この作品は執筆を終了しています。
変化は突然に【エレミカ】
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- 1 : 2018/02/01(木) 00:05:29 :
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はじめましての方は、はじめまして!
春風です!
まだ頭の整理がついていない中、今作を書くことにしましたが…
やってやる!書きながらでも考えろ!(迷走中)
前作に興味のある方は下記からどうぞ!
http://www.ssnote.net/archives/57489
注意事項を読んだ上でご覧になってください。
注意事項
・エレミカを中心とした作品です。苦手な方は回れ右推奨。
・高校が舞台となっております。原作の世界観は一切関係がありません。
・キャラ崩壊が多々見られることがあります。
・不快な気分になるようなこと、迷惑行為などはご遠慮下さい。
以上を理解していただけると幸いです。
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- 2 : 2018/02/01(木) 00:06:41 :
- 期待です!
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- 3 : 2018/02/01(木) 00:20:57 :
高校三年生になり、俺は転校が決まった。
父の転勤のせいだ。
どうやら俺は、二年間同じ高校で仲良くやってきた奴らとは一緒に卒業できないらしい。
ショックはショックだ、だが仕方ないのだと自分に言い聞かせた。
転校先は、父が元々通っていた地元の高校だった。
この土地にはよく来ていたので、地形などはすぐに覚えられたし、嫌いじゃなかった。
ただ一つ、俺がもっとも恐れていることは…
エレン(絶対クラスに馴染めない…)
まず二年間の差は大きい。
この差を埋めることはまず不可能と言えよう。
しかも高校三年生といえば受験!就職!
クラス・学年の全員が忙しくなるこの時期に、「仲良くしましょー」とお友達ごっこをするのも到底不可能。
考えるだけで頭が痛くなってくる。
エレン(クソ親父…、なんでこの時期に転勤なんかすんだよ…)
ここで俺は決めた。
敢えてクラスに馴染まない、と。
どうせ一年間も関わらない奴等だ、頑張って馴染もうとしなくてもいいじゃないかと。
目立たないように、ただ卒業するまでの日々を過ごしていく。
そう決めた………
はずだった。
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- 4 : 2018/02/01(木) 00:21:30 :
- >>2
早速期待コメありがとうございます!
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- 5 : 2018/02/01(木) 00:41:32 :
カルラ「エレン、今日は登校初日でしょ?」
エレン「ああ」
カルラ「道とか…大丈夫?」
エレン「大丈夫だよ、昔何回来たと思ってるんだよ」
カルラ「そうね、いってらっしゃい」
エレン「…いってきます」
来ていく制服は変わらない。
学校の許可で制服は前の制服のままで良いと言われた。
エレン(まぁどっちにせよ学ランだし…)
高校までは歩きだ。
決してここが交通手段の少ない土地であるためではなく、ただ単純に近いからだ。
エレン(しかし、ここら辺全然変わってねーな…)
見る景色が小さい頃ここで遊んでいた頃と全く変わっていないことに少しの喜びを感じる。
エレン(そういえば、小さい頃近所の子供ともよく一緒に遊んでたけど………誰だったっけ?)
小さい頃のことであったし、深く考えないでおいた。
高校付近に着くと周りに生徒が多くなり、見た目はほとんど変わらない学ランのはずなのに自分だけどこか浮いているような違和感を感じる。
エレン(とりあえず職員室に行かないと…)
前に手続きをした時に教えてもらった道を行く。
職員室に着き、扉に手を触れようとした瞬間、扉が音を立て開き、後ずさる。
???「失礼します」
エレン(び…ビクった…)
職員室から出てきた少女は俺の学ランを見たのか少し気になった様子で去って行く。
エレン(なんか今の子…可愛かったな、黒髪ショートで俺の好み………ってそんなことより用事済まさねぇと!)
もう会えないかもしれないし、心の内にでも秘めておこう。
そんなことを考えながら職員室の扉を開けた。
???「もしかして……エレン?」
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- 6 : 2018/02/01(木) 01:19:59 :
俺は今日のホームルームからクラスに入ることになった。
正直言うと緊張する。
だが、あまり難しいことは考えるなと自分に言い聞かせ、担任に誘導されクラスに入った。
担任「今日からこのクラスの仲間になるエレン君だ!」
エレン「エレン…です、よろしくお願いします」
エレン(よろしくするつもりはないけどなぁ…)
ガタッ
机が鳴り、一人の生徒が立ち上がった。
アルミン「エレン…?エレンだよね?!」
エレン「……アルミン?お前アルミンか!」
アルミン「そうだよ!久しぶりだね!」
担任「お前たち二人は知り合いか?」
アルミン「はい」
担任「じゃあエレン君の席はアルミン君の隣にしよう、アルミン君からこの学校のこと色々教えてあげてくれ」
アルミン「分かりました、よろしくねエレン」
エレン「おう!」
エレン「しかしクラスにアルミンがいてくれて本当助かるわ!」
アルミン「僕もまさかエレンが転校生だとは思わなかったよ、久しぶりだね」
エレン「ああ…5年ぶり、だな」
アルミン「そうだね、中1の時に少しだけ会ったっけ」
エレン「もっと小さい頃はよく遊んだのにな…」
アルミン「小さい頃と言えば、この学校にはミ……」
ジャン「アルミン!そいつが礼の転校生ってやつか?」
アルミンが何か言いかけたところを、アルミンの友人らしき男が遮る。
アルミン「ああ、エレンって言うんだ。僕とは昔からの知り合いで」
ジャン「エレンか、俺はジャンってんだ。よろしくな」
エレン「ああ、よろしく」
互いの手をぎゅっと握る。
まさか、ここに来るまでこんなことになるとは想像もしていなかった。
アルミン「ところで、今日はもう放課だけどエレンはどうするの?」
エレン「どうするって……アルミンは何かこの後あるのか?」
アルミン「エレンが用事が無ければこの後一緒にファミレスでも行かないかい?」
エレン「おう、いいなそれ!」
アルミン「ジャンも一緒にどう?」
ジャン「俺は…………ちょっと用事あんのよ」
アルミン「用事?」
ジャン「ああ、高校最後なんだぜ?行くなら野郎共とじゃなく、女がいいぜ」
アルミン「もしかして、ジャンの用事って…」
ジャン「皆まで言うなって、それじゃ俺はちょいと探し行ってくるわ」
アルミン「うん……」
そう言ってジャンは猛ダッシュでどこかへ走り去って行った。
エレン「結局あいつの用事って何だ?」
アルミン「きっと告白だろうね…」
エレン「告白?!」
アルミン「ジャンには一年生の頃からずっと片想いしてる子がいるんだよ」
エレン「へぇ、そりゃすごいな」
アルミン「それよりファミレスに行く前にもう一人呼んでおきたい子がいるんだけど、先に玄関で待っててくれない?」
エレン「わかった!じゃあ先に行ってるな」
アルミンと一旦別れて玄関を目指す。
知らない学校なだけあって、歩きながら周りを見渡すとどれも新鮮に感じるような景色だった。
最初は誰とも馴染まないようにしようとしていた学校生活のはずだったのに、少し友人ができたことでこの学校生活に少しの期待が膨らむ。
ジャンは一年生の頃からずっと片想いをしている相手がいるらしい。
ならそれなりのアプローチもしているはずだし、きっと成功するはずだ。
エレン(俺もこの学校生活に彼女がいたらな……例えばあの職員室にいた子みたいな…)
???「…エレン」
前に立つ女子に声をかけられる。
よく見ると職員室で見た子と同じだった。
綺麗な短い黒髪を持ち、整った顔立ちをしている。
奇跡かと思った。
まさかこの子から声をかけられるとは思いもしなかった。
エレン(でも俺の名前を知ってるってことは…同じクラスだったのか?!でもだとしたら俺が気づかないはずがない…)
エレン「あの、もしかして同じクラスでしたか?」
???「え…?エレン…もしかして…」
ジャン「ミカサ!!!」
エレン「!!」
ミカサ「?!」
ジャン「お前…に……話しが……ある…」
猛ダッシュで来たのか、ジャンは息を切らし、汗が所々に見えた。
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- 7 : 2018/02/01(木) 01:49:15 :
エレン(ミカサ…?!ジャン今、この子のことミカサって言ったか?!)
ジャン「俺……実は一年の頃からずっと……ミカサのことがす………っ!!」
そこまで言ったところでジャンの動きが止まる。
目が俺の方に向いているのできっと俺を見て固まったのだろうか。
ミカサ「す……?」
ジャン「す……すすす…」
ジャン「す…すっげー…ファミレスに誘いたかったんだ!」
ミカサ・エレン「「え…?」」
アルミン「いやー、まさかミカサも来てくれるとは思わなかったよ!」
ミカサ「ジャンに…誘われた」
アルミン「え?ジャンに?」
それを聞いたアルミンがそっとジャンに耳打ちをする。
アルミン(「ジャン何やってんの?!どこまでヘタレ拗らすんだよ!」)
ジャン(「お前ってたまに口調がゲスくなるよな…」)
アルミン(「そんなことはどうだっていいんだよ!なんでこうなったのさ!」)
ジャン(「いや…そこにエレンもいてさ、言いづらくなってよ…」)
アルミン(「エレンが…?」)
アルミン(エレンはミカサがこの学校にいるってまだ知らないはずだから……まさか、ミカサがエレンを…?)
エレン「アルミン、そんなとこでコソコソやってないでこの子も紹介してくれよ」
アルミン「ごめんごめん、この子はアニ、無愛想な感じだけど根は優しい子だから、よろしくね」
アニ「いつ紹介してくれるのかと思ったよ…」
アルミン「ちなみに、僕の彼女だから手は出さないように」
アニ「あんたが告白してきただけでしょ…」
アルミン「予定!!」
はぁ…とアニがやれやれというふうに溜め息をついている。
エレン(アルミンってこんなキャラだったのか……それより…)
ミカサ「みんな注文終わったみたいだからドリンクを持ってくる」
ジャン「じゃあ俺が…」
ミカサ「…エレン、手伝って欲しい」
エレン「俺?」
ミカサ「うん、行こう」
ジャン「な……なな…!!」
ジャン(どういうことだ…?!)
ドリンクを注ぎながらミカサが話しかけてきた。
ミカサ「……エレン、さっき私のこと忘れてたでしょ」
エレン「っ!」
図星だった。
が、名前を聞いてから今でははっきりと思い出せる。
エレン「お前…変わりすぎなんだよ」
ミカサ「エレンも、変わった」
エレン「別にいいよそういうのは、変わってないってのは自覚してるし、だからお前も分かったんだろ?」
ミカサ「ううん、変わった」
エレン「どこがだよ…」
ミカサ「大人の…男性になった」
エレン「!!」
自分の顔が一気に熱くなるのを感じる。
昔のミカサになら、きっと何を言われてもこんなことにはならなかった。
でも今の姿で言われるのはどうとも言い難い恥ずかしさがあった。
エレン(平然とそんなこと言いやがって…)
俺もミカサに「綺麗になった」なんて言えたら…
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- 8 : 2018/02/01(木) 18:44:17 :
- 面白いです!
期待してます(*´ω`*)
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- 9 : 2018/02/01(木) 22:11:25 :
- 期待です!
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- 10 : 2018/02/02(金) 00:54:37 :
- いやー良い!
この作品も良い!
上から目線みたいですんません笑
期待です!!!
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- 11 : 2018/02/02(金) 01:10:06 :
- >>8
こちらにも来ていただけて嬉しいです!
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- 12 : 2018/02/02(金) 01:10:29 :
- >>9
ここでも期待、ありがとうございます!
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- 13 : 2018/02/02(金) 01:11:04 :
- >>10
ありがとうございます!
どんどん言ってもらって構わないですよ笑
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- 14 : 2018/02/02(金) 02:06:23 :
席に戻ると、ジャンが「聞きたいことがあるんだが」と質問をしてきた。
ジャン「お前ミカサと知り合いだったのか?!」
エレン「ずっと前、小学生の頃の話だけどな」
アルミン「小学生の頃はエレンがよくこっちに来て三人で遊んでたんだ」
アニ「それは中学の時にミカサが言ってた、約束…とかにも関係してるの?」
ミカサ「そう…だけど、この話は人には言わないって約束した!」
アニ「ごめんごめん、でも内容は言ってないから大丈夫だって」
ミカサ「そうだけど…」
ジャン「ミカサの秘密…気になる…」
エレン「秘密…」
エレン(俺らが小学生の頃にした約束ってことか…?思い出せねぇ…)
気になり、アルミンにそっと耳打ちをする。
エレン(「なぁアルミン、その約束って覚えてるか?」)
アルミン(「僕の記憶では約束とかした覚えがないけど……」)
エレン(「忘れたってことか?」)
アルミン(「だからそもそも、した覚えがないんだって」)
アルミンは忘れたわけではなく、約束をしたことがないと言い張る。
エレン(つまり、俺とミカサが二人でした約束ってことか…?)
食事をしている間も、その約束がどんなものだったかを考えることで頭がいっぱいだった。
アルミン「じゃあまたね!」
エレン「おう!」
アニ「あれ、もうジャンがいないけど」
ミカサ「ジャンは次の電車に乗らないとと言って走っていった」
アニ「なるほどね」
アルミン「アニは僕が送って行くから」
アニ「別にいーよ…」
アニはそっけない態度を取ってもなんだかんだ言ってアルミンと一緒にいるようだ。
遠くなって行く二人を見送ってから俺たちも歩き出す。
ミカサ「エレンも歩きなの?」
エレン「ああ、近いからな」
ミカサ「じゃあ、前のエレンの家の近くとか?」
エレン「俺の家っていうか、じいちゃんの家だけどな…」
エレン「近くというか、じいちゃんの家をそのまま使ってるから場所は一緒だぞ」
ミカサ「ということは、家が近い!」
エレン「ミカサは引っ越したりとかしてないのか?」
ミカサ「うん、小学生の時と一緒」
エレン「じゃあ本当近いな」
ミカサ「うん…嬉しい」
ミカサの笑顔にまた釘付けになる。
正直言うと、俺は小学生の頃ミカサのことが好き、だったのだと思う。
ただ、その頃のミカサの行動や言動に対して心惹かれたことがあった訳でもないから、ただ単に守りたかっただけなのかもしれないが。
今のミカサのことをよく知らないから分からないが、なぜか今のミカサには前とは違う感情が入り混じっている、そんな気がしてならない。
ミカサ「…エレンは、あれから何かあった?」
エレン「何かって?」
ミカサ「例えば……彼女ができたり」
エレン「は、はぁ?!」
ミカサ「ご、ごめん……いきなり過ぎた…」
エレン「………別にいねーよ」
ミカサ「……え?」
エレン「いないって!前の高校でも女子とはそんな仲良くなかったし」
ミカサ「そ、そう…」
小さい声でミカサが「よかった…」と言っているのが微かに聞こえた。
エレン(なんだよ…良かったって…)
気がつくと、いつのまにか家の前に着いた。
エレン「じゃあ、また明日な」
ミカサ「あ!待ってエレン」
エレン「どした?」
ミカサ「その……私とライン交換しない?」
そう言って携帯を取り出し、俺の方に向けてくる。
エレン「なんだラインかよ、いいよ」
ミカサ「ありがとう!」
俺もポケットから携帯を取り出し、互いに連絡先を交換する。
エレン「よし、これでオッケーだな」
ミカサ「ありがとう、それじゃ私もそろそろ…」
エレン「……なぁ、ミカサ」
ミカサ「?」
エレン「明日から、さ……一緒に登校しないか?」
ミカサ「え…?」
エレン「あ!いや、ほら……俺こっち来たばっかだし…ミカサとは家も近いから…」
ミカサ「一緒に登校する!」
エレン「…いいのか?」
ミカサ「断る理由がない」
エレン「そ、そうか…」
ミカサ「じゃあまた後で連絡するね!」
手を振り、見えなくなるまで見届ける。
ただ惰性で過ごそうとしていた高校生活に、明らかな変化が生まれそうだった。
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- 15 : 2018/02/02(金) 02:35:10 :
カルラ「おかえり、遅かったわね」
エレン「飯もいらないって連絡しただろ?」
カルラ「でも何してたのかと思って」
エレン「クラスの奴らとファミレスに行ってた」
カルラ「あら、もう友達ができたの?」
エレン「……母さんは、ミカサとアルミンのこと覚えてるか?」
カルラ「もちろん覚えてるわよ!確かミカサちゃんは今でもこっちの方に住んでるって聞いたけど…」
エレン「アルミンが同じクラスだったんだ」
カルラ「良かったじゃない!」
エレン「それと多分別のクラスだけどミカサもいた」
カルラ「地元の高校に通ったのね、でもそんなに知り合いが多くて良かったわね」
エレン「……ああ」
エレン(素直に喜ばれるとなんかむず痒い……そーいやミカサは何組なんだろ)
風呂から上がり、ベッドに潜り込み携帯の画面を見る。
通知一件。
ミカサ「ミカサです、よろしく!」
早速ミカサからのラインが届いていた。
エレン「よろしくな!ところで、ミカサって何組だ?」
すぐに既読が付き、返信が来る。
ミカサ「Bだよ」
エレン「俺はAだから隣か!同じクラスじゃないのは残念だな」
ミカサ「私はエレンと同じ学校に通えるだけでも嬉しい」
ミカサ「エレンは、約束覚えてる?」
約束。
俺がファミレスでずっと考えていて、結局思い出せなかった約束。
エレン「ごめん…、実はどんな約束だったか覚えてなくて…」
ミカサ「ううん、大丈夫!覚えてなくても、果たしてくれたから」
エレン「果たした…?」
ミカサ「うん!私と最後に会った日に、エレンが言ってくれたこと…」
エレン(最後に会った日…)
それを聞き、徐々に記憶が鮮明になってくる。
確かあの日、俺はミカサと再会することを約束した。その内容は…
エレン「ここの高校に一緒に通おう…ってやつか?」
ミカサ「そうだよ!よく思い出せたね」
エレン「ミカサはずっと覚えてたんだろ?ごめんな」
ミカサ「うん、本当は覚えてて欲しかったんだから!」
その後にミカサが送ってきた、怒っている猫のスタンプがまるでミカサそっくりで、想像してしまい思わず笑いがこみ上げてきた。
ミカサ「エレンは、卒業後どうするの?」
エレン「俺そんなに頭良くないしな、就職かな…」
ミカサ「そっか…」
エレン「ミカサはどうするんだ?」
ミカサ「私は、大学に進んだ方がいいってお母さんが」
エレン「普通はそうだろうな…」
ミカサ「受験生になると勉強ばっかりで、せっかくエレンと同じ学校になれたのに遊べなくなってしまう…」
エレン「そこはちゃんと勉強しろよ!」
ミカサ「うん…」
しょぼん、とショックを受けている猫のスタンプ。
やはり、この猫はミカサに似ている。
エレン(俺も、本当はミカサともっと楽しいことはしたいけどな…)
俺の欲だけで、ミカサの未来を左右することになってしまってはいけない。
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- 16 : 2018/02/02(金) 08:34:53 :
- すごく期待ですよ!
頑張ってください!
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- 17 : 2018/02/02(金) 15:40:12 :
- 期待でーす
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- 18 : 2018/02/03(土) 00:46:49 :
- >>16
ありがとうございます!
頑張ります!
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- 19 : 2018/02/03(土) 00:47:01 :
- >>17
ありがとうございます!
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- 20 : 2018/02/03(土) 00:56:03 :
ピンポーン
朝、俺の家のチャイムが鳴る。
カルラ「あら、こんな朝早くから誰かしら」
エレン「ちょ…母さんは出なくていいから!」
カルラ「あんたは朝飯ちゃっちゃと食いなさい!」
カルラがドアを開けると目の前にはミカサが立っていた。
ミカサ「あ、おはよう…ございます」
カルラ「あら…もしかしてミカサちゃん?!」
ミカサ「おばさん、お久しぶりです」
カルラ「こんなに綺麗になって…!もしかしてエレンを迎えに?」
ミカサ「はい、エレンは?」
カルラ「まだ朝食を食べてるところよ、今呼んでくるわね」
エレン「もう準備できてるって!…たく、出なくていいっつたのに…」
カルラ「あんたが準備するのが遅いからでしょ!」
エレン「………」
ミカサ「それじゃあ…おばさん、また」
カルラ「いつでも遊びに来ていいからね、いってらっしゃい」
ミカサ「いってきます」
エレン「いってきまーす…」
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- 21 : 2018/02/03(土) 01:08:05 :
ミカサ「…さっきのやり取りを見てると昔を思い出す」
エレン「そりゃ変わってねーってことか?」
ミカサ「見た目は変わったけど、エレンはエレンなんだなと安心した」
エレン「なんだよそれ…」
ミカサ「私の中のエレンは……小学生の頃までだから…」
ミカサ「だから…今のエレンをもっと知りたいとも思ってる」
エレン「それって…」
俺がミカサと再会して感じたことと一緒だった。
根本的には何も変わっていないけど、今のミカサを知らないから、何が好きかとか、どんな学校生活を過ごしてきたのかとか知りたくなる。
エレン「そういえば!お前には聞き忘れてたな」
ミカサ「なにを?」
エレン「お前もその…彼氏とかいたりしないのかよ」
ミカサ「……気になるの?」
エレン「まぁそりゃ……聞かれたらこっちも気になるだろ」
ミカサ「………そう」
エレン「で、結局どうなんだよ」
ミカサ「…いない、でも…」
エレン「でも?」
ミカサ「少し前はいた」
エレン「そ…っか、お前が…告白したのか?」
ミカサ「違う、あっちから」
エレン「ふーん…」
驚きはしなかった。
俺も今のミカサを初めて見たとき、一目惚れしたかもしれないと錯覚するくらい、ミカサのことを綺麗だと思った。
ミカサを好くやつは少なくないとは考えていた。
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- 22 : 2018/02/03(土) 01:39:03 :
エレン「誰と付き合ったんだ」
ミカサ「名前を言ってもエレンは分からないと思うけど、一つ上の先輩だった」
エレン「てことは一年か二年の時か?」
ミカサ「去年のことだから二年の時」
エレン「何で別れたんだ?相手がもう卒業するからか?」
ミカサ「………さっきからエレンは質問ばかり…」
エレン「別にいいだろ、俺も今のミカサのこと知っておきたいんだよ」
ミカサ「これは今のことじゃないけど…、まぁいい」
ミカサ「別れたのは私のせい」
エレン「何でだ?」
ミカサ「私には…人を好きになるってことがよく分からないから」
エレン「……は?」
ミカサ「友達とか家族のことはみんな好き、だけど…それとは違うって言われた」
エレン「お前…それ本気で言ってるのか?」
ミカサ「恋愛感情における好きってことなのは分かる、けど…それがどういうものなのかがいまいち…」
エレン「つまり、判別できないってことか?」
ミカサ「判別というか……人を好きになったらどんな感じなんだろ…」
エレン「そりゃあ……人を好きになってみないと分からないだろ」
確かに、ミカサは昔からこういうことに疎かった覚えがある。
誰かを好きになったって話も聞いたことがないし、告白されても素っ気ないって話は何度もあった。
だけど、今もまだそうだったなんて…。
エレン「お前…告白されたら誰とでも付き合うとか、そんなことしてないよな?!」
ミカサ「いくらなんでもそんなことはしない!」
エレン「そ…そっか…そうだよな」
安心した反面、付き合っいた男がミカサにとって付き合ってもいいと思った男だったということに、胸の中がモヤモヤするものを感じた。
エレン「………なぁ」
ミカサ「なに?」
エレン「もし…もしだぞ、ジャンがお前に告白してきたら…どうする?」
ミカサ「なんでジャン?」
エレン「いいから!」
ミカサ「……分からないけど、ジャンはとても良い人だと思っている」
エレン「ジャンとは…仲良いのか?」
ミカサ「中学一年の頃から一緒だから、それなりには…」
エレン「中学?!」
エレン(てことは、アルミンの言ってた一年生の頃からって…中学一年のことだったのか?!)
だとしたらジャンもこの辺に住んでいるはず。
なのにジャンは昨日電車だと言った。
エレン「ジャンは引っ越しかなんかでもしたのか?」
ミカサ「うん、高校に入る前に少し遠くに。でも高校はここに入るって前から言ってたから」
エレン「そうだったのか…」
ミカサ「それからジャンとは…」
エレン「……….」
ミカサ「エレン…?」
話をしていて知ってしまった。
今の自分がミカサにとって、どれだけ小さい存在であるか。
俺とミカサが関わっていたのは、小学生の頃に俺がこっちに来た時にだけ遊んだとても少ない時間。
それに比べ、ジャンやアルミンはミカサともう何年も一緒過ごして来た。
今更俺が何かしたところで、ミカサの心を変えることはできないのだと。
エレン(せめて俺が、ちゃんとミカサとの約束を覚えていれば…)
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- 23 : 2018/02/03(土) 02:14:55 :
ジャン「お前……マジで言ってんのか?」
エレン「だから何度も言ってるだろ」
ジャン「本当に、協力してくれるのか?!」
エレン「何回言わせりゃ気が済むんだよ…」
ジャン「お前良い奴だな!今度なんか奢るわ!」
エレン「いやそんなんいいって…」
俺はミカサをどうにかしてやりたいと思った。
そして決めた。
少なからず、ミカサはジャンに対して良い印象を持っている。
それなら、俺はミカサのためにもジャンに協力すべきなのではないかと。
アルミン「エレンは……いいの?」
エレン「何で俺が…」
アルミン「だって…」
エレン「とにかくいいんだよ!」
アルミン「う…うん…」
俺は今のミカサのことなんて少しも知らないんだ。
エレン(だから…好きとかそういうのはない…)
???「あの人が噂の転校生…」
放課後になり、携帯が通知を知らせる。
ミカサ「今日も一緒に帰らない?」
ミカサからのラインだった。
正直一緒に帰りたいところだが、ジャンに協力をすると言った後でもあり、了承できるはずがない。
すると、もう一つの通知が届く。
アルミン「用事が何もなければでいいんだけど、会わせたい人がいるんだ」
アルミンからの通知だった。
用事が何もなければとは言っているが、俺はこっちを優先させることに決めた。
エレン「ごめん、用事あるから今日は帰れない」
ミカサ「じゃあ教室で待ってる」
エレン「遅くなるかもしれないから先帰っててくれ」
ミカサ「わかった……」
ミカサとのラインのやり取りを終え、アルミンに指定された場所へ向かう。
エレン「……広報部?」
アルミンに指定された場所は広報部の部室だった。
エレン「失礼します…」
アルミン「あ、エレン!大丈夫?用事とか無かった?」
エレン「それは大丈夫だ」
アルミン「それは良かった!こっちは無理やり頼まれたことだったからさ…」
エレン「無理やり?」
アルミン「そう…この子に…」
そう言ってアルミンが指を指したのは、小柄で金髪の可愛らしい少女だった。
クリスタ「はじめまして!エレン先輩、私広報部二年のクリスタって言います」
エレン「はじめまして…」
アルミン「クリスタがいきなり君に会いたいって言い出してさ…」
エレン「なんで俺に…?」
クリスタ「先輩のこと、書かせてもらおうと思いまして!」
エレン「俺のことを…書く?」
クリスタ「はい、広報部の広報誌に転校生エレン先輩の大まかなプロフィールなど!」
エレン「広報誌に俺のプロフィールを?!それはちょっと…」
クリスタ「ええ?!お願いしますよ…」
上目遣いで頼まれ、断りにくくなる。
エレン(この子……男が弱いことをわかってる…)
クリスタ「じゃあちょっと、アルミン先輩ここから出てってくれませんか?」
アルミン「ええ!なんで?」
クリスタ「いいから!」
アルミン「二人で何するつもりさ!」
クリスタ「何もしませんよ!ちょっと話すだけです!」
そう言ってアルミンを部室から追い出していく。
エレン(二人っきりかよ…)
クリスタ「エレン先輩…」
エレン「な…何…?」
クリスタ「エレン先輩って……」
エレン「………」
クリスタ「ミカサ先輩のこと、好きでしょ?」
エレン「はあ?!何でそうなるんだよ!!」
クリスタ「見てれば分かりますって!」
エレン「見てって…いつから?!」
クリスタ「転校してからずっとですよ、目つけてたんで」
エレン(この子本気だ…)
クリスタ「乗せさせてくれたら…協力してあげますよ?」
エレン「………」
それには全く乗り気がなかった。
なにせ俺は、ジャンに協力すると決めたのだから。
エレン「いやいい…」
クリスタ「………何でジャン先輩に協力するかは知りませんが…」
エレン「っ!そこまで…!」
クリスタ「エレン先輩…後悔するんじゃないですか?」
エレン「……しねーよ、俺はもう帰る」
クリスタ「ちょ……待ってくださいよ!」
部室を出ると、部室から「絶対諦めませんからねー!」と声が聞こえてきた。
エレン(俺はミカサが好きとか……そういうんじゃない…)
俺はミカサのことを、何も知らないんだから。
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- 24 : 2018/02/03(土) 11:57:57 :
- おおー!
期待です!!!
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- 25 : 2018/02/03(土) 20:52:10 :
- 期待です!
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- 26 : 2018/02/04(日) 00:35:37 :
- >>24
毎日来ていただいてありがとうございます!
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- 27 : 2018/02/04(日) 00:35:54 :
- >>25
いつも期待、ありがとうございます!
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- 30 : 2018/02/04(日) 02:27:03 :
- エレン(やべ…教室に忘れ物した…)
周りにクリスタがいないか様子を見ながら教室に戻る。
エレン「おい…嘘だろ…」
そこにはミカサの姿があった。
俺の席の机に突っ伏して寝ている。
エレン(なんでまだ帰ってないんだ…?しかも俺の教室に…)
エレン「おい、ミカサ」
ミカサ「ん…」
エレン「ミカサ、起きろ!」
ミカサ「あれ…エレン?」
エレン「お前、何でまだ帰ってないんだよ!しかも、何でこの教室に…」
ミカサ「…………エレンが忘れ物をしていないか心配で来た」
エレン「は…?なんでそうなるんだよ」
ミカサ「現に忘れ物があった」
そう言って渡してきたのは、課題が入っているファイルだった。
俺が取りに来た忘れ物だった。
エレン「それで…どうするつもりだったんだよ」
ミカサ「あったらエレンの家まで持って行こうと思っていた」
エレン「こんなことしなくていいよ、俺もちゃんと取り来たんだしよ…」
ミカサ「ダメ、昔もエレンはよく物事を忘れっぽかたし…」
エレン「今の俺と昔の俺は違うだろ!!」
ミカサ「エレン…?」
エレン「っ!…ごめん、いきなり怒鳴ったりして…」
ミカサ「ううん…平気」
エレン「でも、今と昔じゃ違うだろ…。お前は…今の俺のこと、何も知らないだろ」
こんなの八つ当たりだった。
自分の意見を勝手にミカサに押し付けようとしている。
エレン「お前は…俺のこと、何も知っちゃいないんだよ…」
ミカサ「だから…?」
エレン「は…?」
ミカサ「エレンのことを…知ろうと思っちゃいけないの?」
エレン「いや…だけど、ミカサだって長い時間一緒にいた人の方が自分のことをよく知ってるって思うだろ?!」
ミカサ「時間なんて関係ない!!」
エレン「!!」
ミカサ「確かに、エレンと同じ中学や高校だった人の方が、私よりずっと今のエレンを知っているかもしれない…」
ミカサ「だけど…私は小学生の時のエレンを知っている!」
ミカサ「昔のエレンを通して、今のエレンをより知ることだってできる!」
そして俺に渡したファイルを指差す。
ミカサ「それが証拠…」
エレン「お前…まさか…」
ミカサ「心配で来たというのは半分嘘、本当はエレンが今も忘れっぽいのか知りたかった…」
エレン「その為だけに、この教室に来たのか?」
ミカサ「私が他の人よりエレンのことを知らないって考えたら…悔しかったから」
エレン「っ!」
ミカサの言葉が、俺に変化をくれた。
俺はただミカサと共にいられなかった過去を、仕方がなかったと諦めた。
だけどミカサは、わずかな俺との過去を糧に今の俺を見ようとした。
今のミカサを知っている人に、頼ろうとしてしまった。
けど、それは間違いだった。
昔のミカサを知っているからこそ、俺にもできることがある。
エレン「ごめんミカサ、それと…ありがとう」
ミカサ「え…?」
エレン「お前は一生懸命、俺のことを知ろうとしてたのに、俺は何も…」
ミカサ「エレンが謝ることじゃない…」
エレン「……俺も、今のミカサのことを知りたいと思ってた」
エレン「だけど、長い時間を重ねた奴らには勝てないって諦めてた…」
エレン「でもそうじゃないよな、知りたいんだから仕方ねーよな…」
ミカサ「そう、仕方ない」
今のミカサを変えられるのは、今のミカサを知る人にしかできないと考えていた。
でも、それは違う。
俺はミカサが小学生の頃から恋愛に疎いことを知っている。
それを知っているからこそ、今のミカサが恋愛にどれだけ鈍感であるかを理解できる。
エレン(時間の差なんて関係ない…俺がミカサを変える)
エレン「じゃ、帰るか」
ミカサ「一緒に帰ってくれるの?」
エレン「もう俺も用事ねーし、当たり前だろ?ほら…」
ミカサに向け手を差し出す。
ミカサ「エレン…?」
エレン「寝起きだろ?フラついて階段から落ちたりしたら危ないだろ…」
ミカサ(本当は寝ていないから、寝起きでフラつくなんてことはあり得ないけど…)
ミカサ「うん…!」
エレンの手に触れたい、エレンと手を繋いで帰りたい、そう思った。
エレン「階段降りたら離すからな」
ミカサ「えー…」
エレン「ほら帰るぞ」
ミカサの手に触れる。
ミカサとどれだけ長い時間を過ごしたかなんて関係ない。
俺はミカサが好きだ。
-
- 31 : 2018/02/04(日) 02:27:38 :
クリスタ「………はぁ」
エレンとミカサが去って行くのを見て、隠していた身を出しため息をつく。
クリスタ(あれはエレン先輩がミカサ先輩への想いに向き合う覚悟を決めたってことでいいのかな…)
アニ「そこで何やってんだい?」
クリスタ「あ、アニ!アニこそ何を?」
アニ「私はたまたまクリスタが見えたから来ただけだよ、それでアンタの方は?」
クリスタ「ほら前に言った転校生、広報部の広報誌に載せたいと思って」
アニ「なんだ、てっきり狙ってるのかと思った」
クリスタ「アニいい加減私が男を片っ端からたぶらかすみたいな言い方やめてよ!」
アニ「事実だろ?」
クリスタ「事実じゃない!」
アニ「あそっか、弄ばれる方だったか…」
クリスタ「…いい加減怒るよ」
アニ「ごめんごめん、クリスタはいつも男を見る目がないからつい…」
クリスタ「だから狙ってるとかそういうんじゃ…」
アニ「違う、アンタはエレンに憧れてるんだ」
クリスタ「だからそんなこと…」
アニ「正確には、一途な男ってやつに」
クリスタ「っ!」
図星だったのかクリスタの動きが止まる。
アニ「でもそれならジャンも例外じゃないだろ」
クリスタ「ジャンは…初恋を実らせたいタイプなんだと思う…」
アニ「なるほど…」
アニ(ジャンは呼び捨てか…)
クリスタ「だけど、エレン先輩はミカサ先輩を一途に見つめてる、ミカサ先輩のために自分の心を犠牲にしようとまでした…」
アニ「でもそれがアンタには気に食わなかったんだろ?」
クリスタ「そうだね…、広報誌のネタで脅して、エレン先輩に気持ちを自覚させようとした…」
アニ「でも、もう大丈夫なように見えたよ、アンタがこれ以上エレン先輩を追う理由はない」
クリスタ「いや…」
アニ「?」
クリスタ「広報誌には絶対エレン先輩を載っけてやるんだから!!」
アニ「………」
アニ(この子、広報部のことになるとたまに熱くなるな…)
クリスタ「だからアニも協力して!!」
アニ「私は広報部じゃないのに…」
アルミン「……あれ?僕もしかして忘れられてる…?」
-
- 32 : 2018/02/04(日) 02:31:34 :
- 名無しで投稿してしまった為、修正しました
番号がズレているのはそのせいなので気にしないで下さい
-
- 33 : 2018/02/04(日) 11:50:01 :
- 期待ですぅぅぅぅ!
ミカサ嬉しそう!
-
- 34 : 2018/02/04(日) 14:37:36 :
- 期待ですー!!!
-
- 35 : 2018/02/04(日) 14:50:28 :
- 期待ぃい!
-
- 36 : 2018/02/05(月) 02:05:36 :
- >>33
そう見えて良かったです!
ありがとうございます!
-
- 37 : 2018/02/05(月) 02:05:47 :
- >>34
ありがとうございます!
-
- 38 : 2018/02/05(月) 02:05:59 :
- >>35
ありがとうございます!
-
- 39 : 2018/02/05(月) 03:07:40 :
エレン「ジャン、やっぱ昨日の話はナシだ」
翌日、俺はジャンと改めて話すことにした。
ジャン「おい!なんでだよ…」
エレン「いや、昨日ミカサと手を繋いで改めて気づちまったんだよ」
エレン「…俺もミカサが好きだってな」
ジャン「手を繋いだって?!ていうかなんで…?」
エレン「そのまんまの意味だよ、だから協力なんてしない」
ジャン「にしても…わざわざ俺に言うとは、いい度胸してんじゃねーか」
エレン「別にコソコソやるつもりはねーからな」
ジャン「じゃあどっちがミカサと付き合えるか、やってやろうじゃんか」
エレン「…いや、俺の目標はミカサと付き合うことじゃない」
ジャン「はぁ?でもさっき、お前も好きだって…」
エレン「ああ、好きだ。だかさこそ、俺の目標は……ミカサに好きになってもらうことだ」
ジャン「いや……そんなの無茶だろ…」
エレン「付き合うだけなら、他の奴もしたことあるだろ」
ジャン「ミカサは好きでもない奴と付き合ってた、って言いたいのか?」
エレン「そうだ」
ジャン「んなこと…ミカサがするわけないだろ!」
エレン「これが事実だ、あいつ自身が話してたことだ」
ジャン「………」
エレン「だから、俺はミカサを変えるんだ」
ジャン「……俺だって!」
アルミン「やっとジャンも本気になったのか…」
エレン「アルミン?!いつのまに…」
アルミン「たまたま通りかかっただけさ、まずかったかな?」
エレン「いや、お前にも話そうと思ってたからいいよ」
アルミン「良かった」
ジャン「でも、俺もこれでようやく踏ん切りがついた…」
アルミン「……そうみたいだね」
アルミン(僕も、このままじゃいけないのかもしれない…)
エレン「ミカサ、待ったか?」
ミカサ「ううん、私もさっき終わったとこ」
教室を出ると、廊下にはすでにミカサが待っていた。
エレン「じゃ、帰りますか」
ミカサ「うん」
ミカサ「ねぇ、エレン」
エレン「ん?」
ミカサ「向こうの学校では、好きな人とかいた?」
エレン「なんでそんなこと…」
ミカサ「知りたいと思ったから」
エレン「………」
俺の気持ちなんて知らず、ミカサは平然とこんなことを言ってくる。
エレン「いたと思うけど、もう忘れたくらいだ」
ミカサ「そう、なんだ…」
エレン「…俺からも聞きたいことがある」
ミカサ「なに?」
エレン「ミカサは付き合ってた頃…相手にどこまでされた?」
ミカサ「え…?」
自分でもなにを聞いてるんだって思う。
けど、知りたかった。
エレン(元カレにどんだけ敵意ありまくりなんだって……)
ミカサ「どこまでって……」
エレン「あ、いや、無理に答えてもらわなくてもいいんだけど…」
ミカサ「エレンの言っていることがよく分からないけど、相手にされたというなら手を繋がれたことしか…」
エレン「手……?」
ミカサ「うん」
エレン(そんなの……小学生レベルだろ…)
きっとミカサが素っ気ない態度を取っていたのと、全く乗ってくれないことで相手もなにもすることができなかったのだろう。
それを聞き一安心する。
それと同時に、俺がミカサの中で一番でありたいという欲が出る。
エレン「ミカサ」
ミカサ「なに?」
エレン「……抱きしめても、いいか?」
ミカサ「!!」
明らかに驚きの表情を見せる。
ミカサなら、「なんで?」と意味がわからないくらい言ってくるかと思ったのに。
エレン「すまん!今のナシ!突然過ぎた…」
ミカサ「そんなことは……たしかに驚いたけど…」
エレン「そうだよな…」
ミカサ「エレンになら…………抱きしめられてもいい…」
ミカサは真っ赤にした顔を隠しながら、語尾が消えてしまいそうなくらい小さい声でそう言った。
エレン「……いいのか?」
ミカサ「……うん」
最初は壊れ物のように優しく触れ、後に優しく、強く抱きしめた。
ミカサの身体は柔らかく、腕の中にしっかり収まるほど細かった。
ミカサが俺の中にいる。
そんな錯覚にまで襲われた。
するとミカサも俺の背中に両手を添え、互いに抱きしめ合うかたちになった。
ミカサ「エレン…あったかい…」
エレン「そりゃ…生きてるからな」
ミカサ「違う……昔から、エレンはあたたかい…」
ミカサ「昔から……優しさで包み込んでくれた…」
ミカサの言葉に深い意味はないだろう。
俺もミカサに、同じ気持ちを抱いていたから。
-
- 40 : 2018/02/05(月) 03:44:50 :
いつまでそうしていただろう。
大した時間は経っていないようだが、俺たちには長い時間そうしていたような気がした。
???「おーい!」
触れていた身体を離すと、後ろの車に乗る人物から声を掛けられた。
???「あら、もしかして……エレン君?」
エレン「……あっ!もしかして…」
ミカサ「お母さん!」
ミカサ母「久しぶりね、こんなに大きくなって…」
エレン「お久しぶりです…おばさん」
ミカサ「お母さんがどうしてここに?」
ミカサ母「どうしても何も、たまたま二人を見かけたから声をかけただけよ」
エレン「まさか……」
ミカサ「見られて…」
抱きしめていたところを見られたのではないかと察した俺たちに対し、ミカサの母は意味深な笑顔を向けた。
ミカサ母「とりあえず、エレン君も乗る?」
車に乗り、着いたのはもちろん俺の家ではなく、ミカサの家だった。
エレン「……懐かしい」
ミカサ「まさか、エレンがまたうちに来るとは思わなかった…」
ミカサ母「どうぞ、上がって」
エレン「おじゃま…します」
ミカサ「そんなに固くならなくても、昔の感じでいい」
エレン「いや、そんな訳にはいかないだろ…」
席に座り、テーブルに出されたお茶を口にする。
ミカサは荷物を置いてくると言って自分の部屋へと行ってしまった。
つまり、ミカサの母と二人きり。
ミカサ母「……エレン君」
エレン「は…はい」
ミカサ母「もしかして……ミカサと付き合ってるの?」
エレン「え…いや、違います!」
ミカサ母「そうよね、転校してきたばかりと聞いてたし、いくらなんでもね…」
ミカサ母「でも、あれはなんだったのかしら」
エレン「あれ…とは?」
まだ見られていないという希望を持って、確認を取るが、
ミカサ母「何でミカサのこと抱きしめていたのかしら…」
エレン「やっぱり……見えて…」
ミカサ母「どうしてなの?」
エレン「あれは…………ただのスキンシップです」
ミカサ母「今の高校生はみんな、あんなスキンシップの取り方をするのかしら」
エレン「いや……それは……」
ミカサ母「本当はどうなの?」
エレン「………付き合ってはいません…ただ」
ミカサ母「ただ?」
エレン「俺の………片想いです」
エレン「でもやましい気持ちがあったわけではなく…!ただ単純に…その…」
ミカサ母「ふふ…」
エレン「へ…?」
ミカサ母「エレン君からかうと面白いわ!」
エレン「か…からかってたんですか?!」
ミカサ母「でも本当のことを知りたかったのも本当、でも……エレン君がミカサをね…」
エレン「ミカサには…その…」
ミカサ母「言わないわよ」
エレン「でも……いいんですか?」
ミカサ母「わざわざ高校生の恋愛にまで口出ししないわよ、ただ…」
ミカサ母「あんな目立つところでせず、もう少し公然をわきまえた交際をして欲しいわ」
エレン「すみません…」
エレン(確かに……今思うと、あんな目立つところで抱きしめて……)
ミカサ母「それに…」
エレン「?」
ミカサ母「エレン君なら、安心ね」
エレン「え…?」
エレン(それって……)
俺はミカサの母さんに認められてるって考えてもいいってことなのだろうか。
ミカサ「もう帰っちゃうの?」
エレン「ああ、おばさんに少し絞られに来ただけだからな…」
ミカサ「そっか…」
落ち込むミカサを見て、その頭を軽く撫でてやる。
エレン「あとでラインするから」
ミカサ「……うん、また家にも来てね」
エレン「ああ」
色々あったが、腕の中にはまだミカサの温もりが残っている気がした。
カルラ「おかえり」
エレン「ただいま…」
カルラ「エレン聞いたわよ!」
エレン「?」
カルラ「あんた……ミカサちゃんのこと、好きなんだって?」
エレン「なっ…!!」
ミカサの母さんが言った、安心できるとはこのことだったのかもしれない…。
-
- 41 : 2018/02/05(月) 18:55:39 :
- 期待です!
-
- 43 : 2018/02/05(月) 20:46:47 :
- めっちゃ良い!!
期待です!!!
-
- 44 : 2018/02/05(月) 23:10:10 :
- いつの間にか春風さんの新作が!?期待です!!
-
- 45 : 2018/02/05(月) 23:55:51 :
- >>41
ありがとうございます!
-
- 46 : 2018/02/05(月) 23:56:42 :
- >>43
そう言っていただけると、とても嬉しいです!
-
- 47 : 2018/02/05(月) 23:57:25 :
- >>44
見に来て下さってとても嬉しいです!
ありがとうございます!
-
- 48 : 2018/02/06(火) 00:37:00 :
今日ミカサを抱きしめて分かった。
ミカサは、異性とのスキンシップに対してはそれなりの羞恥心は持っているが(持っていなかったら困るが…)、やはり俺に対しては恋愛的な感情は抱いていない様子だった。
むしろ、兄や弟を抱きしめるような感じに近いかもしれない。
俺と平然と帰っているところを見ても、ミカサにはそもそも友達はいるのか?
エレン「おーい」
ラインでミカサに呼びかけてみる。
ミカサ「なに?」
エレン「もう大丈夫か?」
ミカサ「うん、話せるよ」
エレン「いきなりだけどさ、ミカサって仲良い友達とかいるのか?」
ミカサ「エレン……とか?」
エレン「いやいや!俺以外で!」
ミカサ「んー…アルミンとかアニ…ジャンとも少しは話すかな…」
エレン「女友達はアニだけか?」
ミカサ「あまり他の人とは話さない」
エレン「なんで?!」
ミカサ「話しかけられないし、話しかけづらい…」
エレン「じゃあ、アニとジャンとはどうやって?」
ミカサ「アルミンと仲が良かったから」
エレン(そういうことか!つまり、ミカサはアルミンしか友達がいなくて、その周辺でしか知り合いがいない…)
エレン「お前、それでいいのかよ」
ミカサ「他の人と無理に話し合わせるのは疲れるし…」
エレン(マジかよ……ミカサの人間関係がこんなにも酷いとは思わなかった…)
エレン「それでよく、告白されたな…」
ミカサ「告白はよくされる」
エレン「そうなのか?!じゃあ付き合った回数も…?」
ミカサ「付き合ったのは前に言った人だけ」
エレン「なんでその人とは?」
ミカサ「たまたま気が合っただけ、エレンは元カレのことばかり聞いてくる…」
エレン「っ!すまん…」
ミカサ「たまには私のことも聞いてほしい」
エレン「そうだな…今度からそうする」
ミカサ「私もエレンのこといっぱい聞くから」
エレン「おう」
確かに元カレに対抗心を燃やしてばかりで、ミカサに目を向けてやれてなかったのかもしれない。
しかし、まずはミカサの人間関係の改善を図ることが大事かもしれない。
でも、そしたらミカサは俺の元から離れていくかもしれない。
エレン(いいや、ダメだ!)
そんなことを考えてはいけない。
ミカサの心を変えていくためには、周りの人とのコミュニケーションが重要になっていくはず。
そこから先は、俺自身の力で。
エレン「ミカサはもっと人とコミュニケーションを取るべきだ」
朝、ミカサにかけた第一声がこれだった。
エレン「ミカサの考え方はなんつーか……柔軟性が足りない気がするんだよ」
ミカサ「考え方の柔軟性…?」
エレン「そう、だから色んな人と関わるべきだ」
ミカサ「そう言われても…」
エレン「俺だけとばかりいても何も変わらないだろ」
ミカサ「エレンは…私といるのが嫌、ということ…?」
エレン「あ…いや、そういうわけじゃないんだけど…」
エレン(そんな泣き出しそうな顔で言わないでくれ…!)
ミカサ「エレンがそこまで言うなら…」
ミカサ「でも私、エレンが来てからよくクラスの子に話しかけられるようになった」
エレン「は…?」
ミカサ「お出かけにも誘われた」
エレン「それで…?」
ミカサ「断った」
エレン「何でだよ!?」
ミカサ「エレンがいたし…」
エレン「俺のことはいいから行ってこいよ!」
ミカサ「………」
エレン「いいな?」
ミカサ「……うん」
周りの女子との会話に混ざれれば、恋愛感情についても理解が深まっていくはず…!
-
- 49 : 2018/02/06(火) 01:04:42 :
-
ミーナ「いい加減教えてよ!あの転校生君とはどんな関係なの?」
エレンが転校して来てから、ミカサが質問される内容はほとんどがコレだった。
ハンナ「毎日登下校してるみたいだし!」
ミカサ「エレンとは……小学生の頃からの友達」
エレンに朝、コミュニケーションを取れと言われたので、取り敢えず応える。
しかし、それのなにがいけなかったのか二人が残念そうにする。
ミカサ(本当に、コミュニケーションとは分からない…)
アニとは似たようなタイプだったのですぐに打ち解けたが、この二人は明らかに逆のタイプと見えた。
ミーナ「付き合ってるんじゃないの?」
ハンナ「彼氏じゃないの?」
ミカサ「だからエレンは大切な友達」
ミーナ「じゃあミカサは好きなの?」
ミカサ「好きとか…そういうのは分からない…」
ハンナ「あっちに恋人ができたりしたら嫌だ、とか」
ミカサ「そんなことはない、むしろ喜ばしいこと…かも」
ハンナ「そうなんだ…でも丁度良かった!」
ミカサ「え…?」
ハンナ「ねぇ、今度私たち隣町までショッピングに行くんだけど一緒に行かない?」
ミーナ「行こうよミカサ!」
ミカサ「うーん…」
いつもなら絶対に断っていた誘いだろう。
しかし、今日は朝からエレンに何度も言われたこともあり、渋々誘いを受けることにした。
ミーナ「やったー!じゃあライン、交換しよ!」
ミカサ「う、うん」
ハンナ「私も!」
ラインに同い年の女の子の連絡先が入るのは、アニ以外で初めてだ。
いつもは避けていたことだったが、こうして話してみると少し楽しみかもしれない。
アニ「………」
クリスタ「え?!ミカサ先輩があの二人の誘いを受けた?」
アニ「ああ、さっき話し声が聞こえてね」
クリスタ「それって……」
アニ「ミカサのことだからきっと分からずに誘いに乗っちまったんだろうね…」
クリスタ「友達として止めてあげなくていいんですか?アニ先輩」
アニ「アンタに敬語使われると気持ち悪いよ……まぁミカサにはいい経験になるかと思って」
クリスタ「うーん、ミカサ先輩大丈夫かな…」
アニ「そんなに心配ならアンタが止まればいいじゃん」
クリスタ「私ミカサ先輩とあまり話したことないし……話しづらい」
アニ「へー、アンタに話しづらい人がいるとはね」
クリスタ「ミカサ先輩みたいなタイプは少し苦手で…」
アニ「私も似たようなものだと思うけど」
クリスタ「アルミン先輩がいたから!」
アニ「あっそ……でも、ミカサも大分話しやすくなったとは思うけどね…」
ミカサ「今日、クラスの女子二人と今度出かける約束をした」
エレン「良かったじゃねーか!」
ミカサ「うん…」
ミカサが嬉しそうだったのでこちらも思わず嬉しくなる。
なんだかんだ言って、やっぱりミカサも同い年の女の子と遊んだりしたいんだろうと感じた。
ミカサ「でも大丈夫」
エレン「何が」
ミカサ「ちゃんと、エレンとも一緒にいられる時間は作る」
エレン「………」
いつもミカサは無自覚にこんなことを言う。
その度、戸惑うこっちの身にもなってほしいものだ。
エレン「……俺のことは気にしないで思いっきり楽しんでこい」
ミカサ「うん!」
エレン「まぁ何か困ったことがあれば、連絡くれりゃアドバイスでも何でもしてやるよ」
ミカサ「ありがとう…」
-
- 50 : 2018/02/06(火) 01:33:36 :
エレン「……今日はミカサが遊び行く日か」
ミカサのことだから心配で仕方がないが、取り敢えず良い方向に向いてくれることを祈る。
エレン(そういえば俺、こっち戻ってきてからミカサの私服姿見たことないな…)
そんなことを考えながらふと携帯に目を向けると通知があることに気づく。
アルミン「今日カラオケに行かない?ジャンも一緒なんだけど」
エレン「カラオケか、行くよ」
送ってもらった場所に着くと、カラオケとその前に立つ二人の姿が見えた。
アルミン「おーい!エレン!」
ジャン「おせーぞ、お前」
エレン「俺ここ初めてだから仕方ねーだろ」
ジャン「まぁいいや、入ろうぜ」
狭い部屋のソファーに三人で座り、ジャンが早速曲を選び始める。
エレン「それよりなんでカラオケなんだ?」
アルミン「今日僕もジャンも暇だったからさ、それでどっか行こうって話になったんだけど」
ジャン「あんま遠くに行くのもあれだと思ってさ」
アルミン「それでカラオケに落ち着いたんだ」
エレン「なるほどね」
エレン(しかし、カラオケなんて久しぶりだし何歌えば…)
ジャン「よーし!じゃあ俺一番行くぜ!」
エレン「なんだよお前、アニソンじゃねーか」
ジャン「有名な歌だからいいだろ別に!」
アルミン「まぁまぁ、盛り上がる曲だからいいと思うよ」
そう言ってアルミンが抑え、ジャンは妙に熱く歌う。
女子もいないし、無駄にカッコつける理由もないのだろう。
エレン(そういえば、あまり考えたことなかったけど、アルミンならあのことを知ってるんじゃ…)
エレン「なぁアルミン」
アルミン「なに?」
エレン「ミカサの元「囚われ〜た〜く〜つじょく〜わ〜」
アルミン「なーにー?聞こえないよ?」
エレン「だから…ミ「イェェェガァァァ!!」
エレン(ダメだ…うるさくて全然聞こえてなさそうだ、この後長ったらしい間奏があったはずだからそこで聞くか)
間奏
エレン「ミカサの元カレについて教えてほしいんだ」
アルミン「ミカサの元カレ?」
エレン「ああ」
アルミン「うーん…強いて言えば、校内最強…かな」
エレン「は…?校内最強…?」
アルミン「うん…」
エレン「なんだそりゃ、番長か何かか?」
アルミン「まぁ……そんなところかもしれない」
エレン「そんな人が、この高校にいたのか?」
アルミン「うん、でも話してみると結構優しい人で、ミカサも気が合っているように見えたよ」
エレン(とてもこの高校……そんな人がいるようには見えないのに…)
アルミン「先輩だからもう大学に行ってるけど、ミカサが第一志望に出してる大学はその大学なんだ」
エレン「なっ…!」
そういえばミカサは、別れたのは自分のせいだと前に言っていた。
ミカサの相手への想いは、ミカサが自覚していないだけで本当の想いだったのかもしれない。
エレン(ミカサはその人を……追っているのか?)
-
- 51 : 2018/02/06(火) 16:11:17 :
- 期待です!
-
- 52 : 2018/02/06(火) 19:19:23 :
- 続き気になるーー
期待です!!!
-
- 53 : 2018/02/07(水) 00:43:36 :
- >>51
いつもありがとうございます!
-
- 54 : 2018/02/07(水) 00:44:20 :
- >>52
いつもありがとうございます!
-
- 55 : 2018/02/07(水) 01:33:36 :
アルミン「そんなことより、今日はミカサとは何も約束とかしなかったのかい?」
エレン「ああ、あいつクラスの友達と遊び行くらしい」
アルミン「ミカサがクラスの子と!?誰か聞いた…?」
エレン「何て言ったっけな……ミーナとハンナ…?」
アルミン「え!ミーナとハンナだって!?」
エレン「そうだけど……アルミン、どうしたんだ?」
アルミン「その二人……校内では合コンで遊びまくってるとかで有名なんだ」
エレン「ご…合コン!?でもミカサは三人で遊ぶって…」
アルミン「きっと二人が黙ってたんだ」
ジャン「おいおい、ミカサが合コンだって?!」
アルミン「かもしれないってだけだよ…」
ジャン「それでミカサが………でもミカサは話せねぇからそんなことはないか」
エレン「そういう問題じゃないだろ!」
ジャン「へ…?」
エレン「ミカサ、今日のこと楽しみにしてたんだぞ……それで何も話せなかったとかなったらあいつ…」
その時、俺の携帯の着信音が鳴る。
相手はミカサだった。
エレン「ミカサか!?どうした?」
ミカサ「エレン……」
ミカサは今にも泣き出しそうな声で話す。
ミカサ「助けて…」
エレン「!!」
その言葉を聞き、すぐに荷物をまとめ部屋を出た。
アルミン「エレン!?」
ジャン「てめぇどこ行く!」
エレン「ミカサの所だ!!」
それだけを言い残しカラオケを出る。
エレン「ミカサ!取り敢えず今どこにいるか教えてもらえないか?」
ミカサ「えと……○○のカラオケ、今は外に…」
エレン「わかった!今行く!」
電車の時間ならまだ間に合うはず。
俺は駅まで全速力で走った。
なぜミカサが俺に助けを求めたのか。
それは今から1時間ほど前まで遡る。
ミカサ(なんで…こんなことに…)
ミーナ「先輩!何から歌いますか?」
エルド「えーっと、どうしようかな」
ハンナ「私もどうしようかな…」
グンタ「これとかどう?最近の子、好きでしょ」
ミーナ「ほらほら!ミカサも、話しかけてきなよ……リヴァイ先輩に」
最初、私たちは三人で遊ぶものかと思っていた。
しかし、途中から集合場所を離れ、まさかのカラオケと…合コン?というやつに連れてこられてしまった。
しかも相手が大学の先輩、そしてあの人、元カレがいるとは思いもしなかった…。
ミカサ「………」
リヴァイ「……久しぶりだな」
黙っているとあちらの方から声をかけてきた。
リヴァイ「まさか、あの根暗野郎が合コンなんかに来るとは思わなかったぞ」
ミカサ「……勝手に連れてこられただけです。それに、先輩もこういう所には来なそうですけど…」
リヴァイ「俺もただの人数合わせだ、お互い同じ立場ってわけだ」
ミカサ「………私、帰ります」
リヴァイ「まぁそう焦るな、話くらい付き合ってくれてもいいだろ」
ミカサ「………」
断れなかった。
私は前からこの人には、どんなものも敵わなかった。
私はあの時、あの一言で……。
リヴァイ「お前、まだ第一志望は変わってないのか?」
ミカサ「はい…」
リヴァイ「そうか、先輩から言えばここは悪くない」
ミカサ「………」
リヴァイ「それよりお前、前より表情が明るくなったか?」
ミカサ「分かりません…」
リヴァイ「いくら連れて来られたとはいえ、クラスの奴らの誘いに乗って来たり…」
ミカサ「………」
リヴァイ「今のお前なら…」
ミカサ「先輩!」
ミカサ「私が前に話したこと、覚えてますか?」
リヴァイ「………」
ミカサ「私にはもう…決めたことがあるんです、だから…」
リヴァイ「…俺もお前に話したことがあるよな」
ミカサ「え…?」
リヴァイ「"俺とお前は同じだ"って…」
ミカサ「!!」
リヴァイ「だから…」
ミカサ「違う!!」
私が突然叫び、騒がしかった部屋は一気に静まり返る。
ミカサ「私とあなたは……違う…」
ミーナ「ちょ…ミカサ、どうしたの?」
ミカサ「来ないで!!」
ミーナ「っ!」
ミカサ「あ……」
周りの視線、リヴァイの存在、全てが嫌になり部屋を飛び出す。
携帯をカバンから取り出し、電話をかける。
私の唯一の温もり。
ミカサ「エレン……助けて…」
-
- 56 : 2018/02/07(水) 02:08:07 :
-
エレン「ミカサ!!」
ミカサ「……エレン」
泣いてはいないようだったが、目元が赤くついさっきまでは泣いていたことが分かる。
落ち着ける場所まで行き、事情を聞くことにした。
エレン「なにがあったんだ?」
ミカサ「………あの人に、会った」
エレン「あの人って?」
ミカサ「……リヴァイ先輩、私の前の彼氏」
エレン「リヴァイ…先輩、もしかして大学生との合コンだったのか?」
ミカサ「うん…」
エレン「あいつら…」
後であの二人には何か言ってやらないと気が済みそうにない。
エレン「それで、その先輩に何か言われたのか?」
ミカサ「言われた…けど…」
エレン「けど?」
ミカサ「怖くなってしまった…」
エレン「怖い…?まさか、何か脅されてるのか!?」
ミカサ「そんなことはない……だけど、あの人の言うことを信じてしまったら…私は…」
エレン「………」
ミカサの言っていることが一体なんなのかは分からない。
ただ、目の前の女の子が泣く姿を見て何も言ってやれない自分に苛立ちを覚える。
エレン「…ミカサ」
ミカサ「!!」
何かを言ってやらなくても、行動することはできる。
俺はミカサの身体を優しく抱きしめた。
エレン「…昔俺が泣いた時は、ミカサがこうやってくれたよな」
ミカサ「うん……最近はもう逆になってしまった」
エレン「当たり前だろ…」
ミカサ「エレン」
エレン「ん?」
ミカサ「私、この先何があっても、この想いだけは忘れないよ」
エレン「……ああ」
ミカサが今どんな想いを抱いているかは分からないが、ミカサにとってはとても大事な想いに違いない。
エレン「もう大丈夫か?」
ミカサ「うん、エレンがずっと抱きしめてくれたから」
エレン「そ、そうか…」
なんで俺はいつも、知らないうちに積極的な行動をしているのだろう。
エレン「じゃあ帰るか」
ミカサ「あの…エレン」
エレン「どうした?」
ミカサ「今度は、エレンと一緒にカラオケに行きたい」
エレン「カラオケ…か、ミカサまだ時間あるか?」
ミカサ「え?うん」
エレン「多分アルミンとジャンがまだカラオケに行ってるはずなんだけどさ、一緒に行くか?」
ミカサ「行く!」
エレン「よし決まりだな!早速あいつらと連絡取ってみるわ」
ミカサ「うん!ありがとう」
アルミンからの承諾の返事が来たので、二人でカラオケに向かった。
そんな俺たちのやり取りを、リヴァイはずっと見ていた。
リヴァイ「あれがエレン…か、可哀想な奴だな」
その後の四人でのカラオケは盛り上がった。
ジャンも突出して上手かったが、ミカサの美声は比にならなかった。
今日のことを帰ってからも、ミカサとラインで語り合っていた。
ミカサ「またみんなでカラオケ行きたいな」
エレン「そうだな」
寝るまで、ミカサの歌声が頭から離れることはなかった。
ミカサ「エレン…」
エレン「ミカサ…?」
ミカサ「私はエレンのことが……き」
エレン「?今なんて言ったんだ」
ミカサ「でも、もう……」
エレン「おい…ミカサ…?」
カルラ「エレン起きなさい!!」
エレン「!!あれ…ミカサは?」
カルラ「何言ってんのよ!朝食できてるわよ!」
エレン「あ…ああ」
カルラは「夢にまで…」と何かブツブツ言いながら去って行く。
エレン(夢…だったのか)
-
- 57 : 2018/02/07(水) 10:50:25 :
- 続き気になるーー!!
リヴァイ気になるーー!!
-
- 58 : 2018/02/07(水) 15:47:33 :
- 期待です!
ミカサなんか秘密がありそう!
-
- 59 : 2018/02/08(木) 01:18:01 :
- >>57
ありがとうございます!
最後まで是非!
-
- 60 : 2018/02/08(木) 01:18:32 :
- >>58
ありがとうございます!
何でしょうね…
-
- 61 : 2018/02/08(木) 02:11:44 :
「俺とお前は同じだ…」
その言葉は私の中から消えることがない。
そんなことは信じたくない、言っていることは全部嘘だと信じたい。
けど、全てが真実だと信じざるを得ない状況が何度も続いた。
それでも…
朝起きると高熱で身体が重く、とても学校に行けるようなものではなかった。
ミカサ母「今日は休みなさい」
ミカサ「うん…」
なんとか携帯を取り、エレンにラインを送る。
ミカサ「ごめんなさい、今日は学校に行けそうにない」
エレン「どうした?大丈夫か?」
ミカサ「少し熱が出てしまっただけ、すぐ治る」
エレン「そうか、学校終わったら見舞いに行くよ」
ミカサ「ありがとう、待ってる」
携帯を置くと、起きたばかりのはずなのに急に眠気が来て目を閉じる。
ミカサ(エレン…)
この想いは何なのだろう。
アルミン「エレン、今日もどこか行く?」
放課後になり、アルミンがいつものように誘ってくる。
エレン「悪い、今日はミカサの様子見に行こうと思って」
ジャン「それなら俺も!」
アルミン「皆が行くなら僕だって…」
エレン「おい、大勢で病人の部屋行くと迷惑だろ、二人でどっか遊んでこい」
ジャン「それもそうだな」
アルミン「そうだね、エレンまた明日」
エレン「おう、またな」
今日は一度もミカサに会えていない。
だからミカサに会いたくて仕方がない。
急いで階段を下り、校門を出たその時、誰かに急に肩を掴まれ止まる。
エレン「おわ!?」
リヴァイ「おい…お前、エレンだよな」
エレン「え…誰…」
制服は着ていなく、身長は俺より低いがさっきの肩を掴んだ力といい只者では無さそうだった。
そして確信した。
エレン「もしかして…リヴァイ先輩ですか…?」
リヴァイ「ミカサのことで話したいことがある、時間がねぇ、さっさとついてこい」
エレン「え…ちょっと…」
抵抗する暇もなく、近くのカフェまで引っ張られていった。
エレン「話したいことって何ですか?」
奢ってもらったコーヒーを口にして問う。
リヴァイ「お前、ミカサから俺のことはどの程度聞いてる」
エレン「元カレってことくらいしか…」
リヴァイ「そうか…」
エレン「それで話って…」
リヴァイ「そう慌てんじゃねぇ」
エレン(さっき時間がないって…)
リヴァイ「今日はあいつがいなくて助かった、お陰でお前に昔話ができる」
エレン「昔話…?」
リヴァイ「あいつがいたら絶対に止められただろうからな……俺とミカサがどう知り合い、何で付き合ったかって話だ」
エレン「それを…何で俺に?」
リヴァイ「あいつの一番近くにいるお前が一番聞くべきだからだ」
エレン「それってどういう…」
リヴァイ「まぁ質問は聞いてからにしてくれ」
-
- 62 : 2018/02/08(木) 03:01:19 :
ある時を境に、俺の周りにいる奴等は変わってしまった。
それまで俺は誰かに興味を持つこともなく、友人関係は良好では無かった。
しかし、ある時から俺が何をしたわけでもなく、突然クラスの奴等が声をかけてくるようになった。
理由もなく人に好かれたんだ。
遊びに誘われ、連絡先を聞かれ、ある者は告白までしてきた。
そして、今まで誰にも興味を持たなかった俺に好意を寄せる相手ができた。
しかし、それは全て紛い物だった。
俺の中の"何か"がそれを引き起こしていた。
それがなんなのかは分からないが、その"何か"は、俺の想いも、周りの想いすらもコントロールしてしまったんだ。
偽物の友情。
偽物の恋。
全てが偽りだと知った時、俺は人も、自分の想いすらも信じないようにすると決めた。
しかし、俺は出会ってしまったんだ。
俺と同じ人に。
エレン「それがミカサだって言うんですか!?」
リヴァイ「そうだ」
エレン「待ってくださいよ、そもそもミカサは友達がいないんですよ?」
リヴァイ「ああ、俺もいないしな」
エレン「でもさっき、周りに好かれるって…」
リヴァイ「好かれるのは事実だ、現にお前も初対面の俺に警戒心を失っている」
エレン「そんなことは…」
リヴァイ「自分の心が嘘かどうかなんて分からないだろ…」
エレン「でもだったら尚更、なんで…」
リヴァイ「周りの想いが嘘だと分かるからこそ、遠ざけたいものだ…」
エレン「………」
確かに、その想いが真実か嘘か分からないのではとても信じようとは思えない。
リヴァイ「ミカサも周りを遠ざけているはずなのに、必ず誰かは寄ってくるだろ?」
エレン「そういえば…」
リヴァイ「お前のミカサが好きって気持ちも、ミカサに操られているものかもな」
エレン「っ!」
リヴァイの話を全て信じたわけじゃない。
だけど、否定できなかった。
エレン「それを教えるたためだけに、俺に話したんですか?」
リヴァイ「忠告だ」
エレン「経験則から…ですか?」
リヴァイ「俺はミカサの"何か"には影響されない」
エレン「!じゃあなんで…」
リヴァイ「……お互いに影響されないなら、本当の想いだけで語り合うことができると考えたからだ」
エレン「じゃあ何で別れたんですか」
リヴァイ「あいつは受け入れようとしているんだ」
エレン「受け入れる…?」
リヴァイ「…"何か"を…だ」
エレン「どういう…ことですか?」
リヴァイ「"何か"が引き起こす想いも、自分の想いだって認めるってことだ」
エレン「それって…」
リヴァイ「あいつはまた…偽りの友情や恋に操られるだけになろうってしてるってことだ」
リヴァイ「でも、まだあいつは受け入れ切れていない」
エレン「………」
リヴァイ「お前も、その想いが本物だって思わないことだ」
エレン「…俺、そろそろ帰ります」
リヴァイ「………」
エレン「今日は本当にありがとうございました」
急ぐようにして店を出た。
俺がミカサを好きだという気持ちが偽物かもしれない。
今は分からない。
ただ、今は
ミカサに会いたい。
-
- 63 : 2018/02/08(木) 03:37:58 :
-
ピンポーン
インターホンを鳴らす。
ミカサ母「はーい、あらエレン君」
エレン「こんにちは、あの上がっても大丈夫ですか?」
ミカサ母「もちろん!ミカサも会いたがってたわ」
エレン「ありがとうございます」
階段を上がり、ミカサの部屋のドアをノックする。
エレン「ミカサ、入るぞ」
ミカサ「エレン!」
エレン「調子はどうだ?」
ミカサ「もう大分良くなった」
エレン「そうか、良かった。コンビニで色々買ってきたから、ここ置いとくぞ」
ミカサ「ありがとう…」
リヴァイの話を聞いた後で、ミカサとどう接すればいいか分からなくなってしまい黙り込む。
ミカサ「……エレンどうしたの?」
エレン「あ…いや…」
ミカサ「何か学校であった?」
エレン「いつも通りだよ」
ミカサ「悩みがあったらなんでも話してほしい」
エレン「………」
ミカサ「エレンの力になりたい」
エレン「…………ミカサは」
ミカサ「うん」
エレン「偽物の恋でも、受け入れるのか?」
ミカサ「!!」
ミカサは明らかに動揺を見せた。
当たり前だ。
本来なら俺がこの話を知っているはずがないから。
ミカサ「エレン……どうして…?」
エレン「今日リヴァイ先輩に会った」
ミカサ「!」
エレン「全部聞いたよ…」
ミカサ「そう…だったんだ…」
エレン「どうなんだよ、ミカサ」
ミカサ「………その話が本当とは限らないよ、先輩の勘違いかも」
エレン「…お前もまだ疑ってるんじゃないのか?」
ミカサ「………」
エレン「自分の想いも…偽物だって」
ミカサ「違う!」
ベッドから飛び起きて否定する。
パジャマ姿で隙だらけの格好もミカサは気にしていない様子だった。
エレン「おい、ミカサ…」
ミカサ「この想いは…偽物なんかじゃない!」
エレン「ミカサ、落ち着けって…」
ミカサ「エレンのことが……こんなにも好きなのに…!」
エレン「!!」
今更反省をした。
ミカサは今までずっと、この想いを受け入れようと必死に頑張ってきたって言うのに、俺はそれを頭ごなしに否定してしまった。
ミカサの気持ちを考えようともせず、自分が辛いからって。
エレン「ミカサ、ごめん……こんなつもりは」
ミカサ「分かってる……何も言わなかった私も悪い…」
エレン「ミカサは悪くない」
ミカサ「エレンにも迷惑をかけた…」
エレン「そんなのなんてことない」
ミカサを落ち着かせ布団に寝かせる。
エレン「それよりさっきの…」
ミカサ「さっき…?」
エレン「俺のことが…その…好きだって」
ミカサ「っ!!わ…私、そんなこと言った?」
エレン「言った」
ミカサ「〜〜っ!!」
照れた顔を布団で覆い隠してしまう。
それを見て、俺も今更になって照れてきた。
エレン「ミカサ」
ミカサ「な…なに?」
エレン「俺…まだ正直分からないんだ」
エレン「自分の想いのこと…」
ミカサ「うん…」
エレン「だから本物にしていきたい、ミカサと一緒に過ごして……だから…」
エレン「俺と付き合ってくれませんか?」
ミカサ「!!」
布団から顔を出したミカサの目には涙が溜まっていた。
ミカサ「はい…!」
ミカサの髪をそっと撫でる。
この想いはきっと偽物じゃない。
何かキッカケがあって、変化は突然やってくるんだ。
それを二人で少しずつ証明していく。
リヴァイ先輩にもきっと、いるはずだから。
同じ想いを抱いた人が。
-
- 64 : 2018/02/08(木) 05:28:08 :
- 相変わらず文の引き込み方が上手いなぁ…ミカサよかったね…泣
期待です、頑張って下さい!
-
- 65 : 2018/02/08(木) 16:04:34 :
- 期待ですぅぅぅぅ!
最高最高!
-
- 66 : 2018/02/08(木) 21:25:58 :
- ホントにおもしろいです!!!
期待でしかない!
明日入試なんで続編を楽しみに頑張って来ます!
-
- 67 : 2018/02/08(木) 22:18:10 :
- >>64
そう言っていただけるととても嬉しいです!
ありがとうございます!
-
- 68 : 2018/02/08(木) 22:18:38 :
- >>65
いつもありがとうございます!
励みになります!
-
- 69 : 2018/02/08(木) 22:23:38 :
- >>66
入試なんですね!
自分の力を信じて頑張ってきて下さい!!
応援していますo(`・ω・´)o
こちらも続きを書いて待っていますよ
-
- 70 : 2018/02/08(木) 23:46:40 :
ミカサの部屋から出ると、外にはミカサの母がいた。
エレン「おばさん…」
ミカサ母「エレン君、ちょっといいかしら」
そう言われリビングまで案内された。
ミカサ母「そう…エレン君は知っていたのね」
エレン「知ったのは今日ですけどね…」
ミカサ母「…ミカサはあの症状のことで、中学生の時からずっと悩んできたの」
エレン「中学から…!」
ミカサ母「よく言っていたわ…周りの皆が嘘つきにしか見えないって。それで私たちとも口をきかなかった時期もあったわ…」
エレン「それでミカサとはどうやって…?」
ミカサ母「私たちの気持ちを話しただけよ、さっきのエレン君のようにね」
エレン「やっぱ聞いてたんですね…」
ミカサ母「エレン君」
エレン「は、はい」
ミカサ母「ミカサのことをどうか信じてあげて」
エレン「……もちろんです」
まだまだ分からないことだらけだ。
まだ全てを受け入れられたわけじゃない。
だけど、ミカサと約束をした。
次の約束は、絶対に忘れてはいけない。
ジャン「ミカサと付き合うことになったぁ!?」
アルミン「おめでとうエレン!」
エレン「ああ、ありがとう…」
次の日、俺はミカサと付き合うことになったことを二人に報告した。
すぐに報告したかったのもあるが、知らずに想いを寄せ続けるジャンが気の毒に思えてきそうだと思ったからでもある。でも…
エレン(ジャンの気持ちも、ミカサが……)
いいや、ジャンはミカサと何年も過ごしてきたんだ。
好意を寄せるくらい普通にありえる。
誰もがミカサを好きなわけじゃないんだから。
ミカサ「エレン!」
アルミン「ほらエレン、彼女がお呼びだよ」
ジャン「クソ!彼女と下校とか羨ましい!」
エレン「悪いなジャン、それじゃまた明日な!」
アルミン「またね!…それじゃ僕もアニを迎えに行こ」
ジャン「お前まで彼女と帰るのかよ…」
アルミン「いや…アニはまだ彼女なんかじゃないよ」
ジャン「ん…?珍しいな」
アルミン「なにが?」
ジャン「いや、お前ならてっきり彼女だって言い張るのかと…」
アルミン「……いつまでもそんなこと言ってられないさ」
ジャン「………」
ミカサと恋人同士での下校を堪能しようと高まっていた気持ちが、すぐに崩壊寸前の危機にあった。
クリスタ「エレン先輩っ!」
エレン「く…クリスタ!」
クリスタ「今日も広報部に来て下さいよ」
ミカサ「今日も…?」
クリスタ「また二人っきりで話しましょうよ」
ミカサ「二人っきり…?」
エレン「おいクリスタ!お前わざと変な言い方してるだろ!」
クリスタ「本当のことを言ったまでですよ?」
その顔はあからさまに楽しんでいるものだった。
エレン(こいつ……)
ミカサ「エレン、知らない間に後輩とそんな仲良くなってたの…?」
ミカサは怒るわけでもなく、わずかに泣きそうな顔をしている。
エレン「仲良くないって!!」
クリスタ「エレン先輩に言い寄られたんです…」
エレン「おいお前いい加減に…」
ミカサ「エレンやっぱり…」
エレン「違う!…ていうか、ミカサの症状のこともあるんだし俺がミカサ以外に…」
クリスタ(症状…?)
ミカサ「エレンの気持ちはやっぱり私のせいで…」
エレン「違う!ごめん…今のは…」
クリスタもそろそろマズイと察したのか、真剣な顔つきに戻る。
クリスタ「ごめんなさい、今のはちょっとした冗談です」
ミカサ「そ…そっか…」
エレン(ちょっとした冗談じゃ済まなくなってたところだぞ…)
クリスタ「エレン先輩を広報誌に載せたくて少し前に説得しに来たんです」
ミカサ「エレンを?」
クリスタ「はい、三年生で転校して来たっていうのも珍しいですし」
エレン「前に断っただろ」
クリスタ「今の様子を見ると、二人は上手くいったみたいですね……これも私がエレン先輩を刺激したからこその…」
エレン「違うからな!?とにかく…俺らはもう帰るからな」
クリスタ「明日は教室まで行きますから!」
エレン(勘弁してくれ…)
ミカサの手を引き、校門まで急ぐ。
ミカサの握る手が強くなってくるのを感じる。
エレン「ミカサ…?」
ミカサ「……エレンは転校してきたばかりなのに、女の子と仲良くなってる」
エレン「………嫉妬した?」
ミカサ「…………少し」
そう言ってミカサはもう片方の手で照れた顔を隠す。
エレン(それかわいいな…)
-
- 71 : 2018/02/09(金) 01:00:00 :
ミカサ「エレン」
エレン「どうした?」
やっと落ち着き、繋いだ手は離さず帰路を歩く。
ミカサ「エレンがこの学校に来てからまだ1ヶ月しか経っていないのに、こうやって恋人として一緒に帰れるのがなんだか不思議で…」
エレン「そういえば…俺とミカサが再会してからそんなしか経ってないのか…」
考えてみると不思議なことだ。
いくら昔の知り合いだからといっても、ほんの数日で両想いだ。
エレン(どうしても症状のことは否定しきれない…)
ミカサ「エレンが考えてること分かるよ」
エレン「え…」
ミカサ「私の中の何かのせいでこうなったんじゃないかって」
エレン「ち…違う…」
ミカサ「大丈夫だよ、それが例え事実だとしても、今はエレンの言葉があるから」
エレン「俺の言葉?」
ミカサ「うん、これから本物にしていくって…エレンが言ってくれたから」
エレン「そっか…」
ミカサはまだ、きっと悩んでいる。
自分のせいだって。
だけど、俺の言葉を信じて…
エレン「ミカサ」
ミカサ「?」
エレン「夏はやっぱ…海行くか?」
ミカサ「え…?」
エレン「二人っきりってのももちろんいいけど、皆で行った方がやっぱ楽しいよな……でもミカサの水着をジャンに見せるのもな…」
ミカサ「エレン…もう夏の話?」
エレン「夏なんてあっという間だぞ、秋からはガチで受験勉強しなくちゃだしな…夏にとことん遊ぼうぜ」
ミカサ「エレン…」
エレン「どうだ?」
ミカサ「…うん、遊ぶ!」
エレン「よし決まりだな!明日皆に声かけとくか」
ミカサ「うん……祭りは二人きりがいい」
エレン「お、おう」
アルミン「海!?」
エレン「おう、どうだ?」
アルミン「もちろん行くよ!アニも誘っていいかな?」
エレン「もちろん!ジャンはどうだ?」
ジャン「……ミカサも来るのか?」
エレン「何言ってんだ?当たり前だろ」
ジャン「よっしゃああああああ!!」
エレン「………やっぱお前いいや」
ジャン「おい!誘っといてそれは何だよ!」
エレン「ミカサの水着目当てだろ、絶対見せねーからな…彼氏特権で」
ジャン「いいだろ見るくらい減るもんじゃねーって!」
アルミン「まぁまぁ、人は多い方が楽しいって」
エレン「……まぁな」
アルミン「じゃあ僕はアニに声かけてくるよ」
エレン「おう」
アルミンが出て行ったと同時に、女子が一人クラスに入ってくる。
クリスタ「聞きましたよエレン先輩!!」
エレン「なんでお前ここに!」
クリスタ「昨日言いましたよ、教室来るって」
エレン(やっぱ本気だったか…)
クリスタ「海行くんですよね海!」
エレン「!お前…もしや…」
クリスタ「私も一緒に連れて行って下さい!」
エレン「ダメだ!!」
クリスタ「うー…」
ジャン「いいじゃねぇかエレン!こんな可愛い子が一緒に行きたいって言ってるんだぜ!」
エレン「お前……優柔不断だな」
ジャン「ちげーよ!!ただ可哀想だろ?」
クリスタ「お願いします!」
エレン「………わかった」
クリスタ「やったー!!」
ジャン「良かったな!」
クリスタ「はい!」
俺たちが行く海にまでついて来るなんて、こいつはどこまで広報誌にガチなんだ。
クリスタ「先輩、楽しみにしてますね!」
エレン「お、おう…」
でも、ただ単純に遊びたかっただけなのかもな。
ジャン「おいお前、いつあんな後輩と仲良くなったんだよ!」
エレン「たまたまだよ、たまたま」
ジャン「なんでお前ばっかり…」
エレン「お前はあの子の本質を知らないからそんなこと言えるんだよ…」
いつも通りの下校。
ミカサと合流し、学校を出る。
エレン「全員来るって、あとクリスタも来ることになったんだけど…」
ミカサ「そう、人数は多い方がいい」
口ではそう言いながらも、顔は不安そうだった。
エレン「最初は断るつもりだったからな?」
ミカサ「分かってる」
エレン「顔が引きつってるぞ」
ミカサ「だから分かった…って…」
エレン「どうしたミカサ…」
ミカサの視線を追うと、そこにはリヴァイの姿があった。
-
- 72 : 2018/02/09(金) 07:39:58 :
- 期待です!
リヴァイが気になる!
-
- 73 : 2018/02/09(金) 16:43:39 :
- ミカサの誕生日をお祝いするためのグループを作成しました!
良かったら是非参加お願いします!
http://www.ssnote.net/groups/2571
-
- 74 : 2018/02/10(土) 00:49:55 :
エレン「リヴァイ…先輩…」
ミカサ「あなたが…どうしてここに」
リヴァイ「お前ら、その様子を見る限り今のところは順調なようだな…」
エレン「俺たち決めたんです、これから…」
リヴァイ「まぁそう焦るな、少し落ち着け。今日はミカサに用があって来た」
その時、リヴァイの背後から大勢の人影が出てきた。
エレン「は…?アルミン、ジャン!クリスタにアニに……それにこの作品には無関係な皆までー!?」
コニー「ようエレン!」
エレン「いや誰だよ…」
サシャ「ケーキはどこですか!?ケーキ!」
エレン「ケーキなんて……ケーキ?」
ライナー「おいおいエレン、まさか忘れてるわけじゃないよな」
エレン「おわ!?ゴリラが喋った!!」
ライナー「おいてめぇ…」
ベルベルト「まぁまぁ、ライナー落ち着いて」
ライナー「お前も作者に名前忘れられてるぞ…」
ベロベルト「ああっ!」
ユミル「ベルトルさんが別もんになってんぞ」
エレン「それはいいから!一体なんなんだよ…」
リヴァイ「エレンこれを持て」
エレン「え…?」
待たされたのはクラッカー。
リヴァイ「よし、準備は整った。一斉に放て!!」
パパンッ
みんな「ミカサハッピーバースデー!!!」
ミカサ「え…え??」
クリスタ「もう、忘れたの?今日はミカサの誕生日だよ?」
ミカサ「それは覚えているけど……」
アニ「今は撮影のことは忘れて楽しみな」
サシャ「そうですよ!早くケーキ食べましょう!!」
ミカサ「今重要なシーンなのに…」
ユミル「まぁそんなお堅くなんなよ、主役なんだぞ」
ミカサ「エレンは…」
クリスタ「さっき忘れ物を取りに行くって…」
エレン「はぁ…はぁ…お待たせ…」
ミカサ「エレン!」
エレン「ミカサ、本当は撮影終わったら渡そうと思ってたんだけど、この際今渡したく」
そう言ってエレンが渡した袋の中にはマフラーが入っていた。
エレン「ミカサ、ハッピーバースデー!」
ミカサ「あ…ありがとう…とても嬉しい…」
貰ったマフラーを早速巻く。
ミカサ「あったかい…もう外さない」
エレン「渡した俺が言うのもあれだが、もうすぐ夏だ」
コニー「お前バカか!?」
エレン「お前にだけは言われたくねーよ!いや…この物語のミカサってマフラーつけてねぇジャン↑」
ジャン「…おいテメェ、今バカにしたか?」
エレン「気のせいだ、それで凄え違和感あったからつい…」
ジャン「これからお前はミカサの生活を地獄にするつもりか?」
エレン「撮影時はさすがに外すだろ、季節的に」
ミカサ「外さない」
エレン「………この物語でマフラー設定無いからやめような」
ライナー「それより兵長はどこ行っちまったんだ?」
クリスタ「もう言いたいことは言ったし帰っちゃったんじゃないかな…」
ユミル「まっ、あの人の性格じゃこんなことに付き合ってくれるわけもねーよ」
エレン「あれ…?あそこにいるのは…」
リヴァイ「遅ぇぞお前ら、早く先につけ」
リヴァイはケーキの並べられたテーブルの席に既についていた。
頭についている三角の帽子はなんなのだろう。
エレン「それじゃあ、ミカサの誕生日を祝して…カンパーイ!!」
みんな「カンパーイ!!」
コニー「サシャ!その大きいのはミカサのだ!!」
サシャ「ケーキ!!ケーキ!!」
エルヴィン「楽しそうにやってるじゃないか」
エレン「え…エルヴィン監督!!」
エルヴィン「お誕生日おめでとう、ミカサくん」
ミカサ「ありがとうございます、まさか監督までお祝いにいらしてくれるとは…」
エルヴィン「当たり前だ、この作品にとってもミカサくんは欠かせないのだから!」
そう言って、忙しかったのかすぐ去って行ってしまった。
ミカサ「はぁ…」
エレン「ミカサ?」
ミカサ「こんな楽しい誕生日になるとは思わなかった…」
エレン「俺も驚きだ、まさか撮影を中断して誕生会やるなんて」
ミカサ「ふふっ…エレンの驚いた顔といったら…」
エレン「ミカサだって…」
ミカサ「エレン」
エレン「ん?」
ミカサ「物語の私たちがどうなるかは分からないけど、エレンはずっとそばにいてね」
エレン「ああ…もちろん」
エレン「ミカサ、生まれてきてくれてありがとう」
ミカサ「どういたしまして!」
-
- 75 : 2018/02/10(土) 00:53:02 :
ということで、ミカササプライズ誕生日パーティー編でした!!
この作品に関わる俳優やディレクター、その他諸々の人たちが企画したものでした。
本編とは全く関係ありません!
紛らわしくて申し訳ありません…。
次からは、また俳優たちが頑張って物語を進めていきます!!
ミカサお誕生日おめでとう!!
生まれてきてくれてありがとう!!
-
- 76 : 2018/02/10(土) 21:58:19 :
- 応援ありがとうございました。
入試余裕でした!!
俳優さんたちの物語だったんですね笑
おもしろかったです!
本編も期待してます!!
-
- 77 : 2018/02/11(日) 02:15:00 :
- >>71の続きになります
エレン「リヴァイ…先輩」
ミカサ「どうしてあなたが…」
リヴァイ「…この前はすまなかったな、エレン」
エレン「いえ…お陰でミカサと本当の意味で向き合うことができました」
リヴァイ「てことは、お前らは今のところ順調ってわけか…」
エレン「お前ら…は?」
リヴァイ「………エレン、お前は自分の意思を何かも分からないものに委ねるんだな」
エレン「違います、俺は決めたんです…ミカサと一緒に、この想いを本物にしていくと」
リヴァイ「んな小っ恥ずかしいこと俺に言ってどうすんだ」
エレン「リヴァイ先輩にも見ていて欲しいんです、俺たちが自分自身で向き合っているところを」
リヴァイは何か言いたそうにしたが、口を閉じ背中を向けた。
リヴァイ「……見届けてやるよ、お前らが卒業するまでな」
エレン「リヴァイ先輩!」
ミカサ「エレン!もういい」
エレン「でも…」
ミカサ「今あの人に言ったところでどうにかなるわけじゃない」
エレン「………」
確かにミカサの言う通りだ。
今何か言ったところで、何かを証明できるわけじゃない。
あの人の過去に何があったっていうんだ。
それより…
エレン「なんで卒業までなんだ…?」
ミカサ「さぁ…そこまで続けば、互いを真に理解できたと思えるとか?」
エレン「そんなことなのか…?」
ミカサ「分からない…」
エレン「まぁ、今からはもう湿っぽいのナシにしようぜ!折角今日は一緒に帰れるんだしな」
ミカサ「うん!」
ミカサの手を取り、歩き出した。
家に着く。
携帯を見ると通知が来ているのに気づく。
エレン(ん…?知らないやつからだ…くり…すた…)
エレン「クリスタ!?」
カルラ「エレン!うるさいわよ!」
エレン「つい…」
部屋に入り、内容を確認する。
エレン(なんでクリスタが俺のラインを…)
クリスタ「クリスタです、よろしくお願いします!連絡先はアルミン先輩からいただきました」
エレン(アルミンの野郎…)
クリスタ「突然のことで申し訳ないんですけど、この前言ってたミカサ先輩の"症状"って何ですか?」
クリスタ「エレン先輩とも関係しているみたいですけど」
エレン(や…やべぇ…)
クリスタの前で迂闊にミカサの症状について言ってしまったのが大間違いだった。
この子の広報部からくる好奇心や探究心は、度を超えたものだと身を以て知っている。
ミカサのことが知れ渡ったら、信じるか信じないかは別として、ミカサにとっては大問題だ。
ここは上手く誤魔化すことに決めた。
エレン「風邪のことじゃないかな?確かミカサが休んだ日の次の日だったろ?」
返信をするとすぐに返事が来た。
クリスタ「それがエレン先輩とどう繋がるんですか?そのせいでエレン先輩はミカサ先輩以外を見ないとか言ってましたけど」
エレン(そこまでよく覚えるな…)
エレン「まだ熱とか心配だからミカサ以外気にしてる暇もないってことだ」
クリスタ「本当ですか?」
エレン「それ以外心当たりがない」
クリスタの返事が止まったので、上手く誤魔化せたのかとホッとするのも束の間、予想外の返事が来た。
クリスタ「私、お二人の話に似ている病気のようなものに心当たりがあって、協力できるんじゃないかと思ったんですけど…残念です」
エレン(なっ…!クリスタがミカサの症状について心当たりがある!?)
でもそれが真実かも分からない。
エレン(探りを入れてみるか…)
エレン「へぇ、その病気ってどんな病気なんだ?」
クリスタ「あまり公には知らされていない病気なのでお話することは…」
エレン「少しでいい!どんな感じか」
クリスタ「…簡単に言えば、自身や周囲の人の感情を狂わす病気です」
クリスタ「でも今では改善策もあるという話を聞きました」
エレン(感情を狂わす…!)
その表現がどうかは分からないが、クリスタがミカサの症状について知っているのは確かだ。
しかも改善策まで。
これはクリスタに協力を求めるのが一番だろう。
しかしこれは俺の問題ではない。
ミカサの連絡先を開き、電話をする。
-
- 78 : 2018/02/11(日) 02:43:12 :
ミカサ「…もしもし?」
エレン「ミカサ、今大丈夫か?」
ミカサ「う、うん」
エレン「今、クリスタとメッセージのやり取りをしてたんだけど…」
ミカサ「クリスタ…」
明らかにテンションが下がるのが口調で分かったが、話を続ける。
エレン「クリスタはどうやら、ミカサの症状について何かを知っているらしい」
ミカサ「え!?」
エレン「しかも改善策も知っている可能性がある」
ミカサ「つまり…クリスタに私のことを話して、協力してもらうってこと?」
エレン「ああ、それを聞くために連絡したんだ」
ミカサ「……はぁ」
エレン「ミカサ?」
ミカサは電話越しにため息をついた。
エレン「嫌なら断っていいんだぞ?」
ミカサ「ううん、そうじゃなくて…」
エレン「?」
ミカサ「エレンが初めて電話してくれたのに、クリスタの話で…」
エレン「そういえば…初めてだったな」
ミカサ「挙句に私の秘密を話してもいいかって…」
エレン「…お前でもそんなこと言うんだな」
ミカサ「言うよ!初めての彼氏からの電話が、他の女の子の話なんて…!」
エレン「ふっ…」
ミカサ「なんで笑うの!」
エレン「いや…ミカサが嫉妬して怒ってるの…可愛くて…」
ミカサ「〜〜っ!!私は真面目に話してるのに!」
エレン「ごめんて!」
ミカサ「分かってるよ?エレンが私の為に何かしようとしてくれてるって、でも…」
エレン「ごめんな、今度ゆっくり話そう…でも今は…」
ミカサ「私の方こそごめん、いいよ、クリスタに話して」
エレン「分かった、クリスタには絶対に口外しないよう言っとく」
ミカサ「うん」
エレン「じゃ…」
ミカサ「エレン」
エレン「ん?」
ミカサ「また明日」
エレン「…また明日」
電話を切る。
クリスタの話になるとミカサはいつも嫉妬するが、あんなにも怒るほど嫉妬してくれるとは思わなかった。
その想いが、病気や何かから来てるものとは思いたくない。
その為にも…
呼吸を整え、返事を打つ。
エレン「クリスタ、ミカサのことについて話したいことがある」
クリスタ「そうだと思いました」
エレン「ただし、このことを絶対に口外しないこと、それを約束してくれ」
クリスタ「じゃあ、エレン先輩を広報誌に載せていいって言うなら…」
エレン「いいよ」
クリスタ「即答ですか」
クリスタ(ミカサ先輩のためならいつも自分がどうなったっていいって考えてる…)
クリスタ「なんかイライラします」
エレン「なんでだよ」
クリスタ「分かりません」
エレン「まぁ、いいか?話して」
クリスタ「どうぞ」
エレン「……ミカサは、ある病気?みたいなのを抱えているんだ」
エレン「お前がさっき話したみたいな、自身や周囲の人の感情に影響を与える」
クリスタ「やっぱりそうだったんですね」
エレン「ああ、これで俺らも部外者じゃない、話してもらえるか?この病気のようなものと、改善策を」
クリスタ「…私は知りません」
エレン「はぁ!?」
クリスタ「でも知っているであろう人なら知ってます」
エレン「じゃあその人を教えてくれ」
クリスタ「その人のいる病院を教えます、ただし…」
エレン「まだ条件つけるのか…」
クリスタ「その後、私とデートして下さい」
エレン「………は?」
クリスタ「ダメですか?」
エレン「いやいや、何で俺とデートしたいんだよ!」
クリスタ「別に好意があるとか思わないで下さい、少し一緒に出掛けませんか?って感じです」
エレン「それなら最初から紛らわしい言い方すんなって…」
クリスタ「すいません〜」
クリスタ(本当は本気だったかもしれないけど…)
クリスタ「とにかくそういうことで!いいですか?」
エレン「ああ」
クリスタ「じゃあ今週の土曜日に来るって伝えておくので、ミカサ先輩にも伝えておいてください」
エレン「わかった」
これでやっとミカサを、苦しみから解放できる。
俺たちもありのままの心で向き合える。
-
- 79 : 2018/02/11(日) 02:44:42 :
- >>76
お疲れ様です!
良かったですね笑
ありがとうございます!
-
- 80 : 2018/02/11(日) 16:01:56 :
- ありがとうございます!
またミカサ嫉妬しますねー笑
期待です!!!
-
- 81 : 2018/02/11(日) 23:57:59 :
- >>80
嫉妬ばかりさせてしまって…笑
ありがとうございます!
-
- 82 : 2018/02/12(月) 00:20:58 :
- エレミカ、、、。
あまり見てない作品だが
これは神作品だな
作者さん、期待です!
-
- 83 : 2018/02/12(月) 00:24:31 :
エレン「ここか…」
ミカサ「うん…」
来たのは電車で1時間程の少し離れた街の喫茶店だった。
クリスタが言うには、ここにミカサの持つ症状について知る人が来てくれるらしい。
ミカサ「なんでここなんだろう…」
エレン「その人の行きつけらしいけど…」
ミカサ「ここが行きつけかぁ…」
マスター「いらっしゃ〜い」
ミカサ「雰囲気は嫌いじゃないけど、あの店長のオネェっぽい口調が気になる…」
エレン「それ俺も思った」
取り敢えず空いてる席に腰をかける。
エレン「時間的にそろそろ…」
すると、長身の金髪の男性が来店してくる。
その男性は俺たちを見ると、察したように声をかけてきた。
エルヴィン「やぁ、君たちがエレン君とミカサ君だね」
エレン「はい、じゃああなたが…」
エルヴィン「私はエルヴィンだ、よろしくね」
エレン「あ…はい」
ミカサ「よろしくお願い…します」
エルヴィン「話は既に聞いてるよ、私は普段は脳神経について研究をしているんだけど…まぁこれは独自でやってるものだ」
そう言ってカバンからノートを取り出す。
エルヴィン「早速なんだけどミカサ君、君の症状がいつ頃起こり、どういうものなのかを教えてもらいたい…」
ミカサ「はい…私が自覚したのは、確か中学三年生の頃だったと思います」
ミカサ「症状は主に、周りの人の好意を引き寄せるものかと…」
エルヴィン「やはり…中学の頃くらいからか…」
エレン「やはり…とは?」
エルヴィン「実は同じような症状を持つ人をもう一人知っているんだけど…」
ミカサ「それって…」
エルヴィン「君たちも知っているだろ?…リヴァイだ」
ミカサ「やっぱり…」
エルヴィン「彼が高校生の頃、知り合いだった私のところに訪ねてきてね…その時に私もこの病気について知ったんだ」
エルヴィン「以来、私の研究にも付き合ってくれたよ」
エレン「やっぱりミカサのこれは…病気なんですか?」
エルヴィン「まぁ…そうだね」
エレン「それで、改善策を知っているとお聞きしたんですが…」
エルヴィン「君は当の本人でもないのに随分と質問責めしてくるね…」
エレン「す、すみません…」
エルヴィン「いやいや、よっぽど彼女のことを大切にしているようだったからね」
エレン「………」
エルヴィン「でも、それがその病気の本質だからね…」
ミカサ「わ…私たちは病気とは関係なく…!」
エルヴィン「本当にそうと言い切れるかい?」
ミカサ「っ…」
エルヴィン「ごめんごめん、苛めるつもりは無かったんだ…でも…」
エルヴィン「君たちは出会ってたった数日で、そこまで互いを想うようになったそうじゃないか」
エレン「それも…先輩から?」
エルヴィン「君が越してきたばかりだと聞いたからね」
ミカサ「でも、私たちは7年前にも会っています…」
エルヴィン「別に病気のせいに絶対にしようだなんて思ってないさ、ちょっとした確認だよ」
エレン「確認…ですか?」
エルヴィン「この病気と断定するには、人の心を知る必要があるからね」
エレン「それで、何か分かりましたか?」
エルヴィン「ああ、ミカサ君の症状はリヴァイと全く一緒であると言える」
ミカサ「それで…治すには…?」
エルヴィン「今の君にはどうすることもできない、ただ…」
エルヴィン「それは高校を出たらじきに治るだろう」
エレン「え…?」
ミカサ「どうしてですか?」
エルヴィン「これは思春期のみの症状と言える。また、影響されるのも思春期の子たちに限られている」
エルヴィン「君たちの多感な感情にどうやら反応するみたいだ」
エレン「でも俺、リヴァイ先輩と会った時に影響されてるって…」
エルヴィン「彼にこのことを報告できたのもつい先日のことなんだ…だから彼の勘違いだと思うのだけど」
エレン「でも、俺は確かにあの時警戒心を解いて…」
エルヴィン「彼は元々結構話しやすい人なんだよ、病気のせいで自覚できてないみたいだけど…」
エレン「じゃあ今先輩は治ってるってことですか?」
エルヴィン「ああ」
ミカサ「………」
治る方法が分かり喜ぶが、当のミカサは黙り込んだままだった。
エレン「どうしたんだミカサ、治るって分かったのに…」
ミカサ「……こんなこと、本当は言っちゃダメなんだけど…」
ミカサ「高校を卒業した瞬間、エレンが私を嫌いになったらどうしようって…」
エルヴィン「………」
-
- 84 : 2018/02/12(月) 00:26:34 :
- >>82
そこまで言っていただけるとは…
期待を裏切らないよう頑張ります!
-
- 85 : 2018/02/12(月) 01:08:50 :
エレン「………」
俺は何も言ってやれなかった。
本当は自信満々にそんなことは絶対にないと言ってやりたい。
でも…
エルヴィン「君たちの考えていることはよく分かる、リヴァイにもあったからね」
エレン「先輩にも!?」
エルヴィン「彼にも中学の頃からの想い人がいた」
ミカサ「あの人のこと、そんなに話したら…」
エルヴィン「あいつは君たちのことも平気で話してくる、その罰だ」
そう言って笑いかけてくる。
俺たちはなぜか、笑えなかった。
エレン(この人は敵に回すとヤバイタイプだ…)
エルヴィン「話の続きだけど、その二人は途中までは順調だったんだ」
ミカサ「途中まで…?」
エルヴィン「リヴァイが自分の症状に気付き、その子への気持ちを信じられなくなったんだ」
エルヴィン「彼女を極力避けるようになり、他の子と付き合うような真似もしたみたいだ」
エレン「それって…」
ミカサ「私のことだよね…」
エルヴィン「でも、リヴァイの想いはどうやら本物だったみたいだ…」
エレン「え…」
エルヴィン「リヴァイが先日、私のところへ来た時のことだ…」
エルヴィン「やぁ、リヴァイ」
リヴァイ「…いつ来てもここは陰気臭ぇな…」
エルヴィン「まぁそう言うなよ」
ここは私の研究所の部屋。
書類や本ばかりで、一般的な目で見れば確かに陰気臭いだろう。
リヴァイ「で、お前から呼ぶとは珍しいじゃねぇか…一体何の用だ」
エルヴィン「ああ、その前にいくつか質問してもいいか?」
リヴァイ「ああ」
エルヴィン「最近、周りの様子に変わったことはあるか?」
リヴァイ「…ないな」
エルヴィン「ハンジとは…会ってるのか?」
リヴァイ「ああ?なんでここでメガネの名前が出てくる」
エルヴィン「お前の病気に関係あるだろ?」
リヴァイ「………会ってねーよ」
エルヴィン「そうか…」
沈黙が続いてしまったので質問を続ける。
エルヴィン「調子は…どうだ?」
リヴァイ「普段通りだ、というか調子は関係ないだろ」
エルヴィン「一応な」
リヴァイ「で、何が言いたい」
エルヴィン「リヴァイ、朗報だ」
リヴァイ「朗報だと?」
エルヴィン「ああ、お前の病気はどうやら完全に治った」
リヴァイ「……は?」
珍しくリヴァイが呆けた顔をしている。
エルヴィン「以前から推測していたが、どうやらこれは思春期にのみ反応する病気らしい」
リヴァイ「思春期のみだと…?」
エルヴィン「お前が高校生の時に見えた異常も、今ではすっかり消えている…完治したと言えよう」
リヴァイ「ちょっと待て」
エルヴィン「なんだ?」
リヴァイ「それは……ないだろ」
エルヴィン「なんでだ?」
リヴァイ「俺はまだ……」
エルヴィン「……ハンジか?」
リヴァイ「………」
エルヴィン「お前の気持ちは本物だったってことだ」
リヴァイ「ならなんだ、俺が今までハンジにしてきたことは…全部…」
エルヴィン「リヴァイ…」
ハンジの名など少し省略しながらも、その時のことを二人に話した。
エルヴィン「君たちの想いが全部嘘なんてことは絶対にない」
エルヴィン「私にはどうすればいいか分からない、君たちが後悔しないで済むような選択をするんだな」
帰りの電車の中、エルヴィンの言葉はずっと、頭の中から離れなかった。
エレン(後悔しない…選択…)
ミカサ「ねぇエレン」
隣に座るミカサが話しかけてくる。
ミカサ「さっきはあんなこと言って…ごめんなさい」
エレン「さっき?」
ミカサ「エレンが私を嫌いになったら…どうしようって…」
エレン「ああ…あれか」
ミカサ「エレンは…本物にしていこうって、言ってくれたのに…」
エレン「…いや、俺も…そう言っといて否定できなかった」
ミカサ「エレン…私たち、後悔しないよね?」
ミカサ「一緒に過ごしていけば、この想いは…本物であり続けるよね?」
ミカサの目には涙が浮かんでいた。
相手の心も、自分の心さえも信じられない中で俺たちは愛し合っている。
病気が治り、この気持ちが偽物だと知ったら、俺たちは永遠に繋がることはないだろう。
エレン「ああ…」
エレン(それでも…今だけは…)
ミカサの手を強く握る。
-
- 86 : 2018/02/12(月) 13:23:32 :
- 期待です!!!
-
- 87 : 2018/02/13(火) 00:08:53 :
- >>86
いつもありがとうございますぅ…!
-
- 88 : 2018/02/13(火) 00:50:31 :
-
俺たちの想いは変わらず、あっという間に月日は流れ、
7月。
ミカサの病気が治るまで10ヶ月を切った。
エレン「クソ暑い…」
アルミン「そうだね」
エレン「そう言うアルミンは平気そうだな…」
アルミン「僕は元々暑いのは平気だから」
エレン「凄えな…」
ジャン「たく、なんで俺らのクラスだけクーラーがぶっ壊れてんだな…」
エレン「おいジャン、お前の顔見てると余計に暑くなるじゃねーか…」
ジャン「今は突っかかる気にもなんねーよ、それより…」
そう言ってジャンが指差すのは女子のほう。
ジャン「大胆に露出された肌…滴る汗…見てると夏の暑さが一気に吹っ飛ばねぇか?」
エレン「はぁ?そんなん見て暑さが飛ぶかよ…」
ジャン「まったく…お前っていつもそんなんだよな、本当に健全な男子高校生か?」
エレン「そうじゃなかったらここにいねぇよ」
ジャン「いいよなぁ…お前には可愛い可愛い彼女がいるもんな」
エレン「そうだな」
ジャン「チッ…でも付き合ってから既に2ヶ月、未だにキッスすらできてないとはな!」
エレン「お前何で知ってんだよ!」
ジャン「そうじゃないかと思っただけだったんだけどよ、まさか本当だったとは…」
エレン「テメェ…そんなに殴られたいならそう言えよ」
アルミン「やめてよ二人とも!余計に暑くなるじゃないか!」
アルミンが止めても言い争う二人だったが、一人の声によって動きが止まる。
ミカサ「エレン」
エレン「あ、ミカサ」
ジャン「チッ…」
ミカサ「もう帰れる?」
エレン「ああ」
ミカサ「アルミン、ジャン、またね」
アルミン「バイバイ」
ジャン「み、ミカサ!」
ミカサ「?」
ジャン「海…楽しみにしてる!」
ミカサ「…私も楽しみにしてる」
後ろでジャンの喜ぶ声が聞こえてくる。
エレン「お前なぁ…そんなにジャンを浮かれさせんなよ」
ミカサ「私が楽しみにしているのは本当」
エレン「………」
ミカサ「…あとエレンへの罰」
エレン「なんでだよ…」
ミカサ「今度、クリスタと二人きりで出かけるんでしょ?」
エルヴィンさんを紹介してもらった後、俺はクリスタから「お礼は夏休みに」とメールをもらっていた。
エレン「だからそれはお礼だって、好意とかそういうのは無いって…」
ミカサ「じゃあ何で二人きりなの?お礼なら私も行っていいはず」
エレン「それは、なんでか俺にだって分かんないけど…」
ミカサ「やはりクリスタはエレンに好意がある」
エレン「はぁ!?そんな訳ないだろ!」
ミカサ「本当にそう言える?」
エレン「この誘いだって、受けたのまだ初めて会ってから1ヶ月くらいのことだぞ?」
ミカサ「エレンは…とても魅力的だから」
エレン「お前って…高校生になって初めて会った時もそうだったけど、さらりと恥ずかしいこと言うよな…」
ミカサ「そう?私はいつも思ったことを言っているだけだけど…」
エレン「真面目な顔してそんなこと言えるのはミカサだけだな…」
昔からそうだ、ミカサは。
それで俺やアルミンを何度困らせたことか。
俺がいつもこっちに来ていた夏休みに。
エレン「夏休み…か」
ミカサ「そういえば、小学生の頃にエレンがこっちによく来たのも夏休みだった」
エレン「そうだったな」
ミカサ「エレンと過ごせる夏休み…楽しみ」
エレン「ああ」
-
- 89 : 2018/02/13(火) 01:50:00 :
夏休み。
最初に入っていた用事はクリスタと出かけることだった。
クリスタ「10時に駅前集合!」
とのことだったので、余裕を持って10分前に着くようにした。
しかし…
エレン(10時20分…遅くないか?)
場所を間違えたのか、騙されたのかなど色々不安に思っているところに、人が近づいて来ることに気づく。
クリスタ「お待たせしました!」
エレン「お前…言った時間から20分以上も経ってるわけだが」
クリスタ「女の子は準備に時間が掛かるんですよ?」
エレン「ミカサはいつも30分前には来てる」
クリスタ「先輩!」
エレン「なんだよ」
クリスタ「今日私と出掛けている間、ミカサ先輩の名前出すの禁止です!」
エレン「は?なんでだよ!」
クリスタ「女の子と二人きりでいるのに、他の女子の名前出すなんて…デリカシーに欠けてますよ!」
エレン「さっきから女の子女の子って…意味が分かんねぇ…」
クリスタ「取り敢えずそういうことで、行きましょう!」
エレン「はぁ…」
クリスタの真意が何かは分からない。
ただこの子といるとどうも…
エレン(疲れる…)
着いたのは隣町のショッピングモール。
クリスタ「洋服見に行きませんか?」
エレン「俺洋服とかあまり興味ないんだけど…」
クリスタ「今日は私のお礼に来てるんですよ?付き合ってください!」
エレン「はぁ…」
今日は何回ため息をつくことになるのか。
クリスタ「見てくださいこれ!可愛くないですか?」
エレン「そうか?」
クリスタ「じゃあエレン先輩はどういうのが好きなんですか?」
エレン「俺?うーん…」
少し考えてから目についた服を取る。
エレン「これなんかどうだ?」
クリスタ「なんか大人っぽい雰囲気で…私には似合わなそうですね」
エレン「確かに…じゃあこれなんかは?」
クリスタ「それもなんか…っていうかさっきから先輩が選んでる服って…」
エレン「ん?」
クリスタ「………やっぱりなんでもないです」
エレン「俺とお前じゃ好みが合わなそうだな」
クリスタ「そうみたいです」
エレン「なんで機嫌悪くなってんだよ」
クリスタ「なってないです」
クリスタ(服を選ぶ時もいつだってミカサ先輩のことを考えてる…)
クリスタ「…次の店行きましょう」
エレン「なんかあったら言ってくれよ」
クリスタ「………」
エレン(女心…いや、クリスタのことが全然分からない…)
エレン「はぁ…」
エレン「次はどこ行くんだ?」
クリスタ「お昼食べに行きましょう」
そう言ってフードコートに向かう。
クリスタ「何食べますか?」
エレン「やっぱラーメンとかかな」
クリスタ「ら…ラーメンですか…」
エレン「クリスタは?」
クリスタ「私も…ラーメンで」
二人してラーメンを注文し、食べる。
クリスタは最初はどこか少し不安そうにしていたが、やがて麺を啜りはじめる。
クリスタ「エレン先輩」
エレン「ん?」
クリスタは箸を置き話しかけてきた。
俺は食べながらその話に耳を傾ける。
クリスタ「私、実はエレン先輩のことが好きだったんです」
エレン「んぐっ」
クリスタ「先輩?」
エレン(びっくりして喉を通りやすいはずの麺が突っかかるところだった…)
クリスタ「水飲みます?」
エレン「大丈夫大丈夫…それより、好きだったっていうのは…」
クリスタ「今は別に好きなわけじゃないってことです」
エレン「…それは、俺がミカサと付き合ったからか?」
クリスタ「いえ…そもそも私の好意自体、ただの勘違いだったと思うんです」
エレン「勘違い?」
クリスタ「私、一途で彼女のためなら自分の身さえ投げ捨ててしまうような…そんな男性に憧れていたんです」
エレン「ドラマか漫画の見過ぎだろ」
クリスタ「私結構モテるんですよ」
エレン「お、おう…」
クリスタ「でもそれ故に本気で私のことを好きな人なんていなかったし、遊びだった人も多かったんです」
クリスタ「だからミカサ先輩を好きなエレン先輩を見て好きになった」
クリスタ「けど…これは多分ただの憧れだったんだと思います」
クリスタ「憧れを…好意だと勘違いしていたんだと思います」
-
- 90 : 2018/02/13(火) 02:38:22 :
-
エレン(好意だと…勘違い…)
エレン「なぁ…」
クリスタ「なんですか?」
エレン「それって本当に、好きとかそういうのじゃなかったのか?」
クリスタ「何ですか?私が先輩のことを好きな方が良かったですか?」
エレン「それはない」
クリスタ「じゃあ何でそんなこと…」
エレン「聞きたいだけだ」
クリスタ「……ただの憧れです、今日一緒にいて分かりました」
エレン「なんでだ?そんなに楽しくなかったとか?」
クリスタ「そんなことはないですよ、ただ…」
クリスタ「好意だと思い込んでいた時は、先輩と一緒に出掛けることとか考えると凄く楽しみで仕方なかったんです」
クリスタ「でも友達に言われて、この想いがただの憧れだったと気づいた瞬間、今までのようにはならなかったんです」
エレン「今までのようにって?」
クリスタ「凄く楽しみとか、嬉しいとかですかね……っていうかこういう事言うの凄く恥ずかしいんですけど…」
エレン「………」
好意が好意ではないと気づいた時、今までのようにはならなかった。
俺とミカサも、この想いが偽物だと知ってしまったら今までのようにはいられないのだろうか。
クリスタ「先輩?」
エレン「………」
クリスタ「先輩!!」
エレン「うお!…なんだよ」
クリスタ「ミカサ先輩のこと、考えてました?」
エレン「っ!」
クリスタ「秘密を知っている同志です、話してくれてもいいんですよ」
エレン「でも今日は…」
クリスタ「もういいですよ、名前呼ばなくたって頭の中はミカサ先輩のことでいっぱいみたいですから」
エレン「…バレてたか」
クリスタには病気についての詳細や、俺とミカサがどのような経緯で付き合うようになったか、リヴァイ先輩のことも名前などは伏せ大まかなことを話した。
エレン「俺たちの気持ちも本物だって信じたい、もう一人の病気を持っていた人だってまだその人のことを想っているから」
クリスタ「実証した人がいるなら心強いですよね、ただ…」
エレン「ただ?」
クリスタ「その人は病気だった頃、好きな人をずっと遠ざけてきたんですよね」
エレン「ああ」
クリスタ「そのお陰なのでは?」
エレン「は…?」
クリスタ「その人は病気によって操られた想いを必死に拒絶しようとした」
クリスタ「だから操られる想いとは別に、自分自信の想いが生まれた」
エレン「どういうことだ…?」
クリスタ「例えば…大きな穴に落ちてしまった人と例えてみましょう」
そう言ってクリスタは分かりやすく自分の言いたいことを説明してくれた。
エレン先輩の場合
エレン先輩はこの穴からどう出ようか考えます。
そんな時、上にいた人が紐を吊るしてくれました。
これがミカサ先輩の病気の影響によって作られたミカサ先輩への想いです。
エレン先輩はこれに頼り、登っていきます。
しかし思春期が終わり、この想いもとい紐は切れてしまいます。
頼りにしていたものが無くなってしまったエレン先輩の心には、ミカサ先輩への想いは残らないと考えられます。
もう一人(リヴァイ)の場合
リヴァイにも同じように上の人から紐を渡されます。
しかし、リヴァイはこれに頼らず自分の力でこの穴から出ることにします。
そうしたことで、紐(病気)によって作られた感情とは別のもう一つの感情が確立したと考えられます。
リヴァイはたまたま、そのもう一つの感情の中で彼女を好きになったんでしょう。
エレン「つまり、俺はミカサを避けていくべきなのか…?」
クリスタ「これはあくまで私の持論ですよ?全部を鵜呑みにしないでください!」
エレン「でもまぁ…参考になった」
クリスタ「良かったです」
自分が思った以上に話してしまった。
きっと、今までずっと誰かに相談をしたかったのかもしれない。
クリスタ「そもそも、先輩たちの心が病気に操られているなんて決まっているわけじゃないんですよ!」
エレン「それもそうだな」
クリスタ「避けるなんて真似、しないでくださいね」
エレン「言われなくても避けるわけないだろ」
俺の言葉を、ミカサは信じてくれているから。
-
- 91 : 2018/02/14(水) 00:03:38 :
- 春風師匠!(笑)
更新早くて
神作品!
これからも期待しています!
-
- 92 : 2018/02/14(水) 00:25:08 :
- >>91
師匠はさすがに…笑
毎日更新は頑張っているので嬉しいです!
ありがとうございます!
-
- 93 : 2018/02/14(水) 00:56:49 :
- ほんとに更新早いのうれしいです!
毎度期待してます!
-
- 94 : 2018/02/14(水) 01:03:43 :
クリスタ「…では帰りますか」
エレン「もういいのか?」
クリスタ「はい、エレン先輩の本音も聞けたので」
エレン「…そっか」
帰りの電車の中、気づくと周りからの視線を感じた。
クリスタ「…気になりますか?」
エレン「クリスタは気にならないのか?なんでか知らないけどあちこちから見られてるぞ」
クリスタ「いつものことなんで」
エレン「いつも?…まさかお前も」
クリスタ「病気だって言いたいんですか?違いますよ」
エレン「じゃあ何で…」
クリスタ「言ったじゃないですか…私、結構モテるんですよ?」
エレン「俺には分かんないな…」
クリスタ「結構ヒドイこと言いますね」
エレン「その人のことをよく知りもしないのに好きになるってことがだ」
クリスタ「え…?」
エレン「ん?何のことだと思ったんだよ」
クリスタ「…なんでもありません」
エレン「?そうか」
クリスタ(この人はそういう人だと知っていた…知っていたから…)
クリスタ「エレン先輩の想いは、絶対に偽物なんかじゃありませんよ」
エレン「……当たり前だろ!」
クリスタ(私も…ただの憧れだったのだろうか)
電車を降りると、携帯に通知があった。
アルミン「海の件なんだけど、アニは来れないかもしれない」
エレン(アニが来れない…?)
エレン「どうしてだ?ミカサも誘ったって聞いたんだが」
アルミン「用事ができちゃったみたいなんだ」
エレン(いきなりだな…)
夏休み前の段階では、アニにこれといった用事は無かったはず。
エレン(そういえば…)
ふとある光景を思い出し、クリスタの方に向く。
エレン「クリスタ、お前アニと仲良かったよな?」
クリスタ「え!なんで知ってるんですか!?」
エレン「なんでって…学校でよく話してるの見るからさ」
クリスタ「あまり人前では話したこと無かったのに…」
エレン「海の件なんだけどさ、アニが行けなくてなったって知ってるか?」
クリスタ「アニが?聞いてませんけど…」
エレン(アニは呼び捨てなのか…)
エレン「用事ができたらしいんだが」
クリスタ「うーん…アニに急な用事ができるとも思わないですけど」
エレン(ヒドイな…)
エレン「最近アルミンと一緒にいるところも見ないしな…何かあったのか?」
クリスタ「あの二人が?」
エレン「というかそもそも、俺あの二人がどう知り合ったのとか知らないんだけど」
クリスタ「え!?アルミン先輩からとか聞いてないんですか?」
エレン「あいつ俺らのことはいつも聞いてくるのに、自分のことは話さないんだよ…」
クリスタ「まぁ、そういうことは直接聞いてくださいね」
エレン「そうするよ」
待ち合わせ場所の駅前まで戻ってきたのでここで別れる。
クリスタ「今日はありがとうございました」
エレン「いや、これで礼になったんならいいけど」
クリスタ「ミカサ先輩とのデートの予行練習にもなって良かったですね!」
エレン「デートしたことないみたいに言うなよ…」
クリスタ「あるんですか?」
エレン「………ないけど」
クリスタ「ええ!?待ち合わせの時に言ってたミカサ先輩は30分前に来るってなんだったんですか!?」
エレン「あれは一緒に登校するときの待ち合わせだ」
クリスタ「先輩…それはさすがに酷すぎます…」
エレン「そこまでか?」
クリスタ「本当に予行練習になったということで!次はミカサ先輩と楽しんでくださいね?」
エレン「ああ、ありがとな」
クリスタ「海、楽しみにしています!」
そう言ってクリスタは駆け足で帰っていった。
涙が見えたのは気のせいだろうか。
エレン(とりあえず…)
まずはアルミンに聞かなければな。
-
- 95 : 2018/02/14(水) 01:05:46 :
- >>93
良かったです!
これからも頑張って続けていくつもりです
ありがとうございます!
-
- 96 : 2018/02/14(水) 01:42:50 :
再びアルミンの連絡先を開き、メッセージを打つ。
エレン「アルミン、明日会えるか?」
アルミン「いいよ!どこで?」
エレン「久々にうち来いよ」
アルミン「分かった!」
次の日の朝。
約束通りアルミンは俺の家に来た。
エレン「よ!アルミン」
アルミン「お邪魔します」
カルラ「アルミン君、久しぶりね」
アルミン「おばさん、お久しぶりです」
カルラ「前は女の子みたいに可愛かったのに、今はもう男らしくなって!」
アルミン「ははは…」
エレン「母さんもういいから!俺の部屋に行くから!」
カルラ「後でおやつ持っていくわね」
エレン「だからいいって…」
アルミン「ふふっ…」
エレン「なんだよ」
アルミン「エレンはやっぱり昔と変わらないね」
エレン「お前までそう言うのかよ…」
アルミンを部屋に招き入れ、母の持ってきたおやつを広げる。
アルミン「でもどうしたの?急に会おうなんて」
エレン「アルミンにどうしても聞きたいことがあってな」
アルミン「僕に?」
エレン「ああ、それともう一人呼んであるんだけど…」
ピンポーン、と家のチャイムが鳴る。
エレン「早速来た、さすが30分前…」
カルラ「エレン!ミカサちゃんよ!」
エレン「今行く!」
アルミン「え?ミカサ!?」
玄関まで迎えに行き、ミカサも部屋に入れ三人でおやつを囲む。
エレン「…7年振りか?こうやって三人で俺の家で遊ぶの」
ミカサ「うん、7年振り…」
アルミン「まさかエレン、これがしたくて?」
エレン「んまぁそれもあるけど、ミカサには証人になって欲しくてな」
アルミン「証人?」
エレン「ミカサにはもう話したが、今日はアルミンとアニがどう知り合ったか聞きたくて来てもらったんだ」
アルミン「え…?」
エレン「お前最近、アニと上手くいってないみたいだしな…聞いておこうと思って」
ミカサ「私もどうしてか知りたかったし」
アルミン「ちょっと待ってよ!僕とアニがいつ仲悪くなったのさ」
エレン「見てれば分かるっての、なめんなよ」
アルミン「………」
アルミンは諦めたようにため息をついた。
アルミン「それで、ミカサが証人っていうのは?」
エレン「ああ、アルミンが嘘も交えるかもしれないからな、ミカサに確認してもらうことにした」
アルミン「それならミカサに聞けばいいのに…」
エレン「俺はお前から聞きたいんだ」
アルミン「!!」
エレン「どうしても、ダメか?」
アルミン(そうだ、エレンは昔から僕といつでも正直に向き合ってくれた唯一の…)
アルミン「………エレンには昔から敵わないな…」
エレン「ん?なんか言ったか?」
アルミン「なんでもない…話すよ、全部」
エレン「ありがとな」
あれは高校一年生の頃。
僕は勉強ばかりで、周りにはガリ勉野郎と陰で馬鹿にされていたんだ。
でも普段からミカサが一緒にいたから直接何かされるわけでもなく、普通の学校生活を送っていたんだ。
けどある日、ミカサが熱で学校を休んでしまって、僕は校舎裏に呼び出されたよ。
とんだ八つ当たりだった。
言ってることはメチャクチャで正直何を言っているのか分からなかった。
正直にそう言ってやったら殴られた。
僕にはどうすることもできなかった。
その時、通りかかったアニが助けてくれたんだ。
それはとても綺麗な足技で、彼らは一目散に逃げて行ったよ。
エレン「ちょっと待て!!」
アルミン「なんだよ話の途中なのに!」
エレン「お前がいじめられているところをアニに助けられたのか!?」
アルミン「そう言ってるじゃん、話ちゃんと聞いてるの?」
ミカサ「アルミンは嘘をついていない」
エレン「マジかよ…」
アルミン「続けていいかい?」
エレン「どうぞ……」
うずくまっているだけの僕にアニは言った。
アニ「あ…アンタは何も間違ってない、自分が正しいと思うことならもっと堂々としてればいい」
一目惚れだった。
さっきまでは男を一蹴りで吹っ飛ばした女の子が、一生懸命言葉を探して慰めてくれようとしてたんだ。
アルミン「あ…ありがとう」
アニ「…どーいたしまして」
-
- 97 : 2018/02/14(水) 02:16:33 :
それから僕は、自分が正しいと思うことに対して堂々と生きてきた。
もちろん、アニに対しても。
その日からアニに積極的に話しかけるようになり、帰りに遊んだりとかもよくした。
そして告白した。でも…
アルミン「アニが好きだ!僕と付き合ってくれないか?」
アニ「………」
アルミン「アニ?」
アニ「なんで、私なのさ」
アルミン「あの日アニに助けてもらった時からずっと、アニのことばかり考えているんだ!だから…」
アニ「それは多分違うよ…」
アルミン「え…?」
アニ「アンタは勘違いしてるんだ」
アルミン「勘違い…?」
アニ「助けてもらったことが衝撃で恩を好意だと勘違いしてるんだよ」
アルミン「そんなことない!僕は本気でアニを…」
アニ「とりあえずアンタとは付き合えない、それだけ…」
アルミン「アニ!」
その時から、僕の好意は助けてもらった感謝の気持ちから来ているものなのか、アニ自身のことが本当に好きなのか分からなくなってしまった。
それでも僕はアニにアプローチを続けた。
好きだと。
でもアニはその言葉に段々と苛立ちを覚えてきたのか誘いも断るようになってしまった。
つい先日、
アニ「いい加減やめなよ、私みたいな女をアンタが好きになるはずがない」
アルミン「そんなことない!現に僕は…」
アニ「何度言ったら分かる!それは助けられたことで勘違いしてるだけだって!」
アルミン「アニ待ってよ!」
アニ「もういい……海のこと、皆には行かないって伝えておいて」
アルミン「これがアニと出会って今日までのことだよ、ごめんね、アニに用事ができたって嘘をついて」
エレン「いや…大丈夫」
ミカサ「アニにはアルミンのことをよく相談された」
アルミン「アニがミカサに!?」
ミカサ「アニとは中学から仲が良いから」
アルミン「そういえばそうだった…」
エレン「でもこのままじゃ駄目だろ!アルミンもそうだよな?」
アルミン「う…うん…」
エレン「なんだよアルミン」
アルミン「いや……正直、僕のアニへの気持ちは本当に好意なのかな…」
エレン「お前、何言って…っ!」
エレン(今のアルミンは…俺たちと一緒だ)
今まで俺が悩んできたことと同じだ。
周りの言葉や状況によって、自分の感情を疑い始める。
これは好意ではないのかもしれないと。
でも、客観的に見ればこんなにも単純な話だったんだ。
エレン「アルミン、自分の心を疑うな!」
アルミン「え…?」
エレン「お前はアニが好きだ、誰が見たってそうだ」
アルミン「でもこれは…感謝の気持ちから来ているだけのものかもしれないよ?」
エレン「キッカケがどんなものであれ、お前がアニと今まで積み上げてきた時間に偽りはないだろ」
エレン「お前は助けてくれた時のアニしか好きじゃないのか?」
アルミン「………いいや、どんな時のアニだって僕は好きだ!」
エレン「それが答えだ、それをアニにぶつけてやれ!」
アルミン「ありがとうエレン!僕…やっとアニと本当に向き合える気がするよ!」
エレン「じゃあアニに言ってこい!」
アルミン「でもエレンは…」
エレン「もう話は済んだ、それに…」
ミカサ「え…エレン!?」
ミカサの肩に手を回し抱き寄せる。
エレン「俺らにも、時間をくれよ」
アルミン「…分かった」
そう言ってアルミンは部屋を出て行った。
カルラ「あら、アルミン君もう帰るの?」
アルミン「はい、急用ができたので!お邪魔しました!」
アルミン(アニ…僕は君の言葉を信じるよ)
自分が正しいと思うことは堂々とする。
僕の気持ちは、勘違いなんかじゃない!
-
- 98 : 2018/02/14(水) 22:03:29 :
- おもしろいです!!
毎度期待しております!!!
-
- 99 : 2018/02/15(木) 14:39:01 :
- >>98
いつものことながらありがとうございます!
-
- 100 : 2018/02/15(木) 23:59:02 :
ミカサ「エレン」
エレン「ん?」
ミカサ「さっきのアルミンの話、私たちに似てなかった?」
エレン「ミカサも思ったか」
ミカサ「今まで積み上げてきた時間に偽りはない…か」
ミカサ「それって、私たちも?」
エレン「当たり前だろ」
それを聞いたミカサは嬉しそうに微笑む。
しかし、すぐに真面目な顔に戻ってしまう。
ミカサ「昨日、クリスタとのお出かけは楽しかった?」
エレン「なんで今それを…」
ミカサ「何かあったりして」
エレン「別に何もねーよ…」
ミカサ「本当に?」
エレン「………告白みたいなものは、された」
ミカサ「やっぱり…クリスタはエレンのことが好きだと言ったのに」
ミカサが珍しく怒った顔をしている。
さすがにクリスタに対して無防備過ぎただろうか。
エレン「でも俺からは何も…」
ミカサ「エレン、目を閉じて」
エレン「目?」
ミカサ「いいから」
そう言われ目を閉じる。
頬にミカサの手が触れる。
ビンタでもされるのかと思い、目を力強く瞑る。
ミカサ「ん…」
唇に柔らかな感触があった。
エレン「み、ミカサ!?今のって…」
ミカサ「まだしたことなかったから…」
エレン「マジか…」
キスだった。
しかもミカサから。
男である自分からできなかったことに少々悔やむ。
ミカサ「もしかして…嫌だった?」
エレン「そんなわけないだろ!」
ミカサ「なら良かった…」
エレン「!!」
ミカサが嬉しそうにするのを見て、自分の中で何かが切れた感覚がする。
エレン「ミカサ、次はお前が目を閉じろ」
ミカサ「え、エレン!?」
エレン「ほら!」
ミカサ「ちょっと…エレンからは、恥ずかしい…」
エレン「目を閉じろしか言ってないだろ」
ミカサ「でもそれって…」
それでも頑なにミカサは目を閉じない。
仕方なく自らの手でミカサの目を隠し、口付けをする。
ミカサ「んん…!」
満足し、口と手を離す。
エレン「これは俺からも罰だ」
ミカサ「罰…?」
エレン「お前もジャンに好かれてること知らないだろ?」
ミカサ「いや、なんとなく…」
ミカサは平然とした顔でそう言った。
エレン「マジか…」
ミカサ「もしかして…」
エレン「?」
ミカサ「エレンも嫉妬してくれたの?」
エレン「は、はぁ!?」
ミカサ「だって…」
エレン「嫉妬じゃねーよ!ただ、お前もジャンに対して無防備っつか…」
ミカサ「そう」
エレン「絶対分かってないだろ…」
エレン(嬉しそうな顔して…)
ミカサ「安心して、エレンしか見てないから」
エレン「…知ってる」
負けじと強がってみせた。
-
- 101 : 2018/02/16(金) 00:43:55 :
- いーぞー
もっといちゃつけーい!
やべ、今日テストで徹夜してたのに
つい春風師匠のssを見てしまった、、、。(笑)
-
- 102 : 2018/02/16(金) 01:03:11 :
電話をかけると、意外にもアニはすぐに出た。
アニ「……なに?」
アルミン「話があるんだ!今、君の家の前にいる」
アニ「今!?…ていうか話って」
アルミン「君にどうしても伝えなくちゃいけないことがあるんだ!」
アニ「…そのことならお断りしたはずだよ、とっとと帰りな」
アルミン「違う!」
アニ「!!」
アルミン「それ以外にも、君には伝えるべきことがあるって気付いたんだ」
アルミン「だからお願いだ、顔を見せてくれないか?」
アニ「……はぁ」
アルミン「アニ…?」
アニ「私なら今家にいないよ、そんなに会いたいなら公園に来たら?」
アルミン「そ、そうだったんだ…ありがとう」
恥ずかしいと思いつつ、急いで近くの公園まで向かった。
アルミン「やぁ、アニ」
アニ「………」
なにも言ってはくれないが、手は振ってくれる。
買い物をしていたのか、片手にはスーパーの袋を持っていた。
アルミン「……それも持とうか?」
アニ「別にいい、そんなに量もない」
アルミン「そ、そう…」
アニ「で、話って?今までと違うことを伝えたいって言うから聞くんだ」
アルミン「うん…」
アニは優しい。
今日もそうだ。
無愛想にしていても、今まで僕の頼みを断ったことがほとんどない。
そんな彼女に、僕は…
アルミン「僕と…僕たちと、海に行きませんか?」
アニ「……は?」
アルミン「君と一緒にいられる時間が、少しでもたくさん欲しい!」
アルミン「僕は気づいたんだ…君を好きになったのは助けられたからじゃない、君と過ごした時間があったからだ!」
アニ「っ!キッカケはそうだろ?」
アルミン「気になり始めたのはそうだ、けど好きになったのは君を知ったからだ」
アルミン「無愛想だけど優しいところ、頼まれたら断れないこと…それ以外にも君のことをたくさん知っている、だから…」
アニ「私だって…!」
アルミン「!!」
アニ「アンタの弱いくせに負けず嫌いなこと、誰よりも努力家なこと…たくさん知ってる!」
アニ「だからこそ…アンタが私なんかと一緒にいちゃいけない…」
アルミン「アニは?」
アニ「………」
アルミン「アニは、一緒にいたくないの?」
アニ「……いたいよ、アンタのことが好きだから」
アニの目には涙が浮かぶ。
アニの手に、そっと自分の手を重ねた。
アルミン「僕と…付き合ってください」
アニ「…アンタにはもっと、相応しい人がいる」
アルミン「アニは知っているんだろ?僕が負けず嫌いだって」
アニ「!!」
アルミン「君が断っても僕はそばにい続ける、それでもかい?」
アニ「……はぁ」
アニは諦めたようにため息をつく。
だが、その顔は笑顔そのものだった。
アニ「たく、アンタには敵いそうにないね」
アルミンの手を握る。
アニ「お願いします」
手にビニール袋なんて不恰好で仕方ないけど、私たちにはお似合いかもしれない。
アルミン「僕たちの友人たちにも感謝しないとね」
アニ「友人?」
アルミン「君も相談をしていたんだろ?」
アニ「…聞いたんだ」
アルミン「そのためにも、海には行かないとね!」
アニ「そうだね、用事は取り消しみたいだ」
僕たちは互いに笑い合う。
あの二人も今頃、上手くやっているだろうか。
-
- 103 : 2018/02/16(金) 01:08:47 :
- >>101
たまにはイチャつかせなくては笑
テストなんですか!?
見に来ていただけるのはありがたいですが集中を!
師匠呼びは続いていたんですね…笑
-
- 104 : 2018/02/16(金) 01:15:33 :
- 春風師匠、これからも続きますよ(笑)
は!?コメントしている場合でわない!
集中集中、記憶記憶
-
- 105 : 2018/02/16(金) 01:23:45 :
- 自分も期待です!!
イチャつくのいいですねー笑
-
- 106 : 2018/02/16(金) 01:58:53 :
エレン「夏だ!!」
アルミン「海だ!!」
ジャン「水着だああぁぁああ!!」
今日は待ちに待った皆で海の日だ。
先に着替えを終えた俺たちは女子がいないことをいいことに大はしゃぎ。
クリスタ「あれ?エレン先輩たちがいない」
ミカサ「もう海に行ったのかも」
アニ「かもね、私たちも行こう」
クリスタ「なんかお二人のその余裕、悔しいです!」
ミカサ・アニ「?」
ジャン「おい、エレン」
エレン「なんだよ、今アルミン埋めたんだから邪魔すんなよ」
ジャン「お前の彼女が何やら危なそうだぞ」
エレン「はぁ?俺の彼女って……!!」
エレン(忘れてた!)
海の楽しさで、ミカサの病気のことをすっかり忘れていた。
ミカサの病気は無意識に周りの好意を寄せ付けるものだ。
こんなにも人が多いところでは危険にも程がある。
エレン「ミカサ!!」
ジャン「待て!俺も行く!」
急いでジャンの言う方まで走る。
「俺たちと遊ぼうよ」
ミカサ「…彼氏が待ってるんで」
「その彼氏も一緒でいいから私たちと遊ぼ!」
ミカサ「ごめんなさい…」
ミカサの周りには男女問わず人が押し寄せていた。
クリスタ「なんでこんなに人が…まさか!」
アニ「クリスタ、なんか知ってるの?」
クリスタ「それが…」
エレン「ミカサ!!」
ミカサ「エレン!!」
人を掻き分けミカサの手を掴む。
そして周りの人を睨みつける。
エレン「お前ら、いい加減にしろ!」
ジャン「そうだ!嫌がってる子を無理やり…」
「ごめんごめん、無理やり悪かったね」
「俺らも無理強いして悪かったな」
俺らが来たと同時に、周りの人はアッサリとこの場を去っていった。
エレン「へ…?」
ジャン「あれ?」
病気を考えても、展開を考えても、こんなにもアッサリいくとは到底思えない。
エレン(たまたま皆優しかっただけなのか?)
ジャン「どういうことだ?」
クリスタ「ま、まぁ行ってくれたならそれでいいじゃないですか!」
アニ「そうだね、これで気兼ねなく遊べる」
エレン「………」
ミカサ「エレン?」
エレン「あ、ああ、そうだな!」
ミカサ「?」
よく分からないが一先ず安心だ。
エレン「ん?ミカサの手、いつもと触り心地が違うような…」
クリスタ「え?そんなこと分かるんですか?」
ミカサ「今日はいつも以上に日焼け止めが塗ってある」
エレン「それでか」
エレン(ミカサの肌が綺麗なのも、色んなところで気を使っているんだろうな)
アルミン「アニも違うね」
アニ「私も日焼けはしたくないからね」
クリスタ「…周りがリア充過ぎてなんだか場違いな気がしてきました…」
ジャン「お、クリスタは俺の仲間か」
クリスタ「勝手に仲間にしないでください」
ジャン「え…」
ジャン(なんか他と扱い違くない…?)
海に入り、気づけば自然と足のつかないところまで来た。
ミカサ「ひっ…」
エレン「ミカサあまり泳ぐの得意じゃないのか?」
ミカサ「足がつかないと不安…」
エレン「ほら、俺の手掴まれ」
ミカサ「ありがとう…」
エレン「!危ねっ」
唐突に大きい波が来たので、咄嗟にミカサの体を抱きしめる。
ミカサ「えええエレン…」
エレン「どうした…ってすまん!」
エレン(柔らかかった…)
ミカサ「ううん、ありがとう…助かった」
エレン「そ…そうか」
ジャン「………」
クリスタ「なにエレン先輩たちの方ばかり見てるんですか」
ジャン「ば、ちげーよ!」
クリスタ「ミカサ先輩にフラれたくせに」
ジャン「別にフラれてはねーよ!お前だって、エレンにフラれたろ」
クリスタ「なっ…!なんでそれを!」
ジャン「やっぱな、見てりゃ分かるんだよ」
クリスタ「………」
ジャン「お前は慎重小さいけど、ここ大丈夫か?」
クリスタ「…そんなこと言ったって惚れたりしませんよ?」
ジャン「可愛げのない野郎だな、それに俺はミカサしか見てねぇっつの」
クリスタ「いい加減諦めたらどうですか?」
ジャン「あいつと上手くいかねーかもしれないだろ?お前こそ諦めたらどうだ!」
クリスタ「私の方はもう切り替えてるんで」
ジャン「んだと!?」
エレン「…あいつらあんな仲良かったっけ?」
ミカサ「さぁ…」
-
- 107 : 2018/02/16(金) 01:59:51 :
- >>104
悪い気分ではないので良しとします笑
しっかり集中してくださいね!
-
- 108 : 2018/02/16(金) 02:00:58 :
- >>105
ありがとうございます!
主軸もズラさずイチャ増やす努力をしております笑
-
- 109 : 2018/02/17(土) 00:55:27 :
- さすがです笑
ますます期待してます!!
-
- 110 : 2018/02/17(土) 01:26:17 :
- >>109
ありがとうございます!
-
- 111 : 2018/02/17(土) 02:15:38 :
エレン「クソ頭痛え…」
暑いのが苦手なことも忘れ、はしゃぎ過ぎてしまった。
おかげで頭痛が酷くなり日陰で休むことにした。
ミカサ「大丈夫?」
エレン「ちょっとはしゃぎ過ぎた…」
ミカサ「飲み物買ってきたから飲んで」
エレン「サンキュ…」
ミカサから飲み物を受け取り、それを一気に飲み干す。
すると何か思い出したように、隣にいたミカサが笑い出す。
ミカサ「ふふ…」
エレン「…なんだよ」
ミカサ「いや、昔も似たようなことあったな…って」
エレン「なにが?」
ミカサ「エレンが炎天下の中、はしゃぎ過ぎて倒れたこと」
エレン「あったか?そんなこと」
ミカサ「うん…エレンとの思い出は忘れない」
エレン「そっ…か」
エレン(思えば、ミカサは約束といい病気になる前からの俺との思い出を結構気にかけてくれている)
エレン「…ミカサってさ」
ミカサ「なに?」
エレン「病気になる前から俺のこと大分気にかけてるように見えるけど…」
エレン「実は病気になる前も、俺のこと好きだった…とか?」
ミカサ「え!?」
エレン「あ、いや…さすがに自意識過剰すぎたか…」
ミカサ「んー…正直今の私には分からない」
エレン「分からない?」
ミカサ「こんなこと言うのは少し失礼かもしれないけど、昔の私にとってエレンと会う時間は特別なものだった」
ミカサ「だからエレンが特別な人に見えていた…かもしれない」
エレン「それのどこが失礼なんだ?」
ミカサ「だってこの言い方じゃ…エレンと会う時間が当たり前だったら、エレンは特別じゃなかったって言ってるようなもの」
エレン「確かにな、でも特別だったんだろ?」
ミカサ「…うん」
エレン「ならそれでいい」
エレン(俺は昔から…お前のことが…)
上体を起こしミカサの顔との距離を一気につめる。
ミカサ「エレン!?」
咄嗟に目を閉じる。
キスをされるのだろうと思っての行動だったが、それは一向に訪れない。
恐る恐る目を開ける。
ミカサ「エレン?」
目の前には既に力尽きたエレンの姿があった。
ミカサ「エレン!?大丈夫?エレン!」
エレン(無理しすぎた…)
ミカサ「エレン、起きて」
エレン「ん…」
ミカサ「そろそろ帰らないと」
エレン「もうそんな時間に……って」
目を開くと目の前にはミカサの姿。
下から見上げるようになっている。
さらにシートの上とは思えない柔らかさ。
エレン(もしや…膝枕!?)
エレン「おいミカサ?どうなってんだこれ」
ミカサ「どうって…膝枕、この方が楽かと思って」
エレン「あ、ああ……ありがとう」
ミカサ「もう平気?」
エレン「大分楽になった、膝枕のおかげかもな」
ミカサ「それは良かった」
アルミン「あのー…そろそろいいかな?」
エレン「へ…?」
気づくと周りには既に皆が揃ってこちらを見ていた。
エレン「いつからここに!?」
アルミン「君が起きる前からだよ、そろそろ帰ろうって伝えに来たのに」
エレン「………」
エレン(全部見てたってことか…)
それを知っていながら平然とやってのけるミカサもすごいな。
ジャン「とっとと起きて片付け手伝いやがれ!」
エレン「病人に無理させんなよ」
ジャン「なにが病人だ…クソ、膝枕とか羨ましいっ…」
クリスタ「先輩にはやってくれるような女の子いませんもんね」
ジャン「お前はいちいちうるさいな!」
エレン「………」
今日一日楽しかった。
途中から倒れたから遊び尽くせたわけではないが、こうして友達と、彼女と海に来て遊べるなんて転校初日では考えられもしなかったのに。
これも全て、ミカサがそばにいてくれたおかげだ。
彼女が俺に、変化をくれたんだ。
エレン「また、遊ぼうな」
アルミン「エレン…」
ジャン「ミカサがいれば、俺はいつでも大歓迎だ!」
クリスタ「私も誘ってくださいね!」
エレン「もちろん!」
帰りの電車の中では皆疲れ切ってぐっすり眠ってしまった。
当然先程で眠っていた俺は眠くなかった。
携帯を見るとメッセージが来ていたのでそれを確認する。
エレン「………」
それから俺は駅に着くまで、隣で眠るミカサをただ見つめていた。
-
- 112 : 2018/02/17(土) 03:03:21 :
今日は年に一度、この町で祭りが行われる日だ。
当然ミカサと行く約束をしている。
カルラ「エレン、今日の祭り行くんだろ?」
エレン「行くけど、今日はミカサと行く約束してるから」
カルラ「なら丁度良かった!」
エレン「え…?」
ミカサ母「直接お会いするのは久しぶりね!」
カルラ「本当久しぶりね!」
母はミカサの母と祭りに行く予定だったらしく、俺とミカサを連れて親子で合流することになった。
思ってたのとは少し違うがいいだろう。
エレン「よ、ミカサ」
ミカサ「エレン!」
エレン「ミカサその格好…!」
ミカサ「エレンも」
目の前にいるミカサは浴衣姿だった。
俺も親に無理やり浴衣を着せられたが、ミカサの浴衣姿を見て安堵すると同時に、あまりの綺麗さに思わず見入ってしまう。
ミカサ「その…変じゃないかな」
エレン「いやすげぇ綺麗だ、似合ってる!」
ミカサ「エレンもその…似合ってる」
エレン「ありがとな」
ミカサ母(「いい感じの雰囲気じゃない!」)
カルラ(「ミカサちゃんはエレンには勿体ないくらいですよ!」)
ミカサ母(「とりあえず私たちはこの場から立ち去ることにしましょう」)
ミカサ母「ミカサ、私たちは行きたいところがあるから、あとは二人きりで回ってきなさい」
カルラ「私も行くから、エレンはあまりハメ外しすぎないようにしなさい」
エレン「もうそんなことないって…」
母たちが立ち去ると、隣にいたミカサが手を引っ張る。
ミカサ「エレン行こ!」
エレン「…おう!」
祭りには多くの屋台が並んでいる。
年に一度なだけあり、人も大勢いて少しでも離れてしまえばはぐれてしまいそうな勢いだ。
エレン「ミカサ、手離すなよ」
ミカサ「うん…」
エレン「さて、何から食うか」
ミカサ「真っ先に考えるのがそれ?」
エレン「だって祭りなんて食い物がほとんどだろ」
ミカサ「それはそうだけど…」
エレン「ミカサは何が食べたい?」
ミカサ「じゃあ…たこ焼き!」
エレン「よし、じゃあまずはたこ焼きを買いに行くか」
ミカサ「うん!」
長い列を並んだが、このたこ焼きはそれ相応の出来だと言えるだろう。
できたてのたこ焼きを口に含む。
エレン「これ美味いな!」
ミカサ「あつっ…」
エレン「大丈夫か?」
ミカサ「私猫舌だから熱いのは…」
エレン「ミカサ猫舌だったのか」
ミカサ「うん…」
それを聞いた俺は自分のたこ焼きを一つ取り、一部をかじり息を吹きかけ冷ましたものをミカサに渡す。
エレン「ほら」
ミカサ「え…?」
エレン「口開けてみろ」
ミカサ「う、うん…」
エレン「あーん」
ミカサ「あーん…」
エレン「どうだ?」
ミカサ「あ…熱くない、美味しい!」
エレン「良かった!」
ミカサ「でもこれ、エレンが…」
エレン「もしかして、嫌だったか?」
ミカサ「ううん!少し恥ずかしくなって…」
エレン「そ、そうか…」
すると、ポケットにあった携帯が通知を知らせる。
開くとアルミンとジャンからメッセージがあった。
アルミン「僕たちは今四人で祭りに来ているよ、二人も楽しんでいるかな?」
ジャン「少し癪だが今回は二人きりで楽しんだけ!」
などのメッセージだった。
隣にいたミカサも気になったようで画面を覗いてくる。
ミカサ「誰から?」
エレン「アルミンとジャン、二人きりで楽しめだとさ」
ミカサ「そう……って、その画面!!」
エレン「ん?」
ミカサ「ななななんで私の寝顔が画面に!」
エレン「ああこれ?この前の海の帰りに電車の中で撮ったんだ」
ミカサ「撮ったんだじゃなくて、なんで画面にしてるの!」
エレン「いや可愛かったから…つい」
ミカサ「ついじゃない!貸して」
エレン「待てよミカサ!」
ミカサ「それはさすがに恥ずかしい!」
エレン「ちょ…待て!」
ミカサが携帯を奪おうとして覆いかぶさってきたせいで、俺はミカサに押し倒される形になる。
エレン「……あんまハメは外しすぎるなよ」
ミカサ「これは…エレンのせい」
エレン「なんでだよ…」
-
- 113 : 2018/02/18(日) 01:13:49 :
屋台を色々回っていると、花火の開始を知らせるアナウンスが響く。
ミカサ「そろそろ花火が始まる」
エレン「もうそんな時間か」
ミカサ「早く行こう!」
エレン「分かったって!」
ミカサは俺の手を引っ張り走り出す。
余程花火が楽しみなのだろう。
ミカサ「ここからならよく見えそう」
そう言って空いてるベンチに座る。
エレン「そういえばここ…」
ミカサ「エレンと約束した場所、だね」
エレン「さすがだな」
ミカサ「約束を忘れてたからこの場所も忘れているかと思った」
エレン「まぁ座れば分かるな」
ミカサ「私たち…戻ってきたんだね」
エレン「…戻ってないだろ」
ミカサ「え…?」
エレン「あの頃とは違うだろ?俺たち」
ミカサ「…そうだね、変わった」
目の前に花火が上がる。
様々な色や形のものが次々と夜空に浮かぶ。
ミカサ「綺麗…」
エレン「ああ、そうだな」
ミカサ「またエレンと一緒に花火を見ることができて、とても嬉しい」
エレン「俺も、またミカサとここで花火を見れるとは思わなかった」
ミカサ「エレンとまた出会うことができて、本当に良かった」
エレン「ミカサ…」
俺はミカサの手をそっと握る。
しかし、ミカサはその手がわずかに震えていることに気づく。
ミカサ「エレン?」
エレン「あの頃のままでいられたら、良かったかもしれないな」
ミカサ「エレン?何を言ってるの?」
エレン「ミカサ、もし俺たちが離れ離れにならなくてはいけないって言ったら、どうする?」
ミカサ「私とエレンが…離れ離れ?」
エレン「そうだ」
ミカサ「嫌だ…絶対に嫌だ」
エレン「………」
ミカサ「何があったか分からないけど、どうしてそんなことを言うの?」
エレン「………」
ミカサ「教えて!」
エレン「…海に行った日、エルヴィンさんから連絡があった」
ミカサ「私のところには何も…」
エレン「ミカサには言わないように俺が言ったんだ」
ミカサ「どうして?」
エレン「これを聞いたミカサが何をするか不安だった、だからまずは俺一人で…」
ミカサ「っ!!」
瞬間、頬に痛みを感じた。
そして、それがミカサからのビンタだということに気づく。
エレン「ミカサ?」
ミカサ「エレンは…何も分かってない」
ミカサ「なんで私が、エレンと一緒になりたいか…恋人になりたいと思ったのか」
エレン「え?」
ミカサ「エレンが好きなのはもちろん、だけど私はあなたを支えたいと思った」
ミカサ「エレンが昔から人のために自らを犠牲にすること、一人で抱え込む癖があること知ってる…」
ミカサ「だからこそあなたの恋人になって、支えていきたいと思った…なのに」
エレン「………」
ミカサ「どうしてエレンは、私を頼ってくれないの?」
エレン「ミカサが…大事だからだ、だから守りたいんだ」
ミカサ「私はそんなこと望んでない、昔からずっと…あなたと対等であることを望んでる」
ミカサ「ここでした約束もそうだった…」
エレン「ミカサ…俺…」
ミカサ「こめんなさい、自分勝手なこと言い過ぎた…」
エレン「いや、俺こそごめん…ミカサのためだと勝手に思って、お前を傷つけていたんだな」
目の前で泣いているミカサの目に溜まる涙をそっと手で拭う。
エレン「そんな泣いてると花火が見えないだろ」
ミカサ「うん…」
エレン「今度一緒にエルヴィンさんのところへ行こう」
ミカサ「うん…」
再び花火を眺める。
どんなに綺麗な花火も、夜空の闇の中へ消えていってしまった。
エレン「俺はミカサのそばにいるよ」
-
- 114 : 2018/02/18(日) 14:06:15 :
- おーー!
期待です!!!
-
- 115 : 2018/02/18(日) 21:24:19 :
- 期待!
めっちゃ期待してるよ!
-
- 116 : 2018/02/19(月) 01:11:47 :
- >>114
ありがとうございます!
-
- 117 : 2018/02/19(月) 01:12:17 :
- >>115
お気に入り、期待ありがとうございます!
-
- 118 : 2018/02/19(月) 01:58:28 :
ミカサ「どんな内容だったか教えてくれる?」
花火も終わり、隣に座るミカサが質問してくる。
俺も呼吸を整え、話し始める。
エレン「俺も詳しくは聞いてないんだ、ただ俺たちが一緒にいると互いに危険性があると言われた」
ミカサ「なんで…」
エレン「俺たち以外に同じ症状を持っていた二人が見つかったらしい」
ミカサ「持っていた?」
エレン「そう、その二人は既に成人してるから病気自体は完治しているんだ」
エレン「ただ、今その二人は入院している」
ミカサ「入院!?どうして?」
エレン「二人にはもう、まともな生活を送ることはできないらしい…」
エレン「詳しいことは聞いてみなければ分からない、ただこの病気が影響しているのは確からしい…」
ミカサ「つまり私たちもその人たちと同じようになる可能性があるってこと?」
エレン「そうだ…」
ミカサ「………」
そのままミカサは黙り込んでしまった。
俺にもどうすればいいか分からない。
この状況でミカサにアテもない約束をしても、それは一時的な励ましにしかならない。
俺はただミカサの体を抱きしめることしかできなかった。
帰り、俺たちは一言も言葉を交わすことなく家に着いた。
ただ沈黙の中で、手から伝わる温もりだけが心を満たし続けた。
エレン「それじゃまたな、ミカサ」
ミカサ「…うん」
エレン「元気出せよ」
ミカサ「エレンこそ…」
エレン「………」
ミカサ「………」
沈黙が続く。
だがミカサは帰ろうとせず、口を開いた。
ミカサ「エレンは…今日ずっと、一人で悩んでいたはずなのに元気に振舞ってくれたんだよね」
エレン「無理してたわけじゃない、本当に楽しかったからだ」
ミカサ「…私も楽しかった」
ミカサ「来年は、病気にも悩まされず祭りに来れるんだよね」
エレン「そうだ」
ミカサ「来年、絶対にまた二人で祭りに行こうね」
エレン「ああ…」
祭りも終わり、ジャンとクリスタとは別れ、二人で帰り道を歩く。
アルミン「今日は楽しかったね」
アニ「本当は二人で良かったんだけど…」
アルミン「まぁまぁ、ジャンも可哀想だったし…ほら、クリスタとの関係も良好にさせてあげたいじゃん」
アニ「二人はそんな雰囲気無さそうだけど?」
アルミン「うーん…お似合いだと思うんだけど」
アニ「………アルミンはさ」
アルミン「なに?」
アニ「エレンとミカサのこと、気づいてるの?」
アルミン「……なんのことかな?」
アニ「あの二人はただの恋人関係というわけではなさそうだ、鋭いアンタならもう気づいているんじゃない?」
アルミン「気づいて…る、ただそれが何かまでは分からない」
アニ「やっぱり、アルミンも感じてたんだね」
アルミン「うん、昔からの友達だからね」
アルミン(エレンはいつも、肝心なことは僕に話してくれない、自分だけで抱え込もうとする)
アルミン「助けになりたい、でもどうすればいいか分からない…」
アニ「私も、ミカサにはアルミンのことで色々世話になった…だから」
アルミン「そういえば…」
アニ「?」
アルミン「エレンとミカサは一度、エルヴィンさんに会ったことがあるって言っていた」
アニ「エルヴィンさん…?」
アルミン「脳神経などについて研究している巷で有名な人なんだけど、今度またその人に会いに行くみたいなんだ」
アニ「なんでそんな人と…」
アルミン「知り合いのつてで仲良くなっただけって言ってたけど、二人のことに何か関係しているのは確かなんだ」
アニ「じゃあその人と会う日に…」
アルミン「尾行しよう!」
-
- 119 : 2018/02/19(月) 02:54:28 :
マスター「いらっしゃ〜い」
エレン「またここに来ることになるとは…」
電車で1時間。
再びエルヴィンと会うために、この喫茶店に訪れることになった。
マスター「あら、前にエルヴィンさんと一緒にいたお二人じゃない」
エレン「よく覚えてますね…」
ミカサ「大分前に来たのに…」
マスター「そんなのお茶の子さいさいよ」
その後マスターは「それにしてもあの二人とソックリ…」などと呟きながら戻っていった。
程なくしてエルヴィンさんが来店してくる。
エルヴィン「やぁ二人とも、久しぶりだね」
エレン「お久しぶりです」
ミカサ「お久しぶりです」
エルヴィン「しかし急遽ミカサくんも連れて来たいとはどうしたんだい?」
エレン「やはりこれは二人の問題なので、病気を持つ当の本人が聞かないというのもおかしな話だと思いまして」
エルヴィン「そうだね、じゃあ早速だけど本題に入ろうか」
ミカサ「あの…」
エルヴィン「ん?」
ミカサ「これから話すことで、何か私たちに強制をすることってありますか?」
エルヴィン「強制はない、どんなことも二人の意思を尊重するつもりだよ」
エルヴィン「ただこれを聞いて今までのままいられるか…」
ミカサ「え…?」
エルヴィン「まず前にメッセージで送った、同じ症状を持っていた二人について話そう」
二人には直接話しを聞くことができなかった為、周りの友人からの証言になる。
話によると、病気を持っていたのは男性の方だと思われる。
特に何をしたわけでもないのに異様に周りに好かれることが多々あると男性は友人によく相談をしていたそうだ。
そして高校一年生の時、男性はなんの接点も無かった女性に急に恋をした。
女性も同じく、やがて二人は恋人になった。
症状について理解をしていなかった二人は不審がりながらも自らの恋心に準じていたそうだ。
二人に変化が訪れたのは大学に入って数日のこと。
感情が無くなり、自分で意思を決めることもできなくなってしまった。
周りの人がサポートをすれば生活はできるが、自分だけの力で生きていくことはできないだろう。
エルヴィン「そして、今は二人とも病院で入院をしている」
エレン「なんでそんなことに…」
エルヴィン「おそらく今まで感情や意思決定を知らずに病気に委ねてしまい、自分で独立するための力が欠如してしまったんだろう」
エレン「つまり、俺たちもこのままだとそうなると?」
エルヴィン「その可能性が大いにある」
ミカサ「でも、病気によって生み出される感情にはどう逆らえばいいんですか?先輩はできたみたいですけど…」
エルヴィン「リヴァイの場合、おそらく私などの客観的意見から病気によって生み出された感情などを理解し、それを拒絶することで自分自身の感情を確立できたのだろう」
エレン「だから俺たちが一緒にいるのは危険だと…」
エルヴィン「言い方は悪いが、あの二人がああなってしまったから今こうして君たちは対策することができるんだ」
エルヴィン「解決策がある以上、私はそれに従ってほしいと思う」
ミカサ「でも…」
エルヴィン「特にミカサ君」
ミカサ「え…?」
エルヴィン「君はエレン君とは違い中学生の頃からその病気を持っているんだ、今の内に自分自身の感情を確立させなければ危険だ」
エレン「やはり長ければ長いほど、その危険性は増すってことですか?」
エルヴィン「多少の影響を受ける周囲の人間には何も無かったし、恐らくその影響の強さと長さ」
エルヴィン「つい最近に影響を受けたエレン君の場合は特に問題ないかもしれないが、ミカサ君は確実に…」
エレン「ミカサが…」
ミカサがもし感情を無くし、一人で生きていくことのできない体になってしまったら。
そう考えるだけで恐怖を感じた。
エルヴィン「一時の感情か、今後の人生どちらが大事かよく考えるんだ」
もう俺たちが選ぶべき選択は一つしかないのだろうか。
アルミン「まさか、そんなことが…」
アニ「ミカサが…」
一枚の壁で隔たれた隣の席で、予想だにしなかった話が二人の耳に飛び込んできた。
-
- 120 : 2018/02/20(火) 01:25:49 :
季節は秋、九月。
緑に生い茂っていた葉も今は色を変え落ちてゆく。
夏休みが終わりを告げ、クラスには落胆の声が聞こえる。
ジャン「この間までクソ暑かったのに今じゃもう寒いぜ…」
アルミン「そうだね…」
ジャン「アルミン、お前布団は学校に持ってきちゃダメだろ!」
アルミン「だってぇ…このままじゃ凍え死んじゃうよ…」
エレン「アルミンは暑いのは平気だけど寒いのは極度にダメなんだな」
ジャン「そーいや、エレン」
エレン「んだよ」
ジャン「お前今日はミカサと一緒に登校してなかったな、もしかして愛想尽かれたか?」
エレン「……かもな」
ジャン「冗談のつもりだったんだが…マジかよ」
エレン「とりあえずミカサには俺の話題出さないようにな」
アルミン「エレン…」
あの日、エルヴィンさんの話しを聞き、俺とミカサは互いに干渉し合わないように決めた。
エルヴィンさんが喫茶店を出てから、俺たちの間には沈黙が続いた。
先に沈黙を破ったのはミカサだった。
ミカサ「…エレンは、祭りの日私に言ってくれたよね?私のそばにいるって」
エレン「…言った」
ミカサ「今、もう一度同じことを私に言ってほしい」
エレン「………」
ミカサ「エレン、お願い!」
エレン「……無理だ」
ミカサ「!!」
エレン「ミカサ、これからは俺に関わらないようにしてくれ」
ミカサ「嫌だ」
エレン「これ以上ミカサが病気に流されるがままだったら、この先どうなるか分からない!」
ミカサ「私の想いは…病気に操られたものじゃない」
エレン「そんなの…分からないだろ」
ミカサ「分かる!」
エレン「それが操られているって言ってるんだ!」
ミカサ「っ!」
エレン「ミカサがこの先生きていけなくなってしまったら…何も意味ないじゃないか」
ミカサも理解しているはずだ。
俺と関わってはいないということを。
ミカサは俺を真っ直ぐに見つめる。
その瞳はまだ諦めていなかった。
ミカサ「エレンは、また私との約束を忘れてしまうの?」
エレン「え…?」
ミカサ「この想いが嘘じゃないって言ったことも、これから本物にしていこうって言ってくれたことも…」
ミカサ「そばにいるって言ってくれたことも…全部嘘だったの?」
エレン「嘘じゃ…ない」
エレン「けど、このままミカサが俺といたら…!」
ミカサ「エレンは私と一緒にいたくないの?」
エレン「いたいさ、けど病気に惑わされたまま恋を続けていくことなんて、きっと無理だったんだ…」
ミカサ「無理じゃない!」
エレン「ミカサが言ったように俺は嘘をついてきたんだ、自分の心も本当かどうか分からないんだから…」
エレン「だからこの病気を無くし、俺はミカサと本当の意味で向き合いたい」
ミカサ「私もこんな病気囚われず、エレンと普通の恋がしたい…」
ミカサ「エレンが本当に好きなんだって、信じたい」
そのままミカサは泣き出し、俺の手を強く握り続けた。
俺もその手を握り続けた。
ミカサは俺よりも長い間、本物と信じられない世界で生きてきた。
すぐにでも解放してやりたい。
けど、もう少しだけ我慢してほしい。
エレン「ミカサ」
エレン「高校を卒業しても、まだ俺たちがお互いを好きだったら…」
エレン「もう一度と付き合ってくれないか?」
これは告白だ。
だが、同時に今の俺たちに別れを告げるものになる。
ミカサ「…私がエレンを嫌いになるはずがない」
エレン「ならこの約束、受けてくれるな?」
ミカサ「………」
エレン「ミカサ?」
ミカサ「本当は嫌だ、エレンと離れ離れになるなんて…せっかく恋人同士になったのに…」
エレン「………」
ミカサ「だけどエレンが私のためを思ってこの決断をしたことも分かってる…だから」
そう言ってミカサは小指を突き出す。
ミカサ「指切り、次こそ約束を忘れないために」
エレン「そうだな」
ミカサの小指に自分の小指を絡める。
ミカサ「嘘ついたらズタズタに削いでやる、指切った!」
エレン「怖すぎる指切りだな…」
ミカサ「エレンが約束を破らないように」
エレン「これは忘れたらヤバイな…」
お互いに笑い合う。
もう高校生のうちには、こうして笑い合うこともできなくなってしまう。
そう考えると胸が痛む。
だが、卒業したらきっとまた笑い合える、そう信じて…
「今までありがとう…」
-
- 121 : 2018/02/20(火) 01:55:36 :
今考えると不思議な話だ。
この高校に来てミカサに恋をした時は、恋を知らないミカサにコミュニケーション能力を高めさせるために友人と積極的に関わるように指摘してきた。
しかし、ミカサと恋人同士になった俺は病気をこれ以上悪化させない為に、俺とその他の人と関わらないように約束した。
当初とは真逆のことをしている。
でも唯一共通しているのは、どれも俺がミカサを想って行動したことだということ。
そのどれもが、ミカサのためになったとは言い難いが。
エレン「なぁジャン、お前今でもミカサが好きか?」
ジャン「なっ…!それ今聞くか?」
エレン「いいから教えてくれよ」
ジャン「まぁそりゃ好きさ、なんだお前…ミカサ取られたくないから気になってんのか?」
エレン「お前自分の想いが勘違いなんじゃないかとか考えたことあるか?」
ジャン「あ?ねーけど」
エレン「どうしてお前、ミカサを好きになった?」
ジャン「なんだよ、男同士で恋バナか?」
アルミン「確か一目惚れじゃなかったっけ?」
ジャン「おいアルミン!!」
エレン「やっぱな…」
ジャン「なんだよやっぱって」
エレン「なんでもねー、こっちの話だ」
ジャン「なんだよ気になるだろ!」
アルミン「エレンはジャンが病気に影響されているんじゃないかって気になってるんだよ」
エレン「っ!!」
ジャン「はぁ?病気?」
アルミン「ね、エレン」
エレン「アルミン…まさかお前…」
ジャン「なんだそれ、まさか胸がドキドキするのは病気!?とか言うなよ?」
エレン「………」
アルミン「………」
アルミンだけを人気のないところに呼ぶ。
エレン「アルミン、お前もしや知ってるのか?」
アルミン「なんのこと?」
エレン「とぼけるなよ…ミカサのことだ」
アルミン「……知ってる、僕だけじゃない、アニもだ」
エレン「アニも!?なんで…」
アルミン「君たちがエルヴィンさんに会いに行った日、僕ら二人で尾行していたんだ」
エレン「それで話しを盗み聞きしたって?」
アルミン「そうだ」
エレン「なんでそんなことした!」
アルミン「僕とアニは二人に助けられた、けど二人が悩んでいるのに何もしてやれなかった」
アルミン「力になりたかったんだ!」
エレン「気持ちは嬉しいよ、でも何もできることなんてなかっただろ?」
アルミン「………」
アルミンは黙り込む。
その反応はもっともなものだ。
アルミン「正直、君たちの現状がここまで酷いものとは思わなかった」
アルミン「驚いたよ…」
エレン「話し聞いてるなら俺とミカサがどうしているかも分かるな?」
アルミン「君とミカサは、自分の気持ちを拒絶し続けなければならない」
エレン「そうだ」
アルミン「僕らがミカサと関わることもできない…」
エレン「そうだ」
アルミン「僕は……何も力になれないのか?」
アルミンが拳を強く握り締める。
昔からアルミンは友達想いなやつだった。
自覚はしていないが、いつも俺やミカサのことを助けてくれた。
俺はまた、アルミンに力を借りる。
エレン「………アルミン」
アルミン「え…?」
エレン「お前に、力になって欲しいことがあるんだ」
アルミン「!」
-
- 122 : 2018/02/20(火) 03:37:21 :
- どーなんるんやー!
期待です!!!
-
- 123 : 2018/02/20(火) 19:46:22 :
- チョー期待!
-
- 124 : 2018/02/21(水) 00:48:03 :
- >>122
実は結末は既に頭にあります
ありがとうございます!
-
- 125 : 2018/02/21(水) 00:49:22 :
- >>123
また来てくださったんですね!
チョー期待、ありがとうございます!
-
- 126 : 2018/02/21(水) 02:00:28 :
ミカサ(久しぶりだ、この感じ…)
寄ってくる周囲の人を拒絶しなければならない。
このまま上手くいくかも分からない、ただ今はこれに賭けるしかない。
また私は一人になる。
でも今はエレンとの約束がある。
エレンを信じる。
ミカサ(そういえば…)
リヴァイ先輩は病気を持っていたはずなのに、一部の人には酷く恐れられていた。
先輩は日頃から症状による現象を拒絶し続けてきた。
やはり拒絶することは何かしら効果を生むのだろうか。
アニ「ミカサ」
アニが声をかけてくる。
しかし私はあえて反応をしない。
アニ「私はミカサの病気のことを知っている、だからミカサは無理に話そうとしなくていい」
ミカサ「!!」
アニ「私の独り言だと思って」
ミカサ「………」
アニ「ミカサが今どんな状況で、そうしなければならない理由も分かる」
アニ「でも一番大事なのはミカサ自身だ、どうしても苦しくなったらどんなことがあろうと私やエレンに相談するんだ」
ミカサ(アニ…)
アニ「勘違いするんじゃないよ、私はただアルミンとの借りをすぐにでも返したいだけだから」
ミカサ「ありがとう、アニ」
アニ「……どういたしまして」
アニらしい言葉だった。
アニが優しい人だということはずっと前から知っている。
アニなりに私のことを励ましてくれたのだろう。
アニ「まぁその病気じゃこれから先何があるか分からないからね」
アニ「海の時みたいに絡まれたりでもしたら…」
ミカサ(海…)
そういえばあの日は、更衣室を出てからすぐに病気の影響で人に囲まれたんだった。
でもあの時はなぜかすぐに人が立ち去っていった。
ミカサ(否定すればこの症状は断ち切れる…?)
リヴァイ「エルヴィン」
エルヴィン「リヴァイか」
リヴァイが何の前触れもなく私の部屋に入ってくる。
このやり取りはいつ振りだろうか。
リヴァイ「俺の届けた情報は使えたか?」
エルヴィン「ああ、恐らく二人はもう関係を持っていないだろう」
リヴァイ「…そうか」
エルヴィン「ハンジには会えたか?」
リヴァイ「何を今更…」
エルヴィン「お前は優しいやつだ」
リヴァイ「なんだいきなり、気持ち悪ぃ…」
エルヴィン「ミカサ君を脅して恋人になったのも、ミカサ君を思っての行動なんだろ?」
リヴァイ「なんのことだか」
エルヴィン「ミカサ君が周囲を信じられない状況、恋をしないようにする状況を作った」
リヴァイ「結果は散々だけどな…」
エルヴィン「ハンジもお前が優しいと理解している、ハンジがそれだけで嫌いになると思うか?」
リヴァイ「さっきから聞いてりゃ、他人事だってのにうるせぇな…」
エルヴィン「リヴァイ、たまには自分に優しくてもいいんじゃないか?」
リヴァイ「………」
リヴァイ(優しい、か……俺は結局自分の考えを人に押し付けただけだ)
その中で二人が自ら選択してきたに過ぎない。
あの二人は既に、自らの意思を確立していたんじゃないだろうか。
リヴァイ(卒業後…か)
一年前。
ハンジ「リヴァイ!」
リヴァイ「話しかけんじゃねぇ、クソメガネ」
ハンジ「相変わらず酷いなぁ…」
リヴァイ「用件はなんだ、とっとと話せ」
ハンジ「私、リヴァイと同じ大学行くことにしたから!」
リヴァイ「ああ?そりゃ何の冗談だ」
ハンジ「だからさ、卒業後もよろしく!」
リヴァイ「じゃあ俺は違うところにするとしよう」
ハンジ「だとしても会いにくらい来てくれよ?」
リヴァイ「そのくらいはしてやるよ」
ハンジは宣言通り、その大学を受験し、見事合格した。
俺もまた言った通り、ハンジとは違う大学に進んだ。
だが、ハンジとの約束は未だに果たされていない。
リヴァイ(約束、果たさねぇとな)
-
- 127 : 2018/02/21(水) 02:11:44 :
- しょっちゅう視点が変わります。
紛らわしくてすいません…
誰視点?とか、そもそも内容が理解できないなど、あったら是非コメントお願いします。
-
- 128 : 2018/02/21(水) 03:20:40 :
まだ終わりは先になるかもしれませんが、ここからラストスパートになると考えています。
そこで、今回は今までの話を省略したものを説明も踏まえて書きます。
本編には関係ありませんので、見ていただかなくても結構です。
物語の始まり
高校三年生になったエレンは、親の都合により父の地元の高校へ転校してきます。
三年生での転校ということに周囲に馴染めない不安を抱えていたエレンですが、幼馴染のアルミンやミカサと再会したことで学校に打ち解けることができました。
突然の再会を果たしたエレンとミカサは、互いに心の変化を感じます。
エレンは、今のミカサを知らないのに好きな自分に戸惑います。
しかし、ミカサが今のエレンを知りたいと思い行動する姿を見て、エレンも今のミカサを知り自分の好意を受け入れようとしていくようになります。
「恋を知らない」というミカサにそれを知ってもらうため、エレンはミカサにコミュニケーションを取るように促します。
しかしそこでミカサを待ち受けていたのは、先輩にして元カレのリヴァイ。
ミカサはリヴァイに「俺とお前は同じだ」と言われ続けていました。
その理由は、ミカサとリヴァイが同じ"病気"を持つ者同士だったからです。
"病気"
周囲の人間に自分への好意を高めさせる。
それは友好的な意味で決して恋ではないが、中には勘違いしてしまう人もいる。
また、病気を持つ者は特定の一人に恋をする。
その対象も、病気の持ち主に恋をしてしまう。
症状は思春期のみに発生、思春期が終わると症状は消える。
この病気は持ち主の意思や感情を操るため、病気に身を委ねてしまうと自分自身の意思が確立せず、症状が治まった時に感情を失ってしまう。
エレンは自分の心が操られているものと知りながらも、ミカサと恋人になる決心します。
エレンはこれから本物にしていけばいいとミカサとの思い出を重ねていくことにします。
しかし、表面は普通の恋人同士に見えても、そう上手くいっているものではありませんでした。
自分の心が本物かどうか分からないため、二人は互いに愛し合いながらも、互いの心を疑い続ける日々を送っていた。
二人の考えは似たようで違っていました。
エレンは、この気持ちが嘘でも本物にしていく。
ミカサは、この気持ちは病気のせいではなく自分の心である。
しかし、ここでまたしてもエレンの心に変化を生む出来事が起こります。
病気に心を委ね過ぎると感情を失ってしまう可能性がある。
ミカサは今の関係が無くなってしまうことを恐るが、エレンはミカサと「本当の気持ちで向き合える日まで」と関係を断ち切ることを決意。
恋人同士ではなくなってしまった二人にはそれぞれの想いが。
本当の気持ちでミカサと向き合える日を待ち望むエレン。
この気持ちが本物であると信じていたいミカサ。
二人の考えの相違を、今後の物語に繋げていきます。
今回は自分の頭を一旦整理させるためにも書きました。
すいません…
今まで応援してくれた皆さんにはとても感謝しています!
今後ともぜひお付き合いいただければとても嬉しいです!
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- 129 : 2018/02/21(水) 04:01:32 :
- >>126本編の続きになります。
アルミン「しかし、エレンの頼みごとがまさかこれなんて…」
エレン「…悪いか?」
アルミン「いや、いいと思うよ」
エレン「高校では何もしてやれないんだ、だからせめてな…」
放課後、今俺たちは図書室にいる。
図書室は放課後でも時間まで出入りが可能だ。
アルミン「エレンが勉強に対してここまで集中できるなんて…」
エレン「俺をなんだと思ってんだよ…」
アルミン「…脳筋?」
俺とアルミンが取り組んでいるもの、それは過去問だ。
しかもリヴァイ先輩の通う大学。
つまり、ミカサの志望校だ。
エレン「大学に行けばあいつのそばにいてやれる…」
アルミン「…エレンはさ、その病気が治ってもミカサのことが好きでいられると思う?」
エレン「……正直わかんねぇよ」
アルミン「………」
エレン「本当は自信満々に好きに決まってる!って言ってやりたいところなんだけどさ」
アルミン「言えばいいじゃん、気持ちが左右することもあるかもよ?」
エレン「………」
アルミン「エレンが僕に言ってくれたじゃないか、積み重ねてきた時間があるって!」
アルミン「エレンにもあるんじゃないの?」
エレン「積み重ねてきた時間があるからこそ、俺はミカサを好きだって言い切れないんだ」
アルミン「どういうこと?」
エレン「ミカサと一緒にいて楽しかった、ミカサが本当に好きなんだって…思った」
エレン「だけど俺はそれと同時に、この気持ちは作り物なんだって考えていたんだ」
エレン「いつも自分自身の心を疑ってた俺が、本気でミカサのことを好きだって言う資格はない…」
アルミン「じゃあエレンはなんでミカサと付き合ったの?そんな中途半端で付き合ったって、ミカサが可哀想なだけじゃないか!」
エレン「嘘でも本物にしていこうって思ってたんだ、だから…」
アルミン「じゃあ本物にしようよ」
エレン「は…?」
アルミン「ほら言うんだ、ミカサが好きだって!」
エレン「何言ってんだアルミン、ここ図書室だぞ!?」
アルミン「この時間は先生もいないし周りには生徒もいない、さぁ早く!」
エレン「くっ…」
アルミンがこうなってしまった時は、誰にも抑えることができなかった。
昔からそうだった。
アルミンに押し負けた俺は渋々口を開く。
エレン「ミカサが好きだ…」
アルミン「もっと大きい声で!」
エレン「ミカサが好きだ!」
アルミン「もっと腹の底から!!」
エレン「ミカサが好きだぁ!!」
ミカサ「!!」
俺が叫んだと同時に図書室の扉が開く。
視線を向けると、そこに立っていたのはミカサだった。
ミカサ「エレン…?」
エレン「ミカサ…」
これはマズイ状況だと一瞬で感じた。
ミカサに関わるなと言った俺がこんなことをしたらミカサはどう思う?
俺に感情を向けてしまったらミカサは…
エレン「……せろ」
ミカサ「え?」
エレン「いいからとっとと失せろ!!」
ミカサ「っ!」
アルミン「エレン!!」
そのままミカサは走り去ってしまう。
エレン(あいつ…泣いてたな)
我ながら酷いことをしたと思う。
でもこうでもしないと…
アルミン「エレン、今のはさすがに…」
エレンを叱ろうとしたが、彼の姿を見た瞬間そんな気持ちは微塵もなくなってしまった。
今まで一度も見たことないエレンの姿。
エレン「ミカサ…ごめん…」
頭を抱え、必死で涙を隠しているようだった。
アルミン「…今日はもうおしまいにしよう、明日も手伝ってあげるから」
エレン「すまないアルミン」
アルミン「大丈夫、大事な友達のためさ」
エレン「クソ、こんなとこで泣くなんて…」
アルミン「小学生の頃はよく泣いてたじゃないか」
エレン「いつの話してんだよ…」
アルミン「僕にとっては、いつまでもエレンはエレンってことさ」
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- 130 : 2018/02/22(木) 02:20:07 :
エレンともう一緒に帰ることはできない。
こうしてエレンのことを考えることもできなくなってしまう。
ミカサ(何か気が紛れることを…)
そう思って私が向かったのは図書室だった。
エレン「ミカサが好きだぁ!!」
ミカサ「!!」
図書室の扉を開いて最初に飛び込んできたのは、エレンの叫び声。
ミカサ「エレン…?」
エレン「ミカサ…」
ミカサ(エレンが今……私のことが好きだって…)
エレン「……せろ」
ミカサ「え?」
エレン「いいからとっとと失せろ!!」
ミカサ「っ!」
そうやって怒鳴ったエレンの顔は怒っているようで、どこか寂しそうな表情だった。
私は逃げるようにして図書室から立ち去った。
これ以上エレンのところにいるわけにはいかない。
ミカサ(やっぱり……今の私じゃエレンのそばにはいられない…)
そう思うと涙が溢れた。
だが同時に嬉しいと思う自分がいた。
アニ「ミカサ!?」
ミカサ「アニ…」
アニ「あんた泣いて…」
ミカサ「っ!ごめん…」
そのまま立ち去ろうとしたが腕を掴まれ阻止される。
アニ「待ちなって!」
アニ「私言っただろ、辛かったら話すんだって」
ミカサ「………」
アニ「ミカサ」
ミカサ「……うん」
教室に戻り、椅子に腰をかける。
アニ「落ち着いた?」
ミカサ「うん…ありがとう」
アニ「エレンのことで、何かあった?」
ミカサ「うん」
アニ「図書室の方から来たもんね、今日は二人がいるって伝えておけば…」
ミカサ「ううん、アニは悪くない」
アニ「そう言ってもらえると助かるよ」
ミカサ「それに…悪いことだけじゃ、なかった」
アニ「え…?」
ミカサ「さっき……エレンの本心を聞くことができたと思った」
アニ「本心?」
ミカサ「もう何日もエレンと会えなかった、だからエレンが私のことをどう思ってるかずっと気になってた」
ミカサ「もしかしたら、私は本当にエレンに嫌われてしまったのではないかって…」
アニ「………」
ミカサ「エレンは言っていた、私のことが好きだって…」
ミカサ「それと同時に失せろって…」
アニ「失せろって……いくらなんでも言いすぎだろ」
ミカサ「それはエレンの優しさだから…」
アニ「女に失せろって言うやつのどこが優しさなんだか」
ミカサ「いけないのは私、エレンが私のことを想ってくれていると知ってしまったから」
アニ「つまり、エレンはそうなるといけないからわざと遠ざけるようなマネをしたってこと?」
ミカサ「うん…エレンらしい」
あの日からずっとエレンを遠ざけるようにしてきた。
約束を果たすためにも、私はエレンを拒絶し続けなければならない。
だけど…
ミカサ(嫌いになれるわけないよ…)
ミカサ「私はやっぱり……エレンが好き」
アニ「……私にはミカサが病気に操られてそう言っているようには思えないね」
ミカサ「え…?」
アニ「客観的に見れば病気による感情かどうか分かりやすくなるんだっけ?」
アニ「今のミカサは、本心からそう言っていたよ」
ミカサ「アニ…」
アニ「私はミカサの好きなようにすればいいと思う…ただ、その後どうなっても恨むのはなしだからね」
ミカサ「うん」
そうだ
なぜ私は自分の心を疑うようになってしまったのだろうか。
あの日、リヴァイ先輩と同じであることを拒絶し、エレンの告白を受け入れた時から私の心は決まっていたはず。
私のこの気持ちは、操られたものじゃないって。
-
- 131 : 2018/02/22(木) 23:39:44 :
- 結末もうあるんですか!!
読み直してきます!
期待してます!
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- 132 : 2018/02/23(金) 00:18:30 :
- >>131
読み直されると表現力の無さが際立ってしまいます…笑
ありがとうございます!
-
- 133 : 2018/02/23(金) 01:16:51 :
図書室からの帰り。
日が落ちるのも大分早くなり、あたりは既に暗くなっていた。
そのせいか、家の前に誰かがいるのにも気づかなかった。
ミカサ「エレン」
エレン「!!」
家の前にはミカサがいた。
家も近いしミカサがここにいるのは不自然ではない、前までなら。
エレン(どうして…)
そこからすぐに立ち去ろうと家に入ろうとするも、ミカサに腕を掴まれ阻止される。
ミカサ「待って!少しでいい、私の話を聞いてほしい」
エレン「話すことなんかない、お前が今どんな状況か分かってんのか?」
ミカサ「分かってる」
エレン「だったら!」
ミカサ「エレンは、私のこと…好き?」
エレン「っ!」
ミカサ「それだけでいい、教えて」
エレン「………そうじゃないって言ったら、どうする?」
ミカサ「もう二度と、エレンとは関わらない」
エレン「二度と…?」
ミカサ「そう、たとえ高校を卒業しても」
エレン「それはずるいだろ…」
ミカサ「建前なんて捨てて…エレンの今の気持ちを教えてほしい」
エレン「なんでそんなこと」
ミカサ「お願い…」
エレン「………」
本当はここでミカサを突き放すべきだったのかもしれない。
でも、今ミカサは俺と心から向き合おうとしてくれている。
これは俺が求めてきたものじゃないのか?
それをなぜ、俺が拒絶しなければならない。
エレン「……好きだよ、ミカサが好きだ」
ミカサ「本当に?」
エレン「ああ」
ミカサ「本当の本当に?」
エレン「なんでそんなに疑ってくるんだよ」
ミカサ「教えて」
エレン「………本当だよ、ミカサが好きで堪らない、ミカサと別れてから、ミカサと会えなくなってからもお前のことを一度たりとも忘れたことなんかない…!」
その瞬間に唇に温もりを感じた。
キスだ。
同時に力強く抱きしめられ、全身に重みを感じる。
エレン「ミカサ…何を!」
ミカサ「エレン、私前に話したことあるよね」
ミカサ「私はこの想いが、操られたものだって思ってないって…」
エレン「まさかお前……まだ受け入れるつもりなのか!?」
ミカサ「受け入れてなんかいない、私は病気を認めてなんかいない」
ミカサ「エレンが好きなのは…私自身の意思だと信じているから」
エレン「そんなの……お前に分かるわけないだろ!」
ミカサ「じゃあエレンが見て」
エレン「え…?」
ミカサ「私は今……操られている?エレンにはそう見える?」
正直分からなかった。
病気のせいでそうなっていると言ってしまえばそこで終わりだ。
だが、他者から恋をするキッカケをもらった者が、ここまで誰かを想えるだろうか?
ミカサは俺を見てる。
ミカサ自身が、見てる。
そう思った。
エレン「…見えない」
ミカサ「なら…」
エレン「でも俺は…ミカサに苦しい思いをさせたくないんだ」
エレン「ミカサの未来を…奪ってしまうような真似を…」
ミカサ「知ってるよ」
エレン「え…?」
ミカサ「エレンがいつだってそう考えてるってことは、でもねエレン」
ミカサ「私は、この想いを抱えたまま拒絶し、拒絶される生活を過ごすほうがずっと苦しい」
エレン「ミカサ…」
苦しんでいた、ミカサはずっと。
エレン「ごめんな、ミカサ」
ミカサ「ううん…」
エレン「でも、やはりお前にはこのまま続けてほしいと思う」
ミカサ「そんな…さっき私の本心だって…」
エレン「ミカサの心を疑ってるわけじゃない、ただ病気を持っている以上、治療は続けたほうがいい」
エレン「それに、"お前には"…だ」
ミカサ「え…?」
エレン「俺はずっとミカサのそばにいる、拒絶だってしない」
ミカサ「それじゃあ…!」
エレン「ただお前から行動は起こすな」
ミカサ「つまり、私だけがエレンを拒否し続けるってこと?」
エレン「そこまでしなくていい、反応しないくらいでいい」
ミカサ「でもそれで効果はあるの…?」
エレン「少なくとも病気によってこうしたいという意思や感情は否定することになるから、効果がないことはないと思う…」
ミカサ「でも私だけエレンを無視し続けるなんて…」
エレン「安心しろ」
ミカサ「!」
エレン「俺はもうお前の心を疑ったりもしないし、ずっとそばにいる」
ミカサ「…わかった」
どうなるかは分からない。
本当にこれで、ミカサを救えるのか。
エレン(…でも)
ミカサ「エレン、ありがとう…」
この笑顔を見れば、間違いではなかったと思える。
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- 134 : 2018/02/23(金) 22:42:33 :
- 表現力めっちゃあるじゃないですか!
期待してまーす!!
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- 135 : 2018/02/24(土) 10:10:30 :
- >>134
そう言っていただけると嬉しいです!
ありがとうございます!
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- 136 : 2018/02/24(土) 10:42:08 :
そして、俺たちの奇妙な関係が始まった。
エレン「今日も一緒に帰ろう」
ミカサ「………」
エレン「忘れ物はしてねーから確認する必要はないからな」
ミカサ「………」
エレン「………」
ミカサ「………」
二人で一緒にいる時間がほとんどだが、黙ったまま一緒にいるか俺が一方的に話すか。
側から見れば奇妙だ。
でもそれが俺たちだ。
ジャン「なぁエレン」
エレン「なんだよ、もう帰るとこなんだが」
ジャン「お前……振られたからってストーカーは良くないだろ」
エレン「は?ストーカー?」
ジャン「どう見たってそうだろ!ミカサ嫌がってるだろ!」
エレン「あー…」
ジャン「あー、じゃねーよ!」
エレン「じゃあなんだよ!」
ジャン「やめてやれっつてんだよ!」
エレン「なんでやめなきゃいけないんだよ!」
ジャン「お前ミカサが好きすぎてとうとう頭逝っちまったか?」
エレン「何言ってんだよ」
ジャン「お前こそ何やってんだ、ミカサが好きなら嫌がることはやめろよ」
エレン「いや、ミカサに頼まれてやってんだよ」
ジャン「は…?」
エレン「だから、ミカサに…」
ジャン「いやいや、ミカサがストーカーしてくれって頼んだのか?」
エレン「だからストーカーじゃねぇって言ってんだろ」
ジャン「じゃあ何なんだよ!」
エレン「ミカサが待ってるから、もう帰るな」
ジャン「おいちょっと待…」
こういうことが増えた。
俺だけじゃなくミカサもよく言われているのを見る。
しかし、ミカサが誰に対しても同じ反応をすることから、俺たちの関係は段々と周囲に理解されるものとなってきていた。
一部の人間(ジャン)を除いて。
ミカサとの登下校では、いつも俺だけが話す。
それに対し、ミカサはうんともすんとも言わない。
ただ無表情に、こちらから見れば聞いているのかどうかも分からない。
これがミカサの演技だと分かっているからこそ、俺たちの関係は続いている。
しかし、病気によってミカサが本当に感情を失ってしまえば、これが現実のものとなってしまう。
エレン「最近駅前に美味いクレープの店ができたらしい」
ミカサ「………」
エレン「今度二人で行こうな」
怖い。
この関係が始まってから、ミカサがこうなってしまったらと常に考えてしまう。
不安が一気に高まり、聞いてはいけなかった質問が自然と口から出る。
エレン「ミカサ……今のお前の反応は全部、演技だよな?」
ミカサ「…!」
明らかにミカサが驚きの表情を見せた。
今までミカサは常に感情を押し殺してきたため、その表情ですらとても新鮮なものに感じた。
最初、ミカサはどう反応すればいいか分からないといった風だったが、やがて首を縦に振った。
エレン「ごめん…」
ミカサ「………」
謝罪に対しても、ミカサは首を横に振った。
こうしてミカサに反応してもらえることすら、俺にはとても嬉しく感じた。
同時に、このままの関係でいることにとてつもなく寂しさを感じた。
自分が思っていた以上に、俺はミカサのことが好きで仕方ないらしい。
いつもは繋いでいた手も、今ではただ冷えた空気に触れて、まるで凍えているようだ。
本当は手を繋ぎたい。
そう思って手の方に視線を向けると、ミカサの手が視界に入る。
まるで感情を押し殺しているかのように、きつく拳を握りしめている。
ミカサも同じことを考えていたのではないか。
そう考えると、寂しいような、暖かいような気持ちになった。
エレン(今はミカサがそばにいるだけでいい)
そう思った。
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- 137 : 2018/02/24(土) 11:09:07 :
エレン「ミカサが推薦をとった!?」
アルミン「そうみたいなんだ!僕はアニから聞いたんだけど」
エレン「そうか……面接は来週か?」
アルミン「そう…だね、応援するの?」
エレン「いや必要ないだろ」
アルミン「ダメだよ!緊張でガチガチになっちゃったらどうするのさ!」
エレン「ミカサに限ってそんなことはないだろ」
エレン「それに、今は…」
アルミン「………」
明らかに場が静まってしまったのを感じ、慌てて明るく取り繕う。
エレン「まぁとにかく、俺も頑張らないとだ!」
アルミン「そうだね、僕たちも頑張らないとね!」
エレン「おう!」
ミカサは行けるんだな、目指していたところに。
エレン(確か大学にはリヴァイ先輩が…)
大学に行ったら思う存分ミカサと過ごそうと思っていたが、あの人がいると考えると少し落ち着かなさそうだ。
エレン(まぁ、まずは受かってからじゃねーと)
ミカサの連絡先を開き、メッセージを送る。
エレン「今日はアルミンと図書室行くから、先帰っててくれ」
すぐさま既読がつき、返信が来る。
ミカサ「わかった、また明日」
メッセージのやり取りは多少だがしている。
少なくとも、直接会って接するよりは問題がないと考えたからだ。
それでも、ミカサからメッセージが来ることはない。
そのため、ミカサが推薦を貰ったことも俺はアルミンに聞くまで知らなかった。
前まではうるさかったクリスタからのメッセージも、今ではほとんどない。
話に聞くと、最近はジャンとよく話しているらしい。
二人して仲は良くないと言っているが、なんだかんだいってよく絡んでいる。
ジャンがクリスタの方に行ってくれれば、俺もまぁ嬉しい。
エレン「とりあえず図書室行くか」
アルミン「ミカサには言った?」
エレン「もちろん」
アルミン「じゃあ行こっか」
エレン「そーいや、アルミンは進路どうすんだ?」
アルミン「そういえば言ってなかったね、僕も行きたい大学があるから進学するよ」
エレン「そうだったのか、それってどこなんだ?」
アルミン「えっとね、クロルバ大学って言うんだけど…」
リヴァイ「クロルバ大学…懐かしいな」
今の大学に進む前に、第一志望としていた大学。
そして、長年想いを寄せ続けていた人が通っている場所。
???「リヴァイ…?」
突然背後から声をかけられる。
しかし、あまりにも聞き覚えのある声に驚きはしなかった。
リヴァイ「ハンジ…」
-
- 138 : 2018/02/24(土) 12:05:02 :
- ジャンクリだと!?
エレミカもアルアニも私得だよ!
期待!
-
- 139 : 2018/02/25(日) 01:54:28 :
- >>138
ありがとうございます!
ジャンクリはどうするか考え中です…
-
- 140 : 2018/02/25(日) 02:51:09 :
ハンジ「リヴァイ…?」
リヴァイ「ハンジ…」
ハンジ「久しぶりだねー!」
リヴァイ「!!」
想像以上に明るい反応に思わず驚く。
リヴァイ「ハンジ…お前」
ハンジ「なんだよー、来るなら連絡をくれたっていいじゃないか!」
リヴァイ「……俺はお前の連絡先なんて知らねぇ」
ハンジ「あれ?そうだったか…」
リヴァイ「………」
ハンジ「………」
互いに黙り込む。
ハンジは怒っていないのだろうか?
俺が今までしてきたことを。
リヴァイ「なぁハンジ、お前は…」
ハンジ「分かってるよ、リヴァイが言いたいこと」
リヴァイ「さっきから俺の言いたいことを遮りやがって…」
ハンジ「だって分かるからさ」
リヴァイ「何が分かるんだ」
ハンジ「今までのことを謝りに来たんだろ?」
リヴァイ「それもある、でも俺は…お前との約束を果たしたかった」
ハンジ「約束…」
リヴァイ「お前は忘れただろうが…」
ハンジ「忘れるわけないだろ!」
今まで笑顔を見せていたハンジも、ついにその表情を崩す。
ハンジ「私が…リヴァイとの約束を忘れるとでも思ったかい?」
リヴァイ「でも俺が今までしてきたことは…」
ハンジ「病気」
リヴァイ「!!」
ハンジ「知ってるよ、エルヴィンさんから聞いた」
リヴァイ「あいつ…」
ハンジ「だから私はあなたを責めたりしない」
リヴァイ「でも俺が今までお前を拒絶し続けたのは事実だ、すまない…」
ハンジ「もう過去のことはいいさ、それより聞きたいことがある」
リヴァイ「なんでも聞いてくれ」
ハンジ「リヴァイは…病気が治った今でも、私のことが好きかい?」
リヴァイ「………」
今までずっと、疑ってきた。
周囲の人間も、自分の心すらも。
でも今なら言える、この想いも信じられる。
リヴァイ「好きだ」
ハンジ「………そっかー」
リヴァイ「ハンジ?」
ハンジは眼鏡を一度外し、目を拭うような動作を見せる。
ハンジ「いやなんでもない」
リヴァイ「お前は…どうなんだ?」
ハンジ「…愚問だね」
ハンジ「私はあなたをずっと待っていたんだよ」
リヴァイ「すまない、待たせた…」
ハンジを抱きしめる。
内心では思ったより身長の差があったことにショックを受けた。
ハンジ「なんだか今日のリヴァイは優しすぎて逆に怖いなぁ…」
リヴァイ「ああ?」
ハンジ「ウソウソ、待たせた分甘えさせてくれよ」
リヴァイ「黙れクソメガネ…」
ハンジの言う通りだ。
俺はずっと、ハンジを待たせてきた。
何年も。
だから、今度は俺がずっとそばにいる。
二度と待たせてしまわないように。
アルミン「じゃあ帰ろうか」
エレン「ああ」
図書室を出ると、見覚えのある女子と遭遇した。
クリスタ「あれ?エレン先輩とアルミン先輩」
アルミン「クリスタ、もう部活は終わり?」
クリスタ「はい!何してたんですか?」
エレン「アルミンに勉強を教わってたんだ」
クリスタ「勉強?もしかしてエレン先輩進学するんですか?」
エレン「ああ、おかしいか?」
クリスタ「志望大教えてくださいよ」
エレン「え…シガンシナ大学、だけど」
クリスタ「シガンシナ…」
エレン「なんだよ」
クリスタ「なるほどー、そういうことですかー」
エレン「なんだよその意味深な言い方は!」
クリスタ「いえ、ただ順調にストーカーしてるなぁと思って」
エレン「お前までストーカー呼ばわりか…」
クリスタ「証拠もありますよ?広報誌に載っけますか?」
エレン「俺を犯罪者にするつもりか…」
クリスタ「冗談です」
エレン「お前の冗談はいつも冗談じゃないんだよ…」
クリスタ「ミカサ先輩のこと、大事にしてあげてくださいね」
そう言って去って行ってしまった。
結局あいつは何が言いたかったのだろうか。
アルミン「クリスタも心配してるんだよ、二人のこと」
エレン「…だな」
アルミン「じゃあ帰ろうか」
エレン「おう」
-
- 141 : 2018/02/26(月) 00:50:00 :
- 続き気になるー!!
期待です!!!
-
- 142 : 2018/02/27(火) 00:26:02 :
- >>141
ありがとうございます!
-
- 143 : 2018/02/27(火) 00:59:59 :
アルミン「ミカサ、シガンシナ合格したって!!」
エレン「さすがだな…」
アルミン「なんだよ、もっと素直に喜びなよ!」
エレン「俺はそれどころじゃないんだって!」
そんな報告を聞いたのは、12月になったばかりの学校でだった。
ジャン「俺も内定貰ったぜ!」
エレン「そーかそーか、良かったな」
ジャン「もう少し喜んでくれたっていいだろ!」
アルミン「ミカサの合格すら喜べる状況じゃないみたいだから」
ジャン「なんだよ、そんな切羽詰まってんのか?」
エレン「ああ」
ジャン「即答かよ!」
アルミン「エレンの実力じゃ、シガンシナなんか本気出しても入れるかどうかだし…」
ジャン「あそこ結構エリート揃いだもんなぁ…」
ジャンとアルミンの言う通り、シガンシナはここら辺でも頭が良く、今のままの俺の実力じゃ少なくとも確実に無理と言える。
秋に入ってから猛烈に勉強はしたが、何年も遅れを取ってきた分を取り返すのは相当困難といえた。
ジャン「試験いつなんだよ」
アルミン「確か2月じゃなかったっけ?」
エレン「そうだ」
ジャン「滑り止めとかどうしてんだ?」
エレン「一応カラネスだけど」
ジャン「もう進学一筋にしたのか?」
エレン「そりゃ、今から就職ってのも難しいしな」
エレン「ここまで勉強したなら大学進んでおきたいとも思ってさ」
ジャン「へぇ」
アルミン「僕も1月に試験があるから頑張らないと」
ジャン「たく…周りは受験生だらけか、こりゃ冬休みは何もねーな」
エレン「クリスタとでも遊んでこいよ」
ジャン「は?何でここでクリスタの名前が出てくんだよ!」
エレン「何となく」
ジャン「意味わかんねーよ!」
エレン「それよりアルミン」
ジャン「無視かよ!」
エレン「アニはどうしてるんだ?」
アルミン「僕と同じクロルバを受けるんだよ」
エレン「そうだったのか!受かればお前らも大学では一緒なのか!」
アルミン「うん!」
ジャン「受験生ってだけじゃなくリア充だらけだ…」
アニ「おめでとう」
ミカサ「……ありがとう」
唐突に祝いの言葉を貰う。
言葉が足りなく、何のことを言っているのか分からないが、進路が決まったことに対してだろうと考えた。
アニ「冬休みはどうするの?」
ミカサ「特に何も…」
アニ「せっかく時間があるのにね…」
ミカサ「エレンと……クリスマスの日にだけ会う約束をしている」
アニ「へぇ、そりゃ良かったね」
ミカサ「アニは、アルミンと過ごすの?」
アニ「私たちはお互いに受験生だからね、そんな暇ないよ」
ミカサ「私も、エレンに迷惑だろうか?」
アニ「たまには息抜きも必要だよ、それに…」
ミカサ「?」
アニ「クリスマスくらい、エレンもミカサに会いたいと思ってるはずさ」
ミカサ「…そうだといいな」
-
- 144 : 2018/02/27(火) 01:23:13 :
- 期待です!!!
クリスマスーー!!!
-
- 145 : 2018/02/27(火) 23:14:48 :
- >>144
ありがとうございます!
今回早速クリスマスの話となります!
-
- 146 : 2018/02/27(火) 23:50:54 :
冬休みが始まり、すぐに迎えたクリスマスイブ。
時刻は既に5時を回り、街がだんだんとイルミネーションの灯りに包まれてゆく。
エレン「ミカサ!」
ミカサ「エレン!」
待ち合わせ場所に座る彼女の元へ駆けていく。
エレン「すまん、待ったか?」
ミカサ「ううん、全然」
エレン「……そっか」
ミカサは見るからに冷え切っていた。
鼻の先まで赤くなっている。
今日を楽しみにして早くからここで待っていてくれたのかと思うと嬉しかった。
エレン「まずは約束してたクレープでも食べに行くか」
ミカサ「うん!」
なぜ俺たちがこんなにも自然に話しているのか。
それは冬休み前、ミカサにお願いされたことがキッカケだった。
冬休み前日。
ミカサ「…エレン」
エレン「!?」
久々にミカサから名前を呼ばれ、無意識に体が驚く。
ミカサ「クリスマスのことなんだけど…」
エレン「そのことなら俺が決めとくから、ミカサはもうしゃべるな」
ミカサ「お願いがある!」
エレン「お願い?」
ミカサ「クリスマスだけ……エレンと普通に過ごさせてほしい」
エレン「それって…」
ミカサ「ダメ…?」
ミカサからのお願い。
つまりミカサは、クリスマスの日にだけ俺と普通に話し、普通に接していたいと言っている。
今の関係を一日だけやめるということだ。
本来なら、今の関係ですら危険な状況にあるため、断るところだが…
ミカサ「エレン……お願い…」
エレン「………分かった」
ミカサ「!!」
エレン「俺もミカサと……話していたいし」
ミカサ「ありがとう…」
俺も今日だけは受験勉強を休み、ミカサと一緒に過ごすことを決めた。
ミカサにも、一日でいいから休養が必要なのではないかと思えた。
二人で近くのベンチに座り、クレープを食べる。
エレン「ミカサ何にしたんだ?」
ミカサ「チョコストロベリー、エレンは?」
エレン「チョコバナナ、ミカサの一口くれよ」
そう言ってミカサのクレープに齧り付く。
ミカサ「え、エレン!?」
エレン「そっちも結構おいしいな」
ミカサ「わ…私も、エレンのもらう!」
エレン「おい、ミカサ!」
ミカサが身を乗り出し、エレンのクレープを咥える。
ミカサの顔がぐっと近くなり、目の前でクレープを咥えている姿を見て、今更自分が恥ずかしいことをやっていたことに気づく。
ミカサ「これで同じ」
エレン「お、おう…」
エレン(俺無意識にこんなことしてたのか…)
-
- 147 : 2018/02/28(水) 00:36:33 :
ミカサ「綺麗…」
二人で駅前の大通りに飾られているイルミネーションを眺めながら歩く。
エレン「そうだな…」
エレン(お前の方が綺麗だ……なんてさすがに言えねぇ…)
ミカサ「エレンと二人で、イルミネーションを見ることができてとても嬉しい」
エレン「本当はもっと本格的にやってるところに連れて行きたかったんだけどな…」
ミカサ「エレンと過ごせただけで私は十分」
ミカサの手が俺の手に繋がれる。
手は冷えていたが、そこには確かな温もりを感じた。
ミカサ「…エレン」
エレン「どうした?」
ミカサ「私、エレンが好き」
ミカサ「だからもっとエレンと話したい……もっとエレンに触れたい……」
ミカサ「こんなにも…好きなのに…」
エレン「ミカサ…」
ミカサの目には涙が浮かぶ。
分かってる。
今一番辛いのはミカサなんだと。
エレン「ごめん…」
ミカサ「何でエレンが謝るの…?」
ミカサが泣くのはいつも、俺を想っている時だから。
帰りは一緒に帰る。
行きは俺が忙しく、時間を合わせることができなかった。
普通の恋人として接することのできる時間を少なくしてしまったことを惜しんだ。
だからこそ、今はこの時間を大切にする。
ふと隣を歩いていたミカサが立ち止まる。
エレン「ミカサ?」
ミカサ「あの…エレン、これ」
ミカサは手に持っていた袋を目の前に出す。
エレン「やっぱミカサもか」
俺も同じように袋を出す。
エレン「クリスマスプレゼント、だろ?」
ミカサ「うん」
互いの袋を交換し、中身を出してみる。
エレン「これは……マフラー?」
ミカサ「エレンのも……マフラー」
エレン「……」
ミカサ「……」
お互いが同じものを用意していたことに驚きと笑いが込み上げ、互いに笑い出す。
ミカサ「なんで同じの」
エレン「ミカサこそ」
ミカサ「巻いて…みる?」
エレン「それ、巻いてやるよ」
ミカサ「私も、エレンに巻いてあげる」
向かい合い、お互いのマフラーを巻く。
ミカサ「あったかい…」
エレン「ありがとなミカサ」
ミカサ「エレンも、ありがとう」
エレン「どーいたしまして」
帰路は長いようで、とても短かった。
この時間が終わると思うととても名残惜しい。
隣で歩くミカサも、家に近づくにつれて表情が暗くなっていくのが分かる。
お互い気づいていないフリをして、歩く速度を落としていた。
エレン「次に会うのは来年か」
ミカサ「うん、エレンはもう就職決まった?」
エレン「あー…まだだ」
ミカサには大学を受験することを話していない。
驚かせたい気持ちもあるが、同時に弱音を言うと落ちた時にミカサにあまり気を遣わせたくないというのもある。
ミカサ「そう、エレンならきっと上手くいく」
エレン「おう」
ミカサ「私は何もできないけど、応援している」
エレン「ありがとう」
気づくと家の前だった。
繋いでいた手をそっと離す。
エレン「それじゃあ、また来年…」
ミカサ「うん、また来年」
エレン「ミカサ」
ミカサ「?」
エレン「俺もミカサが好きだ、だからミカサと本当に向き合える日まで頑張るからな」
エレン「ミカサも…」
ミカサ「もう大丈夫だよ」
ミカサ「今日エレンと過ごせたから、今日貰えた温もりだけでも頑張れる」
エレン「ミカサ…」
ミカサ「またねエレン、良いお年を!」
エレン「ああ、ミカサもな」
今日ミカサから貰った温もりを、そっとしまい込んだ。
-
- 148 : 2018/03/01(木) 01:16:05 :
- 切ないーー!
でも期待ー!!!
-
- 149 : 2018/03/02(金) 09:24:29 :
- >>148
ありがとうございます!
白猫のせいで更新遅れてしまいました….
-
- 150 : 2018/03/02(金) 10:18:42 :
「新年明けましておめでとうございます!」
テレビからそんな声が聞こえてくる。
今日は1月1日。
目を覚ましリビングに出ると、親が既に出かける準備をしていた。
エレン「どっか行くのか?」
カルラ「エレンやっと起きたね、あんたも早く着替えなさい」
エレン「は?」
カルラ「初詣よ!」
エレン「初詣…」
親に急かされるまま着替え、近くの神社に向かった。
神社に行くと既に人が多く群がっていた。
エレン「わざわざこんな時間に行かなくても…」
カルラ「まぁいいじゃない、こういうのは早く済ませたほうが」
ミカサ母「あら、カルラさん?」
カルラ「こんにちは、ミカサちゃんも一緒なんですね」
ミカサ「こんにちは…」
エレン「!」
ミカサが来ていることに少し驚いたが、考えれば家が近いのだからこの神社に来るのは当たり前だろう。
ミカサ母「明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いしますね」
カルラ「こちらこそ」
エレン「………」
ミカサ「………」
俺たちは互いに言葉を交わすことなく目をそらす。
カルラ「あんたミカサちゃんと喧嘩でもした?」
エレン「まぁ…そんな感じ」
ミカサの病気が治ると考えられるのは、恐らく4月から5月。
今はまだ、俺たちは普通に接することができない。
ミカサ母「ミカサ、大丈夫?」
ミカサ「うん…」
ミカサ母「こんな人が多いと大変だよね」
ミカサ「平気だよ、それに私が初詣に行きたいって言ったから」
ミカサ母とミカサの会話を聞く限りだと、ミカサは母にちゃんと病気のことを話しているのだろう。
エレン「とりあえず俺たちは俺たちで行こうぜ」
カルラ「せっかく会ったのに別々で?」
エレン「いいから!」
ミカサ母「あの…」
エレン「?」
ミカサ母「一緒に行きませんか?せっかく会ったし」
エレン「え、でもミカサは…」
ミカサ母「一緒に行くだけ、だって」
カルラ「ほら、じゃあ行きましょ」
こうして互いの家族と一緒に初詣に行くことになった。
ミカサはどこか困ったような顔をしていた。
エレン「ミカサ?」
ミカサ「………」
エレン「……ミカサのことだから、どうせ迷惑じゃないかとか考えてるんだろ?」
ミカサ「っ!」
エレン「全然迷惑じゃない、ただ気をつけろよ、無理もするな」
ミカサ「うん…」
しっかりは聞こえなかったが、ミカサがありがとう、と言った気がした。
カルラ「エレンはどんなお願いをする?」
唐突に隣に立つ母が質問をしてきた。
エレン「はぁ?それ普通聞くやつじゃないだろ」
カルラ「エレン知ってた?」
エレン「なにが」
カルラ「初詣には、神さまにお願い事じゃなくて去年の感謝と今年の抱負を言うのよ」
エレン「それ去年にも言ってくれよ…」
カルラ「つい最近知ったから!」
エレン「………」
願い事ではなく抱負。
ミカサの立っているほうに目を向ける。
エレン(ミカサは知ってんのかな…)
手に持つお金を賽銭箱に投げ入れる。
俺とミカサは手を合わせ目を瞑った。
エレン(大学に合格して、今年こそミカサを幸せにしてみせます!)
ミカサ(卒業しても、エレンと一緒にいられますように…)
そして月日は流れ、2月。
遂にシガンシナの入試が始まる。
-
- 151 : 2018/03/02(金) 10:22:00 :
物語中にエレンたちがどこの国に住んでいるのか明言してないんですが、初詣に行ってしまいました…。
シガンシナとかクロルバとか海外だろ、とか色々あるんですがどうか温かい目で見てやってください。
-
- 152 : 2018/03/03(土) 23:59:03 :
カルラ「エレン、ちゃんと受験票は持った?」
エレン「持ったよ」
カルラ「筆箱とか…」
エレン「大丈夫だって!心配し過ぎ」
カルラ「エレン」
エレン「ん?」
カルラ「頑張りなさい」
エレン「……おう」
こうして俺はシガンシナ大学の試験会場へと向かった。
アルミンと勉強をしてきたお陰で自信も十分にあった。
あとは、全力を尽くすだけ。
ずっとミカサのそばにいるために…
-
- 153 : 2018/03/04(日) 00:16:58 :
ジャン「卒業、おめでとーー!!」
ジャンの声と共に、クラス全員が一斉に盛り上がる。
堅苦しい卒業式から解放され、今はクラスのみんなと最後の会話を楽しんでいる。
アルミン「エレン!」
エレン「アルミン!」
アルミン「卒業おめでとう!」
エレン「ああ、おめでとう」
ジャン「よ、二人とも!」
エレン「ジャン」
ジャン「エレン、お前とは一年だけの付き合いだったけど結構楽しかったぜ」
エレン「…なんかお前らしかねーな」
ジャン「なんだよ、まだ足りないってか?」
エレン「いーや、もう十分だよ…」
ジャン「…そっか」
エレン「ジャン、お前とは喧嘩ばっかだったけど俺も結構楽しかったよ、ありがとな」
ジャン「おう!今度会ったら飯奢ってやるよ」
エレン「そりゃ助かる」
アルミン「その時は僕も誘ってね」
ジャン「もちろん!アルミンも今までありがとな」
アルミン「また会えるよ」
ジャン「まーな!」
アルミン「さてと…」
エレン「アルミン?」
アルミン「僕はアニのところでも行ってこようかな」
ジャン「お前らは大学も一緒なんだからいいだろ」
アルミン「高校でのアニを見るのもこれで最後なんだから」
ジャン「たく…」
そう言ってアルミンはアニのクラスの方へと行ってしまった。
ジャン「お前は行かなくていいのか?」
エレン「あと一ヶ月くらいの我慢だ、仕方ない」
ジャン「…お前も苦労してたんだってな」
エレン「…まぁな」
ジャン「大学ではミカサ大事にしてやれよ」
エレン「お前に言われなくてもそのつもりだ」
俺はシガンシナを合格した。
合格通知を受け取った時は奇跡かと目を疑ったが。
しかしそれが事実であると分かった瞬間、俺はすぐにミカサにメッセージを送った。
本当はもっと先でサプライズとしておきたかったが、喜びを抑えきれなかった。
エレン「ミカサ!俺進路決まったぞ!」
ミカサ「おめでとう!どこに?」
エレン「シガンシナ大」
ミカサ「え!そこって…」
エレン「ああ、お前と一緒にいるって約束したからな」
ミカサ「エレン、私とても嬉しい」
エレン「良かった」
ミカサ「大学、楽しみにしてる」
エレン「俺も楽しみだ」
ジャン「じゃあエレンも彼女のとこ行かないらしいし、今日は野郎どもだけで食いに行くか!」
おー!!とクラスの男子が盛り上がる。
俺も楽しんだ。
一年しか一緒にいなかったが、みんなは俺を受け入れてくれた。
だから俺も、精一杯に楽しんだ。
ミカサが苦しんでいることを知らずに。
-
- 154 : 2018/03/04(日) 00:50:52 :
大学の入学式が近づいてきているというのに、ミカサからの返信は一切無かった。
ミカサの母から連絡が来たのは卒業式から2週間経ってのことだった。
ミカサ母「ミカサと……会ってもらえる?」
エレン「もちろんです」
指定されたのは隣町の病院。
ここにミカサがいる、そう言われた。
エレン「あの、ミカサさんの面会に…」
「○○○になります」
エレン「ありがとうございます」
病室を聞き、そこへと向かう。
ミカサ母「エレン君」
病室の前にはミカサの母がいた。
エレン「お久しぶりです」
ミカサ母「わざわざごめんね…」
エレン「そんなことは!俺の方こそ…」
ミカサ母「エレン君は悪くないわ」
エレン「でも…!」
ミカサ母「そんな風に考えたら、ミカサが怒るわ…」
エレン「っ!」
ミカサの母に招かれ、病室に入る。
そこには一見変わったようには見えないミカサの姿があった。
しかし、たしかにその顔には"感情"が消えていた。
ミカサ母「ミカサ、エレン君よ」
ミカサ「エレン…?」
エレン「ミカサ…久しぶり」
ミカサ「久しぶり、立ってないで座っていいよ」
エレン「ああ…」
会話はまともにでき、考えることも普通にできるらしい。
ただ感情だけが、ミカサの中から消えてしまった。
ミカサ母「私は外にいるから、何かあったら呼んで」
エレン「はい」
ミカサの母は気を利かせて病室から出ていく。
エレン「ミカサ、調子はどうだ?」
ミカサ「別になんともないように感じる」
エレン「そっか、入院生活って退屈そうだな」
ミカサ「退屈…なのかな」
エレン「………」
ミカサは話していても、その表情が真顔のまま一切変わることはない。
今のミカサは、退屈と感じることもないのだろうか。
エレン「…ミカサ」
ミカサ「なに?」
エレン「約束、覚えてるか?」
ミカサ「覚えてる、ごめんね」
エレン「え…」
ミカサ「約束、守れなくて」
エレン「……いや、いい」
ミカサ「大学…行きたかったな」
エレン「…行けるよ、治れば」
そもそも今のミカサに申し訳ないと思う気持ちや、大学に行くことを楽しみに思う感情はないと考えられる。
今のミカサは、心から思っていることなんて一つも言っていないかもしれない。
謝ったのだって、それが常識だからかもしれない。
そう考えると辛い。
今までの行動を後悔する。
エレン「ミカサは、後悔してるか?」
ミカサ「後悔…してると思う」
エレン「そう、だよな…」
ミカサ「なんで私はずっとここにいるのだろう…」
エレン「ミカサ…?」
ミカサ「私がエレンのそばにいなければ良かったのに」
エレン「それは…仕方ないだろ、人の気持ちなんて簡単に抑えられるものじゃない」
ミカサ「なんで私は、エレンが好きだったんだろう…」
エレン「は…?」
ミカサ「前までは温かった気持ちも、今ではなにも感じなくなってしまった」
ミカサ「こんなことなら…エレンのそばにいなければ良かったのに」
病室を出た俺の顔は、さぞかし暗かったのだろう。
外にいたミカサの母が心配そうに声をかけてきた。
ミカサ母「エレン君、大丈夫?」
エレン「……俺はどうすればいいですか」
ミカサ母「エレン君?」
エレン「どうすれば俺は…ミカサに報いることができますか?」
ミカサ母「…これがミカサの選んだことだから」
エレン「ミカサは…後悔してました」
ミカサ母「え…」
エレン「俺と過ごしてきた時間を…」
ミカサ母「………」
エレン「俺はミカサに…どう償っていけばいいんですか…!?」
-
- 155 : 2018/03/04(日) 01:10:07 :
- ジャンクリ反対ー!ジャンクリはーんたーい!
あ、お久しぶりですね
お師匠様w
また、勝手に期待してまふw
-
- 156 : 2018/03/04(日) 01:11:34 :
- テスト、、、。
/(^o^)\
ぎぃーいゃー
師匠ー
ヘルプ ミー
テストなんて
駆逐してやる!w
-
- 157 : 2018/03/04(日) 01:12:20 :
- 雑談が過ぎましたね
すいません
素直に期待です
-
- 158 : 2018/03/04(日) 01:14:49 :
俺はミカサを連れ、外を歩いた。
平然と歩くミカサを見ると、どこも悪くないように見えた。
空を見上げるミカサがぼそりと呟く。
ミカサ「なぜあの頃の私は…あんなにも楽しんでいるのだろう」
ミカサ「今の私には…さっぱり分からない」
ミカサ「あの頃はあんなにも暖かかったのに…」
それを聞いた俺は、ミカサの手を強く握った。
ミカサ「エレン…?」
エレン「…あったかいだろ」
ミカサ「え…」
エレン「俺の手、あったかいだろ」
ミカサ「……うん、あったかい」
エレン「じゃあ大丈夫だ」
ミカサ「意味がわからない…」
エレン「これから俺がミカサに教えてやるよ、ミカサの言うあたたかいやつ」
ミカサ「あたたかい…やつ?」
エレン「恋、だよ」
ミカサ「恋…」
エレン「……俺とミカサは一年前、俺たちは再会し恋に落ちた」
エレン「おばさんに言われた、もう一度教えてあげてって…」
ミカサ「お母さんが…?」
エレン「ああ」
エレン「俺はミカサに…どう償っていけばいいんですか…?!」
悲しさと自分への怒りに震える俺を、ミカサの母はそっと撫でた。
ミカサ母「エレン君は、再会した時のミカサのことを覚えてる?」
エレン「え…?」
ミカサ母「あの時のミカサは病気のせいで自分の感情を信じることができなかった」
ミカサ母「だからミカサは恋を信じなかった、本当の恋を知らなかった」
ミカサ母「だけどそれを教えてくれたのはエレン君だったでしょ?」
エレン「!!」
ミカサ母「もう一度あの子に、希望を与えてくれない?」
エレン「いいん…ですか?」
ミカサ母「これが私の決めた償い、だから拒否権はなしよ」
エレン「っ!…はい!」
思い出した。
今までのこと。
ミカサとの思い出。
俺たちはいつだって、いくつもの感情を肯定したり否定し合ったりしてきた。
恋を互いに教えあってきた。
いつだってこの想いを本物にしようと努力してきた。
ミカサは言っていた、「この気持ちは、本物だ」と。
俺はミカサに本物の恋を教えることができたのだ。
今回だってできる。
俺たちの積み上げてきた時間は全て"本物"なのだから。
エレン「そうだろ?ミカサ」
空を見上げるミカサの頬には、一筋の涙が流れていた。
-
- 159 : 2018/03/04(日) 01:17:28 :
- >>155
ありがとうございます!
久しぶりですね!
ジャンクリ反対なんですね笑
一応確定的な描写はなく終わりそうです。
またテストなんですか笑
頑張ってください!
-
- 160 : 2018/03/04(日) 01:35:06 :
- じ、ジャンクリ……
まぁアルアニあるからいっか(笑)
期待!
-
- 161 : 2018/03/04(日) 01:47:32 :
エレン「ミカサ…?」
ミカサ「あれ…?なんで…涙」
エレン「お前…泣いて…」
ミカサ「なんでだろう……エレンのことを思い出す度に胸が苦しくて…」
エレン「!!」
ミカサは忘れてなんかなかった。
今まで積み重ねてきた感情を。
消えてなどなかった。
ミカサの感情は今、ここにある。
ミカサ「エレン…なんで…涙が止まらない」
ミカサは何度も涙を拭うが、それでも涙は溢れてくる。
ミカサ「エレンとの思い出を……この気持ちを…忘れたくない」
俺はミカサを抱きしめた。
抱きしめられたミカサはさらに涙を零す。
それでも俺はミカサを抱きしめる。
エレン「ミカサ、俺はお前が好きだ」
ミカサ「っ!」
エレン「病気が消えた今でも、俺はお前のことがずっと好きだった…」
エレン「あの日々は偽物なんかじゃなかった」
エレン「ミカサ…どうなんだ?」
ミカサ「私は…分からない」
エレン「分からなくない」
ミカサ「分からないよ!今の私には…!」
エレン「怒ってるのか?」
ミカサ「私…怒ってる?」
エレン「ああ、怒ってるな」
ミカサは自分が怒っているということに唖然としている。
そんなミカサを見て、俺は思わず笑ってしまった。
ミカサ「な、なんで笑ってるの?」
エレン「いやだって…ミカサ表情がコロコロ変わりすぎ…!」
ミカサ「そんなこと…!」
エレン「ミカサ」
ミカサ「……なに」
エレン「好きだ」
ミカサ「!?」
ミカサの顔が赤くなる。
明らかに恥ずかしがっている。
感情が無くなってしまったなんて嘘なのではないのかと思うほど、ミカサの表情は次々と変化を見せた。
ミカサ「……エレンはいつもズルい」
エレン「ズルいのはミカサだろ」
ミカサ「どこが?」
エレン「感情無くしたって聞いて、これからミカサはどうなるんだろうって心配で…」
ミカサ「今だってよくわからないよ…」
エレン「大丈夫、治ってる」
ミカサ「うん…」
安心したのか、ミカサが自然と笑顔になる。
今までの、ミカサだ。
エレン「それより…」
ミカサ「?」
エレン「返事、欲しいんだけど」
ミカサ「!!」
エレン「ミカサは……俺のこと、まだ好きか?」
ミカサ「…目を閉じたら、教える」
エレン「目…?」
エレン(そういえば…)
そう言われ、高校生の時に初めてキスをした時のことを思い出した。
またしてくれるのかと考え、自然と笑みが溢れてしまう。
ミカサ「……なんで笑ってるの」
エレン「いやなんでもない!閉じるから」
ミカサ「違うから、一発殴るだけ」
エレン「わかったわかった!」
そう言われ目を閉じる。
案の定、来たのは拳ではない
優しく唇が重ねられる。
ミカサ「私もエレンのことが、好きです」
-
- 162 : 2018/03/04(日) 01:48:44 :
- >>160
ありがとうございます!
アルアニで我慢していただければ…笑
-
- 163 : 2018/03/04(日) 02:29:01 :
月日は流れ。
それぞれが進路先で安定した頃。
クロルバ大学
アルミン「ハンジさん、手伝いますよ!」
ハンジ「アルミン、助かるよー」
アルミン「いえいえ」
そう言ってハンジの運ぶ教材を持ち、指定された場所まで一緒に歩く。
ハンジ「時間は大丈夫かい?」
アルミン「はい、まだ大丈夫ですよ」
ハンジ「彼女もいるんだからこの時間を使って一緒にいればいいのに…」
アルミン「え?!なんで知ってるんですか?」
ハンジ「誰だって見ればわかるさ、相手はアニって子だろ?」
アルミン「そんなに分かりやすいかな…」
ハンジ「で、いいの?」
アルミン「アニは今講義中なんで」
ハンジ「そっかー、いれる時に一緒にいた方がいいよ…後から後悔するのは大変だから」
アルミン「経験あるんですか?」
ハンジ「まぁね、今の彼とちょっと」
アルミン「え!ハンジさん彼氏いるんですか!?」
ハンジ「そんなに驚く?」
ハンジ「ま、相手は君も知ってるだろうさ」
アルミン「えー…」
アニ「アルミン」
アルミン「アニ!もう終わり?」
アニ「さっき終わってアルミンが見えたから」
ハンジ「やぁ!君がアニか!」
アニ「………」
ハンジに声をかけられたアニはハンジを睨む。
それをアルミンが抑え込む。
アルミン(嫉妬してる…)
アニ「何笑ってるのさ」
アルミン「いてっ!」
ニヤつくアルミンの足を軽く蹴る。
アルミン「それじゃあハンジさん、また!」
ハンジ「またね、二人とも仲良くね」
隣を歩くアニを見ると、未だにムスっとした顔をしているのが分かる。
アルミン「……嫉妬した?」
アニ「…別に」
アルミン「じゃあなんで怒ってるの?」
アニ「あんたが人にヘラヘラしてるのが気に食わなかっただけ」
アルミン「僕を心配してくれたの?」
アニ「っ!」
アルミン「アニ」
アニ「………なに」
アルミン「ありがとう」
アニ「…どういたしまして」
高校
サシャ「広報誌じゃんじゃん書きますよ!」
コニー「お前が書くと食べ物ばかりになる!」
クリスタ「それはいいから、そこの部活動の記録まとめておいて」
サシャ「はい!」
コニー「わかりました!」
三年生が卒業してから、広報部には念願の後輩が入った。
先輩たちがいなくなり寂しさはあるが、楽しくやっていけそうだ。
サシャ「あれ?この広報誌…」
コニー「お前勝手に漁るなよ」
そう言ってサシャが取り出したのは、一年前にエレンを中心に特集した時の広報誌だった。
サシャ「転校生……なんでこの人を載せようと?」
クリスタ「三年生の転校生って珍しいかなと思って」
コニー「しっかし流石クリスタ先輩!ここまで調べるなんて」
広報誌にはエレンのありとあらゆる情報が書かれている。
並大抵では調べられないほどの情報量だ。
サシャ「ここまで知ろうと思えるなんて、まるで好きな人に恋をしているみたいですね!」
クリスタ「好きな人…か」
今でも分からない。
私がエレン先輩に抱いていたのは憧れだったのか、好意だったのか。
今でもたまに、エレン先輩は今何をしているのだろうと考えてしまう。
それでも、エレン先輩の隣にはあの人がいるから。
クリスタ(私も頑張らないと…!)
卒業式前日、俺はミカサに告白をした。
ただ単純に気持ちを伝えたかった。
ジャン「ミカサ、実は俺……中学の頃からお前のことが好きだった!」
ミカサ「……ごめんなさい」
案の定断られた。
でもなぜか嫌な気持ちは一つもなく、むしろスッキリした気分だった。
ジャン「エレンがいるもんな」
ミカサ「うん…」
ジャン「幸せに…なれよ」
ミカサ「あの…ジャン」
ジャン「?」
そして俺はミカサの病気のこと、エレンとの関係のことを聞いた。
ジャンだから聞いて欲しい、そう言われた。
ミカサ「でも私は信じてる、この気持ちが本物だって」
ジャン「ああ、本物だ」
ジャン「誰がどう見たって、お前はエレンが好きだよ」
ミカサ「ありがとう、ジャン」
パソコンを打ちながら、ふとあの日のことを思い返していた。
俺もあの時の気持ちが今でも本物かどうかは分からない。
けどこの職場でミカサ以上の人は見つけられそうにない。
ジャン(エレン、幸せにしねぇとぶっ殺すからな)
-
- 164 : 2018/03/04(日) 02:31:08 :
明日でラストにします!
-
- 165 : 2018/03/05(月) 00:52:38 :
エレン「ミカサ」
彼女の名前を呼ぶと振り返る。
とびきりの笑顔で。
ミカサ「どうしたの?」
エレン「いや…ただ呼んでみただけ」
ミカサ「変なエレン」
今はこうして、彼女の笑顔を見ることが嬉しくてたまらない。
病気がなくなった今、俺たちを縛るものは何もない。
エレン「……ごめんな」
ミカサ「どうして謝るの?」
エレン「まぁ…色々と」
ミカサ「謝ることはないもない、むしろエレンには助けられてばかりだ」
エレン「そうか?」
ミカサ「私がこうして感情を取り戻すことができたのもエレンのおかげだと思う」
ミカサ「エレンに提案されてなかったら多分、我慢できなかった」
エレン「……そっか」
ミカサ「でも前のことなんて関係ない」
ミカサ「これから思い出を、作っていくんでしょ?」
エレン「ああ、必ず」
互いに見つめ合い、徐々に顔の距離を縮めていく。
しかし、背後に嫌な気配を感じ、一気に距離を離す。
リヴァイ「おい、なんでやめた」
エレン「リヴァイ…さん、なんでここに!」
リヴァイ「なんでもなにもここはシガンシナ大学だ、俺がいてなんら不思議はない」
そう、ここはシガンシナ大学。
リヴァイに言われよくよく考えてみると、よくこんな場所で堂々としようと思ったものだ。
ミカサ「……何か用ですか」
リヴァイ「まぁそう睨むなって…ただ見えないように壁になってやろうと思っただけだ」
ミカサ「あなたの身長では壁にもなりません」
リヴァイ「こいつ…最近口がキツくないか…?」
エレン「まぁ色々ありましたからね…」
リヴァイ「ま、これで俺のお役目は終わったってことだ」
エレン「お役目?」
リヴァイ「言ったろ、お前らが卒業後どうなってんのか見てやるって」
リヴァイ「充分に見せてもらったよ」
そこで初めてリヴァイの笑顔を目撃した。
あまりに自然な笑顔に、ミカサを見ると顔が引きつっていた。
エレン(ミカサも見たことなかったのか…)
リヴァイ「それじゃあ、あとは二人で勝手にしたろ」
そう言ってリヴァイは去っていった。
あの様子ではきっと、あの人とも上手くいったのだろう。
エレン「俺たちも行くか」
ミカサ「うん」
エレン「そういや、遅くなったけど皆で卒業旅行に行こうって話があるんだけど、どうだ?」
ミカサ「もちろん行く!」
俺たちの思い出の一歩が踏み出される。
積み重ねてきた時間は偽りではない。
けど、俺たちの心には確かな変化があった。
エレン「俺はミカサが好きだ!」
俺たちをここまで導いたものは何か。
それは多くの出会いや苦難の連鎖。
俺たちが本物を手に入れようと起こしてきた確かな"変化"。
いきなりの転校、思いもしなかった再会、一目惚れの恋、共に過ごし、別れ。
それらが俺たちを変え、導いてくれた。
ミカサ「私も…エレンが好き」
そう、いつだって
変化は突然に…
fin
-
- 166 : 2018/03/05(月) 01:01:50 :
変化は突然に【エレミカ】はこれで完結となります!!
書き始めてから一ヶ月以上と随分長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただいた方々、本当にありがとうございました!
正直、ほぼ毎日更新というのはとても大変でしたが…(笑)
数々の期待コメを下さった方々も本当にありがとうございました!
これからもエレミカ好きが増えていくことを切に願っております。
今日から数日当サイトにアクセスできない環境が続きます。
復帰してからまた新たな作品を書いていきたいと思っております。
期待していただけるととても幸いです!
それではまたヽ(^o^)
-
- 167 : 2018/03/05(月) 01:25:05 :
- とても面白かったです!
今後も期待!( ̄^ ̄)ゞ
-
- 168 : 2018/03/06(火) 01:41:07 :
- すみません。
色々あってやっと今見にこれました。
最高でした!!!
最後の締めもめっちゃ好きです!
これからもエレミカの作品を期待しています。
もしよろしければ卒業旅行を番外編かなんかでかいてもらえると嬉しいです!!!
これからも応援します!!!
-
- 169 : 2018/03/06(火) 01:56:31 :
- いやー
完結したね
地味に泣いたかも?w
次の作品に期待ですよ!
次はガッツリベタ甘なイチャイチャ系が
みたい(笑)
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- 170 : 2018/03/09(金) 00:29:29 :
- >>167
ありがとうございます!!
次回作も頑張っていきたいと思います!
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- 171 : 2018/03/09(金) 00:33:36 :
- >>168
毎回の期待コメのおかげで頑張ってこれました!
ありがとうございます!!
番外編を書こうと思ってましたが、卒業旅行編は考えては無かったんです…
ので、書いてみようと思います!
まとまったら上げるので是非見に来てください!
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- 172 : 2018/03/09(金) 00:36:11 :
- >>169
ご声援ありがとうございました!!
そこまで言ってもらえるなんてとても嬉しいです!
自分の作品は結構暗いですからね…
次は卒業旅行編を書く予定なのでそこで期待してください!
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- 173 : 2018/03/09(金) 15:44:46 :
- ほんとに期待してるんで それが力になったのなら嬉しい限りです。
卒業旅行待ってます!!!
のでってホントに使うんですね笑笑
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- 174 : 2018/03/11(日) 01:29:38 :
- >>173
そこまで期待していただけるなんて嬉しい反面、期待に添えるよう頑張っていきます!
ので、はミカサを意識して使いました笑
すいません…笑
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- 175 : 2018/03/11(日) 01:31:04 :
- 番外編更新しました!
http://www.ssnote.net/archives/58187#top
番外編となりますので短いですがよろしくお願いします!
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- 176 : 2018/05/07(月) 11:56:57 :
- 最高でしたーーー
途中号泣しましたよぉー
何すぎてスマホ壊れた←嘘
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- 177 : 2018/05/31(木) 14:44:39 :
- マジで面白かった!!! 最高!
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