタ「リヴァイ兵長!今すぐにでもエレンを捜索し、身柄を確保するべきです!」

    オルオ「俺もグンタに賛成です、もう壁外遠征は明日なんですよ」

    リヴァイ「…」

    エルド「だがエレンがいなくなってから今日までで壁外遠征の作戦は街にバレていない、あいつは作戦をバラしてはいない」

    グンタ「エルド…しかし!エレンは任務を与えられているのにも関わらず、それを放棄している!」

    ペトラ「まだ放棄と決まったわけじゃないでしょ!?」

    オルオ「後1日しかないのに姿を見せないなんて放棄したようなもんだろ!」

    エルド「あいつは今回の作戦は一人行動だったはずだ、今回の作戦の班員でもない俺たちに顔を合わせる必要は無いはずだ」

    ペトラ「そうだよ!」

    グンタ「エルド、ペトラ…お前達二人は何故そこまでエレンの肩を持つ!」

    オルオ「これ以上の話し合いは不毛だ!俺は一人でも探しに行くぞ」スタスタ

    リヴァイ「…待て」

    オルオ「兵長までエレンの味方ですか!」

    リヴァイ「探しに行く必要はない、あいつの居場所は既に掴んでいる」

    グンタ「!なら今すぐにでもエレンを「必要ない」

    リヴァイ「必要ないと言うより無理だ」

    グンタ「無理とはどういう事ですか!」

    リヴァイ「身柄を確保する為に既に俺が密命を下したが失敗に終わっている」

    エルペトグンオル「!」

    リヴァイ「失敗した理由はエレンに殺されかけたという事だ」

    リヴァイ「エレンを探し出して連れてくると言ったな?オルオ」

    オルオ「…」

    リヴァイ「俺が密命を与える程、優秀な奴でも逃げ帰る事が精一杯だったわけだが…お前は連れて帰ってこれるのか?」

    オルオ「それは…」

    リヴァイ「信じて待つんだ、あいつは必ず帰ってくる」
  95. 107 : : 2018/08/31(金) 10:24:08
    アニ「…明日だよね」

    エレン「ん?」

    アニ「壁外遠征」

    エレン「…あぁ」

    アニ「…」(やっぱり送り出したくないな…)

    エレン「…街にでも行くか」

    アニ「え、でもこの時間帯は人が沢山いるし…」(バレるんじゃ…)

    エレン「気にすんな、外に出たい気分なんだよ」

    アニ「あんたがいいならいいけど…」

    ーーーーーーーー

    エレン「ここの飯美味いな」モグモグ

    アニ「美味しいけど…もう少し人が少ない店に入った方がよかったんじゃない?」

    エレン「だから気にすんなって、俺が戻ってきてからデートする時はいつもコソコソしてただろ」

    エレン「最後の1日くらいはもうそんな事気にせずに楽しめばいいじゃねぇか」

    アニ「…いいの?」

    エレン「おう」ニコッ

    アニ「なら、あんたと行きたい所があったんだ」

    エレン「じゃあ飯食い終わったらそこ行くか」

    アニ「うん!」

    ーーーーーーーー

    エレン「…ここか?」

    アニ「うん、今私が住んでる地域の同年代の人達は休日とかどこか遊びに行く時はここが多いんだって」

    アニ「クリスタやユミルとかサシャと1回だけ来た事があるんだけど、あんたと来たかったんだ」

    エレン「…そうか」スッ

    アニ「?」

    エレン「察しろよ…手貸せ」

    アニ「…え、あ、うん…」ギュ

    エレン「行くか…」

    アニ「…」コクッ



    クリスタ「あ、エレンだ!」

    ユミル「!?」バッ

    サシャ「エレン帰ってたんですね!」

    クリスタ「おーい!エレーン!」

    ユミル「バカ…邪魔してやるな」(幸せそうに手なんか繋ぎやがって)クスッ



    エレン「確かに同年代の奴らが多いな」

    「あ、アニ!」

    アニ「あ…」

    エレン「…?」(新しい友達か?)

    「えっと…そっちの人は…」

    アニ「……彼氏…」

    「嘘!アニって彼氏いたの!?」

    アニ「うん…///」(やばい…凄い恥ずかしい…)

    エレン「初めまして、これからもアニと仲良くしてあげてね」ニコッ

    アニ(こいつ猫被ってる…)

    「はい…///」(イケメン…)



    アニ「あんたさっき猫被ってたでしょ」

    エレン「無愛想な彼氏だって思われるよりいいだろ?」ケラケラ

    アニ「そりゃそうだけどさ…」
  96. 108 : : 2018/08/31(金) 10:24:30
    夕方

    アニ「もうそろそろ帰ろっか」

    エレン「そうだな」

    アニ「…」スタスタ

    エレン「今日のデートはどうだった?」スタスタ

    アニ「すごく楽しかったよ…」

    エレン「…ならもっと楽しそうに言えよ」クスッ

    アニ「ごめん…楽しかったのは本当…でも日が沈み始めたら、明日の朝にはまたあんたがいなくなるんだって思って…」

    エレン「…お前が寝るまではちゃんといるよ」

    アニ「うん…ごめん…こんな暗い空気にさせちゃって」

    エレン「気にすんな、帰ってこないんじゃないかなんて不安はそのうち無くなる」

    アニ「え?」

    エレン「だってそうだろ?俺はお前に何があっても必ず帰るって約束したし、当然その約束は守って帰ってくるよ」

    エレン「そしたらそのうちお前の中でも帰ってくるのが当たり前だって思うようになる」

    アニ「…」

    エレン「最初は不安や心配をかけちまうだろうが、大丈夫だ」

    エレン「俺が大丈夫だって行動で教えてやる」

    アニ「エレン…」(きっとあんたが離れる度に不安になるし離れる事に慣れるなんて絶対にないと思うけど、今はあんたのその言葉だけで十分だよ)

    エレン「さ、帰ろうぜ」

    アニ「うん!」ニコッ
  97. 109 : : 2018/08/31(金) 10:24:48
    アニ「ちゃんと寝るまではいてよ」

    エレン「はいはい、それ何回目だよ」クスッ

    アニ「…手握って」

    エレン「ん…」ギュ

    アニ「エレン」

    エレン「どうした?」

    アニ「…」

    エレン「どうしたんだよ」

    アニ「…好き」チュ

    エレン「!…」

    アニ「おやすみ!」バサッ

    エレン「あぁ…おやすみ」

    エレン(初めてアニの方からキスされた…)

    エレン(やばい…照れるなこれ…)

    アニ(…恥ずかし過ぎる!!!)

    アニ(こいついつもこんな恥ずかしい事やってくれてたんだ…)

    アニ(これからはたまになら私からしてあげてもいいかな…)

    エレン「おやすみの前に言い忘れてた」

    アニ「…なに?」(このタイミングで話しかけないでよ…恥ずかし過ぎるって…)

    エレン「俺も好きだよ」

    アニ「…うるさい///」

    アニ(たまにならって思ったけど手始めにあいつが帰ってきたら私からしてあげてもいいかな…)クスッ



    アニ(zzz)…ス-ス-

    エレン(寝たか…)スッ

    エレン「行ってくるな」チュ

    ガチャ…バタン…
  98. 110 : : 2018/08/31(金) 10:25:03
    エレン(全く考えてなかったけどここから歩いて本部まで帰るとか面倒だな…)スタスタ

    アルミン「やぁ、エレン」

    エレン「!…アルミンか、脅かすなよ」

    アルミン「ごめんごめん」ハハッ…

    エレン「こんな時間に何してんだよ」

    アルミン「久し振りに親友の顔を見ようと思って待ってたんだよ」

    エレン「…俺がこの時間にこの道を通るって知ってたのか?」

    アルミン「まぁね…アニの部屋から旧調査兵団本部へ行くにはこの道を通るのが近道だしね」

    エレン「本部が旧調査兵団本部に移ったのも知ってるんだな、しかも俺がアニの部屋にいた事まで…」

    アルミン「僕の情報網を甘く見過ぎだよ」クスッ

    エレン「何か用なのか?」

    アルミン「さっき言っただろ?久し振りに親友の顔を見ようと待ってたって」

    エレン「本当にそれだけの理由だったのかよ」フッ…

    エレン「朝までに本部に着かなきゃいけないんだ、もう行くぞ」

    アルミン「…死なないでね」

    エレン「…当たり前だ」(明日俺が危険な任務に就く事も知ってんのかよ…)

    アルミン「君は僕にとって家族のような存在であり、親友で、ヒーローなんだ」

    エレン「…」

    アルミン「死んだら許さないよ」

    エレン「次にお前に会う時に幽霊になってないように頑張るよ」ケラケラ

    アルミン(…まったく…人がこれだけ心配して来たっていうのに君は…)クスッ
  99. 111 : : 2018/08/31(金) 10:25:21
    朝-8時50分

    オルオ「やっぱりエレンの奴帰ってこなかったじゃないですか!」

    エルヴィン(奇行種の捕獲は1体だけになるか…)

    ペトラ「まだ後10分あるでしょ!?」

    オルオ「ペトラ!何でお前はそこまでエレンに肩入れするんだ!」

    ペトラ「そんなの仲間だからに決まってるでしょ!」

    オルオ「お前エレンに惚れてるんじゃねぇのかよ!」

    ペトラ「はぁ!?そんなわけないでしょ!大事な任務の直前で何言い出してるわけ?」

    オルオ「どうだかな!お前はエレンが入ってきてからやけに浮かれてるように見えるしn」ガリッ

    ザワザワ…
    ガヤガヤ…

    エレン「すみませーん、遅れましたー」スタスタ

    !?

    ペトラ「エレン!」ホッ

    エルド「冷や冷やさせやがって…」

    グンタ「お前今まで何してた!!」

    オルオ「もう作戦開始の10分前だぞ!」

    リヴァイ(やはり戻ってきたか)フッ…

    エレン「俺の馬って連れてきてますか?」

    ペトラ「あ、私の後ろに連れてきてるよ!」

    エレン「ありがとうございます」

    リヴァイ「2週間も自由にさせてやったんだ、任務を成功させる算段はつけてきたんだろうな?」

    エレン「いえ、全く」

    リヴァイ「…」

    エレン「でもまぁ…大丈夫ですよ」

    リヴァイ(死ねと言われてるのと変わらないような任務を受けているのにこの余裕か…)

    リヴァイ(エルヴィンに守れと言われたがその必要はなさそうに見えるな)

    「団長!間もなくです!」

    「開門30秒前!」

    エルヴィン「いよいよだ!これより人類はまた一歩前進する!!」

    エルヴィン「お前達の訓練の成果を見せてくれ!」

    エレン(いよいよか…)

    エルヴィン「開門始め!!」

    エルヴィン「第57回壁外遠征を開始する!」

    エレン(また巨人を…)

    エルヴィン「前進せよ!!!」

    エレン(殺せる!!)ニタァ
  100. 112 : : 2018/08/31(金) 10:25:35
    アニ「…」パチッ

    アニ「行っちゃったんだ…」

    アニ「必ず生きて戻って…エレン…」

    ーーーーーーーー

    「左前方10m級接近!」

    「クソッ取りこぼした!」

    「隊列を死守しろ!」バシュ

    ネス「怯むな!援護班に任せて前進しろ!」

    「進めええぇぇ!!」



    エレン(市街地を抜けてから随分巨人の数が減ったな)

    エルヴィン「巨人捕獲作戦開始!」

    エルヴィン「ハンジ班、ミケ班はこの区域で通常種を捕獲しろ!」

    ハンミケ「ハッ!」

    エルヴィン「索敵・警護班も半分残れ!」

    「ハッ!」



    バシュ------…

    エレン「黒い煙弾…」

    「奇行種だ!!」

    エルヴィン「リヴァイ班!奇行種の捕獲に迎え!先ほどと同様索敵・援護班も残れ!」

    「ハッ!」

    ペトラ「エレン…死なないでね」

    エレン「ペトラさんこそ、御武運を…」



    エルヴィン「エレン」

    エレン「はい」

    エルヴィン「…君には本当にすまない事をしたと思っている」

    エレン「…」

    エルヴィン「だが君を信じている…君の実力を見せてくれ」

    エルヴィン「右前方黒の煙弾を確認…奇行種の捕獲に迎え…エレン」

    エレン「ハッ」(俺には索敵・援護班も付かねぇのかよ)

    エルヴィン「…」(信じているぞ…エレン)



    エレン「そういやお前にまだ名前を付けてなかったな」

    馬「…」パカラッパカラッ

    エレン「まぁ今はそんなこと考えてる場合じゃねぇか」

    奇行種「…」ズシズシズシズシ

    エレン(早い…まず両足のアキレス腱からだな…)バシュ

    エレン「調査兵団になって初めての巨人が討伐じゃなく捕獲っていうのが気にいらねぇが…任務ならきっちりこなさねぇとな」ズバズバ!

    奇行種「…」ズシ-ン

    エレン「次は肩の筋肉だな…」シュ-

    エレン(案外楽に終わりそうだな)チャキ…

    奇行種「アァァァ!!」ブンッ

    エレン「!…こいつ!」(腕をぶん回しやがった!)

    ガシャン!

    エレン(痛ッ…!避けきれなかったか…)ドサッ…

    エレン「くそったれ…」(落下した時に左足折っちまったか)ズキズキ…

    巨人数体「…」ズシン…ズシン…

    エレン「このタイミングで3体の通常種か…」

    エレン「馬はどっか行っちまったしさっき奇行種にやられて立体機動装置はクソの役にもたたねぇ…おまけに足まで折れてるときたもんだ…」

    エレン「取り敢えずこいつは立てねぇし腕力だけで肩の筋肉削いじまえばいいが、あの3体はどうしたもんか」ザクッ!

    奇行種「アアアァァ!!」

    エレン「お前はしばらくそこで芋虫みたく這いつくばってろ」

    巨人数体「…」ズシン…

    エレン「不思議なもんで、こんな状況なのに嬉しい自分がいるよ」

    巨人「…」ニタニタ

    エレン「久し振りに巨人を殺せるんだからな!」

    巨人「…」ア-ン…

    エレン(痛みなんざ知った事か…たかが骨折程度で命諦めてられるかよ)ギロッ

    エレン「来いよ不細工ども、更に不細工になるように整形してやるよ」ジャキ…
  101. 113 : : 2018/08/31(金) 10:25:52
    リヴァイ「エルヴィン、捕獲は完了した」

    エルヴィン「よくやってくれた」

    リヴァイ「エレンからの信号弾はあったか?」

    エルヴィン「…」

    リヴァイ「…リヴァイ班!今すぐエレンの元へ向かう」

    エルヴィン「!そんな作戦は許可していない」

    リヴァイ「お前にも色々事情がある事は分かっている…けどエレンはうちの班員だ」

    リヴァイ「見殺しにはできない…行くぞ」ダッ

    ーーーーーーーー

    リヴァイ「…これはどういう状況だ…」(捕縛された奇行種とその周りに5体の巨人の死体…)

    エルド「この奇行種は生きています!捕獲には成功しています!」

    ペトラ「兵長…これ…」スッ…

    リヴァイ「!…それはエレンの立体機動装置か…?」

    ペトラ「私はエレンと一緒に立体機動装置の整備もしていました…間違いありません…」

    リヴァイ「…そうか…」

    エルド「嘘だろ…あいつは兵長と並ぶ程強いんじゃなかったのかよ…」

    オルオ(こんなことになるならもっと優しくしてやってればよかった…)

    グンタ(クソッ…)

    ペトラ「エレン…」

    リヴァイ(また俺は…選択を間違えたのか…)


    エレン「あ、遅かったですね」

    !?

    エレン「足折っちゃって動けなかったんで迎えが来るの待ってたんですけど中々来ないもんだから余計に2体も相手にする事になっちゃいましたよ」

    ペトラ「エレン!?」

    エルド「…俺は夢でも見てるのか…?」

    グンタ「なんてしぶとい奴だ…」フッ…

    オルオ「ま、まぁ俺は最初から生きてるって分かってたけどな!」

    エレン「すみません引っ張り出してもらえますか?足が使い物にならなくて自力で出れないんですよ」

    リヴァイ「ほらよ」スッ

    エレン「ありがとうございます」

    リヴァイ「しかしよくこんな汚ねぇ所に入ったな」

    エレン「あの時は死んだ巨人の口内が一番安全だと思ったんですよ」ネチャ…

    リヴァイ「足折れてんだろ?肩貸してやる」

    エレン「兵長綺麗好きじゃなかったでしたっけ?今の俺相当汚いですよ」

    リヴァイ「気にするな」



    エルヴィン「よく生きていてくれた…」

    エレン「団長…」バキッ

    エルヴィン「痛ッ…」ドサッ

    エレン「団長ともなれば色んな事情があるんでしょうが、一発殴られて済むなら安いと思ってください」

    エルヴィン「…あぁ」フッ…

    エルヴィン「君にはいずれきちんと説明しよう」

    エルヴィン「通常種2体、奇行種2体の捕獲に成功した!これより本部へ帰還する!!」

    エレン(アニ…なんとか生き残ったぞ…)
  102. 114 : : 2018/08/31(金) 10:26:19
    医者「痛かったら言ってくださいねー」



    エレン「あの…痛いんですけど…」

    医者「我慢してください、もう少しで終わりますよ」

    エレン(痛かったら言えって言っただろうが…結局我慢かよ…)



    ガチャ…

    ペトラ「治療終わった?」

    エレン「はい、すみません…帰ってきてペトラさんも疲れてるのに治療に付き合ってもらって…」

    ペトラ「気にしなくていいよ、なんて言ったって私はエレンの世話係なんだし」

    エレン「まともに世話してもらったの未だにない気がするんですけど…」

    ペトラ「何言ってんの!これからだよこれから!」

    エレン「まぁ、それは置いといて取り敢えず帰りましょうか」

    ペトラ「…置いといてって何か流されてる感あるよね」

    エレン「まぁ流してるんで」

    ペトラ「あ、遂にハッキリ言ったね!」バシッ

    エレン「痛いですよ、こう見えても結構重症なんですからね?」ケラケラ

    ペトラ「帰ったら怪我の具合を報告しろってリヴァイ兵長が言ってたよ」

    エレン「何で怪我人に来させるんですかね…聞きに来てくれてもいいと思いませんか?」

    ペトラ「その言葉そのまま兵長に伝えとくね」

    エレン「…ペトラさんって意外にSの気質あったんですね」

    ペトラ「意外にってどういう事!?」
  103. 115 : : 2018/08/31(金) 10:26:49
    リヴァイ「その調子じゃ暫く自由に動けそうにないな」

    エレン「自分も左足だけだと思ってたんですけど検査受けたら左腕と肋骨も何本かイッてるみたいで…」

    リヴァイ「暫くペトラが世話をする事になってる、合鍵をペトラに渡しておけ」

    エレン「…はい」

    リヴァイ「それとエレン」

    エレン「?」

    リヴァイ「今回の任務ではよくやってくれた…」

    エレン「ハッ!」バッ

    リヴァイ「下がっていい」

    エレン「失礼します」

    ガチャ…バタン…

    エレン「ペトラさんずっと待っててくれたんですか?」

    ペトラ「そりゃエレンの世話係だからね、ほら行くよ」

    ーーーーーーーー

    アニ「…」ボ-(もう夕方だし帰って来てるよね…)

    アニ「…」ボ-(あいつが約束破るわけない…あいつはちゃんと帰ってきてる…よね…?)

    「レオンハート!貴様はもういい!今日は帰れ!」

    アニ「!…すみません…」

    「訓練兵を卒業した人間がたかが任務一つに集中出来なくてどうする!何を学んできたんだ!」

    アニ「……すみませんでした…」

    クリスタ(アニどうしたんだろ…)

    ユミル(…エレンの事が気になって仕方ないんだろうな)

    「アルレルト!貴様も帰れ!そんな腑抜けた奴に任務をされた所で仕事が増えるだけだ!」

    アルミン「!すみませんでした…」

    ユミル(お前もかよ…)
  104. 116 : : 2018/08/31(金) 10:27:08
    ペトラ「はい口開けて」

    エレン「あの…ペトラさん…利き腕は使えるんで態々食べさせてもらわなくても大丈夫です」

    ペトラ「!ご、ごめんね!そうだよね…ごめん…」

    エレン「いえ…」モグモグ

    ペトラ「ご飯終わったら食器外に出しといてくれればいいから、私もう行くね」

    エレン「あ、はい何から何までありがとうございます」

    ペトラ「気にしなくていいよ、私はエレンの世話係なんだから」ニコッ

    ガチャ…バタン…

    エレン(アニの奴心配してるよな…今すぐにでも会いに行ってやりたいけどこの怪我じゃな…)

    コンコン

    エレン「?…はい」

    ガチャ

    エルヴィン「怪我の具合はどうだ?」

    エレン「!…まぁ思ってた以上に悪かったみたいですけど後遺症は残らないみたいなんでよかったですよ」

    エルヴィン「そうか…それは良かった…」

    エレン「団長の事ですからそんな事を態々言いにきたわけじゃないんですよね?」

    エルヴィン「あぁ…だが最初に謝らせてくれ…君一人に危険な任務を任せてしまって本当にすまなかった」

    エレン「死んでないですし一発キツいの入れたんで気にしてないですよ」

    エルヴィン「…そうか」

    エルヴィン「それで私が君の部屋に訪れた目的だが…」





    エルヴィン「君はグリシャ・イェーガーという名前に聞き覚えはあるか?」





    エレン「!…よく…知っています…」

    エルヴィン「知っている範囲で構わない、教えてくれ」

    エレン「…グリシャ・イェーガーは…シガンシナ区で結婚をし、二人の子供を育てている医者でした…」

    エルヴィン「グリシャには家族がいたんだな?」

    エレン「はい…ですが845年の壁が破られたあの日にグリシャは妻と子供を一人亡くしています」

    エルヴィン「!…グリシャの血を引く人間がまだ一人残っているんだな?」

    エレン「はい」

    エルヴィン「その者の居場所は知っているのか?」

    エレン「知っているも何も今団長の目の前にいますよ」

    エルヴィン「!…エレン…君がその…」

    エレン「はい…正真正銘グリシャ・イェーガーの血を引く子供です」
  105. 117 : : 2018/08/31(金) 10:27:26
    クリスタ「アニ?」

    アニ「…ん」zzz

    クリスタ「今日やっと所属兵科を決める日だよ」

    アニ「…分かってる…」zzz

    クリスタ「13時に広場集合だから遅れちゃダメだよ?」

    アニ「うん……」zzz

    クリスタ「大丈夫かなー…」

    ーーーーーーーー

    ナイル「エルヴィン!貴様よくも嵌めてくれたな!」

    エルヴィン「…何の事だ?」

    ナイル「白々しい!エレン・イェーガーが生きて帰ってきているではないか!」

    エルヴィン「ナイル、君がグリシャの情報を渡す代わりに私に提示した条件はエレンに無理な任務を与え、事故死を装わせろ…という事だったはずだ」

    ナイル「そうだ!そのエレンが何故生きている!」

    エルヴィン「私は奇行種の捕獲を精鋭班でも複数の班員を付け、それでも危険な任務をエレンに単独で任務を行わせた」(エレン程の実力でも今回の任務はギリギリだったみたいだが…)

    ナイル「…」

    エルヴィン「君もエレンに与える任務内容に賛成したはずだ…それでもエレンは生き残り、任務を遂行した」

    エルヴィン「これは私も予想外の事だった」

    ナイル「貴様…」(エルヴィンのこの様子じゃ本当にエレンに単独で任務に当たらせたんだろう…)

    エルヴィン「やらなければいけない事があるんだ、そろそろいいか?」

    ナイル「チッ…」スタスタ

    ガチャ…バタン!
  106. 118 : : 2018/08/31(金) 10:27:42
    クリスタ「アニ…」

    アニ「向こうに行っても頑張ってね…」

    クリスタ「本当に憲兵団に行っちゃっていいの?」

    ユミル「おいクリスタ!」(そんな事アニが何度も考えた事なのに聞いてやるな…)

    アニ「…約束したから…あいつも約束を守って絶対帰ってきてるはずだから…」

    アニ「私はちゃんと…憲兵団になって待っててあげないと…」

    クリスタ「アニ…」

    アルミン「アニ…憲兵団に行く人は部屋に戻って荷造りしてすぐ出発だって…」

    アニ「分かった…」スタスタ

    アルミン「僕ももう行くから…またね」スタスタ

    クリスタ「うん…」

    ユミル「またな…」

    クリスタ「本当によかったのかな…」

    ユミル「アニが決めた道だ…私らがとやかくいう事じゃねーよ…それに人の心配なんてしてる余裕ないはずだろ?」

    クリスタ「…」

    ユミル「私らはこれから調査兵団に行くんだから…」

    ーーーーーーーー

    エレン「嫌です」

    ペトラ「ダメ!」

    エレン「絶対に嫌です」

    ペトラ「絶対にダメ!」

    エレン「こんな重症者がいた所で邪魔になるだけです」

    ペトラ「だからって街に行っていい理由にはならないんだって!」(アニちゃんに会いたいんだろうな…)

    オルオ「お前達が揉めるなんて珍しいな…何を揉めてんだ?」スタスタ

    エルド「街に行きたいエレンと」

    グンタ「それを止めたいペトラだ」

    オルオ「行きゃいいじゃねーか、重症者なんていられても介護がなんだって迷惑かかるだけなんだしよ」

    ペトラ「うるさい!あんたは黙ってて!」ギロッ

    オルオ「!」ビクッ…

    エレン「今オルオさんだって言ってたじゃないですか、俺は絶対に行きます」

    ペトラ「絶対にダメ!怪我が悪化したらもう二度と調査兵団で任務をもらえないかもしれないんだよ?それどころか脱退する事になるかも知れないんだよ?それでもいいの!?」

    エレン「骨折程度何の問題もないですよ!」

    ガチャ…

    リヴァイ「うるせぇぞてめぇら」

    ペトラ「兵長…」

    リヴァイ「一体何の騒ぎだ?」

    エルド「街に行きたいエレンと」

    グンタ「それを止めたいペトラです」

    リヴァイ「…そんなどうでもいい事で一々揉めるな」

    オルオ「…ん?外にいるあいつらって今日から調査兵団に入る新兵達ですか?」

    リヴァイ「あぁ、今ネスが調査兵団の各塔を案内してるらしい」

    エレン「!俺の同期達のはずです!挨拶してきてもいいですか?」

    ペトラ「まぁ…挨拶くらいなら…」

    エルグンオル(それはいいのか…)

    エレン「行ってきます」(ペトラさんの目から逃れちまえば街に行くなんて簡単だ)

    バタン…
  107. 119 : : 2018/08/31(金) 10:28:09
    クリスタ「エレンいないね…」

    ユミル「今見てきた3つの塔はいなかったけど、この東塔にいるかもしれないだろ…」(あいつ本当に死んじまったんじゃねーだろうな…)

    エレン「よう」

    クリユミ「!?」

    クリスタ「エレン!」(生きてる!生きてるよアニ!)

    ユミル「お前ボロボロじゃねーか!」(アニ…こいつはなんとか生きてるみたいだぞ)

    エレン「この前の任務で骨折だらけだよ」ケラケラ

    コニー「久し振りだなエレン!」

    エレン「コニー、やっぱりお前も来たんだな」

    コニー「俺だけじゃないぜ」

    サシャ「元気そうで何よりです!」

    エレン「この体が元気そうに見えんのか?」クスッ

    サシャ「私で終わりじゃないですよ!」

    エレン「他にも俺の知った奴がいんのか?」


    ジャン「よう…」


    エレン「!ジャン…」

    ジャン「…体…すげぇ事になってんな…」(何か気まずいな…)

    エレン「あぁ…この前の任務で左足と左腕、それと肋骨も何本かやっちまったらしい」

    ジャン「…」

    エレン「来たんだな…調査兵団に」

    ジャン「あぁ…お前と別れたあの日から生きる目的をずっと考えてた」

    ジャン「でもいくら考えたって答えは出なくてよ…俺と同じ辛さを抱えたお前の背中を追いかけてみようって思ったんだ」

    ジャン「そしたらお前みたいにまた新しく生きる目的を見つけられる気がしたんだ」

    エレン「そうか…俺はお前が腐らずにいてくれて本当に嬉しいよ」

    ネス「おいエレン、今案内中なんだから邪魔しないでくれよなー」ケラケラ

    エレン「すみません」

    エレン「じゃあ…またな」

    ジャン「あぁ…」

    ネス「おい、エレンお前そんな体でどこ行くんだ」

    エレン「ちょっと行かなきゃいけない所があるんで」

    ネス「お、おう」(あの体で任務でも受けてんのか?特別作戦班ってのも大変だな…)
  108. 120 : : 2018/08/31(金) 10:28:42
    ネス「案内終わったんで本部に戻ります」

    リヴァイ「あぁ」

    ペトラ「あれ?エレンはどこですか?」(ネスさんの報告と一緒に帰ってくると思ったんだけど…)

    ネス「え?エレンなら同期達と挨拶を済ませて早々に本部から出て行きましたけど…」

    ペトラ「!」

    エルグンオル(エレンの奴街に行ったな)

    ペトラ「エレンを連れて帰って来ます」スタスタ

    リヴァイ「必要ない」

    ペトラ「しかし!」

    リヴァイ「あの怪我じゃいてもいなくても一緒だ、好きにさせてやれ」

    ペトラ「…はい」

    ーーーーーーーー

    「あのお兄ちゃん歩き方変!」

    「こら!指ささないの!」

    エレン(…憲兵団本部まで遠すぎだろ…)

    ーーーーーーーー

    夜-食堂

    アルミン「やぁ…」

    アニ「アルミン…」

    アルミン「エレンの事考えてたの?」

    アニ「うん…調査兵団が壁外遠征から帰ってきてもう1週間なのにあいつ全く会いに来ないし…」

    アルミン「…大丈夫だよ、エレンの事だから…エレンの…事だから…」(アニを元気付けようと思ったのに僕まで考え込んでちゃダメだ…)

    「アニ・レオンハート!お前に調査兵団の者が面会に来ている!」

    アニ「!…」(エレンの戦死報告とかじゃないよね…?)

    「面会室で待たせてある」

    アルミン「行っておいでよ…」

    アニ「うん…」スタスタ

    ーーーーーーーー

    コンコン…

    アニ「失礼します」

    ガチャ

    エレン「よう」

    アニ「!」ダッ

    アニ「エレン…!」ギュ

    エレン「そんな力一杯抱きしめんな…」ズキズキ

    アニ「会いに来るの遅い…」

    エレン「悪い…こっちにも色々事情があったんだよ」(ペトラさんが外出を許してくれないのが主な原因だが…)

    アニ「ずっと待ってたんだから…」グスッ

    エレン「…泣いてんのか?」

    アニ「うるさい…」

    エレン「心配かけて悪かったな…」

    アニ「本当にどれだけ心配したと思ってんの」

    エレン「でもちゃんと帰って来ただろ?」

    アニ「そうだけど…」

    エレン「アニ…お前に出会えてよかった」ギュ

    アニ「いきなり何?」

    エレン「正直初めての任務で死にかけるとは思ってなかった…でもギリギリの所でお前の元に帰らなきゃって思ってなんとか生き残れた」

    エレン「お前はやっぱり俺の生きる希望だよ」

    アニ「…バカ」ボソッ

    エレン「愛してるよ…アニ」

    アニ「私もあんたを愛してる」

    エレン「…」スッ

    アニ「待って!」

    エレン「何だよ…キスしようとして止められるなんて結構恥ずかしいんだぞ」

    アニ「あんたが帰ってきたら私からしようと思ってたんだ」

    エレン「…改めて言われると照れるな」

    アニ「照れるとか言わないで、私の方が照れる…」

    エレン「…」

    アニ「出会えてよかったって思うのは私も一緒」

    アニ「あんたと出会って、過去から救ってもらえて、こんなに人の事を好きになれた」

    アニ「あんたに恋できてよかった、ありがとう」チュ



    アニ「何か言ってよ…」

    エレン「うるせぇ…」

    アニ「照れてんの?」

    エレン「うるせぇって」

    アニ「…まだ言ってなかったね」

    エレン「ん?」





    アニ「お帰り」ニコッ

    エレン「あぁ…ただいま」ニコッ
  109. 121 : : 2018/08/31(金) 10:29:12
    〜853年〜

    リヴァイ「エレンはどこ行った」

    ペトラ「ついさっきジャンと二人で馬に乗って本部から出て行きましたけど…」

    リヴァイ「あいつら…」

    ペトラ「どうかしたんですか?」

    リヴァイ「あいつに東塔の掃除を命じたら一目散に逃げやがった」

    ペトラ(兵長の掃除に付き合ってたら何日あっても足りないもんね…)

    リヴァイ「丁度いい…ペトラ、お前にはエレンの代わりに掃除してもらう」

    ペトラ「!…はい…」(エレン…帰ってきたらただじゃおかないんだから…)

    ーーーーーーーー

    ジャン「しかし逃げてよかったのか?帰った時ボコボコにされるぞ」

    エレン「言うな、今現実逃避中だ」

    ジャン(ダメだこいつ…)

    エレン「取り敢えずトロスト区で降ろしてくれ」

    ジャン「はいはい」

    ーーーーーーーー

    エレン「それじゃまた」

    ジャン「おう」パカラッパカラッ…

    エレン(掃除が終わるまでどこで暇潰すかなー)

    エルヴィン「こんな所で何してるんだエレン」

    エレン「!団長…団長こそこんな所で何を」

    エルヴィン「…丁度いい、君も付いて来てくれ」

    エレン「構わないですけどどこに行くんですか?」

    エルヴィン「王都だ、次の任務が決まった」

    エレン「!つい1週間前に壁外から帰って来たのにまた行くんですか?」

    エルヴィン「…これから先のどんな任務より大事な任務だ」
  110. 122 : : 2018/08/31(金) 10:29:54
    王都-会議室前

    エルヴィン「…これから始まる会議の内容は君にとっては複雑だろうがいずれは聞かなければいけない事だ」

    エレン「自分に関係がある内容なんですか?」

    エルヴィン「あぁ…だが私は調査兵団団長として必ず成功させなければいけない」

    エレン「…」

    エルヴィン「行くぞ…」

    エレン「はい」

    ガチャ…

    ナイル「!」(何でエレンの奴がここに…)

    ピクシス「…」

    エルヴィン「座れ…」

    エレン「はい」(各兵団のトップ達に…)

    ダリス「さぁ…始めようか」

    エレン(それらを統括するダリス・ザックレー総統…)

    ナイル「その前にエルヴィン、ここは子連れで遊びに来る場所じゃない…無関係の奴を連れてきてどういうつもりだ」

    エルヴィン「無関係ではない、これから提案する作戦において彼は関係者だ」

    ピクシス「また壁外に行くのか?エルヴィン」

    エルヴィン「はい…この作戦は3年前に計画され、少しずつ情報を集め今日まで緻密に練り上げてきました」

    ダリス「…その作戦とは?」

    エルヴィン「グリシャ・イェーガーの捕縛です」

    エレン「!」(父さんの…捕縛…)

    ナイル(こいつ!…俺がグリシャと繋がりを持っているのを知っているくせに!!)

    ピクシス「聞かん名前じゃな」

    ダリス「その者は一体何者なんだ」

    エルヴィン「一言で言ってしまえば巨人の謎そのものです」

    ピクシス「!なんと…」

    エルヴィン「845年と850年に壁が破壊された事件にも関与していた疑いがあり、未だに行方を晦ませていますが…3年間秘密裏に情報を集め、遂に我々は居場所を特定しました」

    エレン(そんなはずは…だって…それじゃあ父さんが母さんとミカサを殺したって事に…)

    エルヴィン「それだけではありません」(すまないエレン…こんな話を聞かせてしまって…だが捕縛作戦には君の力が必要不可欠なんだ)

    エルヴィン「グリシャ・イェーガーは壁を破壊したベルトルト・フーバーやライナー・ブラウンと同様、巨人になれると思われます」

    エレン「ふざけるな…」ガタン…

    エレン「団長…あんたは何の為に俺にそんな話を聞かせた!」ガシッ

    エルヴィン「捕縛作戦には君の力が必要だ、調査兵団の人間として…グリシャの息子として君はこの話を聞かなければならなかった」

    ダリス「!と言う事はそこの彼は…」

    エルヴィン「…彼はグリシャ・イェーガーの息子…エレン・イェーガーです」

    ピクシス「ぬしがあのエレンか…」

    ダリス(リヴァイと同格の強さを誇ると噂されているエレンか…)

    エレン「…」スタスタ

    エルヴィン「エレン、どこへ行く」

    エレン「話は聞いた…もうここに残る理由はない」

    ガチャ…バタン…

    ピクシス「無理もないじゃろう…自分の父親があんな事をしでかしたなんて知らされれば誰でも混乱する」

    エルヴィン「…」

    ダリス「エルヴィン、作戦内容を話してくれ」

    エルヴィン「はい」

    ーーーーーーーー

    ダリス「捕縛作戦を許可する」

    ピクシス「わしら駐屯兵団も全力で支援しよう」

    エルヴィン「ありがとうございます」

    ナイル「会議はこれで終わりだな?エルヴィン」(まずい事になった…)

    エルヴィン「あぁ」

    ナイル「俺は帰らせてもらう」

    エルヴィン「待て、君が帰るのは憲兵団本部ではなく牢獄だ」

    ナイル「!」

    バン!

    ハンジ「動くな!」

    ナイル「な、何だ貴様ら!」

    ミケ「…」スンスン

    エルヴィン「ナイル・ドーク…君を国家反逆罪の容疑で捕縛する」

    ピクシス「どういう事じゃ…」

    エルヴィン「ナイル・ドークはグリシャ・イェーガーと繋がりを持っており、壁の破壊に関与していた事も知っていながらそれを報告せず繋がりを持ち続けています」

    ダリス「…牢獄に監禁し、グリシャ・イェーガーの情報を全て吐かせろ」

    エルヴィン(この会議の最中にグリシャの情報を吐いてくれていれば別の処遇も考えたが…)

    ナイル「エルヴィン!貴様覚えていr」ムグッ

    ハンジ「舌を噛ませないように牢獄まで連れて行って」

    ミケ「…」コクッ

    ダリス「よくやってくれた、エルヴィン」

    エルヴィン「ハッ」
  111. 123 : : 2018/08/31(金) 10:30:17
    トロスト区-街の外れ

    エレン(父さんが巨人…)

    エレン(団長があんな嘘をつくとは思えねぇ…やっぱり本当なのかよ…)

    エレン(母さんやミカサを…父さんが…)

    アニ「エレン?」

    エレン「…アニ…」

    アニ「あんたも御墓参り?」

    エレン「あぁ…お前もか?」

    アニ「私は1週間に1回は必ず来てるから」

    エレン「来すぎだろ…そんなに来てくれてるなら母さん達も俺よりお前の方が大切に思えてるだろうな」

    アニ「何言ってんの」クスッ

    エレン「…」

    アニ「何かあった?」

    エレン「…別に何もねぇよ」

    アニ「あんた私に嘘が通用すると思ってんの?」

    エレン「…」

    アニ「あんたが悩み事とか人に言わない性格なのはよく知ってるし言いたくないなら別にいいけどさ」

    アニ「でもちょっとくらい頼って欲しいって思うよ」

    エレン「気が向いたらな…」

    アニ「それでもいいよ、あんたが話したくなったら聞かせて」ニコッ

    エレン「…お前明日誕生日だろ?」

    アニ「覚えてたんだ、あんたの頭の中は巨人しかいないんだと思ってた」クスッ

    エレン「うるせぇよ…」

    アニ「覚えててくれてありがと」

    エレン「折角だし明日一緒に出かけるか」

    アニ「私は休みだからいいけど…」

    エレン「俺もサボりだからいいよ」

    アニ「何休みみたいに言ってんの」クスッ

    エレン「じゃあ明日の朝にそっち行くから」スタスタ

    アニ「うん、また明日」
  112. 124 : : 2018/08/31(金) 10:31:08
    クリスタ「あ、エレンお帰り!兵長怒ってたよ!」

    エレン「おう…また馬の世話か?」

    クリスタ「またとか言っちゃダメだよ、壁外じゃこの子達に乗ってるから生きていられるんだからね?」

    エレン「はいはい、悪かったよ」スタスタ

    クリスタ「またそうやって適当に流して」(エレン…ちょっと元気ない?)



    リヴァイ「おいエレン」

    エレン「兵長」

    リヴァイ「お前よくも掃除サボりやがったな」

    エレン「すみません」

    リヴァイ「…どうした」(いつもと雰囲気が…何かあったのか?)

    エレン「何がですか?」

    リヴァイ「まぁいい…次にそんな腑抜けた面してやがったら給料全部引いてやるからな」スタスタ

    食堂

    ジャン「随分遅かったな」

    エレン「あぁ」ハァ…

    ジャン「お前が溜め息なんて珍しいな」

    エレン「最近アニがよく笑うようになってよ」

    ジャン「いい事じゃねーか」

    エレン「可愛すぎて辛い」

    ジャン「惚気かよ」

    エレン「それとさ」

    ジャン「まだ何かあんのかよ」

    エレン「俺の親父、巨人らしいわ」

    ジャン「へー」



    ジャン「は!?」

    エレン「…」

    ジャン「どういう事だよ!」

    エレン「今日団長から聞かされた」

    エレン「俺の親父は8年前と3年前の壁が破壊された事件にも絡んでてライナー達と同様に巨人の姿になれるらしい」

    ジャン「俺の耳がおかしくなったんじゃねぇよな?」

    エレン「俺も団長から聞かされた時頭がおかしくなったのかと思ったよ」

    ジャン「アニは知ってんのかよ…この話」(溜め息の正体はこの話か…)

    エレン「話してねぇ…お前だから話したんだよ」

    ジャン「…何で団長はそんな話をお前にしたんだ?」

    エレン「調査兵団が指揮をとって俺の親父を捕縛する作戦が決行されるらしい」

    ジャン「!」

    エレン「当然みんな戦場に駆り出される…俺の親父がこんなことをしたせいでな」

    ジャン「エレン…」

    エレン「悪い、こんな話聞かせちまって…」スタスタ

    ガチャ…バタン
  113. 125 : : 2018/08/31(金) 10:31:28
    エレン「クソッ…」(いくら考えたって答えが出ねぇ)

    エレン(アニにも話さなきゃいけねぇよな…)

    エレン(アニの親友も…父さんが殺したようなもんなんだから…)

    ーーーーーーーー

    朝-憲兵団本部-食堂

    アルミン「おはようアニ」

    アニ「おはよ…」

    ヒッチ「あんた今まで寝てたわけ?よくそんな寝れるよねー」

    アルミン「今日誕生日でしょ?おめでとう」

    アニ「覚えてたんだ、ありがと」

    ヒッチ「あんたみたいな奴でも生意気に誕生日とかあるんだ」クスクス

    アルミン「今日は非番でしょ?何か予定あるの?」

    アニ「エレンが来てくれるって」

    ヒッチ「え、エレンってあの3年前に超大型巨人と鎧の巨人を倒したあのエレン!?」

    アルミン「そのエレンだよ」

    ヒッチ「なんでエレンみたいな凄い人とあんたが知り合いなわけ!?」

    アルミン「知り合いっていうかアニとエレンは付き合ってるしね」

    アニ「うん」

    ヒッチ「嘘でしょ!?なんでこんな女と…」

    アルミン(酷い言われようだな…)ハハッ…

    ヒッチ「でもまぁあんたみたいな顔がちょっといいだけの無愛想な奴はどうせすぐ飽きて捨てられるって」クスクス

    アルミン「付き合って何年だっけ?」

    アニ「6年」

    ヒッチ「」

    アルミン(ちょっと意地悪しすぎたかな)クスッ

    「アニ・レオンハート!外で客人が待っている!」

    アルミン「あ、エレンじゃない?」

    アニ「だと思う、行ってくる」スタスタ

    アルミン「楽しんで来てね」ニコッ

    アニ「ありがと」
  114. 126 : : 2018/08/31(金) 10:31:45
    エレン「よう」

    アニ「おはよ」

    エレン「…行くか」スッ

    アニ「うん!」ギュ


    ヒッチ「手なんか繋いで…!」

    アルミン(本部にいる時にアニのあんな嬉しそうな顔見た事ないな…エレンだけの特権だね)


    エレン「お前の事だから寝坊してもっと遅くなると思ったんだけどな」

    アニ「どちらかと言うとよく遅れてくるのはあんたの方でしょ」

    エレン「確かにそうか」フッ…

    アニ「今日はなんて言ってサボったの?」

    エレン「夢の続きが気になって寝たいので休みますって言った」

    アニ「そしたら?」

    エレン「兵長に永遠に夢見させてやるってブレード握って追いかけ回された」

    アニ「馬鹿すぎ」アハハ…

    エレン「結局逃げるように出てきたよ」クスッ

    アニ「あんた入団当初はもっと真面目だったのにね」

    エレン「人間誰でも慣れてきたら冗談くらい言うだろ…兵長は頭が固いんだよ」


    アニ「あ、あそこの店行ってみたい」

    エレン「仕方ねぇな…」
  115. 127 : : 2018/08/31(金) 10:32:00
    アニ「結構お店回ったね」

    エレン「そろそろ昼だし飯にしないか?」

    アニ「それならこの前アルミンと食べに行った美味しい店あるからそこにしようよ」

    エレン「お前アルミンと飯とか行くんだな」

    アニ「行くよ?結局私もアルミンも食べてる最中あんたの話しかしないんだけどさ」

    エレン「俺の?」

    アニ「昔あんたがミカサに怒られて涙目になってた話とか聞いたよ」クスッ

    エレン「アルミンの奴…」ボソッ

    ガチャ…カランカラン…

    アニ「二人なんですけど席空いてますか?」

    「こちらの席にどうぞー」

    「注文お決まりになりましたら呼んでくださいね」

    エレン「あ、俺これとこれお願いします」

    アニ「私はこれをお願いします」

    「はーい、少々お待ちください」

    アニ「でもよかった…」

    エレン「ん?」

    アニ「あんた昨日元気なかったけど、今日は割と元気そうになってたから」

    エレン「…まぁな」(なるべく考えないようにしてただけなんだけどな…)

    アニ「そう言えばあんたどんどん有名になってるね」

    エレン「そうなのか?」

    アニ「同僚の子もあんたの名前聞いただけで目がキラキラしてたよ」クスッ

    エレン「大した事したわけじゃないんだけどな」

    アニ「あんたが壁外から帰って来る度に内地はあんたの活躍話で持ちきりだよ」

    エレン「そっちまで情報回るの早すぎだろ」ハハッ…

    「お待たせしましたー」

    アニ「料理もきたし食べよっか」

    エレン「あぁ」
  116. 128 : : 2018/08/31(金) 10:32:14
    エレン「さっきの店、美味かったな」スタスタ

    アニ「でしょ?また行こうよ」

    エレン「あぁ」

    アニ「次どこ行こっか」

    エレン「少し落ち着ける場所ないか?」(いつまでも黙ってるわけにはいかねぇよな)

    アニ「?そこの路地抜けた先に河原があるけど…」

    エレン「そこに行こう…」

    ーーーーーーーー

    河原

    アニ「人も少ないし案外いい場所でしょ?」

    エレン「あぁ」

    アニ「それで?」

    エレン「ん?」

    アニ「私に話したい事…あるんでしょ?」

    エレン「…あぁ、お前に話さなきゃいけいけない事がある」

    アニ「…また次の任務が危ないとか?」

    エレン「それもあるんだけどな…」

    アニ「…なに?」

    エレン「前に親父の話…したよな」

    アニ「え、うん…8年前のあの日に行方不明になったって…」

    エレン「居場所が分かったらしい…」

    アニ「!生きてたんだ…本当に良かった…」

    エレン「…」

    アニ「…エレン?」

    エレン「次の任務は…親父を…捕縛する任務だ」

    アニ「え、え?保護じゃなくて…捕縛…?」

    エレン「…」

    アニ「どういう事?」

    エレン「8年前と3年前…何があった?」

    アニ「壁が…破壊された…」(それとエレンのお父さんと何の関係が…)

    エレン「…その事件に親父が関与している」

    アニ「…え?」

    エレン「…」

    アニ「あんたちょっと疲れてない?言ってる事がおかしいよ?」

    エレン「本当の事だ…それに親父は…」

    エレン「…巨人に…なる事ができる…ライナー達と同じだ…」

    アニ「あんた冗談が過ぎるよ、いい加減にしないと…」

    エレン「………」

    アニ「本当…なの?」

    エレン「あぁ…」

    アニ「…嘘でしょ…」

    エレン「俺も昨日団長に聞いたばかりで今でも混乱してるけど、お前には言わなくちゃいけなかった…」



    エレン「俺の親父がお前の親友を殺した」



    アニ「…それで?」

    エレン「え…?」

    アニ「それが何?」

    エレン「いや…お前俺を恨まねぇのかよ…」

    アニ「今の話であんたを恨む要素がどこにあるの?」

    エレン「俺は大勢の人を殺した奴の子供なんだぞ…お前の親友を殺した奴の子供なんだぞ…」

    アニ「そんなの聞いてれば分かる…正直頭の中も整理出来てないけど、これだけははっきり言える」

    アニ「あんたに何の責任もないでしょ」

    エレン「…!」

    アニ「あんたもあの事件に関わってるなら話は変わってくるけど、そうじゃないでしょ?」

    エレン「あぁ…」

    アニ「寧ろあんたが一番の被害者なのに…私の事を気にして考えてくれてたんだよね」(昨日様子がおかしかったのもこの事を抱えてたからなんだ…)

    エレン「俺が…被害者?」

    アニ「…家族に家族を殺されるなんて私だったら耐えられないと思うから…」

    エレン「…お前俺が怖くねぇのかよ…」

    アニ「何で?」

    エレン「父親が巨人なんだぞ…」

    アニ「関係ないよ…例えあんたがどんな親の元に生まれてたとしてもあんたはあんたでしょ」

    アニ「私を過去から救ってくれたのはあんた」

    アニ「私に生き方を教えてくれたのはあんた」

    アニ「私みたいな奴を好きになって恋人にしてくれたのはあんた」

    アニ「私を…何よりも大事に思ってくれてるのは今のあんたなんだよ」

    エレン「アニ…」

    アニ「私はあんたの父親がどんな奴だったかなんて知らない、私は私をどうしようもない程好きになってくれたあんたしか知らないから」

    アニ「だからそんなに怯えないでよ」

    エレン「俺は怯えてなんか…」

    アニ「嘘、私が離れていかないか不安だって顔してる」

    エレン「…」

    アニ「心配しないで」

    アニ「怯えないで」

    アニ「私は絶対にあんたから離れたりしない」ギュ

    エレン「あんまり優しくするな…」

    アニ「なんで?」

    エレン「…泣きそうだ」ツ-

    アニ「もう泣いてるでしょ」クスッ(6年も付き合ってるけどこいつの涙なんて初めて見た)
  117. 129 : : 2018/08/31(金) 10:32:34
    アニ「泣き止んだ?」クスッ

    エレン「最初から泣いてねぇよ」

    アニ「せっかくの午後をあんたの話に付き合ってやったんだから日付が変わるまでデート付き合ってもらうからね」

    エレン「…あぁ、仕方ねぇな」クスッ

    ーーーーーーーー

    夜-酒場

    「兄ちゃんいける口だなおい」ガハハハハ!

    エレン「負けないですよ」ハハッ!

    「あんた若いが何してる人だ?」

    エレン「調査兵団ですよ」

    「へぇ!調査兵団って言うと最近名前が売れてる奴がいるな!新聞でもよく見る…えーとなんだっけ…ヘレン?メレン?」

    「おいおいしっかりしろよ旦那!エレンだろ?エレン・イェーガー!」

    「あー!そうだったそうそうエレンだ!エレン・イェーガー!」

    「兄ちゃんもそいつみたいに有名になれよ!期待してるぞ!」ガハハハハ!

    エレン「いやいや、俺がそのエレンなんですよ」ハハハッ!

    アニ(あいつ結構酔ってるな…)

    「なに!?兄ちゃんがあのテレンだって!?」

    エレン「エレンですよ、エレン!」

    「どっちでもいいじゃねーか!」ガハハハハ!

    「それよりそっちの綺麗な姉ちゃんは飲まねーのかよ!酒注いでくれよ!」アッハッハッハッハ!

    アニ「…」イラッ

    エレン「こいつは俺の彼女なんですよ、ちょっかいかけないでくださいよ?」ケラケラ

    アニ「あんたちょっと酔いすぎだよ」ボソッ

    「なんだよー姉ちゃんも飲めよー、ここは酒場だぜ?」

    「それとも何だ、彼氏だけ飲ませて自分は知らんぷりか?」

    アニ「…」イラッ

    アニ「…」ゴクゴクゴク…

    エレン「…お、おい…大丈夫か?アニ…」

    アニ「…」ボ-

    エレン「おーい」

    アニ「…」ヒック…

    エレン「え?」

    アニ「おかわり…」スッ

    エレン「いや…お前はやめといたほうがいいんじゃ…」

    アニ「おかわり!」

    エレン「お、おう」スッ

    アニ「…」ゴクゴクゴク…

    「おー!いい飲みっぷりだぜ姉ちゃん!」

    エレン(アニのやつ大丈夫か…?)

    アニ「エレン!」

    エレン「え?」

    アニ「こっち来なよ」

    エレン「どうした?アニ…」(こいつがここまで酒に弱いなんて知らなかった…)

    アニ「あんた私の事好きなんでしょ?」

    エレン「え、あぁ…」

    アニ「好きっていいなよ」

    エレン「え…?」

    アニ「何?もしかしてあんた好きじゃないのに付き合ってんの?」

    エレン「いや、好きだけど…」

    アニ「声が小さい!男のくせに度胸ないんだね」

    エレン「…アニ」

    アニ「なに?」ボ-

    エレン「愛してるよ、お前の事」

    アニ「へぇー」カァァァ

    (あの姉ちゃん顔真っ赤だ…)

    アニ「そんなんじゃ足りない」

    エレン「え?」

    アニ「外に出て私の事愛してるって叫んできて」

    エレン「お前ちょっと酔いすぎだぞ…」ボソッ

    アニ「いいから!」

    「いけいけ兄ちゃん!」

    「彼女にここまで言わせていかねーのか?」

    「このヘタレが!」

    エレン(このおっさん連中…言わせておけば…)

    エレン「いいですよ!言いますよ!」スタスタ

    ガタン!

    エレン「俺はアニの事を愛してる!!!」



    エレン「これで満足だろ」

    アニ「まぁ、いい感じだと思う…///」

    「ヒューいいねー若い奴らは!」

    「俺も昔はさー…」

    エレン「アニ、もう出よう」

    アニ「んん…うん…」ボ-

    エレン「相当酔ってるな…」

    ーーーーーーーー

    「ちょっと君たち!」

    エレン「!」(ヤバッ…憲兵団か…)

    「もう夜中の1時だよ?こんな時間に何してるの」

    エレン「酒場で飲んでたんで今から帰るところですよ」

    「ん?その制服調査兵団か?」

    エレン「はい連休がもらえたので飲んでたんですよ、もういいですか?」

    「あぁ…」

    エレン(アニの紋章見られたらやばかったな…未成年の憲兵団が夜中に酒場で酔い潰れって洒落になんねぇぞ…)

    ーーーーーーーー

    憲兵団本部

    アルミン「エレン!どうしたの?寝ようと思ってたらいきなり面会が来てるって言われてびっくりしたよ」

    エレン「こいつを届けにきた」

    アニ「んん…えれん…」ウトウト

    アルミン「…お酒臭いよ?」

    エレン「俺が飲んだ酒の匂いが移ってるんだろ」

    アニ「エレン…1週間後あんたの誕生日…」ス-ス-

    エレン「はいはい」(覚えてたのかよ)

    アルミン「それじゃアニを寝室まで送っていくね」

    エレン「あぁ頼む」

    アルミン「おやすみ、エレン」

    エレン「おやすみ」スタスタ
  118. 130 : : 2018/08/31(金) 10:33:04
    調査兵団本部

    ガチャ

    ペトラ「遅い!」

    エレン「びっくりさせないでくださいよ…兵長かと思ったじゃないですか…」

    エレン「って言うかもう夜中の3時ですよ?何で起きてるんですか」

    ペトラ「最近門限破りの多いエレンを説教してやろうと思ってずっと待ってたんですー!」

    エレン「夜更かしは美容の大敵ですよ、男の俺ならまだしもペトラさんは女性なんですから…早く寝てくださいよ」

    ペトラ「エレンがしっかり門限を守ってくれたら私の肌も守られるの!」

    エレン「そんなに怒ってると折角綺麗な顔立ちしてるのに勿体無いですよ」

    ペトラ「はいはい、今日はそんなんじゃ流されないからね」

    エレン「チッ」(以前ならこの程度の褒め言葉で流せるくらいちょろかったのに…)

    ペトラ「あ、今舌打ちした!先輩に向かって舌打ち!最近のエレンは全然可愛い後輩じゃなくなった!」

    エレン「最初から自分の事、愛想が良い人間だなんて思ってませんよ」スタスタ

    ペトラ「ちょっと待ちなさい!まだ説教終わってないんだからね!」スタスタ

    エレン「そもそも俺だけ門限があるっておかしくないですか?」

    ペトラ「仕方ないでしょ?エレンは未成年のくせに夜中にお酒飲みに出掛けて酒場のお客と揉めた前科もあるんだから」

    エレン「あれは相手が悪いですよ、俺の前でアニを口説こうとなんてするから」

    ペトラ「そうだとしてもエレンはトラブルを引き寄せやすいんだから、もっとしっかりしてもらわないと!」

    エレン「部屋に着いたんでこれで失礼します」ガチャ

    ペトラ「あ、おやすみ」

    エレン「おやすみなさーい」バタン



    ペトラ「…しまった…またまんまと逃げられた!」



    エレン「やっぱちょろいな…」クスッ

    シ-ン…

    エレン(ダメだな…一人になるとどうしても考えちまう)

    エレン(父さん…)

    ーーーーーーーー

    ナイル(何とか1日は拷問に耐えたがこんなのを毎日なんて耐えられない…)



    ナイル「俺もここまでか…」ボソッ
  119. 131 : : 2018/08/31(金) 10:33:34
    調査兵団本部-食堂

    エレン「…」(昨日飲みすぎたか…頭痛ぇ…)

    ガチャ

    ジャン「ん?エレンだけか?」

    エレン「ついさっき起きたところだからな、食器も片付けてたからみんなもう食い終わったみたいだぞ」

    ジャン「どんだけ寝てんだよ、もう昼前だぞ」ケラケラ

    エレン「お前は昼飯か?」

    ジャン「まぁな」

    エレン「…ジャン」

    ジャン「何も言うなよ、どうせお前の事だから自分の父親が俺の家族を殺したとか思ってんだろ」

    エレン「…」(お見通しか…)

    ジャン「俺の家族は巨人に殺された、お前の親父に殺されたわけじゃねーよ」

    エレン「それでも」

    ジャン「責任があるとか言うんだろ?分かってるから何も言うなっつったろ」ケラケラ

    ジャン「…仮に責任があったとしてもそれはお前じゃねぇ、お前の親父と俺の弱さだ」

    ジャン「いい加減にその何でもかんでも背負い込む癖どうにかしろ」

    エレン「悪い…」

    ジャン「俺達は仲間だろ?仲間に頼られねーなんて結構精神的にくるんだぞ」

    エレン「あぁ…悪かった」

    ジャン「分かりゃいいんだよ」

    ガチャ

    リヴァイ「エレン、ジャンここにいたか」

    ジャン「兵長!何か用ですか?」

    リヴァイ「二人とも今すぐ会議室に来い、調査兵団全員参加の会議だ」

    エレジャン「ハッ!」バッ

    ーーーーーーーー

    憲兵団本部-食堂

    アニ「…」モグモグ

    アルミン「アニ、随分遅かったね」

    アニ「アルミン…」

    アルミン「あ、前失礼するよ」

    アニ「何か用?」

    アルミン「昨日どうやって帰ってきたか記憶ある?」ニヤニヤ

    アニ「…覚えてない」

    アルミン「相当酔ってたからねー」アハハ

    アニ「…」(私エレンに変な事言ってないよね…?思い出せない…)

    アルミン(この顔は…必死に思い出そうとしてるんだろうなー)クスッ

    アニ「お酒飲んでたの知ってるって事は部屋まであんたが送ってくれたんだね、ありがと」

    アルミン「どういたしまして」

    アルミン「アニが今日起きてきたら聞こうと思ってたんだけどさ」

    アニ「なに?」

    アルミン「お酒飲んだエレンってどんな風になるの?」

    アニ「あんた知らないんだ」

    アルミン「親友と言っても一緒にお酒飲んだりとかはした事ないしねー」

    アニ「へぇー…交換条件でいいなら教えてあげる」

    アルミン「交換条件?」

    アニ「うん…1週間後あいつ誕生日だからあいつが喜ぶ事してあげたい」

    アルミン「乙女だね」

    アニ「…」イラッ

    アルミン「ごめんごめん」アハハ

    アルミン「エレンが喜ぶ事でしょ?アニと会えるだけで喜ぶと思うけどなー」

    アニ「そんなんじゃなくてさ、もっと具体的に」

    アルミン「んー…あ」

    アニ「なに?何かあるの?」

    アルミン「アニが求めてる答えとは少し違うかもしれないけど、エレンは未来の話をする時は楽しそうに話してたよ」

    アニ「未来の話?」

    アルミン「うん、例えば」

    アルミン「何年か先こんな事をしたいとか、こうなっていたいとか」

    アニ「そんなので喜ぶの?」

    アルミン「エレンは昔からそうだったからね」クスッ

    アニ「そうなんだ…6年も一緒にいるのに全然知らなかった…もっとちゃんと知ってあげてたかった…」

    アルミン「別に死んだわけじゃないんだからそんなに後ろ向きに考えなくてもいいと思うけど」クスッ

    アルミン「これからも君たちは一緒にいるんだから、ゆっくりお互いの事を知っていけばいいんじゃないかな」

    アニ「うん…」

    アルミン「それに困ったら手助けしてくれる人たちが沢山いるでしょ?」

    アルミン「クリスタやユミル、それにサシャ」

    アルミン「コニー…はちょっと頼りないか」アハハ

    アルミン「ジャンもいるし僕だっている」

    アニ「ありがと…」(訓練兵団に入団した時には考えられなかったけど、私とエレンの周りにはこんなにも私たちの事を考えてくれる人ができたんだ…)

    アニ「ありがとう」

    アルミン「それで?」

    アニ「え?」

    アルミン「交換条件でしょ?」クスッ

    アニ「あぁ…酔ったらよく笑うよ」

    アルミン「あのエレンが?」

    アニ「性格は昔と変わらないけど、思ってる事をちゃんと口に出して言ってくれるようになったし」

    アニ「何より表情が豊かになったよ」

    アルミン「それはアニもでしょ」クスッ

    アルミン「君たち二人は本当に変わったよ」

    アルミン「みんな君たちが良い方向に変わっていくのが嬉しくて世話を焼くのかもね」

    アニ「…世話なんて焼かれた覚えないし」(何か恥ずかしくなってきた…)

    アルミン「そう?僕には身に覚えが山程あるなぁ」クスクス

    アニ「…うるさい」
  120. 132 : : 2018/08/31(金) 10:33:52
    調査兵団本部-会議室

    エルヴィン「これより次の大規模な作戦に向けての調査兵団全員参加の会議を始める」

    エレン「…」(すげぇ数だな)

    エルヴィン「まず今回の作戦内容だが…今日から丁度1週間後に、ある人物の捕縛である」

    エルヴィン「たかが捕縛に何故調査兵団の全員を招集したか疑問を持つ者もいるだろうが、会議を終える頃には納得出来るはずだ…」

    エルヴィン「今回の作戦は第1プランと第2プランがあるが、当然出来る限り第1プランで作戦を行う」

    エルヴィン「しかし第1プランの遂行が難しいと判断した時点で第2プランに切り替える」

    エレン(2パターンか…大体予想できるけどな…)

    エルヴィン「第1プランは先程作戦内容で伝えた通り捕縛だ」

    エルヴィン「第2プランは…その人物の抹殺だ」

    リヴァイ(…エレンには気の毒だが仕方のない事だ)

    エルヴィン「そして第1プランから第2プランに切り替える許可を出せる権限を持つ者を伝える、名前を呼ばれなかった者はプランの切り替えを如何なる理由があろうと禁ずる」

    エルヴィン「団長、エルヴィン・スミス」

    エルヴィン「兵士長、リヴァイ・アッカーマン」

    エルヴィン「分隊長、ハンジ・ゾエ」

    エルヴィン「分隊長、ミケ・ザカリアス」

    エルヴィン「兵士、エレン・イェーガー」

    ザワザワ…

    リヴァイ(エルヴィンも、酷な事しやがる…よりにもよって父親の生き死にの判断をその子供にやらせようってんだからな…)

    エレン(会議室内が大分騒ついたが、一般兵士の俺に権限が与えられて騒ついてるのが半分…もう半分は兵長のフルネームを初めて聞いて騒ついてるって感じだな)

    エルヴィン「目標の人物は現在、巨大樹の森に潜伏している」

    ナナバ「質問よろしいですか?」

    エルヴィン「何だ」

    ナナバ「その人物の顔写真等はないのでしょうか?無ければ目標の人物かどうかの判断が…」

    リヴァイ「必要ない、そもそも今壁外に出る事を許されているのは俺達調査兵団だけだ…壁外に調査兵団でもない人間がいたらそいつが目標の奴だ」

    リヴァイ「万が一目標の奴でなかったとしても何故壁外にいるのか尋問する必要がある」

    エルヴィン「…他に質問がある者はいるか?」

    「何故一般兵士のエレン・イェーガーに権限を持つ事が許されているのですか?」

    エレン(まぁ当然の質問だな)

    リヴァイ(言い訳は用意してあるんだろうな?エルヴィン…ここで目標とエレンが親子だなんてふざけた事言うんじゃねぇぞ)

    エルヴィン「エレンは実力だけで言えば調査兵団の中で3番目に強いだろう…在籍年数の浅さと実績の少なさというファクターが無ければ間違いなく役職を得ていた兵士だからだ」

    「しかし…!」

    リヴァイ「それに実績が少ないとエルヴィンは言ったがエレンは特別作戦班に籍を置いている、実績に反映されない任務内容も数多くこなしている…巨人の討伐数だけで評価するならエレンは歴代のどんな兵士達よりも…この俺よりも遥かに優秀な兵士と言えるだろうな」

    ユミル(おいおいエレンの奴ベタ褒めされてるじゃねーか…)

    クリスタ(訓練兵団の頃から凄い人だとは思ってたけどリヴァイ兵長がここまで言う程凄かったなんて…)

    エルヴィン「今回の作戦は今までと違い、駐屯兵団と憲兵団からのサポートがあるとは言え今までの作戦より遥かに危険な作戦だ」

    エルヴィン「だが、今回の作戦の対象となる人物は、巨人の謎そのものであり対象を捕縛する事が出来れば歴史が大きく変わると私は確信している」

    エルヴィン「対象は3年前に出現したベルトルト・フーバーやライナー・ブラウンと同様に巨人化する事が可能だ」

    ザワザワ…

    エルヴィン「以上の事からこれまでの索敵陣形も班編成も一から見直し新たに班を編成した、新たな班編成も後に発表する」

    エルヴィン「その前に特別作戦班からは1名別の班に移ってもらう」

    エルヴィン「エレン…君には今回の作戦の間だけ特別作戦班から外れてもらう事になった」

    エレン「妥当な判断だと思います」(権限を持つ人間が同じ班に二人もいたら効率的に悪くなるしな)

    エルヴィン「察しがよくて助かる」

    エルヴィン「それではこれより新たな索敵陣形と班編成を伝える」

    エルヴィン「まずは新たな班編成の班長からだ」

    エルヴィン「班長に任命された者は速やかに指定された部屋に行き班員を待つように」
  121. 133 : : 2018/08/31(金) 10:34:18
    現在公開可能な情報

    主力班

    ・リヴァイ班

    ・ハンジ班

    ・ミケ班

    ・ナナバ班

    ・ネス班

    ・ゲルガー班

    ・ジャン班
  122. 134 : : 2018/08/31(金) 10:35:05
    ガチャ

    ジャン「!…エレンか」

    エレン「まさかお前が班長になるとはな」

    ジャン「俺もびっくりしたよ、それに班員がお前だなんてな」

    エレン「まぁお前は班長に向いてるよ…冷静に状況判断も出来るし、上官向きだよ…お前は」

    ジャン「でもお前の方が実力も在籍年数も上だし…」

    エレン「3年前を忘れたのか?俺と二人で巨人の死体を積み上げた仲だろ?実力で言えばお前も十分バケモノの部類に入るよ」ケラケラ

    エレン「その俺が言うんだお前は班長に向いてる…俺は巨人を目の前にしたら頭の中の回路がイカれちまって巨人を殺し続けるキチガイ野郎だよ…戦闘要員としてはいいが班長には向かねぇタイプなんだよ」

    ガチャ

    ユミル「よろしくお願いします」

    エレン「ユミルか…久し振り」

    ジャン「よろしくな」

    ユミル「なんだよお前らと同じ班かよ」

    ジャン「そんな嫌そうな態度取んなよ…ぶっちゃけ俺らの班が一番生存率高いんだぜ?」

    ユミル「そりゃエレンが班にいれば当たりだろうよ」

    ガチャ

    クリスタ「遅れてごめんなさい!」ペコッ

    エレン「よう、クリスタ」

    クリスタ「エレン!それにみんなも!同じ班なんだ!」

    サシャ「置いてかないでくださいよクリスタ!」

    ジャン「芋女も一緒かよ」

    ユミル「104期生揃いすぎだろ…」

    エレン「これで全員か?」

    ジャン「いや、後二人来るはずだ」

    エレン「普段の班編成よりも一つの班に配属される人数が多いのか」

    ユミル「次も104期生に1万賭ける」

    ジャン「俺はユミルの逆に賭ける」

    クリスタ「ちょっと!賭け事とかやめなよ!」

    エレン「俺はユミルに乗った」

    クリスタ「エレンまで!」

    サシャ「じゃあ私はエレンに乗ります!」(昔アルミンに賭博ならエレンが一番って聞きました!)

    クリスタ「サシャ!」

    ガチャ

    コニー「よろしくお願いします!…ん?」

    ユミル「あはははは!あのコニーが敬語使ってやがったぞ」ケラケラ

    コニー「なんだよお前らかよ!」

    ジャン「くそっ賭けに負けた…」

    エレン「ジャン…さっさと1万よこせ」

    サシャ(やっぱりエレンに乗っかって正解でした!)

    クリスタ「みんな昔と全然変わらないんだから…」クスッ

    コニー「あ、そうだ忘れてた」

    コニー「おーい!この部屋で合ってるってさ!」

    ユミル「なんだよもう一人の班員と一緒だったのか?」

    コニー「さっきトイレの前で迷子になってた奴に偶然会ってよ、班が同じだって知って連れて来たんだよ」

    「あ、えっと…よろしくお願いします!」



    エレユミサシャジャン「…誰」

    レネイ「あの…半年前に調査兵団に入ったレネイ・エグラスと言います!」

    クリスタ「久し振り!レネイちゃん!」

    レネイ「クリスタさん!知ってる人が同じ班でよかったです!」

    ユミル「なんだよクリスタ、その子知ってんのか?」

    クリスタ「うん!前に本部で迷子になってたから案内した事があるの」

    レネイ「え、エレンさんですか?」

    エレン「ん?そうだけど」

    レネイ「嘘!信じられない…あの、握手して下さい!」

    エレン「え?」

    クリスタ「レネイちゃんはエレンに憧れて調査兵団に入ったんだよ」ボソッ

    エレン「…これからよろしくな」スッ(俺なんかのどこに憧れたんだか)

    レネイ「はい!よろしくお願いします!」ニコッ

    ユミル(アニが見たら面倒臭くなりそうな感じだな…)
  123. 135 : : 2018/08/31(金) 10:35:24
    ジャン「班員も全員揃った事だし軽く作戦と俺達の班に与えられた役割でもおさらいしておくか」

    ユミル「お前が班長ってなんか変な感じだな」

    クリスタ「ユミル!そんな事言っちゃダメだよ!」

    サシャ「お腹すきましたねー」グデ-

    コニー「俺はさっき食って来たから満腹だ!」

    レネイ(こんなに緩くていいのかな…)

    エレン「ハッ」

    ユミクリコニサシャ「!?」

    ユミル「おいエレン何張り切ってんだよ」

    エレン「張り切ってなんかいねぇよ、ついさっきからジャンは俺の上官になったんだ…お前らこそこれまでどれだけ緩い班長についてきたかしらねぇけどそんなんじゃ今回の作戦で死ぬぞ」

    レネイ(エレンさん格好いい…)

    ユミル「分かったよ…聞きゃいいんだろ…」

    クリスタ「ご、ごめんね?エレン…」

    サシャ「ごめんなさい!」

    コニー「悪かったよ…」

    ジャン「…それじゃあ話進めるぞ」(さすがエレンだな…一瞬で班員達の態度を変えやがった…)

    ジャン「俺たちの班がやる事は本当に巨大樹の森に対象がいるのかの確認をする事だ…言わば先遣隊みたいなもんだ」

    ジャン「当然危険率は高い…そこで犠牲を最小限に抑えようと考えた作戦がある」

    ジャン「俺とエレンとコニーで対象がいるかを確認する為に巨大樹の森に乗り込む」

    ジャン「対象がいてもいなくてもコニーはすぐさま離脱し、中間地点で待機してるレネイとサシャに信号弾で知らせろ」

    ジャン「レネイとサシャは信号弾を確認したら後列で待機してるクリスタとユミルに馬を走らせて知らせろ」

    ジャン「知らせを受けたらクリスタとユミルは本隊の下まで馬を走らせて連絡だ」

    クリスタ「それじゃエレンとジャンが危険な目に…」

    ジャン「何か問題あるか?エレン」

    エレン「ねぇな、久々にお前とタッグを組む楽しさの方が勝ってるよ」ニヤッ

    ジャン「なら問題ねーな…取り敢えずはこんな感じだ、作戦は把握出来たな?」

    ユミル「そりゃ分かったけどよ…」

    クリスタ「あまりにもエレンとジャンが危険すぎるよ」

    エレン「お前らどこまで甘い班についてたんだ?」

    エレン「壁外に出れば誰でも危険にさらされる…危険だからってその都度他の作戦を考えてたら人類はいつまでたっても前に進めない」

    エレン「足踏みしてたいならこの班から外れろ」

    ユミル「おいそんな言い方…」

    エレン「遊びじゃねぇんだよ」

    エレン「俺達は命をかけて調査兵団に入ったんだろ?」

    ユミル「…」

    エレン「危険な作戦?死ぬかもしれない?そんなもん承知で入るのが調査兵団じゃねぇのかよ」

    エレン「自由の翼がそんな甘えた気持ちで手に入れられると思うな」
  124. 136 : : 2018/08/31(金) 10:35:38
    サシャ「さっきのエレン怖かったですね…」

    ユミル「あぁ…だけどあいつの言ってる事は何一つ間違ってなかった…」

    クリスタ「色んな死地を乗り越えてきてるエレンからしたら私たちの考えなんて吐き気がするほど甘い考えだったんだろうね…」

    サシャ「でもやっぱり私は出会った時のエレンに戻ったみたいで少し怖かったです」

    レネイ「みなさんはエレンさんと同期なんですよね?」

    ユミル「あぁ」

    クリスタ「うん」

    サシャ「はい」

    レネイ「出会った当初のエレンさんってどんな人だったんですか?」

    クリスタ「昔はやっぱり怖かったよ…今でもたまに怖い時あるけど…」

    ユミル「誰も寄せ付けようとしなくてここまでよく話す関係になるなんて思いもしなかったよ」

    サシャ「パンをよくくれました!いい人です!」

    ユミル「そりゃいい奴だけどさ…巨人が絡むと別人みたいに豹変して…」

    クリスタ「怖くなる時もあるよ」

    レネイ「豹変するって…エレンさんは巨人に強い恨みでもあるんですか?」

    サシャ「聞いた話ですけどエレンは昔「やめろ」

    ユミル「お前は無神経過ぎるよサシャ」

    サシャ「ごめんなさい…」

    クリスタ「ごめんね?レネイ」

    クリスタ「あなたに聞かせたくないわけじゃないんだけど、やっぱりエレンの過去を私達が勝手に言うのは間違ってると思うの」

    クリスタ「どうしても気になるならエレンに直接聞いてみて…」

    レネイ「そうですか…私こそごめんなさい…ずかずか入り込んでエレンさんの過去を掘り返すような真似してしまって…」

    クリスタ「レネイちゃんは悪くないよ」

    ユミル「私らがあいつを裏切りたくないだけなんだ…人を信じれなかった昔のあいつが今は私たちを信じてくれてる」

    クリスタ「ユミル!」

    ユミル「これくらいなら言っても大丈夫だろ」

    ユミル「私らにとってあいつは大事な仲間だから、いくら甘い考えだって言われても…やっぱり死地に行こうとするあいつを送り出す勇気はないんだよ…」

    レネイ「…」
  125. 137 : : 2018/08/31(金) 10:36:01
    ジャン「さっきは助かった、あのままじゃ作戦の話すら出来なかった」スタスタ

    エレン「気にすんな、適材適所ってやつだ」スタスタ

    ジャン「やっぱりお前の方が班長に向いてる…」

    エレン「俺のは恐怖支配でしかない、あいつらの顔見ただろ」

    ジャン「…」

    エレン「班員をまとめるのに恐怖はいらない」

    エレン「俺はお前の補佐で十分だ」

    ジャン「…悪い、ちょっと用事を思い出した…先に帰っててくれ」

    エレン「?あぁ、じゃあな」スタスタ

    ーーーーーーーー

    ジャン「ここにいたのか」

    ユミル「ジャンか…まだ何か用か?」

    ジャン「ちょっと言っておきたい事があってな…ん?コニーはどこ行った?」

    クリスタ「コニーならさっき作戦の話が終わってジャンとエレンが部屋から出て行ってから俺も帰るって言って帰ったよ?」

    ジャン「まぁ、あいつはいいか…」(あいつの事だからそこまで深く考えてないだろうし)

    ユミル「それで言っておきたい事ってなんだよ」

    ジャン「あぁ、さっきのエレンの事なんだが悪く思わないでやってくれ」

    ジャン「あいつは口下手な奴だからよ、お前らに死んで欲しくないから真剣に作戦を聞いて欲しくてあんな言い方になっちまったんだよ…」

    ユミル「お前態々そんなこと言いに来たのか?」

    ジャン「え?」

    クリスタ「そんなのここにいる全員分かってるよ」クスッ

    サシャ「何年一緒にいたと思ってるんですか」

    レネイ「私はエレンさんの事をよく知ってるわけじゃないですけど、心配してくれてるのは伝わりましたよ」

    ジャン「そうか…」(取り越し苦労か…)

    ユミル「お前もちゃんと班長してんだな、さっきは真面目に聞かなくて悪かったよ」(ジャンが班員の和が乱れないようにフォローするなんてな)

    ジャン「これからもエレンがキツく当たる事もあると思うが…その調子なら大丈夫そうだな」

    クリスタ「当たり前だよ!」

    サシャ「少しは怖いと思いますけど私たちの事を想ってそういう言動をしてくれてるのは分かってますから」

    レネイ(エレンさんはこんなにも信頼されてたんだ…心配した自分がバカみたいだ…)
  126. 138 : : 2018/08/31(金) 10:36:33
    憲兵団本部-会議室

    ピクシス「昨晩ナイル・ドーク師団長が亡くなって次の師団長が決まるまではわしが諸君らに任務を与える事になった、ドット・ピクシスじゃ」

    ザワザワ…
    ガヤガヤ…

    ピクシス「師団長が亡くなり、混乱しているとこ悪いが諸君らには1週間後に重大な任務が待っておる」

    ピクシス「これよりその任務内容を説明する」

    ピクシス「心して聞くように」

    ーーーーーーーー

    ピクシス「という事じゃ…」

    アニ(これって…名前は言われなかったけど捕縛の対象ってエレンのお父さんの事だよね…)

    「ふ、ふざけるな!何で俺達憲兵団が壁外に出てまで調査兵団をサポートしなくちゃならないんだ!」

    「死にたくなくて必死に憲兵団を目指したのに何でそんな事しなくちゃいけないんですか!」

    「お、おい!司令に対して失礼だぞ!」

    「俺も納得できません!この作戦内容は憲兵団がやるべき任務内容を逸脱しています!」

    アルミン(師団長が亡くなったのも驚いたけどまさか全兵団が壁外に出る事になるなんて…そりゃみんな混乱するよね…でも…)

    「自分はこの作戦から降りさせてもらいます!」ガタッ

    「俺も降りるぞ!」

    「私も…」

    ピクシス(まずいのう…憲兵団がここまで腑抜けた連中なっておるとは…)

    アルミン「降りたきゃ降りればいいよ」

    ピクシス「!…」ピクッ

    !?

    アニ(アルミン!?何を…)

    アルミン「さっき司令が言った通りこの作戦は必ず成功させなければならない、人類が巨人に勝利出来る可能性があるのにその作戦から降りたいなら降りればいい…君たちはそれを手放してこれからもこの狭い壁の中で一生家畜みたいに生き続ければいい」

    「貴様!上官に向かってなんて口を!」

    アルミン「僕は嫌だ!!!」

    アルミン「今まで人類は敗北を続けてきた…巨人の正体も掴めずただイタズラに兵を死なせ、壁の中に籠ってきた」

    アルミン「それでも命を賭して巨人に挑み続けた調査兵団がやっとの思いで手に入れた雀の涙程の情報が今この世界を変えようとしているんだ」

    アルミン「仮にこの作戦に憲兵団が加わらず作戦が失敗したとしたら君たちはこの先どうやって巨人と渡り合っていくつもりだ」

    アルミン「調査兵団も駐屯兵団もいなくなったこの壁内を住民に威張り腐ってばかりの憲兵団だけで守り続けられるのか?巨人と戦った事もない連中ばかりのこの兵団に何が出来るんだ!」

    アルミン「3つの兵団はどこか一つの兵団が無くなった時点でお終いなんだ、そして街も巨人に占領される」

    アルミン「このまま戦いから逃げてどうするんだ?」

    アルミン「死ぬのが怖いのなんてみんな同じだ…家へ帰り、自分の親や兄弟…愛する者にもその恐怖を味合わせたいならこの作戦から降りればいい」

    アルミン「僕はやるよ…死なせたくない人が沢山いる」

    アルミン「訓練兵時代の仲間、街の住人、憲兵団のみんな…全部守りたいから僕は命を賭ける」

    アルミン「このまま逃げて死んだら来世でも来来世でもきっと後悔すると思うから…」

    シ-ン…

    ヒッチ(憲兵団全員の前でこんな事言うなんて…)

    マルロ(だからって誰でもお前みたいに勇敢に物事を考えれる奴ばかりではないんだぞ…)

    アニ「私も死なせたくない人がいます」

    !?

    ヒッチ(アニ!?)

    マルロ(こんな大勢の前でお前が発言するなんて…)

    アニ「そいつは巨人がこの世からいなくなるまで戦い続けるバカだから…だから…」

    アニ「私なんかがそいつの手助けを出来るなら…そいつを守れるなら…命なんて惜しくない」

    アニ「愛してるから」



    「お、俺もやるぞ!」

    「俺も…娘は…娘だけは守らなと…」



    ピクシス「主ら、名は?」(あの状況で憲兵団の殆どを呼び戻した…一体何者じゃ…)

    アルミン「アルミン・アルレルトです」バッ

    アニ「アニ・レオンハートです」バッ

    ピクシス「アルミン、主を参謀に任命する」

    ピクシス「続いてアニと言ったか…主を参謀の補佐に任命する」

    !?

    ピクシス「本日はこれで解散とする」
  127. 139 : : 2018/08/31(金) 10:37:17
    アルミン「まさかアニがあそこで発言するとは思わなかったよ」スタスタ

    アニ「…」スタスタ

    アルミン「しかも愛してるだなんて」クスッ

    アニ「うるさい」ゲシッ

    アルミン「痛ッ!」

    アニ「あんたは大した奴だよ、あそこまで士気の下がった連中の殆どをやる気にさせたんだから」

    アルミン「…調査兵団へ行ったみんなを死なせたくないからね」

    アニ「…」

    アルミン「憲兵団のみんなも生きて帰って欲しいと思うけど…」

    アニ「そんなの不可能な事あんたが一番よく分かってるでしょ」

    アルミン「うん…僕の発言に感化されて死ぬ人は大勢いるだろうね、それでも僕はあの場で発言した事を後悔してないよ」

    アルミン「人類はこの戦いで負けは許されない…勝たなきゃ何の意味もないんだ」

    アニ「…それにしてもこれからあんた大変だね」

    アルミン「まぁね…憲兵団の上官達を怒らせちゃったし挙げ句の果てに参謀にまでされちゃったからね」

    アニ「プレッシャーも反感も相当なもんでしょ」

    アルミン「それは君もでしょ?参謀補佐官殿」クスッ

    アニ「…はぁ…何で私まで…」

    アルミン「エレンの為と思って頑張りなよ」

    アニ「エレン…大丈夫かな…」(会議で自分の父親を捕縛する話なんて辛すぎるでしょ…)

    アルミン「会いに行けば?」

    アニ「…は?」

    アルミン「心配なんでしょ?上官として会いに行く事を許可してあげるよ」クスッ

    アニ「なんかムカつく」

    アルミン「えー結構いい上官っぽくなかった?」クスクス

    アニ「まぁ…お言葉に甘えるよ」

    アルミン「僕からの伝言も伝えてくれると嬉しいかな」

    アニ「伝言?」

    アルミン「うん、僕も責任のある立場になっちゃったからサボって会いに行くなんて出来ないだろうしね」

    アニ「何て伝えればいいの?」
  128. 140 : : 2018/08/31(金) 10:37:42
    ーーーーーーーー

    コンコン

    エレン「?どうぞ」

    ガチャ

    レネイ「失礼します」

    エレン「えっと…エグラスだっけ?」

    レネイ「レネイでいいですよ」

    エレン「そうか…それで何か用か?レネイ」

    レネイ「用がないと憧れの人に会いに来ちゃいけないんですか?」クスッ

    エレン「ダメってわけじゃねぇが、用が無いなら俺の口からは帰ってくれしか出てこねぇな」

    レネイ「…ごめんなさい、嘘つきました」

    エレン「何か用なのか?」

    レネイ「…怖くないんですか?」

    エレン「怖い?何の話だ」

    レネイ「今回の作戦の話です」

    レネイ「会議中もずっと顔色悪かったように見えたので心配になって…」

    エレン「…気のせいだろ」

    レネイ「気のせいなんかじゃありません!私ずっと見てました…3年前にエレンさんが調査兵団になってから壁外調査に行く時も帰って来る時もカラネス区まで見に行ってました!新聞でエレンさんの名前が載ってある記事も全て読みました」

    レネイ「他の人達はいつも帰って来た時には顔色が悪くて、絶望したような顔してたのにエレンさんだけは違いました…」

    レネイ「毎回険しい表情でしたけどどこか嬉しそうで、生き生きしたようなそんな感じがしました」

    エレン「…」

    レネイ「それがさっきの会議では見た事ない程顔色が悪くて辛そうな表情してました…それで気になって…」

    エレン「…親父なんだよ」

    レネイ「え?」

    エレン「今回の作戦の捕縛対象は俺の父親なんだよ」

    レネイ「!」

    エレン「いずれ班のみんなには言おうと思ってた事だ」

    レネイ「そんな…」

    エレン「俺が顔色悪く見えたならそれが原因だ…もういいだろ?少し一人にさせてくれ」

    レネイ「…嫌です…」(エレンさんが辛い思いしてるのにこのまま放っておくなんて私には出来ない…)

    レネイ「私が側にいますから…出会ってすぐですけど必ずエレンさんの支えになりますから…」

    エレン「…お前俺の事好きなのか?」

    レネイ「はい…ずっと憧れてるだけの存在でしたけど…話してみて確信しました…」

    レネイ「私はエレンさんが好きです…」

    エレン「もし俺とお前が付き合っていたとして喧嘩になったとしたらどうする?」

    レネイ「え…それはエレンさんの気が落ち着くのを待って仲直りすると思います…」

    エレン「俺は思った事を中々口に出さない性格らしいんだが好きって言われなかったらどうする?」

    レネイ「言ってくれるまで待ちますよ!」

    エレン「…俺が死ぬような任務を命じられたと知ったらどうする?」

    レネイ「全力で止めますよ!当然じゃないですか!」

    エレン「それじゃダメなんだよレネイ」

    レネイ「え?」

    エレン「喧嘩になったら言いたい事は全部言って話し合える奴」

    エレン「好きって言われなかったら不機嫌になって好きって言ってって言ってくれる奴」

    エレン「俺が死ぬような任務を与えられた時、辛そうな顔しながらも俺が帰って来るのを信じて待ってるねって言ってくれる奴」

    エレン「俺が好きなのはそういう奴なんだよ」

    レネイ「…私じゃダメなんですか?」

    エレン「俺が心臓を捧げる相手は6年前から決まってるんだ」

    エレン「悪いな」

    レネイ「振られても…憧れ続けるのはいいですよね…?好きでい続けるのはいいですよね?」グスッ

    エレン「レネイ自身が辛くならない程度なら構わない」

    レネイ「ありがとうございます…」

    エレン「…お前はいい女だと思うよ…でも俺とは合わない」

    レネイ「もう心に決めた人がいるんですね…」

    エレン「あぁ、そいつ無しじゃ生きられない…そいつが俺を愛してくれているから俺は今日まで…いやこれからも生きられるんだ」

    レネイ「…私諦めないですから!!」ダッ

    エレン「お、おい」

    ガチャ…バタン!

    エレン(俺の事を好いてくれるのは嬉しいが、やっぱり俺にとっての一番はアニなんだ…悪いな、レネイ)
  129. 141 : : 2018/08/31(金) 10:38:01
    レネイ「うっ…ぅぅ…」

    クリスタ「レネイちゃん!?大丈夫!?」

    レネイ「クリスタさん…」ウルウル

    ユミル「どうしたんだよお前…」

    レネイ「エレンさんに告白して振られました…」

    クリスタ「え?エレンに告白したの!?」

    ユミル(そりゃ振られるだろ…あいつの一途さは尋常じゃねぇからな…)

    レネイ「私じゃ…ダメだって…」

    レネイ「エレンさんが6年前から心臓を捧げる相手は決まってるって…」グスッ

    ユミル(うわーあいつよくそんな恥ずかしいセリフ言ったな…)

    クリスタ「そっか…エレンは昔ね、家族を失っt「クリスタ!!」

    ユミル「それは私たちが言っていい事じゃないだろ」

    クリスタ「うん、そう思う…でもエレンの事をここまで想ってる子にずっと隠しておくのは耐えられないよ」

    クリスタ「後でエレンに怒られるのは覚悟してるから全部言うよ」

    ユミル「クリスタ…」

    クリスタ「8年前壁が壊された日にエレンは家族を二人亡くしているの」

    レネイ「…」

    クリスタ「それでエレンは心を閉ざしてしまったの…関わりを持てばその人が死んだ時に辛いから」

    クリスタ「そんなエレンだから訓練兵団に入っても誰とも関わろうとしなくて、人との関わりを避けていたの」

    クリスタ「そんな中でも唯一一人だけエレンと関わりを持とうとした人がいたの…名前はアニ・レオンハート」

    クリスタ「エレンと同じで過去に大切な人を亡くした女の子…」

    クリスタ「エレンも特別な何かを感じたのかその子とだけは仲良くしていて、ある訓練の後二人は付き合う事になったの」

    クリスタ「二人が付き合うようになってお互いは大きく変わった…今まで感情を表に出さないようにしてた二人だけど今じゃ色んな表情が見れるようになったし」

    クリスタ「昔は眉間にしわ寄せてばかりの二人だったのによく笑うようになった」

    クリスタ「エレンは自分をそこまで変えてくれたアニの事が大好きなんだよ」

    クリスタ「レネイちゃんがダメなんじゃ無くてエレンがアニじゃないとダメなだけなんだよ」

    クリスタ「分かってあげて…」

    レネイ「…はい」(エレンさんにそんな過去があったなんて…)

    エレン「俺の過去を勝手に話してるのはどこのクリスタだ?」ガシッ

    クリスタ「エレン!?い、痛い痛い!」

    ユミル「わ、私は止めたからな…クリスタが勝手に話しただけだ」

    エレン「お前も連帯責任だ」グリグリ

    クリスタ「痛い痛い!」

    ユミル「何で私まで…!」

    エレン「このくらいで済んで良かったと思え」

    クリスタ「勝手に話してごめんね…何も知らないレネイちゃんが可哀想で…」

    エレン「今回は許してやる…でも次に勝手に話しやがったら頭をピクシス司令みたいにしてやるからな」
  130. 142 : : 2018/08/31(金) 10:38:41
    アニ「お願いだから黙ってて」

    ヒッチ「嫌!どうせエレンさんに会いに行くんでしょ!私も連れてって!」

    アニ「黙っててくれないと痛い目に合うよ」

    ヒッチ「女が言う痛い目なんてたかが知れてるし!」

    アニ「…」バシツ

    ヒッチ「いったあぁぁぁ!」

    アニ「…」スタスタ

    アニ(いつもエレンが会いに来てくれてたから私から会いに行ったら驚くかな)フフッ

    ーーーーーーーー



    ペトラ「外に出ちゃダメだからね!?」

    エレン「そんな毎日念を押さなくてもいいですよ」

    リヴァイ「好きにさせてやれ…どうせ1週間後には壁外に出る事が決定してるんだ」

    エレン「出てもいいんですか?」

    ペトラ「ダメだよ!」

    リヴァイ「好きにしろ」

    ペトラ「兵長!」

    リヴァイ「好きにさせてやる代わりに…必ず今回の作戦には参加しろ…お前の力が必要だ」

    エレン「当然参加しますよ…それじゃ許しも得た事ですし飲みに行って来ますね」

    ガチャ…バタン

    エルド「…ん?あいつ未成年じゃなかったか?」

    ペトラ「そうだよ!」

    リヴァイ「酒なんて未成年だろうが成人していようがさほど変わりゃしねぇよ」

    ーーーーーーーー

    酒場店主「いらっしゃいませー…何だお前か」

    エレン「俺で悪かったなハゲ」

    酒場店主「相変わらず口の悪いガキだなおい」

    エレン「ビール1つな」

    酒場店主「はいよ」

    エレン(父さん…今何を考えてる…)

    エレン(人類の敵ってのはどういう気分なんだよ)

    エレン(俺は…どうすればいいんだよ…)



    酒場店主「おい…」

    エレン「…」

    酒場店主「おい!」

    エレン「…ん…?」

    酒場店主「もう店仕舞いの時間だぞ」

    エレン「…もうそんな時間か…」(寝ちまってたのか…)

    酒場店主「お前がここまで泥酔するなんて何かあったのか?」

    エレン「…また来るよ」スタスタ

    酒場店主「あ、あぁ…」(大丈夫か?あいつ…)
  131. 143 : : 2018/08/31(金) 10:38:58
    エレン(何度考えたって答えが出ねぇ…)

    エレン(人類の敵でも…この世で生きているたった一人の家族なんだぞ…)

    エレン(父さんを助けたい…逃がしてやりたい…)

    エレン(でも父さんがまた人類を襲えば母さんやミカサのように今度はアニまで…)

    エレン「…クソッ」ボソッ

    ペトラ「エレン…」

    エレン「!?」バッ

    エレン「ペトラさん…何でここに…」

    ペトラ「迎えに来たんだよ」ニコッ

    エレン「俺は…今日は…」(人類の敵を助けたいと思ってる奴が調査兵団に帰る事なんて…)

    ペトラ「…ほら、早く帰ろ?」グイ

    エレン「放っといてくださいよ!」パッ

    ペトラ「エレン…」

    エレン「怒鳴ってしまってすみません…でも今日は帰りません」

    ペトラ「…」

    エレン「すみません…」スタスタ

    ペトラ「好きな方を選べばいいと思う」

    エレン「…何の事ですか?」ピタッ

    ペトラ「お父さんか人類の未来か…きっとエレンはどちらを選んでも後悔すると思う」

    ペトラ「なら今大切に思ってる方を選択するべきだと思う…」

    エレン「…知ってたんですか…親父の事」

    ペトラ「エレンが出て行った後、特別作戦班のみんなと今回の作戦の主力班の班長達が呼び出されて…団長に聞いた…」

    エレン「そうですか…」

    ペトラ「…それで心配になって迎えに来たの」

    エレン「…」

    ペトラ「帰ろ?」スタスタ

    エレン「来ないでください!」

    ペトラ「!」ビクッ

    エレン「あんたに…何が分かるんだよ!」

    エレン「父親が人類の敵だと知らされて俺がどれ程思い悩んだか分かるか?」

    エレン「第1プランが成功したとしても尋問の後に処刑なんて素人でも分かる」

    エレン「俺は調査兵団の人間で…守りたい人達も沢山出来た…人類の敵を殺す事が俺が成すべき事だ」

    エレン「けどその人類の敵は家族なんだよ!たった一人この世でまだ生きている大切な家族なんだよ…」

    エレン「…アニを守りたい…調査兵団のみんなを守りたい…でも家族を殺すのと天秤にかけたところで答えなんて出やしねぇんだよ!」

    エレン「こんな事考えてる人間が調査兵団に帰っちゃいけないんだよ」

    ペトラ「エレン…」

    エレン「1人でいるとそんな事ばかり考えて頭がおかしくなる…」

    エレン「俺は…どうすれば…」

    ペトラ「…」ギュ

    エレン「!ペトラさん…?」

    ペトラ「辛かったね…」

    エレン「ッ!」

    ペトラ「誰にも相談出来なくて…ずっと一人で抱え込んで…苦しかったよね…」

    ペトラ「もっと早くに助けてあげられればよかったね」

    エレン「…離してください」

    ペトラ「ごめんね…」

    エレン「離して………」ガクッ

    ペトラ「帰ろうよ…どんな事を考えていようと…エレンは私たちの仲間で調査兵団の一員なんだから帰って来てもいいんだよ…」

    エレン「……何で…何で俺ばかりがこんな目に合わなくちゃいけないんだよ…」ツ-

    エレン「何で…俺はただ…大切な人達を守りたいだけなのに…」ポロポロ



    ペトラ「落ち着いた?」

    エレン「すみませんでした…」

    ペトラ「気にしなくていいよ」

    エレン「ペトラさんは何で俺にここまで優しくしてくれるんですか…」

    ペトラ「…私はエレンの…世話係だからね」ニコッ

    ペトラ「帰ろ?」

    エレン「…はい」

    アニ「…エレン?」

    エレペト「!?」

    エレン「アニ…」

    アニ「…」スタスタ

    ペトラ「違うのアニちゃん!これはそういうのじゃなくて!」パッ

    アニ「大丈夫です…誤解してないので」

    エレン「何でここに…」

    アニ「あんたの部屋に行く途中だったんだ」

    エレン「…」

    アニ「こんな時間ですけど別に構わないですよね?」

    ペトラ「うん…」

    アニ「早く立って」

    エレン「あぁ…」
  132. 144 : : 2018/08/31(金) 10:39:18
    バタン…

    アニ「何もない殺風景な部屋…あんたらしい部屋だね」

    エレン「アニ…さっきのは」

    アニ「誤解してないってさっき言ったよね」

    エレン「…」

    アニ「きっと事情があったんでしょ」

    アニ「弱みを人に見せないあのあんたがペトラさんに抱きしめられながら泣いてた…」

    アニ「私はあんたの事信じてるし、私から離れていかないって信じてる」

    アニ「けどあんな状況見たら誰だって悲しくなるよ」

    エレン「アニ…」

    アニ「ねぇ…私の事ちゃんと好きだよね…」

    アニ「怖いんだ…あんたが離れていってまた一人になるのが…あんたを失うのが怖い…」

    アニ「あんたの事信じたいのに信じられなくなる自分が嫌いだ…」

    エレン「…」

    アニ「…ごめん…帰るね」スタスタ

    エレン「待て」

    アニ「これ以上ここにいてもあんたに迷惑かk「行かないでくれ…」

    エレン「一人に…しないでくれ…」

    アニ「!」(こんな不安そうなエレン初めて見た…)

    エレン「俺が嫌いになったなら…仕方ないけど…もしそうじゃないならここにいてくれ…」

    アニ「あんた…どうしちゃったの…」

    エレン「…俺は…弱い人間なんだよ…今も昔も変わらない」

    エレン「何度考えても答えが…出ないんだ」

    エレン「父さんを助けたい…でも…助けたらお前や仲間達が今後危険な目に合う…」

    アニ「…」

    エレン「どちらを選んでも後悔する…」

    アニ「私はいいよ」

    エレン「…え?」

    アニ「私はあんたが苦しまずに済むなら死んでもいい」

    エレン「!」

    アニ「私はこれから先もあんたの味方だから」

    アニ「あんたがお父さんを選んだとしても私は構わないよ」

    エレン「…」

    アニ「辛いと思う、苦しいと思う、逃げ出したくてたまらないと思う」

    アニ「でもあんたは選ばなきゃいけない」

    アニ「あんたはそういう運命を背負って生まれてきたんだよ」

    エレン「…」

    アニ「嫌な言い方してごめん」

    アニ「でもいくら考えたってその事実は変わらない」

    アニ「選んで」

    アニ「家族か…私か」

    エレン「俺は…俺は……」

    アニ「こんな事言う彼女なんて最低だね…ごめん」

    エレン「…」

    アニ「あんたの事は好き…どうしようもないくらい好きだよ」

    アニ「嫌いになんてならない…でも私が今ここにいたらあんたは余計辛くなると思う」

    アニ「だから今日は帰る」

    アニ「もし私を選ぶならあんたの誕生日…作戦の前日に会いに来て」

    アニ「もしお父さんを選ぶなら今日であんたと会うのは最後…」

    アニ「…私はあんたがどっちを選んでも幸せだから」スタスタ

    アニ「大好きだよ」ボソッ

    ガチャ

    アニ「…さよなら、エレン」

    バタン

    アニ(エレンはきっとお父さんを選ぶ…エレンは誰より家族を大事に思ってるはずだから…)
  133. 145 : : 2018/08/31(金) 10:39:40
    エルド「遂に明日だな…」

    グンタ「あぁ…」

    ペトラ(結局あの日からエレンとは目も合わせていないけど…)

    エレン「…」

    オルオ「おい新兵!最近ずっと黙り込みやがって小便でももらしたか?」ケラケラ

    エレン「…せぇよ」

    オルオ「あ?」

    エレン「うるせぇよ、今気が立ってんだあんまりふざけた態度取ってると殺すぞ」

    オルオ「!」ビクッ

    グンタ「お、おいエレン…」(エレンの奴どうしたんだ)

    ペトラ(エレン…)

    ガチャ

    リヴァイ「ん?どうしたお前ら」(空気がおかしいな…)

    シ-ン…

    エレン「…」スタスタ

    リヴァイ「おいエレン、どこへ行く」

    エレン「…」スタスタ

    バタン…

    エルド(エレンの奴兵長にまであんな態度取るなんて…)

    グンタ(無理もないか…明日自分の父親を捕縛する作戦なんだからな…)

    ーーーーーーーー



    ドンッ

    「いってーな!どこ見て歩いてんだクソガキ!」ガシッ

    エレン「…」

    「何黙ってんだてめぇ!」

    ボキッ…

    「…え?」ダラ-ン

    「ッ!ああぁぁぁ!腕が…腕があぁぁ!」

    エレン「くだらねぇ事で突っかかってくんじゃねぇよ」スタスタ

    トロスト区-街の外れ

    エレン「!」(この花…)

    エレン(アニがいつも墓参りに買ってきてた花だ)

    エレン(今日も来てたのか…)

    アルミン「エレン?」

    エレン「…アルミンか」

    アルミン「…君も墓参り?」

    エレン「まぁな…」



    アルミン「ねぇエレン」

    エレン「なんだよ」

    アルミン「久し振りに殴ってもいいかな?」

    エレン「…は?」

    バキッ…

    エレン「…殴っていいなんて一言も言ってねぇぞ」

    アルミン「ごめんね、なんだか君の顔見てると無性に腹が立ってね」

    エレン「…俺も気が立ってるとこだったんで丁度良かったよ」

    エレン「喧嘩を売ってくる奴がいてな!」ダッ

    ーーーーーーーー

    アルミン「…やっぱり勝てなかったか…」

    エレン「立てよ…まだ終わりじゃねぇぞ」

    アルミン「ねぇエレン…君は大切な人って聞いたら誰を思い浮かべるの?」

    エレン「…なんだよ急に」

    アルミン「君は深く考え過ぎなんだよ」

    アルミン「人間はさ、生きていたら何度でも選択を迫られる事があるんだよ」

    アルミン「例えば…今晩のご飯は何にしよう?パスタにしようか?魚にしようか?とか」

    エレン「何言ってんだよ」

    アルミン「…父親にしようか…大好きな女の子にしようか…とかね」

    エレン「…」

    アルミン「でも僕はそういう自問自答って無駄だと思うんだよ」

    アルミン「だって人間ってさ…最初から選びたいものは決まってると思うんだ」

    アルミン「決まってるのに、人間は欲をかいてこれも選びたい、でもあれも選びたい…」

    アルミン「そうやって自分で悩みの種を増やして結局何も選べなかったりするんだよね」

    エレン「…何が言いてぇんだよ」

    アルミン「君の中で答えはとっくに決まってるんじゃないのかい?」

    アルミン「誰を選びたいのか…」

    エレン「…それが分からねぇからこんなに…辛いんだろうが!」

    アルミン「君は僕にとってヒーローだよ、だけど本当の君は臆病で何かを捨てることができない腰抜けだと僕は思う」

    アルミン「いい加減正直に言いなよ…本当は決まってるんでしょ?自分が誰の命を一番優先しているのか」

    エレン「…」

    アルミン「行きなよ…その選択が正しいか正しくないかは今後の君の行動次第なんだよ」

    アルミン「あまり失望させないでくれよ」



    アルミン「君は誰よりも勇敢で臆病な僕のヒーローなんだから」



    エレン「アニ…!」ダッ

    アルミン「本当に世話が焼ける奴だよね…エレンは」

    アルミン「ミカサもそう思うだろ?」
  134. 146 : : 2018/08/31(金) 10:39:58


    アニ(やっぱりエレンはお父さんを選んだんだね)

    アニ(そりゃそうだよね…家族が生きていたんだもん…)

    アニ(最初から分かってた…エレンは人一倍家族に対する執着が強かったし…)

    アニ「…」ポロポロ(エレン…)

    ヒッチ「!?」

    ヒッチ「あんた何いきなり泣いてんの!?」

    アニ「…なんでもない」ゴシゴシ

    ヒッチ「いや…涙拭いても結局泣いてるままだし…」

    アニ「うるさい…」(止まれ…止まれ…泣いたって仕方ないんだから…)

    エレン「何泣いてんだ?」

    アニ「え…?」

    エレン「遅くなって悪かった」

    ヒッチ「え!嘘!握手してください!」(エレンだ!あのエレンだ!)

    エレン「空気読めビッチ」

    ヒッチ「」

    ザワザワ

    エレン「…場所変えるぞ」グイッ

    アニ「えっ…」

    ーーーーーーーー

    エレン「ここなら大丈夫だろ」

    アニ「何で…」

    エレン「ん?」

    アニ「何で来たの…」

    エレン「お前が来いって言ったんだろ?」

    アニ「私が言ったのは…私を選ぶなら来てって…」

    エレン「だから来たんだよ」

    アニ「…嘘…あんたは私よりお父さんを助けたいって思ってた」

    エレン「アルミンに言われたんだよ…大切な人って聞いたら誰を思う?ってな」

    エレン「…真っ先に思い浮かんだのは調査兵団の仲間達でも、親父でもなく…お前だった」

    アニ「…私?」

    エレン「あぁ…きっと決まってんたんだ」

    エレン「何を天秤にかけたところでお前が一番大事なのは変わらないって…」

    エレン「でも俺は迷っちまった…もしかしたら親父を救えるかもしれないって欲をかいちまった」

    エレン「でもどちらかを選ばなきゃいけないならお前を選ぶ…今の俺ならハッキリ言える、他の誰よりもお前を選ぶ」

    アニ「…エレン」

    エレン「もう絶対迷わない…これからも俺の側にいてくれ」

    アニ「いる…絶対いる…ずっといる」

    エレン「…これ」スッ

    アニ「何この紙」

    エレン「今日この日の為に俺の名前と拇印は3年前から埋めてある」

    エレン「お前がこの先もずっと俺といてくれるなら…俺と家族になってくれ」

    アニ「…なるよ…絶対になる」ポロポロ

    エレン「また泣かせちまったな」

    アニ「いい…これは嬉し涙だから…」



    アニ「明日朝一番で役所に持っていく…」

    エレン「…愛してるよ」

    アニ「私も愛してる」
  135. 147 : : 2018/08/31(金) 10:40:11
    憲兵団本部-アニの自室

    エレン「…」パチッ…

    エレン「朝か…ん?」(アニがいねぇ…)

    憲兵団本部-食堂

    エレン「よう」

    アルミン「あぁ…おはよう…」



    アルミン「エレン!?何してるのここで!」

    エレン「昨日アニの部屋に泊まったからな」

    ザワザワ…

    アルミン「泊まったって…もう後2時間くらいで作戦開始なんだよ!?こんなところにいていいの!?」

    エレン「それにしてもお前酷い顔してんなアザだらけだぞ」ケラケラ

    アルミン「君がやったんだろ!…じゃなくて!」

    アニ「おはよう」

    エレン「おはよ、どこ行ってたんだよ」

    アニ「…役所」

    エレン「!…出して来たのか?あの書類」

    アニ「うん」ニコッ

    ヒッチ「たかが恋人なんてすぐダメになるってのに何甘い感じ出してんの?」クスクス

    アニ「もう恋人同士じゃないから」

    !?

    アルミン「え!?」(別れちゃったの!?)

    ヒッチ「別れたんだ?まぁお似合いじゃなかったし当然だよねー」

    アニ「今日から夫婦だから」

    !?

    アルミン「あれ?僕の頭がショートしてる気がする」

    ヒッチ「は!?冗談も大概にしなよ?」

    アニ「冗談でも何でもない、さっき婚姻届を役所に出して来たから」

    アルミン「え?え?本当に結婚したの?」

    エレン「あぁ」

    ヒッチ「」

    アルミン「おめでとう…!本当に良かった…君達が結ばれて本当に嬉しいよ!!」

    エレン「ありがとうなアルミン」

    アニ「ありがと」

    エレン「…そろそろ本部に戻らないといけないから行くよ」ガタン

    アニ「…行ってらっしゃい」ニコッ

    エレン「必ず帰るよ…行ってくる」
  136. 148 : : 2018/08/31(金) 10:40:27
    リヴァイ「遅いぞエレン」(今回ばかりは戻ってこないかと思ったが…やはりお前は戻ってくるか…)

    エレン「すみません」

    エルド「ギリギリだぞ!すぐ準備しろ!」

    ペトラ「あ…えっと…エレンの馬は私の後ろに連れて来てるよ…」(気まずいな…)

    エレン「ありがとうございます」

    ペトラ(?…今エレンの表情が凄く柔らかかったような気がしたけど…)

    エルヴィン「我々は今回の作戦で何があっても勝たなければならない…どれ程の屍を踏み越える事になったとしても…勝つ以外に許された選択肢などないのだから!」

    エルヴィン「これより第78回壁外遠征を開始する!」

    エルヴィン「前進せよ!!!」

    ーーーーーーーー

    援護班「団長!特に近付いてくる巨人の姿は無し!作戦に支障はないかと!」

    エルヴィン「ご苦労!これより長距離索敵陣形を展開する!」

    「「「ハッ!」」」

    ジャン「俺たちの班の持ち場は向こうだ、行くぞ!」

    ユミクリコニ「了解!」

    レネイ「了解…」(エレンさん大丈夫かな…)

    エレン「…」

    ーーーーーーーー

    ジャン「エレン…」(ここまで巨人と遭遇しないなんて何か不吉な予感がするな…)

    エレン「お前も気付いたか…」

    ジャン「あぁ…明らかに異常だ」

    クリスタ「何が異常なの?」

    エレン「お前気付かなかったのか?もう作戦が開始して2時間近く経とうとしてるのに巨人をまだ一体も見てねぇ…」

    クリスタ「え…それはいい事なんじゃ…」

    エレン「これがたまたま見ないだけなら運が良かったで済む話だろうよ」

    ジャン「…」

    エレン「でも俺には何かの前触れに思えて仕方がない」

    ジャン「…団長に知らせるか?」

    エレン「必要ない、団長もこの異変にはとっくに気付いてるはずだ…一応どこから巨人が奇襲してきてもいいように警戒だけは怠るな」

    ーーーーーーーー

    アルミン「止まれ!」(あれが巨大樹の森…)

    アルミン「各班は持ち場について!信号弾を確認するまではそこで待機!」

    「「「ハッ!」」」

    アニ「…」

    アルミン「…不安?」

    アニ「ううん、大丈夫」

    アルミン「本当に?」

    アニ「信じてるから」

    アルミン「そっか」

    ーーーーーーーー

    ピクシス「全員止まれ!」

    ピクシス「各班は持ち場につけ!撤退の信号弾があるまでその場を離れるな!」

    「「「ハッ!」」」

    ハンネス「司令!」スタッ

    ピクシス「ハンネス…主は私についてこい…森の中に入る」バシュ

    ハンネス「ハッ!」バシュ

    ーーーーーーーー

    エルヴィン「総員ここで待機!作戦通り誰もこの森から逃さぬように囲え!」

    リヴァイ「ジャン班は対象がいるかの確認に向かえ」

    ジャン「ハッ!」

    ジャン「行くぞ…エレンとコニーは俺に続け」バシュ

    ジャン「他は作戦通りの位置で待機だ!」



    リヴァイ「…こんなガキでも思いつくような作戦で本当に上手くいくのか?」

    エルヴィン「私は最初から今回の作戦で被害を0にしようなどと思ってはいない」

    エルヴィン「確実に対象を捕らえる為にはこの作戦が有効だ」

    ハンジ「だからって巨大樹の森を等間隔で各兵団に囲わせるなんて」

    エルヴィン「…注射器は開発された昔から形が変わっていない…何故だか分かるか?」

    ハンジ「いきなり何の話?」

    エルヴィン「それはそれが最も効率の良い形だからだ」

    エルヴィン「死者を減らす為ならば他にも作戦はあっただろうが…今回の作戦は何があっても対象を捕縛する事だ」

    ハンジ「…」

    エルヴィン「犠牲を問わないならこれが最善策だ」
  137. 149 : : 2018/08/31(金) 10:40:43
    巨大樹の森

    ジャン「…おい…おかしすぎやしないか?」シュ-

    エレン「あぁ…今日壁外に出てから一体も巨人と会ってない上にここまで来てもまだいねぇ」シュ-

    コニー「おい!人が!」

    エレジャン「!?」バッ

    フードの男「…」

    ジャン「おい!そこのお前!一体何者だ!」(こいつがエレンの親父なのか?)スタッ

    エレン「…」スタッ

    フードの男「自由の翼に…見慣れた顔…」

    エレン「!」(間違いねぇ…この声は!)

    エレン「久し振りだな…」

    グリシャ「生きていて残念だ、エレン」バサッ

    ジャン「親子再会の所悪いがあんたには色々事情を聴かなくちゃいけない…身に覚えあるだろ?」

    グリシャ「…態々ご足労いただいて悪いが、息子と二人にしてくれないか?」パチン

    巨人「」モコモコ…

    ジャン「!…あいつ!地中に巨人を隠していやがったのか!」(巨人を操れるのか!)

    ジャン「コニー!行け!」

    コニー「あ、あぁ!分かった!でもお前達は…」

    ジャン「散々説明しただろ!俺とエレンはここに残って足止めをする!早く行け!!」

    コニー「…クソッ!」バシュ

    グリシャ「聞こえなかったのか?私は息子と二人にしてくれと言ったんだ」

    巨人「アアァ!」ズシン

    ジャン「…チッ…エレン!必ず戻る!待ってろ!」バシュ

    エレン「…巨人が地中に潜んでいたのも…巨人がジャンの奴を追いかけたのも…親父の指示か?」

    グリシャ「そうだ」

    エレン「8年前と3年前にライナー達に壁を破壊させたのも…親父の指示か?」

    グリシャ「そうだ」

    エレン「母さんと…ミカサが死んだんだぞ…」

    グリシャ「知っている」

    エレン「家族を…殺したんだぞ…」

    グリシャ「仕方のない事だ」

    エレン「お前…本当に父さんかよ…」

    エレン「違うって言ってくれよ…」

    グリシャ「残念だが、全て本当だ」

    エレン「この…クソ親父がああぁぁぁ!!」バシュ

    グリシャ「…」パチン…

    ーーーーーーーー

    ミケ「!…」ピクッ

    モコモコ…

    ハンジ「地中だ!総員今すぐに巨大樹に登れ!」バシュ

    巨人達「アアァァァ!!」

    「やめろ!やめてくr」

    「俺には家族がいるんだ!頼むよ…」

    巨人「ア-ン」ニタニタ

    ーーーーーーーー

    「どこから湧きやがったこいつら!」

    巨人「」ガブッ

    「ああああ!!腕が…腕があぁぁ!」

    巨人「」パクッ

    リコ「撤退だ!撤退!」

    イアン「ダメだ!俺たちに与えられた任務はなんだ!如何なる理由があろうとここから動いちゃいけない!巨人を殲滅せよ!」バシュ

    ーーーーーーーー

    モコモコ…

    アルミン「!…アニ!」

    アニ「!」バシュ…ザクッ!

    巨人「アァ…」バタン…

    アルミン「馬を捨てて木に登れ!!」
  138. 150 : : 2018/08/31(金) 10:40:56
    グリシャ「中々良い太刀筋だ」

    エレン「…クソッ…」(外したか…)

    グリシャ「だがダメだ…殺気がまるでない」

    エレン「…うるせぇよ」

    グリシャ「まさかエレン…この期に及んで私が本当は潔白なんじゃないかと思ってるんじゃないだろうな」

    エレン「…」

    グリシャ「これは驚いた…こんな状況を目の当たりにしておいてまだ私を信じているのか」

    エレン「うるせぇって言ってんだろ!!」バシュ

    ジャン「よせエレン!」ガシッ

    エレン「!…ジャン…」

    ジャン「奴の下を見てみろ…膝を曲げ、跳躍をする姿勢の巨人がいる…あのまま突っ込んでたらただじゃ済まなかったぞ」

    グリシャ「命拾いしたな…エレン」(奴には相当な数の巨人に追いかけさせたはずなのに、全て振り切ってくるとは…)

    エレン「親父…俺を殺す気なんだな…」

    グリシャ「当然だ、8年前に死んでくれていればもっと楽に作戦が進行していたはずなんだがな」

    エレン「ジャン…作戦を第1プランから第2プランへ変更する…」

    ジャン「!…お前正気か!?」(父親を殺すのか!?)

    エレン「本隊へ知らせろ…」

    ジャン「でも…」

    エレン「いいから行け!」

    ジャン「…死ぬなよ」バシュ



    エレン「8年前に行方不明になった親父の事を考えて、生きていてくれと何度願ったか…」

    グリシャ「…」

    エレン「再開出来たら何を話そうか考えてたよ…」スタスタ

    エレン「アルミン以外に友達が出来た」

    エレン「こんな俺を好きになってくれる女が出来た」

    エレン「訓練兵団を主席で卒業した」

    エレン「調査兵団の初任務で死ぬ程の過酷な状況に追い込まれた」

    エレン「調査兵団で片手の指で数えられる程の実力を得た」

    グリシャ「大変だったんだな」

    エレン「…今朝…結婚をした」

    グリシャ「!…ほう…是非その結婚相手に会ってみたいものだ」

    エレン「…お前なんかに合わせやしねぇよ…」

    エレン「俺が今ここで息の根を止めてやるからな!」バシュ

    グリシャ「仕方ない…息子の首を手土産に会いに行くとするよ」

    エレン「勝手に言ってろ!」ガキン

    ーーーーーーーー

    エルヴィン「何だと?」

    リヴァイ「今の話は本当か」

    ジャン「本当です…エレンがプランを第2プランへ変更し、今…対象とやり合ってる最中です」

    リヴァイ「特別作戦班、今すぐエレンの援護に向かう」

    「「「ハッ!」」」

    エルヴィン(決断したか…エレン)
  139. 151 : : 2018/08/31(金) 10:41:12
    エレン「…ッ!」ザクッ

    グリシャ「ッ…」ブシュ…

    エレン「…片腕を切り落とされても発狂しない胆力は褒めてやるよ」

    グリシャ「いいのか?安易に私の体に傷をつけて…」

    エレン「なれよ…なれるんだろ?巨人によ」

    グリシャ「…随分余裕だな」

    エレン「余裕なわけねぇだろ…どうせ追い詰められたら巨人になるんだから今のうちになっとけよ」

    グリシャ「…始めようか」

    エレン「あ?」



    グリシャ「この世で最も壮大な親子喧嘩を」



    ピカッ…ドォォォン…

    エレン「これが親父かよ…」

    進撃の巨人「アアァァァ!」



    ペトラ「今の声…」

    リヴァイ「…巨人だ…これより対象は巨人化したと考えて動け!」

    ーーーーーーーー

    アニ「アルミン!」

    アルミン「休んじゃダメだ!」(どうなってるんだ…次々に地中から巨人が湧いてくる)

    アニ「ここまで巨人と遭遇しなかったのは私たちが来る事を見越して巨大樹の周りの地中に巨人を潜めていたからなんだ…」

    アルミン「だとすれば巨人の数は有限って事になるね」

    アニ「…あんたの推測は間違ってないと思う…無限ならここまで来るのに遭遇しないのはおかしい…」

    ーーーーーーーー

    エレン「くっ…」ドサッ…

    進撃の巨人「そんなものか?」

    エレン「ライナーが巨人の姿で喋ったってだけで驚いたのにそんなにはっきり喋れる巨人がいたなんてな!」ダッ

    進撃の巨人「失望したよエレン」ピンッ

    エレン「がはっ…」ゴロゴロ…ドサッ

    進撃の巨人「人類最強が聞いて呆れる…この程度が最強だなんて」

    リヴァイ「まだ最強の座を譲ったわけじゃねぇよ」ザクッ

    進撃の巨人「アァァァ!!!」

    エレン「兵…長…」

    リヴァイ「立て、エレン」

    ペトラ「大丈夫!?」スタッ

    エレン「大丈夫です…少し転んだだけです…」ズキズキ

    進撃の巨人「…邪魔をしないでいただきたい」

    リヴァイ「!こいつ…普通に話せるのか」

    進撃の巨人「私は息子のエレンと大事な用の最中なんだよ」

    オルオ「何が息子だ!エレンはお前なんかのk」グシャ

    ペトラ「…え?」

    グンタ「…嘘だろ…オルオ!!」

    進撃の巨人「何度も言わせないでくれ…」

    リヴァイ「…」ブシャ

    進撃の巨人「ッ!…」

    リヴァイ「もう口を開くな」バシュ

    ズババババ!

    ザク…ザシュ…

    進撃の巨人「…」ドシン…

    オルオ「やったぞ…足を突かせた!」

    進撃の巨人「…さすがはリヴァイ兵士長と言ったところか」ムクッ

    ペトラ「嘘でしょ…まだ立つなんて…!」

    進撃の巨人「外野がうるさくてたまらないな…」ドゴンッ



    エルド「嘘だろ…ペトラまで…」

    エレン「大丈夫です」

    ペトラ「エレン…助けてくれてありがとう…」

    リヴァイ「…!グンタ!後方へ飛べ!」

    グンタ「え?」ベシャ

    エルド「…嘘だろ…グンタまで…」

    リヴァイ「…ペトラ…エルド…今すぐこの場から離脱しろ」

    エルド「しかし兵長!」

    リヴァイ「邪魔だ」(あいつらを庇ったまま戦い抜くなんて不可能だ…)

    エレン「俺からもお願いします…離脱してください」

    ペトラ「エレン…」

    エルド「兵長…」

    ペトエル「御武運を!」バシュ

    リヴァイ「まだ戦えるな?エレン」

    エレン「当然です」チャキ…

    リヴァイ「行くぞ!」バシュ
  140. 152 : : 2018/08/31(金) 10:41:24
    リヴァイ「はぁ…はぁ…」(どれだけ削ってもすぐに再生しやがる…)

    エレン「兵長!」

    ドゴン!

    リヴァイ「…チッ」(危なかった…)

    進撃の巨人「リヴァイ兵士長…そろそろエレンと二人にしてくれないか?」

    リヴァイ「するわけねぇだろ…」

    リヴァイ「エレンを…易々とくれてやるほど俺は甘くねぇんだよ」

    進撃の巨人「仕方ないな…君はこいつらと戦ってるのがお似合いだ…私とやり合うなんて100年早い」パチン

    奇行種数体「アアア!!」ドシン…ドシン…ドシン…

    リヴァイ「くそったれ!…エレン!必ず戻る!持ち堪えろ!」バシュ

    進撃の巨人「ようやく二人になれたな」

    エレン「オルオさんとグンタさんは…」

    進撃の巨人「失った命は戻らない」

    エレン「父さん…あんた一体何がしたいんだよ…」

    進撃の巨人「…エルディアの自由の為だ」ブンッ

    ドガン!

    ーーーーーーーー

    リヴァイ(何とか撒いたか…)スタッ

    エルヴィン「状況を説明しろ、リヴァイ」スタッ

    リヴァイ「エルヴィン…奥でエレンとグリシャが殺り合ってる…俺の部下も2人死んだ…何故救援を出さない」

    エルヴィン「地中から出てきた巨人のせいで陣形は総崩れだ…このままじゃ全滅する…」

    リヴァイ「またかよ…結局俺達は…巨人の掌の上で転がされ続けるってのか…」

    エルヴィン「一先ずエレンを呼び戻しt「無理だ」

    リヴァイ「あいつは今対象と殺り合ってる最中な上にあいつらの周りには近づけないように奇行種がゴロゴロいやがる…」

    エルヴィン「…我々もここまでか…」
  141. 153 : : 2018/08/31(金) 10:42:11
    進撃の巨人「そろそろ諦めろ、お前に勝ち目はない」

    エレン「勝ち目があるだとかないだとか…」フラフラ

    エレン「そんなの関係ねぇんだよ…」

    進撃の巨人「…」

    エレン「俺は今ここで…お前を殺さなきゃいけないんだよ」

    進撃の巨人「私を殺れるのか?」

    エレン「言ったろ…」フラフラ

    エレン「やれるかどうかなんて不毛だ…やるしかねぇんだよ!!」

    エレン「手足が捥がれても!お前を殺さなきゃ何も…何も終わらねぇんだよ!!!」ダッ

    進撃の巨人「立体機動も壊れたそんな貧弱な装備で何が出来る」

    エレン「何も出来ないかもしれない…だけどお前を殺す為なら何でも武器にするさ!」

    エレン「…ブレードが壊れたら爪で!爪が剥がれたら牙で!牙が折れたら自分の骨を!」

    進撃の巨人「…骨も使い物にならないと思うが」

    エレン「だろうな…」

    エレン「けど俺は諦めが悪いからよ…きっと最後の最後まで持てる物全てを使ってお前を殺すよ」

    進撃の巨人「…続きは夢の中で語るといい」ズシン…

    進撃の巨人「眠れ…我が息子よ…」ブンッ

    パシュ…パン!

    進撃の巨人「!…何を…」(目が見えない…)

    エレン「信号弾だ…まさか目玉に向けて撃たれると思ってもみなかったろ」

    進撃の巨人「時間稼ぎをしたところで…」

    エレン「時間稼ぎ?冗談だろ」タッタッタッ

    エレン「俺は逃げも隠れもしねぇよ…だから…お前も出て来いよ」ザシュ…

    エレン「父さん…」

    グリシャ「…油断した…」

    エレン「油断だろうがなんだろうが関係ねぇよ…お前は俺に負けた…」チャキ…

    グリシャ「…そのブレードで父親の首を落とすのか?」

    エレン「あぁ…でも一言言うまでは待ってやる」



    エレン「…母さんとミカサに詫びろ」

    グリシャ「…ははっ…お前らしい…」

    エレン「馬鹿な息子だったけどこれがせめてもの親孝行だ」

    グリシャ「…お前は本当に優しい子だ」

    グリシャ「優しくて愚かだ」

    エレン「!」

    グリシャ「…」ピ---!

    エレン「!何を!」

    グリシャ「道連れだ…最後まで私を親として見ていた馬鹿なお前を私と同じ場所に連れて行ってやろうと思ってな」

    巨人数体「ア-ン」ドシン…ドシン…ドシン

    グリシャ「先に逝っているぞエレン」

    巨人「…」ムシャムシャ

    ーーーーーーーー

    ジャン「エレン!何だこの巨人達は!」スタッ

    エレン「よう…」

    ジャン「作戦はどうなった!」

    エレン「対象は死んだ…第2プラン成功だ」

    ジャン「!ならとっとと離脱するぞ!何故かここに巨大樹の森の周りにいた巨人達が向かってきてる」

    エレン「…先に行け」

    ジャン「は?何言ってんだお前!」

    エレン「…立体機動が壊れてる上に巨人の死体に足を挟まれて動けない…」

    ジャン「そんなもんブレードで斬っちまえば俺が担いでやるよ!」

    エレン「試したよ…それでもダメなんだ…いくら細切れにしても重くて動かないんだよ…」

    ジャン「そんなはずは!」ダッ

    ジャン「…」ザクッ…

    エレン「分かったろ…俺はここから動けない…」

    ジャン「自分で動けねぇなら引っ張り出してやるよ!」

    エレン「ジャン!」

    ジャン「!」

    エレン「離脱しろ」

    ジャン「ふざけんじゃねぇぞ!!お前を置いていけるかよ!」

    エレン「お前は班長だろ…感情に流されるな」

    ジャン「お前を…見殺しにしろって言うのかよ…」

    エレン「そうだ…」

    ジャン「出来るわけねぇだろうが!」

    エレン「もう巨人達がここに向かって来てる…」

    エレン「ジャン…頼む…俺を置いていけ」

    ジャン「…でも」

    エレン「頼む…行ってくれ…」

    ジャン「…」

    エレン「行け!!!」

    ジャン「クソッ!」バシュ

    無数の巨人「アァァ…」

    ジャン「くそ!くそ!くそ!!」シュ-
  142. 154 : : 2018/08/31(金) 10:42:45
    ユミル「作戦はどうなった!ジャン!」

    ジャン「…作戦は成功した…撤退する…」

    クリスタ「…え、エレンは?」

    ジャン「あいつは来ない…本体へ合流する!進め!」

    ユミル「嘘だろ…ジャン!ふざけんじゃねぇよ!エレンがまだ来てねぇぞ!!」

    クリスタ「ジャン…冗談だよね?エレンがまだ…来てないよ…?」

    コニー「お前はそんなタチの悪い冗談は言わねぇ奴だって知ってるよ…エレンは後から来るんだろ…?」

    レネイ「嘘…嘘だ…エレンさんが…」

    ジャン「班長は俺だ!エレンに関する異論は一切認めない!撤退しろ!!!」

    ーーーーーーーー

    エルヴィン「ジャンの班から作戦成功の信号弾を確認した!直ちに撤退せよ!」

    リヴァイ(エレンの奴無事だろうな…重症にでもなってやがったら承知しねぇぞ…)

    ペトラ(成功したんだ…よかった…)

    ーーーーーーーー

    アルミン「調査兵団から作戦成功の信号弾を確認!直ちに撤退する!」

    アニ(よかった…作戦は成功したんだ…エレンが帰ってくる!)

    ーーーーーーーー

    エレン(ジャン…嫌な役やらせちまって悪かったな…帰ったら散々責められるんだろうな…)

    エレン(でもお前は班長として正しい選択を取ったんだ…お前は間違ってない)

    巨人「ア-ン」

    エレン(悪いなアニ…必ず帰るって約束…守れそうにねぇわ)

    エレン(お前と一緒にいれた6年間…最高に楽しかったよ)

    エレン(またお前を一人に…)

    アニ『私をまた…一人にする気?』

    エレン「…させれるわけねぇだろうが!!」
  143. 155 : : 2018/08/31(金) 10:43:14
    カラネス区-開閉門付近

    リヴァイ「何だと!?」ガシッ

    ジャン「…」

    リヴァイ「ジャン!エレンが帰って来てねぇってどういうことだ!」

    ジャン「…あいつは巨人の死体に足を挟まれて動けませんでした…」

    ジャン「俺一人ではどうする事も出来ず…巨人が多数接近してる状況で救援を呼ぶ事も出来ませんでした…」

    リヴァイ「…すまない」(ジャンが悪いわけじゃねぇのに俺とした事が…)

    ジャン「…」

    アニ「ジャン!」

    アルミン「ごめんね?忙しいところ…アニがどうしてもエレンに会いたいって言うから…」クスッ

    ジャン「!アニ…アルミン…」

    アニ「エレンはどこ?」

    ジャン「…」

    アニ「ジャン?」

    ジャン「…すまない…」

    アニ「…え?」

    アルミン「!」

    ジャン「エレンを…連れ帰れなかった…」

    アニ「…ごめん…ジャン、あんたが何を言ってるのか分からない…」

    アルミン「嘘だろ…エレンが…」ガクッ

    ジャン「本当にすまない…」

    アニ「嘘だ…エレンが…エレンが…」

    ジャン「…」スタスタ

    レネイ「…」パンッ…

    ジャン「ッ…」

    レネイ「何でエレンさんを見殺しにしたんですか!班長程の腕前があれば救えたはずです!」

    ユミル「やめろレネイ!」ガシッ

    レネイ「…許さない…絶対に許さない!」

    ジャン「…」スタスタ

    クリスタ「ジャン!どこ行くの!?」

    サシャ「ジャン!」

    ーーーーーーーー

    路地裏

    ジャン「ふざけんじゃねぇ!」ガンッ

    ジャン(誰が…誰が好き好んでエレンを置き去りにするんだよ…)

    ジャン(恨むぜエレン…恨まれたくなかったら…)

    ジャン「必ず無事でいろ!!」ダッ

    ーーーーーーーー

    リヴァイ「エルヴィン、今すぐにエレンの捜索に出るべきだ」

    エルヴィン「ダメだ…兵士達も今回の作戦で憔悴しきっている、すぐに出発は出来ない…それに生きている可能性が極めて低い一般兵士の為に無駄に他の兵に命を捨てさせる事は出来ない」

    リヴァイ「あいつは生きている!あいつはこの兵団にいなくてはならない人間だ!」

    シ-ン…

    リヴァイ「…兵が出せないならせめて俺にエレンの救出を命令してくれ」

    リヴァイ「俺一人でも行く」

    ペトラ「私も行きます!」

    アルミン「調査兵団ではありませんが、僕も行きます」(エレンが死んだなんてあり得ない…必ず生きてる!)

    アニ「私も行きます…あいつが死んだなんて嘘…必ず生きてる…」

    コニー「俺も行くぞ!」

    エルヴィン「…どちらにせよ今はダメだ、お前も体力を消耗している…死にに行く気か」

    リヴァイ「救出に行く時間を遅らせれば遅らせるほどエレンが死ぬ可能性が高くなる、今じゃなきゃダメだ」

    ズズズズズ…

    エルド「!…門が…開いてる…」

    エルヴィン「どういう事だ!開門の指示は出していないぞ!」

    「キルシュタインが門を開け馬で外へ!」

    リヴァイ「!…」ダッ

    エルヴィン「待てリヴァイ!」

    リヴァイ(ジャンの奴、一人で行く気か!)ヒヒ-ン

    パカラッパカラッ!

    エルヴィン「すぐに門を閉じろ!巨人が侵入してくるかもしれない!」

    アルミン「アニ!急いで馬に乗って!」ダッ

    アニ「分かってる!」ダッ

    「リヴァイ兵士長も外へ出て行きました!」

    アルミン「くそっ!もう門が閉まり始めてる!」

    ガコン…

    「くそ!何で閉まらないんだ!」

    コニー「急げ!アルミン」

    アルミン「コニー!」

    ペトラ「私達が時間を稼ぐ!早く外へ!」

    アニ「ペトラさん…」

    ペトラ「エレンの事…お願いね」

    アニ「はい!」

    ガタン…

    エルヴィン「何人外へ出た?」

    エルド「4人です」

    エルヴィン「外に出た者の名前を調べろ」

    エルド「既に判明しています…エレンの班長であるジャン・キルシュタイン、リヴァイ兵長、憲兵団参謀アルミン・アルレルト、憲兵団参謀補佐アニ・レオンハート」

    エルド「以上4名です」

    エルヴィン「ジャンとリヴァイは分かるが、何故憲兵団が…」

    エルド「それは現在ハンジさんが調べています」

    エルヴィン(たった4人で壁外に出た所で無駄死にだぞ…リヴァイ…)
  144. 156 : : 2018/08/31(金) 10:43:36
    リヴァイ(くそ…ジャンの奴が全然見当たらねぇ)

    アルミン「リヴァイ兵長!」

    リヴァイ「!お前は…」(3年前に一度会ったエレンの馴染みか)

    アルミン「お久しぶりです、憲兵団参謀のアルミン・アルレルトです!」

    アニ「同じく憲兵団参謀補佐のアニ・イェーガーです」

    リヴァイ「…憲兵が何の用だ」(それにこの女…イェーガーだと?)

    アルミン「目的は同じです!」

    リヴァイ「…憲兵を信用しろってのか」

    アルミン「僕とエレンは幼い頃からの親友です!」

    リヴァイ「…そっちの女は何者だ…あいつと同じ姓なんて信用出来ない」(グリシャの事もあるしな…)

    リヴァイ「今回の作戦で姓がイェーガーの者は一通り調べ尽くしたがエレン一人だけだった」

    リヴァイ「偽名を使ってまで近付いたのは何の目的だ」

    アニ「知らなくて当然です…私の旧姓はレオンハート、姓がイェーガーに変わったのはつい今朝の事ですから」

    リヴァイ「…どういう事だ」

    アニ「今朝役所に婚姻届を出して家族になったので…」

    リヴァイ「…そんな突拍子もない話を信じろと?」

    アニ「…あいつがよく言ってました…兵長は綺麗好き過ぎて掃除に付き合うのが面倒でよくサボっていると」

    リヴァイ「その情報だけで十分だ…あいつは救出されても俺に殺されるかもしれんな」ニヤッ

    リヴァイ「付いて来い!」

    アルアニ「ハッ!」

    ーーーーーーーー

    ジャン(待ってろエレン…)

    ジャン(迎えに行って死んでましたなんて俺は許さねぇぞ!)

    バシュ-----

    ジャン「!緑の信号弾…」(信号弾の方向へ迎えって事か…)

    ジャン(俺以外にもエレンを助けに向かってる奴がいるのか?)

    ーーーーーーーー

    ハンジ「エルヴィン!エレンの救出に向かった憲兵二人の素性が判明した!」

    エルヴィン「何者だ」

    ハンジ「参謀のアルミン・アルレルトとその補佐官のアニは104期訓練兵団を卒業している…つまりエレンと同期だったわけだ」

    ハンジ「それに参謀の方はエレンが幼少期からの友人であり、補佐官の方は今朝…エレンと結婚している事が分かった…」

    エルヴィン「!あの二人はエレンの親友と…妻という事か…」

    ーーーーーーーー

    アルミン「ジャン!」

    ジャン「お前ら…それに兵長まで」

    リヴァイ「お前が門を開けてくれたおかげで俺達も救出へ来れた」

    ジャン「元はと言えば俺がエレンを置き去りにした事が原因なのに…来てくれてありがとうございます…」

    アニ「あんたの為じゃない、ここにいる全員がエレンが生きてるって信じてるから助けに来たんでしょ」

    ジャン「アニ…あぁそうだ、あいつは必ず生きている」

    アルミン「ジャン…最後にエレンを見た場所とその時の状況、それとエレンの装備の状態を教えてくれ」

    ジャン「最後に見たのは巨大樹の森の中心地点よりやや南西方面の木の幹に巨人の死体に足を挟まれていた」

    ジャン「装備は…馬もいなくて立体機動も壊れていて木にも登れない状況だった…」

    ジャン「更に…」チラッ…

    アニ「私の事は気にしなくていい、確認した情報を全て教えて」

    ジャン「巨大樹を囲っていた巨人達が一斉にエレンの元へ走って行くのを確認した…」

    リヴァイ(絶望的状況か…)

    アルミン「エレンの事だ…巨人の死体が蒸発するのを待って、生き延びているのは間違いない」

    アルミン「横一列に等間隔を空けて並んで北から捜索を開始する、両端は実力者の兵長とジャンに担当してもらう…内側のジャン寄りがアニ、兵長寄りが僕」

    アルミン「もう少し馬を休ませてから出発する…何か異論は?」

    リヴァイ「短時間でここまて作戦を考えられるなんて大したもんだ…その歳で参謀に選ばれるだけの事はある、異論はない」

    アニ「私も異論はない」

    ジャン「お前に従うよ」



    リヴァイ「それはそうと式はいつ挙げるんだ?」

    ジャン「…?」

    アニ「まだ決めてません…あいつがこんな状況になったし…もう少し落ち着いてからになるかもしれません」

    アルミン「アニも大変だね…結婚したその日に旦那がこんな目に合うなんて」

    ジャン「は?…結婚?」

    アルミン「エレンから聞いてないの?今朝アニとエレンは結婚したんだよ」

    ジャン「嘘だろ!?」

    アルミン「やっぱり聞いてなかったんだ」クスッ

    ジャン「本当なのかよ…?」

    アニ「うん、今はもう夫婦」

    ジャン「あいつ俺には何の相談も…」

    リヴァイ「俺もさっき知った所だ、上司に何の相談もないなんて…許せねぇよな?」フッ

    ジャン「あいつ…必ず連れ帰って説教してやる」

    アルミン「ははっ…その為にも必ず助けださないとね」

    リヴァイ「…行くか」
  145. 157 : : 2018/08/31(金) 10:44:02
    巨大樹の森

    リヴァイ「チッ…全然いねぇじゃねぇか…」(エレンの奴本当に食われちまったんじゃねぇだろうな)

    巨人「アァァ!」

    リヴァイ「…」ザシュ(それにしても全く手応えがねぇ…グリシャが死んだおかげか?巨人の数は多いがそれほど面倒な戦闘にならないな)

    ーーーーーーーー

    ジャン「エレーン!」(くそ!)

    ジャン「いたら返事しろ!」

    ジャン(ふざけんなよエレン…俺はまだお前に結婚の祝いの言葉も言えてねぇんだぞ)

    ジャン(簡単にくたばる事なんて許さねぇぞ!)

    ーーーーーーーー

    アルミン(エレンなら巨人から身を隠す為にどこに隠れる…)

    アルミン(木の上…いや木の上は登れない…地中か?いや地中は救出に来た時に見落とされる可能性が高すぎる…それに窒息の可能性も出てくる…)

    アルミン(くそ!…全く思いつかない)

    アルミン「エレン!いるんだろ!?返事をしてくれ!」

    ーーーーーーーー

    アニ「…」(あのバカ…どこにいるの…)

    アニ「エレン!いるんでしょ!」

    「…二」

    アニ「!」(今声が!)

    エレン「アニ…」

    アニ「!」バシュ(見つけた!)

    アニ「しっかりして!」スタッ

    エレン「とうとう幻覚まで見えて来やがった…血を流しすぎたか…」

    アニ「何言ってんの!私はここにいる!幻覚なんかじゃない!」

    エレン「やっぱりあの選択は間違ってたか…」

    アニ「!あんたその足…」

    エレン「くそったれ…もう一度アニに…」

    アニ(意識が定まってない…このままじゃ!)

    バシュ-----

    リヴァイ「!あの信号弾の方角は…」バシュ

    ジャン「アニの方角か!」バシュ

    アルミン「エレンを見つけたんだねアニ!」バシュ

    ーーーーーーーー

    アニ「どうしようこのままじゃエレンが…」

    ジャン「おいエレン…お前足が…」

    アルミン「出血が酷すぎる!急いで連れ帰らないと!」

    リヴァイ「自分の足を切り落として生き延びたのか…」

    アルミン「すぐに馬を呼んで!今ならまだ間に合う!」(間に合うなんて言ったけど…このままじゃ…)

    ジャン「あ、あぁ!」ピ-----

    エレン「…いよいよまずいな…アニにアルミン…兵長にジャンまで…」

    エレン「これが走馬灯か…」

    アルミン「しっかりしろ!幻覚なんかじゃない!」

    リヴァイ「…?なんだそれは」

    ジャン「それって何のことですか」

    リヴァイ「エレンが握りしめてるその注射器だ」

    アルミン「!…エレンの足に気を取られてばかりで気づかなかった…」

    ジャン「その注射器は…作戦が第2プランに変更した時に少しでも対象の情報を分析できるようにとハンジ分隊長が持たせた物です」

    リヴァイ(まさか…グリシャの血か?)

    エレン「もう幻覚相手でもいいか…ジャン、嫌な役やらせちまって悪かったな」

    ジャン「ふざけんなよお前!何これが最後みたいに言ってやがんだ!許さねぇぞ!死んだら許さねぇぞ!」

    エレン「アルミン…親友らしい事何一つしてやれなくて悪かった」

    アルミン「気をしっかり持って!君はこれからも生き続けなきゃいけないんだよ!」

    エレン「兵長…毎回掃除サボってすみませんでした…兵長が俺に対する言葉遣いが柔らかくなるのが嬉しくてついバカな真似してしまってました…」

    リヴァイ「これでお別れみたいに言ってんじゃねぇよ」

    エレン「ごめんな…アニ」

    エレン「お前を一人にさせたくないけど…俺はここまでみたいだ…必ず帰るって約束守れなくて悪かったな」

    エレン「俺抜きでも幸せになってくれ…それが俺の唯一の願いだ…」

    アニ「しっかりして!私を一人にしないで!嫌!いやぁぁぁ!!」

    リヴァイ「どけ!」ブスッ…

    アルミン「兵長!その注射器は…」

    リヴァイ「一か八かだ…グリシャは巨人になれた…巨人には異常な程の生命力と再生能力がある」

    リヴァイ「それにエレンとグリシャは親子だ…グリシャの血がエレンに適合すれば…」

    アルミン「エレンの失った足や血が戻る…」

    リヴァイ「この賭けに成功する確率は1%もないだろう…けど死なせたくないなら…その僅かな可能性に賭けるしかない…」

    リヴァイ(戻って来い!エレン!)
  146. 158 : : 2018/08/31(金) 10:44:30
    ジャン「巨人が来てる!3体だ!」

    リヴァイ「チッ…こんな時に…!」

    ヒュン…ズバズバズバ…

    エレン「切り落としてきたはずの足が生えてるんだが…俺は巨人にでもなったのか?」ザシュ…

    アニ「エレン!」

    アルミン「なんて生命力だ…」

    ジャン「心配かけやがって!」

    リヴァイ「…奇跡だな」

    アルミン「これより撤退する!」

    アルミン「戦闘はなるべく控えて全員で門に辿り着くんだ!」

    ーーーーーーーー

    エルヴィン「開門!」

    ズズズズズ…

    リヴァイ「門が開いた!走り込め!」(エルヴィンの奴…なんだかんだ言いながらエレンの生還を期待してやがったんだな)

    ガタン…

    エレン「生きてまたここに帰ってこれるとはな…」

    アニ「…」パンッ

    エレン「ッ…帰っても叩かれんのかよ」クスッ

    アニ「本当にいい加減にして…どれだけ心配させたら気が済むの…」ギュ

    エレン「悪かった…それと今更だけど迎えに来てくれてありがとう…」ギュ

    アニ「…バカ」

    ーーーーーーーー

    1週間後

    コンコン…ガチャ

    エルヴィン「待ってたよエレン」

    エレン「…いい加減に街での俺を英雄扱いするあの感じ規制かけてもらえませんか?自由に出歩けなくて困ってるんですけど…」

    エルヴィン「それほど今回君が成したことは大きかったという事だ」

    エレン「…俺は実の父親を殺した人殺しですよ、英雄なんかじゃありません」

    エルヴィン「世間はそう見ない…それにどの兵団の連中も君に一目置いている」

    エルヴィン「実際君の父親が死んで巨人は知力が低下したように思える…元々無知であった巨人でさえもサポート無しで討伐出来ているレベルだ」

    エレン「結局俺の父親が全ての黒幕だったんですよね」

    エルヴィン「…そうだ」

    エルヴィン「それだけではない…グリシャ・イェーガーが死んだ途端巨人の発生率が極端に減った」

    エルヴィン「これはグリシャが巨人を発生させていたと考えてまず間違いはないだろう…」

    エレン「…」

    エルヴィン「君は巨人の発生源を断ち、人類を救った英雄だ」

    エレン「…そんな事を聞かせる為にここへ呼んだんですか?そんな事なら失礼します」スタスタ

    エルヴィン「待て」

    エルヴィン「君をここに呼んだのは君を兵士長に任命する為だ」

    エレン「!…待ってください俺は…」

    エルヴィン「数々の作戦を乗り越えて来た君には今後兵士長の座に就いて欲しい」

    エルヴィン「引き受けてくれるね…?」

    エレン「…はい…」

    エルヴィン「…今君を兵士長に任命したのが私の最後の仕事だ」

    エレン「!それはどういう…」

    エルヴィン「言葉通りだ…私は本日をもって調査兵団団長を辞任する」
  147. 159 : : 2018/08/31(金) 10:44:58
    1ヶ月後

    ユミル「今回の作戦が終わって異常な事続きだな…」

    クリスタ「うん…」

    ユミル「エレンが兵士長になって」

    ユミル「アニが憲兵団師団長補佐…」

    クリスタ「それにエルヴィン団長が辞任、後釜にジャンが就くなんて」

    ユミル「それだけに留まらずアルミンが憲兵団師団長だからな」

    サシャ「104期生の二人が最年少で各兵団のトップになりましたからね…」

    クリスタ「ユミルは新しい班の配属先決まった?」

    ユミル「あぁ…まだ班長や班員は確認してねぇけどな」

    クリスタ「私も一緒…」

    クリスタ「なんだか色んなことが沢山起きすぎて頭が追いつかないよ…」

    ユミル「これから新しい班長の所に挨拶に行く所だ」

    クリスタ「私もだよ…2階の2号室だって…」

    ユミル「!私もだ!一緒の班でよかったなクリスタ!」

    クリスタ「もう!嬉しいのはユミルでしょ?」(私も嬉しいけど!)

    ーーーーーーーー

    ガチャ

    ユミクリ「よろしくお願いします」

    エレン「よう」

    ユミル「!」

    クリスタ「エレン!」

    エレン「今日からお前らの上官になったエレン・イェーガーだ、よろしくな」

    ユミル「…兵士長になったんだよな、おめでとう」

    エレン「ありがとよ」

    ガチャ

    コニー「よろしくお願いします!」ペコッ

    ユミル「…すっげぇデジャヴ感じるんだけど?」

    エレン「俺もだ…」

    コニー「何だよまたお前らかよ!」

    クリスタ「これで全員?」

    エレン「いや…あと一人くる」

    ガチャ

    ペトラ「よろしくね…エレン」

    クリスタ「ペトラさんってリヴァイ班の人なんじゃ…」

    エレン「…リヴァイ班は解体された」(正確には解体じゃなくて表立って動けない任務を任される班になっただけなんだけどな)

    コニー「これで全員か?」

    エレン「そうだ、今日からこの班が特別作戦班になる」

    クリスタ「え?」

    ユミル「それって私達が特別作戦班に配属されたって事か」

    エレン「この班の人員は全て俺が厳選した」

    エレン「コニーは森や市街地での戦闘はトップクラス」

    エレン「クリスタは馬術に長け、連絡係としてはクリスタの右に出る者はいない」

    エレン「ユミルは立体機動術、馬術共に優れていて護衛役としては申し分ない」

    エレン「ペトラさんは実戦経験も豊富で、俺との連携もこの場にいる誰よりも上手くいく…俺の片腕として十分に働いてくれると確信している」

    ペトラ(エレンにここまで褒められると悪い気はしないかな…)

    エレン「お前らにはリヴァイ班の後釜として恥じない働きを期待している」

    ガチャ

    エレン「因みに俺達が担当するのは東塔だ、荷物を整理して東塔に移れよ…ペトラさんは以前と同じ部屋を使ってください」

    バタン

    ユミル「しかし私たちが特別作戦班って言われても…」

    クリスタ「ピンとこないよね…」

    コニー「何でだ?かっこいいじゃねーか!」

    ユミル「お前は相変わらずめでたい頭してんな」

    コニー「なんだと!」

    クリスタ「ペトラさんは以前も特別作戦班だったんですよね?」

    ペトラ「うん、前はみんな特別作戦班の事をリヴァイ班って呼んでたけど…今日からエレン班って呼べばいいのかな?」クスッ

    クリスタ「リヴァイ班が解体されて残念です…」

    ペトラ「そうだね…私も居心地がいい所だったから…」

    数時間前

    ペトラ「リヴァイ班が解体ってどういう事ですか!」

    リヴァイ「喚くなペトラ」

    リヴァイ「今後俺が特別作戦班の指揮を取るよりエレンに任せた方が適任だと考えたんだ」

    ペトラ「確かにエレンは実力もありますし指揮を取る能力もありますけど…」

    リヴァイ「そこでお前にはこれからエレンが率いる特別作戦班に就いてもらいたい…」

    ペトラ「それでは兵長は!」

    リヴァイ「俺は調査兵団に籍は置くが…暫くお前達の前に姿を表す事はないだろう…」

    ペトラ「そんな…」

    リヴァイ「グリシャが死に、明らかに巨人の発生率も減り脅威も薄れた…」

    リヴァイ「次に注意しなくてはいけない点は人間同士の争いだ…それを抑えるために俺とエルドは調査兵団を離れ、水面下でお前達のサポートをする事になった」

    ペトラ「納得出来ません!」

    リヴァイ「数分前にもエレンが同じ事を言ってたな」

    ペトラ「エレンもこの話を聞いたんですか…」

    リヴァイ「あぁ…聞き分けのない事を言っていたが最後には納得してくれた」

    ペトラ「…分かりました…」

    リヴァイ「これが最後ってわけじゃない…また会う日もくる」

    ペトラ「その日までお元気で、兵長…」
  148. 160 : : 2018/08/31(金) 10:45:21
    東塔

    ユミル「いいじゃねーか一緒に寝ようぜ」

    クリスタ「ユミル!そんなこと言ってるとまたエレンが怒るよ?」

    エレン「呼んだか?」

    ユミル「!…いや、なんでも…」

    クリスタ「ユミルが私と一緒に寝ようとするの!エレンからもなんとか言ってよ!」

    エレン「あー…別に好きにすればいいんじゃねぇか?」

    ユミル「え?…自室に帰れって怒らねぇのかよ」

    エレン「どっちにしろ俺がここで寝泊まりするのは暫くの間だけだしな…俺がいなくなったらどうせ好きにやるんだろ」

    クリスタ「暫くの間ってどういう事?いなくなっちゃうの…?」

    エレン「アニと結婚したからよ…作戦前の日とかはここに泊まるだろうけど、それ以外の日は家に帰るよ」

    エレン「建築士にも頼んで家を建ててもらってる最中だしな」

    ユミクリ「!?」

    ユミル「結婚したなんて初耳だぞ!」

    クリスタ「詳しく聞かせて!」

    エレン「アニに聞け…じゃあな」スタスタ

    憲兵団-東塔-食堂

    ガチャ

    ペトラ「結婚したんだ」

    エレン「…聞いてたんですか」

    ペトラ「聞こえちゃっただけだよ…」クスッ

    エレン「こんな毎回死にかけるような奴が家族なんて持っていいのかって思ったんですけど…」

    エレン「少しでもアニと一緒にいれる時間を増やしてやりたいんですよ」

    ペトラ「そっか…」

    エレン「…」

    ペトラ「あ、コーヒーいれようか?兵長」クスッ

    エレン「その言い方はよしてくださいよ」クスッ

    ペトラ「だってエレン、コーヒーの飲み方兵長とそっくりなんだもん…それに本当に兵長になったでしょ?」フフッ

    エレン「…俺は本当に正しい事をしたんでしょうか」

    ペトラ「え?」

    エレン「俺が親父を殺したから…団長は辞任し、兵長はいなくなったんじゃ…」

    ペトラ「…その考えは間違ってないと思う…でもね、きっと団長も兵長も待ってたんじゃないかな…」

    ペトラ「自分の仕事を任せられる人が出てくる事を」

    ペトラ「団長は自分の後継者にジャンを選んだ」

    ペトラ「兵長は自分の後継者にエレンを選んだ」

    エレン「…」

    ペトラ「団長も兵長もこれからの人類の未来の為に選んだ最善策の決断だったんだと思うよ」

    ペトラ「不安になる気持ちも分かるけど…自分に託してくれた人の気持ちを踏みにじるのは違うと思う」

    ペトラ「エレンはこれからリヴァイ兵長に変わって人類の希望にならなきゃいけないんだから、人の心配してる場合じゃないよ!」バシッ

    エレン「そう…ですね…」

    ペトラ「もう寝るね」

    ガチャ

    ペトラ「…言い忘れてた」

    エレン「?」

    ペトラ「結婚おめでとう」ニコッ

    バタン

    ペトラ(さよなら…初恋の人…)スタスタ
  149. 161 : : 2018/08/31(金) 10:45:43
    2ヶ月後

    「それでは新郎新婦の御入場です」

    ガチャン…

    クリスタ「アニ綺麗だね!」

    ユミル「あぁ…幸せそうだ」

    ジャン「…3ヶ月前には死にかけてたくせに今じゃあんなに生き生きしやがって…」フッ

    ハンネス(見てるか?カルラ…ミカサ…)

    ハンネス(あのエレンが結婚だってよ…笑っちまうよな…まだまだガキのくせによ…)ポロポロ

    「エレン・イェーガー…汝は健やかなる時も病める時もアニ・イェーガーを愛すると違いますか?」

    エレン「誓います」

    「アニ・イェーガー…汝は健やかなる時も病める時もエレン・イェーガーを愛すると誓いますか?」

    アニ「誓います」

    「それでは誓いの口付けを…」

    エレン「これからの俺の人生全てをお前にやる…愛してるよ」

    アニ「…全部じゃ足りない…来世もその次の来世も欲しい」

    エレン「…お前が望むならこれから何世先でもお前にやるよ」

    アニ「ふふ…そこまで言われたら仕方ないからキスしてあげる」チュ

    パチパチパチ…

    ーーーーーーーー

    「えーここで、新婦の友人代表でユミルさんからのスピーチです」

    ユミル「え!?」ガタン

    ユミル(アニの奴なんの相談もなく私を指名しやがって…後で覚えとけよ…)

    ユミル(でも…友人代表って響きは悪くない…)

    ユミル「…本日は私の友人の新たな門出を祝う為に数多くの方々が参列してくださった事を心から感謝いたします」

    ユミル「私が彼女と出会ったのは今から6年前の事になります…当時私は訓練兵団に所属しており、そこで初めて彼女と対面するわけですが、最初はなんだこの無愛想な女はと思ったものです…私も一概には言えないわけですが…」

    ワハハハ!
    イイゾ!ツヅケロ!

    ユミル「ただそんな第一印象最悪な彼女に何故か惹かれていく自分がいました」

    ユミル「普段無愛想で笑顔を見せる事などない彼女が時折みせる柔らかな表情が気になって仕方がなかったのです」

    ユミル「その柔らかな表情の正体が気になってふざけて友人と後をつけた時に見た彼女の笑顔といえば言葉では言い表せないほど美しいものでした」

    ユミル「その時に隣にいた人物は今彼女の隣にいる彼なわけですが、彼がいる時は笑顔を絶やさないんです…ですが彼がいなくなった途端寂しげな表情を見せる彼女を見ていられなくて何度友人と優しい言葉をかけた事でしょうか…」

    ユミル「更に彼は危険が付き纏う調査兵団に行くと彼女を置いていき危険な任務をこなす毎日…彼女は口では強気に『大丈夫…あいつは必ず帰ってくるから』と言っていましたが長年彼女を見てきた私には分かります」

    ユミル「本当は辛く…心細い毎日を精神を削りながら生きていた事を…そんな彼女がようやく今日結婚式を挙げると聞いた時には自分のことのように喜びました」

    ユミル「アニ…本当におめでとう」

    アニ「ありがと…」ポロポロ

    クリスタ「何?いきなり指名された割に結構しっかり話せてたじゃん!」

    サシャ「あらかじめセリフを考えてきたんじゃないですか?」

    ユミル「馬鹿言え…心臓ばくばくしてたよ」

    アニ「本当に良かったの?」

    エレン「何が?」

    アニ「アルミンや、ジャンに友人代表のスピーチを頼まなくて…」

    エレン「いいんだよ」

    アニ「でも折角の結婚式なのに」

    エレン「これでいいんだよ…あいつらもエレンらしいって笑ってくれるよ」

    エレン「改まって何か言われる方が気持ち悪いってもんだ」クスッ

    アニ「あんたはまたそういうことを言う…」

    エレン「アニ」

    アニ「ん?」

    エレン「これからもよろしく頼むよ」

    アニ「こちらこそ」ニコッ
  150. 162 : : 2018/08/31(金) 10:46:42
    〜860年〜

    アニ「起きて」

    エレン「…ん…」

    アニ「起きないと朝ごはん抜くよ」

    エレン「!」ガバッ

    アニ「やっと起きた」

    エレン「…おはよ」ボ-

    アニ「おはよ、早くご飯食べないと今日壁外に出るんでしょ?間に合わなくなるよ」

    エレン「どうせ俺がいねぇと壁外になんて出ねぇよ」モグモグ

    アニ「またそういうこと言う…」ジトッ…

    エレン「悪かったよ…行きゃいいんだろ…」スタスタ

    アニ「あ、待って」

    エレン「ん?」

    アニ「忘れ物」チュ

    エレン「行ってくる」

    アニ「行ってらっしゃい」ニコッ

    ーーーーーーーー

    ジャン「遅いぞエレン!お前のその遅刻癖はいつになったら治るんだ…」」

    エレン「固いこと言うなよジャン」

    「おいあのエレンさんだぜ!」

    「あの人が人類最強のエレン…」

    クリスタ「本当に遅いよ!エレン!」

    エレン「お前もうるさくなったなー」

    ペトラ「クリスタの言う通り、いい加減にしないと承知しないよ」

    エレン「承知しないって何する気だよペトラ」ケラケラ

    ペトラ「リヴァイ兵長を呼ぶ」(私に敬語を使わなくなって随分経つけど壁がなくなったみたいで嬉しいな)

    エレン「…さぁ気を引き締めようぜ」

    エレン「今回俺たちの班に言い渡されたのは各一人ずつ8体の討伐だ」

    ユミル「8体なんて見つける方が苦労するぞ?」

    エレン「いや俺もわかってんだけどよ…ジャンがそれだけ討伐するまで門の中に入れねぇって言うから…」

    クリスタ(7年前にエレンが巨人の謎と言われる対象を抹殺してからというもの巨人の発生率は限りなく低くなった)

    クリスタ(3年前にはシガンシナ区まで奪還できた)

    エレン「そろそろ開門だな」

    クリスタ(エレンは相変わらず壁外に出たら帰ってくる頃には巨人の返り血を山ほど浴びながらニタニタしてるから不気味だけど)

    クリスタ(きっと私たちはエレンについて行けば未来を見られる…そんな気がするんだ)

    ーーーーーーーー

    アルミン「アニ?」

    アニ「アルミン…」

    アルミン「久しぶりだね、エレンと一緒?」

    アニ「あいつは今壁外に出てるよ」

    アルミン「相変わらずだねエレンは…」ハハッ

    アルミン「ところで何してるの?」

    アニ「後5分待てばこの魚が値引きされるんだよ…それ待ち」

    アルミン「君も主婦だね…」クスッ

    アニ「悪い?」

    アルミン「悪いなんて言わないけど…君ほどの実力者が憲兵団に戻ってきてくれたら嬉しいかな…なんてね」

    アニ「私は2年前に辞めた…今はあいつが帰ってくる家を守る事で精一杯だから」

    アルミン「例え話だよ…本当にそう思ってるわけじゃないよ」

    アニ「それに…もうお腹の中に子供もいるし…」

    アルミン「え!?嘘でしょ!?本当!?」

    アニ「本当…」

    アルミン「全然そんな風に見えないけど…エレンは知ってるの?」

    アニ「まだ言ってない…先週医者に言われたばかりだしね」

    アルミン「エレンが聞いたらきっと腰抜かすよ」クスッ

    アニ「どうだろうね、案外平気な顔してたりするんじゃない?」

    「師団長…そろそろ…」

    アルミン「分かってる」

    アニ「あんたも大変そうだね」

    アルミン「まぁね…近々また君達の家に遊びに行くよ…それじゃ…」

    アニ「うん、またね」
  151. 163 : : 2018/08/31(金) 10:47:00
    エレン「疲れた…」フラフラ…

    ガチャ…

    エレン「ただいま…」

    アニ「おかえり」ニコッ

    エレン「何か機嫌いいな」

    アニ「そう?普通だと思うけど」

    エレン「誤魔化すなよ…」

    アニ「はい、晩御飯」コトッ

    エレン「誤魔化すなって」

    アニ「聞きたい?」

    エレン「勿体振るなよ」

    アニ「…子供…出来た…」

    エレン「…え?」

    アニ「だから!子供ができたんだって!」

    エレン「…俺の?」

    アニ「あんた以外誰がいんの!」

    エレン「嘘じゃねぇよな…」

    アニ「こんな嘘ついてどうすn「アニ!」

    エレン「…」ギュ

    アニ「あんたもうすぐお父さんになるんだよ」

    アニ「私にそんな甘えてていいの?」クスッ

    アニ「これからは壁外へ出ても帰ってくる理由が一つ増えたね」

    アニ「今までは私のために帰ってきてくれてた」

    アニ「でもこれから私とお腹の子の為に必ず帰ってきてよね」

    エレン「当たり前だ」

    アニ「…やっぱりあんたと結婚してよかった」

    アニ「不安は耐えないけど…」

    アニ「あんたは必ず約束を守ってくれる男だから」

    エレン「これからも守るよ」

    アニ「じゃあ新しく約束して…」

    アニ「私とこの子を必ず守るって」

    エレン「そんなもん約束なんて交わすまでもねぇよ…」

    エレン「お前も腹ん中の子も全部まとめて守ってやる」

    アニ「あんたやっぱり変わったね」

    エレン「…俺もそう思うよ」

    アニ「改めて聞いていい?」

    エレン「なんだよ」

    アニ「私の事好き?」

    エレン「…好きって言葉なんかじゃ伝わらねぇ」

    アニ「じゃあ何なの…」

    エレン「愛してるよ、この言葉でもまだ伝えきれねぇくらいだ」

    アニ「もう十分だよ」クスッ

    アニ「私に生きる意味与えてくれてありがとう」

    アニ「私を愛してくれてありがとう…」

    エレン「俺こそ…ありがとう…」

    エレン「お前と出会わなきゃきっと今もどこかの路地裏で燻ってたままだと思うよ」

    エレン「愛し方を教えてくれてありがとう」

    アニ「…どういたしまして!」チュ

    fin…
  152. 164 : : 2018/08/31(金) 10:47:15
    後日談1

    夜-酒場

    ジャン「お前本当にあの遅刻癖どうにかしろよな!」

    エレン「固い事言うなよ」ケラケラ

    ジャン「毎回フォローしてる俺の身にもなれよな」

    エレン「それも団長の仕事だと思えよ」

    ジャン「馬鹿言え、そんな仕事があってたまるか」

    エレン「…もうこんな時間か…そろそろ俺は帰るぞ」

    ジャン「なんだ?もう帰るのかよ」

    エレン「子供が産まれてまだ半年だぞ?アニにばっかり面倒かけてらんねぇよ」

    エレン「ただでさえこうして飲みに来させてもらってるっていうのに俺が泥酔して帰った日にはアニの奴カンカンだぞ」

    ジャン「…お前も人の親になったんだな」

    エレン「何だよ急に」

    ジャン「何でもねぇ、今日は俺の奢りだ…さっさと帰ってやれよ」フッ

    エレン「…悪いな、今度は俺が奢るよ」

    ジャン「うるせぇ…さっさと帰れよ」

    エレン「じゃあな」スタスタ

    ーーーーーーーー

    エレン(それにしても随分平和になったもんだな…)

    エレン(夜遅くまで飲み屋は開いてるようになったし、この時間でも人が出歩くようになった)

    「え、あれ調査兵団のエレンさんじゃない!?」

    「ほんとだ!エレンさん!握手してください!」

    エレン「ん?あぁ…構わねぇよ」スッ

    「きゃー!ありがとうございます!」

    エレン(あれから随分経つっていうのに未だに俺のファンがいるなんてな…)

    エレン(寧ろ最近増えて来てる気がする…)

    リヴァイ「随分人気者になったな」

    エレン「!?」バッ

    リヴァイ「よう」

    エレン「兵長…」

    リヴァイ「もう兵長じゃねぇよ」スタスタ

    リヴァイ「…もう最後に会って7年になるか…」

    エレン「老けましたね」

    リヴァイ「余計なお世話だ」

    エレン「今まで何してたんですか…心配したんですよ」

    リヴァイ「…お前のガキが産まれたって噂を聞いてな…態々祝いに来てやったんだよ」

    エレン「いつ…帰ってくるんですか」

    リヴァイ「もうすぐだ…お前とジャンがしっかりしててくれたおかげで思ったよりも早い表社会への復帰になりそうだ」

    エレン「兵長がいつでも帰って来れるように東棟の兵長の部屋は毎日掃除してました」

    リヴァイ「やり直しを命じなくて済むんだろうな?」フッ

    エレン「当然です…俺の掃除術は兵長直伝ですから」クスッ

    リヴァイ「…俺が帰るもう少しの間…調査兵団を頼んだぞ」

    エレン「ハッ!」バッ

    リヴァイ「引き止めて悪かったな…もう帰ってやれ…」

    リヴァイ「嫁さんが待ってるんだろ?」

    エレン「はい、それでは失礼します」

    エレン「早く帰って来てくださいね」

    リヴァイ「あぁ…またな」

    エレン「はい」

    ーーーーーーーー

    ガチャ

    エレン「ただいま」

    アニ「おかえり」ニコッ

    エレン「もう寝かしつけたところか?」

    アニ「うん、何か夜食でも作ろうか?」

    エレン「休んでろ…いつも家の事任せっきりで悪いな」

    アニ「まぁもう夜食作っちゃってるんだけどね」

    エレン「なんだそれ」クスッ

    アニ「ジャンは元気だった?」

    エレン「あいつはいつも元気だろ」ケラケラ

    アニ「昔あんたに憧れてた後輩の子と今いい感じなんでしょ?結婚とかどうなの?」

    エレン「聞く話じゃ結婚秒読みっぽいけどな」

    アニ「あのジャンもそろそろ結婚か」

    エレン「この夜食…」

    アニ「懐かしいでしょ」

    エレン「なんつったっけこの料理」

    アニ「オムライスね」

    エレン「そうそれ」モグモグ

    エレン「やっぱり美味いな…」

    アニ(私の作った料理を美味しいって言って食べてくれるこの光景が幸せだな…)

    アニ(でも一番の幸せは…)

    アニ(エレンと私の子が成長していくのが一番の幸せだ)
  153. 165 : : 2018/08/31(金) 10:47:40
    後日談2

    アニ「そろそろ行くよー?」

    「はーい」

    アニ「…おもちゃは置いてきなさいって言ったでしょ?無くしてもお母さん知らないよ?」

    「なくさないもん!」

    エレン「母さんの言う事聞いとけ…後で怖いぞー」クスッ

    「お、おいてくる…」

    アニ「私の言う事は聞かないのにあんたの言う事は聞くんだから…」

    エレン「そのうち父親である俺は嫌われ者になるんだから今くらいはいいだろ?」ケラケラ

    アニ「あの子にも反抗期って来るのかな?」

    エレン「来るだろ…俺にもあったしな」

    「おいてきた!」

    ガチャ

    アルミン「そろそろ行かないと遅れちゃうよ?」

    「あ、アルミンおじさん!」

    アルミン「まだおじさんって歳でもないんだけどなぁ」ハハッ…

    エレン「久し振りだな…団長も兵長も訓練兵時代の仲間達も揃って会うなんて」

    アルミン「兵長が早くもおじいちゃんみたいな感じで早くエレンとアニの娘に会いたいって言ってたよ」クスッ

    エレン「あの人表に帰ってきてから柔らかくなりすぎなんだよ…調子狂うよまったく…」

    アニ「さ、行こっか」クスッ

    エレン「あぁ」

    「お母さんもお父さんもなんか楽しそう!」

    アニ(人と会うのが楽しみなんて私も大人になったのかな)

    アニ(沢山の人に支えてもらって…いつも隣にはエレンがいて今は娘もいる…)

    「お母さん!早く行こうよ!」

    アニ「うん」ニコッ(私は今この世で一番の幸せ者だ)

    fin!!
  154. 166 : : 2018/08/31(金) 11:16:16
    あとがき

    今回初めての投稿で不慣れな点もあったと思いますが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

    予め書き溜めをしていたので後は貼るだけで楽だと思っていたのですが、たった152ページを貼るだけでこんなにも疲れるとは思っていませんでした。

    以前まで私も読者側だったのですが、今回自分で物語を書いてみて初めて他の筆者の方々の苦労が分かりました。

    今後も活動を続けていきますので何卒ご声援の程よろしくお願い致します。

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