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エレヒス「光と影」

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  1. 1 : : 2018/04/14(土) 10:54:29
    <注意>
    今回初めて書きます。
    ss初心者なので表現が酷いです汗
    それでも良ければどうか温かい目で見て下さいm(_ _)m
    エレンが巨人になれる化け物として訓練兵から恐れられる設定です。
    ※長編確定です。
    簡単に言うと、エレンとヒストリアが仲良くなる物語です。
    このssを最後まで書き上げることに心臓を捧げます!!

    ……

    第104期訓練兵団入団式

    キース「オイ、貴様は何者だ!?」

    モブ「××出身! ◯◯◯です!」

    訓練兵団に入団しに来た人たちがキース教官に恫喝されている。

    すぐには終わらないだろう……

    俺は父さんから巨人になれる力を手に入れた。

    なぜ巨人になれるか、それを父さんが持っていたかは分からないが……

    兵士としての力と巨人としての力を身に着け、いつか巨人を駆逐してやる…!

    キース「入団式を終える前に彼を紹介しよう! 出てこい!!」

    キース教官に呼ばれ、俺は訓練兵の前に姿を現した。

    キース「お前たちの同期であるエレン・イェーガーだ! 彼は人類が極秘に研究してきた巨人化生体実験の成功者である!!」

    教官の演説を聞いていた訓練兵は一瞬静寂になり、すぐにざわめき始めた。

    コニー「なぁ、今教官が何言ってんのか分かんなかったが、それは俺が馬鹿だからじゃないよな!?」

    ユミル「ちょっと黙っていてくれ、馬鹿」

    目を丸くする人もいれば、軽蔑の眼差しを向ける人もいる。

    まぁ至極当然な反応ではある。

    なぜなら巨人は人類の敵なんだから。
  2. 2 : : 2018/04/14(土) 11:30:10
    845年、シガンシナ区に超大型巨人と鎧の巨人が現れ壁に穴を開けられた。

    巨人が人間を喰い殺す地獄が始まり、その日に母さんの命と故郷を奪われた。

    俺は巨人を一匹残らず駆逐すると決意し、シガンシナ区を離れた……

    その日の夜中に父さんに起こされ山の中に連れていかれた。

    エレン「……父さん、何するの?」

    グリシャ 「エレン、お前に巨人になれる力を授ける。 巨人になりたい時は自傷行為をしなさい」

    エレン「え……」

    父さんが何を言っているのかすぐに理解できなかった。

    グリシャ「この力を得た後、お前に記憶障害が起きる。だから今説明しても意味がないんだ…… この力の謎を知りたければ、私たちの家の地下室に行きなさい」

    父さんは鞄から注射器を取り出した

    グリシャ 「頼む…… お前は人類の最後の希望だ」

    父さんが俺に何かを注射してるのを見てすぐに意識を失った。

    暫くした後目を覚ましたが父さんはいなかった。
  3. 3 : : 2018/04/14(土) 11:44:41
    その後俺は幼馴染のミカサとアルミンと共に開拓地に移動した。

    巨人化する力を黙っておくわけにはいかないため、二人に覚えている範囲で説明した。

    信用してくれるか分からなかったが、すぐに信用してくれた。

    巨人を駆逐するには力を身につける必要があるため、訓練兵に志願出来る年齢になるまで開拓地で特訓をしていた。

    ミカサも俺を守るという理由で一緒に特訓をし、体を動かすのが苦手なアルミンは座学を勉強していた。

    2年後の847年、俺たちは訓練兵団に入団しに行った。

    入団式の前日、俺は教官室に足を運びキース教官と出会った。

    彼は父さんの知り合いのようで、事情を説明した。

    キース「…ということはグリシャは貴様に巨人になる力を授けたということか?」

    エレン「はい」

    キース「ではグリシャはどこに行ったんだ?」

    エレン「……分かりません。父さんに巨人化する力を授けると言われた後の記憶が曖昧で……」

    キース「……まぁ彼なら大丈夫だろう、それよりもその事実を公表せねばならん。とても黙っておける事ではない」

    巨人は人類の敵なのに、その巨人に人間がなれる。

    この事実を公表するのは当然のことである。

    もしかしたら巨人の謎を解明する手がかりになるだろう。

    とにかく俺は一刻も早く力を身に着け、地下室に向かわなければ……
  4. 4 : : 2018/04/14(土) 13:05:11
    入団式後、俺はミカサとアルミンと夕食を食べていた。

    アルミン「今日から訓練兵だね、二人についていけるか心配だよ」

    エレン「お前体力ねぇけど頭良いからな。座学でトップを取りつつ兵士として最低限の体力をつければ大丈夫じゃねぇか?」

    ミカサ「私もそう思う」

    そんな話をしていると、周囲の人が俺を目の敵にしているのに気が付いた。

    エレン「......みんなどうした?」

    モブ1「お前、本当は人間に化けた巨人で俺たちを喰い殺そうとしてるんだろ!?」

    アルミン「なっ!? そんなわけないじゃないか!」

    ミカサ「それ以上言うと削ぐ...!」

    エレン「俺は巨人になれるが、人類の味方だ」

    モブ2「そんな戯言を信じると思ってるのか!? ミカサとアルミンも巨人の仲間なんじゃないのか!?」

    始まったか......

    俺はこうなることを予想していた。

    人類にとって巨人は化け物なため、巨人になれる俺が化け物扱いされても不思議ではない。

    俺が化け物扱いされるのは良いが、家族であるミカサと親友であるアルミンも化け物扱いされるのは気に食わない。

    俺が道化師になれば......

    エレン「二人を化け物扱いしたら巨人化してお前らを喰うぞ!」

    周囲から悲鳴が聞こえる。

    アルミン「エレン! そんな事言ったら信用されなくなるよ!?」

    エレン「化け物扱いされるのは俺だけでいい」

    ミカサ「エレン......」

    そんな時、馬面をした少年が俺に近づいてきた。

    ジャン「よぉ、俺はジャンって言うんだ」

    エレン「憲兵団になって内地で暮らすと言って教官に頭突きされた奴か」

    ジャン「それを言うのはやめろ! なぁ、お前は訓練兵を卒業したらどの兵団に入るんだ? まさか憲兵団じゃないよなぁ?」

    エレン「俺は調査兵団に入って、巨人を1匹残らず駆逐してやるんだ!」

    みんなが俺を見て嘲笑っている。

    モブ1「本当に言ってるのか!? 巨人に勝てると思ってるのかよ!?」

    モブ2 「1匹残らずなら、お前も自殺するんだよなぁ!?」

    ミカサ「...っ!」

    エレン「ミカサやめろ」

    ミカサが二人を殴ろうとしたため、静止させた

    ジャン「すまん、あんたの考えを否定したいんじゃない。どう生きようと人の勝手だと思うからな」

    エレン「もうわかったよ」

    カンカンと夕食終了の鐘が鳴る。

    みんな明日からの練習に備えるために寮に戻っていった。




  5. 5 : : 2018/04/14(土) 14:55:27
    私は今『クリスタ・レンズ』として生きている。

    親から愛されず、産まれたことを望まれなかった妾の子である私を好きになってくれる人なんていないだろう。

    そんな私をどう死ねば認めてくれるのかな……

    昔読んだ本に書いてあった『いつも他人を思いやる優しい子』で死ねば認めてくれるかもしれない。

    だから『クリスタ・レンズ』もそんな子になろう。

    私は開拓地で過ごしてる時にそう決意して『ヒストリア』を封印している。

    そして今日、私は訓練兵になった。

    クリスタ「エレン・イェーガー……」

    巨人化が出来て、巨人を一匹残らず駆逐する目標を持つ人。

    彼を嘲笑っていた人たちは巨人に勝てるわけがないと思ってるのだろう。

    それに調査兵団への評価も悪い。

    実際、巨人がいる壁外に行く調査兵団の兵士の殆どは思ったような成果を得られずに食われてしまうため兵士なんて無駄遣い、民の税で巨人に餌を与えて太らせてるだけと考えている人も少なくない。

    しかし、私はそう思わない。

    死ぬ覚悟で壁外に行き巨人の正体を調べようとする彼らはむしろ人類の希望そのものだ。

    だから調査兵団に入るエレンも人類の希望だと思う。

    私も調査兵団に入団して巨人と戦い戦死すれば、周囲の人は認めてくれるだろうか……

    とにかく、私は彼が気になったので話しかけてみた。

    クリスタ「こんにちは、エレン」

    エレン「ん? お前は確かクリスタだったよな?」

    クリスタ「そうだよ。巨人を駆逐するという目標を持ってるなんて凄いね! 三人共よろしくね!」

    私は笑顔でそう言った。

    アルミン「うん!よろしくね!」

    ミカサ「こちらこそ」

    エレン「……あぁ、こちらこそよろしくな」

    エレンに苦い顔をされたけど、何かおかしな事言ったかな?

    エレン「じゃあ、今日はさっさと寝て明日から頑張ろうぜ!」

    アルミン「そうだね、僕も眠いよ」

    クリスタ「私も。みんなおやすみ!」

    ミカサ「エレン、寝坊しないでね」

    エレン「しねぇよ」

    あっ! そういえば教官に死ぬ寸前まで走らされている少女がいるんだった。

    実は彼女のためにこっそりパンを隠し持っていたんだよね。

    寮に向かう振りをして渡しに行こう!


  6. 7 : : 2018/04/14(土) 19:18:07
    サシャという少女にパンと水を渡そうとして、ユミルと出会った。

    ユミル「お前『良い事』しようとしてるだろ? なんでだ?」

    クリスタ「私がこうしたかったのは、役に立つ人間だと思われたいから……なのかな?」

    ユミル「は!? 知るかよ……」

    私とユミルは倒れたサシャを女子寮に運んだ。

    『良い事』しようとしてるか……

    彼女なら本当の私を見つけてくれるかも……

    翌日から毎日厳しい訓練だった。

    脱落して開拓地に強制送還される人もいれば、訓練中に死亡してしまう人もいたけど、色々な人とも出会った。

    エレンといつも喧嘩してるのがジャンで、彼と一緒にいるのはマルコ、小柄な男子がコニー。

    筋肉質な男子はライナーで、長身な男子はベルトルト、いつも単独行動してる女子はアニ。

    みんなには『クリスタ』として接しているけど、『ヒストリア』を見たらどう思うのかな……

    お前さえ産まなけーー

    やめて……

    誰か私を……

    ヒストリア「……認めて……」
  7. 8 : : 2018/04/14(土) 20:14:23
    期待!!!!
  8. 9 : : 2018/04/14(土) 20:53:36
    訓練が始まってから3ヶ月が経った。

    今でも俺は同期から化け物扱いされているが、仲間も少し増えた。

    兵士としての訓練を怠らず、訓練地から数km離れた場所で巨人化し巨人を操る訓練もしている。

    もっと訓練して強くなって、いつか巨人を駆逐してやる。

    そんなことを考えていると、コニーに何か聞かれた。

    コニー「お前は気になる人いねぇの?」

    エレン「あぁ? いねぇな」

    コニー「なんだよ、今みんなで気になる人を言う会してるのにつれねぇな」

    あぁ、そういえばそうだったな。

    夕食後の自由時間何するか仲間で話し合った結果、この会になったんだった。

    まぁ巨人を駆逐することしか考えてない俺にはどうでもいいことだが。

    ジャン「死に急ぎ野郎は誰もいねぇのかよつまんねぇ奴だ」

    エレン「じゃあジャンは誰なんだよ」

    ジャン「うっ...(ミカサと言ったらこいつに殺されるかもしれない...)」

    コニー「何黙ってんだよ早く言え」

    ジャン「お、俺はクリスタだよ」

    ライナー「クリスタ可愛いよな! まるで女神だ(結婚したい)」

    アルミン「それは分かる、神様みたいなオーラがあるよね」

    トーマス「俺もクリスタだな」

    マルコ「クリスタ人気だね」


  9. 10 : : 2018/04/14(土) 22:33:31
    みんなクリスタを女神とか神様とか言うが、俺にはよく分からない。

    彼女と初めて会話した時から思ったが、俺はあいつが苦手だ。

    良く笑ってるから印象良く見えるかもしれないが、いつも無理して顔を作ってる感じがする。

    正直不自然で気持ち悪い。

    ……なんでいつも無理してるんだ?

    無理して顔を作ってるとしたら、本当はあまり笑わない人なのか?

    もし『クリスタ』が仮面なら、仮面を外した『クリスタ』は何になるんだろうか?

    エレン「……クリスタ」

    無意識に発言したことに気づいたが遅かった。

    彼女の名を呟いた俺に視線が集中する。

    アルミン「もしかしてエレンも彼女が気になるのか?」

    ジャン(よし、ミカサを俺の物に出来るかもしれねぇ!)

    ライナー「残念ながら、彼女は俺に気があるみたいだぞ」

    ベルトルト「それは分からないよ……」

    あーちくしょう、あいつの事を考えるのはやめよう。

    名前を言うだけですぐややこしくなる。

    あとライナー、そんなこと聞いてねぇよ。

    なぜか分からないが、凄く疲れた……



  10. 11 : : 2018/04/14(土) 23:16:44
    訓練が始まってから半年、 私は困ってる人を助け続けていたためいつしか女神と呼ばれるようになっていたらしい。

    色々な男子から告白されるようにもなってきた。

    今日も訓練終了後にある男子から告白された。

    モブ「君の事が好きです! 付き合って下さい!」

    クリスタ「……ごめんなさい」

    せっかく告白してくれたのに、断ってしまった。

    彼を落胆させてしまったけど、彼が好きになったのは『クリスタ』であって『ヒストリア』ではない。

    『クリスタ』は『いつも他人を思いやる優しい子』だけど、本当の自分である『ヒストリア』は空っぽな妾の子。

    彼に本当の自分を見せたら幻滅されるに違いない。

    幻滅されるくらいなら、落胆はさせちゃうけど真実を知らない方がいい。

    本当は『ヒストリア』を好きになって欲しいのに、本当の自分を好きになってくれる人なんていないと思う。

    生みの親にすら認めてもらえなかったのに、赤の他人が認めてくれるわけがない。

    こいつを殺す勇気があればーー

    お前さえ産まなけーー

    やめて、やめてよ……

    私の存在を否定するのはやめてよ……

    私はこの世に生きてちゃいけないの?

    私は、良い子で死にたいわけじゃないんだよ……




  11. 12 : : 2018/04/15(日) 00:07:30
    冷静になろう。

    とにかく私は『クリスタ』として生きていこう。

    親は私の存在を否定した、だから私が死ねばいいんだ。

    訓練兵を卒業したら調査兵団に入り、人類の為に戦って死ねば役に立てるだろう。

    そうすればみんな認めてくれるかもしれない。

    とりあえず心を落ち着かせる為に馬小屋に行き、私の馬をブラッシングしていた。

    馬はとても気持ち良さそうで嬉しい。

    昔の私は物心ついた頃から牧場で動物の世話をしていた。

    妾の子だからいつも子どもたちに投石をされていたので、友達は動物しかいなかった。

    でも動物が友達で良かったと思う。

    動物と戯れる時間は、私が孤独を忘れる時間でもあったから……

    ???「ん? クリスタか?」

    誰かに呼ばれたので振り返るとエレンがいた。

    どうやら水汲み当番のためにここに来たみたい。

    エレン「こんな所で何やってるんだ?」

    クリスタ「馬の手入れだよ。丁寧に手入れすると馬術が得意になるから」

    エレン「何!? 馬術が得意になるのか!?」

    クリスタ「馬が懐いてくれるからね、やり易くはなると思うよ」

    エレン「確かにお前、馬術の成績はトップだもんな! 俺に教えてくれるか?」

    クリスタ「いいよ。じゃあこのブラシを持ってこうしてあげて」

    私は彼に雑談をしながら馬の世話の仕方を教えた。

    彼と会話するのは楽しい、似た者同士だからなのかもしれない

    彼は親の愛情を受けたかは分からないけど、今はみんなから化け物扱いされる。

    私も子どもの頃、化け物を見ているような目で見られたから……

    ただ、彼は私と違って自分の意思に正直で周りの目を気にしない。

    巨人を駆逐するという目標を持っているし、彼の友達が化け物扱いされかけた時に自ら進んで化け物になろうとした。

    鈍感な部分はあるけれど、仲間思いで真っ直ぐな信念を持っているのはとても魅力的だ。

    エレン「……なぁ」

    クリスタ「何?」

    エレン「いつまで偽の自分を演じるんだ?」

    クリスタ「!?」

    エレン「いつも笑ってるけど、正直気持ち悪いぞ。何故そうするのか分からないが」

    クリスタ「……そっか。それを見抜くなんてエレンは凄いね」

    エレン「なぁ、何で偽の自分を演じるんだ?」

    ……理由は分からないけど、彼になら話してもいいかもしれない。

    本当の私を見抜いたんだから、彼には知る権利があると思った。

    ……本当の私は拒絶されるだろうけどね。

    クリスタ「……誰にも言わないって約束してくれる?」

    エレン「あぁ」

    クリスタ「分かった。長くなるけど聞いてね」

    彼に私の過去を全て話した。

    話し終わったあと、とても驚いている様子で仮面を外した私を見ていた。

    エレン「……そうだったのか」

    ヒストリア「うん…… 幻滅したよね。『クリスタ』のような良い子は何処にもいなくて、本当の私はこんなに空っぽで」

    エレン「いいや、そんなことねぇよ」

    ヒストリア「え……」

    エレン「偽のお前はいつも無理して顔を作ってる感じがして苦手だったけど、本当のお前は何かいいよな。普通だよ、ただバカ正直な普通の奴だ」

    ……凄く嬉しい。

    『ヒストリア』を拒絶すると思っていたのに、拒絶するどころか認めてくれた。

    ……私の存在を初めて肯定してくれた。

    心の底から湧き出る歓喜に泣き崩れた。

    ヒストリア「本当にありがとう……」

    泣き崩れている私を彼は優しく抱き締めてくれた。

    彼の胸はとても温かい、これが愛情というものなのかな……
  12. 13 : : 2018/04/15(日) 00:15:51
    神!!!!!!!!!!作!!!!!!!!!!!!きたーーーーー!!!!!!!
  13. 14 : : 2018/04/15(日) 02:23:14
    良作です!
    期待です
  14. 15 : : 2018/04/15(日) 08:36:45
    こいつの過去を知った時は驚いたが、今となっては底の抜けたような哀れみを感じていた。

    親に愛されず、産まれたことを望まれないってどんな感じだろうか?

    俺は父さんや母さんに愛情を受け育てられてきたが、それを一切受けない生活だとしたら?

    ……想像するだけで背筋が凍る。

    愛情の反対は無関心と言うが、こいつの母親はずっと自分の娘に無関心だった。

    ある日に好奇心で母に抱きついたみたいだが、結果は突き飛ばされただけ。

    突き飛ばされたら普通は嫌悪感を抱くが、初めて自分の娘のためにしてくれた行動だから嬉しかったみたいだ。

    突き飛ばされるという行為に嬉しさを感じるのは完全に異常だ。

    それほどこいつは愛情を受けられなかったんだ。

    こいつの両親や祖父、祖母、牧場で働く人、牧場付近の土地で暮らす人などその全ての人間がこいつが生きているのを快く思っていなかった……

    俺は母さんが死んで父さんが行方不明になってもミカサとアルミンがいてくれたが、こいつは今までずっと孤独だったんだ。

    正直可哀想としか思えない。

    そんな彼女を抱き締めて慰めた。

    泣き崩れていたが、今は落ち着いたみたいだ。

    彼女のために何か出来ることはないだろうか……

    エレン「……ヒストリア」

    ヒストリア「何?」

    エレン「とりあえず二人きりの時に本当のお前を見せてくれ。お前はレイス家だから同期や教官に知られるのは色々まずい」

    ヒストリア「分かった。じゃあみんながいる時は『クリスタ』になるね」

    エレン「偽の自分を演じて大丈夫か?」

    ヒストリア「うん。エレンが私を認めてくれたから」

    エレン「そうか。本当はお前を見てぇけどな」

    ヒストリア「……エレン、私は生きてちゃいけない存在なの?」

    エレン「……ヒストリア、自分が生きていいかどうかは自分で決めることだ。ただ、俺はお前に生きていて欲しい」

    ヒストリア「……分かった。今日はありがとうね」

    エレン「あぁ。明日からもよろしくな」

    気がつくと日が沈みかけていた。
  15. 16 : : 2018/04/15(日) 14:15:15
    その後夕食を食べながらヒストリアを見ていた。

    サシャ「明日対人格闘試験ですけど、やりたくないです」

    ユミル「私もだ。まぁ適当にやってればいいだろ」

    クリスタ「もう二人とも、ちゃんとやらなきゃ!」

    今は仮面をつけているが、やっぱり苦手だ。

    あいつのために何が出来るか......

    ミカサ「エレン?」

    アルミンに相談するべきだとは思うが、この事は誰にも言わない約束だし......

    ミカサ「エレン! 浮かない顔をしてるけどどうしたの?」

    エレン「え? あぁ、何でもねぇよ」

    アルミン「もしかして明日の対人格闘試験の事考えてた?」

    エレン「あーそうなんだよ、ちょっと不安でな」

    ミカサ「エレンらしくない。貴方は訓練を頑張ってるんだから自信持って良い」

    エレン「分かってるよそんなこと」

    とりあえず明日の試験を頑張ろう。

    その後にじっくり考えればいい。


    ......本当のお前は何かいいよな、か......

    消灯時間になって寮が静寂になった時にふと考えていた。

    今日エレンに言われたことを今でも鮮明に覚えている。

    エレン......初めて私の存在を肯定してくれた人......

    彼に抱き締められたのを思い出してポッと頬を染める。

    彼の事を考えると、私の冷たい心の中に何かがポッと点火されたようなほの温かさを感じる。

    エレンが好き......なのかな......

    私は赤面しながら目を閉じた。



  16. 17 : : 2018/04/15(日) 15:29:02
    翌日、対人格闘試験が始まった。

    この試験の結果も成績に影響してくるので、油断できない。

    みんなが教官と手合わせする中、いよいよ順番が私に回ってきた。

    自信はないけど、自分なりに努力してきたんだから!

    クリスタ「やーーーー!!」

    ......

    モブ教官「クリスタ・レンズ訓練生! 65点!」

    65点ならまぁ悪くはないかなと思う。

    ユミル「おーい私のクリスタ、どうだった?」

    クリスタ「65点だったよ」

    ユミル「私より成績良いじゃねえか。私は60点だったよ」

    サシャ「私もユミルと同じです!」

    何とか今年の対人格闘試験は終わってホッとする。

    他の人にも聞いてみよう。

    クリスタ「みんなー! どうだった?」

    コニー「40点……」

    ライナー「俺は90点だったぞ!」

    ベルトルト「僕も90点」

    ジャン「俺は60点だ(適当に流してたからな)」

    マルコ「僕は75点」

    アルミン「僕は50点だったよ......」

    クリスタ「みんなよく頑張ったよ!! お疲れ様!」

    アルミン(神様……)

    ジャン(女神……)

    ライナー(結婚したい……!)
  17. 18 : : 2018/04/15(日) 22:13:32
    すげぇ!神作や!!めちゃ期待!!
  18. 19 : : 2018/04/15(日) 23:28:27
    そういえばエレンがいないけど、今試験中なのかな?

    その時だった。

    エレン「うぉぉぉぉぉ!!」

    エレンの声が聞こえたので向かってみると、教官を圧倒している姿を目撃した。

    一つ一つの動きに無駄がなく、基礎の技がしっかり出来ている。

    か、かっこいい……

    私はエレンの動きに完全に目を奪われていた……

    モブ教官「え、エレン・イェーガー訓練生!! 100点!!」

    100点!?

    ライナー「エレンは100点か、やるな」

    アルミン「格闘術に秀でているからね、小さい頃から良く喧嘩もしてたし」

    ジャン「ふん! たまたまだろ!」

    エレンがこんなに凄い人だったなんて全く気がつかなかった。

    そう考えてると、同期の中から彼を罵倒する声が聞こえてきた。

    モブ1「ふん! 同じ100点だったミカサやアニはともかく、あいつは巨人だから格闘が得意なだけじゃないのかぁ!?」

    モブ2「だよなぁ! 立体起動や座学は大したことないし、動ける巨人なだけだな」

    その声に続いて、彼を嘲笑う声が大きくなっていく。

    ……なんで彼を化け物扱いするんだろう。

    私を認めてくれた彼を化け物扱いされるのは腹が立つ。

    対人格闘術に秀でていることはとても重要なことだと思う。

    壁内でも殺人や強盗をする罪人相手に役立つし、巨人化して戦える彼にとって格闘術は大きな武器だ。

    エレンなら巨人相手に無双することも可能なはず。

    ……エレン、貴方は私の初めての味方になってくれた。

    だから例え誰が敵になろうと、私は貴方の味方だから……



  19. 20 : : 2018/04/16(月) 00:06:16
    対人格闘試験が終わった後、俺はヒストリアに会いに行った。

    一人で考えるよりは、二人で相談して話し合った方がいいと思ったからだ。

    エレン「よぉ、『クリスタ』」

    クリスタ「あ、エレン! どうしたの?」

    エレン「ちょっと話したい事があってな。付き合ってくれるか?」

    ユミル「おいお前、私のクリスタに何する気だ!?」

    クリスタ「ユミル! 彼はそんな人じゃないよ!」

    ユミル「……ちっ。分かったよ」

    こいつは良くヒストリアと居るが、ヒストリアの事を理解しているのか?

    ライナーたちとは違って、少しは理解しているかもしれない。

    俺はヒストリアと一緒に目立たない女子寮裏に向かった。

    エレン「やっぱり偽のお前を見るのは苦手だ」

    ヒストリア「ごめんね、本当の自分を常に見せたいけど……」

    エレン「分かってる。気にすんな」

    ヒストリア「ありがとう。それより話って?」

    エレン「あぁ、俺は昨日からお前に何かしてやれる事を考えてたんだが思いつかねぇ。何かいい案ねぇか?」

    ヒストリア「エレン、そういうのは一人で考えるものなんだよ?」

    エレン「おい、俺が真剣に考えてんのに良くそんな事言えるな」

    ヒストリア「冗談だよ。私のために真剣に考えてくれて嬉しいよ」

    エレン「アルミンに相談しようかと思ったが、誰にも言わないと約束したしな」

    ヒストリア「……ねぇエレン、甘えていい?」

    エレン「いいぞ。俺に出来る事なら」

    ヒストリア「じゃあ早速、私を抱き締めて」

    そう言われ、こいつを抱きしめる。

    冷たい体をしているこいつを俺の体温で温めてやる。







  20. 21 : : 2018/04/16(月) 19:07:02
    少しの間、お互い何も言わず抱き締め合っていた。

    ヒストリア「……ありがとう。落ち着いた」

    顔を見ると頰が少し赤くなっていた。

    エレン「何で赤くなってんだよ」

    ヒストリア「うるさいバカ……」

    エレン「……お前も言うようになったな。ところで満足したか?」

    ヒストリア「全然。本当はもっと甘えたいし話もしたいけど、あまり長くいるとユミルに疑われるし誰かに見つかるかもしれないから」

    エレン「それもそうだな。じゃあ暫くの間、訓練が終了した後にここに来て何かしようぜ」

    ヒストリア「分かった」

    エレン「そういえばユミルはお前の正体を知ってんのか?」

    ヒストリア「『ヒストリア』の事は何も言ってないけど、『クリスタ』が偽物だということには気づいてる」

    エレン「そうか…… あいつのことあまり知らねぇけど大丈夫か?」

    ヒストリア「ユミルは大丈夫だよ。近いうちに彼女にも私の事を話すつもり」

    エレン「そうか。お前の事受け入れてくれるだろうか?」

    ヒストリア「彼女なら受け入れてくれるはず…… じゃあまた明日ね」

    エレン「おう、また明日な」

    俺はヒストリアを女子寮まで送り、男子寮に戻った。
  21. 22 : : 2018/04/16(月) 22:51:32
    これで初心者!?
    おそるべし文才
    いやー、期待です
  22. 23 : : 2018/04/16(月) 23:21:51
    男子寮に戻るとなんだか騒がしい。

    エレン「アルミン、何の騒ぎだ?」

    アルミン「あ、エレン。クリスタの話でみんな盛り上がってるんだよ」

    またか……

    変わった事がなければ大体クリスタの話になる。

    クリスタは104期訓練生の女子の中で1番人気がある。

    女神と言われるほどだから相当な人気だろう。

    まぁ俺は苦手だけどな。

    ライナー「よぉエレン! 何処行ってたんだ?」

    エレン「トイレ。それにしても相変わらずだな」

    ライナー「何だよお前クリスタの良さ分からないのか?」

    エレン「……あぁ、分かんねぇな」

    コニー「ライナー、鈍感なエレンなんかにクリスタの良さなんて分からねぇよ」

    ジャン「それもそうだ、巨人を倒すことしか考えてねぇからな。ある意味巨人が恋しいんだろう」

    マルコ「ジャン、それは言い過ぎだよ!」

    ライナー「それより今日もクリスタ優しかったよな!? 『みんな良く頑張ったよ!! お疲れ様!』とか言ってくれて!」

    こいつらは『クリスタ』が偽物であることに気がついていない。

    こいつらが『ヒストリア』を見たら幻滅するんだろうか……

    まぁライナーはするだろうな。

    ……うるせぇから座学の復習をするか……
  23. 24 : : 2018/04/17(火) 00:03:13
    地の文が話を引き立てていますね!

    期待です(*`・ω・)ゞ
  24. 25 : : 2018/04/17(火) 17:32:34
    女子寮に戻ると早速ユミルが向かってきた。

    ユミル「大丈夫か? あいつに何もされなかったか?」

    クリスタ「大丈夫だよ~。エレンはそんな人じゃないから」

    ユミル「……なぁ、あいつと何かあったか?」

    クリスタ「え?どうして?」

    ユミル「だってあいつ、可愛いお前には目もくれなかったのに急に関わり始めたんだぞ。疑わない方がおかしい」

    クリスタ「そっか。ユミルはエレンを良く見てるね。消灯時間までまだ少し時間があるから人目がない馬小屋で話さない?」

    ユミル「分かった。ほら行くぞ」
  25. 26 : : 2018/04/17(火) 17:47:54
    私たちは馬小屋に向かい、私の馬をブラッシングしながら『ヒストリア』について話した。

    ユミル「……じゃあお前は本当は『ヒストリア・レイス』っていう名前なのか」

    ヒストリア「うん……。私を受け入れてくれる?」

    ユミル「まぁ、良い事しようとしてる『クリスタ』よりはいいな」

    ヒストリア「ありがとうユミル……」

    私は彼女に抱きついた。

    エレンとは違った安心感を感じる。

    ユミル「似たような人生だな……」

    ヒストリア「?」

    ユミル「いや、何でもねぇ。エレンはお前の事知ってるのか?」

    ヒストリア「うん。昨日ここでエレンに『クリスタ』は気持ち悪いって言われちゃった。本当の私を見抜いたから全部話したよ」

    ユミル「へぇ……(鈍感なのに)」

    ヒストリア「エレンに本当の私を話せて良かったと思う。妾の子である私を彼が初めて認めてくれたから……」

    エレン……

    ユミル「……おい、何赤くなってんだ?」

    ヒストリア「へ?」

    ユミル「まさかあいつが好きなのか?」

    ヒストリア「……どうなのかな。でもエレンの事考えると私の冷たい心の中に何かがポッと点火されたようなほの温かさを感じるの」

    ユミル「それが恋だぞ。あいつが好きなんだろ」

    恋……

    私はエレンが好き……

    そう自覚すると体が熱くなってくる。

    ユミル「ひゅーひゅー。おめでたいね~」

    ヒストリア「もう!からかわないでよ!」

    ユミル「悪い悪い、それよりこれからどうすんだ? 『クリスタ』になるのか『ヒストリア』になるのか」

    ヒストリア「私がレイス家の家系だと知られるのは色々まずいから、みんながいるときは『クリスタ』になる。エレンにもそうするよう言われた」

    ユミル「そうか、分かった」

    カンカンと消灯時間を示す鐘がなった。

    ユミル「おっと、消灯時間か。急いで戻るぞ」

    ヒストリア「うん、早く行こ」

    私たちは急いで女子寮に戻った。
  26. 27 : : 2018/04/17(火) 18:51:37
    期待!
  27. 28 : : 2018/04/17(火) 19:56:00
    翌日から訓練が終了した後に女子寮裏でエレンと会話したり甘えたりしている。

    今月は試験があるため彼と会う時間は少ないけど。

    ユミルにはエレンとの事情を話し、了承を得た。

    ユミルを一人にするのは可哀想だから、エレンと別れた後はずっとユミルの傍にいる。
  28. 30 : : 2018/04/17(火) 20:37:14
    対人格闘試験の日から1週間後、立体起動試験の日を迎えた。

    試験の内容は決められたコースを立体起動で進み、ゴールに辿り着いた時間が速い程得点が高くなる。

    ガスの使用量も得点に加算されるため、如何にガスを無駄遣いせずにゴールに速く辿り着けるかが求められる。

    ……

    クリスタ「60点か~」

    ガスは無駄遣いしなかったけど、立体起動にまだ慣れてないためゆっくり進んでしまった。

    やっぱり怖いな~。

    ユミル「お、クリスタ! どうだった?」

    クリスタ「60点だよ。ユミルは?」

    ユミル「私は70点。ガスを少し無駄遣いしたけど結構速く辿り着けたからな」

    サシャ「私は80点でした! 立体起動は得意ですから!」

    クリスタ「サシャは凄いね! 私も頑張らなくちゃ!」

    ユミル「私のクリスタ、私も褒めてくれよ~」

    クリスタ「もう…… ユミルも頑張ったよ」

    ユミルの頭を撫でて、エレンの試験を見に行く。

    モブ教官「エレン・イェーガー訓練生! 70点!」

    70点、私より得点は上だし凄く速かったけど危ないなぁ……

    エレン「くそ…… 時間は速かったけどガスを無駄遣いしちまった」

    ジャン「おいおい死に急ぎ野郎、100点を取った俺様に勝てないようじゃ巨人を駆逐するなんて無理だな!」

    エレン「なんだと敗北主義者が!」

    ジャン「やるか!?」

    ライナー「お前らやめろ! 試験中だぞ!」

    ミカサ「もう…… すぐ喧嘩する」

    アルミン「あはは……」

    エレンとジャンは何かあるとすぐ喧嘩する。

    二人以外のみんなはその光景に見慣れたため、喧嘩が起きる度に呆れている。

    エレンを化け物扱いしている人たちは、巨人化した彼にジャンが喰われないか心配している。

    彼がそんなことするわけないのに……

    私としては殴り合いで怪我をしないで欲しい。
  29. 31 : : 2018/04/17(火) 23:22:25
    構成とかよく考えられてますね。私も作った経験ありますが、上手くかけているところを見ると参考にしたくなります。
    期待してます。
  30. 32 : : 2018/04/18(水) 17:56:50
    立体起動試験の日から1週間後、座学試験の日を迎えた。

    試験内容は今まで学んだ知識をちゃんと理解出来ているか確認するテストだ。

    勿論点数が高い程評価は良くなる。

    ……

    クリスタ「70点!」

    自信はなかったけど、予想以上に出来ていて嬉しい。

    基礎は出来ているから、解けなかった応用問題はアルミンに教えてもらおう。

    ユミル「60点か…… まぁ寝てたからな」

    サシャ「40点…… やばいです……」

    落ち込んでいるサシャの頭を撫でて慰めた。

    ユミルに私も~と言われそうだったので彼女にもしてあげた。

    ライナー(俺も頭撫でて欲しい……)

    エレンは何点かな?

    エレン「アルミンどうだった?」

    アルミン「100点だよ。最後の応用問題が結構難しかったけど何とか解けたよ」

    エレン「流石だな。この調子でいけば座学首席は間違いなくお前だよ」

    クリスタ「エレン、何点?」

    エレン「俺は70点だ」

    クリスタ「本当!? 私もなんだ~」

    エレン「お、一緒か。俺たち仲間だな」

    エレンに仲間と言われて嬉しい……

    その場で少しエレンと雑談をした。

    ミカサ(……最近エレンとクリスタの仲が良い……)

    アルミン(エレンってクリスタの事興味ないんじゃなかったっけ?)

    ライナー(エレンの野郎…… クリスタと仲良くしやがって)

    モブ男達(化け物が俺たちの女神と話してんじゃねぇ!)

    エレン(やっぱり苦手だ)
  31. 33 : : 2018/04/18(水) 21:23:18
    その後俺はヒストリアと女子寮裏で会い、今月の試験が終了したことにお互いに安堵していた。

    エレン「試験終わってホッとするな」

    ヒストリア「そうだね、それにしてもエレンって凄いね」

    エレン「なんだよ、俺の何が凄いんだ?」

    ヒストリア「格闘術に秀でているし、立体起動と座学の点数も同期の平均点より上。前より巨人を操れるようになったみたいだし凄いよ」

    エレン「……そんなことねぇよ。俺はまだ弱いし点数なんてどうでもいいんだ。もっともっと強くなってやる」

    そうだ……点数なんてどうでもいいんだ。

    成績が良かろうが悪かろうが、俺は調査兵団に入るからだ。

    俺は試験は自分の実力を測るためのものだと認識している。

    だから高得点を取ればそれだけ力が身についている証拠になるし、低得点を取ればその逆を意味する。

    また、前より巨人を操れるようにはなったが巨人化は体力を大量に消耗する。

    そのため今の俺の体力では一日に一回しか巨人化出来ない。

    巨人を駆逐するためには、より巨人を操れるようにしておく必要がある。

    ヒストリア「……ねぇ、仲間が増えたとはいえ今も同期から化け物扱いされてるけど大丈夫?」

    エレン「正直腹が立つけど大丈夫だ。どうした?」

    ヒストリア「エレンが対人格闘試験の日に100点を取った時から、貴方が同期から化け物扱いされるのを見て腹が立つの」

    あぁ、みんなが俺を嘲笑っていた時か。

    確かに腹が立ったな……

    エレン「まぁ巨人は人類の敵なんだから巨人化出来る俺が化け物扱いされても仕方ないかもな」

    そう言った時、ヒストリアが俺の手を握ってきた。

    気になったので顔を見ると、ヒストリアが俺をジッと見ていた。

    ヒストリア「私は貴方を化け物なんて思わない! 例え誰が敵になろうと、エレンの味方だから……!」

    ヒストリアは一点の曇りもない瞳をしてそう言った。

    なぜそう言ったかは分からないが、嘘ではないことだけは分かる。

    ……俺が同期に化け物扱いされるのを見て腹が立つ?

    エレン「……ありがとな。それよりどうして俺が化け物扱いされて腹が立つんだ? お前がそういう扱いをされてるわけじゃねぇだろ」

    ヒストリア「へ?」

    なんだその気の抜けた声は。

    エレン「それに、例え敵が誰だろうと俺の味方と言うのも気になる。嬉しいけどな」

    ヒストリア「あっ、えっと、今のは深い意味はなくてね!?」

    何赤くなってんだ。

    こいつはまるで林檎のように真っ赤に染まった顔を伏せた。

    エレン「なんで顔を伏せるんだよ」

    ヒストリア「うるさいバカ……」

    エレン「はぁ?」

    ヒストリア(あーー墓穴......)

    ……まぁいいか。

    偶にこいつの言う事が理解できない時があるが、『ヒストリア』と話すのは何だかんだ退屈しない。

    暫くはこんな感じでもいいな……
  32. 34 : : 2018/04/18(水) 22:30:45
    ヒス「き・・・きちゃい!あっ」


    エレン「ちょっとヒストリアさん」(かわいすぎでしょ)







    ※ヒストリアは期待と言いたがっています
  33. 35 : : 2018/04/18(水) 22:45:14
    じゃあ俺も期待してると言わせてもらおう。
  34. 36 : : 2018/04/18(水) 22:56:07
    どうしてエレンが化け物扱いされて腹が立つのか?

    その時は私の存在を肯定してくれた人が化け物扱いされたからと思ってた。

    でもユミルに言われて理由はそれだけじゃないと分かったの。

    貴方が好きだから。

    好きな人が化け物扱いされるから腹が立つの。

    ねぇ、エレン。

    私を見つけてくれた事、肯定してくれた事がどれだけ嬉しかったか分かる?

    ずっと孤独だった私に希望を、光を届けてくれた貴方に感謝してるんだよ。

    貴方が好きだと自覚してから、毎日貴方の事を考えてる。

    あの日に貴方は『自分が生きていいかどうかは自分で決める事』だと教えてくれたよね。

    あれから考えたんだけど、私は生きたい。

    『私を認めてくれた貴方を影から支えるために生きたい』

    それが私の本当の意思だ。

    私にとって貴方は大切な存在なんだから……
  35. 37 : : 2018/04/19(木) 16:57:39
    訓練が始まってから9ヶ月が経ち、848年を迎えた。

    1月10~12日の三日間は雪山に行き決められた班で行動する訓練をするみたい。

    厳しい訓練だけど、巨人と戦うために乗り越えなければならない試練である。

    雪山に行く前日に教官から班の発表があった。

    キース「第1班はイェーガー、ボット、ブラウス、レンズ訓練生! 」

    エレンと一緒の班になれて良かった。

    彼がいてくれるだけでとても安心できる。

    エレン「サシャとマルコとクリスタと一緒か。よろしくな」

    サシャ「任せてください!」

    マルコ「みんなよろしく!」

    クリスタ「頑張ろうね!」

    キース「第2班はキルシュタイン、アルレルト、スプリンガー、アッカーマン訓練生!」

    ジャン「ミカサとアルミンがいてくれて良かったぜ……」

    コニー「どういう意味だ?」

    アルミン「ジャン、そういうことはあまり言わないほうがいいよ」

    ミカサ(エレンと同じ班になりたかった……)

    キース「第3班はブラウン、フーバー、レオンハート、ユミル訓練生!」

    ライナー「ユミル、クリスタと同じ班じゃなくて寂しいか?」

    ユミル「寂しいに決まってんだろ」

    ライナー(俺もだ……)

    ベルトルト「同じ班になれて良かったね」

    アニ「そうだね」

    キース「第4班は◯◯、×××、……」

    その後も班の発表は続いた。
  36. 38 : : 2018/04/19(木) 20:15:20
    自分、期待しちゃっていいですか?
  37. 39 : : 2018/04/19(木) 20:58:54
    俺もこれくらい書きたかった。
  38. 40 : : 2018/04/19(木) 21:06:19
    こんばんは、作者です(*^^)v
    このssを見てる方、応援のコメントをしてくれた方本当にありがとうございます。
    グループを作ったので、感想などはそちらの方で書き込んでくれると非常にありがたいです(*´ω`*)
    >>http://www.ssnote.net/groups/2599/archives/1
  39. 41 : : 2018/04/19(木) 21:52:46
    班の発表が終了して解散した後、俺は教官室に向かった。

    エレン「キース教官! 失礼します!」

    キース「エレンか、調子はどうだ?」

    エレン「良いと思います。成績は良いですし巨人も前より操れるようになりました」

    キース「そうか、流石グリシャの息子だな…… それより何か質問があってここに来たのか?」

    エレン「はい。明日からの雪山の訓練ですが、訓練中に緊急事態が起きた場合は巨人化してもよろしいですか?」

    キース「……そうだな、それが貴様の持ち味だからな。巨人化して他の兵士と行動する事も必要になってくるだろう。しかしこの訓練は訓練生を鍛えるのが目的な為、緊急事態が起きた場合のみ巨人化を許可する」

    エレン「ありがとうございます!」

    キース「うむ、明日その件に関して説明しておく。今日は早めに寝ろ。頑張れよ」

    エレン「はい、失礼しました!」

    俺は教官室を出て女子寮裏に向かった。
  40. 42 : : 2018/04/20(金) 02:12:53
    超絶期待です☆
  41. 43 : : 2018/04/20(金) 17:06:33
    女子寮裏で待ってると、エレンが遅れてやってきた。

    ヒストリア「何処に行ってたの?」

    エレン「教官室に。質問したい事があってな」

    ヒストリア「そっか、明日から雪山の訓練だけど不安なの」

    エレン「大丈夫だ、緊急事態が起きた時は俺が巨人化して守ってやる。さっき教官から許可も貰った」

    ヒストリア「ありがとう。貴方がいてくれるのは凄く心強いよ」

    エレン「マルコとサシャもいるし何とかなるだろ。それより二日間雪山にある宿舎に過ごすことになるから、その間お前と話せないのが辛いな」

    ヒストリア「そうだね、その間クリスタにならないといけないから……」

    エレン「まぁ仕方ねぇな。それより雪山の訓練が終了した後の三連休はどうするんだ?」

    ヒストリア「私は13と14日はユミルとサシャとトロスト区に行く予定。15日はまだ予定はないかな」

    エレン「俺も13日はミカサとアルミン、14日はライナー達とトロスト区に行く予定だ。15日なんだが、お前と一緒にいたいんだ。予定空けといてくれるか?」

    私と一緒にいたい?

    彼の言葉に思わず胸がドキッとする。

    ヒストリア「う、うん。場所は?」

    エレン「ここでいいか? みんな街に行くから訓練地から人が殆どいなくなるはずだ」

    ヒストリア「うん! 分かったよ!」

    15日か……楽しみだなぁ。

    でもなんで15日なんだろう?

    偶々その日なら都合が良いからなのかな?

    まぁいいかな、エレンと一緒になれるし!

    エレン「じゃあ雪山の訓練頑張ろうな!」

    ヒストリア「うん!」

    私たちは拳を合わせ、それぞれの寮に戻った。

    彼と関わり始めてから3ヶ月が経ったけど、今は会う時と別れる時には自然にお互いの拳を合わせている。

    拳を合わせるのはハイタッチみたいなもので、それほど仲が良くなっていた。
  42. 44 : : 2018/04/20(金) 19:57:35
    翌日、104期訓練生は雪山に向かった。

    訓練が始まる前に教官の説明があった。

    キース「この後雪山の訓練を開始する!! 1日目は貴様達に配布した地図に記してある進行ルートを進め! 中間地点に用意してある薪を拾い、宿舎に到達したら今日の訓練は終了だ! 訓練中に緊急事態が起きた場合はこれから配布する小型拳銃で赤色の信煙弾を撃て! 信煙弾を確認したら救助に行ける班は優先して救助に行け!」

    教官達から小型拳銃を配布された。

    緊急事態が起きた時はこれを空に向かって撃てばいい。

    一人一つ所持するため弾の心配はないだろう。

    キース「しかし信煙弾は強風の中や暗闇の中では使用できない。その事を頭にしっかり入れておけ! 夜になるまでに宿舎に辿り着け! 説明は以上だ!!」

    いよいよ訓練が始まる。

    キース「では各班、行動開始せよ!!」

    マルコ「よし、いくよ!」

    エレン「おう!」

    サシャ「頑張りましょうね!」

    クリスタ「うん!」

    俺たちはマルコに隊長を任せ、行動を開始した。
  43. 45 : : 2018/04/21(土) 10:28:16
    行動開始してすぐに俺は伝えておかないといけない事を伝えた。

    エレン「すまん、伝えておかないといけない事があった」

    マルコ「どうしたんだ?」

    エレン「班に緊急事態が起きた時は俺が巨人化してみんなを守るけどいいか?」

    マルコ「あぁ、君の巨人化はとても頼りになる能力だからね」

    エレン「ありがとな。それで巨人化の事なんだが、巨人化中は喋れないんだ」

    クリスタ「え? そうなの?」

    そういえばヒストリアにも巨人化について詳細な情報を言ってなかった。

    こういう事は二人きりの時に言わねぇとな......

    エレン「あぁ、恐らくは口の構造が発音に向いてないんだ。だから巨人化中は基本頷くか頭を振るかジェスチャーしか意思の疎通が出来ない。他には巨人化は体力を大量に消耗するんだが、今の俺の体力では一日に一回しか出来ない。巨人化について今分かってることだ」

    マルコ「なるほど、巨人化はとても頼りになる能力だけど大きな欠点もあるんだね。分かったよ」

    マルコは頭の回転が速いため、俺が伝えたことを実際に活かしてくれるだろう。

    だから彼に隊長を任せたんだ。

    その後は進行ルートを周囲を警戒しながら進んでいった。
  44. 46 : : 2018/04/21(土) 16:31:25
    俺たちは中間地点に到達した。

    エレン「ここが中間地点か」

    マルコ「ここで少し休憩しよう。到達地点である宿舎までかなり距離があるから」

    クリスタ「そうだね、まだ中間地点だからね」

    サシャ「はぁ~疲れました~」

    早くもサシャが疲労困憊のようだ。

    俺たちは雪に足を取られ、想像以上に体力を奪われていた。

    これが雪山の訓練が過酷な理由だろう。

    ヒストリアも結構疲れているように見える。

    エレン「クリスタ、大丈夫か?」

    クリスタ「うん、なんとか」

    エレン「そうか、無理はすんなよ」

    マルコ「予想より早く中間地点に着いたから、中間地点から到達地点の間は休憩しつつ進もう」

    エレン「それがいいな」

    クリスタ「サシャ、頑張ろう!」

    サシャ「は、はい……!」

    少し休憩した後に中間地点に用意してあった薪をそれぞれ一人分拾い、到達地点までの進行ルートを進み始めた。
  45. 47 : : 2018/04/21(土) 20:16:17
    なんとか宿舎に辿り着いた。

    エレン「ここが宿舎か」

    クリスタ「辛かったけど何とか辿り着けて良かったね」

    マルコ「進行ルートを進みながら周囲を見渡してたけど、緊急事態は起きなかったみたいだね」

    サシャ「そんなことよりお腹すきました……」

    モブ教官「よく辿り着いた、今日の訓練は終了だ! 薪を宿舎前に置き、各部屋に荷物を置いてこい!!」

    エレン「そういえば残りの訓練も同じ班でやるのか?」

    マルコ「そうみたいだね」

    残りの訓練もヒストリアと一緒で良かった。

    マルコとサシャを信用してないわけではないが、ヒストリアとは気が合うしあいつも俺といる方が安心できるだろう。

    そんな事を考えてると他の班も宿舎に辿り着いた。

    アルミン「エレンの班早いね」

    ミカサ「エレンが無事で良かった……」

    エレン「おい、お前は俺の母親じゃねぇんだぞ」
  46. 48 : : 2018/04/22(日) 16:33:44
    夕食を食べる前に冷えた体を温めるよう教官に言われたが入浴場が一つしかないため、先に女が入ることになり男は部屋で待機することになった。

    ここの宿舎は脱衣場の奥に入浴場がある構造になっている。

    モブ男1「あの化け物、俺たちの女神と同じ班になりやがって……」

    モブ男2「あぁ、あいつにはお灸を据えてやらないとな」

    モブ男3「しかし、あいつは格闘術に秀でてる。ただ喧嘩するだけでは勝てないぞ」

    モブ男1「そこでだ、今入浴場に入ってるのは女子たちだ。意味はわかるな?」

    ……

    俺はトイレに行き部屋に戻ろうとしたが、同期生3人が脱衣場のドアの前で相談をしていた。

    エレン「お前ら何やってんだ?」

    モブ男1「あ、エレン! 良い時に来てくれたな!」

    モブ男2「中から巨人の声が聞こえたからこっそり中を見てみたら、3m級巨人がいたんだ!」

    モブ男3「このままじゃ女子たちが喰われちまうよ!!」

    エレン「本当か!? 」

    モブ男1「本当だ! お前の巨人化で巨人を倒してくれよ!」

    なぜ入浴場に巨人がいるか分からないが、そんな事は後回しだ!

    急がねえとみんな喰われちまう!

    俺はドアを勢いよく開け中に入る。

    エレン「……どこに巨人がいるんだ?」

    その時、背後からドアを閉める音が聞こえた。

    エレン「なっ!? お、おい! 開けやがれ!!」

    モブ男1「ははは、騙されたな! 女神と同じ班になった罰だ!」

    エレン「てめえら、何のつもりだ!?」

    モブ男2「巨人を駆逐する事しか考えない奴め、こんな単純な嘘に気がつかないとはな!」

    モブ男3「脱衣場にお前がいたら女子たちはどう思うだろうな?」

    あはははははははとドアの向こうから笑い声が聞こえる。

    ドアを開けようとするが、向こう側から押さえられ開けられない。

    まずい、俺は女たちの裸を見るつもりはないのだが女たちにとってそんな事は関係ない。

    俺が此処にいるというだけで教官に報告されるだろう。

    こんな事を知られたら、教官に何されるか分からねぇ!

    この状況を打開する方法を考えようとした時、入浴場の方から戸が開く音がした。

    ……ここまでか……

    恐る恐る背後を見ると、そこにはタオル姿のヒストリアがいた。
  47. 49 : : 2018/04/23(月) 17:39:23
    20分前……

    クリスタ「良い湯だね~」

    ユミル「そうだな、いつもの訓練後のお風呂より温まる」

    サシャ「寒い雪山の中、温かいお風呂に入れて幸せです~」

    ミカサ「しっかり温まらないとね……」

    アニ「そうだね」

    私たちは雪山の中を歩いて冷えた体を温めている。

    エレンとマルコの話を聞いてたけど、雪山の訓練の班はずっと同じみたい。

    彼と同じ班で本当に良かった。

    今日の訓練中も疲れている私を心配してくれた。

    私もエレンの力になれるよう頑張らないと……

    少しの間大浴槽に浸かりながらみんなと雑談をしていた。
  48. 50 : : 2018/04/23(月) 22:34:27
    立っていたのがヒストリア一人だけなら不幸中の幸いかもしれない。
  49. 51 : : 2018/04/23(月) 22:59:19
    クリスタ「ちょっと逆上せそうだから先に上がるね」

    ユミル「そうか? じゃあ私も……」

    クリスタ「ユミルはまだ大丈夫でしょ? しっかり温まりなよ」

    ユミル「そうか、分かったよ」

    クリスタ「じゃあ部屋で待ってるね」

    私は大浴槽から上がり、脱衣場に向かおうとした。

    …なんだか声が聞こえる。

    誰か先に上がったのかな?

    そう思って戸を開ける。

    ……え?

    なんでエレンがいるの!?

    エレン「クリスタ……」

    なぜ彼が此処にいるか分からないけど、女子の裸を覗きに来るような人じゃない。

    それより彼が此処にいる事は誰にも知られてはいけない!

    私は入浴場にいる女子たちに気づかれないよう静かに戸を閉めた後に脱衣場全体を見回し、脱衣場から廊下に出るドア以外のもう一つのドアを見つけた。

    どうやら掃除道具入れの部屋みたい。

    ヒストリア「エレン! この部屋に隠れて!」

    エレン「あぁ、すまねぇ」

    なんとか彼を此処に隠れさせる事が出来た。

    ……そういえばタオル姿だった……

    私の素肌を見られていた事を思い出し思わず頰が赤くなる。
  50. 52 : : 2018/04/24(火) 16:19:15
    期待だぜ!
  51. 53 : : 2018/04/24(火) 16:49:18
    とりあえず私は服を着た。

    なんでエレンは此処にいたんだろう?

    ……今は誰にも知られないようにしないと。

    女子たちがこのドアを開けようとはしないはずだけど、確証はない。

    脱衣場にいて彼女たちが開けないよう見張ろうかとも思ったけど、ずっとここにいるのも不自然だ。

    向こうの部屋から鍵をかけられるかもしれないため、私も一緒に隠れる事にした。

    部屋に入ってドアを見ると鍵がついていたので鍵を閉めた後に振り返ると、エレンは申し訳なさそうな表情で私を見た。

    エレン「ヒストリア、すまねぇ」

    ヒストリア「気にしないで」

    エレンは私が拳を差し出すのを見て、照れくさそうに笑いつつ拳を合わせた。

    エレン「ありがとな……お前のことだからてっきり怒ると思ってた」

    ヒストリア「私は鈍感な貴方を信用してるから!」

    エレン「一言多いけどな」

    ヒストリア「それよりどうして脱衣場にいたの?」

    エレン「あぁ、実はな……」

    彼は私に何があったのかを話してくれた。

    ヒストリア「……エレンはまず疑う事を覚えようよ」

    エレン「巨人がいるって言われたんだぞ? 冷静になれねぇよ。お前らを守ろうとしたんだ」

    ヒストリア「分かってる。ありがとうね」

    私たちの事を考えてくれる彼は本当に仲間思いだ。

    ヒストリア「それよりその人達酷いね」

    エレン「あぁ、後でお灸を据えてやる」

    脱衣場から女子たちの声が聞こえる。

    どうやら大浴槽からみんな上がってきたみたい。

    ヒストリア「……暫く此処から出られないね」

    エレン「お前まで巻き込んで本当にすまねぇ」

    ヒストリア「この場合、エレンと二人きりになれたと考えれば良いんじゃないかな?」

    エレン「そうだな。……そういえばお前の体って結構綺麗なんだな」

    ヒストリア「うるさいバカ……!」

    綺麗って言われ、あまりの嬉しさに赤面してしまう。

    きっと今の私の顔はまるで林檎のように赤いだろう。

    顔を背けつつ彼と少し雑談をしていると、脱衣場の方から大きな声が聞こえてきた。

    モブ女1「え!? ドアが開かないんだけど!?」

    モブ女2「誰かそこにいるの!?」

    モブ男1「は!? エレンは見つかったんじゃないのか!?」

    モブ男2「そんなことより早く逃げるぞ!」

    モブ女1「待ちなさい!」

    エレン「……自業自得だな」

    ヒストリア「うん」

    結果的に彼らが覗きの容疑をかけられることになった。

    この件を知った教官は後日彼らに罰を与えることを決定した。
  52. 54 : : 2018/04/24(火) 18:05:02
    騒動が起きて脱衣場が誰もいない間に俺たちは別れた。

    その後男が入浴場に入る事になった。

    ジャン「しかしあいつらが覗こうとしたとはな」

    マルコ「酷いよね」

    アルミン「そういえばその間エレンは何処にいたの?」

    エレン「トイレ。腹が冷えてな」

    俺は嘘をつくと耳が真っ赤になる癖があるため、頭を洗って誤魔化した。

    ライナー「おいエレン、最近クリスタと仲良くしやがって」

    アルミン「エレンはクリスタの事興味ないんじゃなかったの?」

    エレン「はぁ? 俺はあいつと仲良くなりたいなんて微塵も思ってねぇよ。ただ話しかけられたから話してるだけだし、今回の訓練も同じ班だから協力してるだけだ」

    あいつのためにも嘘を言っておく。

    本当はあいつと仲良くなって支えたい気持ちはあるし、あいつと話すのは退屈しないからだ。

    今回の訓練も同じ班になれて良かったと思ってる。

    ジャン「本当にお前巨人以外興味ないんだな」

    ライナー「しかしクリスタってなんであんなに優しいんだろうな。育ちが良い証拠だな」

    コニー「それは俺も思うぜ」

    ジャン「良い親なのかもな」

    違う、あいつの育ちはむしろ最悪で親も最低だ。

    誰かに認められたいから八方美人になっていただけで、女神のように優しいわけではない。

    今は俺とユミルがあいつを認めているから、今のあいつは本当の自分を知られないようにしてるだけだ。

    レイス家は貴族だが良からぬ事をしてるという噂があり、あいつの正体を知られるとまずいことになる。

    ヒストリアは何も関係ないが、レイス家だと分かった時点で目の敵にするのは明白だ。

    それだけは避けたい。
  53. 55 : : 2018/04/24(火) 20:54:04
    ガンバ!
  54. 56 : : 2018/04/25(水) 19:05:36
    翌日は長距離走と筋力・体幹トレーニングなどを各班で進めることになった。

    雪の上の訓練はとても辛く、途中でバテる訓練生が多い。

    サシャ「とてもキツいです……」

    マルコ「諦めちゃダメだよ!」

    エレン「クリスタ、大丈夫か?」

    クリスタ「うん……大丈夫……」

    四人で励まし合いながら訓練を進め、何とかやり遂げる事が出来た。

    ……

    自由時間の時に掃除道具入れの部屋でエレンと待ち合わせした。

    ユミルやみんなと話すのも良いけど、やっぱりエレンと一緒にいるのが1番落ち着く。

    エレン「今日の訓練大丈夫だったか? かなり辛かったからな」

    ヒストリア「エレンが励ましてくれたから何とか大丈夫だったよ」

    エレン「明日はここに来た道とは別の進行ルートを進んで訓練地に帰るらしいが、悪天候になるかもしれないって教官言ってたぞ」

    ヒストリア「本当? 無事に帰れるかなぁ」

    エレン「安心しろ、必ず守ってやるよ」

    そう言われると凄く安心できる。

    ……私の事聞いてみようかな。

    ヒストリア「……ねぇ、私の事どう思ってる?」

    エレン「はぁ?」

    ヒストリア「いや、深い意味じゃなくてね!?」

    エレン「……どうだろうな。お前と話すの退屈しないし、気が合うし一緒にいると落ち着く。ミカサとアルミンとは違った安心感がある」

    ヒストリア「……」

    エレン「お前の過去を聞いた時から支えてやりたいと思ってるし、もうお前はミカサとアルミンと同じくらい大切な存在かもしれねぇな」

    エレンは同期の中でかなりの鈍感と言われてるのにそう言うということは、本当に私の事を大切に思ってくれてるんだね。

    私の過去を聞いて支えてやりたいと思ってくれる人は他にいるのだろうか?

    やはりみんな女神である『クリスタ』が好きだから、空っぽである本当の私に幻滅して離れていく人が殆どだろう。

    ヒストリア「……そう言ってもらえて凄く嬉しいよ」

    エレン「逆にお前は俺の事どう思ってるんだよ」

    ヒストリア「……内緒」

    エレン「はぁ? 俺だけに言わせといてそりゃねぇよ」

    ごめんね、でも今は言えないの。

    訓練生を卒業するまでには絶対に私の気持ちを伝えるから……
  55. 57 : : 2018/04/25(水) 20:30:06
    今日は寝れないかもしれない(良い意味で)。
  56. 58 : : 2018/04/25(水) 21:03:49
    モブ男ザマァww
  57. 59 : : 2018/04/25(水) 21:47:24
    ここまで書いてきましたが、どうですかね?

    予定では訓練生卒業まで書くつもりです。

    このssが好評なら続編も書くつもりです(続編の内容も既に考え中)
  58. 60 : : 2018/04/25(水) 21:51:40
    雪山の訓練の最終日、教官から一通り説明を聞き進行ルートを進んでいた。

    到達地点は訓練地。

    雪と強風という最悪の状況で、無事に帰れるだろうか……

    マルコ「風が強くて視界が悪い! みんな、ロープを離すなよ!」

    マルコが先導しているが、この天気では思ったように進めない。

    俺たちは少し進んでは地図を確認して、道を間違えないよう努めていた。

    その時だった。

    パシュ!!

    マルコ「あれは……信煙弾だ!」

    強風のせいでどこから飛んだのか分からないが、緊急事態が起きたことは分かった。

    サシャ「でも何処に行けばいいんですか!?」

    エレン「西の方で飛んだから西に進むぞ!」

    クリスタ「お願い! 間に合って!」

    ……

    俺たちは暫く西に向かって歩き、緊急事態が起きている班を捜索していた。

    マルコ「おーい! 見つけたよ!!」

    マルコの元に集まると、倒れている訓練生とそいつを介護している人たちを発見した。

    クリスタ「どうしたの!?」

    モブ1「悪天候で進行ルートが分からずに進んでいたらこいつが凍った池の中に落ちたんだ! 雪が積もってて視界が悪いせいで池だと気づけなかったんだ!」

    モブ2「なんとか引き出せたけど、低体温症になりかけてる! このままじゃ凍死しちゃうよ!!」

    マルコ「コートを着させて温度を下げないようにしよう! エレン、巨人化出来るか!?」

    エレン「出来るぞ! 少し離れてくれ!!」

    巨人化はその場所にいきなり巨人が現れるため、近くにいると巻き添えを食ってしまう。

    なので人が近くにいない時にやらないといけない。

    俺の言葉を聞き、みんな俺から距離を取る。

    クリスタ「エレン、頑張って!!」

    エレン「あぁ、任せろ!!」
  59. 61 : : 2018/04/25(水) 23:43:08
    続編を考えているだと……
    この作品も期待です!
    続編もできればお願いしたいです
  60. 62 : : 2018/04/26(木) 16:59:49
    エレンはみんなが離れたのを見て、親指を嚙る。

    ガリッ

    ズバァァン!!!と雷が落ち、そこにはおよそ15m級の巨人になったエレンがいた。

    あれが巨人になったエレン……

    実際に見たことはないが、知性がないと言われる無垢の巨人は人間を喰うことしか頭になくてその場に人間がいれば手当たり次第に喰い殺していくらしい。

    なぜか人間以外の動物には目もくれないため、人間だけを喰い殺す殺人鬼と称されている。

    しかし巨人になったエレンは知性があるため、そのような事はしない。

    彼は手の平と肩に乗るようジェスチャーで伝えた。

    マルコ「よし! みんな、巨人化したエレンに乗るんだ!」

    巨人化した彼の手の平と肩にみんなを乗せ、彼はマルコが指差す方向に歩いた。

    サシャ「凄いです……! 人間と違って巨人は凄く速いですね!」

    マルコ「うん、これなら到達地点までそう時間はかからないよ!」

    マルコとサシャは負傷者を看病し、私は他の場所でも緊急事態が起きていないか監視していた。

    クリスタ「エレン、体調は大丈夫?」

    耳元で言うと頷いてくれた。

    私たちのために頑張ってくれてありがとう。

    彼を化け物扱いする人たちに彼の勇姿を見せれば、態度を改めるのではないだろうか。

    ……よく見ると巨人の顔がエレンに似てる……

    ダメだ、見とれてる場合じゃない。

    到達地点に着くまでエレンの体調に気を配りつつ、周囲を見回した。
  61. 63 : : 2018/04/26(木) 18:06:35
    私も続編希望します。
  62. 64 : : 2018/04/26(木) 18:53:41
    なんとか到達地点に辿り着き、待機していた教官に負傷者の看病を任せた。

    巨人化して進んで1番早く着いたため、訓練地には人は殆どいない。

    マルコは教官に事の発端を説明しに、サシャは負傷者の介護に行っている。

    俺は巨人化で体力を消耗したため、男子寮で寝ていた。

    あいつの事を考えていると、今考えている人物が入ってきた。

    ヒストリア「エレン、大丈夫?」

    エレン「疲れたけど大丈夫だ。お前は?」

    ヒストリア「私は大丈夫、エレンが運んでくれたから。負傷者は命に別状はないって」

    エレン「そうか、良かったな」

    ヒストリア「それよりエレンの巨人って凄いね! 貴方の巨人化を一度も見たことがなかったから!」

    エレン「あぁ、あれを上手く操れるよう頑張ってるんだぜ」

    その後こいつと雑談をして、15日にどうするかを話し合った。

    ヒストリア「それで、15日はどうするの?」

    エレン「実は訓練地の近くに綺麗な池があるんだ。そこに行こうぜ」

    ヒストリア「分かった」

    外からみんなの声が聞こえる。

    どうやら戻ってきたらしい。

    エレン「みんな戻ってきたから早くここから出ろ」

    ヒストリア「15日楽しみにしてるね!」

    そう言い駆け足で男子寮から出ていった。

    1月15日、最高の日にしてやるさ。

    ヒストリアの誕生日だからな……
  63. 65 : : 2018/04/27(金) 17:05:40
    1月13日、今日から三連休だ。

    俺はミカサとアルミンと一緒にトロスト区に来ており、過酷な訓練の気分転換にいろんな店を回っていた。

    そんな中、俺はとあるネックレス店を見つけた。

    色々なネックレスがあり、あいつへのプレゼントに良さそうだ。

    エレン「あーすまん、俺トイレ行ってくるからここで待っててくれるか?」

    アルミン「いいよ。早く戻ってくるんだよ」

    ミカサ「迷子にならないでね……」

    エレン「ならねぇよ」

    二人に気づかれないようトイレに行く振りをしてその店に向かう。

    エレン「……どれがいいだろう」

    種類が沢山あってどれがいいか全くわからなく、お金もあまりないため高級なものを買うことは出来ない。

    悩んでいると、店員が俺に話しかけてきた。

    店員「悩んでるようですがどうしました? どのネックレスがいいか分からないとか?」

    エレン「そうなんです。友達が明後日誕生日なのでネックレスをプレゼントしようと思ってるんですけど、どれがいいか分からなくて……」

    店員「貴方はその人にどんな想いをお持ちですか?」

    エレン「……必ず幸せにしてやりたい、あいつが平穏に暮らせる世の中にしてやりたい。そう想ってます」

    店員「……分かりました。ではこのネックレスが良いでしょう」

    店員が持ってきたネックレスのペンダントトップにはサファイアという綺麗に輝く宝石が付いていた。

    エレン「サファイア?」

    店員「えぇ。サファイアには平和を祈り、一途な想いを貫くというメッセージが込められています。貴方のその想いを伝えるにはこれが1番かと」

    エレン「どうもありがとうございます! これをあいつにプレゼントします!」

    俺は全財産をつぎ込み、サファイアのついたネックレスを購入した。

    これをあいつにプレゼントしよう。
  64. 66 : : 2018/04/27(金) 18:54:31
    1月15日、ヒストリアの誕生日だ。

    今日これをプレゼントして、親にしてもらえなかったことを俺がしてやる。

    アルミン「エレン、今日は訓練地にいるの?」

    エレン「あぁ。体を動かしておかないとな」

    アルミン「わかったよ。僕はミカサ達と一緒にトロスト区に行くからまた後でね」

    エレン「おう」

    ……

    ユミル「クリスタ、今日はどうすんだ?」

    クリスタ「ごめん、今日はエレンに誘われてて」

    ユミル「……そうか。じゃあまた後でな」

    クリスタ「うん」

    ユミル(エレン、こいつを幸せに出来るのはお前だけだろうから任せたぞ……)

    みんなが訓練地から出て行くのを見届けてから、近くの綺麗な池に向かった。

    場所は事前に聞いたから迷うことはないだろう。

    エレンの後ろ姿が見えたのでそこに向かうと……

    ヒストリア「うわぁ……!」

    とても綺麗……

    こんな場所があったなんて全然気がつかなかった。

    エレン「来たか」

    エレンは私に背を向け池を見ていた。

    ヒストリア「それで今日は何するの?」

    エレン「……今日は何の日か覚えているか?」

    1月15日、何の日だろう?

    ヒストリア「……ううん。覚えてないや」

    エレン「そうか……。まぁ無理もねぇよ、親に一度も祝ってもらえなかったんだからな」

    何を祝ってもらえなかったんだろう?

    親は私に無関心だったから、私の何かを一度も祝ってもらえた事がない。

    ヒストリア「今日が何の日か前に話したことある?」

    エレン「あの日だ。お前はサラッと言っちまったけど俺は覚えてる」

    ヒストリア「……教えて。今日は何の日なの?」

    そう言うとエレンは振り返り、真剣な顔で私をずっと見つめていた。

    エレン「今日は……ヒストリアの誕生日だ」

    私の誕生日……

    そうだ、あの日は男子に告白された後に母に存在を否定された時の記憶が頭の中でフラッシュバックして、その時になぜか自分の誕生日を思い出したんだ。

    その後エレンに自分の過去を語っている時は覚えていたけど、親に存在を否定されていた私には誕生日はいつもの日と変わらない為忘れてしまったんだ。

    エレン「お前は親から産まれたことを望まれなかった、誕生日に『お前がこの世に産まれてきてくれたこと』を祝ってもらえなかった。それが続けば自分の誕生日を忘れても、自分は生きて良い存在なのか疑問に思うのもおかしくはない。前に『自分が生きて良いかどうかは自分で決める事』と言ったが、正直自分で決める事は意外と難しいし人間誰だって誰かに認めてもらいたいものさ。特に親の愛情が不可欠な子どもでは承認欲求はより強くなる。それが満たされないと自分の存在に疑問を持ってしまう」

    確かに、エレンに私の存在を認めてもらうまでは自分の存在に疑問を持っていた。

    本当に私は生きて良い存在なのかと。

    彼が私の存在を認めてくれたから、自分が生きて良いかを自分で決める事ができたんだ。

    エレン「だから俺が祝ってやるよ」

    ヒストリア「え?」

    エレンはズボンのポケットから小さな箱を取り出し、私に差し出した。

    エレン「プレゼントだ。開けてみろ」

    そう言われ開けてみると、綺麗に輝くサファイアが付いたネックレスが入っていた。

    エレン「サファイアには平和を祈り、一途な想いを貫くというメッセージが込められている。お前が平穏に暮らせる世の中にしてやりたい、愛情を受けられなかったお前を幸せにしてやりたい」

    エレン……

    どうしよう、睫毛の裏に涙が溜まり今にも溢れ出そう。

    私の為にそこまでしてくれるなんて……

    エレン「……ヒストリア・レイス、誕生日おめでとう。この世に産まれてきてくれてありがとう」

    ヒストリア「うわぁぁぁぁぁぁん!!」

    無意識にエレンの胸元に抱きつき、睫毛の裏に溜まっていた涙が雨のように落ちる。

    ヒストリア「ありがとう……ありがとう……!」

    泣いている私を彼は優しく抱き締めてくれた。

    エレン「お前は独りじゃねぇ。これからもずっと俺がいるし、あいつもいるんだ。力を身につけたら巨人を駆逐して自由を取り戻し、お前が平穏に暮らせる世の中に、幸せにしてやる。 ……約束だ!」

    エレン……そんなこと言われると涙が止まらなくなっちゃうよ……

    少しの間、彼の胸元で泣き続けた。

    ……ありがとう、今日は最高の日になったよ。

    貴方に会えて本当に良かった……

    私を幸せにすると言ってくれて本当に嬉しい。

    エレン、大好きだよ!
  65. 67 : : 2018/04/27(金) 19:54:21
    (。o̴̶̷̥᷅ωก̀。)グチュン
    期待です。頑張ってくださいね
  66. 68 : : 2018/04/28(土) 09:28:14
    その後、同期生たちが『クリスタ』に誕生日プレゼントをくれた。

    『クリスタ』と『ヒストリア』の誕生日は同じだけど、なぜか『クリスタ』の方だけ覚えている。

    多分本当の私を否定されて自分は『クリスタ』になると決めた時から彼女の誕生日の方だけ無意識に覚えていたのかもしれない。

    みんな色々なプレゼントを持ってきてくれて、本当に『クリスタ』は女神のように愛されてると分かる。

    ……みんなごめんね、せっかくプレゼントを持ってきてくれたのに……

    本当の私を出せない自分が悪いんだけど、素直に喜べないかな。

    『クリスタ』の誕生日を祝ってくれてるのであって、『ヒストリア』の誕生日を祝ってくれてるわけではないと思うと複雑な気持ちになる。

    でもいいの、私の誕生日を祝ってくれた人がいるから。

    ユミルは立派な花束を持ってきてくれて結婚してくれと言われた。

    同性だから結婚は出来ないけど、貴方はずっと私の親友だよ。

    それに、結婚したい人は既にいるから……

    ライナー「なんだかクリスタ幸せそうだな……」

    アルミン「うん、昨日みんなから誕生日プレゼントを貰ったことが凄く嬉しかったのかもね」

    ジャン「あんな笑顔今まで見たことがないぜ。一体どんなプレゼントを貰ったんだ?」

    ライナー(結婚したい……)

    エレン「……」

    横を見るとエレンたちが見えたので、エレンに向かって手を振った。

    この時は昨日の事があまりに嬉しすぎて非常に目立ってる行為だと考えられなかった。

    ベルトルト「僕らに手を振ってきたね」

    アルミン(笑顔が眩しい……)

    ジャン(あれが女神のオーラなのか……?)

    ライナー「いや、あれは俺に向かって振ってるに違いない!」

    ベルトルト「それはないよ……」

    エレン(あいつ……嬉しいのは分かるが目立つ行為すんなよ)
  67. 69 : : 2018/04/28(土) 14:42:34
    3月29日、今日と明日の訓練は休み。

    明日はエレンの誕生日だから何かプレゼントしたい。

    そういうわけで一人でトロスト区に来ている。

    ヒストリア「何を買おうかな~」

    エレンにネックレスを貰ったから、私もネックレスをプレゼントしようかな?

    そう思いネックレス店に赴く。

    エレンはサファイアの付いたネックレスをくれたから……

    あった、ルビーの付いたネックレス。

    サファイアは『平和を祈り、一途な想いを貫く』というメッセージが込められているが、ルビーは古代から『勝利を呼ぶ石』と言われており、あらゆる危険や災難から持ち主の身を守り、困難を打破して勝利へと導くパワーがあると本で読んだことがある。

    その石に込められた意味は『情熱・勇気・自由』とまさにエレンにぴったりなものだ。

    これをエレンにプレゼントしよう!

    ヒストリア「これを下さい!」
  68. 70 : : 2018/04/29(日) 11:47:23
    翌日、エレンを馬小屋に誘った。

    休日に馬の世話をする人は殆どいないため、ここなら誰にも知られないだろう。

    エレン「……で、どうした?」

    ヒストリア「今日はエレンの誕生日でしょ? 誕生日おめでとう! プレゼントがあるの」

    私はポケットから小さな箱を取り、彼に差し出した。

    エレン「これ、ルビーが付いたネックレスか?」

    ヒストリア「そうだよ、ルビーは『勝利を呼ぶ石』と言われてるから貴方にぴったりだと思って」

    エレン「ありがとな! 大切にするぜ!」

    喜んでくれたみたいでとても嬉しい。

    エレンの笑顔を見ると私も微笑んでしまう。

    エレン「訓練生になってからもう一年か。意外と早いな」

    ヒストリア「卒業まであと二年、頑張ろうね」

    エレン「おう。ところで訓練生卒業したらどの兵団に行くつもりだ?」

    ヒストリア「……私は調査兵団に行く。誰かの為ではなく、自分の為に。それに私を認めてくれた貴方の力になりたい」

    エレン「……そうか、ありがとな。俺も全力でお前を守る、約束したからな」

    ヒストリア「うん、ありがとう」

    エレン「そういえばお前って一応貴族出身だけどレイス家は今どうなってんだ?」

    ヒストリア「分からない、私の母は殺されたけど妾だからね。沢山子を作ったらしいから私がいなくてもどうってことないでしょうね」

    エレン「まぁレイス家に必要とされたとしても帰るわけねぇよな」

    ヒストリア「もちろん」

    エレン「あ、すまねぇ。ミカサに呼ばれてたの忘れてた。今から行ってくる」

    ヒストリア「分かった。また明日ね」

    エレン「おう、プレゼントありがとな!」

    私と拳を合わせ、女子寮に走って行った。
  69. 71 : : 2018/04/29(日) 15:56:52
    4月1日、新年度が始まった日教官から話があった。

    キース「貴様らがここにきてから一年経ったが、まだ巨人に対抗する力はなくただの餌になるだけだ! 残り二年も訓練を怠るな!」

    あと二年も頑張ろう!

    キース「それと……先日行われた調査兵団の第42回壁外調査だが、ウォール・ローゼのトロスト区からウォール・マリアへの補給路を確保中に大量の奇行種に襲われその際参加した兵士の半分が喰われた!」

    周囲がざわめき出した。

    調査兵団は駐屯兵団や憲兵団とは違い巨人殺しのエリートだけど、その兵士が半分も喰われるほど巨人と人間との力の差はある。

    エルヴィン・スミスという人が団長になったことで兵団の損害は減ったみたいだけど、それでも多くの犠牲は覚悟しなければならない。

    キース「調査兵団に入れば、巨人との戦闘は避けられない! あと二年、どの兵団に入るか良く考えたまえ! では解散!」
  70. 72 : : 2018/04/29(日) 18:39:55
    その日の夕食

    モブ男1「調査兵団に入りたいと思うか?」

    モブ男2「思うわけねぇだろ! 巨人に勝てるわけがないのにわざわざ壁外に行って喰われるなんて馬鹿のすることだろうが!」

    モブ男3「本当頭のおかしい連中だよな! 巨人と戦う事がない憲兵団かあまり戦わない駐屯兵団に入る方が余程利口だぜ!」

    ……うるさいなぁ。

    貴方達は彼らを馬鹿にすることしかできないの?

    彼らは自分の命をかけて巨人と戦ってるんだよ?

    巨人に怯えて内地で暮らそうとする貴方達よりも余程勇敢だよ。

    ユミル「……流石に少しうるせぇなぁ」

    エレンを見てみると、今にも怒りが爆発しそうなくらい不機嫌そうだった。

    彼の気持ちはとても分かる。

    ミカサ「エレン、落ち着いて」

    アルミン「そうだよ、気持ちは分かるけど……」

    エレン「……」

    モブ男1「なんで無意味な事をしようとするんだろうなぁ? 壁内の中に入れば安全なのに」

    マルコ「超大型と鎧の巨人が出現したからもう安全じゃないよ。いつウォール・ローゼが破られるか分からないんだよ?」

    ジャン「おいマルコ、お前憲兵団に入りたがってるのになんで調査兵団の肩を持つんだよ」

    マルコ「僕は内地で暮らしたいから憲兵団に入りたいわけじゃない! 王の役に立ちたいから入りたいんだ! 王の役に立つためなら調査兵団にだって行くさ!」

    巨人に怯えて内地で暮らすために憲兵団を目指してる人よりは、王の役に立つために憲兵団を目指すマルコの方が余程好感が持てる。

    ジャン「流石優等生だな」

    モブ男1「そもそも、あいつらが壁外に出ずに壁内で大人しくしていれば良かったんじゃないのか!? 巨人の事は知らんが壁外に出て巨人を殺したから、その報復として奴らが現れたに違いない! その結果ウォール・マリアと2割の人口を失ったとしたら、全て調査兵団が悪いんだよ!」

    モブ男2「そうだ! あいつらが巨人と戦おうとしなければ壁内の安全は保たれていたのかもしれないぞ!」

    モブ男3「そう考えると壁外で死んだ奴らは犬死だな。なんの成果も得られずに喰われて死ぬ、そんな無意味な事するくらいなら最初から産まれてこなければ良かったのに。迷惑なんだよ」
  71. 73 : : 2018/04/30(月) 09:09:02
    期待ィィィィィ
  72. 74 : : 2018/04/30(月) 11:22:15
    エレンは立ち上がりドンッ!!!と机を思い切り叩いた。

    その行動に周囲の人が黙り、この時間はいつも賑やかな食堂が静寂に包まれた。

    アルミン「え、エレン?」

    エレン「てめぇら、さっきから偉そうな事言いやがって…… 敗北主義者共が調査兵団を語るんじゃねぇよ!!」

    彼の怒鳴り声が食堂中に響く。

    彼がこんなに怒ってるのは初めて見た……

    エレン「彼らは自分の命をかけてまで巨人と戦って自由を得ようとしてんだ!! 壁内で家畜のように過ごすてめぇらとは違うんだよ!!」

    モブ男1「自由? 笑わせてくれるぜ! 昔からあいつらは壁外調査してるのに何も進歩はないじゃねぇか。全て無意味じゃねぇか!」

    エレン「無意味じゃねぇ! 負けはしたが、得た情報は確実に次の希望に繋がる! そのおかげで兵団の損害は減ったし優秀な人材も増えた! 自由を得るために戦った彼らの残した意思は俺たち人類に『力』を、『希望』をくれる! そしてあの兵士たちに意味を与えるのは俺たちだ!!」

    エレン……

    エレン「巨人と戦った勇敢な死者を想うことができるのは生きている俺たちだ!! 彼らが残した意味を俺たちが受け取り、次の世代に託す! それが俺たちの役目だ!!」

    ……エレン、私たちを勇気付けてくれてありがとう。

    貴方は最悪な雰囲気をぶち壊し、希望を示してくれる。

    私は貴方についていくから……!

    モブ男1「……ふん、化け物が何言ってんだか」

    モブ男2「あいつの言うこと無視してとっとと夕食食べようぜ。冷めちまうよ」

    ミカサ「もう、すぐに熱くなる」

    エレン「……すまねぇ」
  73. 75 : : 2018/04/30(月) 14:56:40
    モブ教官「……ということで、あの化け物を陥れるぞ。雪山の訓練中に負傷者を助けたみたいだが、ああやって信用を得ておいて後に裏切るかもしれん。私は騙されないぞ」

    モブ1「いいですね。訓練生になった時からあいつは危険だと思っておりました」

    モブ2「やりましょう! 教官!」

    ……

    4月7日、事件が起きた。

    アルミン「今日の模擬訓練辛かったね……」

    エレン「そうだな。でもお前訓練生になってからだいぶ体力ついてるぞ。このままなら大丈夫じゃねぇか?」

    ミカサ「みんな成長してる。きっと大丈夫」

    モブ教官「訓練生よ、今すぐ整列せよ!!」

    あの教官、なぜか俺だけに態度を変えてくる嫌な野郎だ。

    エレン「なんだよ、今日の訓練はもう終わっただろうが……」

    アルミン「何かあったのかな?」

    モブ教官「貴様たちに残念なお知らせがある! 昨日訓練地から数キロ先の森でナイフで殺害された×××を発見した!」

    なんだって?

    訓練地周辺は街はおろか民家もなく、トロスト区から訓練地まで結構距離はある。

    盗賊の可能性も考慮したが、金品を持っていない訓練生を殺すのもおかしい。

    つまり、訓練地にいる誰かがある理由であいつを殺したということになる。

    もしくは無差別殺人……

    モブ教官「被害者から何か犯人を裏付ける証拠はないか探したのだが……証拠は見つかり、犯人と思われる人物を特定した!!」

    マルコ「誰なんですか!?」

    あの野郎は俺を見た。

    モブ教官「エレン・イェーガー! 貴様だ!!」

    ……は?

    なんで俺なんだよ?

    モブ教官「証拠は二つ! ×××の死体近くに兵士の靴跡があったのでその靴のサイズを測り、貴様たちが寝ている間に靴を一つ一つ調べたらイェーガーの靴のサイズと適合した! もう一つは死体が隠し持っていた破れた紙には我々教官にしか知らされていない上層部の重要機密の一部が書いてあり、その裏に血文字でエレンと書かれていた! きっと最期の力を振り絞って書いた物だと思われる!」

    違う、俺じゃない。

    俺はそんなことしてない。

    モブ教官「また、×××は昨日の自由時間からいなくなったためその時に殺されたと思われる。そしてその時間帯にイェーガーが森に向かってるところを目撃した人物がいる!! 」

    あの野郎の説明が終わった瞬間、同期生たちが俺から離れ、睨みつける。
  74. 76 : : 2018/04/30(月) 21:43:22
    おぉー!面白い展開になってきましたなぁ〜!
    期待です、頑張れ〜ファイトだよっ!
  75. 77 : : 2018/05/01(火) 12:08:17
    エレン「違う! 俺じゃない!」

    アルミン「そうです! 彼がそんなことをするわけがないです!」

    ミカサ「何かの間違いです!」

    モブ教官「黙れ!! 証拠は見つかり証言も出ているんだ! 貴様は×××を脅し我々しか知らない重要機密を調べさせ、その内容を紙に書かせてから殺したんだろ!!」

    あの野郎は嘘をついている。

    二つの証拠を俺とは無関係だと断定できる物はないが、自分がやっていないことは自分が一番良く知っている。

    それに、昨日のその時間帯はヒストリアと一緒に居たため証言者も嘘をついている。

    まさか……

    モブ1「あいつ、きっと壁内の事を調べ上げて大虐殺しようとしたんだ!」

    モブ2「あいつは知性を持った巨人だからな、無垢の巨人より何倍も危険だぞ!」

    必死に無実を主張するが、俺たちの主張を聞いてくれず教官が住む寮の隣の家にある牢屋に連行された。

    ここには訓練地周辺で盗賊や罪人を捕まえた際に使う場所だが、まさか自分が入ることになるとは……

    事件について今分かっている事を整理している時にアルミンとミカサが来てくれた。

    エレン「お前ら、俺と話してもいいのか?」

    アルミン「うん、なぜか会話だけは許してくれたよ」

    ミカサ「貴方がそんなことするわけがない! 私たちが貴方の無実を証明してみせる!」

    エレン「あぁ、ありがとな」
  76. 78 : : 2018/05/01(火) 12:42:08
    なんという八つ当たり・・・(泣)
  77. 79 : : 2018/05/01(火) 13:15:30
    二人に昨日の事を話そうとしたが、ヒストリアの事がバレるかもしれないため黙っていた。

    大丈夫だ、あいつらなら無実の証拠を見つけてくれる。

    巨人化すれば牢屋からは脱出できるが、そんな事をすれば状況が悪化するのは目に見えているため最終手段だ。

    とりあえず少し様子を見ることにし、いつも寝ているベットより硬くて寝心地が悪い物で寝た。

    ???「エレン、起きてる?」

    誰かに呼ばれたから起きるとヒストリアがいた。

    エレン「ヒストリア? 来てくれたのか」

    ヒストリア「遅くなってごめんね。消灯時間前なら誰にも気づかれないと思って」

    こいつなら来てくれると信じていた。

    エレン「すまねぇ、こんなことになっちまって」

    ヒストリア「エレンは何も悪くないよ。貴方が犯人じゃないことは私たちが1番良く知ってるから」

    エレン「ありがとな。それよりどうする? 俺が身動き取れない以上俺を信用してくれる人に無実の証拠を集めてもらうしかない。今のところミカサとアルミンとお前しかいねぇ」

    ヒストリア「私は二人と一緒に証拠を集めるよ。極力『クリスタ』として接して、昨日の自由時間は貴方に馬術を教えてたという理由で説明する」

    エレン「それがいいな、頼んだ」

    消灯時間を示す鐘が鳴った。

    ヒストリア「ごめん、もう行かないと。必ず貴方を助けるから!」

    俺といつもの行為をし、女子寮に戻っていった。

    ……信じてるからな。
  78. 80 : : 2018/05/01(火) 22:39:43
    教官は牢屋の近くに住んでるのか。
  79. 81 : : 2018/05/02(水) 17:28:20
    翌日、彼の無実を証明するために行動を開始した。

    ユミル「私も手伝ってやるが、どうすんだ?」

    ヒストリア「ミカサとアルミンの二人と協力して証拠を集めるよ。他には彼を信用してると思う人に聞き込みとかしてみる」

    ユミル「そうか、分かった」

    訓練を終えた後、二人と事件について話した。

    アルミン「……つまりその時間帯は君に馬術を教えてもらってたんだね?」

    クリスタ「そうだよ。夕食を食べた後も消灯時間になるまで一緒にいて、別れた後彼が男子寮に入るのを見たからあの人を殺害することは出来ないの」

    ユミル「あいつが殺されたのは一昨日の訓練後から消灯時間になるまでの間だな。消灯時間を過ぎたら森に行く道は見張りがいるからバレずに行くのは無理だし、昨日も朝から班で模擬訓練をしてたからそこから抜け出して殺すのは不可能だ」

    訓練地には訓練生を指導する教官と、教官を補佐する兵士がいる。

    訓練用の道具を用意したり、夜中に不審者がいないか見張るのが彼らの仕事だ。

    当然森の方にも見張りはいるため、夜中にそこに行くのは不可能である。

    アルミン「その日は消灯時間の鐘が鳴ってすぐに戻って来たし、彼は訓練後ずっと私用の靴だったから無理だね」

    ミカサ「なぜエレンが貴方と?」

    予想していた通り、ミカサはエレンが私と一緒にいたのを疑っている。

    ユミル「こいつは馬術の成績は首席だからな。あいつのことだから壁外調査に役立つとかそんな理由でお前に教えてもらってたんだろ?」

    クリスタ「うん。彼の頼みを断る理由はないからね」

    ユミル、サポートしてくれてありがとう。

    私が直接言うよりも、彼女が伝言してくれる方が信用性は高い。
  80. 82 : : 2018/05/03(木) 11:16:17
    期待です
  81. 83 : : 2018/05/03(木) 18:03:14
    ユミル「こいつの証言だけであいつの無実を証明できるんじゃねぇか?」

    アルミン「いや、多分無理だよ。恐らくこれはエレンを陥れるために最初から計画された事件だ。あの教官が言っていた証拠と証言が間違っていることを証明できるものを見つけない限り、彼の無実は証明できない」

    ユミル「くそ、どうすりゃいいんだ……」

    クリスタ「そもそも、あの人は誰に殺されたの? 訓練地にいる人だとは思うけど、あの人に殺される理由があったとは思えないよ」

    アルミン「あの人を殺したのはあの教官だと思う。エレンを陥れるために罪もない人を殺し、その罪を彼になすりつけた。あの教官と証言者が手を組んで嘘をついてるんだよ。教官が言ってた証拠と証言は全て捏造された物に違いない」

    彼を陥れるために関係ない訓練生を殺害するなんて……

    クリスタ「そもそもなんでエレンを陥れようとするの?」

    ミカサ「それは、エレンが化け物扱いされてるからだと思う……」

    アルミン「訓練生になってから一年経ったけど、彼を化け物だと思ってる人は今も沢山いる。いつかエレンが巨人になって人間を大虐殺すると思ってるほど、巨人を恐れているんだ。現に彼を化け物扱いしてる同期はみんな彼の処罰が決まって喜んでいるよ」

    彼の処罰は王都への送検だ。

    恐らく巨人化出来る彼の体を徹底的に調べ上げられ、事が済んだらそのまま殺害するのかもしれない。

    クリスタ「酷いよ……」
  82. 84 : : 2018/05/04(金) 21:04:36
    ユミル「とりあえず今はあいつの無実を証明する証拠を集めるのが先だ」

    アルミン「そうだね」

    ミカサ「エレンの靴跡は現場にないと思う。さっき三日前の訓練で負傷して寮で寝ていたトーマスに聞いたら、彼の兵士用の靴はその時間帯はずっと部屋に置いてあったと言ってた」

    ユミル「じゃあ現場にある靴跡はどうなってんだ?」

    クリスタ「二手に別れよう! ミカサとアルミンは現場に行って何か手がかりになるものを探して! 私たちはあの人が書いた紙の筆跡を調べてみる!」

    アルミン「分かった、任せたよ!」

    アルミンとミカサに現場の調査を任せ、私は亡くなったあの人とエレンの座学試験の答案用紙を取りに行った。

    エレンが犯人ではないことは分かっているけど、証拠を用意しないと信じてもらえないだろう。

    二人の答案用紙と破れた紙の筆跡が違うなら、破れた紙の内容はどちらも書いたものではない。

    よって、エレンがあの人を脅して書かせたものではないことと彼自身が書いたものではないことを証明出来る。

    そもそも彼が独自で重要機密を見つけたならその内容を書いた紙をあの人に渡したりせずに秘密にしているはずなので、彼が書くわけがない。

    あの人が彼と結託していたということも考えられるけど、あの人と接点はないと言っていたし殺す理由もない。

    とにかく、二人の答案用紙と破れた紙を用意すれば彼の身の潔白を証明出来る。
  83. 85 : : 2018/05/05(土) 18:22:25
    男子寮に行きドアをノックした。

    マルコ「二人ともどうしたの?」

    クリスタ「亡くなったあの人とエレンの答案用紙が部屋にあると思うんだけど、それを持ってきてくれる?」

    マルコ「……分かった。僕も協力するよ」

    ユミル「お、察しが良いじゃねぇか」

    マルコ「彼が殺人をするわけがないからね。僕は彼を信じてる」

    ライナー「俺も手伝うぞ! あいつがそんなことをするわけがねぇからな!」

    ベルトルト「僕もそう思うよ」

    クリスタ「みんな……本当にありがとう!」

    マルコ「気にしないでよ。それよりエレンを助けよう!」

    彼はあの人とエレンの部屋に行って答案用紙を取ってきてくれた。

    ユミル「よし、次は破れた紙だな。証拠品はあの教官が保管してた筈だ」

    私たちは証拠品を見せてもらうために教官寮に向かった。

    寮につくまでの間に彼らに今わかっている事を説明しておいた。

    モブ教官「ダメだ、許可できん」

    クリスタ「どうしてですか!? ほんの少し確認をするだけです!」

    モブ教官「貴様ら、あの化け物の味方をする気か? あいつが×××を殺した証拠と証言があるのに、今更何をしようというのかね?」

    ユミル「その証拠と証言、捏造されてるのではないでしょうか?」

    はぐらかすかと思ったけど、彼女は単刀直入に言った。

    モブ教官「……貴様ら、こう見えて私は結構偉くてな。上官が決めた事に反抗するのは良くないぞ。貴様らもあの化け物の仲間として違う処罰をされたいか? 男三人は確か成績優秀だったから、憲兵団に入る資格を永久に剥奪してもいいんだぞ?」

    マルコ「くっ……」

    ベルトルト「ライナー、まずいよ。僕は憲兵団に入りたいよ」

    ライナー(憲兵団に入れなくなるのはまずいが……)

    三人の顔色が悪くなった。

    こうなる事を予想していなかった為、彼らを巻き込んでしまった事を申し訳なく思う。

    モブ教官「嫌ならこの事は忘れてさっさと寮に戻れ」

    この人はそう言い、寮の中に入っていった。
  84. 86 : : 2018/05/06(日) 18:45:07
    ライナー「くそ、どうすればいい?」

    クリスタ「ごめんね、彼を助けたらもう憲兵団には入れないかもしれない……」

    ライナー「ベルトルト、俺たちに任せてお前は戻れ」

    ベルトルト「ライナーだけにそんなことはさせないよ」

    マルコ「気にしないでよ。たった一人の友達を助けられない人が王の役に立てるわけがないからね。調査兵団に行く道も考えてあるからさ」

    憲兵団に入る資格を剥奪されるかもしれないのに彼を助けようとする三人に頭が上がらない。

    憲兵団に入れば内地で暮らせるので、憲兵団狙いでここに来た人は多い。

    三人は成績優秀だから入れるかもしれないのに、それを放棄するのはとても勇気がいることだ。

    マルコ「憲兵団が彼を連行しに来るのが明日。明日に証拠が捏造されたものだと証明できないと……」

    ユミル「あまり時間はねぇな。しかしどうやって証拠品を手に入れる?」

    何か案はないか考えてると、ミカサとアルミンが戻ってきた。

    クリスタ「二人ともどうだった?」

    アルミン「現場周辺の靴跡を調べてみたけど、エレンの靴のサイズと適合しなかった。やっぱりあの教官が嘘をついているんだ」

    ミカサ「憲兵団が来るまで死体が現場に置いてあるんだけど、首を斬られていた。アルミンの検死では即死だから、ダイイングメッセージを書けるわけがない」

    ユミル「そうか、色々ボロが出てるな」

    ミカサ「破れた紙の筆跡は分かったの?」

    クリスタ「それが、あの教官が見せてくれないの。以後エレンを助けようとしたら、私たちにも処罰を与えるって……」

    アルミン「どうしよう。筆跡のことが分からないと無実を証明するのは難しいよ」

    クリスタ「……私、今日の夜中に教官寮に忍び込むよ。あの教官の部屋を調べる」

    アルミン「それしかないかもね」

    ユミル「お前一人じゃ危ねぇよ。私たちも一緒に」

    クリスタ「ダメ、みんな一緒だと見張りに気づかれちゃうよ。それにこの中では私が1番小柄だから見つかりにくいはず」

    ライナー「そうか、頼んだぞ」
  85. 87 : : 2018/05/06(日) 21:29:33
    頑張れ〜p(´∇`)q ファイトォ~♪
    期待です
  86. 88 : : 2018/05/07(月) 17:57:35
    その日の夜、私は教官寮に忍び込むためマッチと油の付いた松明を持って外に出た。

    監視の目が訓練地の外に向けられている間なら、音を立てなければ見つからないはず。

    ……

    よし、教官寮のトイレにある窓についた。

    ここは死角になっているため、火をつけても見張りには見えない。

    私は持っていた松明に火をつけ、それをガラスの窓に近づける。

    少し時間が経ち、窓がパキッと割れた。

    『耐熱対策されていないガラスを熱すると、大きな音を出さずに割ることが出来る』とアルミンが言っていた。

    あとで感謝しよう……

    割った部分に手を入れて鍵を開け、中に入った。

    寝室で寝ている教官がいるので、静かにそして着実にあの教官の部屋に近づいた。

    ……ここがあの教官の部屋ね。

    灯は付いていないけど、念の為こっそりドアを開け中を確認する。

    ……よし、誰もいない。

    素早く静かに中に入り、机やタンスを調べた。

    ヒストリア「あった。これが証拠品ね」

    ポケットに入れておいたあの人とエレンの答案用紙と筆跡を比べてみると、やはり違う。

    そして机に置いてあるあの教官が作成した書類と比べてみると、一致した。

    良く考えてみれば教官が上層部の重要機密を持っていることを知っているのは教官しかいないはず。

    ということは、これは教官が捏造したものになる。

    証拠品をまた捏造されるかもしれないので盗んでおこう。

    明日これを盗んだ人を探すだろうけど、その前に憲兵団が来てくれればこっちのもの。

    早く戻ってミカサとユミルに伝えないと……!

    その時、廊下から足跡が聞こえた。

    この部屋に近づいてくる……!

    私は急いで後片付けをして、部屋の端に置かれているクローゼットに隠れた。
  87. 89 : : 2018/05/09(水) 19:33:25
    部屋に三人の男性が入ってきて、灯りがついた。

    モブ教官「明日は憲兵団があいつを連行しにくる。あいつも終わりだな」

    モブ1「大丈夫ですかね? あいつを陥れるためとはいえ、靴のサイズを捏造したりとボロが出てます」

    モブ教官「心配いらん、今の憲兵団は仕事を新兵に全て押し付けるほど腐っているからな。捏造した書類を見ても、こういう経験がない新兵には分からん。キースが王都に行っている間に事を済ませてしまえば大丈夫だろう」

    モブ2「それなら安心ですね!」

    ……そういうことだったのね。

    この人たちが関係ないあの人の命を奪い、エレンを陥れようとした犯人。

    怒りが湧いてくるけど、この状況を切り抜けるためにも今は冷静にならないと。

    その後三人は下らない会話し、灯りを消して部屋から出ていった。

    念の為彼らが出ていった後もロッカーに隠れ、10分経ってから出て廊下をこっそり覗く。

    誰もいないことを確認し、トイレに急いで戻る。

    外に出た後は見張りに気をつけて女子寮に戻った。

    ユミル「やっと戻ったか。大丈夫か?」

    クリスタ「大丈夫だよ。彼を陥れようとした犯人が分かったの」

    ミカサ「誰なの?」

    私は二人に犯人と筆跡があの教官と一致したことを伝えた。

    ユミル「……あの教官なのは分かってたが、まさかあの二人も関与していたとはな」

    ミカサ「とにかく明日に備えてもう寝よう」

    クリスタ「そうだね」
  88. 90 : : 2018/05/10(木) 21:59:50
    翌日、憲兵団が来た。

    憲兵「エレン・イェーガー。お前の身柄を確保する」

    ……今日俺は憲兵団に王都へ連行される。

    大丈夫だ、あいつらを信じている。

    クリスタ「待ってください!!」

    その声を待っていた。

    アルミン「彼は犯人ではありません!!」

    憲兵「何? どういうことだ?」

    モブ教官「貴様ら! 何のつもりだ!?」

    ユミル「今取り込み中なので」

    モブ教官「なぜレンズがあの証拠品を持っているんだ!?」

    ユミルたちがあいつらを抑えている間に、ヒストリアとアルミンが憲兵にこの事件の真犯人とそれを証明する証拠と証言を話した。

    憲兵「……つまりあの三人が×××を殺した犯人なのか?」

    アルミン「はい、そうです」

    憲兵「分かった。 おい、あいつらを捕まえろ! 連行する!」

    モブ1「い、嫌だぁぁぁぁぁぁ!」

    モブ2「俺は関係ねぇ! 全部あいつがやったことなんだよぉぉぉ!」

    モブ教官「……」

    憲兵に手錠を外してもらった。

    二人が叫ぶ中、あの野郎だけだんまりを決め込んでいる。

    クリスタ「エレン、待たせてごめんね!」

    ヒストリアがこっちに向かって来るその時だった。

    モブ教官「くそぉぉぉぉぉ!」

    憲兵の拘束を振りほどいて懐から拳銃を取り出し、ヒストリアに銃口を向けた。

    ユミル「くそ!! クリスタ逃げろ!!」

    クリスタ「え?」

    モブ教官「貴様が化け物を助けようとしなければ上手くいってたんだぁぁぁ!!」

    俺は無意識にヒストリアの方に走り、庇ったところでパンッと乾いた音が鳴った。

    ……あれ?

    気がつくと俺は倒れていた。

    どうやら左胸を撃たれたようで、血がドクドク出てくる。

    あの野郎は……鬼の形相をしたミカサに取り押さえられている。

    意識が朦朧としている中、春の暖かい雨のようなものがぽたぽたと頰に落ちてくるのを感じた。

    ……エレン! 死なないで!!……

    その声を聞いて、意識を失った。
  89. 91 : : 2018/05/10(木) 22:07:48
    巨人かの能力で治りますよね?アワアワ
    期待です!
  90. 92 : : 2018/05/10(木) 23:09:48
    俺は闇の中で立ち尽くしていた。

    エレン「ここはどこだ?」

    辺りを見回しても何も見えない。

    俺は……何をしていたんだっけ?

    考えても何も思い出せない。

    そんな時、前から光が照らされた。

    あそこにいるのは……母さんと父さんだ。

    なんだ、俺を待っててくれたのか。

    俺は二人の所に歩こうとした時、背後から悲痛な叫びが聞こえた。

    振り返ると、そこには泣いているヒストリアがいた。

    ヒストリア「私を置いていかないで!! 貴方がいてくれたから自分の存在を認める事が出来たんだよ!? 貴方にとても感謝してるのにこんな別れはあんまりだよ……! お願い、帰ってきて……」

    彼女の叫びを聞いていると父さんが俺の肩を掴んだ。

    グリシャ 「エレン、お前はまだやるべきことがあるだろ?」

    ……そうだ、俺はまだ死ねない。

    あいつを幸せにし、巨人を駆逐し、外の世界に出るまで……!

    グリシャ 「どうして外の世界に出たいんだ?」

    どうして……?

    オレが!!

    この世に生まれたからだ!!
  91. 93 : : 2018/05/10(木) 23:24:51
    そうだ!お前にはまだやることがアル!
  92. 94 : : 2018/05/10(木) 23:25:09
    それはこのスレを完成させることだ!www
  93. 95 : : 2018/05/11(金) 18:50:48
    ふと目が覚めた。

    ここは……どうやら教官寮の保健室のようだ。

    ぼんやりと外を見ていると、ドアが開く音がした。

    ヒストリア「……エレン?」

    エレン「お、おぅ。おはよう」

    俺が起きているのを見た瞬間こいつの睫毛から涙が零れ落ち、抱きついてきた。

    ヒストリア「エレンのバカ!! 心配したんだぞ!」

    エレン「く、苦しいから離せ」

    ヒストリア「嫌だ!」

    苦しいから離して欲しいんだが、まぁいいか。

    少しの間こいつを抱きしめて落ち着かせた。

    エレン「……どれくらい寝てた?」

    ヒストリア「一週間。こんなに早く意識が回復するとは思わなかったよ」

    エレン「俺の容態はどうなんだ?」

    ヒストリア「さっき医師に聞いたけど、巨人の力で命に別状はないみたい。少し安静にしていれば訓練できるようになるって」

    巨人の力……どうやら治癒力はとても高いらしい。

    巨人を一匹残らず駆逐してやりたいと思ってるのに、その巨人の力に助けられるとは皮肉だな。

    俺が持っている巨人の力は無垢の巨人とは違うのだろうか?

    俺だけの特別な能力だと信じたい。

    エレン「そうか。体が鈍っちまうから早く訓練したいが仕方ねぇな」

    ヒストリア「ごめんね、私を庇ったせいで貴方に傷を負わせちゃった。巨人の力がなかったら死んでいたかもしれない」

    エレン「気にすんな、そうしなかったらお前が死んでたかもしれねぇ。それに、幸せにするって約束したからな」

    ヒストリア「……もうその約束はいいの」

    エレン「は? どういうことだよ?」

    俺が理由を聞いた途端、こいつの顔はまるで林檎のように真っ赤に染まった。

    ヒストリア「……私は、貴方が傍にいてくれるだけで幸せなの」

    エレン「どうしてだ?」

    ヒストリア「鈍感なんだから……目を瞑って」

    エレン「なんでだよ」

    ヒストリア「いいから瞑ってよ!」

    何をしたいんだこいつは。

    仕方なく目を瞑ったが、一体何するんだ?

    そう思った時、唇に羽毛のような感触を感じる。

    目を開くとヒストリアにキスされていた。

    ヒストリア「……これが答え、私は貴方が好き。貴方と一緒に居られるだけで私は幸せなの」

    俺が好きだと?

    ……困ったな、恋愛に全く興味がなかったから人を好きになることがよくわからねぇ。

    親子愛は分かるが、異性愛は分からない。

    まぁ、こいつとならずっと一緒でもいいとは思う。

    エレン「……お前の気持ちは分かったけど、俺は女を好きになった経験とかないからどうすればいいのか分からないぞ」

    ヒストリア「私もエレンを好きになるまでそういう経験なかったから分からないけど、二人で考えていけばいいんじゃないかな?」

    エレン「そうだな。よろしくな、俺の『恋人』さん」

    『恋人』と言われて更に顔が真っ赤に染まったヒストリアに殴られた。

    まぁ、俺たちの場合はこんな感じなんだろうな。
  94. 96 : : 2018/05/12(土) 23:39:56
    期待ですー!
  95. 97 : : 2018/05/13(日) 12:13:24
    エレン「そういえば夢を見たんだよ」

    ヒストリア「どんな夢だったの?」

    エレン「……俺は闇の中に立ち尽くしていたんだ。暫くしたら前から光が照らされて、そこに父さんと母さんがいて俺を待っててくれてた。そんで二人のところに歩こうとしたら、後ろでお前が泣いてたんだ」

    ヒストリア「……」

    エレン「お前は『私を置いていかないで!!』とか泣き叫んでて、それを見て俺はやるべきことを思い出して……目が覚めた」

    ……私の想いが彼に届いたんだ。

    彼が撃たれた日、彼はすぐに保健室に運び込まれた。

    私は必ず生きてくれると信じていたけど、私を置いて逝ってしまうのではないかという恐怖もあった。

    訓練後毎日お見舞いに行って、寝ているエレンに今日の出来事を報告したり彼との思い出を話したりしたが、彼は何も返事をしなかった。

    ……それがとても怖かった。

    昨日彼が起きてくれない恐怖に耐えきれなくなり、彼に私を置いていかないで!! と思っていたことを全て吐き出した。

    あの時ほど私の無力さを嘆いたことはない。

    さっき医師に彼の容態を聞いて命に別状はない事を聞いた時は凄く安心したけど、暫く昏睡状態が続くかもしれないとも言われたから、今彼が目覚めたのは奇跡と言っても過言ではない。

    私の想いで目覚めてくれたんだね。

    ヒストリア「エレン……」

    エレン「分かってる、お前を置いていかねえよ。お前は俺の大切な人だからな」

    ヒストリア「ありがとう……。私はどこまでも貴方についていくから」

    エレン「ありがとな。湿っぽくなっちまったから気分変えようぜ」

    ヒストリア「そうだね。この私が林檎の皮を剥いてあげるから待っててね!」
  96. 98 : : 2018/05/14(月) 20:33:21
    すいません、今後の展開を考え中のため少しお待ちください汗。
  97. 99 : : 2018/05/14(月) 22:38:49
    いつでも大丈夫ですヨーグルトw
  98. 100 : : 2018/05/14(月) 23:05:36
    楽しみにしています。
    100番目もらいました。
  99. 101 : : 2018/05/14(月) 23:23:40
    >>100いいなー
  100. 102 : : 2018/05/14(月) 23:25:33
    面白い!


    期待です!
  101. 103 : : 2018/05/15(火) 19:10:06
    それから私たちは『恋人』になった。

    勿論この関係はユミル以外には内緒にしてる。

    エレンには恋が何なのか分からないみたいだけど、私を大切な人と思ってくれてるから気にしない。

    エレンが安静にしている間は毎日訓練後にお見舞いに行って、その日の出来事を話したり林檎の皮を剥いたりしてあげた。

    彼の仲間もお見舞いに来てくれてみんなで雑談をしたり、サシャとコニーの二人が面白い事をして笑ったりした。

    エレンと私の関係を疑われる時もあり、みんなには彼に怪我をさせてしまったお詫びに看病してると伝えたけどミカサが鬼の形相で敵意をむき出しにしてるのを見た時は凄く怖かった。

    ユミルがフォローしてくれたから何とか誤魔化す事は出来たと思う。

    ごめんね、貴方もエレンが好きなのは分かってたけどこれだけは譲れないよ。

    彼を想う気持ちだけは誰にも負けたくないから……

    彼が目覚めてから約一週間後、訓練に復帰した。

    少しの間訓練から離れていたから体が鈍ってるみたいだけど、心配するほどではないようだ。

    あの教官が撃った銃弾から私を身を呈して守ってくれたこともあり、彼の信用はいつもより上がった。

    この騒動をきっかけに彼を化け物ではなく、人間として認識してくれることを切に願う。
  102. 104 : : 2018/05/16(水) 20:31:50
    5月10日、訓練が休みだからみんなでトロスト区に来ていた。

    エレンと二人きりになりたかったけど、みんなと絆を深めるのも大切だ。

    コニー「そんじゃあ何するか決めようぜ」

    サシャ「美味しい芋料理店を知ってるので今からそこに食べに行きましょう!!」

    ユミル「おいおい、まだ昼前だぞ」

    ふふ、サシャは相変わらずだね。

    ウォール・マリアを奪還して土地を取り戻せたら、彼女に美味しい料理を沢山食べさせたいな。

    ジャン「じゃあ昼になったらそこ行こうぜ。他に行く宛もねぇしよ」

    アルミン「あとで本屋に寄ってもいいかな? ×××さんの書いた本が結構興味深くて面白いみたいなんだ」

    ライナー「本当か? なら俺も買いたいな」

    ミカサ「エレンはどうするの?」

    エレン「俺か? まぁやりたいこともねぇしみんなに任せるわ」

    マルコ「とりあえず今から広場に行こうよ。有名な手品師が手品を披露するらしい」

    ベルトルト「じゃあそこに行こうか」

    こうしてみんなが楽しく会話してるのを見てると私も楽しくなってくる。

    ずっとこうしていたいけど、そうもいかないよね……

    でもエレンはいつか平穏な世の中にしてやると言ってくれた。

    なら私は彼の言葉を信じ、見守るだけだ。
  103. 105 : : 2018/05/18(金) 21:13:43
    ライナー「あの手品師凄かったな」

    アルミン「うん、あの手品の見せ方とか相当練習したんだろうね。最後までネタが分からなかったよ」

    コニー「なぁ、ネタってなんだ? 手品ってなんだ?」

    サシャ「ネタって食べ物のことですか?」

    ジャン「お前ら本当馬鹿だよなぁ……」

    エレン「腹減ったからサシャお勧めの芋料理店行こうぜ」

    クリスタ「有名らしいから混んでなければいいんだけど……」

    芋料理店に向かう道中はみんなでクイズを出題したりして暇を潰していた。

    サシャ「さぁ着きましたよ!! ここの芋料理はとにかく美味しいんです!! 私なら幾らでも食べられますよ!!」

    ユミル「分かったから店前で燥ぐな。目立つじゃねぇか」

    マルコ「まあまあ、たまにはこういうのも良いと思うよ」

    ジャン「お、何とか席は空いてるみてぇだな。あそこに座ろうぜ」

    アルミン「結構内装が綺麗でお洒落な店だね」

    エレン「そんなことより早く注文しようぜ」

    クリスタ「もう、急かしちゃダメだよ。もう少し待ってて」

    ……

    運ばれてきた芋料理はとても美味しかった。

    ご馳走さまでした!!

    ユミル「サシャの言う通り美味かったな」

    サシャ「でしょ? 他にも美味しい料理店知ってるので行きましょうよ~」

    ジャン「お前の胃袋どうなってんだよ……」

    コニー「それよりどうすんだ? 一旦別行動するか?」

    アルミン「そうだね。各自行きたい場所に行って、暫くしたら広場で落ち合おうよ」

    エレン「じゃあ俺は広場で待ってる」

    ミカサ「なら私も一緒に」

    たまにはミカサと二人きりにさせてあげよう。

    ライナーとベルトルトとアルミンは本屋に、ジャンとマルコとコニーは雑貨屋に、私とユミルはサシャの食べ歩きに付き合うことになった。
  104. 106 : : 2018/05/18(金) 22:07:55
    5月10日...エレヒスの日。
    これからどうなるのか、期待です(`・ω・´)
  105. 107 : : 2018/05/19(土) 09:34:18
    トロスト区は南方最前線の街だから巨人の脅威に晒されているにも関わらず、沢山の人で溢れている。

    ここは商業が盛んで美味しい料理店が沢山あり、珍しい商品を売ってる店などもある。

    さっき広場に来ていた有名な手品師も、巨人の脅威を少しでも忘れようとウォール・シーナの内地からわざわざ出向いてくれた方だ。

    みんな巨人の脅威を忘れようと必死に生きている。

    もしこの区の壁も破壊されてウォール・ローゼを放棄することになったら……

    ユミル「おい、何ボーっとしてるんだよ」

    クリスタ「え? あぁ、ごめん」

    ユミル「しっかりしろよ。それよりエレンとは上手くいってるのか?」

    クリスタ「恋人になってもすることは基本同じだから良く分からない。でも彼と一緒にいられるならそれでいいし、彼もそう思ってるよ」

    ユミル「お前を大切にしてくれる人と出会えて本当に良かったな。鈍感だけど」

    クリスタ「そこが彼の良いところでもあるんだよ~?」

    サシャ「いっはいなんのはなひをしへふんでふは?」

    ……どうやら「一体何の話をしてるんですか?」と言ってる。

    ユミル「食べ物を口に入れたまま喋るんじゃねぇ!」

    サシャ「ふいはへんへしは!」

    これは「すいませんでした!」だね。

    サシャ「さて、一体何の話をしてたんですか?」

    ユミル「いや、どうでも良いことだよ。お前が気にすることじゃない」

    二人が会話してる時に、ふと裏路地が気になった。

    ……何か聞こえたような。

    「……おい、待て!……」

    「……助けて!!……」

    誰かが助けを求めてる!?

    早く助けに行かないと!!

    クリスタ「ユミル! 今すぐ駐屯兵を呼んで来て!!」

    ユミル「は? おい、何処に行く気だ!?」

    私はユミルの静止の声を振り切り、無我夢中で声がする方向に走った。
  106. 108 : : 2018/05/19(土) 21:29:28
    凄い今更ですが、こんな感じで投稿していきます。
  107. 109 : : 2018/05/19(土) 22:13:57
    期待!!
  108. 110 : : 2018/05/21(月) 17:36:08
    ……やっぱり凄ぇ賑やかだな。

    多くの人がこの広場から離れては集まってくる。

    ミカサ「ねぇ、エレン」

    エレン「ん? どうした?」

    ミカサ「前から思ってたけど……何でクリスタと仲良いの?」

    出来たらその話はしたくねぇんだが、このまま黙ってるのも不信感を与えるだけだ。

    エレン「……俺はそんな気ねぇよ。ただあいつから話しかけてくるだけで」

    ミカサ「嘘。耳赤くなってる」

    やっぱりダメか。

    ……まぁこいつになら話しても良いか。

    こいつを信頼してないわけではない、むしろ三年前から家族だと思ってるこいつを信頼しないわけがない。

    ただ、それだけヒストリアの問題は深刻なんだ。

    レイス家はヒストリアの存在を認めていないから、この事実を知っている者は何かされるかもしれない。

    最悪の場合差し向けられた殺し屋に殺されるかもしれないため、出来るだけ話さない方が良いと思い黙っていた。

    エレン「……とりあえず静かな場所に行くぞ」

    ミカサ「分かった」

    こいつと裏路地に行き、周りに誰もいない事を確認した後にあいつの事を伝えた。

    ミカサ「……じゃあ彼女の名前は本当は『ヒストリア』なの?」

    エレン「そうだ。この事は絶対に他言無用だぞ」

    ミカサ「分かってる。でもそれと貴方があの人と仲良くする事に関係はあるの?」

    エレン「……親の愛情を受けられず、存在を認められずに孤独に育ったのが可哀想だったから暫く傍にいてやることにしたんだ。そうしてからあいつの笑顔は増えたし意気揚々に生きるようになった」

    あいつと傍にいるようになってからまだ1年も経っていない。

    自分の存在を否定し他人の為に生きていたのに、自分の為に生きて想いを俺に伝えるようになるまで成長した。

    あいつの偽りない笑顔は今となっては俺の宝物だ。

    ミカサ「……そういうことならいいけど」

    その時裏路地の奥の方から悲鳴が聞こえた。

    ミカサ「今の悲鳴は……!?」

    エレン「あっちの方だ。手分けして探すぞ!」

    ミカサと別れて悲鳴が聞こえた方向に向かったが、場所が分からない。

    エレン「くそ! 何処にいるんだ?」

    ???「やめてよ!!」

    左の方から悲鳴が聞こえ、そっちの方向に向かった。
  109. 111 : : 2018/05/22(火) 18:28:20
    サイッコーです!!
    期待!!
  110. 112 : : 2018/05/22(火) 22:55:17
    ヒストリア「こっちだよ!」

    モブ子「うん!」

    私は数人の不審者に追われていた子どもと一緒に逃げている。

    ユミルに駐屯兵要請をお願いしてから悲鳴が聞こえた方向に向かったら、彼らが幼い子どもを追い詰めているのが目に入った。

    誘拐としか思えなかったので、持っていた硬貨を彼らに投げて怯んだ隙に子どもを連れて走った。

    硬貨は本来商品などを買うために使う物だけど、石並みの強度があるため護身武器としても使える。

    今も必死に逃げているけど、裏路地の道を全て把握していないから何処に行けば広場に出られるか分からない。

    ……しまった、行き止まりだ!

    袋小路に入ってしまったためその場から急いで抜け出そうとしたけど、唯一の出口を彼らに塞がれてしまう。

    モブ子「お、お姉ちゃん……」

    子どもは今にも泣き出しそうな目で私を見ている。

    ヒストリア「大丈夫、私が守るから」

    モブ1「おい、大人しくそれを渡せ!」

    それ?

    子どもを道具扱いするなんて……!

    ヒストリア「この子をどうするつもりなの!?」

    モブ2「それを地下都市に連れて行って労働力として売るんだ。子どもは高く売れるからな」

    そういうことね……

    最近子どもを地下都市に誘拐する事件が多発している。

    トロスト区で今まで起きた事件も恐らくこの人たちが犯人だろう。

    モブ3「よく見たらお前可愛いな。お前も地下都市で高く売れそうだぜ」

    モブ4「さぁ来い!」

    必死に抵抗してる間に子どもが一人の男に捕まってしまった!

    モブ子「助けてお姉ちゃん!!」

    ヒストリア「やめてよ!!」

    エレン……助けて……!
  111. 113 : : 2018/05/23(水) 17:59:58
    モブ5「ん? 何だおま、ぐはっ!?」

    誰かが子どもを捕まえていた一人を倒し、子どもを抱いて私の側に駆け寄って来る。

    ……信じてたよ、エレン!

    エレン「ヒストリア、大丈夫か!?」

    ヒストリア「大丈夫! あの人たちが私たちを誘拐しようとしたの!」

    エレン「すぐにこの醜い害虫供を叩きのめしてやるから待ってろ!」

    モブ1「おいおい、4対1で勝てると思ってるのかよ!?」

    モブ2「やっちまえーー!!」

    ……

    やっぱりエレンは巨人化しなくても充分強い。

    相手が拳銃を持ってたら分からなかったけど、ナイフなどの近接武器しかない彼らを4対1の状況で叩きのめした。

    気絶している彼らを後で駐屯兵に引き渡そう。

    エレン「ふー。何があったんだ?」

    私に抱きついてくるこの子を地下都市で売却しようと追いかけてきたことを伝えた。

    エレン「子どもを売るとか最低だな」

    モブ子「怖かったよ……」

    とても怯えているこの子を安心させようと思い切り抱き締め、頭を撫でて上げる。

    子を持った母親はこんな感じなんだろうか……

    ヒストリア「そういえば君の親は?」

    モブ子「……僕、捨てられたんだ」

    ……え?
  112. 114 : : 2018/05/24(木) 23:44:12
    ・・・・・・え?
  113. 115 : : 2018/05/24(木) 23:57:05



    面白いです!




    ので、期待!
  114. 116 : : 2018/05/25(金) 22:03:01
    予想外の回答にエレンも動揺の色を隠せていない。

    エレン「何で君を捨てたんだ?」

    モブ子「僕がいるせいで食料が足りないとか言ってた。食事の時に不機嫌そうなお父さんに叩かれたり、お腹空いたと言うとお母さんに怒られたりされたの。捨てられた日に2人が大喧嘩してたから僕がやめさせようとしたら、元はお前のせいだとかあんたなんか生まなきゃ良かったとか言われて……」

    ……酷い。

    この子は最近捨てられたばかりで、今まで雑草を食べて生活していたらしい。

    そんな生活を続けているせいか、この子の体は痩せ細い。

    ヒストリア「……この子を孤児院に連れて行こうよ」

    エレン「それがいいが、誰が費用払うんだ? 俺もお前もあまりお金がねぇぞ」

    ヒストリア「キース教官ならなんとかしてくれるかもしれない。この子を孤児院の院長に任せた後に事情を説明しに行こう」

    エレン「分かった。その前に駐屯兵を連れてこないとな」

    その後、ユミルが呼んだ駐屯兵たちが彼らを連行した。

    連行する前にトロスト区で他に誘拐した子どもたちの所在を聞いたけど、既に売ったため何処にいるのか分からないらしい。

    何の罪もない子どもたちが犠牲になるのは耐えられない……
  115. 117 : : 2018/05/28(月) 18:20:50
    広場で待っていたみんなに事情を説明し、ヒストリアと一緒に子どもを孤児院に連れて行った。

    院長「分かりました。ではこの子はこちらで引き取らせてもらいます」

    エレン「お願いします。費用に関してはキース教官に伝えておきます」

    モブ子「お兄ちゃんとお姉ちゃん、本当にありがとう!」

    ヒストリア「元気でね。他の子と仲良く暮らすんだよ」

    モブ子「……お兄ちゃんがお父さんでお姉ちゃんがお母さんだったら良かったのにな。お兄ちゃんはかっこ良くてとても強い人で、お姉ちゃんは綺麗でとても優しい人と僕の理想の親だよ」

    院長「確かにお似合いですね」

    エレン「はは……。ありがとうございます」

    ヒストリア「……では私たちは行きますね」

    モブ子「ありがとう~!」

    ……

    さっきからこいつは沈んだ表情をしている。

    まぁ無理もない、子どもを捨てて道具扱いする大人たちがいることを知ったからな。

    親に存在を否定されていたヒストリアは特に辛いだろう。

    ヒストリア「……ねぇ、エレン。ちょっと裏路地に行こ?」

    エレン「いいけど……」

    ヒストリアはすぐに俺に背を向けたが、睫毛に涙が溜まっていたのを俺は見逃さなかった。

    裏路地に行って人気がない場所に来た途端、俺に抱きつき静かに泣き始める。

    エレン「お前は何も悪くねぇよ。お前の親みたいに子どもの存在を否定して道具のように扱う奴らがいけないんだ」

    ヒストリア「うん……ありがとう。もう少しこのままで……」
  116. 118 : : 2018/05/31(木) 18:56:28
    ヒストリアが泣き終わった後、一緒にみんなの所に戻った。

    アルミン「あ、帰って来たね」

    ライナー「クリスタ、本当に大丈夫か?」

    クリスタ「あ、うん。大丈夫」

    ユミル(目が若干赤い……泣いてたな)

    ジャン「しかし、子どもを道具として扱うのは酷えな。人間のすることじゃねぇよ」

    マルコ「他の子も何とか助けられないのかな?」

    アルミン「多分無理だよ。地下都市はかなり広いから隅々まで捜索するのに多くの人員が必要だけど、王政がわざわざそんなことをするとは思えない。それに仮に子どもたちを見つけ出せたとしても彼らを養うお金もかなり必要になる。子どもを育てる事はそんな簡単なことではないんだ」

    ライナー「くそ、どうにかなんねぇのかよ……」

    ミカサ「とりあえず日が落ち始めたから今日は帰ろう。子どもたちのことを考えても私たちにはどうしようもできない」

    ユミル「悔しいがミカサの言う通りだな。訓練生の私たちには何も出来ねぇよ」

    訓練地に帰る道中は誰も口を開かず、暫し沈黙な状況が続いた。

    馬小屋で馬を縄に繋ぎ、寮に帰ろうとした。

    ヒストリア「エレン」

    エレン「ん? どした?」

    ヒストリア「夕食食べたら此処に来て。話したいことがあるの」

    話したいこととは一体なんだろうか……
  117. 119 : : 2018/05/31(木) 21:19:32
    話が進展しましたね。
    ふと思ったのが、ユミルは俺と言うのですね。また新たな発見だと思いました。
  118. 120 : : 2018/06/01(金) 22:13:37
    >>119
    すいません、ユミルは俺ではなく私と言います汗
    間違えていたので修正しておきましたorz
  119. 121 : : 2018/06/03(日) 18:41:04
    夕食後、馬小屋に来た。

    相変わらずこいつは馬の世話をしている。

    エレン「で、話したいことって何だ?」

    ヒストリア「うん……。 私、今日助けた子どもと同じ子を助けてあげたいの。子どもたちが楽しく暮らせるようにしたい」

    エレン「ならまずはウォール・マリアを奪還しないとな。そうすれば食料が増えて孤児の数は減るが、地下都市の孤児達もとなると……」

    ヒストリア「今の王政では無理だよね……」

    今の王政なら、な。

    アルミンもそうだが、俺も王政には不満を感じている。

    ヒストリアが女王になって王政を変えれば可能ではあるが、それはクーデターをするということになる。

    言うまでもなく、今の俺たちにクーデターが出来るわけがない。

    調査兵団に入れば多少成功する可能性が出てくるかもしれないが、それでも無理だろう。

    王政が自分の保守のために人類を犠牲にしているなら話は別だが、それを確認する手段なんてアルミンにも分からないだろう。

    それよりウォール・マリアの奪還に目を向ける方が現実的だと思う。

    なら今の俺たちに出来る事は、奪還を成功させるためにより力を身につける事だ。

    エレン「とりあえず俺たちは訓練生だ。今は力を身につけて今後に備えて置くのがいいんじゃないか? ミカサも言ってたように訓練生では何も出来ないからな」

    ヒストリア「……そうだね。いつか必ず子どもたちを救おうね!」

    エレン「おう!」
  120. 122 : : 2018/06/07(木) 18:28:49
    投稿遅くなってしまいすいません_:(´ཀ`」 ∠):
  121. 123 : : 2018/06/07(木) 18:29:33
    6月1日、休日にみんなで女子会をすることになった。

    ユミル「正直めんどくさいんだが参加しないとダメか?」

    サシャ「ダメですよ! せっかくの女子会なんですから!」

    ユミル「はいはい、分かったよ。クリスタも参加するか?」

    クリスタ「私も参加するよ! みんなで楽しい女子会にしようね!」

    ……

    モブ女1「えーというわけで女子会始めよう!」

    周囲から歓声が上がり、みんなで手分けして作った料理を食べながら雑談をする。

    新鮮な野菜をふんだんに使ったサラダや捌いて焼いた魚の塩焼きなど色々ある。

    ミカサ「美味しい……!」

    サシャ「いつも芋と豆が入ったスープとパンでしたからね! それにみんなが一生懸命作った物ですから美味しくて当然ですよ!」

    ユミル「お前は腹減ってたら何でも美味しいと言いそうだけどな」

    サシャ「そ、そんなわけないですよ~!」

    みんなが楽しそうで私も嬉しい。

    モブ女2「そういえばクリスタは気になってる男子とかはいるの?」

    クリスタ「え? い、いないよ~」

    気になってるというか恋人が既にいるけど、そんなことを言えるわけがないので嘘をついておく。

    モブ女3「クリスタならいそうだと思ってたんだけどなぁ」

    クリスタ「じ、じゃあもしいるとしたら誰だと思う?」
  122. 124 : : 2018/06/07(木) 23:21:56
    アルミン
  123. 125 : : 2018/06/08(金) 01:14:05
    ライナー
  124. 126 : : 2018/06/10(日) 16:25:54
    期待してます。
    頑張ってください。
  125. 127 : : 2018/06/14(木) 22:52:13
    モブ女1「ライナーかな。とても仲間想いで体格も良くてカッコいいよね!」

    モブ女2「そうだよね~。女子の中では人気高いよね~」

    ライナーは確かに仲間想いで助けを必要としてる人をいつも助けてくれるし、立体起動・対人格闘術・座学の三つとも好成績である。

    良い人ではあるけど、恋愛感情は持ったことはないかな……

    クリスタ「他には?」

    モブ女3「アルミン! 運動は不得意みたいだけど凄く頭良いし見た目が可愛いよね!」

    アルミン……その頭脳の良さからとても頼りになる人だけどライナーと同じく感情を持ったことはない。

    彼も良い人ではあるんだけれど……

    クリスタ「なるほどね。他にいる?」

    ミカサ「……エレン」

    ミカサの言葉に思わず動揺してしまう。

    ユミル「エレン? あいつ異性に興味あったか?(エレンの話はさせたくないんだけどな)」

    ミカサ「……とりあえず聞いておこうと思って」

    サシャ「でも彼、あの教官から彼女を身を呈して守ってくれたから可能性としてはあるんじゃないですか!?」

    モブ女1「いやいや、エレンはないでしょ~。あの人巨人のことしか考えてないんだから」

    モブ女2「成績やルックスは良いんだけど、顔が少し怖いんだよね。何考えてるか分からないというか」

    エレンって意外とモテないんだね……
  126. 128 : : 2018/06/21(木) 23:51:21
    期待してます。
  127. 129 : : 2018/06/25(月) 16:41:21
    多忙な日々が続いてて連絡遅くなってしまいすいません汗
    設定やシナリオを一から見直したいので、少し待ってもらえないでしょうか?m(_ _)m
    本当にすいません、しかしこのssは完結させるつもりです。
  128. 130 : : 2018/06/26(火) 00:00:05
    がんばれー
    待ってるでー
  129. 131 : : 2018/08/16(木) 13:10:20
    期待して待ってます!!!!!!!
  130. 132 : : 2018/08/18(土) 18:26:45
    待ち遠しいです。
    待ってます。
  131. 133 : : 2018/08/19(日) 00:15:16
    現パロ主流の作品が多い中、貴重な原作ベースのストーリー…しかもエレヒス!!
    ああ続きが読みたい
    作者さんおねがいたします!
  132. 134 : : 2018/08/23(木) 19:35:24
    何だかループしたエレンみたいだな(ネタバレになるかも)。
    いや、ループにはならないか(^▽^;)
  133. 135 : : 2018/09/23(日) 12:47:46
    この作品は傑作です。
    楽しみにしています。
  134. 136 : : 2018/11/06(火) 02:14:13
    読み返して貰い泣きしてます。
  135. 137 : : 2019/05/02(木) 20:54:53
    多忙なのですね。待ち遠しい気持ちで一杯です。

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