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この作品は執筆を終了しています。

今を見て【エレミカ】

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  1. 1 : : 2018/01/22(月) 00:18:00
    はじめまして!春風です

    数年前に当サイトでエレミカssを執筆していたのですが、改めて書きたくなって勢いで来ました(笑)

    注意事項

    ・エレミカとありますが、エレミカ前提のミカエレという感じです

    ・オリキャラが登場します(ミカサそっくりと考えてください)

    ・現パロなので原作の世界観とは一切関係がありません

    ・キャラの崩壊が度々あると思われます


    ・不快な気分になること、迷惑行為などはご遠慮下さい。


    以上を理解していただいた上で読んでいただけると幸いです
  2. 2 : : 2018/01/22(月) 00:28:38
    大学生活始めての冬、俺は前世の記憶に目覚めた。

    それをだれかが信じてくれるとは思わなかったし、信じて欲しいとも思わなかった。

    ただ、この記憶が目覚めたことで俺にはこの冬に取った休み、1ヶ月でやるべきことができた


    前世の記憶


    エレン「俺と…結婚してくれませんか?」


    ミカ「っ…はい!」


    前世で俺はただのリーマンだったが、ミカというとても美人な彼女に恵まれ、幸せな生活を送っていた。

    しかし、結婚してからわすが一年、交通事故によってミカは命を落とし、自暴自棄になった俺は会社も辞め、その後の記憶は曖昧な程だった。


    ミカ「来世までも、一緒にいてくれるの?」


    エレン「当たり前だろ!来世でもお前を絶対に探し出して幸せにする」


    この約束が彼女の最後の言葉だった。


  3. 3 : : 2018/01/22(月) 00:39:30

    エレン(善は急げ…)


    これは神様がくれたチャンスなのかもしれない。

    前世で彼女を幸せにできなかった俺に、現世で彼女を幸せにしろと言ってるのかもしれない。


    暇な時間に貯めたバイト代を詰めた財布を持ち、大学を出た。


    エレン(今日はやけに人が多いような…)


    大学の外には何人もの制服を着た集団が歩いているのが見えた。


    エレン(そーいや、今日はオープンキャンパスだったっけか)


    自分には関係ないと正面に視点を戻すと人とぶつかった。


    エレン「うおっ!」


    ???「きゃ!」


    見ると相手は制服を着た少女だった。

    綺麗な黒髪で、やや垂れ目な瞳、まるで前世の記憶の彼女、ミカのよう…


    エレン「ミカっ?!」


    ???「へ…?」


    エレン「お前、ミカか…?」


    ミカサ「いえ、…ミカサですけど…」


    エレン「ミカ…サ?」


    それが少女との出会いだった。
  4. 4 : : 2018/01/22(月) 00:42:14
    設定のようなもの

    現在

    エレン
    大学生19歳

    ミカサ
    高校生18歳
  5. 5 : : 2018/01/22(月) 00:55:07

    よく見ると確かに、ミカサと名乗る少女はミカとはそっくりだが、他人とハッキリ分かった。


    ミカサ「あの…なんですか?」


    エレン「何…って?」


    ミカサ「新手のナンパとか…」


    エレン「ナン…っ!違う!断じて違う!ちょっと知り合いと似てて、それで…」


    ミカサ「知り合い…?顔もそっくりで、名前も似てて……そんなことある訳ないじゃないですか!」


    エレン「それが本当なんだって…!」


    ミカサ「………」


    必死に弁解しても少女は疑いの眼差しを向けたままだった。


    ミカサ「じゃあ、その知り合いの人の写真でも何でもいいんで見せてください」


    エレン「ごめん…そういうのも無くて」


    ミカサ「やっぱり…」


    エレン「だがら違う!」


    前世の彼女と写真なんて持っているはずが無かった。

    俺はこのまま警察にでも突き出されるのだろうか…。そう思うと自然と口から真実が出た。


    エレン「ミカっていうのは…俺の前世での彼女だったんだ」


    ミカサ「………………………………は?」


    エレン「ある時交通事故で亡くなって、それで…」


    ミカサ「前世って、本気ですか?」


    エレン「残念ながら大マジだ」


    ミカサ「つくならもう少しマシな言い訳を…」


    もっともな反応だった。

    しかし、なぜか俺は彼女に嘘をつくのがとても嫌だったんだ。


    ミカサ「でも、あなたが嘘をついているようにも見えません」


    エレン「……え?」


  6. 6 : : 2018/01/22(月) 01:05:57

    ミカサ「……って言いたいんですけどそうじゃないんです」


    エレン「はい?」


    エレン(てことは信じられてないってことでいいのか?)


    ミカサ「私にも前世の記憶のようなものがあるんで、エレン」


    エレン「そうなんだー……ってはあぁぁあ?!」


    エレン(てか、今俺のこと呼んだ?)


    この少女と会話してから一度も出していない俺の名前、それを呼んだってことは、


    エレン「俺、前世で君と会ってるのか…?」


    ミカサ「やっぱり覚えて…ないか」


    エレン「ごめん、俺記憶が曖昧なとこあってさ」


    ミカサ「大丈夫、私にもそういうことあるから」


    エレン「いつのまにタメになってません…?」


    ミカサ「前世だとこうだったから、ダメ?」


    エレン「ダメというか…年下の女の子にタメで話されるってなんか…」


    エレン(すげぇダセェ……)


    ミカサ「それにミカも知ってる」


    エレン「はぁ?てことはお前……最初から騙してたのか?!」


    ミカサ「うん」


    エレン「………」
  7. 7 : : 2018/01/22(月) 01:16:28

    ミカサ「慌てるエレンを見るのはとても面白かった」


    エレン「の割に顔は笑ってねぇな」


    ミカサ「心で笑った」


    エレン「そんな器用なことできんのか…」


    エレン(なんか無愛想なやつだな…さっきから全然表情変わんねぇし)


    ミカサ「エレンは……ミカを探してるの?」


    エレン「いや、記憶が戻ったのもつい最近のことだからこれからだ」


    ミカサ「そう…」


    エレン「…?」


    ミカサが一瞬、寂しそうな表情を見せた気がした。


    ミカサ「それなら私にとてもいい友人がいるから、紹介する」


    エレン「それはありがたいけど、オープンキャンパスの方はいいのか?」


    ミカサ「問題ない、元々あなたに会うために参加したものだったから」


    エレン「なるほどね…」


    ミカサ「あなたのこともその友人が見つけてくれた」


    エレン「人探しのプロフェッショナルってとこか?」


    ミカサ「情報を見つけるのに長けてる、というべき」


    俺の通う大学はどんな情報で手に入れたんだ…。
  8. 8 : : 2018/01/22(月) 01:27:10

    ミカサ「友人とは近くの喫茶店で落ち合うことになった」


    エレン「わかった、案内よろしくな」


    ミカサ「任せて」


    正直、今の俺の頭はよく分からないことになっている。

    同じように前世の記憶を持つ少女に出会い、さらにその少女は前世の俺を知っていると言う。

    俺にはその記憶がないから知らないが、彼女とはどういう関係だったのか。


    エレン「なぁ」


    ミカサ「なに?」


    エレン「俺と君って…」


    ミカサ「ミカサ」


    エレン「は?」


    ミカサ「ミカサでいい」


    エレン「おう…じゃあミカサ」


    ミカサ「なに?」


    エレン(なんかループしてねぇかこれ)


    エレン「俺とミカサは前世で、その、どういう関係だったんだ?」


    ミカサ「………」


    エレン「ミカサ…?」


    ミカサ「…ただの会社の同僚、それだけ」


    エレン「そうか…」


    正直なところ、彼女は何か隠しているように感じた。

    たが、俯く彼女を見てこれ以上詮索しないことにした。
  9. 9 : : 2018/01/22(月) 01:43:31

    横目でミカサを見ると、彼女は震えていた。

    改めて見るとミカサは制服を着ているだけで他は何も身につけていなかった。寒いのは当たり前だ。

    スカートのため、そこから出る足も冬の寒さで冷え切っているだろう。

    よく見ると彼女の足はとても綺麗だった。白く、程よく細く、スラッと伸びている。

    身長は170くらいだろうか、俺より少し低いくらいだ。

    スタイルもよく、顔もミカと似ているだけあって正直俺の好みどストレートだ。


    エレン(って女子高生相手に何考えてんだ俺は!)


    ミカサ「エレン…?」


    エレン「な、なんだよ」


    ミカサ「何か考え事でもしていたのかと思って」


    エレン「なんでもねーよ…」


    エレン(ミカサのこと見ながら考えてたなんて言ったら今度こそ警察な気がする…)


    エレン「それよりミカサ、寒くないのか?」


    ミカサ「だ…大丈夫」


    エレン「………」


    明らかに強がりだった。

    そもそもこんな寒い日になんでこんな薄着なのか分からないが。

    俺は自分の着けているマフラーを外し、ミカサの首にそれを巻いた。


    ミカサ「……え?」


    エレン「これで少しはマシだろ」


    ミカサ「………」


    エレン「なんだ、俺のマフラーは嫌だってか?」


    ミカサ「エレンは…本当に覚えてないの?」


    エレン「ミカサのことだったら、俺は何も覚えてない」


    ミカサ「そう…」


    そう言ってミカサはまた俯く。

    それになぜかむしゃくしゃするのを感じて、俺は自分の羽織っているコートも無造作にミカサにかけた。


    エレン「それも羽織っとけよ、なんだ……年頃の女の子が体冷やすといけないらしいからな」


    ミカサ「なにそれ…変なエレン」


    エレン「なんだよ変なエレン…って…」


    ミカサは笑っていた。

    今まで無表情だったからなのか、何か特別な感情を抱いたのか。よく分からないが、胸が高鳴るのを感じた。


    エレン(なんだ、笑えるんかよ)
  10. 10 : : 2018/01/22(月) 02:15:26

    着いた喫茶店は俺もよく来る街角の落ち着いた喫茶店だった。

    マスターとも知り合いでよく相談に乗ってもらったりなどしていた。


    マスター「あら、エレン君じゃない!」


    エレン「お久しぶりです」


    エレン(まぁマスターは中性的だけど、だからこそ男の立場にも女の立場にもなれて相談しやすいんだよな)


    マスター「で、こちらの可愛らしい子はエレン君の彼女?」


    ミカサ「かっ…かの!」


    エレン「違う違う違う!そんなんじゃねーっすよ」


    マスター「あらそう?」


    マスター(でも女の子の方は満更でもなさそうねぇ)


    エレン「取り敢えず席座るか」


    ミカサ「うん…」


    ミカサ(ずっと表情を抑えてるのに、急にあんなこと言われたりすると…)


    エレン「ミカサ?顔真っ赤だぞ?」


    ミカサ「え…エレンが貸してくれたコートのせいで暑くなってきた…」


    エレン「そ、そうか?」


    コートを返してもらってもミカサはまだ顔を暑そうにしてた。


    エレン「そのマフラーも取るか?」


    ミカサ「え…?」


    エレン「え…?」


    ミカサ「…あっ!いや…その…」


    エレン「?」


    ミカサ「このマフラー、貰ってはダメだろうか」


    エレン「は?」


    するとミカサは自分が言ったことを思い出したのか、更に顔を真っ赤にして手を顔の前でブンブン振り回す。


    ミカサ「や、…その!ダメならいい!大丈夫!」


    エレン「ふっ…」


    ミカサ「?」


    エレン「ははははっ…ミカサ慌て過ぎ!」


    ミカサ「ええ?」


    エレン「お前そんなに表情変わるやつだったんだな!」


    ミカサ「〜〜!!」


    エレン「はー…いいよそれはあげるよ、でもそんなんでいいのか?」


    ミカサ「うん…これがいい」


    そのミカサの笑顔に、また見惚れてる俺がいた。しかし、


    エレン(そんなにそのマフラー欲しかったのか…)
  11. 11 : : 2018/01/22(月) 15:34:05
    期待!
  12. 12 : : 2018/01/22(月) 23:46:13
    >>11
    ありがとうございます!
  13. 13 : : 2018/01/23(火) 00:04:38

    ???「遅くなってごめんね!」


    ???「いや〜、お待たせしたね」


    店に入ってきた2人がミカサに声をかけた。


    ミカサ「アルミン、ハンジさん、お久しぶりです」


    ハンジ「ごめんね、色々調べてたら時間掛かっちゃってさ」


    ミカサ「いえ、大丈夫です。エレン、この2人が友人のアルミンとハンジさん」


    エレン「よ、よろしくお願い…します」


    アルミン「エレン、だよね?」


    エレン「そうだけど」


    アルミン「僕も同じ大学一年なんだ、よろしくね!」


    エレン「ああ、よろしくアルミン」


    エレン(なんかすげぇ関わりやすいタイプだな)


    お互い握手をすると2人は前の席に腰を掛け、厚手のコートを脱ぎ始める。


    アルミン「それはそうと、ミカサ」


    ミカサ「なに?」


    アルミン「見つかって本当に良かったよ!彼が例のミカサのすき…」


    ミカサ「………」


    アルミンが何か言いかけるのをすかさずミカサが手で口を押さえ封じた。


    エレン(…なんて言おうとしたんだ?)


    アルミン「ごめんてミカサ、これ言っちゃダメってことはエレンの方は何も覚えてないのかな?」


    ミカサ「前世の記憶はあるみたい、だけど私のことは覚えてないみたい」


    アルミン「そうか…」


    2人が落ち込むのが俺から見てもハッキリわかる。

    それが自分のせいだと思うと、とても申し訳ない気持ちになる。


    エレン(これ以上こんなところも見たくないし、一刻も早く全ての記憶を取り戻さないとな)
  14. 14 : : 2018/01/23(火) 00:19:52

    ハンジ「おっほん!…本題入ってもいいかなー?」


    アルミン「すいません!」


    ハンジ「いーよ!いーよ!」


    エレン「あの、本題って?」


    ハンジ「ミカサから事前に話は聞いてるよ、君が探している女性、ミカのことだ」


    エレン「!!」


    ミカサ「私も二人にはエレンを探す時に協力をしてもらった、だからミカを探す為にも二人の力を借りたいと考えた」


    エレン「いいんですか?!」


    ハンジ「無論、タダとは言わない!」


    何を要求されるのかと身構えていると、ハンジさんが目を輝かせテーブルに乗り込んできた。


    ハンジ「君の脳をちょこーーーっとだけでいいから調べさせて欲しいんだよね」


    エレン「……は?」


    アルミン「ハンジさんは脳科学専門で教授を務めてるんだよ、で僕はその生徒であり助手」


    ハンジ「ミカサの話を聞いてから前世の記憶を持つ脳がどんな仕組みになっているか気になって仕方ないんだ!」


    エレン「そんなことで良ければいいですが…」


    ミカサ「エレン、そんなに安易に考えてはダメ。ハンジさんの研究は、その……とにかくヤバイ」


    エレン「ミカサの語彙力が……そんなにヒドイことするんですか?」


    ハンジ「なーに!ちょーーっと脳に電極をブスーっと…」


    エレン「効果音が怖い!!」


    ミカサ「でも、この二人に協力してもらえば格段に見つかる可能性が高くなるのも事実」


    エレン「………」


    今の俺にとってはミカを見つけることが一番重要だ。

    それでミカが見つかるのなら電極をちょっとブスーっと………怖いな。


    エレン「分かりました、でも一つだけ条件を提示させてください」


    ハンジ「うん、何かな?」


    エレン「ミカが見つかったらその研究に協力する、これだけは絶対で」


    ハンジ「もちろん、最初からそのつもりさ」


    エレン(ホッ…)
  15. 15 : : 2018/01/23(火) 00:27:29
    期待!!!
  16. 16 : : 2018/01/23(火) 00:34:25

    エレン「じゃあ、その…よろしくお願いします」


    ハンジ「OK任せて!じゃあアルミン、よろしく!」


    アルミン「はい!」


    そう言うとアルミンは持ってきたノートパソコンを操作する。


    アルミン「君たち二人と同じ状況にあると踏まえて、同じ前提で類似した人物を調べてみたんだ」


    エレン「同じ前提?」


    アルミン「うん、エレンもミカサもそうだけど、顔や当時の身長やスタイル、名前までも前世とほとんど同じなんだ」


    ミカサ「つまり、ミカも今生きているなら同じである可能性が大きい」


    エレン「そもそも顔とかは同じじゃなきゃ見つけようがねーな」


    アルミン「うん、でもミカさんの場合は若くして亡くなってるみたいだからその先は推測になる」


    エレン「それでも当たった人に賭けて、片っ端から探していくしか方法はないか」


    アルミン「そこからは力技になる、でこれが僕が最大限絞った結果になる」


    そう言って見せてきたパソコンの画面には、全国地図に無数のピンが打ってあるものだった。

    大学や会社、小学校や中学校までもがある。


    アルミン「このどこにも見つからなかったら僕にはもうどうしようもない」


    俺だけなら多分ここまでできなかった。

    ただ当てもなく闇雲に探して彷徨っていただろう。

    例えこれが正しくないとしても十分な希望だ。


    エレン「ありがとうアルミン、この例は必ず返す」


    ハンジ「私の研究に参加してくれることも忘れないでね!」


    エレン「も…もちろんです」
  17. 17 : : 2018/01/23(火) 00:47:03

    喫茶店も出てアルミンとハンジさんに感謝を告げ、別れた。


    エレン「じゃあ俺は明日からにでもこの地図の所に行ってみたいと思ってる。本当に助かったよミカサ」


    ミカサ「……私もエレンについて行く」


    エレン「な、何言ってんだ?」


    ミカサ「人手は多い方がいいし、その…私もミカに会いたい」


    エレン「俺が会えたら会わしてやるよ」


    ミカサ「来てくれるか確証はない」


    エレン「それはそうだけど…」


    ミカサ「それにミカが記憶を戻してなかった場合はどうするの?ただ話しかけても私の時みたいに警戒心を生むだけ、女の私なら相手の警戒心を解くこともできる」


    エレン「分かった分かった!でも高校生がこんな長旅危険…」


    ミカサ「無計画でただ闇雲に探そうとしているエレンが心配なだけ」


    エレン「お前実は前世では俺の母親か姉か?」


    ミカサ「両親にも話してある、心配無用」


    エレン「分かった!!連れて行けばいいんだろ?」


    ミカサ「うん」


    エレン「じゃあ明日の朝荷物持って駅前に…」


    ミカサ「今日はエレンの家に泊めて」


    エレン「……………は?」


    ミカサ「だから、エレンの家に泊めて」


    エレン「はああぁぁぁああ?!」
  18. 18 : : 2018/01/23(火) 00:49:29
    >>15
    ありがとうございます!!
  19. 19 : : 2018/01/23(火) 00:55:34
    期待です
  20. 20 : : 2018/01/23(火) 01:07:51

    エレン「なんでそうなるんだ?!」


    ミカサ「エレンが逃げないか心配」


    エレン「別に逃げたりしねーよ」


    ミカサ「………今日から友達の家にお世話になると言ってある。両親も旅行で家にいない。私の帰る場所はどこにもない…」


    エレン「だあぁーー!!分かったって!ついて来い!」


    ミカサ「そもそもエレンは何故そんなに私が家に行くのを拒む?」


    エレン「何故って……そりゃ男女が一つの屋根の下二人でいたらあれだろ…」


    ミカサ「エレンは私に何かするつもりなの?」


    エレン「するか!!!」


    ミカサ「なら何も問題はないはず」


    エレン「だからもう連れて行くって言ってるだろ……」


    こんなにも女子高校生に振り回されてる大学生って、側から見るとダサすぎる…。



    俺が住んでるのはとあるアパートの一室。大学が地元から遠い為、親元を離れて自炊の日々を送っている。

    親の仕送りも家賃程なので他は全て自分のバイト代でなんとかしている。


    ミカサ「お邪魔します…」


    エレン「あんだけさっきは泊まるって言ってたくせに躊躇するんだな」


    ミカサ「いざ人の家に入ると緊張する…」


    エレン「さっきの威勢のままでいてくんねぇとこっちが困る…」


    ミカサ「……意外と整っている」


    エレン「意外ってなんだ意外って」


    ミカサ「前はもっと乱雑で、散らかっていた」


    エレン「前って…….前世のことか?」


    ミカサ「っ……!」


    エレン「無意識だったのか、そろそろ教えてくれないのか?俺とお前の関係」


    ミカサ「前にも言った…ただと会社の同僚」


    エレン「俺はただの会社の同僚、しかも女性をを家に入れるような男だったか?」


    ミカサ「事実、私はエレンの部屋を見たことがある」


    エレン「俺はミカサが会社の同僚だったってのはどうも嘘にしか聞こえないんだ、…教えてくれないか?」


    ミカサ「………今は、教えられない」


    エレン「今は?」


    ミカサ「今だけは、思い出さないでいて欲しい…」


    エレン「………」


    また悲しい顔をさせてしまった。

    俺はこんな顔じゃなく、ミカサのあの笑顔を見たいのに。(決して他意があるわけじゃない)


    エレン「分かった、今は聞かないでおく」


    ミカサ「………」


    エレン「だけど、いつか…聞かせてくれよ」


    ミカサ「…うん」
  21. 21 : : 2018/01/23(火) 01:08:36
    >>19
    ありがとうございます!!
  22. 22 : : 2018/01/23(火) 01:30:04

    ミカサ「シャワーが浴びたい」


    エレン「はぁ?」


    まさかミカサがこんなにも非常識な奴だとは思わなかった。

    男女二人のこの空間で自分からシャワーを浴びたいとは…。


    エレン「…今日一日くらい我慢しろ」


    ミカサ「今日はとても冷えた、それに年頃の女の子は体臭をとても気にする」


    エレン「そんな気になんねぇよ」


    ミカサ「私がする」


    エレン「…………」


    ミカサ「…………」





    俺は一生この女には勝てないと悟った気がした。

    ミカサの瞳には相手を否とは言わせない強い力がある。それでいて知識もある。

    前世の記憶があるとはいえ、あまりにも経験に差があるようにも感じるが。



    風呂場からシャワーと水の流れる音がする。それと微かな鼻歌。


    エレン(あいつ鼻歌とか歌うのか………というかマズイ、これは非常にマズイ気がする…)


    シャワーの音にできるだけ意識を向けないように固まっていると、ドアが開く音が聞こえすぐにミカサの声が聞こえた。


    ミカサ「……着替えがない」


    エレン「……制服じゃダメなのか?」


    ミカサ「制服だと堅苦しくて眠れない」


    エレン「今日は堪えて寝ろ」


    ミカサ「無理」


    エレン「分かった!!余ってる寝巻き持っていく!」


    エレン(無防備過ぎるにも程があるだろ!)


    タンスから余りの寝巻きを持っていき、扉の前におく。


    エレン「置いといたからな、サイズは俺用だから少し大きいと思う」


    ミカサ「ありがとう」


    エレン「………どーいたしまして」



    しかし、この寝巻きを渡したのがまた間違いだった。


    ミカサ「思ったよりブカブカなのだけれど…」


    エレン「………」


    俺の寝巻きを着たミカサはどこからともなく、イケナイ雰囲気を醸し出していた。


    ミカサ「エレン…?」


    エレン「いや!なんでもない!」


    ミカサ「なにが?」


    エレン「今日は喫茶店で飯も食わせてもらったし、明日も早いし寝よう!」


    ミカサ「?うん」


    緊張して眠れないものかと思ったが、色々あったせいか疲れですぐに眠ってしまった。
  23. 23 : : 2018/01/23(火) 01:55:33

    ???「エレン…」


    エレン「!…ミカ?」


    ミカ「今日も出張?」


    エレン「ああ….…ごめんな、いつも家に帰って来れなくて」


    ミカ「ううん、大丈夫。大事なことだもの」


    エレン「すぐ帰ってくるからな」


    ミカ「仕事はしっかりやってくること!でも…そのかわり」


    エレン「?」


    ミカ「私と……来世までも、一緒にいてくれるの?」


    その言葉の本意は定かではなかった。

    でも、ミカは寂しがりやで怖がりだから、約束でもしないと俺がどこかへ行ってしまうと考えていたのかもしれない。


    エレン「当たり前だろ!来世でもお前を絶対に探し出して幸せにする」


    俺はミカに心配を掛けさせまいと柄でもないセリフを言った。

    そんな俺を見て笑ったミカがとても微笑ましかった。





    しかし、その知らせはすぐに俺の元へ届いた。


    ???「ミカが……交通事故で病院へ…」


    エレン「……は?」


    俺は出張先の会社をすぐ出て言われた病院へすぐに向かった。

    しかし、時すでに遅く、俺が着いた頃にはミカは息を引き取っていた。

    (なんでもっと何かしてやれなかった)


    (なんでもっとそばにいてやれなかった)

    そんな後悔が頭を巡り、いつのまにか会社を辞め…その後はよく覚えていない。


    自暴自棄になって落ち込んでいた俺を、誰かが支えていた。そんな気がした。

    泣いていた俺の頭を撫でてくれた。

    こんな風に………


    エレン「!!」


    ミカサ「!!」


    目を覚ますとそこは俺の住むアパートの部屋だった。

    ただいつもと違うのは、そこに女子高生がいて、俺の頭を撫でていること……撫でて…


    エレン「…何してるんだ?」


    ミカサ「エレンが……泣いていたから」


    エレン「え……?」


    目元を手で触れると少し湿っているのが分かった。


    エレン(俺、泣いてたのか)


    ミカサ「悪い夢でも見た?」


    エレン「悪い夢…」


    夢だが、あれは確かに現実だった。

    とても悪い、現実。

    だけどとても心地よいものも感じた。


    エレン「…ミカサの手、よく分からねーけど…安心する」


    ミカサ「!!」


    エレン「もう少しだけ、こうして貰っちゃダメか?」


    ミカサは首を横に振り、優しい笑顔を見せてくれた。

    俺が見たかった笑顔。


    ミカサ「こんなので良ければいつでも」
  24. 24 : : 2018/01/23(火) 14:23:13
    期待!!!
  25. 25 : : 2018/01/23(火) 21:50:39

    とっても面白いです!!
    期待してますー! ´ω` )/
    頑張ってください!(*^^*)
  26. 26 : : 2018/01/23(火) 23:52:45
    >>24
    お気に入りありがとうございます!
  27. 27 : : 2018/01/23(火) 23:53:17
    >>25
    ありがとうございます!
    がんばります٩( 'ω' )و
  28. 28 : : 2018/01/24(水) 00:19:01




    エレン「朝だ…ミカサ起きろー」


    ミカサ「眠い、のであと10分…」


    エレン「お前が無理矢理付いてくるって言ったくせに足引っ張ってどうする…」


    ミカサ「エレンが寝かせてくれなかったから」


    エレン「その言い方はやめてくれ」


    確かに俺のせいでミカサが眠れなかったのも事実かもしれない。

    夜、ミカサは俺が眠るまでずっとその手で俺の頭を撫でていてくれた。

    今思えば、女子高生に頭を撫でられながら寝るなんて恥ずかしいにも程があるが。


    エレン「とにかく!今日は近場のところは全部回っておきたいんだ」


    ミカサ「………わかった」


    むくりと起きたミカサを見ると寝癖がすごいのが分かる。

    昨日の綺麗なストレートとは反して逆立っている。


    エレン「お前寝癖すごいな!直してこいよ」


    ミカサ「わかった、洗面所を借りる」


    エレン「その間朝飯作っといてやるよ」


    ミカサ「ありがとう」


    今のミカサを見ていると、昨日のミカサが嘘のように思えてくる。

    高校生なのにとても大人びていて、落ち着いている。少しかけ離れた存在のようにも思えた。

    しかし、この寝起きの悪さも、寝ぼけ方もあまりに想像と違っていて、逆に少し気が楽になったようにも感じた。


    エレン「いただきます」


    ミカサ「いただきます」


    エレン「…うまいか?」


    ミカサ「とてもおいしい、エレンは料理が得意?」


    エレン「まぁこれでも一人暮らししてるからな、料理は慣れてる」


    ミカサ「私は料理が苦手…今度機会があったら是非教えてほしい」


    エレン「機会があったらな」


    朝食を食べながらミカサの方に視線を送ると、ミカサがとても嬉しそうに朝食を食べているのが分かった。


    エレン「どうかしたか?」


    ミカサ「いえ、ただこうやって朝食を食べているとなんだか本当に家族みたいだなって」


    エレン「家族?」


    ミカサ「うん、前はこうはいかなかったから」


    エレン「…前世のことか?」


    ミカサ「そんなとこ」


    エレン「毎回意味深なこと言いやがって、いい加減教えてくれたらどうだ?」


    ミカサ「エレンが私のことを思い出してくれたら話そう」


    エレン「お前が話してくれたら思い出すかもしれないだろ」


    ミカサ「私の口からは言えない」


    エレン「なんでだよ、別に言ったって…」


    ミカサ「どうしても!…言ってしまったら、この関係も…」


    エレン「ミカサ…?」


    ミカサ「…ごめんなさい、感情的になり過ぎた」


    エレン「いや…俺も少し詮索が過ぎた」
  29. 29 : : 2018/01/24(水) 00:37:41

    さっきのことはこれ以上詮索をしないことに決め、俺たちはどうやってミカを探していくかを考えることにした。


    エレン「とりあえず、学校はそこの生徒に片っ端から聞いていくしかないな」


    ミカサ「不審者と間違われるかも」


    エレン「まぁ……そん時はミカサが助けてくれ」


    ミカサ「善処しよう」


    エレン「あと、ここの会社は昼休憩の時間を狙おう」


    ミカサ「どうして?」


    エレン「ここの会社、よく近くの定食屋で昼覚ます社員が多いんだ」


    ミカサ「そこの店で聞くってこと?」


    エレン「まぁそういうこと、本人がいる可能性もあるしな」


    ミカサ「あと、これを使ってみるといい」


    そう言ってミカサが渡してきたのはミカの顔写真だった。しかも、各年齢を推定した写真数枚だった。


    ミカサ「ハンジさんとアルミンが用意してくれた」


    エレン「こんなもん、どうやって?」


    ミカサ「私の意見を参考に作った、他の年齢は推測だけど」


    エレン「でもこれがあれば確実に調査が捗る!しかし…」


    ミカサ「?」


    エレン「ミカサ、ミカのことに関してすごい行動が早いな」


    ミカサ「そう…?」


    エレン「ミカとは前世でそんなに仲が良かったのか?」


    ミカサ「仲良くは…なかった」


    エレン「そうなのか?じゃあなんで」


    ミカサ「エレンを探している時、エレンがもし前世の記憶を戻しているのなら、必ずミカを探しにいくだろうと考えていたから」


    エレン「じゃあ、俺のために?」


    ミカサ「…….ううん、多分これは私のため」


    エレン「ミカサのため…?」


    ミカサ「だからエレンは関係ない、勘違いしないで」


    エレン「そ、そうか…でも助かるよ、ありがとな」


    ミカサ「…礼には及ばない」


    エレン(俺とミカが再会することで、ミカサにどんなメリットがあるんだ…?)
  30. 30 : : 2018/01/24(水) 00:53:09


    エレン「じゃあ早速調査といくか」


    ミカサ「うん」


    エレン「ちなみにミカサは俺を探す時、どうやって探してたんだ?」


    ミカサ「同じように周辺の人に聞いて回った」


    エレン「一人でか?大変じゃなかったか?」


    ミカサ「幸い、エレンの通う大学はすぐ見つかった、のでそこまで大変ではなかった」


    エレン「そうか」


    エレン(ミカサが探していたのは俺だけなのか?それとも他の人もいるのか?もう全員見つかったから俺の人探しを手伝ってくれているのか?…………なんか考えたらモヤモヤしてきた)


    ミカサ「エレン?」


    エレン「……ん、あ、なんだ?」


    ミカサ「ぼーっとしていたので」


    エレン「あー……ミカサは俺以外の人も探したりしていたのか?」


    ミカサ「してない、エレンだけ」


    エレン「へ?」


    ミカサ「だから、エレンだけ」


    エレン「なんで俺だけなんだ?」


    ミカサ「他に探したい人もいなかった、それだけ」


    エレン(本当に、ミカサにとって俺はどんな存在だったんだ…)


    少なくともミカサにとって俺は重要な人物であったことには違いない。

    俺も今、ミカを探していることもあり、探したいという気持ちがどれだけ強い気持ちから来るかというのがわかる。

    俺は前世ではミカサとどんな風に接していたのだろうか。


    ミカサ「エレン、さっきからボケ過ぎ」


    エレン「い、色々考えてたんだ!」


    ミカサ「なら聞かせてもらおう」


    エレン「あー、とりあえず聞き取りに行こう」


    ミカサ「…エレンがそれでいいならいいけど」


    エレン「よし、じゃあ支度して早速近くの登校する生徒を狙って行こう」


    ミカサ「その言い方では犯罪者」


    エレン「やめてくれ」
  31. 31 : : 2018/01/24(水) 01:24:37

    こうして俺たちはミカを探すための聞き取り調査を始めたわけだが、

    初めから上手くいくはずはなく、午前中の学校周辺の聞き取りの収穫はゼロだった。


    エレン「まぁ…そんなすぐに見つかるはずもないか」


    ミカサ「アルミンが絞ってくれた場所にいるとも限らない」


    エレン「そうだよな…」


    二人で唸っていると唐突に腹が鳴る音が聞こえてきた。


    エレン「………ミカサ腹減ってんのか?」


    ミカサ「〜〜っ!」


    エレン「じゃあ例の店で昼済ますか」


    ミカサ「ご、ごめんなさい…」


    腹が鳴ってしまい、照れたミカサの姿は女子そのもので正直、少し可愛かった。


    ???「!あれは…」




    店に入ると店内は既に社員で埋め尽くされていたが、一つ余っていた席にどうにか着くことができた。


    エレン「じゃあ俺はこの定食で、ミカサは?」


    ミカサ「私も同じので」


    店員「はいよ」


    エレン「違うもの頼めば他の味も楽しめたのにな…」


    ミカサ「!その手があったか」


    エレン「友達とあんまそういうことしないのか?」


    ミカサ「……正直、私は友達が少ない」


    エレン「そう見えるな」


    ミカサ「………」


    瞬間、足に痛みが走った。

    テーブルの下でミカサが俺の足を蹴ったのだろう。


    エレン「いてぇ…冗談だって、でもなんで?」


    ミカサ「この記憶のせいか…どうしても相手に冷たい態度を取ってしまう」


    エレン「元からそういう性格なんじゃないか?」


    再び足を蹴られる。割と本気で。


    エレン「ごめんごめんて!」


    ミカサ「真面目に相談してるのに…」


    エレン「わかった、しっかり聞く」


    ミカサ「………記憶が戻る前は友達とも上手くやれていたと思う。だけどこの記憶が生まれてから、自分が何者なのかよくわからなくなってしまった」


    エレン「何者なのか…?」


    ミカサ「今を生きる自分と前世の自分。今の自分を演じていても、それはまるで別人。私ではないって思うようになった」


    エレン「つまり、演じることに嫌気がさしたってことか」


    ミカサ「そう…疲れた。エレンはそんなことなかった?」


    エレン「俺は記憶が戻ってからあまり時間も経ってないし、まだ自覚がないだけかもしれない」


    ミカサ「そう…」


    エレン「話してくれてありがとな。少しだけミカサのこと分かった気がする」


    ミカサ「それなら良かった」


    エレン「早く前世のミカサのことも思い出さなくちゃな」


    ミカサ「………」


    ミカサ(前世の私を知ってしまったら、きっとあなたは私から離れていってしまうだろう)


    エレンを騙して、今の時間を楽しんでいる私がいる

    今だけ

    今だけは

    どうか思い出さないでほしい
  32. 32 : : 2018/01/24(水) 01:55:42

    店を出るとすぐ目の前に男が立っていた。


    ???「よ、よお…ミカサ」


    ミカサ「………?」


    エレン「?」


    ミカサの知り合いっぽいが、ミカサはその男を困惑した表情で見つめていた。


    ???「こんな所で会うなんて偶然だなぁ」


    ミカサ「……あなたは?」


    ???「ほら、同じクラスの……委員会とか一緒にやったことあるよな?」


    ミカサ「……ああ、ジョン…くん?」


    ジャン「いやジャンだけど…」


    ジャンという男はそれを聞くとガクと肩を落とした。


    エレン「友達か?」


    ミカサ「同じクラスメート……らしい」


    ジャン「らしいって…」


    ミカサ「それで、なにか?」


    ジャン「そう!この男、こいつ誰だ?」


    ミカサ「エレンのこと?」


    ジャン「エレンって言うのか、こいつとミカサはその……ど、どういう関係なんだよ」


    ミカサ「関係……」


    そう呟くとミカサは俺の顔をじーっと見つめてきた。

    その瞳はどこか遠いところを見ているようで、今にも吸い込まれそうな感覚に陥った。


    ミカサ「エレンと私はどんな関係?」


    エレン「俺に聞くのか…」


    正直考えたことがなかった。

    俺とミカサはどんな関係なのだろう。

    知り合い?友人?協力者というのが一番妥当だろうか?

    そんなことを考えていると、一つの単語が頭に浮かんだ。

    今朝、ミカサが口にした言葉。


    エレン「……家族…」


    ミカサ「!」


    ジャン「か、家族?!」


    ミカサ「そう、エレンは私の…家族」


    ジャン「なんだ家族かよ……てことはそいつはミカサの…お兄さん?」


    ミカサ「兄ではない」


    ジャン「じゃあなんだ?」


    ミカサ「エレンは家族、それ以上でもそれ以下でもない」


    ジャン「そ、そうか」


    俺から見てもこのジャンという男は明らかに安心しているのがわかった。


    エレン(俺がミカサの家族だと知ってそんな嬉しいか…)


    そんなことを考えているとなぜかイライラしてきた。

    よく分からない感情が湧き上がってくるのを感じた。


    エレン「そう、俺とミカサは家族だ。…未来のな」


    ジャン「………は?」


    ミカサ「え、エレン…?」


    ジャン「ど、どーいうことだテメェ!!」


    エレン「そのまんまの意味だよ」


    ジャン「つまり……」


    エレン「お前の考えてる通りだ」


    ミカサ「エレン、私も初耳なのだけれど…」


    エレン「そういうことだ!次の目的地行くぞミカサ」


    ミカサ「え、うん」


    ジャン「………」


    思い返すと、我ながら何てことを言ってしまったんだと思った。

    今更後悔の波が押し寄せてきた。


    ミカサ「エレン、さっきの……」


    エレン「すまん、ミカサ」


    ミカサ「え…?」


    エレン「勝手なこと言った。なんでかよくわかんねぇけど、なんか心の中クソイライラしてて、それで…」


    ミカサ「大丈夫、エレンは私が戸惑っているのを見て助けてくれた。分かってる」


    エレン「いや、俺は…」


    ミカサ「ありがとう、エレン」


    エレン「あ、ああ…」


    やはり感情的な行動は何も生まない。

    また、ミカサを悲しませてしまった。
  33. 33 : : 2018/01/24(水) 23:48:39

    エレン「じゃあなミカサ、気をつけて帰れよ」


    ミカサ「何を言ってるの?エレン」


    エレン「……は?」


    ミカサ「エレンは明日もミカを探しに行く、なら私は今日もエレンの家に当然泊まる」


    エレン「もしや、ミカが見つかるまで俺ん家に来るつもりか?!」


    ミカサ「そう言った」


    エレン「いや言ってねーよ…」


    ミカサ「どうせあと数日、両親も帰ってこない」


    エレン「わかった!じゃあ帰るぞ」


    ミカサ「うん、帰る」


    正直心配だった。主に俺が。

    さっきの言動といい、明らかに予想外の行動を自分自身が起こしていることから俺がミカサに何しでかすか分かったもんじゃない。

    俺にはミカという決めた相手がいるはずなのに。

    それに俺が思い出せない以上、ミカサが何者なのかも正直分からない。


    エレン(もっと警戒心を持って行動すべきだ……というかその前に家に招いてる訳だが…)


    ミカサ「……エレン」


    エレン「ん?」


    ミカサ「エレンは、私を警戒していないの?」


    エレン「たった今それを考えていたところだったんだけどな」


    ミカサ「答えは出た?」


    エレン「正直言うとよく分からん…ただ」


    ミカサ「ただ?」


    エレン「前世の俺とミカサがどんな関係かは知らないが、今の俺にとってはミカサは信頼に足る奴だと思ってる」


    ミカサ「だとしたらエレンは人を見る目がない」


    エレン「そ、そうか?」


    ミカサ「そう。あなたにとって私は警戒すべき相手、簡単に信じてはならない」


    エレン「本当にそういう奴なら自分からそういうこと言わねーよ。お前うちに来たいのか来たくないのかどっちだよ」


    ミカサ「……エレンはいいの?」


    エレン「俺はお前に聞いてるんだよ、来たいか?来たくないのか?」


    ミカサ「……行きたい」


    エレン「ならそうすりゃいいよ」


    ミカサ「ありがとう…」


    よくわからない奴だ。

    俺の家に無理矢理泊まるかと思いきや、泊まらせないようにしたり。

    きっと、まだ前世の自分と今の自分をハッキリさせることができてないんだろうな。
  34. 34 : : 2018/01/25(木) 00:23:53

    ミカサ「一度家に戻って着替えを持ってくる」


    そう言ってミカサとは一度別れた。

    アパートの前には見覚えのある姿があった。


    アルミン「やあ、エレン」


    エレン「アルミンか。流石、俺の家は把握済みか」


    アルミン「まぁね」


    エレン「で、なんか用か?」


    アルミン「そうそう、実は話したいこととか色々あって」


    エレン「まぁ寒いし、一回うち上がってけよ」


    アルミン「そうさせてもらうよ」


    家に上がるなり、アルミンは驚きの表情を見せた。


    アルミン「結構整ってるんだね」


    エレン「お前もそれを言うのか。まさか、お前も俺の前世の部屋を…」


    アルミン「いや、僕に前世の記憶はないよ!ただ男性の一人暮らしって聞いたからもう少し散らかってるものかと思っただけだよ」


    エレン「なんだよ紛らわしいな」


    アルミン「ごめんごめん」


    エレン「それで、話ってのは?」


    アルミン「うん、君たちが言うミカさんの事故と前世のミカサのことなんだけど」


    エレン「ああ…」


    アルミン「あの事故のこと、君はどんな風に聞いてるの?」


    エレン「正直、詳しいことはよく覚えてねぇんだ…、あの時は気が動転してて。」


    アルミン「そうか…。あの事故、ニュースとかではミカさんが道路に飛び出したところ、車に跳ねられたことになってるんだけど」


    エレン「ミカが…飛び出して?!」


    アルミン「うん、だけど一説には他殺だって言われてることもあったんだ」


    エレン「他殺だって?!つまり、車が故意にやったってことか?!」


    アルミン「いや、問題は車の方じゃなくて、ミカさんが飛び出したことの方だ」


    エレン「どういうことだ…?」


    アルミン「ミカさんは飛び出したのではなく、何者かによって道路に押し出されたのではないかということだよ」


    エレン「なんでそうなるんだよ」


    アルミン「ある情報ではミカさんは事故発生前、ある人と一緒にいたところを目撃されているんだ」


    エレン「ある人って…?」


    アルミン「それは…ミカサだ」


    エレン「ミカサ…だって…?」


    アルミン「更には二人が言い争っているところを目撃したって言う人もいたみたい。事実、ミカサはその後警察から事情聴取を受けている」


    エレン「つまりアルミンはこう言いたいのか?ミカサが…ミカを殺したって…」


    アルミン「確信はないよ。ただ、ミカサがなんであんなにミカさんに執着しているのか僕も気になっただけなんだ」


    エレン「ミカサが……そんなこと…」


    アルミン「僕もミカサにそんなことできるはずがないって思ってるんだ。何かミカサについて思い出したことがあれば僕にも教えてほしい」


    エレン「ああ…」


    ドアが開く音がした。きっとミカサだろう。


    アルミン「誰か来たみたいだけど」


    エレン「ああ、多分…」


    ミカサ「ただいま……アルミン?」


    アルミン「あれ、ミカサ?それにその荷物は…?」


    ミカサ「エレンの家に泊まるので着替えを持ってきた」


    アルミン「え、ええ?!泊まる?!この部屋に!二人で?!」


    ミカサ「?もちろん」


    アルミン「エレン!どういうことだよ?!」


    エレン「いや、こいつ言っても聞かないんだよ…」


    アルミン「でも男女二人で…」


    エレン「俺は手出したりしねーから」


    アルミン「でも…エレンの方も一応、気をつけて」


    エレン「……ああ」


    アルミン「それとこれ、さっき話した内容をまとめた資料。一応渡しておくよ」


    エレン「ああ、ありがとな」


    アルミン「それじゃあ僕はこの辺で、ミカサもまたね」


    ミカサ「またね、アルミン」
  35. 35 : : 2018/01/25(木) 01:11:21

    夕飯を食べ終え、食器を片付ける。

    ミカサもテキパキと食器を洗ってはそれを片付けていく。


    エレン(もううちの食器の位置を覚えられている…)


    正直さっきの話をミカサに聞きたい気持ちで一杯だった。

    しかし、それを安易に話せば俺自身がどんな危険な立場になるか想像がつかない。


    ミカサ「エレン、大学は楽しい?」


    エレン「まぁまぁだな、講義は悪くないと思うけどな」


    ミカサ「そう」


    俺にはミカサが人を殺すことができるような奴には見えない。

    少なくとも俺にとって、ミカサはそばにいて心地の良い存在であるから。

    当のミカサは勉強をしていた。着替えと一緒に道具を持ってきたのだろう。


    エレン「そういえばミカサ、受験生か」


    ミカサ「一応」


    エレン「進路はもう決まったのか?」


    ミカサ「まだ…。前世では卒業してすぐ職に就いたのだけれど」


    エレン「……俺は前世とか関係なく、今のミカサがやりたいことをやればいいと思ってる」


    ミカサ「え…?」


    エレン「前から思ってるが、お前はどこか前世に振り回されすぎなところがあると思う。前世の自分を重ね過ぎだ。たまには自分が今をどう生きたいか考えたらどうだ?」


    ミカサ「今を…生きる」


    エレン「前世のミカサがどうだったかは知らねー。俺にとっては今ここにいるミカサがミカサだ」



    こんなことを口では言っているが、実際のところは前世でミカサがどんな感じだったのか、事故との関連性など気になって仕方がなかった。

    それでも、前世の記憶によって怯えて生きていくよりはよっぽどマシな生き方だと思う。

    前世の記憶なんか無ければ、ミカサはもっと素直で、笑える女の子だったかもしれない。


    エレン(記憶はまるで、呪いだな)


    ミカサ「…でも、私はまだ甘えることは許されない。ミカを探し出すまで…まだ…」


    エレン「………」




    ミカサとミカの間に何かあったのはきっと間違いではないのだろう。

    布団に潜りながら、アルミンに言われたことを考えていると背中から腕を巻かれる感覚があった。


    エレン「……ミカサ、こりゃどういうことだ」


    ミカサ「今だけでいいから、このまま寝かせてもらえないだろうか」


    エレン「おい、でもそんな…」


    ミカサ「お願い」


    顔を伺うと今にも泣き出しそうな顔をしているのが分かった。


    エレン(そんな顔されちゃ断れねぇ…)


    エレン「…今だけな」


    ミカサ「…うん」



    自分に負けた罰なのか、深い闇に堕ちるような夢を見た。

    暗い闇に堕ちていく

    深く

    深く


    ミカ「あなたのせいだ」


    エレン「ミカ…?何言ってんだ…」


    ミカ「あなたが彼女を受け入れるから」


    ミカサ「………」


    エレン「ミカサ…?」


    ミカサ「こうするしか…なかった」


    そう言ってミカサはミカの背中を押し、闇の底へと突き落とす。


    エレン「おい……なにしてんだ…」


    ミカサ「あなたのその薄っぺらい感情が彼女を傷つけた」


    エレン「何言って…」


    ミカサ「あなたは本当にミカを…」



    「愛しているの?」





    エレン「ああああぁぁああ!!」


    ミカサ「エレン!!」


    戻された、現実に。

    最悪だ、ミカサだけでなく自分の心まで疑い始めた。


    エレン「なぁミカサ」


    ミカサ「え…?」


    エレン「俺本当にミカを……愛せていたのかな…」


    ミカサ「………うん、あなたは本当にミカのことを愛していた。悔しいくらいに」


    その言葉の真意は分からなかったが、少なくとも俺にとっては救いの言葉だった。

    同じ境遇に立つ者同士、ミカサがいなければ、ミカサの言葉がなければ俺はどうなっていただろう。
  36. 36 : : 2018/01/25(木) 07:31:37
    先日は自分のSSスレに来て下さりありがとうございました!転生パロ楽しみにしてます!期待です!
  37. 37 : : 2018/01/25(木) 19:05:38
    春風さん!
    私のスレに期待コメ&お気に入りありがとうございます!!
    期待してます(o^^o)
  38. 38 : : 2018/01/26(金) 00:59:28
    >>36
    >>37

    お二人方の作品を見て、よりエレミカ熱が燃え上がりました!

    ありがとうございます!
  39. 39 : : 2018/01/26(金) 01:27:25


    エレン「ミカサ本当に大丈夫か?」


    ミカサ「その質問5回目…」


    エレン「それほど心配なんだって…」


    ミカサ「言ったでしょ、これは私のためでもあるんだって。だからこれは私もやらなくてはならないこと」


    エレン「それは…」


    ミカサ「それに私はエレンの方が心配」


    エレン「なんでだよ」


    ミカサ「ミカを探し始めてから既に『一週間』が経った。毎日遅くまで調査して、疲労が溜まっているはず」


    俺たちは今、遠くの街へ向かうべく新幹線に乗っていた。

    ミカサの言う通り、ミカを探し始めてから既に一週間が経過していた。

    近い所で当てのあった場所はあらかた調べ終え、他の所を当たるしか術は無くなったからだ。

    疲労が溜まっていないと言ったら嘘になるが、そんなことを言っている余裕など無かった。

    ミカサも相当疲れているはずなのだが、一向に疲れを見せることはなかった。


    エレン「………さっきから気になってたんだが」


    ミカサ「なに?」


    エレン「新幹線に乗ってる時くらいそのマフラー、外さないのか?」


    ミカサ「これがないと寒いから…」


    エレン「いやここ大分暖房効いてるぞ?!寝ようと思っても苦しいだろ」


    ミカサ「これがないと眠れない…」


    エレン「………」


    エレン(こいつの神経、どうなってんだ…)


    そもそも、俺がミカサにマフラーをあげた時も、ミカサは意味深な言葉を発していた。

    「エレンは…本当に覚えてないの?」

    ミカサがマフラーに執着する理由もまた、前世にあるのだろう。


    エレン「到着するまで寝てるか」


    ミカサ「私もそうする」


    するとミカサは手を伸ばし、俺の手を握った。


    エレン「…心配ねーよ」


    ミカサ「大丈夫じゃない。エレンが毎晩悪夢を見ていることは知ってる」


    エレン「だからってこんな時まで…」


    ミカサ「私は気にしない。エレンが悪夢を見ずに済むならそれでいい」


    たしかに、俺はあれから毎晩のように悪夢を見てはうなされていた。

    それをミカサが毎回気づいては今のように手を握るようになっていた。

    ミカサが手を握ってくれた時は、安心して眠ることができていたのを覚えている。


    エレン「じゃあ…頼む」


    ミカサ「私もこれで…眠れる…」


    エレン(やっぱ無理してたのか…)


    やはり疲れていたのか、ミカサは安心するとすぐに眠りについた。

    ミカサの手を握り返し、俺も眠りについた。
  40. 40 : : 2018/01/26(金) 02:00:57

    目を開けるとそこはとある部屋だった。

    しかし、そこは見慣れたアパートの部屋ではない。

    部屋はあらゆるもので散らかっており、生活感が微塵も感じられるものではなかった。


    エレン(首が……痛い……)


    首に触れようとすると、そこには頑丈な縄がかけられていた。


    エレン(そうか……これで俺は自分を)


    ミカサ「エレン!!」


    エレン「ミカ…サ…?」


    ミカサ「遅くなってごめんなさい!もう一人にしないから…だから…お願い、死なないで」


    その女性はミカサだとすぐに分かったが、俺が知っているミカサとは少し違っていた。

    歳は20代あたりだろうか。
    スーツを身に纏い、髪はさらに短く切られており、綺麗な顔はやや、やつれて見えた。


    ミカサ「私がミカの分まで、あなたを支えるから…」


    エレン「っ!」


    その時、俺の中の何かが爆発した。


    エレン「お前がっ……ミカの代わりになんてなれるか!!ミカはもういない……お前はミカじゃない…!」


    ミカサ「!!」


    今やっと思い出した、ミカが死んでしまったということを。

    力を出し切り、倒れ込んだ俺をミカサは抱き寄せた。


    ミカサ「……そう、私はミカじゃない。私はミカサ、あなたの…家族」


    エレン「俺には、姉も妹もいないぞ…」


    ミカサ「ううん、このマフラーを貰った日から私はあなたの家族になった。あなたがそう言ってくれた」


    エレン「俺が…?」


    ミカサ「そう。両親を失った私を、あなたが救ってくれた。だから今度は私があなたの支えになりたい。家族として」


    エレン「ずっと…支えてくれるのか?」


    ミカサ「ずっと…一生…いや、来世までも」


    エレン「来世…」


    ミカサ「私があなたの幸せを願い続ける。だからエレン…お願い」


    ミカサ「生きて」







    目を覚ますと、そこは新幹線の中だった。

    それほど時間は経っていなかったらしく、手は依然としてミカサと手を繋がれたままだった。


    エレン(あれはたしかに、俺の前世の記憶だった)


    ミカの死後、自暴自棄になっていた俺を支えてくれていたのは他ならぬミカサだったのだ。

    そして、前世で交わした約束。

    ミカサは今もそれを守り続けている。
    俺の幸せを願い続けて。


    エレン(お前がミカを…殺すはずがないよな)


    握る手の力が一層強まった。
  41. 41 : : 2018/01/26(金) 12:07:19
    期待!!!!!
  42. 42 : : 2018/01/26(金) 18:01:12
    期待です╰(*´︶`*)╯
  43. 43 : : 2018/01/27(土) 01:28:55


    エレン「ミカサ、着いたぞ」


    ミカサ「エレン…?」


    エレン「俺ももう少し寝かせてやりたいんだが、降りなきゃ」


    ミカサ「わかった…」


    しかし、今のミカサは寝起きとはいえ、明らかに顔色が悪かった。


    エレン「体調、悪いか?」


    ミカサ「いえ、ただ…なんだか長い夢を見ていた気がして…」


    エレン「悪い夢だったのか…?」


    ミカサ「どうだろう…。ただ、私は今その信念を元に生きている……あなたは覚えていないのだけれど」


    エレン「やっぱり、前世のことか?」


    ミカサ「うん。…約束…いや、あれは私が一方的に言ったのだから誓いと呼ぶべきかも」


    エレン「誓い…」


    ミカサ「ずっと…支えると」


    エレン「!!」


    ずっと支える、約束、誓い。

    このワードは全て、聞き覚えのあるものだった。

    そう、俺の夢の中で。

    しかしなぜ、このタイミングで同じ記憶を、なぜこのタイミングで俺はミカサのことを思い出した?まさか…


    エレン(俺とミカサの前世の記憶が…リンクした…?)


    そもそも、ミカサが俺とコンタクトを取ったのは俺が前世の記憶を取り戻した次の日だった。

    つまり、ミカサは俺と話す前日にも接触をしていた可能性がある。

    それによって前世の記憶が目覚めた。


    エレン「なぁミカサ」


    ミカサ「なに?」


    エレン「前世の記憶を持つ者が、他者に影響を及ぼすことってあるのか…?」


    ミカサ「……分からない」


    エレン「そうか…」


    ミカサ「ただ」


    エレン「?」


    ミカサ「…エレンに始めて触れた時、私はエレンと関わってきた全ての記憶を思い出した」


    エレン「触れた時…?」


    ミカサ「それが他者からの影響なのかどうなのか分からないけど」


    エレン「でも俺は、ミカサに触れても何も思い出さなかったぞ」


    ミカサ「ぶつかった時は何も思い出さなかった、接触がトリガーではないのかも」


    エレン「どういうことだ…」


    ミカサ「今ここで考えても仕方ない。取り敢えずミカを探すことに集中しよう」


    エレン「ああ…」
  44. 44 : : 2018/01/27(土) 01:54:31

    ミカサ「今日回るのは?」


    エレン「ああ、この会社を調べたら少し離れた保育園に行くが…」


    ミカサ「?」


    エレン「ここがアルミンからの最有力候補だ」


    ミカサ「保育園が…?」


    エレン「ああ…つまり、ミカは幼児の可能性があるってことだ…」


    ミカサ「そしたらエレンは、どうするの?」


    エレン「………とりあえず調べよう」


    そう言ってバスを使い、まず目的の会社付近の店へと向かった。


    店員「いらっしゃいませ」


    エレン「二人で」


    店員「あちらの席へどうぞ」


    店内は既に社員で埋め尽くされていた。

    調べるにはもってこいだ。


    エレン「こうやってミカサと外食するのも何回めだろうな」


    ミカサ「エレンとグルメの旅でもしている気分」


    エレン「それいいな!ミカが見つかったらやってみるのもいいかもな」


    ミカサ「え…?」


    エレン「?どうしたんだよ?」


    ミカサ「それは…ミカとやった方がいいんじゃ…」


    エレン「………俺はミカサに言ったんだよ、そんなに嫌ならいいけどよ」


    ミカサ「い、嫌じゃ…ない!行く!絶対!」


    エレン「お、おう…?」


    ミカサ「約束!絶対に連れて行って」


    そう言ってミカサは小指を立て、突き出してきた。


    エレン(指切り…ってことか?)


    おずおずと小指を立てると、ミカサは自分の小指をそれに絡めた。


    ミカサ「こんな楽しみな約束……初めて」


    エレン「……」


    嬉しそうに微笑むミカサを見て、俺も自然と笑みがこぼれた。


    エレン「じゃあ早速始めるか」


    ミカサ「うん」


    そう言ってまず、隣に座る社員に声を掛けた。


    エレン「あの、すいません」


    社員1「おう、どうした?」


    エレン「こんな感じの人で名前はミカ、会社や知り合いにいませんか?」


    出したのはアルミンから貰った、推測で作られた写真。


    社員1「うーん、似たような奴はいるけど名前は違うな」


    エレン「あの、その方とお会いすることはできないでしょうか?」


    社員1「できるも何もそこにいるぞ、ほら。おーい!ちょっと来てくれ!」


    社員2「あ、はーい」


    そう言って来たのは長い黒髪で顔も整っている綺麗な女性だった。

    確かに似ていると言われれば似ているが、明らかに違うと分かった。


    社員2「あの…なにか?」


    エレン「いやすいません、人違いで。このような人知りませんか?」


    社員2「うーん…ちょっと分かりませんね」


    エレン「そうですか、ありがとうございます」


    礼をして社員が戻ると同時にミカサも帰ってきた。


    エレン「そっちはどうだったか?」


    ミカサ「そうか…」


    そんな落胆している俺たちの前に店員が現れ、気まずそうに料理を置き立ち去った。


    エレン「とりあえず飯食って次の場所へ向かおう」


    ミカサ「うん」
  45. 45 : : 2018/01/27(土) 01:58:56
    >>44
    書き間違えがありました。
    途中の会話


    エレン「そっちはどうだったか?」


    ミカサ「……」


    エレン「そうか…」




    になります
    すいません
  46. 46 : : 2018/01/27(土) 02:25:34

    再びバスに乗り次の目的地の保育園に向かう。

    さっきとは違い長くなりそうだった。


    エレン「なぁミカサ、触れていいか?」


    ミカサ「な…?!え、エレン?!」


    エレン「……………!ち、違う!さっきの話で、触れたら何か思い出せるかと思って!」


    ミカサ「………」


    エレン「俺からミカサに触れたこともなかったしな」


    ミカサ「……いいよ」


    エレン「………」


    照れた顔でそんなことを言われるとこれから何かイケナイことをするような気分になった。

    ミカサの手に触れた。

    とても細く、綺麗な指、女の子の指だ。
    その指に自分の指を絡めてみる。

    ミカサを見てみると、ミカサはマフラーで顔を隠していた。


    エレン(………これヤバイな)


    しかし、何も思い出さない。


    エレン「すまん、何も思い出さそうにねぇ」


    そう言って手を離そうとしたがその手は離れなかった。


    エレン「ミカサ…?」


    ミカサ「私もまだ思い出せることがあるかもしれない、ので離さない」


    ミカサはまだマフラーで顔を隠したままだ。


    エレン(照れてんのかな…)


    思わず笑みがこぼれた。

    バスが到着するまでその手は離さないでおくことにした。





    エレン「やっと着いた…」


    ミカサ「う…うん…」


    エレン「園児が帰るまできっとまだ時間あるから、休むか?」


    ミカサ「少し…」


    長い間バスに揺られていたせいでミカサは酔ったようだった。

    バス停のベンチに腰をかけ、自販機で購入した飲み物を飲む。


    ミカサ「エレンは…」


    エレン「ん?」


    ミカサ「ミカが本当に園児だったら、どうするの?」


    エレン「……見守っていようと思う」


    ミカサ「見守るって…?」


    エレン「ミカとは直接関わりがなくても、俺はあいつが大きくなるまで見守ろうと思う」


    ミカサ「…ロリコン」


    エレン「違うだろ?!」


    ミカサ「それはまぁ置いといて」


    エレン「置いとくのか」


    ミカサ「前世の記憶のこととかいいの?」


    エレン「…園児にしてそんなこと思い出したらきっと大変だ。俺たちですら、現世の前世の自分に混乱するくらいだ」


    ミカサ「………」


    エレン「だからいい、見守るだけで」



    エレンはミカのことを本当に大事に思っている。

    だからこんな考え方も平然とできる。


    ミカサ(私が入る隙間など…最初から…)


    エレン「しかし、この缶コーヒー美味しいな」


    ミカサ「うん」


    ミカサ(だから、この時を楽しんでおこう)

  47. 47 : : 2018/01/27(土) 03:01:33

    エレン「そろそろ行けるか?」


    ミカサ「うん、大丈夫」


    エレン「よし、行こう」


    住宅街の中を二人で歩いていく。

    だが、人通りが多い町でもない。

    二人だけの世界だ。


    ミカサ「エレン」


    エレン「ん?」


    ミカサ「私、エレンと色々な所に行くことができて、本当に楽しかった」


    エレン「ミカサ…?」


    ミカサ「実はね、エレン………前世ではずっと、私はエレンに嫌われていた」


    ミカサ「ミカにも嫌われていて、二人にとって私は邪魔な存在でしかなかった」


    ミカサ「前世で、エレンは私に家族だと言ってくれた。でもそれはエレンがまだたった10歳の頃の話で、私はその言葉を勝手に信じようとしただけ」


    ミカサ「私はエレンにとって……何者でもなかった」


    エレン「でもそれは前世の話だろ?」


    ミカサ「え…?」


    エレン「前も言ったはずだ。俺にとってのミカサは今のミカサなんだ、前世なんて関係ねえ」


    エレン「俺にとってミカサは、もうかけがえのない存在なんだ」


    ミカサ「それって…」


    エレン「深い意味はねーぞ。ただ、この一週間で一緒に暮らして一緒に飯くって一緒にここまで出かけて…何者でもないわけないだろ」


    ミカサ「……うん」


    エレン「ミカサはもっと、前世なんかに引っ張られてばかりじゃなくて今を見るべきだ」


    ミカサ「エレン」


    エレン「なんだよ」


    ミカサ「ありがとう」


    エレン「もう二度とそんなこと言うなよ」


    ミカサ「もう大丈夫、エレンが沢山教えてくれたから」


    エレン「……そうか」


    話しているうちに目的の保育園が見えてきた。

    既に帰り始めている園児も見えた。


    エレン「やべ、もう帰ってたりしてたら…」


    ミカサ「多分大丈夫、あの子が一人目っぽい」


    エレン「だといいが…」


    とりあえずあまり目立たない隅で見ていることにした。

    徐々に迎えに来る親が増えていき、混雑してきた。


    エレン「多くてよく見えねぇ…」


    ミカサ「私が近くで見て来る」


    エレン「それなら俺も…」


    ミカサ「ダメ、エレンが行くと怪しまれる」


    エレン「わ、分かった…」


    黙って待機することにして遠目から園児を見て行く。

    前世でミカの幼稚園の頃の写真を見たことはあるが、それとほとんど同じならいいんだが。

    中には父親が迎えに来る園児もいて、楽しそうに帰るのが見える。


    エレン(前世でもミカと俺に子供がいたらあんな楽しそうな家族になれたかな…)


    瞬間、何かを捉えた気がした。

    ずっと探していた何かを俺は逃さなかった。

    待機していた場所から全力で駆け出した。



    エレン(ミカ…!!)
  48. 48 : : 2018/01/27(土) 03:05:07
    >>41
    >>42
    またも期待コメありがとうございます!
  49. 49 : : 2018/01/27(土) 13:09:59
    ミカが現れたの!?
    期待!!してます!!
  50. 50 : : 2018/01/27(土) 19:06:03
    すっげー期待!!!
  51. 51 : : 2018/01/28(日) 01:38:35



    だが、俺の足はすぐに止まった。













    ミカ「ファルコ、遅くなってごめんね」


    ファルコ「ママ!」


    俺が望んでいたものがそこに、すぐそこにあるのに、俺は手を伸ばすことができない。

    ミカを、とても遠くに感じたから。


    ミカサ「エレン!」


    エレン「………」


    ミカサ「エレン!!」


    エレン「ミカサ…?」


    ミカサ「ミカが行ってしまう!早く行かないと!」


    エレン「……いい」


    ミカサ「どうして?!」


    エレン「もういいんだ」


    ミカサ「なんで!!」


    エレン「なんでお前がそんなに怒るんだ?!お前には……関係ないだろ!!」


    ミカサ「っ!」


    完全に逆ギレだ。

    ミカサを見ると、怒っているようで、今にも泣き出しそうな顔をしていた。

    そのまま俺に背を向け、ミカの方へと走って行った。


    エレン(ミカサ……もういいんだ、俺は)


    ミカが車に乗ってもなお、ミカサはその後を追って行った。

    俺はただ、そこから動けずにいた。

















    雨が降り出した。

    濡れた視界にボヤけてミカサの姿が見えた。


    ミカサ「………」


    ミカサ「どうして…?」


    ミカサ「どうしてミカを追わなかったの…?」


    エレン「………」


    ミカサ「エレン答えて!!」


    エレン「……ミカにもう、俺は必要ない」


    エレン「ミカは家庭を築き、幸せに暮らしている。今更俺が行ったところでなんになる…」


    その瞬間、左頬に痛みを感じた。

    ミカサにビンタをされたのだと気付くには時間を要した。


    ミカサ「エレンは……エレンはどうなの?」


    エレン「え……?」


    ミカサ「もしかしたらミカにはあなたが必要でないかもしれない、だけどあなたには…エレンにはミカが必要なんでしょ?」


    エレン「!」


    ミカサ「だから、エレンの想いを……信じさせて!」


    そうだった。

    今までずっと、ミカを幸せにするために探してきた。だけど、

    本当は俺がミカと幸せになりたかっただけなのかもしれない。

    でも、

    ただ会うだけで良かった。

    話すだけで良かった。

    聞くだけで良かった。


    今、幸せですか?と。




    それすらできないでいたら、俺とミカサのこの一週間に意味を与えるものがなくなってしまう。



    エレン「ミカサ」


    ミカサ「………」


    エレン「俺、ミカと話すよ。例えどんな結果になったとしても、話すよ」


    ミカサ「……うん」


    エレン「明日、もう一度ここへ来よう」
  52. 52 : : 2018/01/28(日) 02:28:19


    帰ろうと立ち上がると、目の前でミカサが倒れた。


    エレン「ミカサ?!」


    ミカサ「大丈夫、少し痛めただけ」


    そう言ってミカサは右足を押さえていた。

    さっきミカを追っていった時に痛めたのだろうか。


    エレン「歩けるか?」


    ミカサ「へーき…」


    口ではそう言っても、ミカサの足は進まなかった。


    エレン「タクシー呼んで、この近くのホテルに行こう。今日はそこで休もう」


    ミカサ「ほ……ホテル?」


    エレン「今更何を驚いてるんだお前は」


    この一週間うちに泊まっては、風呂も入ったり飯も食ったりと過ごして来たのに、なぜホテルと聞くと顔を赤らめるのか。


    エレン「とりあえず濡れてるし急いで行こう」


    ミカサ「うん」


    タクシーに乗り、近くのホテルまで送ってもらった。

    降りた後は俺が肩を貸してミカサを支えた。


    エレン「え?ダブルのみですか…?」


    受付「申し訳ございません」


    エレン「ミカサ、どうする?」


    ミカサ「私は気にしない」


    エレン「じゃあそこで」


    希望ではツインが良かったのだがダブルルームしかないのなら仕方ない。


    エレン「ミカサ、とっととシャワー浴びてこいよ」


    ミカサ「エレンの方が濡れてる、エレンが先に入るべき」


    エレン「俺はいいんだよ、さっさと入れ」


    ミカサ「………わかった」


    しょうがないと言う風に着替えを持っておぼつかない足でシャワールームに向かっていく。


    ミカサ「エレン」


    エレン「なんだ?」


    ミカサ「眠る前に話したいことがある」


    エレン「…わかった」


    それだけを言い残してミカサはシャワールームに入っていった。


    エレン(話したいことって…)


    様々なことを考えたがまとまらなかったので、結局は聞くまで待つことにした。




    俺もシャワーを浴び、ミカサの要望通り寝る前に話を聞くことになった。

    ダブルベッドに二人で入る。

    顔は合わせたくないと言うので、背中を向けあった体勢になった。


    ミカサ「これから話すのは、私がいままで話さなかった前世の頃の話」


    エレン「前世…」


    ミカサ「でもエレンにはただ聞いているだけでいてほしい。何も言わないで」


    エレン「わかった…」







    前世で私とエレンは二人で住んでいた。


    10歳の頃、私は両親が亡くなり、親戚だったエレンの家に養子として引き取られた。


    この時、私はエレンに家族の証としてマフラーを貰った。
    この時からマフラーはこれしかつけない。


    それは置いといて、
    19歳になった時にエレンの親がある事件に巻き込まれて他界。


    この事件をキッカケにエレンはミカと出会った。


    ミカも兄弟を事件で亡くしていたから、エレンとはきっと気が合った。


    でも私は、ミカが嫌いだった。


    事件をキッカケにエレンに寄ってきて、それからというものどこまでもエレンを連れ回し離さなかった。


    私にとっては、エレンとの家族の時間や絆を奪ってしまう存在でしかなかった。


    ミカといることで私といる時間は減り、世話を焼こうとすれば拒絶するようになり、遂には私の前に姿すら見せることが無くなった。


    我慢を切らした私は直接ミカと話すことにした。そして、エレンが私を避ける理由を知った。


    ミカは私を『死神』だと言った。


    私の両親の死、エレンの両親の死。


    全て私が引き起こしたことだと。


    次はエレンの番なのではないかと考えたミカは、ありとあらゆる手を使って私からエレンを引き離した。


    最初はミカが自分の都合でそんなことを言っているものだと考えていた。


    だけど、ミカはいつも本気でエレンのことを考えていた。エレンの幸せを願っていた。


    私では叶わない想いだと今では感じている。


    でも、その時の私にはそんなことを考えている余裕はなかった。


    ミカサ「エレンの前から…消え失せろ!!」


    ミカ「ミカサ…さん?」


    ミカサ「お前さえ…お前さえいなければ、私はエレンと…!」


    ミカ「…….エレン…と?」


    ミカサ「…私はエレンと……」




    ミカサ(どうなりたいんだろう…)




    その後、ミカは事故で亡くなった。

    彼女の言葉を思い出した。



    『死神』




    ミカを殺したのは…




    私だ。




  53. 53 : : 2018/01/28(日) 02:49:10












    ミカサ「これが全てだよ」


    全身の体の力が抜けていくのを感じた。


    エレン「やっぱミカサ、殺してないんだな」


    ミカサ「え…?」


    エレン「すまんな、前にアルミンと話しててさ、ミカを殺したのはお前なんじゃないかって話しがあったんだ」


    ミカサ「でも……私のせいで…」


    エレン「お前のせいじゃない」


    ミカサ「でも…私は死神で…」


    エレン「死神なわけあるかよ。俺にはむしろ、ここまで導いてくれた女神様に見えるな」


    ミカサ「め……女神…」


    それを聞いてミカサが体を震わせているのがベッドから伝わってきた。


    エレン(泣いてんのか…?)


    と思ったのも束の間、


    ミカサ「ふふっ……エレンから女神様なんて言葉が出るなんて…」


    エレン「っ!笑ってたのかよ!」


    ミカサ「うん、でも…ありがとう」


    エレン「おう、これで俺も踏ん切りがついた」


    ミカサ「良かった」


    エレン「明日、お前も一緒に話聞いてくれないか?」


    ミカサ「最初からそのつもり」


    エレン「は?」


    ミカサ「そもそも、私がエレンについて行くことになったのはミカに会うため」


    エレン「そうだったな…」


    エレン(今じゃ嘘ってのはわかるけどな…)


    ミカサ「エレンが振られるところを見るのも楽しみ」


    エレン「悪趣味だ…」


    ミカサ「でもその時は、私がもらってあげる」


    エレン「そーかよ」


    女にこんなことを言わせるなんて、

    俺はミカサの前ではつくづくダサい…。


    エレン「これで終わりか……」


    ミカサ「うん…」


    エレン「ミカを一生懸命探していながらも、実は結構楽しんでた気がする」


    ミカサ「私も、エレンと一緒で楽しかった」






    明日で終着点










    最高の日にしよう










    だから











    「おやすみ」





























    ミカサ「ゴホッ!!………風邪引いた」


    エレン「あれ……もう11時」



    最悪の朝になりました。
  54. 54 : : 2018/01/28(日) 03:15:56

    エレン「昨日あんだけびしょ濡れになればな」


    ミカサ「…エレンは平気なの?」


    エレン「みたいだ、お前は今日は休んだろ」


    ミカサ「私も行かなくちゃ……ケホッ…」


    エレン「無理だ、やめとけ」


    ミカサ「ごめんなさい…」


    エレン「よし」


    薬を飲み、ベッドに横になり布団をかけてもらう。


    エレン「じゃあ行ってくるな」


    ミカサ「…いってらっしゃい」


    部屋を出てドアを閉める。

    ミカサの体調は気になるところだが、今はやらなければならないことがある。


    昨日と同じ保育園に向かい、同じ隅に立つ。


    エレン(昨日はもう来てたはずだが…)


    時計を確認していたその時、背後からズボンを引っ張られる感覚があった。


    ファルコ「にーちゃん、そこで何してるの?」


    エレン「おわっ?!!」


    ミカ「コラ!ファルコ!」


    背後に立っていたのはミカとその息子、ファルコだった。


    ミカ「すみませんでした…ほらファルコ行くよ」


    エレン「あ…あの!」


    ミカ「え…?」


    咄嗟に肩を掴む。


    エレン「俺のこと…覚えてない?…ですか?」


    ミカ「えーと……ごめんなさい、どなたでしょうか?」


    しょうがないよな……。

    でも少しだけ、少しだけでも





    俺のことを覚えていてくれてたなら






    そう思った瞬間、何かと繋がった気がした。

    それと同時に目の前のミカが倒れた。


    エレン「ミカ!!」


    ファルコ「ママ!!」


    叫び、名前を呼んだ。

    次にミカが目を開いた時、その顔は、

    俺の知っていたミカだった。


    ミカ「エレ…ン?」


    エレン「ミカ?お前…覚えて?!」


    ミカ「エレン!どうしてここに?」


    エレン「お前を探しに来たんだよ。お前が幸せか知りたくて、良かったよ」


    ミカ「………」


    しかしそれを聞いたミカは浮かない顔をしていた。


    エレン「ミカ?」


    ミカ「幸せ…かな…」


    エレン「だって今、夫も子供もいるんだろ?」


    ミカ「夫とはファルコを産んですぐに別れたの」


    エレン「え…?」


    ミカ「だからファルコには辛い思いをさせている…」



    俺のこの旅は、ミカの幸せを願うものだった。


    ミカが幸せでないなら、この旅は何であったと言えるのか…。


    エレン「……ミカ」


    ミカ「…?」


    エレン「俺がミカを幸せにする、今度こそ。だから俺と…………」




































    ミカサに報告することが増えた。

    振られるのを見るのを楽しみにしているなんてもう言わせない。

    急いでホテルに戻り、部屋の扉を開いた。





    エレン「ミカサ……?」


  55. 55 : : 2018/01/28(日) 03:17:37
    >>49
    >>50

    期待に添えられるよう全力を尽くします⤴︎
  56. 56 : : 2018/01/28(日) 09:17:34
    おもろい!!
    期待です!!!
    毎日投稿結構嬉しいです!
  57. 57 : : 2018/01/28(日) 19:14:02
    続きすごく気になります!!
    期待です(o^^o)
  58. 58 : : 2018/01/28(日) 23:36:31
    >>56
    良かったです!
    ありがとうございます!
  59. 59 : : 2018/01/28(日) 23:39:17
    >>57
    ありがとうございます!
    花恋さんの作品も気になって仕方ありません^ ^
  60. 60 : : 2018/01/29(月) 00:42:41













    あれから3ヶ月もの月日が過ぎた。




    エレン「今日夕飯どうする?」


    ファルコ「ハンバーグ食べたい!」


    ミカ「ハンバーグかぁ……。でもエレンが来るならもう少し手早く作れるもので…」


    エレン「いいよいいよ!俺も手伝うからさ」


    ミカ「エレン料理できたの?」


    エレン「おう!これでも一人暮らしだからな」


    ミカ「前世では何も作れなかったのに…」


    エレン「前世は前世、今は今だ」


    ミカ「前世は前世……か」


    エレン「どうした?」


    ミカ「な、なんでもない!じゃあ今日はハンバーグにしようか」


    ファルコ「やった!」


    エレン「良かったな!ファルコ」



    俺はミカと、『交際』をしている。

    最初は結婚しようと考えていた。あの時、


    「俺と……結婚してくれませんか?」


    そう言った。

    だが、今の俺は大学生だ。通っている大学も遠く、稼げるとしてもバイトでせいぜい月数万だ。

    とても家庭を支えていけるようなものではなかった。

    それも、ミカは


    ミカ「それに、今の私は28歳でバツイチなんだよ、エレンはいいの?」


    エレン「ミカは俺と一緒にいたくないのか?」


    ミカ「そういうわけじゃないけど…」


    エレン「じゃあ俺が大学生を出て手に職をつけるまで、付き合ってくれないか?」


    ミカは少し考えたあと、頷いて了承してくれた。



    その後、ミカはこちらに街に越してきた。

    元々こちらの街に憧れていたらしく、ファルコもこちらの小学校に通わせるつもりらしい。

    そして今、俺は時々こうしてミカと食事を取りながら幸せな日々を送っていた。


    ただ一点を除いて












    3ヶ月前。
    あの日、俺がホテルに戻った時。


    エレン「ミカサ……?」


    部屋からは人の気配を感じなかった。

    当たり前だった。そこにミカサはいなかったのだ。

    部屋のあちこちを調べてもミカサの私物は一切無くなっていた。

    まるでそこにミカサが最初からいなかったかのように…。

    ただ一つ、ミカサがそこにいたことを示していたのは、机に置かれた一通の手紙だった。




    エレンへ



    勝手に帰ってしまってごめんなさい


    それともう一つ、あなたに謝らなければならないことがある


    昨日、実は私はミカと話しをすることができた


    車を追っていった後、偶然信号に止められたところを急いで声をかけた


    そこでミカが、記憶を取り戻していないことと、離婚をしていることを知った


    何も言わず、ごめんなさい


    これを言ってしまえばあなたは本当にミカのことしか見てくれなくなる、そう考えた、そう考えると辛かった


    だからせめて、最後だけは私のことを見てほしかった


    エレンのことが、好きだから


    ミカを見つけ、明日エレンはミカに想いを打ち明けることができる


    私の役目はもう終わり、もうエレンのそばにいることはできない


    どうかお元気で、さよなら


    ミカサ





    それだけが残されていた。

    すぐに連絡を取ろうとしたが、ミカサとは連絡を取ったことがなかった。

    それだけいつも身近な存在だった。


    当然、俺が探さないわけがない。


    ミカが引っ越しの準備をする1ヶ月、俺は死に物狂いでミカサを探した。

    まず最初に頼ったのはもちろんアルミンだった。だが、


    アルミン「僕からは何も言えない」


    エレン「ってことはミカサのこと、何か知ってるんだな?!」


    アルミン「………」


    エレン「教えてくれよ!!」


    アルミン「僕の軽率な行動で、ミカサの想いを無化にはしたくないんだ」


    エレン「もういい!俺だけ探す!」


    しかし、ミカサは見つからなかった。

    ミカサはずっと近くにいたのに、俺はミカサのことを何一つ知らなかったし、知ろうともしていなかった。

    ミカサはあんなにも、俺のことを想ってくれていたのに。



    ただ、ありがとうと伝えたい




  61. 61 : : 2018/01/29(月) 01:15:56



    ミカ「はい、できたよハンバーグ」


    ファルコ「わーい!ハンバーグ!」


    エレン「めっちゃ美味そうだな」


    ミカ「エレンが手伝ってくれたおかげ」


    俺は今、ミカの家に来ており、夕飯をご馳走になっていた。


    「「「いただきます!」」」


    ミカがいて、子どものファルコがいて、ハンバーグを食べ、もう家族になった気分だ。


    ファルコ「おいしい!」


    ミカ「うん、本当においしい。エレン本当に料理が上手になったね」


    そう言って微笑むミカを見ると、なぜかミカサを思い出した。

    俺の料理を食べて、おいしいと言ってくれたミカサを。


    ミカ「エレン?」


    エレン「………あ、なんだ?」


    ミカ「なんかボーっとしてたから…」


    エレン「な、なんでもねーよ!それよりうまいなハンバーグ!」


    ミカ「うん……」


    そのミカの顔はどこか沈んでいた。


    「「「ご馳走さまでした」」」


    ミカ「じゃあ私は食器洗ってくるね」


    エレン「あ、俺も手伝うよ」


    ミカ「いーよいーよ、エレンはファルコと遊んであげて」


    エレン「わかった。ほらファルコ!」


    ファルコ「エレン!遊ぼう!」


    ミカ「ファルコ!エレンさん」


    そう怒られてしぶしぶエレンさんと呼ぶファルコ。

    一緒に遊んでやってると、ファルコがこちらをじーっと見てきた。


    エレン「どうした?」


    ファルコ「エレンてさ」


    エレン「ああ」


    エレン(もう戻ってる……)


    ファルコ「俺のお父さんになるの?」


    エレン「あー……」


    なんて答えたらいいのかよく分からずミカの方に視線を送ると、ミカは人差し指を立て口に当て、何も言わないようにとでも言うような仕草をした。


    エレン「…それは分からないな」


    ファルコ「そかー…でももしケッコンするなら俺は妹が欲しい!」


    エレン「っ!!」


    ミカ「!!」


    驚きで危うく飲もうとしていたお茶を吹き出すところだった。

    その後ファルコは疲れたのかすぐに眠った。





    やることを終え、俺の前に座ったミカはどこか真剣な顔をしていた。


    ミカ「エレン」


    エレン「どうした…?」


    ミカ「話したいことがあるの…」


    エレン「あ、ああ…」


    ミカは一息吸うと、真っ直ぐ俺を見つめて言った。


    ミカ「私、やっぱりエレンとは結婚できない」


    エレン「!!」


    思わぬ言葉に思わずテーブルを叩いた。


    エレン「なんでだよ!?」


    ミカ「エレン、ファルコが起きちゃう」


    エレン「ごめん…」


    ミカ「…エレンはさ、この記憶のこと、どう考えているの?」


    エレン「どう考えているって…?」


    ミカ「エレンは今日、前世は前世、今は今だって言ったよね。…それは本当?」


    エレン「本当って……どういうことだよ」


    ミカ「エレンは前世の約束があるから私のところへ来たんでしょ?でも、現世での私たちの関係なんて無いも同然なんだよ?」


    エレン「だからなんだよ!これから作っていけばいいだろ…」


    ミカ「無理だよ…」


    エレン「何が無理なんだよ」


    ミカ「エレンは………今のエレンは、ミカサのことしか見てない!」


    エレン「!!」


    ミカ「そうでしょ…?エレン」




    否定できなかった。



    ミカの言っていることは全て、



    事実だから。




    ミカと話している時も、一緒に食事をしている時でも、俺はどこかでミカサと重ねて見ていた。

    ミカサをずっと、忘れられないでいた。

    過去の約束にばかり縛られていて、今の俺の想いに見向きしないでいた。


    今を見ていなかったのは、



    俺だ。




  62. 62 : : 2018/01/29(月) 01:32:06




    ミカ「今のエレンとはもう、いられない」


    エレン「でもお前はミカサを……」


    ミカ「それは前世の話でしょ?確かに前世で私は彼女が嫌いだった。だけど…」


    ミカ「今の彼女は、あなたのために何事も必死に取り組んで、支えてきてくれたんじゃないの?あそこまでびしょ濡れになってまで私を追いかけて、あなたに会わせてくれた」


    ミカ「そんな彼女の想いを裏切るなんて言ったら、私、怒るよ」


    エレン「………本当は知ってたんだ、俺が過去に縛られていたんだってことくらい…」


    エレン「だけど、約束したんだ!お前を幸せにするって!今お前は一人で辛いんだろ…?なら俺が……」


    ミカ「一人じゃないよ」


    エレン「え……?」


    ミカ「今の私には、ファルコがいるもの」


    ミカ「この子が健康に成長してくれるだけでも私は、幸せだよ」



    そう言って、横に眠るファルコの頭を撫でる。

    ミカはもう、今を見ている。

    過去に縛られず、前に進もうとしている。



    ミカ「だからエレン、私はもう大丈夫。大丈夫だから」


    エレン「……ああ、でも辛くなったらいつでも頼ってくれ、すぐ行くから」


    ミカ「ありがとうエレン」


    ミカ(そして……さよなら)



    俺は家を出た。










    探すんだ、ミカサを











    そして、伝えるんだ










    俺の『今』の気持ちを









    本当の気持ちを









  63. 63 : : 2018/01/29(月) 01:34:56

    明日でこの作品は最後の投稿となる予定です

    最後までお楽しみいただけると、とても嬉しいです!
  64. 64 : : 2018/01/29(月) 01:53:24
    ま、ましかぁ泣
    でも、最後まで見届ける!頑張れ!
  65. 68 : : 2018/01/29(月) 08:42:54
    いい!
    めっちゃいい!!
    最後まで期待!!!
  66. 69 : : 2018/01/29(月) 14:45:53
    荒らし、迷惑行為、その他不快になるような言動はご遠慮ください。
  67. 70 : : 2018/01/29(月) 17:54:32




























    なぁ………ミカサ































    どこにいるんだよ………





























    目が覚めた。


    夢は見なかった。


    ミカサが俺の前から消えてから、俺は寝ても夢を見なくなった。


    悪夢を見ることもなくなり良いこととは言えるが、どこか寂しさを感じる。


    夢の中ですら、ミカサとは会えなくなったんだ。



    エレン「ミカと別れてから…どのくらい経った…?」


    重い身体を起こし、部屋のカーテンを開ける。

    勢いよく差し込んできた光に思わず目を細める。


    エレン「………桜?」


    近くの通りを見ると、立派な桜並木道ができていた。


    エレン(そうか…もう4月か……)





    ミカと別れてから1ヶ月が経っていた。



    俺にはミカサがどこにいるのか、分からなかった。
  68. 71 : : 2018/01/29(月) 20:45:11
    きーたーーいーーー
  69. 72 : : 2018/01/29(月) 23:11:04

    桜並木道を歩いてみる。
    綺麗に咲く満開の桜の下、ひとりで。



    この数日、正直俺はミカサを見つけることを諦めていた。


    ミカサは最後まで俺のことを考えて、自ら決断して俺の前から消えることを選んだ。


    ミカサの想いを無化にしたくない、アルミンはそう言っていた。


    なら俺は、ミカサにそんな決断をさせてしまった罰を受けるべきなのではないだろうか。


    この孤独を受け入れ、一人で進まなければならない。


    エレン(……前みたいに、ミカサが隣にいてくれたら、この桜はもっと綺麗に見えていただろうか…)


    せめて、ミカサとの思い出と共に生きていくくらいは許してほしい。

















    ファルコ「エレンだー!」


    背後から突然、ファルコが名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

    振り向くと、そこにはランドセルを背負うファルコとミカの姿もあった。


    エレン「ミカ……」


    ミカ「エレン…?」


    エレン「久しぶりだな…」


    ミカ「どうしたの?!そんなにやつれて…」


    エレン「……俺は、もう……ミカサとは…会えないんだ…」


    自然と涙が出てきた。


    堪えていた気持ちが一気に溢れてしまった。


    エレン「俺がっ……今のあいつの気持ちと向き合わなかったばかりに……だからっ…」


    ミカ「エレン…」


    泣いている俺の手にもう一つの手が重ねられた。

    とても小さい手だった。


    ファルコ「そのミカサって人は…エレンのことが好きなんか?」


    エレン「え……?」


    ファルコ「ミカサって人がエレンのこと好きなら、エレンの前から消えたりしないはずだろ」


    エレン「……!」


    それは小学一年生の言葉でありながら、俺にとてつもない勇気をくれた気がした。


    ミカ「そうだね、ミカサはエレンの前にいつか、きっと現れると思う。だから、それまでエレンが諦めちゃダメ」


    ミカ「エレンは……私のことを前世から追ってきたくらいなんだから」


    エレン「………ああ、そうだったな!」


    ファルコ「俺学校めっちゃ楽しいよ!だからエレンも学校行けば元気でるかも!」


    エレン「学校…か」


    エレン(そういえば新学期になってから大学には行っていなかった…)


    エレン「じゃ、俺も学校行ってみようかな」


    ファルコ「うん!」



    そうだよな。

    ミカサと次また会える日まで、俺は前を向いていなければならない。

    ミカサは俺がこんなことになるために、俺の前から消えたんじゃない。




    俺に、過去に引っ張られず、今を見てほしかったから。

  70. 73 : : 2018/01/29(月) 23:47:07


    エレン(久々に来た気がするな……大学)


    久しぶりに感じるが、これでも1ヶ月ぶりの大学だった。


    しかし、どこか違和感を感じた。


    エレン(咲き始めてた桜が満開なのは、まぁ当たり前だが………見たこともない顔が多い?そーいや…)


    それは当然のことだった。


    4月が過ぎ、大学に新入生が入学してきたからだ。その行き交う人々の中に、知っている顔を見つけた。


    エレン「ジャン……?」


    ジャン「あれ?おーっす!エレン先輩じゃないですかー」


    エレン「先輩って言ってる割に口調は皮肉めいてるな…。てかお前の頭でこの大学よく入れたな」


    ジャン「あるコーヒーとの出会いが……ってそんなこたぁどーだっていい、それよりあんたのこと入学式から一度も見かけなかったな」


    エレン「もう戻すのか」


    ジャン「細けぇことはどーだっていいだろ?それよりいいんかよサボってばっかで」


    エレン「別にお前が俺のこと気にする必要なんかないだろ」


    ジャン「たしかにあんたが大学来なくたって俺は別にいーよ。ただ、ミカサが俺の彼女になっても知らないけどな」


    エレン「待て」


    ジャン「ああ?」


    エレン「お前今……ミカサって言ったか?」


    ジャン「ああ…それがなんだよ」


    エレン「お前、ミカサがどこに行ったか知ってんのか?!」


    ジャン「何言ってんだてめー…」


    エレン「俺は正気だぞ!!」


    ジャン「どこもなにも、俺と一緒にこの大学に入学してきただろ」


    エレン「は……?」


    ジャン「もしかしてお前ミカサから聞いてなかったのかー?お前もとうとうミカサに……っておい!最後まで話聞けよ!」















    俺は走った。


    背後からジャンが叫んでいるのが聞こえるが見向きもしない。





    エレン(ここにいるんだ……ミカサが!)







    何も考えてはいない、だが走った。






    角を曲がった瞬間、俺は人とぶつかっていた。



    エレン「うおっ!」


    ???「きゃ!」



    見ると、相手は長い綺麗な黒髪を持つ少女だった。


    その長い髪に見覚えはない。


    だが瞳が合ったその時、俺の中で全てが繋がった。


    エレン「ミカサ…?」


    ミカサ「へ…?」


    エレン「お前ミカサだよな!」


    ミカサ「…………ふふっ」


    突然、目の前の少女は笑い出した。


    何かを思い出したように、堪えられないとでもいうふうに笑っている。


    エレン「なにをそんなに……」


    ミカサ「新手のナンパ、とか?」


    それは冗談だとすぐに分かった。


    ミカサがなぜ、そんなにも笑っているのかなんとなく検討がついた。


    エレン「……そうだ、ナンパだ」


    ミカサ「新入生にいきなり手を出すなんて、先輩は危ない人ですね」


    自分たちのやっていることがおかしくなってきて、お互いに笑い合う。


    エレン「会いたかった、ミカサ」


    ミカサ「………本当はエレンに会うつもりなどなかった」


    エレン「え…?」


    ミカサ「でも…やっぱりダメだった。エレンにもう会えないんだと考えるだけで胸が苦しくなった」


    ミカサ「エレンのそばにいる理由がなくなってしまってどうすればいいか分からなくなった」


    ミカサ「だから…大学の同じ学生としてだったらエレンのそばにいられる、そう考えた」


    ミカサがなぜそこまでして立場にこだわるのかは分からない。

    だけど、嬉しかった。


    エレン「お前にそこまで考えさせて…ごめんな」


    ミカサ「エレンが謝ることではない、私が勝手に…」


    エレン「俺も、お前に伝えなくちゃならないことがあるんだ」


    ミカサ「え……?」


    息を整え、ミカサだけを真っ直ぐに見つめる。

































    エレン「お前が好きだ」




  71. 74 : : 2018/01/30(火) 00:19:16








    ずっと伝えたかった言葉。


    どんな反応をするかと思ったが、ミカサが見せたのは困惑だった。


    ミカサ「でもミカは…?」


    エレン「ミカとは、別れたんだ」


    ミカサ「それって……私の…」


    エレン「ミカサのせいじゃない!悪いのは…俺だ」


    エレン「ミカサに散々、過去に囚われず、今を見て生きろって偉そうに言った。だけど、今を見ていなかったのは俺のほうだった」


    エレン「前世のことばかり考えて、お前のことを知ろうとしなかった、俺自身の今の気持ちに見向きもしなかった」


    エレン「だけど、今の俺を見て気付いたんだ。どれだけお前に支えられてきたか、どれだけお前に助けられたか…」


    エレン「ミカサが…好きだって」


    ミカサ「!」


    エレン「恋人として……俺のそばにずっといてくれないか?」


    ミカサ「うん……エレンのそばにいる、ずっと…」


    互いの顔を寄せ合う。


    唇を重ねようとした…その時、




    ジャン「お前!こんなと…こ…ろ…に……」


    エレン「ジャン……てめぇ…ふざけんなよ!」


    ジャン「ふざけてんのはおめぇだ!こんなところで何やってんだ羨ましい!!」


    ミカサ「エレン、ジャンやめて」


    気づくと周りの注目が自分たちのところに集まっているのを感じた。


    ジャン「チッ…」


    エレン「今日のとこは勘弁してやるよ」


    ジャン「てめぇこそ、怪我せずに済んで良かったな」


    お互い睨み合っていたが、ジャンはため息をつくと荷物を持ち立ち去っていった。


    ジャン「次はもっと目立たねーところでイチャつきやがれ」













    ミカサ「エレン」


    エレン「あー…すまん、ついな」


    ミカサ「ううん、大丈夫。それより…」


    エレン「ん?」


    ミカサ「この前、アルミンと話していて、前世のことを思い出す方法が分かったの」


    ミカサ「私はエレンに触れた時、エレンのことを思い出したいと強く願った。だからエレンも私のことをそう思って触れれば…」


    なぜ俺がミカサのことを思い出せなかったのか合点がいった。


    俺はミカサと一緒にいた時、知りたいとは思っていたが、ミカのことで頭が一杯で実はミカサを見向きもしていなかった。


    でも…



    エレン「……でも、いいよ」


    ミカサ「え…?エレンは私のこと…知りたくないの?」


    エレン「違うって!ミカサが前世で俺とどう生きてきたかなんて、もうどうでもいい」


    エレン「今のミカサだけを見て生きていく」


    ミカサ「!」


    エレン「そう決めたからさ」


    ミカサ「…私もそうする、今のエレンを…もっと好きになっていく」



    前世に囚われてばかりいた俺たちは、暗い過去の中で生きていた。


    だけど…


    エレン「お前との約束も果たさなきゃな」


    ミカサ「え…?」


    エレン「グルメの旅…お前が言ったんだろ」


    ミカサ「も、もちろん約束した!行く、エレンとならどこまでも」


    俺たちは今、未来に希望を抱いて進んでいる。


    今の、君を見て。





    fin



  72. 75 : : 2018/01/30(火) 00:25:44


    以上で、【エレミカ】今を見て【現パロ】は完結となります!
    後日談なども機会があれば…(笑)
    この作品を見てくださった方々、期待コメをくださった方々などの応援があり、書き終えることができました(>_<)
    ありがとうございます!

    ご感想や、これから書いてほしいジャンルなど教えていただけるととても嬉しいです!

    この作品の番外編もありますのでよかったら寄ってみてください
    http://www.ssnote.net/archives/57588
  73. 76 : : 2018/01/30(火) 07:27:29
    お疲れ様でした!
    とても感動しました!。゚(゚´Д`゚)゚。
    春風さんの作品、大好きです(*´ω`*)
    本当に、お疲れ様でした!
  74. 77 : : 2018/01/30(火) 07:28:20
    私の希望でいえば、エレミカがいいです!
    よろしくお願い致します!(*^^*)
  75. 78 : : 2018/01/30(火) 10:34:43
    いやーほんとによかったです!
    次は2人とも同じ学校の話も見たいです!
    もちろんエレミカで!!!
  76. 79 : : 2018/01/30(火) 18:23:26
    >>76
    >>77
    最後までありがとうございます!
    そう言っていただけるととても嬉しいです^ ^

    次もやっぱりエレミカ書きたいですね!
  77. 80 : : 2018/01/30(火) 18:25:43
    >>78
    ここまで沢山の期待コメありがとうございます!

    そうですね、今回はすれ違ってばかりだったので次は学校でイチャつかせるのも…笑
  78. 81 : : 2018/02/02(金) 00:47:39
    期待してます。
    学校でイチャつくのは良さそうですね笑
  79. 84 : : 2018/02/09(金) 17:04:52
    ミカサの誕生日をお祝いするためのグループを作成しました!!

    良かったら是非参加お願いします!

    http://www.ssnote.net/groups/2571

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harukaze

春風

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