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エレン「辿り着いたこの景色」
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- 1 : 2013/12/27(金) 16:19:14 :
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ウォール・マリア奪還を経て、俺たち人類は活動範囲を回復。 その後、幾度とない壁外調査を行い、とうとう壁の外の地図が作られた。
巨人の襲撃も止んでき、ようやく平和が訪れた。
だが、人類が失ったものは余りにも大きかった。
……みんな、死んだんだ
とっくの前に王政は滅びたと聞いた
それが嘘か本当かすら分からない
だが、ウォール・シーナの中に人の気配は全く感じられなかったのだった。
今となってはこの巨大な壁は、なんの為にあるのだろうか 人々は死に絶えたというのに。
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- 2 : 2013/12/27(金) 16:20:28 :
- 期待してます
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- 3 : 2013/12/27(金) 16:28:06 :
- 俺は、生きている。
何故俺は無事だったのか、その経路は全く覚えていない
巨人の力を使ったのだろう、体が酷く重い。
鉛のように重くなった目を開くと、そこには壁外の景色が一面に広がっていた。
エレン「……」
俺は息を飲んだ。 蒼く輝く海に。 内地とは比べられないくらいに美しい森に。
エレン「……俺は」
……辿り着いたんだな
ずっと夢見ていた世界に
これが『外の世界』
全てが新しいその景色に、俺は釘付けになっていた。
サビで黒くなっていたが、起動装置は壊れていなかった
俺は木々の合間を縫って、この世界を縦横無尽に駆け巡った。
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- 4 : 2013/12/27(金) 16:28:59 :
- >>2ありがとうございます、
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- 5 : 2013/12/27(金) 16:37:21 :
- エレン「すごい…すごい」
一人で興奮した。
すごい。 その感情が俺の頭を隙間なく埋め尽くしていた。
エレン「これが…これが…外の世界なんだよな……」
確かめるように何度も何度も呟いた。
あぁ、これは夢じゃないんだ
俺は外の世界に来れたんだ!
疲れていた体も、興奮と喜びでほぐれていった
血の染みた拳をぐっと握りしめ、一人で喜びに溢れた
エレン「なぁ…アルミン あったよ。 海」
そこにアルミンはいない。
もうあの女々しい容姿も、声すら聞けなくなってしまった。
エレン「ミカサ……やったよ、俺。勝ったんだ 巨人共に勝って、自由を手に入れたんだよ!」
誰もいない空白に向かって話しかける
エレン「なぁ…おい……」
涙が滲み出てきた。
エレン「誰か……答えてくれよ……」
広大な世界に、ただ一人
俺は ぽつんと立っていた
綺麗な空が広がる、俺たちの目指した『自由な世界』
何故だろう。
おれは今泣いている
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- 6 : 2013/12/27(金) 16:45:20 :
- 俺はその場に泣き崩れた
なんでだ…なんでだよ……
人類は…俺たちは勝ったのに!
……なんで…誰も………
俺をなんで置いて行ったんだよ………
俺一人にはこの世界は広すぎるんだ…
何度も地面を殴りつけた。
そんな事をしても誰も戻ってこない
そんな事は分かってた
ドスドスと音を立てる土
青い草木の匂いが、地面から香ってくる
果たして俺は今、幸せなのだろうか
エレン「………いと」
エレン「海の水を……飲まないと」
アルミン、俺 今から海の水飲んでくるぞ
塩でできてるんだって言ったな。
小さな手のコップで、海の水を一口飲んだ。
……しょっぱい
アルミン…ちゃんとしょっぱかったよ…海は………
でも…お前と飲まないと……
意味無いな
ーー 本当だ!すごくしょっぱいーー
エレン「!?」
アルミンの声が聞こえた。
とっさに隣を振り向いた
そこにはただ、何も無い空間が広がっているだけだった
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- 7 : 2013/12/27(金) 16:51:59 :
- エレン「………いる訳…ないもんな」
現実に戻された。
ーーーーー
エレン「ミカサ!お前は外の世界で何がしたい?」
ミカサ「私は……景色のいい丘の上でエレンとゆっくりしたい」
ーー
こんなやり取りを思い出した。
俺の体が勝手に動き出す。
よたよたと、己の目的意識のみで体を動かした。
……丘に登った。
生い茂新鮮な草花!
空気がうまい。
素晴らしい景色だ
小高く、周囲が全部見下ろせた
エレン「…綺麗だな」
俺はベッドに横たわるように、芝生に身を任せた
ほんわかと暖かい空気が俺の体を優しく包み込む
キチキチ
虫の鳴く音だろうか?
見上げた青空には鳥が一匹旋回していた
広大な空に一匹の鳥
エレン「……俺みたいだな」
なんて呟いた頃には、もうどこかに飛び去っていた
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- 8 : 2013/12/27(金) 16:53:01 :
- >>7 生い茂る
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- 9 : 2013/12/27(金) 17:03:20 :
- エレン「…ふぅ」
短い溜息をついた
ーー おい、エレン そんな顔してるなよ お前らしくないぞ ーー
また幻聴か
ライナーの声だ。
なんだ、あいつ 裏切り者が……
もう恨みは消えていた
いや、消えていたというよりそんなことどうでもよくなっていたんだ
エレン「人の耳に勝手に話しかけるなんて……勝手な事すんなよ」
返事は無い
当たり前っちゃ当たり前だが、俺は返事を期待していたんだ
この幸せな世界を分かち合える人間が一人もいない
俺は孤独だ
ーー エレン、そんな辛そうな顔しないでよ。 君が暗かったらみんなは明るくなれないからさ? ーー
ベルトルト。
エレン「元はと言えばお前から始まったんだぞ……どうしてくれんだよ」
返事は無い
エレン「……ちっ、無視すんじゃねぇよ…」
ここでじっとしててもしょうがない
俺はスクッと立ち上がった。
ガスももう切れそうだな
そうなれば移動手段が無くなっちまう
それは防がないといけない
辺りを見回した
馬なんていないだろうと分かっていたが、念の為…だ
ふと見つめた先には、死んだ兵士の死骸
その横にはまだ使えそうな起動装置とガスボンベ。
エレン「…使わせてもらいます」
しゃべらない屍に礼を言い、ガスを補充した
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- 10 : 2013/12/27(金) 17:28:52 :
- エレン以外の人間は本当にもういなくなったのですか?せめて誰か1人でも生き残っているといいのですが・・・
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- 11 : 2013/12/27(金) 19:55:14 :
- >>10 この先の展開をお待ちください!
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- 12 : 2013/12/27(金) 20:01:33 :
- エレン「さて…」
当然行く宛てもない
俺は広い空をさ迷う鳥のようだ。
エレン「どうせならもっと遠くに行ってみるか……」
俺は壁の反対方向に向かって進むことにした。
どんどん景色が変わっていく
緑、青、赤
色彩豊かな風景は俺の目を飽きさせなかった。
足りないものは他でもない
『人間』
ーーーー……
無意識に移動している内に、やがて大きな平原に出た。
平原には見たこともないような花が、水彩画のように咲き誇っている。
誰かとこの景色が見れたら、どれだけ幸せだったろう
そんなことを思っていた
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- 13 : 2013/12/27(金) 21:43:24 :
- 草のカーペットに腰掛け、花を眺めた
エレン「…知らない花ばっかだな」
誰もいないのに、誰かに話しかけるようしていた。
寂しさを紛らわす為に無意識でしていたのかもしれない
そよぐ風、心地がいい
だが、話し相手のいないこの世界は、巨人がいたころの世界より ある意味辛い
そう思いながら、花の香りを味わった
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- 14 : 2013/12/27(金) 21:43:48 :
- >>13 話しかけるように
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- 15 : 2013/12/27(金) 21:50:49 :
- エレン「……」
つまらない。
こんなに景色は美しいのに、この世界は苦痛でしかない
…… どうしようか、これから。
自殺でもした方がよっぽど楽かもしれないな
そんなことまで考え出した
なんといっても、俺には食糧、水すらロクにないのだ。
ちっ
と小さく舌打ちをし、面前にあった花をもぎ取って意味もなく投げ捨てた
その時、 花の香りに混じって うっすら優しい匂いがした
…懐かしい香りだ
振り向こうとしたその時、右の頬を サラッとした髪が撫でた
エレン「……!」
そうだ。
この香り、髪
………
エレン「アニ…か?」
そこには眠そうな顔をしたアニがいた。
確かに本物だった
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- 16 : 2013/12/27(金) 22:03:27 :
- アニ「……うん」
エレン「お前は…無事だったんだな!」
ようやく人に会えた喜びから、顔が自然ににこやかになっていくのを感じた
エレン「でも…なんで……」
アニは黙って掌を差し出した
そこには水晶の破片が握り締められていた
アニ「……ずっとこの中にいたから」
エレン「そうか……」
水晶の中では時が流れないのか
便利なもんだな
エレン「アニ…そんなに小さかったっけ」
アニ「…あんたがでかくなっただけだよ」
少し怒りぎみだったのですぐに謝っておいた
アニ「他のみんなは?」
エレン「……死んだ」
アニ「そう……じゃあ残ってるのはあんただけなの?」
エレン「さぁ…分かんないな 生き残りがいるかもしれないし」
アニ「ふぅん……」
アニは話に興味がなさそうな声で答えたが、顔からは悲しみの色が滲み出ていた
アニ「みんな……死んだんだね」
エレン「あぁ……」
広い大きな世界。
その中に 二人だけ、ぽつんと座っている
上から見たらどれだけ寂しい光景だろうか。
アニ「……お腹空いてるでしょ」
エレン「あ、うん…」
アニ「ほら、食べな」
アニは懐からパンを一つ取り出して俺に投げた
エレン「これどこから……」
アニ「憲兵の旧本部」
エレン「あぁ……」
とにかくありがたかった。
俺のすっからかんの胃にはこんなパン一つでも大切な食糧だ。
エレン「アニの分は……あるのか?」
アニは一瞬顔をしかめてから
アニ「乙女はダイエット中なんだ。それに、出たばっかりでお腹なんて空いてないよ」
そう言った
明らかに嘘だということは、アニのお腹が知らせてくれた
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- 17 : 2013/12/27(金) 22:16:02 :
- きゅるる
小さくアニのお腹が鳴った
エレン「ふっ……腹減ってるだろ」
アニ「………減ってな
アニが言い切る前にパンを半分に千切って投げ返した
エレン「食えよ」
アニ「…ありがとう」
そうして俺たちは黙々とパンを食べ出した
小さかったが、自然とお腹はいっぱいに満たされた
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- 18 : 2013/12/27(金) 22:19:05 :
- エレアニですか?
応援してます!
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- 19 : 2013/12/27(金) 22:58:42 :
- エレアニを希望します!救いがあるべきですから!そして期待と応援をしますよ!!
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- 21 : 2013/12/27(金) 23:36:08 :
- >>20できれば、有りにしてほしいです。最初はなくても、次第にそういう感情が芽生えるという感じで構わないので!!
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- 22 : 2013/12/28(土) 02:01:18 :
- 超期待!
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- 23 : 2013/12/28(土) 06:39:51 :
- エレアニは、好きだ!
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- 24 : 2013/12/28(土) 06:41:29 :
- いや、エレアニ意外見たことない。
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- 25 : 2013/12/28(土) 20:58:35 :
- エレン「はぁ……」
アニ「……」
溜息しか出なかった
久しぶりの再会だというのに、言葉が浮かんでこない
エレン「なぁ…アニ」
アニ「……何」
エレン「誰か人……探さないか?」
アニ「そう…した方がいいかもね」
こんなことしたって無駄なことはだいたい予想がついていた
……
アニだって壁の中を人を探して回った筈だったからだ。
それでも俺達は人を探し続けた
ーーー
エレン「やっぱり……いないな」
アニ「うん……」
エレン「誰でも…いいのに」
アニ「………」
アニも辛そうな顔をしている
……幼馴染、同期を失った悲しみは大きい
エレン「くそぉ…」
アニ「みんないなくなった……」
エレン「くっ……」
アニ「でも」
エレン「!」
アニ「私達はまだこうして生きてる」
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- 26 : 2013/12/29(日) 14:57:18 :
- アニ「だから…その……」
エレン「みんなの分まで生きよう…って言いたいんだろ?」
アニは黙って頷いた
エレン「そうだよな…こんな所でメソメソしてても仕方ないや」
アニ「うん」
自然と俺達の表情には明るさが戻ったように感じられた。
まだ、微かな明るさだ
ロウソクに灯った火のような、小さな小さな。
でも、俺達はここに生きてる。
生きてるからには、死んでしまったやつの分まで生きないといけない。
それが義務だと思った。
エレン「さて……どうする?」
アニ「さぁ…?」
エレン「あはは…本当、何したらいいのか分かんないな」
アニ「……そうだね」
クスッと微笑むアニ。
パシュッ…
遠い向こうで、煙弾が打ち上げられた。
「おーい、誰かいるかー!」
微かに声が聞こえた。
俺とアニは顔を見合わせた
エレン「…行こう」
また作り直せばいいんだ。 壊れた分を直せばいい。 人が減ったなら、増やせばいい
ゆっくり、ゆっくり
俺達には命がある。
…なんだってできるさ
“生きてる” から
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- 27 : 2013/12/29(日) 15:16:29 :
- この投稿は削除されました。
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- 28 : 2013/12/29(日) 15:16:46 :
- この投稿は削除されました。
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- 29 : 2013/12/29(日) 15:34:07 :
- 期待
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- 30 : 2013/12/29(日) 19:09:17 :
- 続きが気になって朝も起きれない
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- 31 : 2013/12/29(日) 21:06:48 :
- 期待
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- 32 : 2014/01/30(木) 21:08:14 :
- きたい‼
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- 33 : 2015/03/10(火) 21:52:10 :
- 期待
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- 34 : 2015/07/22(水) 01:57:19 :
- これは感動もののエレアニかな
うん、少し、この先の展開を妄想してしまい
涙目で文字うってますw
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