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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

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【安価】真宮寺「これは…」 夜長「天神小学校…?」chapter:04

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  1. 1 : : 2018/03/01(木) 01:21:38

     (※毎度お馴染みの誤字・脱字の量でございますがお許しを…※) 

    (※この作品は『コープスパーティー』とのコラボ作品となります。基本はコープスのストーリーに沿ってますが、オリジナル展開も予定しています※)

    (※なお、今回はホラー・エロ・グロ、CP要素がもりもりあります※) 

    (※chapter事に視点が変わります、さらに同じchapter内でも視点が変わるので見辛いかもしれません※) 

    (※また死ぬキャラクターが多数でるので、推しのキャラが退場しても許しください※) 



    ・登場人物 

    ニューダンガンロンパV3 メンバー
    (希望ヶ峰学園の制服を着てるイメージをしております)


    ・舞台設定 

    育成計画+α 『希望が峰学園79期生』設定 
    というより紅鮭の方が近いかも…… 


    ・前説

    それはある日の夕暮れのこと。
    怪談話をしていく最中、才因組のクラスメイトたちはあるおまじないをすることに…

    …それが、禁じられた『呪いの類い』であることを知らずに……



    (※基本は安価は選択制オンリーですが、秒数安価もあるかも知れません※) 

    (※では、今回もスタートします。完 全 に 二番煎じです、先に作成した方申し訳ありません……(汗)※) 

    (※今回は進行上、期待とうの感謝の言葉が言えないのでこの場でお礼申し上げます※) 

    (※鈍行列車や徒歩よりも遅い進行ですが、生暖かい目線、保護者の目線で見守ってやってください※)

    (※なお『 pixiv 』でも追っかけでかつ、別視点で進行しております、そちらもどうぞご覧下さい※)
    リンク先
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8648065
  2. 2 : : 2018/03/01(木) 01:22:24



    …どうして、こうなったのでしょうか…

    転子にはさっぱりなのですが…でも、それでも―――なんで、どうして、みんなが、ああなっちゃったんですか?!


    夢野さんとも逢えないままですし、何よりも―――

    転子以外居るのが男死ってのが、どうしても…許せません!!
    つくづく縁がないのですかっ!?…全くもう…

    それにしても―――夢野さんは大丈夫…なのでしょうか…?
    転子は心配です…突然居なくなってしまった最原さんのこともノミの心臓の位は心配していますが…



  3. 3 : : 2018/03/01(木) 01:22:53

    【 chapter:00 】『 ???? 』side



    ズル…ズル…


    何かを…引きずっているの?…手の中にあるのは誰だろう。
    なんでもいいんだけど…でも

    ズル…ズルッ…

    その『 誰 』は人みたい。僕よりもはるかに小柄なひと。
    気を失わせた『 誰 』かを引っ張って――――何処かに連れ去ろうとしてるんだ。何処かは分からないよ、でも『 あの子 』の所に連れていくんだ。『 あの子 』が僕の帰りを待ってるから…

    ズルッ、ズルッ…

    『 あの子 』に渡そうとしてるこの『 誰 』はなんだろう。頭が酷く痛くて考えたくない――けど、この手で引っ張ってる『 誰 』かはきっと僕のよく知る人物…なんだっけ?覚えてないけど、きっとそうなのかな?

    ??「…うっ…いた……っぅ。…ダメ…だ……太、や………」

    呻き声をあげてるから目を醒ましたみたいだね。僕はそこで立ち止まった。『 誰 』が流した血が転々と廊下に跡を残してるのを見て見ぬふりをする。
    『 誰 』はゆっくりとした動作で手をこっちに伸ばしてくるんだ。真っ赤に濡れた顔は懐かしくて――段々と僕の意識を奪っていく。

    ??『……ダメなのは……キミ…だよ……』

    ??「お…いっ――っ!!やめっ――――」

    血に濡れた顔が強ばった。普段はそんな顔僕に向けたりしないくせに――――少しだけ良心が痛むけど、もう少しだけ眠ってくれないかな?

    …その少しで楽になれるよ?

    ガツン

    無情にも振り下ろしたハンマーが『 誰 』かの頭に当たる。『 誰 』は避ける事が出来ないほど朦朧としているみたいで、さっきよりも簡単に当てることが出来たよ。
    これで――静かになってくれるよね?お願いだから静かになってよ。

    ??「――っうっ、やめろ……誰だよ…オマエをそう…うっ…したの、はっ!」

    静かになったかな?そう思ってたら『 誰 』かは叫んだ。俯いてだらだらと血を流してるのにどうしてそこまで体力があるの?頭に当たったに意識がまだあるなんて。

    ならばとハンマーをもう一度振りかざそうと持ち上げた。
    けど――『 誰 』かにそれを阻まれてしまった。
    え?『 誰 』はそんな力がまだあったのっ?!『 男の子 』にしては『 誰 』は小柄だし、そんな万力みたいな力があるなんて微塵も思わなかったよ。

    そして、戸惑う僕に向かって睨むんだ。
    普段、そんな顔をしない『 誰 』は僕の何かを変えていく。
    瞳の奥に映る『 誰 』は、どんくさくてどうしようもない僕にいつも構ってくれるのは――――……キミだったね。

    ??「んな事はいいっ、だから、早く目を覚ませ!!ゴン太ぁぁああっ!!」

    キミは再び叫んだ。
    ――――同時に僕の意識が完全にハッキリした。
    やっと『 誰 』……ううん、キミはいつも嘘つきだけど――本当は優しいんだってことを知ってるよ!
    …知ってるのに…――どうして、僕はそんなキミをこの手で傷つけてしまったの?!
    震える手は…キミを床に落としてしまう。そしてキミを見ていられなくて僕自身が今度は叫んだ。

    ??『なん、で?……僕はいま何を――っキミにしてたの……?王馬くんにっ!!』


  4. 4 : : 2018/03/01(木) 01:23:19

    【 chapter:04 】『 赤松楓 』side



    ピチャーン… 

    ピチャー…ピチャーン

    ああ、とても静かだな――
    水がこぼれ落ちる音が…するよ。
    どこから?

    分からないや。

    階段を一段、一段と降りていく。腕の痛みなんてとうに忘れてしまった。それぐらい――ショックだったんだよ。

    私の足音と外の雨の音、それに雨漏りの音しかしないよ。

    赤松「…もう」

    考えたくなくてフラフラと当てもなく歩いていくんだ。途中でスマホを落としたせいでいまどこを歩いてるのかさえ分からないけど、階段を進んでるのは――わかるよ。

    偶然窓ガラスが私の顔を映した…ああひどい顔だなぁ…とそれを眺める。涙で目元が真っ赤になっちゃってる。こんなに泣いたのはいつぐらいかな?…忘れちゃった。
    …叫んだから喉も少し痛いな。

    赤松「…あはは、最原くんに見られたら…笑われちゃうね」

    苦笑いをしてみたけれど、表情は青白いまんま。そりゃそうか…と納得しちゃう。

    魔姫ちゃんが――『 春川魔姫 』が、ああも簡単に死んでしまうなんて、そして。
    思い出すようにその後にやって来た幽霊さんの呟いた言葉に苦しくなってきちゃった。『 貴女は大事なチャンスを逃してしまったのです…二度と無い幸運なのに…それを見事に無視したんですよ? 』

    赤松「――もう、ここには私、しか生きている人が居ないんだって…どうもできないんだよね。一人だけ――か…」 

    事態は悪い方向にしか進まないのかな?
    ――――こうやって私も死んじゃうの?

    赤松「最原くんに逢いたいよ…」

    ぽつん、と溢れた言葉にまた――涙がハラリと頬を伝っちゃう、あれ?また泣いちゃったの…私は?

    魔姫ちゃんを見殺しにしちゃった、私を…許してくれる筈無いのに…彼の名前を何度も呼んじゃうんだ。

    最原くんに…逢いたいよ。
    助けて――…欲しいよ…

    赤松「しゅーいち、くん…っ、ぐすっ」


  5. 5 : : 2018/03/01(木) 01:23:41

    『 最原終一 』side



    最原「あ…気がついた――大丈夫?」

    ??「…うっ…」

    僕は傍らに倒れ気絶しているであろうクラスメイトの一人に声を掛ける。彼女は呻き声をあげると眉間にシワを寄せてゆっくりとその鴬色の瞳を開いたんだ。

    最原「あのー…茶柱さん?」

    茶柱「…」

    ぱちくり。完全に目を開いた彼女は僕の顔を見て硬直した。……別に固まらなくても良いだろ!と言いたいが、理由は分かりきっていた。

    茶柱「……な、なんで――男死が目の前にいるんですか!!」

    最原「(…だよなー)」

    倒れていた彼女、茶柱転子は男性が苦手…らしい。普段から毛嫌いしてる男性が目の前にいたとなれば――この反応も分からなくもない、ってか既に想像は出来るし。
    だから、こうして起こすのもどうかと躊躇ったのも事実――なんだけど。

    実際にこうして拒否られるのは…少しだけ胸が痛くなる。
    この場所に彼女の好きな女子、欲言えば夢野さんがいると大助かりなんだけど。居るだろうか?

    茶柱「ぐぬぬ…こうして男死に叩き起こされるなんて、一生の恥ですよ…」

    最原「叩きは起こしてないからね!」

    茶柱さんはゆっくりと上体を起こした…茶柱さんが動く度に床が軋むのは彼女の体重とかではなくただの劣化による腐敗からだろう。

    茶柱「だとしてもです!て、転子は――起こされるなら夢野さんが良いに決まってます!断然、夢野さんのあの癒しボォイスを聞きたいんです!男死のしわがれた声なんて聞きたくないですよ!!」

    キッパリ、言われてしまった…
    こうも拒否られると反応に困るんだよな…っと茶柱さんが血相を変えた。この場所の異様な空気を感じ取ったのかもしれない。今度は震える声で僕に向けて聞いてくる。

    茶柱「――で、ここはどこなのでしょうか…?転子たちはさっきまで『 教室 』に居たんじゃ無いんですか?」

    …ふう。やっと状況把握をしたか。僕は首を振る。
    僕もさっきまで『 教室 』…ここも一応『 教室 』みたいだから厳密に言うと僕らの通う『 学園の教室内 』に、さっきまでいたんだけど。目を覚ましたら――この場所に来ていたんだ。

    最原「分かれば困らないよ。こうしてこの場所に来たのは――確か」

    紐解くように記憶を思い出す。
    確か、ここまで来るには色々あったような気がしていたんだ――――いや、気がするんじゃなくて、確実に『 何かが起きた 』んだ。
  6. 6 : : 2018/03/01(木) 01:24:02

    ガタガタと揺れる地面。机やロッカー果てまでは吊るされてる蛍光灯まで揺れ始めているのだからかなりの地震だった。

    みんなが悲鳴をあげる。揺れに対して僕らはあまりにも――無力だ。巷では「 数年の間に首都直下型地震が○○%の確率で来るでしょう 」とニュースが放送していたよな…でも、このタイミングで来るなよ…とか思っていた時だった。

    ピキ…ピキぃ…

    最原「っ?!」

    地震のせいなのか分からない。でも、床が――亀裂が走った。
    その亀裂の真上に立ってるのは――さっきから黙ったままの夢野さんだった。このままじゃ、危ないっ!!
    咄嗟に手伸ばした――助けなきゃ、そう思って揺れる地面で上手く体制が立て直せないのに必死で伸ばす。

    でも、床の亀裂は止まらないし、更にその亀裂は裂けて黒い穴を覗かせた。その隙間にあった机や椅子を次々と穴に引きずり込む。このままだと夢野さんが落ちてしまう。ヤバい、落ちたら――恐らくは…

    最原「夢野さん早く、逃げるんだ!」

    茶柱「夢野さん!!そこから逃げてっ……転子は動けなくて…そちらに行けません!」

    僕と茶柱さんの叫びにいち早く反応したのは――夢野さんじゃなかった。
    僕の隣に居たであろう紫色の髪の毛をした小柄な彼が駆け寄りながら叫ぶ。

    王馬「夢野ちゃん!!危ないっ!」

    夢野「……っ!?お、おーまっ!?お主っ、なな」

    王馬「これはヤバいかもっ…早くみんなも、にっ」

    ようやく、王馬くんの呼び掛けに応じた夢野さんが驚く間もなく、彼女の体が穴に落ちる。
    王馬くんは咄嗟に落ちる夢野さんにタックルをかまして、そのまま――夢野さんと共に穴に吸い込まれてしまった。

    茶柱「――ゆ、夢野さんっ!?」

    百田「お、おいっ、なんだよ!何がっ!?」

    星「おいっ、こっちにも亀裂がっ!!東条、アブねぇ!」

    白銀「あっ、ダメっ、地味に――じゃなくておちっ」

    …あまりにも唐突な展開にまだ地面が激しく揺れてるにも関わらず驚きを隠せなくて、でも、その飲み込んだ穴は少しずつ大きくなって、次は東条さんを押し退けた、星くんや白銀さんをも飲み込んだ。


    それから、気が付けばみんながみんな、穴に吸い込まれてしまった――残った生徒は数人。
    だけど――その数人の生徒も穴に飲み込まれるのは時間の問題だった。

    赤松「……っ!!最原くっ」

    最原「あ、赤松さんっ!」

    赤松さんと僕はほぼ同時に穴に落ちる。同時に落ちたのだから――せめて彼女だけでもと手を伸ばす。王馬くんみたく抱きついてしまえば赤松さんは死なないだろうか?
    そう思って赤松さんに向かって手を伸ばす――赤松さんも無意識だろうけど手を伸ばしてくれて――――あと、少し、少しで届くかなって思った瞬間。

    目の前が真っ暗になったんだ。
  7. 7 : : 2018/03/01(木) 01:24:26

    茶柱「……そうでしたね」

    最原「だから、恐らくはここは『 死後の世界 』なのかもしれない」

    いままでに起きた出来事を思い出した僕たちは項垂れる。
    恐らく、僕らはあんな出来事の後だ。生きてるハズは無い。普通なら死んでも当然な高さから落ちたのだから。

    茶柱「……夢野さんもいるのでしょうか?」

    最原「そうだね…」

    クラスメイトがいてもおかしくない。せめて探し出して成仏なり何なりとしたい。そう思っていたら――僕らの背後から声がしたんだ。

    ??『しゅーいち、てんこ。まだ諦めたらダメだよ』

    最原「!?」

    茶柱「――え?」

    僕らはほぼ同時に振り返る――と。そこに佇んでいたのは。

    最原「あ、アンジーさん?!」

    茶柱「アンジーさん!!…体が透けていますよぉぉぉっ!!」

    飛び退く僕らにケタケタと笑うのは間違いない。夜長アンジーだ。アンジーさんは屈託無い笑みを浮かべてるけど、茶柱さんが指摘したように何故か体が透けていたんだ。

    夜長『にゃははー。そーだよ!アンジーは死んじゃったから透けてるのだー!』

    最原「え?死んだって――――」

    茶柱「ここは『 あの世 』じゃないんですか?!」

    そうだ。今結論付けたじゃないか?!……ここは『 死後の世界 』だと。普通に考えて僕らは――――

    戸惑う僕らにアンジーさんは表情を崩さずに答えた。透けた体を気にも留めずに淡々と、ね。

    夜長『ここは……是清が話してた『 天神小学校 』だよ』

    茶柱「え?どういうことですか!?」

    夜長『だから、転子と終一はまだ死んでないのだー!……だからまだここから出れる可能性を秘めてるのだー』

    ??どういう事だ?……確かにここに来る前に真宮寺くんが話していたのは『 天神小学校の幽霊 』についての話だった。でも、ここがその『 天神小学校 』で、僕らがまだ死んでないと断言するには――情報が少なすぎる。
    しかも――

    最原「アンジーさんは、自分が死んだ、って言ってたけどそれはどういう意味なのかな?」

    夜長『そのままの意味だよー。アンジーはこの場所の『 狂気 』に触れて死んじゃったのだー!だから、こうして…終一と転子の居る『 次元 』に移動できるのだー!』

    …?さっきから訳の分からないことを並べて話してる。『 狂気 』に触れた?違う『 次元 』に来れた?…訳が分からないぞ。

    茶柱「どういう事なのか一から説明してください!」

    茶柱さんの意見に同意だ。ここは素直にこの場所を知ってるであろうアンジーさんに聞けるだけ聞いてしまった方がよさそうだ。

    アンジーさんは「 待ってました! 」と言わんばかりに微笑んだ。

    夜長『じゃあ、一気に話すからついてきてねー』

    最原「うん、分かった」

    茶柱「分かりました、転子なりに頑張ってみます…ね」
  8. 8 : : 2018/03/01(木) 01:24:54

    アンジーさんの語ったことをまとめると、こうなる。

    最原「まず、この場所についてだね。ここは『 天神小学校 』っていう強力な『 霊磁場 』で、ここから脱出する方法が何かしらあるんだけど、アンジーさんは知らないんだよね」

    夜長『もっちもちーその通りだよー終一!』

    指を折ながら反芻するようにアンジーさんの言葉を抜き取った。アンジーさんはうんうんと再度確認のため話してる僕らの言葉をじっと聞いてる。

    茶柱「『 天神小学校 』というのは幾重になる『 異なる次元 』を持っていて、転子たちが居るのはその一つ…なんですよね?」

    夜長『そーだよー。それで、転子と終一は違う『 次元 』には行くことができないよー。死ぬか、または違う方法を使ってでしか行くことができないのだー』

    最原「『 異なる次元 』に行く方法はアンジーさんには分からないんだよね。だから、僕らを違う場所にいる他の人たちの元に移動させるのは無理なんだよね」

    僕の言葉に「 ごめんねー 」と謝る。…謝る程のことじゃないと思うぞ…?
    こうして僕らに情報をくれるだけでも有り難いしね。

    茶柱「そして、『 天神小学校 』で死んでしまうと永遠にこの場所から出られなくなってしまう――――って!アンジーさん、大丈夫なんですか!?」

    そうだ。一番はそこだ。茶柱さんの言う通り、この場所で死ぬと永遠に『 天神小学校 』に縛られるって――そんな話はないだろ!?

    夜長『もう死んじゃってるからねー…仕方ないのだー!……でも、終一たちはまだ死んでないよ。だから、ここから脱出する可能性があるんだよ』

    そう。僕らはまだ死んではいない…らしい。
    アンジーさんは死んでしまったからどうも出来ないが僕らに情報を与えたりする事は可能、だから僕らの元に来たらしい。
    …アンジーさんの性格上こんなことをする子だと思いもしなかったけど、一体何があったんだろうか…

    夜長『それとひとつねー「 サチ子さんのおまじない 」をした紙の切れ端は無くしたらダメダメだよー!……アンジーが6親族まで呪っちゃうぞー』

    ……冗談でもやめてくれよ……と僕らはそれぞれ『 サチ子さんのおまじない 』をした紙切れを確認した…お、あった。落下の衝撃とかで無くしていたら冗談でも笑えなくなっちゃうしね。
    茶柱さんも見つけたらしくほっ…と安堵の溜め息を吐いていた。 

    最原「これを無くすと――どうなるの?」

    夜長『んとー。ここから出ることが出来なくなるみたいなんだよねーアンジーが死んだときに紙切れを奪われちゃったからねー?
    多分、その『 紙切れ 』が脱出する一番の手がかりなのかもしれないのだー』

    茶柱「え?奪われた…んですか!?」

    アンジーさんの言葉に茶柱さんが驚く。彼女が驚くのは無理無いだろう。だって所詮は紙切れだろ…と考えていたらアンジーさんが続きを呟いた。

    夜長『アンジーには、ここから出る方法を教えてもらってないからわかんないんだけどねーその「 紙切れ 」には霊力を感じるから多分ここに関わるなにかが秘められてる…と主は言いました…』

    …教えて貰った?
    アンジーさんの口振りにどうも引っ掛かりを感じた。
    僕がそれを追求しようと口を開いたらアンジーさんに止められた。

    夜長『終一はカンがいいねー。さっすがだよーにゃははー。終一の思ってる通り、アンジーは是清から教えて貰ったの。だから、是清に問い詰めれば分かるかも…でも』

    茶柱「どうかしたんですか?」

    アンジーさんが言い淀んでいると、茶柱さんが心配そうにアンジーさんを見つめたんだ。…茶柱さんの声に対してアンジーさんは指を立てて僕たちをじっと眺めた。

    夜長『気をつけて。…是清はここにいる――でも、是清の様子が…アンジーには感じ取れないんだ。どうなってるのか、どこにいるのか分からないの、ごめんなのだー。
    だから、是清が是清じゃないかもしれない…アンジーにはそんな気がしてるんだよ』

    その口調は緊張感に満ち足りていた。…遠回しに『 真宮寺くんに気をつけて 』と言ってくれてるような、そんな感じがしたんだ。
    茶柱さんも自ずとアンジーさんの剣幕に頷くしか出来なかった。

    最原「…わかったよ、真宮寺くんの事は気にしておくよ」

    茶柱「ぐぬぬ…男死を気にするのは不服ですが、他ならぬアンジーさんの頼み事ですから、転子に任せてください!」

    僕らの反応に頷いたアンジーさんは、最後に微笑んだ。
  9. 9 : : 2018/03/01(木) 01:25:33

    夜長『…アンジーは他の所に行ってみるのだ!…終一、転子。気をつけて。この場所では簡単「 呪いの渦 」に飲み込まれちゃって……死んじゃったりするから、だから…どうか』

    夜長『終一たちに主の慈悲を…』

    目を閉じてじっと手を胸元に組んで祈る……普段のアンジーさんの仕草なんだけどどこか寂しげに微笑んでいる……その笑みが心に刺さってしまう。

    最原「……ありがとう、アンジーさん」

    暫く目を閉じたアンジーさんがゆっくりと瞼を上げて瞳を僕たちに向ける。と、同時に僕は自然と……言葉を漏らしていたんだ。

    夜長『アンジーにはこのぐらいしか出来ないから…』

    そう呟くと今度はそのまますぅ……と空気と同化していった。
    恐らくは、彼女のいう通り『 探索 』をするつもりなんだろう。
    暫く僕と茶柱さんはアンジーさんのいた場所を呆然と眺めてたんだ。
    アンジーさんは死んでしまったのにどうして明るいんだよ…死んだら何も残らないじゃないか!とやり場のない怒りがこみ上げてるのがわかる。…気を失っている間にみんなが死んでいくのだけは…凄く怖い、けど――――

    茶柱「…いつまでも、こうしていたらダメですよね!」

    最原「…へ?」

    とりとめの無い気持ちを払拭したのは茶柱さんの言葉だった。
    茶柱さんはむすっとした表情を僕を見た…と思った瞬間、

    ドスン!

    最原「いたっ?…え?」

    背中に当たる衝撃。茶柱さんが僕を投げたんだよ。痛みよりは驚きが上回って頭がうまく回らない…けど、僕を投げ飛ばした茶柱さんの目元にはうっすらと涙が浮かんでいた。

    茶柱「事情がどうであれ、起きてしまった事に関していつまでもくよくよしていられませんよ!!…転子たちも、やれる事を出来るだけするんです!」

    わかりましたか、と呟く茶柱さんは凛として格好良かった。そうだ、まだ手詰まりなワケじゃない。ならば、僕がすることは……一つ、だ。

    最原「…ここを調べて少しでも、脱出の手懸かりとみんなと再会するんだ、だから」

    調査をするんだ、と呟いた言葉に茶柱さんが頷いた。

    茶柱「それでこそ、『 探偵 』らしいですよ!…褒めたくないですが、ここは褒めておきますね」

    ……一言余計だぞ。


    question、>>10番さん、最原・茶柱の調査
    (選択制で、全て選ばないと進行しません)


    1、雷が……なっているのか?
    (窓際を調べます) 

    2、掲示物が気になるな
    (扉の側に貼られている掲示物を調べます)

    3、机に色々書いてあるような…
    (教卓を調べます)

    4、全体を眺める…か?
    (クラス全体を眺めます)

    5、戸棚周辺を見てみようかな
    (戸棚周辺を調べます)

  10. 10 : : 2018/03/01(木) 03:02:58
  11. 11 : : 2018/03/01(木) 10:26:50

    茶柱「最原さんならまずはどこから調べますか?…転子はこのような場所はあまり縁がありませんので…」

    …茶柱さんは勘違いをしている。こんな場所、僕にも縁は無いぞ?…あったら別の意味で危ないだろ!
    とりあえず、答えないと投げられてしまいそうだから、立ち上がって周囲を見渡しつつ答えることにしたんだ。

    最原「そうだな…調べるとすればまずは手短な机の中とかあとは――」

    茶柱「机、ですか?」

    最原「例えばだけど――この机。大きさと配置からして教卓だと思うけど…これをみて」

    茶柱「…何かの…文字みたいですね」

    先程投げ飛ばされた体を支えてくれた物に触れる。
    言葉の通り、それは『 教卓 』なんだけれど、文字がうっすらと机の表面に書かれているのが分かる。

    茶柱さんは少しだけ僕との距離を置いているがその位置から見えるのは中々すごいと思うな。でも、その事を突っ込んだら再び一本背負い紛いのものを喰らいかねないから黙った。

    最原「…油性ペン、かな?…浮き出ているという事は暫く時間を置いたら文字列が浮かび上がるかもしれないね」

    これがどんな意味を含むのかはわからない、けれど少なくとも僕たちにとって不利な情報では無い筈だ。
    だって、ここに書かれた文字は見覚えがある癖字だ――それは。

    最原「(分かるのだけで言えば――王馬くんに赤松さんの字に似ているから恐らくは)」

    彼らも何らかの行動を開始していて、それがこの場所に影響しているのだろう。だとすれば少なくとも。

    最原「王馬くんや赤松さんとはいる場所が違うのかもしれないな」

    茶柱「なんなんですか?男死の癖に一人でわかったフリをしてしまって!!」

    転子にも分かるように教えて下さい!!と吐き捨てる茶柱さんに机の朧気な文字をなぞって答える。

    最原「字の特徴からしてそう思っただよ。現状、居場所が確定しているのは王馬くんや赤松さんがこの『 次元 』にいない事だけだよ」

    茶柱「そ、そうなんですか…?」

    推論も推論だから断言はできないけどね、と続けて話したら茶柱さんはあまり興味無さそうに話を切り替えてきたんだ。

    茶柱「次を調べましょう。次は…」



    question、>>12番さん、最原・茶柱の調査
    (選択制で、全て選ばないと進行しません)


    1、雷が……なっているのか?
    (窓際を調べます) 

    2、掲示物が気になるな
    (扉の側に貼られている掲示物を調べます)

    3、★調査済み

    4、全体を眺める…か?
    (クラス全体を眺めます)

    5、戸棚周辺を見てみようかな
    (戸棚周辺を調べます)


  12. 12 : : 2018/03/01(木) 10:34:49
    2で
  13. 13 : : 2018/03/08(木) 20:39:58

    (>>12番さん、大変お待たせしまってごめんなさい…)


    茶柱「あ!そうです!ここにある紙を見てみましょう!」

    茶柱さんが指差したのは丁度彼女から見て真横に貼られていた紙……掲示物って言えばいいのかな?それを指差していたんだ。

    最原「確かに…掲示物を見るのも手だよね。――えっと」

    見る、というと茶柱さんの側に行かないといけない。…あんまり気乗りはしないけど、安易に近付いてしまっていいのか?という疑問を出かかった寸の所で留まる。
    いや、自然に距離を置いてくれるだろうと思って茶柱さんの近くに進むんだ。

    茶柱「…ぐぬぬ…下心が無いのは分かっていますがやっぱり無理です!!」

    最原「(だから、傷つく発言は控えて欲しいんだけど…)」

    茶柱さんにある程度近付いていくと、拒絶されてしまった。…僕が女性だったらこんな反応はされないんだろうけど、その為だけに性転換はしたくないからなっ!
    …と、そうこうしているうちに掲示物に近づいた。
    内容を見るに新聞記事というか雑誌の切り抜きのようにも思えるそれは紙の劣化具合で古いものだと推測できるよ。

    最原「『■ 天神奉知新聞 ■
    【 児童4名:連続誘拐並びに殺害事件 】について』…だって」

    …タイトルだけでも物騒だな。他にも書かれているみたいだし続きを読むべきかと茶柱さんの方に向いてみる。

    茶柱「てんじん…ほうち…新聞?ですか?」

    最原「うん。続きがあるから読むよ」

    ああ、はい。そうですよね…と呟く彼女は頷いた。
    よし、読むぞ…

    最原「『 昭和48年8月19日 午後7時、校舎内で失踪中の児童たちの亡骸と血の付いた鋏を持ち放心している教員1名を発見、確保した 』…ここまでしか書かれてないね」

    文字は途中から破られているみたいでそこから先は読めなかったんだ。…この事件、どこかで見たような――

    茶柱「ぶ、物騒な事件ですね…」

    最原「そうだね…この事件――…」

    茶柱「どうかしたのですか?」

    悩んでいると、茶柱さんが心配そうに僕の表情を伺う。

    最原「いや別に…少しだけ思う所があってね」

    茶柱「そうですか…その変な顔をしないでくださいっ!……」

    変な顔をしていたのだろうか?
    よくは分からないけどそう感じるならそうなのかもしれないな――知りたくもなかった事実にショックを受けた…



    question、>>14番さん、最原・茶柱の調査
    (選択制で、全て選ばないと進行しません)


    1、雷が……なっているのか?
    (窓際を調べます) 

    2、★調査済み

    3、★調査済み

    4、全体を眺める…か?
    (クラス全体を眺めます)

    5、戸棚周辺を見てみようかな
    (戸棚周辺を調べます)

  14. 14 : : 2018/03/08(木) 21:04:05
    1で
  15. 15 : : 2018/03/08(木) 21:38:13

    (>>14番さん、早いっ…ありがとうございます!)


    その時だった…
    ピカッと周囲が輝くと同時に耳をつんざくような雷鳴を聴こえたのは。

    茶柱「きゃっ!!」

    最原「!!」

    驚いた僕たちは咄嗟に窓の方角をみる。…外は暗く、雨音が聴こえるほど豪雨であることが分かる。
    …ゴロゴロ…と空が輝いては音が響く――これが先程から続いていたんだ。

    茶柱「て、転子たちがここに来てから酷くなったのでしょうか…?」

    最原「それは分からないけど、酷い雨だよね。こんな雨の日と言えば―――あっ!」

    茶柱「…?なんなんですか?」

    訝しげに僕を見る視線は刺々しい。…そんなに見なくても――ってそれどころじゃないんだ。…違和感、を思い出したんだから。

    最原「あのさ、さっきの事思い出したんだ。…真宮寺くんの話だよ」

    茶柱「真宮寺さんの?」

    キョトンとしている様子だと気が付いてないのか忘れているのか分からないけど、僕は続ける。

    最原「『 サチ子さんのおまじない 』の話に繋がると思うよ。そう…『 雨の日に学校に留まってると―― 』っていう怪談話だよ」

    ここまで言えばよほどのバカじゃなければ分かるだろ?
    茶柱さんは少しだけ考えたあと、ハッとした。
    どうやら思い出してくれたのかな?

    茶柱「『 何処かに拐われちゃう…』っていう話でしたが――ここがその場所になるんですか?」

    コクリと頷く。…確固たる根拠なんてない。だけど、この『 天神小学校 』について知っているであろう真宮寺くんの事だ、その前後に話した怪談話も『 敢えて 』したのかもしれないし。

    最原「その背景にあったのが――『 生徒児童誘拐・殺害事件 』なのかもしれないって…考えすぎだと良いんだけどね」

    茶柱「…そうですね。…ですが、男死なら言語無用で極めるだけですので」

    …茶柱さんと一緒である意味良かったのかも知れないな…そう思いながら、雷鳴響く窓の向こう側に広がる木々に視線を送ったんだ。

    最原「(…外に安易に出るのは無理かもしれない)」

    もし、出れたとしても、この雨にそれから森が広がる中上手く立ち回ることは難しいだろう。

    最原「(難易度が高い…でも)」

    曲がりにも僕は『 探偵 』だ。
    出来るだけ――手繰り寄せるんだ。『 手掛かり 』を。


    question、>>16番さん、最原・茶柱の調査
    (選択制で、全て選ばないと進行しません)


    1、★調査済み

    2、★調査済み

    3、★調査済み

    4、全体を眺める…か?
    (クラス全体を眺めます)

    5、戸棚周辺を見てみようかな
    (戸棚周辺を調べます)

  16. 16 : : 2018/03/08(木) 22:39:58
  17. 17 : : 2018/03/08(木) 23:47:04

    (>>16番さん、ありがとうございます。少しだけ進みます)

    教卓に掲示物、それから外の様子を調べた所で次見るとすれば――あそこ、だな。
    扉が見えているがその前に堂々と塞いでいるように見える…見えているんだけど、その塞ぐ障害物、だ。

    最原「…戸棚かな?」

    茶柱「調べるんですか?」

    うわっ、いつの間に近づいているんだ!驚くだろっ。
    茶柱さんが戸棚を指差して近くにいたので思わず仰け反ってしまった。それを見ていた茶柱さんが逆に驚いて仰け反る…という意味わからない感じになっていたんだ。
    当然、茶柱さんはと言えば…がるる…と警戒色たっぷりの声で僕をにらんでいるけど…これは不可抗力じゃないのか?!

    最原「(…調べるか…)」

    とりあえず、調べないと進まないのは誰の目にも見えてるからゆっくりとした足取りで戸棚の方角へとつき…進んでいく。

    戸棚に辿り着いて取り敢えず奥の扉の状態を確認する。…扉を塞いでいるように見える戸棚だけど、人ひとり分なら通れそうな隙間から扉を調べる。

    最原「ごほっ…埃っぽいな…」

    歩く度、動く度に舞い上がる埃から察するにこの先は特に調べられたりはしていないみたいだ。扉の取っ手の部分を触るだけでも手が真っ黒になるぐらいだからね。

    茶柱「どうですか?」

    背後では茶柱さんが心配そうな声をあげている。…流石に茶柱さんといえど心配してくれるんだなと思った所で扉を横に動かして…みる、けど――――

    最原「(…?あれ?鍵付きの扉じゃないのに…動かないな…もしかしてこの奥に何かが――詰まってるとかかな?)」

    ガタガタと動きそうな音を立ててはいるけれど、どうも開くまではいかない。たまに王馬くんとかが東条さんの説教を免れる為にやるイタズラに近いくらい開かない。
    無理に動かないのであれば暫くしてからまた開くかどうかを試せばいいかもしれないな。
    …扉から離れて茶柱さんのもとへと進む。

    茶柱「!!……わっ、最原さん……かなり埃っぽいですよ……クシュン!」

    最原「ああ……ごめん」

    茶柱さんがひとくしゃみをすると手でしっしっと払いのける。…そこまで埃臭いのか?
    でも、まあ…戸棚も見たいからいいかと、戸棚の前に今度は移動する。

    最原「戸棚…も開かないか」

    どのタイプの戸棚なのかが分からないので取り敢えず押したり引いたりしまいにはスライドしてみたりしたけどこちらもビクリともしない。…だけど、戸棚の中はスッキリしていて奥の方に『 光るもの 』が見える…これは小さいもので何なのかは判別できない、か…

    茶柱「どうです?何かありました?」

    けほけほと軽く咳き込みながら戸棚の方にやって来た茶柱さんにも見てもらおうと戸棚から離れた。

    最原「奥に何かがあるんだけどなにか分かる?」

    茶柱「うーん…そうですね…戸棚が半透明なガラスで出来てますからね…この位置ではさっぱり分かりません」

    最原「だよなぁ…」

    薄々分かってはいたけれど茶柱さんでも分からないみたいだね。この『 光るもの 』どうしてもとりたいけど無理矢理ガラスを割って取るって手はあんまりしたくないからね。まずはここ以外に進める場所があって、そこに使えそうなものを使えば楽に進められるだろうな。

    茶柱「…薄いガラス戸だったら肘で割っちゃいますが…思ったよりも分厚い感じがします。無理に割ると怪我に繋がりますね…」

    どうやら茶柱さんも同じ事を考えたのか、お手上げといった感じで戸棚から遠ざかった。


    情報:(【 何かありそうな戸棚 】を発見しました…
    が、現状では取る方法が無いので、何かガラスを壊せるアイテムがあれば手に入れられそうですね)
  18. 18 : : 2018/03/09(金) 00:10:49

    最原「あとは調べてないのは教室の全体像か」

    茶柱「全体像…ですか?」

    茶柱さんの言葉に頷く。
    この構造を把握しないともしもの時に対応が遅れかねないからね。…この教室の情報も大事な事なんだ。

    最原「…奥までは進めないのか」

    茶柱「机や亀裂が進路を邪魔していますからね」

    机のひとつひとつなら乗り越えるなりなんなりすべきだろう。でもそれどころじゃなくて、机は高く積み上げられてるから登って越えなくては行けない――そこまでの労力を使わずとも向こう側にいけるだろう…ここが僕の想像する『 教室 』なら、ね。

    最原「(…教室なら普通扉は2つあるはずだから、きっといける道はあるな)」

    …そう。扉が教室毎に2つあれば、もうひとつの方から堂々と行けば良い。それをするならば――と高く積んである机を凝視していた茶柱さんの方をみる。
    彼女はこそこそとなにかを見つけたらしく僕と目があった。

    茶柱「机の隙間からこれがありましたよ?」

    たたた…と僕のもとに来た茶柱さんは一定の距離を置いてから手の中にあるものを見せてくれた…手のひらサイズの小瓶に入った茶色い粒状のそれはなに?と聞く前に茶柱さんは何かが分かるみたいで小瓶の中を開けて香りを嗅いでいてから断言した。

    茶柱「これは夢野さんがよく集めていらっしゃる『 香りのビーズ 』ですよ!……しかもキャラメル風味の香りです」

    最原「『 香りのビーズ 』?」

    聞き返すとそうです!とすぐ返事がやってきた。……夢野さんがそんな趣味を持ってただなんて知らないぞ?
    ……いや、もしかしてマジックに使う為に集めていたのかもしれないけど、その本人がいるかどうかも定かじゃないこの場所に答えを求めては行けない気がする。

    茶柱「…これは確か『 恋愛 』のお守りとしても良いらしいですが、大本は『 魔よけ 』だともおっしゃってましたよ」

    最原「『 香りのビーズ 』に意味があるだなんて想像も出来ないな…」

    と感想を抱いた所で茶柱さんがふっと思い立ったのか提案をしてきたんだ。

    茶柱「そうです。はっ!…これは幸薄そうな最原さんが持っとくといいかもしれません」

    最原「へぇぇっ?!……僕が?」

    幸薄そうなって失礼だろ!!
    ……でも、『 おまじない 』の類いは信じないけど、実際その『 おまじない 』によってこの場所にいるんだからせめてお守りとして持っておくのが手か……?
    それとも、見つけた茶柱さんが持っておいた方が良いような気もするし…どうしようか?



    question、>>19番さん、『 香りのビーズ 』イベントです。

    (2択ですが…進行には影響無い……いやあるかもしれませんが、気楽にお考えください)


    香りのビーズを……

    最原が持つor茶柱が持つ


    名前でお答えください。

  19. 19 : : 2018/03/09(金) 06:49:51
    茶柱
  20. 20 : : 2018/03/11(日) 05:50:42

    (>>19番さん大変お待たせしました…すこーし進行します…)


    最原「茶柱さんが見つけたなら茶柱さんが持っといたらどうかな?もしかしたら夢野さんのかもしれないよ」

    茶柱「そ、そうですかね…?」

    よくよく見ていると、夢野さんの持ち物かもしれないですし…転子が――と瓶を眺めながらぶつぶつと呟いていたんだ。…えっと端から見ればすごい顔をしてるよな。そんなに夢野さんの事を心配しているのかな?それだけじゃないような気がするんだけど…

    最原「と、とにかく夢野さんが捜してるかもしれないし僕が持つよりは茶柱さんが持つべきだよ」

    最後のひと推し。確かにこんな胡散臭い場所に不釣り合いなアイテムだし正直持ちたくないのもあった。夢野さんの持ち物、という事にしておく。多分王馬くんや天海くんは気が付くんだろうなとか思いながら。
    だけど、相手は茶柱さんだ。恐らくは――――

    茶柱「そこまでいうなら転子が預かっておきます…あとあと後悔しても渡しませんよ!」

    キエーと威嚇をしながらも『 香りのビーズ 』をポケットにしまった。
    …いちいち警戒しなくても…と思うんだけどそこを突っ込んでは駄目なんだろうね。

    最原「(あとは…何もないのか?)」

    特別に目に立つ物は無さそうだな…と裂けた床の向こう側を見る、と…板のようなものが向こう側に放置されているのを見つけたんだ。

    最原「…何かあるのか?」

    茶柱「どうかしましたか?」

    最原「いや……何でもないよ。粗方調べたし、この先に進もうか――と思っただけだよ」

    そうですか、そうですね。と頷いた茶柱さんがボソッと一言呟いた。

    茶柱「…夢野さんは転子が助けますからね!」

    それは決意のこもった言葉でもあったんだ。
    そうだよな……みんなが居るなら…

    最原「(赤松さんや百田くんに逢えれば……いいんだけど)」

    多分、今のままでは逢えない――そう思えて仕方なかった。これはヤマカンでもあるけど、アンジーさんが『 みんなのいる場所 』を言わなかったのも少し気になるし…

    最原「(進まないと始まらないよな)」

    教室を去る前に少しだけ教室を眺めてから僕たちは廊下に飛び出した……

    ▼ 【 香りのするビーズ 】を入手しました… ▼

    説明:(透明な瓶に8割ぐらい入った粒状の茶色いピーズです。茶柱曰く、『 魔除けの効果 』があるみたいですね。茶柱が持つことでどうなるのでしょうか……?)


  21. 21 : : 2018/03/11(日) 05:51:04

    廊下に出ると肌寒く感じるな…比較的僕は着込んではいる方だけど――半袖でセーターを腰に巻いている―――独特なセンスをしている茶柱さんは寒くは無いのだろうか?
    気になる所だけど…この肌寒さはただ気温的な寒さだけではないかもしれない。

    茶柱「……夢野さんは大丈夫でしょうか…?」

    そうだよな。…普段から夢野さんと一緒にいる茶柱さんは心配そうに顔を歪ませる。この不安を駆り立てる廃校舎のせいだろうな。
    僕たちの息の音、それから雷雨の音しか聞こえないこの場所は何にも言い難い恐怖心が駆り立てられる。

    最原「今ここに来てどれぐらい経過したのか分からないし他のクラスメイトの情報が皆無…とも言えないのか、アンジーさんに今度会った時にでも聞いてみようか」

    茶柱「そうですね…」

    困ったように微笑む茶柱さんを見ていると一刻も早く夢野さんとの合流を手伝いたいという感情が沸き立つんだ。
    …僕も本当は逢いたい人がいる。確かにみんなも大事だけど――――

    最原「(…百田くんは怖いのが大嫌いだし、赤松さんは勢いでとんでもない事に巻き込まれそうだしな…)」

    普段の日常なら僕がカバーするけど、今はそれが――不可能に近いから…どうも心配だ。尚更急いで手掛かりとみんなと合流を急がないと…っ

    何処からか隙間風が吹いていて僕らの髪の毛を撫でる。初夏なら心地よい風だけど今の時期は――寒い風でしかない。

    茶柱「…右と左、進めますが…どちらにいきますか?」

    おずおずと茶柱さんが左右に広がる廊下を交互に指差して進む方向を探っているようだ。

    最原「…そうだね――わからないときは…」


    最原「右手の法則だよ」

    茶柱「はい?…なんなんですかっ!急に変なことを言い出すのは男死特有ですよ!」

    …睨まれてしまった。別にキーボくんみたく唐突に変な事を言った訳じゃないからなっ!誤解をしないでくれよ!

    最原「ち、違うよ…迷路の時に使う法則で、本来は道に迷った時に使うんだよ。壁に手をついてなぞるように進むと迷わないんだけど…ね」

    茶柱「では、この触ったら崩れそうな壁をなぞるんですか?!」

    怪我をしてしまいます!と返されたんだけど、ここは迷路ってほど複雑じゃないからそこまでしなくても迷うことは無いとは思うけど――…ああ、例えが悪かったなと思ってしまうんだ。

    最原「違うよ!…それとは別で調べたいことがあるから右に行こうと思ったんだよ」

    茶柱「…それならそうとハッキリと言って下さい…分かりにくい表現は嫌いですので」

    キッパリ吐き捨てると茶柱さんはそのままの勢いで右側に進むんだ。
  22. 22 : : 2018/03/11(日) 12:39:53

    歩く度に軋む床はどうも気分が悪くなる…踏みしめる度にいつ抜け落ちてしまわぬかと要らぬ心配をさせるからだよ。

    茶柱「…あれ?…この先、進めませんよ」

    最原「行き止まりか…?」

    ある程度進んだ所で僕らは進めなくなってしまう。
    床に大きな穴が出来ていたからだ。身体能力が高い人なら飛び越えられそうだな…と茶柱さんの方を見る。
    彼女は黙って首を横に振ったんだ。

    茶柱「転子でも飛び越えられませんね…向こうには階段があるのに八方塞がりなんですね」

    最原「梯子の様なものがあれば…通れなくもないけど」

    …丁度良いアイテムなんてあっただろうか?……うーん……何かがありそうな気がするんだけどな……
    悩む僕を無視して呟くのは茶柱さんだ。

    茶柱「…ですが、転子なら気合いで飛び越えられるかも知れませ――」

    最原「うぇぇっ!ちょっと、待ってってば!!」

    助走をつけようとした茶柱さんを食い止める。いや、ここで飛び越えても足を滑らしたり向こう側の床が脆くなってたら暗闇にま、まっ逆さまだからっ!…目の前で簡単に死なれてしまったら困るぞ?

    茶柱「転子を止めるなんて幾億年早いんです!」

    ガルルされてもこっちが困るんだけど…茶柱さんの前に立ち塞がってるから余計に怖いんだけど、ここは正論で彼女を諌める。

    最原「飛び越えるのも良いかもしれないけど」

    茶柱「良いんじゃないですか?!じゃあ、行くしかありま」

    最原「だーもー落ち着いてってば!!
    いい?例え飛び越えても向こうの床が衝撃で崩れないって保証は無いんだよ?それに飛び越えるのが失敗すれば――――わかるでしょ?」

    確かに調査に『 勢い 』は必要だけど、その裏にあるリスクも考えた上で行動しないと――アンジーさんみたいに『
    死ぬ 』可能性だってあるし。
    僕の説得にようやく納得したのかな?茶柱さんは大きく深呼吸をしてから俯いた。

    茶柱「言われてみれば――そうですね。しかし、男死にここまで言われると傷付きます…早く夢野さんを筆頭とした女子の方を見つけなければ…っ!」

    …えっと、かなり貶されているような気しかしないけど…落ち着いたからいいの…かな?

    最原「この先を進む為に先ずは手短な所からしらみ潰しで探そうか」

    茶柱「そうですね…では最原さんの隣にある扉から調べるんですか?」

    そこで僕の真横に佇んでいる扉と目が合う…どうやら僕と茶柱さんが最初にいた教室のもう一つの扉――だろうか。
    それなら丁度良い。

    最原「そうだね。ここから調べようか」

  23. 23 : : 2018/03/11(日) 12:42:54

    やっぱりそうだ。…ここは僕と茶柱さんが最初にいた場所の向こう側だった。それは茶柱さんも見て気が付いたらしくて、ああ!ここは…と声を上げていたぐらいだからね。

    最原「(…ここにあれば――?あれ?)」

    ん?何がおかしい。…具体的になんだろうかと思っていると茶柱さんがトコトコと教室の奥まで進んだことで分かったんだ。

    茶柱「…?先程まで向こうを調べていたのに…『 板 』が置いてありますよ?」

    最原「『 板 』?…ああ、それだ!」

    違和感の正体、それは…横目で見た筈の『 木の板 』が無くなっている事だった。…確かに茶柱さんが丁度たっている場所にあった筈の『 木の板 』が、無くなって代わりに向こうに出現した…と言うことは…

    最原「すぐ戻るから!…茶柱さんはそこで待っててくれる?」

    茶柱「え?さ、最原さん?!」

    気が付けば、行動を起こしていたんだ。
    茶柱さんと強引に別れた僕はそのままの足でさっきまで居た方の教室の扉から侵入する。…向こう側から姿を見せた僕に対して茶柱さんが文句を言っているがそれどころじゃない。僕の考えが正しければ――――

    最原「茶柱さん、動かないで!」

    茶柱「は?…えっ、はい」

    僕の剣幕に怯えながらもその場に居てくれる。よし、これならと僕は『 板 』に近づくと――――

    茶柱「えっ?…あ、『 板 』がっ浮いて――こっちに来ます!」

    …やっぱり。この場所は恐らく幽霊の類いがいるのだろう。目に見えないものの事を断定するのは探偵としてあるまじき行為ではあるけど、この場所に『 常識 』が通じないなら。

    最原「受け取って!」

    茶柱「あ、わっ、はいっ!!…っとっ!と、取れましたよ!!」

    意気揚々と『 板 』を持ち上げて喜ぶ茶柱さんに、僕は話掛ける。

    最原「これを使えば――進めなかった先に行けるかもしれない」


    ▼【 板 】を入手しました…▼

    説明:(ベニヤ板です。茶柱が両手を伸ばしてなんとか取ったぐらいの大きさです。若干薄さを感じますが頑丈そうです)
  24. 24 : : 2018/03/12(月) 02:42:01

    茶柱「あ!…そうですね!…心許なさを感じますが…長さからして丁度良いかもしれません」

    茶柱さんが両腕を伸ばしてようやく手にしたそれを横目に茶柱さんの所へと戻ることにした。
    茶柱さんが持ち上げて待ってては居たものの一人では大きすぎる『 板 』は特殊教室の長テーブル1枚分の大きさぐらいだとまじまじ見ていると分かったよ。

    最原「近くで見ると大きいね」

    茶柱「そうですよ!転子以外だったら取れませんでしたよ!」

    …確かに。茶柱さんや東条さんクラスじゃないと女性には持ち上げられなさそうな大きさだな…僕が持つべきだろうけどあまり腕力には自信無いし…茶柱さんで適任、だった気もするのは僕だけか?

    茶柱「…転子が世間一般の女性よりも力があるかといっても、このまま運ばせるつもりなんですか?」

    ジト目で睨まれてしまった。…確かに茶柱さんと言えど女子だし僕よりも遥かに力があると思うけど――やはりここは僕が持っていくべきなのだろう。

    最原「じゃあ…僕が運ぶよ」

    茶柱「男死といえど優しさはある程度兼ね備えているみたいですね!…では」

    ずいっと渡された『 板 』を持ってみる…――ってこれ見た目よりも随分と重いぞ?……持ち上げる、のはむ、無理だ……っ!

    茶柱「では、現場に戻りましょうか!」

    スタスタと僕を置き去りにして進む背中が小さくなってしまう……だーもーやればいいんだろぉぉっ!!
    火事場のなんとやら、だ。こうなったら意地でも――運んでやる!!
    僕は半ば引きずる形でそれを教室から持ち出したんだ。


    最原「はぁ……はぁ。やっと…ついた…」

    茶柱「遅いですよ!」

    ようやくの思いで、床の近くまで進んだんだけどクタクタだ。…こういう時に伯父さんや百田くんに「 体力が無い!! 」ってどやされるんだよ…な。
    息が上がっている僕を見下すように見た茶柱さんが唾を吐き捨てると勢いで『 板 』を奪い取ると、それを床の穴を塞ぐ形で置いてくれた。


    ▼ 『 板 』を使用しました… ▼


    茶柱「…最原さんがこれほどまでに体力が無いとは思わなかったんです」

    最原「ご、ごめん」

    …なんで、謝っているんだ?疑問を抱えたまま『 板 』がしっかりと支えになるのかを茶柱さんがチェックしたのちに大丈夫そうだという事になって、その上を通って目の前に佇む階段へ足を運ぶことになったんだ。

  25. 25 : : 2018/03/12(月) 02:42:22

    茶柱「…下りの階段ですか…」

    最原「そう、みたいだね…」

    階段は下り階段みたいだ。階段は僅かに差し込む窓からの雷鳴によって足元や周辺は見えるんだけど、階段は逆に真っ暗だった。…慌てて携帯用の懐中電灯を取り出して足元だけでも照らしたんだけど…

    茶柱「…階段が途中で途切れていますね…」

    茶柱さんの言う通りで、階段が踊り場辺りから床材が抜けているらしくて暗闇しかみえなかったんだ。
    これは、安易に進んだらダメな気がする…茶柱さんも同じ事を思ったのかアイコンタクトをする。

    茶柱「…ここは素直に引き返しましょう。左の道がありましたし、そこに進めば――別の道があるかもしれません…よね?」

    最後は語尾を弱めていた。そりゃそうだ。もう一つの道さえも途中で途切れてしまっていたとすれば…僕たちが出来ることが無くなってしまうからね。

    最原「そうだね。廃校ならここ以外にも階段ぐらいあるだろうし、まだ八方塞がりって訳じゃないからね」

    僕らは来た道を引き返す、選択しか選べなかったんだ。


    引き返した所で今度は左の道…つまりは真っ直ぐ進むことにしたんだ。

    茶柱「ここの教室は…『 1のA 』だったんですね…」

    教室の扉の前に掲げてある木製のプレートにはそう書いてあるのが見える。…だけど、文字は赤黒くて少し気味が悪いな…と茶柱さん同様にプレートに目が行った時だった。…何処からか視線を感じたんだ。――妙に気になって…廊下を向いて見たら…

    『 … 』

    最原「――っ!!」

    真っ赤なワンピースを着た髪の長い女の子がじっと僕たちを凝視していたんだ。無言で見つめる瞳は生気を感じることが出来ない虚ろな灰色をしていた女の子は僕と視線が合うとそっぽを向いてそのまま消えてしまった。…女の子は幽霊だったのかと、理解するまで少しだけ間が空いてしまった。

    茶柱「あ、あれって…ゆ、ゆゆ、幽霊、ですか?!」

    最原「…そうなるよね。って、茶柱さんも見えたの?」

    僕の問いかけに勿論です!と堂々と答えたんだ。…幻かと思ったけど、茶柱さんが見たなら間違いないだろう。

    アレは…幽霊だ、と。

    立ち尽くしていた茶柱さんがさあっと青ざめた。アンジーさんの言葉を信じない訳じゃないけど――本当にこの場所は危険なのかもしれない。あんな子供でさえも容易く幽霊になるなら…

    最原「(…子供の幽霊、か…)」

    何処か引っ掛かりを感じたけれど今は判断材料が足りないな。だとすれば…進むしか無いのかもしれない。

    茶柱「最原さん、進みませんか?」

    怯えながらも進もうと踏み出した足取りが少しだけ…重く感じてしまった。
  26. 26 : : 2018/03/12(月) 02:42:42

    茶柱「っ!!…ここも床が崩れていますよ…」

    廊下を真っ直ぐ進んだら大きく崩れた床が穴を覗かせていた…やはりその先には階段らしきものが見えるけど、流石にここまで、崩れてしまっては何をしても無駄だろうな。
    …ここ以外に進める場所はないかと視線を巡らす…

    茶柱「やはり…八方塞がりになるんでしょうか…」

    しゅんと項垂れた茶柱さんを背にして僕は真横に伸びる廊下を見つけた…ここを進めば良いんじゃないか?

    最原「…ここまで――ってことは無さそうだよ」

    茶柱「はい?」

    最原「ほら、こっちに廊下がまだ続いてる。こっちに進んだら良いんじゃないかな?」

    茶柱さんが僕の真横に伸びる廊下を見つめる。暗くて奥までは見えないけれど教室がありそうな雰囲気を醸し出している。

    茶柱「床が崩れては居ないみたいですね。この先に進むしかありませんね」

    ――まさかこの先まで行き止まりとかやめてくれよ?……祈りながらも僕らは進むしか出来ないんだ。


    茶柱「……行き、止まりですか……」

    廊下を歩いて床が崩れてしまっていた。…絶望の二文字しか頭に浮かばないなかで茶柱さんの残念な声がこだましていた。

    茶柱「…どれだけ崩壊しているんですか?!」

    最原「これだけとなるといつ崩れてもおかしくないんじゃないのかな?」

    茶柱「え?転子、夢野さんに再会する前にぺちゃんこになって死ぬの嫌ですよ!」

    僕だって同じだからっ!死ぬならせめて赤松さんに合流してからだ――って何を考えてるんだっ!

    最原「とにかく、他に探そう。まだ見落としがあるかもしれないし」

    茶柱「そ、そんなのって――調べつくしてまっ」

    ガラガラッ…その時だった、僕たちが口論しているすぐ側で扉が開く音がしたんだよ…


    最原・茶柱「「え?」」

    真横の扉が開いた音で驚く僕たち。…ここも開くんだなと思いながらも内心パニックになりかけて居た所で――扉の奥からよく見知った人物が現れたんだ。

    それは――――

    ??「いちいち騒ぎ立てんな…クールじゃねぇなぁ、お前さん方はよ」

    尖った帽子に…見た目と仕草のギャップ。それに加えてにやっと口角を歪ませて、扉の縁に寄りかかる姿、それは。

    最原「ほ、星くん!?」




    question、>>27番さん~>>31番さんまで。視点の安価
    (人物名で)

    最原or茶柱or星のいずれかよりヒトコメ1名選択


  27. 27 : : 2018/03/12(月) 12:27:20
    星くんでお願いします!
  28. 28 : : 2018/03/13(火) 01:36:19
    星くん
  29. 29 : : 2018/03/13(火) 13:09:43
    最原
  30. 30 : : 2018/03/13(火) 14:20:24
    最原くんで!
  31. 31 : : 2018/03/13(火) 14:37:38
    転子ちゃん
  32. 32 : : 2018/03/13(火) 17:56:23
    question、>>33番さん。視点の安価 (追加&人物名で) 

    同率票のため再度安価に頼ります
    最原、星どちらか1名選択 

  33. 33 : : 2018/03/13(火) 21:14:39
  34. 34 : : 2018/03/14(水) 23:16:34

    (>>27番さん~>>31番さん、>>33番さん有難うございます。視点が星になった為…すこーし回想が入ります。よかったね!←)


    『 星竜馬 』side


    ここは――一体どこなんだ?

    目を覚ます…さっきまでいた場所とは纏う雰囲気が異なるのが目に見えて分かっちまう。
    崩壊をしてる教室。…蛍光灯は落下して床に破片を散らばってるしな。辺りを見回したが――百田、夢野…ましてやゴン太の姿は見えないみたいだな。

    だが、この場所が――『 天神小学校 』とやらであるのは変わり無いんだと…目の前の死体が物語っていたさ。

    あれから何が起きたんだってんだ?
    記憶をひとつひとつ紐解いていく。最初にこの場所に来ちまった時とは状況が違うからな。
    それに…ここでも記憶の欠損なんぞあるなんてな…考えたくもねぇさ。

    星「(確か――獄原がキーボを殺した?んだっけな)」

    あの状況ではそうとしか受け取れなかった。俺たちのなかでも一番性格が良いヤツだった――ゴン太が、だ。人を殺すなんて行為する筈がねぇと思い込んでいた。
    それを――――見事に裏切られた、と言えちまうんだからよ。

    星「(それから入間のヤツが…俺たちを逃がしてくれたんだよな…身を呈してだがよ)」

    そうだ。入間はあれからどうなっちまったんだ?入間らしからぬ行動に度肝抜かれちまったが…だが、あの行為で助かった命だ。…直ぐに追いかけてきたって事は入間は…生きてはいないんだろうな。

    星「(…なんで俺たちを助けたんだよ)」

    見捨てればお前さんは助かったのによ。…生きるってのは、時に誰かを切り捨てなきゃならねぇ事だ。…あの場合なら確実に入間は止めに入んなければ逃げれた筈じゃねぇか!!

    星「…ちっ」

    誰かの事を考えるなんぞ、クールじゃねぇなぁ…
    今は状況についての情報整理、だ。

    星「(あれから、俺と百田、夢野は逃げたが…ゴン太に追い付かれちまったんだ。だが…)」

    そこで、ゴン太の行動が止まっちまったんだ。…驚いたゴン太の目には何が見えたのか分からなかったがな。
    だが、唐突に夢野が俺と百田の前に仁王立ちになったんだ。夢野は自ら死に行くのか――と口に出す寸前、夢野が呟いたんだ。

    ――『…みんなはわたしが助けるから!……もう、誰も死なせたりはさせるものか!』――

    その口調は白銀そのものだった。…なぜ、と聞こうとした瞬間だったんだ。夢野がゆっくりと呪文を呟きだしたかと思えば――身体が熱くなったんだ。熱に魘されている感覚に次第に自由が効かなくなっちまって――――

    星「(気を失ったかと思えば…この場所に来たってことか)」

    鈍い中指の痛みで現実だと嫌が応にも分かっちまうんだな…夢野が施してくれたイラスト柄の絆創膏が少しだけ血で滲んでやがる。出血は止まったのかどうかさえ分からねぇが、進む他無いだろうよ。

    …?なんだ?特定できないが誰かの声がしてるんだな。
    その声が近くなるまで待機する――もしもゴン太みたく狂っちまってるヤツだったらどうにもならねぇ。

    星「(折角…入間たちから助けて貰った命だ…易々とトブに捨てるなんぞ、クールでもなんでもねぇ、しな)」

    ……心臓の音が煩いぐらい耳に残る。…足音から察するに人物は二人いるな。しかも…男女の声だな。それが近付いてくる…調べてるのかと思っていると今度は扉の向こう側でダイレクトに声がしたんだ。

    ??『…どれだけ崩壊しているんですか?!』

    ??『これだけとなるといつ崩れてもおかしくないんじゃないのかな?』

    …懐かしい声だな。だが、それは夢野や百田じゃねぇ。これは。

    ??『え?転子、夢野さんに再会する前にぺちゃんこになって死ぬの嫌ですよ!』

    特定した…声の主は、茶柱と…最原だ。
    茶柱が生きているんだな……と思いながらも頭を振った――――天海と逃げ延びた後に最原と出くわしたのか?
    ……にしても、声色から察するに、慌てている様子が感じ取れねぇしな。

    星「(まさか――な)」

    …つまりは夢野が言って『 違う次元 』とやらに来ちまったのかもな。しかも、時間が巻き戻ってる……なんぞ非現実極まりねぇ事しか――浮かんでこなかった。
    疑惑を問い詰めようと一気にその距離を詰めたんだ――

  35. 35 : : 2018/03/14(水) 23:17:11

    目の前の一枚ある障害を取っ払う――と想像通り、目の前には驚き固まっちまった最原と同じく驚いてる茶柱がいたんだからな。

    星「いちいち騒ぎ立てんな…クールじゃねぇなぁ、お前さん方はよ」 

    最原「ほ、星くん!?」

    星「まさか夢野より先にお前さんに逢うとはな…茶柱」

    夢野が逢いたがってたんだが、それよりも先に俺が遭遇するなんてまさに皮肉だがよ。
    茶柱は俺の発言の意図を汲み取ったのかいまいち、分からねぇが目を大きく開いて悲鳴を上げちまうほどだから――理解したんだろうな。

    茶柱「っ!?――だ、男死っ!!……夢野さんの名前を出したって事は……まさか」

    星「その、まさか、だ。…俺はどうやら『 飛ばされた 』みたいだかな」

    最原「…『 飛ばされた 』?」

    途端に黙っていた最原の目が光る。…観察力に優れてんだなと思いつつ、両腕を挙げたさ。

    星「そうだ。ついさっきまで俺は夢野と百田と共に行動をしてたのさ」

    …死んだであろう入間にキーボの事は伏せておくべきだろう。現段階でしっちまうと気の弱い最原のこった。変に抱え込まないって断言出来ないしな。それに――――ゴン太の異変についても場所…いやここでは『 次元 』って言うべきか?ソイツが違うならそうそうに襲っては来ないだろうさ。

    茶柱「夢野さんは、無事だったんですか…」

    安堵の顔をしていた――が答えは俺が予想してたのとは到底違ってたんだ。…茶柱なら「おのれっ!男死の癖に転子よりも早い段階で夢野さんに逢うなんて…あり得ません!!」拒絶の意を唱えるだろうと思ってたからな。

    最原「そうか…百田くんと夢野さんは違う『 次元 』にいるんだね」

    納得する最原も情報をある程度把握してるみたいだな。…大分この次元に来て経過してある程度調べたのか?…夢野から情報を得ているから、俺はこの事態をある程度分かってはいたが…
    困惑の表情をしてたのか、最原がああそうだと口を開く。

    最原「星くんもある程度の情報は知っているみたいだね。僕らもそうなんだ。まずは――『 この場所について 』だね。ここは『 天神小学校 』…合ってるよね?」

    こればかしは驚いたぜ。…流石探偵、だな。
    次は茶柱が手を上げて続きを答えたのさ。

    茶柱「それに、時間の流れが無茶苦茶らしいんです!」

    星「ほう……そうなのか。だったら俺が聞いた『 声 』も聞いた時と時間は同じじゃねぇって事か」

    最原が唸る度に答えなくてはならねぇ気がするのは、最原が探偵だからだろうな。

    最原「声?…誰の?」

    星「いや…空耳かも知れねぇが…茶柱と天海の声が聞こえたんだ。」

    茶柱「はぁ!?…何をおっしゃってんですか?あの、男死がこの場所にいるということですか?」

    …その様子だとまだ、天海にも遭遇してねえのか…なら、俺が聞いたのは…空耳か?

    星「さぁな…分からないんだ。おまえさんの話を聞いちまうとどうも、今すぐに起こった訳じゃなさそうなんだがよ」

    最原「そうなんだね」

    だとすれば俺が聞いた『 声 』は、これから起きるって訳か…聞いたときは逼迫した雰囲気だったが…大丈夫なのか?首を傾げていると、場の雰囲気を変えようと茶柱が元気な声を上げたんだ。

    茶柱「転子たちはまだまだ知ってますよ!『 異なる次元にバラバラに散らばってる 』ということです!」

    ……ん?俺よりもお前さん方は知ってるのか。『 異なる次元 』なら王馬もこの場所、あるいは違う場所に居るって事になるが…

    星「そうえばよ、夢野も今の俺と同じ様に『 違う次元 』から来たって言ってたんだが、その場所に王馬とアンジー、それに白銀が居たらしいんだ」

    その言葉に……最原と茶柱が目を丸くしたんだ。
    驚いてる、って言うべきだがよ。

    茶柱「この場所には夢野さんと白銀さん……男死の百田さんがいない事が周知の事実になる訳ですね!」

    百田の名前を嫌そうに言わないでくれ……確かにアイツは熱くて鬱陶しいが案外悪いヤツじゃないと思うがな。

    最原「え?じゃ、じゃあ――――王馬くんと夢野さん、百田くんに白銀さんは知ってるって事?……その……」

    最原が柄にもなく戸惑いの声で呟く。茶柱が悲しそうに顔歪めてんのは何故か、その理由はすぐ分かっちまった。

    ――最原の言葉でな。

    最原「……二人はアンジーさんが『 死亡した事 』を知ってるんだね」

  36. 36 : : 2018/03/19(月) 03:28:32

    星「?!」

    アンジーが死んだ――だと?
    夢野はんな事は何一つとして話してなかったが…アンジーも死んじまったのが事実なら入間たちの事を言っても…問題はねぇのか…?
    …らしくもねぇが、混乱した頭の中で最原の凛とした声で我に返るんだ。

    最原「…星くんは知らなさそうだね。ということは…夢野さんも知らなかったのかもしれない」

    茶柱「そ、そそうですよ!!……きっと、夢野さんは……アンジーさんが『 死ぬ 』なんて知らないんですよ!!」

    星「じゃあ…なんであんたらはアンジーが『 死んだ 』って断定出来ちまうんだ?」

    途端に最原の顔色が曇る。どうしたんだ?と聞く前に――茶柱が最原の代わりにと答えたんだ。

    茶柱「それは…アンジーさん本人がおっしゃっていたんです…転子たちの前に現れて…その…」

    笑わないで下さいよ!……と念を押されちまったが事情を早く知りたい俺にとってはどうでも良い事案だ。

    茶柱「…ゆ、幽霊のお姿で転子たちの前で堂々と言ったんですから『 自分は死んだんだ 』――と」

    星「!?…事実なのか?――最原」

    茶柱は嘘を吐けない人物なのは分かっていたがあまりにも非現実極まりない話が飛び出したのもあって最原に確認をしちまう。…茶柱が睨んでいたが、それぐらい驚いてんだ。許してくれ、と心の中で思ったさ。

    最原「…僕も正直、嘘だと思いたいんだ。でも、アンジーさんが言っていた言葉を信じれば辻褄があってしまうから」

    星「…そうか。なら俺からもふたつ、言うか迷ってたが―――お前さん方が信じてくれるのを前提に話すからな」

    最原と茶柱がはっと表情を暗くした。…その様子なら自ずと言いたいことが漠然と分かっちまうんだろうな。…そうだ。死んだんだ、アイツらも――な。

    星「…キーボがバラバラになっちまって、それから入間も俺らを逃がす為に――犠牲になっちまった」

    茶柱「…っ!!」

    最原「…そうなんだね。やっぱり全員脱出するのは…難しいんだね」

    茶柱は目を閉じて拳を握りしめていたさ。気持ちは俺も同じだ、という前に最原が呟いた言葉に耳を疑った。
    …いや、この場合は最原の言葉が真実だ。みんながバラバラに散らばってんだ、生き残る確率が低くなっちまうのは仕方ない。そういうことだろうさ。

    星「それともうひとつだ。ゴン太が入間とキーボを殺したんだ。…これは信じがたいが、ゴン太自身が操られてる可能性もあるんだがよ」

    最原「ご、ゴン太くんが?!」

    この言葉に関しては最原も茶柱も寝耳に水だったんだろう。驚いて言葉が発せられない様子だったんだからな。
    頷いて肯定するさ…これは――事実、だからな。

    茶柱「クラスの中でも一番温厚で優しいゴン太さんが…そんなのっ、信じられませんがっ」

    最原「僕も信じられないよ。でも、この場所は危険なんだろ?――となればどんな事が起こってもあり得なくはないって事でいいんだろ?」

    星「だろうな……他の奴らの動向が気になるところだが。俺たちに出来る事をするしかないだろうさ……」

    最原が頷く。と同時に茶柱も「 そうですよね… 」と周囲を見渡してから頷いた。
    この胡散臭い場所から早く出たいと思う気持ちと仲間を喪った漠然とした痛みの中でも俺らは苦しむんだろうな…

    最原「そうだね。僕たちにしか出来ないことがあるかもしれないしね。……そうだ!星くんがいまいた教室…かな?そこは調べたのかな?」

    星「いや…目を覚ましたらお前さん方の声がしたから待ち構えていただけだからなロクに調べてねぇな……調べるのか?」

    最原に問い掛ける形で聞いちまったが、最原は微笑んで「 勿論 」と前置きをしてから、

    最原「実は八方塞がりだったからね……この教室にヒントがあるかもしれないからね」

    調べるよ、と断言した最原の目には決意があった。

  37. 37 : : 2018/03/19(月) 03:29:05

    茶柱「こ、こんな暗い場所に男死はい、いたんですかぁ!!」

    星「いて悪かったな」

    軽い音を立てて入るや否や茶柱の怯えた声が空間に響いてくな。それに答えちまったおれ自身の声も響くなんぞ特殊な空間ってことだろうよ。

    最原「とにかく……暗すぎると調べるのも難しいよね…明かりあるから固まって行動するしかないよ」

    最原が懐から小型の懐中電灯を取り出して周囲を照らす…と同時に噎せか得るような悪臭が漂ってきやがった。
    その臭いに顔をしかめちまう。この臭いは――恐らく。

    最原「くっ…この独特な臭いは…死体があるのかもしれない」

    茶柱「し、し死体ですかぁぁあっ!?」

    最原「…出来れば顔見知りの死体じゃないと良いんだけど…進むよ」

    星「そうだな…」

    困惑した顔を浮かべた最原がゆっくりと崩れ落ちた床を避けながら進んでいくのを俺と茶柱は黙ってついていく。…段々と死体に近いのか腐乱臭が強くなるにつれて茶柱が軽く嘘吐いてるな。
    ……と先頭を進む最原の足が止まる。そして最原の面を見ようとした途端だった。

    ―『 タスケテ……ネェ……イタイヨ…ミエナイノ… 』―

    ―『 イタイノニ…オニイチャンハ ドコイッタノヨォォォオオオ 』―

    見知らぬ女の声が不気味に響いたんだからよ。
    一体、どうなっちまったんだよ!と最原の袖を揺らす…最原が呟く。

    最原「…ここは早く出ていった方が良いかもしれない。…向こうに扉があるからそこに行こうか」

    茶柱「…はい、そうですね…」

    足早に突き進む…最原の言うとおりにもうひとつある扉に向かって進む道中で、死体が転がってるんるのが見えちまった。…茶柱が見てないことが幸いしたな。…あんな半分腐ったような骨がうっすらと見える死体を誰だって見たくねぇんだからよ…


    扉を出ると…どうやら廊下だな…しかし右も左も進むことが出来ねえ。何だって、床がどっちとも大きく崩れてんだからな。

    茶柱「本当に…これで行き止まりですね…」

    最原「…いや、何かあるぞ…」

    茶柱の絶望した声を制した最原が懐中電灯を消したのちになにかを見つけたのかすたすたと床が崩れている寸前まで歩いた…茶柱と顔を見合わせた俺も最原の側へと歩いて追いかけた。

    星「何か見つけたのか?」

    近づいて駆け寄ると――しゃがんだ最原が足元にある蝋燭とその近くに落ちていた小さな紙を拾い上げていた所だった。

    最原「うん。手紙っぽいのとあとは――『 入間さんの蝋燭 』だね、この奇抜なデザインをしてるから」

    星「設置したのは入間じゃねぇだろうな…入間はこの場所に来てねぇ筈だ」

    茶柱「では誰が――これを設置したのですか?…この場所には入間さんやきーぼさんも居ないのでしたら…」

    首を振った俺に対して茶柱が疑問を口にする。――答えたのは顎に左手をあてがった最原だった。

    最原「恐らく王馬くんだよ。――昨日の話になるんだけど王馬くんも持ってるの見たからね。
    でも――違う『 次元 』に置いたであろう、ものがどうしてこの場所に出現するのか…分からないな」

    …確かに、そうだな。『 異なる次元 』が複数ある空間だ、ならば互いに物であれば設置されるって事か?
    この場所はどうも妙だが――

    最原「今はこの事については追求しないよ。それよりも気になるのは――この手紙の方だから」
  38. 38 : : 2018/03/19(月) 03:38:04

    パラッと見せるのは白い紙だな。…蝋燭の灯りに照らされた紙は少し黄ばんでいたが、紙自体はボロボロと崩れたりはしてなかったさ。

    茶柱が覗き混んで中央に書かれた文字列を読み上げたのさ。

    茶柱「『 大丈夫!大丈夫だよ。きっとみんなで帰れると思うよ。私はそう思ってる。…どうやらみんなバラバラになったみたいだけど、物質なら次元が違っても置いたらどの次元もおかれるみたいなんだ!だから、私は手紙を残す形でここに置いたからね! 』
    ――この方も友人たちと離ればなれになってしまったんですね」

    茶柱がしゅんと項垂れた。…当たり前の話だが、死体があるってことはそれぐらいの奴等がこの場所で迷って死んじまった、って事だろうしな。

    最原「そうか。やっぱり、『 物質 』であれば影響があるのか…いや定かじゃないが…この紙から察するにそうだろうな」

    最原の言葉に確証は無いがどうして蝋燭があるのかの理由がうっすらと分かったみたいだな。

    星「この紙はどうするんだ?…燃やすか?」

    茶柱「そ、それはいけませんよ!!……この手紙の知り合いの方がこの空間にいるかもしれませんから、捨てたりするのは失礼だと思いますよ!」

    反論染みた茶柱の強い言葉につい、身動ぎをしちまうな。…だが、そんなのをお構いなしの最原はそいつをポケットにしまっちまったさ。

    最原「一応、茶柱さんの意見も可能性としては切り捨てることは出来ないから持っておくよ」

    茶柱「流石、探偵という名前の男死ですね!」

    茶柱が誉めているのか貶しているのか絶妙だが、な。
    使えるものは取っておくスタイルの最原の事だ、何かあるのかもしれない…がな。

    星「他に無さそうだな…引き返した方が無難じゃないか?」

    俺の提案に軽く頷いた最原は「じゃあ、引き返すよ」と呟いてから再び元来た道を引き返したのさ…


    最原「…変化があるかと思ったんだけど、机の文字は少し浮き出た程度か…」

    真っ暗な教室を戻って現在は最原と茶柱の倒れていたという『 1のA 』まで引き返してきた。どうやら最原個人で気になる箇所があったらしく、机を舐めるように見たのちに溜息混じりに答えたぞ。

    茶柱「そうそう浮き出ては来ませんが…他にどこか行ける先があるのでしょうか?」

    最原「多分校舎の広さからして進めないというのはあり得ないと思うんだ。だから再度下の階に進もうと思ってるんだけど、茶柱さん、星くんはそれで良いかな?」

    星「…そうだな一度見た場所も何かしらの変化ってもんがあるかもしれないからな。俺は構わないが――茶柱はどうだ?」

    茶柱「転子はいち早く夢野さんと出会うために進行するなら構いませんが――本当に進めるのでしょうか?」

    茶柱の疑問に対して最原が机から視線を外して答えたさ。

    最原「それを調べる為にも必要な事だからね…もしかするとこの『 手紙 』を読んだ事によって変化があるかもしれないからね」


    ▼ 【 謎の手紙 】を入手しました… ▼

    情報:(コピー用紙が少し劣化した物の上に書かれたメッセージのような文字が羅列に並んでいます。そして同様に「物質なら違う次元にも影響することが可能であることがわかりました」)

  39. 39 : : 2018/03/24(土) 02:39:01

    ここに来たばかりだからな…どこが進めるのか見当が付かねぇな。最原はこの『 次元 』…でいいのか?あらかた調べたとは言ってはいたが、構造自体はそうそう変わらない様子か…強いて言うならば、廊下の劣化具合は違うが――な。

    星「(って事はアレからどうなっちまったのかはさっぱりだが…最原の言う通り、夢野と百田とは――はぐれちまった可能性が高い、かもしれないな…)」

    最原「…どうかしたの?星くん」

    星「いや…何でもないさ。少しばかり柄にもねぇが考え事をしただけさ」

    おっと、俺が考え事をしている間に最原と茶柱は話をつけたのか教室の入り口まで進んでいたのさ。…茶柱は相変わらず軽蔑まではいかないが、鋭い目付きで見るのはやめて欲しいんだが…それを指摘してもどうせ「 男死ですからね! 」と一蹴されかねないか。

    茶柱「それなら良いのですが…良からぬ事を考えてませんよね?!」

    星「んな事は微塵も考えてないさ。悪かったな、進むんだろ?付いていくぜ」

    最原と茶柱の後を追いかけるようにして教室をあとにしたんだぜ。

    ***

    茶柱「…ここを何度も往復しないことを祈ります」

    最原「同意、するよ」

    階段前に床を塞いだのか敷いてあるベニア板の上を通過したとと同時に、茶柱が恨めしそうに板を睨みながら呟いた。…確かに、一気に渡っちまうと折れちまいそうなヤワで簡素な梯子には俺もビビっちまうが―――『 縮地法 』を使ったからそれほどの脅威は感じなかったよ。

    星「…『 次元 』によっては劣化具合が異なるんだろうな。俺たちが居た場所にはこんなに崩れちまった床は無かったからな」

    茶柱「そ、そうなんですか――?」

    そうさ、と頷く。…茶柱が少しだけ羨ましそうに思ったのか口を尖らせてたが、こればかりは仕方ねぇだろ。…逆にゴン太と遭遇して無いだけ幸せだと思うが――

    最原「…変わってれば良いけど。階段に行こうか」

    懐から再び小型の懐中電灯を取り出した最原が祈るように階段を照らした――時だった。

    最初は些細な揺れだったんだ。
    ソイツが――『 地震 』からなるものと判明するまでさほど時間なんぞ掛からなかったさ。

    最原「わぁっ!!」

    茶柱「きゃっ。…立ってられない…程大きい揺れっ、ですねっ!!」

    星「ちぃ…何なんだ、一体」

    微細な揺れは次第に空間を軋ませるほどの巨大な揺れに変わっちまう。バランス感覚の良い方である茶柱さえもしゃがみこんで体制を保つのに精一杯な揺れに顔をしかめる。最原は懐中電灯を落とさないようにと咄嗟にポケットの中に突っ込んだ為バランスを崩したんだろ…その場で尻餅をついてたんだからよ。

    最原「な、なにがっ」

    空間が共鳴して不気味な音を立てる…いつまでも続く揺れにどうも気分が悪くなっちまうが――次第に収まっていく揺れにホッと胸を撫で下ろしてる俺が居たのさ。

    茶柱「お、収まり…ましたか?」

    しん…と今しがた起こった揺れが嘘のように静まり返る迄には時間をそれほど費やさなかった。…茶柱が恐る恐ると声に出しながらもその場で立ち上がって周囲を見回したのさ。

    最原「みたいだね…一体、何で急に――…っ!?」

    最原が懐中電灯を取り出して階段を照らしながら呟いた言葉が途切れた。…何かあったのか?
    どうかしたのか――?と声を掛けるべく最原の方を向いた瞬間だった。最原の怯える声が照された階段に反響して響いたんだからよ。

    最原「え?――階段の…崩れてた箇所が…」

    無くなってる、と続けざまに呟いた言葉が妙に頭に残っちまったのさ。

  40. 40 : : 2018/03/24(土) 02:39:27

    茶柱「う、嘘じゃない…みたいですね。
    確かに見たんですが――物のみごとに階段が通れるようになっているようですが…」

    最原「うん。それは間違いなくみたよ。ここの階段は崩れて居たんだけど『 なんらかの影響 』で進めるようになった、と考えるしかない」

    状況がさっぱりだが…どうやら最原と茶柱がこの先に進めなかった筈なのに――と戸惑ってる様子だな。

    茶柱「『 なんらかの影響 』ってなんですかっ?」

    最原「…ハッキリとは言えないけど、考えられるのは2つだね。ひとつは星くんと再会したことで時間が経過した――事、もうひとつは――」

    星「さっきの地震か?」

    コクリと頷いた最原が階段を照らしながら呟いたのさ。

    最原「とにかく、誘導されている気がしなくもないんだけど、崩れなければ進もうと思うんだけど、どうかな?」

    星「行く所が無いなら行くしかねぇだろ…最原、懐中電灯を貸せ。…物は試しだ。降りてみるからな」

    言葉の途中で最原から半ば強引に懐中電灯を奪うと階段の一段目を降り進める。軋む音が目立つが、思ったよりも頑丈に出来てんのか沈んだりはしなかった。これなら進めるな、ともう一段下りようもしたら最原が戸惑いの声をあげた。

    最原「え、ああ…って、良いの…?もし――」

    崩れた場合の心配でもしてるんだろうな。…その言葉を軽く聞かなかったフリをして、踊り場まで下りた所で意を決したのか背後から慎重に下りる2つの足音を聞きながらも残りの階段を下りきったのさ。


    茶柱「意外と…下りれましたね。ここは…1階、ですかね?向こう側には『 玄関 』があるみたいですし、小学校というならば…昇降口は通常1階にあるのが定石ですよね?」

    周囲を見渡した茶柱が指を示した方にはうっすらと木製のプレートに『 玄関 』と書かれているのが見えるな…最原は普段、コンタクトを使っているらしく目が悪いのかしかめっ面をしてようやく認識したようだな。

    最原「とにかく、進んでみるしかないよ。…まだこの階が1階だとは断定出来ないからね」

    星「じゃあ、行くぞ…」

    懐中電灯を照らさなくとも窓から差し込む雷鳴の光によって全体像がハッキリと分かるな。…最原に懐中電灯を返して、廊下を慎重に進むのさ…

    茶柱「!!……あそこにうっすらと何かいませんか?」

    しばらく進んだら、茶柱が何かに気がついた。と同時に、その『 何か 』はゆらり……と揺れた気がしたんだが――

    最原「…どうやら、生きてる人じゃなさそうだね」

    最原が呟いた瞬間、どこからか声が響いたのさ…

    ――『 カエヒテ…ボクノ… 』――

    それが、廊下の先に揺らめいた『 何か 』から発せられたと分かるまでにあまり時間はかからなかったのさ。

    何故かって?それはな――

    茶柱「あれ?…だんだん近づいてませんかっ?」

    最原「嫌な予感がする…避けつつも向こう側に進まないと…」



    accident!!、>>41番さん。『 何か 』との邂逅
    (秒数安価でございます)

    『 何か 』に目を付けられた一行は無事に突破できるのでしょうか?


    奇数、十の位が5,1の場合 …『 回避成功 』

    上記以外の数の場合またはゾロ目 …『 回避失敗 』

  41. 41 : : 2018/03/24(土) 05:30:42
    3人とも頑張れ~
    そして作者様素晴らしいお話をありがとうございます!いつも楽しみにしています~(語彙力がプレスされた人間の感想)
  42. 42 : : 2018/03/24(土) 10:22:27
    あらら…
  43. 43 : : 2018/03/29(木) 18:26:06
    負けんじゃねぇ!
  44. 44 : : 2018/03/30(金) 03:32:30

    (>>41番さん、感謝します。…私も喋ると語彙力プレス級だぞ?…それと放置ぎみなのは二ノ国Ⅱをプレイしているからだぞ!←え)



    星「…慎重に、って段ボールとかないぞ?――どうするんだ?」

    最原の袖を引っ張る。俺らが立ち止まっている間にも『 得体の知らない者 』が着実にこっちに向かってきやがる…直感的に味方ではないのはうっすらと近付いて来るなかで青白い色味をしてたからだ。

    茶柱「なんで段ボールなんですか!?本当に男死は考えてる事が理解できかねますね!」

    最原「ち、茶柱さん!!……声が大きいよ!」

    星「…見つかってる時点でバレバレだろ」

    そうだけどっ、と最原が口を尖らせる。あせる口調から察するにあまり余裕が無いのかもしれないな。

    茶柱「…極めますか?…当たるかどうかはわかりませんが…」

    最原「効くのかどうか分からないし、安易には――」

    最原の制止虚しく、最原と俺を庇うように立ち塞がった、茶柱が得意の「 ネオ合気道 」の構えをする。…いや、相手は人間じゃねぇし……いや、人か?
    こうして時間を無駄にしている間に急速にソイツは俺らとの距離を置くんだ。

    そして、距離がゼロになる寸前、ソイツの正体が露見するのさ―――始めに目を合わせた茶柱が間抜けな声を出す。

    茶柱「……こ、子供ですか!?」

    俺よりも少し高い身長をした男児の幽霊だな。……背格好から察するに小学生低学年にも見えるあどけない表情が歪んだ。

    瞬間、幽霊のヤツは驚き立ち止まっていた茶柱を無視したかと思えば――隣にいた最原の方にと動く。

    ―『 カエヒテ……ボクノ…… 』―

    最原「え?…」

    舌足らずの声は舌が切り取られていたからであると――幽霊の格好から見えた。…が、瞬間、幽霊が手を徐に伸ばし――最原の首を捉えてたんだ。

    星「最原、逃げろっ!」

    茶柱「最原さんが、どうかし――っ!!」

    星「茶柱!!」

    茶柱「――っ……えっ?い、いやぁぁぁあああっ」

    振り返ろうとした茶柱だったが、何かの力で弾かれた茶柱が吹っ飛んだ。吹き飛んだ体が宙を舞いそのまま床の穴の中へと吸い込まれて風を切る音を響かせたかと思えば衝撃音が廊下に響いて……そのまま静かになったんだ……それが意味するのは――考えたくなくて目を閉じちまう。

    星「茶柱っ!!返事をっ」

    最原「……っ!ちゃ――ぐっ、……ごほっ」

    最原も光景を見ていたのだろう声をあげようとした時、万力みたく首を絞められていたんだからな。

    男児の幽霊は無言で最原を睨みながら首を閉め続けていたのさ。…何とかしようと体を動かそうとしたが――何故か、指の一つさえ動かせなかったんだ。

    万事休す…かよっ!折角、入間に助けて貰った命を直ぐに使い捨てするなんてよ…

    最原「……や、め……くっ、……ごはっ、……っ」

    最原が苦痛に歪むが段々と弱まる……そして数分も絶たずに骨が折れる音が聞こえたと思えば最原は動かなくなってしまった……

    星「……ちぃ……最原!」

    それを見た幽霊はつまらなさそうに手を離すと支えを無くした最原の体は力なく床に倒れたんだ。
    すると……幽霊の瞳が動いたのさ。…虚ろな瞳は怯えている俺を映してやがる。

    星「……ここまで、か――」

    呟いた途端に尋常ない痛みが襲うのさ。…幽霊がどこからか大きな裁ち切り鋏を俺の目に刺したんだ。燃えるような痛みに悲鳴をあげてしまいそうになるがそれをさせてはくれなかったのさ。

    ―『 ココニ…ファッタンファネ… 』―

    開いた口に血塗れの鋏が奥まで突っ込まれたんだ。…やめろっ!……開いた刃先はそのままに……――

    不気味な音を立て、一気に刃先が舌を容赦無く…切り取った…んだ。

    星「ごっ…ぼっ…」

    口の中に溢れる血に目から流れる熱に苦しみ…そのまま…憎たらしく微笑んだ男児の幽霊が次第にぼやけて…白んでいったのさ…


    ―『 ヤッフォ…ミフゥフェタヨ… 』―


    ―『 僕の舌を… 』―

    その呟きを聞き取った俺はそのまま床に倒れていく…



    【 WRONG END(★1) 】:目を合わせると…


    (初バットエンドおめでとう!…再開は>>45からです。なお、成功ルートで進行します)
  45. 45 : : 2018/04/02(月) 03:54:29

    近づいて来るったって、ここは薄暗いが窓から差し込む雷の光によって分かるが…避けつつと言うが普通なら隠れてやり過ごす他ないぞ……どうすりゃあ良いんだよ…

    茶柱「……??」

    最原「どうかしたの茶柱さん?」

    目が比較的良い茶柱が首を傾げる。些細な行動だが最原は何処か引っ掛かりを感じたみたいだな。…鋭い眼差しで茶柱をみていたのさ。

    茶柱「あ、いえ。…転子の間違いでなければ良いのですが、転子たちの事まだ気がついてないみたいです」

    茶柱の疑問に対して、声を出した物体なのか?ソイツは確かに声を出してるがその声が俺らに向けてではなく譫言でしかないらしい。よくみれば右往左往と同じ所を動いているようにも見えなくもないな。

    星「……言われてみればそうだな。右往左往してるように見えるな」

    最原「だとしたら――タイミング次第で」

    茶柱「通れそうですね」

    互いに顔を見合わせる。…この場にいるのが俺らで良かったと安心する。…夢野や百田だとタイミングを逃しそうだしな。

    最原「なら。向こう側を歩いてる…でいいのかな?そのタイミングで一気に進もうか」

    星「そうだな。会話をしても気付かねぇなら案外ソイツの視界に入らなければもんだいねぇのかもしれないしな」

    小声で話すが大抵この距離なら聞こえそうだがソイツは見向きもしねぇ事から耳が悪い、ないしは興味がねぇのかもな。または俺らを幽霊と勘違いしてるかだが――そうなるとソイツ付近では足音を立てるのは得策じゃねぇだろ。

    茶柱「足音と声に注意して進むんですね?」

    最原「そうだね。例えこの位置だからこそ見つかってない可能性を加味すると――静かにかつ急ぎ気味に進むべきだね」

    ソイツの動向を横目でみながらも話しているとタイミングよく北側を向いた幽霊はそっちの方向に揺らいでいった。

    いまだ!と誰がいった気がする…が最原と茶柱、俺はその隙で一気にその場所を横切って直進するぞ…

    幽霊のそばまでいくと背を向けた幽霊は俺よりも少し背の高いヤツだと分かる。ガン見する暇はねぇからそのまま進む……振り返る直前で一気に向こう側の廊下へと辿り着いたが念には念をと幽霊が見えない場所までそのまま進んだのさ。

  46. 46 : : 2018/04/02(月) 03:54:56

    茶柱「……もうこの場所なら大丈夫そうですね!!」

    最原「うん……ここからなら幽霊が見えないから大丈夫……かな?」

    星「大丈夫だろうよ。最原、自信持って言え」

    俺の言葉に最原がああごめん……と口癖を言った所で廊下の突き当たり部分に辿り着くのさ…

    星「(夢野の言っていた通りだな……構造が違うんだな)」

    確か俺がいた場所にはこの先に別の校舎へと繋がる道があったハズなんだが―――今はその道が閉ざされ壁になってるんだからな。壁に触れてみるが、仕掛けなどは施されてはないらしいな。茶柱と最原が俺の行動に首を傾げていた。

    星「ああ…俺がさっきまでいた場所にはこの先があったんだが…ここにはないのが不思議に思っただけさ…」

    茶柱「空間ごとで僅かに違うんですかね?」

    最原「うん……そうかも。…だけどこの先になにかあるならその場所にいきたい気もするな…」

    壁を凝視している最原から距離を少し置くと死体があり、死体が隅に転がっている近くに落ちていた紙をおもむろに拾った。…ん?
    材質はさっき茶柱が読み上げた『 手紙 』と同じみたいだな…と折り畳んであった紙を広げ、内容を軽く読む事にしたのさ…

    星「『 ここには私しかいないみたい。…みんなはどうなのかな?――ホントはね、少し寂しいな……でも、私が拾ったアイテムがあるんだけどそれを3階にある男子トイレに隠したよ。よかったらつかって 』…」

    手紙には可愛らしい丸文字で書かれてるが読みやすく、それで新たなるヒントとなる言葉もあるな……と考えてると最原がやって来た。

    最原「……手紙かな?…とりあえず3階に進めばなにかあるかもしれないね」

    茶柱「この持ち主がこの方のご友人に書かれた文面なんですよ?そんな安易につかっ」

    最原「今は手掛かりになるなら行くべきだよ。そこに無かったら探すだけだよ」

    茶柱の言葉を遮った最原が指を指す方向。そこには――階段があったのさ。

    最原「どちらにせよ、今はこの階段を上る他ないと思うし、いくしかないと思う」

    最原の言葉に同意だな。茶柱はしぶしぶ頷いて答えた。

    茶柱「この手紙を書かれた方またはそのご友人ににあったらいいのですが…恐らくは」

    床に転がる死体を一瞥した茶柱が首を横に振る…

    最原「それを確認がてら上にいくべきだよ」

    茶柱「逢えればいいのですが」

    茶柱の言い淀んだ意味を言わずとも理解しちまう。あえない可能性もあるしな――既に死んじまったとかでな。

    最原「とにかく、話してばっかりだといつあの幽霊がこっちに来ないとも言いがたいし…行こうか」



    ▼ 【 謎の手紙2 】を入手しました… ▼

    情報:(コピー用紙が少し劣化した物の上に書かれたメッセージのような文字が羅列に並んでいます。ひとつ目のメッセージとは字体が違う気がしますが…)

  47. 47 : : 2018/04/05(木) 14:38:24

    最原の合図と共に先行して進むのは意外にも茶柱だったな…その後に俺と最原とで階段に向かうのさ…女子に守られて進むのはなんだか癪に触るが――細かい事を考えても、な。
    …だが最原は違うらしい。眉間にシワを寄せたと思えば懐中電灯を左手で持ち、茶柱のもとまで軋む階段を一気に進むんだからよ。
    既に踊り場を過ぎていた茶柱に遅れないようにと一定の距離を挟みながら俺も踊り場を進み残りの階段に足を運ぶ。

    最原「茶柱さん懐中電灯を持っているのは僕だから――僕が先に行くよ」

    茶柱「大丈夫ですよ!!転子にはネオ合気道があるので万が一の事になっても幽霊を投げ飛ばしますから!
    男死の皆さんは異性の背に守られることをせいぜい恥ずかしながら転子の後ろにっ―――ヒッ」

    最原「茶柱さん?……うわっ!これは――」

    弾丸のように発した言葉が間延びしたかと思えば息を飲むじまったんだ。
    なんだ……と階段を上り立ち止まった茶柱に近寄るのは当たり前だろ。最原の方が距離が近かったみたいで同じく階段を上り言葉が途切れた。

    一体何なんだ…?んな驚く事は無いだろうに。
    溜め息混じりに残りの段数を一気に掛け上がるのさ。

    星「一体何があったんだよ…っ!!」

    開けた景色に目を見張っちまう。
    廊下一面のガラスというガラスが飛び散り床に散らばっていたんだからよ。尖った破片が窓枠に辛うじてついているがいつ飛んできてもおかしくないぐらいだった。
    外からの外気が鋭く雷鳴が耳に残る。茶柱の髪の毛が風雨に晒され靡いていたんだ。

    最原「何があったんだろう…ただ事じゃない気がするな」

    茶柱「そうですね…」

    やはり流石の茶柱もさっきまでの威勢のよさはどこ吹く風か、勢いを無くした言葉からは恐怖心が甲斐間見えたのさ。

    だが、立ち止まってたら意味が無いだろうさ。
    光景に唖然とする最原たちに声を掛ける。

    星「立ち止まってるのは誰でもできるだろうさ…今は」

    最原「そうだな…床が酷く脆いみたいだから真っ直ぐ進むしか無さそうだね」

    最初にいた場所よりも酷い床材を踏み抜かないようにと寄り道をせずに真っ直ぐ進むことにしたのさ…
    道中に『 保健室 』や『 理科室 』があったんだが、その前の床が崩れちまって進むことがままならなかったのもあるがな。
  48. 48 : : 2018/04/05(木) 14:39:06

    茶柱「…また階段ですか」

    茶柱が嫌な面をするのは仕方がねぇな。最原は困りながらも「 アハハ…そうみたいだね 」と軽く相槌を打っているのを横目に一段目の階段に足を掛けたのさ。

    星「この先にいいモンがあればいいんだがな」

    茶柱「無くては困りますよ!!」

    軋む階段を慎重に登りきるぞ…最原たちも頷いて段差を上るのさ。

    最原「この校舎は何階建てなんだろう、構造からして広くは無さそうなんだけど」

    星「だが、次元ってヤツによっては『 別な校舎 』だってあるんだ。安易に考えちまうのはどうかとおもうがな」

    最原「そうだね―――あまり楽観的に考えられる状況ではないからな…」

    茶柱「あ、着きましたね!…3階という事でいいのでしょうか?」

    いつの間にか茶柱に追い抜かれてしまったのか、階段の頂上…もとい廊下だろうな、そこで周囲を見回す茶柱の姿が見えたのさ。段になっているスカートから1丈の黒いスパッツがギリギリ見えてる…それを茶柱は知らないんだろうなと思いながらも同じく階段を上りきったのさ。

    星「随分狭い空間だな」

    最原「トイレ、しかないのかな?」

    いつの間にか廊下を少し歩いた最原が戻ってきやがった。
    やはり考えた通りに奥行きがないのかも知れねぇな。

    茶柱「と、トイレですか?」

    最原「うん。それが――どうかしたの?」

    茶柱がほっとしたツラで答えたから驚いたが…すぐに茶柱はいつもの怪訝な表情をしたのさ…

    茶柱「ということは、どちらも調べるんですか?」

    星「そりゃそうだろう。片方になにかあるかもしれないからな」

    最原もうなずく。――と茶柱がひとつ提案をしたのさ…

    茶柱「では、トイレなら手分けして調べませんか?――状況が状況なのは分かりますがどうも抵抗がありますので…」

    星「だとよ…どうするんだ?最原」

    最原「ええっ!……それならそうしようか?」

    茶柱の提案に渋々頷いた最原はじゃあと口を開いたのさ――



    question、>>49番さん。行動選択肢です
    (どちらを選んでも進行します)


    1、男子トイレを調べる
    (最原・星パートになります)

    2、女子トイレを調べる
    (茶柱パートになります)


  49. 49 : : 2018/04/05(木) 16:31:22
    2で!
  50. 50 : : 2018/04/09(月) 03:05:58

    (>>49番さん、毎度ながらありがとうございます(*´▽`*)
    そしてついたーの楽しみを知ってしまったが故に更新が滞ってる事、申し訳ないです)


    『 茶柱転子 』side


    最原「じゃあ僕たちは『 男子トイレ 』を調べるよ」

    星「それにしても茶柱は一人になっちまうが平気か?」

    心配そうに転子の事を見ている男死たちですが、転子にはネオ合気道があるんです!
    というか転子の邪魔になるのでそうしてください!
    ――とは言いませんが、男死たちは転子の気迫に負けたのでしょう。互いに顔を見合わせていました。

    茶柱「こんなのお茶の子です。任せてください!ではっ!」

    勢いをつけたまま駆け足で最原さんたちと別れます。出来ればこのまま一人で行動したいのですが、星さんはともかく最原さんが危なっかしいので一旦、別行動するだけですよ?
    …決して転子が怖いだとかそういった感情が行動に移っているわけではないですからね!

    ギシギシと床が音を立てていますが、抜け落ちたりしないのであればただの床ですからね。あっという間に『 女子トイレ 』の前に辿り着きました…
    トイレ、と言われるとトイレに行きたくなってしまいます……『 サチ子さんのおまじない 』をする前に東条さんから頂いた特製ブレンドティーを飲み過ぎたのと恐怖心からでしょうか?

    茶柱「(手早く調べたついでにトイレも済ませれば…)」

    ぐっと拳に力を入れてから扉を軽く押して中へ進みます…

    茶柱「(暗い……ですね)」

    ギィイイと不気味な音を立てた扉の先はトイレにしては暗かったんです。―――ここは現実の世界じゃないのですから電気が点かないも当たり前ですが、廊下の明るさに目が慣れてしまったせいもあるかもしれません。凄く暗く思えてしまい、思わずスマホのライト機能を使って周囲を見渡します。ジャラっと夢野さんとお揃いのキーホルダーが鳴った音にビクッと反応をしてしまいましたが…

    茶柱「(どこにでもありそうなトイレ……ですね)」

    思ったよりも奥行きがあるみたいですね。とにかく、なにか見つけなければ――と転子は足元に注意して調べたんです。

    茶柱「(個室が……4つですね)」

    木で出来た扉は古いのでしょうか。尖ったささくれが目立ちます。が、どの扉にも木で打ち付けられている為に開けることもままなりません。――選んだひとつを無理矢理でもと蹴りを浴びせたのですが…びくともしなかったんですから、転子の力では難しいのかも知れませんね。

    茶柱「(後は目立つものは無さそうですね…)」

    個室の扉から離れ、照らしながら周囲に何かないかと目を走らせます…と、その時でした。

    カタカタ…カタカタ…

    茶柱「…?これは――地震、ですか?!」

    揺れに対してぶつかり合う事で起こる小さい音に転子は咄嗟に身構えます。
    地震なのだとハッキリ分かるまでにさほど時間は掛からなかったんです…だって。

    ガタガタ…っ!!

    茶柱「――っ!」

    立てないぐらいの揺れだったんですから…
    転子は気が付くとその場でしゃがむことしか出来ず、頭を腕でカバーするぐらいしか対応が出来なくて。

    茶柱「(…怖いっ…ゆ、夢野さん――っ)」

    目を閉じて祈る事しか出来なかったんですから。


    カタカタと揺れる音が次第に静まり返ります…激しい揺れが音と共に静かになるんです…閉じていた瞼を開いて、完全に揺れが収まるまでそのままの体勢を保つしかできませんでした…足が震えていたんですから当たり前ですよね?

    茶柱「(…収まった…んですか…)」

    ゆっくりと立ち上がって、周囲を確認しましたが…先程の地震が嘘のように落下物諸々は無いですし、扉を押さえた気の棒は外れてもいない。
    …あんな大きな揺れだったのに…変ですね?でも、アンジーさんがおっしゃっていたようにこの場所は普通の場所ではないのですから…逆にこれが正しいのでしょうか?

    茶柱「…さっぱり分かりませんが…合流した方が良さそうですね」

    トイレの窓の外に鬱蒼と繁る木々と雷鳴が耳に残る風雨を一瞥すると転子はその場所から去ることにしたんです。

  51. 51 : : 2018/04/09(月) 03:06:24

    『 星竜馬 』side

    星「…地震ばっかりだな」

    最原「そうだね…」

    揺れが収まったのを見計らって俺と最原はトイレの外へと出ることにしたのさ。
    あまり調べる場所もなかったからすぐに茶柱と合流するかとトイレから出ようとした瞬間にあの地震と来たんだ。
    最原がバランスを崩した拍子に見つけた『 謎の鍵 』を眺めて茶柱を待っていたのさ。

    最原「――地震が起こる理由が分かればこの場所についもっとわかるかもしれないな」

    星「地震に意味なんがあるのか?」

    最原「この場所は簡単に言えば『 異次元 』なんでしょ?…だったら普通なら『 地震 』って概念が無いのが」

    最原の言葉に被さるように女子トイレの扉が開き、怯えたツラをした茶柱が出てきた。最原は言葉を一旦切り、茶柱に近づいた。無意識なんだろうがあんなに近付けば――

    茶柱「急に近寄らないで下さいっ!」

    最原「――え?」

    …最原の戸惑いとしまった、と言いたげな言葉と同時に茶柱に投げられていたんだからよ。
    …ほら、安易に近付くからだろ。投げ飛ばした後で茶柱が慌てている傍らで最原が苦笑いをしてたのさ…

    茶柱「あ!……ご、ごめんなさい」

    最原「いたた……大丈夫だから」

    最原が起き上がり背中を擦ってるのを横目に茶柱に一定の間隔まで近付いて声を掛けるのさ。

    星「…何か見つけたのか?」

    茶柱「あ、星さん!…いいえ。女子トイレはどこも個室が開かなくてちゃんとは調べられなかったんです」

    どことなく不満げな表情をしている傍らで最原が立ち上がり服についた木屑がとかを払うと驚いていたのさ……調べられなかったのは俺らも同じだからな。

    最原「そうなの?……男子トイレは床が半分崩れてたから個室自体もなかったけど……鍵を見つけたんだよ」

    金属音を軽く鳴らしつつ茶柱に見せる。
    どこの扉の鍵かが分からねぇソイツは片っ端から使えと言わんばかりの光沢をしていたのさ…



    ▼ 【 不明の鍵 】を入手しました… ▼

    説明:(『 男子トイレ 』にて発見しました。銀色の光沢をする鍵でどこにでもありそうなシンプルなデザインをしています。タグ等は付いておらずどこの鍵かが分かりません)



    茶柱「どこにでもありそうな鍵ですね」

    星「だろ?だからこれは片っ端から使って調べるしかないだろ…鍵のかかった部屋があるとは思えんがもう一度見回った場所を引き返して調べるしかないだろうな」

    平凡過ぎる鍵だからこそ検討がつかねぇしな。
    最原も頷いてる事だしな、決まったら進むしか無いだろうよ…

    最原「とりあえず最初は下の階から再度調べようか」

    茶柱「そうですね!」

    星「じゃあ、下りるか」

  52. 52 : : 2018/04/09(月) 03:07:01

    最原「…あ、れ?」

    星「――どうなってんだよ」

    階段を降りたら俺らは目の前に広がる光景に驚くのさ。なんせ、割れていた筈のガラスは無くなってやがるし、床が抜け落ちてた事も無かったみたいに綺麗に塞がってたんだからな。

    茶柱「え?え?これは…どうなっているんですか?」

    茶柱が瞬きを何度もしているが結果は変わらねぇぞ?
    顎に手を当てた最原は独り言を2~3挟むとそうか、と呟いたんで無意識にそっちの方を向いちまう。

    最原「地震が何らかの作用をおこしたのかもしれない。…だったら、調べられる箇所が広がったかも」

    星「だといいがな。とりあえず近くにある『 理科室 』から試すか?」

    目と鼻の先にある扉を示す。正直あの部屋には行きたくないが…『 次元 』が違うからな。新しい発見なんかがあるかも知れねぇよな。最原と目を合わせ、最原が『 理科室 』の扉に向かった。

    最原「…ここじゃないみたいだよ」

    暫くして残念そうに首を横に振った最原が呟くのと同時に俺たちも自ずと最原の元に進む。

    茶柱「なんでですか?」

    最原「この扉、鍵穴自体ないからね。これじゃあ使えないし…」

    星「扉も開かないときたか」

    鍵が掛かってないのにどうして開かねぇのかはさておいて今度は茶柱が声を掛けるのさ…

    茶柱「では、次は――向こうにある『 保健室 』を試してみればどうでしょうか?」

    最原「そうだね…じゃあ、行こうか」

    保健室まではそれほど距離がある訳じゃねぇな。……無言で廊下を少し歩いた俺らは次なる扉のある『 保健室 』とかかれたプレートの真下にある扉に向かうのさ……

    星「…今度は鍵穴あるな、最原」

    最原「ああ、うん」

    鍵を持つ最原がゆっくりと鍵を鍵穴に入れる。すんなりと入ったのちそれが『 保健室の鍵 』と分かるまでにさほど掛からなかったのさ。

    施錠の音が廊下に響き、生唾を飲み込んだ茶柱が恐る恐る扉の取っ手に手を掛け…そいつをゆっくりと開いていく…
    軽い音をたてながら糸も容易く開いた扉に顔を見合わせた俺たちは一人ずつ『 保健室 』の中にと入るのさ。



    question、>>53番さん、保健室調査
    (ある選択肢を選ぶと進みます)


    1、戸棚が半開きだな…
    (戸棚周辺を調べます)

    2、ベットのシーツが汚れてないか?
    (ベット周辺を調べます)

    3、机の上に何かあるみたいだが
    (机を調べます)

    4、隅に蝋燭があるが――王馬のヤツが置いたのか
    (蝋燭を調べます)

    5、ダルマストーブがあるが…
    (ダルマストーブを調べます)


  53. 53 : : 2018/04/09(月) 08:17:52
    2で!
  54. 54 : : 2018/04/12(木) 03:32:21

    (>>53番さん、おめでとう!一発目で当たりを引いたから、かなーり進行するよ!)


    足を踏み入れた途端だった。耳元で誰かが囁くような声が響くのは…

    ??『…ごめんね…魔姫ちゃ、ん…』


    星「――っ!」

    茶柱「今のは…?」

    茶柱も同じタイミングで聞こえたんだろ。驚いて耳に手を当て見てたのを傍らに俺の空耳じゃ無いだろうとまだ正気を保っている事に安堵するのさ。

    最原「空耳じゃないみたいだね」

    星「――赤松の声に近かったが……」

    だが赤松は人の名前を呼んだりはしない筈だ。それと茶柱も同じ事を思ったんだろう。首を傾げてたんだからな。

    茶柱「『 まきちゃん 』とは…つまり春川さんという事でしょうか?」

    その答えに最原が顎に手を当てて唸るように呟く。

    最原「うん。恐らくは春川さんで間違いないのかもしれないよ。
    だって赤松さんは『 春川さんともっと仲良くなる為にいつかは名前で呼び合うぐらいになりたいんだ 』ってこの間話していたんだ。だから――」

    星「赤松は春川と行動を共にしてたが」

    茶柱「それが何かしらの出来事で離れ離れになってしまった、ということでしょうか……?」

    俺らの言葉に「そこまでの顛末は分からないけど」と困ったように笑った最原は表情を引き締め淡々と、

    最原「赤松さんの件も含めて――調べれば分かる…と思う」

    『 保健室 』の調査へと足を繰り出すのさ…

    星「じゃあこの狭い場所だ、手分けしてもいいだろ?」

    最原「あ、そうだね。じゃあ僕は戸棚から調べるよ」

    提案に頷く最原は奥の方に見える戸棚に向かって歩き出す。それを横目に茶柱も蝋燭の方を指差してスタスタと進みながら答えるのさ。

    茶柱「では、転子はあちらにある『 見覚えのある 』蝋燭周辺を調べてみます!」

    見覚えのあるを強調しなくとも…と設置した男子が気に食わないのは分かるがそこまで嫌悪しなくとも、な…

    星「(と、すると残るは…ベットか)」

    医務室等々にある、古き良きベットだ。白いパーテーションの影に隠れて設置してある2台のベットの近くへと進むのさ…近づくと分かるが、シーツの端が破られて綿が舞ってるし、何より赤黒い転々とした液体がこびりついていたのさ。……ソイツは乾いてはいるが若干の臭いがする。

    星「(シーツが汚れているな。この色と独特の臭いは…血か?)」

    誰かが怪我でもしたのか?――よく分からねぇがこの量は場所によっては致命傷に近いぞ。それぐらいの量だったのさ。

    と、シーツを持ち上げた時だった。金属の軽い音がした……その音は最原や茶柱にも聞こえたらしくソイツの正体を知る前にいつの間に側にいた最原がソイツを拾い上げたんだからな。
  55. 55 : : 2018/04/12(木) 03:32:51

    最原「これは――」

    星「夢野の、か?」

    最原の掌より一回り小さいそれは、夢野が普段から付けている髪飾りだった。師匠とやらにマジシャン祝い…に貰ったとか言ってやがったそれは後生大事にしていた筈だ。
    なんでそれが……

    茶柱「ゆ、夢野さんのです!!なんでコレがあるんですかっ!この薄汚いベットの上に」

    茶柱が最原の手からソイツを奪い取る。……この暗がりに対しても輝く青い宝石のような物質は茶柱の瞳を映していたのさ。

    星「さあな、シーツが気になって調べていたんだが…どうやらそのシーツの中に紛れてたんだろ」

    最原「これは――血、かな?」

    流石だな最原は直ぐにシーツについた血を睨むように見るのさ。茶柱がソイツを見て青ざめ震える…この場所から見つけたなら妥当な考えだろうが――

    茶柱「夢野さんに、何か起こったのでしょうか――っ!」

    震える声で呟く茶柱は居ても居られないように感じるな。
    確かに――大事な親友が危険な目に遭っているという状況なら俺も居ても居られないさ。…だが、ここではまだ言い切れないからな。

    最原「彼女が怪我をしたのかまでは判断が付かないけど…これだけの情報があるなら――そうかとしか思えない」

    最原が突き付けた言葉に項垂れる茶柱。……はぁ、最原。この時ぐらい気の利いた事を言えばいいだろうに。

    星「とりあえず、夢野に遭遇すればいいだけだろ。アイツはしぶといヤツだろ、大丈夫だろうさ」

    茶柱「そ、そうですよね!!…夢野さんだって、きっとご無事で居るはずです…男死の癖に少しだけ見直しました!」

    そりゃどーも。


    ▼ 【 夢野の髪飾り 】を入手しました… ▼

    説明:(夢野が普段から付けているコテコテしい髪留めです。髪留めの機能というよりはオシャレ感覚で身に付けているようです。尊敬する師匠がプロ入りした夢野にプレゼントした1品でもあります)


    …最原と目が合う…最原はばつの悪そうな表情をしてやがるから自覚はしてるんだろう。……探偵上仕方ねぇとは思うがな。茶柱の方を見て申し訳なさそうに呟いた、

    最原「ごめ」

    ガタン!!

    茶柱「きゃ!!」

    星「!!」

    最原「……っ!」

    言葉を区切るように背後でなにかが落ちた音がしたのさ…ソイツは思ったよりもデカイ音だったから俺でも驚いた。
    反射的に音の方角に目を向ける…と何も落ちてなかったんだ。…一体、なんだったのか?と思っていると最原が違いに気がついたのか…床に落ちてる新聞の切れ端を拾ったんだ。

    最原「さっきまでこんなのなかったはず…」

    拾い上げた新聞の切れ端には文字がつらつらと書かれてやがるな…この場所のヒントなんだろうか?

    茶柱「コレが先程の音の正体でしょうか?」

    星「どうであれ読んでみてから判断すればいいだろ」

    茶柱は夢野の事が心配なのか青ざめたツラのままだ。
    確かに、心配するのは分かるが――まずは手前が無事に居る事が大切だろうよ。そう思っていても、茶柱は考えを改まらないだろうさ。

    最原が読むね、と呟いた。
  56. 56 : : 2018/04/12(木) 03:33:22

    最原「『 ■ 天神奉知新聞 児童4名連続誘拐・殺害事件 :続報 ■

    児童たちの死因はやはり現場で逮捕された教員の手に握られていた…
    大きな裁ち切り鋏により…舌を切り取られた事による失血、または窒息死と判明。
    被害児童のうち一人は殺害後に首を切り落とされる等の残忍極まりない遺体損壊を受けていた。

    被害に遭った児童は、写真の4名。
    そのうち一人は…捜査員が乗り込んだ際にまだ…**って
    ***、が**った為に***、****… 』
    …この先までは読めないけど――写真は破れてないみたいだね」

    最原「……酷いな」

    それしか呟けないのも分かる。痛いじゃ済まされねぇこんな事件があるだなんて想像もしなかったんだからな。
    化けて出てくるのも分かる気がする。理不尽に殺されるだなんてあってはいけないだろうに。
    茶柱は声もでないのか無言だった……暫く無言で記事を眺めちまった。

    茶柱「あ!この男死は1階にいた幽霊とソックリですね!」

    星「……なに?」

    無言の間を破ったのは茶柱だった。茶柱が指差したのは男児の写真だった。確かにソイツだったような気もするが…

    最原「やはり関連があるんだね…この続きがあるかもしれないし、これは持っておこう」

    星「そうだな…この記事の内容も気になるしな」

    頷くと最原はソイツをポケットの中へと押し込んだのさ……


    ▼ 【 天神奉知新聞・上 】を入手しました… ▼

    説明:(凄惨な事件の顛末が書かれている記事です。被害者の写真がありますが、3名しか写真がありません…なぜでしょうか?)


    最原「赤松さんと夢野さんの事が心配だけど、いまはこの場所を探索するのが優先だよね。とりあえず、違う場所に行こうか」

    茶柱「この部屋で全部調べたじゃないですか!……今更何を持って調べる、だなんて――」

    またしても、言葉が遮られちまう。
    …今度は扉が廊下側に吹っ飛んだんだからな。その拍子で扉のガラスが粉々になって廊下の床に落ちる。唐突に起こる連続した怪奇現象に驚く間もなく、足元に転がる物体を茶柱が拾い上げたのさ。

    茶柱「これは…『 バール 』…でしょうか…?」

    驚きすぎて声が掠れている茶柱。最原も何が起きてやがるのかワケわからねぇ面をしているんだ、俺だけが顔に出てないのかも知れねぇ。

    星「どうなってるんだ?」

    最原に聞いても分かる筈の無い答えを求めちまう。最原は必死に考えを巡らせているのか独り言を呟いてんだからな。

    最原「コレが扉を壊した、いや違う――とにかく」

    茶柱「と、とりあえず廊下にいきませんか?」

    星「そうだな」

    茶柱の提案に乗っかるしかかなかったのさ…


    ▼ 【 バール 】を入手しました… ▼

    説明:(どこか錆びているようなバールですが使えそうです。あれ?これってどこかで見たような…)

  57. 57 : : 2018/04/12(木) 03:52:57

    茶柱「え、これは…」

    廊下に出た茶柱同様に言葉を失っちまう。先程までなかった筈の赤黒い引きずったような跡が床に点々とあったからだったんだ。

    最原「これは――血、だね」

    言わなくても分かるが最原が呟いた事によって事実となる。

    茶柱「さっきまでありませんでした…と言うことはこの先に何かがあるのでしょうか?」

    茶柱の疑問に誰一人答えを持ち合わせてはなかったさ。だが、この先に進まなければいけない、そんな気がして気がつけば誰がからとは言わずとも跡を辿っていたのさ…

    そして、その跡はある場所で途切れていた。それは――『 理科室 』と書かれた扉の横の壁に…広がった赤黒いシミが物語っていたのと、同時に背後から声がしたからだ。

    ??『ここでアンジーは死んじゃったのだー!』

    最原「あ、アンジーさん!!」

    茶柱「どういうことです!?――このシミがアンジーさんの…ご遺体というんですか?」

    振り向けば、アンジーのヤツが壁を指差して断言していたのさ…
    いつものように悪気の全く無い笑顔が逆に恐いと思える。自分が死んだ場所について話すなんて正気ともいえねぇ。

    星「……ここで、か?」

    夜長『およ?竜馬とはこの姿では初めましてなのだー』

    普段と同じで会話を呑気にするもんだから逆にこちらが身構えちまう。が、アンジーは全く気にもしてない様子だからな。自然とこっちも普段のように話ちまう。

    夜長『正確に言うとー違うけどねー』

    最原「違う場所、だね」

    最原が確認するように呟いた言葉にアンジーは頷いた。

    夜長『アンジーは失敗したの。……あの子達を救えるのは……生きてるみんなにしか出来ないから』

    悲しそうに微笑む。その笑顔で茶柱が悲痛な声をあげる。

    茶柱「どうしてっ!そんなにっ、簡単に死んだとか言えてしまうんですか!?アンジーさんはっ、死んだ方が楽だったんですか!?」

    夜長『……楽じゃないよ』

    少しだけ張り付けた笑みを落としたアンジーが呟く。

    夜長『アンジーはね、もっと生きていたかったよ?
    でもでもー。これはアンジーの罰、だから。ダメなんだ。転子は優しいんだね…』

    茶柱「それに、夢野さんがこの事を知ってしまえば――悲しみます!!勿論、この場にいるみなさんだって、同じです……」

    茶柱の悲痛な声がしんと響く。……茶柱の言葉に誰もが同じ思いを抱いていたさ…入間やキーボの最期を思い出しちまう。……こんなにもクラスメイトに情があったなんてな。思いもしなかったさ。

    夜長『転子。終一、竜馬。諦めたらだめだよ。だからって、このまま死んだ人を苦しめたら嫌だよ……だから、この先に行って。『 3階の女子トイレ 』そこに――ヒントがあるから…』

    アンジーの体が透ける。悲しそうに微笑むのはアンジーらしくなく感じる表情に得も言われぬ感情を抱いちまう。
    無意識に最原が手を伸ばした所でアンジーはくるりと背を向け、空間に溶け込むように見えなくなっちまった。

    最原「…3階に行こうか」

    重々しく呟かれた最原の言葉に従うしかなかったのさ…

  58. 58 : : 2018/04/12(木) 04:11:18

    星「ついたぜ…」

    アンジーの死体があろうである場所を通りすぎ無言で階段を上がる。アンジーに言われるがままに3階の女子トイレ前にやって来ていた。

    最原「女子トイレに何があるんだろうね」

    星「さぁな」

    出来れば鍵とかそういった類いである事を願うがな。さっきまでトイレ内を一緒に調べるのを拒んでいた茶柱は俯いたままだし、どうするか――

    茶柱「むぐぐ……今回は男死も同行することを許可します!」

    最原「今回だけなんだ……」

    最原の呟きに対して睨む茶柱は普段の茶柱だった。
    さっきの出来事を引きずってんのかと思っていたが、最原見たくクヨクヨと悩む柄じゃねえのかもな。

    茶柱「特別なんですから、ね!いいです!下手な真似をすると……わかりますよね?」

    最原「わ、わかってるってば!トイレに興味はないからね!……ただ調べるだけだから」

    茶柱に睨まれつつ、『 女子トイレ 』に入るのさ……

    トイレなんぞ、早々構造がおかしいとは思わないのさ。
    男子トイレと同じ広さの場所は男子トイレよりも床の崩壊が進んでないみたいだが……

    最原「さっき言っていた通りだね……どこも木が打ち付けられているのか調べるのは難しそうだけど……」

    星「どうして、アンジーのヤツは『 ここ 』にヒントがあるなんぞ言ったんだ?」

    ワケわからないな……と思っていると茶柱があっと声を上げたのさ……

    茶柱「扉、これで壊せませんかね?」

    最原「『 バール 』で?…どうだろう。やってみる価値はあるかもしれないけど…」

    星「茶柱貸してみろ。試してやるさ」

    茶柱から強引に貰った『 バール 』を持って扉の前に立つ。

    星「最初はどれを開けるんだ?」

    茶柱「……そ、そうですね――あの扉とかはどうでしょうか?」



    question、>>59番さん、女子トイレ再調査
    (とある選択肢で進行します)


    1、手前の扉
    2、手前から2番目の扉
    3、奥から2番目の扉
    4、奥の扉

  59. 59 : : 2018/04/12(木) 11:19:43
    1で〜
  60. 60 : : 2018/04/13(金) 16:02:38

    (>>59番さん、ありがとうございます)


    茶柱が指差したのは手前の扉だったのさ。
    まず手前からと言うことか。ならばと手前の扉に向かうとするか。
    進む傍らで最原が心配そうに見ていたが――お前さんよりは力あるの知ってるだろ?と目線で訴えると黙っちまったのさ。

    星「じゃあ……ちと強引になっちまうが――開けるぞ?」

    茶柱「はい…」

    手にしたバールを片手に半ば強引に釘を抜いていく…木が古いのか腐った部分が剥ぎ落とされ意図も容易く留め具になっていた木を取る事が出来たのさ。

    茶柱「て、転子が蹴りを入れたのに…簡単に…取れるだなんて…くっ」

    最原「ええっ!?――そこまでしてこじ開けようとしてたの?!」

    茶柱も豪快なヤツだな…と思いながらも開くようになった扉が自然と開く…と、そこにあったのは。

    星「…正気じゃねぇな…」

    個室の壁に寄り掛かるようにもたれた死体がいたんだからな。しかも顔は半分骨が見えて大分経過している事が伺えちまうしよ。

    最原「どうかしたの?星くん」

    茶柱「黙っていては分かりませんよ!!」

    …幸いにも最原たちからは見えないみたいで助かったが――これはどう言えばいいんだか。
    頭を振りやれやれと溜め息をついて嘘をつくことにするのさ…どうせ調べるのは『 バール 』を持った俺なんだからな別に構わねぇさ。

    星「いや、なんにもなかっただけだ。…次はどこを調べんだ?」


    question、>>61番さん、女子トイレ再調査
    (とある選択肢で進行します)


    1、★調査済み
    2、手前から2番目の扉
    3、奥から2番目の扉
    4、奥の扉

  61. 61 : : 2018/04/13(金) 18:10:38
  62. 62 : : 2018/04/18(水) 03:57:54

    (>>61番さん、大変お待たせしました…しばし進みます)


    手早く調べてしまえばいいのにどうしてか最原たちに聞いちまう。無意識な恐怖心があるのかもしれないが、頼るのもクールじゃねぇよな…と思いながらも「 どれにします? 」と聞いている茶柱を横目に最原が断言したのさ…

    最原「次はその隣の扉を調べてみようか」

    星「…分かった」

    近い場所から手当たり次第なのか――それとも違う他の考えからはさっぱりなんだが隣の個室の前に立つ。

    星「…(足元が寒いな。濡れた上履きがまだ乾いてないのが原因だろうな)」

    足元から冷気が流れてやがる。最原たちは気が付いてないかもしれねぇが、まだ濡れた上履きは僅かに足跡を残していたのさ。……この場所の気温だとかはさっぱりだが、真冬じゃなくてよかったと安堵しちまう。

    それにこの古さだ。隙間のひとつやふたつ空いてないということはねぇだろな。そこからも流れてるの間違いなし、だな。

    『 バール 』を構え先程と同じように扉を押さえつけていた閂代わりの木の板を壊していくのさ。
    全部取り払われたのを確認すると扉を開く……と。

    星「……今度は何もねぇな」

    ただの和式の便器に黒い物が詰まっただけの空間だったのさ。トイレットペーパーの芯が無造作に足元に転がりソイツを拾う。

    星「……?」

    よくみるとトイレットペーパーじゃねぇ……これは紙を丸めたものか?広げると一枚の紙だった。

    星「…最原、なにか見つけたんだが」

    紙を広げ最原たちに見せる。すぐに首を傾げた最原が「 なにか書いてあるのかな?見せてくれないか 」と手を伸ばすから俺は最原たちのもとに戻ることにする…

    最原「――なんだろう?…またさっきの『 手紙 』のいちぶかな」

    茶柱「それは内容を読めば分かることですよね!…読んでみます」

    勢いよく茶柱に取られた紙の内容を一通り見てから文面を読み始めた。

    茶柱「『 隠したアイテムはみつかった?…そうだ!私の他に違う人にもあったんだ!その人が言うには絶対に帰る方法はあるんだってよ。…現に ××××× って人は帰る方法を知ってるって、親切な幽霊さんが話してくれたんだ!
    私その人に会って聞いてみるよ! …だから…怖いけど…探しに行くね』――だそうですが…」

    茶柱が言い淀むのが分かった。……肝心な部分が黒くなっちまってんだからよ。

    最原「字画からして5文字までは分かるけど……こうも塗り潰されていると分からないな」

    星「その『 この場所をよく知る人物 』ってのはまさか――真宮寺とかしゃねぇよな?」

    俺の言葉に最原たちは唸る。……確かに今まで知り得た情報を考えるとそうとしか考えられねぇが――

    最原「確かにそうかも。文面から察するに『 幽霊さん 』が=アンジーさんだとすれば理解できるけど――」

    問題は、と指を立てる。

    最原「この紙がどの段階で書かれたのか、分からないから一概には言えないと思う」

    茶柱「ですよね…黄ばんでいますから、最近のではなさそうですもんね」

    星「まあ、それはおいおい調べれは分かるだろうさ。それにまだ文面が途切れた訳じゃねえだろ――続きを探せば分かるかも知れないしな」

    最原「そうだね。一応これは持っておくか」

    最原が茶柱から紙を受け取り、ポケットにしまったのさ。



    ▼ 【 謎の手紙2 】を入手しました… ▼

    情報:(コピー用紙が少し劣化した物の上に書かれたメッセージのような文字が羅列に並んでいます。故意に人物名が書かれた箇所が黒く塗りつぶされています)


  63. 63 : : 2018/04/18(水) 04:22:01
    その時だったのさ。背後で大きな音がしたのは。

    最原「っ!!」

    音に驚く最原が面をあげる。茶柱が咄嗟に身構えるのと同時に俺も後ろを振り向いた……すると。

    トイレの個室前の床が綺麗に落ちた光景だったのさ。

    茶柱「あっ!」

    最原「床が崩落したのか…」

    星「…命拾いしたか」

    あのまま調べていたら崩落に巻き込まれてたのは間違いなしだろう。だが、偶然にも最原たちの場所…つまりは出入口付近まで戻ってたから事なきを得たんだろうが…

    星「こうなると調べるのは難しいな」

    最原「ピンポイントで崩落したからね…個室の中までは調べるのは難しそうだ」

    星「他には調べるにしてもなにも見つからねぇだろ…最原どうするんだ?」

    淡々と最原と会話をしていく。一人驚く茶柱が冷静なツッコミを入れるまでそれは続くのさ。

    茶柱「いやいやっ!冷静におっしゃってますが!!あと少しでもタイミングが遅ければ星さんは――」

    星「ひとたまりもないのは分かってるさ…騒いだところで何になるんだ?」

    茶柱が目を丸くしたまま硬直する。どうせ、他人の心配をしすぎなんだろう。あまり気にするなと視線を送る…が茶柱は気が付いただろうか?

    最原「助かったんだからあまり考えないでおこうよ。……ね?茶柱さん」

    茶柱「…星さんがそう言ってますし、そうですね」

    釈然としない茶柱をよそに最原が淡々と告げる。

    最原「あと行くあてがもうひとつあるんだ。そこにいこう」

    星「――そいつはどこなんだ?」

    疑問を抱く俺に最原はうなずいてから。

    最原「僕と茶柱さんが最初にいた場所――『 1のA 』だよ。あそこが気になるんだ」

    星「なら、そこに行くとするか」

    いつまでいたって現状は変わらないしな。……最原もテンポよく動きたいのだろう。ここから違う場所に行くことになったのさ。


    ――なんだか危機一髪ってよりは予定調和が否めないんだがな。そう思うのはこの場所が普通の場所じゃねえからだろ。疑い過ぎているのかもしれないが…

    星「――全部調べたかったんだがな」

    茶柱「それでは命の保証はなかったですよ!?」

    退出がてらに呟いた言葉を聞いていた茶柱に突っ込まれちまった。

    あーあ…クールじゃねぇな…
    最原たちにバレない所で溜め息を吐いちまうのさ。

  64. 64 : : 2018/04/27(金) 04:43:33

    (作者風邪のため投稿遅れたことごめんなさいそれとフリマアプリにハマってました、素直に謝りますごめんなさい)


    何処からやって来ているのかさっぱり分からねぇ、雷雨が響き雨の臭いが仄かにする。例えるならば俺から匂う生乾きの臭いに近いのだろうな。

    手すりも意味を成してはいねぇ階段を下る…こんな閉鎖的な場所だと自ずと同じ場所を行ったり来たりするだけなんだな…と思ってると階段を降りきりった最原の足が2階の床を踏みしめた音が妙に響いたのさ。
    床の軋む音が静かになると、途端に臭うのは雨の匂いじゃなかったのさ…ああ、そうか――――アンジーの死体とやらの影響があるんだろうな。経過した事によって臭いとかも漂い始めたって事か。
    それでいて、最原や茶柱が普段そうそうに感じることのない臭いについ顔をしかめちまうのも分かるのさ。

    最原「生臭い……時間経過したせいかもしれない。…臭いのもとは恐ら」

    茶柱「そ、そそれ以上は言わないで下さいっ?!……極めますよ!」

    最原の言葉に被さるように茶柱の怯えた声が響く。
    背後で残り3段を残すのみとなった茶柱でさえ感じちまう位に人の死の臭いってもんは――余程惨い死に方だったんだろうな…と教えるほど空気を読まないガラじゃないが思わず帽子を深く被り俯くしかなかったのさ。

    星「それでも――進まねぇといけないだろうよ?」

    最原「……うん。そうだよね」

    人の死という生々しい匂いに真っ青になりつつも頷きは逆に強かったのさ…

    だが――――歩く度に臭いが強くなる。それは目的地でもある方向の途中にそれがある、と言うことか。
    アンジー本人が言ってたんだから…さっきの場所にでも何かしらの変化があったのかもしれないな。

    茶柱「ここしか行くすべがないんですもんね……」

    唇を噛み締め吐き出された言葉は震えていたのさ。行きましょう、と言いたげな視線を交わすと立ち止まってた足取りが重々しく歩き出すんだ。

    誰ともなく目の前に広がる光景に想像しちまって目を閉じ一気に進みたくなっちまう。さっさと進むに限る――そう思ってた時だったのさ……


    ??「……クックックッ」

    不気味に響く笑い声が聞こえたのが、な…

    不気味の笑い声。だが、その声色は確実に知っている。
    声の主は……

    最原「そこにいるのは――――真宮寺くん、だね」

  65. 65 : : 2018/04/27(金) 04:44:02

    最原の呼び掛けにシルエットがこちらを向く……ソイツの立っていた場所近くには丁度赤黒い物が壁にこびりついやがった。臭いのもとはそこからしていただろうと安易に想像出来ちまう。ってことは、あそこでアンジーは――

    最原「…真宮寺くん、だろ?」

    ??「その声は…最原君かい?」

    ハッキリとした最原の声で考えが遮断される。…声色からして探偵が犯人を追い詰めるように思えた。質問に質問を返す形で答えるが、特徴的な言い回しは真宮寺そのものだった。

    最原「そうだよ。茶柱さんと星くんとも合流したんだ…君は?」

    真宮寺「あぁ…そうだったんだネ…僕は誰とも遭遇してないヨ」

    茶柱「そ、そそうですか…」

    最原の声に反応したソイツ――はゆっくりと俺たちのもとにやって来るのさ。完全に俺らの行動を伺ってるようにも見えちまう行為に身構えるのは茶柱も同じだった。

    星「(…真宮寺なら全部知ってるアンジーは言ってたが…)」

    真宮寺「始めに会ったのが君たちでよかったと思うヨ
    …この場所についてあまり分からない状況で来たからね、目を覚ましてから心細かった所でサ」

    …今『 この場所についてあまり分からない 』と言ったか?――何でだ?思わず最原と目が合っちまう。アイコンタクトだけだが鋭い目付きをしたかと思えば、直ぐさま口を開いた。

    最原「――――本当に?」

    真宮寺「…どうしたんだい?急に確認するように聞いてきて。まるで――嘘を付いてる、と言いたげだネ」

    首を傾げ困ったように目元を細める真宮寺の奴に動揺を隠せない茶柱がしどろもどろになる。

    茶柱「あ、そそれは…――」

    最原「いや、みんなに聞いてるんだ。別に深い意味はないよ。ここに来た原因を解決すれば、脱出出来るんじゃないかと思ってさ」

    茶柱が全てを話す前に最原がペラペラと口早に答える。茶柱は目線を落として肯定の意を見せる。――当然俺も視線があった真宮寺に頷いた。

    星「疑うのが探偵だろ?――事が事だ。仕方ないだろ」

    真宮寺「そういうとこだとは思ってはいたヨ…こんな死体が転がる場所に来ても尚、冷静であるのは流石だと思うネ」

    茶柱「そういう真宮寺さんだって、冷静じゃないですか?!」

    ごもっともな反論に苦笑交えながら、壁にこびりついた赤黒いものを見る。…その自然な動作にお前さんこそ冷静過ぎるぞと思うがな。

    真宮寺「僕の専門は民俗学だからネ。風習の一部にもっと酷いのがあるのを知っているせいだろうね、このぐらいはまだ許容範囲サ」

  66. 66 : : 2018/04/27(金) 04:44:32

    最原「――だったら、行動を共にしない?ここで、再会を喜んだって、今のタイミングでみんなに何かあると怖いから」

    茶柱「転子個人は嫌ですが…ここは仕方ありません!!団体行動をするのを特別に許しましょう!」

    最原「…それって、許されて行うのか…?」

    違うと思うが真に受けて呟くのもアレだぞ。まぁ、余程の事がない限りは――行動を共にしそうだが。

    真宮寺「そうだね――――と、言いたい所なんだけど僕は僕で探してる人いるからネ…」

    共に行動するのが嫌みたいだな。人探しなんぞ、俺らでも出来るのにどうして拒むんだ?と、すかさずに茶柱が突っ込む。

    茶柱「だったら、転子たちも探しますよ!?」

    真宮寺「…いいや。大丈夫サ。探すのは一人でしたいと思ってるからネ…折角の再会なんだけど一旦お別れかな?」

    最原「そう、そこまで言うなら無理強いはしないよ」

    このまま無理にでも同行して欲しくはないからね。と付け加えた最原は釈然としてはなかったがな。

    茶柱「え?最原さん!?」

    最原「もし手伝える事があるなら『 1のA 』で待ってて欲しいな。少ししたら僕たちもちょくちょくその教室行くから」

    真宮寺「わかったヨ…じゃあ、僕は先に行ってるヨ」

    真宮寺は呟くと俺達が来た方向とは正反対の方角に歩き出す…まあ、間髪いれずに俺らも行く方向ではあるがな。
    段々と細長いシルエットが小さくなっていく…

    このまま見過ごしても良いのか?――と疑問を抱いていると体が勝手に動き出していた。

    最原「あっ、ちょっと、星くん?」

    茶柱「――え?」

    戸惑う2人の声をはね除けるように答えるのさ。

    星「…真宮寺の後を少し付いていくだけさ…お前さんたちは先に『 1のA 』に行っててくれ」

    軽く手を振ると小走りで真宮寺の後を追いかける事にしたのさ…



    情報:(【 真宮寺是清 】に再会しました…が同行はしませんでした。
    【 星竜馬 】が最原・茶柱と別れました)


  67. 67 : : 2018/04/30(月) 16:10:20

    『 最原終一 』side


    最原「あっ、待って!」

    僕の声かけも虚しく二人の姿はあっという間に暗闇に紛れてしまった。茶柱さんも突然の出来事に驚いている…僕だってそうだ。

    茶柱「最原さん…大丈夫なのでしょうか…」

    最原「…星くんだから自ら首を突っ込むタチだと思わなかったのが悪かったかもしれない…でも今僕らが追いかけた所で真宮寺くんが逆に怪しむ可能性があるから…な」

    茶柱「そうですよね…今の真宮寺さんの言葉に信憑性があるのかさっぱりですし」

    しまったな。
    ――星くんはきっと真宮寺くんの事が気になって追いかけたんだと思うけど――――なんだか嫌な予感がする。
    だけど、最早見失ってしまったも同然だ。僕たちが出来るのはあまりない。…そう思えば思うほど――歯痒い。

    最原「(考えても無駄だ。こうなったら僕らがすべきなのは――)」

    冷静になるために一呼吸置いた…――よし。

    最原「僕たちは僕たちで出来ることをしよう」

    茶柱「…分かりました、次の行く場所は『 1のA 』ですよね?もしかしたら再会出来るかもしれません。
    しかも――ここで立ち止まっても意味はないですしね」

    茶柱さんは渋々頷いてくれた。でも、どこか納得がいかないのは僕だって同じだからな。いこう、と頷いて僕と茶柱さんは廊下を進んだ…


    …『 保健室 』を通り過ぎて、階段を下りる…この建物の構造のせいで遠回りをしないと目的地につかない、だなんて面倒にも程があるぞ。

    だけど、そうしたからこそ、異変に気が付いたんだよ。

    階段を下りきった一階。
    ――今までと異なった風景に茶柱さんが肩を震わせた。

    茶柱「――え?そんな…」

    最原「廊下が伸びてる…のか?」

    さっきまで『 壁 』だった――僕らから見右方向には『 廊下 』が伸びていたんだから…

    この先には何があると言うのか?――星くんが話していた通りに『 別の校舎 』の存在があるというのか?
    どうしていきなり出現したのか。

    疑問が湯水のように出てくるが、その答えを――持ち合わせていない僕らはしばらく新しく出現した『 廊下 』を見ていることしか出来なかった。


    情報:(【 伸びた廊下 】を発見しました…
    この先に一体なにがあるのでしょうか?)
  68. 68 : : 2018/04/30(月) 16:10:46

    茶柱「…ここ、不気味すぎません?!」

    茶柱さんの感想に頷く。超常現象を実際に体験するとこっちの常識が嘘のように思えてしまう。

    最原「早く脱出しないと不味いな…」

    今は僕たちに直接的な被害は無いけれど――実際に『 違う次元 』ではアンジーさんや入間さん、それなにキーボくんは…死んでしまった、らしい。その他の生徒も危険な状況にとらわれている可能性も切り捨てられない。

    星くんたちに再会をしたことで緩んだ気を引き締めながら、僕らは『 1のA 』に到着する。

    教室の扉をあける…茶柱さんがトイレから出るときに受け取った『 バール 』を使えば…戸棚を壊せるかも知れない、そう思って来たのはいいけど…

    茶柱「――あ!先程読めなかった机の文字がハッキリかかれて読めるようになってますよ!!」

    最原「そうなの…あ、本当だ…」

    机に書かれた文字はハッキリと見える。複数の人が書いたのであろう、びっしりと書かれた文字を読んでいく。


    ――『 東条ちゃんへ、 
    東条ちゃんがなっかなか戻ってこないから暇なんだよねー……だから、夢野ちゃんと一緒に東条ちゃんを探しがてら色んな所を調べちゃうね!…これはホントだよー 』――

    …これは王馬くんだろう。この挑戦的な文字に女子のような丸みを帯びた文字は間違いない。

    ――『あのね、 私と春川さん一緒だよ。……王馬君、夢野さん東条さんと逢えるといいね! 赤松より』――

    赤松さんは春川さんといるのか。春川さんとなら安心だ。春川さんは強いからな…
    赤松さんは文字を書いた時点で王馬くんの文字をみたのだろう。「 誰といるのか? 」を書くというのはこの場所では重要…なのかもしれないな。

    ――『東条ちゃんと夢野ちゃんへ
    ママは見つからないし、夢野ちゃんともはぐれちゃったからヒントでもあげようかと思って。ま、ここに色々書いているから察することが出来るとは思うけど「 物質は次元を越えても平気 」みたいだね。
    ま、頑張って死なない程度にアンジーちゃんと行動してるからオレのことは心配してもダメだよ?』――

    …これは、いつ書いたのだろう?アンジーさんが死ぬ前…と考えるのが妥当だろう。
    ということは…

    茶柱「…あの男死が、アンジーさんの最期をみた…のでしょうか?」


    情報:(【 赤松、王馬の書き置き 】を発見しました…
    ですが、最原たちは春川が死んでいる事を知りません)


  69. 69 : : 2018/04/30(月) 16:11:10

    茶柱さんの言葉に頷く。恐らく、星くんたちと夢野さんが合流したのを考えると時系列が大体想像つく。

    最原「だとすると――王馬くんが心配だな…」

    アンジーさんの死んだ状況がハッキリはしないけど、王馬くん自身が犯人――と遭遇している可能性が高い。それを考えると…ぞくりと背筋が凍った。

    茶柱さんが小さく「…大丈夫でしょうか…みなさん…」と俯いて呟いた。

    茶柱「…あれ?机のこちら側にもなにか書いてあります!ええーと…」

    俯いた拍子に机の側面に文字が書いてあったのか、茶柱さんが見つけしゃがんで文字を読んでいく…

    茶柱「『 机にみんな書きすぎなんだつーの。ってか、この文オレが書いて良いのか?終一が見つけられねーかもしれねぇぞ? 』…この文字は…百田さんですかね?」

    茶柱さんが指を示して文字をなぞる。僕もしゃがみ続きを読み込んでいく。ああ、確かにこの文字は百田くんだ。

    最原「『 まぁいいか…茶柱と一緒にいるならヒントをと思ってな。使えるかどうかはわからねぇが聞いてくれ。「 穴抜けの紙を見つけたらソイツを全部集めて重ねると文章が読めるようになる 」らしい。
    これは――白銀情報だからな、確実だろうよ。百田より 』」

    ……?どうして僕たちが一緒に行動しているのを知ってるのだろうか?――と思うと同時に答えがわかった。


    情報:(【 百田の書き置き 】を発見しました…
    文章からして他にも人がいたのかもしれませんが、現時点では分かりません)


    最原「…僕らのことを机に書いてみるか」

    茶柱「その方が良いのかもしれませんね…では、書いてみます」

    茶柱さんは言うと立ち上がり机の端にどこから取り出したのか黒のマーカーを取り出して書き込んでいく。

    茶柱「『 みなさんが書かれているようなので、転子たちも書いてみましたよ!!転子は最原さんと共に行動をしています。それと星さんと別れてしまいましたが、先程まで星さんとも行動をしていました。あ、真宮寺さんにも逢いました!
    …夢野さんと同じ場所に居ないのが辛いですが、いつか会いましょうね!… 転子より 』…少し長くなってしまいましたが、伝わるでしょう!!」

    …最後の文は要らないような――まあ、いいか。
    これで辻褄が合うだろう。
    立ち上がって、僕は茶柱さんから『 バール 』を貰うと戸棚に向かって進んだんだ。

    最原「ここを壊せば…」

    大きく振りかぶり、戸棚のガラス戸に向かって振りかざす…ガラスが脆くなっていたのか、直ぐに割ることが出来た。けど…

    最原「…あっ…」

    それほど力を加えていないけれど『 バール 』が壊れてしまった。…壊れるという表現はどうかと思うけどね。


    ▼ 【 バール 】が壊れてしまいました… ▼


  70. 70 : : 2018/04/30(月) 16:11:40

    茶柱「きゃっ!――急に驚かさないで下さっ…」

    最原「――これか。…鍵かな?」

    音に驚いている茶柱さんが駆け寄る音がするけれど、無視するように割れたガラスを慎重に床に落としつつ、奥に輝く鍵を取り出した。…大きさからするとやや小さめで鈍色に輝くそれを手に取ると同時に茶柱さんがそばまで寄ってきた。

    茶柱「――小物を開けるような大きさの鍵をですね、どこの鍵なのでしょうか?」

    最原「うん…恐らくはこの部屋の鍵じゃないからね…だとすると…向こう側の何処かに使うのかそれとも…。とにかくまた、一階から別の場所に進むべきだろうね」

    チャリと軽い音を立てそれを握りしめると教室をまた飛び出すことにしたんだ。


    ▼【 小さな鍵 】を入手しました… ▼
    説明:(戸棚の中にあった鈍色に輝く小さな鍵です。用途不明なので最原たちは手当たり次第使う予定ですが…)


    この場所に来てから何回階段を移動すればいいんだ…?
    白銀さんからすれば「 ゲームあるあるだよ! 」で終わりそうな案件だけど、実際に行動すると面倒だよな。

    茶柱「明日は筋肉痛になりそうです…」

    最原「それに同意するよ…」

    体育会系の茶柱さんもこんなには行き来してないのか困った表情をしていた。と、同時に階段の最後の段差を下りて、ふっと顔を上げる…とそこにいたのは。

    『 ふぁ…みぃ…つぅふぇた… 』


    最原「――っぅ!!!」

    茶柱「キエッ!」

    さっきも見かけた、男の子の幽霊だったんだ。



    accident!!、>>71番さん。最原&茶柱VS幽霊
    (秒数安価です)


    偶数、十の位が1,0の場合…成功
    奇数、ゾロ目以外の場合…失敗

    ゾロ目…成功&描写追加


  71. 71 : : 2018/04/30(月) 18:02:01
    よいしょー
  72. 72 : : 2018/04/30(月) 18:03:41
    ゾロ目おしい
  73. 73 : : 2018/05/05(土) 04:35:39

    (>>71番さん。大変お待たせいたしました。ゾロ目まで惜しかったですね笑…辛くも成功、といった所でしょうか?
    ――しばらく進行いたします)


    驚くのも当たり前だ。クソッ…なんでこんな時に、目が合うんだよ、と言いたいけれど目の前に居るであろう幽霊に言った所で無意味だとバカでも分かる。

    でも、何故か釘付けになるんだ。…ずっと見ていたくなるような――そんな不思議な感覚に違和感を覚える。

    モソモソとなにかを話したげに開く唇から覗くのは切られた舌の断面。それに焦点が合っているのかどうか怪しい瞳に伸ばされた腕は真っ直ぐ、着実に僕との距離を詰めようと近付いて来るのにどうしてか――体が動かない。

    胸の鼓動が激しいのを感じる。逃げないと行けない。これは――――ヤバい。
    タラリ…と頬を伝う汗が気持ち悪い。


    茶柱「最原さんっ!」

    バンッ!!!

    最原「うわっ…!」

    茶柱さんが声を荒げたかと思えば不意に体が軽くなる…え?
    疑問を抱えたままだったけど、有無を言わせず前髪が視界を邪魔して走る音と同時に僕の体が動いていることが理解出来た…ってなんでだ?!

    何かに抱かれながら移動しているのは抱えている人物の妙に近い息遣いと足の浮遊感で分かった。

    茶柱「今はっ、駆け抜けますっ!!…生理的に鳥肌がっ…た、立ってますけど…し、仕方ないですっ!」

    最原「茶柱さん?!ちょっと!」

    ――茶柱さんに肩に担がれる形で駆け抜ける。…僕が動けないのを咄嗟に感じ取った上の行動だろう。

    …これ普通なら逆じゃないのか?と恥ずかしくなるけど、担いでいるのは――『 超高校級の合気道家 』だ。これぐらい平気でやってのけるのかもしれない。春川さんだって軽々と百田君を持ち上げてたし。

    本音をいうと今すぐに降ろして貰いたい。だけど、幽霊がすぐ後ろを追ってきている事で、僕を降ろす、という判断が命取り――そのぐらいの距離しか余裕がないのだ。

    『なんふぁ?…にひぇるふぉ…?』

    すぐそばで聞こえる声。
    それに立ち止まる程お人好しじゃない。そもそもっ、

    茶柱「あの、感じは…言葉通じませんってばっ!」

    最原「…だよね」

    バタバタと普段の茶柱さんらしからぬ足音は僕を抱えているせいでもある。

    このままじゃっ…階段を上るなんて難しいだろう。
    だからといえ、僕を降ろす時間は――ない。
    どうすれば――――っ!!!

    後少しで保健室側の階段に辿り着いてしまう。…一瞬、振り返った茶柱さんが小さく悲鳴をあげているのを聞いていると思ったよりも距離が離れないのが分かる。

    最原「(真っ直ぐ進んだ所で――行き止まりだったらお仕舞いだ)」

    くっ…思わず顔をしかめたとき。茶柱さんが息も絶え絶えに叫んだんだ。

    茶柱「ダメっ…元です!進みますっ!!…扉があ、るみたいです…はぁっ、からっ」

    最原「…分かった」

    鍵が掛かっていたらどうするんだ――――ん、鍵?
    『 鍵 』なら持ってるじゃないか!身を僅かによじりポケットから『 小さな鍵 』を取り出す。
    こうなったら賭け、だ。鈍色に輝くそれをしっかりと持ったと同時に――奥まで来てしまった。
    勢いで体当たりをした茶柱さん。…だけど、扉はびくともしなくて。体当たりした反動で僕の体は床に打ち付けられる。

    最原「う゛っ!!」

    茶柱「はっ、そ、そんなっ…」

    少しで迫る幽霊と扉を交互に見た茶柱さんの表情が強ばる。ドンドン、と叩いてもびくともしない…扉。

    茶柱「…こ、このままではっ…」

    最原「どいてっ!!」

    茶柱「…えっ、さいは」

    床にぶつけた体を駆け巡る痛みを無視し、恐怖に歪む茶柱さんの体を押し退ける。勢いのままに『 小さな鍵 』を扉の鍵穴にはめる。そして震える手でおもいっきり鍵を捻る…

    頼む、これで――開いてくれよっ!!

  74. 74 : : 2018/05/05(土) 04:36:21

    ガチャリ、と鍵穴が動いて解錠の音を響かせた――と同時に茶柱さんが体当たりをかました。

    ドンッっ!!

    勢い良く開いた扉の先に転がり込むように僕らは雪崩れ込む。僕たちは直ぐに扉を締めた…

    流石の幽霊も扉を通り抜けたりはしない…らしく、扉の先に行ってしまった僕たちを一睨みしたのちに次第に薄くなって行く…どうやら諦めが早いみたいだ。
    幽霊が消えると同時に茶柱さんが大きく息を吐いた。

    茶柱「…はぁっ、はぁっ、なん…とかなりましたね…」

    最原「そうだね…あんな状態だったからなだったのさ。捕まるのは不味いな…」

    発言に顔をしかめた茶柱さんが睨む。睨む訳が分からないワケじゃないけど、そんな嫌悪感丸出しで見ないでくれよ…

    茶柱「全く、転子が居なかったらヤバかったですからね!」

    最原「ああ…ごめん」

    確かにそうだ。茶柱さんが居なければ確実に無事では済まされなかったであろう。奇抜な行動をするとは思わなかったけど、担いでくれたお陰で今この場所にいるのだから素直にお礼を言うべきだろう。

    最原「――ありがとう…助かったよ」

    茶柱「…なっ…ふんっ!転子はそれぐらいでコロッと行きませんからねっ!」

    …何を思ったのかそっぽを向いて答える茶柱さん視線は外を向いていた。雨音は想像よりも激しいのだと実感してしまう。
    ――ここは外の渡り廊下だろう。肌寒さと時折雨が服を僅かに濡らす。雷が鳴らない分、マシだろうか。

    茶柱「…みなさん、大丈夫なんでしょうか…」

    最原「そうだね…」

    赤松さんの事が心配だ。――春川さんがいるとはいえ、春川さんだって女性だ。しかもここではどうなるかなんて分からないんだから…

    最原「(何事も起きなければいいんだけど…)」

    曇天の闇夜に浮かぶ空と逃げることのできないだろう木々を暫く僕らは見つめていた。
  75. 75 : : 2018/05/05(土) 04:36:47

    『 星竜馬 』side


    真宮寺「…そうなんだネ。君たちもここにきてしまったのかい?」

    『あ、そ、そうなんです…』

    震える声で先いく真宮寺にバレない程度の距離を保ちつつ動向を見ていた。…すると、見慣れねー制服に身を包んだ同じぐらいの生徒の4人組と遭遇したのさ。

    ソイツは真宮寺の見てくれに驚いてはいたが正気を保ってるんだろう、それでも怯えた空色の瞳が揺らいでいた。

    真宮寺「安易に僕たちもするべきじゃなかったんだヨ…」

    『そうですよね…』

    『――お前が『 サチ子 』って言い出さなきゃ問題ねぇだろう!!』

    『あ、そ、そんなつもりじゃぁ…なかったんだ』

    『そうだよ!おまじないなんかするんじゃなかったんだよっ!!』

    真宮寺と話している女子の背後で口論している。どうやらポニーテールをしてる栗毛の女子がキッカケだったんだろう。

    『ちょっと…茜を責めないでよ…みんなっ、』

    背後を振り向き一喝するするのをみると赤松みたいな性格をしてんのかも知れないな。どことなく重なる面影につい苦虫を噛み潰したツラをしちまう。

    『あ、ごめんなさい…』

    真宮寺「急にこんな場所にきたからネ…冷静に物事を理解する方が難しいと思うヨ」

    …当たり障りのない言葉を並べてやがる。あの様子だとアンジーや集めた情報と食い違う…まさか――

    星「(――真宮寺のヤツ本当に知らねぇのか?)」

    故意に『 天神小学校 』とやらに連れてきた訳じゃねーのか…?いや、だとしてもだ。調べあげるのが得意な真宮寺のこった。ある程度は知ってるハズだよな…

    考えが止めどなく溢れちまうなかで、不意に真宮寺が振り向いた…恐らくは俺に気が付いてんのかサッパリだが…その表情と振り向き様に髪の毛で隠れてやがって気が付かなかった。靡く髪の毛が背中を離れ、背中を見せたんだ。

    がら空きになった背中に…鈍く光る物は――――

    星「(――っ!!)」

    間違いない。…あれは…小刀、だ。
    何故――真宮寺は持ってるのか?訳分からねぇなかで、真宮寺が流れる動きをもってして小刀を抜くと――――

    真宮寺「クックックッ――やっぱりサァ…人の怯える表情て…なかなか観察がいがあるネェ…?」

    『――え?』

    星「(――っ!!オマッ――っ)」

    さっきので少しだけ見えた、歪んだ真宮寺の瞳に背筋が凍る。
    …嫌な予感がする、そう思って手を伸ばそうとした瞬間。

    愉しそうに呟いた言葉は見知らぬ生徒たちに届かぬ間に――――

    さほど大きくないが無意味に響いた、刃物が刺さる音を散らして悲鳴と変えちまったんだからよ…
  76. 76 : : 2018/05/14(月) 04:49:22

    『 最原終一 』side


    …いったいどれくらい呆然としていただろうか?
    さほど、時間は過ぎていないのかもしれない。茶柱さんが不意にこっちを向いたんだ。

    茶柱「――進みましょう、向こう側に扉がありますし…」

    最原「あ、本当だね」

    茶柱「きっと、あそこを進めば星さんが話していた『 別校舎 』かもしれません」

    茶柱さんが指差した方向には古びた扉があった。
    戻った所でまた幽霊に追われるぐらいなら――先に行くべきだろう。決意した拍子にあることを思い出したんだ。
    ――あ、『 小さな鍵 』刺しっぱなしにして来ちゃったな。

    最原「鍵とかかかってないかな…?こっち側が掛けられてたのなら…可能性としてはあるかも――って茶柱さん?!」

    言い終わる前に茶柱さんは駆け出してあっという間に扉に辿り着いてしまう。一体、どこからその体力があるのか――いつも不思議に思うぞ?

    茶柱「…開きますよ?」

    ギィイイッと木々の重々しい音を響かせ開いた扉の先は遠目で分かるぐらい暗い。懐中電灯を持っていて正解だったのかもしれない…伯父さんに言われた通り「 常に日常と非日常は隣り合わせ 」だな…としみじみ思ってしまう。

    最原「伯父さんに感謝しないと…ね」

    軽く頷いたら扉の先に進もうとする茶柱さんに鋭く睨まれたから小さく頭をふって懐中電灯片手にその場を離れることにして――――

    星くんが話していた『 別校舎 』に進み出すんだ…


    ***


    茶柱「…思ったより暗いですね…それに埃っぽいですし」

    最原「――足元の簀も足を触れただけでこんなにも壊れるからな…随分手入れされてない本当に…廃屋だな」

    さっきまでの校舎とは違う古臭さと埃が舞っているのか鼻がムズムズする。…懐中電灯があるからこそ漸く1~2メートル先が分かるぐらいだ。
    …現に僕の足元にある簀、そして茶柱さんの横にある下駄箱は触っただけでボロボロと崩壊するのだから、安易に触るのも難しいだろう。

    茶柱「――あ、蝋燭がここにも…ありますね」

    最原「さっき見たのと同じだから『 入間さんの蝋燭 』だろうね。――設置したのは恐らく…」

    息を軽く吸う。

    最原「入間さんだと思う」

    蝋燭を所持していたのが、王馬くんとは限らないだろう。作成した入間さん自身が持っている可能性が否定出来ない。それに――

    最原「きっと、王馬くんはこの場所を知らない可能性もあるからね」

    茶柱「?」

    まあ、話すと長くなるから懐中電灯で蝋燭を照らした後に左右に広がる廊下に向かって照らす。――うん…左側は進めなさそうだな。倒れた棚が道を塞いでいるからだ。
    と、なると――

    最原「まずは右側から進もうか」

    茶柱「あ…はい、そうですね」

  77. 77 : : 2018/05/14(月) 04:49:44

    半壊した扉を押しのけ、小部屋とも呼べる空間にやって来たのは、良いけれど…『 男子トイレ 』と書かれた部屋があるせいか余計に狭く感じるな…と近くに寄るけれど、扉の前の床が崩れてしまっていて中に入ることが出来ない。

    最原「うーん…」

    茶柱「入れなさそうですね…」

    入れたとしても――茶柱さんは嫌がるだろうから少しだけほっと胸を撫で下ろす。こんな暗い場所に一人残して行くのは少しだけ良心が痛むからな。

    最原「調べられる幅が大きいかと思ったけどなかなか上手く事は進まない、か…」

    茶柱「ですが、まだ行き止まりではなさそうですし、向こうに行きませんか?」

    茶柱さんが指差す方向。灯りがないから真っ暗闇しかわからないけれど茶柱さんの視力をもってすれば道があるらしい。ならばそっちに行くしないだろう。僕は茶柱さんの行くままに示された方向に進んだ。


    最原「…階段?」

    茶柱「段差が結構ありますね」

    茶柱さんが差した方向には階段があった。
    …小学校、というのであれば段差はもっと低くしろよなと思うけれど進もうとする茶柱さんに慌てて追い掛ける形で段差を上る。
    と言うか…

    最原「(明かりがないのによく進むよな…流石、というかなんというか)」

    規格外さを分かってしまった…

    茶柱「…?あっ、紙が落ちてますよ!最原さん、早く来てくださいよ!!」

    最原「紙?――うんわかった、直ぐに行くよ」

    踊り場付近でしゃがむ茶柱さんの側に進む…茶柱さんは紙を手にしているが文字まで読めないらしい。僕が近づくと、紙を僕に向けて見せつけるように差し出したんだ。

    茶柱「…読んでください」

    最原「うん。ああ…えっと」

    差し出した紙を受け取って懐中電灯に照らしながらも書かれた文面を読む。

    最原「『 もう、いやだ。あの人にあったけど…黒いもやが立ち込めて話しかけられなかった。なんなの?…もう、私のても…く、ろいよ…たすけっ 』
    …さっきの紙の続き…でいいのか?」

    茶柱「…後半から文字が途切れ途切れですし何かあったのかも――」

    と、その時だったんだ。
    僕らの足元に…光るものが落ちてきたんだ。



    ▼ 【 謎の手紙4 】を入手しました… ▼

    情報:(コピー用紙が少し劣化した物の上に書かれた文字があります。乱雑に書かれた紙は―――)

  78. 78 : : 2018/05/14(月) 05:13:56
    チャリーン、と金属音がしたかと思えば…その音の方向を照らす。と、転がっていたのは…血塗れではあったけど見覚えなあるモノだった。

    茶柱「――あ、これは…ピン止めですね…血塗れですが――見覚えのあるデザインをしていますね」

    最原「…音符の形をしてる…まるで」

    赤松さんが普段からつけている髪留めにそっきりだなと思ってしまった。それは――茶柱さんも同じだったようで、

    茶柱「これってまさか赤松さんのではないでしょうか?」

    と僕の方を見た。確かに言われれば言われるほどそうだと思う。赤松さんは髪留めについては「 これ?何処にでもある既製品だよ? 」と話していたけど、雑貨屋さんで見たことがなかった。
    逆に春川さんがつけてる髪留めばかりはよく見たんだけどね。

    赤松さんのだとは断定は出来ないけれど、血が付いてるから取ろうにも取れないな…と思っていると茶柱さんがポケットからハンカチを取り出したんだ。床にしゃがむとそれを丁寧にハンカチ越しに掴むと差し出す。ハンカチには血が付いてないのだから恐らくは血自体は乾いているのだろう。

    茶柱「…赤松さん逢ったらに確認しましょう。その為にも最原さんが持っておくべきだと思いますよ」

    最原「そ、そうだね…」

    茶柱さんがハンカチごと無理矢理に渡される。えっと…ハンカチごと預かっていて平気なのだろうか?

    茶柱「ハンカチの心配ですか?――それなら三回洗って返してくれれば良いですよ!」

    最原「え?三回も洗わないとだめなの…?」

    茶柱「それに、アイロン掛けも忘れずにお願いしますよ!」

    そ、そこまでするなら…いらないぞ…と思っていると茶柱さんが少しだけ微笑んだ。

    茶柱「嘘ですよ。転子がそこまでイヤミな奴だと思いました?…ちゃんと元の場所に戻れたら返して下されば平気ですよ」

    それよりも、と続けた。

    茶柱「これは絶対に赤松さんのです。血がついているので赤松さんの身に何か起きたのかもしれませんが、それでも再会したときに渡すのは最原さんじゃないといけない気がするので持っておくべきです。
    …大事な人の持ち物は大切な物かもしれませんからね」

    お、おいっ、なんだよっ。その言い方はっ。
    まるで僕の気持ちを知ってるよと言わんばかりに――

    半ば強引にハンカチで包むと僕の掌にのせる。
    赤松さんのじゃなかったらこれどうしたらいいんだよっ!

    と呟く僕を軽く無視して茶柱さんはそのまま懐中電灯をかっさらい、上へと進んでしまった…

    最原「…」

    捨てるわけにもいかないからそのままポケットに仕舞うことにしたんだ。



    ▼ 【 赤松のヘアピン? 】を入手しました… ▼

    説明:(茶柱のハンカチにくるまれた音符の形をした髪留めです。どことなく赤松が普段から着けているヘアピンに似ていますが血塗れのせいで不気味なものを感じます)


  79. 79 : : 2018/05/15(火) 04:36:46

    階段を進むと…先程と同じような空間に出てきた。
    だけど、床が半分ぐらい崩れてしまっているせいか、奥に見える扉がなんの部屋なのかわからずじまいだ。

    慎重に床を見ながら歩いているせいだろうか、そこまで辿り着かずにつぎの場所へと進んでしまう。

    茶柱「…ぐぬぬ…中々発見には至りませんね」

    確かにそうだなと思う。だけどまだ進めそうであるからなんとかなるのかもしれない…だなんて赤松さんや百田くんの精神がここに来て移ったのかもしれないな。

    と、空間を抜ける…とまた無意味とも言える空間に出てきた。何なんだと言いたくなるが茶柱さんがいる手前なにも言えないもどかしさを感じてしまうぞ。

    最原「(にしても…ボロボロ過ぎるよな)」

    廃校というものはこういうものなのか?
    それとも『 異空間 』だからか?…うーん、分からなくてモヤモヤするな。そんな思いを抱きながらも軋む床を慎重に歩いていく。

    …壁際には何かが転がっている…きっと死体なのだろうが茶柱さんが気が付いてないのであまりここで大っぴらに「 死体がある 」だなんて話してしまえばきっと恐がって逃げて見失いかねないだろう。
    だまったまま、その空間をまっすぐ進もうとした時、茶柱さんが壁を照らしたんだ。

    最原「…どうかしたの?」

    茶柱「貼り紙があったので…あれです」

    懐中電灯を真っ直ぐ壁際を照らすと古びた学級新聞の様なものを見付ける。…近づくまで気が付かなかったのは少しだけ癪に触った。

    最原「…読むよ『 ■ 天神小学校 ■
    廃校のお知らせ( 1975/10/18 )
    先般の忌まわしき事件の後
    校内で多発する残酷たる事件、事故激減する生徒児童の数など校内の実情を鑑みるに……来る75年11月18日に断腸の思いで当校の廃校を決断いたしました
    わたくしの不徳により不甲斐ない決断となり深くお詫び申し上げます
    教職員各位 天神小学校校長 柳堀隆峰 記す 』」

    茶柱「えっと…」

    どういう事なのでしょうか?と文章に首を傾げる茶柱さんに恐らくと続ける。

    最原「恐らく…『 例の児童誘拐・殺害事件 』があってからの話だろうね。だからこそ――廃校にしたんだろう」

    茶柱「あ…そうでしたね」

    僕の発言に思い出したかの様に納得する。…ああ、ある程度理解してくれる人で良かったと安堵の息を吐く。

    最原「これだけじゃまだ分からないよ。もっと調べるしかないと思う――きっと脱出の鍵はこの場所について知ることもあるんだと思うからね」

    茶柱「はい、そうですね…まだ向こう側に行ける見たいですからそこに進みましょう」

    頷くと黙って僕らはその場を後にしたんだ…


    茶柱「きゃっ!」

    扉を進んだ先、廊下が真っ直ぐ伸びていたんだ。廊下に出ていると同時に雷鳴が響いた。思わず肩を震える。
    カタカタと窓が震えるけれど、それを無視する形で真っ直ぐ進むと…

    最原「突き当たりか?」

    茶柱「えっと左右に…廊下がありますが――どちらに進みますか?」

    左右を照らした懐中電灯をちらつかせる茶柱さんに――

    最原「そうだな…」




    question、>>80番さん。最原・茶柱の行く先
    (選択肢です)


    1右側に行く…べきかな

    2いや、左側に進もうか



  80. 80 : : 2018/05/15(火) 06:45:21
  81. 81 : : 2018/05/19(土) 16:26:06

    (>>80番さん、大変お待たせしました!…正規ルートですまた…進むよ?)


    最原「そうだな…右側行こうか」

    少しだけ悩んだのち、左側の床が緑色になっていることに気が付いたんだ。…なんだか嫌な予感がする。
    そう思ったら自然と答えが出ていたんだ。

    茶柱「そうですか?では――こちらにいくとしましょうか」

    少しだけ僕の悩むそぶりに不思議そうな表情をした茶柱さんだったけど…あまり気に止めずに右側の廊下へと進んでいく。
    僕も行こうかな――と一歩目を踏み出した瞬間。

    ――『 ア~ア…ザンネンダナァ… 』――

    と不気味な声が聞こえたのは――軽く無視すべきだろうな。


    茶柱「…『 図工室 』ですかね?」

    最原「ちゃ、茶柱さんっ!ちょっと…っ」

    僕が茶柱さんに追い付いた頃。茶柱さんは半開きになった扉に佇んでいて、その隙間から懐中電灯を照らしつつ中の様子を伺っていた…ってか、そんなことをしてたらバレバレじゃないのか?
    もし、誰がいたら――危険のような気がするんだけど…

    茶柱「…誰もいないようですし、入ってみましょう!」

    最原「…え?」

    ガラガラ…っと半開きの扉を一気に開くと同時に雷鳴の光が眩しくて一瞬顔をしかめる。
    チカチカと眩しさに眉間にシワが寄るけど、茶柱さんは元気よくその中に入ってしまった…

    最原「(夢野さんがいってたな…「 転子は決めたらそここしかみておらん 」って。本当にその通りだけど――)」

    その方が助かる時もあるなって思いながらも『 図工室 』とやらの調査を始める…



    question、>>82番さん。『 図工室? 』調査安価
    (すべて選択しないと進みません)


    1、石膏…誰かに似ているような…
    (図工室中央にある石膏&キャンバスを調べます)

    2、黒板に…黒いシミ?
    (黒板近くの床にある黒いシミを調べます)

    3、半開きの戸棚があるね!
    (机とその近くにある戸棚を調べます)

    4、窓に紙が貼ってあるな
    (窓側に貼りつけられた紙を調べます)



  82. 82 : : 2018/05/19(土) 19:42:07
    3で!
  83. 83 : : 2018/05/28(月) 23:15:14

    (>>82番さん、お久しぶりです!!
    大変お待たせしてごめんなさい。そして…ありがとうございます)


    最原「半開きの戸棚…」

    『 図工室 』に入った時、最初に目についた箇所がそこだったんだ。教室の中央に置かれた石膏ではなくて、石膏を取り囲むように等間隔な円で置かれたイーゼルじゃなくて――だ。

    茶柱「戸棚ですか?」

    茶柱さんが確認を取るようにこちらをみた。僕は軽く頷くと近くまで歩み寄ったんだ。雷鳴に小さく肩を震わす…心なしか肌寒く感じるこの空間。茶柱さんは相変わらず半袖で腰にセーターを巻いてるけどいつ着るのだろうか?
    そんなどうでもいいことを思いながらも戸棚まで辿り着いた。

    最原「(…扉が壊れてるから半開きなのか)」

    扉の端を軽く摘まむ。動かそうとしたけれど軸が壊れているだろう動かすことは出来なかった。

    茶柱「え…なんなんですか…これっ!!」

    僕が違う場所をみていた時、茶柱さんは戸棚の中にあるものに驚いたのか声をあげたんだ。…どうかしたのか――と思って視線を向かわせる…と。

    最原「なんだ…これ、気味悪いな…」

    戸棚の中身。ベットリと赤黒いもので彩りされているなかでポツンと置かれたパレットナイフ。それが妙に生臭い。
    ペンキではないだろう…これは恐らくは…

    茶柱「誰かの――血ですか?」

    最原「――多分」

    完全に乾いてない血を触る気にもなれなくて僕らは見なかったことにしてそっとその場を離れた…



    question、>>84番さん。『 図工室? 』調査安価
    (すべて選択しないと進みません)


    1、石膏…誰かに似ているような…
    (図工室中央にある石膏&キャンバスを調べます)

    2、黒板に…黒いシミ?
    (黒板近くの床にある黒いシミを調べます)

    3、選択済み★

    4、窓に紙が貼ってあるな
    (窓側に貼りつけられた紙を調べます)


  84. 84 : : 2018/05/29(火) 00:23:26
  85. 85 : : 2018/06/01(金) 22:43:19

    (>>64番さんありがとうございますm(_ _)mそして久々の投稿すいません…)

    離れた途中。ぴちゃん…と水のようなものが跳ねる音がした。なんだろうか?気になって足元を覗く…と丁度僕が踏んだ位置に水溜まりのようなものがあったのだ。

    茶柱「…うわっ、最原さん――ま、まさか…」

    声だけでわかる。これはかなり軽蔑している。違う方向に考えているのかも知れない…例えば言いにくいけど…失禁したとか。

    …だ、断じてないからなっ!

    前を照らしてる茶柱さんを睨み返す。…だが、茶柱さんの反応は鈍かった。何故なら――

    茶柱「…あ、アンジーさん?」

    夜長『およよーやっほー転子!』

    僕の背後にアンジーさんが居たからだ。…アンジーさんの声に振り向くと少しだけ跳ねた水が靴下に掛かったのか冷たいのがじんわりと広がったんだ。

    最原「アンジーさん?どうしてここに――」

    夜長『竜馬が危ないから、忠告しに来たんだよ』

    問いかけに即答したアンジーさんの声は酷く真剣に聞こえたんだ。茶柱さんと僕は思わず彼女から放たれる気配に言葉さえ出なかった。

    夜長『是清がいる場所の近くに走ってる竜馬がいるんだ…早くしないと捕まっちゃう、だから』

    そうなってしまえば、と続ける。

    夜長『竜馬は死んじゃうよ』

    断言した言葉に思考が止まってしまう…それは茶柱さんも同じだ。
    『 死 』という単語がこれほど怖いものだとは無知だった。

    最原「だとしたら――助けないと」

    辛うじて乾いた口がくっつきそうなぐらいだった。でもアンジーさんは黙って首を横に振ってしまう。

    夜長『…だめ、近づけば――終一も殺されちゃうぞ!
    だって、是清は――『 黒化 』が始まってるから、アンジーには』

    長い沈黙。聞いたこともない単語を呟いたアンジーさんに聞こうにも聞けない…迫力があってゴクリと喉を鳴らす。

    夜長『どうにも出来ないんだから…』

    その『 黒化 』とやらは一体なんなんだ?アンジーさんはとても悔しそうにしている。――そこにはヘラヘラと笑みを浮かべてばっかりの彼女は居らず、死んでから普段よりも胡散臭さが抜けたような、そんな拍子抜けしてたりする。

    最原「『 こくか 』…?」

    夜長『…この場所に居続けると心が病んでいくんだよ。そのまま放っておくと…体が黒い靄に覆われて最後は…黒くなって死んじゃうコトだよー』

    だから、と続ける。

    夜長『終一たちは一刻も早くここからでないと…』

    茶柱「その…『 黒化 』してしまう、と言いたいんですか?」

    頷いたアンジーさんは、そのままに。

    夜長『でもでもー。アンジーは是清の事を放って置けないから、いくのだー!』

    決意のような事を呟いたアンジーさんはそのまま逃げるように扉をすり抜けて出ていってしまった。

    茶柱「…だ、大丈夫なのでしょうか?アンジーさん…」

    残された僕らはただその場所に立ち尽くすしか出来なかった。


    情報:(【 黒化 】について得ました…
    どうやらこの場所に居続けると危ない理由はこれだったのでしょうか?)


    情報:(【 真宮寺の異変・星の危機 】を取得しました…
    真宮寺は夜長によると『 黒化 』しつつある事、並びに星が狙われてると事実を知ります)



    question、>>86番さん。『 図工室? 』調査安価
    (すべて選択しないと進みません)


    1、石膏…誰かに似ているような…
    (図工室中央にある石膏&キャンバスを調べます)

    2、選択済み★

    3、選択済み★

    4、窓に紙が貼ってあるな
    (窓側に貼りつけられた紙を調べます)

  86. 86 : : 2018/06/01(金) 23:12:55
    4で!
  87. 87 : : 2018/06/15(金) 02:35:55

    (>>86番さん!ありがとうございますm(_ _)m
    遅くなってしまい、ごめんなさいっ…暫く進行しますよ…?
    そして次の進行が早くて来週の木曜日になるよ!←え)



    アンジーさんは呑気すぎる。
    …いや、陽気に見せているだけなのかもしれないな。
    まさか、僕らの行動が止まらないように――敢えて、なんて。

    最原「(…まさかな)」

    彼女がどう考えているだとかさっぱりなんだけど、今はそれよりも――

    茶柱「この紙、なんなのでしょうか…?」

    最原「あぁ…どうかしたの?」

    アンジーさんの事に意識が向いていたから気が付かなかったけれど、茶柱さんは僕より大分離れた位置――窓際に居たんだ。彼女がなにか紙切れを掴む所で首を傾げていたんだ。

    茶柱「最原さん、来てくださいよ!」

    最初は距離を置いていたハズなのにいつの間にか、向こうから来いと言われてもなぁ…投げ飛ばされたりは――しないと思うけど、彼女の怒りの導火線に触れないようにしないと――ってなんで僕が気を遣ってるんだ?
    …まあ、深くは考えないようにしよう。うん。

    茶柱さんの元へと歩み寄る。近づくと分かるけれど、茶柱さんは比較的新しい紙切れを…持っていたんだ。なんだろうと思うと茶柱さんが僕から奪った懐中電灯を返してきて無言で紙切れを照らせと指を差し示す。

    最原「あ、うん。わかったよ…」

    無言の圧、とはこんなにも怖いものなのか――以前真宮寺くんや天海くんが話していたけれど案外死者よりも生者の方が怖いのかもしれない――ってここで話していたとしても、現実味がないのが事実だけど。

    茶柱「『 星 ら 魔 の を 音 右 2 た っ * ち 』
    …」

    少しの間無言になってしまう。
    互いに顔を見合わせると苦虫を噛み潰したような表情をした茶柱さんに「 ジロジロと見ないで下さいっ! 」と言われてしまった…

    茶柱「とりあえず読んでは見ましたが…文字の羅列ですね。意味がわかりませんし」

    新聞紙の切り抜きらしく文字が無機質であるが故に誰が書いたとかの筆跡もない。…つぎはぎだらけの文字と文字の間は一貫性のない空白がある。…だとすればこれは――

    最原「確かに――文章とは言えないね。穴抜けが所々にあるから元々の文章を分割したモノなのも知れない」

    絞り出した答。このような文字が貼られた紙切れがあるのかもしれない、そう判断するのは簡単だったんだ。
    茶柱さんも頷いている様子からして理解してくれただろうか?

    茶柱「これはヒントかもしれませんし――転子が持っておきます…流石に最原さんばかりに持ち物を持たせておくのも怖いので」

    …何が怖いんだよ。と思わず思わなくもないんだけどここは素直に彼女の意見を尊重すべきだろう。



    ▼ 【 謎の暗号 】を入手しました… ▼

    説明:(茶柱が見つけた、新聞の切り抜きで書かれた文字の羅列の紙です。一文字一文字の空間が空いており、最原の考えが正しければ他にも同じようなものがあるのかもしれませんね)
    新聞紙の切り抜きらしく文字が無機質であるが故に誰が書いたとかの筆跡もない。…つぎはぎだらけの文字と文字の間は一貫性のない空白がある。…だとすればこれは――

  88. 88 : : 2018/06/15(金) 02:36:42

    先程の紙切れをしまった茶柱さんを横目で見つつ、視線を巡らす。…ある一点で止まる視線に気がついたのか茶柱さんが小声で「 どうかしましたか? 」言われ、ああ…と口を濁らす。

    最原「うん。あの――石膏、何処となくだけど」

    話ながらも歩み始める。向かうのは視線が止まった――この教室内の中心に置かれた石膏だ。
    近づく度に石膏の真っ白いデザインが釘付けになる。
    …やっぱりそうだ。確信を抱いた僕が言葉を続けるんだ。

    最原「『 星くん 』に似てるんだよ。いや、似てるってレベルじゃないよ。星くんをモデルにしたような――」

    僕らの中でも一際背の低い星くんの全体をモデルにしたようなリアルな石膏だった。…着色していれば星くんそのものだ。それぐらいしか違いがないくらい精工すぎる。
    ――あ、勿論なんだけど服はちゃんと着ているぞ?

    茶柱「…そ、それはっ…」

    茶柱さんもそれを見たのだろう。どこで、誰がこんなことをするのだろうか?まるでこれじゃぁ…星くんがこうなってしまうのを暗示してるような薄気味悪さを感じ――

    茶柱「わわっ、なな、なんですか?!ここ、この絵はっ!」

    最原「――どうかしたの?茶柱さん?」

    こちらに歩いた茶柱さんが驚いていた…それは絵を見てだとすぐにわかったんだ。石膏の近くからでもうっすらと見えたのは――クレヨンで子供が描いたような絵。そこに書かれていたのは――僕たちだったんだから。

    茶柱「…これは…悪趣味、じゃないで、すかっ!!」

    最原「…うわぁ」

    よくよく見ればあちらこちらにキャンバスが転がっていたりする…キャンバスの枚数を数えると16枚――丁度僕たちのクラスメイトの総数と同じだ。
    その1枚1枚に僕たちの絵が描かれてあり、茶柱さんと僕が見たのが――キーボくんが描かれていて。
    キーボくんの顔に切り裂かれた跡とそれに上から被せたのだろう。真っ赤になっていたのだから。

    それは『 死んだからこうやったんだよ 』と言わんばかりで気が付くと1枚1枚確認して回っていたんだ。


    茶柱「…破れていたのが、入間さん、春川さん、白銀さん、アンジーさん、キーボさん、でしたね」

    最原「春川さんと白銀さんについては分からないけど、この暗示からすると――危険だ」

    これを信じるとすれば、すでに5人は死んでるのだ。それだけじゃない、と首を振る。

    最原「黒くなってたのが、ゴン太くんに真宮寺くん」

    茶柱「一部赤くなっていたのが…赤松さん、東条さんそれに――王馬さん、百田さんですか」

    こうなると過半数以上が『 何かしら起こった… 』と言えるんだろう。怪我しているのかもしれない。

    最原「かなり――不味い状況、ってことかもしれない」

    このままでは直に僕たちもただでは済まなくなるのかも知れない。…そう思うと余計にこの場所が得たいの知れない恐怖があるのだと理解してしまう。

    茶柱「――だとしても、考えるのをやめたら何もなりませんよ」

    最原「うん…僕らが出来ることをやるしか…ないんだよね」

    それでも――みんなと無事に帰るため、立ち止まってはいけないんだ。これがただ僕たちを怖がらせているだけに過ぎないのかもしれないから。

    茶柱「…進みましょう」

    最原「そうだね」

    あらかた調べたのだから、ここにはもう何もないだろう…茶柱さんも同じ事を考えていたのか、僕たちは教室を後にしたんだ…

    教室を出る前、ビリっ…なにかを破くような耳障りな音を背後に聞きながら。


  89. 89 : : 2018/06/15(金) 02:37:32

    教室を出るとまだ進んでない方向に進むことにする。
    この先ならなにか新しい発見でもあるかもしれない、そう――思っていたんだけれど。

    茶柱「…階段、ですね」

    しかも、下りしかないようですよ?と僕の照らした懐中電灯の先を覗き混んで呟く。

    最原「ここは全部で2階しかないのかもしれないね」

    最原「(だとすれば――案外調べ尽くしたのかもしれないな)」

    んー進める場所が増えたから情報も簡単に回収出来るかと思ったんだけど、早計だったようだ。…早々と脱出のヒントを得られるならたくさんの人間が死に至らないだろう。
    …少し考えれば分かる答に僕の精神が何処と無く追い詰められているのだろうと分かる。

    最原「下りてみよう。それから考えよう」

    見た感じ今まで使ってきた中でも頑丈そうに見えるんだから下りれない訳でもないだろうし。それに、行ける所は現状、この先だけだからね。

    茶柱「わかりました」

    素直に頷く茶柱さんと共に階段を慎重に下りていったのだ…


    最後の一段を踏みしめて、一階に戻ると同時だった。――どこからか、雷鳴の間から音がする。
    ピアノの音だろうか?と首を傾げると茶柱さんが耳を傾けて、音の方向へと歩き出す…

    茶柱「(ひとがいるのかもしれませんね)」

    声のトーンを落としてこちらを振り向く。…そうならいいんだけれど、嫌な予感しかしない。ピアノを奏でてる人が生きてる人とは限らないんじゃないかな…なんて言ってしまえば茶柱さんがにらむこと間違いなしだろうな。

    相変わらず薄暗い廊下を進むとだんだんと近づいているのかピアノの音が大きく廊下を響かせていた…んだけど。

    茶柱「…あれ?止まりましたよ?」

    それは丁度、僕らが突き当たりに当たって『 音楽室 』と書かれたプレートを見つけたと同時だったんだ。

    茶柱「…『 音楽室 』ですね!入ってみれば分かることです――では早速」

    勢いもそのままに扉に手を掛けた茶柱さんが力のままに扉を動かそうとしたけれど…

    茶柱「…?あれ、あれれっ。鍵が掛かってますよ、この扉」

    最原「そうなの?…じゃあ茶柱さんの言う通り、人がいる…のか?」

    諦めた茶柱さんが扉から手を離し、僕が疑問を口にした時だった。

    『 カチャリ 』

    最原・茶柱「「!?」」

    触ってもいない扉が勝手に開いたのだから…
    驚きも反面に僕らは互いに顔を見合わせて、どうしようか?と呟いたんだ。



    question、>>90番さん。最原・茶柱の行動安価


    『 音楽室 』に入りますか?

    イエス(はいります)orノー(はいりません)


    でお答えください


  90. 90 : : 2018/06/16(土) 21:14:11
    イエスで〜
  91. 91 : : 2018/07/03(火) 03:06:48

    (>>90番さん、ありがとうございますm(_ _)m
    中々更新しない私を殴ってっ…ぐはぁぁっ)


    扉からちらつくのは…真っ黒な闇。窓から漏れていたはずの光でさえ吸い込まれてしまう――闇しかない。入るかどうかさえ躊躇う所だけど…

    最原「茶柱さん。行ってみようか」

    茶柱「えっ?ここ、この扉の先に行くんですか?!」

    茶柱さんの嫌悪感丸出しの声色に頷く。
    ここは一か八か。――普段の慎重過ぎると言われた僕からすれば、絶対にでない言葉。
    これは――カン、だ。

    なにかが…あるような気がしたんだ。
    きっと慎重な星くんが居れば入らなかっただろうけれど、今は違う。
    口を真一文字に結んだ茶柱さんを横目に僕は懐中電灯を再びつけ直して教室内に足を…踏み入れたんだ。



    最原「(暗いな…懐中電灯があっても――照らした場所周囲しかわからない…)」

    片手は壁をなぞりながら進むしか出来ないほど懐中電灯の灯火が心許ないな。
    こんな場所でピアノを弾くなんて生きてる人ではないだろう…トチ狂った人ならあり得るかもしれないが、ピアノがこんな場所にあったとしても――弾くのは流石に赤松さんを筆頭にいくらピアノが好きでも…はやらないだろう…

    と、袖の端をつままれたので驚いて振り返ると…少し怯えた表情の茶柱さんが僕の袖を軽くつまんでいたんだ。

    茶柱「ちょっと、待ってくださいよっ!!」

    最原「わあっ…茶柱さん、ついてきたの?」


    茶柱「…付いてきては悪いですか?」

    最原「いや、悪くは、ないけど…」

    ち、近くないか?!ここ、この距離は…茶柱さんはこんなに異性に近づく人じゃないから反応に困るんだよ…
    微かに女性特有のあの柔らかさを腕に感じるのだから、余計に困る。うぅ…普段、赤松さんみたく僕に近づかない茶柱さんだからこそ――無駄に意識が過敏になってしまって。

    最原「(クソッ…ダメだっ、冷静に――)」

    ガタン

    …『 カチャリ 』

    思考は物音によって遮断された。…僅かな音立ったんだけど、暗がりの中にいるせいか不気味に響いたそれに嫌な予感が脳裏を走ったんだ。

    茶柱「ななな…何がどうなっ――きゃっ」

    最原「茶柱さん?!…どうし――あだっ!!」

    背後に感じていた茶柱さんの重みが無くなる…驚いて振り向こうとしたら、浮遊感と共に体が風を感じ――いだぁぁっ!!
    宙を舞った僕は扉に激しくぶつかったのだと、理解したのはぶつかった扉がびくともしなかったからだった。

  92. 92 : : 2018/07/03(火) 03:07:09

    ちょ、ちょっと、待ってよっ…今日だけで何回投げ飛ばされれば良いんだよっ!!
    …というか。

    最原「(イタタタ…ん?扉が…頑丈だな…?)」

    頭を抑えながらも茶柱さんの心配よりも先に疑問を解決する事に重点を置いてしまうのは――悪いところかも知れないが、どうも嫌な予感がしたのだ。
    それに投げられた拍子に懐中電灯を床に落としてしまったようで、茶柱さんの足元に転がっていた。
    転がる懐中電灯を遠目に振り返り、手探りで背後にあったであろう扉を撫でる。…経年劣化をしているのもあるのだろう。ポロポロと何かが剥がれていくのを感じながら取っ手を探し当て、掴むと立ち上がり動かしてみる…が。

    ガタッ、ガタッっ

    最原「(――え?)」

    びくりともしない扉。なんで?と問いかけても答えは返っては来ないだろう。茶柱さんだって知る余地の無いことだから意味がない、と思う。
    何度も、何度も力任せで開こうとしても――鍵が掛かったように動かなかった。
    暗闇にその音だけが響くんだから、茶柱さんの悲鳴にも似た声がするまで、やってしまっていたんだ。

    茶柱「ひぇっ…な、何をしてるんですかぁっ!!」

    最原「ああ…ゴメン」

    茶柱「脅かさないでください!!」

    確かにそうだな…茶柱さんの言葉は正しい。
    急にこんなに暗闇で意図もせず音が響くのはよくよく考えたら――かなり怖い。

    最原「…脅かすつもりはないんだけど――ひとつ、残念な事を話してもいい?」

    少しの間。言うかどうかを迷ったんだけど、言うことにした。きっと茶柱さんは、嫌な顔をするだろう。安易にあの見下した顔を思い浮かべてしまうのだから…きっとするはずだ。

    茶柱「なんですか?…もったいぶるなんて流石男死で――」

    最原「どうやら、僕たち閉じ込められたみたいなんだ」


    茶柱「え?」


    最原「もう一度言うね。僕たち――閉じ込められた、みたいだ」

  93. 93 : : 2018/07/03(火) 03:07:32

    茶柱「は?」

    茶柱さんの反応は至極全うな反応だった。驚きを含んだ声に僕は冷静を保ちつつ、断言するように呟いた。

    最原「ここの扉が開かないんだ」

    茶柱「『 閉じ込められた 』って、どういう――だって扉は開いてたんですよ!?――誰が閉じ込めたんですか?」

    ごもっともだ。茶柱さんがこっちを向いて息を軽く飲んだ気がする。僕だって、現実を認めたくな――

    ポロん…ポロ…ン

    最原・茶柱『――っぅ!?』

    突然のピアノの音に肩が震えた。
    次第にピアノの音がハモり、ひとつの旋律を形成し流れていく。
    …この部屋に生きてる人間がいるというならば――灯りがないと怖くてたまらないハズ…と警戒心を高めていると、ボウッ…と茶柱さんの背後がうっすらと青白い光がついたんだ。

    きゅ、急に驚かせるなよ!――と叫びたい気持ちを押さえ込みながら冷静に茶柱さんに声を掛けた。

    最原「茶柱さん、懐中電と」

    ― イヤダ,イヤダヨォ ―

    茶柱「ひぃっ!!…だ、だだっ」

    遮るのは女性の声。聞き慣れないのだから牧の知る友人出はないのに少しだけ胸を撫で下ろした。
    言葉にならない声を上げる。恐らくは幽霊の類いであろう事は青白い光から推察するに分かってしまう。

    ― ココニハ…キテホシクナイノニ…ドウシテェ…ッ ―

    暗闇のせいで不気味に聞こえてしまう拒絶の声は段々と強くなる…それは耳障りなくらい大きなピアノの音と共に。

    とにかく幽霊が僕らを襲う可能性だって十分ある。今の状況で来られてしまうと――ひとたまりもないだろう。そんな事は重々承知のハズなのに。

    最原「(――急に空気が重くて体が重く感じる…ヤバイぞ――)」

    酷い頭痛に立てないぐらいにふらつく視界。
    急に来た症状につい顔を――しかめてしまう。

    だめ、だっ。
    この、ままじゃっ。

    茶柱「さ、い…らっさ…――!」

    茶柱さんの声がどこか遠くに、聞こえて…

    最原「(ごめ、ん…)」

    どうにも耐えられなくなってしまって、体がゆっくりと倒れると同時に…完全に意識が…



    無くなってしまった。


  94. 94 : : 2018/07/03(火) 03:31:15

    『 天海蘭太郎 』side


    …ピチャン、ピチャン…

    スマホのライトで暗くて危なっかしい足元や周囲を照らしながら呟くんすよ。

    天海「…ここはどこなんすかね?」

    目が覚めるまでの記憶が皆無過ぎてなんともいえないんすよね…はぁ。
    確か怪談話をしていたような気もしますが――何より。

    天海「(この紙切れを大事に持っていたのは疑問すね)」

    雷鳴がひどく煩く耳にこびりつくなかで起きた時、それを後生大事に抱えていた小さな白い紙切れを眺めながら、廊下を進んでいる所っす。
    何処かは分かりかねますが、古い建物――強いて言うならば『 過疎化の進んだ小学校校舎 』みたいな造形のこの場所は身に覚えなんて当然ないですよ。

    あんまり行き先が無いようなそんなこの空間に俺はいたんすけど、何せ手がかりもないのだから八方塞がりすぎて溜め息が零れてしまうんですが…

    天海「(玄関まで辿り着きはしましたが――開く気配はないっすね)」

    目が覚めた場所はこの『 玄関 』でしたね。壁に寄りかかる形でいて、それから探索をしてはみたんすけど。

    天海「(誰も会わないのは変な話っすよ)」

    俺が持つ微かな記憶を辿ればこの場所に来る前にはみなさん――クラスメイトたちと怪談話をしていたハズ。ならばとみんなと共になにか事件にも巻き込まれたんじゃ無いのかと周囲を調べてたりしましたが――収穫はゼロでしたねと自嘲じみた苦笑いを浮かべるしかなかったんす。

    天海「『 入間さんの蝋燭 』があるんすから、少しは期待してたんですけど…」

    と、視界の隅にちょこんと佇む蝋燭を一瞥しますね。毒々しい赤の蝋燭は王馬君が持っているのを見たし、入間さんも何本か持ち歩いていたのも偶々見てたので判断がついたんですよ?
    …だとすれば、確実にいるのはいるのでしょうけど――

    天海「(ここ周辺はみましたし、みるとすれば――倒れた棚の向こう側っすね)」

    戸棚なのでしょうか、近づくとバリバリと音を立てて砕けるのはガラスの破片っすよ。足元をみると上履きだからやはり何かに巻き込まれた可能性を自ずと考えるんすけど――覚えなんてないんすよね…と。
    通れるようにと戸棚の端を軽く持つ…と思いの外軽くて直ぐに退かすことに成功したんです。

    天海「…見た目に惑わされちゃダメっすね」

    アハハ…と乾いた笑みは雷雨に掻き消されてしまうんです。

  95. 95 : : 2018/07/03(火) 03:31:48

    とりあえず戸棚をどかしたんすから、その先に進めるでしょうね、バリバリとガラスを踏みながら通れるようになった廊下の先を進むことにしたんですよ。

    天海「(さっきよりも――暗いですね)」

    スマホのライト機能を駆使しないと進むのも躊躇うような闇が広がってました。が、このぐらいの闇で歩みを止める俺じゃないんすよね。と意気込んで軋む床を慎重に歩きます。

    突き当たりまで壁伝いに進むと廊下は左右にその道を違えてました。…んーこういうときは…左っすかね。
    壁伝いにライトを照らしながら突き進む――と、直ぐに突き当たりまで来たんです。

    天海「(ああ、失敗でしたね)」

    才能上こうした場面に遭遇することもないんすけどね。こうして2択の選択肢を間違えると少しだけ萎えるんですよね。まぁ、ここに宝箱だとかあれば違うかもしれませんが。

    突き当たりならば、教室の一つぐらいあるだろうとライトをちらつかせる…と看板に目が止まるんす。

    『 職員室 』と無機質な字が書かれてるのを照らしているとどこからか足音が響いたんです。次第に大きくなったかと思えばまた、遠退いていく――って流暢に語ってるワケ行かないっすよ?!

    足音がした、と言うことは誰かがいるってことっすから音のした方…来た道を慌てて追いかけることにしたんすよ。


    ***


    ――で戻ってきたのは良いんすけど――


    天海「(…誰も…居ないんすか?)」

    と、歩きながら『 蝋燭のある地点 』に留まった瞬間でした…開かなかったハズの『 玄関の扉 』が勢いよく開かれたと思えば――そこから姿をみせたのは。

    天海「――え?」




    question、>>96番さん。開いた扉から出てきたのは――
    秒数安価


    ゾロ目…◯◯の描写追加+◯◯と合流イベント

    奇数、十の位が5、3の場合…◯◯と合流イベント

    上記以外…天海が死にます



  96. 96 : : 2018/07/04(水) 06:34:39
    はい
  97. 97 : : 2018/07/10(火) 04:19:07

    (>>96番さん、おお、ありがとうございますm(_ _)m
    すこし?進行します…)


    ドバァァァアアアンッッ!!!!

    雷鳴にも引けを取らない音と共に扉が開いたんです。
    そこから黒い物体が雪崩れ込む…いえ、転がり込むって方が合ってますね。入ってきたんです。
    足元の簀に躓いたのかも知れないっすけど、突然の出来事に言葉がでないっすよ!

    天海「…」

    そろり…と倒れた物体に近寄るっす。足元に扉が開いたことによって流れ込んだ風を感じつつ、生唾を飲み込むっすよ。

    天海「…だ、大丈夫、すか…?」

    うん…なんと言いますか、人なのは遠巻きに見て解りましたが雷光によって目がチカチカしてるせいで近づくまで解んなかったす。生きてる人物だということも――ですけどね…
    手を差し出します…と転げた姿が段々と輪郭を見せて――声と共に「 誰なのか 」が漸く分かったとき。

    天海「ちょ、え――っ」

    目にも止まらぬ早さで顔を上げた彼女が、俺をにらんだかも思えば…

    ??「い、いきなりなんなんですかぁ!?…はぁっ、ぜえっ」

    天海「あたたた…い、痛いっすよ…――茶柱さん」

    俺は吹っ飛ばされてたんすから…ねぇ。しゃがんでいた体勢から立ち上がるとなんとも言いがたい表情をした茶柱さんが睨むように見てたんです。

    こうしたことは…普段から馴れてる――って、ご、ご…語弊っすよ?好きで投げられてるワケではないですよ?!
    ゴホン、なんと言いますか――その…茶柱さんにはさんざん投げ飛ばされたりしてましたから、受け身を自然に取っていたらしく思ったよりも衝撃や痛みなんかは感じなかったす。
    それと吹き飛ばされた事によって、埃が宙を舞ってるっす。

    …埃が目視できるほどここは古いってことっすかね?
    んー情報が相変わらず少なすぎるんですよ…少しだけ考えるモードに入りそうになった時、震える拳を背に隠した茶柱さんの怒号にも近い声色で吐き捨てたんすよ。

    茶柱「――だ、誰だって、いきなり現れたら驚きますよ!?
    しかもだ、だんs――天海さんだなんてっ
    そもそも、なんで転子たちが最初にいた時点で居なかったんですか!!」

    いきなりあらわれた?
    転子…たち?

    茶柱さんの言い方に引っ掛かりを感じますね。…恐らくはある程度知っているんすかね?だとしたら…

    天海「…たち?
    他にもいたんすか?その――クラスメイトが…?」

    茶柱「そ、そうです。先程まで最原さんと行動してたんですが…はぐれてしまって。最原さんを捜そうとしていたところだったんです
    ――ですが…」

    やはり、ここに連れてこられたのは俺だけじゃないんすね。茶柱さんが目の前に居ますし、その彼女が『 共に行動していた 』と言うのだから――王馬君じゃあるまいし嘘、ではないっすね。
    それに、彼女の声が僅かに震えている事を加味すると――俺と合流するまでにひとイベントがあったのは誰だってわかるっすよ。

    天海「?何かあったんすね」

    こくり、小さく頷いた茶柱さんを促すようにその場から距離を置くことにしたんすよ。
    ――そこは茶柱さんと合流した地点から少しズレて入間さんの蝋燭付近で。
    相変わらず茶柱さんの表情は心なしか青白く感じますね。
    ぼんやりとその小さな掌に収まる懐中電灯は…恐らく最原君のでしょうかね?
    辿り着くや否やで鋭い視線が向けられたんです。

    茶柱「天海さん。――ここが何処だか解りますか?」

  98. 98 : : 2018/07/10(火) 04:19:41

    唐突な問い掛けに首を黙って横に振るっす。
    それを横目でみた茶柱さんは呆れたように溜め息を吐いたかと思えば――ぼそりと口元が動いたのが分かったす。

    天海「(…『 記憶は――なさそうですね 』って、なんのことすかね…)」

    真宮寺君が教えてくれた読唇術で読み取った言葉は恐らく気が付いてない…んすね。茶柱さんはその後に軽く頭を振ってからまっすぐと俺の方をみたんすよ。

    茶柱「この場所は多分…いいえ。『 天神小学校 』という場所なんです。…最原さんたちがおっしゃったのでそうなんだと思います」

    天海「『 天神小学校 』…?聞いたことない学校すけど」

    いくら土地や地理に詳しい俺でさえ聞いたことのない単語の学校に思わず聞き返してしまうんす。
    …ですが、その一方で何故かすんなりと自分のなかに理解が出来るのは――不思議でしたが。

    茶柱「にわかに信じがたいのですが、ここは『 現実 』にある場所じゃないみたいなんです。アンジーさんが言うには――『 異空間 』、『 霊磁場 』だとかで」

    『 異空間 』…ってことは、何らかの力で飛ばされたんすね。ファンタジーの出来事が俺たちに起きたって事で、俺はそこまでの経緯の記憶を失った、あるいは忘れてるんでしょうね。
    腕組むと茶柱さんの話すタイミングを待ってみるっす。

    茶柱「みなさん巻き込まれたんです。同じ場所に…ですが、『 多重に重なった時間経過の異なった場所 』にバラバラに散らばったらしくて――誰がどこにいるのか全く分からないんですよ」

    天海「バラバラにっすか?」

    茶柱さんは頷いて、わかる範囲で答えてくれたんす。

    茶柱「転子たちのこの空間には『 最原さん、転子、星さん、真宮寺さん 』…そして天海さんがいるみたいなんです。…星さんと真宮寺さんはこことは違う校舎――扉の向こう側にある所にいると思います」

    それ以外の方たちは…と続けるっす。

    茶柱「最原さんの推理と星さんの話では…『 夢野さん、東条さん、アンジーさん、王馬さん、 』と『 赤松さん、春川さん 』、『 入間さん、キーボさん、 百田さん』に分かれているらしいんです。残りの方はどこにいるのか分からないんですよ」

    天海「そ、そうなんすか…」

    曖昧になってしまった返事に、この場所にいるかもしれないし、違うのかもしれない、そこまでは分かりませんと目を伏せたっす。

    違う場所にそれぞれバラバラに散らばった、と言うことは簡単には逢えないんでしょうね。茶柱さんたちが行動をして遭遇してない…という事から察するに、本当に似たような場所に散り散りになった――という認識であってるんすね。

    うんうんと頷く俺に一呼吸置いてから顔色を窺いながら再度話始めるっすよ。

    茶柱「この場所は『 悪い霊 』がいるらしくて、生きてる方を容赦なく襲うんだそうです。…実際転子たちは幽霊に追われたのと…それと…」

    いつも力強い口調が段々と弱まっていくっす。
    何か言いたくないような――そんな口調が茶柱さんに陰をさす。

    天海「…それと?」

    茶柱さんは渋るように黙ってましたが、少し頷くと再び語感を強めるっす。

    茶柱「…『 死んでしまって幽霊になってしまったアンジーさん 』が転子たちに話してくれたんですから…」

    天海「!?あ、アンジーさんがっすか…?し、死んだって――」

    驚き隠せない俺に悲しそうに微笑んだ茶柱さんは指を折り数えながら呟いたんす。

    茶柱「アンジーさんだけじゃないんです。
    入間さんにキーボさん…もです。みなさん、この場所…いいえ、正確にいいますが、同じ『 天神小学校 』の中でも『 違う次元 』で亡くなったんです…」

    天海「っ――!!」

    茶柱「…正直転子も信じられませんが――『 天神小学校 』という場所はそういった場所らしいんです。簡単に人が死んじゃう場所なんです」

    そんな、ことって…あり得るんすか?
    だって、昨日まで元気だったみんながバラバラになって、しかも――死んだ、だなんて。
    驚きとどうも呑み込めない言葉に目を丸くしてる俺に茶柱さんは諭すように話しかけるっすよ。

    茶柱「…天海さんはご存知無いようなので一から話しますね。
    転子たちが知ってる限りの情報を――」

    それから茶柱さんは、この場所に来てからの事、それから俺に遭遇するまでを順を追って話してくれたっす。

  99. 99 : : 2018/07/10(火) 04:20:49

    天海「…『 音楽室 』に入ったら閉じ込めれて、それから――いつの間にか気を失ってしまって目を醒ましたら同行していた最原君が居なくなってたんすね」

    茶柱「そうです!
    …最初は転子を置いてきぼりに違う場所を調べているのかと思って探したんですけど――最原さんはおろか、誰も居ませんでした」

    経緯を一通り聞いた所で反芻するように確認の意味を込めて言葉にするっすよ。…流石にこの場所では『 男死 』と言われない分、役得な気がするのは――不謹慎すね。

    天海「俺もここら辺調べましたが、生きてる人は居なかったんすよね…」

    そう『 生きてる人は 』。
    さっきまでは偽物だと思い込んでた死体…恐らくは本物なのでしょう――が壁際にあったりしてたんすからね。

    茶柱「転子は慌ててあそこの扉から違う校舎に進もうとしたら…『 女の子の幽霊 』に追いかけられて、為す術もなく引き換えざる得なかったんです…」

    天海「…幽霊、ね…」

    茶柱さんの言葉を信じるとあの扉の先には『 女の子の幽霊 』がいて、通行が不可能…なんすね。だったら、真宮寺君や星君がこちら側に来ていない限り暫くは合流は不可能っすね。だとすれば――――

    天海「…この校舎をまた調べるっすよ。茶柱さんが、気が付かないだけで違う発見があるかもしれないんすからね」

    茶柱「そ、そうですね。確かに最原さんを捜している時は細かくは見てなくて素通りしていたかもしれません。
    ――って、天海さんも転子と一緒に行動するってことですかっ!?」

    天海「――ダメっすか?」

    …流石茶柱さんすね。すごく嫌な表情をしてるんすけど…ここは武道系の才能を持つとはいえ、女性を一人で放っとくのは個人的に嫌っすよ。

    ――茶柱さんだからこそ、側に居たいって気も…無くはないんですが…ね。

    嫌悪感丸出しですが、ここは俺と行動を共にすべきでしょう。また、ニアミスでもして取り返しのつかない事になれば彼女は悲しむし、俺も後悔しまくるっすよ?

    茶柱「た、確かに…先程までは最原さんと行動を共にしてましたし、別に構いませんが…」

    渋々といった感じですが、いいみたいっすね。ならば、思い立ったら吉日って言いますし、

    天海「じゃあ、行きましょうか」

    茶柱「ああ…はいっ…」



    情報:( 【 茶柱転子 】と合流しました… )



    question、>>100>>104番さんの5名まで。視点安価
    (人物指定です)


    天海視点で進行するのか、茶柱視点で進行するのか人物名でお答え下さい

  100. 100 : : 2018/07/10(火) 06:41:18
    天海
  101. 101 : : 2018/07/10(火) 21:43:49
    天海で
  102. 102 : : 2018/07/11(水) 08:32:14
    天海で!
  103. 103 : : 2018/07/11(水) 22:04:32
    天海
  104. 104 : : 2018/07/12(木) 21:16:29
    天海
  105. 105 : : 2018/07/18(水) 01:53:21

    (>>100>>104番さん協力ありがとうございます。
    視点は天海のまま進行いたします)


    天海「(行きましょう、といっても――)」

    右側と左側どちらにいくべきなんすかね?
    俺が先走って行動するよりも構造をある程度知ってるであろう茶柱さんに聞くのが妥当な線っすね。
    …睨まれるのを覚悟して聞くっすよ。

    天海「茶柱さん…言った手前ですみませんが、どっち側から調べますか?」

    茶柱「はぁ!?…仕方なく転子が同行するのに図々しく聞かないで下さいよ!…男死の癖にっ!」

    そうなるっすよねー…
    分かってはいたんで覚悟はしてたんすけどこうもハッキリ言われると逆に抵抗があると言うっすか…傷付くといいますか――さっきまでの優しさはどこに行ってしまったんすかね。

    天海「(まあ、いいっす…ん?これはなんすかね?)」

    ふと、下駄箱近くの黒板に目が止まったっす。虫食いのような紙切れ…っすね?
    それがどうも気になって――無意識にそっちの方向へと足を運ばせるんです。

    茶柱さんが俺の行動に驚いていましたが――目線の先を見たのでしょうか?なんとも言えない表情で照らした紙切れが示した文字列を読み上げるっすよ。

    茶柱「『 七 んか た 除 室の ら 番 上か 目 い よ。 て んに』…って書いてありますね」

    天海「そうっすね…」

    何を意味してるんすかね?アナグラムなんかによくある造形をしてますが、これだけでは文章にならないと思うっすよ。うーんと悩んでいると茶柱さんが小さく声をあげたっす。
    なにか、知ってるんすかね?首をかしげる俺に対して茶柱さんが着ていたセーターのポケットから、紙切れを二枚取り出したんです。
    こ、これは?

    茶柱「よくよくみれば…これと似てませんか?似てますよね!」

    ずいっと渡された紙はそれぞれ新聞の切りぬきでペタペタとランダム――じゃないと思うんすけど1文字1文字が開いてたりくっついてたりした文字…とは言えないものだったんです。それぞれを口にしてみるっすけど…ますますわからないものですね。

    茶柱「ひとつは転子が外の渡り廊下で、もうひとつは最原さんとみつけたんです」

    天海「『『 七 んか た 除 室の ら 番 上か 目 い よ。 て んに』』、『星 ら 魔 の を 音 右 2 た っ * ち』ってなんなんすかね?」

    茶柱「それが分かっていましたら困ってませんよ!!」

    あはは…茶柱さんもよくわからないで集めてたんすね。
    壁に張られた文字と見比べる。…この場合最原君だと一発で解決をしてしまうと思いますが――わからないっすね

    天海「(この文字と文字の間の空間が等間隔じゃないのも気になるっす…し)」

    首をかしげた時だったんす!

    天海「――あ、分かったかもっす」

    ぽんと、推理の神様が降りてきたんすからね!!



    ▼ 【 謎の暗号2? 】を入手しました… ▼

    説明:(天海が見つけた新聞の切り抜きで作られた脈絡もない単語の羅列です。
    最原の考える通り、茶柱が手にいれたものと同じ切りぬきです。もうひとつあれば解読出来そうですが――)


    ▼ 【 謎の暗号3? 】を入手しました… ▼

    説明:(茶柱が見つけた新聞の切り抜きで作られた脈絡もない単語のラストの部位です。
    他の2枚を読み合わせると文章になりそうです)
  106. 106 : : 2018/07/19(木) 22:32:01

    茶柱「ひらめいたって…どういうことですか?」

    下らないことなら即刻極めますよ!!
    といわんばかりのドぎつい視線が痛いっすよ…
    気を取り直して…ゴホン。

    天海「まず茶柱さんが持つ二枚の紙あるっすよね?それを見て欲しいんですが…」

    茶柱「…ただの切り抜きですよね?」

    ――そうっすね、わかってます。
    この紙をよく見て欲しいんですけど…まだ気がついてないみたいですね。

    天海「文字と文字の隙間がバラバラっすよね。――丁度文字が1文字~3文字ぐらいの間隔っす」

    茶柱「言われてみれば…そうですが――この間隔と言えば…新聞の文字が入るぐらいっ――あっ!?」

    茶柱さんがメモ?をなぞる指が止まったす。あ、気がついたんですね。そうっす…これは『 ヒント 』なんですよ。

    茶柱「…この隙間を埋めるようにそれぞれの文字を当てはめれば、文章になる、ということでしょうか?」

    天海「恐らくは」

    顔を見合わせて頷くっす。
    ――だれが作ったのかは分かりませんが、これが打開策の一手だと思うんすよね…

    天海「(目の前の紙と茶柱さんのもつ2枚の紙。それらが導き出すのは――)」

    ゆっくりと3枚の紙を見合せながら、文字を読んでいくっすよ――と。

    茶柱「『 七 星 さ ん か ら 貰 っ た 魔 除 け の 靴 を 音 楽室 の 机 の 右 か ら 2 番 目 上 か ら 2 番 目に 置 い た よ 。 使 っ て ね * * ち ゃ ん に 』…ですかっ!?」

    天海「…」

    気になる単語が有りますが、一番気になるのは――『 魔除けの靴 』っすね…うーん。それの使い道がよくわからないんすけどね。まだ、それが『 音楽室 』にあれば――使わせて貰うべきだと思うんっすけど…

    茶柱さんが、息を飲む。…そうっすよね。話を聞くに茶柱さんと最原君が別れたのが『 音楽室 』なんすから、行きたくはないかもしれないっす。

    ――だったら。

    天海「『 音楽室 』はとりあえず後回しにしましょう。…例えその『 魔除けの靴 』を見つけたとしても、どこで使うのか俺たちにとって必要なのか見極める必要があると思うんすよね。」

    茶柱「あっ…そ、そうですねっ」

    驚くように俺を見るきりっとした鳶色の瞳。瞳に吸い込まれそうに魅入ってしまいますが――止めておくっすよ。
    入間さんの蝋燭のある方向を睨む。――その先にはさっきまで倒れてた戸棚があって恐らくその先には『 音楽室 』があるんでしょうね。

    天海「それに、俺個人としてはこの構造を把握しておきたいっす。――『 音楽室 』は向こうなんすよね?だったら逆側から調べるっすよ!」

    出来るだけ明るい口調で茶柱さんに向かって微笑みます。
    彼女は少しだけ眉間にシワを寄せたんすけど、コクンと頷きましたね。

    茶柱「ぐぬぬ…余計な気遣いをされてますが――今回だけ、許しましょう」

    天海「そうっすか?気遣いはしてないっすよ。
    ただ単に――俺の個人的な意見ですよ」

    ニコリと微笑む。茶柱さんの瞳が丸くなったかと思えば俯いて『 ヒントの紙 』をぐしゃりと握りしめます。


    茶柱「そうですか…ありがとうございます…」

    すこしだけ俯いた茶柱さんが上目遣いで呟いたのを聞き逃さなかったっすよ。



    ▼ 【 魔除け靴のヒント 】を入手しました… ▼

    説明:(茶柱たちが見つけた謎の暗号をあわせたものです。音楽室にあるそうですが、見つけるのは後回しになりそうです)


  107. 107 : : 2018/07/19(木) 22:32:36

    下駄箱から離れるっすよ。
    俺たちから見て左側…戸棚と蝋燭ののある方向とは真逆に進むっすよ。
    『 玄関 』を通りすぎて廊下に出る、と…

    茶柱「さっきより…暗いですね…これじゃあ進むのが難しいですね」

    天海「(うわっ結構暗いっすね…玄関だけ明るいのかもしれないですが、まだ断定は出来ないすよね?)」

    廊下に入った途端、外の僅かな光が遮断されたような黒く塗りつぶされた空間が続いてるっすね。

    茶柱さんの言葉に確かに、と頷いたけれど暗さが勝って…結構距離近いはずなんすけど表情がわからないっすね。…残念です。
    外が暗くて、電気なんかが通ってないのであれば当たり前なんすけど――これだと、

    天海「灯りがないとキツいっすね…茶柱さんちょっと待っててくださいっす」

    茶柱「??」

    ごそごそとポケットから、スマホを取り出してスリープモードを解除して電池の残量を確認するっす…71%ならまだ大丈夫っすね。軽く頷くと明るい画面で床を照らすっす。

    天海「これなら進めるっす。ですが、慎重に歩かないと危険なんで勝手に動かないでくださいよ?」

    念には念をっす。――勝手に動きそうだったから釘を刺しときます。ぼうっと懐中電灯なんかよりは心許無いんすけど、茶柱さんが持ってるのは――最原君の持ち物なんすよね。大事に使わないとココぞって時に使えないし…

    茶柱「そ、そんな事男死に言われなくともわかってますよ!!」

    天海「そうっすか。それならよかっ――っ!?」

    カタカタ…カタカタ…

    地震…っすか?小さい揺れに思わずバランスを崩しかけましたが――なんとか、コケずに済んだんっすけど、

    茶柱「きゃっ…!!」

    茶柱さんがフラりとバランスを崩して…そのまま――俺の方に倒れてきてっ

    天海「ちゃ、茶柱さ」

    どーんっ!!

    後頭部に直撃したっす…イタタッ。
    ――倒れた衝撃で怪我をしてなければいいんすけど…あと、スマホは…なんとか死守しましたね、はい。

    それと、視界が半分ぐらい何かよって隠れてるんすけどこれは――なんでしょうね?僅かに重みがありますし…なんだか固いようで――柔らかい?

    ん?


    天海「――っう、茶柱さん。大丈夫っすか?」

    とにかく、茶柱さんの事が心配っす。
    回りに見当たらないし、もしかして怪我でもしたんじゃないんすか?それだった危険ですし――

    茶柱「先程からな、なんで地震ばっかり…」

    ???…えっ、妙に茶柱さんの声が近くないっすか?
    な、何で――?

    疑問は、静まった地震と入れ替わるようについた廊下の電気で解決するっすよ。
    ぼぅっと人工の光に照らされて俺の上に覆い被さってるようにいて俺の視界を半分隠してたの――、は。

    天海「ちゃ、ちゃばしらさっ!!」

    茶柱「??どうして、男死の声がちか」

    手が俺の胸板をつかみ驚く顔、ち、近いっすよ!?

    ――あ、これ。やばっ…

    茶柱「…」

    はっ!?
    目があっ、鋭

    茶柱「キェエエエエッゥゥ!!」

  108. 108 : : 2018/07/19(木) 22:33:03

    うう…あれは事故っすよ…っ!!
    酷く痛む腰をさすりながら、スマホをポケットに仕舞うっす。
    ――その近くには涙目で無言で睨む茶柱さん。
    泣きたいのはこっちなんすけどね、あはは…っ

    天海「…あれは事」

    茶柱「忘れてくださいっ!!!」

    プイッとそっぽを向いた茶柱さん。か、可愛いっ…っ
    語彙力が皆無になってしまいそうになるんすけど――いかんいかん、冷静にここで気持ちが舞い上がっても無駄っすよ。

    気を、とりなおなさいと…

    天海「…そうですね、そっすよね」

    茶柱「…っ」

    ……。

    …。

    あーっ!!
    なんか変な空気が流れてるっすよ!?
    このままじゃ、いけないっすよね?!…蘭太郎、ココはビシッと――

    天海「地震の影響があるんすかねっ?――電気がついたっすね!?」

    茶柱「あ、そうですね」

    素っ気ないですよぉおっ!!
    ってか、この場何とかしないとっ。

    天海「明るくなってわかったっすけど、『 男子トイレ 』があるんすね」

    茶柱「…ほ、ほんとですね」

    よし、話をそらせたっすね。茶柱さんのむにむにな女性の身体の事は忘れましょう、そうっす…あの弾力のある胸は無かったんっす。そうっすよ!!

    天海「中に行けそうですが…調べるっすか?」

    茶柱「…転子にも同行しろと?」

    天海「あ、違うっすよ?…調べろって言われれば俺、が調べ」

    ちょっと待ってくださいっす。――茶柱さんをひとりで残すのは危険ですし…

    天海「(…3人になったら調べればいいっすよね)」

    茶柱「…天海さん?」

    天海「あ、いえ。調べれるのは後回しにするっすよ。とにかく、先に進むっすよ」

    茶柱さんが心配っすからね、とは言えないっすけどやっぱり男がいた方がいいですし、何より。

    天海「(最原君たちが俺らと同じように校舎をぐるぐる行動してるならいつかは――見つかるっすよね?)」


    『 男子トイレ 』を突っ切ると…階段っすね。
    段差があるのは古いからでしょう。
    背後にいる茶柱さんを横目にこの先な何があるのかぐらい先に知っておくべきでしょうね。

    天海「この上には具体的には何があるんすかね?」

    茶柱「…確か、『 図工室 』があったはずです…あとは『 女子トイレ 』です」

    うん…別校舎は今でいう『 特別棟 』って扱いなんでしょうね。
    クラスがある訳じゃなくて、移動教室的な。

    天海「そこで見つかればいいんすけどね、何かしらが…」

    最原君が消えた痕跡だとか…ね。
    怪我をしてないといいんすけど…

    天海「(…最原君だけじゃないっすよ。他のみんなだって心配なんっすから…)」

    階段の踊り場に来た瞬間だったんです。

    ??「ちっ、お前さん、正気かよっ!!!!正気でっ!!!」

    茶柱・天海「「!!!」」


    叫び声。いいえ、そんな声じゃなくていまのは…悲痛な声。緊迫した声色は階段に嫌と言うほど響いていて、
    っ――嫌な予感がするっす。

    その声の主はっ…恐らく。

    茶柱「っほ、星さんの声ですっ!!」

    天海「上から声がしたっすね。…急ぐっすよ」

    この階段の耐久性はどうでもいいっす。
    今は、声の方向に走るだけっすから。


  109. 109 : : 2018/07/26(木) 22:20:47

    茶柱「――星さんっ!!」

    …やっぱり体力の差と言いますか、俺を悠々に追い抜いた茶柱さんの声が聞こえたっすよ…と同時に俺も追い付いて、2階の光景を間の当たりにしたんです。

    廊下。そこの壁際に居たのは…

    天海「星くんっ!!」

    左肩から何かで切られて壁に寄りかかった状態の星君だったんす。

    星「――ちぃ。ク…ルじゃねぇな…」

    俺たちの呼び掛けに頭だけこちらを向けた星君は乾いた笑みを浮かべていたんすよ。…頬には飛び散った血で濡れていたんです。かなり痛々しい姿に顔を…背けそうになるっすね。

    天海「(――なんでだっ、なんでっ!)」

    誰か星君を傷付けたのか、俺らのいない間に何が起きたのか、聞きたい事が頭の中を過るっすけど――今は。

    天海「急いで手当てをするっすよ。茶柱さんも手伝ってくれるっすよね?」

    やることはひとつ――星君の手当てっすよ。

    茶柱「え、あ、はい…」

    顔面蒼白の茶柱さんに声を掛けるっす。茶柱さんはカタカタと震えては居ましたが、頷いて俺を見るっすよ。
    俺は急ぎ足で星君の元に近付いて様子を見にいくっす。

    星「あま、み…俺は平気だ…っ」

    天海「…そんな状態で平気だとは到底思えないっすよ」

    あくまでも心配させまいと声を捻り出した星君を睨むっす。この状態で無視するなんて出来る訳ないっすよ?

    天海「傷口を洗いたいんすけど、消毒液…は無いっすよね。…血を止めるのが先決でしょうね」

    茶柱「消毒液…だったら『 保健室 』にあるかもしれませんが…」

    茶柱さんが語尾をすぼめて呟くっす。
    …確かにここは学校ですから『 保健室 』ならあると思いますが…そこまでいくのには――――

    天海「(茶柱さんの様子からして、今いる校舎にある訳じゃなさそうっすね…それに)」

    この夥しい血の量だ。
    予断を許さない状態の星君のもとから離れるのは得策じゃない。二手に別れたとしても――手負いの星君に何者かが分からない襲った相手が来ないとも言えない。
    茶柱さんならボディーガード役になれるとは思うっすけど、彼女は女性で異性が苦手だ。もし襲った相手が男性なら――なおかつ殺しに掛かってきたならば防御行動がとれなくなる可能性だってあるっすからね。――こんなに怯えた茶柱さんを一人にしたくない。ならっ

    天海「(止血が優先すね)」

    布があれば良いんすけど…ここには無い気がする。あったとしても時間が惜しい。――だったら

    茶柱「あ、天海さんっ!?」

    徐にセーターを脱いだ俺に驚きの声をあげる茶柱さん。それを無視して肩口にぐっと押し付ける。

    星「――っう!!」

    ぐもった声と脂汗が流れているのを横目に彼の肩をセーターを使って縛る。きつめに縛らないと止血の意味がない。

    天海「(ここに居ては襲った相手が帰ってくる可能性があるっす)」

    この状態の星君の移動をしたくはないっすけど、逆に行動を起こさないと俺や茶柱さんだって危ない。星君を抱え込むと茶柱さんに再び声を掛けるっすよ。

    天海「茶柱さん、移動するっすよ。ここの近くの比較的安全だと思う教室を案内してほしいっす。出来ますか?」

    茶柱「あ、はい。だったら――この先に『 図工室 』があるんです、そこにひとまず行きましょうっ」
  110. 110 : : 2018/07/26(木) 22:21:48

    天海「…ここなら隠れる場所があるからある程度はバレないっすよ」

    茶柱「だといいんですが」

    茶柱さんが誘導して入った教室は『 図工室 』ですね。長居したくないような絵が描かれたキャンバスを無視しながら机の影になる箇所に星君を降ろしたっすよ。

    星「あんたら…とんだ…お人好しだな…」

    茶柱「そりゃあ、見捨てるのは出来ませんよ!例え男死と言えど転子のクラスメイトなんですからっ!!」

    荒い呼吸を繰り返している彼を背に警戒心を強める茶柱さんの言葉に頷くっす。
    星君は脂汗滴ながらもを俺に向けて呟いたんす…

    星「――アンジーの言葉は…信じちゃなかった…んだよ…だが、アイツは…ヤベェ…」

    譫言にしか聞こえない弱い声。それに俺は耳を傾けるっすよ。彼女に周囲の警戒は任せたっすよ。

    星「…あま、み…気をつけろ…――あいっ、つは、元々、ここに連れて来る…のが、目的だったんだ…」

    天海「…アイツ?」

    俺の声は聞こえているようで、一呼吸置いてからハッキリその人物の名前を教えてくれたっすよ。


    星「…し、真宮、寺…だよ…」


    天海「真宮寺君、っすか?!」

    しまった、声を出しすぎたっすよ。あわてて口元を抑えるっす…が、茶柱さんに睨まれたっす。ふ、不可抗力っすよ?コレは。

    星「真宮、のヤロー…隠し持っ、てたんだ…ソイツで…っぅ、俺達を殺すつもりだった、んだ」

    天海「そ、それはっ」

    言葉が話せない。酷く口のなかが乾いていく感覚に落ちていた俺は口をパクパクとしか出来なかったす。

    星「にげ、ろっ…真宮寺の奴、ヤバい…見境えなくな、っちまって…るんだからよ…あま、み…ちゃ、ばしらを連れて逃げろっ……」

    ひとつ唸った星君はそのまま気を失った…んすかね。脈拍は…あるっすね。まだ、死んではないっす。早くここから脱出出来れば助かるっすよ!
    気を失った星君に気が付いたのか茶柱さんがこちらを向いたんっすよ。

    茶柱「星さん!!」

    天海「大丈夫っすよ。…今は」

    今はと…自分自身に聞かせるように強調するっすよ。
    …気絶したままですが、出血が止まらない限りは――危険な状態っすからね。

    天海「星君の言葉にアンジーさんの忠告…俺は真宮寺君に会った訳じゃないっすから、素直に信じることはできないっすけど…」

    茶柱さんと星君の顔を交互に見る。二人とも顔色が青白く悪いように見えてしまうっすけど…多分俺も同じような顔をしてると思うな。

    茶柱「気を付けるべきですね、もし何か不足の事態があれば―――転子が食い止めます」

    そんな茶柱さんの声が空元気であるのは名探偵じゃなくてもわかるっすよ…

    天海「ですが、ここにしばらくいても意味はないっすよね…真宮寺君が俺らの可能性に気がついてればきっとつぎに襲うのは俺は元より、一回会った茶柱さんたちっす」

    茶柱「じゃあ、星さんはどうするんですか…?」

    それだ。星君を連れまわせば危険が及ぶっす。かといって俺と茶柱さんが星君を放置するのも危険でしょうし…だから一旦考えるためにこの教室に来たんすけど――悩むっすね。どっ…するか、っすよね…

    茶柱「だったら、危険を承知で星さんを担ぎながら調べるのを続けた方が良いのではないでしょうか…?」

    天海「そうっす、ね…」



    question、>>111番さん。負傷した星イベント
    (2択です)

    1、星を「 図工室 」に休ませる

    2、星を背負って行動を続行する


  111. 111 : : 2018/07/26(木) 23:48:41
    2で!
  112. 112 : : 2018/08/01(水) 03:48:23

    (>>111番さんお早いお返事感謝いたしますm(__)m)


    天海「(ここは茶柱さんの意見を聞いた方がいいっすね)」

    少しだけリスクを考えると――置いていく方が危険でしょうし。茶柱さんにこの場で「 星君を休ませるっすよ 」と言ったら…あとが怖いっすし…ね。

    天海「星君の傷口を開かないように慎重に運ぶっすよ…」

    茶柱さんに持たせる訳にもいかないっすから、俺はスマホを茶柱さんに渡すっす。…驚く茶柱さんに続けて言うっすよ。

    天海「最原君の懐中電灯が切れてしまうのが怖いっすからね、一応俺のを充電切れるまで代用すると良いっすよ」

    茶柱「そ、それなら転子もスマホぐらい持ってますよ!!」

    渡したスマホをはね除けようとしたっすけど、押し返す。
    茶柱さんが持ってるのは知ってるっすよ、じゃなくて。

    天海「保険は要らないぐらいあった方が良いっすよ。星くんを背負うんで両手が塞がりますしね」

    茶柱「ぐぬぬ…そ、そこまで仰るなら――嫌ですが預かりますよ」

    アハハ…すごく嫌そうな顔で言わないでくださいよ。こっちが傷付くっすよ?
    それに、俺に何かあったら…『 証拠 』として持ってくれるとありがたいんすよ。
    …茶柱さんをなんとしても、無事にもとの場所に帰すために。

    天海「(わがままっすね…俺)」

    茶柱「なに、にやけてるんですか!!早く星さんを背負うならしてください!!」

    天海「あ、すんませんっ。直ぐにいくっすよ…」

    星君を背負った俺と茶柱さんはそのまま『 図工室 』を出るっすよ…



    ▼【 天海のスマホ 】を入手しました…▼

    説明:(透明なケースに入れられたiPhoneタイプのスマホです。シンプルですが、鈴のようなキーホルダーを着けているのは無くさないためなのでしょうか?)


    情報:(【 負傷した星 】と行動を再開します
    この際背負ってるので天海が調べることが不可能となります。
    調査は茶柱主動で進行します。なお、ストーリーには関係ありませんのでご安心下さい)



    茶柱「教室を出たのは良いのですが…次はどこへいくんでしょうか?」

    天海「そうっすね。星くんを襲った相手が何処に居るのかわからない状況っすから…安易には動きたくありませんが――」

    ん?なんなんだろう。『 図工室 』の奥の廊下に光るものが見えた気がするっす。…よーく凝らしてみるっすよ。

    天海「??暗くて見えないっすね…」


    茶柱「どうかしましたか?…男死らしい不細工な顔をしてますが…」

    よっぽど変な顔をしてたんすね。茶柱さんに咎められちゃいましたよ。違うんです、と顎で光の見える方向…扉を背にした右手奥に視線を伸ばすっす。
    茶柱さんなら見えるかも知れないっすね…と横目で見ると茶柱さんが小さく悲鳴を上げたんです。
    ――え?どうしたんすっか?

    茶柱「…靄が…こっちを睨んでませんか?」

  113. 113 : : 2018/08/01(水) 03:48:49

    天海「え?茶ばっ!!」

    ドンッ、と茶柱さんが俺の胸にしがみついたんすっ!!
    えつ、ちょ、いいきなりは…俺の心の準備がっ――

    ゴホン、違うっす。そうじゃなくて――茶柱さんが微かに震えた手をぐっと俺のシャツにしがみついて呟いたんっすよ。

    茶柱「何かが…ありますが、あ、あそこは――進みたくないです…」

    天海「…そうっすか」

    ですが、あの奥にあるものを確かめたいっすね――どうしたら…

    天海「(!!あ、そうっす)」

    あることを思い出したっすよ。それは…

    天海「茶柱さん。いやかとは思いますが、1度『 音楽室 』に行きませんか?」

    茶柱「―――っ!?はっ」

    我に返ったんすかね?…もう少し感触を味わい――おっと、違いますね。きっと俺の声が近いので驚いたのでしょう。すんごい速さで飛び退くと、なんとも言い難い表情で続きを話したっすよ。

    茶柱「…『 音楽室 』ですか?」

    天海「そうっす。そこにあるらしい『 魔除けの靴 』でしたっけ?を使えば奥に進めるかもしれないっすからね」

    物は試しっすよ、と微笑むと茶柱さんは渋々頷いたっす。確かに茶柱さんが怖い思いをされたのでしたら、進むのは怖いっすよね…でも、俺がついてますし何ががあれば全力で守るっすから。

    俺の瞳を一瞥した彼女はコクンと頷いて呟きます。

    茶柱「…男死の癖に生意気ですね」

    呟きと表情を見比べる限りでは嫌悪感はなさそうに見えるっすよ。ああ、よかったすね。


    茶柱「進むのでしたらこちらから行きましょう」

    天海「了解っすよ」

    星君を背負った体勢のまま進むっす。星君が小柄で助かったす…これが百田君だったら1歩進む事に息が上がるだろうね。

    俺が背負ってるから、どうしても茶柱さんの後を付いてく形になるのはどうも面目ないっすけどね…状況が状況なんで、許して欲しいっすね。

    天海「(ここにも…死体っすか…)」

    終始無言の茶柱さんに失礼っすけど、至る所に白骨化した死体や腐乱死体が散乱してるっすね…臭いからして色んな時代からこの場所にやってきたんでしょうね。

    …俺らみたいに。

    現実味なんてとうの昔に無くなってましたが、こうした光景を見てしまうとなんとも言えなくなっちゃちますね。

    茶柱「この…階段を下りたら『 音楽室 』前の廊下に行けたはずです」

    天海「そうっすか。なるほど思ったよりは広い校舎では無いみたいっすね」

    これはこれで危険だ。…最原君が見つからないのであれば、もしかして既に殺されてたりしないっすよね?
    …襲撃者…もとい、真宮寺君に。

    天海「(嫌な予感が当たらなければいいっすけど…)」

    大概この手の予感は当たってしまうからタチが悪いんすけどね。アハハ…
  114. 114 : : 2018/08/01(水) 03:49:31

    茶柱さんの言う通りに、階段を進むと廊下に出たっすね。
    この先にあるのが恐らく『 音楽室 』なんでしょうね。

    茶柱「…ぐぬぬ。進むのが嫌になりますが立ち止まっては事が進みませんからね。行きましょう」

    少しだけ気合いを入れた茶柱さんに誘導されるままに俺は薄暗い廊下を茶柱さんが手にしてるスマホのライトを頼りに進むっすよ…


    茶柱「ここですが……開いてませんね」

    ガチャガチャと『 音楽室 』らしき扉を動かしたりしてますがどうやら入れないんすね。

    天海「茶柱さん、さっきまで中に入れたんすよね?」

    茶柱「そうですが…あれっ??」

    暫く格闘してましたが一向に開く気配なんてなくて。
    首を傾げた彼女に静止を訴えました。

    天海「だとすれば、2つの可能性があるっすね」

    茶柱「それは…?」

    天海「ひとつは、『 誰かが鍵が掛けた 』っすね。この場合だと、『 音楽室の鍵 』を見つける必要があるっす」

    茶柱「じゃ、もうひとつは……」

    上擦った声はきっと分かっているんでしょうね。俺が言いたいのは―――

    天海「『 中に誰かがいる 』ってことっすよ」

    中から鍵をかけたなら、もとい外部から鍵をかけたなら…どちらにせよ俺達が取るべき行動は…

    茶柱「…『 鍵 』を探さなくてはいけないんですよね」

    天海「すんなりと事は運ばないものなんすよ」

    でも、『 鍵 』は見つけてないっすから……となると

    天海「もう一周『 校舎内 』を探索するっすよ」

    茶柱「そうですね…では『 玄関 』から探してみましょう」



    天海「…と言って来ましたが…」

    茶柱「変化はないですね…」

    ものの数分で変わるもんじゃない――そう理解していても期待はずれな結果に顔を顰めるっすよ。
    ああ、何かみつかれば―――


    ??『 …アレ?天海君…じゃないかい? 』

    聞き慣れた声に驚いて振り向くとそこには―――

    茶柱「ヒッ!!」

    天海「…真宮寺君、すっね……」

    血塗れの刀を握り締めた、虚ろな瞳の真宮寺君が立ってたんすから…

    刀から滴る赤。
    ――それが意味するのは、そして本能が警鐘を鳴らしてるっす。

    天海「(目が虚ろで…これは不味いっすよ!!)」




    accident!!、>>115番さん。真宮寺との邂逅
    (秒数安価です)




    結果は116のコメントにてお知らせしますよニッコリ

  115. 115 : : 2018/08/01(水) 04:51:45
    結果後出し怖いよぉ〜( ;´Д`)
  116. 116 : : 2018/08/02(木) 04:07:35
    (>>115番さんありがとうございます!
    早くて驚いております←)

    安価の結果は…

    ゾロ目、1の位が1,2,4の場合…失敗
    それ以外…成功


    それでは続きをどうぞ

    ***

    茶柱「真宮寺さんっ!?」

    茶柱さんの咎めるような声に真宮寺君は目元を歪め俺らを見下したっす。その目は冷たい瞳の色を放っていて背筋が凍ってしまうっすよ。

    真宮寺「クックック…なんだい?そんな僕を敵視してるだなんて――折角再開出来たのにネェ…残念だヨ」

    天海「残念なのは俺も同じっすよ…一体その刀に赤いものは何なんすかね?」

    咎めるのもおっかなびっくりで。本当は言わずとも分かってしまう俺がいるっすね。多分、この刀で―――星君を。
    …赤に染まる刀身は見ていて気分のいいものじゃないっすよ。

    真宮寺「見てわからないのかい?――天海君らしくないよネ。これはネェ―――」

    茶柱「――っ!!天海さんっ!!危ない!!」

    うっわっ!?
    刀が俺の鼻先に当たる前に茶柱さんが俺の袖を思いっきり引っ張ったす。その拍子に一歩後ずさることで間一髪で避けることができたっすけどっ。
    真宮寺君は次の行動を起こそうと刀を構えて直したタイミングで頬に跳ねる生暖かい感触…血が頬に当たったんすね。それを確かめるよりも早く逃げないと――ヤバいっすよ。

    茶柱「く、クラスメイトになんてものを振りかざしているんですかっ!!まるでっ」

    茶柱さんが慌てて真宮寺君の方向を睨む。だけど、殺気に近いその視線をものともせずにたんたんと答えたっす。

    真宮寺「僕が本気で襲撃しようとしてる…とでも言いたいんだネ。茶柱さん」

    天海「っ!!」

    ゾッとする視線は普段の彼からは到底想像のできない狂気を孕んでたっすよ。あくまでも淡々と答えるので狂ったワケじゃないでしょうが、だからこそ…真宮寺君、キミは…

    真宮寺「クックック…僕がどれだけこの日を…みんなを巻き込むのを楽しみにしていたのかわからないのかい?
    …こうしてみんなと姉さんと一緒に同じ空間に居られるんだからネ。だからこそ逃がさないヨ」

    瞳に光が灯る。ぞくりと周囲の温度が下がる気がするっす。
    …じゃあ、本気で俺達を殺す為に……『 おまじない 』をしたって言うんすか!?そ、それじゃあ、本当に星君を襲ったのは―――

    天海「…っく、見損なったっす。自分のエゴを押し付けるだなんて」

    真宮寺「クックック…どうとでもいえばいいサ!…これはみんなの為でもあるのに分かってくれないのなら――」

    刀身が震える。瞬間風をきってそれは一気に間合いを詰めて――頬を掠めるっすよ。

    真宮寺「黙らせるだけサァ!!!」


    茶柱「天海さん!?」

    紙で切ったようにちくりと痛みが走るっす。という事は頬が切れたんすね…じんわりと生暖かい液体が伝うのを感じつつも真宮寺君を睨むっす。

    天海「大丈夫っすよ……それよりも」

    その先は言わせてはくれなさそうな気配に飛び退くように一歩後退り、茶柱さんに声を掛けるっすよ。

    天海「茶柱さん!!!」

  117. 117 : : 2018/08/02(木) 04:08:00

    茶柱「!!」

    俺の行動を理解したのか、俺と真宮寺君の間に割り入った茶柱さんはその足蹴りを柄に向けて放って真宮寺君の腕から刀を落とす…とそれを拾ってその場を離れるっす。

    真宮寺「っぅ!!な何をっ」

    茶柱「今の隙にっ!!」

    余程強烈な一撃だったんすね…右手を抑えて蹲る真宮寺君暫くは…動くのもままならないでしょう――その隙に俺達は『 玄関 』から逃げるようにあとにするっすよ。



    ▼ 【 真宮寺の日本刀 】を入手しました… ▼
    説明:(真宮寺が所持していたであろう本物の日本刀です。茶柱が奪取しましたが…血塗れで触りたくはない1品ですね)



    茶柱「これを使って無理にでも『 音楽室 』に逃げましょう!!」

    刀を構えながら走る茶柱さんかっこいいなぁ……って、違うっす。切れ味が抜群であろうそれを使えば『 音楽室 』に入れるかもしれないし、籠城も可能かもしれないっすね。

    天海「そうっすね…一か八かですが試してみるっすよっ」

    茶柱「はいっ!」

    と同時に『 音楽室 』の扉の前に辿り着いたっす。
    …扉は…あれっ??開いてる…?

    さっきまでうんともすんとも言わなかった扉が開いていてピアノが見えるっす。
    一瞬だけ驚く茶柱さんと顔を合わせたっすけど…足音が遠くから聞こえた事で我に返り、疑問と不安を抱きつつ足を踏み入れるっす。


    天海「っ!?」

    茶柱「きゃっ!なななっなんでしょうか…?」

    俺達が入ると同時に扉が独りでに閉まったようで激しい音が教室内に不気味に響き渡るっすよ。

    ??『暫くここに居て…大丈夫だから。転子と蘭太郎はアンジーが守るからっ!!』

    茶柱「アンジーさん!?」

    …その声と同時に『 音楽室 』は静寂に包まれたっすよ。


    天海「…どういうことっすか?」

    茶柱「転子には分かりません…」

    そりゃあいきなり、ああ言われてしまうと混乱しかないっすけど…アンジーさんが何とかするって、確かアンジーさんは…

    天海「(既に死んでるんっすよね?――本当に大丈夫なんすかね…)」

    考えても無駄なのは分かりきってること。茶柱さんたちが幽霊を見た、なおかつ襲われたのであれば、ここはそういった場所なんすね……

    天海「(とにかく、音楽室に気たんすから…探さないとっすね)」

    『 魔除けの靴 』とやらを。



    question、>>118番さん、天海&茶柱、音楽室調査
    (ある選択肢で進行します)


    1ピアノを見てもらうっすかね?
    (ピアノ周辺を調査)

    2戸棚にでもありそうっすね…
    (教室手前側の戸棚調査)

    3少し周囲を見てみるっすよ
    (全体を見ます)

    4机を見てみるっす、かね
    (机を調査)


  118. 118 : : 2018/08/02(木) 04:42:41
  119. 119 : : 2018/08/06(月) 02:35:39
    (長らくおまたせしました、進みます)


    静寂に包まれた空間。茶柱さんが最原君と別れる前までいたという教室内は妙に明るいっすね。
    個人的には隅から隅まで調べあけたいっすけど、手負いの星君を背負っている以上、むやみやたらとは行動しない方がいいでしょうね。
    『 音楽室 』に入るのを渋る茶柱さんでしたが、こうも明るいと最原君と別れた状況とは同じでは無いっすから幾分か落ち着いているように見えるっすよ。

    そんな茶柱さんなら調査も可能でしょうね、少し頼むのは嫌なんすけど仕方ない。声をかけることにしたっすよ。

    天海「茶柱さん、俺の代わりに調べて貰えませんか?」

    茶柱「あ、そうですね…分かりました。天海さんはそこにいて下さたい。転子が見回りますから…ええとまずは」

    手始めに茶柱さんが呟きながら、立ち止まったのは部屋の中央に置かれた戸棚だったんす。俺からはちょうど茶柱さんが戸棚の影に隠れる形だったんで何があるのかはさっぱりっすけど、良いものではないのは彼女の息を呑む音で分かるっすよ。

    天海「…茶柱さん?どうかしたんすか」

    茶柱「あ、いえ、なんでもありませんっ!!男死は心配しなくて構いませんからっ!!」

    …その言い方をされると気になるっすよ?首をかしげた俺を戸棚から少し顔を覗かせた茶柱さんが無理やり笑顔を作る。こういう時は何がなんでも教えたくない、と言う時の顔っすね。

    天海「(じゃあ、何も無いことにするっすよ)」

    溜息を軽く茶柱さんに聞こえないように吐いて誤魔化っすよ。

    茶柱「ああ、そうです!つぎはあそこを調べましょう!」

    声色をあえて明るく空元気にかけた彼女は次に……






    question、>>120番さん、天海&茶柱、音楽室調査
    (ある選択肢で進行します)


    1ピアノを見てもらうっすかね?
    (ピアノ周辺を調査)

    2★調査済み

    3少し周囲を見てみるっすよ
    (全体を見ます)

    4机を見てみるっす、かね
    (机を調査)
  120. 120 : : 2018/08/06(月) 07:33:13
    3で
  121. 121 : : 2018/08/10(金) 04:24:53

    (>>120番さんありがとうございます。遅れまして申し訳ないです…)


    茶柱「冷静に見回しますよ!!」

    天海「あ、はい…そっすね」

    ぴたっと行動を止めた茶柱さんはその場で周囲を見回すっすよ。…確かに初めて入った場所はまず、あるものの確認からするのが定石なんでしょうね。
    と言いますか…茶柱さんの勢いに負けて曖昧な返事をしちゃったな。

    茶柱「最原さんと入った時には気が付きませんでしたが広めの教室ですね」

    天海「俺たちの学園の音楽室の方が広いと思いますが…小学校にしては広い方でしょうね」

    茶柱さんの言葉の通りっすね。机は学園の近代的な机よりもかなり低い、ですが…並べてある机の数を数えると床が禿げてたりしなければもっと空間が空いてたかも。
    そんなことを思うと茶柱さんは見飽きたんすかね?窓の方へと歩み寄るっすよ。

    茶柱「雷は静かになりましたが…雨が凄いですね。どこから降っているのでしょう」

    彼女は物憂つつげな横顔をチラつかせ、窓の奥に広がる木々の隙間から見える鈍色の空をじっと見つめるっす。
    ここが『 異次元 』ならば雨など降らぬはず。…ですが、こうして雨が降っているということは。

    天海「(ここが侵される前―――つまりこの場所がこうして『 異次元 』となった時の状態のまま…なら、考えられるのは――)」

    取り巻く原因がこのような気象状態だったんでしょう。
    永遠にやまぬ雨の音がどこか雨量に比べて小さく聞こえるっすね…

    天海「(…外の時間と中の時間がズレている…のかもしれないっすね)」

    最原君みたく推理が得意って訳じゃないっすけど、きっと最原君もここまでは考えていたかもしれないっすね。そうだと信じたいっす。

    茶柱「夢野さん…最原さん…みなさんも無事でいてください…」

    雨音に混ざって聞こえた声は彼女の本音だったんすよ…
    彼女の真の優しさから零れる言葉に返すことが出来なかった。






    question、>>122番さん、天海&茶柱、音楽室調査
    (ある選択肢で進行します)


    1ピアノを見てもらうっすかね?
    (ピアノ周辺を調査)

    2★調査済み

    3★調査済み

    4机を見てみるっす、かね
    (机を調査)

  122. 122 : : 2018/08/10(金) 08:07:16
    4でお願いします
  123. 123 : : 2018/08/10(金) 14:43:31
    のんびり待ってるよ〜
  124. 124 : : 2018/08/12(日) 03:43:52

    (おめでとうございます!!最後の安価まで…大分進行致します…)


    茶柱「…本題ですよね」

    暫く窓の向こう側の景色を見ていた茶柱さんは不意に俺の方を向いたっす。その表情は試合前のキリッとした顔そのもの。

    天海「あの紙の言葉っすよね」

    星君が小柄だから片手が浮いたその手をポケットに突っ込み茶柱さんと解読した先程の紙の1部を取り出すっすよ。

    茶柱「はい…確かこの教室のどこかにあるという『 魔よけの靴 』…をみつけようと思います」

    茶柱さんはさっき俺達が導いた言葉をそのまま復唱したっすよ。

    茶柱「『 七星さんから貰った魔除けの靴を音楽室の机の右から2番目上から2番目に置いたよ。使 ってね**ちゃんに 』
    でしたね。右からというのは…」

    茶柱さんが俺の近くを通り過ぎて出入口付近の扉へと向かう。恐らくは何も考えなければそこからの起点になるっすね。そして

    天海「窓の方っすね…となるとあそこか」

    指を指す方向。そこが丁度俺がいる場所付近の机でそこから上となると…俺の2個後ろの机っすね。茶柱さんが軽々しい動きで俺の横をすり抜けて机を調べるっす…けど。

    茶柱「…?机の中にはありませんね…」

    いくら机の引き出し部分に手を入れて見たりするっすけど――手応えがない?…なんでっすかね?
    ふと、疑問に思うと茶柱さんが声を軽くあげたんすよ。

    天海「…どうしたんすか?」

    茶柱「『 右から2番目 』とありますが、どちら側からということが分かりませんよね?例えば――『 どっちの扉から 』とか『 自分から向かって 』などの情報が足りませんね」

    天海「(あ、そういえばそうっすね)」

    …茶柱さんの指摘通りだ。『 右から 』と言われてもどこから見て右なのかが分からない…それで今調べたのが『 自分から向かって 』っす。…そこにないとなれば…もう1つ探す余地があるっすよ…それは。

    天海・茶柱「「あそこですね!?」」

    声がハモってしまった…すよ。茶柱さんが大きく目を開いて驚いてるっすけど少しだけ紅潮した頬を見るとドキドキと心臓の音が耳に残ってしまいそうになる。

    っう…そんな顔やめて下さい。

    思わず逸らしたっすけど茶柱さんはすかさずに指を指し示した位置――窓から数えて2番目、上…ピアノがある壇上から数えて2個目の机へとダッシュしたんすよ。

    茶柱「この中にっ――!!あっ、た…っ!」

    茶柱さんがそれを机の中からだした瞬間、

    バァァァアアアアン!!

    天海「――っ!?」

    茶柱「きゃっ!!」

    ピアノの不協和音が誰も触れていないのに…響き渡って…耳に不気味な余韻を残したんすよ!


    バサッ!!


    音に驚いた拍子に茶柱さんの手にあったものが床に落ちるっす。ピアノの残響は長くは無かったんすけど、急に起きた怪奇現象に驚き固まってたんす。

    茶柱「な、な、ななっ!!」

    声が出ない、というのはこの状況を示すんすね…驚き固まる茶柱さんとは別に俺の背中でぐもった声が聞こえたことで我に返るっすよ。

    天海「ほ、星君っ??」

    星「あ、あ…天、海か…?」

    茶柱「星さんっ!…目を覚ましたんですね…」

    慌てて床に落ちたものを拾って俺の元へと戻る茶柱さん。それと同時に背中が僅かにすごくのを感じて嬉しくなるっすよ…ああ良かった。この立ち位置だと見えないっすから…

    茶柱「星さん大丈夫ですか!?」

    天海「大丈夫ではないと思うっすよ…?」

    茶柱「はっ、そ、そうでしたね…回復力の強い男死のことだからつい大丈夫かと思ったんです…」

    貶す言い方をわざとしているのは明白で心配そうに星君を見る視線は羨まし…じゃなかった、人の良さが滲み出てるっすよ。

    星「…ったく、やられ…るなんぞ…くーる…じゃ、ねぇよな…喋るので…精一杯だな…これは」

    茶柱「無理をしないでください!今の状態で動くのは――」

    星「んな…ことなんぞ分かってるさ…自分の体だ、危険なのは…知ってるさ…」

    苦しそうに呟いた言葉に顔をしかめるっす。あと少し早く星君の元にたどり着けたなら…真宮寺君からこんな目に遭うこともなかったんっすから。ギリッと歯の奥を噛み締めると茶柱さんも俯いてしまう。

    星「悔やむんじゃ…ねぇよ…俺が、真宮寺の奴を…見くびってたから、だ…お前さん達が悪いワケじゃねぇさ」

    茶柱「で、ですがっ!」

    星「茶柱、最原とは…はぐれたのか?」

    それ以上は言わせないと星君の気遣いが目に見えるっす。茶柱さんは小さく頷いて、これまでの経緯をポツポツと語りだしたんです。
  125. 125 : : 2018/08/12(日) 03:44:21

    星「…そうか、最原は…みつからなかったのか」

    天海「そうなるっすね」

    一通り話すと星君は静かに頷いた。
    最原君は一体どこへ消えたのだろう?…その疑問を解決することが出来るのは…皆無だったんです。

    茶柱「…あ、そういえば…これが――『 魔よけの靴 』でしょうか?」

    会話ですっかり忘れていたんすけど、目的はそれだったんでしたね。…『 魔よけの靴 』は淡い光を放っていたっす。これが――

    茶柱「これで…2階の廊下の奥にあるものが取れる…でしょうか?」

    天海「…試してみる価値はあるかと思うっすけど――」

    この教室に来た時、アンジーさんが「 大丈夫、ここにいて 」と言われたまんま時間が経過しているっすけど…

    茶柱「…真宮寺さんが、うろついていたら…」

    そうっす。真宮寺君の存在が厄介だ。俺らの目の前で容赦なく襲ったのは夢じゃない。…ここを出たところで――遭遇してしまったら…星君がここまで手負いにされんだ。…無事では済まされないでしょうね。

    天海「(いくら俺らの手の中に…真宮寺君が持ち寄った凶器があるとしても…)」

    八方塞がりっすね…あはは。詰み、か…まずいな。

    茶柱「――行きましょう。大丈夫です」

    天海「茶柱さん?」

    絶望しかけたとき、茶柱さんの決意のこもった声色が場の流れを返るっすよ。

    星「…茶柱、お前…」

    茶柱「真宮寺さんの持っていた『 凶器 』は転子が持ってます。すぐにはやられないでしょう。その隙に、もし何かあれば――天海さん。転子が囮になります。それでっ」

    天海「茶柱さんっ!それは危険っすよ!?」

    言いたいことがうっすらと理解してしまうっす。
    茶柱さんは俺たちを逃がす、と言ってるんだ。
    …自分を犠牲にして。
    ――それでは確実に茶柱さんに危険が及ぶ。そんなの俺が認めるワケないじゃないっすか!!

    茶柱「転子を見くびりすぎです。…大丈夫ですよ。
    天海さんと星さんの身は守ります。転子は嫌なんです。転子の目の前で見捨てて逃げるのは…だからもしもの時は」

    茶柱さんが儚げに笑う。そんな顔で笑わないでくださいっ!!そんなんじゃっ

    星「…わかった、茶柱」

    天海「ほ、星君!?」

    星君の重々しい返答。
    俺が答えるのが辛いのを知って代わりに頷いたんっすね。
    茶柱さんはすっと表情を引き締めて、つぶやく。

    茶柱「進みましょう。…ね?」

    そう言われてしまったら、頷くしか出来ないじゃないっすか…本当にずるいっすよ…

    天海「(茶柱さん…)」



    ▼ 【 魔除けの靴 】を入手しました… ▼

    説明:(『 謎の紙 』を3枚重ねたヒントを頼りに見つけた淡く光る革靴です。これを履くと何故か気分が落ち着きます。サイズは茶柱の足とだいたい同じくらいでしょうか)

  126. 126 : : 2018/08/12(日) 04:44:17

    『 音楽室 』の扉は先程とは違い簡単に開いた…アンジーさんが鍵を閉めたのかと思ったっすけど、違うんすね。

    天海「(さっきより肌寒くなってきたっすね)」

    気のせいなんかじゃない。薄着になったせいでもなくこれはきっと…霊気の類で肌寒く感じるんでしょうね。

    星「…悪いな天海…背負わしちまって」

    バツの悪そうな星君に大して「いいんすよ」と答える。星君自体体重がある方じゃないっすからね。動けないのに無理やり歩かせるのは気が引けるっす。

    茶柱「…早く済ませましょう」

    茶柱さんがすっと目を細める。…何も無いことが1番ですからね。俺は黙って頷くと目的地へと歩みを進めるっす。



    星「…この奥に光るもんがあるな…ソイツを――取りに行くのか?」

    茶柱「ええ。ただ進むのが怖いので、これを使います…って普通は履きたくありませんが…」

    茶柱さんが上履きの代わりにと履くのが革靴…さっき手に入れた『 魔除けの靴 』っすね…茶柱さんと同じサイズなのか茶柱さんは驚いてましたが。上履きを小脇に挟み、突っ切るように廊下の奥へと進むっすよ…その姿は黒い靄に飲まれましたが…何事もなく帰ってくるっすよ。

    茶柱「…ありましたよ!これです」
    革靴から上履きに履き替えた茶柱さんが俺に手渡したものは…んん??『 水晶 』と『液体の入った小瓶』…すか?

    茶柱「これがありましたよ…何に使うのかは分かりませんが…」

    軽く首を傾げながらそれを眺める。星君が…何かを呟こうとした時、茶柱さんが小さく声をあげたっす。

    天海「どど、どうかしたんすか?茶柱さん??」

    茶柱「――な、なんでもないですってば!!」

    秒で返ってきた言葉には棘があった。でも、茶柱さんがお腹を軽く抑えてることに目がどうしても行ってしまって…

    星「腹を抑えてんのを…見ると大丈夫じゃないとおも…うが?」

    茶柱「なっ!!…だから男死はっ」

    天海「茶柱…さん??」

    茶柱さんの軽蔑する表情につい身構えてしまうっすけど、次の言葉で少しだけ安心した…とは言っちゃマズいっすね。

    茶柱「ト イ レ に行きたいだけです!!…お腹が痛いのではなく、ただトイレに行きたいだけですからっ」

  127. 127 : : 2018/08/12(日) 04:44:57

    天海「あっ…そこまで言われてしまうと…何も言い返せないっす」

    星「あ、悪い…な」

    確かに、生理現象は致し方ないっすもんね…少しだけ気まずいっすよ…茶柱さんは顔真っ赤にしてるし1番恥ずかしいのは茶柱さんでしょう…同性に告げるならともかく…ね?

    茶柱「と、とりあえず『 女子トイレ 』によって頂けますか!!すぐに終わりますんで!」

    キリッと真剣な顔で言われてしまうとYESとしか言えないっすよ…

    天海「じゃあ、俺らは廊下で待ってるっすよ」

    茶柱「お願いしますね!!」

    次の行き先はトイレと決まったっすね…


    情報:(【 魔除けの靴 】を使用しました…)


    ▼ 【 水晶 】を入手したした… ▼
    説明:(加工前の水晶です。どこにでもあるようなクリスタルで天海の手のひらサイズとも言える大きさです)


    ▼ 【 液体の入った小瓶 】を入手しました… ▼
    説明:(小さい星の砂とか入れるぐらいの瓶に入った透明の液体です。何が入っているのかは不明です…)


    確か『 女子トイレ 』はこの廊下の先にあったっすね。俺たちは来た道を引き返すのではなくて、『 女子トイレ 』に繋がる廊下を歩き出す…すぐに目的地前に着いたのはいいんすけど。

    星「お札…か??」

    天海「不気味っすね…」

    床の亀裂はいつの間にか塞がっているのかすぐそばまで近寄ることが出来た、扉には夥しい量のお札が貼られて居たんっす。その札は色とりどりなんすけど、同じ様な言葉が綴られているっす。

    天海「剥がすのは面倒…手間っすね…」

    星「だが…やるしか…ないんだろうよ。茶柱は大丈夫か?」

    先程から黙っている茶柱さんに向かって声をかけた…とき、バリン、と割れる音がしたと思えば茶柱さんが見つけたという『 小瓶 』に僅かな亀裂が入っているのに気がついたんす…ん?

    扉と交互に眺めるっすよ…うーんこれはまさか…?

    天海「…えいっ」

    小瓶を扉に向かって投げる…と見事にヒットと同時にベッタリと張り付いたお札が見る見るうちにひとりでに剥がれていくっすよ!!

    星「…!!」

    天海「…あはは。あたりっすね」

    お札が全部剥がれきった扉に少し触れる…と扉自体には鍵とか施されては無いみたいっすね。軋む音を響かせてゆっくりと開く様子に安堵の息を吐くっす。

    天海「…これで中にはいけるかと…あっ」

    茶柱さんの目にも止まらぬ速さで『 女子トイレ 』の中に入るものだから、相当我慢していたのかも知れないっすね…無理に我慢してると辛いっすよね…




    …唖然と立ち止まる俺らの背後に近寄り人物に全く気がついてない俺と星君は茶柱さんが戻るまで待つことにしたっすよ…



    情報:(【 液体の入った小瓶 】を使用しました…)


  128. 128 : : 2018/08/12(日) 05:20:42

    『 茶柱転子 』side


    バタン…駆け込むように個室に入ります。
    …実は先程から膀胱がヤバかったんです。『 水晶 』と『 小瓶 』を取る時にしゃがんだら一気にやばくなってしまい変な汗を流すハメになるなんて…ちゃんと会話を交わしたのかさえままならないぐらいにテンパったのは…内緒ですけどね。

    茶柱「(…ぐぬぬ…恥ずかしい…)」

    男死に知られるなんて。しかも相手が天海さんとか…ホント…

    茶柱「恥ずかしい、ですよ…」

    呟いた言葉はきっと誰にも届かないだろう…届いてたらすごく嫌ですからね…



    茶柱「…ふぅ…間に合って良かったかもしれません…」

    流せないのがすごく嫌ですけど…早く帰って夢野さんと楽しみにしてるおやつを食べたいです…

    考えると考える程、夢野さんに逢いたくなってしまいます…夢野さんは怖いのがすごく苦手な方ですから…心配です。

    茶柱「(例え、次元がちがくても…夢野さんと再会したいものです…)」

    ハンカチは最原さんに渡してしまったので、スカートの裾でかろうじで出た水で洗った手を拭きます…品のない行動ですが、許して欲しいものです…夢野さんをこの穢れた手では触れませんが、まあ…それは別の話ですし。

    それよりも…

    茶柱「(…天海さん、星さんと合流すべきですね…)」

    軽くスカートを治してから『 女子トイレ 』から出た瞬間、目の前が真っ赤で染まってしまう。

    茶柱「…え?」

    ??「――っう!!」

    驚く間もなく、誰かに手を引かれて…状況が分からないまま、転子はその人物の声と床に転がる人影の会話で察してしまいます…だって、ここに居るのは…だってっ!!


    ??「お前さんだけでも逃げろっ!!」

    ??「――っく、わかったっす…!!」


    それは…星さん同様に右肩から血を流してる天海さんに手を引かれて、転がる人物を何度も刺してる…真宮寺さんがいて。

    え?じゃあ…真宮寺さんが何度も刺してる相手って―――


    茶柱「ほ、ほしさっ!!!」

    それと同時に手にしていた『 真宮寺さんの刀 』を思わず手放してしまいました…


    情報:(【 真宮寺の刀 】を落としてしまいました…)


  129. 129 : : 2018/08/12(日) 05:21:31

    『 最原終一 』side


    …う。

    ゆっくりと
    『目を覚ます…
    いつの間にか意識を失っていたんだな…僕としたことが。

    床の冷たさに一気に覚醒する…かびくさい部屋…それは僕と茶柱さんの入った『 音楽室 』の匂いとは全然違う、完全に使われてない教室の匂いだ。

    最原「(…ここは…どこだ?)」

    上体を起こして周囲を確認する…と、やはり構造が違う。『 音楽室 』ならば、こんなに書類だらけの机とは無縁だろう。むしろピアノがない…となれば…

    最原「(気を失ってる間に何者かによって移動させられた…??)」

    少しだけ頭痛のする頭で考える。ここは…どこだよ?
    それに、広くはない場所だ…ならばと人影を探そうと視点を動かしたけど…

    最原「(茶柱さんや星くんはともかく誰も…いないのか??)」

    茶柱さんたちと完全にはぐれてしまったらしい。どうするべきか…

    最原「(まずは情報を収集すべきだろうね)」

    茶柱さんたちはいないのであればこの『 教室 』の向こう側に居るのかもしれないし、それよりも前に…少しでも情報があると助かるな。そう思ってゆっくりと立ち上がった僕は頭を振って集中する…いまは目の前のことから調べようか。



    question、>>130番さん。最原の行動安価
    (とある選択肢で進みます、このチャプター最後の安価です)


    1、机を調べようか?
    (手短な机を調べます)

    2、奥に何かあるのか?
    (奥を調べます)

    3、扉をしらべるか?
    (出入口付近を調べます)

    4、戸棚に…何かあるのか?
    (教室奥、戸棚を調べます)

    5、外は…まだ雨降ってるのか…?
    (窓を調べます)

  130. 130 : : 2018/08/12(日) 07:12:26
    1で
  131. 131 : : 2018/08/14(火) 04:09:21

    最原「(まずは…手始めに机、だよな…)」

    ポケットに手を忍ばす…あるはずのものが見つからない。
    …あっ、そうだ。あれは確か――

    最原「(落としたんだ…茶柱さんの足元に)」

    懐中電灯を探していた手をやめ、ため息をつく。調べるのには少し心許ない明るさだ。スマホのライトを使うしかないか。アレを茶柱さんが持っていればいいけど…僕が気絶した後の事は分からないし。

    ――そう。考えても無駄だ。…諦めよう。

    最原「(あった。…っとやっぱり時間表示はダメか)」

    iPhoneの立ち上げ画面に表示される時刻は狂っていた。こうなるのは何となく察していたから、悪い方向には考えないけどね。操作を押してライトを付ける。バッテリーは……6割か。まずまずだな。

    最原「(まずはこの場所を特定するのが先決だね)」

    手短な机を照らす。どこにでもありそうな白い机だ。と言っても経年劣化が所々に見てわかる。…この朽ち具合なら相当すぎているのかもしれない。机を軽く…撫でるとうっすらと手に埃がつく。…机には触れてない??…なんでだろう、疑問が増えるとある所で止まった。

    最原「…これは日誌?」

    机の隅に置かれた黒い紐で綴られた日誌だ。…手に取って何ページかめくる…内容からして些細なことが書いてある。ああ…学級日誌の1部だろうな。いろんな筆跡で書かれたそれはその日に起こったことを記しているようだ。

    最原「(…当たり障りのない内容だ…)」

    内容を軽く読んだけれどあまり情報にはならなさそうだ。……と隣の机の上にあるものが置いてあった。これは…?!

    最原「(…この校舎の地図…か?)」

    拾い上げると劣化のせいでポロポロと紙の繊維が剥がれ落ちてゆく。…これを持ち歩くのは不可能だけど、赤い丸がしてある場所があった。

    最原「…『職員室』…か?」

    地図で何となく立ち位置がわかる。この教室は入ったことの無い場所だ。配置からして丸がしてある『 職員室 』または違う階にあるであろう『 資料室 』とやらだ。
    …机の並び、配置からして恐らくここは『 職員室 』なんだろうな。

    最原「だとすれば…あまり移動してないのか?」

    『 音楽室 』の奥。に当たる場所にある『 職員室 』にいた僕はどうやってこの場所に…?

    最原「わからない。まだ調べるか…」

    紙をそっとその場に置いて違う場所を調べることにしたんだ…





    questio>>132番さん。最原の行動安価
    (とある選択肢で進みます、このチャプター最後の安価です)


    1、★調査済み

    2、奥に何かあるのか?
    (奥を調べます)

    3、扉をしらべるか?
    (出入口付近を調べます)

    4、戸棚に…何かあるのか?
    (教室奥、戸棚を調べます)

    5、外は…まだ雨降ってるのか…?
    (窓を調べます)

  132. 132 : : 2018/08/14(火) 21:59:28
    4で
  133. 133 : : 2018/08/17(金) 05:14:03

    最原「(気になるのは戸棚だ。)」

    目立つものと言えばここしかない。ほかにもありそうだけど何故か視線がそこへと向かって離せなかった。何故?
    疑問を口にするまでもなく僕は――戸棚へと手を伸ばしたんだ。

    最原「(外見は普通…だよな)」

    どこの教室にもあったようなデザインの戸棚。一見すると何も変わらないように見えてしまう。…一点を除いて、だけど。

    最原「(…中が見えない。黒く塗りつぶされているなこられは…)」

    ――開けない方がいい気がする。そう警鐘を鳴らす思考とは別に体が指が…無意識に伸びてしまって―――

    ガタン、ギリギィィイイイ…

    気がつけば扉は開いていたんだ。―――は?

    最原「(…紙?)」

    戸棚の中には1枚の紙と赤黒いシミを残した鋏が置かれていたんだ。…拍子抜けだぞ…これは。
    手を伸ばして、紙を手繰り寄せる…何度か目にしている文字はきっと、ヒント?を書いてくれた人の続きなのか?
    少し途切れ途切れなのが気になるけれど内容だ。先ずは――読まないと行けない気がしたんだ。

    …どうして?

    最原「『 あぁ、やっぱり…アヱないんだ、…ね?、テガ黒く て モウ…カクノモ… 』…えっ??なんだよコレっ!!」

    ぱっと手を離す。
    ヒラヒラと赤いシミと共に落ちる紙はいつの間にか真っ赤に染まっていた…え…これは…誰の血なんだよ!!

    最原「(だれの…あれ?)」

    首が熱い。そう感じたのは違和感を首に感じたからだ。…今まで体験したことが無いくらいの熱さ…なんだよコレっ。と同時に、ボタっと大粒の赤が零れる。

    ボダっ、ボタっ…

    シミがだんだん紙や床を赤で濡らす…同じくして今度は喉が焼けるように痛い。…痛いのに…声が…出ないのは…なんでだよ!

    最原「カッ…ヒューヒュー…」

    息が出来ない…苦しくてその場に崩れ落ちる。訳が分からなくてどうしようもない気持ちが押し寄せる。
    …戸棚は…あれ?鋏が…消えてる??

    戸棚に手をかろうじで伸ばす。僅かに触れた鋏のあった場所には何も―――手応えがなくて…え?

    ザクッ、ザクッ、グサッ

    耳障りな音が何度もしてる度に体が灼けるような痛みに支配されていく。確認したいにも何故か体は言うことを効かずに背後を見られなかった。

    最原「(あ、そうか…刺されているのか)」

    規則正しい耳触りな音は僕が鳴らしてるのか。
    ――そう気がつくと全てが解決した。

    僕は今…死にかけているんだって。

    最原「(く、そう…こんな所で…な)」

    思考が溶ける。痛みにしか反応できない思考はだんだん意識をもぼやけさせる。このまま…わけも分からず…死ぬ、のか??

    最原「い、や…」

    意識が視界が真っ赤に犯され手に力が入らなくなる…ああ、もう…


    ごめん、…あかま、つさ…



    ―――完全にそこで視界が塗りつぶされた。



    【 WRONG END(★3) 】:犠牲者の手紙part4






    questio>>134番さん。最原の行動安価
    (とある選択肢で進みます、このチャプター最後の安価です)


    1、★調査済み

    2、奥に何かあるのか?
    (奥を調べます)

    3、扉をしらべるか?
    (出入口付近を調べます)

    4、★調査ずみ

    5、外は…まだ雨降ってるのか…?
    (窓を調べます)


  134. 134 : : 2018/08/17(金) 08:44:44
    2かな?
  135. 135 : : 2018/08/20(月) 22:49:47

    とりあえず、調べるだけだ。
    ――そう言い聞かせる。調べるのは得意とは言わないけれど、気が付くことがあればそれが「 脱出 」のヒントになる。

    最原「(遺された皆のために)」

    ぐっと拳に力を込める。ここに長居…はあんまりしたくないけど。調べられる箇所は細かく見るつもりだ。
    すっと目を細めて、奥を覗く…ん?

    最原「誰か…いるのか?」

    奥に黒い物体がある…大きさからして…人、か??
    スマホのライトを向ける―――と黒い物体はスっ…と薄くなって消えた。
    …は?

    最原「…なんだったんだ?」

    よく分からない…けれど、人らしきものに導かれるように…奥へと足を踏み入れる…

    最原「…にしても足の踏み場が…ないな…」

    床は様々な書類やら紙が散らばり点々と様々な染みを残していた。これを踏みながら進むのは嫌悪感しかない。
    例え上履きを履いてるとはいえ…ね。
    それらを避けつつ…奥へと…行くと。

    足元にガツッと当たる…何か。それは…新聞か??日付はやはり昭和…ということはかなり昔の記事だ。
    『 ■天神小連絡通紙■ 』と書かれた内容が何故か気になって…思わず手を取った。

    最原「『 部外者闖入(ちんにゅう)による自殺が昨晩発生。
    これで三件目となる。今回は隣県に住む72歳の独身男性…… 』」

    …なんだあんまり意味はないじゃないか!!言いたくなりそうになったのを寸でとまる。

    最原「(…これは、真宮寺君の話の後の話か??
    確か…雨の日に誘拐された生徒たちの事件の後に怪奇現象か起きて、閉校したとかだったな)」

    だったらこの記事は…『 怪奇現象 』の1つとして捉えていいのかもしれない。なら、意外とヒントになるんじゃないか?

    最原「(持っておきたいけど、流石に大きいな…メモするか…)」

    その記事の内容をポケットに忍ばせてた、録音機能付きのボールペンと手のひらサイズの手帳に軽く書き込むことにした…



    ▼ 【 天神小連絡通紙 】を入手しました… ▼
    説明:(最原が見つけた新聞の内容をメモに記しました。最原の推測では「児童誘拐・殺害事件」の後に起きた出来事では無いかと考えているようですね)


    ▼ 【 最原のボールペン 】を入手しました… ▼
    説明:(最原が普段から所持している録音機能が付いたボールペンです。探偵の七つ道具の1つですね)


    ▼ 【 最原のノート 】 ▼
    説明:(最原が普段から所持している手のひらサイズの無地の手帳です。中には色んな情報があるためあまり中身を見せることはありません)



    箇条書きにしても記入した後、それをその場に置く。これでよし…と、再度周囲を見回すと…今度は机の上に真新しいノートが置かれていたんだ。それも…DVDと一緒に。

    最原「これは…ここに元々からあるもんじゃないだろうね…」

    DVDを拾いマジマジと眺める…何かのデータがはいっているのだろうか?ケースがヒビがあるけれど、中身は無事らしい。タイトルは…掠れて消えた痕があってなんなのかさっぱりだ。

    最原「(誰かが遺したのか?…出したらノートと一緒に持つべきだな。…と内容は…)」

    A6サイズのリングノートを手にする…と表題には『■猟奇実話ルポ・実在する呪われた学校の過去を追った!
    ………鬼碑忌コウ』との文字が筆ペンのような筆跡で書かれていた…ん?

    最原「(鬼碑忌コウ…って…どこかで聞いたような…あっ、怪奇作家の人か?)」

    数年前にブレイクした高校生作家『 冴之木七星 』の推薦人だったはずだ。なんでそんな人が…ここにこんなにメモが…残されてるんだ?

    最原「とにかく…中身を見させてもらおう…」

    僕はノートの留め具のゴムを外して読む事にした…

  136. 136 : : 2018/08/20(月) 22:50:18

    最原「『 ■猟奇実話ルポ・実在する呪われた学校の過去を追った!
    ………鬼碑忌コウ

    数日の間に、立て続けに町内で多数発生した「 連続失踪事件 」は警察機構の入念な捜査の末、最悪な形で解決へと向かう。

    天神小学校の開校当時から閉鎖されたいた地下室で、行方不明になっていた児童3名の亡骸と殺害される直前だったのか怯えた様子で座り込む女児1名、そして血塗れの鋏を手に放心している、同校の教員1名が発見された。(1937年9月18日)

    救出された女児の証言から追求は進み、男は女児を含む4名の自動の誘拐と殺害を認めた為、未成年者拐取・殺害・及び死体損壊などの罪で送検されるも、刑事裁判にて心神喪失が認定され無罪、医療施設に放り込まれた。
    この犯人の巨躯の男は同校教師で校長の子息であり、生来快活な性質であったが起因する要素が全く不明の、突発性の脳障害から年々教員として弁を振るうことが、困難になっていた。

    事件の数ヶ月前より、別の就職先を探す日々を続けていたが結果は芳しくなく、日中町内を所在無げにフラフラ歩いている所を何度も目撃されていたようだ。
    男は入所後数ヶ月で看護医達の隙をついて療養施設から脱走。

    天神小学校の地下室に入り込み、首をつって自殺した。
    この事件で殺された児童達は、殆どが天神小の生徒達だったのだが犯人逮捕時に寸での所で救出された女児は天神小の生徒ではなく、事件後他県に移って行ったとされている。

    悪い噂の立ってしまった天神小学校の不運はその後も収まらず、忍び込んだ変質者による強姦事件や自殺の舞台として利用された為生徒薄が大幅に減り、ついには廃校へと追い込まれた。(1975年11月18日)

    当時60歳になっていた校長は、自らの屋敷の襖や壁、畳などに意味不明の文字の羅列を書き殴るなど奇行が目立って居たが、廃校決定のその翌日、天神小の屋根から飛び降りて自殺してしまった。
    首の骨を折り、即死だったようだ。

    …酸鼻極まる事件である。私はこの一連の事件の影に人智を超えた力の働き、巨大なる呪詛の側面を見ている。
    …鍵を握る人物はやはり、現場で同い年の子供達が惨殺されるのを目撃してしまった不幸なる生存者――事件を生き残った赤い服の少女だ。

    怪奇事件ルポライターの私が、機会を頂いた本誌での連載は始まったばかり。このまま追跡取材を進めてみたいと思う。
    続報に期待していて欲しい。
    』」

    そうか、この現場を調べていたのか…確かに『 鬼碑忌コウ 』は近年目覚しい活躍を耳にしていない。…この記事がヒットすれば…怪奇作家としての名声を再度得ることになる。だから…ここを調べていた?

    ――それにしても気になる内容だ。事件の裏側を詳細に書いてある…どうやって調べたのか聞きたいぐらいだけど、逢えるだろうか?

    最原「……リングノート式になっているのか…ということは続きがあるかもしれない。当人が生きていれば…もしかして、或いは…続きに当たる部分に…」

    ―――『 脱出方法 』を知っているかもしれない。

    これは大きな前進となるだろう。ただし、当人が生きていれば、あるいはこれを所々に残していれば、だけど。

    最原「…よしこれでっ」

    と、その時どこからか声がしたんだ――

    ??『 …センセィ… 』

    最原「――っ?!」



    ▼ 【 謎のDVD 】を入手しました… ▼
    説明:(ケースに僅かなヒビが入っていますが中身は無事のようです。一体なんの情報があるのか…これを再生する機材があれば観れますね)


    ▼ 【 鬼碑忌コウのメモ 】を入手しました… ▼
    説明:(怪奇作家の鬼碑忌コウの取材メモです。事件についてこと細かく調べていた様子が文面に出ています。リングノート式で続きがありそうですね…)





    questio>>137番さん。最原の行動安価
    (とある選択肢で進みます、このチャプター最後の安価です)


    1、★調査済み

    2、★調査済み

    3、扉をしらべるか?
    (出入口付近を調べます)

    4、★調査ずみ

    5、外は…まだ雨降ってるのか…?
    (窓を調べます)

  137. 137 : : 2018/08/21(火) 00:39:34
    5で
  138. 138 : : 2018/08/21(火) 03:18:22
    皆分かってるのか…?ありがとうございます。最後まで直進しますぞぞぞ!あとすこしっ!!)


    譫言の声は一言だけ紡がれると無音が広がる…
    身構えたんだけど、何もしてこないのだろう。そう思って大きく息を吐いた。

    最原「…なんだよ…」

    冷静になる。…ここに来て一体どれぐらいの時間が経過したのか。…時計をタイムウォッチに変えれば良かったと思う手前変えたとしても狂うだけか…と答えを出したんだ。

    最原「(そうだ…外はどうなっているんだ…?)」

    外。何故か気になって歩みを進める…雨はさっきより静かだ。雷鳴も収まったらしく、静かに外を濡らしていた。

    当然だけど、窓は開かない。そう…簡単に開いたらこんなに死者は居ないだろうね、と溜息を吐いた。

    最原「僕達も…こうなってしまうのか?何もしなければ…」

    窓際近くの机に寄りかかり、息絶えただろう死体を見る。
    冷静に声色を出したつもりだったのにどうも震えているのは恐怖からか、それとも別の違う感情からなのか…もう実はぐちゃぐちゃだったりするのか最早分からない。

    初めて対面するのは死体または幽霊や亡霊の類。実は生きているのは僕だけで…という夢であって欲しい、けど…

    最原「…イダっ」

    窓枠をなぞるとささくれに指が当たり、ぷっくりと真っ赤な血が点を作る。ああ、夢じゃないんだな。痛みも感覚、意識もちゃんとあるんだからな。

    最原「…ダメだ。悪い方向に考えたらダメだ」

    軽く首を振って…振り返ると…そこには―――

    ??『大切な人を案ずる想い…それ故受ける痛みや苦しみは』

    最原「!!」

    ??『死者にも生者にも隔てなく与えられる…美しい聖痕…』

    僕らと同じような年代。立ち振る舞い、そして…光を失った虚ろな瞳を真っ直ぐ僕を見つめるその姿はどこかで見たことがあった…それは…

    そう。画面の向こうで、だ…
    彼女の名前を僕は知っている。知らないはずがない。
    だって僕は…彼女の書いた作品のファンだったから…だから、気が付くと名前を呟いていたんだ…

    最原「あなたは…『 冴之木七星』、さん…だね」

  139. 139 : : 2018/08/21(火) 03:18:44

    明らかに生きてる気配のない瞳は少しだけ開いた。
    驚いているんだろう。名前を知らないとでも思ったのか?
    僕の射抜く視線を濁った瞳は映さない。

    七星『よく…わかりましたね。知らないと思ったのですが…でもそんなことはもういいんです』

    最原「…?」

    冴之木七星さんはゆっくりと僕との距離を詰める。…何故かそれが恐怖にしか思えず窓枠に後ずさろうとして、どんっと背中に衝撃がくる。

    詰め寄りながらも彼女は…ゆっくりと抑揚のない声色で淡々と言葉を紡いでいく。

    七星『作家としての私を知ってるなら無駄ですよ…ペンはとっくに折りましたから…』

    最原「冴之木七星…さん…?」

    七星『この場所に来た理由、知りたくありませんか?』

    …え?どういう意味なんだ…?
    冴之木七星さんは…知っているというのか?
    戸惑う僕に彼女はコツン…コツン…とわざと靴音を響かせて告げる。

    七星『あなた方がこの学校に閉じ込められたのは――『 幸せのサチコさん 』に失敗したからです…きっと賢いあなたなら理解できるのではないでしょうか?』

    ねえ…探偵さん?と首を傾げる。
    生気があったならば可愛いと思う仕草だけど、今はその行為がただ嘲笑うかのようしか見えなかったんだ。

    最原「…だろうね。」

    七星『誰かが唱える回数を人数分、正しく唱えかなったからです』

    そう、と開きかけた唇がゆっくりと横に伸びる。
    なんだよっ…テレビで見た時はこんなに怖くなくて逆にクールな印象があったなって思ったんだけど…っ!

    七星『…誰かが』

    最原「っ!!…やっぱりか…」

    大体は想像がつく…恐らくは…

    最原「(唱え間違えたなら…僕らの誰かあるいは――真宮寺君だ)」

    彼がもし僕らに与えた情報自体が間違ってたなら…いや。
    ダメだ。クラスメイトを疑いたくない。アンジーさんの言葉と冴之木七星さんの言葉が繋がったとしても、僕は…

    最原「いや、それでも僕はっ」

    七星『違う…とでも言いたげですね。信じたいんだ、って瞳が語っていますよ』

    クスクスクス…と薄ら笑いをする冴之木七星さんはゆっくりと僕の1歩前まで迫る…ち、近過ぎないかっ!!
    身をよじるにも動けない距離まで詰め寄った彼女はぴょん後ろへと飛び、僕から距離を置いた。

    七星『お友達の言葉、覚えてますか?…『 おまじない 』の切れ端を無くさないで――でしたっけ?』

    最原「…なっ」

    七星『それを大事に想ってみてください』

    急に言われると戸惑いしかない。
    ―――どういうつもりなんだ?普通に話してはいるけど…味方なのか、敵なのか…皆目検討がつかない。
    僕の思考を読み取るように彼女は微笑みを崩さない。それが帰って怖いとしか言えなくて…息を吸うのもままならない。
  140. 140 : : 2018/08/21(火) 03:19:04

    最原「…なんで急にっ」

    七星『貴方の大事な人達のこと。』

    区切って僕を眺める…急に言われてしまうと何を思い浮かべたら良いんだよっ、と抗議したくなるが――何故か体が動かなくて言葉さえ紡げなくなっていた…え?

    困惑する僕の脳裏には…ある人物が浮かんだ…

    最原「(みんな…それに…赤松さん…)」

    そうだ。今こうしている瞬間にも危険が迫っているのかもしれない。本当に僕はこのまま立ち止まって、目の前の彼女にされるがままでいいのか?
    そんなんじゃぁ…

    最原「(助けるなんて…無理だ…行かないと…はや)」

    七星『心配するキモチ、心を掻き乱す衝動…それでいいんです。おまじないとは人が人を想うキモチ』

    思考を掻き乱すように響く声。不思議とその声しか耳に入らなくて…

    七星『―――それが愛情であれ憎しみであれ――想いが強ければ強いほど、呪いはパワーを発揮するのです…』

    ゆっくりと目を伏せた彼女の右手が僕を指さす…生きてる人とは思えない白さの指は僕の視線を釘付けにする。

    と、同時に彼女の唇がゆっくりと聞き慣れない発音を紡ぐ――

    最原「―――っ!!」

    痛みが、芯からズキズキと痛む…それは段々と酷くなってぐにゃりと視界を混ぜる。立っていられなくて、しゃがみ…段々黒い靄をまとった彼女が微笑む。その瞳の色はとても冷たく死んだ魚のようで…

    ゆっくりと周りの音が聞こえなく遠くなっていく中で…彼女の嬉々たる叫びがこだまする…


    七星『私たちの邪魔をするものは許しません…苦しみ抜くといいわ!!』

    最原「…っぐっ…」

    七星『逝きなさい、想い人の許へ……あ、そうだ。もう遅いかも…しれませんけどねぇ!!』

    笑い声が酷く気持ち悪く残る中で…ゆっくりと…視界が黒く、そして塗りつぶされ…



    最原「み、ん…なっ―――あか…ま…」








    【 chapter:04 】end 


    死亡確定者:05 名 
    『白銀つむぎ』、『春川魔姫』、『夜長アンジー』、 
    『キーボ』、『入間美兎』 



  141. 141 : : 2018/08/21(火) 03:19:27

    (ここまで閲覧していただきまして、ありがとうございます) 


    (星や最原は一体どうなったのか…みんなが段々と脱落していく中で何を見出すのか…さて続きが気になりますねぇ…) 


    (ちなみに、エンドリストはこうなっていました!!) 

    【 WRONG END 】リスト 


    (★1):『 目を合わせると 』 

    内容: 最原・茶柱・星行動時、男児の霊と目を合わせると発生
    目が合ってしまった一同は首を絞められ、更には落下からの刺殺、はたまた目を抉られて更には舌までも取られてしまう…という残虐極まりないものだった


    (★2):『 おんねん 』 

    内容:最原・茶柱行動時に2階の変色した床を歩くと発生
    何も知らずに殺されて行った者達の怨念に囚われた2人はじわじわと黒化していき最後は彼らと一心同体になる
     

    (★3):『 犠牲者の手紙 part04 』 

    内容:【 謎のメモ 】を1~5全て読む事で発生 
    前のナンバーの文字を読むと次のメモが現れる 
    メモを遺した少女が背後から何度も何度も体を刺し殺す

    【 謎のメモ 】のある場所 
    1「 本校舎、2階中央廊下 」 
    2「 本校舎、1階東廊下奥 」 
    3「 本校舎、3階女子トイレ 」 
    4「 ??校舎、1階西側階段 」 
    5「 ??校舎、1階職員室 」 


    (★4):『 彼と言えば――溺死だよね? 』 

    内容:天海・茶柱合流失敗時に発生
    渡り廊下から付いてきた女児の幽霊にされるがまま惨殺され三階のとある場所から放り投げられて死亡する


    (★5):『 惨殺しないとネ 』 

    内容:真宮寺から逃げるイベントで逃走失敗すると発生
    刀を持っていた真宮寺の手により惨殺され、お姉さんのお友達として自害した真宮寺と共に彷徨う霊と化す



  142. 142 : : 2018/08/21(火) 10:36:08
    お疲れ様でしたー!
    次章も楽しみにしています!

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著者情報
bashikosama

飛んで火にいるばし子さん

@bashikosama

この作品はシリーズ作品です

【V3×コープス】真宮寺「これは…」 夜長「天神小学校…?」 シリーズ

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