不可逆の日々と後悔
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- 1 : 2017/11/27(月) 22:50:35 :
- また書きたい話を思いついたので書いていきます。
途中まで進めてあるのでとりあえずそこまで今日は投げておきます。
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- 2 : 2017/11/27(月) 22:51:21 :
- 845年、その不可逆の日々は始まった。
ベルトルトが蹴り壊した門に、巨人を集めて送り込む。それが私の役目。
以後ライナーによるウォール・マリア破壊まで作戦は難なく成功し、壁内の人類の領域はウォール・ローゼまで後退する事となった。
早くこの作戦を終えて我が家に帰る。目的はそれだけ。
他に抱く情など一欠片もなかった。
故郷に帰るための次なる作戦。それは訓練兵団へ潜り込む事だった。
「ウォール・ローゼ南区!ダンパー村出身!サシャ・ブラウスです」
「貴様・・・何故芋を食べている・・・」
茶番のような馬鹿馬鹿しい入団式も終え、無事に訓練兵団104期生として潜入に成功した。
幸い訓練兵団での生活にはすぐに慣れた。
騒がしい壁内の人間と暮らすのはあまり心地の良いものではなかったが、まあこれも任務。仕方がない事だ。
ある日の格闘訓練でのこと。
私はいつも通り教官の目を避け、適当に訓練を流していた。
「おい、教官にぶたれてこれ以上身長縮めたくなかったら、真面目に訓練したほうが良いんじゃないのか?」
あ?・・・ライナーあんた・・・許さない・・・
「おらエレン、兵士としての責任を教えてやれ」
「は!?」
こいつは・・・イエーガー?
駆逐してやるとか何とか言ってたね。まあ丁度良い。憂さ晴らしだ。
スパーン
ンレエ「」
アニ「次はあんたの番だね」
ライナー「いや、俺は・・・」
エレン「行けよライナー。兵士としての責任を教えてやるんだろ・・・」
ライナー「あぁ・・・兵士には引けない状況がある・・・今がそうだ!!」
なんだいこの茶番・・・まあ来てくれるんなら都合がいいじゃないか。
スパーン
ーナイラ「」
次の格闘訓練だったか、イエーガーに格闘術を教えてくれ、と頼まれた。
面倒だったが断る理由もないので、承諾。良いサンドバッグになりそうだしね。
私が技をかける度に気持ちが良いほどひっくり返ってくれたので、悪い気はしなかったね。
たまに乙女に対して失礼な発言があったので、しっかりシメてあげた。
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- 3 : 2017/11/27(月) 22:51:48 :
どうやら104期は個性が強いやつらの集まりらしい。
食にしか興味が無い奴。
単純に馬鹿な奴。
天使ぶってる奴。
馬。
死に急ぎ野郎。と、その横にいつも居るマフラー女。
女みたいな男。
天使の護衛ばっかな奴。
ざっと並べるとこの通りだった。何なんだか。
そんな賑やかな訓練兵生活も、すぐに終わりがやってくる。
それは同時に次なる作戦へのカウントダウンも意味していた。
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- 4 : 2017/11/27(月) 22:52:13 :
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卒団式の翌日。トロスト区襲撃。
5年前と同じようにベルトルトが壁を破り、そこに巨人を集める。
5年前と全く同じ光景。そして目的も変わらない。早くこの作戦を終えて我が家に帰る。ただそれだけ。
他に抱く情など一欠片もない。確かにそのはず。
なのに何だこのモヤモヤした感情は。
まあいい、余計な事を考えてる場合じゃないからね。
人類は突然の襲撃に、混乱の中兵士を送り出して応戦している。
私達が送り込んだ巨人はガスの補給拠点を制圧。人類に為す術はないと思われた。
あとは巨人の進行を待ってライナーにウォール・ローゼを破らせる。そのはずだったのだが・・・。
「何だあの煙は!?」
煙?・・・!
ライナー、ベルトルトと顔を見合わせる。
三人で早急に煙の見えたところまで向かう。
「巨人・・・!?」
紛れもない。そこにあったのは巨大な骨格。
上半身しか巨人化していないが、それが巨人であることは明白だった。
中身は・・・
「「「エレン・・・!?」」」
3人揃って小さく声を上げる。
エレンが巨人化出来るのであれば私達の目的の「座標」であるかもしれない。
とりあえずその場はアルミンの熱弁によりエレンは無事に難を逃れた。
しかし、もし彼が私達の求める「座標」ならば、万が一にでも死なせる訳にはいかない。
ウォール・ローゼの破壊は中止。ひとまず成り行きを見守ることにした。
そして私達が手出しできない間に人類はエレンの巨人の力によりトロスト区を奪還。
人類が初めて巨人に勝利を収めた瞬間だった。
私達は・・・何故だか複雑な気持ちだった。少なくとも私はね。
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- 5 : 2017/12/05(火) 01:39:45 :
- トロスト区奪還作戦を終え、私達は死体で溢れた街を掃除することとなった。
目の前に無惨に散らばった死体を見たとき、何故か、私はなんともいえない悲しみに包まれた。
そしてこの感情の名前を私は知っている。そう、罪悪感。
何故。私は戦士。座標を奪還し故郷に帰る。そのためなら何だってできる。
なのに、何故こんな感情が湧いて出てくるのさ。
「ごめん…なさい…」
不意にそう呟いたこの声が、自分のものではないような気がした。
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