この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
とりあえず帰れ。
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- 1 : 2018/07/27(金) 00:10:57 :
- 「サナルージャ!」
「うっわまた来やがったよ彼奴!」
サナルージャと呼ばれた少女に手を振る男性、シンドバット。
それを見たサナルージャは、明らかに嫌そうな顔をする。
「なんで君は毎日毎日私んとこ来るんだよ!それに毎回私の名前叫びやがって!」
サナルージャは、怒りと呆れを含んだ声色で言う。
しかしシンドバットはきょとんとした顔で、サナルージャを見る。その瞳は、子犬のような目をしていた。
「ダメ…だったか?」
「ぅ…別にダメではないけど、さぁ…」
ダメではない、その単語を聞いたシンドバットは、ぱっと顔を明るくする。
「じゃあいいな!さて、俺も毎日王宮から宿まで来るのは疲れてきたなぁ…」
シンドバットは、あからさまにチラッ、チラッとサナルージャを見る。
「うっせえなら来るなそしてジャーファルさんにしばかれろ」
ノンブレスである。もう一度言おう、ノンブレスである。
サナルージャは、深いため息を吐く。どうしてこうなったんだっけ、と。
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- 2 : 2018/07/27(金) 00:31:40 :
- それは、一人旅でこのシンドリアを訪れたとき。
「あー待ってこの国広い!」
港から見て、なんだかごちゃごちゃとした雰囲気に、狭い筈のこのシンドリアがとても大きく見え、思わず叫んでしまった。
「宿…この国広そうだしなぁ…」
一人頭を抱えていると、ぴこん、と名案が思い浮かぶ。
「そーだ、夜まで観光して、どっかで飯食ってそこでついでに聞こうそーしよう」
さっきの焦った(?)雰囲気は面影もなく、適当に前へ進んで行った。
色々あって夜。
「あー、良い国だシンドリア!」
椅子に体重を預け、のんびりとしていると、一日歩き回ったせいで疲れが溜まっていたのか、思わず寝てしまいそうになる。瞼を閉じて、眠りにつこうとする。
「おねえさん!おねえさんってば!」
どこからか、幼い少年の声が聞こえ、誰かが体を揺らしていた。
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- 3 : 2018/07/28(土) 22:14:26 :
- 「ん…?」
「あ、おねえさん、こんなところで寝ていたら風邪をひいてしまうよ」
「あぁ、ごめんね。ありがと」
また眠らないように、サナルージャは椅子から立ち上がる。
「あ、そうだ少年。名前、聞いてもいい?」
「うん、勿論!僕はアラジン、旅人さ!」
『旅人』。サナルージャはその言葉に反応し、光の速さでアラジンの背丈くらいに屈み、手を掴む。
「それは本当!?あ、私サナルージャ、よろしくね!」
「う、うん、よろしくね、おねえさん…」
サナルージャの勢いに引き気味のアラジン。
「よかったらその宿を教えてよ!私宿無しなの!」
するとアラジンはにっこりと笑って言った。
「勿論構わないさ!」
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- 4 : 2018/07/30(月) 23:53:16 :
- 「やー、助かったよアラジン君」
「このくらいお安い御用さ!」
談笑しながらアラジンの言う宿に向かう。
しかし、サナルージャは向かっている場所に何処か違和感を感じる。
「…ねえアラジン君」
「なんだい?」
「今、向かっている宿って、何処?」
「そこだよ」
アラジンが、泊まっている宿を指さす。
さした場所は、この国の何処からでも見える王宮だった。
「…アラジンクン?」
「?どうかしたのかい?」
「キミ、オウキュウニトマッテルノ?」
「そうだよ?」
そこで、サナルージャは思った。
(この子、なんかすごい子なんじゃないの…?)
と。
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