この作品は執筆を終了しています。
変化は突然に【エレミカ】(番外編)卒業旅行!
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- 1 : 2018/03/11(日) 00:54:23 :
- どうも、春風です!
この作品は執筆終了した前作、変化は突然に【エレミカ】の番外編となっております。
番外編は本編よりかなり短くなる予定です。
読んでない方はぜひ、本編を読んでからお越し下さい!
http://www.ssnote.net/archives/57630
注意事項
・エレミカ中心の作品ですが、その他cp要素も見られます。
・世界観や設定などは本編をご参照ください。
・荒らし、迷惑行為等はご遠慮ください。
以上を理解した上でお読みください!
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- 2 : 2018/03/11(日) 01:27:13 :
俺たちが高校を卒業してから4ヶ月。
みんな進んだ先で落ち着きを見せた頃、俺たちの卒業旅行が行われた。
メンバーは決まって俺とミカサ、アルミンとアニ、それとジャンとなっている。
海に行った時はクリスタもいたが、クリスタは卒業生ではないので今回は遠慮してもらった。
それぞれが都合の合う日を連絡しながら旅行の日時を決めた。
7月
俺たちは5人揃って水族館の前にいた。
ジャン「なぁ、なんで卒業旅行が水族館なんだ?」
ジャンが不満そうな声で言う。
ここまで来といて今更だが。
ミカサ「アルミンの提案」
アルミン「僕とエレンは昔から海が好きだからね」
ジャン「それなら普通に海でも良かっただろ」
アニ「それは私たちが断った」
ジャン「なんで」
アニ「去年より気温が一段と上がってる、長く日に当たってると干からびちまうよ」
エレン「相変わらずお前の冗談は面白くねぇな」
アニ「ふーん…」
エレン「てっ!!」
エレンの足にアニの蹴りが素早く入り、エレンはその場にうずくまる。
ミカサ「とにかく、外よりは室内の方がいいということになった」
ジャン「なるほどな、どうりでディ○ニーランドとかU○Jとかも行きたくないってうるさかったのか」
アルミン「今は夏のイベントとかもやってるけど、長蛇の列も嫌だしね」
エレン「水族館だっていいじゃねぇか」
ジャン「お前もう平気なのか?」
エレン「なんとかな…」
ミカサ「私は今まで水族館に来たことなかったから、すごく楽しみ」
ミカサの言葉に全員が驚嘆の声を漏らす。
エレン「ミカサ、来たことなかったのか!?」
ミカサ「うん…おかしい?」
エレン「おかしくはないけど、昔はアルミンとかともよく行った覚えがあるから…」
アルミン「僕とエレンはよく一緒に行ってたけど、ミカサは確かにいなかったかも」
ミカサ「とても残念…」
エレン「いや」
ミカサ「?」
エレン「なんでも初めてが一番楽しいからな!今日は俺が案内してやるよ」
ミカサ「!…わかった」
アルミン(エレン張り切ってるなぁ……僕も)
アルミン「じゃあアニは僕が案内するよ」
アニ「助かるよ」
ジャン「おいおい待て待て!」
エレン「ん?どうした?」
ジャン「どうした?じゃないだろ!これじゃあ俺が一人になるだろ!」
エレン「嫌か?」
ジャン「嫌も何も、卒業旅行だぞ?デートしに来てるんじゃねーんだぞ?」
ジャン「一番お前らに会えねぇのは俺なのによ…」
ミカサ「…!」
ジャンが小さく呟いた言葉がかすかににミカサの耳に届く。
エレン「ジャン、さっきからいちいち…」
ミカサ「みんなで行こう!」
ミカサはそう言って俺とジャンの腕を掴む。
エレン「ミカサ!?」
ジャン(ミカサの手…!)
ミカサ「卒業旅行はみんなで楽しまないと」
アルミン「…そうだね!」
アニ「同感」
エレン「しょうがねぇな」
この時、何気ない会話や口論ができることの楽しさを各々が感じていた。
俺たちの卒業旅行が始まる…!
エレン(旅行…か?)
僅かな疑問を携えて…
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- 3 : 2018/03/11(日) 02:07:21 :
-
入館してから数分。
ミカサが一つの水槽をじっと見つめていた。
エレン「何見てんだ?」
ミカサ「くらげ」
そう言ってミカサが指差す先には、水槽の中をふよふよと泳ぐ複数のくらげの姿があった。
エレン「……好きなのか?」
ミカサ「初めて見たから分からないけど、かわいいと思う」
エレン「かわいい…か?」
ミカサ「エレンは思わない?」
エレン「うーん…」
再びくらげを見つめるが、いまいち感想が思いつかない。
エレン「俺はこういうのよりサメとかの方が好きだ」
ミカサ「そんな感じする」
エレン「それって……なんで?」
ミカサ「なんとなく?」
エレン「なんだそれ」
ミカサ自身もよく分からないといった感じの仕草を見せ、思わず笑う。
エレン「しかし、ミカサはこういうのが好きだったんだな」
ミカサ「見てると…落ち着く」
黙ってガラスの向こう側を見つめるミカサの姿は、まるで感情を失った時の"それ"だが…
ミカサ「エレンは見てると落ち着かない」
エレン「悪かったな…」
ミカサ「でも心があたたかくなる」
エレン「それはいい、ずっと見てるといいぞ」
ミカサ「言われなくても、私はエレンしか見ない」
エレン「今はくらげだけどな…」
ミカサ「くらげにまで嫉妬してるの?」
そう言ってミカサは笑う。
エレン「…かもな」
この笑顔を見れば、心の隅にある不安さえも消し飛んだ。
エレン「他に見たいものとかないのか?」
ミカサ「アシカを見てみたい」
エレン「それって、ショーか?」
ミカサ「そう、アシカのショー」
エレン「始まるまで時間があるな、どうする?」
ミカサ「私は……もう一度くらげを見てこよう」
エレン「本当好きだな」
再び戻ってきたくらげの水槽の前にはジャンの姿があった。
ジャン「ミカサ!」
ミカサ「ジャンもくらげを?」
ジャン「も…って、ミカサも見たいのか?」
ミカサ「うん、くらげが好きみたい」
ジャン「マジで!?俺もくらげ好きなんだよ!」
ミカサ「!」
遠目でも分かるほど、ミカサの顔が明るくなるのが分かった。
ジャン「なんかふよふよして…見てて落ち着くというか…」
ミカサ「とても分かる!」
ジャン「なんか見た目も可愛いしな」
ミカサ「ジャンは見る目がある」
エレン「………」
ジャンとミカサのやり取りを見ていると、自分の中で苛立ちが生まれてくるのが分かった。
自分ができなかったことをジャンがこなしている。
ミカサを笑顔にできるのはお前だけじゃない、そう言われているようだった。
エレン(俺はいつからこんなに独占欲が強くなったんだか…)
ジャン「写真…一緒に撮らないか?」
ミカサ「え…?」
ジャン「くらげを背景にさ……嫌か?」
ミカサ「全然、嫌じゃない」
ジャン「それじゃもっと寄って…」
ミカサ「こう…?」
ジャンに指示されるがままに体を寄せていく。
ジャン「はいチーズ……おけ!」
ミカサ「ありがとう」
ジャン「いや俺こそありがとな!」
ジャンは写真を嬉しそうに眺めながら次のブースへと向かっていく。
再びくらげに視線を向けるミカサの体を俺は寄せた。
ミカサ「エレン…?」
そのままミカサの首筋にそっとキスをする。
ミカサ「え、エレン!?こんなところで…」
エレン「ジャンは可哀想だな…」
ミカサ「え…?」
エレン「俺はもう、ミカサの全部を知ってるのに」
ミカサ「っ!!」
俺が耳元で囁いた言葉に対し、ミカサの顔は真っ赤に染め上がった。
ジャンは笑顔にできても、ミカサをこの顔にはできないだろう。
俺は自分が思っているよりも嫉妬深いみたいだ。
調子に乗りすぎただろうか、
この後平手打ちが飛んできた。
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- 4 : 2018/03/11(日) 21:22:59 :
- 水族館になるとは思ってませんでした!
いい感じですね!!
期待してます!!!
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- 5 : 2018/03/12(月) 00:08:22 :
- >>4
絶対に行かなそうなとこ書いてみたくて…笑
ありがとうございます!
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- 6 : 2018/03/12(月) 00:37:27 :
- 期待ですよ!
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- 7 : 2018/03/12(月) 00:40:37 :
エレン「いてて…」
アルミン「エレンどうしたの、頬が腫れてるよ?」
エレン「いやちょっとな…」
エレン(あんなに怒らなくても…)
あの後、ミカサは怒った顔をして一人でスタスタと進んでいってしまった。
あまりに予想外の反応だったので思わず肩を落としたものだ。
エレン「そういやアニは?」
アルミン「アニならジャンと深海魚のコーナー行くって言ってたけど?」
エレン「アルミンはいいのか?」
アルミン「僕はああいうの苦手で…」
エレン「そうじゃなくて」
アルミン「?」
エレン「アニがジャンと二人きりでいるの、嫌じゃないのか?」
アルミン「へ…?」
アルミンは一瞬間抜けな声を出してから、次第に笑い出した。
エレン「なんで笑うんだよ」
アルミン「だって…なんで僕がそんな心配をしなきゃいけないのさ」
エレン「はぁ?普通彼女が男と二人っきりでいたら心配になるだろ!」
アルミン「ならないよ、だってアニを信用してるし」
エレン「まぁそうだけど…」
アルミン「それに相手はあのジャンだよ?」
エレン「お前って時々そういうこと言うよな…」
俺もミカサを信用していないわけじゃない。
ただこの思いは、俺自身がミカサを独占したいだけなんだろう。
アルミン「もしかして、これ関係でミカサとなんかあったの?」
エレン「なんで俺がミカサと何かあったみたいになってるんだよ!」
アルミン「その頬の腫れ方、完全に平手打ちされた後だし」
エレン「っ!」
アルミン「エレンは調子に乗るといつもミカサを怒らせるし」
エレン「…お前には敵わないな」
アルミン「昔からの友達を舐めないことだね」
互いに笑い合う。
9年前から今まで、アルミンは俺のかけがえのない友達だ。
そしてこれからも。
エレン「これからもよろしくな、アルミン」
アルミン「こちらこそ」
その頃、深海生物コーナー。
ジャン「なんだこれ…」
アニ「グソクムシ?って言うらしいね」
数多い足をウネウネと動かし、水中を動くソレを二人は見ていた。
ジャン「なんか……おもしろいな」
アニ「おもしろい」
ジャン「お前でもおもしろいとか言うんだな!」
アニ「あんたは私をなんだと思ってるんだよ…」
アニにそう言われ、ジャンは普段のアニの姿を考え唸る。
ジャン「いつもは…本音を隠して、取り繕ってるように見えるな」
アニ「は?」
ジャン「本当はアルミンに甘えたかったり、女の子らしいことを堂々としたいとか思ってるんじゃないのか?」
アニ「な…!別に私は…」
明らかにアニが動揺しているのが分かる。
ジャン「たまには本音で話そうぜ?」
アニ「っ!あんたこそ…」
ジャン「ん?」
アニ「いつも本音を隠して取り繕ってるじゃないか」
ジャン「俺が?こんないつも堂々としてるのにか?」
アニ「その堂々としてる態度が逆に取り繕っているんじゃないのかい?」
ジャン「っ!」
アニ「図星みたいだね」
ジャン「意外と俺のこと見たんだな」
アニ「アルミンといつも一緒にいたからね」
ジャン「そういうことね」
アニ「ミカサに振られて、悲しくて悲しくて仕方ないくせに」
ジャン「別にそこまでじゃ…!」
アニ「本音で話そうって言ったのはどっち?」
ジャン「くっ…!」
アニが得意げな顔をする。
ジャンはしてやられたというふうに悔しがる素振りを見せた。
ジャン「俺たち同類ってことだな!」
アニ「そういうことになるけど…」
アニ「あんたと一緒だとは思われたくないわ」
ジャン「 」
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- 8 : 2018/03/12(月) 00:41:29 :
- >>6
期待ありがとうございます!
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- 9 : 2018/03/12(月) 01:17:02 :
-
エレン「おいミカサ!」
ミカサ「………」
エレン「待てって!」
ミカサ「…!」
早足で逃げていくミカサを追いかけ、ついにその腕を掴む。
エレン「なんでそんな怒ってんだよ」
ミカサ「別に怒ってない」
エレン「じゃあなんで逃げてる」
ミカサ「逃げてない、歩いているだけ」
エレン「じゃあもっとゆっくり歩けよ」
ミカサ「これが普通」
何を言っても否定するように答えるミカサに、思わずため息をつく。
エレン「初めての水族館なんだからさ、もっと楽しもうぜ」
ミカサ「……エレンのせい」
エレン「え…?」
ミカサ「エレンがこんなところで…あんなことするから」
そう言って俺にキスをされたところを手で触れる。
エレン「ミカサ…お前」
エレン「顔赤いぞ?」
ミカサ「っ!」
指摘されミカサは顔を両手で覆う。
エレン「もしかして…恥ずかしかったか?」
ミカサ「は…恥ずかしいに、決まってる」
そう言ってさらに顔を隠してしまう。
エレン(かわいい…)
エレン「ごめんなミカサ」
ミカサ「………」
エレン「俺、ミカサがそんなに恥ずかしがってるなんて知らなくて…」
ミカサ「そこまで恥ずかしがっては…!」
エレン「家ではいつも一緒だから、少し離れると我慢できなくて」
ミカサ「エレン…?」
エレン「外でもお前とずっとそばにいたくて」
ミカサ「エレンもういいから…」
エレン「ミカサにずっと触れてたくて」
ミカサ「分かったから…!」
エレン「ミカサが好きで…」
ミカサ「もう無理…」
そう呟いてミカサはうずくまる。
顔を隠していても、耳が真っ赤になっているのが分かる。
照れが頂点に達したのだろう。
エレン(わざとだけど)
エレン「ミカサ、大丈夫か?」
ミカサ「大丈夫じゃない」
エレン「ショーもうすぐ始まるぞ」
ミカサ「うう…」
嫌々立ち上がる。
よっぽどショーが楽しみなのだろう。
エレン「家だとそんなになんないよな?」
ミカサ「外では恥ずかしい…」
エレン「そういうものか?」
ミカサ「そういうもの」
エレン「じゃあ外では控えるか…」
そう言ってミカサから離れようとすると、服の袖をミカサに引っ張られる。
エレン「どうした?」
ミカサ「別に嫌なわけじゃ…なくて」
エレン「なくて?」
ミカサ「むしろ嬉しいというか…ただあまり大胆なのは……だから」
ミカサが俺の手を握る。
ミカサ「手を繋いだりそういうのは…したい」
照れながら一生懸命話すミカサの姿は、普段の何倍もかわいく見えた。
普段からかわいいけど。
エレン「じゃあアシカのところに行きますか!」
ミカサ「おー!」
手を繋ぎ、歩き出す。
この笑顔を見るたび、今までの苦難を思い出し、今の幸せを噛みしめる。
ミカサ「エレン、さっきはごめんなさい…」
ミカサが平手打ちをした頬を指差す。
エレン「ああ…俺も悪かったし、別にいいよ」
ミカサ「家に帰ったら存分に甘えてくれていい」
エレン「お、おう…」
エレン(結婚しよ)
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- 10 : 2018/03/12(月) 15:31:52 :
- ミカサかわいいーー!
期待です!!!
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- 11 : 2018/03/13(火) 00:21:45 :
- >>10
かわいく見えて良かったです…
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- 12 : 2018/03/13(火) 00:50:07 :
ミカサ「わぁ…!」
アシカのショーが始まってからミカサはずっとはしゃぎっぱなしだった。
ミカサ「すごい!どうしてあんなにボールを操れるの!?」
エレン「それは猛特訓してるからじゃないか?」
ミカサ「いや、あの子にはきっと類い稀な才能が…」
エレン「そうか…?」
ミカサ「だってエレンにあれができるの!?」
エレン「いや俺アシカじゃないし…」
他の観客にも迷惑になりそうな程盛り上がっているミカサを必死に抑えながら話を聞く。
こう見えて俺もショーを楽しんでいる。
ただ、ミカサの熱量がすごいあまりに差を感じるだけだ。
初めてとはいえこんなにも喜んでくれるとは思いもしなかった。
ミカサ「見てエレン、今なら触ってもいいみたいだよ」
エレン「ミカサ行ってこいよ」
ミカサ「エレンも一緒に行こう」
腕を引っ張り、半ば無理やりアシカの方へと連れて行かれる。
アシカは観客に反応し、こちらへと近づいてくる。
目の前に来たアシカをミカサが撫でる。
ミカサ「間近で見ると本当にかわいい…」
ミカサに撫でられているアシカはなぜかとても嬉しそうに見えた。
エレン(そういえばこいつオスとか言ってたっけ?)
ミカサ「ほらエレンも」
エレン「おう…」
アシカに触れようとしたその時、
アシカは急に回転し、俺の手を尻尾で払った。
エレン「な…!」
エレン(こいつ…!)
「普段はこんなことないんですけど…」と言いながら係員がアシカを落ち着かせる。
ミカサ「エレン大丈夫?」
エレン「ミカサ…」
ミカサ「なに?どこか痛い?」
エレン「病気、治ってるか?」
ミカサ「それはもちろん、いきなりどうしたの?」
エレン「いや…お前は病気なんかなくても人や動物に好かれるんだなって」
ミカサ「??」
ミカサは訳がわからないという風に首をかしげる。
アシカを見ると俺を睨んでいるように見えたので負けじと睨み返してやった。
ミカサ「エレン目が怖い」
土産コーナー
アルミン「エレンとミカサ、ショー見てたの!?」
エレン「ああ」
アルミン「言ってくれれば皆で行ったのに…」
エレン「ごめん、忘れてた」
アルミン「やっぱり…」
アルミンがあからさまに肩を落とす。
正直、本当にみんなのことを忘れていた気がする。
卒業旅行なのにデートをしている気分だった。
ミカサ「アニとジャンは?」
アルミン「二人はもう先に土産を選んでるみたいだよ」
エレン「また二人でいるのか、あいつら意外と仲がいいんだな」
アルミン「まぁ似た者同士だからね」
エレン「あの二人が!?俺には真逆にしか見えないな…」
ミカサ「本音を隠そうとして丸見えなとこ…とか?」
アルミン「それを言ったら二人が可哀想だ…」
そうして俺たちも土産コーナーに入っていく。
中には既に多くの土産を持つジャンとアニの姿があった。
アルミン「そんなに多くの土産どうするの…」
ジャン「えと…会社の人、とか?」
アニ「家族に…?」
アルミン「考えなしに行動するところも似てたんだね…」
-
- 13 : 2018/03/13(火) 23:56:00 :
ミカサ「………」
ミカサが悩み顔をしてイルカのオブジェを見つめている。
エレン「どうした?」
ミカサ「これ…家に飾ったら綺麗かなって」
エレン「たしかに綺麗だな、けど少し大きくて置き場所に困るな」
ミカサ「そうなの、もう少し小さいのがあればいいのだけれど…」
エレン「それに俺は飾るならあっちの方が…」
ジャン「おいエレン」
指を指した先にジャンが立ちはだかる。
ジャン「いくら彼氏だからって、人ん家の飾りまで口挟まなくたっていいだろ」
エレン「は…?」
ジャン「何を飾ろうがミカサの自由だろ」
エレン「ミカサに自由に飾られたら俺にも迷惑だろ」
ジャン「お前そこまで図々しいのか!?」
エレン「はぁ?さっきからお前何言ってんだ?」
ジャン「それはこっちのセリフだ!」
ジャンが俺の胸ぐらを掴み、それと同時に俺もジャンの胸ぐらを掴む。
その光景を懐かしく思ったのか、隣にいたミカサが笑い出す。
エレン「…なんだよ」
ミカサ「エレンとジャンは変わらないなって」
エレン「悪かったな」
ミカサ「いいと思う」
エレン「お、おう…?」
ジャン「そ、そうか…?」
ミカサの思わぬ反応に俺たちは互いに手を放した。
ミカサ「あと、ジャンが言いたいこともわかった」
ジャン「だろ?さすがにここまでは…」
ミカサ「ジャンに言っていないことがあった」
ジャン「言っていないこと?」
ミカサ「私とエレンは少し前から同棲している」
ジャン「………は?」
エレン「そういや言ってなかったな、てか言う必要もないしな」
ミカサ「同棲していることを知らないから、ジャンがこうして言ってしまうのも仕方ない」
ジャン「エレン…それは本当なのか?」
エレン「今ミカサが言っただろ」
ジャン「ふざけんなよテメェ!!」
エレン「はぁ!?てか胸ぐら掴むのいい加減やめろよ!服が破けちゃうだろ!」
ジャン「服なんてどうでもいいだろうが羨ましい!!」
この後、俺たちの取っ組み合いは更に過激化した為ミカサとアルミンが全力で止めにかかった。
ミカサ「変わらないのはいいと言ったけど、大学生になってまで店で暴れられるのは困る」
エレン「すいません…」
アルミン「ジャンもいい加減にしなよ…」
ジャン「だってよ…」
アルミン「まだ諦めきれてないの?」
ジャン「だって同棲だぞ!?」
ジャンは目に溢れてきた涙を袖で拭う。
アルミン(これは重症だな…)
アルミン「それにしても同棲なんて…僕とアニすらしてないのに、親とか平気だったの?」
エレン「うちとミカサの家は昔から顔見知りだからな」
ミカサ「病気の件で色々お世話になったことで話も通じやすかった」
アルミン「いいなぁ…」
アニ「アルミン、同棲願望とかあったの?」
アルミン「もちろんあるよ!」
アニ「そうだったんだ…私はてっきり…」
エレン「アルミンはアニの親と話したことあるのか?」
アルミン「あるけど…」
そう言ったアルミンはどこか歯切れが悪い。
エレン「なんだよ、何かあったのか?」
アルミン「いや…」
アニ「うちの親、結構怖いって近所でも評判だから」
アルミン「さすがはアニを育てた親だよ…」
アニ「それどういう意味?」
アルミン「悪い意味じゃないよ…!」
ミカサ「二人も早く一緒になれるといいね」
アニ「うん…ありがとう」
ミカサがアニを応援する姿を見て、俺もアルミンの背中に喝を入れてやった。
稀に発揮するアルミンの勇気を、ぜひアニの親の前でも発揮してもらいたいものだ。
エレン「がんばれよ」
アルミン「うん…」
ジャン「これ以上俺を悲しませないでくれ…」
-
- 14 : 2018/03/14(水) 00:17:05 :
エレン「ほらジャン」
一人うずくまるジャンに手を差し伸べる。
ジャン「エレン…」
エレン「今日は卒業旅行なんだからさ、お前にも楽しんでもらわなきゃ困る」
ジャン「主に悲しみの原因はお前らだけどな……けど」
その手をジャンが掴む。
ジャン「湿気った雰囲気出しても仕方ないよな!」
エレン「そうだ、それがジャンだ」
ジャン「俺だってお前以上…ってのは無理だけど、相手すぐに見つけてやるよ」
エレン「おう」
アルミン「エレン、ジャン!」
エレン「どうしたアルミン」
アルミン「見てこのキーホルダー!」
そう言ってアルミンが持ってきたのは、5体がそれぞれの色に輝くイルカのキーホルダーだった。
エレン「イルカ?」
アルミン「ミカサが選んだんだ、丁度5種類あるし皆でお揃いにしようって」
ジャン「いーなそれ!」
エレン「俺も賛成だ」
皆で色を選び、それを手に取る。
エレン「友情の証、ってやつか?」
ジャン「キーホルダーごときに証なんて言いたかねーけど」
アルミン「いいんじゃないかな」
ミカサ「イルカかわいい…」
アニ「お揃い…」
側から見ればそれはただのイルカのキーホルダーだ。
しかし、このキーホルダーには確かに俺たちの想いがそれぞれに込められていた。
-
- 15 : 2018/03/14(水) 01:02:55 :
土産を買い終えた俺たちは水族館を出た。
この卒業旅行も、もう終わりだ。
ジャン「はぁー…明日からまた仕事だ」
アルミン「社会人って大変?」
ジャン「んー…まぁな」
エレン「まだ俺らには考えられねぇな」
ミカサ「エレン、帰りに買い物しないと夕飯が」
エレン「そうだった…」
アニ「なんかそういう会話羨ましい…」
ミカサ「現実はお互いバイトもいっぱいで大変…」
アニ「でもいつか…」
アルミン「近々ね」
アニ「楽しみにしてるよ」
ジャンは車で来たと言うので、そのまま駐車場に向かい別れることになった。
ジャン「お前ら幸せになれよ!」
エレン「お前もいい人見つけたらすぐ言えよ!」
ジャン「暇になったらまた遊ぼうぜ!」
アルミン「次は男だけでもいいかもね」
ジャン「ああ、楽しみにしてるぜ」
窓から手を振り、ジャンは車を走らせ去っていった。
アルミン「僕らも明日は早いから帰らないと」
アニ「二人はどうする?」
エレン「俺は…もう少し後に帰るわ」
ミカサの方をちらりと見やる。
ミカサ「私はエレンと帰るから」
アルミンは俺とミカサを見て何かを察したように頷く。
アルミン「そっか、二人とも気をつけてね」
エレン「そっちこそな!」
そうしてアルミンはアニの手を引き、駅の方へと帰っていった。
俺もまたミカサと手を繋ぎ、駅とは逆に海の方へと歩いていった。
海には既に人影はなく、空には月が浮かんでいた。
その月明かりだけが俺たちを照らしていた。
ミカサ「夜の海も綺麗…」
エレン「そうだな」
ミカサ「今日は本当に楽しかった」
エレン「ああ…」
ミカサ「私、あの時のまま……感情を失っていたらこんな楽しい気持ちにはなれなかった」
ミカサ「エレンと出会えていなかったら、この時間は訪れなかった」
エレン「ミカサ…」
ミカサ「エレン…私と一緒にいてくれてありがとう」
月明かりに照らされたミカサの笑顔は、目の前に広がる海よりも美しかった。
それに導かれるように俺はミカサを抱きしめた。
優しく、でもミカサを放してしまわないように。
エレン「俺も…お前がいてくれたからここまでこれた」
エレン「ありがとな、ミカサ」
ミカサ「そんな…私はエレンに迷惑をかけてばかりで…」
エレン「こういう時は素直に受け取っておけよ…」
ミカサ「これからも迷惑をかけてしまうかもしれない…それでもいい?」
エレン「そんなん今更だろ」
ミカサ「やっぱり今までずっと迷惑を…」
エレン「たく…お前は少し自分に自信を持て」
ミカサの頭を乱暴に撫でる。
ミカサは髪が乱れるのを嫌うが、せっかくのいいムードを壊されたのだ。
少しは乱暴してもいいだろう。
エレン「例えこの先、お前にどんなことがあってもまた俺がなんとかしてやる」
エレン「これからもずっと、俺が何度でも」
そう言ってミカサの左手の薬指に指輪をはめる。
しかしそれはまともな指輪ではなく、先程の土産屋で買った安っぽい指輪。
ミカサ「これは…?」
エレン「まぁ予約?みたいな…」
エレン「結婚は大学出てからじゃないとダメって言われてるし……同棲すら認めてもらうの苦労したからな」
ミカサ「つまりこれは…プロポーズ?」
エレン「まだちゃんとした形じゃないけど一応…」
ミカサ「ふふ…」
エレン「なんだよ」
ミカサ「こんなことしなくても…ここはエレンのためだけにしか取っておく気はないのに」
エレン「悪い虫がつかないようにもな」
ミカサ「エレンはすぐ嫉妬するから」
エレン「うるせ」
俺たちは何も変わってなどいない。
互いを信じていられるのは病気がなくなったからなんてことはない。
積み上げてきた時間があるから。
エレン「ほら早く帰ろうぜ、俺たちの家に」
ミカサの手を引く。
俺たちには、帰るべき場所があるから。
数々の変化の中で手に入れたのは
かけがえのない友情
かけがえのない大切な人
この出会いを生んだのは
誰一人として欠けることのできない物語
fin
-
- 16 : 2018/03/14(水) 01:09:10 :
これにて番外編完結となります!
早々に終わったこの作品、ぶっちゃけ私の自己満足です…
すいません!
少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです^ ^
卒業旅行を書くという希望も本当に嬉しかったです!
また既に別の話も考え中です。
エレミカ、まだまだ書いていきたいです!
-
- 17 : 2018/03/14(水) 01:11:29 :
- イチャコラは本当に書くのが難しいです…
私の力不足でイチャコラ描写を多くすることができませんでした…
他作品を見て勉強して参ります!
-
- 18 : 2018/03/14(水) 22:40:21 :
- 自分が卒業旅行書いてほしいって言いましたけど予想以上におもしろかったです!!!
最高でした!!!
また次回作期待してます!
-
- 19 : 2018/03/14(水) 23:34:00 :
- >>18
ありがとうございます!
予想以上なんて、嬉しいです!
次作は明日から更新予定としております!
-
- 20 : 2018/03/15(木) 21:38:23 :
- とても面白かったです♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪
次作期待です╰(*´︶`*)╯
-
- 21 : 2018/03/16(金) 00:20:00 :
- >>20
ありがとうございます!
見てくださってとても嬉しいです!
-
- 22 : 2018/03/16(金) 00:42:31 :
- 次回作です!
こちらの話とは関係ありません。
http://www.ssnote.net/archives/58243
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