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愛しき人から【エレミカ】

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  1. 1 : : 2018/02/14(水) 02:40:10

    春風です!

    バレンタインということでバレンタインの話を書きます!
    今日中に終わる短い話なので軽い気持ちで読んでください。
    自分の他作品に興味のある方は是非そちらにも立ち寄ってみてください!


    注意事項を読んだ上でご覧になってください。


    注意事項

    ・エレミカです。苦手な方は閲覧しないことをお勧めします。


    ・原作の裏話とイメージして作りましたが、無理があるので無視していただいても結構です。


    ・エレンとミカサは19歳です。舞台はマーレ。


    ・不快な気分になるようなこと、迷惑行為などはご遠慮ください。



  2. 2 : : 2018/02/14(水) 03:11:37





    マーレに潜伏してから何ヶ月もの月日が経った。


    調査兵団団員たちはとある建物を住処とし、身を潜めていた。


    そこにエレンの姿はない。



    ミカサ「エレンは今、どこで何をしているのだろう…」


    窓の外を眺め呟く。


    ジャン「こっちに来てからそれ何回目だ…いい加減聞き飽きたぞ」


    コニー「あいつはずっと一人だもんな…」


    ジャン「お前まであいつの心配か?」


    コニー「だってよ…」


    ジャン「あいつの言葉で今俺たちがどんだけ危険な状況になってるか分かってるのか!?」


    フロック「だがエレンの安否が分からない以上、俺らはどうすることもできない」


    ジャン「あんな奴、どうだっていいだろ…」


    フロック「あいつには覚悟がある、お前と違ってな」


    ジャン「んだと!!」


    リヴァイ「お前らそろそろ黙れ、バレたらどうする」


    リヴァイの言葉でこの場の全員が黙り込む。


    そこへ他の団員が部屋に入ってくる。


    サシャ「外は特に異常はありません、今なら大丈夫そうです」


    リヴァイ「そうか…」


    ここに長く待機していれば食料などもじきに無くなってくる。


    その為、定期的に団員の誰かが外へ出て食料を集めてくる。


    リヴァイ「ミカサ、今日はお前が食料を調達してこい」


    ミカサ「私ですか?」


    リヴァイ「他に誰がいる」


    ジャン「ちょ…ミカサが外に出るのはリスクが大き過ぎます!ミカサが捕まったら…」


    リヴァイ「誰だろうとリスクは同じだ、それにこいつは篭ってるとどんどん思考がネガティブになってきやがる…」


    ミカサ「では私は食料調達に」


    ジャン「おいミカサ!」

















    外は賑やかだった。


    もうすぐここで祭りが行われるからだろう。


    そこで私たちは…


    ミカサ(ダメだ…)


    作戦を最低限に抑えようとしても、犠牲者が出るのは避けられない。


    ここにいるのは全員敵だ。


    だがやろうとしていることは、今までエレンが憎しみを抱いていた巨人と変わりない。


    ミカサ(エレン…どこにいるの?)


    彼は敵の国の中、一人。


    一人はとても寒い。


    それは私が一番よく知っていることだ。


    どうにかしてエレンに伝えることができれば、私たちがあなたのそばにいると伝えられたら。





    そんなことを考えている私の耳に、ある話し声が聞こえてきた。


    「ねぇねぇ、今日はバレンタインよ!」


    「私○○にチョコを渡そうと思うんだけど」


    ミカサ(バレンタイン?)


    初めて聞いた言葉だった。


    こちらの言葉はあらかた覚えたはずだが、バレンタインという言葉を聞いたのはこれが初めてだった。


    どんなものか知ろうと更に耳を傾ける。


    「バレンタインかぁ…私はいいや」


    「ええ!?せっかく年に一度、大切な人に想いを伝える日なのに!」


    ミカサ(大切な人に…想いを伝える日)


    それは今の私にとてもピッタリの言葉だった。


    大切な人に想いを伝える。


    ミカサ(エレンに想いを伝えたい!)


    そう決めた私は食料調達と同時に、チョコを作るための材料も集めることに決めた。


    そして、エレンを見つけ出す。
  3. 3 : : 2018/02/14(水) 03:28:40




    ベンチに座り、ただひたすら青い空を見上げる。


    すると隣に少年が座り込む。


    エレン「ファルコか」


    ファルコ「クルーガーさん、やっぱり今日もここでしたね」


    エレン「ここ以外、行くところもないからな…」


    そう言って辺りを見渡すと、いつもと少し光景が違うのに気づく。


    エレン「なぁ」


    ファルコ「どうかしましたか?」


    エレン「今日はやけに…女性が多いな」


    ファルコ「ああー…」


    エレン「なんだ?」


    ファルコ「今日はバレンタインですよ?」


    エレン「バレンタイン…そうか、それで」


    ファルコ「クルーガーさんも誰かにチョコとか貰うんですか?」


    エレン「俺のことよりまずお前じゃないか?」


    ファルコ「え?」


    エレン「例の女の子には、貰えたのか?」


    ファルコ「っ!………まだです」


    エレン「まだ、か……もらう予定なのか?」


    ファルコ「そういうんじゃ…ないですけど」


    エレン「なんだ…」


    ファルコ「クルーガーさんばかりズルイです!俺にもクルーガーのこと教えてくださいよ!」


    エレン「…俺のことなんか聞いても何もないぞ」


    ファルコ「俺が知りたいんです!」


    ファルコの目を見ると、その瞳は輝いている。


    まるで、外の世界に希望を抱いていたあの頃の俺たちのよう。


    エレン(人の好きな人のこととか知りたいだけなのにな…)


    好奇心とは恐ろしいものだ。


    エレン「俺にもな…昔、お前にとってのその子と似たような子がいたんだ」


    ファルコ「そうなんですか!?」


    エレン「ああ、その子はとにかく強くてな…俺は手も足も届かなかったよ」


    ファルコ「クルーガーさんも勝ちたかったんですか?」


    エレン「勝つか…違うな、守りたかったんだと思う」


    ファルコ「守る?」


    エレン「俺はその子に守られてばかりだったんだ、だから俺がその子を守ってやりたかったんだよ」


    ファルコ「じゃあ俺とクルーガーさんは同じですね!」


    エレン「……そうだな」


    それは昔の話。


    今の俺は、希望など抱いていないのだから。


    ファルコ「今その人は?」


    エレン「………ここにいたりしてな」


    ファルコ「じゃあ会えるかもしれませんね!」


    エレン「祭りで会うかもな」


    ファルコ「俺も会いたいです!」


    エレン「会えたらな」


    そしていつものように手紙を出し、ファルコに渡す。


    エレン「それじゃよろしくな」


    ファルコ「はい!」


    エレン(バレンタイン…か)


    あいつが今もそばにいたら、俺にチョコをくれたりするのだろうか。

  4. 4 : : 2018/02/14(水) 03:55:25



    食料調達を終え、チョコを作るための材料を集める。


    「もしかして、チョコを作るのかい?」


    唐突に店の人に声をかけられる。


    ミカサ「あ…はい」


    「ん?珍しい顔だね…」


    ミカサ「っ!」


    咄嗟に髪で顔を隠す。


    「とても綺麗な子だね!」


    ミカサ「!ありがとう…ございます」


    「まぁ頑張りなさい!」


    そう言って購入した材料を袋に詰めて渡してくる。


    ミカサ(びっくりした…)


    これが緊張感のない行動ということは自分でもよく分かっている。


    しかし、エレンのためを思って行動することが昔からの私なのだ。


    みんなもそれを分かっているから、私からエレンの話題を遠ざけようとしているのだろう。


    気づかれないようにはしていたのだろうが、分かってしまう。


    ミカサ(エレン…)


    ファルコ「おわっ!」


    迂闊にも気を抜いてしまい、走ってきた男の子にぶつかってしまう。


    男の子はそのまま後ろに倒れこむ。


    手に持っていた手紙が目の前に落ちてきた。


    ミカサ「ごめんなさい、大丈夫?」


    ファルコ「こちらこそすいません!」


    ファルコ(すごい綺麗な人だ…)


    ファルコ「あれ手紙が…!」


    ミカサ「ぶつかった時に落ちてしまったみたい」


    周りには人が大勢いたため、手紙を見失ってしまう。


    ファルコ「ど、どうしよう…」


    ミカサ「ごめんなさい、私のせいで…」


    ファルコ「そんなことは!」


    ミカサ「私も手伝う」


    ファルコ「すいません…」


    辺りの地面を見回しながら、周辺の人にも手紙がなかったか尋ねる。


    ミカサ(私が気を抜いたせいでこんなことに…)


    私の失態で調査兵団全員が危険に晒されてしまう。


    それでも、この少年はどこか放っておくことができなかった。


    「手紙って…これか?」


    話しかけた男性が落ちていた手紙を拾っていた。


    「誰のか確認しようとして開けちまったんだが…」


    ミカサ「いえ、ありがとうございます」












    ミカサ「手紙ってこれ?」


    ファルコ「中身も無事ですか?」


    ミカサ「中身も一緒に貰った」


    そう言って中身を取り出すと、手紙の内容が目に映る。


    そこの差出人のところには、エレンの名があった。


    ミカサ(エレン!?)


    ミカサ「ねぇちょっといい?」


    ファルコ「なんですか?」


    ミカサ「この手紙の差出人って…誰?」


    ファルコ「え…でも…」


    ミカサ「お願い」


    ファルコ「…手紙も見つけてくれたので、お礼として」


    ファルコ「クルーガーさんです」


    ミカサ「クルーガー…」


    その名前は、エレンが父親の記憶を取り戻した時に出た名前だった。


    エレンの巨人の力を持っていた人の名前。


    ミカサ「その人が今どこにいるか知ってる?」


    ファルコ「今は治療で施設に…」


    ミカサ(施設…)


    施設に入り込むにはあまりにもリスクが大きすぎる。


    そこで、この少年に頼みごとをすることにした。


    ミカサ「お願いがもう一つあるんだけど、聞いてくれない?」


    ファルコ「なんですか?」


    ミカサ「その人に…渡したい物があるの」


    ファルコ「それって…まさか!」


    ファルコは何か察したように笑顔になると喜んでそれを引き受けてくれた。


    ミカサ「今から作るから少し時間がかかってしまうのだけれど大丈夫?」


    ファルコ「大丈夫です!ここで待ってます!」


    ミカサ「ありがとう」


  5. 5 : : 2018/02/14(水) 04:17:12






    ミカサ「ただいま戻りました」


    リヴァイ「随分遅かったじゃねぇか、なんかあったか?」


    ミカサ「その…ちょっとした事故が、でも大丈夫です」


    リヴァイ「……ならいい」


    材料を置くと早速チョコを作る準備に取り掛かる。


    ジャン「ミカサ、何か作るのか?」


    ミカサ「チョコ」


    サシャ「チョコですか!?もしかして私に?」


    ミカサ「エレンに」


    ジャン「エレンにだと!?どうやって渡すんだよ」


    ミカサ「エレンの場所が分かった」


    ジャン「な…!」


    ジャンは驚きの表情を見せたが、他の団員はどこか安心したような表情だった。
















    ミカサ「できた!」


    完成したチョコとメッセージを添えたものを手に持ち、部屋を出る。


    ミカサ「少しだけ出ます」


    リヴァイ「危険な真似はすんじゃねぇぞ」


    ミカサ「…分かりました」


    駆け足で少年の待っているところまで向かう。


    少年は約束した通り、そこで待っていた。


    ミカサ「お待たせしてごめんなさい」


    ファルコ「大丈夫ですよ!」


    ミカサ「これをエレ…クルーガーさんに」


    ファルコ「はい!」


    チョコを受け取るとファルコは駆け足で施設の方まで去っていった。


    エレンには直接会うことはできないけれど、私たちがそばにいることを伝えられる。


    エレンは、一人じゃない。




















    人も減り、そろそろ帰ろうとベンチを立ち上がった頃、またも少年が訪れてきた。


    エレン「ファルコ、なんでまたここに」


    ファルコ「クルーガーさんに…お渡ししたいものが…あって!」


    走ってきたのか、ファルコは息を切らし、所々に汗が見えた。


    エレン「俺に?」


    ファルコ「どうぞ!」


    渡された箱には、販売されているものではないであろうチョコとメッセージが添えられていた。


    ファルコ「俺にはその字読めなかったんですけど…」


    エレン「…そうだな、これは俺たちの故郷の字だ」


    ファルコ「故郷…?」


    ファルコは意味が分からないというふうに首を傾げる。


    エレン("あなたのそばにいる"…か)


    そのまま読むと、なんだか怖い文だ。


    けど、どこかあたたかい気持ちになった。


    この感覚は、昔からずっと知っている。


    ファルコ「クルーガーさんにそれをくれた人って…」


    エレン「ああ…そうだな」


    そいつはいつも世話焼きで、強くて。


    正直ここまでくると恐ろしいくらいだ。


    けど、いつもこの残酷な世界で、あたたかさをくれる。


    エレン「愛しき人からだ」





    fin






















    おまけ



    ファルコ「おいガビ…今日はバレンタインだよな?」


    ガビ「あんた…もしかしてチョコ貰えると思った?」


    ファルコ「ち、ちげーよ!!」


    ガビ「あっそ、ライナーの分しか作ってなかったし良かった」


    ファルコ「くそぉ…」
  6. 6 : : 2018/02/14(水) 04:21:28


    読んでくれた方、ありがとうございました!!

    勢いでしたが、こんなに短い話を書いたのは初めてでした笑
    原作未読の方には大変申し訳ない内容となってしまいました。申し訳ありません。

    現在執筆中の作品がありますので、ぜひそちらの方もご覧になってもらえると嬉しいです!


    ありがとうございました!
  7. 7 : : 2018/02/14(水) 18:53:54
    あ、あの……。
    作品に全く関係なくて失礼なんですが、す、睡眠時間は大丈夫なのでしょうか?
  8. 8 : : 2018/02/14(水) 22:21:44
    >>7

    おかしな話なのですが、夜に眠れない体質になってしまいまして

    健康を考えれば直していきたいのですが…

    心配なさって下さったのならありがとうございます
  9. 9 : : 2018/02/15(木) 06:47:26
    >>8
    そうでしたか!体調を崩さない程度にこれからも頑張ってください。

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harukaze

春風

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