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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

Murder game

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  1. 1 : : 2017/12/17(日) 09:33:00
    http://www.ssnote.net/archives/56361
    の続きです。
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    アルミン・アルレルト(28)
    推理作家。『Murder game』に参加。

    クリスタ・レンズ(26)
    アルミンの助手。同じく参加。

    ファーラン・チャーチ(30)
    ゲーム参加者。

    イザベル・マグノリア(30)
    ゲーム参加者。ファーランとは幼馴染み。

    ドット・ピクシス(50)
    ゲーム参加者。

    マルセル・ガリアード(28)
    ゲーム参加者。

    ポッコ・ガリアード(27)
    ゲーム参加者。マルセルとは兄弟。

    ジーク・イェーガー(47)
    ゲーム参加者。
  2. 2 : : 2017/12/17(日) 10:00:33
    『Murder game』

    既に、あの事件から2年。連続殺人にアパートは全焼し、その為多くの死人が出た。『アルミン・アルレルト』は小説を書き続け、全国に名を上げる程の推理作家になった。そのアルミンの元に、一通、そしてたった数行の手紙が届く。


    アルミン・アルレルト様

    『Murder game』
    場所:侵略寺
    時間:今日10時半までに集合




    アルミン「Murder game....訳せば、『殺人ゲーム』....か」

    手紙を見て呟いた。『クリスタ・レンズ』は、

    クリスタ「本当に行くんですか?」

    と言い、アルミンは、

    アルミン「面白そうじゃないか!」

    と、好奇心旺盛な、無邪気な子供の様な微笑を浮かべる。

    アルミン「さて、侵略寺...か。聞いたことないなあ」

    クリスタ「調べて見ましょうか....」

    クリスタはパソコンで検索する。

    クリスタ「ありました!」

    アルミン「どれどれ....」

    今いる場所から約25km位だろうか。アルミン達は外に出て、黒いシボレーのエンジンをかける。腕時計を見れば、午前7:28分を指しており、10時半まで約3時間の余裕があった。
  3. 3 : : 2017/12/17(日) 14:09:54
    途中で小雨が降り、空を見上げれば黒い雲に覆われていた。

    アルミン「今夜は大雨になりそうだね」

    クリスタ「天気予報では確率が90%でしたしね」

    高速道路を渡り、いよいよあと1km程になった。


    午前10時10分を指し、侵略寺側の駐車場についた。先程よりも雨は強く、持ってきた傘を叩き付けた。
    侵略寺の外には人は見当たらなく、内部に入ることにした。

    アルミン「さて、何処にいればいいんだろうね」

    クリスタ「?...床に何か置いてありますよ」

    クリスタの足下には紙が落ちていた。

    『階段、降りろ』


    アルミン(階段?)

    その紙の言う通りだった。階段が掘られていたのだ。階段は暗く、奥深くまで降りたときには真っ暗になる。右折し、扉が設置されてあった。暗くて色は分からないが、鉄の扉の様だった。扉を開ければ、眩しい光が射し、テーブルを囲うようにして数人の人間が椅子に座っていた。
  4. 4 : : 2017/12/17(日) 14:43:20
    ポッコはピークが名付けたあだ名かと…
    そう言う設定であれば良いのですが
  5. 5 : : 2017/12/17(日) 17:49:45
    期待
  6. 6 : : 2017/12/17(日) 20:33:03
    >>4 あ、ポルコでした。ポルコで表示します。
  7. 7 : : 2017/12/17(日) 22:03:35
    がんばってください!!
  8. 8 : : 2017/12/18(月) 21:20:59
    男3人。女1人。老人2人。アルミンが扉を開けた瞬間此方を見てきたが、相変わらず無言のままであった。アルミンとクリスタは椅子に腰掛け、暫くの間、沈黙が続く。

      _____    ___    _____
     | <1> |  /   \  | <2> |
     |アルミン | | 台所  | | ポルコ |
     |___  | |     | |  ___|
         \扉\  \   /  /扉/
          \ \__|扉|__/ /
      ____|           |____
     |<3> 扉           扉 <4>|
     | マル |     机     | クリ |
     | セル |     机     | スタ |
    _|____|     机     |____|
    ______扉←階段へ 机 トイレ→扉____|
     |<5> 扉     机     扉 <6>|
     | ジーク|     机     | ピク |
     |    |     机     | シス |
     |____|           |____|
          | ___ _ ___ |
         / /   | |   \ \ 
     ___/扉/   /   \   \扉\____
    | <7> |  |開かずの間|   | <8> |
    |イザベル |  |     |   |ファーラン|
    |_____|   \___/    |_____|
  9. 9 : : 2017/12/18(月) 23:06:18
    期待!!
  10. 10 : : 2017/12/19(火) 19:40:58
    8の人ピクシスの部屋は小さい方がいいですよ。マルセルとポルコの部屋は大きい方がいいですよ。
  11. 11 : : 2017/12/20(水) 13:27:18
    >>10 Why?(何でですか?)
  12. 12 : : 2017/12/20(水) 14:02:13
    そんな中、1人の男が口を開いた。

    「....なあ、いい加減誰か喋ろうぜ」

    「....そうだな。このままじゃ埒があかん」

    そうしてアルミンが口を開き、

    アルミン「せめて自己紹介でもしておきましょうか」




    「ポルコ・ガリアードだ。宜しく」

    そう言ってポルコは煙草を吸い始めた。

    「その兄のマルセルだ」

    次は老人が口を開き、

    「わしはドット・ピクシス。まあ、ピクシスとでも呼んでくだされ」

    次にアルミン。

    アルミン「主には推理作家のアルミン・アルレルトです」

    ポルコ「あのアルミンか」

    アルミン「そのアルミンです」

    次に40代後半の男。

    「ジーク・イェーガーだ」

    アルミン「イェーガー?」

    ジーク「ああ」

    アルミン「あ、いえ。知り合いにイェーガーがいたもんで、つい」

    知り合いのイェーガーとは、言うまでも無いだろうがエレンの事である。

    「俺はファーラン・チャーチです」

    「その幼馴染みのイザベル・マグノリアです」

    最後にクリスタが、

    クリスタ「アルミンさんの助手のクリスタ・レンズです。宜しく御願いします」

    マルセル「さて、取り敢えず自己紹介は終わりだな」

    ジーク「何をすればいい?」

    アルミン「この地下室の部屋とか、確認しておきましょう」


    10分後、わかった事が数個あった。この地下室は8つ個室があり、台所、トイレ、それと『開かずの間』と言う部屋がある。『開かずの間』とは、文字通り本当に扉が開かない。個室に関しては内装はクローゼットがそれぞれあり、ベッドもあった。また、それぞれの扉に札が掛けられており、<1>~<8>まであった。その後彼等は話し合い、<1>がアルミン、<2>がポルコ。<3>がマルセルで<4>がクリスタ。<5>がジークで<6>がピクシスになり、<7>がイザベル。<8>がファーランの部屋となった。(>>8参照)台所は冷蔵庫もちゃんと使うことができ、戸棚の中にはかなりの量の食べ物があった。恐らく、ここで数日間過ごさせる為だろう。
  13. 13 : : 2017/12/20(水) 14:40:54
    イザベル「部屋は確認しましたが....」

    ポルコ「そもそも、俺らは何の目的でここに呼ばれたんだ?」

    アルミン「『Murder game』じゃないですか?」

    マルセル「まーだーげーむ?そう書かれてたのか?」

    知らなかったかのように答える。いや、知らなかったのだ。

    ファーラン「これはMurderと読むんですよ.....」

    クリスタ「殺人ゲーム....って訳です」

    ポルコ「けっ!嫌がらせか?」

    と言いポルコが足を組むと、机の裏の”異物”に足が当たった。

    ポルコ「...ん?」

    マルセル「どうした?」

    ポルコが手に持っていたのは、カセットテープであった。

    ピクシス「カセットテープ....じゃのう」

    ポルコはスイッチをいれ、テープを机の上に置いた。

    テープ『.....ジ....ジジ........よし。初めまして。Murder gameに招待された者共よ』

    ロボットの様な声がした。

    テープ『まず、私がこのゲームを始めた理由を言おう。私はとある人物を殺しに来たのだ。他の奴等は私が犯人にされないように呼んだだけだ』

    テープ『ただ、どうやって殺そうかは決めていない。毒殺かもしれないし、絞殺、溺死、撲殺かもしれない。...ああ、もう1つ。””君達8人の中に私がいる””。それでは......』

    こうしてテープは途切れた。

    アルミン「....もう犯人は紛れ込んでいるって訳ですか。しかし、いつ張り付けたんでしょうねえ」

    アルミンの考えはこうだった。テープでは彼等8人の中に犯人がいると語っていた。今回、アルミンの元に来た手紙には『アルミン・アルレルト様』と書かれ、クリスタが来ることは無い筈だった。つまり、””このテープはアルミンやクリスタを含め、全員到着してから録音し、恐らく部屋を全員で見て回っている時に犯人が机の下に張り付けた””と言うことになる。

      <蛇足>  _______________
           ||              |
           ||              |
           ||              |
           ||     侵略寺      |
           |↑              |
           |階段____   ______|
                   入口
  14. 14 : : 2017/12/20(水) 21:32:16
    前作が面白かったので今回も期待です
  15. 15 : : 2018/01/01(月) 00:30:46
    あけましておめでとうございます。少なく見積もって約10日、ssを投稿出来ませんでした。
  16. 16 : : 2018/01/01(月) 00:55:02
    その後、各自部屋に戻り、アルミンは<4>のクリスタの部屋へ行く所だった。因みに、この地下室の壁や床、天井は石の壁で白い塗装が施(ホドコ)されている為、机等の家具以外は全て白い。それぞれの扉には鍵がついている。

    アルミン「クリスタさん」

    クリスタ「アルミンさんですか?ちょっと待ってください」

    と言い、扉が開いた。
    暫く談笑を交わし、突然クリスタが行った。

    クリスタ「アルミンさんは....海豚(イルカ)ですかね」

    アルミン「海豚?」

    クリスタ「動物に例えてみたんです」

    アルミン「成る程....じゃあクリスタさんは鼠(ネズミ)かな」

    クリスタ「え?」

    アルミン「クリスタさんは小さいからね」

    クリスタ「は、はぁ」

    時計を見ると、午後1時丁度を指していた。
  17. 17 : : 2018/01/03(水) 15:35:30

    【醜い子羊達よ.....】

    アルミン達一同は遅い昼食を取ることにし、イザベルとクリスタは台所に行った。戸棚の中のインスタント食品の数は数えきれない。
    せっせとインスタント拉麺の中にお湯を入れ、3分経つのを待っていた。

    【その身をもって消えるがよい】

    因みにアルミン達は沈黙が続き、静かに椅子に座っている。

    【絞殺、溺死、窒息死、圧死....色々な””死に様””があるが....】

    いつ殺されるかも分からない。台所に2人連れていったのもその為だ。それぞれを監視しあう為に。

    【どれが1番”奴等”に相応(フサワ)しいであろうか】

    兎も角、本当に犯人は殺人を起こそうとしているのか。それは誰かが殺されないと確信は持てぬままだった。

    ジーク「...はあ」

    ジークが重い溜め息をつく。

    ピクシス「どうした?」

    ジーク「やっぱりこんな所、来るんじゃなかったな」

    そう言い残すと、彼は<5>に戻っていった。

    ファーラン「あの、昼食は...?」

    ファーランの問い掛けにも無視をし、部屋に戻ると鍵を掛けた。
    その後、イザベルとクリスタが戻って来、クリスタがジークは何処に行ったのか、と尋ねては来たが、部屋に戻ったと言われるだけで他には何も答えることが出来なかった。

    【もしも、この私を動物に例えるのであらば....】

    【獅子、であろうか】

  18. 18 : : 2018/01/03(水) 16:12:09
    翌日、何やら大きな音でアルミンは目を覚ました。扉を叩く音である。

    クリスタ「アルミンさん!起きてください!!」

    クリスタの声だった。鍵を開け、クリスタが中に飛び込んで来る。

    アルミン「何かあったのかい?」

    クリスタ「ジークさんが!し、死んで!!」

    アルミン「.....え?」

    ジークの部屋では首を吊っており、その足下には数冊本が散らばっていた。

    アルミン「...この扉は元から開いてましたか?」

    マルセル「いや。俺らが壊して入ったんだ」

    アルミン「...成る程」

    そう言いながらアルミンは散らばった本をジークの足下に重ね始めた。

    ポルコ「....おい」

    クリスタ「高さが....」

    ピクシス「”高さがたりない”」

    彼の爪先から本まで10cm程開いていた。さらに....

    アルミン「被害者の首を見てください」

    ジークの首には索条痕、そして吉川線。更に更に<5>の札にはナイフが突き刺されていた。

    クリスタ「....けど、おかしいですね」

    イザベル「この扉は、私達が開けるまで鍵が掛かってた筈ですよ」

    アルミン「ミステリーの定番、か」

    そう、小さく呟いた。
  19. 19 : : 2018/01/03(水) 17:21:54
    密室殺人?
  20. 20 : : 2018/01/03(水) 19:05:05
    【ああ、愚かな子羊よ】

    【獅子に狩られた子羊よ】

    【__しかし、まだほんの欠片に過ぎない】

    【硝子(ガラス)を砕くように....壁を壊すように....】

    【.......さあ】

    【次は、奴だ】

    【どうやって滅ぼすか...】

    【....まあ良い。それは後々考えることにしよう】

    【覚悟しろ....””アルミン・アルレルト””】
  21. 21 : : 2018/01/03(水) 20:11:41
    アルミン「こうなった以上、もうここを出るしかありませんね」

    アルミンは左手を上げて腕時計を見る。午前6時を指していた。

    アルミン「顎や首筋の硬直が始まっている事から、約2~3時間前に殺された....即(スナワ)ち、午前3~4時に殺害されたことになります....さて」

    彼は訊(キ)いた。

    アルミン「__遺体の第一発見者は?」

    ファーラン「アルミンさん以外です。貴方とジークさん以外は起きていて、起こしに行きました。ジークさんの部屋をノックしても、本気で叩いても静かで、鍵も掛かっていたので扉を...」

    アルミン「そこにあったのはジークさんの遺体....成る程」

    ピクシス「大変じゃ!」

    ピクシスが大声で話し掛けてきた。

    ポルコ「どうかしたか?」

    ピクシス「扉が開かない!」

    息を乱しながら言う。

    イザベル「ど、どういうことです?」

    ピクシス「何かで塞がれている感じだ!」

    ジークとマルセルの部屋の間にある唯一の外への扉。そこが何かで塞がれていると言うのだ。

    ファーラン「これも犯人がやったことか....」

  22. 22 : : 2018/01/04(木) 11:47:59
    扉は外開き。その所為で外から何かで塞がれてしまうと開けることが出来なくなってしまう。精々開くのは約2cm程。つまり、この地下室に閉じ込められたと言うのだ。

    ポルコ「どうするんだ!?」

    【狂え....】

    アルミン「取り敢えず、椅子に座りましょう」




    アルミン「....さて、密室の謎ですね」

    クリスタ「その前に、何でジークさんは殺害されたのか、ですよ」

    アルミン「ジークさんの職業は?」

    アルミンが問うが、誰も答えない。
    その後、アルミンがそれぞれの職業を訊いた結果、この様になった

    ポルコ...........医者。
    マルセル........同。
    ファーラン.....小説化。
    イザベル........小学校の教師。
    ジーク...........?
    ピクシス........無し。



    アルミン「ファーランさん、小説化だったんですね」

    【我が憎しみを....】

    ファーラン「ええ。ペンネームはデヴィン・クルーです。まあ、アルミンさんの様な推理系じゃありませんが」

    アルミン「さあ、密室の謎に入りましょう」

    ポルコ「どうやって密室状態にしたんだ?」

    と言いながら、煙草を銜(クワ)える。

    アルミン「そうなんですよねえ....」

    と言った途端、

    ポルコ「ぐ、ああああああ!!」

    【おっと、ここで死ぬか】

    突然ポルコが苦しみ始め、倒れこむ。暴れまわるが、途中で何もしなくなった。アルミンが脈を取るが、横に首を振るばかりであった。

    アルミン「...まさか」

    アルミン「まさか、この煙草の中に入っている内の一本が””毒入りだった””のか」

    ファーラン「じゃあ、その煙草を誰かが吸っていたとしたら...」

    クリスタ「犯人の標的ではなくても、死ぬ可能性があった...」

    【意外と早く掛かってくれたか】

    その場にいる全員が今更の如く感じた。自分自身も危ないと....

    マルセル「.......」

    マルセルは体から魂が抜けた様にその場に倒れこむ。

    ピクシス「マルセル、大丈夫か?」

    ピクシスが訊く。しかし何も答えぬまま、<3>の部屋に戻る。
    ポルコの死亡した時間は、午前8時15分の事であった。
  23. 23 : : 2018/01/04(木) 18:06:17
    更新されるたび、ハラハラしながら読んでます
    期待です
  24. 24 : : 2018/01/08(月) 14:03:25
    しかし、ここでまた新たな疑問が浮かび上がる。

    アルミン「犯人はいつ、煙草ケースの中に毒入りを入れたんでしょうか」

    ファーラン「ポルコさんは肌身離さず持ってた筈ですが....」

    腕を組みながら考える。

    イザベル「警察に電話してみますか?」

    アルミン「ええ...僕もそう思って電話しようと思いましたが....””僕の部屋にあった筈の携帯が無くなっている””んです」

    ピクシス「無くなっている?」

    クリスタ「な、何でですか....」

    アルミン「誰か、電話持ってきてませんか?」

    と訊くが、答えることはなかった。
  25. 25 : : 2018/01/08(月) 21:16:13
    それから、誰も殺されることは無かった。もう少しで3日目になる。アルミンは毛布に包(クル)まり、壁の方向を向いて横たわっていた。

    アルミン(ああ...一体幾つ謎がある...)

    ジークの密室殺人。いつ扉を塞いだか。いつポルコの煙草の中に毒入りを入れたのか。何故携帯が無くなっているのか。色々な謎がアルミンの脳裡を駆け巡る。
    その時だった。何か足音が聞こえる。

    アルミン「誰だ!」

    【アルミン・アルレルト....】

    鉄パイプを右手に持ち、暗闇を渡る。アルミンは逃げようとしたが、その時には頭に凶器が当たっていた。
    アルミンはその場に倒れ混み、意識が薄れて行く。

    「ああ....愚かな....」

    アルミンはその時気絶していた。”奴”がそう言い残すと、また明かりもない暗闇へと消える。
  26. 26 : : 2018/01/09(火) 22:01:47
    『消失する犯人』

    翌日、つまりこの地下室で生活してから3日目が始まる。明朝、まずは波乱の出来事から起きるのであった。

    クリスタ「早く起きすぎたかな...」

    クリスタが<4>から出て来る。そしてふと、アルミンの部屋の扉を見ると、””<1>の札にナイフが突き立てられていた””。

    クリスタ「アルミンさん!」

    クリスタが扉を叩くが、反応は無い。そして<7>の部屋にいるイザベルの元へと駆け込む。

    クリスタ「イザベルさん!大変です!」

    イザベルは朝早く起き、本を読んでいた。

    イザベル「どうかしましたか?」

    クリスタ「アルミンさんの札に、ナイフが!」

    イザベル「え?」

    その後彼女達は何とか全員を起こし、アルミンの<1>の扉を壊すことにしたが、その中にマルセルはいなかった。

    ファーラン「マルセルさんがいませんが....もう壊しましょう」

    ファーラン「いきますよ....せーのっ!」

    ファーランの掛け声に合わせ、<1>の扉が吹っ飛ぶ。室内には倒れ混んだアルミンの姿と、凶器と思われる鉄パイプが落ちていた。

    クリスタ「アルミンさん!」

    アルミンは気絶したままで、意識は無いが、命は助かった様だった。左後頭部を鉄パイプで殴られていた。

    イザベル「でも、アルミンさんが誰かに恨まれるようなことはしていましたか?」

    クリスタ「いえ、覚えは無いですね」

    【...................】

    ファーラン「取り敢えず、手当てをし、ベッドに寝かせて起きましょう。いつか起きるかもしれないですし」

    【まあ、良い。また、殴れば良い】

    アルミンをベッドに寝かせ、ポルコの鞄に入っていた救急箱で応急措置をしたあと、一同は机がある場所へと向かった。
  27. 27 : : 2018/01/11(木) 17:05:24
    クリスタ「確かジークさんが殺害された時間は、午前3時~午前4時ですが、その頃何をしていましたか?」

    開口一番、彼女は声を掛ける。

    ファーラン「と言われましても....寝てました」

    ピクシス「儂もじゃ」

    イザベル「そもそも、どうやって部屋の中に....」

    クリスタ「...隠し通路でもあったんじゃ...」

    ファーラン「例えば?」

    クリスタ「部屋にあったのは机、椅子、ベッドや壁にある鏡、あとクローゼット....鏡の裏とか、クローゼットの中とか、ベッドの下とか...」

    ピクシス「クローゼットは気付くじゃろ」

    それから一同は黙り混んでしまい、暫く経った後、クリスタが言った。

    クリスタ「隠し通路があるかもしれません。全員で捜してみましょう」
  28. 28 : : 2018/01/16(火) 21:27:14
    一同は開いているポルコの部屋から探し始めることにした。クローゼットの中も調べて見るが、隠し扉は何もなく、壁に埋められた大きな鏡は抜けることは無かった。無論、ベッドの下も何もない。

    ファーラン「何もありませんでしたね」

    イザベル「じゃあ、一体どうやって犯人は...」

    ジーク、ポルコを殺害し、アルミンの頭を鉄パイプで殴ると言う行為を犯した犯人は、鍵も掛けてた筈の室内に入り込む事が出来ていた。

    クリスタ「他の部屋も見てみますか?」

    その後、アルミンとマルセルを除く全員の部屋を見て回ったが、発見される事は無かった。
  29. 29 : : 2018/01/16(火) 21:42:25
    いつ死ぬかも分からない„恐怖”に駆られてはいたが、殺される事は無く、時刻は午後21時半。一同が座っている様子だった。

    クリスタ「明日になったらアルミンさん、目覚めますかね?」

    イザベル「それより、マルセルさんはまだ部屋の中に...?」

    ファーランは神妙に頷き、

    ファーラン「ポルコさんが毒殺されてから部屋の中に引き籠り始め、昼食等も取ってませんし....」

    ピクシス「明日になったらマルセルを叩き起こしてみるか」

  30. 30 : : 2018/01/16(火) 21:59:51
    翌日、昨日殺害しそこねたアルミンを再び殺害するのではないか、と言う不安が合ったが、アルミンは殺害されていなかった。但し、その生け贄と言うかの様に、”彼”は死んでいた。それは、今から10分程前の出来事だった。クリスタ達は目覚め、昨日ピクシスが言ったようにマルセルを叩き起こそうとしていた。しかし、さもありなんと言うかの如く、<3>の札にナイフが突き立てられている。

    クリスタ「ま、まさか...」

    ファーラン「ま、また壊しましょう!」

    イザベル「せーの!」

    昨日と同じ様に扉を壊す。そこには、生き絶えたマルセルの遺体が残っていた。今度は血液が露わになっており、斬殺だった。

    クリスタ「や、やはり何処かに隠し通路があるとしか...」

    ピクシス「取り敢えず、死亡推定時刻は?」

    クリスタ「いえ、アルミンさんの様なことは出来ないので....」

    因みに、遺体は纏(マト)めてジークの部屋に置いてある。
    尚、まだ時刻は午前5時15分の事であった。
  31. 31 : : 2018/01/18(木) 22:02:39
    クリスタ「.....」

    クリスタは無言で自分の部屋の隠し通路を捜索していた。何処かに、隠し通路がないとこの殺人は成り立たない。
    ふと、クローゼットの横の壁に埋められている鏡を見る。
    __何故、こんな大きな鏡が埋まっているのだろう。

    クリスタ(この鏡は取れなかったから....逆に””押してみよう””)

    と考え、鏡に圧力を掛けた。それ以上力を込めると鏡が割れる危険性があるかも...と考え始めたその時、””鏡が動いた””。

    クリスタ「え!?」

    彼女は思わず声を上げた。普通、鏡は力を込めると割れてしまう。””そんな先入観が、隠し通路を隠していたのだ””。その鏡は『どんでん返し』になっており、表も裏も鏡で出来ているため、回転しても気付かれなかっただろう。
    鏡の奥は通路になっており、”””それぞれの室内の鏡に繋がっている事が分かった”””。勿論、『開かずの間』も繋がっている筈だ。
  32. 32 : : 2018/01/20(土) 21:33:40
    ピクシス「成る程....まさか、そんなところに」

    一通り隠し通路の事を話終えると、こう言った。

    クリスタ「『開かずの間』、見てみますか?」

    イザベル「ええ。何があるのか分かりませんし」

    クリスタ「では、行ってみましょう。」

    そう言い、一同は例の隠し通路を通ることになった。
    隠し通路内は暗く、狭い為、背中を丸めて通らなければならなかった。
    そして、『開かずの間』らしきどんでん返し式の鏡の前に来た。力を込め、鏡を回す。

    眩しい光が射し込む。そこには、犯人以外の彼等にとって目を疑う光景が広がっていた。
  33. 33 : : 2018/01/21(日) 15:09:48
    血腥(チナマグサ)い臭いが漂い、ナイフや返り血を浴びた衣服などが散乱していた。

    ファーラン「うっ...」

    クリスタ「凄い臭い...」

    ピクシス「犯人は、ここを凶器の在処としていたのか....」

    イザベル「でも、まだ謎があります」

    イザベルが言う。

    クリスタ「何ですか?」

    イザベル「犯人は一体、どうやって扉を塞いだのか、です」

    クリスタ「きっと、また隠し通路が関連していると思います....階段の側まで行ってみましょう」

    隠し通路はぐるりとこの地下室全体を囲っているように掘られている。彼等はその通路の端まで歩いた。

    ファーラン「....行き止まりですね」

    クリスタ「押してみましょう」

    と言い、鏡の時と同じ様に力を加えた。
  34. 34 : : 2018/01/22(月) 20:54:10
    何と言うことだろうか。
    土壁が回転した、と言えば良いだろう。塞いでいた原因は大きな”石”
    であった。

    クリスタ「さて、これで脱出出来ますね」

    イザベル「この後どうするんですか?」

    クリスタ「取り敢えず、アルミンさんを連れてきましょう」

    5分後、鏡の隠し通路を通ってクリスタはアルミンを背負って来た。
    階段を登り、目映い陽射しが射し込む。

    ファーラン「.....しかし、犯人は一体、誰だったんでしょうか」

    クリスタ「少しお尋ねしますが、ここから一番近い家は何方のですか?」

    ピクシス「3km先に儂の家があるが、どうするんじゃ?」

    クリスタ「簡単ですよ。警察に電話するだけです。あの返り血を浴びた衣服から指紋やDNAが出てきたら犯人は分かる筈ですよ」

    【....ガリアード兄弟....こいつは私の母を死に至らした藪(ヤブ)医者】

    【ジーク・イェーガー....こいつは父を自殺に追い込んだ】

    【アルミン・アルレルト....”小説化”としての人気を私から奪った。....こいつだけは殺し損ねたが】

    【まあ、いい。もう、復讐は果たした】

    【Murder gameなんて名を着けたが......いや、良い。もう、忘れよう】

    【いずれ私は捕まる。アルミン以外は果たすことが出来た】

    「ああ.....」

    クリスタ「どうかしましたか?」

    ”彼”の口から、思わずそんな溜め息が漏れる。数日間見なかった日の光は眩しい。

    「何でもありませんよ....ただ、疲れただけです」

    【そう...ただ、疲れただけなのだ。私....いや、違うな。『俺』は復讐を果たすことが出来たのだ】

    ファーラン「そう、ただ...本当に疲れただけです」

    この『Murder game』の開催者....『ファーラン・チャーチ』は再び溜め息を着いた。
  35. 35 : : 2018/01/22(月) 21:01:16
    アルミン「いやいや、本当に自分の目を疑ったよ」

    あの事件から2日経ち、アルミンは言う。

    アルミン「だって、目が覚めたらあの地下室じゃ無かったんだから」

    あの後、ファーランは警察に自首をし、地下室に鑑識等が入り、長い事情聴取を済ませて、遂に事件は幕を閉じた。

    クリスタ「隠し通路があんな所にあるなんて....」

    アルミン「『侵略寺』の真下だけど、一体誰が作ったんだろう」

    クリスタ「分かりません.....でもまあ、こうしてアルミンさんの意識も戻り、ファーランさんも自首をし、事件は解決しましたし」

    アルミン「あ、そうだ」

    唐突に何か思い出したらしく、声を上げる。

    クリスタ「何ですか?」

    アルミン「今度、旧友の家に行くんだ。少し遠いけど、クリスタさんも行ってみるかい?」


    Murder game 終。

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